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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】吐出装置及びカスタマイズ吐出システム
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/76 20060101AFI20230908BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
B65D83/76 110
A45D34/04 555
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020546844
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2019033806
(87)【国際公開番号】W WO2020054435
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2018169200
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】那須 美恵子
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0799165(KR,B1)
【文献】米国特許第05356049(US,A)
【文献】特開2006-124007(JP,A)
【文献】特表2017-506550(JP,A)
【文献】特開2017-214114(JP,A)
【文献】特表2013-537811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/76
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繰出し容器と、
中央に上下方向に延びる合流空間が形成された柱状体と、を備える吐出装置であって、
前記複数の繰出し容器の各繰出し容器は、
内容物を収容可能な容器本体と、前記容器本体の上部に設けられるノズルと、を有し、
前記容器本体内に設けられるピストンの上昇によって、前記容器本体内に収容された内容物を、前記ノズルから吐出させ、
前記ノズルは、水平方向に延伸して、水平方向に開口する吐出口から前記内容物を水平方向に押し出し、
前記ノズルが延伸している側面には、前記ノズルの延伸方向と交差する方向に突出する突起が設けられており、
前記柱状体の上面には、前記複数の繰出し容器の複数のノズルを上から嵌合可能なように、中央の前記合流空間と前記柱状体の外側面とを貫通する複数の嵌め込み溝部が放射状に形成され、
前記柱状体の上面には、前記複数の嵌めみ溝部から延出する、前記複数のノズルの前記突起と係合可能な溝部が形成されており、
前記複数の繰出し容器から、前記複数のノズルを通って吐出された内容物は、前記合流空間で合流する
吐出装置。
【請求項2】
前記合流空間に嵌合し、前記合流空間の内側で上下に移動可能な中央ピストンが設けられており、
前記中央ピストンが受入位置にあるとき、前記合流空間に前記複数のノズルの複数の吐出口が連通し、前記複数の吐出口から前記内容物が前記合流空間に流入可能な状態となり、
前記ピストンが押出位置にあるとき、前記複数の吐出口が前記中央ピストンによって閉鎖される
請求項に記載の吐出装置。
【請求項3】
開口部が形成された吐出面を有する装置ケースを備え、
前記中央ピストンを前記押出位置から前記受入位置に移動させて、前記複数のノズルの前記複数の吐出口と前記合流空間とを連通状態にして、前記内容物を前記合流空間に流入させた後、
前記中央ピストンを前記受入位置から前記押出位置に移動させることで、前記合流空間内に流入した前記内容物を前記開口部から前記吐出面の外側に押し出す
請求項に記載の吐出装置。
【請求項4】
複数の繰出し容器と、
上部に、前記繰出し容器の同数の固定部が設けられ、下部に円筒部を有している中央支持体と、を備え、
前記複数の繰出し容器の各繰出し容器は、
内容物を収容可能な容器本体と、前記容器本体の上部に設けられるノズルと、を有し、
前記容器本体内に設けられるピストンの上昇によって、前記容器本体内に収容された内容物を、前記ノズルから吐出させ、
前記ノズルは、水平方向に延伸して、水平方向に開口する吐出口から前記内容物を水平方向に押し出し、
前記ノズルが延伸している側面には、前記ノズルの延伸方向と交差する方向に突出する突起が設けられており、
前記複数の繰出し容器の複数のノズルは、それぞれ2つの固定部に挟まれて固定可能であり、
前記固定部の側面には、前記複数のノズルの前記突起と係合可能なくり抜き部が形成されており、
前記複数の繰出し容器は、前記中央支持体の円筒部の上方に、前記複数のノズルの先端近傍が隣接するように放射状に配置され、
前記複数の繰出し容器から、前記複数のノズルを通って吐出された内容物は、前記複数のノズルのノズル吐出面で取り囲まれる空間で合流する
吐出装置。
【請求項5】
前記ノズル吐出面で取り囲まれる空間に嵌合し、前記ノズル吐出面で取り囲まれる空間及び前記円筒部の内周面の内側で上下に移動可能な中央ピストンが設けられており、
前記中央ピストンが受入位置にあるとき、前記ノズル吐出面で取り囲まれる空間に前記複数のノズルの複数の吐出口が連通し、前記複数の吐出口から前記内容物が前記ノズル吐出面で取り囲まれる空間に流入可能な状態となり、
前記ピストンが押出位置にあるとき、前記複数の吐出口が前記中央ピストンによって閉鎖される
請求項に記載の吐出装置。
【請求項6】
複数の繰出し容器と、
上面の中央にすり鉢状の凹部を有する柱状体と、
前記凹部に沿った外側凹部が形成された上面を有する装置ケースと、を備える吐出装置であって、
前記複数の繰出し容器の各繰出し容器は、
内容物を収容可能な容器本体と、前記容器本体の上部に設けられるノズルと、を有し、
前記容器本体内に設けられるピストンの上昇によって、前記容器本体内に収容された内容物を、前記ノズルから吐出させ、
前記ノズルは、水平方向に延伸して、水平方向に開口する吐出口から前記内容物を水平方向に押し出し、
前記ノズルが延伸している側面には、前記ノズルの延伸方向と交差する方向に突出する突起が設けられており、
前記柱状体の上面には、前記複数の繰出し容器の複数のノズルを上から嵌合可能なように、中央の前記凹部と前記柱状体の外側面とを貫通する複数の嵌め込み溝部が放射状に形成されており、
前記装置ケースの前記外側凹部の側面には、前記柱状体の前記凹部から中央側に飛び出した前記複数のノズルの先端部が嵌合可能な、複数の嵌め込み孔が形成されており、
前記装置ケースの前記外側凹部の側面は、前記複数のノズルにおける吐出口が形成された複数の吐出面と連続するように形成されており、
前記複数の繰出し容器から、前記複数のノズルを通って吐出された内容物は、前記外側凹部で合流する
吐出装置。
【請求項7】
前記各繰出し容器は、前記容器本体の下方に嵌合され、前記容器本体に対して回転することによって、前記ピストンを上昇させて前記容器本体内の内容積を狭める繰出し部を備える
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の吐出装置。
【請求項8】
前記各繰出し容器において、
前記容器本体は側面を有する本体筒部であり、
前記本体筒部の上方には、ヘッド部が冠着されており、
前記ノズルは前記ヘッド部と一体的に形成されている
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の吐出装置。
【請求項9】
前記各繰出し容器において、
前記ノズルの外形は、前記容器本体の側面との接続部分を除いて、前記水平方向に柱状に延伸しており、前記ノズルの前記吐出口は、ノズル吐出面において上部に位置している
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の吐出装置。
【請求項10】
前記複数の繰出し容器に設けられる前記ピストンを上昇させるように、それぞれ駆動する複数の駆動部と、
前記複数の駆動部によって繰り出される、前記複数の繰出し容器における複数の内容物の夫々の繰出し供給量を制御する制御部と、を有する
請求項1乃至のいずれか一項に記載の吐出装置。
【請求項11】
請求項10に記載の吐出装置と、
前記吐出装置とネットワークを介して接続可能な情報処理端末と、を有しており、
前記複数の内容物の吐出量を前記情報処理端末から指示可能である
カスタマイズ吐出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の繰出し容器を備える吐出装置、及び吐出装置を備えるカスタマイズ吐出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の化粧製品を同時に吐出させるシステムが提案されている。これらのシステムでは、複数の化粧製品の色や質感等を、都度カスタマイズして、吐出させる。
【0003】
このようなシステムの一例として、特許文献1では、上面のキャップに複数の吐出孔を形成し、複数の吐出孔それぞれから別々に吐出している。このような装置に用いられる収容部であるカートリッジでは、例えば、直線上に延伸して上に吐出している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、複数の内容物を同時に水平方向に吐出させる構成として、複数の横向き吐出ノズルを同時に吐出させる、ポンプ式の吐出装置も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開2017-537699号公報
【文献】日本国特許第5868678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に用いられる複数のカートリッジは、複数の内容物が、上面の別々の吐出口(供給オリフィス)から吐出されるため、カートリッジの上方において、それぞれのカートリッジに対応する供給通路を設けた端部品が必要となるものがあった。そのため、この構成では、例えば、カートリッジを別の種類に取り換える場合は、端部品ごと取り替える必要があった。
【0007】
また、特許文献2では、ポンプ式のため、1プッシュ当たりの吐出量が固定されており、吐出量を微調整できなかった。
【0008】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、吐出量を微調整することができるともに、水平方向に吐出して、取り付け先の装置の吐出用の開口部に対する供給路を不要にする、繰出し容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様では、
複数の繰出し容器と、
中央に上下方向に延びる合流空間が形成された柱状体と、を備える吐出装置であって、
前記複数の繰出し容器の各繰出し容器は、
内容物を収容可能な容器本体と、前記容器本体の上部に設けられるノズルと、を有し、
前記容器本体内に設けられるピストンの上昇によって、前記容器本体内に収容された内容物を、前記ノズルから吐出させ、
前記ノズルは、水平方向に延伸して、水平方向に開口する吐出口から前記内容物を水平方向に押し出し、
前記ノズルが延伸している側面には、前記ノズルの延伸方向と交差する方向に突出する突起が設けられており、
前記柱状体の上面には、前記複数の繰出し容器の複数のノズルを上から嵌合可能なように、中央の前記合流空間と前記柱状体の外側面とを貫通する複数の嵌め込み溝部が放射状に形成され、
前記柱状体の上面には、前記複数の嵌めみ溝部から延出する、前記複数のノズルの前記突起と係合可能な溝部が形成されており、
前記複数の繰出し容器から、前記複数のノズルを通って吐出された内容物は、前記合流空間で合流する
吐出装置、を提供する。
【発明の効果】
【0010】
一態様によれば、繰出し容器において、吐出量を微調整することができるともに、水平方向に吐出して、取り付け先の装置の吐出用の開口部に対する供給路を不要にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る繰出し容器の外観図。
図2A】本発明の実施形態に係る繰出し容器の部分断面図。
図2B】本発明の実施形態に係る繰出し容器の、図2Aの状態よりもピストンを上昇させた状態を示す図である部分断面図。
図3A図1の繰出し容器のヘッド部を示す斜視図。
図3B図1の繰出し容器のヘッド部を示す断面図。
図4】本発明の変形例1の繰出し容器の部分断面図。
図5】本発明の変形例2の繰出し容器の部分断面図。
図6】本発明の繰出し容器が複数設けられた押出し機構の斜視図。
図7図6の押出し機構の上部分の拡大図。
図8図7の押出し機構において、繰出し容器及び中央ピストンを取り外した状態を示す図。
図9図7の押出し機構を有する第1実施形態の吐出装置の外観図。
図10A図9の吐出装置の断面図の例であって、中央ピストンが第1の位置ある状態を示す図。
図10B図9の吐出装置の断面図の例であって、中央ピストンが第2の位置にある状態を示す図。
図11】本発明の第1実施形態の吐出装置を含むカスタマイズ吐出システムの概略図。
図12図11のカスタマイズ吐出システムの制御ブロック図。
図13図11のカスタマイズ吐出システムを使用する際の動作フローチャート。
図14】本発明の第2実施形態の吐出装置における押出し機構の斜視図。
図15】本発明の第2実施形態の吐出装置における押出し機構の斜視図。
図16】本発明の第2実施形態の吐出装置における押出し機構の斜視図。
図17】本発明の第3実施形態の吐出装置の外観図。
図18】本発明の第4実施形態の吐出装置の外観図。
図19】本発明の第5実施形態の吐出装置の使用状態を示す外観図。
図20A】本発明の第6実施形態の吐出装置の分解斜視図。
図20B】本発明の第6実施形態の吐出装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0013】
本発明は、繰出し容器、複数の繰出し容器を備える吐出装置、及び、吐出装置を備えるカスタマイズ吐出システムに関する。本発明の繰出し容器には、内容物として、例えば、化粧料(基礎化粧料、ベースメイク用化粧料、ポイントメイク用化粧料)や練り香水、調味料等が収容される。
【0014】
<繰出し容器>
図1は、本発明の実施形態の繰出し容器の外観図である。
【0015】
図1に示すように、繰出し容器5は、収容ケースとしての容器本体と、容器本体に連結している繰出し部53を備えている。
【0016】
本実施形態では、容器本体は、側面を有する本体筒51と、本体筒51の上端に冠着する、ヘッド部52で構成されている。
【0017】
ヘッド部52は、ノズル54と、ヘッド基部55(図2A参照)を有する。ヘッド基部55は、本体筒51と同じ方向に延伸する側面と上面とを有する、キャップ状の部材である。ノズル54は、ヘッド基部55から水平方向に延伸して、内容物を水平方向に押し出す。本例では、図1に示すように、ノズル54の上面が、ヘッド部52のヘッド基部55の上面の少なくとも一部から連続して水平方向に延伸するように形成されている。
【0018】
繰出し部53は、本体筒51の下方に嵌合され、容器本体に対して回転することによって、ピストン59(図2A参照)を上昇させて容器本体内の充填領域の内容積を狭める。
【0019】
図2A図2Bは、本発明の実施形態に係る繰出し容器5の部分断面図である。図2A図2Bにおいて、本体筒51及びヘッド部52は、断面図であり、繰出し部53は斜視図である。
【0020】
図2A図2Bに示すように、本体筒51内を上下に移動可能なピストン59が、本体筒51の内部に設けられている。図2Aは、ピストン59が所定の位置にある状態、図2Bは、図2Aの状態よりもピストン59を上昇させた状態を示す図である。
【0021】
本体筒51におけるピストン59よりも上の部分と、ヘッド部52に囲まれた空間が、内容物Cが充填される充填領域となる。
【0022】
ヘッド部52において、ノズル54には、内部にノズル通路541が形成されており、端部には、ノズル孔(繰出し孔)である吐出口542が形成されている。ヘッド基部55は、本体筒51に対して冠着する部分であり、側面55S及び上面55Uを有している。ヘッド部52の、ノズル54と、ヘッド基部55は一体的に形成されている。
【0023】
繰出し部53は、操作筒56と、移動軸57と、回転規制部58とを備えている。操作筒56は、本体筒51の下端部に相対回転自在に設けられる。移動軸57は、本体筒51及び操作筒56内を挿通するように収容され、上端部は、ピストン59と連結している。
【0024】
回転規制部58は、リング形状であって、本体筒51において、径が変化する段差Sに嵌めこまれている。
【0025】
移動軸57の外周には、不図示の螺旋状の溝が形成され、回転規制部58のリングの内周部には、不図示の係合突起が形成されており、移動軸57が回転することで、回転規制部58に対して、移動軸57が上下方向に移動する。
【0026】
詳しくは、操作筒56が本体筒51に対して相対回転されると、本体筒51及び操作筒56内に収容されている移動軸57が回転することで回転規制部58に対する移動軸57の位置が上昇する。これにより、移動軸57の先端に連結されているピストン59が上昇することで、ヘッド部52及び本体筒51の充填空間の内容積を狭め、内容物Cが上方に押される。これにより、内容物Cは、ノズル通路541を通って、吐出口542の外へ、押し出される。
【0027】
なお、本構成では、移動軸57はピストン59を貫通せずに、ピストン59の下側のみに存在する。したがって、ピストン59の上側には、移動軸57は存在しないため、ピストン59の上側の内容物Cは、移動軸57に付着することなく、押し出すことができる。
【0028】
また、本構成において、吐出口542から押し出される吐出量は、ピストン59の上昇距離に対応しており、ピストン59の上昇距離は、操作筒56の回転量に対応している。そのため、操作筒56の回転量を調整することで、吐出量(繰出し供給量)を微調整することができる。
【0029】
図3A図3Bは、図1の繰出し容器5のヘッド部52を示す図であって、図3Aは斜視図、図3Bは断面図を示す。
【0030】
図3Aに示すように、ノズル54が延伸している側面54Sには、ノズル54の延伸方向とは直交する方向に突出する突起543が設けられている。なお、本例では、突起543はノズル54の延伸方向と直交する方向に突出する例を示しているが、後述するヘッド部52の回転を規制するように、突起543は、柱状体2と係合可能であって、ノズル54の延伸方向に対して角度に依らず、交差するように突出していればよい。
【0031】
また、ノズル54の外形は、ヘッド基部(容器本体)55の側面55Sとの接続部分を除いて、水平方向に四角柱状に延伸しており、ノズル54の吐出口542は、ノズル吐出面54Pにおいて上部側に位置している。
【0032】
また、図3Bに示すように、ノズル54の上面54Uが、ヘッド基部55の上面55Uから連続して水平方向に延伸するように、ヘッド部52において、ノズル54はヘッド基部55と一体的に形成されている。
【0033】
<変形例1>
図4は、繰出し容器の変形例1である。図3Bでは、ヘッド部52の上面は水平の平面形状であったが、ヘッド部の上面には、傾斜を設けてもよい。
【0034】
本変形例の繰出し容器5αにおいて、ヘッド部52αのヘッド基部55αの上面は、一部には水平の平面上面部55Vが設けられ、ノズル54から離れた部分には斜面部55Wが設けられている。
【0035】
本構成においても、ヘッド部52αにおいて、ノズル54の上面が、ヘッド基部55αの上面の少なくとも一部(平面上面部55V)から連続して水平方向に延伸するように、ノズル54はヘッド基部55αと一体的に形成されている。
【0036】
なお、ノズル54は、ヘッド基部55αと一体的に形成されていれば、ヘッド基部55αの上面の少なくとも一部(平面上面部55V)から連続して水平方向に延伸していなくてもよい。
【0037】
<変形例2>
図5は、繰出し容器の変形例2である。図1図4に示す例では、繰出し容器5の容器本体は、本体筒51とヘッド部52とに分かれていたが、容器本体として、繰出し部53以外の部分を一体的に形成してもよい。
【0038】
本変形例は、繰出し容器5βにおける容器本体は、側面510S及び上面510Uを有する収容室510である。ノズル540の上面540Uは、収容室510の上面510Uの少なくとも一部から連続して水平方向に延伸するように、ノズル540は収容室510と一体的に形成されている。
【0039】
なお、図5では、図2A図2Bと同様に、収容室510の上面510Uが平坦である例を示しているが、ヘッド部52と本体筒51とが一体化して構成される収容室510においても、図4に示すように、ノズルから離れた上面が傾斜していてもよい。
【0040】
なお、図1図4に示すように、ヘッド部52(52α)が本体筒51と独立した構成の場合は、本体筒51に対してピストン59や繰出し部53を取りつけた後に、内容物を上から充填し、その後、ヘッド部52(52α)によって閉鎖する。
【0041】
一方、図5の変形例のように、ヘッド部と本体筒が一体となって収容室510を構成している場合、収容室510に内容物Cを下から充填した後に、ピストン59や繰出し部53を、収容室510に対して取りつける。
【0042】
上記の図1図5に示した繰出し容器5,5α,5βは、単独で使用可能である。さらに、繰出し容器5,5α,5βは図6以降に示すように、吐出装置の中で、一部品であるカートリッジとして組み込んで使用することも可能である。
【0043】
<押し出し機構>
図6は、本発明の繰出し容器が複数設けられた押出し機構9の斜視図である。図7は、図6の押出し機構の上部を示す上面図である。図7では、図6に、上面に梁部16を有する筒部ケース12を取りつけた状態であって、繰出し容器5eを1つ外した状態を示している。繰出し容器5eは、他の繰出し容器5a~5dと同様の構成を有するものとする。図8は、図7の押出し機構において、繰出し容器及び中央ピストンを取り外した状態を示す図である。
【0044】
図6及び図7に示す、押出し機構9は、複数の繰出し容器5(5a~5e)と、中央に上下方向に延びる合流空間21が形成された柱状体2と、を備えている。なお、図6において、柱状体2の内部は一部点線で透過して示している。図6及び図7を参照して、複数の繰出し容器5a~5eは、ノズル54a~54eが、柱状体2に係合している。
【0045】
上述のように、ヘッド部52において、ノズル54とヘッド基部55とは、一体的に形成されているため、柱状体2によってノズル54の部分を固定することで、ヘッド部52全体を固定できる。
【0046】
また、ヘッド部52と、本体筒51とは、回転不能に固定されている。そのため、操作筒56を回転する際、ノズル54が固定されていることで、本体筒51及びヘッド部52の回転を規制できる。
【0047】
また、繰出し容器5a~5eは、支持板7を挟んで、モータの回転軸の上方に取り付けられている。支持板7には、繰出し容器の横ずれを規制するための筒部(嵌合筒71a~71e)が設けられており、繰出し容器5a~5eは、支持板7に対して浮いた状態で筒部の中に固定される。
【0048】
支持板7は、底部ケース13の上部に取り付けられている。支持板7には、繰出し容器5a~5eの操作筒56を係合する、装着可能な繰出し容器の数と同数の、嵌合筒(例えば、嵌合筒71a~71e)が設けられている。支持板7の嵌合筒71a~71eは、操作筒56a~56eを回転可能に支持する。なお、図6では、嵌合筒71a,71d,71e、及び操作筒56a,56d,56eを示しているが、嵌合筒71b,71c及び操作筒56b,56cについても同様の構成である。なお、以後、複数の繰出し容器の識別を示すa~eは、省略して説明する場合もある。
【0049】
また、柱状体2の合流空間21の内側には、中央ピストン3が設けられている。中央ピストン3は、ピストン頭部31と、大径部32と、ピストンロッド33とが一体化している(図9参照)。ピストンロッド33は、中央ピストン3を上下移動させる駆動部の一部である、回転伝達筒43の内周に係合している。
【0050】
柱状体2には、中央に上下方向に延びる合流空間21が形成されている(図8参照)。そして、柱状体2の上面2Uには、複数の繰出し容器5a~5eのノズル54を上から嵌合可能なように、中央の合流空間21と柱状体2の外側面2Sとを貫通するように複数の嵌め込み溝部22a~22eが放射状に形成されている。
【0051】
また、本例では、繰出し容器5a~5eのノズル54の外形は、ヘッド基部55の側面55Sとの接続部分を除いて、水平方向に四角柱状に延伸しているため、図8に示すように、柱状体2の嵌め込み溝部22が、角張った角溝である例を示しているが、ノズル54の外形は、内部に形成される挿通孔が、横方向に延伸していれば、他の形状であってもよい。例えば、ノズル54の外形は、角丸四角柱状、横向き円柱形状、横向きで下に凸の半円柱形状、横向き三角柱形状、又は横向き多角柱形状であってもよい。その場合、柱状体2に嵌め込み溝部22の形状は、ノズル54の外形に合わせた形状であって、角が取れたU溝形状、断面半円形の溝、V溝、又は断面が多角形を下半分にした形状の溝でありうる。
【0052】
また、図7の繰出し容器5eが取り外された部分を参照して、柱状体2の上面には、嵌め込み溝部22eから延出する、ノズル54の突起543と係合可能な係合溝部23eが形成されている。他の繰出し容器5a~5dと係合する部分も同様に、柱状体2の上側には、嵌め込み溝部22a~22d及び係合溝部23a~23eが形成されている。
【0053】
また、合流空間21の内側には、中央ピストン3が設けられている。中央ピストン3は、合流空間21の内側を上下に移動可能である。
【0054】
図7では、中央ピストン3が、上位置(押出位置)にある状態を示している。中央ピストン3が押出位置にあるとき、複数の繰出し容器5a~5eの横向きのノズル54a~54eのそれぞれの吐出口542a~542eが中央ピストン3によって閉鎖されている。
【0055】
図6図7に示すように、中央ピストン3が第1の位置にあるとき、中央ピストン3は、柱状体2の上面2Uよりも上側に飛び出している。この飛出しにより、第1の位置にあるとき、中央ピストン上面は、外側ケースの上面と略同一の位置になる。
【0056】
また、図7図8に示すように、繰出し容器5a~5eを取り囲む筒部ケース12の上端付近には、梁部16が形成されており、梁部16には、繰出し容器5aが挿通される穴部17が形成されている。また、梁部16の中央には、柱状体2を支持する支持筒18が、設けられている。
【0057】
ここで、図6図7に示すように、柱状体2の溝部22,23の下側の部分は、ピストン頭部31と密着する部分よりも径が大きい円筒形状の筒状部24となっている。支持筒18は筒状に起立しており、柱状体2の溝部22,23の下側の筒状部24を、内周側から保持する。
【0058】
<吐出装置>
図9は、図6の押出し機構を有する第1実施形態の吐出装置の外観図である。
【0059】
図9に示すように、本実施形態の吐出装置1は、外容器である装置ケース10によって囲われている。この装置ケース10の内側には、図6に示した、複数の繰出し容器5a~5e、柱状体2、及び中央ピストン3を有する押出し機構9が設けられている。図9に示す例では、装置ケース10は、頭部ケース(上部ケース)11と、筒部ケース12と、底部ケース13で構成されている。本例では、装置ケース10は、略円筒形状の例を示すが、角筒形状であってもよい。
【0060】
頭部ケース11は、開口部14が形成された吐出面である上面11Uを有する。また、頭部ケース11の側面は、径が異なる円筒を段状に組み合わせた形状であって、径が小さい側面部11Sには、キャップの内周と螺合な可能なように、外周部にネジ溝が形成されている。径が大きい側面部11Lは、キャップの厚みに相当する分、側面部11Sよりも径が大きい。
【0061】
また、吐出面である上面11Uには、開口部14の周囲の部分はすり鉢状(受け皿状)に内側に凹んだ凹部15が形成されている。
【0062】
また、本実施形態では、開口部14は、図6に示した中央ピストン3が挿通可能に設けられる。そのため、図9の例では、開口部14と連通する、合流空間21内に設けられる中央ピストン3の周囲と、開口部14の径が同じ大きさである例を示す。
【0063】
吐出装置1において、繰出し容器5a~5eは、着脱可能であって、交換可能なカートリッジである。
【0064】
<吐出装置内部断面>
図10A図10Bは、図9の吐出装置1の断面図である。図10Aは、中央ピストン3が第1の位置であって、例えば待機の状態を示す図であり、図10Bは中央ピストン3が第2の位置にある状態を示す図である。また、図10A図10Bは、図9の吐出装置を、図7に示すAA断面で切断した状態を示している。
【0065】
図10Bに示すように、装置ケース10の内側には、合流空間21が形成された柱状体2が設けられ、その合流空間21には中央ピストン3が設置されている。
【0066】
中央ピストン3は、合流空間21の内壁21S(図6参照)の内側に嵌り込み、図10Aに示す第1の位置と、その第1の位置よりも開口部14から離間した、図10Bに示す第2の位置との間で移動可能である。図6図9に示す中央ピストン3のピストン頭部31は、側面31Sが、合流空間21の側面の内壁21Sに密着可能な、円柱又は楕円柱形である。
【0067】
なお、図10A図10Bは縦方向の断面図であるため、図面上では2つの手前側の繰出し容器5b,5eが視認可能であるが、本例において、複数の収容部は図中手前や奥側にも設けられているため、図6同様、5つの繰出し容器5a,5b,5c,5d,5eが吐出装置1内に設けられている。
【0068】
ピストン3が図10Bに示す第2の位置にあるとき、合流空間21にノズル54の吐出口542が連通し(連通状態になり)、複数の吐出口542a~542eから内容物が合流空間21に流入可能な状態となる。例えば、図10Bでは、繰出し容器5bの奥に配置される繰出し容器5aの吐出口542aが開放された状態を示している。この状態では、複数の繰出し容器5a~5eから、複数のノズル54a~54eを通って、複数の吐出口542a~542eから吐出された内容物は、合流空間21で合流する。
【0069】
中央ピストン3が図10Aに示す第1の位置にあるとき、合流空間21において、ノズル54a~54eの吐出口542a~542eが中央ピストン3の頭部31によって閉鎖されている。
【0070】
吐出装置1において、吐出後及び待機状態のとき、図10Aに示す中央ピストン3が第1の位置にある。本実施形態では、第1の位置は、ピストン頭部31の頂面31Uは、開口部14の開口表面14Uと略同一の位置であって、図6のように、柱状体2に対して、中央ピストン3が飛び出した位置にある。
【0071】
さらに、吐出装置1には、繰出し容器5a~5eの下側に、押出部(回転駆動部)6a~6eが設けられている。なお、図10A図10Bに示す繰出し容器5b,5eにおいて、段差Sと一体化した回転規制部580の形状が図2とは異なる例を示しているが、どちらの構成を用いてもよい。また、繰出し容器5内部のピストン等の構成要素については、図10A図10Bでは、図示を省略している。
【0072】
また、繰出し容器5の本体筒51とヘッド部52とは回転しないように係合されており、ヘッド部52のノズル54が、柱状体2の嵌め込み溝部22と係合することで、ヘッド部52及び本体筒51の周方向の回転が規制されて、固定されている。
【0073】
図10Aに示すように、押出部6は、駆動モータ61と、回転軸62と、伝達軸63とを備えている。
【0074】
図10Aに示すように、操作筒56の下端側である尾栓部には、伝達軸63が設けられている。伝達軸63には駆動モータ61の回転軸(出力軸)62が連結されている。
【0075】
本構成例では、押出部6のモータ61が回転軸62を回転駆動させると、その回転力が伝達軸63を介して操作筒56に伝達され、操作筒56が固定された本体筒51に対して相対的に回転することで、ピストン59(図2B参照)が上昇し、水平方向に延伸するノズル54の吐出口542(図10Bの542a)から、内容物Cを中央部の合流空間21へ押し出す。
【0076】
なお、図10Aでは、操作筒56の下端部には、操作筒56よりも細い伝達軸63が係合して、中心部から回転力が伝達される例を示しているが、操作筒56の外周側に回転力を伝達する部材を設けて、操作筒56の外周側から操作筒56に回転力を伝達してもよい。
【0077】
ここで、中央ピストン3の昇降動作について説明する。中央ピストン3は、中央ピストン3の下部に設けられたピストン駆動部4によって移動駆動させられる。
【0078】
なお、本例では、開口部14が形成された吐出面が装置ケース10の上面11Uである例を示しており、中央ピストン3は、図10Aに示す上方にある第1の位置と、図10Bに示す下方にある第2の位置との間を上下に昇降可能である。
【0079】
図6及び図10A図10Bを参照して、中央ピストン3は、上下方向に長く形成されており、柱状体2と接触する頭部31、頭部31よりも径が大きい大径部32、及び大径部32の下側に設けられたピストンロッド33で構成されている。中央ピストン3の頭部31は、柱状体2に形成された合流空間21の内部を昇降する。
【0080】
柱状体2において、図7図8で視認可能な溝部22,23の下側は、図6で示すように上側の開口部である合流空間21よりも径が大きくなった筒状部24であり、その筒状部24は、梁部16に設けられた支持筒18によって内周側から支持されている。
【0081】
支持筒18の内周部には、図10Bに示すように、上下方向に延伸する突起(線状リブ)19が設けられている。
【0082】
また、中央ピストン3の大径部32の外周には、上下方向に延伸する突起や、溝部、多角柱形型などにより、中央ピストン3の回転を規制する部材が設けられている。
【0083】
梁部16は、支持筒18の内側にも水平方向に延伸することで、延伸した部分が抜け止め部16Cとなる。
【0084】
中央ピストン3の大径部32の下側のピストンロッド33は、大径部32よりも径が小さい。例えば、ピストンロッド33は、下端部に、複数の突起を有する雄ネジ形状である。
【0085】
図10A図10Bの例では、ピストン駆動部4は、回転力を発生する回転モータ(位置決めギアモータ)であるピストン用モータ41と、回転軸42と、回転伝達筒43とを含んでいる。
【0086】
詳しくは、本構成例では、中央ピストン3の開口部14から離れた下端部には、複数の突起を有する雄ネジ形状のピストンロッド33が形成されている。回転軸42と連結する回転伝達筒43は、内周部に例えば、螺旋状の溝が形成されている雌ネジ形状であり、ピストンロッド33と、ネジ係合する。
【0087】
回転軸42及び回転伝達筒43は、回転モータであるピストン用モータ41の回転力を中央ピストン3の移動力として伝達する、回転伝達体である。
【0088】
この際、大径部32は、支持筒18の突起19により回転を規制されるため、回転伝達筒43が回転した際に、中央ピストン3が連れ回ることを制限して、ピストン用モータ41による回転力を中央ピストン3の進退方向の移動力として伝達する。
【0089】
なお、図10A図10Bの示す例では中央ピストン3の下部に雌ネジ形状のピストンロッド33が設けられ、回転伝達筒43が雌ネジであったが、ネジ状に係合すれば、ネジの雌雄は逆であってもよい。例えば、ネジ係合の雌雄を逆にして、ピストンロッド33に螺旋溝が形成され、回転伝達筒43の上端に、螺旋溝と係合するように係合突起を設けていてもよい。あるいは、ピストンの下側に筒状の係合部が設けられ、回転伝達体が筒状部の係合の内周側に係合する構成、即ち、係合部の筒と軸との係合を逆にする構成であってもよい。
【0090】
また、本実施形態では、図10Aに示すように、中央ピストン3の周囲と、頭部ケース11の上面の開口部14の径が略同じ大きさであり、中央ピストン3が第1の位置にあるときは、吐出面である上面11Uの凹部15の最も低い部分の表面(開口表面)14Uとピストン頭部31の頂面(本例では上面)31Uが略同一の高さになる。
【0091】
そのため、吐出口542a~542eから合流空間21に吐出された複数種類の内容物は、中央ピストン3に押し出されることにより、残らず、全て吐出装置1の外に押し出すことができる。
【0092】
詳しくは、内容物は、合流空間21において、ピストン頭部31の頂面31Uに接触して、ピストン頭部31の頂面31Uに乗り、中央ピストン3の上昇に伴って装置ケース10の吐出面である上面11Uの位置に運ばれる。
【0093】
したがって、吐出動作において、内容物が接触するのは、合流空間21の内壁21S(図6参照)と、ノズル54の吐出面54Pと、頭部ケース11の開口部14の内壁と、ピストン頭部31の頂面31Uとなる。ここで、合流空間21の内壁21S、ノズル54の吐出面54P、及び頭部ケース11の開口部14の内壁と、ピストン頭部31の側面31Sはそれぞれ密接しているため、合流空間21への流入時に内壁21Sや吐出面54Pに内容物が付着したとしても、中央ピストン3の第2の位置から第1の位置への移動に伴い、付着した内容物もピストン頭部31の頂面31U上に集められ、頭部ケース11の上面11Uの位置へ外まで押し出される。
【0094】
そのため、吐出動作後には、合流空間21内部には、いずれの内容物の残らないことになるため、吐出動作後の吐出装置1内部の清掃が不要となる。
【0095】
また、吐出動作後、中央ピストン3が図10Aに示す第1の位置に留まることで、ノズル54の吐出口542と合流空間21とを、中央ピストン3によって閉鎖して遮断状態にして、複数の内容物の合流空間21への流入を阻止した状態が維持される。
【0096】
したがって、本発明の吐出装置は、容器内部の清掃をしなくても、合流空間21内部には、いずれの内容物も残らず、ゴミ等も堆積しないため、次の使用の際に混合比を変えて使用する場合でも、前回の内容物の混合比率状況を考慮することなく、掃除不要で、吐出動作を実行させることができる。また、吐出動作時以外は、複数の孔を有効に封鎖するため内容物の揮散を防止することができる。
【0097】
さらに、本実施形態では、上面11Uの開口部14の径が、合流空間21の構成する側壁部の内径と連続して、略同じ大きさに構成されている。即ち、開口部14は、中央ピストン3の周囲径に密着可能な寸法で構成されているため、ピストン頭部31の頂面31Uに乗った内容物は、側方からの圧力を受けずに、頂面31Uの上で流入時と同じ面積を維持したまま外に押し出される。
【0098】
この構成により、使用者は、開口部14から、合流空間21内に吐出口542a~542eから流入してくる内容物の動きや、中央ピストン3の動きを全て視認可能であるため、吐出装置1の吐出動作を見て楽しむことができる。
【0099】
中央ピストン3の外周面(側面)において、中央ピストン3が第1の位置にあるときに吐出口542a~542eと当接する部分には、吐出口の封止のために密閉性をより高めるシール部が設けられていてもよい。
【0100】
例えば、図10A図10Bに示す例では、中央ピストン3のシール部以外の部分は、HDPE(High Density Polyethylene:硬質ポリエチレン)又はPP(polypropylene:ポリプロピレン)で構成される。
【0101】
また、中央ピストン3におけるシール部はNBR(nitrile rubber)、シリコンゴム、熱可塑性エラストマー(オレフィン系、スチレン系)などの軟材質によって構成されている。
【0102】
<カスタマイズ吐出システム>
図11は、本発明の吐出装置を含むカスタマイズ吐出システムの概略図である。
【0103】
本発明の吐出装置1を含むカスタマイズ吐出システム1000では、吐出装置1にネットワークを介して通信可能な外部機器である情報処理端末から、複数の内容物の配合に関する情報の指示を受けることが可能である。
【0104】
本実施形態において、吐出装置1と情報処理端末200,300とを合わせて、カスタマイズ吐出システム1000とする。
【0105】
本実施形態では、吐出装置1の制御基板の一部には、通信部97(図12参照)が設けられており、その通信部97は、情報処理端末であるコンピュータ200又はスマートフォン300と通信可能である。カスタマイズ吐出システム1000は、吐出装置1と、コンピュータ200又はスマートフォン300の少なくともどちらか一方で構成されている。
【0106】
情報処理端末200,300では、例えば、予めアプリをダウンロードする等によって、吐出装置1の複数の内容物の配合に関する情報の指示を受け付ける指示受付機能を有する。したがって、使用者は、情報処理端末200,300に、吐出装置の吐出量(配合)に関する情報を入力する。
【0107】
[カスタマイズ吐出システムの制御ブロック]
図12は、図11のカスタマイズ吐出システム1000の機能制御ブロック図である。
【0108】
カスタマイズ吐出システム1000に含まれる吐出装置1は、ネットワークを介して通信可能な外部機器(情報処理端末200,300)によって送信された情報を受信する指示受付部として通信部97が設けられている。
【0109】
吐出装置1の構成の一例として、複数の内容物が、色の異なる5色の化粧料である構成について説明する。本例では、5色の化粧料が、例えばポイント化粧料等で用いる、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック、ホワイトの化粧料である例を説明する。
【0110】
ピストン駆動部4の一部として、中央ピストン3の駆動のためのピストン用モータ41が設けられている。また、各繰出し容器5a~5eから内容物を押し出すために、押出部の駆動モータであるシアンモータ61a、マゼンタモータ61b、イエローモータ61c、ブラックモータ61d、及びホワイトモータ61eが、設けられている。
【0111】
制御部を構成する制御基板90には、電源91と、主制御部92と、ピストン制御部93と、供給制御部94とを備える。
【0112】
ピストン制御部93は、中央ピストン3を昇降させるピストン用モータ41を駆動する。
【0113】
供給制御部94は、複数の収容部から複数の供給路及び複数の流入孔を介して合流空間21に流入させる複数の内容物の夫々の供給量を設定する制御部である。供給制御部94は、配合・吐出量設定部95と、パラメータ変換部96とを有する。
【0114】
配合・吐出量設定部95は、配合に関する情報の指示に基づいて、複数の内容物の配合割合を設定し、複数の内容物の夫々の供給量を設定する。
【0115】
パラメータ変換部96は、設定された複数の内容物の夫々の供給量をパラメータに変換する。例えば、パラメータとして、駆動部である各色モータ61a~61eの回転量や動作時間を制御することで、複数の内容物の供給量(押出移送量)を調整する。そして、設定されたパラメータに基づいて、押出移送手段である各色モータ61a~61eに電力を供給する。
【0116】
主制御部92は、供給制御部94及びピストン制御部93を動作させるタイミングを調整する。
【0117】
ピストン制御部93は、情報処理端末200,300の操作部101から指示を受けた後、速やかに、ピストン用モータ41に電力を供給し、中央ピストン3を第1の位置から第2の位置に移動させる。
【0118】
供給制御部94は、中央ピストン3が第2の位置へ移動した後のタイミングで、駆動部であるモータ61a~61eを駆動させて、設定された複数の内容物を合流空間21内に供給させる。
【0119】
ピストン制御部93は、設定された複数の内容物がすべて合流空間21内に供給された後のタイミングで、ピストン用モータ41に電力を供給し、中央ピストン3を第2の位置から第1の位置に移動させる。
【0120】
図11では吐出装置1の外観のみを示しているが、本実施形態においても、図6図9同様の内部構成を有する。
【0121】
そして、吐出装置1は、情報処理端末200,300に入力された配合に関する情報の指示に基づいて、複数の繰出し容器から、横向きのノズル54の吐出口542を介して吐出空間に流入させる複数の内容物の夫々の供給量を設定する。
【0122】
なお、図11では、通信可能な吐出装置1には操作部が設けられない例を示しているが、吐出装置において、情報処理端末200,300からの指示に加えて、さらに手元でも操作できるように、通信可能な吐出装置に操作部がさらに設けられていてもよい。点線で示す、操作部101,102、発光部103,104、電源スイッチの機能については、図13とともに詳述する。
【0123】
また、情報処理端末200は、演算部201と、容器内内容物情報記憶部202と、表示部203と、指示情報記憶部204と、通信部205と、を実行可能に有している。
【0124】
使用者が、情報処理端末200,300を用いて、吐出装置1の吐出量を設定する場合、吐出装置1側で内容物の比率や吐出量を直接設定してもよい。あるいは、情報処理端末200,300に記憶されたアプリ(容器内内容物情報)によって、適宜場合分けされた情報の中から、完成後の情報を基に、情報処理端末200,300側の操作部207によって選択してもよい。
【0125】
完成後の情報を基に選択する場合は、情報処理端末200,300において、予め、各内容物の吐出量の比率(配合)と、混合後の完成した色味や肌感触を、容器内内容物情報記憶部202に予め記憶しておく。そして、その所定の比率で混合した後の色味や肌感触の情報を表示部203に表示させ、使用者に、混合した後の色味や肌感触の情報を基に、情報を選択させる。このように選択可能にすることで、使用者が内容物の混合の比率を検討する負荷を軽減することができる。
【0126】
例えば、吐出装置1の内容物として色の異なる内容物(化粧料)についてベースメイク用化粧料を作成する場合、情報処理端末200では、例えば、混合後のオークル、ベージュ、アイボリー肌の色等の複数のモデル色を、表示部203で段階的に表示させる。そして、使用者がその画面上の色を選択することで、演算部201が選択された画像表示色に合わせて、吐出の配合を演算する。その演算された情報を通信部205が吐出装置1へと送信し、吐出装置1が、その情報を基にした、所定の混合比率で複数の異なる色の内容物を同時に吐出させ、使用者が混ぜ合わせることで所定の完成色となる。
【0127】
また、内容物として、色の異なる内容物(化粧料)について、部分メイク用化粧料を作成する場合、例えば、ルーセント(透明)、ホワイト、ピンク、レッド、パープル、ブルー、グリーン、ブラウン等の色等を夫々の色について段階的に選択することができる。この場合も、情報処理端末200で、色味のモデル色を、表示部203で表示させ、その画面上の色を選択することで、演算部201が選択された画像表示色に合わせて、吐出の配合を演算する。
【0128】
上記の部分メイク用化粧料を混合して作成する場合、吐出する色を変えることで、1つの吐出装置で複数の色味を楽しむことができるとともに、色の設定を変更することで、1本で複数の用途(例えば、アイグロスとリップグロス、ハイライトとシャドーとチーク)として使用することが可能になる。
【0129】
なお、このように完成後の情報から選択可能な場合であっても、使用者が比率を検討し、直接比率を入力する方式も残しておいてもよい。
【0130】
上記では、使用者が直接又は完成した情報から混合比を選択する例を説明したが、カメラでの肌の撮影結果に応じて、自動的に演算部201で最適な色の配合を設定してもよい。例えば、図12に示すスマートフォン300に撮像部(カメラ)206を内蔵させ、あるいは、コンピュータ200にカメラを取付け、撮像部206で肌を撮影し、撮影した写真画像内の肌の色に合わせて、完成した色を設定可能にしてもよい。
【0131】
例えば、ベースメイクの場合、スマートフォン300の演算部201において自動的に、肌色に合わせて色を選択し混合比を演算して設定し、吐出装置1から所定の割合により混合によりその色を吐出させるようにしてもよい。あるいは、部分用メイクの場合、スマートフォン300の演算部201において自動的に、肌色に適したメイク色の色味を選択して、「おすすめ」として表示部203に表示させ、選択可能にしてもよい。
【0132】
<動作手順>
次に、本発明のカスタマイズ吐出システム1000における動作手順について説明する。
【0133】
図13は、本発明の吐出装置を使用する際の動作フローチャートである。このフローの手順は、吐出装置1の制御基板90又は情報処理端末200(300)に記憶されたプログラムによって予め設定されているものとする。
【0134】
図13のステップS1で、使用者は、内容物の混合比を設定し、操作部207により入力する。本実施形態では、ネットワークによって接続された情報処理端末によって、使用者が情報を入力するが、後述するように、操作部101,102を吐出装置に設けてもよい。
【0135】
ステップS2で、情報処理端末200(300)の演算部201、又は吐出装置1の供給制御部94は、設定された混合比に基づいて、複数種類の内容物の夫々の使用量(吐出量)を決定する。
【0136】
ステップS3で、合流空間21において、中央ピストン3を第1の位置から第2の位置へ移動させる。即ち、中央ピストン3が、合流空間21において、電子制御により、柱状体2の溝部22,23と係合したノズル54の吐出口542a~542eを塞ぐ位置から下降して、中央ピストン3の上端が吐出口542a~542eを開放する位置に移動する。
【0137】
S3の後に、ステップS4で、押出部6の駆動モータ61が駆動することで、繰出し容器5のピストン59を上昇させて、ノズル54の吐出口542から内容物を押し出す。
【0138】
なお、使用開始直後以降は、すでに前の使用時に送り込んだ内容物がすでに、ヘッド部52のノズル通路541まで、到達している状態である。そのため、使用開始直後以外では、S3で中央ピストン3の移動により、ピストン頭部31による閉鎖が解除されると、複数種類の内容物が、複数の吐出口542a~542eから合流空間21内に、すぐに流入する。
【0139】
この際、複数の吐出口542a~542eから合流空間21への流入は、複数の内容物間で同時であってもよいし、順番に1又は複数の内容物ずつ夫々のタイミングで流入してきてもよい。
【0140】
そして、合流空間21に、複数種類の内容物が、設定された所定量流入すると(ステップS5)、ステップS6で、ピストン駆動部4のピストン用モータ41が駆動して中央ピストン3を上昇させることで、合流空間21において、ピストン頭部31を第2の位置から第1の位置へ移動させる。
【0141】
ステップS6の中央ピストン3の移動に伴い、合流空間21内の複数の内容物は、ピストン頭部31の頂面31Uに乗って、装置ケース10の吐出面である上面(ケース上面)11Uと同一の高さまで押し出される(ステップS7)。
【0142】
そして、使用者は、頭部ケース11の上面11U上で複数種類の内容物を混合した後(ステップS8)、混合物を使用する(ステップS9)。
【0143】
図6図10Bに示す本実施形態では、複数種類の内容物は、混合されずに且つ合流空間21内で圧力をほとんど受けずに、ピストン頭部31の頂面31Uに乗って装置ケース10の上面11Uと同一位置まで到達するため、使用者は、内容物を自分で混ぜる楽しみがある。この際、第1実施形態では、装置ケース10の吐出面である上面11Uには、開口部14の周囲の部分に凹部15が形成されているため、使用者は、凹部15を受け皿として、押し出された複数の内容物を凹部15の縁部よりも内側で混合すると、効率的である。
【0144】
また、上記フローの後、吐出装置1の外部である上面11U上に混合物が付着していた場合は、適宜、使用者は、ティッシュ等でその付着物を拭き取るとより好適である。
【0145】
<第2実施形態>
図14は、本発明の第2実施形態の吐出装置1Aにおける押出し機構の斜視図である。図15は、本発明の第2実施形態の吐出装置における押出し機構の斜視図において、繰出し容器を一つ取り外した斜視図である。
【0146】
本実施形態では、複数の繰出し容器50a~50fは、中央支持体2Aの円筒部29の上方に、ノズル54Aの先端近傍が互いに隣接するように放射状に配置される。なお、本例では、6つの繰出し容器50a~50fが吐出装置内に設けられる例を説明する。
【0147】
図14及び図15において、中央ピストン3Aは、下位置である受入位置にある例を示している。図14及び図15に示すように中央ピストン3Aが受入位置にある状態では、複数の繰出し容器から、複数のノズル54Aを通って吐出された内容物は、複数の吐出口542Aが形成されたノズル吐出面54APで取り囲まれる空間である合流空間で合流する。
【0148】
図14図15に示すように、本実施形態の吐出装置1Aでは、ノズルの先端付近が接触するように、繰出し容器が配置される。そのため、中央支持体2Aにおいて、上部では、ノズル54Aの位置を固定する固定部25a~25fは、中央部付近には設けられていない。
【0149】
また、図15に示すように、ノズル54A同士を互いに放射状に接触して配置可能なように、ノズル54Aの先端側(中央側)は、上面視で先端が細くなる形状の先端部544である。
【0150】
図16は、本発明の第2実施形態の吐出装置における押出し機構において、繰出し容器を全て取り外した斜視図である。
【0151】
図16に示すように、中央支持体2Aは、上部に、繰出し容器50a~50fの同数の固定部25が設けられ、下部に円筒部29が設けられている。図16において、中央ピストン3Aは取り外しており、円筒部29の上面付近の中央部には、中央ピストン3Aのピストン頭部31Aの周囲と、ほぼ同じ大きさ外径を有する貫通部290が形成されている。
【0152】
複数の繰出し容器50a~50fの複数のノズル54Aは、それぞれ2つの固定部25に挟まれて固定可能であり、固定部25a~25fは、下部の円筒部29に対して、外側に張り出すように設けられている。各固定部25は、中央端26、くり抜き段差部(くり抜き部)27、外周部28を有している。
【0153】
中央端26は、隣り合うノズル54Aが接触する直前の部分を支持している。中央支持体2Aと係合したノズル54Aは、中央端26よりも中央側に、先が細くなっている先端部544が飛び出しており、円筒部29の上側の中央付近で、隣接するノズル54Aの先端部544同士が接触する。
【0154】
くり抜き段差部27は、固定部25の側面に形成された段差であって、ノズル54Aの突起543Aと係合可能である。
【0155】
外周部28は、固定部25のくり抜き段差部27よりも外周側であって、2つの固定部25の外周部28の対向する側面が、突起543Aよりもヘッド部520のヘッド基部550(図14参照)に近い側のノズル54Aと接触することで、ノズル54Aを固定する。
【0156】
また、本実施形態では、繰出し容器5a~5fのノズル54Aの外形は、ヘッド基部550の側面550S(図14参照)との接続部分を除いて、先端部544以外は水平方向に四角柱状に延伸し、先端部544が上面視で先細りになる形状である。そのため、図16に示すように、中央支持体2Aにおいて、2つの固定部25の側面と、円筒部29の上端29Uで取り囲まれた部分が、先端部544以外のノズル54Aを取り囲んで固定する、略角溝形状の嵌め込み溝部として機能している。
【0157】
しかし、本実施形態においても、ノズル54Aの外形は、横方向に内容物を移送可能であって、隣接するノズル同士が互いに接触する先端部544の部分の形状が同様であれば、固定部25a~25fと接触する外周側の形状は、他の形状であってもよい。
【0158】
例えば、ノズル54の外周側の外形は、角丸四角柱状、横向き円柱形状、横向きで下に凸の半円柱形状、横向き三角柱形状、又は横向き多角柱形状であってもよい。その場合、中央支持体2Aに嵌め込み溝部を構成する、2つの固定部25の側面と、円筒部29の上端29Uで取り囲まれた部分の形状は、ノズル54Aの外形に合わせた形状であって、角が取れたU溝形状、断面半円形の溝、V溝、又は断面が多角形を下半分にした形状の溝でありうる。
【0159】
本実施形態においても、繰出し容器50a~50fのヘッド部520の外側に、開口部が形成された吐出面を有する装置ケース(頭部ケース)11(図9参照)を外側に設けてもよい。
【0160】
中央ピストン3Aを押出位置(上位置)から受入位置(下位置)に移動させて、複数のノズル吐出面54APを開放し、ノズル吐出面54APで取り囲まれた合流空間を連通状態にして、内容物を合流空間に流入させた後、中央ピストン3Aを受入位置から押出位置に移動させることで、合流空間内に流入した内容物を開口部から吐出面の外側に押し出す。
【0161】
<第3実施形態>
図17は、本発明の第3実施形態の吐出装置の外観図である。
【0162】
本実施形態では、吐出装置1Bの装置ケース10Bに、一例として、操作部(操作スイッチ)101,102、発光部103,104、及び電源スイッチ105が設けられている。
【0163】
図17に示す、左側の操作部101は、吐出する収容物の吐出量(混合比率)を調整する。また、右側の操作部102では、量を調整する対象を選択し、発光部104は、左側の操作部102で量の調整する対象となる内容物の種類情報を示している。発光部103は、操作部101で選択された吐出量の選択量を示すように点灯する。図17の例では、3段階に吐出量を選択可能な表示例を示している。
【0164】
なお、図17では操作部と発光部のセットを2つ図示しているが、吐出装置1にこの操作セットを3つ以上設定してもよい。例えば、内容物毎に独立に操作部を設けてもよい。
【0165】
3段階に吐出量を選択する構成では、例えば、発光部103が何れも点灯していない場合はその内容物の「吐出無し」、1つの点灯場合は「吐出量:少」、2つ点灯の場合は「吐出量:中」、3つ点灯の場合は「吐出量:多」を示す。
【0166】
なお、操作部101,102の数は、吐出装置1内部の内容物の種類の数によって増減してもよい。また、操作部101,102の形状は、図17では三角で示しているが、内容物の吐出量を操作できるものであれば他の形状であってもよい。また、選択のための操作部を、三角形の向きで示す増加、減少のそれぞれの機能用ボタンを設けているが、例えば、増加方向のみに変化する1つのボタンにまとめてもよい。
【0167】
また、図17に示すボタンは、押圧可能な凸部のボタンであってもよいし、または、ケースの表面上に設けられた凹凸のないタッチセンサであってよい。あるいは、ボタン式の操作部に代えて、タッチパネルを設けてもよい。
【0168】
電源スイッチ105は、吐出装置1の電源91をON/OFFする。
【0169】
<第4実施形態>
図18は、本発明の第4実施形態の吐出装置の外観図である。
【0170】
本実施形態の吐出装置1Cでは、上面の吐出口が小さい点が図9とは異なる。
【0171】
このように本実施形態では、開口部14Cの径が小さいことで、吐出される複数の種類の内容物は圧力を受けてから、吐出面である凹部15C上に運ばれることになる。よって、本実施形態の吐出装置1Cでは、内容物は、若干混合されながら、押し出される。
【0172】
したがって、使用者は、若干混ざり合った吐出物が徐々に注出する様子を楽しむことが可能となるとともに、吐出孔である開口部14Cから押し出された内容物を吐出面である凹部15C上で混合に要する時間を減らすことができる。
【0173】
なお、図18は、装置の吐出口である開口部が小さい構成であって、ネットワークを介して接続された情報処理端末により操作される例を示しているが、吐出口が小さい構成においても、図17に示すように、吐出装置1Cの本体に、操作部を設けてもよい。
【0174】
<第5実施形態>
図19は、本発明の第5実施形態の吐出装置の使用状態を示す外観図である。
【0175】
上述の実施形態では、吐出装置1,1A,1B,1Cにおいて上方に吐出するように配置する例を示していたが、本発明の吐出装置において、吐出の方向は上方に限られず、図19のように下方に吐出する構成であってもよい。
【0176】
図19のように、吐出装置1Dにおいて下方に吐出させるように配置する場合は、備え付けのハンドウォッシュのように、使用者の手に吐出させて、手のひら上で混ぜ合わせてもよい。
【0177】
本実施形態では、径が小さい開口部14Dが形成された吐出面が装置ケース10Dの下面11Dである例を示しているため、内部の中央ピストン3は下方にある第1の位置と、上方にある第2の位置との間を上下に昇降可能である。本構成では、電源をOFFにしたとき、又は電源ONにおいて吐出後及び待機位置にあるときは、中央ピストン3が下方の第1の位置にあり、吐出面である下面11Dの表面と中央ピストン3の下面が略同一の高さになる。
【0178】
また、繰出し容器5a~5eは、操作筒56が回転することで、ピストン59が上から下に下降して、下方に設けられたヘッド部52のノズル54から内容物を水平方向押し出す。
【0179】
ここで、吐出装置1Dにおいて下向きで吐出させる場合は重力を考慮して、内容物は粘度が高いものであると好ましい。また、重力を考慮して、本使用形態では上記図18で示したように、開口部14Dが連通する吐出空間の径よりも小さい構成であると好ましい。
【0180】
さらに、図19で示すように下向きで吐出させる場合、開口部14Dの周囲は、第1~第4実施形態のようにすり鉢状に凹んでいる構成ではなく、下面11Dから山状に突出した凸部15Dであると好適である。
【0181】
なお、図19は、下側に吐出する構成であって、ネットワークを介して接続された情報処理端末により操作される例を示しているが、下側に吐出する構成においても、図17に示すように、吐出装置1Dの本体に、操作部を設けてもよい。
【0182】
図19では、下方に吐出する構成を示しているが、吐出の方向は、上下に限られず、側方であってもよい。
【0183】
<第6実施形態>
図20A図20Bは、本発明の第6実施形態の吐出装置の説明図である。図20Aは上部斜視図であり、図20B図20AのBB断面の側面断面図である。
【0184】
上記図6図19では、複数の繰出し容器から吐出した内容物を、中央ピストンを用いて押し出す構成を説明したが、複数の繰出し容器を設ける吐出装置に、中央ピストンを設けなくてもよい。
【0185】
本構成では、柱状体20には、上面の中央に凹部210が形成されている。そして、柱状体20の上面20Vには、上記の実施形態同様に、複数の繰出し容器5a~5eのノズル54Pa~54Peを上から嵌合可能なように、中央の凹部210と柱状体20の外側面とを貫通するように複数の嵌め込み溝部220が放射状に形成されている。
【0186】
なお、本実施形態では、繰出し容器5a~5eのノズル54は、柱状体20の凹部210の内壁よりも内側に飛び出すように設けられる。
【0187】
また、本構成では、吐出装置1Dの頭部ケース110の上面には、柱状体2の凹部210に沿った形状の外側凹部150が設けられている。外側凹部150の側面には、ノズル54a~54eの、凹部210から飛び出した先端部が嵌合可能な、複数の嵌め込み孔140a~140eが形成されている。図20Bでは、嵌め込み孔140b,150cに嵌めこまれた吐出面54Pb及び吐出口542bと、吐出面54Pcと吐出口542cとが視認可能であるが、他の繰出し容器においても同様の構成である。
【0188】
頭部ケース110の上面110Uの外側凹部150の側面は、ノズル54a~54eにおけるノズル孔である吐出口542が形成された吐出面54Pと連続するように形成されている。図20Bでは、吐出面54Paと吐出面54Pdが、外側凹部150の断面と略同一面であることを示しているが、他の繰出し容器においても同様の構成である。
【0189】
複数の繰出し容器から、複数のノズルを通って吐出された内容物は、吐出口542a~542eを介して、頭部ケース110の外側凹部150で合流する。そして、使用者は指やコットン、綿棒等で、外側凹部150に流入したその内容物をぬぐって、使用する。
【0190】
図20Aでは、柱状体20は、図7図8に示すピストンを取り囲む大きさの凹部が形成されている例について説明したが、図20Bに示す本構成の場合は、指が挿入可能な程度に凹部210及び外側凹部150の径が広く、深さが浅いと好適である。
【0191】
上記では、内容物として、色の異なる内容物(化粧料)について説明したが、内容物は、例えば、触感が異なる内容物等を用いてもよい。
【0192】
例えば、触感が異なる内容物等を用いて基礎化粧料を吐出する場合、肌の状態、外気の気温や湿度、使用者の気分に合わせて、情報処理端末200上で「さっぱり」、「しっとり」、「普通」、「敏感」、「美白」、「にきび対策」、「パック用」等の情報を選択することで、その選択に適した肌感触になりうる内容物の混合比を演算する。触感が異なる内容物は、粘度に影響する成分組成であり、触感が異なる内容物として、例えば、基礎成分、トロミ成分(潤い成分)、収斂成分、美白成分(ビタミンC等)、にきび対策成分等、異なる機能に特化した内容物を予め収容しておく。
【0193】
そして、その演算された情報を吐出装置1へと送信し、吐出装置1が、その情報を基にした、所定の混合比率で複数の異なる粘度(肌上の触感)の内容物を同時に吐出させる。吐出された内容物を、混ぜ合わせることで、所定の効果を奏する基礎化粧料となる。
【0194】
また、光の反射率が異なる内容物等を用いてベースメイク用の化粧料を吐出する場合、肌の状態、外気の気温や湿度、使用者の気分に合わせて、「ナチュラル」、「ツヤ(キラキラ)」、「マット」等を選択することで、同じ色であっても内容物の混合比を調整することで、肌に対する光の反射率が異なる化粧料を吐出させるように、適宜、選択可能にしてもよい。
【0195】
上記の本発明における吐出装置では、吐出空間に到達する前までは、内容物は別々に保管され、移送されるため、放置すると分離したり、劣化したりする性質の複数の内容物を、使用直前で混ぜ合わせることで、劣化や分離をせずに使用することが可能となる。上記例として、例えば、ビタミンC含有化粧料や、整髪剤等が想定しうる。
【0196】
また、上記説明では、本発明の吐出装置を、家庭において、使用者が適宜選択して使用することを想定して説明してきたが、上記吐出装置は、販売店におけるカウンターで使用しても好適である。カウンターにおいて、混合比を調整することで、来店する客の夫々の顔色や好みに応じた混合比率の内容物を都度設定することが可能になる。
【0197】
また、上記では内容物として、視覚的に変化を与える化粧品を例として説明したが、内容物として、液体または粘性のある香りを有するもの(香水や、練り香水としてのボディクリームやハンドクリーム等)を収容してもよい。香水又は練り香水を内容物とすることで、使用者は香りをカスタマイズすることができる。
【0198】
さらに、上記では内容物として、化粧品を例として説明したが、内容物として、液体または粘性のある調味料を収容してもよい。調味料を収容することで、使用者は、味をカスタマイズしたり、料理に使用する調味料の分量を、測量具を用いずに予め準備しておくこと等が可能になる。
【0199】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0200】
本出願は、2018年9月10日に日本国特許庁に出願された特願2018-169200号に基づく優先権を主張するものであり、特願2018-169200号の全内容を本出願に援用する。
【符号の説明】
【0201】
1,1A,1B,1C,1D 吐出装置
10 装置ケース
11,110 頭部ケース
11U 上面(吐出面)
14 開口部
140 嵌め込み孔
15 凹部
150 外側凹部
16 梁部
18 支持筒
2 柱状体
2A 中央支持体
21 合流空間
22(22a,22b,22c,22d,22e) 嵌め込み溝部(溝部)
23 係合溝部(溝部)
24 筒状部
25(25a,25b,25c,25d,25e,25f) 固定部
27(27a,27b,27c,27d,27e,27f) くり抜き段差部(くり抜き部)
3,3A ピストン
31,31A ピストン頭部(頭部)
4 ピストン駆動部(駆動部)
41 駆動モータ
42 回転軸
43 回転伝達筒
5(5a,5b,5c,5d,5e),5α,5β 繰出し容器
50(50a,50b,50c,50d,50e,50f) 繰出し容器
51 本体筒(容器本体)
510 収容室(容器本体)
52,520 ヘッド部(容器本体)
53 繰出し部
54(54a,54b,54c,54d,54e) ノズル
54U ノズル上面
54S ノズル側面
54P,54AP 吐出面
541 ノズル通路
542(542a,542b,542c,542d,542e),542A 吐出口(繰出し孔)
543 突起
544 先端部
55,550 ヘッド基部
55S,550S 側面
55U 上面
55V 平面上面部
56 操作筒
57 移動軸
58 回転規制部
59 ピストン
6 押出部
61 駆動モータ
62 回転軸
63 伝達軸
7 支持板
94 供給制御部(制御部)
200 コンピュータ(情報処理端末)
300 スマートフォン(情報処理端末)
C 内容物
S 段差
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B