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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】液体ブロー成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/42 20060101AFI20230908BHJP
   B29C 49/46 20060101ALI20230908BHJP
   B29C 49/12 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
B29C49/42
B29C49/46
B29C49/12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020056091
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021154568
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】星野 英明
(72)【発明者】
【氏名】塩川 満
(72)【発明者】
【氏名】奥山 雄一
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501062(JP,A)
【文献】特開2018-034447(JP,A)
【文献】特開2019-130799(JP,A)
【文献】特表2017-501061(JP,A)
【文献】特開2017-159632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00-49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォームに加圧した液体を供給して所定形状の容器に液体ブロー成形する、液体ブロー成形装置であって、
それぞれ前記プリフォームが配置される、複数の金型と、
それぞれ対応する前記金型に配置された前記プリフォームの口部に係合する、複数のブローノズルと、
それぞれの前記ブローノズルに配管を介して接続され、それぞれの前記ブローノズルに加圧した液体を供給する1つのブロー成形用プランジャーポンプと、を有し、
前記ブロー成形用プランジャーポンプは、
シリンダと、
前記シリンダの内部に配置されたプランジャーと、
前記シリンダの一端を閉塞し、前記プランジャーとの間に圧力室を区画形成するとともにそれぞれ前記圧力室に開口する複数のブロー成形用流出ポートが設けられた閉塞部材とを有し、
複数の前記ブローノズルが、それぞれ前記配管を介して対応する前記ブロー成形用流出ポートに接続されていることを特徴とする、液体ブロー成形装置。
【請求項2】
前記閉塞部材に、前記プランジャーの軸線を挟んで対向する2つの前記ブロー成形用流出ポートが設けられている、請求項1に記載の液体ブロー成形装置。
【請求項3】
前記液体ブロー成形を行う前に、対応する前記プリフォームに液体を供給するための、複数のプレフィル流路を備えている、請求項1または2に記載の液体ブロー成形装置。
【請求項4】
前記閉塞部材に、それぞれ前記圧力室に開口するとともに対応する前記プレフィル流路に配管を介して連通する、複数のプレフィル用流出ポートが設けられている、請求項3に記載の液体ブロー成形装置。
【請求項5】
それぞれ前記プレフィル流路に配管を介して接続され、それぞれの前記プレフィル流路に加圧した液体を供給するプレフィル用プランジャーポンプをさらに備え、
前記プレフィル用プランジャーポンプは、
シリンダと、
前記シリンダの内部に配置されたプランジャーと、
前記シリンダの一端を閉塞し、前記プランジャーとの間に圧力室を区画形成する閉塞部材とを有し、
前記閉塞部材に、それぞれ前記圧力室に開口するとともに対応する前記プレフィル流路に前記配管を介して連通する、複数のプレフィル用流出ポートが設けられている、請求項3に記載の液体ブロー成形装置。
【請求項6】
複数の前記プレフィル用流出ポートが、前記閉塞部材の、前記プランジャーに対向する天面に開口している、請求項4または5に記載の液体ブロー成形装置。
【請求項7】
それぞれ対応する前記金型に配置された前記プリフォームを軸方向に延伸させる、複数の延伸ロッドを備え、
複数の前記プレフィル流路が、それぞれ対応する前記延伸ロッドの軸心を通って対応する前記プリフォームに連通するように構成されている、請求項3~6の何れか1項に記載の液体ブロー成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォームに加圧した液体を供給して所定形状の容器に液体ブロー成形する、液体ブロー成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン製のボトルやポリエチレンテレフタレート製のボトル(PETボトル)に代表されるような合成樹脂製の容器は、飲料用、食品用、化粧料用等の様々な用途に使用されている。このような容器は、射出成形等により有底筒状に形成された合成樹脂製のプリフォームを、延伸効果を発現させることのできる温度にまで加熱し、この状態でブロー成形装置を用いてブロー成形することで、所定の形状に形成されるのが一般的である。
【0003】
ブロー成形装置としては、プリフォーム内に供給される加圧流体として、加圧エアに替えて加圧した液体(加圧液体)を用いるようにした、液体ブロー成形装置が知られている。液体ブロー成形装置によれば、その加圧流体として、飲料、化粧品、薬品等の最終的に製品として容器に充填される内容液を使用することにより、容器への内容液の充填工程を省略して、その生産工程や生産装置の構成を簡略化することができる。
【0004】
従来、このような液体ブロー成形装置として、例えば特許文献1に記載されるように、複数のプリフォームに対応した複数のブローノズルと、これらのブローノズルに配管を介して接続される1つ加圧液体源とを備え、複数のプリフォームを同時に液体ブロー成形する構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2017-501062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プランジャーポンプ(加圧液体源)は、1つの流出ポートを備え、プランジャーが作動すると圧力室において加圧された液体が当該流出ポートからブローノズルに向けて送出される構成であるのが一般的である。そのため、上記特許文献1に記載されるように、1つのプランジャーポンプから複数のブローノズルに加圧した液体を供給する構成とするためには、流出ポートに接続された1本の配管を途中で複数の配管に分岐し、当該分岐した複数の配管をそれぞれ対応するブローノズルに接続する構成とする必要がある。
【0007】
しかし、プランジャーポンプの流出ポートに接続された1本の配管を途中で複数の配管に分岐して複数のブローノズルに接続する構成では、それぞれのプリフォームに供給される液体の充填圧や充填量にばらつきが生じ、容器の成形性が安定しない、という問題が生じる虞があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、1つのプランジャーポンプにより複数の容器を一度に精度よく成形することが可能な液体ブロー成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液体ブロー成形装置は、プリフォームに加圧した液体を供給して所定形状の容器に液体ブロー成形する、液体ブロー成形装置であって、それぞれ前記プリフォームが配置される、複数の金型と、それぞれ対応する前記金型に配置された前記プリフォームの口部に係合する、複数のブローノズルと、それぞれの前記ブローノズルに配管を介して接続され、それぞれの前記ブローノズルに加圧した液体を供給する1つのブロー成形用プランジャーポンプと、を有し、前記ブロー成形用プランジャーポンプは、シリンダと、前記シリンダの内部に配置されたプランジャーと、前記シリンダの一端を閉塞し、前記プランジャーとの間に圧力室を区画形成するとともにそれぞれ前記圧力室に開口する複数のブロー成形用流出ポートが設けられた閉塞部材とを有し、複数の前記ブローノズルが、それぞれ前記配管を介して対応する前記ブロー成形用流出ポートに接続されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の液体ブロー成形装置は、上記構成において、前記閉塞部材に、前記プランジャーの軸線を挟んで対向する2つの前記ブロー成形用流出ポートが設けられているのが好ましい。
【0011】
本発明の液体ブロー成形装置は、上記構成において、前記液体ブロー成形を行う前に、対応する前記プリフォームに液体を供給するための、複数のプレフィル流路を備えているのが好ましい。
【0012】
本発明の液体ブロー成形装置は、上記構成において、前記閉塞部材に、それぞれ前記圧力室に開口するとともに対応する前記プレフィル流路に配管を介して連通する、複数のプレフィル用流出ポートが設けられているのが好ましい。
【0013】
本発明の液体ブロー成形装置は、上記構成において、それぞれ前記プレフィル流路に配管を介して接続され、それぞれの前記プレフィル流路に加圧した液体を供給するプレフィル用プランジャーポンプをさらに備え、前記プレフィル用プランジャーポンプは、シリンダと、前記シリンダの内部に配置されたプランジャーと、前記シリンダの一端を閉塞し、前記プランジャーとの間に圧力室を区画形成する閉塞部材とを有し、前記閉塞部材に、それぞれ前記圧力室に開口するとともに対応する前記プレフィル流路に前記配管を介して連通する、複数のプレフィル用流出ポートが設けられているのが好ましい。
【0014】
本発明の液体ブロー成形装置は、上記構成において、複数の前記プレフィル用流出ポートが、前記閉塞部材の、前記プランジャーに対向する天面に開口しているのが好ましい。
【0015】
本発明の液体ブロー成形装置は、上記構成において、それぞれ対応する前記金型に配置された前記プリフォームを軸方向に延伸させる、複数の延伸ロッドを備え、複数の前記プレフィル流路が、それぞれ対応する前記延伸ロッドの軸心を通って対応する前記プリフォームに連通するように構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、1つのプランジャーポンプにより複数の容器を一度に精度よく成形することが可能な液体ブロー成形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態である液体ブロー成形装置を示す説明図である。
図2図1に示す液体ブロー成形装置の、ブロー成型用プランジャーポンプと2つのノズルユニットとの間の液体の供給路の構成を示す、側面視での断面図である。
図3図1に示す液体ブロー成形装置の、ブロー成型用プランジャーポンプと2つのノズルユニットとの間の液体の供給路の構成を示す、平面視での断面図である。
図4】プレフィル工程を行っている状態の液体ブロー成形装置を示す説明図である。
図5】液体ブロー成形工程を行っている状態の液体ブロー成形装置を示す説明図である。
図6】変形例の液体ブロー成形装置の、ブロー成型用プランジャーポンプと2つのノズルユニットとの間の液体の供給路の構成を示す、側面視での断面図である。
図7】変形例の液体ブロー成形装置の、ブロー成型用プランジャーポンプと2つのノズルユニットとの間の液体の供給路の構成を示す、平面視での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明をより具体的に例示説明する。
【0019】
図1に示す、本発明の一実施の形態である液体ブロー成形装置1は、複数のプリフォーム2に加圧した液体Lを同時に供給し、これらを所定形状の容器に液体ブロー成形するものである。本実施の形態では、液体ブロー成形装置1は、2つのプリフォーム2に加圧した液体Lを同時に供給し、これら2つのプリフォーム2を互いに同一の所定形状の容器に液体ブロー成形する構成となっている。
【0020】
2つのプリフォーム2は、それぞれ合成樹脂製となっており、互いに同一の形状である。これらのプリフォーム2としては、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性を有する合成樹脂材料によって、開口端となる円筒状の口部2aと、口部2aに連なるとともに下端が閉塞された有底円筒状の胴部2bとを有する形状に形成されたものを用いることができる。
【0021】
液体Lは、例えば飲料、醤油等の液体状の食品、化粧料、薬品、洗剤、シャンプー等のトイレタリーなど、種々の液体であってよい。
【0022】
成形後の容器は、これらの液体Lを内容液として収納した液体入り容器とされる。
【0023】
液体ブロー成形装置1は、2つのブロー成形ユニット10を備えている。2つのブロー成形ユニット10は、互いに同一の構成であるので、以下では、一方のブロー成形ユニット10について説明する。
【0024】
ブロー成形ユニット10は、ブロー成形用の金型11を有している。金型11は、例えばボトル形状などの、容器の最終形状に対応した形状のキャビティ11aを有している。キャビティ11aは金型11の上面において上方に向けて開口している。プリフォーム2は、胴部2bが金型11のキャビティ11aの内部に配置されるとともに口部2aが金型11から上方に突出した姿勢で金型11に配置される。
【0025】
金型11は、例えば左右に型開き可能な構成とされ、プリフォーム2を容器に液体ブロー成形した後に、金型11を左右に型開きすることで、当該容器を金型11から取り出すことができるようになっている。
【0026】
ブロー成形ユニット10は、ノズルユニット20を備えている。ノズルユニット20は、金型11の上方に配置され、金型11に対して上下方向に相対移動自在となっている。
【0027】
ノズルユニット20は、本体ブロック21と、本体ブロック21の下端に固定されたブローノズル22とを有している。本体ブロック21の内部には、液体ブロー成形工程を行う際に液体Lが供給される供給路23が上下方向に延びて設けられている。また、本体ブロック21には、供給路23の上端に連通する接続ポート24が設けられている。ブローノズル22は、供給路23に連通しており、ノズルユニット20が下方側のストローク端にまで下降したときに、金型11に配置されたプリフォーム2の口部2aに密封状態で係合する。ブローノズル22がプリフォーム2の口部2aに係合することで、供給路23に供給された液体Lは、ブローノズル22を介してプリフォーム2に供給可能となる。
【0028】
供給路23の内部には、ブローノズル22を開閉するための第1シール体25が配置されている。第1シール体25は、ノズルユニット20に上下方向に移動自在に設けられた第1軸体26の下端に固定され、供給路23の内部で上下方向に移動自在となっている。なお、第1シール体25は、第1軸体26と一体に形成された構成としてもよい。第1シール体25が下方側のストローク端位置である閉位置にあるときには、ブローノズル22は第1シール体25により閉塞され、供給路23とプリフォーム2との間の連通が遮断される。一方、第1シール体25が閉位置から上方に移動すると、ブローノズル22が開かれ、供給路23とプリフォーム2とが連通される。
【0029】
本実施の形態では、ノズルユニット20には、液体ブロー成形を行う前に、対応するプリフォーム2に、液体ブロー成形時よりも低い圧力で液体Lを供給する工程すなわちプレフィル工程を行うための、プレフィル流路27が設けられている。プレフィル流路27は、第1シール体25及び第1軸体26の軸心に設けられ、第1シール体25の下端において開口している。プレフィル流路27の開口は、ブローノズル22がプリフォーム2の口部2aに係合した状態において、プリフォーム2の内部に連通可能となる。プレフィル流路27には、プレフィル流路27の開口を開閉するための第2シール体28が設けられている。第2シール体28は、プレフィル流路27の軸心に沿って延びる第2軸体29の下端に一体に設けられており、第2軸体29とともにプレフィル流路27の内部で上下方向に移動自在となっている。第2シール体28が上方側のストローク端位置である閉位置にあるときには、プレフィル流路27の開口は第2シール体28により閉塞され、プレフィル流路27とプリフォーム2との間の連通が遮断される。一方、第2シール体28が閉位置から下方に移動すると、プレフィル流路27の開口が開かれ、プレフィル流路27とプリフォーム2とが連通される。
【0030】
なお、第2シール体28及び第2軸体29は延伸ロッドとして機能するようになっており、下方に移動することで、金型11に配置されたプリフォーム2を軸方向に延伸することができる。
【0031】
上記の通り、液体ブロー成形装置1は、2つのプリフォーム2に対応して、2つの金型11と2つのブローノズル22とを備えている。
【0032】
一方、液体ブロー成形装置1は、それぞれのブローノズル22に加圧した液体Lを供給する手段として、1つのブロー成形用プランジャーポンプ30を有している。
【0033】
図2に示すように、ブロー成形用プランジャーポンプ30は、シリンダ31と、シリンダ31の内部に当該シリンダ31の軸方向に沿って移動自在に配置されたプランジャー32と、シリンダ31の一端を閉塞してプランジャー32との間に圧力室33を区画形成する閉塞部材34と、を有している。シリンダ31の他端には支持体35が固定されており、プランジャー32と一体に設けられた駆動ロッド36が支持体35に軸方向に移動自在に支持されている。プランジャー32は、駆動ロッド36に駆動されて加圧方向(閉塞部材34の側)に移動することで、圧力室33に収納されている液体Lを加圧することができるとともに、駆動ロッド36に駆動されて吸引方向(支持体35の側)に移動することで圧力室33を負圧にすることができる。
【0034】
閉塞部材34には、2つのブローノズル22に対応する2つのブロー成形用流出ポート37が設けられている。2つのブロー成形用流出ポート37は、それぞれ圧力室33に開口するとともに、それぞれ個別の配管38により、対応するブローノズル22が設けられたノズルユニット20の接続ポート24に接続されている。すなわち、2つのブロー成形用流出ポート37は、それぞれ配管38を介して対応するブローノズル22に接続されている。したがって、第1シール体25が開かれた状態において、プランジャー32が作動して圧力室33に収納されている液体Lが加圧されると、当該液体Lが2つのブロー成形用流出ポート37から配管38を介して対応するブローノズル22に供給される。なお、それぞれブロー成形用流出ポート37と対応するブローノズル22の間に接続された2本の配管38の長さ(内容積)は、互いに実質的に同一となっている。
【0035】
図2に示すように、本実施の形態では、閉塞部材34において、2つのブロー成形用流出ポート37は、それぞれの圧力室33への開口37aが、プランジャー32の移動経路の延長範囲(プランジャー32の軸線Oに沿う方向から見てプランジャー32と重複する範囲)Sの範囲内に位置するように配置されている。
【0036】
また、図2図3に示すように、本実施の形態では、閉塞部材34において、2つのブロー成形用流出ポート37は、それぞれの圧力室33への開口37aが、プランジャー32の軸線Oを挟んで互いに対向するように配置されている。
【0037】
なお、図2に示すように、本実施の形態では、閉塞部材34のプランジャー32に対向する天面は、プランジャー32の軸線Oを中心とした円錐状に傾斜しており、2つのブロー成形用流出ポート37の開口37aは、それぞれ当該傾斜面に開口している。
【0038】
図3に示すように、閉塞部材34には、圧力室33に液体Lを供給するための供給ポート39が設けられている。図1に示すように、供給ポート39は、配管40を介して供給タンク41に接続されている。供給タンク41は、液体Lを収容するとともに当該液体Lを所定温度にまで加熱または冷却して当該温度に保持する構成となっており、配管40を介してブロー成形用プランジャーポンプ30に液体Lを供給することができる。配管40には開閉弁42が設けられており、液体ブロー成形工程ないしプレフィル工程を行う際には、開閉弁42により配管40が閉じられるようになっている。
【0039】
図3に示すように、本実施の形態では、供給ポート39は、2つのブロー成形用流出ポート37に対して、プランジャー32の軸線Oを中心として90度ずれた位置において圧力室33に開口するように配置されている。
【0040】
図1図2に示すように、本実施の形態では、閉塞部材34には、それぞれ圧力室33に開口するとともに対応するプレフィル流路27に配管43を介して連通する、2つのプレフィル用流出ポート44が設けられている。2つのプレフィル用流出ポート44は、それぞれ閉塞部材34の天面の、プランジャー32の移動経路の延長範囲Sの範囲内において、圧力室33に開口している。
【0041】
次に、このような構成の液体ブロー成形装置1を用いて、合成樹脂製のプリフォーム2を所定形状の容器に液体ブロー成形する工程について説明する。
【0042】
まず、それぞれの金型11に、延伸効果を発現させることのできる温度にまで加熱したプリフォーム2を配置する。
【0043】
次に、液体ブロー成形装置1を、それぞれのノズルユニット20において、第1シール体25及び第2シール体28が閉じた状態となり開閉弁42が開いた状態とし、この状態でブロー成形用プランジャーポンプ30のプランジャー32を吸引方向に作動させて、圧力室33の内部に所定量の液体Lが充填された状態(図1に示す状態)とする。
【0044】
次に、液体ブロー成形装置1は、2つのプリフォーム2に予め液体Lを供給するプレフィル工程を行う。プレフィル工程においては、図4に示すように、それぞれのノズルユニット20において、第2シール体28を開き、第1シール体25を閉じた状態とするとともに開閉弁42を閉じた状態とし、この状態でブロー成形用プランジャーポンプ30のプランジャー32を加圧方向に作動させて、圧力室33の内部の液体Lを、2つのプレフィル用流出ポート44のそれぞれから配管43を介してプレフィル流路27に供給する。プレフィル工程は、プリフォーム2の内部が液体Lで満たされるまで行うのが好ましい。これにより、プリフォーム2の内部の空気が全て液体Lに置換される。なお、プレフィル工程においては、第1シール体25は閉じられているので、ブロー成形用プランジャーポンプ30のプランジャー32が加圧方向に作動しても、圧力室33の液体Lは2つのブローノズル22には供給されず、プリフォーム2は液体ブロー成形されない。
【0045】
プレフィル工程において、プレフィル流路27からプリフォーム2の内部に供給される液体Lの圧力は、プリフォーム2が液体Lの圧力によって延伸されない程度の圧力とするのが好ましいが、その圧力は任意に変更可能である。
【0046】
液体ブロー成形装置1は、プレフィル工程において、液体Lによってプリフォーム2の内部から押し出された空気を外部に排出するための排出流路等を備えた構成とすることもできる。
【0047】
プレフィル工程が完了すると、次に、液体ブロー成形装置1は、2つのプリフォーム2に加圧した液体Lを供給して液体ブロー成形工程を行う。液体ブロー成形工程においては、図5に示すように、それぞれのノズルユニット20において、第1シール体25を開き、第2シール体28を閉じるとともに開閉弁42を閉じた状態とし、この状態でブロー成形用プランジャーポンプ30のプランジャー32を加圧方向に作動させて、圧力室33の内部の液体Lを、2つのブロー成形用流出ポート37のそれぞれから配管38、接続ポート24及び供給路23を介して、それぞれのブローノズル22に供給する。このとき、ブロー成形用プランジャーポンプ30がそれぞれのブローノズル22に供給する液体Lの圧力は、プリフォーム2をブロー成形する(延伸する)のに適した所定の圧力とされる。液体ブロー成形工程は、プリフォーム2が金型11のキャビティ11aに沿った形状となるまで行われる。
【0048】
なお、本実施の形態では、液体ブロー成形工程において、第2シール体28を閉じるようにしているが、開いていてもよい。
【0049】
上記の通り、液体ブロー成形装置1は、液体ブロー成形工程において、それぞれ対応する金型11に配置された2つのプリフォーム2を同時に液体ブロー成形して、これらをキャビティ11aに沿った所定形状の容器Cに成形することができる。
【0050】
このように、液体ブロー成形装置1は、1つのブロー成形用プランジャーポンプ30により2つのプリフォーム2を液体ブロー成形することができるので、これを小型、軽量化することができる。
【0051】
ここで、本実施の形態の液体ブロー成形装置1では、ブロー成形用プランジャーポンプ30は、シリンダ31の一端を閉塞してプランジャー32との間に圧力室33を区画形成する閉塞部材34を有し、この閉塞部材34に、それぞれ配管38を介して対応するブローノズル22(接続ポート24)に接続された2つのブロー成形用流出ポート37が設けられた構成となっている。このような構成を有する本実施の形態の液体ブロー成形装置1では、プランジャー32が加圧方向に作動して圧力室33の内部で液体Lが加圧されると、当該加圧された液体Lは、圧力室33において2つのブロー成形用流出ポート37に分配されるので、閉塞部材34に1つのブロー成形用流出ポートのみを設け、配管の部分において当該流路を分岐させた構成とした場合に比べて、加圧された液体Lは、それぞれのブロー成形用流出ポート37を通して対応するブローノズル22に均等に供給されることになる。
【0052】
このように、本実施の形態の液体ブロー成形装置1によれば、液体ブロー成形工程において、1つのブロー成形用プランジャーポンプ30から2つのプリフォーム2に、実質的に同一の長さ(内容積)の配管38を通して均一な充填圧ないし充填量で液体Lを供給することができるので、1つのブロー成形用プランジャーポンプ30により2つの容器Cを一度に精度よく成形することができる。
【0053】
特に、本実施の形態の液体ブロー成形装置1では、閉塞部材34に設けられる2つのブロー成形用流出ポート37を、その開口37aが、プランジャー32の移動経路の延長範囲Sの範囲内に位置するように配置した構成としたので、圧力室33においてプランジャー32に加圧された液体Lが、直接、圧力室33においてそれぞれのブロー成形用流出ポート37に分配されるようにして、加圧された液体Lが、ブロー成形用流出ポート37を通して、対応するブローノズル22に、より確実に均等に供給されるようにすることができる。したがって、1つのブロー成形用プランジャーポンプ30により、2つの容器Cを一度にさらに精度よく成形することができる。
【0054】
また、本実施の形態の液体ブロー成形装置1では、閉塞部材34に設けられる2つのブロー成形用流出ポート37を、プランジャー32の軸線Oを挟んで対向して配置するようにしたので、圧力室33において加圧された液体Lが、それぞれのブロー成形用流出ポート37を通して対応するブローノズル22により確実に均等に供給されるようにすることができる。これにより、1つのブロー成形用プランジャーポンプ30により2つの容器Cを一度にさらに精度よく成形することができる。
【0055】
さらに、本実施の形態の液体ブロー成形装置1は、液体ブロー成形を行う前に、対応するプリフォーム2に、液体ブロー成形時よりも低い圧力で液体Lを供給するための、2つのプレフィル流路27を備えた構成としたので、プレフィル工程によりプリフォーム2の内部を液体Lで満たした状態とした後、液体ブロー成形を行うことができる。これにより、液体ブロー成形の際、プリフォーム2の内部に加圧された液体Lが供給されたときに、プリフォーム2の内部の空気が液体Lに巻き込まれてプリフォーム2の内部の充填圧ないし充填量が不安定となることを抑制して、1つのブロー成形用プランジャーポンプ30により2つの容器Cを一度にさらに精度よく成形することができる。
【0056】
特に、本実施の形態の液体ブロー成形装置1では、ブロー成形用プランジャーポンプ30の閉塞部材34に、それぞれ圧力室33に開口するとともに対応するプレフィル流路27に配管43を介して連通する2つのプレフィル用流出ポート44を設けるようにしたので、1つのブロー成形用プランジャーポンプ30により、プレフィル工程と液体ブロー成形工程の両方の工程を行うことができる。これにより、液体ブロー成形装置1の構成を簡素化して、そのコストを低減することができる。
【0057】
また、本実施の形態の液体ブロー成形装置1では、2つのプレフィル用流出ポート44を、閉塞部材34の、プランジャー32に対向する天面に開口させて設けるようにしたので、それぞれのプレフィル用流出ポート44を介して2つのプレフィル流路27に実質的に同一の長さ(内容積)の配管38を通して均一な圧力で液体Lが供給されるようにして、プレフィル工程においてそれぞれのプリフォーム2の内部に規定量の液体Lを精度よく充填することができる。
【0058】
さらに、本実施の形態の液体ブロー成形装置1では、それぞれ対応する金型11に配置されたプリフォーム2を軸方向に延伸させる延伸ロッドとしても機能する第2シール体28と第2軸体29とを有する構成とし、2つのプレフィル流路27を、それぞれ対応する第2シール体28と第2軸体29との軸心を通って対応するプリフォーム2に連通する構成としたので、プレフィル流路27の構成を簡素化して、液体ブロー成形装置1のコストを低減することができる。
【0059】
図6は、変形例の液体ブロー成形装置の、ブロー成型用プランジャーポンプと2つのノズルユニットとの間の液体の供給路の構成を示す、側面視での断面図であり、図7は、変形例の液体ブロー成形装置の、ブロー成型用プランジャーポンプと2つのノズルユニットとの間の液体の供給路の構成を示す、平面視での断面図である。なお、図6図7においては、前述した部材に対応する部材には、同一の符号を付してある。
【0060】
液体ブロー成形装置1は、図6図7に示す変形例のように、ブロー成形用プランジャーポンプ30に加えて、プレフィル用プランジャーポンプ50を備えた構成とすることもできる。
【0061】
この場合、ブロー成形用プランジャーポンプ30としては、図1図5に示すブロー成形用プランジャーポンプ30に対して、閉塞部材34にプレフィル用流出ポート44が設けられていない構成のものを用いることができる。一方、プレフィル用プランジャーポンプ50としては、図1図5に示すブロー成形用プランジャーポンプ30に対して、閉塞部材34にブロー成形用流出ポート37が設けられていない構成のものを用いることができる。
【0062】
このように、液体ブロー成形装置1を、ブロー成形用プランジャーポンプ30に加えて、プレフィル用プランジャーポンプ50を備えた構成とすることで、プレフィル工程を、例えばブロー成形用プランジャーポンプ30よりもプランジャー32の作動速度が遅い専用のプレフィル用プランジャーポンプ50で行い、液体ブロー成形工程を専用のブロー成形用プランジャーポンプ30で行う構成とすることができる。したがって、本実施の形態のように、プレフィル流路27が第1軸体26と第2軸体29との間の狭い流路で構成され、液体Lとして比較的粘度の高いものが用いられた場合に、プレフィル工程において、プレフィル工程の開始とともにプレフィル流路27の内部の圧力が過度に上昇して、その結果、圧力室33の圧力も上昇し、ブロー成型工程においてプリフォーム2に破裂、芯ずれが生じて容器Cの成形性が低下することを防止することができる。
【0063】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0064】
例えば、前記実施の形態では、液体ブロー成形装置1は、2つのプリフォーム2を同時に容器Cに液体ブロー成形するために、2つの金型11及び2つのブローノズル22を有するとともに、ブロー成形用プランジャーポンプ30の閉塞部材34に2つのブローノズル22に対応する2つのブロー成形用流出ポート37が設けられた構成とされているが、これに限らず、3つ以上のプリフォーム2を同時に容器Cに液体ブロー成形するために、3つ以上の金型11及び3つ以上のブローノズル22を有するとともに、ブロー成形用プランジャーポンプ30の閉塞部材34に3つ以上のブローノズル22に対応する3つ以上のブロー成形用流出ポート37が設けられた構成とすることもできる。この場合においても、1つのブロー成形用プランジャーポンプ30により、複数のプリフォーム2を一度に精度よく容器Cに液体ブロー成形することができる。
【0065】
また、液体ブロー成形装置1は、複数のブロー成形用流出ポート37が閉塞部材34の天壁に設けられた構成としてもよく、プレフィル用流出ポート44が閉塞部材34の周壁に設けられた構成としてもよい。
【0066】
さらに、前記実施の形態では、複数のプレフィル流路27を、延伸ロッドとして機能する第2シール体28及び第2軸体29の軸心に設けた構成としているが、ノズルユニット20の他の部分にプレフィル流路27を設け、あるいは配管43を供給路23に接続して供給路23をプレフィル流路27として兼用する構成とすることもできる。
【0067】
さらに、前記実施の形態では、液体ブロー成形装置1は、液体ブロー成形を行う前、対応するプリフォーム2に液体Lを供給するプレフィル工程を行うために、複数のプレフィル流路27を備えた構成とされているが、これに限らず、複数のプレフィル流路27を備えない構成とすることもできる。
【0068】
さらに、前記実施の形態では、閉塞部材34は、シリンダ31の一端に固定された構成となっているが、シリンダ31と一体に形成された構成としてもよい。
【0069】
さらに、前記実施の形態では、延伸ロッドとして機能する第2軸体29と第1軸体26との間にプレフィル流路27を設けるようにしているが、第1軸体26の内側に延伸ロッドを配置するとともに、延伸ロッドの内側に第2シール体28を備えた第2軸体29を配置して、延伸ロッドと第2軸体29との間にプレフィル流路27を設けた構成としてもよい。この場合、延伸ロッドを、その先端(下端)が金型11に配置されたプリフォーム2の底部分に近接する位置にまで延ばした後、第2シール体28を開いてプレフィル工程を行う構成とするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 液体ブロー成形装置
2 プリフォーム
2a 口部
2b 胴部
10 ブロー成形ユニット
11 金型
11a キャビティ
20 ノズルユニット
21 本体ブロック
22 ブローノズル
23 供給路
24 接続ポート
25 第1シール体
26 第1軸体
27 プレフィル流路
28 第2シール体(延伸ロッド)
29 第2軸体(延伸ロッド)
30 ブロー成形用プランジャーポンプ
31 シリンダ
32 プランジャー
33 圧力室
34 閉塞部材
35 支持体
36 駆動ロッド
37 ブロー成形用流出ポート
37a 開口
38 配管
39 供給ポート
40 配管
41 供給タンク
42 開閉弁
43 配管
44 プレフィル用流出ポート
50 プレフィル用プランジャーポンプ
L 液体
S 延長範囲
O 軸線
C 容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7