IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ イタリー エス.ピー.エー.の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】フルオロポリマーを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/26 20060101AFI20230908BHJP
   C08F 14/18 20060101ALI20230908BHJP
   C08L 27/12 20060101ALI20230908BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
C08F2/26 Z
C08F14/18
C08L27/12
C08L71/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020513521
(86)(22)【出願日】2018-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2018073659
(87)【国際公開番号】W WO2019048394
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】17190164.8
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513092877
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ イタリー エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アヴァンタネオ, マルコ
(72)【発明者】
【氏名】デ パット, ウーゴ
(72)【発明者】
【氏名】マルキオンニ, ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】タヴァノ, ミルコ
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-196825(JP,A)
【文献】特表2017-534716(JP,A)
【文献】特開2010-159430(JP,A)
【文献】特表平04-505171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00-2/60、6/00-246/00、301/00
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08G 65/00-67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中1種又は複数種のフッ素化モノマーをエマルジョン重合させることを含む、フルオロポリマーを製造するための方法であって、ここで、前記水性エマルジョン重合は、水性媒体中少なくとも1種のラジカル開始剤及び少なくとも1種の多官能性パーフルオロポリエーテル分散剤[分散剤(D)]の存在下で実施され、前記分散剤(D)は、-SO、-PO及び-COOXからなる群から選択される複数のイオン性基[以後、基(X)]を含み、一方でXは、H、アンモニウム基、又は一価金属であり、且つ式:
-O-[R -O]n1[R -O]n2-T’ (I)
[式中、
(i)R のそれぞれは、出現する毎に互いに等しいか又は異なり、C~Cパーフルオロアルキレン基であり;
(ii)R のそれぞれは、出現する毎に互いに等しいか又は異なり、上に詳述されたとおりの、少なくとも1個の基(X)を含むC~Cパーフルオロアルキレン基であり;及び
(iii)n1及びn2は、ゼロとは異なる正の数である。
- T及びT’は、互いに同じか又は異なり、
(j)上に詳述されたとおりの、基(X)を持たないC~C24(ヒドロ)(フルオロ)炭素基;及び
(jj)上に詳述されたとおりの、少なくとも1個の基(X)を含むC~C24(ヒドロ)(フルオロ)炭素基
からなる群から選択される]
に従い;
前記分散剤(D)が、2000超の数平均分子量を保有し;
前記フッ素化モノマーが、
- C~Cパーフルオロオレフィン;
- C~C水素含有フルオロオレフィン;
- C~Cクロロ、及び/又はブロモ、及び/又はヨード含有フルオロオレフィン;
- 式CF=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフルオロアルキルである);
- 式CF=CFOX(式中、Xは、1個又は複数個のエーテル性酸素原子を含むC~C12フルオロオキシアルキル基である)のフルオロオキシアルキルビニルエーテル;
- 式:
(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、独立して、フッ素原子又は1個以上の酸素原子を任意選択で含むC~Cフルオロ(ハロ)フルオロアルキルである)のフルオロジオキソール
からなる群から選択される、方法。
【請求項2】
分散剤(D)の量が、前記水性媒体の全重量に対して、少なくとも0.05重量%、及び/又は多くても3.20重量%のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分散剤(D)が、-SO及び-COOXからなる群から選択される複数のイオン性基を含み、一方でXは、H、アンモニウム基、又は一価金属である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
分散剤(D)中の前記イオン性基の量が、分散剤(D)の重量に対して、少なくとも0.35ミリ当量/gであり、及び/又は多くても2.50ミリ当量/gである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記分散剤(D)の繰り返し単位-R -O-が、
(a1)単位-CFCFO-
(b1)単位-CFYO-
(c1)単位-CFCFYO-
(d1)単位-CFO-
(e1)単位-CF(CFCFO-、
[ここで、
Yは、C~Cパーフルオロ(オキシ)アルキル基であり;zは、1又は2である]
からなる群から選択され、及び/又は
前記分散剤(D)の繰り返し単位-R -O-が、
(a2)単位-CFCF(G)O-
(b2)単位-CF(G)O-
(c2)単位-CF(CFx1CF(G)(CFx2O-(X1及びX2は、ゼロ又は1であるが、X1+X2は、少なくとも1であることを条件とする)
[ここで、
は、-SO、-PO及び-COOXからなる群から選択される少なくとも1個の基(X)を含み、一方でXは、H、アンモニウム基、又は一価金属である、C~Cパーフルオロ(オキシ)アルキレン基である]
からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
分散剤(D)が、式-COOXのカルボン酸基からなる群から選択される複数のイオン性基を含み、一方でXは、H、アンモニウム基、又は一価金属であり、且つ前記分散剤(D)の繰り返し単位-R -O-が、
(a2’)単位-CFCF(COOX)O-
(b2’)単位-CF(COOX)O-
(c2’)単位-CF(CFx1CF(COOX)(CFx2O-(X1及びX2は、ゼロ又は1であるが、X1+X2は、少なくとも1であることを条件とする)
[ここで、Xは、H、アンモニウム基、又は一価金属である]
からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
分散剤(D)が、式:
-O-(CFCFO)a’(CFYO)b’(CFCFYO)c’(CFO)d’(CF(CFCFO)e’(CFCF(COOX)O)f’(CF(COOX)O)g’(CFCF(COOX)CFCFO)h’(CFCFCF(COOX)CFO)i’-T
[式中、
- YはC~Cパーフルオロ(オキシ)アルキル基であり;
- zは1又は2であり;
- a’、b’、c’、d’、e’、f’、g’、h’、i’は、≧0であるが、a’+b’+c’+d’+e’>0及びf’+g’+h’+i’>0であることを条件とし;
- Xは、H、アンモニウム基、又は一価金属であり;
- T及びT’のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、(j)式-CFZ*-COOX、-CFZ*CH-COOX、及び-CFZ*-CH(OCHCH-COOX(式中、Z*は、F又はCFであり;kは、0~10の範囲であり;Xは、H、アンモニウム基、又は一価金属である)のいずれかのイオン性基Tx’’、並びに(jj)-COOX基を持たない非イオン性基C~C(パー)フルオロアルキル基からなる群から選択される]
に従う化合物である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、α-オレフィン、(メタ)アクリルモノマー、ビニルエーテルモノマー、又はスチレンモノノマーから選択される1種又は複数種の水素化モノマー、及び/又はフッ化ビニリデン(VDF)とは異なるフッ素化モノマーと組み合わせて、VDFをエマルジョン重合させることを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、α-オレフィン、(メタ)アクリルモノマー、ビニルエーテルモノマー、又はスチレンモノノマーから選択される1種又は複数種の水素化モノマー、及び/又はテトラフルオロエチレン(TFE)とは異なるフッ素化モノマーと組み合わせて、TFEをエマルジョン重合させることを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、1000未満の分子量を有するフッ素化乳化剤の実質的な非存在下、すなわち、そのようなフッ素化乳化剤が、前記重合に意図的に添加されないで実施される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を含む、フルオロポリマー分散液の製造方法。
【請求項12】
フルオロポリマー粒子及び少なくとも1種の多官能性パーフルオロポリエーテル分散剤[分散剤(D)]を含むフルオロポリマー分散液であって、前記分散剤(D)は、-SO、-PO、及び-COOXからなる群から選択される複数のイオン性基[以後基(X)]を含み、一方でXは、H、アンモニウム基、又は一価金属であり、且つ式:
-O-[R -O]n1[R -O]n2-T’(I)
[式中、
(i)R のそれぞれは、出現する毎に互いに等しいか又は異なり、C~Cパーフルオロアルキレン基であり;
(ii)R のそれぞれは、出現する毎に互いに等しいか又は異なり、上に詳述されたとおりの、少なくとも1個の基(X)を含むC~Cパーフルオロアルキレン基であり;及び
(iii)n1及びn2は、ゼロとは異なる正の数である。
- T及びT’は、互いに等しいか又は異なり、
(j)上に詳述されたとおりの、基(X)を持たないC~C24(ヒドロ)(フルオロ)炭素基;並びに
(jj)上に詳述されたとおりの、少なくとも1個の基(X)を含むC~C24(ヒドロ)(フルオロ)炭素基
からなる群から選択される]
に従い;並びに
前記分散剤(D)は、2000超の数平均分子量を保有する、フルオロポリマー分散液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月8日出願の欧州特許出願第17190164.8号に対する優先権を主張するものであり、この出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、ある特定の多官能性パーフルオロポリエーテル誘導体を使用してフルオロポリマー分散液を製造する方法、及びそれからのフルオロポリマー分散液に関する。
【背景技術】
【0003】
フルオロポリマー、すなわち、フッ素化骨格を有するポリマーは、長い間公知であり、例えば、耐熱性、耐化学薬品性、耐候性、UV安定性などのいくつかの望ましい特性のために様々な用途で使用されてきた。
【0004】
頻繁に用いられるフルオロポリマーの製造方法は、フッ素化界面活性剤の使用を一般に含む1種以上のフッ素化モノマーの水性乳化重合を含む。頻繁に使用されるフッ素化界面活性剤としては、パーフルオロオクタン酸及びその塩、特にパーフルオロオクタン酸アンモニウムが挙げられる。
【0005】
最近になって、8個以上の炭素原子を有するパーフルオロアルカン酸は、環境的な懸念を引き起こしている。例えば、パーフルオロアルカン酸は生物蓄積を示すことが分かっている。したがって、そのような化合物を段階的に廃止するための努力が現在なされており、より有利な毒性プロファイルを有する代替界面活性剤を使用してフルオロポリマー製品を製造するための方法が開発されている。
1個以上のカテナリー酸素原子によって割り込まれたパーフルオロアルキル鎖であって、その末端の1つにイオン性カルボキシレート基を有する前記鎖を含むフルオロ界面活性剤を典型的に含む幾つかのアプローチがこの目標に向けて最近追求されている。
【0006】
8個以上の炭素原子を有するパーフルオロアルカン酸を上回る改善された生物濃縮プロファイルを有するこれらの化合物の例は、特に米国特許出願公開第2007276103号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES CO)2007年11月29日、米国特許出願公開第2007015864号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES CO)2007年1月18日、米国特許出願公開第2007015865号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES CO)2007年1月18日、米国特許出願公開第2007015866号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES CO)2007年1月18日に見出すことができる。
【0007】
他方で、パーフッ素化ポリエーテル分散液の使用に基づくアプローチが、これまでに提案されてきた。特に、米国特許第6878772号明細書(SOLVAY SOLEXIS SPA)2005年4月12日には、恐らくはある特定の他の界面活性剤と組み合わせて、式A-R-B(I)[式中、A及びBは、互いに等しいか又は異なり、-(O)CFX-COOM(ここで、M=NH、アルカリ金属、Hであり;X=F、CFであり;pは、0又は1に等しい整数である)であり;Rは、恐らくはある特定の他の界面活性剤と組み合わせて、(I)の数平均分子量が範囲300~1,800であるような直鎖若しくは分岐パーフルオロアルキル鎖、又は(パー)フルオロポリエーテル鎖である]の二官能性界面活性剤を含む水性媒体中でフルオロモノマーを重合させることを含む、フルオロポリマーの分散液を製造する方法が提供されている。それにもかかわらず、この特許文書に含まれるデータは、特許請求された範囲を超える分子量を有する二官能性パーフルオロポリエーテルジカルボキシレートの非有効性を明らかに示し;特に、4,000の分子量を保有するジカルボキシレートは、重合中のPTFEの分散の安定化に有効でなく、したがって、実質的な汚損及び完全な凝固、それ故に不安定な重合速度をもたらすことが見出された。
【0008】
同様に、米国特許出願公開第2008114122号明細書(E.I.DUPONT DE NEMOURS)2008年5月15日には、
- 少なくとも800g/モルの数平均分子量を有するフルオロポリエーテル酸又はその塩であって、これは、パーフルオロポリエーテル鎖の一端又は両端にカルボン酸、硫酸、スルホンアミド、リン酸から選択される酸基を含んでもよく、且つこれは、好ましくは約800~約3500g/モル、最も好ましくは1000~約2500g/モルの数平均分子量を有する、フルオロポリエーテル酸又はその塩;及び
- 600g/モル未満の分子量を有するフルオロポリエーテル酸又は塩の界面活性剤を含む重合剤であって、前記重合剤は、少なくとも800g/モルの数平均分子量を有する少量のフルオロポリエーテル酸又はその塩、及び多量の前記フルオロポリエーテル酸又は塩の界面活性剤を含む重合剤の存在下で水性媒体中フッ素化モノマーを重合させることを含む方法が教示されている。またこの場合、より高い分子量のパーフルオロポリエーテル誘導体が、より低い分子量の界面活性剤に対してより低い量で補助剤として唯一使用され、これは、本発明の利点を達成するために必須である。
【0009】
国際公開第2016/050776号パンフレット(SOLVAY SPECIALTY POLYMERS ITALY SPA)2016年4月7日には、少なくとも1種のパーフルオロヘキサン酸又は塩、及び少なくとも1種の直鎖二官能性パーフルオロポリエーテル界面活性剤XOOC-CF-O-(CFO)n’(CFCFO)m’-CF-COOX(I)[式中、Xは、互いに等しいか又は異なり、水素原子、一価金属、好ましくはアルカリ金属、又は式-N(R (式中、R’は、出現する毎に等しいか又は異なり、水素原子又はC~C炭化水素基、好ましくはアルキル基であり;n’及びm’は、独立して界面活性剤(PFPE)の数平均分子量が500~2500のものであるような>0の整数である)のアンモニウム基である]を含む界面活性剤混合物の存在下でフッ素化モノマーをエマルジョン重合させる方法が開示されている。
【0010】
米国特許第4384128号明細書(E.I.DUPONT DE NEMOURS)1983年5月17日には、ある特定のパーフルオログリシジルエーテルが開示されており、これは、ヘキサフルオロプロピレンオキシドとの共重合及び可能なさらなる反応、例えば、加水分解によって、イオン性鎖を含むパーフルオロポリエーテルを提供し得る。特に、実施例11には、その重合が記載されており、実施例23では、スルホン酸側鎖を含むパーフルオロポリエーテルを生成させるための後重合処理が提供されている。
【0011】
一般的には、8個以上の炭素原子を有するパーフルオロアルカン酸よりも低い生物濃縮性/生体内持続性を望ましく示す代替のフッ素化界面活性剤を目標とするこれらすべてのアプローチはフルオロ化合物の使用を依然として含む場合があり、これらは高度にフッ素化されている場合がある、及び/又は生細胞膜を透過できる可能性があるほどに十分に低い分子量を有する場合がある、及びそれにも関わらず一定の(生体内)持続性を有する場合がある。
【0012】
そのため、そのような有害な可能性のある化合物を実質的に使用しないが、従来の界面活性剤を用いるフッ素化モノマーの水性乳化重合で一般的に使用されているものと同じ装置を使用して、合理的な生産性と許容できるラテックス安定性が達成される、便利でコスト効率がよい方法で重合を行うことができるような安定剤/分散剤系を使用する解決手段を開発するために、追加的な試みが行われてきた。
【0013】
発明の開示
以下に詳述される、ある特定の多官能性パーフルオロポリエーテル分散剤が、フッ素化界面活性剤を含めて他の界面活性剤の添加なしに使用される場合であっても、フルオロモノマー、特にテトラフルオロエチレン及び/又はフッ化ビニリデンの水性エマルジョン重合に有効であり、かなりの重合速度を可能にし、安定した分散液を与えることが見出された。
【0014】
したがって、一態様では、本発明は、水性媒体中1種又は複数種のフッ素化モノマーをエマルジョン重合させることを含む、フルオロポリマーを製造するための方法であって、ここで、前記水性エマルジョン重合は、水性媒体中少なくとも1種のラジカル開始剤及び少なくとも1種の多官能性パーフルオロポリエーテル分散剤[分散剤(D)]の存在下で行われ、前記分散剤(D)は、-SO、-PO及び-COOXからなる基から選択される複数のイオン性基[基(X)、以後]を含み、一方でXは、H、アンモニウム基又は一価金属であり、且つ式:
-O-[R -O]n1[R -O]n2-T’ (I)
[式中、
(i)R のそれぞれは、出現する毎に互いに等しいか又は異なり、C~Cパーフルオロアルキレン基であり;
(ii)R のそれぞれは、出現する毎に互いに等しいか又は異なり、上に詳述されたとおりの、少なくとも1個の基(X)を含むC~Cパーフルオロアルキレン基であり;及び
(iii)n1及びn2は、ゼロとは異なる正の数である。
- T及びT’は、互いに等しいか又は異なり、
(j)恐らくはH、O、及びClの1種又は複数種を含む、上に詳述されたとおりの、基(X)を持たないC~C24(ヒドロ)(フルオロ)炭素基;及び
(jj)上に詳述されたとおりの、少なくとも1個の基(X)を含むC~C24(ヒドロ)(フルオロ)炭素基
からなる群から選択される]
に従い;並びに
前記分散剤(D)は、2000超の数平均分子量を保有する、方法に関する。
【0015】
本出願人は、驚くべきことに、分散剤(D)は、その高分子量にもかかわらず、パーフルオロポリエーテル鎖中のペンダント基としての、及び恐らくは鎖末端としてのイオン性基の存在のため、重合中のフルオロポリマー分散液の効率的な安定化を確実にするために十分な表面活性効果及び分散能力を有することを見出した。さらに、それに加えて、そのように製造されたフルオロポリマーの中に分散剤(D)残留物が含まれる場合があるものの、その低い揮発性及び高い熱安定性のため、フルオロポリマーを更に処理しても変色や気泡の問題を生じない。
【0016】
フルオロポリマーの製造方法において、1種以上の分散剤(D)が、1種以上のフッ素化モノマー、特にガス状フッ素化モノマーの水性エマルジョン重合に使用される。ガス状フッ素化モノマーとは、重合条件下で気体として存在するモノマーを意味する。特定の実施形態では、フッ素化モノマーの重合は、分散剤(D)の存在下で開始され、すなわち、重合はそれの存在下で開始される。使用される分散剤(D)の量は、固形分の量、モノマーの変換率などの望ましい特性に応じて、述べられる範囲内で変動し得る。一般に、分散剤(D)の量は、水性媒体の全重量に対して、少なくとも0.05重量%、好ましくは少なくとも0.10重量%、有利には多くても3.20重量%、好ましくは多くても3.00重量%である。実用的な範囲は、水性媒体の全重量に対して0.15重量%~2.75重量%である。
【0017】
重合は、一般に通常分散剤(D)の存在下で開始される一方で、重合中に追加の分散剤(D)を添加することは除外されないが、そのようなことは通常は必要ない。
【0018】
上で説明されたとおりの分散剤(D)は、2000超の数平均分子量、それにもかかわらず、多くても200000、好ましくは多くても100000の数平均分子量を保有するオリゴマーである。
【0019】
2000超の数平均分子量の選択は、分散剤(D)が生細胞膜を透過することができないような毒性プロファイルを有することを確保するために特に有利である。
【0020】
他方で、分散剤(D)の数平均分子量の上限境界は、分散剤が分散剤として適切に挙動し、それでもやはり、製造されるべきフルオロポリマー中のその最終重量分率が無視できることを確保するために特異的に重大である。
【0021】
好ましくは、分散剤(D)は、少なくとも3000、好ましくは少なくとも4000、及び/又は有利には多くても25000、好ましくは多くても20000の数平均分子量を保有する。
【0022】
特に良好な結果は、5000~15000の数平均分子量を保有する分散剤で得られている。
【0023】
分散剤(D)の数平均分子量の決定は、いずれかの公知の手段によって行われ得;例えば、19F-NMRが満足に使用され得る。
【0024】
言われたとおり、分散剤(D)は、-SO、-PO、及び-COOXからなる群から選択される複数のイオン性基を含み、一方でXは、H、アンモニウム基、又は一価金属である。好ましくは、分散剤(D)は、-SO及び-COOXからなる群から選択される複数のイオン性基を含み、一方でXは、H、アンモニウム基、又は一価金属である。
【0025】
分散剤(D)中の前記イオン性基の量は、一般に分散剤(D)の重量に対して、少なくとも0.35、好ましくは少なくとも0.40、より好ましくは少なくとも0.50ミリ当量/gである。分散剤(D)の中に含まれる前記イオン性基の最大量のとおりに実質的な制限はない。前記イオン性基は、一般に多くても2.50ミリ当量/g、好ましくは多くても2.20ミリ当量/g、より好ましくは多くても2.00ミリ当量/gの量で存在することが一般に理解される。
【0026】
分散剤(D)の繰り返し単位-R -O-は、一般に
(a1)単位-CFCFO-
(b1)単位-CFYO-
(c1)単位-CFCFYO-
(d1)単位-CFO-
(e1)単位-CF(CFCFO-、
[ここで、
Yは、C~Cパーフルオロ(オキシ)アルキル基であり;zは、1又は2である]
からなる群から選択される。
【0027】
分散剤(D)の繰り返し単位-R -O-は、一般に
(a2)単位-CFCF(G)O-
(b2)単位-CF(G)O-
(c2)単位-CF(CFx1CF(G)(CFx2O-(X1及びX2は、ゼロ、又は1~2の整数であるが、X1+X2は少なくとも1である条件とする)、
[ここで、
は、少なくとも1個の上で詳述されたとおりの基(X)を含むC~Cパーフルオロ(オキシ)アルキレン基である]
からなる群から選択される。
【0028】
第1の実施形態によれば、分散剤(D)は、式-COOXのカルボン酸基からなる群から選択される複数のイオン性基を含み、一方でXは、H、アンモニウム基、又は一価金属である。
【0029】
本発明のこの第1の実施形態の分散剤(D)の繰り返し単位-R -O-は、一般に、
(a2’)単位-CFCF(COOX)O-
(b2’)単位-CF(COOX)O-
(c2’)単位-CF(CFx1CF(COOX)(CFx2O-(X1及びX2は、ゼロ、又は1~2の整数であるが、X1+X2は少なくとも1であることを条件とする)
(ここで、Xは、H、アンモニウム基、又は一価金属である)
からなる群から選択される。
【0030】
したがって、この第1の実施形態による分散剤(D)は、好ましくは式:
-O-(CFCFO)a’(CFYO)b’(CFCFYO)c’(CFO)d’(CF(CFCFO)e’(CFCF(COOX)O)f’(CF(COOX)O)g’(CFCF(COOX)CFCFO)h’(CFCFCF(COOX)CFO)i’-T
[式中、
- Yは、C~Cパーフルオロ(オキシ)アルキル基であり;
- zは、1又は2であり;
- a’、b’、c’、d’、e’、f’、g’、h’、i’は、≧0であるが、a’+b’+c’+d’+e’は、>0及びf’+g’+h’+I’は、>0であることを条件とし;
- Xは、H、アンモニウム基、又は一価金属であり;
- T及びT’のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、(j)式-CFZ*-COOX、-CFZ*CH-COOX、及び-CFZ*-CH(OCHCH-COOX(式中、Z*は、F又はCFであり;kは、0~10の範囲であり;Xは、H、アンモニウム基、又は一価金属である)のいずれかのイオン性基Tx’’、並びに(jj)恐らくはH、及びClの1種又は複数種を含む、-COOX基を持たない非イオン性基C~C(パー)フルオロアルキル基からなる群から選択される]
に従う化合物である。
【0031】
この第1の実施形態による分散剤(D)は、特に米国特許第5059700号明細書(AUSIMONT SPA)1991年10月22日、及び米国特許第5177226号明細書(AUSIMONT SPA)1993年1月5日に記載された方法を使用して製造され得る。
【0032】
第2の実施形態によれば、分散剤(D)は、式-SOのスルホン酸基からなる群から選択される複数のイオン性基を含み、一方でXは、恐らくは式-COOXのカルボン酸基と組み合わせて、H、アンモニウム基、又は一価金属である。
【0033】
本発明のこの第2の実施形態の分散剤(D)の繰り返し単位-R -O-は、一般に、
(a2’’)単位-CFCF(GSO3X)O-
(b2’’)単位-CF(GSO3X)O-
(c2’’)単位-CF(CFx1CF(GSO3X)(CFx2O-(X1及びX2は、ゼロ、又は1~2の整数であるが、X1+X2は、少なくとも1であることを条件とする)
(ここで、GSO3Xは、式:
(j)-O-(CFSO(Xは、H、アンモニウム基、又は一価金属であり;mは、1~10、好ましくは1~6、より好ましくは2~4の整数であり、さらにより好ましくはmは、2に等しい);
(jj)-(OCFCF(RF1))-O-CF(CF(RF2))SO(Xは、上で詳述されたとおりである);(ここで、wは、0~2の整数であり、RF1及びRF2は、互いに等しいか又は異なり、独立してF、Cl、又は、1個以上のエーテル酸素で任意選択で置換されたC~C10フルオロアルキル基であり、yは、0~6の整数であり;好ましくはwは、1であり、RF1は、-CFであり、yは、1であり、RF2は、Fである)の基である)
からなる群から選択される。
【0034】
この第2の実施形態による分散剤(D)は、したがって、好ましくは式:
-O-(CFCFO)a’(CFYO)b’(CFCFYO)c’(CFO)d’(CF(CFCFO)e’(CFCF(GSO3X)O)f’(CF(GSO3X)O)g’(CFCF(GSO3X )CFCFO)h’(CFCFCF(GSO3X)CFO)i’-T
[式中、
- Yは、C~Cパーフルオロ(オキシ)アルキル基であり;
- zは、1又は2であり;
- a’、b’、c’、d’、e’、f’、g’、h’、i’は、≧0であるが、a’+b’+c’+d’+e’は、>0及びf’+g’+h’+I’は、>0であることを条件とし;
- Xは、H、アンモニウム基、又は一価金属であり;
- T及びT’のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、(j)式-CFZ*-COOX、-CFZ*CH-COOX、及び-CFZ*-CH(OCHCH-COOX(ここで、Z*は、F又はCFであり;kは、0~10の範囲であり;Xは、H、アンモニウム基、又は一価金属である)のいずれかのイオン性基Tx’’、及び(jj)恐らくはH、及びClの1種又は複数種を含み、-COOX基を持たない非イオン性基C~C(パー)フルオロアルキル基からなる群から選択される]
に従う化合物である。
【0035】
より好ましくは、この第2の実施形態による分散剤(D)は、式:
-O-(CFCFO)a’(CFYO)b’(CFCFYO)c’(CFO)d’(CF(CFCFO)e’(CFCF(OCFCFSO)O)f’(CF(OCFCFSO)O)g’-T
[式中、
- YはC~Cパーフルオロ(オキシ)アルキル基であり;
- zは1又は2であり;
- a’、b’、c’、d’、e’、f’、g’は≧0であるが、a’+b’+c’+d’+e’は、>0及びf’+g’は、>0であることを条件とし;
- Xは、H、アンモニウム基、又は一価金属であり;
- T及びT’のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、(j)式-CFZ*-COOX、-CFZ*CH-COOX、及び-CFZ*-CH(OCHCH-COOX(ここで、Z*は、F又はCFであり;kは、0~10であり;Xは、H、アンモニウム基、又は一価金属である)のいずれかのイオン性基Tx’’、及び(jj)恐らくはH、及びClの1種又は複数種を含み、-COOX基を持たない非イオン性基C~C(パー)フルオロアルキル基からなる群から選択される]
に従う化合物である。
【0036】
この第2の実施形態による分散剤(D)は、特に米国特許第6403539号明細書(AUSIMONT SPA)2002年6月11日に記載された方法を使用して製造され得る。
【0037】
水性エマルジョン重合は、10℃~150℃、好ましくは20℃~130℃の温度で行われてもよく、圧力は典型的には2~60バール、特に5~45バールである。
【0038】
反応温度は、例えば、分子量分布に影響を与えるために、すなわち、広い分子量分布を得るために、又は二峰性若しくは多峰性の分子量分布を得るために、重合中に変えられてもよい。
【0039】
重合媒体のpHは、pH2~11、好ましくは3~10、最も好ましくは4~10の範囲にあってもよい。
【0040】
言われたとおり、本発明の方法は、少なくとも1種のラジカル開始剤、すなわち、エチレン性不飽和モノマーのフリーラジカル重合の開始に関して公知の開始剤のいずれかの存在下で水性媒体中で行われる。好適なラジカル開始剤としては、特に過酸化物及びアゾ化合物及びレドックス系開始剤が挙げられる。過酸化物開始剤の特定の例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム若しくはバリウム、ジアシルパーオキシド、例えば、ジアセチルパーオキシド、ジスクシニルパーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジブチリルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、ジ-ter-ブチル-パーオキシド、ベンゾイルアセチルパーオキシド、ジグルタル酸パーオキシド及びジラウリルパーオキシド、並びにさらには過酸及びその塩、例えばアンモニウム、ナトリウム若しくはカリウム塩などが挙げられる。過酸の例としては、過酢酸が挙げられる。過酸のエステルも同様に使用され得、その例としてはtert-ブチルパーオキシアセテート及びtert-ブチルパーオキシピバレートが挙げられる。無機開始剤の例としては、例えば、過硫酸、過マンガン酸若しくはマンガン酸のアンモニウム塩、アルカリ塩、若しくはアルカリ土類塩、又はマンガン酸が挙げられる。過硫酸塩開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)は、それ自体で使用され得るか、又は還元剤と組み合わせて使用されてもよい。好適な還元剤としては、例えば、重亜硫酸アンモニウム又はメタ重亜硫酸ナトリウムなどの重亜硫酸塩、例えば、チオ硫酸アンモニウム、カリウム又はナトリウムなどのチオ硫酸塩、ヒドラジン、アゾジカルボキシレ-ト及びアゾジカルボキシルジアミド(ADA)が挙げられる。使用されてもよいさらなる還元剤としては、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム(Rongalite)又は米国特許第5285002号明細書に開示されているものなどのフルオロアルキルスルフィネートが挙げられる。還元剤は、典型的には過硫酸塩開始剤の半減期を減少させる。さらに、例えば、銅、鉄又は銀の塩などの金属塩触媒が添加されてもよい。
【0041】
開始剤の量は、0.01重量%(生成されるフルオロポリマーに基づいて)~1重量%であってもよい。さらに、開始剤の量は、生成されるフルオロポリマーに基づいて、好ましくは0.05~0.5重量%、より好ましくは0.05~0.3重量%である。
【0042】
水性エマルジョン重合は、他の材料、例えば、特にパラフィンワックス、緩衝剤、及び、望まれるならば、錯体形成剤又は連鎖移動剤の存在下で行われ得る。
【0043】
使用され得る連鎖移動剤の例としては、ジメチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、1~5個の炭素原子を有するアルカン、例えば、エタン、プロパン及びn-ペンタン、ハロゲン化炭化水素、例えば、CCl、CHCl及びCHCl、並びにヒドロフルオロカーボン化合物、例えば、CHF-CF(R134a)が挙げられる。さらに、酢酸エチル、マロン酸エステルのようなエステルが、本発明の方法における連鎖移動剤として有効であり得る。
【0044】
さらに、本発明の方法の水性エマルジョン重合は、典型的にはナノサイズの液滴(50nm未満、好ましくは30nm未満の平均サイズ)の形成を可能にし、有利には分散剤(D)の存在により水性分散液中で安定化される、イオン性基がない特定のフッ素化流体の存在下で行われ得る。
【0045】
本発明の方法が、上に詳述されたとおりに、フッ素化流体の存在下で行われる場合、最初に分散剤(D)と前記流体とを水性媒体中で均一に混合し、次いでこのようにして得られた分散剤(D)と前記流体との水性混合物を重合媒体に供給することが好ましいことがあり得る。この技術は、このプレミックスが、分散剤(D)を含む水相中での前記流体のエマルジョンの製造を有利に可能し得るので、特に有利であり、ここで、このエマルジョンは、好ましくは50nm未満、より好ましくは40nm未満、さらにより好ましくは30nm未満の平均サイズを有する前記流体の分散液滴を含む。
【0046】
この実施形態に従って使用され得る流体は、好ましくは、繰り返し単位(R1)を含む(パー)フルオロポリエーテルであり、前記繰り返し単位は、主鎖中に少なくとも1つのエーテル結合と少なくとも1個のフッ素原子とを含む(フルオロポリオキシアルケン鎖)。好ましくは、(パー)フルオロポリエーテルの繰り返し単位R1は、
(I)-CFX-O-(ここで、Xは、-F又は-CFである);及び
(II)-CF-CFX-O-(ここで、Xは、-F又は-CFである);及び
(III)-CF-CF-CF-O-;及び
(IV)-CF-CF-CF-CF-O-;及び
(V)-(CF-CFZ-O-[ここで、jは、0及び1から選択される整数であり、Zは、上のクラス(I)~(IV)の中で選択される1~10の繰り返し単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖である];並びにそれらの混合物
からなる群から選択される。
【0047】
(パー)フルオロポリエーテルが、異なるタイプの繰り返し単位R1を含む場合、有利には前記繰り返し単位は、フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿ってランダムに分布している。
【0048】
好ましくは(パー)フルオロポリエーテルは、以下の式(I-p):
-(CFX)-O-R-(CFX)p’-T (I-p)
[式中、
- Xのそれぞれは独立して、F又はCFであり;
- p及びp’は、互いに等しいか又は異なり、0~3の整数であり;
- Rは、繰り返し単位R°を含むフルオロポリオキシアルキレン鎖であり、前記繰り返し単位は、以下からなる群の中で選択され:
(i)-CFXO-(ここで、Xは、F又はCFである)、
(ii)-CFCFXO-(ここで、Xは、F又はCFである)、
(iii)-CFCFCFO-、
(iv)-CFCFCFCFO-、
(v)-(CF-CFZ-O-[ここで、jは、0及び1から選択される整数であり、Zは、一般式-OR’T(式中、R’は、0~10の数の繰り返し単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖である)の基であり、前記繰り返し単位は、以下:-CFXO-、-CFCFXO-、-CFCFCFO-、-CFCFCFCFO-(Xのそれぞれのそれぞれは、独立してF又はCFである)の中から選択され;Tは、C~Cパーフルオロアルキル基である]、及びそれらの混合物の中から選択され;
- T及びTは、互いに同じか又は異なり、H、ハロゲン原子、任意選択で1個以上のH、又はフッ素とは異なるハロゲン原子を含む、C~Cフルオロアルキル基である]
に従う化合物である。
【0049】
「フッ素化モノマー」という表現は、本明細書によって、少なくとも1個のフッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーを意味することが意図される。
【0050】
フッ素化モノマーは、1個以上の他のハロゲン原子(Cl、Br、I)をさらに含んでもよい。
【0051】
好適なエチレン性不飽和フッ素化モノマーの非限定的な例は、
- C~Cパーフルオロオレフィン、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロイソブチレン;
- C~C水素含有フルオロオレフィン、例えば、トリフルオロエチレン(TrFE)、フッ化ビニリデン(VDF)、フッ化ビニル(VF)、ペンタフルオロプロピレン、及びヘキサフルオロイソブチレン;
- C~Cクロロ、及び/又はブロモ、及び/又はヨード含有フルオロオレフィン、例えば、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)及びブロモトリフルオロエチレン;
- 式CF=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフルオロアルキル、例えば-CF、-C、-Cである)のフルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CF=CFOX(式中、Xは、1個又は複数個のエーテル性酸素原子を含むC~C12フルオロオキシアルキル基である)のフルオロオキシアルキルビニルエーテル、例えば、特に式CF=CFOCFORf2(Rf2は、C~Cフルオロ(オキシ)アルキル基、例えば、-CFCF、-CFCF-O-CF、及び-CFである)のフルオロメトキシアルキルビニルエーテルなど、
- 式:
(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、独立して、フッ素原子、1個以上の酸素原子を任意選択で含むC~Cフルオロ(ハロ)フルオロアルキル、例えば、-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFである)のフルオロジオキソール
である。
【0052】
本発明の方法における使用に好ましいフッ素化モノマーとしては、単独で若しくは組み合わせて、又は他のモノマーと組み合わせて、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化ビニル(VF)、フッ化ビニリデン(VDF)、最も好ましくはTFE又はVDFが挙げられる。
【0053】
本発明の方法は、「水素化モノマー」とも称される、フッ素を含まない1種以上のエチレン性不飽和モノマーをさらに必要としてもよい。前記水素化コモノマーの選択は、特に制限されず;α-オレフィン、(メタ)アクリルモノマー、ビニルエーテルモノマー、スチレンモノノマーが使用されてもよい。
【0054】
本発明の方法は、完全にフッ素化された骨格を有するパーフルオロポリマー、並びに部分的にフッ素化されているフルオロポリマーを含めて様々なフルオロポリマーを生成させるために使用されてもよい。また、本発明の方法は、溶融加工可能なフルオロポリマーだけでなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン及びいわゆる変性ポリテトラフルオロエチレンなどの溶融加工可能ではないものももたらすことがあり得る。本発明の方法は、フルオロエラストマーだけでなくフルオロサーモプラストも製造するために硬化され得るフルオロポリマーをさらにもたらし得る。フルオロサーモプラストは一般に、典型的には60℃~320℃、又は100℃~320℃の範囲で、明確な十分認識できる融点を有するフルオロポリマーである。それらは、したがって実質的な結晶相を有する。フルオロエラストマーを製造するために使用されるフルオロポリマーは典型的には、非晶質であり、及び/又はこれらのフルオロポリマーについてまったく若しくはほとんど融点が識別できないような無視できる量の結晶性を有する。
【0055】
本出願人は、1種又は複数種の水素化モノマー及び/若しくはフッ化ビニリデン(VDF)とは異なるフッ素化モノマーと任意選択で組み合わせて、VDFを重合させることによって熱可塑性フッ化ビニリデンポリマーを製造するために、並びに/又は1種若しくは複数種の水素化モノマー及び/若しくはテトラフルオロエチレン(TFE)とは異なるフッ素化モノマーと任意選択で組み合わせて、TFEを重合させることによって熱可塑性テトラフルオロエチレンポリマーを製造するために、分散剤(D)が特に効果的であることを見出した。
【0056】
一般的に言うと、本発明の方法は、1000未満の分子量を有するフッ素化乳化剤の実質的な非存在下で行われる。
【0057】
フッ素化乳化剤に関連して使用される場合の「実質的な非存在」という表現は、そのような界面活性剤が重合に意図的に添加されないことを意味する。1000未満の分子量を有するフッ素化界面活性剤として恐らくは資格がある不純物は、許容されることがあり得る一方で、それらの量は、一般に標準的な分析技術の検出限界未満(水性媒体に対して、<1ppm)である。
【0058】
より具体的には、本発明の方法は、式:
f§(X(M
(式中、Rf§は、C~C30(パー)フルオロアルキル鎖、(パー)フルオロ(ポリ)オキシアルキレン鎖であり、Xは、-COO、-PO 、又は-SO であり、Mは、H、NH 、アルカリ金属イオンから選択され、jは1であり得るか、又は2が使用され得る)
のフッ素化乳化剤[界面活性剤(FS)]を実質的に含まない水性媒体中で重合させることを包含する。
【0059】
界面活性剤(FS)の非限定的な例としては、(パー)フルオロ(オキシ)カルボン酸アンモニウム及び/若しくはナトリウム、並びに/又は1個以上のカルボン酸末端基を有する(パー)フルオロポリオキシアルキレンが挙げられてもよい。
【0060】
フッ素化界面活性剤、特に(パー)フルオロオキシアルキレン界面活性剤の例は、米国特許出願公開第2007015864号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES)2007年1月8日、米国特許出願公開第2007015865号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES CO)2007年1月18日、米国特許出願公開第2007015866号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES CO)2007年1月18日、米国特許出願公開第2007025902号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES CO)2007年2月1日に特に記載されている。
【0061】
例えば、本発明の方法から実質的に除外されたフッ素化乳化剤[界面活性剤(FS)]は、特に、
- CF(CFn1COOM’(ここで、nは、4~10、好ましくは5~7の範囲の整数であり、より好ましくは6に等しく;M’は、H、NH、Na、Li、又はK、好ましくはNHを表す);
- T(CO)n0(CFXO)m0CFCOOM’’(ここで、Tは、Cl、又は式C2k+1Oのパーフルオロアルコキシド基を表し、kは1~3の整数であり、1個のF原子は、Cl原子で任意選択で置換されており;nは、1~6の範囲の整数であり;mは、0~6の範囲の整数であり;M’’は、H、NH、Na、Li、又はKを表し;Xは、F又はCFを表す);
- F-(CF-CFn2-CH-CH-ROM’’’(ここで、Rは、P又はS、好ましくはSであり、M’’’は、H、NH、Na、Li、又はK、好ましくはHを表し;nは、2~5の範囲の整数であり、好ましくはn=3である);
- A-R-B二官能性フッ素化界面活性剤(ここで、A及びBは、互いに等しいか又は異なり、-(O)CFX-COOM*であり;M*は、H、NH、Na、Li、又はKを表し、好ましくはM*は、NHを表し;X=F又はCFであり;pは、0又は1に等しい整数であり;Rは、A-R-Bの数平均分子量が範囲300~1,000であるような直鎖若しくは分岐のパーフルオロアルキル鎖、又は(パー)フルオロポリエーテル鎖である);
- R’-O-(CF-O-L-COOM’(ここで、R’は、カテナリー酸素原子を任意選択で含む直鎖又は分岐のパーフルオロアルキル鎖であり、M’は、H、NH、Na、Li、又はKであり、好ましくはM’は、NHを表し;rは、1~3であり;Lは、二価のフッ素化架橋基、好ましくは-CFCF-又は-CFX-であり、X=F又はCFである);
- R’’-(OCF-O-(CF-COOM’’(ここで、R’’は、カテナリー酸素原子を任意選択で含む直鎖又は分岐のパーフルオロアルキル鎖であり、M’’は、H、NH、Na、Li、又はKであり、好ましくはM’’はNHを表し;u及びvは、1~3の整数である);
- R’’’-(O)-CHQ-L-COOM’’’(ここで、R’’’は、カテナリー酸素原子を任意選択で含む直鎖若しくは分岐のパーフルオロアルキル鎖であり、Q=F又はCFであり、tは0又は1であり、M’’’は、H、NH、Na、Li、又はKであり、好ましくはM’’’はNHであり;Lは二価のフッ素化架橋基、好ましくは-CFCF-又は-CFX-であり、X=F又はCFである);
- 下記式(I):
[式中、X、X、Xは、互いに等しいか又は異なり、独立して、H、F、及び1個以上のカテナリー又は非カテナリー酸素原子を任意選択で含むC1~6(パー)フルオロアルキル基の中で選択され;Lは、結合又は二価基を表し;Rは、二価のフッ素化C1~3架橋基であり;Yは、式:
[式中、Xは、H、一価金属(好ましくはアルカリ金属)又は式-N(R’(式中、R’は、出現する毎に等しいか又は異なり、水素原子又はC1~6炭化水素基を表す)のアンモニウム基である]
の群から選択される親水性官能基である]
の環状フルオロ化合物
である。
【0062】
本発明の方法は、典型的には、上で詳述されたとおりの、分散剤(D)をさらに含むフルオロポリマーの水性分散液をもたらし、これは、本発明の別の目的である。
【0063】
本発明は、したがって、上で詳述されたとおりの、少なくとも1種の分散剤(D)を含むフルオロポリマー粒子の水性分散液に関する。
【0064】
本発明の方法と関連して分散剤(D)及びフルオロポリマーについて上で記載されたすべての好ましい実施形態は、これらの特徴が同じことを特徴付けることがあり得る範囲内で、本発明の水性分散液に等しく適用できる。
【0065】
フルオロポリマーの粒径(体積平均径)は、典型的には40nm~400nmであり、60nm~約350nmの典型的な粒子サイズが好ましい。
【0066】
フルオロポリマーは、固体形態のポリマーが望ましい場合、凝固によって分散液から単離されてもよい。また、フルオロポリマーが使用されることになる用途の要件に応じて、フルオロポリマーは、いずれかの熱的に不安定な末端基を安定したCF-末端基に変換するために後にフッ素化されてもよい。
【0067】
コーティング用途向けには、フルオロポリマーの水性分散液が望ましく、したがってフルオロポリマーは、分散液から分離され又は凝固される必要がない。例えば、布の含浸において、又は例えば、調理器具を製造するための金属基材のコーティングにおいてなどのコーティング用途での使用に好適なフルオロポリマー分散液を得るためには、更なる安定化界面活性剤を添加すること及び/又はフルオロポリマー固形分をさらに増加させることが一般に望ましい。例えば、非イオン性安定化界面活性剤が、フルオロポリマー分散液に添加されてもよい。典型的には、これらは、フルオロポリマー固形分に基づいて1~12重量%の量でそれに添加される。添加されてもよい非イオン性界面活性剤の例としては、R-O-[CHCHO]-[RO]-R(NS)(ここで、Rは、6~18個の炭素原子を有する芳香族又は脂肪族炭化水素基を表し、Rは、3個の炭素原子を有するアルキレン基を表し、Rは、水素又はC1~3アルキル基を表し、nは0~40の値を有し、mは0~40の値を有し、n+mの合計は少なくとも2である)が挙げられる。上の式(NS)において、n及びmでインデックスを付けられた単位は、ブロックとして現れてもよいし、又はそれらは交互若しくはランダム配置で存在してもよいことが理解される。上の式(NS)による非イオン性界面活性剤の例としては、アルキルフェノールオキシエチレート、例えば、エトキシ単位の数が約10であるTRITON(商標)X 100又はエトキシ単位の数が約7~8であるTRITON(商標)X 114などのブランド名TRITON(商標)の下で商業的に入手可能なエトキシル化p-イソオクチルフェノールなどが挙げられる。なおさらなる例としては、上の式(NS)中のRが、4~20個の炭素原子のアルキル基を表し、mが、0であり、Rが、水素であるものが挙げられる。その例としては、約8個のエトキシ基でエトキシル化されたイソトリデカノールが挙げられ、これは、Clariant GmbHからGENAPOL(登録商標)X080として商業的に入手可能である。親水性部分がエトキシ基とプロポキシ基とのブロックコポリマーを含む式(NS)による非イオン性界面活性剤も同様に使用されてもよい。そのような非イオン性界面活性剤は、商品名GENAPOL(登録商標)PF 40及びGENAPOL(登録商標)PF 80の下でClariant GmbHから商業的に入手可能である。
【0068】
分散液中のフルオロポリマー固形分の量は、30~70重量%の量まで必要に応じて又は望まれるとおりに濃縮されてもよい。限外濾過及び熱濃縮を含めて、公知の濃縮技術のいずれが使用されてもよい。
【0069】
参照により本明細書に援用されるいずれかの特許、特許出願、及び刊行物の開示が、用語を不明瞭にさせることがあり得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合は、本記載が優先するものとする。
【0070】
本発明は、これから以下の実施例を参照してより詳細に説明されるが、その目的は、単に例証的なものであり、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0071】
調製実施例1-分散剤(D-1)の調製
10mmの光路を備え、ドライアイスによって-80℃の温度に保たれた還流冷却器、及び温度検出用の熱電対を備えた、800mlの光化学反応器を使用した。反応器は、248~334nmの範囲内に含まれる波長で発光する、UVランプ(HANAUタイプTQ 150)の挿入のためのGALDEN(登録商標)HT55-冷却石英シースのシステムを備えた。
【0072】
反応器に、ドライアイス-アセトン浴によって冷却後、600mlのCFClを投入し;次いで反応器を-60℃に維持し、それに、5時間にわたって、86.4g(2.7モル)のO、90g(0.9モル)のC及び170g(0.105モル)のCを投入した。最後に、溶媒を蒸発除去し、62gの油を得た。生成された油は、ヨウ素滴定によって2.12重量%のパーオキシ酸素を含有することが分かった。19F-N.M.R.スペクトル、IRスペクトル及び過酸化物含有量は、この油が主として、エーテル及び/又はパーオキシ架橋によって連結された-CF-、-CF-CF-、-CF-CF(-CF(O)CF)-、-CF(-CF(O)CF)- -CFCF(O)CF-CF-単位の配列から作られた化合物であることを実証することを可能にした。生成物は、19F-NMRによって決定された18000の分子量を保有することが分かった。同じNMR19Fによって計算された、エポキシ含有量は、ポリマー鎖当たり12.9単位であることが分かった。
【0073】
この時点で、油のアリコートを熱処理にかけて、過酸化物部分を除去した。20gのポリマーを、温度計及び撹拌機を備えた50ccのフラスコに投入し;2時間の時間にわたって、温度を230℃に上昇させ;次いで反応塊を230°~240℃にさらに6時間保った。この熱処理の最後に、ヨウ素滴定分析で、パーオキシ基のまったく検出できない量を含む14.2gの生成物を得た。NMR19Fスペクトルは、エポキシ基のいかなる証拠も、唯一対応するフッ化カルボニル部分以外は、提供することができなかった。
【0074】
これまで得られた生成物を、次いで室温で4時間撹拌することによって水で加水分解した。次いで、最終塊を水相から分離し、新鮮な水で洗浄した。
【0075】
最終生成物を、真空装置中100℃で乾燥後に回収した。アシルフッ化物基はすべて、対応するカルボン酸基に変換されることが分かった。
【0076】
分散剤(D-1)は、19F-NMR分析によって、11500の数平均分子量を保有することが分かり、及び大部分のC1=(CFO)及びC2=(CFCFO)単位(比C2/C1 1.27)、並びに式-OCFCF(COOH)O-(主な)及び-OCFCF(COOH)CF-(少しの)並びに-OCF(COOH)O-(無視できる)のペンダントイオン性繰り返し単位を含む単位からなること、並びにさらには式-CFCOOH(73%)、-CFCl(21%)及び-CF(6%)(全末端基に基づくパーセント)の鎖末端を含むことが分かった。イオン性基の全量は、分散剤(D-1)1モル当たり6.6モル(約0.57ミリ当量/gに相当)であり、分散剤(D-1)1モル当たり5.1モルは、上に詳述されたとおりのペンダントイオン性繰り返し単位に、残りは鎖末端に含まれた。
【0077】
上に記載された手順を数回繰り返して、分散剤(D1)の適切な量を収集し、これを以下に記載される重合実験に使用した。
【0078】
作業実施例2:調製実施例1の分散剤(D-1)とテトラフルオロエチレン(TFE)の重合
ステップ1-分散剤(D-1)の塩化
1Lのフラスコに、600gの脱塩水及び2gのアンモニアを供給し;次いで12gの調製実施例1の分散剤(D-1)をフラスコ中に落とし入れた。得られた分散液を、均一な分散液が得られるまで40℃で5時間撹拌した。
【0079】
ステップ2:テトラフルオロエチレン(TFE)の重合
5リットルのオートクレーブを真空及び窒素充填の複数サイクルで脱気し、次いで1.6リットルの脱塩水及び12gの分散剤(D-1)に相当する、614グラムの上記の調製実施例1から得られた分散液を投入し;68℃(480rpmで撹拌)で加熱後、オートクレーブをテトラフルオロエチレン(TFE)によって20.5バールで加圧し、8g/lの過硫酸アンモニウム(APS)を含有する60mlの溶液を供給することによって反応を開始した。
【0080】
600グラムの量のTFEが供給されるまでTFEを供給することによってオートクレーブの圧力を20.5バールの一定値に維持し、150分後にTFEの供給を止めた。480rpmの一定の撹拌を保つことによってオートクレーブを周囲温度まで冷却し、重合から残留モノマーを取り去るために窒素バブリング下で16時間保った後、得られた白色-ラテックスを取り出し、次いでプラスチック製のタンクに保管した。次いでラテックスを凝固させ、得られたポリマーは、各試験溶媒に不溶性であることを確認する。
【0081】
作業実施例3:調製実施例1の分散剤(D-1)とテトラフルオロエチレン(TFE)の重合
ステップ1-PFPE流体の存在下での分散剤(D-1)の塩化
1Lのフラスコに、50gのGALDEN(登録商標)D02非官能性PFPE及び1gのアンモニアを供給し;次いで10gの調製実施例1の分散剤(D-1)をフラスコに落とし入れた。得られた分散液を室温で5時間撹拌した。
【0082】
ステップ2-テトラフルオロエチレン(TFE)の重合
5リットルのオートクレーブを真空及び窒素充填の複数のサイクルで脱気し、次いで1.6リットルの脱塩水及び10gの調製実施例1の分散剤(D-1)に相当する、61グラムの上の調製実施例1から得られた分散液を投入し;68℃で加熱(480rpmで攪拌)後、オートクレーブを20.5バールでテトラフルオロエチレン(TFE)によって加圧し、8g/lの過硫酸アンモニウム(APS)を含有する60mlの溶液を供給することによって反応を開始した。600グラムの量のTFEが供給されるまでTFEを供給することによってオートクレーブの圧力を20.5バールの一定の値に維持し、150分後にTFEの供給を止めた。480rpmの一定の撹拌を保つことによってオートクレーブを周囲温度まで冷却し、重合から残留モノマーを取り去るために窒素バブリング下で16時間保った後、得られた白色-ラテックスを取り出し、次いでプラスチック製のタンクに保管した。次いで、ラテックスを凝固させ、得られたポリマーが各試験溶媒に不溶性であることを確認する。