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特許7345455蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20230908BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20230908BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20230908BHJP
   H05B 6/36 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F47/00
H05B6/10 331
H05B6/36 E
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020513570
(86)(22)【出願日】2018-09-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2018073617
(87)【国際公開番号】W WO2019048380
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】17189678.0
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】100169100
【弁理士】
【氏名又は名称】辰川 肇
(72)【発明者】
【氏名】ジル,マーク
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/109448(WO,A2)
【文献】国際公開第2016/139813(WO,A1)
【文献】特表2017-513465(JP,A)
【文献】国際公開第2015/137815(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/465
A24F 47/00
H05B 6/10
H05B 6/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気生成装置のための電磁誘導加熱アセンブリであって、
電磁誘導コイルと、
メモリ記憶装置と、を含み、
前記電磁誘導コイルは、使用中にサセプタを加熱するように構成され、前記電磁誘導コイルはまた、使用中に、間接的な電磁誘導結合を介して、外部情報装置と協働して、前記メモリ記憶装置から前記外部情報装置にデータを伝送するように、且つ/又は前記外部情報装置からデータを受信するようにも動作可能であり、
前記電磁誘導加熱アセンブリは、前記電磁誘導コイルの内部に、前記外部情報装置に接続された外部電磁誘導装置の一部である外部電磁誘導コイルを収容するように構成される、または、前記電磁誘導コイルが前記外部電磁誘導コイルの内部に挿入されるように構成される、
電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項2】
前記電磁誘導コイルは、使用中に、間接的な電磁誘導結合を介して、前記外部情報装置と協働して、複数の異なる伝送方法を使用して、前記外部情報装置との間でデータを伝送及び/又は受信するように動作可能であり、それによって、前記電磁誘導加熱アセンブリ及び/又は前記外部情報装置は、前記電磁誘導コイルを使用してデータ伝送と同時に別の機能を実行しているかどうかに基づいて、前記複数の異なる伝送方法のうちのいずれを使用するべきかを選択するように動作可能である、請求項1に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項3】
前記電磁誘導加熱アセンブリは、間接的な電磁誘導結合を介して前記外部情報装置から電力を取り入れるように更に動作可能である、請求項1又は2に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項4】
前記電磁誘導加熱アセンブリは、前記外部情報装置から電力を取り入れながら、負荷シフトキーイング技術を使用して、前記メモリ記憶装置から前記外部情報装置へデータを伝送するように動作可能である、請求項3に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項5】
前記電磁誘導加熱アセンブリは、前記電磁誘導コイルに印加された加熱交流電流を変調することにより、前記メモリ記憶装置から前記外部情報装置へデータを伝送するように動作可能であり、前記加熱交流電流は、前記電磁誘導コイルに印加された電力から前記サセプタによって生成される熱への電力の伝達を最適化するように選択された周波数を有する、請求項1から4の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項6】
前記電磁誘導加熱アセンブリは、伝送すべきデータを用いてキャリア電流を変調し、該変調されたキャリア電流を前記電磁誘導コイルに印加することにより、前記メモリ記憶装置から前記外部情報装置へデータを伝送するように動作可能であり、前記キャリア電流は、前記電磁誘導コイルから前記外部情報装置への電力の伝達を最適化するように選択された周波数を有する、請求項1から5の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項7】
前記電磁誘導加熱アセンブリは、前記電磁誘導コイル内で誘導された充電用の電流を復調することにより、前記外部情報装置から前記メモリ記憶装置へデータを受信するように動作可能であり、前記電流は、前記外部情報装置から前記電磁誘導コイルへの電力の伝達を最適化するように選択された周波数を有する、請求項1から6の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項8】
使用中に、前記電磁誘導コイルを使用して外部サセプタを加熱するか、又は電磁場の形態で前記電磁誘導コイルにおいてデータを選択的に交換することができるように、前記電磁誘導コイル及び前記メモリ記憶装置と電気的に接続するように構成された電磁誘導コントローラを更に含む、請求項1から7の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項9】
前記外部電磁誘導装置からの変動電磁場が前記電磁誘導コイルで受信されるとデータを検出するように構成されたデータ検出器を更に含み、それによって、前記電磁誘導加熱アセンブリは、前記外部情報装置によって前記外部電磁誘導装置を介して前記電磁誘導加熱アセンブリに送信されたデータを受信するように動作可能である、請求項1から8の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項10】
前記電磁誘導コイルは円筒形の形状をしている、請求項1から9の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項11】
円筒形の形状をした外部ソースからデータを送受信するように構成される、請求項1から10の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項12】
前記外部電磁誘導コイルの周縁部が前記電磁誘導コイルによって取り囲まれ、かつ、前記外部電磁誘導コイルの中心軸と前記電磁誘導コイルの中心軸とが重なるように、前記外部電磁誘導装置の前記一部が前記電磁誘導コイルの内部に挿入される、請求項1から11の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項13】
前記電磁誘導コイルの周縁部が前記外部電磁誘導コイルによって取り囲まれ、かつ、前記電磁誘導コイルの中心軸と前記外部電磁誘導コイルの中心軸とが重なるように、前記電磁誘導コイルが前記外部電磁誘導コイルの内部に挿入される、請求項1から11の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項14】
使用中、前記電磁誘導コイル及び前記メモリ記憶装置に電力を供給するように構成された充電式電源を更に含む、請求項1から13の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項15】
使用中、前記電磁誘導コイル及び前記メモリ記憶装置に電力を供給するように構成された充電式の電源を更に含み、
使用中、前記電源を電磁誘導的に充電するために、電磁誘導結合を介して前記外部電磁誘導装置によって生成される電磁場の形態で電力が前記電磁誘導コイルで受け取られたときに、前記電磁誘導コイルから取り入れた電流を前記電源に選択的に供給できるように、前記電源が前記電磁誘導コントローラに接続されている、請求項8に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項16】
前記電磁誘導コイルを使用して伝送される前記データは、前記蒸気生成装置の装置使用履歴、電源充電の残余、又はソフトウェア更新のうちの1つ又は複数である、請求項1から15の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ。
【請求項17】
蒸気生成装置であって、
請求項1から16の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリと、
気化可能物質及び電磁誘導加熱可能サセプタを備える物体を収容するように構成される、加熱コンパートメントと、
前記加熱コンパートメントに空気を供給するように構成された吸気口と、
前記加熱コンパートメントと連通している排気口と、を含む、蒸気生成装置。
【請求項18】
前記加熱コンパートメントは、円筒形の気化可能物品を収容するように構成される、請求項17に記載の蒸気生成装置。
【請求項19】
蒸気生成装置と情報を交換する方法であって、
前記蒸気生成装置の請求項1から16のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱アセンブリの近傍に外部情報装置に接続された外部電磁誘導装置を配置するステップであって、前記外部電磁誘導装置の一部である外部電磁誘導コイルが前記電磁誘導加熱アセンブリの電磁誘導コイルの内部に挿入される、または、前記電磁誘導コイルが前記外部電磁誘導コイルの内部に挿入される、ステップと、
前記電磁誘導加熱アセンブリの前記電磁誘導コイルと前記外部情報装置との間の電磁誘導結合を介して、データを伝送するステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリに関する。昨今、吸入用の蒸気を生成する物質を燃やすのではなく加熱する装置が、消費者に人気になってきている。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、幾つかの異なる方式のうちの1つを使用して、物質に熱を提供することができる。そのような方式の1つは、電磁誘導加熱システムを採用した蒸気生成装置である。そのような装置では、電磁誘導コイル(以降では、インダクタとも呼ばれる)が装置と共に設けられ、サセプタが蒸気生成物質と共に設けられる。ユーザが装置を作動させると電気エネルギーがインダクタに提供され、次いでこれにより、電磁場が発生する。サセプタがこの場と結合し、熱を生成し、この熱は物質に伝達され、物質が加熱されると蒸気が発生する。
【0003】
そのような方式は、加熱、ひいては蒸気の発生のより良い制御をもたらす可能性を有する。しかしながら、実際には、そのような方式は、多数の部品を備えた比較的にかさばる装置につながることがある。このことにより、装置を製造するのが高価になり、シンプルでコンパクトな装置を期待するユーザにとって不便になることがある。
【0004】
更に、使用傾向を監視し評価するために、ユーザが装置の使用状況を追跡することができるようにとの要求が高まっている。これらの装置の能力がより高くなり、より多くの機能がインストールされるようになるにつれ、内部ソフトウェアを定期的に更新して、装置の動作に修正及び改善を提供する必要性も高まっている。装置の状態及び状況を監視することができるように、装置に関係した特定のデータを抽出することも望ましい。
【0005】
しかしながら、装置とそのような情報を交換するには、データ接続のための手段が必要であり、通常は、接続ケーブルを介して外部情報装置をこの装置にプラグ接続するが、接続ケーブルは、しばしば、使用に伴い時間の経過と共に摩耗することがあり、同様に、接続ケーブルが接続されるソケットが、装置を封止するのをより難しくするごみや塵などの外部物体の侵入により、摩耗又は損傷する。これにより、装置の部品数も増える。更に、接続のために装置をプラグ接続する必要性は、ユーザにとってもたつき、面倒であることがある。従って、簡単で信頼性の高いデータ伝送能力があり、低コストで手持ち式の使用に適した蒸気生成装置の必要性がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点のうちの少なくとも幾つかを緩和しようと務めるものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリが提供され、この加熱アセンブリは、電磁誘導コイルと、メモリ記憶装置と、を含み、電磁誘導コイルは、使用中にサセプタを加熱するように構成され、電磁誘導コイルはまた、使用中に、電磁場を送受信して、外部情報装置との間でデータを伝送するようにも構成される。
【0008】
電磁場の使用により、電磁誘導加熱アセンブリと外部装置との間で無線の情報交換が可能になる。これにより、物理的接続の必要性がなくなり、データ伝送のための迅速で信頼性の高いチャネルが提供される。更に、電磁誘導加熱コイルをデータ伝送用の電磁場の送信機及び受信機として使用することにより、蒸気生成装置内の同じ部材から、電磁誘導加熱及び情報交換を信頼性高く提供することが可能になる。これにより、部品数が低減され、装置のサイズ、重量、製造コスト、及び安全性が向上する。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリが提供され、この加熱アセンブリは、電磁誘導コイルと、メモリ記憶装置と、を含み、電磁誘導コイルは、使用中にサセプタを加熱するように構成され、電磁誘導コイルはまた、使用中に、間接的な電磁誘導結合を介して、外部情報装置と協働して、メモリ記憶装置から外部情報装置にデータを伝送するように、且つ/又は外部情報装置からデータを受信するようにも動作可能である。
【0010】
好ましくは、電磁誘導コイルは、使用中に、間接的な電磁誘導結合を介して、外部情報装置と協働して、複数の異なる伝送方法を使用して、外部装置との間でデータを伝送及び/又は受信するように動作可能であり、それによって、加熱アセンブリ及び/又は外部装置は、電磁誘導コイルを使用して、データ伝送と同時に別の機能を実行しているかどうかに基づいて、複数の異なる伝送方法のうちのいずれを使用するべきかを選択するように動作可能であり、最も好ましくは、別の機能を実行している場合、その同時に実行されている機能が何であるのかに基づいて、複数の異なる伝送方法のうちの使用すべき1つを選択するように、動作可能である。
【0011】
異なる伝送方法には、キャリア信号を変調することが含まれることがあり、異なる方法は異なる周波数のキャリア信号を変調する。例えば、第1の伝送方法は、(キャリア信号が電磁誘導コイルに印加されたときに)サセプタの所望のレベルの加熱を提供するように選択された周波数を有するキャリア信号を変調することがあり、第2の方法は、(キャリア信号が外部装置に含まれるコイルに印加されたときに)外部装置による電磁誘導コイルの効率的な通電を提供するように選択された周波数を有するキャリア信号を変調することがある、等である。更に、異なる伝送方法は、負荷シフトキーイング(load shift keying)技術等を使用することを含むことがある。
【0012】
好ましくは、加熱アセンブリは、間接的な電磁誘導結合を介して外部情報装置から電力を取り入れるように、更に動作可能である。そのような場合では、加熱アセンブリが、外部情報装置から電力を取り入れながら、負荷シフトキーイング技術を使用して、メモリ記憶装置から外部情報装置へデータを伝送するように動作可能であれば、便利である。このようにして、加熱アセンブリに関連付けられたローカル電源によって更なる電力を使用する必要はなくなり、コイル内で電磁誘導された電流は主に、加熱アセンブリから外部(充電)装置にデータを送信するのと同時に、そのようなローカル電源を充電するのに使用することができる。
【0013】
その代わりに、又はこれに加えて、加熱アセンブリは、電磁誘導コイルに印加された加熱交流電流を変調することにより、メモリ記憶装置から外部情報装置へデータを伝送するように動作可能であることがあり、この加熱交流電流は、電磁誘導コイルに印加された電力からサセプタによって生成される熱への電力の伝達を実質的に最適化するように選択された周波数を有する。そのようなケースは、外部装置が、加熱アセンブリに関連付けられたローカル電源を充電することは意図されておらず、(例えば、エアロゾル生成のために)サセプタを加熱すると同時に外部装置にデータを送信することが望ましい場合に、特に有用である。
【0014】
更にこれの代わりに、又はこれに加えて、加熱アセンブリは、電磁誘導コイルに印加されるデータ伝送交流キャリア電流を変調することにより、メモリ記憶装置から外部情報装置へデータを伝送するように動作可能であることがあり、このキャリア電流は、電磁誘導コイルから外部情報装置への電力の伝達を実質的に最適化するように選択された周波数を有する。この方式は、加熱アセンブリがデータを外部装置に単に送信することが必要である(即ち、外部装置から電荷を受け取るか又はサセプタを加熱することが、同時に必要とされない)場合に、特に便利である。この方式の利点は、選択された周波数での電磁誘導結合を介した電力伝達の効率のおかげで、データを送信するのに、比較的に少量のエネルギーを使用するだけで済むことである。適切な周波数を選択するための任意の既知の技術を採用することができ、例えば、ある範囲の周波数に渡って単純に走査し、(例えば、ローカル電源を充電するためにエネルギーを取り入れるため、などの主な目的のために)最適であると思われる、その範囲内の周波数を協同的に選択することなどである。
【0015】
更にこれの代わりに、又はこれに加えて、電磁誘導加熱システムアセンブリは、電磁誘導コイル内で誘導された充電交流電流を復調することにより、外部情報装置からメモリ記憶装置へデータを受信するように動作可能であることがあり、この充電交流電流は、外部情報装置から電磁誘導コイルへの電力の伝達を実質的に最適化するように選択された周波数を有する。この方式は、外部装置が加熱アセンブリに関連付けられたローカル電源を充電することが意図されており、同時に、加熱アセンブリが外部装置からデータを受信することが必要である場合に、特に便利である。
【0016】
好ましくは、加熱アセンブリは、加熱アセンブリから外部情報装置への伝送のためのデータ伝送信号を用いてキャリア信号を変調するための変調器を更に含む。好ましくは、キャリア信号は、加熱アセンブリと外部情報装置との組み合わせの共振周波数での又は共振周波数に近い、周波数を有する。
【0017】
その代わりに、又はこれに加えて、加熱アセンブリは、加熱アセンブリの電磁誘導コイルによって受信されるキャリア信号上に外部情報装置によって変調されたデータ信号を復元するための復調器を含むことがあり、キャリア信号は再び、加熱アセンブリと外部情報装置との組み合わせの共振周波数であるか又は共振周波数に近いことが、最も好ましい。最も好ましくは、加熱アセンブリは、上述の変調機能と上述の復調機能の両方を実施することができるモデムを含む。
【0018】
特定の実施形態では、変調は単純な振幅変調であり得る。しかしながら、当業者には明らかであるように、より広いデータ伝送帯域幅、又はより大きなエネルギー伝送効率が必要である場合などには、より複雑な変調方式が採用されることがある。例えば、実施形態によっては、外部情報装置から加熱アセンブリへのデータ伝送には周波数シフトキーイング変調を使用し、逆方向のデータ伝送には負荷シフトキーイングを使用することが可能である。
【0019】
なお、一般的に、加熱アセンブリから外部装置へのデータ送信に関する上述した選択肢の全ては、外部装置から加熱アセンブリにおいてデータを受信するために、(少なくとも幾つかの実施形態において)逆方向で使用することができる。従って、例えば、低電力外部装置(例えば、時計)からデータを受信することになる場合、外部装置が、加熱アセンブリ(又は加熱アセンブリが設置されている装置)によって生成されるドライバ電流の負荷シフトキーイングを使用することが便利であることがあり、このドライバ電流は、加熱アセンブリの電磁誘導コイルから外部装置への電力伝達の効率を実質的に最適化するように選択された周波数を有することが好ましい。
【0020】
一方、外部装置が豊富な電源に接続されている(例えば、商用電源に接続されている)場合、サセプタを直接的に加熱することができる電磁誘導コイルを外部装置が含むことが望ましいことがある。そのような場合、外部装置によって加熱電流上に変調されたデータ信号を復元するために、加熱アセンブリの電磁誘導コイル内で(恐らくは幾分か非効率的に)誘導された電流を復調することにより、加熱アセンブリがデータを受信することができる。なお、そのような場合には、(キャリア)加熱電流の周波数は、外部装置から加熱アセンブリの電磁誘導コイルへの電力伝達を最適化するよりもむしろ、サセプタの加熱を実質的に最適化するように選択される。
【0021】
対照的に、データが外部装置から加熱アセンブリに送信されることになり、同時に、(例えば、充電式電池などの加熱アセンブリに関連付けられたローカル電源を充電するために)外部装置と加熱アセンブリとの間の誘導電磁リンクを介して電力を供給する場合、外部装置から加熱アセンブリの電磁誘導コイルへの電力伝達の効率を最適化するように選択された周波数を有するキャリア電流上に、送信されるべきデータを符号化しているデータ信号を変調することが便利であることがある。
【0022】
サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、及びそれらの合金(例えば、ニッケルクロム)のうちの1つ又は複数を含むことがあるが、これらに限定はされない。サセプタの近傍に電磁場を印加すると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失により電磁気から熱へのエネルギー変換がもたらされるのに起因して、サセプタが熱を生成することができる。
【0023】
好ましくは、電磁誘導加熱アセンブリは、使用中に、電磁誘導コイルを使用して外部サセプタを加熱するか、又は電磁場の形態で電磁誘導コイルにおいてデータを選択的に交換することができるように、電磁誘導コイル及びメモリ記憶装置と電気的に接続するように構成された電磁誘導コントローラを更に含むことがある。
【0024】
電磁誘導コントローラは、電磁誘導加熱アセンブリを選択的に制御して電磁誘導加熱を提供したり、又は外部装置とのデータ伝送を促進したりする能力を提供する。これにより、ユーザが、電磁誘導コイルを介した加熱機能及びデータ伝送機能の両方の範囲を制御し、必要な場合にだけ電流を供給することが可能になる。単一の制御ユニットを使用して電磁誘導コイルを介したこの2つの機能を制御することにより、部品数が更に低減され、加熱アセンブリの安全性も改善される。
【0025】
電磁誘導加熱アセンブリは、連続的にデータを送受信するように動作することができるが、電磁場を絶えず維持すると、大量の電力を消費することがある。電磁場には有用な信号が全く含まれない状況もあり得る(即ち、加熱アセンブリと外部情報装置との間で通信されるべき有用なデータがない場合)。好ましくは、加熱アセンブリは、外部装置からの電磁場が電磁誘導コイルで受信されるとデータを検出するように構成されたデータ検出器を更に含むことがある。
【0026】
有用なデータが受信されたことを識別するためにデータ検出器を使用することにより、電磁誘導コイルにデータが送信されていない場合の不要な待機電力を低減することが可能になる。このことは、有用な情報を含んでいない無意味な信号によって引き起こされる問題に対処するためにも有用である。
【0027】
加熱アセンブリは任意の形状及び形態を取ることができるが、加熱アセンブリは、過剰な材料の使用を低減するために、電磁誘導コイルの形態を実質的に取るように構成されることがある。好ましくは、電磁誘導コイルは実質的に円筒形の形状をしていることがある。
【0028】
円筒形の電磁誘導コイルの円形の断面は、電磁誘導的に加熱されることになる物体を挿入し、その物体を均一に加熱するのに理想的であり、また、ユーザが握り易い加熱アセンブリの形状をもたらす。
【0029】
外部装置と無線でデータを伝送するように動作する場合、電磁誘導コイルは任意の形状及び形態の外部装置と結合することができる。通常は、外部装置は電磁場を送受信するための外部電磁誘導コイルを含むことがある。好ましくは、電磁誘導加熱アセンブリは、実質的に円筒形の形状をした外部ソースからデータを送受信するように構成されることがある。
【0030】
加熱アセンブリは、外部ソースを電磁誘導コイルの近傍に配置してそれら2つを電磁場を介して結合することにより、外部ソースとのデータ伝送を行うように動作することがある。外部ソースは電磁誘導コイルと任意の態様で相互作用することができるが、通常は、加熱アセンブリは、使用中、その体積内に電磁場の外部ソースの少なくとも一部を収容するように構成される。
【0031】
加熱アセンブリの内部に外部ソースの一部を配置することにより、外部ソースと加熱アセンブリの電磁誘導コイルとの間の安全でコンパクトな無線接続を確保することが可能になる。この構成は、電磁誘導コイルと外部ソースとの間に強力な電磁結合を維持して、データ伝送の効率性及び正確さを高めるのに役立つ。更に、この構成では、加熱アセンブリは、データを伝送しながら他の電磁場に対するシールドとして機能する。
【0032】
或いは、アセンブリの少なくとも一部が、使用中、電磁場の外部ソースの体積中に挿入されるように構成されることがある。外部ソースは、開口部及びその内部体積の一部を有することがあり、その中にアセンブリを挿入することができる。或いは、外部ソースは、その内部に貫通穴を有することがあり、その結果、アセンブリをその貫通穴の内側の周縁部を通して挿入することが可能になる。外部ソースの内部体積中に挿入可能なアセンブリの一部を持つことにより、コンパクトな外部ソースと接続して動作しながら、マウスピースを露出させることが可能になる。
【0033】
アセンブリを外部装置と内側で又は外側で結合する場合、安定した物理的接続が必要とされる状況が生じることがある。装置には、電磁誘導加熱アセンブリに対して外部ソースの位置を固定するための手段が設けられることがある。好ましくは、スナップフィット機構などの、アセンブリの電磁誘導コイルに対して外部コイルの位置を固定するための手段が存在することがある。これにより、2つの装置を、電磁結合も維持され得るように、物理的に結合することが可能になる。
【0034】
電磁誘導加熱アセンブリの体積の外側からデータ伝送のための電磁場への結合を提供することが有利である状況が生じることがある。例えば、電磁誘導加熱アセンブリの加熱機能及びデータ伝送機能の両方を同時に動作させることが望ましいことがあり、その場合、電磁誘導加熱アセンブリをぐるりと巻いた外部ソースが有利である。加熱アセンブリを外部装置に挿入するように構成することにより、アセンブリの内部空間を、加熱されるべき物質が占有するように空けておくことが可能になる。内部空間は、電磁誘導コイルの半径方向内側に画定されることがあり、気化可能な物質及び電磁誘導加熱可能なサセプタを備える物体を収容するように構成されることがある。
【0035】
電磁誘導加熱アセンブリは、外部電源に接続されることがあるが、アセンブリは、使用中に電磁誘導コイル及びメモリ記憶装置に電力を供給するように構成された充電式電源を含み得ることが好ましい。
【0036】
充電式電源は任意の手段によって充電されてもよいが、電源が電磁誘導コントローラに接続され得、その結果、使用中、電源を電磁誘導的に充電するために、外部装置によって生成される電磁場の形態で電力が電磁誘導コイルで受け取られたときに、電源に電流を選択的に供給できることが好ましい。再充電は、アセンブリと外部装置との間でデータを伝送中に、便利にも行うことができる。
【0037】
外部装置とのデータ伝送中に、電磁誘導コイルで受け取られた電力のうちの一部又は全部を充電式電源に向けて、電源を電磁誘導的に充電できることが判明した。この構成は、必要な部品数を最小限に抑えながら、無線充電システムを実現する可能性をもたらす。
【0038】
電磁誘導コイルで受け取られた電力は、データ伝送の目的のための電流と電源充電のための電流との間で分配されることがある(例えば、周波数又は時分割多元接続(FDMA又はTDMA)技術を採用することによる)。或いは、充電式電源を充電するために使用される同じ電流を、データのキャリアとして使用することができる。これにより、電流が複数の役割を果たすことが可能になり、それによって、充電式電源の効率性及び充電速度を高めることができる。これにより、情報を同時に交換しながら蒸気生成装置を充電するための効率的なメカニズムも提供される。
【0039】
電磁誘導加熱アセンブリのデータ伝送機能を利用して、任意のタイプの情報、特に蒸気生成装置の特性に関する情報を伝送することができる。電磁誘導コイルを使用して伝送されるデータには、装置の使用履歴、電源充電の残余、蒸気生成装置のソフトウェア更新、気化可能物質の推定残余、充電式電源が充電式電池である場合の充電式電源の電圧レベル等のうちの1つ又は複数が、便利にも含まれることがある。
【0040】
蒸気生成装置に関連した情報を伝送することにより、ユーザは、ユーザにとって有益であり得る特定の態様の追跡を続けることができる。例えば、装置使用履歴により、ユーザは、装置が使用される頻度を追跡できるようになり、これは、ユーザにとって一定の使いやすさをもたらすことがある。更に、使用状況データ並びにソフトウェア更新をインストールする機能により、蒸気生成装置の性能の向上、及び動作寿命の増大がもたらされる。電源充電の残余を確認する機能も利点である、というのも、これにより、ユーザがいつ装置を充電することが必要になるかを特定できるからである。更に、電源の状態に関する情報を伝送することにより、外部充電装置が、充電中に放出するエネルギーの量を調整して充電プロセスのエネルギー効率を最適化することが可能になる(即ち、電源がほぼ完全に充電されると充電に費やされる電力を低減し、電源が完全に充電されると電力を完全に停止する、等)。
【0041】
アセンブリは、使用中、最高密度の地点において約0.5テスラ(T)~約2.0Tの間の磁束密度を有する変動電磁場を伴って動作するように構成されることがある。
【0042】
電源及び回路は、高周波で動作するように構成されることがある。通常、電源及び回路は、約80kHz~約500kHzの間、好ましくは約150kHz~約250kHzの間、より好ましくは200kHzの周波数で動作するように構成されることがある。
【0043】
電磁誘導コイルは任意の適切な材料を含むことがあるが、通常は、電磁誘導コイルはリッツ線又はリッツケーブルを含む。
【0044】
本発明の別の態様によれば、蒸気生成装置が提供され、この蒸気生成装置は、本発明の第1の態様による電磁誘導加熱アセンブリと、気化可能物質及び電磁誘導加熱可能サセプタを備える物体を収容するように構成された加熱コンパートメントと、加熱コンパートメントに空気を供給するように構成された吸気口と、加熱コンパートメントと連通した排気口と、を含む。
【0045】
加熱及びデータ伝送という複数の機能に対して最適化された加熱アセンブリを使用することにより、無線データ伝送機能及び充電機能を備えたコンパクトな軽量の便利な蒸気生成装置を提供することが可能になる。
【0046】
物体は、使用中、通気性シェルの内部に気化可能物質を含むカプセルであることがある。通気性材料は、電気絶縁性で非磁性の材料であり得る。この材料は、高い通気性を有し、高温に対する耐性を備えたこの材料を通して空気が流れるのを可能にすることができる。適切な通気性材料の例としては、セルロース繊維、紙、綿、及び絹が挙げられる。通気性材料は、フィルタとしても作用することがある。或いは、物体は、紙に包まれた気化可能物質であり得る。或いは、物体は、通気性ではないが、空気が流れるようにするための適切な穿孔又は開口部を備える材料の内側に保持された気化可能物質であり得る。或いは、物体は、気化可能物質そのものであり得る。物体は、実質的に棒状に形成されることがある。
【0047】
気化可能物質は、任意のタイプの固体又は半固体の材料であり得る。蒸気生成固体のタイプの例としては、粉末、顆粒、ペレット、断片、ストランド、多孔質材料又はシート、が挙げられる。物質は、植物由来の材料を含むことがあり、特に、物質はタバコを含むことがある。
【0048】
好ましくは、気化可能物質はエアロゾル形成物を含むことがある。エアロゾル形成物の例としては、グリセリン又はプロピレン・グリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。通常、気化可能物質は、乾燥重量ベースで約5%~約50%の間のエアロゾル形成物含有率を含むことがある。好ましくは、気化可能物質は、乾燥重量ベースで約15%のエアロゾル形成物含有率を含むことがある。
【0049】
気化可能物質は、エアロゾル形成物そのものであり得る。この場合、気化可能物質は液体であり得る。この場合、物体は液体保持物質(例えば、繊維の束、セラミックなどの多孔質材料、等)を有することがあり、この液体保持物質は、加熱器などの気化器によって気化されることになる液体を保持し、ユーザによる吸入のために、液体保持物質から排気口に向けて蒸気が形成され放出される(released or emitted)ようにする。
【0050】
加熱すると、気化可能物質は揮発性化合物を放出することがある。揮発性化合物は、ニコチン、又はタバコ香味料などの香味化合物を含むことがある。
【0051】
電磁誘導コイルは、サセプタを加熱するように動作するときに場を生成するので、電磁誘導加熱可能サセプタを含む任意の部材は、動作中の装置の近傍に配置されると加熱される。そのため、加熱コンパートメントによって収容される物体の形状及び形態には、制限はない。加熱されることになる物体は、円筒形の形状であることが好ましく、そのため、加熱コンパートメントは実質的に円筒形の気化可能物品を収容するように構成されることがある。
【0052】
加熱されることになる実質的に円筒形の部材を収容する加熱コンパートメントの能力は有利である、というのも、しばしば、気化可能物質及び特にタバコ製品は、円筒形の形態で包装され販売されているからである。
【0053】
本発明の別の態様によれば、蒸気生成装置と情報を交換する方法が提供され、この方法は、蒸気生成装置の電磁誘導加熱アセンブリの近傍に外部情報装置を配置するステップを含み、電磁誘導加熱アセンブリは電磁誘導加熱コイル及びメモリ記憶装置を含み、またこの方法は、加熱アセンブリの電磁誘導加熱コイルと外部情報装置との間で電磁場の形態でデータを伝送するステップを含む。
【0054】
蒸気生成装置の電磁誘導加熱コイルを使用して電磁場を送受信することにより、別個の第2の電磁誘導又はデータ放出用の他の構成を必要とすることなく、蒸気生成装置と外部装置との間の無線情報伝送を提供することが可能になる。
【0055】
外部情報装置は、任意の態様で電磁誘導コイルと相互作用するように構成することができるが、外部情報装置の一部が、電磁誘導加熱アセンブリの体積中に少なくとも部分的に挿入され得ることが好ましい。これにより、外部情報装置と電磁誘導加熱コイルとの間で適切な接続を維持して、これら2つの装置の間でデータを伝送するための安全で信頼性の高い結合をもたらすことが確実になる。また、このことは、加熱アセンブリが、データを伝送しながら他の望ましくない電磁場に対するシールドとして機能することも意味する。
【0056】
或いは、電磁誘導加熱アセンブリの一部が、外部情報装置の体積中に少なくとも部分的に挿入されることがある。
【0057】
外部情報装置を蒸気生成装置の外部に配置することにより、装置の内部体積中の空間を空けておき、気化可能物質を収容することが可能になり、その結果、装置が加熱機能及びデータ伝送機能を利用するように同時に動作することができる。
【0058】
ここで、本発明について、添付の図面を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明の一例による、電磁誘導加熱アセンブリを概略的に示す。
図2】本発明の別の例による、電磁誘導加熱アセンブリを概略的に示す。
図3図2の電磁誘導加熱アセンブリが外部装置と相互作用する方法の一例を概略的に示す。
図4】電磁誘導加熱アセンブリが外部装置と相互作用する方法の別の例を概略的に示す。
図5】本発明の一例による、蒸気生成装置の分解図を概略的に示す。
図6】使用中の図5の蒸気生成装置を概略的に示す。
図7図5及び図6の蒸気生成装置が外部装置と相互作用する方法の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明は、電磁誘導加熱システムを採用し且つ外部装置との無線情報伝送ができる蒸気生成装置を提供する。これらの機能は、装置に設置された電磁誘導加熱アセンブリによって可能になる。
【0061】
図1は、本発明の一例による、電磁誘導加熱アセンブリ10の断面図を概略的に示す。加熱アセンブリ10は、電磁誘導コイル12及びメモリ記憶装置11を含む。電磁誘導コイル12及びメモリ記憶装置11は、電気的に接続されて配置され、その結果、これら2つの部品間でキャリア電流を介して信号を送信することができる。この例では、電磁誘導コイル12は実質的に円筒形であり、その結果、電磁誘導加熱アセンブリ10の形態もまた実質的に円筒形である。
【0062】
外部ソースからデータを受信するように動作する場合、電磁誘導コイル12において受信された外部電磁場が、コイル内に電流(交流電流)を誘導する。この電流を、モデム(図示せず)による復調を含む従来の信号処理手段を使用して処理して、受け取られた電流から送信されたデータを復元する。その後、復元されたデータはメモリ11に渡され、保存される(恐らくは何らかの受信後処理の後で。例えば、メモリ11に既に保存されている既存の事前保存データと受信されたデータとを集約するため)。
【0063】
情報を送信するために、加熱アセンブリ10のメモリ記憶装置11は、送信されるべきデータをモデム(図示せず)に送り、モデムは、電磁誘導コイル12への適切に変調されたキャリア電流の形態で信号を生成し、コイル12の近傍には電磁場が生成される。次いで、この電磁場は外部装置によって受信され、データを抽出するために処理され、それによって、電磁誘導加熱アセンブリ10から外部装置へ情報を無線送信することができる。或いは、モデムは、周知の負荷シフトキーイング変調方式に従って外部装置が検出できるような態様で、電磁誘導コイルに印加される負荷を変調することにより、動作することができる。このようにして、電磁誘導コイルの通電中に外部装置にデータを送信するために、装置内部の充電式電源によって電力が消費されることはなく、その代わり、電源は、外部装置にデータを送信すると同時に、外部装置によって充電され続けることができる。
【0064】
電磁誘導コイル12から放出される電磁場は、電磁誘導加熱可能サセプタによっても受信され得る。サセプタは、電磁誘導コイル12の近傍に配置されると、コイル12の電磁場を受信し、この電磁場はサセプタに渦電流を誘導し、それによって熱を生成する。好ましくは、外部サセプタは、電磁誘導加熱の加熱効果を高めるために、高い抵抗率の材料から製造される。
【0065】
このようにして、電磁誘導加熱アセンブリ10は、同じ部材から無線情報伝送と電磁誘導加熱との両方を提供することができる。
【0066】
そのような場合、サセプタでの加熱を誘導するのに最適な周波数であり、且つ、加熱アセンブリと外部装置との間で電力を伝達するのには最適とは言えないことがある周波数で、(後述する充電式電源15によって)電磁誘導コイルを通電することが好ましい。サセプタを加熱するのと同時に外部装置からデータを受信するために、サセプタを加熱するために電磁誘導コイルによって使用される周波数とは異なる周波数を有するキャリア信号を使用して、又は異なる時間に、データを送信することが便利であることがある(即ち、干渉を最小限に抑えるために、FDMA又はTDMA二重方式を採用する)。
【0067】
図2に示す例では、電磁誘導加熱アセンブリは、電磁誘導コントローラ13を更に含む。電磁誘導コントローラ13は、メモリ記憶装置11及び電磁誘導コイル12と電気的に接続するように構成され、これら2つの部品間を流れる電流を制御する。電磁誘導コントローラ13は、加熱設定を選択し、データ伝送の種類及び範囲を制御するために、ユーザが手動で操作することができる。代替として、電磁誘導コントローラ13は、所定のパラメータに従って、コイル12とメモリ11との(及び、モデムなどの関連するデータ送受信部品との)間の電流を自動的に調節するようにプログラムされることがある。
【0068】
電磁誘導加熱アセンブリ内部の電流を、直流と交流との間で変更することが必要である状況が生じることがある(例えば、電源15を充電する際に使用される、又はサセプタを加熱するために電磁誘導コイルに印加されるように電源15から供給される、直流との間で変換するため)。このことを考慮に入れるために、加熱アセンブリには、インバータと整流器の対が設置されることもある。
【0069】
図3は、図2の電磁誘導加熱アセンブリ10が外部電磁誘導装置30と相互作用する方法の一例を概略的に示す。外部電磁誘導装置30は、外部コイル32と、外部ベースユニット34への接続部33とを備える。この例では、電磁誘導加熱アセンブリ10は、その体積の内部に、外部電磁誘導装置30の一部31を収容する。特に、外部電磁誘導装置30は、外部コイル32の周縁部が加熱アセンブリ10の電磁誘導コイル12によって実質的に取り囲まれ且つこれら2つのコイルの中心軸が重なるように、電磁誘導加熱アセンブリ10に挿入される。この構成により、より安全で効率的なデータ伝送のための、加熱アセンブリ10と外部装置30との間の電磁結合の改善がもたらされる。加熱アセンブリ10は、データを伝送しながら他の望ましくない電磁場に対するシールドとしても機能する。
【0070】
外部電磁誘導装置30は、接続ケーブル33を介して外部ベースユニット34に接続される。電磁誘導加熱アセンブリ10から外部ベースユニット34へ情報を送信するように動作する場合、図3のコントローラを通過する矢印によって示されるように、電磁誘導コントローラ13によって制御される信号が、メモリ装置11から加熱アセンブリ10の電磁誘導コイル12に送信される。電磁誘導コイル12を流れる電流により、コイル12の近傍に電磁場が生成され、この電磁場は外部電磁誘導装置30の外部コイル32で受信される。外部コイル32における場は、信号のキャリア電流として機能する電流を電磁誘導し、この電流は、図3のケーブル33に隣接する矢印によって示されるように、接続ケーブル33を通過して外部ベースユニット34に至り、そこで信号は処理され保存される。
【0071】
このようにして、物理的接続を必要とすることなく、電磁誘導加熱アセンブリ10から外部装置30へ情報が伝送される。言い換えると、無線データ伝送が達成される。
【0072】
電磁誘導加熱アセンブリ10は、外部ソースから情報を受け取ることもできる。この例では、図3のケーブル33に隣接する矢印によって示されるように、外部ベースユニット34から外部コイル32へ信号が送信され、外部コイル32の近傍で電磁場が生成される。この場は、加熱アセンブリ10の電磁誘導コイル12にキャリア電流を電磁誘導し、このキャリア電流はメモリ装置11に選択的に渡される。
【0073】
ユーザは、外部電磁誘導装置30を加熱アセンブリ10に単に挿入して、データ伝送をセットアップすることができる。加熱アセンブリ10の内側の周縁部には、外部装置30が一旦挿入されると外部装置30の一部31を所定の位置に保持するためのストッパーが設けられることがある。一旦結合されると、データ伝送が、ユーザのコマンドによって又は自動的に、好ましくは内部データ検出器を使用して、開始することができる。
【0074】
本発明による電磁誘導加熱アセンブリ10が外部電磁誘導装置40と相互作用し得る方法の別の例を、図4に示す。上記のように、外部電磁誘導装置40は、外部コイル42と、外部ベースユニット44への接続部43とを備える。この例では、外部電磁誘導装置40の一部41は実質的にカップ形状をしており、加熱アセンブリ10の一部が、外部電磁誘導装置40の体積中に挿入される。具体的には、電磁誘導加熱コイル12の周縁部が、外部電磁誘導装置40の外部コイル42の周縁部によって実質的に取り囲まれ、これら2つのコイルの中心軸が実質的に重なるように、加熱アセンブリ10が外部装置40内に挿入される。前述のように、これら2つのコイルのこの実質的な重なりにより、安全な接続及び効率的なデータ伝送のための、加熱アセンブリと外部装置との間の強力な電磁結合が確保される。特に、この構成では、電磁誘導加熱アセンブリ10の内部体積は使用されず、この空間の例示的な使用については図7を参照して後述する。
【0075】
上述のように、2つの電磁誘導コイルを互いに結合する電磁場を介して、図4のコントローラ13を通過する矢印及びケーブル43に隣接する矢印によって示されるように、電磁誘導加熱アセンブリ10と外部ベースユニット44との間でデータを交換することができる。
【0076】
この例では、電磁誘導加熱アセンブリ10は充電式電源15を更に備える。電源15は、電磁誘導コントローラ13に接続されており、電磁誘導コイル12及びメモリ記憶装置11に電力を供給するように構成される。電力が電磁誘導コイル12で受け取られると、電流を電源15に選択的に供給して、電源15を電磁誘導的に充電することができる。このようにして、データがアセンブリ10と外部装置40との間で伝送されている間に、電源15を電磁誘導的に充電することができる。充電とデータ伝送は別々に行われてもよいが、電源15を充電するために使用される電流を、伝送されるデータのキャリアとして使用することができる。
【0077】
図5は、本発明の一例による、蒸気生成装置20の分解図を概略的に示す。この例では、蒸気生成装置20は、電磁誘導加熱アセンブリ10を備え、更に、気化可能物質23及び電磁誘導加熱可能サセプタ24を備える物体22を収容するように構成された加熱コンパートメント21を備える。加熱コンパートメント21は、少なくとも部分的に、電磁誘導コイル12に隣接するか又は電磁誘導コイル12の体積中に含まれる。加熱コンパートメント21に隣接して配置される吸気口25は、周囲環境から加熱コンパートメント21に空気を供給する。排気口26は、加熱コンパートメント21と連通しており、加熱コンパートメント21内部で生成された蒸気を抽出するための手段を提供する。図5に示した部品のうちの全部又は一部は着脱可能に構成され、図6は、図5に示した蒸気生成装置20の様々な部品が使用中にどのように一緒に組み立てられるかを示す。
【0078】
この例では、装置には、排気口26と連通するマウスピース27が取り付けられる。マウスピース27は、ユーザが装置20から生成された蒸気を容易に吸い込む能力を提供する。
【0079】
加熱コンパートメント21は、気化可能物質23及び電磁誘導加熱可能サセプタ24を備える物体22を収容するように構成される。好ましくは、物体22は気化可能物質を包含するための層又は膜を有し、この層又は膜は通気性である。例えば、物体22は、タバコ及び少なくとも1つの電磁誘導加熱可能サセプタ素子を包含する使い捨てカプセルであり得る。サセプタ24は、気化可能物質23と直接的に又は間接的に接触していることがあり、その結果、サセプタ24が電磁誘導加熱アセンブリ10の電磁誘導コイル12によって電磁誘導的に加熱されると、熱がサセプタ24から気化可能物質23に伝達されて蒸気が発生する。気化可能物質23の気化は、吸気口25を通じて周囲環境から空気を加えることによって促進される。その後、気化可能物質23を加熱することによって発生した蒸気は、排気口26を通じて加熱コンパートメント21を出てゆき、装置のユーザによって吸入されることができる。加熱コンパートメント21を通る空気の流れ、即ち、吸気口25からコンパートメント21を通って排気口26から出る空気の流れは、ユーザが装置20の排気口26側から空気を吸引することによって生成される負圧によって助けられることがある。
【0080】
図7は、図5及び図6の蒸気生成装置20が、データを伝送するように且つ気化可能物質23を電磁誘導的に加熱するように動作し得る方法を概略的に示す。外部コイル52を備えた外部電磁誘導装置50が、電磁誘導加熱アセンブリ10の周縁部を取り囲み、その結果、加熱コイル12及び外部コイル52の中心軸が実質的に重なり合う。この例では、外部電磁誘導装置50は2つの開放端部を有し、これを通して電磁誘導加熱アセンブリ10を挿入することができる。スナップフィット機構などの、電磁誘導コイル12に対して外部コイル52の位置を固定するための手段が存在することがある。これにより、蒸気生成装置20がサセプタ24を加熱し、同時に外部装置50とデータを交換するように動作することが可能になる。
【0081】
上記から分かるように、本発明は、物理的な接続又は別個の受信機/送信機を必要とすることなく、電磁誘導加熱機能及びデータ伝送機能を提供することにより、無線データ処理機能を備えた、安価でコンパクトで携帯手持ち式の使用に適した蒸気生成装置を提供することを可能にする。安全で効率的な情報交換システムを備え、サイズ、重量、及び製造コストを低減するために部品数が少ない電子蒸気生成装置が、本発明により達成され、そのような蒸気生成装置の加熱機能を更に可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7