(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】より少ない防腐剤を有する薬剤のための複数回使用薬剤送達装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20230908BHJP
A61M 5/34 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
A61M5/142 520
A61M5/34
(21)【出願番号】P 2020511464
(86)(22)【出願日】2018-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2018072399
(87)【国際公開番号】W WO2019042801
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-13
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベントスン, ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】グレンティング, ヴェラ ピント
(72)【発明者】
【氏名】ドルストルプ, ヨルン
(72)【発明者】
【氏名】ペダーセン, ヨナス キルデゴード
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第00739753(GB,A)
【文献】英国特許出願公告第00706150(GB,A)
【文献】特表2007-516785(JP,A)
【文献】特表2013-520287(JP,A)
【文献】特表2017-515603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長期使用のための複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)であって、前記複数回使用薬剤送達装置が、長手方向を画定する中心軸(A)を備える複数回使用主要部分(310)と、対象者の皮下組織に薬剤を誘導するように適合された単回使用流れ誘導装置(360)とを備え、前記薬剤送達装置が、前記流れ誘導装置
(360)の前記主要部分
(310)に対して相対移動可能な配置を可能にするように適合され、前記相対移動が前記主要部分
(310)および流れ誘導装置
(360)の協働構造によって導かれることができ、前記薬剤送達装置が、
接続された構成であって、前記流れ誘導装置(360)が、前記主要部分(310)に対して接続された位置に配置されて、前記相対移動が導かれ、かつその相対位置が、前記長手方向において前記流れ誘導装置
(360)と前記主要部分
(310)との間に第一の距離(d1)を画定し、前記相対位置が、前記薬剤送達装置(300)の外部表面(306)によって閉じ込められた第一の内部容積に対応する、接続された構成と、
中間構成であって、前記流れ誘導装置(360)が、前記主要部分(310)に対して中間位置に移動可能に配置され、前記相対移動が導かれ、かつ前記相対位置が、前記長手方向において前記流れ誘導装置
(360)と前記主要部分
(310)との間に前記第一の距離(d1)よりも長い第二の距離(d2)を画定し、前記相対位置が、前記薬剤送達装置(300)の外部表面(306)によって閉じ込められた第二の内部容積に対応する、中間構成と、
接続されていない構成であって、前記流れ誘導装置(360)が、前記主要部分(310)に対して接続されていない位置に配置されており、前記相対移動が導かれず、それにより前記主要部分
(310)と前記流れ誘導装置
(360)とが接続されない、接続されていない構成と、によって構成され、
前記薬剤送達装置の構成の変化が、前記主要部分(310)に対する前記長手方向の前記流れ誘導装置
(360)の移動によって決まるように適合され、前記接続された構成から前記接続されていない構成への変化が、前記中間構成を通したものであり、
前記第二の内部容積が前記第一の内部容積より大きく、またそれによって前記薬剤送達装置の前記外部表面(306)によって閉じ込められた前記内部容積が、前記接続された構成から前記中間構成へと前記薬剤送達装置が変化するのに対応して拡大し、
前記薬剤送達装置の前記主要部分(310)が、薬剤貯蔵部(311)と、前記貯蔵部を加圧し、そしてそれによりある量の薬剤を放出するための薬剤放出機構とを備え、前記貯蔵部が複数用量の液体製剤を含み、かつ前記製剤が長期使用中に微生物が前記貯蔵部の中へと導入されるのに伴い微生物の増殖を許容し、
前記主要部分(310)が薬剤出口(312)および出口表面(314)をさらに備え、前記出口表面が前記主要部分
(310)の外部表面の一部を構成し、
前記流れ誘導装置(360)が、チャネル入口(364)およびチャネル出口(366)を備える流れチャネル(362)を備え、前記流れチャネルが、前記薬剤出口(312)と組み合わされた流路(302)を形成するように適合され、
前記流れ誘導装置(360)が、前記主要部分(310)の前記出口表面(314)と接合するための入口表面(368)をさらに備え、
前記薬剤送達装置が、前記チャネル入口(364)での
流体容積である流体連通容積(301)と、前記チャネル出口(366)から流れチャネル(362)を通り前記流体連通容積(301)までの意図しない流路(303)と、をさらに画定し、
前記接続された構成が、前記外部表面(314)の前記入口表面(368)への接合をさらに含み、前記貯蔵部内の圧力が圧力閾値を超えた場合に、前記組み合わされた流路(302)に沿って前記主要部分
(310)から前記流れ誘導装置
(360)へと前記薬剤が流れるように、前記薬剤出口(312)が前記出口表面(314)内に配置され、かつ前記流体連通容積が、前記組み合わされた流路の一部分および前記薬剤送達装置(300)の前記第一の内部容積を提供し、
前記接続されていない構成が、前記出口表面が外部環境に曝されていること、前記薬剤出口が閉止状態に配置されることをさらに含み、前記薬剤出口が前記外部環境から前記貯蔵部の中への微生物の導入を阻害するように配置され、
前記中間構成が、前記意図しない流路(303)とは異なる均圧流路(304)を画定する均圧チャネルをさらに備え、前記均圧流路(304)を画定する前記均圧チャネルが、前記接続された構成から前記中間構成へと構成を変化させ、かつそれにより前記内部容積が拡大すると、前記流体連通容積(301)内の流体圧力を前記チャネル出口(366)の流体圧力と均圧化させるように適合され、それによって前記均圧流路に沿った均圧流体の流れが、前記意図しない流路に沿った意図しない流れより大きく、それによって前記流体連通容積の均圧化が、前記流れチャネル(362)から前記貯蔵部(311)の中への微生物の導入のリスクを低減させる、複数回使用薬剤送達装置。
【請求項2】
前記均圧流路(304)が、前記外部環境と流体連通している均圧入口(305)から前記出口表面(314)に沿って前記流体連通容積(301)までの流路として画定され、かつ前記中間構成
は、前記均圧入口
(305)における流体の圧力が前記チャネル出口
(366)における流体の圧力と平衡化するように適合されることをさらに含む、請求項1に記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)。
【請求項3】
前記主要部分
(310)の前記出口表面(314)が第一のシール部分(1015、1115、1215、1315)をさらに備え、かつ前記流れ誘導装置
(360)の前記入口表面(368)が、二つのシール部分の間の圧縮力の確立に対応して、前記第一のシール部分と圧力シール(1007、1107、1207、1307)を提供するように適合された第二のシール部分(1069、1169、1269、1369)をさらに備え、前記圧力シールが、前記接続された構成で確立される前記組み合わされた流路の一部分を構成する、請求項1
または2に記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)。
【請求項4】
前記接続された構成が、前記圧力シール(1007、1107、1207、1307)が、前記組み合わされたチャネル内の内部流体圧力を維持するように適合されることをさらに含み、
前記中間構成が、前記圧力シール(1007、1107、1207、1307)が破られ、かつ前記外部環境から前記流体連通容積へと画定された前記均圧流路の一部分を構成することをさらに含む、請求項3に記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)。
【請求項5】
前記
圧力シール(1007、1107)が前記第一のシール部分(1015、1115)と前記第二のシール部分(1069、1169)との間に半径方向に延びる境界面を提供し、前記主要部分
(310)および前記流れ誘導装置
(360)を動かして前記長手方向に接触させることにより、前記チャネルシールを確立することができ、接触後の移動に対応して前記圧縮力を連続的に増加することができ、前記圧縮力の勾配が連続的に増大し、かつ前記半径方向が前記長手方向に対して垂直である、請求項3
または4に記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、1000、1100)。
【請求項6】
前記圧力シール(1207、1307)が、前記第一のシール部分(1215、1315)と前記第二のシール部分(1269、1369)との間に長手方向に延びる境界面を提供し、前記チャネルシールを、前記主要部分(310)および前記流れ誘導装置(360)を動かして前記長手方向に接触させることによって確立することができ、前記圧縮力が、接触中の連続的移動に対して一定であり、かつ前記半径方向が前記長手方向に対して垂直である、請求項3
または4に記載の複数回使用薬剤送達装置(500、600、700、800、900、1200、1300)。
【請求項7】
前記主要部分(310)が移動可能な弁部材(1340)をさらに備え、前記移動可能な弁部材が、前記弁部材が前記チャネル出口(312)を閉止する常時閉位置と、前記組み合わされた流路(302)を確立することができる後退した開放位置との間を前記長手方向に移動可能であるように適合され、前記弁部材が前記常時閉位置に向かって付勢されるように適合され、
前記接続された構成が、前記後退した開放位置にある前記弁部材をさらに備え、
前記中間構成が、前記後退した開放位置と前記常時閉位置との間の中間位置にある前記弁部材をさらに備え、
前記流体連通容積(301)が、一定容積内で前記入口表面と前記出口表面との間に閉じ込められており、それによって前記接続された構成と前記中間構成との変化の間に前記流体連通容積(301)が一定となるように適合される、請求項6に記載の複数回使用薬剤送達装置(1300)。
【請求項8】
前記接続された構成が気体充填された状態およ
び流体充填された状態をさらに含み、前記気体充填された状態において、前記流れチャネル(362)が空気で満たされていることを含み、
前記流体充填された状態において、前記流れチャネル(362)
が流体薬剤で部分的に満たされていることを含み、かつ前記流れチャネル(362)内を流れる気体以外の流体に対する第一の流れ抵抗を画定し、
前記外部環境からの前記均圧流路(304)が、前記外部環境から前記流体連通容積(301)へと流れる気体に対する第二の流れ抵抗を画定し、前記第二の流れ抵抗が前記第一の流れ抵抗よりも小さく、それによって前記均圧流路に沿った気体の流れが、前記流体連通容積(301)の圧力降下に対応して
、第二の流路に沿った流体の流れよりも大きくなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)。
【請求項9】
前記主要部分
(310)が第一のコネクタ(1016、1116、1216)を備え、前記流れ誘導装置(360)が第二のコネクタ(1071、1171、1271)を備え、前記第一のコネクタおよび第二のコネクタが各々と係合し、かつ前記接続された構成と前記中間構成との間に導かれた相対移動を提供するように適合された、請求項1~8のいずれか一項に記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)。
【請求項10】
前記主要部分(310)に、前記圧力閾値に寄与する常時閉弁(1030)が提供される、請求項1~9のいずれか一項に記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)。
【請求項11】
前記チャネル出口(1012)に、前記圧力閾値に寄与する常時閉弁(1030C)が提供される、請求項1~10のいずれか一項に記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、1000)。
【請求項12】
前記チャネル出口(312)が前記接続されていない構成の隔壁によって閉止される、請求項1~9のいずれか一項に記載の複数回使用薬剤送達装置(1100)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)の主要部分
(310)から単回使用流れ誘導装置
(360)を取り外す方法であって、
流体充填された状態で前記接続された構成の複数回使用薬剤送達装置を提供することであって、前記流れチャネルが前記貯蔵部からの前記薬剤で部分的に満たされていることと、
前記流れ誘導装置
(360)を前記主要部分(310)に対して動かし、そしてそれにより、前記薬剤送達装置の構成を前記接続された構成から前記中間構成を介して前記接続されていない構成へと変化させることによって前記流れ誘導装置(360)を取り外し、それにより前記内部容積を拡大し、かつ前記意図しない流路(303)に沿った意図しない流れより大きい前記均圧流路(304)に沿った前記均圧流体の流れを提供し、そしてそれにより前記意図しない流路に沿った流れを防止し、かつ前記流れチャネル(362)から前記貯蔵部(311)の中へと微生物を導入する前記リスクを低減することと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期使用のための複数回使用薬剤送達装置に関し、複数回使用薬剤送達装置は複数回使用の主要部分と、薬剤を対象者の皮下組織に誘導するように適合された単回使用の流れ誘導装置とを備え、薬剤送達装置の主要部分は薬剤貯蔵部を備え、薬剤貯蔵部は複数用量の液体製剤を備え、また製剤は長期使用中、貯蔵部の中への微生物の導入に伴い微生物増殖を許容する、すなわち、製剤はより少ない防腐剤しか含まず、そしてその濃度は意図しない導入に伴う微生物増殖を阻害するのに不十分である。本発明はさらに、取り外し中に微生物を貯蔵部の中へと導入するのを防止することを含む、複数回使用薬剤送達装置の主要部分から単回使用流れ誘導装置を取り外す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、主に液体インスリン製剤の送達による糖尿病の治療が参照されるが、これは本発明の例示的な使用に過ぎない。
【0003】
薬剤注射装置の形態の薬剤送達装置は、液剤および生物学的薬剤を自己投与する必要がある患者の生活を大幅に改善してきた。薬剤注射装置は、注射手段を有するアンプルに過ぎない単純な使い捨て装置を含む、多くの形態を取る場合があり、またはこれらは多数の機能を有する非常に高度に高機能の電子的に制御された機器でありうる。一部の装置は単回使用が意図されており、かつ統合型針が付属していてもよく、例えば、いわゆる事前充填シリンジを備える。しかしながら、薬剤送達装置が複数回の注射に使用されることが意図されている場合、典型的には、薬剤の用量の各注射ごとに理想的には交換すべき交換可能な針またはカニューレユニットとともに使用するために設計されることになる。それらの形態に関わらず、それらは、患者が注射可能な薬剤および生物学的薬剤を自己投与するのを支援するに際して大きな助けとなることが実証されている。また、それらは、介護者が自己注射を行うことができない者に注射可能な薬剤を投与するのも大いに支援する。
【0004】
特に、ペンスタイルの注射装置は、インスリンなどの薬剤および生物学的薬剤を投与するための正確で便利な、かつしばしば個別的な方法を提供することが証明されている。ペンスタイルの注射装置は典型的には、装置の一端の最遠位部分から突出する取り付けられた針を有する円筒形状のものであるが、一部の装置(例えば、Novo Nordisk A/S(デンマーク、Bagsverd)のInnovo(登録商標)およびInnoLet(登録商標)など)は他の形状を有し、針はもはや装置の端の最遠位部から突出していない。
【0005】
典型的には、注射装置は、目的の液体医薬(例えば、1.5または3.0mlのインスリンまたは成長ホルモン製剤)を含有する事前充填カートリッジを使用する。カートリッジは典型的には、針によって穿刺可能な隔壁によって閉止された遠位開口部を有する遠位ボトルネック部分と、エラストマーピストンを受け入れる反対側の近位開口部とを有する概して円筒状の透明ガラスシリンダーの形態であり、ピストンは注射装置の投与機構によって動かされるように配置される。注射装置には一般的に、「耐久性」装置および「使い捨て」装置の二つのタイプがある。耐久性装置は、ユーザーが一つのカートリッジを別のカートリッジと交換する、典型的には空のカートリッジの代わりに新しいカートリッジと交換することを許容するように設計される。対照的に、使い捨て装置には、ユーザーによる交換ができない統合型カートリッジが提供され、カートリッジが空になった時、装置全体が廃棄される。
【0006】
上述の通り、複数回の注射に使用することが意図されている薬剤送達装置は典型的に、針貫通可能な隔壁シールを通って薬剤充填されたカートリッジの中へと挿入されるように適合された近位針部分と、皮下に導入されるように適合された遠位針部分とを備える交換可能な針ユニットと組み合わせて使用するように設計され、これは所与の所与量の液体製剤を中空針を通して皮下に注射することを許容する。近位針部分はカニューレのシールを貫通し、かつカニューレの内側から外側への流路を提供するため、カートリッジ内容物の汚染リスクが導入される。
【0007】
薬剤送達装置はまた、上述のカートリッジを有するポンプと、液剤をカートリッジの貯蔵部から対象者の輸液部位へと誘導する輸液セットとを備える輸液システムの形態とすることができる。
【0008】
汚染のリスクは、主に使用後の針ユニットまたは輸液セットの取り外しに関する。カニューレがカートリッジシールを貫通している限り、それは周囲環境から製剤へのアクセスを提供し、したがって注射直後に除去されるべきである。しかしながら、注射後だが、針の除去前に、針自体の内側の少量の製剤が、カニューレが対象者の皮膚から抜き取られた時に、体液または周囲の細菌で汚染されうる。カニューレがカートリッジから取り外される時、カニューレ内の残りの流体の一部はカートリッジの中へと吸い込まれ、それによってカートリッジ内の製剤を汚染する場合がある。
【0009】
したがって、複数用量注射装置で使用するための製剤は、このような汚染に対抗するため、すなわち、微生物の増殖が阻害される状態を確実にする、カートリッジの予想される使用時間内の生物静止性条件を保証するのに十分なレベルの防腐剤を含有しなければならない。この要件は、国際薬局方の現行版の注射製剤の章に含まれている。
【0010】
正式に認識された当局によって異なる国内および国際的な薬局方が発行され、医薬品産業全体に共通の品質基準を提供している。注射を含む非経口薬剤製品の製品品質試験の基準は、薬局方の一部であり、一部の要件を以下に記載する。非経口薬剤製品は、皮膚またはその他の外部境界組織を通して注射され、活性原薬の血管、器官、組織、または病変への直接投与が許容される。注射剤は、即効型剤形または徐放型剤形のいずれで存在してもよい。非経口薬剤製品のための投与経路としては、静脈内、脳室内、動脈内、関節内、筋肉内、髄腔内、嚢内、眼内および皮下が挙げられる。非経口剤形としては、溶液、懸濁液、乳濁液、溶液および懸濁液用滅菌粉末(リポソームを含む)、ならびに薬剤と薬剤溶出ステントなどの装置との両方からなる製品が挙げられる。
【0011】
薬剤送達装置に対する規制要件は、包装システムが、公式要件または確立された要件を超えてその強度、品質、または純度を改変するように、調製薬と物理的または化学的に相互作用しないことである。包装システムは、内容物の汚染または損失を防止するような様式で、閉止またはシールされるべきである。容器の完全性の検証は、微生物汚染の侵入、または製品を保護するために必要と考えられる化学的もしくは物理的パラメータのいかなる利得もしくは損失がないことを実証する必要がある。
【0012】
上述の薬剤送達装置は、投与を容易にするための追加的な機能を有するので、単なる包装システムではない。このような薬剤送達装置は、二重機能容器閉鎖システムと呼ばれる場合がある。
【0013】
薬局方によると、二重機能容器閉鎖システムは、容器の機能に対する一つ以上の意図された機能の追加を特徴とし、完全性評価について特別な考慮が必要である。しばしば、二重容器閉鎖システムの一つの区画である容器区画は、使用または起動前に薬剤または溶液を収容するように設計される。別の区画である送達区画は、機能および設計において異なり、システム製品封じ込め区画から患者の直接注射用流体経路まで製品を直接送達するか、または別のアクセス装置の滅菌経路と連通する。例えば、予め充填されたシリンジは、溶液(容器区画)と、容器区画から物理的に分離され、かつ患者に薬剤を直接投与するために使用される装置構成要素(送達区画)とを収容する。
【0014】
したがって、二重容器閉鎖システムは典型的に、微生物バリア特性を必要とする少なくとも二つの区画を有し、滅菌および/または無菌充填後の包装完全性が両方の区画に対して実証されるべきである。多くの場合、二重システムの異なる部分は、異なる完全性試験方法を必要とする。完全性試験方法の選択は、特定の区画の意図された目的または性能要件に基づいて主に決定される。例えば、二重容器閉鎖システムの溶液または薬剤収容容器区画は、製造工程中およびその後に製品の漏れまたは微生物侵入が起きないようにする様式で封入またはシールされなければならない。一方、二重容器閉鎖システムの送達部分(送達区画を含む部分)はしばしば、滅菌または無菌充填プロセスの間は空であり、かつ製品容器部分が使用前に起動されるまで乾燥したままであることが意図されている流体経路を含む。滅菌および保管中に通気するように設計されたカバー、シース、またはおそらくキャップは、物品の寿命全体にわたって浮遊微生物の侵入から送達区画を保護する。しかしながら、装置のこの部分は、多くの場合液体の侵入を防止するようには設計されていない。液体侵入は、二次的な包装によって、またはシステム自体の物理的設計によって起きないようにすることができる。
【0015】
複数用量容器のための閉鎖は、閉鎖の除去または破壊なしに、内容物の引き出しを許容する。閉鎖は、針による貫通を許容し、また針の引き抜に伴い、すぐに閉止して、容器を汚染から保護する。複数回投与容器の完全性の検証には、このようなパッケージが、複数回の導入および使用の予想される条件下で微生物汚染または製品内容物の損失を防止することの確認が含まれなければならない。
【0016】
例えば、滅菌針が取り付けられていない予め充填されたシリンジの試験については、試験には培地への内容物の放出および移動が含まれる。インキュベーション期間中に間隔をおいて、およびその終了時に、微生物増殖の顕微鏡的証拠がないか培地を調べる。微生物増殖の証拠が見られない場合、調べられた製品は滅菌に対する試験に適合する。
【0017】
複数用量容器では、長期使用中(すなわち、継続的送達のような長期間使用にわたる小用量投与、または長期間使用にわたるより大きな用量の投与)の微生物増殖を防止するために、液剤は防腐剤を有して保存される。防腐剤の使用は、一部の場合には、薬剤の有効性を低減する場合があり、また一部の場合には、薬剤と不適合である場合があり、これはこのようなタイプの製剤は複数回投与式注射装置で使用できないことを意味する。例えば、必要な防腐剤は、原薬を析出するか、または原薬と化学的に反応することによって、カートリッジ内の原薬を破壊することになる。
【0018】
【文献】は、複数用量の医薬品のための医療用カートリッジを開示し、これは医薬品中の防腐剤の使用を必要とせずに、医薬品の無駄を最小化することを許容する。医療用カートリッジには、出口端付近の位置にある医療用カートリッジの内部部分5の中に配置された一方向弁が提供される。一方向弁は、医療用カートリッジの内部から出口端へ向かう流体の流れを許容し、また医療用カートリッジの出口端から内部へ向かう流体の流れを防止するように配置される。注射針は、カートリッジの出口端においてニードルアダプタを介して取り付けることができ、またカートリッジの出口端において隔壁を通って延びる。一方向弁がカートリッジの内部部分内に配置されることは、それによってカートリッジ内部のデッドボリュームを減少させる様式で一方向弁を設計することができるので、有利である。一方向弁をカートリッジの内部の一部に配置することによって、カートリッジの出口端と一方向弁の間の追加的または外部境界面が必要なくなり、それによってそのような境界面での漏れのリスクが排除され、または少なくともかなり低減される。異なる実施形態の説明は、医療用カートリッジの受動的隔壁を一方向弁で置き換えうることを示す。このような実施形態によると、一方向弁は、出口端に直接隣接し、かつカートリッジの出口端に接続された注射針と直接接触して、カートリッジの内側に配置される。この設計は、カートリッジ内側のデッドボリュームをなおさらに低減させ、それにより医薬品の無駄をなおさらに低減しうる。
【0019】
このようなシステムでは、長期使用期間中に複数回薬剤送達装置に針ユニットを接続し、そして取り外す、取り扱い工程を含む、使用中に、微生物の導入がないことが重要である。
【参考技術文献】
【0020】
【文献】国際特許公開公報第2015/177082号
【文献】米国特許第6,248,093号
【文献】米国特許第3,354,881号
【文献】国際特許公開公報第2014/064100号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の開示では、上記の目的のうちの一つ以上に対処する、または以下の開示ならびに例示的な実施形態の説明から明らかである目的に対処する実施形態および態様が記載される。
【0022】
したがって、本発明の一般的態様では、長期使用のための複数回使用薬剤送達装置が提供され、複数回使用薬剤送達装置は、長手方向を画定する中心軸(A)を含む複数回使用主要部分と、対象者の皮下組織へと薬剤を誘導するように適合された単回使用流れ誘導装置とを備え、薬剤送達装置は、流れ誘導装置が主要部分に対して移動可能に配置されることを可能にするように適合され、相対移動は主要部分と流れ誘導装置との協働構造によってガイドすることができ、薬剤送達装置は、
接続された構成であって、流れ誘導装置が、主要部分に対して接続された位置に配置され、相対移動がガイドされ、相対位置が、長手方向において流れ誘導装置と主要部分との間に第一の距離(d1)を画定し、相対位置が、薬剤送達装置の外部表面によって閉じ込められた第一の内部容積に対応する、接続された構成と、
中間構成であって、流れ誘導装置が、主要部分に対して中間位置に移動可能において配置され、相対移動がガイドされ、相対位置が、長手方向において流れ誘導装置と主要部分との間に、第一の距離(d1)よりも長い第二の距離(d2)を画定し、相対位置が、薬剤送達装置の外部表面によって閉じ込められた第二の内部容積に対応する、中間構成と、
接続されていない構成であって、流れ誘導装置が、主要部分に対して接続されていない位置に配置され、相対移動がガイドされず、したがって主要部分および流れ誘導装置が接続されていない、接続されていない構成と、で構成可能であり、
薬剤送達装置の構成の変化が、流れ誘導装置の主要部分に対する方向での長手方向の移動によって提供されるように適合され、接続された構成から接続されていない構成への変化が、中間構成を通したものであり、
第二の内部容積が第一の内部容積より大きく、それによって薬剤送達装置の外部表面によって閉じ込められた内部容積は、薬剤送達装置が接続された構成から中間構成へと変化するのに応答して拡大し、
薬剤送達装置の主要部分が、薬剤貯蔵部と、貯蔵部を加圧し、かつそれによりある量の薬剤を放出するための薬剤放出機構とを備え、貯蔵部が複数用量の液体製剤を含み、かつ製剤が、長期使用中に貯蔵部の中への微生物の導入に伴い微生物の増殖を許容し、
主要部分が薬剤出口および出口表面をさらに備え、出口表面が主要部分の外部表面の一部分を提供し、
流れ誘導装置が、チャネル入口およびチャネル出口を備える流れチャネルを備え、流れチャネルが、薬剤出口を有する組み合わされた流路を形成するように適合され、
流れ誘導装置が、主要部分の出口表面と接合するための入口表面をさらに備え、
薬剤送達装置が、チャネル入口での流体または気体容積である流体連通容積と、チャネル出口から流れチャネルを通り流体連通容積までの意図しない流路と、をさらに画定し、
接続された構成が、外部表面が入口表面に接合することをさらに含み、貯蔵部の圧力が圧力閾値を超えるのに応答して、組み合わされた流路に沿って主要部分から流れ誘導装置へと薬剤が流れるのを許容するように、薬剤出口が出口表面に配置され、かつ流体連通容積が、組み合わされた流路の一部分および薬剤送達装置の第一の内部容積を提供することを含み、
接続されていない構成が、出口表面が外部環境に曝され、薬剤出口が閉止状態で配置されることをさらに含み、また薬剤出口が外部環境から貯蔵部の中への微生物の導入を阻害するように配置され、
中間構成は、意図しない流路とは異なる均圧流路を画定する均圧チャネルをさらに備え、均圧流路を画定する均圧チャネルは、接続された構成から中間構成へと構成が変化し、それにより内部容積が拡大するのに伴い、流体連通容積内の流体圧力をチャネル出口における流体圧力と均圧化するように適合され、それによって均圧流路に沿った均圧流体の流れは、意図しない流路に沿った意図しない流れより大きくなり、それによって流体連通容積の均圧には、流れチャネルから貯蔵部の中への微生物の導入のリスクの低減が提供される。
【0023】
さらなる態様では、均圧流路が、外部環境と流体連通する均圧入口から、出口表面に沿って、流体連通容積までの流路として画定され、中間構成が、均圧入口がチャネル出口と平衡化するように適合されることをさらに含む、複数回使用薬剤送達装置が提供される。
【0024】
さらなる態様では、主要部分の出口表面が第一のシール部分をさらに備え、流れ誘導装置の入口表面が、二つのシール部分間の圧縮力の確立に応答して、第一のシール部分とともに圧力シールを提供するように適合された第二のシール部分をさらに備え、圧力シールが、接続された構成で確立される組み合わされた流路の一部分を提供する、複数回使用薬剤送達装置が提供される。
【0025】
さらなる態様では、接続された構成が、組み合わされたチャネル内の内部流体圧力を維持するように適合された圧力シールをさらに備え、中間構成が、圧力シールが破られ、かつ外部環境から流体連通容積へと画定された均圧流路の一部分を提供することをさらに含む、複数回使用薬剤送達装置が提供される。
【0026】
さらなる態様では、チャネルシールが第一のシール部分と第二のシール部分との間に半径方向に延びる境界面を提供し、チャネルシールは、主要部分および流れ誘導装置を動かして長手方向に接触させることにより確立することができ、圧縮力を接触後の移動に応答して連続的に増加することができ、かつ圧縮力の勾配が連続的に増加し、また半径方向が長手方向に対して垂直である、複数回使用薬剤送達装置が提供される。
【0027】
さらなる態様では、チャネルシールが第一のシール部分と第二のシール部分との間に長手方向に延びる境界面を提供し、チャネルシールは、主要部分および流れ誘導装置を動かして長手方向に接触させることによって確立することができ、圧縮力は、接触中の連続的移動に応答して一定であり、また半径方向が長手方向に対して垂直である、複数回使用薬剤送達装置が提供される。
【0028】
さらなる態様では、主要部分が移動可能な弁部材をさらに備え、移動可能な弁部材が、弁部材がチャネル出口を閉止する常時閉位置と、組み合わされた流路を確立することができる後退した開放位置との間を長手方向に移動可能であるように適合され、弁部材が常時閉構成に向かって付勢されるように適合され、接続された構成が後退した開放位置にある弁部材をさらに含み、
中間構成が、後退した開放位置と常時閉位置との間の中間位置にある弁部材をさらに備え、流体連通容積が、入口表面と出口表面との間で一定容積内に閉じ込められ、かつそれによって流体連通容積が接続された構成と中間構成との間の変化の間に一定であるように適合される、複数回使用薬剤送達装置が提供される。
【0029】
さらなる態様では、接続された構成が気体充填された状態および流体充填された状態をさらに含み、気体充填された状態が流れチャネルが空気で満たされていることを含み、流体充填された状態が流れチャネルが流体薬剤で部分的に満たされていることを含み、流れチャネル内を流れる気体以外の流体に対する第一の流れ抵抗を画定し、外部環境からの均圧流路が外部環境から流体連通容積へと流れる気体の第二の流れ抵抗を画定し、第二の流れ抵抗が第一の流れ抵抗よりも小さく、それによって、流体連通容積内の圧力降下に応答して、均圧流路に沿った気体の流れが第二の流路に沿った流体の流れよりも大きくなる、複数回使用薬剤送達装置が提供される。
【0030】
さらなる態様では、主要部分が第一のコネクタを備え、流れ誘導装置が第二のコネクタを備え、第一のコネクタおよび第二のコネクタが、各々と係合するように適合され、かつ接続された構成と中間構成との間のガイドされた相対移動を提供する、複数回使用薬剤送達装置が提供される。
【0031】
さらなる態様では、主要部分には圧力閾値に寄与する常時閉弁が提供される、複数回使用薬剤送達装置が提供される。
【0032】
さらなる態様では、チャネル出口には圧力閾値に寄与する常時閉弁(1030C)が提供される、複数回使用薬剤送達装置が提供される。
【0033】
さらなる態様では、接続されていない構成において、チャネル出口が隔壁によって閉止された、複数回使用薬剤送達装置が提供される。
【0034】
さらなる態様では、記載された態様の複数回使用薬剤送達装置の主要部分から単回使用流れ誘導装置を取り外す方法が提供されており、方法は、
流体充填された状態で接続された構成にある複数回使用薬剤送達装置を提供することであって、流れチャネルが貯蔵部からの薬剤で部分的に満たされている、ことと、
流れ誘導装置を主要部分に対して動かし、それによって薬剤送達装置の構成を接続された構成から中間構成を介して接続されていない構成へと変化させることによって流れ誘導装置を取り外すことであって、それによって内部容積を拡大し、また意図しない流路に沿った意図しない流れより大きい均圧流路に沿った均圧流体の流れを提供し、かつそれによって意図しない流路に沿った流れを防止し、そして流れチャネルから貯蔵部の中へと微生物を導入するリスクを低減する、こととを含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
以下において、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0036】
【
図1A-1B】
図1A、
図1Bは、注射装置の形態の薬剤送達装置の例を示す。注射装置は、保護キャップあり、および保護キャップなしで示されている。
【
図1C】
図1Cは、
図1Aおよび
図1Bに示した薬剤送達装置の中へと挿入することができるカートリッジの形態の加圧可能な薬剤貯蔵部を示す。
【
図1D】
図1Dは、輸液ポンプの形態の薬剤送達装置の例を示す。薬剤送達装置は、薬剤送達装置の中へと挿入されるポンプカートリッジと共に示されている。
【
図1E】
図1Eは、本開示の実施形態と組み合わせて使用できる輸液セットを示す。
【
図2A-2C】
図2A~
図2Cは、先行技術の薬剤送達装置の主要部分からの流れ誘導装置の取り外し中の、先行技術の薬剤送達装置を概略的に図示するものであり、流体誘導装置内に収容される流体は主要部分の中へと吸い込まれる可能性がある。
【
図3A-3C】
図3A~
図3Cは、薬剤送達装置の主要部分からの流れ誘導装置の取り外し中の、本開示による薬剤送達装置を概略的に図示するものであり、汚染が防止される。本実施形態は、半径方向に延びる圧力シールを有する薬剤送達装置を概略的に図示する。
【
図4A-4C】
図4A~
図4Cは、薬剤送達装置の主要部分からの流れ誘導装置の取り外し中の、本開示による薬剤送達装置を概略的に図示するものであり、汚染が防止される。本実施形態は、半径方向に延びる圧力シール、および取り外し中に後退する出口を有する薬剤送達装置を概略的に図示する。
【
図5A-5C】
図5A~
図5Cは、薬剤送達装置の主要部分からの流れ誘導装置の取り外し中の、本開示による薬剤送達装置を概略的に図示するものであり、汚染が防止される。本実施形態は、長手方向に延びる圧力シールを有する薬剤送達装置を概略的に図示するものであり、流体連通容積は中間構成まで閉じ込められかつシールされる。
【
図6A-6C】
図6A~
図6Cは、薬剤送達装置の主要部分からの流れ誘導装置の取り外し中の、本開示による薬剤送達装置を概略的に図示するものであり、汚染が防止される。本実施形態は、長手方向に延びる圧力シール、および移動可能な弁部材を有する薬剤送達装置を概略的に図示するものであり、流体連通容積は中間構成まで閉じ込められかつシールされる。
【
図7A-7D】
図7A~
図7Dは、薬剤送達装置の主要部分からの流れ誘導装置の取り外し中の、本開示による薬剤送達装置を概略的に図示するものであり、汚染が防止される。本実施形態は、長手方向に延びる圧力シール、および移動可能な弁部材を有する薬剤送達装置を概略的に図示するものであり、流体連通容積は中間構成まで閉じ込められかつシールされる。流れ誘導装置は取り外し中に回転させられる。
【
図8A-8D】
図8A~
図8Dは、薬剤送達装置の主要部分からの流れ誘導装置の取り外し中の、本開示による薬剤送達装置を概略的に図示するものであり、汚染が防止される。本実施形態は、長手方向に延びる圧力シール、および移動可能な弁部材を有する薬剤送達装置を概略的に図示するものであり、流体連通容積は中間構成まで閉じ込められかつシールされる。流れ誘導装置は取り外し中に回転させられ、そして空気入口は弁部材の移動中の均圧を確実にする。
【
図9A-9D】
図9A~
図9Dは、薬剤送達装置の主要部分からの流れ誘導装置の取り外し中の、本開示による薬剤送達装置を概略的に図示するものであり、汚染が防止される。本実施形態は、長手方向に延びる圧力シール、および移動可能な弁部材を有する薬剤送達装置を概略的に図示するものであり、流体連通容積は中間構成まで閉じ込められかつシールされる。流れ誘導装置は取り外し中に回転させられ、内部チャンバーは弁部材の移動中に加圧される。
【
図10A-10C】
図10A~
図10Cは、本開示による実施形態を図示するものであり、本実施形態は、
図10Bに図示する接続された構成において半径方向に延びる圧力シールを提供する。接続されていない構成は
図10Cに図示されているが、流れ誘導装置を含まない。
【
図11A-11B】
図11A~
図11Bは、本開示による実施形態を図示するものであり、本実施形態は、
図11Aに図示する接続された構成にある半径方向に延びる圧力シールを提供する。接続されていない構成を
図11Bに図示する。
【
図12A-12C】
図12A~
図12Cは、本開示による実施形態を図示するものであり、本実施形態は、
図12Bに図示する接続された構成において長手方向に延びる圧力シールを提供する。接続されていない構成を
図12Cに図示する。
【
図13A-13C】
図13A~
図13Cは、本開示による実施形態を図示するものであり、本実施形態は、
図12Bに図示する接続された構成において長手方向に延びる圧力シールを提供する。接続されていない構成を
図12Cに図示する。図示された薬剤送達装置は、接続された構成(
図13A)と中間構成(
図13B)の間に閉じ込められかつシールされた流体連通容積を提供するように適合される。
図13Cは接続されていない構成を図示する。
【
図14A】
図14Aは、半径方向に延びる圧力シールの確立中の、圧縮の関数としての圧縮力を図示する。
【
図14B】
図14Bは、長手方向に延びる圧力シールの確立中の、圧縮の関数としての圧縮力を図示する。
【0037】
図において、同様の構造物は、主として同様の参照番号で識別される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下で、「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」、などの用語または類似の相対表現が使用されている場合、これらは単に添付図に言及するだけであり、必ずしも実際の使用状況を指さない。示される図は、概略表現であり、そのため、その相対的寸法だけでなく、異なる構造の構成も、例示的な目的でのみ機能することが意図される。部材という用語が所与の構成要素に対して使用される場合、一つ以上の機能を有する単一構成要素または構成要素の一部分を定義するために使用することができる。
【0039】
本発明の実施形態それ自体を検討する前に、複数回注射用の自動注射装置の形態の自動薬剤送達装置の一例と、連続注入装置の形態の薬剤送達装置とを説明する。説明される薬剤送達装置は、本発明の例示的な実施形態の基礎を提供する。
【0040】
自動薬剤送達装置は、先行技術の再設定可能ダイヤルアップ/ダイヤルダウン自動薬剤送達装置であり、これを説明する。ペン式装置100は、キャップ部品107と、薬剤放出機構がその中に配置または統合されるハウジング101を有する近位本体または駆動組立品部分を有する主要部分と、遠位針貫通可能隔壁を有する薬剤充填透明カートリッジ120が、近位部分に取り付けられるカートリッジホルダーによって定位置に配置され保持される遠位カートリッジホルダー部分110とを備え、カートリッジホルダーはカートリッジの一部分を検査することを許容する一対の対向する開口部111を有する。遠位結合手段115は、針組立品がカートリッジ内部と流体連通して取り外し可能に取り付けられることを許容する。カートリッジには、放出機構の一部を形成するピストンロッドによって駆動されるピストンが提供されており、例えば、インスリン、GLP-1または成長ホルモン製剤を含有しうる。最も近位の回転可能な用量設定部材140は、表示ウィンドウ102に示される薬剤の望ましい用量を手動で設定し、その後、ボタン190が作動された時にこれを放出することができるように機能する。薬剤送達装置内に具体化される放出機構のタイプに応じて、放出機構は、図示される実施形態におけるもののように、用量設定の間に変形され、その後、放出ボタンが作動した時にピストンロッドを駆動するように解放されるねじりばねを備えてもよい。より具体的には、用量設定中に、ばねが接続される駆動部材は、設定用量に対応する回転位置に回転され、駆動部材はそれによって付勢状態にある。投与量の数字を有するスケールドラムは、現在設定されている用量のサイズが表示ウィンドウ内に示されるように、例えば、ハウジングとのねじ接続によって駆動部材に連結される。駆動部材が用量設定機構を回転することを防止するために保持機構が提供され、これは例示的な実施形態ではラチェット機構(図示せず)の形態である。ユーザーが設定用量を放出することを希望する場合、ボタンが作動され、それによって駆動部材がピストンロッド駆動機構と係合し、保持機構がその後解放される。
【0041】
図1A、
図1Bおよび
図1Cは、事前充填タイプの薬剤送達装置を示しており、すなわち、予め取り付けられたカートリッジと共に供給され、カートリッジが空になった時は廃棄されるが、代替的な実施形態では、薬剤送達装置は、例えば、カートリッジホルダー内に取り付けられたカートリッジを備えるカートリッジ組立品の形態で、カートリッジ組立品の取り換えを許容するように設計された耐久性のある装置であってもよい。このような組立品には、予め取り付けられたピストンロッドがさらに提供されうる。
【0042】
図1Dは、[特許文献2]でMedtronic Minimedによって開示される連続輸液ポンプの形態の薬剤送達装置150を示す。図は、ポンプハウジング160、ポンプカートリッジ170、および輸液セットのハブ180を示す。
図1Eは、本開示の実施形態で使用することができるハブ180を有する輸液セットを示す。
【0043】
防腐剤は通常、長期または複数回使用に対して製剤中の微生物または細菌の増殖を防止するために必要である。Novo Nordisk A/Sの製品において、防腐剤フェノールおよびm-クレゾールの一方または両方が、複数用量注射剤の予想寿命中に小さな微生物汚染が増殖しないことを確実にするために使用される。しかしながら、フェノールおよびm-クレゾールは、有毒であり(それらが意図されたように作用するためにはこれが必要がである)、したがって副作用として注射部位反応を生じる、または一部の場合にはアレルギー反応を生じる場合がある。これはまた、特に薬剤製品に毎日または毎週の使用が意図されている場合、薬剤は防腐剤安定性であることが必要なため、新しいタンパク質/ペプチド薬剤の選択に追加的制約が適用されることを意味する。このように、一部の場合には、所与の薬剤への防腐剤の添加を低減または省略できることが好ましいことになる。防腐剤とみなされる物質は、原薬(例えば、インスリン物質)の安定剤として作用する目的でより少ない量で追加されうることに留意されたい。
【0044】
薬剤自体に防腐剤を追加することなく、抗菌要件を満たせることを確実にするため、二つの主な問題に対処する必要がある。第一に、汚染された針またはカニューレがカートリッジ内に挿入されて、カートリッジの微生物汚染が導入される可能性がないことを確実にする必要がある。第二に、ユーザーからの体液の逆流を通して微生物汚染のリスクを導入することになる、カニューレを通した逆流の可能性がないことを確実にする必要がある。この概念は、例えば、[特許文献3]および[特許文献4]に開示されているように、皮下針が安全に複数回使用されることを許容するために、防腐剤充填貯蔵部が提供されている公知の配置と混同してはならない。
【0045】
図2A~
図2Cは、複数回使用の主要部分260からの単回使用流れ誘導装置260の取り外し中の、先行技術の薬剤送達装置200を概略的に図示するものであり、流れ誘導装置260に含有される流体は主要部分の中へと吸い込まれる可能性がある。そのため
図2A~
図2Cは、薬剤の投与のために先行技術が使用された場合、微生物の意図しない導入に伴い微生物の増殖を許容することを生じる問題を図示する。
【0046】
図2Aは、接続された構成にある薬剤送達装置を示し、隔壁214を備える主要部分210は、流れ誘導装置の近位穿刺針261によって穿刺されている。ここで、流体密封シールが、隔壁214と近位穿刺針261の間に確立され、近位穿刺針は薬剤を収容する貯蔵部211の中へと延びている。シールが形成される領域は、実線の輪13によって示され、破線矢印202は、組み合わされた流路202を接続された構成において確立できることを図示する。
図2Aはまた、流れ誘導装置と主要部分の間の相対移動の設定解除も図示し、機械的移動は白抜き矢印10によって示されている。
【0047】
図2Bは中間状態を図示し、主要部分および流れ誘導装置は長手方向に分離されている。点線14は、主要部分が流れ誘導装置に対してガイドされることを図示しており、ガイドされた移動を、近位穿刺針261が隔壁214内に形成された穴の中でスライドすることによって、または主要部分と流れ誘導装置との間のコネクターによって得ることができる。
図2Aでの接続された構成から
図2Bでの中間構成へのガイドされた移動中に、薬剤送達装置の内部容積は拡大する。内部容積は外部表面206によって閉じ込められている。ガイドされた移動中に、近位穿刺針は貯蔵部から引き抜かれ、それによって貯蔵部容積が拡大し、結果として貯蔵部内の圧力は減少することになる。圧力降下を周囲圧力で均圧化するために、斜線矢印11で示される空気の流れが、流れ誘導装置260の出口から入口へと誘導され、それによって流れ誘導装置内の流体が意図しない流路203に沿って流れることになり、微生物の意図しない導入を導入しうる。
【0048】
図2Cは、接続されていない構成にある薬剤送達装置を図示し、主要部分と流れ誘導装置の間に接続またはガイダンスはない。流れ誘導装置の入口が隔壁から完全に引き抜かれると、まだわずかな低圧が残っている場合、空気は入口端に流れる。しかしながら、この状況は、流れ誘導装置230が取り外し中に塞がれた場合にのみ生じる。
【0049】
図3~
図9を参照すると、薬剤送達システム300、400、500、600、700、800、900の例示的な実施形態が、汚染物質または微生物を貯蔵部の中へと導入することなく、流れ誘導装置360の取り外しを説明する目的で図示されている。流れ誘導装置は、適用される薬剤送達装置および治療レジメンのタイプに応じて、輸液セットまたは注射針とすることができる。
【0050】
図3A~
図3Cは、長期使用のための複数回使用薬剤送達装置300の実施形態を図示し、薬剤送達装置は半径方向に延びる圧力シールを形成するよう適合される。複数回使用薬剤送達装置は、長手方向を画定する中心軸(A)を含む複数回使用主要部分310と、各薬剤送達イベントごとの間に交換される単回使用流れ誘導装置360とを備える。流れ誘導装置は、対象者の皮下組織に薬剤を誘導するように適合される。
【0051】
薬剤送達装置は、流れ誘導装置が主要部分に対して移動可能に配置されるように適合され、主要部分および流れ誘導装置の協働構造によって、相対移動をガイドすることができる。薬剤送達装置は、接続された構成、中間構成、および接続されていない構成に構成することができる。
【0052】
図3Aに図示されている接続された構成では、流れ誘導装置360は、主要部分310に対して接続された位置に配置されている。相対移動はガイドされ、かつこの接続された構成における相対位置は、流れ誘導装置と主要部分との間の長手方向の第一の距離(d1)を画定する。距離d1は、主要部分310の出口表面314の固定点を起源とする長手方向軸を用いる座標系上に示されている。接続された構成では、距離d1はゼロに設定することができる。d1で示される相対位置は、薬剤送達装置300の外部表面306によって閉じ込められた第一の内部容積に対応する。実線の輪13は、圧力シールを確立することができる領域を図示し、矢印302は組み合わされた流路302を示す。
【0053】
図3Bは、中間構成における薬剤送達装置を図示し、流れ誘導装置360は、主要部分310に対して中間位置に移動可能に配置されている。相対移動はガイドされ、かつ相対位置は、第一の距離(d1)より大きい、流れ誘導装置と主要部分との間の長手方向の第二の距離(d2)を画定する。相対位置は、薬剤送達装置(300)の外部表面306によって閉じ込められた第二の内部容積に対応する。点線の長方形は、流体連通容積の領域を示す。
【0054】
図3Cは、接続されていない構成を図示し、流れ誘導装置360は、主要部分310に対して接続されていない位置に配置されている。相対移動はガイドされておらず、また主要部分および流れ誘導装置は接続されていない。
【0055】
構成間で変化するために、薬剤送達装置は、流れ誘導装置を長手方向に、かつ主要部分310に対して動かすことによって構成が変化するように適合される。接続された構成から接続されていない構成への変化は、中間構成を通して得られる。第二の内部容積は第一の内部容積より大きいので、薬剤送達装置の外部表面306によって閉じ込められた内部容積は、薬剤送達装置の接続された構成から中間構成への変化に応答して拡大する。閉じ込められた容積が周囲から分離されている場合、閉じ込められた容積の拡大は必然的に対応する圧力降下と関連付けられることになる。
【0056】
薬剤送達装置の主要部分310は、加圧可能(例えば、ピストンを動かすことによって加圧可能)な薬剤貯蔵部311と、貯蔵部を加圧し、そしてそれによってある量の薬剤を放出するための薬物放出機構とを備える。貯蔵部は複数用量の液体製剤を含み、また製剤は微生物の貯蔵部の中への導入に伴い長期使用中に微生物の増殖を許容する。したがって、使用中の微生物の導入は回避されるべきである。主要部分310は、薬剤出口312および出口表面314をさらに備え、出口表面は主要部分の外部表面の一部分を提供する。流れ誘導装置360は、チャネル入口364およびチャネル出口366を含む流れチャネル362を備える。流れチャネルは、薬剤出口312と組み合わされた流路302を形成するように適合される。流れ誘導装置360は、主要部分の出口表面314に接合するための入口表面368をさらに備える。
【0057】
薬剤送達装置は、チャネル入口364での流体または気体容積である流体連通容積301をさらに備え、かつこれを画定する。薬剤送達装置はまた、チャネル出口366から流れチャネル362を通って流体連通容積301へと延びる意図しない流路303も画定する。
【0058】
接続された構成(
図3A)は、入口表面368に接合する出口表面314をさらに含み、これによってさらに画定される。薬剤出口312は、出口表面314内に配置され、用量の投与中に貯蔵部内の圧力が圧力閾値を超えるのに応答して、薬剤が組み合わされた流路302に沿って主要部分から流れ誘導装置へと流れることを許容する。流体連通容積は、組み合わされた流路の一部分および薬剤送達装置300の第一の内部容積を提供する。
【0059】
接続されていない構成(
図3C)は、外部環境に接合するかまたは直接曝されている出口表面をさらに含み、かつこの出口表面によってさらに画定され、薬剤出口312は閉止状態で配置され、また薬剤出口は外部環境から貯蔵部の中への微生物の導入を阻害するように配置されている。後で考察するように、一部の実施形態では、逆止弁を出口に提供することによって効果を提供することができる。代替的な実施形態では、出口が、接続された構成においてのみ出口表面内に配置されることを確実にすることによって効果が提供され、すなわち、スライドする弁部材は出口表面の外観を変化させる可能性がある。一つの位置では、弁部材は出口を隠す可能性があり、別の位置では、弁部材は出口表面内に出口を提供する。代替的な実施形態では、接続されていない状態で出口を覆い、接続された状態で出口を露出させるスライドする弁は、出口内または出口と貯蔵部との間の逆止弁と組み合わせることができる。
【0060】
中間構成は、意図しない流路とは異なる均圧流路304を画定する均圧チャネルをさらに備える。均圧流路304は、接続された構成から中間構成へと構成を変化させるのに伴い、流体連通容積301内の流体圧力をチャネル出口366における流体圧力へと均圧化するように適合される。説明したように、構成の変化によって、外部表面306によって閉じ込められた内部容積は、内部容積を拡大させる。均圧チャネルは、拡大に応答して、均圧流路に沿った均圧流体の流れが、意図しない流路に沿った意図しない流れより大きいことを確実にするように適合される。これにより、流体連通容積の均圧には、流れチャネル362から貯蔵部311の中への微生物導入リスクの低減が提供される。理想的には、均圧チャネルは、意図しない流路303に沿った流体の流れを排除するように適合される。この実施形態では、圧力シールが半径方向に形成され、圧力シールに沿った均圧チャネルは、主要部分と流れ誘導装置との相対移動に比例して拡大し、これは流れ抵抗が低い均圧チャネルを提供する。
【0061】
一部の代替的な実施形態では、出口312を出口表面314内に提供することができる。出口312が出口表面314内に提供されている場合、主要部分の内部容積は流れ誘導装置360に接合する出口表面によって部分的に閉じ込められているため、流れ誘導装置のどの部分も主要部分310の内部容積に入ることは許容されないことになる。
【0062】
図4A~
図4Cは、長期使用のための複数回使用薬剤送達装置400の実施形態を図示し、薬剤送達装置はまた半径方向に延びる圧力シールを形成するよう適合される。
図3に図示した実施形態のこの代替的な変化形において、主要部分310は、穿刺可能な隔壁の実施形態の出口表面314を貫通する伸縮可能な穿刺針を備える。
図4Aに図示した接続された構成では、伸縮可能な針は隔壁を穿刺し、流れ誘導装置と組み合わされた流路を確立する。出口312は、
接続された構成の出口表面内に提供される。圧力シールを、実線の輪13Aまたは代替え的に13Bによって示される領域内に確立することができる。
図4Bに図示した中間構成では、主要部分310および流れ誘導装置が相対的にガイドされた移動によって分離され、かつ外部表面306によって閉じ込められた薬剤送達装置の内部容積が拡大すると、伸縮可能な針420は受け入れ部分470から後退する。
図3Cに図示した接続されていない構成では、伸縮可能な穿刺針は近位位置に後退しており、出口は隔壁によって保護され、かつ囲まれている。
【0063】
中間構成は、意図しない流路とは異なる均圧流路304を画定する均圧チャネルをさらに備える。均圧流路304は、接続された構成から中間構成へ構成を変化させると、流体連通容積301内の流体圧力をチャネル出口366における流体圧力へと均圧化するように適合される。説明したように、構成の変化によって、外部表面306によって閉じ込められた内部容積は、内部容積を拡大させる。均圧チャネルは、拡大に応答して、均圧流路に沿った均圧流体の流れが、意図しない流路に沿った意図しない流れより大きいことを確実にするように適合される。これにより、流体連通容積の均圧には、流れチャネル362から貯蔵部311への微生物導入のリスクの低減が提供される。理想的には、均圧チャネルは、
意図しない流路303に沿った流体の流れを排除するように適合される。
【0064】
図5A~
図5Cは、長期使用のための複数回使用薬剤送達装置300の実施形態を図示し、薬剤送達装置は長手方向に延びる圧力シールを形成するように適合される。複数回使用薬剤送達装置は、長手方向を画定する中心軸(A)を含む複数回使用主要部分310と、各薬剤送達イベントごとの間に交換される単回使用流れ誘導装置360とを備える。流れ誘導装置は、対象者の皮下組織に薬剤を誘導するように適合される。
【0065】
薬剤送達装置は、流れ誘導装置が主要部分に対して移動可能に配置されるのを可能にするように適合され、かつ主要部分と流れ誘導装置との協働構造によって、相対移動をガイドすることができる。薬剤送達装置は、接続された構成、中間構成、および接続されていない構成に構成することができる。
【0066】
主要部分310は受け入れ部分520を備え、また流れ誘導装置360は近位部分570を備え、受け入れ部分520は接続された状態において近位部分を受け入れるように適合される。
【0067】
図5Aに図示されている接続された構成では、流れ誘導装置360は、主要部分310に対して接続された位置に配置されている。相対移動はガイドされており、またこの接続された構成における相対位置は、流れ誘導装置と主要部分との間の長手方向の第一の距離(d1、
図5には示されていないが
図3と同様に図示することができる)を画定する。接続された構成では、距離d1はゼロに設定することができる。d1で示される相対位置は、薬剤送達装置300の外部表面306によって閉じ込められた第一の内部容積に対応する。実線の輪13は、圧力シールを確立することができる領域を図示し、また矢印302は組み合わされた流路302を図示する。
【0068】
図5Bは、中間構成にある薬剤送達装置を図示し、流れ誘導装置360は、主要部分310に対して中間位置に移動可能に配置されている。相対移動はガイドされており、かつ相対位置は、第一の距離(d1)より大きい、流れ誘導装置と主要部分との間の長手方向の第二の距離(d2)を画定する。相対位置は、薬剤送達装置(300)の外部表面306によって閉じ込められた第二の内部容積に対応する。点線の長方形は、流体連通容積の領域を示す。
【0069】
図5Cは、接続されていない構成を図示し、流れ誘導装置360は、主要部分310に対して接続されていない位置に配置されている。相対移動はガイドされておらず、また主要部分および流れ誘導装置は接続されていない。
【0070】
構成間で変化させるために、薬剤送達装置は、流れ誘導装置を長手方向に、かつ主要部分310に対して動かすことによって構成を変化させるように適合される。接続された構成から接続されていない構成への変化は、中間構成を通して得られる。第二の内部容積は第一の内部容積より大きいので、薬剤送達装置の外部表面306によって閉じ込められた内部容積は、薬剤送達装置の接続された構成から中間構成への変化に応答して拡大する。閉じ込められた容積が周囲から分離されている場合、閉じ込められた容積の拡大は必然的に対応する圧力降下と関連付けられることになる。
【0071】
薬剤送達装置の主要部分310は、加圧可能(例えば、ピストンを動かすことによって加圧可能)な薬剤貯蔵部311と、貯蔵部を加圧しそしてそれによってある量の薬剤を放出するための薬物放出機構とを備える。貯蔵部は複数用量の液体製剤を含み、製剤は長期使用中に微生物の貯蔵部の中への導入に伴い微生物の増殖を許容する。したがって、使用中の微生物の導入は回避されるべきである。主要部分310は、薬剤出口312および出口表面314をさらに備え、出口表面は主要部分の外部表面の一部分を提供する。流れ誘導装置360は、チャネル入口364およびチャネル出口366を含む流れチャネル362を備える。流れチャネルは、薬剤出口312と組み合わされた流路302を形成するように適合される。流れ誘導装置360は、主要部分の出口表面314に接合するための入口表面368をさらに備える。
【0072】
薬剤送達装置は、チャネル入口364での流体または気体容積であり、また入口364と出口表面314との間に閉じ込められた流体連通容積301をさらに備え、かつこれを画定する。薬剤送達装置はまた、チャネル出口366から流れチャネル362を通って流体連通容積301へと延びる意図しない流路303も画定する。
【0073】
接続された構成(
図5B)は、入口表面368に接合する出口表面314をさらに備え、かつこれによってさらに画定される。薬剤出口312は、用量の投与中に貯蔵部の圧力が圧力閾値を超えるのに応答して、薬剤が組み合わされた流路302に沿って主要部分から流れ誘導装置へと流れることを許容するように、出口表面314内に配置される。流体連通容積は、組み合わされた流路の一部分および薬剤送達装置300の第一の内部容積を提供する。出口312は出口表面314内に提供される。
【0074】
接続されていない構成(
図5C)は、外部環境に接合するかまたは外部環境に直接曝されている出口表面314をさらに備え、かつこれによってさらに画定され、薬剤出口312は閉止状態に配置され、薬剤出口は外部環境から貯蔵部の中への微生物の導入を阻害するように配置される。
【0075】
中間構成は、意図しない流路とは異なる均圧流路304を画定する均圧チャネルをさらに備える。均圧流路304は、接続された構成から中間構成へ構成の変化に伴い、流体連通容積301内の流体圧力をチャネル出口366の流体圧力と均圧化するように適合される。説明したように、構成の変化によって、外部表面306によって閉じ込められた内部容積は、内部容積を拡大させる。均圧チャネルは、拡大に応答して、均圧流路に沿った均圧流体の流れが、意図しない流路に沿った意図しない流れより大きいことを確実にするように適合される。これにより、流体連通容積の均圧化には、流れチャネル362から貯蔵部311の中への微生物導入のリスクの低減が提供される。理想的には、均圧チャネルは、意図しない流路303に沿った流体の流れを排除するように適合される。この実施形態では、圧力シールが長手方向に形成され、圧力シールに沿った均圧チャネルは拡大し、または出口表面314と入口表面368との間の境界面における半径方向の変化を有する、流れ抵抗を変化させる。薬剤送達装置が接続された構成から
図5Bに図示された中間構成へと変化する時、境界面に大きな変化があり、これは流れ抵抗が低い均圧チャネルを提供する。代替的な実施形態では、薬剤出口と連通する流体の容積を均圧化するためにチャネルがさらに提供される。別の方法として、十分な閾値を有する逆止弁が、流れ誘導装置の取り外し時に液体が出口から引き抜かれないことを確実にする。
【0076】
図5に図示した実施形態では、出口312は出口表面314内に提供されている。出口312が出口表面314内に提供されている時、主要部分の内部容積は流れ誘導装置360に接合する出口表面によって部分的に閉じ込められているため、流れ誘導装置のどの部分も主要部分310の内部容積に入ることは許容されないことになる。
【0077】
図6A~
図6Cは、長期使用のための複数回使用薬剤送達装置300の実施形態を図示し、
図5に図示した実施形態のように、薬剤送達装置は長手方向に延びる圧力シールを形成するよう適合される。
図5の実施形態に加えて、
図6の実施形態は、接続された構成で出口312を露出するように適合された移動可能な弁640を備える。主要部分はさらに、移動可能な弁を支持する支持構造620を備え、流れ誘導装置は、移動可能な弁640の位置を操作するための近位部分670を備える。
【0078】
薬剤送達装置は、流れ誘導装置を主要部分に対して移動可能に配置できるように適合され、また主要部分および流れ誘導装置の協働構造によって、相対移動をガイドすることができる。薬剤送達装置は、接続された構成(
図6A)、中間構成(
図6B)および接続されていない構成(
図6C)に構成することができる。一部の実施形態では、チャネル650は、弁の移動による圧力を均圧化できることを確実にする。
【0079】
図7A~
図7Dは、長期使用のための複数回使用薬剤送達装置300の実施形態を図示し、
図5に図示した実施形態のように、薬剤送達装置は長手方向に延びる圧力シールを形成するよう適合される。
図5の実施形態に加えて、
図7の実施形態は、主要部分310に対して流れ誘導装置を回転させることによって、接続された構成において形成された圧力シールを破るように適合された回転可能な流れ誘導部材360を備える。回転された構成を
図7Bに図示する。
【0080】
薬剤送達装置は、流れ誘導装置が主要部分に対して移動可能に配置されるのを可能にするように適合され、主要部分および流れ誘導装置の協働構造によって、相対移動をガイドすることができる。薬剤送達装置は、接続された構成(
図7A)、中間構成(
図7C)および接続されていない構成(
図7D)に構成することができる。一部の実施形態では、チャネル650は、弁の移動による圧力を均圧化できることを確実にする。
【0081】
この実施形態では、圧力シールが長手方向に形成され、圧力シールに沿った均圧チャネルは拡大し、または出口表面314と入口表面368との間の境界面における半径方向の変化を有する、流れ抵抗を変化させる。薬剤送達装置が接続された構成から図7Bに図示した回転された構成に変化する時、境界面において変化がある可能性があり、これは流れ誘導装置が取り外された時に均圧チャネルを提供し、かつそれによって一瞬にして中間構成に入る。
【0082】
図8は、
図7に図示した実施形態に加えて、移動可能な弁、弁支持構造820、および流れ誘導装置360の近位部分870を備えた、本開示の実施形態を図示する。
図8Aは接続された構成を図示し、
図8Bは回転した構成を図示し、
図8Cは中間構成を図示し、そして
図8Dは接続されていない構成を図示する。
【0083】
図9は、
図8に図示した実施形態に加えて圧力チャンバー950を備え、移動可能な弁930の移動に伴い圧力が変化する、本開示の実施形態を図示する。弁930の後退位置では、チャンバー950内の圧力が増大し、弁部材を延びた位置に向けて押しやり、弁部材950の遠位表面は残りの出口表面314と同一平面になる。図
9Aは接続された構成を図示し、図
9Bは回転した構成を図示し、図
9Cは中間構成を図示し、そして図
9Dは接続されていない構成を図示する。
【0084】
図10は、薬剤貯蔵部に接合する近位逆止弁1030Aと、近位逆止弁1030Aを支持し、かつ弁座を提供する近位支持部材1031とを備える、本開示による複数回使用薬剤送達装置1000の実施形態を図示する。近位支持部材1031は、中間逆止弁1030Bを支持し、かつ弁座を提供するようにさらに適合される。薬剤送達装置は、遠位逆止弁1030Cを支持を提供し、かつ弁座を提供する遠位支持部材1032をさらに備える。逆止弁および支持部材は、ディスク様の形状として形成され、かつ流れ連通ユニット内に一緒に積み重ねられる。流れ連通ユニットは、キャップ1033によって貯蔵部に固定することができ、コードトップ1034は流れ誘導装置360への接続を提供する。
図10Bは、接続された構成にある薬剤送達装置および拡大領域Bを図示する。
図10Cは接続されていない構成にある主要部分を図示する。薬剤送達装置が接続された構成から接続されていない構成に変化する時、
図3で図示した実施形態と類似した中間構成に入る。
【0085】
図11は、内部チャネルの入口と出口との間に位置する中間逆止弁1130を備える、本開示による複数回使用薬剤送達装置1100の実施形態を図示する。内部流れチャネルの遠位部分は、隔壁1156を穿刺するように適合された遠位穿刺針1155によって提供される。主要部分は、遠位端上に提供された隔壁1156を有する遠位移動可能部分1157を備える。ペン式の針として図示される流れ誘導装置は、遠位穿刺針1155を受け入れるように適合された受け入れ部分1170を備え、かつ組み合わされた流路302の一部分を提供する。遠位移動可能部分1157は、薬剤送達装置が
図11Aに図示した接続された構成にある時に、流れ誘導装置によって近位位置へと押されるように適合され、穿刺針1155が隔壁1156を穿刺し、かつ受け入れ部分1170内に受け入れられると、組み合わされた流路302が提供される。遠位移動可能部分1157は、薬剤送達装置が
図11Bに図示した接続されていない構成にある時に、遠位位置に押しやるようにさらに適合される。接続されていない構成では、穿刺針1155は隔壁1156によって覆われた位置に後退し、すなわち、針は隔壁を穿刺しない。
図11Aは接続された構成にある薬剤送達装置を図示し、また領域Cはさらなる詳細を図示する。
図11Bは接続されていない構成にある主要部分を図示する。薬剤送達装置が接続から非接続へと変化する時、
図4で図示した実施形態に類似した中間構成に入る。
【0086】
図12は、本開示による複数回使用薬剤送達装置1200の実施形態を図示し、主要部分310は、近位穿刺針、中央支持構造、および半径方向チャネル出口312(各側面上に1つ)を備える中央チャネル部分1255を含む。近位穿刺針は、貯蔵部311と流体連通している。主要部分310は、中央チャネル部分の半径方向表面上をスライドし、そして出口312が閉止している常時閉遠位位置と、出口312が出口表面314に定置された開放近位位置とに定置するように適合された、移動可能な弁部材1240をさらに備える。流れ誘導装置360は、出口312を有する中央チャネル部分1255を受け入れるように適合された受け入れ部分1270を備え、それにより組み合わされた流路302を形成する。中央チャネルに沿って逆止弁1230を提供することができる。
図12Bは、接続された構成にある薬剤送達装置および拡大領域Dを図示する。
図12Cは接続されていない構成にある薬剤送達装置を図示する。薬剤送達装置が接続された構成から接続されていない構成へと変化する時、
図5~
図9で図示した実施形態に類似した中間構成に入る。
【0087】
図13は、本開示による複数回使用薬剤送達装置1300の実施形態を図示し、主要部分310は、中央支持構造内の近位流れチャネル、および半径方向チャネル出口312(各側面上に1つ)を備える中央チャネル部分1355を備える。近位流れチャネルは、貯蔵部311(図示せず)と流体連通している。主要部分310は、中央チャネル部分の半径方向表面上をスライドし、かつ出口312が閉止している常時閉遠位位置と、出口312が出口表面314内に定置された開放近位位置とに定置されるように適合された、移動可能な弁部材1340をさらに備える。流れ誘導装置360は、出口312を有する中央チャネル部分1255を受け入れるように適合された受け入れ部分1370を備え、それにより組み合わされた流路302を形成する。受け入れ部分1370は、出口312を囲んで流体密封圧力シールを形成するように適合された受け入れチャネルをさらに備える。
図13Aは、接続された構成にある薬剤送達装置を図示する。
図13Bは、中間構成にある薬剤送達装置を図示する。
図13Cは、接続されていない構成にある薬剤送達装置を示す。薬剤送達装置が接続されてた構成から接続されていない構成へと変化すると、
図5~9図で図示した実施形態に類似した中間構成に入る。
【0088】
図10~
図13に図示した実施形態では、均圧流路304は、外部環境と流体連通している均圧入口305から、出口表面314に沿って、流体連通容積301までの流路として定義され、また中間構成は、均圧入口がチャネル出口と平衡化するよう適合されることをさらに含む。薬剤送達装置1000に対する中間構成は具体的には図示されていない。別の方法として、均圧流れを内部圧力チャンバー(図示せず)から提供することができる。
【0089】
図10~
図13に図示した実施形態では、主要部分の出口表面314は、第一のシール部分1015、1115、1215、1315をさらに含む。流れ誘導装置の入口表面368は、二つのシール部分の間の圧縮力の確立に応答して、第一のシール部分と圧力シール1007、1107、1207、1307を提供するように適合された第二のシール部分1069、1169、1269、1369をさらに備え、圧力シールは接続された構成において確立される組み合わされた流路の一部分を提供する。
【0090】
図10~
図13に図示した実施形態では、接続された構成は、組み合わせチャネル内の内部流体圧力を維持するように適合された圧力シール1007、1107、1207、1307をさらに含む。中間構成は、圧力シール1007、1107、1207、1307が壊され、そして外部環境から流体連通容積までの画定された均圧流路の一部分を提供することをさらに含む。
【0091】
図10~
図13に図示した実施形態では、接続された構成は、気体充填された状態および流体充填された状態をさらに含み、気体充填された状態は、流れチャネル362が空気で満たされていることを含む。流体充填された状態は、流れチャネル362が流体薬剤で部分的に満たされたことを含み、かつ
流れチャネル362内を流れる
気体以外の流体に対する第一の流れ抵抗を画定する。外部環境から延びる均圧流路304は、外部環境から流体連通容積301へと流れる気体の第二の流れ抵抗を画定する。第二の流れ抵抗は第一の流れ抵抗よりも小さく、それによって、均圧流路に沿って流れる気体は、流体連通容積301内の圧力降下に応答して、第二の流路に沿った流体の流れより大きくなる。
【0092】
図10~
図12に図示した実施形態では、主要部分は第一のコネクタ1016、1116、1216を備え、流れ誘導装置は第二のコネクタ1071、1171、1271を備え、第一および第二のコネクタは各々と係合し、かつ接続された構成と中間構成との間でガイドされた相対移動を提供するように適合される。
【0093】
図10~
図11に図示した実施形態では、主要部分310には、圧力閾値に寄与する常時閉弁1030、1130が提供される。
【0094】
図10~
図11に図示した実施形態では、チャネルシール1007、1107は、第一のシール部分1015、1115と第二のシール部分1069、1169との間に半径方向に延びる境界面を提供する。チャネルシールは、主要部分および流れ誘導装置を移動して長手方向で接触させることによって確立することができ、接触後の移動に応答して圧縮力を連続的かつ滑らかに増加させることができ、圧縮力の勾配が連続的に増大する。半径方向は長手方向に対して垂直であり、すなわち、圧縮力は圧縮の滑らかで連続的な関数であり(これは
図14Aに概略的に図示されている)、圧縮はこの実施形態については相対的動きに比例するので、相対移動の関数としての圧縮力は類似の特性(滑らかで連続的)を有することになる。X
0は、初期接触の位置を図示し、またX
1はさらなる圧縮が実質的に不可能である位置を図示する。X
接続は、接続された構成における圧縮レベルを図示する。関数50は、圧縮と圧縮力または相対移動の間の関係のみを図示する。
【0095】
図10に図示した実施形態では、チャネル出口1012には、圧力閾値に寄与する常時閉弁1030Cが提供されている。
【0096】
図11の図示された実施形態では、チャネル出口312は、接続されていない構成では、隔壁1156によって閉止される。
【0097】
図12~
図13に図示した実施形態では、チャネルシール1207、1307は、第一のシール部分1215、1315と第二のシール部分1269、1369との間に長手方向に延びる境界面を提供する。チャネルシールは、主要部分および流れ誘導装置を動かして、長手方向で接触させることにより確立することができる。圧縮力は、接触中の継続的な移動に応答して実質的に一定である。半径方向は長手方向に対して垂直である。相対移動と圧縮力との間の関係が、
図14Aに概略的に図示されている。X
0は初期接触の位置を図示し、X
1は、シール部分がスライドして接触しなくなる位置を図示する。X
接続は、接続された構成における圧縮レベルを図示する。関数50は、圧縮と相対移動の間の関係のみを示す。
【0098】
図13に図示した実施形態では、主要部分310は移動可能な弁部材1340をさらに備え、移動可能な弁部材は、弁部材がチャネル出口312を閉止する常時閉位置と、組み合わされた流路302を確立することができる後退した開放位置との間で長手方向に移動可能なように適合される。弁部材は、常時閉構成に向かって付勢されるように適合され、接続された構成は、後退した開放位置にある弁部材をさらに備える。中間構成はさらに、後退した開放位置と常時閉位置の間の中間位置にある弁部材を備える。中間位置では、流体連通容積301は、入口表面と出口表面との間の一定容積内に閉じ込められている。それにより、流体連通容積301は、接続された構成と中間構成との変化の間、実質的に一定であるように適合される。
【0099】
さらなる実施形態では、本開示は、本開示による複数回使用薬剤送達装置300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300の主要部分から単回使用流れ誘導装置を取り外す方法に関する。方法は、
流体充填された状態で接続された構成にある複数回使用薬剤送達装置を提供することであって、流れチャネルが貯蔵部からの薬剤で部分的に満たされている、ことと、
流れ誘導装置を主要部分310に対して動かし、それによって薬剤送達装置の構成を接続された構成から中間構成を介して接続されていない構成へと変化させることによって流れ誘導装置360を取り外し、またそれによって内部容積を拡大し、かつ意図しない流路303に沿った意図しない流れより大きい均圧流路304に沿った均圧流体の流れを提供し、そしてそれによって意図しない流路に沿った流れを防止し、かつ流れチャネル362から貯蔵部311の中へと微生物を導入するリスクを低減することと、を含む。
【0100】
実施形態のリスト
実施形態1
長期使用のための複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)であって、複数回使用薬剤送達装置が、長手方向を画定する中心軸(A)を備える複数回使用主要部分(310)と、対象者の皮下組織に薬剤を誘導するように適合された単回使用流れ誘導装置(360)とを備え、薬剤送達装置が、流れ誘導装置が主要部分に対して移動可能に配置されることを可能にするように適合され、相対移動を主要部分および流れ誘導装置の協働構造によってガイドすることができ、薬剤送達装置が、
接続された構成であって、流れ誘導装置(360)が、主要部分(310)に対して接続された位置に配置され、相対移動がガイドされ、かつ相対位置が、長手方向において流れ誘導装置と主要部分との間に第一の距離(d1)を画定し、相対位置が、薬剤送達装置(300)の外部表面(306)によって閉じ込められた第一の内部容積に対応する、接続された構成と、
中間構成であって、流れ誘導装置(360)が、主要部分(310)に対して中間位置に移動可能に配置され、相対移動がガイドされ、かつ相対位置が、長手方向において流れ誘導装置と主要部分との間に第一の距離(d1)よりも長い第二の距離(d2)を画定し、相対位置が、薬剤送達装置(300)の外部表面(306)によって閉じ込められた第二の内部容積に対応する、中間構成と、
接続されていない構成であって、流れ誘導装置(360)が、主要部分(310)に対して接続されていない位置に配置されており、相対移動がガイドされず、かつそれにより主要部分と流れ誘導装置とが接続されていない、接続されていない構成と、に構成可能であり、
薬剤送達装置の構成の変化が、流れ誘導装置の主要部分(310)に対する長手方向の移動によって提供されるように適合され、接続された構成から接続されていない構成への変化が、中間構成を通したものであり、
第二の内部容積が第一の内部容積より大きく、またそれによって薬剤送達装置の外部表面(306)によって閉じ込められた内部容積が、接続された構成から中間構成へと薬剤送達装置が変化するのに応答して拡大し、
薬剤送達装置の主要部分(310)が、薬剤貯蔵部(311)と、貯蔵部を加圧し、そしてそれによりある量の薬剤を放出するための薬剤放出機構とを備え、貯蔵部が複数用量の液体製剤を含み、かつ製剤が長期使用中に微生物が貯蔵部の中へと導入されるのに伴い微生物の増殖を許容し、
主要部分(310)が薬剤出口(312)および出口表面(314)をさらに備え、出口表面が主要部分の外部表面の一部分を提供し、
流れ誘導装置(360)が、チャネル入口(364)およびチャネル出口(366)を備える流れチャネル(362)を備え、流れチャネルが、薬剤出口(312)と組み合わされた流路(302)を形成するように適合され、
流れ誘導装置(360)が、主要部分の出口表面(314)と接合するための入口表面(368)をさらに備え、
薬剤送達装置が、チャネル入口(364)での流体または気体容積である流体連通容積(301)と、チャネル出口(366)から流れチャネル(362)を通り流体連通容積(301)までの意図しない流路(303)と、をさらに画定し、
接続された構成が、外部表面(314)が入口表面(368)に接合することをさらに含み、貯蔵部内の圧力が圧力閾値を超えるのに応答して、組み合わされた流路(302)に沿って主要部分から流れ誘導装置へと薬剤が流れるのを許容するように、薬剤出口(312)が出口表面(314)内に配置され、かつ流体連通容積が、組み合わされた流路(302)の一部分および薬剤送達装置(300)の第一の内部容積を提供し、
接続されていない構成が、出口表面が外部環境に曝されていること、薬剤出口が閉止状態に配置されることをさらに含み、薬剤出口が外部環境から貯蔵部の中への微生物の導入を阻害するように配置され、
中間構成が、意図しない流路(303)とは異なる均圧流路(304)を画定する均圧チャネルをさらに備え、均圧流路(304)を画定する均圧チャネルが、接続された構成から中間構成へと構成が変化し、かつそれにより内部容積が拡大すると、流体連通容積(301)内の流体圧力をチャネル出口(366)における流体圧力と均圧化するように適合され、それによって均圧流路に沿った均圧流体の流れが、意図しない流路に沿った意図しない流れより大きく、それによって流体連通容積の均圧化には、流れチャネル(362)から貯蔵部(311)の中への微生物の導入のリスクの低減が提供される、複数回使用薬剤送達装置。
実施形態2
均圧流路(304)が、外部環境と流体連通している均圧入口(305)から出口表面(314)に沿って流体連通容積(301)までの流路として画定され、かつ中間構成が、均圧入口がチャネル出口と平衡化するように適合されていることをさらに含む、実施形態1に記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)。
実施形態3
主要部分の出口表面(314)が第一のシール部分(1015、1115、1215、1315)をさらに備え、かつ流れ誘導装置の入口表面(368)が、二つのシール部分の間の圧縮力の確立に応答して、第一のシール部分と圧力シール(1007、1107、1207、1307)を提供するように適合された第二のシール部分(1069、1169、1269、1369)をさらに備え、圧力シールが、接続された構成で確立される組み合わされた流路の一部分を提供する、実施形態1~2のいずれか一つに記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)。
実施形態4
実施形態3に記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)であって、
接続された構成が、圧力シール(1007、1107、1207、1307)が、組み合わされたチャネル内の内部流体圧力を維持するように適合されることをさらに含み、
中間構成が、圧力シール(1007、1107、1207、1307)が破られ、かつ外部環境から流体連通容積へと画定された均圧流路の一部分を提供することをさらに含む、複数回使用薬剤送達装置。
実施形態5
チャネルシール(1007、1107)が第一のシール部分(1015、1115)と第二のシール部分(1069、1169)との間に半径方向に延びる境界面を提供し、主要部分および流れ誘導装置を動かして長手方向に接触させることにより、チャネルシールを確立することができ、接触後の移動に応答して圧縮力を連続的に増加することができ、圧縮力の勾配が連続的に増大し、かつ半径方向が長手方向に対して垂直である、実施形態3~4のいずれか一つに記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、1000、1100)。
実施形態6
チャネルシール(1207、1307)が、第一のシール部分(1215、1315)と第二のシール部分(1269、1369)との間に長手方向に延びる境界面を提供し、チャネルシールを、主要部分および流れ誘導装置を動かして長手方向に接触させることによって確立することができ、圧縮力が、接触中の連続的移動に応答して実質的に一定であり、かつ半径方向が長手方向に対して垂直である、実施形態3~4のいずれか一つに記載の複数回使用薬剤送達装置(500、600、700、800、900、1200、1300)。
実施形態7
実施形態6に記載の複数回使用薬剤送達装置(1300)であって、主要部分(310)が移動可能な弁部材(1340)をさらに備え、移動可能な弁部材が、弁部材がチャネル出口(312)を閉止する常時閉位置と、組み合わされた流路(302)を確立することができる後退した開放位置との間を長手方向に移動可能であるように適合され、弁部材が常時閉構成に向かって付勢されるように適合され、
接続された構成が、後退した開放位置にある弁部材をさらに備え、
中間構成が、後退した開放位置と常時閉位置との間の中間位置にある弁部材をさらに備え、
流体連通容積(301)が、一定容積内で入口表面と出口表面との間に閉じ込められており、それによって接続された構成と中間構成との間の変化の間に流体連通容積(301)が実質的に一定であるように適合される、複数回使用薬剤送達装置(1300)。
実施形態8
実施形態1~7のいずれか一つに記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)であって、
接続された構成が気体充填された状態および流体充填された状態をさらに含み、気体充填された状態が、流れチャネル(362)が空気で満たされていることを含み、
流体充填された状態が、流れチャネル(362)が流体薬剤で部分的に満たされていることを含み、かつ流れチャネル(362)内を流れる気体以外の流体に対する第一の流れ抵抗を画定し、
外部環境からの均圧流路(304)が、外部環境から流体連通容積(301)へと流れる気体に対する第二の流れ抵抗を画定し、第二の流れ抵抗が第一の流れ抵抗よりも小さく、それによって均圧流路に沿った気体の流れが、流体連通容積(301)の圧力降下に応答して、第二の流路に沿った流体の流れよりも大きくなる、複数回使用薬剤送達装置。
実施形態9
主要部分が第一のコネクタ(1016、1116、1216)を備え、流れ誘導装置が第二のコネクタ(1071、1171、1271)を備え、第一のコネクタおよび第二のコネクタが各々と係合し、かつ接続された構成と中間構成との間にガイドされた相対移動を提供するように構成された、実施形態1~8のいずれか一つに記載の記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)。
実施形態10
主要部分(310)には、圧力閾値に寄与する常時閉弁(1030)が提供される、実施形態1~9のいずれか一つに記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)。
実施形態11
チャネル出口(1012)には、圧力閾値に寄与する常時閉弁(1030C)が提供される、実施形態1~10のいずれか一つに記載のいずれか一つに記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、1000)。
実施形態12
チャネル出口(312)が接続されていない構成にある隔壁によって閉止されている、実施形態1~9のいずれか一つに記載の複数回使用薬剤送達装置(1200)。
実施形態13
実施形態1~12のいずれか一つに記載の複数回使用薬剤送達装置(300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300)の主要部分から単回使用流れ誘導装置を取り外す方法であって、方法が、
流体充填された状態で接続された構成にある複数回使用薬剤送達装置を提供することであって、流れチャネルが貯蔵部からの薬剤で部分的に満たされている、ことと、
流れ誘導装置を主要部分(310)に対して動かし、かつそれによって薬剤送達装置の構成を接続された構成から中間構成を介して接続されていない構成へと変化させることによって流れ誘導装置(360)を取り外し、それによって内部容積を拡大し、意図しない流路(303)に沿った意図しない流れより大きい均圧流路(304)に沿った均圧流体の流れを提供し、それによって意図しない流路に沿った流れを防止し、そして流れチャネル(362)から貯蔵部(311)の中へと微生物を導入するリスクを低減することと、を含む、方法。