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特許7345490半潜水フロータ、特に浮体式風力タービン用の半潜水フロータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】半潜水フロータ、特に浮体式風力タービン用の半潜水フロータ
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20230908BHJP
   B63B 35/34 20060101ALI20230908BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20230908BHJP
   B63B 75/00 20200101ALI20230908BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20230908BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20230908BHJP
【FI】
B63B35/00 T
B63B35/34 B
B63B35/44 Z
B63B75/00
F03D1/06 A
F03D13/25
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020550744
(86)(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2019056461
(87)【国際公開番号】W WO2019179881
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】1852409
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】523007007
【氏名又は名称】サイペム・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ・ウマール・ル・グラン
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/172149(WO,A1)
【文献】特表2016-531804(JP,A)
【文献】国際公開第2014/031009(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/00
B63B 35/34
B63B 35/44
B63B 75/00
F03D 1/06
F03D 13/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半潜水フロータ(12)、特に浮体式風力タービン(10)用の半潜水フロータ(12)であって、動作状態および非動作状態を定め、
‐ 少なくとも2つの外柱(24、26、28)と、
‐ ペイロード(14、16、18)を受容する中心柱(22)と、
‐ 各外柱(24、26、28)に関して、該外柱(24、26、28)を前記中心柱(22)に接続し、前記中心柱(22)から該外柱(24、26、28)を向いた分岐軸(A)を画定しているポンツーン型分岐部(30、32、34)と、
を含み、
各ポンツーン型分岐部(30、32、34)は、対応する分岐軸(A)に沿って連続して延在している第1の部分(42)と第2の部分(44)とにより形成されており、それぞれ1つが、前記分岐軸(A)に沿って、前記ポンツーン型分岐部(30、32、34)の全範囲(E)の少なくとも10%に亘り、
当該半潜水フロータ(12)の動作状態において、各分岐部(30、32、34)の前記第2の部分(44)が、少なくとも部分的にバラスト材料(66)で満たされており、さらに、前記第1の部分(42)が、いかなるバラスト材料(66)も含有せず、
各外柱(24、26、28)は、前記対応する分岐軸(A)に沿って前記中心柱(22)を該外柱(24、26、28)に接続している前記ポンツーン型分岐部(30、32、34)の延長部に配置されている、バラスト材料(66)で満たされることが可能であるバラスト(24A)を含み、
当該半潜水フロータ(12)の前記動作状態において、各外柱(24、26、28)の前記バラスト(24A)の前記バラスト材料(66)の体積が、前記バラスト(24A)の全容積の40%~60%の間であることを特徴とする、半潜水フロータ(12)。
【請求項2】
各ポンツーン型分岐部(30、32、34)の前記第2の部分(44)の前記バラスト材料(66)の体積が、前記第2の部分(44)の全容積の80%~100%の間であることを特徴とする、請求項1に記載の半潜水フロータ(12)。
【請求項3】
各第2の部分(44)は、前記分岐軸(A)に沿って連続して延在している第1の区画(44A)と第2の区画(44B)とを含み、
当該半潜水フロータ(12)の前記動作状態において、各第1の区画(44A)の前記バラスト材料(66)の体積が、該第1の区画(44A)の全容積の40%~60%の間であり、各第2の区画(44B)の前記バラスト材料(66)の体積が、該第2の区画(44B)の全容積の80%~100%の間であることを特徴とする、請求項1に記載の半潜水フロータ(12)。
【請求項4】
前記対応する分岐軸(A)に沿った各ポンツーン型分岐部(30、32、34)の前記第2の部分(44)の前記第1の区画(44A)の範囲(E1)に対する、前記対応する分岐軸(A)に沿った該ポンツーン型分岐部(30、32、34)の前記第2の部分(44)の前記第2の区画(44B)の範囲(E2)の割合が、2~4の間であることを特徴とする、請求項3に記載の半潜水フロータ(12)。
【請求項5】
各第2の部分(44)は、該第2の部分(44)の前記第2の区画(44B)内に配置されている少なくとも1つの内部隔壁(54、56)を含み、前記内部隔壁(54、56)が、前記第2の区画(44B)を少なくとも2つの区画(44B)部分(58、60、62)に分割していることを特徴とする、請求項3または4に記載の半潜水フロータ(12)。
【請求項6】
各ポンツーン型分岐部(30、32、34)の前記第2の部分(44)は、前記対応する分岐軸(A)に沿って、該ポンツーン型分岐部(30、32、34)の全範囲(E)の30%~80%までに亘って延在していることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の半潜水フロータ(12)。
【請求項7】
各ポンツーン型分岐部(30、32、34)の前記第1の部分(42)は、該ポンツーン型分岐部(30、32、34)の前記第2の部分(44)からしっかりと分離されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の半潜水フロータ(12)。
【請求項8】
前記中心柱(22)は、いかなるバラストも含有しないことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の半潜水フロータ(12)。
【請求項9】
前記バラスト材料(66)は、以下のリスト、
‐ 海水、
‐ 泥、
‐ 砂、
‐ 砂利、
からの材料のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の半潜水フロータ(12)。
【請求項10】
半潜水フロータ(12)、特に浮体式風力タービン(10)用の半潜水フロータ(12)を設置する方法であって、前記半潜水フロータ(12)は、動作状態および非動作状態を定め、
‐ 少なくとも2つの外柱(24、26、28)と、
‐ ペイロード(14、16、18)を受容する中心柱(22)と、
‐ 各外柱(24、26、28)に関して、該外柱(24、26、28)を前記中心柱(22)に接続し、前記中心柱(22)から該外柱(24、26、28)を向いた分岐軸(A)を画定しているポンツーン型分岐部(30、32、34)と、
を含み、
各ポンツーン型分岐部(30、32、34)は、対応する分岐軸(A)に沿って連続して延在している第1の部分(42)と第2の部分(44)とにより形成されており、それぞれ1つが、前記分岐軸(A)に沿って、前記ポンツーン型分岐部(30、32、34)の全範囲(E)の少なくとも10%に亘り、
各外柱(24、26、28)は、前記対応する分岐軸(A)に沿って前記中心柱(22)を該外柱(24、26、28)に接続している前記ポンツーン型分岐部(30、32、34)の延長部に配置されている、バラスト材料(66)で満たされることが可能であるバラスト(24A)を含み、
当該方法は、前記半潜水フロータ(12)を動作状態において配置するために、
‐ 各ポンツーン型分岐部(30、32、34)の前記第2の部分(44)を少なくとも部分的にバラスト材料(66)で満たすステップと、
‐ 各ポンツーン型分岐部(30、32、34)の前記第1の部分(42)をバラスト材料がないままにするステップと、
‐ 各外柱(24、26、28)の前記バラスト(24A)を前記バラスト材料(66)で満たすステップであって、各外柱(24、26、28)の前記バラスト(24A)の前記バラスト材料(66)の体積が、前記バラスト(24A)の全容積の40%~60%の間である、ステップと、
を含んでなることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半潜水フロータに関し、特に浮体式風力タービン用の半潜水フロータに関する。
【0002】
また、本発明は、そのような半潜水フロータを設置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
それ自体既知の方法では、半潜水フロータは、一般に、中心柱と、ポンツーン型分岐部により該中心柱に各々接続されている少なくとも2つの外柱とを含む。
【0004】
例えば、フロータは海の表面上で浮くように構成されている。
【0005】
フロータは、特に、それが海でその動作場所に配置されておりかつ海底にアンカーで固定されている動作状態を定める。フロータのこの状態において、浮体式風力タービンは発電することができる。さらに、この状態において、半潜水フロータは所定の喫水を有する。
【0006】
したがって、半潜水フロータの動作状態では、中心柱はフロータに浮力を与える。該中心柱は、特に、相当な没水体積を有するが、それは、中心柱が受容するマスト、タービン、およびナセルの重量を相殺しない。結果として、中心柱は下向きのすなわち海底に向かう力に晒される。
【0007】
また、外柱は半潜水フロータに浮力を与え、相当な没水体積を有する。
【0008】
特に、それらの浮力はそれらの重量を超過する。したがって、各外柱は上方にすなわち海底の反対方向を向いた、結果として起こる力に晒される。これは、結果的に、中心柱の底面スラブおよび対応するポンツーン型分岐部の底面スラブに引張応力をもたらす。
【0009】
また、ポンツーン型分岐部は相当な浮力を有する。これにより、各ポンツーン型分岐部の中心柱との接合部において相当な剪断応力が起こる。
【0010】
さらに、動作中、タービンは半潜水フロータ上に推力を生じさせる。この推力は、特に、浮体式風力タービンの出力の関数であり、フロータを安定させるために、少なくとも部分的に相殺されなければならない。
【0011】
また、フロータにかけられる力は、タービンが動作しているかどうかに関わらず、風、うねり、潮流などの環境条件により誘発される機械的応力によっても発生する。これにより、結果的に、浮体式風力タービンが環境条件の影響下で開始された場合、これらの機械的応力の動的増幅がもたらされる。
【0012】
したがって、半潜水フロータが動作状態にある場合、半潜水フロータにかけられる力の平衡を保つことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、半潜水フロータが動作状態にある場合、特に増大した安定性を有する半潜水フロータを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、本発明は、半潜水フロータ、特に浮体式風力タービン用の半潜水フロータであって、動作状態および非動作状態を定め、
‐ 少なくとも2つの外柱と、
‐ ペイロードを受容する中心柱と、
‐ 各外柱に関して、前記外柱を中心柱に接続し、中心柱から前記外柱を向いた分岐軸を画定しているポンツーン型分岐部と
を含み、
各ポンツーン型分岐部は、対応する分岐軸に沿って連続して延在している第1の部分と第2の部分とにより形成されており、各1つが、この分岐軸に沿って、前記ポンツーン型分岐部の全範囲の少なくとも10%に亘り、
半潜水フロータの動作状態において、各分岐部の第2の部分は、少なくとも部分的にバラスト材料で満たされること、および第1の部分は、いかなるバラスト材料も含有しないことを特徴とする、
半潜水フロータに関する。
【0015】
換言すれば、フロータの動作状態において、各分岐部の第2の部分はバラスト材料を含み、一方、第1の部分はそのような材料を含まない。
【0016】
特定の実施形態によれば、半潜水フロータは、単独でまたは任意の技術的に可能な組合せにより検討される、以下の特徴、
‐ 各外柱は、対応する分岐軸に沿って中心柱をこの外柱に接続しているポンツーン型分岐部の延長部に配置されている、バラスト材料で満たされることが可能であるバラストを含み、半潜水フロータの動作状態において、各外柱のバラストのバラスト材料の体積は、このバラストの全容積の40%と60%の間であること、
‐ 各ポンツーン型分岐部の第2の部分のバラスト材料の体積は、この部分の全容積の80%と100%の間であること、
‐ 各第2の部分は、分岐軸(A)に沿って連続して延在している第1の区画と第2の区画とを含み、半潜水フロータの動作状態において、各第1の区画のバラスト材料の体積は、この区画の全容積の40%と60%の間であり、各第2の区画のバラスト材料の体積は、この区画の全容積の80%と100%の間であること、
‐ 対応する分岐軸に沿った各ポンツーン型分岐部の第2の部分の第1の区画の範囲に対する、対応する分岐軸に沿ったこの同じ各ポンツーン型分岐部の第2の部分の第2の区画の範囲の割合は、2と4の間であること、
‐ 各第2の部分は、この部分の第2の区画内に配置されている少なくとも1つの内部隔壁を含み、該内部隔壁は、この区画を少なくとも2つの区画部分に分割している、
‐ 各ポンツーン型分岐部の第2の部分は、対応する分岐軸に沿って、この分岐部の全範囲の30%から80%までに亘って延在していること、
‐ 各ポンツーン型分岐部の第1の部分は、この分岐部の第2の部分からしっかりと分離されていること、
‐ 中心柱は、いかなるバラストも含有しないこと、
‐ バラスト材料は、以下のリスト、海水、泥、砂、砂利、からの材料のうちの少なくとも1つを含むこと、
のうちの1つまたは複数を含む。
【0017】
また、本発明は、半潜水フロータのための、特に浮体式風力タービン用の半潜水フロータのための設置方法であって、半潜水フロータは、動作状態および非動作状態を定め、
‐ 少なくとも2つの外柱と、
‐ ペイロードを受容する中心柱と、
‐ 各外柱に関して、この外柱を中心柱に接続し、中心柱からこの外柱を向いた分岐軸を画定しているポンツーン型分岐部と
を含み、
各ポンツーン型分岐部は、対応する分岐軸に沿って連続して延在している第1の部分と第2の部分とにより形成されており、各1つが、この分岐軸に沿って、前記ポンツーン型分岐部の全範囲の少なくとも10%に亘り、
方法において、半潜水フロータを動作状態において配置するために、
‐ 各ポンツーン型分岐部の第2の部分を少なくとも部分的にバラスト材料で満たすステップと、
‐ 各ポンツーン型分岐部の第1の部分をバラスト材料がないままにするステップと
を含むことを特徴とする、
設置方法に関する。
【0018】
単に例として図面を参照して、本発明の実施形態の次の説明を読むと、本発明の他の特徴および利点が見えてくるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による半潜水フロータを含む例示的浮体式風力タービンの概略斜視図である。
図2図1に示されている切断面II‐IIに沿った、図1の半潜水フロータの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示では、量が値Vのプラスマイナス10%の範囲内に等しい場合、量が値Vに略等しい。
【0021】
浮体式風力タービン10が図1に示されている。
【0022】
この図を参照して、浮体式風力タービン10は、半潜水フロータ12と、少なくとも1つのマスト14と、タービン16と、該タービン16の少なくとも一部を支持するナセル18とを含む。
【0023】
本開示の残部において、半潜水フロータ12は「フロータ12」と呼ばれる。
【0024】
フロータ12は、海の表面などの水体20の表面S上で浮くように構成されている。
【0025】
フロータ12は動作状態および非動作状態を有する。
【0026】
フロータ12の動作状態において、前述の通り、フロータ12は海でその動作場所に配置されており、例えば、アンカーデバイス(図に示されていない)により、海底に固定されている。さらに、フロータ12の動作状態において、浮体式風力タービン10は発電することができる。特に、フロータ12の動作状態では、タービン16は動作しているかまたは動作していないと理解される。さらに、フロータ12の動作状態において、フロータ12は所定の喫水Tを有する。
【0027】
図1に示されているフロータ12は動作状態にある。
【0028】
フロータ12の非動作状態において、浮体式風力タービン10は発電することができない。この状態では、また、フロータ12は動作状態におけるフロータ12の所定の喫水Tより小さい所定の喫水を有する。例えば、フロータ12の非動作状態は、港からその動作場所までのフロータ12の曳航期に相当する。
【0029】
フロータ12は中心柱22と少なくとも2つの外柱とを含む。さらに、各外柱に関して、フロータ12は、この外柱を中心柱22に接続するポンツーン型分岐部を含む。
【0030】
図1の例示的実施形態では、フロータ12は3つの外柱24、26、28と、したがって3つのポンツーン型分岐部30、32、34とを含む。
【0031】
外柱24、26、28は中心柱22を中心として星形状に配置されており、例えば中心柱22を中心として均等に角度分配されている。したがって、この場合、ポンツーン型分岐部30、32、34の各対間の角度は120度に略等しい。
【0032】
別の実施形態によれば、フロータ12は2つの外柱を含む。この場合、中心柱は二等辺三角形の頂点を形成しており、その他の2つの頂点は外柱によりそれぞれ形成されている。さらに、各外柱に関して、ポンツーン型分岐部が中心柱をこの外柱に接続している。
【0033】
別の実施形態によれば、フロータ12は中心柱を中心として均等に角度分配されている4つの外柱を含む。したがって、2つの連続するポンツーン型分岐部間の角度は90度に略等しい。さらに、同様に、各外柱に関して、ポンツーン型分岐部が中心柱をこの外柱に接続している。
【0034】
各ポンツーン型分岐部30、32、34が、中心柱22から対応する外柱24、26、28を向いた分岐軸Aを画定している。図1に示されている通り、分岐軸Aがポンツーン型分岐部30に関して示されている。
【0035】
中心柱22は、分岐軸Aに対して垂直な垂直軸Zを画定している。
【0036】
さらに、各ポンツーン型分岐部30、32、34が、対応する分岐軸Aに対して垂直な横軸Bを画定している。
【0037】
図1に示されている通り、中心柱22はペイロードを受容する。浮体式風力タービンの図示の場合には、該ペイロードは、特に、マスト14と、ナセル18と、タービン16とを含む。
【0038】
中心柱22は、例えば、円形部分と垂直軸Zとを有する円柱の形を仮定する。例えば、中心柱22の直径D1は10メートル(m)に等しい。
【0039】
中心柱22は基部22Aとヘッド部22Bとを含む。
【0040】
基部22Aは、対応する分岐軸Aに沿った各ポンツーン型分岐部30、32、34の延長部に配置されている。例えば、基部22Aは少なくとも部分的にコンクリートから作製されている。
【0041】
中心柱22のヘッド部22Bは基部22A上に固定されている。該ヘッド部22Bと基部22Aとは垂直軸Zに関して同軸である。中心柱22のヘッド部22Bは、例えば、鋼鉄から作製されている。
【0042】
例えば、中心柱22は、30mと40mの間の、垂直方向Zの高さH1を有する。
【0043】
フロータ12の説明の残部は図2を参照して行われる。
【0044】
さらに、以後、フロータ12は、中心柱22、3つの外柱24、26、28の中の外柱24の1つ、中心柱22をこの外柱24に接続しているポンツーン型分岐部30に関連して説明される。
【0045】
したがって、他の各外柱26、28は、後述される外柱24と同様である。さらに、やはり、他の各ポンツーン型分岐部32、34は、後述されるポンツーン型分岐部30と同様である。
【0046】
中心柱22のように、外柱24は、円形部分と垂直軸Zとを有する円柱の形を仮定する。図示の通り、外柱24の直径D2は9m~9.5mの間である。
【0047】
また、外柱24は基部24Aとヘッド部24Bとを含む。
【0048】
基部24Aは、分岐軸Aに沿って、ポンツーン型分岐部30の延長部に配置されている。例えば、基部24Aは少なくとも部分的にコンクリートから作製されている。
【0049】
ヘッド部24Bは対応する基部24A上に固定されている。ヘッド部24Bと基部24Aとは垂直軸Zに関して同軸である。
【0050】
外柱24は、例えば30m~40mの間の、垂直軸Zに沿った高さH2を有する。
【0051】
ポンツーン型分岐部30は、例えば、平行六面体の面を形成する4枚のスラブにより範囲を定められている平行六面体形状を有する。したがって、この分岐部30は底面スラブ36と、最上面スラブ38と、該底面スラブ36および該最上面スラブ38を接続する2つの側面スラブ40とを含む。該側面スラブ40のみが図1において可視である。
【0052】
ポンツーン型分岐部30は、分岐軸Aに沿って連続的に延在している第1の部分42と第2の部分44とにより形成されている。
【0053】
ポンツーン型分岐部30は、この分岐部30の全範囲Eを画定している。該全範囲Eは、分岐軸Aに沿ってこの分岐部30の2つの端部を接続する直線の長さに相当する。
【0054】
図示の通り、この全範囲Eは20m~30mの間である。
【0055】
垂直軸Zに沿ったポンツーン型分岐部30の高さH3は、例えば、8m~9mの間である。
【0056】
横軸Bに沿ったポンツーン型分岐部30の幅Lは、例えば、外柱24の直径D2に略等しい。
【0057】
第1の部分42はポンツーン型分岐部30の全範囲Eの少なくとも10%に亘って延在している。
【0058】
第1の部分42はポンツーン型分岐部の全範囲Eの少なくとも20%に亘って、有利にはポンツーン型分岐部の全範囲Eの少なくとも35%に亘って延在していることが好ましい。
【0059】
より具体的には、第1の部分42は、ポンツーン型分岐部30の全範囲Eの20%から70%までに亘って、好ましくは35%から45%までに亘って、有利には実質的に40%に亘って延在している。
【0060】
さらに、第1の部分42は、例えば密閉壁50により、中心柱22から、より具体的には中心柱22の基部22Aから、かつ第2の部分44から、しっかりと分離されている。
【0061】
また、第2の部分44は、ポンツーン型分岐部30の全範囲Eの少なくとも10%に亘って延在している。
【0062】
より具体的には、第2の部分44は、ポンツーン型分岐部30の全範囲Eの30%から80%までに亘って、好ましくは55%から65%までに亘って、有利には実質的に60%に亘って延在している。
【0063】
第2の部分44は、分岐軸Aに沿って連続して延在している第1の区画44Aと第2の区画44Bとを含む。
【0064】
第1の区画44Aは範囲E1を有し、第2の区画44Bは範囲E2を有する。第1の区画44Aの範囲E1は、分岐軸Aに沿った、第1の区画44Aの2つの端部を接続する直線の長さに相当する。同様に、第2の区画44Bの範囲E2は、分岐軸Aに沿った、第2の区画44Bの2つの端部を接続する直線の長さに相当する。
【0065】
第1の区画44Aの範囲E1に対する、第2の区画44Bの範囲E2の割合は、例えば、2と4の間である。より具体的には、該割合は2と3の間である。例えば、該割合は2.5に等しい。
【0066】
第1の区画44Aは、例えば密閉壁52により、第2の区画44Bからしっかりと分離されている。さらに、第2の区画44Bは外柱24から、より具体的には外柱24の基部24Aからしっかりと分離されている。
【0067】
第2の区画44Bは、スラブ36、38、40と、第1の区画44Aと第2の区画44Bとの間に配置されている密閉壁52と、第2の区画44Bを外柱24から絶縁している壁とにより範囲を定められている分岐部30の自由内部空間の容積に相当する全容積を画定している。
【0068】
したがって、第2の区画44Bは、バラスト材料66を受容するバラストを形成している。
【0069】
例えば、バラスト材料66は海水である。
【0070】
変形形態では、バラスト材料66は砂、砂利、および/または泥を含む。
【0071】
本発明の1つの有利な態様によれば、第1の部分42は、第1の部分42を2つの第1の部分42の部分42A、42Bに分割している内部隔壁を含む。
【0072】
さらに、第2の部分44は、例えば、第2の区画44Bを3つの区画部分58、60、62に分割している2つの内部隔壁54、56を含む。この場合、第2の区画44Bの全容積は、3つの第2の区画44B部分58、60、62の3つの自由内部空間の容積の合計に相当する。
【0073】
本発明の別の有利な態様によれば、外柱24の基部24Aは、バラスト材料66を受容するバラストを画定している。
【0074】
この場合、外柱24の基部24Aにより形成されているバラストは、例えば、ポンツーン型分岐部30の第2の部分44の第1の区画44Aに取って代わる。換言すれば、第2の部分44はもはや第1の区画44Aを含まない。外柱24の基部24Aにより形成されているバラストは、例えばこの基部24Aの自由内部空間に等しい全容積を有する。
【0075】
動作状態にある浮体式風力タービンのフロータ12を設置する方法が本開示の残部において記載されている。
【0076】
また、本設置方法は中心柱22、3つの外柱24、26、28の中の外柱24の1つ、中心柱22をこの外柱24に接続するポンツーン型分岐部30に関連して記載されている。
【0077】
したがって、ポンツーン型分岐部30と関連して記載されている本方法のステップは、フロータ12の各他のポンツーン型分岐部32、34に同様に適用される。
【0078】
本設置方法は、フロータ12がその動作場所に配置されると開始する。
【0079】
最初に、第1の部分42および第2の部分44はいかなるバラスト材料66も含有していない。
【0080】
本方法は、ポンツーン型分岐部30の第2の部分44が少なくとも部分的にバラスト材料66で満たされる、満たすステップを含む。
【0081】
より具体的には、この満たすステップの間、第2の部分44の第1の区画44Aの全容積の40%から60%までがバラスト材料66で満たされる。さらに、この同じステップの間、第2の区画44Bの全容積の80%から100%までがバラスト材料66で満たされる。
【0082】
本方法は、ポンツーン型分岐部30の第1の部分42がバラスト材料がないままにされるステップをさらに含む。
【0083】
この例では、中心柱22および外柱24もバラスト材料がないままにされる。
【0084】
本方法の別の例示的実施形態によれば、外柱24の基部24Aがバラストを形成しかつ第2の部分44が第1の区画44Aを有さない場合、当該満たすステップの間、第2の部分44の第2の区画44Bの全容積の80%から100%までがバラスト材料66で満たされ、外柱24のバラストの全容積の40%から60%までがバラスト材料66で満たされる。
【0085】
第2の部分44の少なくとも一部をバラスト材料66で満たすことおよび第1の部分42をバラスト材料66がないままにすることにより、動作状態において増大した安定性を有するフロータ12を得ることが可能になる。
【0086】
浮体式風力タービン10のタービン16の推力に耐えるために、第2の部分44を満たすことにより、特に、フロータ12が晒される、静水学的剛性を調節することが可能になる。
【0087】
さらに、第2の部分44がバラスト材料で満たされた場合、フロータ12自体の構造に接続されるフロータ12内の力は、特に喫水を調節することにより、平衡を保たれる。
【0088】
より具体的には、第2の部分44を満たすことにより、第2の部分44の重量がそれが晒される静圧学的な推力より大きくなるため、ポンツーン型分岐部30と中心柱22との間の接合部において、剪断応力と曲げ応力との平衡を保つことが可能になる。特に、外柱24の相当な浮力を補償するために、第2の区画44Bの全容積を80%から100%までバラスト材料66で満たすことにより、外柱24に可能な限り近接して、ポンツーン型分岐部30の部分の重量を増やすことが可能になる。
【0089】
さらに、また、第2の部分44を満たすことが、ポンツーン型分岐部30の底面スラブ36および中心柱22の底面スラブが晒される引張応力の平衡を保つことに有利に働く。
【0090】
さらに、ポンツーン型分岐部30の第2の部分44は、風力タービン10が傾く時に静水圧および動圧の変化に最も晒されるこの分岐の部分である。したがって、ポンツーン型分岐部30の第2の部分44を満たすことにより、この分岐部の内側と外側との間の圧力差を減少させることが可能になる。これは、次いで、分岐部30を構成しているスラブ36、38、40の「膜」効果を低減する。
【0091】
第1の区画44Aがバラスト材料で満たされる例示的実施形態では、この第1の区画44Aを満たすことに因り、剪断応力の発生は、対応する分岐軸Aに沿ったポンツーン型分岐部30に沿ってより漸次的である。
【0092】
さらに、第1の区画44Aがバラスト材料66で満たされると、この区画44Aは互いに相殺する浮力と重量とを有する。
【0093】
外柱24の基部24Aがバラストを形成する例示的実施形態では、フロータ12の増大した安定性が、このバラストを少なくとも部分的に満たすことにより得られる。
【0094】
最後に、密閉壁50、52および内部隔壁46、54、56は、それが晒される、海水からの圧力に対する分岐部30の抵抗を高める。さらに、第2の区画44Bの内壁54、56により、バラスト材料66が少なくとも部分的に液体である場合、自由表面効果を無くすことが可能になる。
【符号の説明】
【0095】
10 浮体式風力タービン
12 半潜水フロータ
14 マスト
16 タービン
18 ナセル
20 水体
22 中心柱
22A (中心柱22の)基部
22B (中心柱22の)ヘッド部
24、26、28 外柱
24A (外柱24の)基部
24B (外柱24の)ヘッド部
30、32、34 ポンツーン型分岐部
36 底面スラブ
38 最上面スラブ
40 側面スラブ
42 第1の部分
42A、42B 第1の部分42の部分
44 第2の部分
44A (第2の部分の)第1の区画
44B (第2の部分の)第2の区画
50、52 密閉壁
46、54、56 内部隔壁
58、60、62 (第2の区画44Bの)区画部分
66 バラスト材料
A 分岐軸
B 横軸
D1、D2 直径
E 全範囲
E1、E2 範囲
H1、H2、H3 高さ
L 幅
S (水体の)表面
T 喫水
V 値
Z 垂直軸、垂直方向
図1
図2