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特許73454892-フラノンを含む二添加剤電解質システムに基づく新規な電池システム、及びその化成プロセスの方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】2-フラノンを含む二添加剤電解質システムに基づく新規な電池システム、及びその化成プロセスの方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20230908BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20230908BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20230908BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230908BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20230908BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20230908BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20230908BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20230908BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20230908BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/0569
H01M10/0567
H01M10/052
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/587
H01M4/36 E
H01M4/48
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020548693
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 CA2018000164
(87)【国際公開番号】W WO2019173892
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】62/641,953
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/028,041
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダーン,ジェフリー,レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】マー,シャオメイ
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-340151(JP,A)
【文献】国際公開第2006/134653(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/074556(WO,A1)
【文献】特開2008-159419(JP,A)
【文献】特開2002-075445(JP,A)
【文献】Youngju Lee et al.,Quantitative and qualitative study on the solid electrolyte interface formed by 2-(5H) furanone: A novel additive for propyene carbonate-based lithium-ion battery electrolytes,Electrochimica Acta,2018年03月01日,vol.265,pp.662-669
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-0587
H01M 4/13-62
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉セルを備える電池システムを作製する方法であって、
前記密閉セル内で正極及び負極を組み立てること、
前記密閉セルから残留水を取り除くこと、
不活性雰囲気下で前記密閉セルに非水電解液を充填すること、
前記密閉セルを真空封止すること、
前記密閉セルが初期指定容量を達成するまで、該密閉セルを充電及び放電することを含む化成プロセスを実行すること、を含み、
前記非水電解液が、
リチウムイオンと、
カーボネート溶媒を含む第1の非水性溶媒と、
酢酸メチルを含む第2の非水性溶媒と、
ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、又はそれらの任意の組み合わせのいずれかの第1の作動型添加剤、及び下記式(I)
を有する2-フラノンの第2の作動型添加剤の添加剤混合物を含み、
前記第1の作動型添加剤の濃度が、0.25重量%~6重量%の範囲であり、
前記第2の作動型添加剤の濃度が、0.1重量%~5重量%の範囲である、方法。
【請求項2】
前記化成プロセス中に、前記電池システムにおけるガス発生が抑制される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、前記化成プロセスの後にガス放出工程を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化成プロセス中のガス生成が、前記第1の作動型添加剤のみを含む電池システムの化成プロセス中のガス生成と比較して少なくとも50%抑制される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記密閉セルから残留水を除去することが、前記密閉セルを開き、真空下100℃で12時間乾燥することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電池システムが、前記第1の作動型添加剤のみを含む電池システムに匹敵する容量維持率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の作動型添加剤の濃度が、2重量%~6重量%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の作動型添加剤の濃度が、0.25重量%~5重量%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の作動型添加剤の濃度が2重量%であり、前記第2の作動型添加剤の濃度が0.5重量%~1重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の作動型添加剤がフルオロエチレンカーボネートである、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の作動型添加剤がビニレンカーボネートである、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の非水性溶媒がカーボネート溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の非水性溶媒が、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートから選択される少なくとも1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記正極が、マイクロメートルサイズ粒を有するNMC532、NMC532及びNMC622から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記負極が、人造黒鉛、天然黒鉛及び黒鉛/SiOブレンドから選択される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電式電池システムに関し、より具体的には、充電式リチウムイオン電池システムの特性を改善するための、作動型電解質添加剤及び電極を含むかかるシステムの化学に関する。本開示はまた、充電式電池セルの製造に関し、より具体的には、組立後の化成、及び充電式電池セルの試験プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
充電式電池は、電気自動車及びグリッドストレージ(例えば、停電時のバックアップ電源、マイクログリッドの一部等)のエネルギー貯蔵システムに不可欠なコンポーネントである。用途に応じて、エネルギー貯蔵システムには異なる特性が必要である。特定の用途に適したシステムを作り出すには、電池システムの化学的性質のトレードオフを行う必要がある場合がある。例えば、自動車の用途、特に電気自動車の用途では、急速に充電及び放電する性能がシステムの重要な特性である。電気自動車の所有者は、往来で素早く加速する必要があり、これにはシステムを素早く放電させる性能が必要である。さらに、急速充電及び放電はシステムに要求を課すので、システムのコンポーネントはまた、かかる動作条件下で十分な寿命を提供するように選択される必要があり得る。
【0003】
Liイオンセルの最初の充電と放電は、製造業者によって工場で行われる。これは「化成プロセス」と呼ばれる。化成プロセスの結果、アノード上に固体電解質界面(SEI:solid-electrolyte-interface)層が作られ、これは、通常の使用での充電プロセスを緩和するために不可欠なパッシベーション層(passivation layer)として機能する。この化成充電/放電プロセスは、電池パックに入れる前に品質基準を満たさないセルを特定するのに役立つ場合がある。加えて、化成プロセス中のガス生成を最小限に抑えることが重要であり、これはプロセスの簡素化につながる可能性がある。
【0004】
さらに、化成プロセス中に、セル容量、化成後の開放電圧(OCV:open-circuit voltage)、直流抵抗(DCR:direct-current resistance)、静電容量及びインピーダンス等のセル性能に関する情報を収集して、品質分析を行うことができる。性能の測定値の広がりは、化成プロセス及び上流のセル製造プロセスが制御されているかどうかを示すこともできる。
【0005】
ハイスループット製造の場合、多数のセルを化成プロセスで一緒に、通常、搬送トレイに置くことができる。従来の大量化成設備は、通常、電池接触固定具に結合された電源モジュール及び制御モジュールからなり、セルのトレイを保持し、個別に制御されるセルへの電気接続を容易にする。かかるシステムは、多くの場合、多くのケーブル(通常、電池セル当たり4本以上のワイヤ)を必要とし、かなりの空間を占めて、エネルギー効率が悪い場合がある。その結果、パワーエレクトロニクス及び長いケーブルによる非効率性は部屋への排熱が生じる可能性があり、これは、多くの場合、大きなダクトの空冷システムを必要とし、セル温度の変動につながって化成プロセスでのエラーの危険が高まる可能性がある。加えて、既存の化成設備は通常、サポートシステムを十分に検討及び最適化することなく設計されている。
【0006】
さらに、電解質添加剤は作動型(operative)であり、リチウムイオン系電池の寿命及び性能を向上させることが示されている。例えば、非特許文献1には、5つの独自の公開されていない電解質添加剤が、添加剤を含まない又は1つだけしか含んでいない電解質系と比較してサイクル寿命を延ばすことが示された。他の研究では、特許文献1に記載されているように、3種類又は4種類の添加剤を含有する電解質システムの性能向上に焦点を当てている。しかしながら、通常、研究者らは、電解質と特定の正極及び負極とが相乗的に一緒になって作用することを可能にする種々の添加剤間の相互作用を理解していない。そのため、特定のシステムの同一性は試行錯誤に基づくことが多く、事前に予測することはできない。
【0007】
以前の研究では、リチウムイオン電池システムに組み合わせてグリッド又は自動車の用途に十分な特性を持つ堅牢なシステムを生成できる二添加剤電解質システムを特定していない。特許文献1に記載されているように、研究された二添加剤システム(例えば、2%VC+1%アリルメタンスルホネート及び2%PES+1%TTSPi)は、通常、3種及び4種の添加剤電解質システムよりも性能が劣っていた。(例えば、特許文献1の表1及び表2を参照されたい。)特許文献1は、堅牢なリチウムイオン電池システムを製造するために、0.25重量%~3重量%の濃度の第3の化合物、多くの場合、トリス(-トリメチル-シリル)-ホスフェート(TTSP)又はトリス(-トリメチル-シリル)-ホスファイト(TTSPi)が必要であったことを開示している。(例えば、特許文献1の段落72を参照されたい。)しかしながら、高価で製造規模でLiイオン電池内に添加剤を含めるのが難しいため、添加剤が少ないものを含め、より単純でありながら効果的な電池システムが必要とされている。
【0008】
定義
「セル」又は「電池セル」は一般に、電気化学セルを指し、これは、化学反応から電気エネルギーを生成するか、又は電気エネルギーの導入を通じて化学反応を促進することができるデバイスである。電池には1つ以上のセルを含めることができる。
【0009】
「充電式電池」は、一般に、充電でき、負荷へと放電でき、また何度も再充電できるタイプの電気的バッテリー(electrical battery)を指す。この開示では、リチウムイオン充電式電池に基づいて幾つかの例が記載されている。それでも、本発明の実施形態は、1つのタイプの充電式電池に限定されず、様々な充電式電池技術と併せて適用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
この開示は、種々のエネルギー貯蔵用途例えば車両及びグリッド貯蔵で使用され得る、より少ない作動型電解質添加剤を含む新規の電池システムを包含する。より具体的には、この開示は、化成プロセス中に生成されるガスの量を減らし、Liイオン電池の性能及び寿命を向上させ、同時に、より多くの添加剤に依存する他のシステムから費用を削減する二添加剤電解質システムを含む。この開示はまた、開示される二添加剤電解質システムと連携して更なる系統的な向上を提供する有効な正極及び負極を開示する。
【0011】
2-フラノン(FN)と組み合わされたビニレンカーボネート(VC)を含む二作動型添加剤電解質システムが開示されている。FNは次の式(I)を有する。
【0012】
FNと組み合わせたフルオロエチレンカーボネート(FEC)も開示されている。
【0013】
VC及びFECは同様の改善を提供している(また同様に機能すると考えられている)ため、VCとFECとの混合物を単一の有効な電解質と見なすことができる。すなわち、別の開示された二作動型添加剤電解質システムは、FNと組み合わされたVC及びFECの混合物を含む。より大きな電池システム(電解質、電解質溶媒、正極及び負極を含む)の一部として使用する場合、これらの二作動型添加剤電解質システムは、車両及びグリッド用途を含むエネルギー貯蔵用途に望ましい特性を生み出す。
【0014】
より具体的には、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)正極、グラファイト負極、有機溶媒又は非水性溶媒に溶解したリチウム塩、及び2つの添加剤で、種々の用途に望ましい特性を持つ電池システムを形成する。電解質溶媒は、次の溶媒を単独又は組み合わせて使用することができる:エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、酢酸メチル、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、別のカーボネート溶媒(環状又は非環状)、別の有機溶媒、及び/又は別の非水性溶媒。溶媒は、添加剤よりも高い、通常6重量%超の濃度で存在する。溶媒を、開示されている二添加剤ペアと組み合わせて(VCとFN、FECとFN、VC及びFECの混合物とFN、又は別の組み合わせ等)、種々の用途に望ましい特性を持つ電池システムを形成することができる。正極は、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)、又は別のコーティング材等の材料でコーティングされてもよい。さらに、コスト節約のため、負極は天然黒鉛から形成されてもよいが、価格設定構造によっては、特定の例では、人造黒鉛は天然黒鉛よりも安価である。
【0015】
本明細書における開示は、二添加剤電解質システムと選択された電極の共生的性質を示す実験データによって支持されている。例示的な電池システムは、2つの添加剤(例えば、FEC又はVC、FN、黒鉛負極(天然起源の黒鉛又は人造の合成黒鉛のいずれか))、NMC正極、リチウム電解質(例えば、化学組成LiPFを有する六フッ化リン酸リチウム等のリチウム塩から形成される)、及び有機溶媒又は非水性溶媒を含む。
【0016】
本出願の例示的な実施形態は、密閉セルを備える電池システムを作製する方法であって、密閉セル内で正極及び負極を組み立てること、密閉セルから残留水を取り除くこと、不活性雰囲気下で密閉セルに非水電解液を充填すること、密閉セルを真空封止すること、密閉セルが初期指定容量を達成するまで、密閉セルを充電及び放電することを含む化成プロセスを実行すること、を含み、非水性電解質が、リチウムイオンと、カーボネート溶媒を含む第1の非水性溶媒と、酢酸メチルを含む第2の非水性溶媒と、ビニレンカーボネート又はフルオロエチレンカーボネートのいずれかの第1の作動型添加剤、及び下記式(I)
を有する2-フラノンの第2の作用作動型添加剤の添加剤混合物を含む、方法。
【0017】
幾つかの実施形態では、電解質配合物は、化成プロセス中の電池システムにおけるガス発生の抑制を補助する。
【0018】
幾つかの実施形態では、実質的に全ての残留水が除去される。幾つかの実施形態では、全ての残留水が除去される。
【0019】
幾つかの実施形態では、初期容量は、指定された上限カットオフ電位である。
【0020】
別の例示的な実施形態では、方法は、化成プロセス後のガス放出工程を含まない。
【0021】
別の例示的な実施形態では、化成プロセス中のガス生成が、第1の作動型添加剤のみを含む電池システムの化成プロセス中のガス生成と比較して少なくとも50%抑制される。
【0022】
別の例示的な実施形態では、化成プロセスは、密閉セルを11mA(この場合C/20(C/x)に相当する)で4.2Vまで充電すること及び3.8Vまで放電することを含み、セルに初期容量がある場合、C/xは選択した電流でのセルの充電時間又は放電時間がx時間であることを示す。
【0023】
別の例示的な態様では、密閉セルから残留水を除去することが、密閉セルをヒートシール未満で開き、真空下100℃で12時間乾燥することを含む。
【0024】
別の例示的な実施形態では、化成プロセス中にガス生成が完全に抑制される。
【0025】
別の例示的な実施形態では、電池システムが、第1の作動型添加剤のみを含む電池システムに匹敵する容量維持率を有する。
【0026】
別の例示的な実施形態では、第1の作動型添加剤の濃度が、0.25重量%~6重量%の範囲である。
【0027】
別の例示的な実施形態では、第2の作動型添加剤の濃度が、0.1重量%~5重量%の範囲である。
【0028】
別の例示的な実施形態では、第1の作動型添加剤の濃度が2重量%であり、第2の作動型添加剤の濃度が0.5重量%~1重量%である。
【0029】
別の例示的な実施形態では、第1の作動型添加剤がフルオロエチレンカーボネートである。
【0030】
別の例示的な実施形態では、第1の作動型添加剤はビニレンカーボネートである。
【0031】
別の例示的な実施形態では、非水性溶媒はカーボネート溶媒である。
【0032】
別の例示的な実施形態では、非水性溶媒は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートから選択される少なくとも1つである。
【0033】
別の例示的な実施形態では、溶媒は、第2の非水性溶媒を更に含む。
【0034】
別の例示的な実施形態では、第2の非水性溶媒は酢酸メチルである。
【0035】
別の例示的な実施形態では、正極が、マイクロメートルサイズの粗粒のNMC532、標準のNMC532及びNMC622から選択される。
【0036】
別の例示的な実施形態では、負極は、人造黒鉛及び天然黒鉛から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】システムを搭載した車両の概略図である。
【0038】
図2】例示的な蓄電池システムの概略図である。
【0039】
図3】リチウムイオン電池セルシステムの概略図である。
【0040】
図4】本発明の一実施形態による、セル化成のための電気回路モジュール及びコンタクトモジュールの例示的な構成を示す。
【0041】
図5】様々な電解質の充電プロファイル及びガス発生を示す。
【0042】
図5Aは第1の電解質添加剤として2%FECを含む電解質組成物の充電プロファイル及びガス発生を示す。
【0043】
図5Bは第1の電解質添加剤として2%FEC及び第2の電解質添加剤として0.5%FNを含む電解質組成物の充電プロファイル及びガス発生を示す。
【0044】
図5Cは第1の電解質添加剤として2%FEC及び第2の電解質添加剤として1%FNを含む電解質組成物の充電プロファイル及びガス発生を示す。
【0045】
図6A】異なるタイプのセルにおける様々な電解質組成物のパッシベーション効果を示す。
図6B】異なるタイプのセルにおける様々な電解質組成物のパッシベーション効果を示す。
【0046】
図6AはコーティングされたNMC532正極及び人造黒鉛負極を備えたセル内のエチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)(対照)、並びに2%VC、0.5%FN、1%FN、2%VC+1%FN、2%FEC+1%FN及び1%LFO(LiPO)+1%FNを含むEC:EMCのパッシベーション効果を説明する。
【0047】
図6Bは、リチウムイオン電池セル内のエチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)(対照)、並びに2%VC、0.5%FN、1%FN、2%VC+1%FN及び2%FEC+1%FNを含むEC:EMCのパッシベーション効果を説明する。
【0048】
図7A】異なるタイプのセル内の様々な電解質組成物の電気化学インピーダンス分光法(EIS:Electrochemical Impedance Spectroscopy)スペクトル及びガス発生を示す。
図7B】異なるタイプのセル内の様々な電解質組成物の電気化学インピーダンス分光法(EIS:Electrochemical Impedance Spectroscopy)スペクトル及びガス発生を示す。
【0049】
図7Aは、コーティングされたNMC532正極及び人造黒鉛負極を備えたセルに2%VC、2%FEC、1%LFO、0.5%FN、1%FN、2%VC+1%FN、2%FEC+1%FN及び1%LFO+1%FNを含む電解質組成物のEISスペクトル及びそこでのガス発生を示す。
【0050】
図7Bは、リチウムイオン電池セルに2%VC、0.5%FN、1%FN、2%VC+1%FN及び2%FEC+1%FNを含む電解質組成物のEISスペクトル及びそこでのガス発生を示す。
【0051】
図8A】40℃での長期サイクリングを研究する典型的な実験データを示し、C/3CCCVは、VC又はFECを含有する電解質システムへの添加剤としてFNを含めることの利点を示す。
図8B】40℃での長期サイクリングを研究する典型的な実験データを示し、C/3CCCVは、VC又はFECを含有する電解質システムへの添加剤としてFNを含めることの利点を示す。
図8C】40℃での長期サイクリングを研究する典型的な実験データを示し、C/3CCCVは、VC又はFECを含有する電解質システムへの添加剤としてFNを含めることの利点を示す。
図8D】40℃での長期サイクリングを研究する典型的な実験データを示し、C/3CCCVは、VC又はFECを含有する電解質システムへの添加剤としてFNを含めることの利点を示す。
図8E】40℃での長期サイクリングを研究する典型的な実験データを示し、C/3CCCVは、VC又はFECを含有する電解質システムへの添加剤としてFNを含めることの利点を示す。
【0052】
図8Aは、コーティングされたNMC532正極及び人造黒鉛負極を備えるセルにおける2%VC、2%FEC、0.5%FN及び1%FNを含む電解質システムの放電容量、正規化容量及び電圧ヒステリシスを示す。
【0053】
図8Bは、コーティングされたNMC532正極及び人造黒鉛負極を備えるセルに2%VC、2%FEC、2%VC+1%FN及び2%FEC+1%FNを含む電解質システムの放電容量、正規化容量、及び電圧ヒステリシスを示す。
【0054】
図8Cは、コーティングされたNMC532正極及び人造黒鉛負極を備えるセルに1%LFO及び1%LFO+1%FNを含む電解質システムの放電容量、正規化容量及び電圧ヒステリシスを示す。
【0055】
図8Dは、リチウムイオン電池セルに添加剤として2%VC、2%FEC、0.5%FN及び1%FNを含むEC:EMC:DMC電解質を含む電解質システムの放電容量、正規化容量及び電圧ヒステリシスを示す。
【0056】
図8Eは、リチウムイオン電池セルに2%VC+1%FN、2%FEC+1%FN、2%VC及び2%FECのEC:EMC:DMC電解質を含む電解質システムの放電容量、正規化容量、及び電圧ヒステリシスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下の記載は、当業者が実施形態を作製及び使用できるようにするために提示され、特定の用途及びその要件と関連して提供される。開示される実施形態に対する様々な修正は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般原理は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の実施形態及び用途に適用され得る。したがって、本発明は、示される実施形態に限定されず、本明細書に開示される原理及び特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0058】
図1は、電池式電気自動車(電気自動車)100の基本的なコンポーネントを示す。電気自動車100は、少なくとも1つの駆動モーター(牽引モーター)402A及び/又は402B、対応する駆動モーター402A及び/又は402Bに結合された少なくとも1つのギアボックス404A及び/又は404B、電池セル406並びに電子機器408を備える。一般に、電池セル406は、電気自動車100の電子機器に動力を供給し、駆動モーター402A及び/又は402Bを使用して電気自動車100を推進するために電気を提供する。電気自動車100は、本明細書には記載されていないが当業者に知られている他の多数のコンポーネントを備える。図1の電気自動車100の構成は4つの車輪を有するように示されているが、異なる電気自動車は4つより少ないか又は多い車輪を有し得る。さらに他のタイプの車両の中でも、自動二輪車、航空機、トラック、ボート、列車エンジンを含む、異なるタイプの電気自動車100は、本明細書で説明される本発明の概念を組み込むことができる。本開示の実施形態を用いて作製される特定の部品を車両100で使用することができる。
【0059】
図2は、様々なコンポーネントを示す例示的なエネルギー貯蔵システム200の概略図を示す。エネルギー貯蔵システム200は、通常、少なくとも基部202及び4つの側壁204(図には2つだけが示されている)を備えたモジュール式ハウジングを含む。モジュールハウジングは、一般に、収納された電池セル206から電気的に絶縁されている。これは、物理的な分離により、電気絶縁層により、モジュールハウジングとしての絶縁材料の選択により、それらの任意の組み合わせ、又は別の方法により発生する可能性がある。基部202は、金属シートの上の電気絶縁層、又はポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、別のプラスチック、非導電性複合材若しくは絶縁炭素繊維等の非導電性/電気絶縁性材料であってもよい。側壁204はまた、絶縁層を備えてもよく、又はポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、別のプラスチック、非導電性複合材若しくは絶縁炭素繊維等の非導電性若しくは電気絶縁性材料から形成されてもよい。1つ以上の相互接続層230は、電池セル206の上に配置することができ、上部プレート210は相互接続層230の上に配置される。上部プレート210は、単一のプレートであっても、複数のプレートから形成されていてもよい。個々の電池セル106及び206は、リチウムイオンを含有する電解質を含み、正極及び負極を備えたリチウムイオン電池セルであることが多い。
【0060】
図3は、リチウムイオンセル300の概略図を示す。リチウムイオン350は、容器360内の電解質320全体に分散されている。容器360は、電池セルの一部であってもよい。リチウムイオン350は、正極330と負極340との間を移動する。セパレータ370は、負極と正極を分離する。回路310は、負極と正極を接続する。
【0061】
図4は、本発明の一実施形態による、セル形成のための電気回路モジュール及びコンタクトモジュールの例示的な構成を示す。この例では、コンタクトモジュール102及び電気回路モジュール104は、互いに隣接して配置される。化成充電/放電サイクリングが行われているセルは、コンタクトモジュール102のレセプタクルの1つにあるコンタクトピンと接触した状態にすることができる。回路モジュール104は、それぞれがセルを収容するためのコンタクトモジュール102上のレセプタクルに対応する幾つかの電気回路を収容することができる。各セル固有の回路は、レセプタクルに収納されたセルに適切に制御された電圧を供給し、セルの測定値を収集するように構成することができる。セルインターフェースブロックを一緒に形成するコンタクトモジュール102及び回路モジュール104のこのコンパクトな構成は、従来の形成システムの場合のように、大量のケーブル配線の必要性を排除できることに留意されたい。大量のケーブル配線は高価で、場所を取り、長いインストール/修理時間を必要とし、非効率の原因となり得て、精度の低下につながる可能性がある。
【0062】
コンタクトモジュール102はレセプタクルに複数のポゴピン(pogo pin)を備えることができるので、コンタクトモジュール102は「ポゴボード(pogo board)」と呼ばれることもあることに留意されたい。一実施形態では、2つのモジュールが1つの剛体(rigid entity)を形成できるように、コンタクトモジュール102及び回路モジュール104をスペーサ103と一緒に取り付けることができる。加えて、コンタクトモジュール102は、32個のセルを一度に収容するために32個のレセプタクルを提供することができる。他の数のレセプタクルも可能である。
【0063】
拡張可能で自動の操作を容易にするため、コンタクトモジュール/回路モジュールの組み合わせを上部プラットフォーム108に取り付け、化成が行われているセルを下部プラットフォーム110に保持することができる。上部プラットフォーム108及び下部プラットフォーム110の両方を、フレーム106に収納することができる。一実施形態では、上部プラットフォーム108及び下部プラットフォーム110は、「クラムシェル」方式で垂直に移動するように作動させることができる。具体的には、アクチュエータ122は底部プラットフォーム110を上方に移動させることができ、アクチュエータ124は上部プラットフォームを下方に移動させることができる。したがって、フレーム106は、「クラムシェル構造」と称される場合がある。セルを底部プラットフォーム110に置いた後、上部プラットフォーム108と底部プラットフォーム110とは、互いに向かって移動するように作動することができ、その結果、セルの上部は、セルコンタクトモジュール(コンタクトモジュール102に類似する)にある各レセプタクルの内側に配置されたピンと接触した状態にすることができる。底部プラットフォーム110の垂直位置を固定し、上部プラットフォーム108のみを下方に動かしてセルに接触させること、又はその逆も可能である。この片側作動構成(one-sided actuation configuration)には特定の利点があることに注意されたい。1組の作動機構のみを使用することにより、クランプ固定具の複雑さを排除でき、クランプ固定具に必要な全体のスペースをおよそ3分の1に削減することができる。さらに、上部のみのセル接続構成は、セルの下部へのケーブルを排除できるため、前述の利点も得られる。コンタクトモジュール及び回路モジュールは、個別のパワーエレクトロニクスモジュール及び長いケーブル配線の必要性をなくすのにも役立つ。
【0064】
図4に示す実施例では、クラムシェル構造106は、8つのセルインターフェースブロック(それぞれがコンタクトモジュール及び回路モジュールを備える)を収容することができ、各ブロックは、32個のセルを収容することができる。したがって、クラムシェル構造全体で32×8=256セルを同時に処理できる。ブロック当たりの他のセル数及びブロック数も可能である。セルのこのような密なパッキングは、セルごとの作動効率(作動消費(operational expenditure)、OPEX)及び総CAPEXを低下させる可能性があり、これは、接触ボードと電源及び制御モジュールとが互いに分離されている従来の化成システムでは達成できず、この2つを接続するには、複雑でスペースを消費するケーブル配線が必要である。
【0065】
セルパッキング密度を更に改善するため、構造106等の幾つかのクラムシェル構造を、ラック112等のより大きなラックに収納することができる。この実施例では、ラック112は7つのクラムシェル構造を収容することができ、化成中のセルの総数を1792個とすることができる。他の数のクラムシェル構造も可能である。システム制御及びAC/DC電力変換モジュール114等のかさばる電気コンポーネントは、クラムシェル構造ごとに提供され、各クラムシェル構造の近くに置かれることに留意されたい。更なる実施形態では、AC/DC電力変換モジュールを、ラックごとに集中管理して提供することができる。
【0066】
発明者らによる新たな研究より、グリッド及び電気自動車の用途で使用するための新規な電解質及び電池システムが特定された。これらのシステムは、ビニレンカーボネート(VC)と2-フラノン(FN)との組み合わせ、及びフルオロエチレンカーボネート(FEC)とFNとの組み合わせを含む、溶媒及び電極と組み合わせた二添加剤電解質システムに基づく。これらの二添加剤電解質システムは、LNiMnCoの組成を持つリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物から作られた正極と対になっている(一般にはNMC又はNMCxyzと略記され、ここで、x、y及びzは、それぞれニッケル、マンガン及びコバルトのモル比であり、x+y+z=1である)。特定の実施形態では、正極は、NMC111、NMC532、NMC811又はNMC622から形成される。特定の実施形態では、連続結晶格子(又は粗粒)のマイクロメートルサイズの面積を有する電極をもたらした単結晶のマイクロメートルサイズ側の粒子から形成されたNMC532正極は、一部には材料が原因で、特に堅牢であることが示されており、また処理条件により、従来の材料及び処理条件を使用する場合よりも粒度が大きくなる。
【0067】
典型的な処理条件により、ナノメートルサイズの粒子がより大きなマイクロメートルサイズの凝集体に詰め込まれたNMC電極がもたらされ、ナノメートルスケールで粒界が作られる。粒界は、望ましい特性(例えば、電気的特性)を低下させる傾向がある欠陥のため、一般に、粗粒の数を減らし、粒度を大きくすることが望ましい。処理により、マイクロメートルサイズのスケールでより大きなドメインを作ることができるため、NMC電極の粒界の数が減り、電気的特性が向上する。特性の向上により、より堅牢な電池システムがもたらされる。特定の実施形態では、他のNMC電極を処理して、より大きなドメインサイズ(マイクロメートルサイズスケール以上)、例えば、NMC111、NMC811、NMC622、又は別のNMC化合物を作って、より堅牢なシステムを作製することができる。
【0068】
正極は、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)、又は別のコーティング材等の材料でコーティングされてもよい。正極のコーティングは、寄生反応、過充電、又はシステムを劣化させる可能性のある別の現象等、正極での界面現象を減らすのに役立つ場合があるため、有利である。負極は、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛/SiOブレンド、又は他の材料から作られてもよい。
【0069】
電解質は、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、酢酸メチル(MA)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート、別のカーボネート溶媒(環状又は非環状)、別の有機溶媒、及び/又は別の非水性溶媒を含む有機又は非水性の溶媒の組み合わせに溶解されたリチウム塩(LiPF等)であってもよい。溶媒は、添加剤よりも高い濃度、通常、約5重量%以上、又は約6重量%以上の濃度で存在する。NMC/黒鉛セルの実験データは、EC及びEMC(DMC及び/又はMAの有無にかかわらず)を含む電解質溶媒を使用して生成されたが、これらの溶媒は、他のカーボネート溶媒、特に他の非水性溶媒の単なる例である。添加剤、電極の影響を理解するために、EC及びEMC溶媒を実験で使用して、試験したシステムを制御した。したがって、電解質システムは、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、他のカーボネート溶媒(環状又は非環状)、他の有機溶媒、及び/又は別の非水性溶媒を含む他のカーボネート溶媒及び/又は他の非カーボネート溶媒を使用することができる。溶媒は、添加剤よりも高い濃度、通常5重量%超又は6重量%超濃度で存在する。
【0070】
FEC及びFNの二添加剤混合物では、FECの濃度は、好ましくは0.5重量%~6重量%であり、FNの濃度は、好ましくは0.25重量%~5重量%である。VC及びFNの二添加剤混合物では、VCの濃度は優先的に0.5重量%~6重量%であり、FNの濃度は優先的に0.1重量%~5重量%、0.15重量%~5重量%、0.2重量%~5重量%、及び0.25重量%~5重量%である。
【0071】
これらの特定の新たな電池システムは、エネルギー貯蔵用途、また自動車用途(電気自動車内のエネルギー貯蔵を含む)で使用でき、この用途では、充電及び放電の速度、並びに急速に充電及び放電するときの寿命が重要である。
【0072】
予備実験の構成
電池システム自体は、本開示に従って別々にパッケージされてもよいが、実験構成は、通常、機械で作られた「密閉セル」を使用して、二添加剤電解質システム及び正極及び負極を使用するための特定の材料を含む一般的な構成を使用して電池システムを系統的に評価する。本開示内で言及される全てのパーセントは、特に指定されない限り、重量パーセントである。当業者は、使用される添加剤の種類及び採用される濃度が、最も望ましく改善される特性、並びに作製されるリチウムイオン電池で使用される他のコンポーネント及び設計に依存し、この開示から明らかであることを理解する。
【0073】
密閉セル
実験構成で使用されたNMC/黒鉛密閉セルは、添加剤を加えた溶媒に1M LiPFを含んでいた。電解質は、30%EC及び70%EMC中1.2M LiPFの1M LiPFからなった。電解質成分の濃度を、MA及び/又はDMCを含むように修正することができる。この電解質に、添加剤成分を特定の重量パーセントで添加した。
【0074】
実験構成で使用した密閉型リチウムイオン電池セルは、体積比25:5:70のEC、EMC、DMCに添加した1.2M LiPF6からなる電解質溶媒を含有した。この電解質に、添加剤成分を特定の重量パーセントで添加した。
【0075】
密閉型NMC/黒鉛セルは、特に指定のない限り、マイクロメートルサイズの粗粒のNMC532(単結晶NMC532と呼ばれることもある)で作られた正極、及び人造黒鉛で作られた負極を使用した。特定の電池システムを試験するため、標準NMC532(マイクロメートルサイズの粗粒のNMCよりも小さい粗粒)及びNMC622を含む他の正極、及び負極(天然黒鉛を含む)を使用した。
【0076】
電解液を充填する前に、密閉セルをヒートシール未満で切り開き、100℃で12時間真空乾燥して、残留水分を除去した。次いで、充填及び真空封止を行うためセルをすぐにアルゴンを充填したグローブボックスに移した後、電解液を充填した。充填後、セルを真空封止した。
【0077】
封止後、密閉セルを40.0+/-0.1℃の温度ボックスに入れ、1.5Vで24時間保持して、ウェッティングを完了した。その後、密閉セルを化成工程に供した。特に明記しない限り、NMC/黒鉛セルの化成プロセスは、11mA(C/20)で4.2Vまで密閉セルを充電し、3.8Vまで放電することからなった。C/xは、セルに初期容量がある場合、選択されている電流でのセルの充電又は放電にかかる時間がx時間であることを示す。例えば、C/20は、充電又は放電に20時間かかることを示す。化成後、セルをグローブボックスに移して移動し、切り開いて発生したガスを放出させ、再度真空封止して適切な実験を行った。
【0078】
サイクリング実験及び貯蔵実験用のリチウムイオン電池セルの化成プロセスは、密閉セルを40℃にてC/2で1時間充電すること、セルを60℃で22時間貯蔵すること、セルを40℃にてC/2で4.2Vに充電すること、及び3.8Vに放電することからなった。化成後、セルをグローブボックスに移して移動し、切り開いて発生したガスを放出させ、再度真空封止して適切な実験を行った。
【0079】
充電実験及びプロファイル実験、並びにガス量測定実験用のリチウムイオン電池セルの化成プロセスは、密閉セルを40℃にてC/20で1時間充電すること、セルを60℃で22時間貯蔵すること、セルを40℃にてC/20で4.2Vに充電すること、及び3.8Vに放電することからなった。化成後、セルをグローブボックスに移して移動し、切り開いて発生したガスを放出させ、再度真空封止して適切な実験を行った。
充電プロファイル及びガス量の測定
【0080】
化成プロセスは、セルが電気自動車等の自動車におけるグリッド貯蔵又はエネルギー貯蔵等のそれらの意図された用途で使用される前に行われる。化成中、セルは正確に制御された充放電サイクルに供され、これは、それらを意図された用途で使用するために電極及び電解質を活性化することを目的としている。化成中にガスが生成される。(セルによって許容される特定の耐性及びセルのパッケージングに応じて)十分な量のガスが生成された場合、化成プロセスの後、用途の使用前にガスを放出する必要がある場合がある。これには通常、密閉を破った後に再封止するという追加の工程が必要である。これらの工程は多くの電池システムで一般的であるが、可能であればガスの産生が少ないシステムを選択することによって、これらの工程を取り除くことが望ましい。
【0081】
ガス量の実験を次のように行った。Ex-situ(静的)ガス測定を使用して、化成中及びサイクリング中のガス生成を測定した。測定は、アルキメデスの原理を使用して、液体に沈めた状態でセルを天秤から吊り下げて行った。流体中に吊り下げたセル重量の試験前後の変化は、浮力の変化による体積変化に直接関連する。密度ρの流体に浮遊しているセルの質量の変化Δmは、セル体積の変化ΔvとΔv=-Δm/ρの関係がある。充放電中及び高電位保持期間中に生成されたガスを、Aiken et al.(C.P.Aiken,J.Xia,David Yaohui Wang,D.A.Stevens,S.Trussler and J.R.Dahn,J.Electrochem.Soc.2014volume161,A1548-A1554)によって記載されるin-situガス測定装置を使用して測定した。
【0082】
特定の実施形態では、各添加剤の濃度が約0.25%~6%である二添加剤電解質システムが、電池システムの一部を形成する。図5A図5Cは、リチウムイオン電池セルで試験したときの、様々な電解質の充電プロファイル及びガス発生を示す。
【0083】
図5A図5Cに示されるように、電池セルの充電プロファイルは、電解質組成物中に存在する添加剤とは無関係である。さらに、図5Cに示すように、EC:EMC:DMCを含む電解質組成物の充電プロファイルは、80%のEC:EMC:DMC+20%MAを含む電解質組成物の充電プロファイルと同様であり、充電プロファイルが電解質組成自体とは無関係であることを示す。
【0084】
図5A図5Cはまた、様々な電解質システムにおけるガス発生を示している。本発明者らは、驚くべきことに、電解質組成物中のFNの存在が、添加剤として2%のみのFECを含む電解質組成物と比較して、セル化成中のガス生成を有意に抑制することを発見した。図5B図5Cに示されるように、少なくとも0.5%のFNが存在する場合、FNの添加後に観察されるガス生成の抑制は、FNの量とは関係がない。無視できる量のガスが、添加剤として2%FEC+0.5%FNを含有する電解質組成物(図5B)、並びに添加剤として2%FEC+1%FNを含有するセル(図5C)で生成された。図5Cにも示されているように、ガス生成の抑制は、電解質組成物の主成分とは無関係である。無視できる量のガス生成は、電解質組成物への20%MAの添加によって影響を受けなかった。化成プロセス中のガス生成の大幅な削減につながる、FN含有電解質組成物のこの予想外に優れた効果の結果として、電池システムの製造プロセスは、化成後のガス放出工程を排除することによって、より効率的で対費用効果の高いものとすることができる。化成後のガス放出工程は、一般に、電池システムの開封及び再密封を必要とし、これにより、製造時間が増加し、潜在的な溶媒蒸発により効率が低下する。
パッシベーション効果
【0085】
異なるタイプのセルにおける様々な電解質組成物のパッシベーション効果が図6A図6Bに示されており、図中、微分容量(dQ/dV)が化成充電中のセル電圧に対してプロットされている。図6A図6Bのデータから分かるように、FNは2.4Vでパッシベーションピークを示し、これは、それぞれ2.85V及び3VでのVC及びECからの寄与を制する。図6Aは、コーティングされたNMC532正極及び人造黒鉛負極を備えたセル内のエチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)(対照)、並びに2%VC、0.5%FN、1%FN、2%VC+1%FN、2%FEC+1%FN、及び1%LFOと1%FNを含むEC:EMCのパッシベーション効果を説明する。図6Bは、リチウムイオン電池セル内のエチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)(対照)、並びに2%VC、0.5%FN、1%FN、2%VC+1%FN及び2%FEC+1%FNを含むEC:EMCのパッシベーション効果を説明する。
【0086】
セルインピーダンス
本明細書に開示される二添加剤電解質システム及び新規の電池システムは、低いセルインピーダンスを有する。セルインピーダンスはセルのエネルギー効率を低下させるため、セルインピーダンスを最小限に抑えることが望ましい。逆に、インピーダンスが低いと、充電率が高くなり、エネルギー効率が高くなる。
【0087】
セルインピーダンスを、電気化学インピーダンス分光法(EIS)を使用して測定した。密閉セルは、特に明記されない限り、単結晶NMC532正極及び人工負極を使用し、化成後にEIS測定を行った。10.0+/-0.1℃の温度ボックスに移動する前に、セルを3.80Vに充電又は放電した。ACインピーダンススペクトルを、10.0+/-0.1℃で10mVの信号振幅で100kHzから10mHzまで10分当たり10ポイントで収集した。特定の実施形態では、各添加剤の濃度が約0.25%~6%である二添加剤電解質システムが、電池システムの一部を形成する。
【0088】
インピーダンスに対するFNの効果は、図7A図7Bに例示されており、これは、一般に、電解質組成物中にFNを含まないセルにおけるインピーダンスよりも高い。しかしながら、化成プロセス中の著しく低い(図7A)又は無視できる(図7B)ガス生成に関連する利点は、電解質組成物に添加剤としてFNを含むセルで観察されるいかなるインピーダンスの増加も上回る。
【0089】
超高精度のサイクリング及び貯蔵実験
作動型電解質添加剤及び電極を含む、本開示の電池システムの有効性を研究するため、超高精度サイクリング(UHPC:ultrahigh precision cycling)を行った。標準UHPC手順は、C/3に対応する電流を使用して、40℃にて4.3Vでセルをサイクリングしてデータを生成することからなった。クーロン効率の場合、クーロン効率、充電エンドポイント容量のずれ、及びその他のパラメーターを30ppmの精度まで測定するためUPHCを使用する。UHPC手順の詳細は、その全体が本明細書に組み込まれる、T.M.Bond,J.C.Burns,D.A.Stevens,H.M.Dahn,and J.R.Dahn,Journal of the Electrochemical Society,160,A521(2013)に記載されている。
【0090】
特に関心のあるUHPC測定から測定及び/又は決定される測定基準には、クーロン効率、正規化クーロン効率、正規化充電エンドポイント容量のずれ、正規化放電容量(又はフェードレート)、及びデルタVが含まれる。クーロン効率は、前のサイクルの放電容量(Q)を充電容量(Q)で割った値である。クーロン効率は、Liイオンセルで起こる寄生反応を追跡し、正極及び負極の両方からの寄与を含む。CE値が高いほど、セル内の電解質の劣化が少ないことを示す。1時間当たりクーロン効率(CIE/h)は、(1時間当たりの)正規化クーロン効率であり、クーロン効率は1-CEとして定義される。CIE/hは、1-CEを得て、CEが測定されるサイクル時間で割ることによって計算される。充電エンドポイント容量の動き(又はずれ)は、正極で発生する寄生反応、並びにある場合は正極材の質量損失を追跡する。動きが少ない方が良く、電解質の酸化が少ないことと関連している。正規化放電容量、つまりフェードレートは別の重要な測定基準であり、フェードレートが低いほど望ましく、通常は電池システムの寿命が長いことを示す。ΔVは、平均充電電圧と平均放電電圧の差として計算される。ΔVの変化は分極の成長と密接に関係しており、サイクリングが発生するにつれてΔVの変化は小さくなる。UHPC測定は、測定基準をより高い精度で正確に追跡でき、様々な劣化メカニズムを比較的迅速に評価できるため、電解質組成物の比較に特に適している。
【0091】
特定の実施形態では、各添加剤の濃度が約0.25%~6%である二添加剤電解質システムが、電池システムの一部を形成する。電池システムはまた、NMC111、NMC532、NMC811、NMC622、又は別のNMC組成物(NMCxyz)から作られた正極を備えてもよい。特定の実施形態では、マイクロメートルスケールの粗粒のNMC532から作られた正極は、部分的には、処理条件が、通常の処理条件が生成するよりも大きな粒度を作り出すため、特に堅牢であることが示された。
【0092】
典型的な処理条件により、ナノメートルサイズの粒子がより大きなマイクロメートルサイズの凝集体に詰め込まれたNMC電極がもたらされ、ナノメートルスケールで粒界が作られる。粒界は、望ましい特性(例えば、電気的特性)を低下させる傾向がある欠陥のため、一般に、粗粒の数を減らし、粒度を大きくすることが望ましい。現在の処理では、マイクロメートルサイズのスケールでより大きなドメインを作ることができるため、NMC電極の粒界の数が減り、電気的特性が向上する。特性の向上により、より堅牢な電池システムがもたらされる。特定の実施形態では、他のNMC電極を処理して、より大きなドメインサイズ(マイクロメートルサイズスケール以上)、例えば、NMC111、NMC811、NMC622、又は別のNMC化合物を作って、より堅牢なシステムを作製することができる。
【0093】
特定の実施形態では、黒鉛-SiO電極を含むリチウムイオン電池セルを使用した。
【0094】
長期サイクリング
電池システムの寿命は電池システムの重要な特性である。充電及び放電の速度は寿命に影響を与える場合がある。長期サイクリング実験は、予想される動作条件下での回復力のある電池システムの経時変化を判断するのに役立つ。所望の用途に十分な寿命を持つ電池システムを選択することが重要である。
【0095】
本開示の実施形態は、グリッド及び車両貯蔵を含む、種々の用途のための望ましい長期サイクリングを示す。
【0096】
具体的には、VC+FN及びFEC+FNの二添加剤電解質システムは、ECが溶媒として使用され、特に充放電率が通常、グリッド貯蔵用途よりも高い自動車用途(特に電気自動車内のエネルギー貯蔵)に関連する。
【0097】
長期サイクリング実験では、通常、(特に指定のない限り)単結晶NMC532を正極として使用し、(特に指定のない限り)人造黒鉛を負極として使用した。別の実施形態では、リチウムイオン電池セルを使用した。長期サイクリング実験の前に、上記のように、密閉セルを化成プロセスに供した。一般に、セルは化成プロセス後にグローブボックスに移されて移動され、化成プロセス中に生成されたガスを放出するために切り開かれ、その後再び真空封止される。しかしながら、セルの化成中のガス生成はごくわずかであるため、FNを添加剤として含有するセルでは、この追加の手順は必要なかった。化成後、セルをNeware充電システムでサイクルした。セルを、40℃+/-0.2℃又は20℃+/-0.2℃の温度制御ボックスに収納した。3.0V及びC/3(半サイクル3時間)の電流による充電開始時(top of charge)(4.2V又は4.3V)と、充電開始時の定電圧工程の間で、電流がC/20を下回るまでセルをサイクルした。50サイクルごとに、セルはC/20で1つの完全なサイクルを経た。
【0098】
特定の実施形態では、各添加剤の濃度が約0.25%~6%である二添加剤電解質システムが、電池システムの一部を形成する。
図8A図8Eは、40℃での長期サイクリングを研究する典型的な実験データを示し、C/3CCCVは、VC又はFECを含有する電解質システムへの添加剤としてFNを含めることの利点を示す。
コーティングされたNMC532を正極及び人造黒鉛負極として使用する長期サイクリングの結果図を図8A図8Cに示し、市販のリチウムイオン電池セルを使用する長期サイクリングの結果を図8D図8Eに示す。これらの図に示されているように、電解質組成物へのFNの添加は、電池システムの長期サイクリング特性に強く影響することはない。化成プロセス中のガス生成の大幅な減少と組み合わせて、添加剤としてFNを含む電池システムは、標準的な電池システムと比較して、予想外に優れた特性を有することがある(図8Cを参照されたい)。
【0099】
前述の開示は、本開示を、開示される正確な形態又は特定の使用分野に限定することを意図するものではない。そのため、本明細書で明示的に説明又は含意されているかどうかにかかわらず、本開示に照らして、本開示に対する様々な代替の実施形態及び/又は修正が可能であることが企図される。このように本開示の実施形態を説明したが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に変更を加えることができることを認識するであろう。したがって、本開示は、特許請求の範囲によってのみ制限される。本明細書における添加剤への言及は、本明細書において別段の記載がない限り、概して作動型添加剤を指す。
【0100】
前述の明細書では、特定の実施形態を参照して本開示を記載した。しかしながら、当業者に理解されるように、本明細書に開示される様々な実施形態は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、修正され又は他の様々な方法で実施され得る。したがって、この記載は、例示的なものと見なされるべきであり、開示される電池システムの様々な実施形態を作製及び使用する方法を当業者に教示することを目的とするものである。本明細書に示され、説明される開示の形態は、代表的な実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。同等の要素又は材料は、本明細書で代表的に例示及び説明されているものと置き換えることができる。さらに、本開示の特定の特徴は、他の特徴の使用とは無関係に利用されてもよく、いずれも、本開示のこの説明の利益を得た後に当業者に明らかとなろう。本開示を説明及び主張するために使用される「含む、備える(including)」、「含む、備える(comprising)」、「組み込む(incorporating)」、「からなる(consisting of)」、「有する(have)」等の表現は、非排他的な方法で解釈されるべきであり、すなわち、明示的に記載されていない事項、コンポーネント又は要素も存在し得る。単数形への言及はまた、複数形に関連すると解釈されるべきである。「約」又は「およそ」への言及は、プラス又はマイナス10%を意味すると解釈されるべきである。同様に、添加剤の任意のパーセンテージへの言及は、プラス又はマイナス10%を意味すると解釈される。
【0101】
さらに、本明細書に開示される様々な実施形態は、例示的及び説明的な意味で解釈されるべきであり、決して本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。全ての結合参照(例えば、添付、貼り付け、結合、接続等)は、本開示の読者の理解を助けるためにのみ使用され、特に本明細書で開示されるシステム及び/又は方法の位置、方向又は使用に関して制限を作ることはできない。したがって、結合参照は、ある場合は、広く解釈される。さらに、かかる結合参照は、2つの要素が互いに直接接続されていることを必ずしも推測するものではない。
【0102】
さらに、限定されるものではないが、「第1」、「第2」、「第3」、「一次」、「二次」、「主」、又はその他の通常の用語及び/又は数値等の全ての絶対数は、本開示の様々な要素、実施形態、変形及び/又は修正についての読者の理解を助けるための識別子としてのみ受け取られ、別の要素、実施形態、変形及び/又は修正に対して、特に任意の要素、実施形態、変形及び/又は修正の順番又は優先度について限定を設けることはできない。
【0103】
また、図面/図に示されている1つ以上の要素は、特定の用途に応じて有用であることから、より分離若しくは統合された方法で実装することもでき、又は更には特定の場合に削除又は動作不能とされて得ることもあると理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【文献】米国特許出願公開第2017/0025706号
【非特許文献】
【0105】
【文献】J.C.Burns et al.,Journal of the Electrochemical Society,160,A1451(2013)
図1
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