(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】受信装置、送信装置、受信方法及び送信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 8/26 20090101AFI20230908BHJP
【FI】
H04W8/26
(21)【出願番号】P 2020536469
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 JP2019029390
(87)【国際公開番号】W WO2020031748
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2018148460
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤木 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠司
(72)【発明者】
【氏名】平林 克己
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-051144(JP,A)
【文献】特開2010-074460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置を識別するために前記送信装置毎に個別に付与された第1の識別子と、前記送信装置を識別するための第2の識別子であって複数の前記送信装置との間で共有された前記第2の識別子とに基づいて、前記送信装置を識別
し、
前記第2の識別子と対応付けされた変調パターンに基づいて、前記送信装置から送信された送信信号を受信し、
前記第2の識別子は、前記変調パターンを生成するための変調パラメータと対応付けされ、前記変調パラメータからLFSRを用いて前記変調パターンを生成する際のLFSRの初期値又はLFSRの多項式と対応付けされた、
受信装置。
【請求項2】
前記第1の識別子は前記送信装置が送信する送信フレームに含まれる、請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記第2の識別子は、前記初期値及び前記多項式のいずれか一方又は双方と対応付けされた、請求項
1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記変調パターンは、同期パターン、スクランブルパターン、又は多重化パターンの少なくとも1つを含む、請求項
1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記同期パターン、前記スクランブルパターン、及び前記多重化パターンが前記第2の識別子と対応付けされた、請求項
4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記第2の識別子は、通信を行う組織毎に付与される固有の情報を含む、請求項1に記載の受信装置。
【請求項7】
送信装置毎に個別に付与された第1の識別子を送信フレームに挿入し、複数の前記送信装置間で共有された第2の識別子に基づいて前記送信フレームの送信信号を変調して受信装置へ送信
し、
前記第2の識別子と対応付けされた変調パターンで前記送信フレームの前記送信信号を変調し、
前記第2の識別子は、前記変調パターンを生成するための変調パラメータと対応付けされ、前記変調パラメータからLFSRを用いて前記変調パターンを生成する際のLFSRの初期値又はLFSRの多項式と対応付けされた、
送信装置。
【請求項8】
前記第2の識別子は、前記初期値及び前記多項式のいずれか一方又は双方と対応付けされた、請求項
7に記載の送信装置。
【請求項9】
前記変調パターンは、同期パターン、スクランブルパターン、又は多重化パターンの少なくとも1つを含む、請求項
7に記載の送信装置。
【請求項10】
前記同期パターン、前記スクランブルパターン、及び前記多重化パターンが前記第2の識別子と対応付けされた、請求項
9に記載の送信装置。
【請求項11】
前記第2の識別子は、通信を行う組織毎に付与される固有の情報を含む、請求項
7に記載の送信装置。
【請求項12】
送信装置を識別するために前記送信装置毎に個別に付与された第1の識別子と、前記送信装置を識別するための第2の識別子であって複数の送信装置との間で共有された前記第2の識別子とに基づいて、前記送信装置を識別
し、
前記第2の識別子と対応付けされた変調パターンに基づいて、前記送信装置から送信された送信信号を受信し、
前記第2の識別子は、前記変調パターンを生成するための変調パラメータと対応付けされ、前記変調パラメータからLFSRを用いて前記変調パターンを生成する際のLFSRの初期値又はLFSRの多項式と対応付けされた、
受信方法。
【請求項13】
送信装置毎に個別に付与された第1の識別子を送信フレームに挿入し、複数の送信装置間で共有された第2の識別子に基づいて前記送信フレーム
の送信信号を変調して受信装置へ送信
し、
前記第2の識別子と対応付けされた変調パターンで前記送信フレームの前記送信信号を変調し、
前記第2の識別子は、前記変調パターンを生成するための変調パラメータと対応付けされ、前記変調パラメータからLFSRを用いて前記変調パターンを生成する際のLFSRの初期値又はLFSRの多項式と対応付けされた、
送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受信装置、送信装置、受信方法及び送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文献1には、受信装置が送信信号に用いられた拡散コードの推定結果に基づいて送信装置の識別情報を取得することを可能とするために、送信情報を識別情報に応じて選択した拡散コードを用いて拡散した送信信号を生成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送信機が、受信機へ送るデータを受信機側で区別できるように送信フレーム中に識別子を含めて送信を行う場合に、識別子のビット数が多くなると、実際に送信するデータのビット数が少なくなる。
【0005】
特に、データ通信量が予め少量に設定されている場合、識別子のビット数の増加によりデータのビット数が低下すると、必要なデータを送信できなくなる事態が想定される。
【0006】
特許文献1に記載された技術は、送信情報を識別情報に応じて選択した拡散コードを用いて拡散する技術に関する。従って、特許文献1では、送信フレーム自体に識別情報を入れることは想定していない。
【0007】
そこで、送信するデータビット数に影響を与えることなく、識別子のビット数を拡張することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、送信装置を識別するために前記送信装置毎に個別に付与された第1の識別子と、前記送信装置を識別するための第2の識別子であって複数の前記送信装置との間で共有された前記第2の識別子とに基づいて、前記送信装置を識別し、前記第2の識別子と対応付けされた変調パターンに基づいて、前記送信装置から送信された送信信号を受信し、前記第2の識別子は、前記変調パターンを生成するための変調パラメータと対応付けされ、前記変調パラメータからLFSRを用いて前記変調パターンを生成する際のLFSRの初期値又はLFSRの多項式と対応付けされた、受信装置が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、送信装置毎に個別に付与された第1の識別子を送信フレームに挿入し、複数の前記送信装置間で共有された第2の識別子に基づいて前記送信フレームの送信信号を変調して受信装置へ送信し、前記第2の識別子と対応付けされた変調パターンで前記送信フレームの前記送信信号を変調し、前記第2の識別子は、前記変調パターンを生成するための変調パラメータと対応付けされ、前記変調パラメータからLFSRを用いて前記変調パターンを生成する際のLFSRの初期値又はLFSRの多項式と対応付けされた、送信装置が提供される。
【0010】
また、本開示によれば、送信装置を識別するために前記送信装置毎に個別に付与された第1の識別子と、前記送信装置を識別するための第2の識別子であって複数の送信装置との間で共有された前記第2の識別子とに基づいて、前記送信装置を識別し、前記第2の識別子と対応付けされた変調パターンに基づいて、前記送信装置から送信された送信信号を受信し、前記第2の識別子は、前記変調パターンを生成するための変調パラメータと対応付けされ、前記変調パラメータからLFSRを用いて前記変調パターンを生成する際のLFSRの初期値又はLFSRの多項式と対応付けされた、受信方法が提供される。
【0011】
また、本開示によれば、送信装置毎に個別に付与された第1の識別子を送信フレームに挿入し、複数の送信装置間で共有された第2の識別子に基づいて前記送信フレームの送信信号を変調して受信装置へ送信し、前記第2の識別子と対応付けされた変調パターンで前記送信フレームの前記送信信号を変調し、前記第2の識別子は、前記変調パターンを生成するための変調パラメータと対応付けされ、前記変調パラメータからLFSRを用いて前記変調パターンを生成する際のLFSRの初期値又はLFSRの多項式と対応付けされた、送信方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、送信するデータビット数に影響を与えることなく、識別子のビット数を拡張することが可能となる。
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】送信フレーム上の識別子(TXID)の上位ビットに仮想的な上位ビットを構成した様子を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係る送信フレーム(PSDU)の構成の一例を示す模式図である。
【
図3】送信フレーム上の識別子に対し仮想的な上位ビットを付加した例を示す模式図である。
【
図4A】同期パターン生成パラメータにより同期パターンを生成する様子を示す模式図である。
【
図4B】スクランブルパターン生成パラメータによりスクランブルパターンを生成する様子を示す模式図である。
【
図4C】多重化パラメータにより多重化パターンを生成する様子を示す模式図である。
【
図5】一般的なLFSRの構成を示す模式図である。
【
図6】
図1に示した変調パラメータテーブルの構成を示す模式図であって、仮想的な上位ビットと変調パラメータを紐付けした例を示す模式図である。
【
図7】
図6と同様に、
図1に示した変調パラメータテーブルの構成を示す模式図であって、仮想的な上位ビットと変調パラメータを紐付けした例を示す模式図である。
【
図9】
図1に示した変調パラメータテーブルの構成を示す模式図であって、仮想的な上位ビットと変調パラメータを紐付けした例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.背景
2.本開示の概要
3.変調パラメータの具体例
4.LFSRの構成例
5.仮想上位ビットと変調パラメータの組み合わせの例
6.本実施形態に係るシステムの構成例
7.受信機の機能ブロック構成
8.本実施形態の変形例について
8.1.LFSRの多項式の変更により識別子を拡張する例
8.2.LFSRの初期値と多項式の変更により識別子を拡張する例
8.3.複数の変調パラメータのうち、一部は共通のものを使用する例
8.4.その他の変形例
【0016】
1.背景 本開示は、IoT(Internet of Things)等に用いられるLPWA(Low Power Wide Area)通信に関する。LPWA通信の特徴として、低ビットレート、低消費電力により少量のペイロード(Payload)データ(100ビット前後)を送受信することが挙げられる。送信機は、受信機へ送るデータを受信機側で区別できるように、送信フレーム中に識別子(ID;Identifier(TXID))を含めて送信を行う。なお、LPWA通信の例として、Sigfox、LoRaなどを挙げることができる。
【0017】
総務省告示「端末設備等規則の規定に基づく識別符号の条件等」では、特定小電力無線局(920MHz帯)において、送信機の端末の識別子の長さは32ビット以上とされている。送信フレームに含めることのできるデータビット数は高々100ビット前後であるため、例えばSigFox、LoRaでは、識別子を32ビットで構成している。これにより、データビット数の減少が最小限に抑えられ、必要なデータを送信することが可能である。
【0018】
しかし、送信フレーム上の識別子(32ビット)を全ての送信機に割振り、識別子を使い切ってしまった場合、新たに送信機を増やすことができなくなる。つまり、多くの送信機に対して識別子を割り振ることを想定した場合、識別子のビット数が枯渇する問題がある。
【0019】
また、IEEEやETSI(欧州電気通信標準化機構)などの通信における国際標準規格では、32ビットより多くのビットにより送信機の端末が同定されなければならないとされている。
【0020】
このため、LPWA通信において、データビット数の減少を抑制しつつ、送信機を同定するための識別子のビット数を増加する仕組みが求められる。
【0021】
2.本開示の概要
本開示の一実施形態では、少量のデータを送信するLPWA通信において、送信フレーム中の識別子(TXID:32ビット)と無線通信のための変調パラメータを組み合わせて、仮想的に識別子の上位ビットを構成する。無線通信の場合、空間にデータを送信するため、変調を行う。この変調を行うための変調パラメータと識別子の仮想的な上位ビットを紐付けることにより、識別子のビット数を拡張することが可能となる。
【0022】
ここで、変調パラメータとは、MAC層で定義される送信するビットパターンそのものではなく、PHY層で定義されるRF信号の変調の違いを生成するパラメータである。変調の種類としては、同期信号パターン、スクランブルパターン、周波数ホッピングパターン、送信開始タイミング、スペクトル拡散係数などがある。また、変調パラメータとしては、それぞれの変調を実現する初期値、多項式、ビット操作(選択、割振り、反転、交換)、アルゴリズムの種類などのパラメータがある。
【0023】
図1は、送信フレーム上の識別子(TXID)10の上位ビットに仮想的な上位ビット20を構成した様子を示す模式図である。仮想的な上位ビット20から変調パラメータテーブルを参照することで、変調パラメータ#0~#Nが得られる。これにより、識別子10が同じであっても、変調パラメータを変えることで、仮想的な上位ビット20によりビット数が拡張した識別子を実現することができる。仮想的な上位ビット20としては、後述するように、例えばIoTなどによる通信のネットワークを構成する組織毎に割り当てられた固有の値を用いることができる。
【0024】
図1は、主に送信機側で行われる処理を示している。送信機側では、送信機毎に個別に付与された識別子10を送信フレームに挿入し、複数の送信機間で共有された仮想的な上位ビット20の情報に基づいて送信フレームの送信信号を変調して受信機へ送信する。
【0025】
受信機側では、受信しようとする送信フレーム50を識別子10に基づいて判断する。自身が受信しようとする識別子10が付与されていない送信フレーム10については、受信機側で受信が行われない。また、前提として、送信波の識別子、変調方法は予め受信機側で把握している。受信機側においても、
図1と同様の処理が行われる。送信波を指定して復調するために、受信機側においても、識別子と変調パラメータが
図1に示すデータベース100と同様に登録されている。換言すれば、識別子と変調パラメータが不明であると、受信機側で復調することができない。
【0026】
なお、本実施形態のシステムは、送信機から受信機への片方向通信(uplink)を想定しているため、送信機に指示(downlink)を送ることで、特定のデータを要求することは想定しないものとする。
【0027】
図2は、本実施形態に係る送信フレーム(PSDU)50の構成の一例を示す模式図である。
図2に示すように、この送信フレーム50では、識別子10は32ビット、ペイロードは128ビット、CRCは24ビットとされている。
【0028】
図3は、IEEE 64-bit Global Identifier(EUI-64)の例を示しており、送信フレーム上の識別子10に対し仮想的な上位ビットを付加した例を示す模式図である。
図3において、各eui[0]~[7]のそれぞれは8ビットであり、eui[4]~[7]が32ビットの識別子10に対応する。
【0029】
また、eui[0]~[2]は、OUI(またはCID(Company ID))30に対応する。OUI(またはCID(Company ID))30は、IEEE Registration Authority(IEEE RA)により発行される24ビット値であり、組織または企業に対してユニークな値であることが保証されているビットである。
【0030】
eui[3]と識別子10に対応するeui[4]~[7]は、OUI30を除いた40ビットであり、システムを構成する組織毎に自由に定義できるものとされている。識別子を拡張するにあたり、
図2に示す送信フレーム50の識別子10のビット数を単に増加すると、ペイロードのビット数が減少してしまうことになる。本実施形態では、このうちの下位32ビットを送信フレーム上の識別子10として送信フレーム50に搭載するものとする。また、OUI30とeui[3]を組み合わせて、仮想的な上位ビット20として使用する。
【0031】
そして、例えば、アライアンスなどによりロゴ認証する際には、他の組織等と異なる変調パラメータを定義し、この変調パラメータをOUI30とeui[3]の値に紐付ける。これにより、識別子10の32ビットに加えて、OUI30とeui[3]の32ビットを仮想的な識別子として機能させることができ、合計64ビットの拡張された識別子を構成することができる。
【0032】
3.変調パラメータの具体例
本実施形態では、OUI30とeui[3]の値に紐付ける変調パラメータとして、同期パターン生成パラメータ(25ビット×2)、スクランブルパターン生成パラメータ(24ビット×1)、多重化パラメータ(32ビット×2)を使用する。多重化パラメータとしては、送信開始タイミング(グリッド番号)と周波数ホッピングチャネル番号を算出する。
【0033】
図4A~
図4Cは、同期パターン生成パラメータ、スクランブルパターン生成パラメータ、多重化パラメータにより同期パターン、スクランブルパターン、多重化パターンを生成する様子を示す模式図である。同期パターン、スクランブルパターン、多重化パターンを生成する際には、いずれの場合もLFSR(Linear Feedback Shift Register)を用いる。LFSRでは、シフトレジスタと排他的論理和(XOR)によるフィードバックとを用いて回路が構成され、かつフィードバックの位置が原始多項式により決定される。なお、LFSRの構成は後述する。
【0034】
図4Aは、同期パターン生成パラメータにより同期パターンを生成する様子を示す模式図である。同期パターン生成パラメータにより同期パターンを生成する際には、2つのLFSR(LFSR(#1)200とLFSR(#2)210)を用いる。LFSR(#1)200とLFSR(#2)210は、いずれも25ビットのLFSR多項式から構成される。
【0035】
また、同期パターンを生成する際には、変調パラメータ(同期パターン生成パラメータ)として、25ビットの初期値1と初期値2が用いられる。初期値1はLFSR(#1)200に入力され、初期値2はLFSR(#2)210に入力される。
【0036】
図4Aに示すように、排他論理和部220にて、LFSR(#1)200から出力された値とLFSR(#2)210から出力された値の排他的論理和(XOR)をとることで、同期パターンが生成される。
【0037】
図4Bは、スクランブルパターン生成パラメータによりスクランブルパターンを生成する様子を示す模式図である。スクランブルパターン生成パラメータによりスクランブルパターンを生成する際には、1つのLFSR230を用いる。LFSR230は、24ビットのLFSR多項式から構成される。
【0038】
また、スクランブルパターンを生成する際には、変調パラメータ(スクランブルパターン生成パラメータ)として、24ビットの初期値が用いられる。初期値はLFSR230に入力される。
図4Bに示すように、LFSR230から出力された値がスクランブルパターンとされる。
【0039】
図4Cは、多重化パラメータにより多重化パターン(送信開始グリッド番号と送信チャネル番号)を生成する様子を示す模式図である。多重化パターンを生成する際には、2つのLFSR(LFSR(#1)240とLFSR(#2)250)を用いる。LFSR(#1)240とLFSR(#2)250は、いずれも32ビットのLFSR多項式から構成される。
【0040】
また、多重化パターンを生成する際には、変調パラメータ(多重化パターン生成パラメータ)として、32ビットの初期値1と初期値2が用いられる。初期値1はLFSR(#1)240に入力され、初期値2はLFSR(#2)250に入力される。
【0041】
図4Cに示すように、LFSR(#1)240から出力された値とLFSR(#2)250から出力された値は擬似乱数生成部260に入力される。擬似乱数生成部260では、擬似乱数(PRN)を生成することで、多重化パターン(送信開始グリッド番号と送信チャネル番号)を生成する。つまり、多重化パターンは、送信タイミングと送信チャネルを定めるパターンである。
【0042】
4.LFSRの構成例
図5は、一般的なLFSRの構成を示す模式図である。LFSRでは、シフトレジスタと排他的論理和(XOR)によるフィードバックとを用いて回路が構成され、フィードバックの位置が原始多項式により決定される。
図5では、原始多項式が以下の式である場合を示している。
p(x)=x
16+x
14+x
13+x
11+1
【0043】
LFSRの実装方法としてガロア型とフィボナッチ型があるが、本実施形態では一例として例としてガロア型を用いる。
【0044】
LFSRは、動作開始前に、それぞれのレジスタに初期値(シード)を設定する。この際、
図4A~
図4Cで説明した初期値が設定される。
図5では、16ビットの初期値の場合の例を示しているが、上述のように、同期パターン生成では初期値は25ビットであり、スクランブルパターン生成では初期値は24ビットであり、多重化パターン生成では初期値は32ビットである。このビット数に応じて、LFSRの構成は適宜変更される。
【0045】
5.仮想上位ビットと変調パラメータの組み合わせの例
図6は、
図1に示した変調パラメータテーブル100の構成を示す模式図であって、仮想的な上位ビット20と変調パラメータを紐付けした例を示す模式図である。組織として、A社、B社、C社の3つを挙げて、各組織のアライアンスなどによりロゴ認証する場合を想定する。A社、B社、C社のそれぞれについて24ビットのOUI30が固有の値として与えられている。また、
図6に示すように、eui[3]については、A社については2通りの値(“00”と“01”)が、B社及びC社については1通りの値(“00”)がそれぞれ付与されている。eui[3]の値を2通りに設定することで、仮想的な上位ビット20のビット数をより拡張することができる。
【0046】
そして、OUI30とeui[3]の組み合わせに対して、同期パターン生成パラメータの初期値(2つ)、スクランブル生成パラメータの初期値(1つ)、多重化パラメータの初期値(2つ)がそれぞれ付与されている。
【0047】
例えば、A社のOUI30とeui[3](=“00”)の組み合わせに対して、同期パターン生成のLFSR(#1)200の初期値1とLFSR(#2)210の初期値2が設定されている。同様に、A社のOUI30とeui[3](=“01”)の組み合わせに対して、スクランブルパターン生成のLFSR230の初期値9が設定され、多重化パターン生成のLFSR(#1)240の初期値13とLFSR(#2)250の初期値14が設定されている。
【0048】
送信機側では、
図6に示す変調パラメータテーブル100を用いて、同期パターン生成パラメータ、スクランブルパターン生成パラメータ、多重化パラメータの各パラメータを取得し、
図4A~
図4Cに示した手法で同期パターン、スクランブルパターン、多重化パターンを生成する。
【0049】
従って、OUI30とeui[3]の仮想的な32ビットによって定まる変調パラメータに基づいて変調パターンが生成され、この変調パターンによって送信フレーム50の送信信号が変調されて送信される。同様に、受信機側においても、OUI30とeui[3]によって定まる変調パラメータに基づいて変調パターンが生成される。従って、送信機側と受信機側で同じ変調パターンを生成することで、送信機から受信機へ送信フレームを変調して送信フレームを送信した際に、受信機側では同じ組織に属する送信機から送られた送信フレームとして認識し、送信フレームを復調して受信することができる。
【0050】
この結果、元々の32ビットの識別子10に加えて、OUI30とeui[3]の仮想的な32ビットが識別子として機能することになり、合計64ビットの識別子を構成することが可能となる。従って、識別子10は同じ値であっても、変調パラメータを変えることで、識別子の拡張を実現することができる。
【0051】
なお、送信機側では、送信する度に変調パラメータを生成しても良い。また、受信機側では、予め全ての変調パターンを生成しておき、受信の際に生成しておいた変調パターンを使用しても良い。
【0052】
6.本実施形態に係るシステムの構成例
図7は、本技術を適用した情報通信システムの主な構成例を示す図である。
図7に示される情報通知システム1100は、送信機1101が自身の情報を通知するシステムである。
【0053】
送信機1101は、本技術を適用した送信機の一実施の形態であり、自身が取得した情報を、無線信号として送信する。なお、無線通信の方式は特に限定されるものではない。基地局1102は、本技術を適用した受信機の一実施の形態であり、その無線信号を受信して送信装置1101の情報を取得し、その情報等を、クラウドサーバ1103に供給する。つまり、基地局1102は、送信機1101から送信された情報を中継してクラウドサーバ1103に伝送する中継局として機能する。送信機1101から基地局1102に対する情報の送信は、例えば片方向の通信によって行われる。クラウドサーバ1103は、各送信機1101の各種情報を管理し、例えば、送信機1101の位置をユーザに通知するサービスを提供する。例えば、送信機1101の位置を知りたいユーザに操作される情報処理端末1104は、クラウドサーバ1103にアクセスし、送信機1101の位置情報を取得し、例えば地図データ等とともに表示する等して、ユーザに送信機1101の位置を通知する。
【0054】
送信機1101は、例えば各種ユーザが携帯したり、自動車、家電製品などに装着されている。送信機1101は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からGPS信号を受信する等して、適宜、自身の位置情報(例えば、緯度および経度)を求めることができる。送信機1101は、適宜、その位置情報や自身が備えるセンサにより取得した各種情報を無線信号として送信する。
【0055】
また、各送信機1101は、固有の識別子10を有している。この識別子10は、各送信機1101の製品出荷時に予め登録することにより、送信機1101のメモリ等に記録されている。この識別子10の情報は、クラウドサーバ1103に登録され、クラウドサーバ1103が各基地局1102へ送信することで、各基地局1102間で共有されている。従って、基地局1102は、受信しようとする送信フレーム50を送信した送信機1101を識別子10により認識できる。また、上述したOUI30とeui[3]の情報は、クラウドサーバ1103が各送信機1101へ送信することにより、または各送信機1101の製品出荷時に予め登録することにより、送信機1101のメモリ等に記録されている。同様に、OUI30とeui[3]の情報は、クラウドサーバ1103が各基地局1102へ送信することにより、または各基地局1102に予め登録することにより、各基地局1102のメモリ等に記録されている。
【0056】
なお、
図7においては3台の送信装置1101が示されているが、送信装置1101の数は任意である。送信装置1101は、専用の装置として構成されるようにしてもよいが、例えば、携帯電話機やスマートフォンのような携帯型の情報処理装置に組み込むようにしてもよい。
【0057】
基地局1102は、どのような設備であってもよい。例えば、専用の施設・建造物としてもよい。また、例えば、一般のビル、マンション、家屋等の建造物の屋根や屋上等に設置可能な設備としてもよい。さらに、例えば、ユーザが携帯したり、車等の移動体に設置したりすることができる携帯型の設備としてもよい。
【0058】
基地局1102は、複数設置される。例えば
図7の場合、基地局1102-1は、東京に設定されており、基地局1102-2は、横浜に設置されている。
図7においては、2つの基地局1102が示されているが、基地局1102の数は任意である。
【0059】
クラウドサーバ1103の構成は任意であり、例えば任意の数のサーバと任意の数のネットワーク等により構成されるようにしてもよい。クラウドサーバ1103が複数設けられていてもよい。
【0060】
このような位置通知システム1100において、送信装置1101の送信信号処理部1101aは、送信フレーム50に識別子10を挿入する処理を行う。また、送信装置1101の送信信号処理部1101aは、変調パターンにより送信フレーム50のデータに合わせて搬送波を変調し、基地局1102へ送信する。すなわち、送信装置1101は、変調パラメータに基づいて変調を行い、その設定に基づいて各パケットを送信する。このように変調を利用して送信を行うことにより、混信の発生を抑制することができ、確実に情報の伝送を行うことができる。なお、送信信号処理部1101aは、回路(ハードウェア)、またはCPUなどの中央演算処理装置とこれを機能させるためのプログラム(ソフトウェア)から構成される。
【0061】
また、送信機1101の仮想的な上位ビットに基づいて変調パターンを設定することにより、同期パターン、スクランブルパターン、多重化パターンなどの変調パターンを変えることができるので、他の送信装置1101から送信されるパケットとの衝突の発生を抑制することができる。つまり、より確実に情報の伝送を行うことができる。
【0062】
また、基地局1102は、クラウドサーバ1103から送信機1101の識別子10を取得し、その識別子10に基づいて受信を行う。また、基地局1102は、予め取得しているOUI30とeui[3]に基づいて、変調パターンを設定する。OUI30とeui[3]により変調パターンが特定できれば、その変調パターンに基づいて送信フレーム50の検出を行えばよいので、例えばS/N比が低い場合などであっても、送信フレーム50の検出がより容易になる。従って、より高感度な受信が可能となり、より確実な情報の伝送を実現することができる。また、不要なタイミングや不要な周波数帯域で送信フレーム50の検出等の処理を行わなくてよいので、負荷の増大を抑制することができる。
【0063】
基地局1102が備える受信信号処理部1102aは、送信機を識別するために送信機毎に個別に付与された識別子10と、送信機を識別するための仮想的な上位ビット20であって複数の送信機1101との間で共有された上位ビット20に基づいて、送信機を識別する。より具体的には、上位ビット20から得られる変調パラメータにより生成される変調パターンにより、送信機を識別する。従って、受信機は、基地局1102と異なる組織に属する送信機から送信された送信信号を受信することがなく、受信しようとする識別子10と異なる送信機から送信された送信信号を受信することもない。なお、変調パターンは、クラウドサーバ1103側で生成しても良く、クラウドサーバ1103から各送信機1101、各基地局1102へ送信して共有しても良い。また、基地局1102は、無線信号の受信に関する情報、例えば、どの送信機1101からの無線信号をいつ受信したか、その無線信号の内容(無線信号から抽出したデータ)等を、受信情報としてクラウドサーバ1103に供給することもできる。なお、受信信号処理部1102aは、回路(ハードウェア)、またはCPUなどの中央演算処理装置とこれを機能させるためのプログラム(ソフトウェア)から構成される。
【0064】
7.受信機の機能ブロック構成
図8は、受信機の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、受信機は、ベースバンド変換部300、選択部310、同期検出部320、デスクランブル部330、復号・誤り訂正部340、を有して構成されている。
【0065】
ベースバンド変換部300は、受信した送信フレーム50のベースバンドを変換する処理を行う。選択部310は、擬似乱数を用いて、周波数チャンネルを選択し、送信開始グリッドを選択する処理を行う。この擬似乱数は、擬似乱数生成部260による擬似乱数に相当する。擬似乱数により、多重化パターン(送信開始グリッド番号と送信チャネル番号)を得ることで、周波数チャンネルを選択し、送信開始グリッドを選択する。
【0066】
同期検出部320は、同期パターンを用いて、送信フレーム50の送信信号の同期を検出する処理を行う。デスクランブル部330は、スクランブルパターンを用いて、デスクランブル処理を行う。復号・誤り訂正部340は、送信信号を復号し、送信フレーム50のCRCに基づいて誤りを訂正する処理を行う。以上のように、受信機では、擬似乱数、同期パターン、スクランブルパターンに基づいて、送信信号を受信する。受信機側では、予め仮想的な上位ビット20に基づいて変調パラメータを取得しておくことで、変調パターンを認識できるため、このような処理が可能となる。
【0067】
8.本実施形態の変形例について
8.1.LFSRの多項式の変更により識別子を拡張する例
上述した実施形態では、OUI30とeui[3]に応じてLFSRの初期値を変更する例を示したが、OUI30とeui[3]に応じてLFSRの多項式を変更しても良い。
図9は、
図6と同様に、
図1に示した変調パラメータテーブル100の構成を示す模式図であって、仮想的な上位ビット20と変調パラメータを紐付けした例を示す模式図である。
【0068】
図9に示す例では、OUI30とeui[3]に応じてLFSRの多項式が設定されている。なお、
図9においても、eui[3]については、A社については2通りの値(“00”と“01”)が、B社及びC社については1通りの値(“00”)がそれぞれ付与されている。
【0069】
例えば、A社のOUI30とeui[3](=“00”)の組み合わせに対して、同期パターン生成のLFSR(#1)200の多項式1とLFSR(#2)210の多項式2が設定されている。同様に、A社のOUI30とeui[3](=“01”)の組み合わせに対して、スクランブルパターン生成のLFSR230の多項式9が設定され、多重化パターン生成のLFSR(#1)240の多項式13とLFSR(#2)250の多項式14が設定されている。
【0070】
図10及び
図11は、多項式を変更した例を示す模式図である。
図10は、原始多項式を以下の式にした例を示している。
p(x)=x
16+x
12+x
3+x
1+1
【0071】
また、
図11は、原始多項式を以下の式にした例を示している。
p(x)=x
16+x
14+x
13+x
12+x
9+x
2+1
【0072】
この際、OUI30とeui[3]に応じて多項式を変更していることから、OUI30とeui[3]に応じて初期値を変更することなく、同じ初期値を使用しても良い。例えば、A社の同期パターン生成のためのLFSR(#1)200の初期値1及びLFSR(#2)210の初期値2と、B社の同期パターン生成のためのLFSR(#1)200の初期値5及びLFSR(#2)210の初期値6とを、それぞれ同一の値としても良い。
【0073】
8.2.LFSRの初期値と多項式の変更により識別子を拡張する例
この例では、
図6に示したOUI30とeui[3]に応じた初期値の変更と、
図9に示したOUI30とeui[3]に応じた多項式の変更を組み合わせることで、OUI30とeui[3]に応じて初期値と多項式の双方を変更する。例えば、A社のeui[3](=“00”)において、同期パターン生成のためのLFSR(#1)200の初期値1とLFSR(#2)210の初期値2を設定し、且つ多項式1及び多項式2を設定する。同様に、A社のeui[3](=“00”)において、スクランブルパターン生成のためのLFSR230の初期値9を設定し、且つ多項式9を設定する。
【0074】
8.3.複数の変調パラメータのうち、一部は共通のものを使用する例
この例では、例えばA社のeui[3](=“00”)とeui[3](=“01”)のそれぞれにおいて、同期パターン生成のためのLFSR(#1)200の初期値とLFSR(#2)210の初期値を共通に設定する。つまり、eui[3](=“00”)の場合のLFSR(#1)200の初期値1と、eui[3](=“01”)の場合のLFSR(#1)200の初期値3を同じ値とし、eui[3](=“00”)の場合のLFSR(#1)200の初期値2と、eui[3](=“01”)の場合のLFSR(#1)200の初期値4を同じ値とする。
【0075】
このように、スクランブル生成パラメータ、または多重化パラメータがeui[3]=00とeui[3]=01で異なっていれば、同期パターン生成のためのLFSR(#1)200の初期値とLFSR(#2)210の初期値を共通に設定することができる。A社のeui[3](=“00”)の同期パターン生成パラメータの初期値とB社の同期パターン生成パラメータの初期値においても同様に、両者が同一であっても良い。
【0076】
8.4.その他の変形例
OUI30とeui[3]の値のいずれか、あるいは両方をLFSRの初期値の一部に使用しても良い。また、OUI30とeui[3]の値のいずれか、あるいは両方を使って、スクランブル生成パラメータで生成した系列の一部を置き換えることもできる。また、これらの2つの例において、全ての値、あるいは値の一部を用いても良い。
【0077】
また、多重化パラメータの生成に際して、2つの初期値として、以下の値を用いても良い。・識別子10(TXID)とTIMEWORD(GPS時刻を32ビット値に変換したもの)とを、それぞれ設定する。・識別子10(TXID)とTIMEWORDの一部を入れ換えて、それぞれ設定する。この際、入れ換え方をパラメータとする。・識別子10(TXID)とTIMEWORDのいずれか、あるいは両方を巡回ビットシフトさせて、それぞれ設定する。巡回シフト回数をパラメータとする。
なお、識別子10(TXID)とTIMEWORDを使用するのは、異なる端末で同じ多重化パラメータとしないためである。
【0078】
以上の説明では、識別子を64ビットに拡張する例を示したが、識別子10が32ビットよりも長い場合についても、同様の方法で対応することができる。例えば、EUI―48への対応、40ビットの識別子への対応S、33ビット以上64ビットより小さい識別子への対応などが考えられる。
【0079】
ISM(Industry Science Medical)帯、特定小電力無線局などで使用される全帯域において、変調パターンや、送信タイミングおよび周波数ホッピングの履歴を確認することにより、テーブル引きして、TXID以外の(仮想IDの)上位ビットを特定することもできる。
【0080】
以上説明したように本実施形態によれば、32ビットの識別子10と変調パラメータを組み合わせて仮想的な識別子を構成することで、識別子が枯渇することへの対策、送信機の端末の同定、国際規格への準拠を実現することができる。
【0081】
具体的には、識別子10の32ビットを全て使い切っても、変調パラメータを変更することで、新たに32ビットの識別子10の空間を確保することができ、識別子の枯渇を抑制することができる。この際、仮想的な上位ビット20を用いて変調パターンを変更するため、送信フレーム50の識別子のビット数が増加することがなく、送信フレームのデータビットを減らすことなく識別子を拡張することが可能となる。
【0082】
また、送信フレームに含まれる32ビットの識別子10が同じでも、送信機の変調が異なるため、送信機側の端末を区別することが可能となる。また、変調パラメータを変更することで、膨大な数の組み合わせを実現することができ、端末同定用の識別子(ID)として利用することが可能となる。本実施例の場合、例えば同期パターン生成の初期値だけを使っても (225-1)×(225-1)通りの組み合わせを実現できる。なお、1を減算するのは、all 0は使用できないためである。これにより、送信機の端末を確実に同定することができる。
【0083】
また、国際規格として要求される端末同定のための識別子を実現することができ、国際規格に準拠することができる。
【0084】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0085】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0086】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
送信装置を識別するために前記送信装置毎に個別に付与された第1の識別子と、前記送信装置を識別するための第2の識別子であって複数の前記送信装置との間で共有された前記第2の識別子とに基づいて、前記送信装置を識別する、受信装置。
(2)
前記第1の識別子は前記送信装置が送信する送信フレームに含まれる、前記(1)に記載の受信装置。
(3)
前記第2の識別子と対応付けされた変調パターンに基づいて、前記送信装置から送信された送信信号を受信する、前記(1)又は(2)に記載の受信装置。
(4)
前記第2の識別子は、前記変調パターンを生成するための変調パラメータと対応付けされた、前記(3)に記載の受信装置。
(5)
前記第2の識別子は、前記変調パラメータからLFSRを用いて前記変調パターンを生成する際のLFSRの初期値又はLFSRの多項式と対応付けされた、前記(4)に記載の受信装置。
(6)
前記第2の識別子は、前記初期値及び前記多項式のいずれか一方又は双方と対応付けされた、前記(5)に記載の受信装置。
(7)
前記変調パターンは、同期パターン、スクランブルパターン、又は多重化パターンの少なくとも1つを含む、前記(3)~(6)のいずれかに記載の受信装置。
(8)
前記同期パターン、前記スクランブルパターン、及び前記多重化パターンが前記第2の識別子と対応付けされた、前記(7)に記載の受信装置。
(9)
前記第2の識別子は、通信を行う組織毎に付与される固有の情報を含む、前記(1)~(8)のいずれかに記載の受信装置。
(10)
送信装置毎に個別に付与された第1の識別子を送信フレームに挿入し、複数の前記送信装置間で共有された第2の識別子に基づいて前記送信フレームの送信信号を変調して受信装置へ送信する、送信装置。
(11)
前記第2の識別子と対応付けされた変調パターンで前記送信フレームの前記送信信号を変調する、前記(10)に記載の送信装置。
(12)
前記第2の識別子は、前記変調パターンを生成するための変調パラメータと対応付けされた、前記(11)に記載の送信装置。
(13)
前記第2の識別子は、前記変調パラメータからLFSRを用いて前記変調パターンを生成する際のLFSRの初期値又はLFSRの多項式と対応付けされた、前記(12)に記載の送信装置。
(14)
前記第2の識別子は、前記初期値及び前記多項式のいずれか一方又は双方と対応付けされた、前記(13)に記載の送信装置。
(15)
前記変調パターンは、同期パターン、スクランブルパターン、又は多重化パターンの少なくとも1つを含む、前記(11)~(14)のいずれかに記載の送信装置。
(16)
前記同期パターン、前記スクランブルパターン、及び前記多重化パターンが前記第2の識別子と対応付けされた、前記(15)に記載の送信装置。
(17)
前記第2の識別子は、通信を行う組織毎に付与される固有の情報を含む、前記(10)~(16)のいずれかに記載の送信装置。
(18)
送信装置を識別するために前記送信装置毎に個別に付与された第1の識別子と、前記送信装置を識別するための第2の識別子であって複数の前記送信装置との間で共有された前記第2の識別子とに基づいて、前記送信装置を識別する、受信方法。
(19)
送信装置毎に個別に付与された第1の識別子を送信フレームに挿入し、複数の前記送信装置間で共有された第2の識別子に基づいて前記送信フレームの送信信号を変調して受信装置へ送信する、送信方法。
【符号の説明】
【0087】
10 識別子
50 送信フレーム
200,210,230,240,250 LFSR
1101 送信機
1101a 送信信号処理部
1102 基地局(受信機)
1102a 受信信号処理部