(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】充放電制御装置及びバッテリ装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230908BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20230908BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230908BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H01M10/42 P
H01M10/48 P
H02H7/18
H02J7/00 302D
(21)【出願番号】P 2020055620
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴士
(72)【発明者】
【氏名】安斎 亮一
(72)【発明者】
【氏名】上島 康博
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-276682(JP,A)
【文献】特開平11-178224(JP,A)
【文献】特開2001-169463(JP,A)
【文献】特開2003-079058(JP,A)
【文献】特許第6614388(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42
H02H 7/18
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の正極端子が接続される電源端子と、
前記二次電池の負極端子が接続される接地端子と、
充電制御FETのゲートと接続される充電制御端子と、
正極外部端子と接続される入力端子と、
前記二次電池の過放電を検出する過放電検出回路と、
前記過放電検出回路の過放電検出信号を受けて前記二次電池の充放電を制御する制御回路と、
前記制御回路によって制御されるチャージポンプと、
前記過放電検出回路の過放電検出信号が入力されているときに、前記入力端子の電圧が前記電源端子の電圧より高くなったことを検出する電圧検出回路と、
前記チャージポンプと充電制御端子の間に設けられ、前記制御回路及び前記電圧検出回路によって制御される第一のスイッチと、
前記電源端子と前記充電制御端子の間に設けられ、前記制御回路及び前記電圧検出回路によって制御される第二のスイッチと、
前記入力端子と前記充電制御端子の間に設けられ、前記制御回路及び前記電圧検出回路によって制御される第三のスイッチと、を備え、
前記電圧検出回路は、前記電源端子と前記接地端子の間の第一の抵抗を有し、前記入力端子の電圧が前記電源端子の電圧より高くなったことを検出している間のみ前記第一の抵抗に電流を流す
ことを特徴とする充放電制御装置。
【請求項2】
前記電圧検出回路は、
前記電源端子と前記接地端子の間に直列に接続された前記第一の抵抗、及び第一のMOSトランジスタと、
前記入力端子と前記接地端子の間に直列に接続された第二のMOSトランジスタ、第二の抵抗、及び第三のMOSトランジスタと、を備え、
前記第三のMOSトランジスタは、前記過放電検出信号によってオフして、
前記第二のMOSトランジスタは、前記入力端子の電圧が前記電源端子の電圧より高くなるとオンして出力端子に検出信号を出力し、
前記第一のMOSトランジスタは、前記出力端子の検出信号によってオンする
ことを特徴とする請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項3】
前記二次電池の過充電を検出する過充電検出回路と、
前記チャージポンプと放電制御端子の間に設けられ、前記制御回路によって制御される第四のスイッチと、
前記入力端子と前記放電制御端子の間に設けられ、前記制御回路によって制御される第五のスイッチと、
を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の充放電制御装置。
【請求項4】
正極外部端子と負極外部端子の間に直列に接続される二次電池と充電制御FETと放電制御FETと、
前記二次電池の電圧によって前記充電制御FET及び前記放電制御FETを制御する請求項1から3のいずれかに記載の充放電制御装置と
を備えたことを特徴とするバッテリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電制御装置及びバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のバッテリ装置を示す回路図である。
従来のバッテリ装置は、充電制御FET1と、放電制御FET2と、二次電池3と、充放電制御装置50を備え、充電器4からの充電や負荷5への放電を制御している。充放電制御装置50は、電圧検出回路51と、チャージポンプ52と、低電圧検出回路53と、制御回路54と、駆動回路55と、スイッチ58と、NMOSトランジスタ59と、電源端子VDD、接地端子VSS、出力端子CO及びDO、入力端子VMを備えている。
【0003】
以上のように構成されたバッテリ装置は、二次電池3の電圧が低電圧検出回路53の検出電圧よりも低い場合、駆動回路55の遮断回路56がオフ、NMOSトランジスタ59がオンしてスイッチ58がオンするため、充電制御FET1のゲート電圧は充電器4の電圧が印加されている入力端子VMの電圧となる。従って、二次電池3の電圧が低い場合であっても、充電制御FET1がオンすることが出来るので、二次電池3に充電することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のバッテリ装置の低電圧検出回路53は、図
5に示すように、ゲートが電源端子VDDに接続されたNMOSトランジスタ531と抵抗532を入力端子VMと接地端子VSSの間に直列接続した回路構成(特許文献1
図5)のため、電源
端子VDD
の電圧が高い通常状態において、入力端子VMと接地端子VSSの間に常時電流が流れることになる。
【0006】
本発明は上記課題に顧みてなされたもので、電圧が低い二次電池3に充電可能な機能を備えながら、消費電流が少ない充放電制御装置及びバッテリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の充放電制御装置は、二次電池の正極端子が接続される電源端子と、前記二次電池の負極端子が接続される接地端子と、充電制御FETのゲートと接続される充電制御端子と、正極外部端子と接続される入力端子と、前記二次電池の過放電を検出する過放電検出回路と、前記過放電検出回路の過放電検出信号を受けて前記二次電池の充放電を制御する制御回路と、前記制御回路によって制御されるチャージポンプと、前記過放電検出回路の過放電検出信号が入力されているときに、前記入力端子の電圧が前記電源端子の電圧より高くなったことを検出する電圧検出回路と、前記チャージポンプと充電制御端子の間に設けられ、前記制御回路及び前記電圧検出回路によって制御される第一のスイッチと、前記電源端子と前記充電制御端子の間に設けられ、前記制御回路及び前記電圧検出回路によって制御される第二のスイッチと、前記入力端子と前記充電制御端子の間に設けられ、前記制御回路及び前記電圧検出回路によって制御される第三のスイッチと、を備え、電圧検出回路は、電源端子と接地端子の間の第一の抵抗を有し、入力端子の電圧が電源端子の電圧より高くなったことを検出している間のみ第一の抵抗に電流を流すことを特徴とする。
また、本発明のバッテリ装置は、上記充放電制御装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の充放電制御装置及びバッテリ装置によれば、電圧が低い二次電池3に充電可能な機能を備えながら、消費電流が少ない充放電制御装置及びバッテリ装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のバッテリ装置の一実施形態を示す回路図である。
【
図2】本実施形態の電圧検出回路の一例を示す回路図である。
【
図3】本実施形態の電圧検出回路の他の例を示す回路図である。
【
図5】従来のバッテリ装置の低電圧検出回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態のバッテリ装置を示す回路図である。
本実施形態のバッテリ装置は、充電制御FET1と、放電制御FET2と、二次電池3と、充放電制御装置10を備え、正極外部端子と負極外部端子の間に接続される充電器4からの充電や負荷5への放電を制御している。
【0011】
充放電制御装置10は、過放電検出回路11と、過充電検出回路12と、制御回路13と、チャージポンプ14及び15と、VM-VDD間の電圧を検出する電圧検出回路16と、スイッチ21、22、23、24、25と、NMOSトランジスタ26と、電源端子VDD、接地端子VSS、出力端子CO(充電制御端子)及びDO(放電制御端子)、入力端子VMを備えている。
【0012】
電源端子VDDは、二次電池3の正極端子と接続されている。接地端子VSSは、二次電池3の負極端子と接続されている。出力端子COは、充電制御FET1のゲートと接続されている。出力端子DOは、放電制御FET2のゲートと接続されている。入力端子VMは、正極外部端子と接続されている。
【0013】
過放電検出回路11は、入力端子が電源端子VDDと接続され、出力端子が制御回路13の第一入力端子と接続されている。過充電検出回路12は、入力端子が電源端子VDDと接続され、出力端子が制御回路13の第二入力端子と接続されている。制御回路13は、第一出力端子がチャージポンプ14の入力端子と接続され、第二出力端子がチャージポンプ15の入力端子と接続され、第三~七出力端子が夫々スイッチ21、22、23、24、25の制御端子と接続されている。
【0014】
チャージポンプ14の出力端子は、スイッチ23を介して出力端子COと接続されている。チャージポンプ15の出力端子は、スイッチ24を介して出力端子DOと接続されている。スイッチ21は、入力端子VMと出力端子COの間に接続されている。スイッチ22は、電源端子VDDと出力端子COの間に接続されている。スイッチ25は、入力端子VMと出力端子DOの間に接続されている。
【0015】
電圧検出回路16は、第一入力端子が電源端子VDDと接続され、第二入力端子が入力端子VMと接続され、第三入力端子が過放電検出回路11の出力端子と接続され、出力端子がスイッチ22、23の制御端子及びNMOSトランジスタ26のゲートと接続されている。NMOSトランジスタ26は、ソースが接地端子VSSと接続され、ドレインがスイッチ21の制御端子と接続されている。
【0016】
以下に、上述のように構成した本実施形態のバッテリ装置の動作について説明する。
二次電池3の電圧が過放電検出電圧と過充電検出電圧の間にある通常状態のときは、スイッチ21、22、25がオフし、スイッチ23、24がオンしている。そして、CO端子から充電制御FET1をオンするチャージポンプ14の出力信号が出力され、DO端子から放電制御FET2をオンするチャージポンプ15の出力信号が出力されている。
【0017】
過充電検出回路12は、二次電池3の過充電を検出すると、過充電検出信号VDHを出力する。制御回路13は、過充電検出信号VDHを受けると、スイッチ23をオフし、スイッチ22をオンする。即ち、制御回路13は、出力端子COから充電制御FET1をオフする電源端子VDDの電圧を出力し、二次電池3への充電を禁止する。
【0018】
過放電検出回路11は、二次電池3の過放電を検出すると、過放電検出信号VDLを出力する。制御回路13は、過放電検出信号VDLを受けると、チャージポンプ14、15とスイッチ23、24をオフし、スイッチ21、25をオンする。即ち、制御回路13は、出力端子COから入力端子VMの電圧を出力し、出力端子DOから放電制御FET2をオフする入力端子VMの電圧を出力し、二次電池3からの放電を禁止する。
【0019】
電圧検出回路16は、過放電検出信号VDLが入力されているときに充電器4が接続されて入力端子VMの電圧が電源端子VDDの電圧よりも高くなったことを検出すると、検出信号VDを出力する。
【0020】
以上のように構成された本実施形態のバッテリ装置は、二次電池3が充電制御FET1をオンすることができない過放電状態において、充電器4が接続されたとき以下のように二次電池3を充電する。
【0021】
二次電池3が過放電状態のため、過放電検出回路11は、過放電検出信号VDLを出力する。電圧検出回路16は、過放電検出信号VDLが入力されているため、充電器4が接続されて、入力端子VMの電圧が電源端子VDDの電圧よりも高くなると、検出信号VDを出力する。スイッチ22、23は、検出信号VDを受けてオフする。NMOSトランジスタ26はゲートに検出信号VDを受けるとオンするため、スイッチ21はオンする。従って、充電制御FET1は、ゲートに入力端子VMの電圧が印加されるためオンする。これにより、二次電池3は、充電器4より放電制御FET2のボディダイオードを経由して充電電流が供給される。
このとき、充電制御FET1のソース端子から放電制御FET2のソース端子に発生する電圧は、充電制御FET1の閾値電圧、充電制御FET1のソース―ドレイン飽和電圧と放電制御FET2のボディダイオードの順方向電圧の合計値のいずれか大きい方で決定される。
【0022】
二次電池3が充電されてその電圧が過放電検出電圧を超えると、過放電検出回路11は、過放電検出信号VDLを停止する。制御回路13は、チャージポンプ14、15とスイッチ23、24をオンし、スイッチ21、22、25をオフする。また、電圧検出回路16は、過放電検出信号VDLが入力されないため、検出信号VDを停止し、NMOSトランジスタ26をオフする。即ち、バッテリ装置は通常状態になる。
【0023】
図2は、本実施形態のバッテリ装置の電圧検出回路の一例を示す回路図である。
図2の電圧検出回路16は、NOT回路160と、PMOSトランジスタ161と、NMOSトランジスタ162及び163と、抵抗164及び165と、を備えている。
【0024】
NOT回路160は、入力が電圧検出回路16の第三入力端子に接続され、出力がNMOSトランジスタ163のゲートに接続されている。NMOSトランジスタ163は、ソースが接地端子VSSに接続され、ドレインが電圧検出回路16の出力端子に接続されている。PMOSトランジスタ161は、ソースが電圧検出回路16の第二入力端子に接続され、ドレインが抵抗165を介して出力端子に接続されている。NMOSトランジスタ162は、ソースが接地端子VSSに接続され、ドレインが抵抗164を介して電圧検出回路16の第一入力端子に接続されている。
【0025】
次に、
図2の電圧検出回路16の動作について説明する。
過放電検出信号VDLが停止している通常状態では、NOT回路160にロウレベルが入力されているので、NMOSトランジスタ163はオンして、出力端子にロウレベルが出力されている。このとき、NMOSトランジスタ162、PMOSトランジスタ161がオフしているので、抵抗164及び165には電流が流れない。
【0026】
過放電状態になり過放電検出信号VDLが入力されると、NOT回路160はロウレベルを出力するので、NMOSトランジスタ163はオフする。このときも同様に、抵抗164及び165には電流が流れない。ここで、充電器4が接続されると、入力端子VMの電圧が電源端子VDDの電圧より高くなるので、PMOSトランジスタ161はオンする。従って、出力端子にハイレベルの検出信号VDが出力される。
【0027】
図3は、本実施形態のバッテリ装置の電圧検出回路の他の例を示す回路図である。
図3の電圧検出回路16は、
図2のNOT回路160に替えて、抵抗166及び167とスイッチ168とNMOSトランジスタ169を備えている。
【0028】
NMOSトランジスタ169は、ソースが接地端子VSSに接続され、ドレインが抵抗166の一方の端子に接続され、ゲートがPMOSトランジスタ161のドレインに接続されている。抵抗166の他方の端子は、スイッチ168の一方の端子とNMOSトランジスタ163のゲートに接続されている。スイッチ168は、制御端子が電圧検出回路16の第三入力端子に接続され、他方の端子が抵抗167を介して電源端子VDDに接続されている。
【0029】
次に、
図3の電圧検出回路16の動作について説明する。
過放電検出信号VDLが停止している通常状態では、スイッチ168の制御端子にロウレベルが入力されているのでオンして、NMOSトランジスタ163はオンして、出力端子にロウレベルが出力されている。このとき、NMOSトランジスタ162、169、及びPMOSトランジスタ161がオフしているので、抵抗164、165、167及び169には電流が流れない。
【0030】
過放電状態になり過放電検出信号VDLが入力されると、スイッチ168はオフするが、NMOSトランジスタ163はオンしている。このときも同様に、抵抗164及び165には電流が流れない。ここで、充電器4が接続されると、入力端子VMの電圧が電源端子VDDの電圧より高くなるのでPMOSトランジスタ161はオンする。従って、NMOSトランジスタ169がオンして、NMOSトランジスタ163はオフするので、出力端子にハイレベルの検出信号VDが出力される。
【0031】
以上説明したように、本発明のバッテリ装置によれば、電圧検出回路16が通常状態、及び充電器4が接続されていない過放電状態において電流を流さないので、消費電流を低減することが出来る。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0033】
例えば、本実施形態において、過放電検出信号VDLがハイレベルであればNOT回路160はなくてよい。また例えば、本実施形態において、充電制御FET1を制御するチャージポンプ14と、放電制御FET2を制御するチャージポンプ15を備えているが、チャージポンプは1つであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 充放電制御装置
11 過放電検出回路
12 過充電検出回路
13 制御回路
14、15 チャージポンプ
16 電圧検出回路
160 NOT回路