(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】ダンベルセット
(51)【国際特許分類】
A63B 21/072 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
A63B21/072 C
(21)【出願番号】P 2020550935
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(86)【国際出願番号】 IB2018059535
(87)【国際公開番号】W WO2019116149
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-11-23
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509338662
【氏名又は名称】パワーブロック ホールディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】トーリー,カール サード
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-509390(JP,A)
【文献】特開2009-254553(JP,A)
【文献】米国特許第07011611(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00-26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)様々なウエイトを有する、実質的に共通の長さの複数のダンベルと、
(b)様々なウエイトを有する複数の第1の追加ウエイトであって、前記第1の追加ウエイトはそれぞれ、前記複数のダンベルが有する実質的に共通の長さを超える実質的に共通の長さの空洞を有し、これにより、前記複数のダンベルのいずれか1つを前記第1の追加ウエイトのいずれか1つにおける空洞に嵌め込むことができ、その結果、ユーザにもたらされる運動質量が、前記いずれか1つのダンベルが有する重量と、共に嵌め込まれる前記いずれか1つの第1の追加ウエイトが有する重量との合計となる、複数の第1の追加ウエイトとを備える、
ダンベルセット。
【請求項2】
前記ユーザがダンベルエクササイズを行う際、その使用中に、前記いずれか1つのダンベル及び前記いずれか1つの第1の追加ウエイトを互いに固定する第1のリテーナをさらに備える、請求項1に記載のダンベルセット。
【請求項3】
前記いずれか1つのダンベルが、前記いずれか1つの第1の追加ウエイトにおける前記空洞に嵌め込まれたとき、前記空洞内に実質的に完全に嵌め込まれる、請求項1に記載のダンベルセット。
【請求項4】
前記第1のリテーナが所定の位置にあるとき、前記第1のリテーナが前記空洞の上に重なり、かつその上にあり、また前記いずれか1つのダンベルが前記空洞内に落とし込まれている、請求項
2に記載のダンベルセット。
【請求項5】
前記第1のリテーナが、前記いずれか1つの第1の追加ウエイトにある上部摺動溝内に、実質的に水平にスライドするスライド部材を含む、請求項4に記載のダンベルセット。
【請求項6】
前記第1のリテーナが所定の位置にあるとき、ユーザが下まで手を伸ばして前記ダンベルのハンドグリップを把持することができるように手を通す窓を、前記スライド部材が有する、請求項5に記載のダンベルセット。
【請求項7】
前記スライド部材が実質的に板状部材である、請求項5に記載のダンベルセット。
【請求項8】
前記第1のリテーナが所定の位置にあるとき、ユーザが下まで手を伸ばして前記ダンベルのハンドグリップを把持することができるように手を通す窓を、前記第1のリテーナが有する、請求項4に記載のダンベルセット。
【請求項9】
前記複数のダンベルが、所定の刻みで増加する所定の重量範囲をカバーする重量分布を有し、その際、少なくとも一対の前記ダンベルが前記範囲内の各刻みに相当する複数のダンベル対を含む、請求項1に記載のダンベルセット。
【請求項10】
前記複数の第1の追加ウエイトが、所定の刻みで増加する所定の重量範囲をカバーする重量分布を有し、その際、少なくとも一対の前記第1の追加ウエイトが前記範囲内の各刻みに相当する複数の第1の追加ウエイト対を含む、請求項9に記載のダンベルセット。
【請求項11】
前記第1の追加ウエイトが実質的に共通の長さを有する、請求項1に記載のダンベルセット。
【請求項12】
前記第1の追加ウエイトが有する実質的に共通の長さを超える実質的に共通の長さの空洞を有する、複数の第2の追加ウエイトをさらに備え、前記第1の追加ウエイトのいずれかに嵌め込まれたダンベルのいずれか1つを含む組立体が、前記第2の追加ウエイトのいずれか1つにおける前記空洞内にさらに嵌め込まれてもよく、その結果、前記ユーザにもたらされる運動質量が、前記いずれか1つのダンベルが有する重量と、前記いずれか1つの第1の追加ウエイトが有する重量と、前記いずれか1つの第2の追加ウエイトが有する重量との合計となる、請求項11に記載のダンベルセット。
【請求項13】
前記複数の第2の追加ウエイトが、少なくとも1対の前記第2の追加ウエイトを含む、請求項
12に記載のダンベルセット。
【請求項14】
(a)様々なウエイトを有する、共通の長さの複数のダンベルと、
(b)前記ダンベルのいずれか1つが有する共通の長さを収容するようにサイズ決めされた空洞をそれぞれが有する複数の追加ウエイトであって、前記ダンベルのいずれか1つが、前記追加ウエイトのいずれか1つにおける前記空洞内へと落とし込まれる、複数の追加ウエイトと、
(c)前記いずれか1つの追加ウエイト上にある摺動溝内にスライドし、これによって前記いずれか1つのダンベルが前記いずれか1つの追加ウエイトへと固定されるスライドリテーナとを備える、
ダンベルセット。
【請求項15】
前記スライドリテーナが前記摺動溝内の所定の位置にあるとき、前記いずれか1つのダンベルの上に重なる、請求項14に記載のダンベルセット。
【請求項16】
ユーザが下まで手を伸ばして前記いずれか1つのダンベルのハンドグリップを把持することができるように前記スライドリテーナを介して手を通す窓を、前記スライドリテーナが有する、請求項15に記載のダンベルセット。
【請求項17】
前記ユーザが前記いずれか1つのダンベルの前記ハンドグリップを把持するときに、前記窓が前記ユーザの手首又は前腕を実質的に完全に包囲する、請求項16に記載のダンベルセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数ユーザ向け運動施設で使用するのに特に適したダンベルセットに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、スポーツチームのウエイトトレーニングルーム、商業フィットネスセンター又は商業ジムなどの複数ユーザ向け運動施設で使用されることが多い、典型的なダンベルセットを示している。
図1に示すダンベルセットでは、5ポンドから始まり、100ポンドに至る範囲内で、複数対のダンベルを5ポンド刻みで増加するように設けている。これによりユーザは、自分の年齢、総合的なフィットネスレベル及び筋力レベル、並びに自分のエクササイズ目的に最も適したウエイトを有するダンベル一対でエクササイズすることができる。ユーザが、自身の総合的なフィットネスレベルにおいて、それほど高いレベルではなく適度なレベルを単に維持することを望んでいる平均的な人である場合、そのユーザは、当該範囲の下方部分にあるウエイトでエクササイズする可能性が最も高い。一方、ユーザがボディビルディングに打ち込んでいる人である場合、このタイプのユーザは、当該範囲の上方部分にあるウエイトでエクササイズする可能性が最も高い。
【0003】
そのため、複数ユーザ向け運動施設で使用されるダンベルセットでは、非常に軽いものから非常に重いものまで、幅広い範囲のウエイトが利用可能である必要がある。このようなダンベルセットは大変重量があるため、購入の際は比較的費用がかかる。
図1に示すダンベルセットの総重量は2,100ポンドである。また、
図1に示すような典型的なラックにダンベルセットを保管する場合、このダンベルセットにはかなりの床面積が必要になる。
【0004】
また、その全てのウエイト及びサイズについても、所定のウエイトを有するダンベル一対を使用してエクササイズできるのは、一度に一人のユーザのみである。たとえば、30ポンドのダンベル一対を使用したい人が3人いる場合、そのうちの2人は、現在その一対を使用中の人がそのエクササイズルーチンを終えるまで待ち、その後も順に順番が来るのを待たなければならない。複数ユーザ向け運動施設では、最も混雑している日中にピーク時間が発生するため、とりわけ望ましいウエイトを有する特定のダンベル一対が複数のユーザから求められるのは、よくあることである。ユーザが1つのセットのみならず複数のダンベルセットを利用できる場合、この欠点をある程度緩和することができる。しかしながら、多くの複数ユーザ向け施設では、複数のダンベルセットを購入するための購入費用を当然のものとして工面することも、複数のダンベルセットを収容するために必要な床面積を確保することもできていない。このため、ほとんどの複数ユーザ向け運動施設では、いざ入館すると大抵、ダンベルセットが設置してある場合であっても1セットのみしか見当たらないということになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、様々なウエイトを有する、実質的に共通の長さの複数のダンベルを備えるダンベルセットに関する。様々なウエイトを有する複数の第1の追加ウエイトを、さらに設けている。第1の追加ウエイトはそれぞれ、複数のダンベルが有する実質的に共通の長さを超える実質的に共通の長さの空洞を有し、これにより、複数のダンベルのいずれか1つを第1の追加ウエイトのいずれか1つにおける空洞に嵌め込むことができ、その結果、ユーザにもたらされる運動質量が、いずれか1つのダンベルが有する重量と、共に嵌め込まれるいずれか1つの第1の追加ウエイトが有する重量との合計となる。
【0006】
本発明の別の態様は、共通の長さの複数のダンベルを備える、様々なウエイトを有するダンベルセットに関する。追加ウエイトがそれぞれ、ダンベルのいずれか1つが有する共通の長さを収容するようにサイズ決めされた空洞を有するように、これら複数の追加ウエイトを設けている。ダンベルのいずれか1つが、追加ウエイトのいずれか1つにおける空洞内へと落とし込まれる。スライドリテーナが、いずれか1つの追加ウエイト上にある摺動溝内にスライドし、これによっていずれか1つのダンベルがいずれか1つの追加ウエイトへと固定される。
【0007】
本発明のさらに別の態様は、ダンベルを使用してエクササイズする方法に関する。本方法は、ダンベルセットを設けることを含む。本ダンベルセットは、第1の重量範囲にわたって所定の刻みで離隔された、様々なウエイトを有する複数のダンベルと、第2の重量範囲にわたって所定の刻みで離隔された、様々なウエイトを有する複数の追加ウエイトとを備え、これらのダンベルのいずれも、追加ウエイトのいずれかに選択的に連結されるように適合されている。第1の重量範囲内にある第1のウエイトでのエクササイズが所望される場合、本方法は、所望の第1のウエイトに対応しているウエイトを有するダンベルを選択し、次いで選択されたダンベルを使用してエクササイズすることをさらに含む。第2の重量範囲内にある第2のウエイトでのエクササイズが所望される場合、本方法は、ダンベルと追加ウエイトとを選択し、次いで連結し、その後連結されたダンベル及び追加ウエイトを使用してエクササイズすることであって、その際、組み合わされたウエイトが所望の第2のウエイトに対応している、エクササイズすることをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の発明を実施するための形態において、同一の参照番号が全体を通して同一の要素を指す以下の図面を併せて参照することで、本発明がより完全に説明されるものとする。
【0009】
【
図1】従来技術による、ラックに装架されたダンベルセットの斜視図である。
【
図2】本発明による、ラックに装架されたダンベルセットの斜視図である。
【
図4】
図2のダンベルセットの様々な構成要素、すなわち1つのダンベル、1つの第1の追加ウエイト、及び1つの第1のリテーナを表す分解斜視図である。
【
図5】
図4と同様の図であり、具体的には、本ダンベルをその第1の追加ウエイトに設けられた空洞内へと挿入しているが、その際、第1のリテーナは挿入していない状態を示す。
【
図6】
図5と同様の図であるが、第1のリテーナを第1の追加ウエイト内へと挿入して、エクササイズ活動中に、ダンベルを第1の追加ウエイト内の空洞に保持している様子を示す。
【
図8】
図2のダンベルセットの様々な構成要素、すなわち1つのダンベル、1つの第1の追加ウエイト、1つの第1のリテーナ、1つの第2の追加ウエイト、及び1つの第2のリテーナを表す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2は、ラック4に収納された、本発明の一実施形態によるダンベルセット2を示す。ダンベルセット2は、ラック4の上段に示す、複数のダンベル6を備える。ここでは、5ポンドから始まり、20ポンドに至る範囲内で、5ポンド刻みで増加する4つのダンベル6の対8を設けている。ダンベル対8間のウエイトの刻みと、ダンベル対8によってカバーされる重量の範囲とは異なっていてもよい。一例として、2.5ポンドから始まり、10ポンドに至る範囲内で、2.5ポンド刻みで増加する4つのダンベル対8、又は2.5ポンドから始まり、20ポンドに至る範囲内で、2.5ポンド刻みで増加する8つのダンベル対8を設けることができる。本明細書ではダンベルという言葉を、慣習的定義の1つである、エクササイズ又は筋肉増強を目的として使用される、両端部にウエイトが付いた短いバー又はハンドグリップを意味するものとして使用している。
【0011】
ダンベル6はそれぞれ、ハンドグリップ10の両端部でウエイト12に連結されたこのハンドグリップ10を備える。ハンドグリップ10と各ウエイト12との連結は、当該部品が鋼製又は他の金属製である場合の溶接接合など、一体的な連結とすることができる。またこの連結を、ねじ接合などの解放可能な連結とすることもできる。さらに、ハンドグリップ10を、一体型バーの形態の単一部品とすることができる。あるいはハンドグリップ10は、
図7に示すように、内側バー11が外側グリップ材料13によって覆われるように複数の部品を含むことができ、その際このグリップ材料は、必要に応じて様々な外側輪郭又は外側形状を有してもよい。
【0012】
ウエイト12はそれぞれ、必須ではないが、好ましくは1枚又はそれ以上のウエイトプレート14を含む。より重いウエイトのダンベル6では、ダンベル6が次第に重くなるにつれて必要な付加質量をもたらすように、ハンドグリップ10の両端部に、ウエイトプレート14が次第に多くの枚数装着されるようにしていることが好ましい。
図2及び
図3に示すように、5ポンドのダンベルはそれぞれ、ハンドグリップ10の両端部に1枚のウエイトプレート14を有し、10ポンドのダンベルはそれぞれ、ハンドグリップ10の両端部に2枚のウエイトプレート14を有し、15ポンドのダンベルはそれぞれ、ハンドグリップ10の両端部に3枚のウエイトプレート14を有し、そして20ポンドのダンベルはそれぞれ、ハンドグリップ10の両端部に4枚のウエイトプレート14を有する。あるいは、一定の厚さの単一のウエイト12をハンドグリップ10の両端部で使用することができ、その際、質量の変動が最軽量のダンベルの穿孔部分によってもたらされ、またこの穿孔部分の数及び/又はサイズが、次第に重さを増すダンベルの単一のウエイトプレートにおいて、徐々に減少するようになっている。
【0013】
ここで
図3を参照すると、ダンベル6はそれぞれ、L
1として示す実質的に共通の長さを有し、全てのダンベル6の長さは互いに実質的に等しい。本発明の図示の実施形態では、これは、最軽量のダンベル、すなわち
図2及び
図3に示す5ポンドのダンベルのハンドグリップ10における両端部で、1枚のウエイトプレート14の内側に追加のウエイトプレート14を重ねることによって実現されている。これを実現するためには、最も外側のウエイトプレート14の内側に対してウエイトプレート14を次第に付加していく形式に対応できるように、次第に重さを増す各ダンベルのハンドグリップ10が、徐々に若干短くなっていくことが必要となる。したがって、
図3では、ラック4の上段の左端にある5ポンドのダンベル一対のハンドグリップ10が最長となり、一連のダンベル対8が左から右に進むにつれて、そのハンドグリップ10の長さが若干短くなるようになっている。ただし、いずれのダンベル対8における最短のハンドグリップ19、すなわち
図3の右端に示す最も重い20ポンドのダンベル6の一対でも、非常に手の大きなユーザでさえ快適に把持できるほどの十分な長さを有する。同じ厚さの追加のウエイトプレート14を使用する代わりに、一定の厚さの単一のウエイト12に穿孔部分を設けることによって、それぞれのダンベル6間で質量変動を実現している上記の代替実施形態では、ハンドグリップ10の長さは、全てのダンベル6において同じままであってもよい。
【0014】
さらに
図3及び
図4を参照すると、本発明のダンベルセット2の一実施形態は、ラック4の下段に示す、複数の第1の追加ウエイト16をさらに備える。20ポンドから始まり、50ポンドに至る範囲内で、10ポンド刻みで増加する4つの第1の追加ウエイト16の対18を設けている。第1の追加ウエイト対18間の刻みと、第1の追加ウエイト対18によってカバーされる重量の範囲とは異なっていてもよい。一例として、20ポンドから始まり、40ポンドに至る範囲内で、5ポンド刻みで増加する5つの第1の追加ウエイト16の対18、又は20ポンドから始まり、50ポンドに至る範囲内で、5ポンド刻みで増加する7つの第1の追加ウエイト対を設けることができる。
【0015】
ここで
図4及び
図7を参照すると、第1の追加ウエイト16はそれぞれ、一対の側壁20を含む。側壁20は互いに同一であるため、側壁20を同じ工具から製造できるようになっている。側壁20はそれぞれ、実質的に側壁20の全長に沿って延在している、内側に折り返された底部フランジ22を有する。側壁20はそれぞれ、各側壁20の前端部及び後端部で内側に折り返された、前方上部タブ24及び後方上部タブ24をさらに有する。組立時、第1の追加ウエイト16それぞれの側壁20は互いに向かい合う関係で配置され、その際、各側壁20上の底部フランジ22及び上部タブ24は、互いに内向きに延在している。必要に応じて、各側壁20の外面に向かって切り込みを入れたり、エッチング加工又はエンボス加工を行ったりすることで、装飾構造26を施してもよい。あるいは、側壁20をそれぞれ、そのような構造を何ら施さずに平坦にすることもできる。
【0016】
さらに
図4を参照すると、第1の追加ウエイト16それぞれの側壁20は、側壁20間に一体的に固定された両端部の複数の追加ウエイトプレート14によって、共に保持されている。
図4に示す20ポンドの第1の追加ウエイトの場合、両端部に4枚のウエイトプレート14が配置されており、またウエイトプレートの一部の間にいくつかの間隙g
1及びg
2が設けられている。たとえば、側壁20とウエイトプレートとが鋼などの金属製である場合、各側壁20の内面及び底部フランジ22に両方を溶接することで、2つの側壁20をしっかりと接合し、かつ第1の追加ウエイト16を完全な組立体とすることにより、追加ウエイトプレート14がそれぞれしっかりと固定されることになる。そのように組み立てられると、第1の追加ウエイト16の側壁20上にある上部タブ24は、ウエイトプレート14の上縁部によって画定されている平面の上に間隔を置いて配置され、それらの間に摺動溝28を形成する。
【0017】
図4に示す第1の追加ウエイト16の一方の端部にある最も内側のウエイトプレート14は、第1の追加ウエイト16のもう一方の端部にある最も内側のウエイトプレート14から、L
1’として示す長さだけ間隔を置いて配置され、これにより、第1の追加ウエイト16の中央部分に空洞30を形成している。この空洞の長さL
1’は、ダンベル6のそれぞれの長さL
1よりも、たとえば0.025~0.075インチ長いなど、若干長くなるだけで、第1の追加ウエイト16の中央部分に設けられた空洞30に、いずれか1つのダンベル7を落とし込むのに十分な程度の間隙をもたらすようになっている。
図4は、第1の追加ウエイト16の空洞30上に配置された、1つのダンベル6を示している。ダンベル6は空洞30と位置合わせされ、次いで
図4の矢印Aの方向にダンベル6を押し下げることにより、空洞30内へと落とし込んでいる。
図5は、空洞30の両対向端部を画定している最も内側のウエイトプレート14間、及び第1の追加ウエイト16の側壁20間の空洞30にぴったりと収容されるように、ダンベル6を空洞30内に落とし込んだ様子を示す。第1の追加ウエイト16全ての空洞長さL
1’を実質的に互いに等しくし、これにより、いずれの第1の追加ウエイト16における空洞30にも、任意のダンベル6を落とし込むことができるようにしている。
【0018】
図3に示すように、第1の追加ウエイトはそれぞれ、L
2として示す実質的に共通の長さを有する。
図4に示す最軽量の第1の追加ウエイト16から一連の第1の追加ウエイト16の対を次第に重くしていくために、最軽量の第1の追加ウエイト16における間隙g
1及びg
2は追加のウエイトプレート14で徐々に埋められ、これにより、次第に重さを増すウエイト16をもたらすようになっている。したがって、最重量の第1の追加ウエイト16、すなわち50ポンドの第1の追加ウエイト16では、間隙g
1及びg
2が完全に埋められ、その結果、50ポンドの第1の追加ウエイトにおける両端部のウエイトプレートが隙間なく重なり合って配置されている。第1の追加ウエイト16の長さL
2を実質的に同じ長さに保ち、かつ第1の追加ウエイト16における空洞30の長さL
1’を実質的に同じ長さに保ちながら、第1の追加ウエイト16の重量変動を実現する他の方法を使用することができ、これには、ダンベル6に関して上述したように、第1の追加ウエイト16の両端部にある、単一の厚さのウエイトプレートに設けた穿孔部分を使用することなどが挙げられる。
【0019】
図5を参照すると、第1の追加ウエイト16はそれぞれ、実質的に板状の剛性部材の形態の第1のリテーナ32を含み、この第1のリテーナ32は、必須ではないが好ましくは金属製であり、中央窓34を有する。第1のリテーナ32は、これが使用される第1の追加ウエイト16と実質的に同じ長さL
2を有する。窓34は、ダンベル6それぞれの長さL
1よりも、たとえば0.25~0.75インチ短い長さL
3を有する。第1のリテーナ32は、第1のリテーナ32を
図5の矢印Bの方向に、第1の追加ウエイト16の内側に折り返された上部タブ24によって形成される摺動溝28の長さに沿ってスライドさせることにより、第1の追加ウエイト16に取り付けることができる。第1のリテーナ32の一方の端部は、ユーザが第1のリテーナ32を矢印Bの方向にスライドさせるためのハンドルとして使用できる、上向きに延在しているタブ(図示せず)を含んでいてもよい。第1のリテーナ32の同端部は、第1のリテーナ32が摺動溝28の所定の位置に完全にスライドしたときに第1の追加ウエイト16の一方の端部に当接する、下向きに延在しているフランジ(図示せず)を有していてもよい。
【0020】
図6に示すように、第1のリテーナ32が摺動溝に完全に挿入されると、第1のリテーナ32は第1の追加ウエイト16の両端部におけるウエイトスタックの上に重なり、かつ各ダンベル6の少なくとも最も外側のウエイトプレート上に重なり、これによって、第1の追加ウエイト16の空洞30内にダンベルが保持される。窓34は、ダンベルのハンドグリップ10の上に配置され、ユーザが窓34を通して下まで手を伸ばしてハンドグリップ10を把持することができるようにしている。ここで、ユーザがハンドグリップ10を持ち上げてダンベル6でエクササイズするとき、第1の追加ウエイト16をダンベル6へと連結される重量だけ、ダンベル6の有効質量が増加している。
図4~
図6に示す例では、5ポンドのダンベル6を20ポンドの第1の追加ウエイト16内へと落とし込んでいるため、ここでは5ポンドのダンベル6が25ポンドのダンベルとなっている。ここで、5ポンドのダンベル6を次第に重さを増す第1の追加ウエイト16のうちの1つへと落とし込んでいる場合、5ポンドのダンベル6が35ポンドのダンベル、又は45ポンドのダンベル、あるいは55ポンドのダンベルとなっている可能性があることは、言うまでもない。
【0021】
さらに、本発明のダンベルセット2の一実施形態では、第2の追加ウエイト36の一対38、すなわち、
図2及び
図3に示す、ラック4の下段の右端にある40ポンドの第2の追加ウエイト36の一対38を設けている。ここで
図8を参照すると、第2の追加ウエイト36はそれぞれ、第1の追加ウエイト16それぞれの長さL
2よりも、たとえば0.025~0.075インチ長いなど、若干長くなる長さL
2’の空洞40を有する点を除いて、第1の追加ウエイト16と実質的に同じ構造である。したがって、選択したダンベル6が第1の追加ウエイト16の空洞30に挿入され、また第1のリテーナ32によってその内部で保持された場合、
図6に示すように、その組立体全体を、次いで選択した任意の第2の追加ウエイト36における空洞40内へと落とし込むことができる。次いで、第2の追加ウエイト36の第2のリテーナ42を
図8の矢印Bの方向に動かして、第2の追加ウエイト36のタブ24によって形成される摺動溝へとスライドさせ、これにより、ダンベル6、第1の追加ウエイト16、及び第1のリテーナ32を含む組立体に第2の追加ウエイト36を連結することができる。これにより、第2の追加ウエイト36がもたらす重量によって、当該組立体の重量が増加する。第2の追加ウエイト36は、ダンベル6のハンドグリップ10に引き続き接触できるように、第1のリテーナ32にある窓34と同様のサイズの窓44を、第2のリテーナ40内に有する。
【0022】
第2の追加ウエイト36の一対38のみを有する代わりに、必要に応じて、たとえば30ポンドの第2の追加ウエイト一対、40ポンドの第2の追加ウエイト一対、及び50ポンドの追加ウエイト一対など、複数の追加ウエイト36の対38を設けることができる。第2の追加ウエイト36それぞれにおいて、空洞40は、上述したように実質的に同じ長さL2’を有する。第2の追加ウエイト36は、第3の追加ウエイトの空洞に嵌め込む必要がないため、重くなるにつれて同じ長さを保つ必要はない。したがって、重さを増す第2の追加ウエイト36がそれぞれ、重くなるにつれてその長さが長くなるように、最軽量の第2の追加ウエイト36における両端部の外側にウエイトプレートを重ねることにより、次第に重さを増す第2の追加ウエイト36を形成することができる。
【0023】
第1の追加ウエイト16と1つ又はそれ以上のより長さのある第2の追加ウエイトとを両方使用する実施形態であるが、必要に応じて、より長さのある第2の追加ウエイトを省略することができる。このような代替案では、第1の追加ウエイト16が実質的に共通の長さを保持するのではなく、当該ウエイト16が重くなるにつれて、その長さが長くなるようにすることもできる。
【0024】
ダンベルセット2の実施形態はそれぞれ、
図1に示すように、従来のダンベルセットに比べて容易に認識できる利点をもたらしている。まず第一に、
図2に示すようなダンベルセット2の実施形態における総重量はわずか460ポンドであり、これは、同等の機能性を有する従来のダンベルセットの重量のたった22%である。したがって、複数ユーザ向け運動施設の所有者又は運営担当者は、従来のダンベルセットを1つ購入するのとほぼ同じコストで、本発明によるダンベルセット2を4つ購入することができる。その上、ダンベルセット2それぞれが占める床面積は、従来のダンベルセット1つ分の床面積よりも少なくて済む。このため、複数ユーザ向け運動施設の所有者又は運営担当者が、当該運動施設周辺で購入できる追加のダンベルセット2を、広範囲の離れた場所に配置することも可能である。これによりユーザは、他のエクササイズを行うために使用する運動施設の他のマシンやエリア付近でダンベルセット2を利用することができ、その結果、当該ユーザがダンベルセット2を目当てに、運動施設中をわざわざ歩き回る必要がなくなることになる。
【0025】
しかも、上述した大幅な重量削減や全ての付随コストの節減、及び有利な配置条件を実現しているにもかかわらず、本発明のダンベルセット2はそれぞれ、ユーザが5ポンド~100ポンドの範囲内で、5ポンド刻みで増加する各ウエイトを用いてエクササイズすることを可能にしている。たとえば、5ポンド、10ポンド、15ポンド、及び20ポンドのウエイト増は、
図2のラック4の上段に示すそれぞれのダンベル6を使用することで達成される。25ポンド、35ポンド、45ポンド、及び55ポンドのウエイト増は、5ポンドのダンベル6を第1の追加ウエイト16の個々の1つにそれぞれ落とし込み、かつこれと共に使用することで達成される。30ポンド、40ポンド、50ポンド、及び60ポンドのウエイト増は、10ポンドのダンベル6を第1の追加ウエイト16の個々の1つにそれぞれ落とし込み、かつこれと共に使用することで達成される。残り全てのウエイト増分、すなわち65ポンド~100ポンドは、先行する2つの文に記載したダンベル/第1の追加ウエイトの組み合わせによって発生するウエイト増分それぞれに対し、40ポンドの第2の追加ウエイト36を付加すると達成される。たとえば、65ポンドのウエイト増は、5ポンドのダンベル/20ポンドの第1の追加ウエイトによる組立体を40ポンドの第2の追加ウエイト36へと落とし込み、かつこれと共に使用することで達成され、また70ポンドのウエイト増は、10ポンドのダンベル/20ポンドの第1の追加ウエイトによる組立体を40ポンドの第2の追加ウエイト36へと落とし込み、かつこれと共に使用することで達成されることなどが、例として挙げられる。したがって、本発明のダンベルセット2は、ユーザが5~100ポンドまでの間で、5ポンド刻みで増加する中でエクササイズできるようにしているが、従来のダンベルセットが同じ機能性を付与するために必要とする2100ポンドに対して、460ポンドの重量しかない。
【0026】
本発明のダンベルセット2の別の利点は、異なるウエイトのダンベル6と、異なるウエイトの第1の追加ウエイト16及び/又は第2の追加ウエイト36とを配置することによって、組み合わせ可能性及び適合可能性がもたらされることである。これにより、複数のユーザがまさに同時に様々なウエイトでエクササイズすることができ、2人目のユーザが1人目のユーザのエクササイズ終了を待つ必要もなくなる。たとえば2人が、35ポンドのダンベル一対を使用したエクササイズを試みていると想定されたい。これは、1人目のユーザが15ポンドのダンベル6の一対を20ポンドの第1の追加ウエイト16の一対に嵌め込み、そして2人目のユーザが5ポンドのダンベル6の一対を30ポンドの第1の追加ウエイト16の一対に連結することによって実現することができる。どちらのユーザも、もう一方のユーザのエクササイズが終了するのを待つ必要がなくなる。このことは、従来のダンベルセットと比較して、本発明のさらなる利点であると言える。
【0027】
さらに、異なる運動施設の所有者や運営担当者であれば、ダンベル6と第1の追加ウエイト16との組み合わせを相互に、又は第2の追加ウエイト36に合わせて調整若しくは加減して、顧客のニーズを満たすためでさえこれらを使用することもできる。当該運動施設が、30ポンドを超える重量のダンベルを使用する必要などない高齢者のいる、高齢者用生活運動施設の1つであると仮定されたい。そのシナリオでは、当該運動施設の所有者又は運営担当者は、2ポンド半~10ポンドの範囲内で、2ポンド半刻みで増加する8つのダンベル6の対を有するダンベルセットを発注する可能性があり、これらはたとえば、重量がそれぞれ2ポンド半、5ポンド、7ポンド半及び10ポンドのダンベル対の2セットとなり得、また、その後10ポンド~20ポンドの範囲内で、5ポンド刻みで増加する5つの第1の追加ウエイト対を設けてもよく、これらはたとえば、10ポンドの第1の追加ウエイト16が二対、15ポンドの第1の追加ウエイト16が二対、及び20ポンドの第1の追加ウエイト16が一対となる可能性がある)。当該セットの総重量はわずか120ポンドである。
【0028】
それほど軽量であるにもかかわらず、前段落に記載の本セットは、複数のユーザが同じ重量でエクササイズするための機会をさらに多く提供する。たとえば、4人のユーザが同時に20ポンドのダンベルでエクササイズしたいと望んでいると想定されたい。これは、独自に設計した上記のセットで、10ポンドの二対のダンベル6を10ポンドの二対の第1の追加ウエイト16へと連結することにより、また5ポンドの二対のダンベル6を15ポンドの二対の第1の追加ウエイト36へと連結することにより実現され、これによって一度に合計4人のユーザに対応することができる。一度の発注でのダンベル6の数、ダンベル6のウエイト刻み及び重量範囲の分布、並びに第1の追加ウエイト16及び第2の追加ウエイト36(第2の追加ウエイトの使用がさらに望ましい場合)の数とウエイト刻み及び重量範囲の分布との調整が可能になることにより、特定の顧客のために本発明のダンベルセット2を最適化することができる。プロのアスリートやボディビルディング愛好家に向けてダンベルセット2を設ける場合、彼らにサービスを提供する運動施設の所有者又は運営担当者は、ダンベル及び追加ウエイトに関する同様の分布を低重量側ではなく高重量側に偏らせることになるのは、言うまでもない。
【0029】
本発明の様々な修正形態については、当業者であれば認識できるであろう。したがって、本発明の範囲は、本明細書に開示している様々な実施形態の詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。