(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】医療環境におけるユーザに対する人間工学的支持装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/10 20060101AFI20230908BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
A61B6/10 300
A61B6/00 390Z
A61B6/10 ZDM
(21)【出願番号】P 2020558633
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2019059870
(87)【国際公開番号】W WO2019206751
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ムル イェッテ
(72)【発明者】
【氏名】カンプス ロバート ヤコブス マリア
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-510605(JP,A)
【文献】特表2005-523437(JP,A)
【文献】特開2013-128511(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0335297(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療環境におけるユーザに対する人間工学的支持装置において、前記支持装置が、
着席支持構成と、
X線遮蔽構成と、
ベース支持構造と、
を有し、
前記ベース支持構造が、前記着席支持構成及び前記X線遮蔽構成に対する機械的支持を提供し、
前記着席支持構成が、ユーザの臀部領域を支持するように構成される着席支持面を有し、
前記X線遮蔽構成が、前記支持面により支持される間にユーザがさらされるX線放射線の少なくとも一部を遮蔽するように構成される少なくとも1つのX線シールドを有し、
前記少なくとも1つのX線シールドが、少なくとも部分的に前記着席支持面上で休息しているユーザに対する前記少なくとも1つのX線シールドの位置を調節可能であるように前記ベース支持構造に移動可能に取り付けられ、前記少なくとも1つのX線シールドが、i)前記着席支持構成の周りで回転可能であり、及び/又は垂直旋回軸の周りで旋回可能であり、前記少なくとも1つのX線シールドは、前記ユーザが前記着席支持面に対する比較的容易なアクセスを持つ第1のシールド位置から、前記着席支持面によって支持される前記ユーザがX線放射線から効果的に遮蔽される第2のシールド位置に及びその逆に移動可能である、
人間工学的支持装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのX線シールドが、前記着席支持構成の周りで回転可能である、請求項1に記載の人間工学的支持装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのX線シールドが、少なくとも180
°以上回転可能である、
請求項2に記載の人間工学的支持装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのX線シールドが、円弧形状である、及び/又は
前記少なくとも1つのX線シールドが、上側支持体から吊り下がる軟質材料で作成される、
請求項1、2又は3に記載の人間工学的支持装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのX線シールドが、垂直旋回軸の周りで旋回可能である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の人間工学的支持装置。
【請求項6】
ユーザの胸骨を支持するように構成される胸骨支持面を有する胸骨支持構成が、設けられ、
前記胸骨支持面が、前記着席支持構成の周りで回転可能であり、
前記胸骨支持面が、少なくとも180
°以上回転可能である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の人間工学的支持装置。
【請求項7】
前記胸骨支持面が、実質的に前記ユーザの胸骨専用の接触面を提供する縦長形状を持つ、請求項
6に記載の人間工学的支持装置。
【請求項8】
ユーザの前腕を支持するように構成される少なくとも1つの前腕支持面を有する腕支持構成が、設けられ、
前記前腕支持面が、前記着席支持構成の周りで回転可能であり、
前記前腕支持面が、少なくとも180
°以上回転可能である、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の人間工学的支持装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのX線シールド
、胸骨支持面及
び前腕支持面のグループの少なくとも1つ、並びに前記着席支持面が、各々、回転可能に取り付けられ、
前記少なくとも1つのX線シールド、前記胸骨支持面及び前記前腕支持面のグループの少なくとも1つ、並びに前記着席支持面が、互いに独立に回転可能であり、
前記着席支持面、前記少なくとも1つのX線シールド、前記胸骨支持面及び前記前腕支持面のグループの少なくとも2つが、共通の中心回転軸の周りで回転可能である、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の人間工学的支持装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのX線シールド
、胸骨支持面及
び前腕支持面のグループの少なくとも1つ、並びに前記着席支持面が、各々、高さ調節可能であるように高さ調節を備え、
前記着席支持面の高さ調節は、前記着席支持面が、前記少なくとも1つのX線シールド、前記胸骨支持面及び前記前腕支持面のグループの少なくとも1つと高さ結合可能であるように、前記少なくとも1つのX線シールド、前記胸骨支持面及び前記前腕支持面のグループの少なくとも1つの高さ調節に結合される、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の人間工学的支持装置。
【請求項11】
前記ベース支持構造が、少なくとも3つのスイベルプーリーを有する可動性椅子ベースとして提供される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の人間工学的支持装置。
【請求項12】
前記ベース支持構造が、前記着席支持面の第1の位置と前記着席支持面の第2の位置との間の範囲で前記ユーザに対する着席支持を提供するように高さ調節可能であり、前記第1の位置が、下の位置であり、前記第2の位置が、上の位置であり、
前記下の位置が、前記ユーザの着座位置を可能にし、前記上の位置が、前記ユーザの立ち位置を可能にする、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の人間工学的支持装置。
【請求項13】
X線撮像システムと、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の人間工学的支持装置と、
を有する医学研究室機器構成において、
前記X線撮像システムが、X線検出器及び患者支持台上に配置された患者の照射に対するX線源を有し、
前記人間工学的支持装置が、撮像生成目的のX線照射活動中に前記患者の近傍でユーザを支持するように構成される、
医学研究室機器構成。
【請求項14】
患者のX線撮像に対する方法において、
a)患者支持台上に少なくとも部分的に患者を配置するステップと、
b)前記患者にX線放射線を照射するステップであって、結果として生じる放射線を検出してX線画像データを生成するステップと、
c)照射ステップb)の間に請求項1乃至12のいずれか一項に記載の人間工学的支持装置でユーザを支持するステップと、
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間工学的支持に関し、特に医療環境におけるユーザに対する人間工学的支持装置、医学研究室機器構成(medical laboratory equipment arrangement)及び患者のX線撮像の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院内のカテーテル室又は他の手術室のような、医療環境において、多くの活動は、患者の検査又はインターベンション中に、ユーザ、すなわち外科医、医師又は他のサポート要員の立っている又は傾いている姿勢を要求しうる。これは、ユーザの大きな身体的作業負荷をもたらしうる。更に、患者を撮像するようなX線放射線が使用される場合、個別に着用されるX線保護が、使用されなければならず、これは、更なる重量を追加し、したがって、身体的作業負荷を更に増大させる。
【0003】
DE19643623A1は、放射線シールド及びシールドの後ろで支持するサドルシートを記載している。放射線シールドは、座ったユーザが腕を伸ばしうる開口を設けられている。放射線シールドの高さは、調節可能でありうる。
【0004】
JP2013-128511Aは、医療血管造影装置又はX線CT装置のオペレータにより使用されるX線保護装置を開示している。フレームが、立っている人を囲むように成形され、後ろ又は横において部分的に開いている。椅子は、フレーム内に設けられうる。更に、フレームは、人を囲むように形成された1以上のX線保護シートを有するX線シールドを設けられうる。
【0005】
しかしながら、これらの解決法が、例えばカテーテル室において医療インターベンションを実行する場合にユーザの活動を制限しうることが、示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、ユーザの活動に対して減少された影響を持つ改善された人間工学的支持体を提供する必要性が存在しうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この必要性は、独立請求項の対象により対処されえ、更なる実施例は、従属請求項に組み込まれる。本発明の以下に記載される態様が、医療環境におけるユーザに対する人間工学的支持装置、医学研究室機器構成及び患者のX線撮像の方法にも適用されることに注意すべきである。
【0008】
本発明によると、医療環境におけるユーザに対する人間工学的支持装置が、提供される。前記支持装置は、着席支持構成(seating support arrangement)、X線遮蔽構成及びベース支持構造を有する。前記ベース支持構造は、前記着席支持構造及び前記X線遮蔽構成に対する機械的支持を提供する。前記着席支持構成は、ユーザの臀部を支持するように構成される着席支持面を有する。前記X線遮蔽構成は、前記支持面により支持されている間にユーザがさらされるX線放射線の少なくとも一部を遮蔽するように構成される少なくとも1つのX線シールドを有する。前記少なくとも1つのX線シールドは、少なくとも部分的に前記着席支持面上で休息するユーザに対する位置において調節可能であるように前記ベース支持構造に移動可能に取り付けられ、前記少なくとも1つのX線シールドは、第1の位置から第2の位置に又はその逆に移動可能である。
【0009】
これは、前記X線シールドが、異なる位置の間で移動されることができるので、前記ユーザに対する柔軟性を提供する。したがって、前記装置は、ユーザが例えば着席するために前記支持面に容易にアクセスすることができる第1の位置から、X線放射線から効果的な遮蔽を提供する第2の位置に移動することができる。換言すると、前記第2の位置は、入射放射線、特に散乱X線放射線からのより多くの遮蔽をユーザに提供する。
【0010】
結果として、前記着席面は、ユーザが例えばX線撮像システムの近くに自身を配置する場合に容易にアクセス可能であってもよく、他の場合、例えば前記ユーザが着席し、このようなシステムが使用中である場合に、比較的高い放射線遮蔽が、提供されることができる。更に、例えば、前記シールドは、医師が一時的に台上の患者に対する妨げられないアクセスを持つことを必要とする場合に、進行中の医療処置中に簡潔に前記第1の位置に移動されてもよい。
【0011】
用語「人間工学的支持装置」は、前記ユーザを生理学的に支持する装置を指す。前記人間工学的支持体は、したがって、前記ユーザに対する身体的支持を提供する。前記支持体は、前記ユーザに安心感を提供する耐荷重機能を提供する。前記耐荷重機能は、前記ユーザの筋骨格系、すなわち主として骨、筋肉及び腱の系により支えられる結果として生じる荷重を減少させる。
【0012】
例えば、前記医療環境における前記「ユーザ」は、医師、例えば、カテーテル室の医師である。用語「カテーテル室」は、カテーテル処置室を指す。前記カテーテル室は、例えば病院内の、患者の検査及びインターベンション処置のための手術室として設けられうる。
【0013】
前記医療環境は、特に、X線放射線が加えられる他の処置のX線撮像の分野に関する。他の例において、遮蔽が必要とされる他のタイプの放射線が、提供される。
【0014】
前記X線シールドは、X線保護を提供し、鉛又は他の適切な材料のようなX線吸収材料を有する。
【0015】
前記人間工学的支持装置は、人間工学的支持器具とも称されることができる。前記着席支持構成は、着席支持装置とも称されることができる。前記X線遮蔽構成は、X線遮蔽装置とも称されることができる。
【0016】
前記X線シールドの可動性は、ユーザが、重い、したがって前記ユーザの移動を妨げるかもしれない前掛けを着用してる場合でさえ、前記着席支持面上に場所を取ることができるという利点を提供する。配置された後に、前記X線シールドは、前記ユーザの前に、すなわち、前記ユーザとX線放射線の潜在的な線源との間に、移動されることができる。不使用の段階の間に、前記X線遮蔽は、例えば前記ユーザの移動の自由度を増加するために前記ユーザの横又は後ろに、容易に遠ざけられることができる。
【0017】
前記人間工学的支持体は、カテーテル室医師に対して提供されるが、他のユーザ、例えば姿勢について問題を持つ医師に対して使用されることもできる。前記人間工学的支持体は、労働環境においてX線保護について問題を持つユーザ、例えば、放射線遮蔽により保護されながら患者に対する折り曲げ姿勢を達成する必要がある異なる医療分野における医師、外科医、歯科医、及び美容師、メイクアップアーティスト、看護師、放射線技師及び他の介護士に対しても提供される。
【0018】
一例において、前記人間工学的支持装置は、着席支持構成を持つベース支持構造を、医療環境におけるユーザに対する人間工学的支持装置に変換する改装キットとして提供される。前記改装キットは、X線遮蔽構成を有する。前記X線遮蔽構成は、着席支持構成及び前記X線遮蔽構成に対する機械的支持を提供するベース支持構造に取り付けられるように構成される取り付けアダプタを設けられる。前記X線遮蔽構成は、支持面上で支持される間にユーザがさらされるX線放射線の少なくとも一部を遮蔽するように構成される少なくとも1つのX線シールドを有する。前記少なくとも1つのX線シールドは、少なくとも部分的に前記着席支持面上で休息するユーザに対する位置を調整可能であるようにベース支持構造に移動可能に取り付け可能である。
【0019】
前記着席支持構成は、ユーザの臀部領域(又は尻領域)を支持するように構成される着席支持面を有する。
【0020】
前記改装キットの一例において、前記X線シールドは、上及び下に記載される例の1つによって提供される。
【0021】
前記少なくとも1つのX線シールドは、第1の位置から第2の位置に及びその逆に移動可能である。前記第2の位置において、前記着席支持体により支持される人は、前記第1の位置より少ない程度で放射線源にさらされる。
【0022】
前記第1の位置は、着席位置、すなわち前記ユーザが前記着席支持面上に着席される、より多くの空間を設けられる位置を提供してもよい。前記第1の位置において、前記X線シールドは、例えば、遮蔽が減少される又は全く提供されないように横に移動されてもよい。他方で、このシールド位置において、ユーザは、前記着席面に比較的容易なアクセスを持ち、及び/又は着席したユーザは、台上の患者に対する妨げられないアクセスを持ちうる。
【0023】
前記第2の位置は、使用又は遮蔽位置、すなわち前記ユーザが放射線から効果的に遮蔽される位置を提供する。前記第2の位置において、前記X線シールドは、前記ユーザにより受けられる散乱放射線の量が可能な限り減少されるように効果的に遮蔽するように配置される。
【0024】
一例において、前記第1の位置において、前記X線シールドと前記着席支持体との間の距離は、前記第2の位置の場合より大きい。
【0025】
更なる例によると、前記少なくとも1つのX線シールドは、前記着席支持構成の周りで回転可能である。オプションにおいて、前記少なくとも1つのX線シールドは、少なくとも180°、好ましくは360°以上回転可能である。
【0026】
前記回転は、前記遮蔽が常に前記ユーザに対するアクセスの範囲内であることを保証しながら、前記遮蔽の最適かつ直感的な配置、及び例えば前記ユーザの後ろに、離れて収納することを可能にする。360°の回転可能なシールドは、移動の自由度を提供し、前記着席位置、遮蔽位置及びオプションの収納位置の間で前記シールドを自由に回転する能力を提供する。
【0027】
前記X線シールドの回転は、水平に配置された円形移動経路に沿って提供されてもよい。例えば、ユーザが前記着席支持体上に着席する場合、前記X線シールドは、前記着席したユーザの上半身の長さ軸と実質的に一致する回転軸の周りで回転する。
【0028】
一例において、前記回転に対して、前記X線遮蔽構成は、前記着席支持体の下で前記ベース支持構造に回転可能に取り付けられるカンチレバーアームを有する。前記カンチレバーアームは、更なる横向きカンチレバーアームが、吊り下げられた形でX線シールドを運ぶように接続される、上向きに延在する支持体とともに提供される。
【0029】
一例によると、前記少なくとも1つのX線シールドは、円弧形状である。加えて、又は代わりに、前記少なくとも1つのX線シールドは、上側支持体からつり下がっている軟質材料で作成される。
【0030】
一例によると、前記少なくとも1つのX線シールドは、垂直旋回軸の周りで旋回可能である。
【0031】
一例において、前記着席支持面及び前記少なくとも1つのX線シールドは、各々、高さを調節可能であるように高さ調節を備える。オプションとして、前記少なくとも1つのX線シールドの高さ調節は、前記少なくとも1つのX線シールドが前記着席支持面に対して高さ結合可能であるように、前記着席支持面の高さ調節に結合される。
【0032】
一例において、前記X線シールドの旋回移動は、前記X線シールドの回転移動に加えて提供される。他の例において、前記X線シールドの旋回移動は、前記X線シールドの回転移動の代わりに提供される。
【0033】
一例によると、胸骨支持構成が、提供され、これは、ユーザの胸骨を支持するように構成される胸骨支持面を有する。オプションにおいて、前記胸骨支持面は、前記着席支持構成の周りで回転可能である。更なるオプションにおいて、前記胸骨支持面は、少なくとも180°、好ましくは360°以上回転可能である。
【0034】
一例によると、腕支持構成が、提供され、これは、ユーザの前腕を支持するように構成される少なくとも1つの前腕支持面を有する。オプションにおいて、前記前腕支持面は、前記着席支持構成の周りで回転可能である。更なるオプションにおいて、前記前腕支持面は、少なくとも180°、好ましくは360°以上回転可能である。
【0035】
一例において、両方の機能部分(保護及び支持)は、左側からアプローチされ、したがって、これらは、脚の間で干渉しない。これは、更なる移動の自由度と、前記ユーザの身体の周りで前記装置を回転する能力とを提供する。
【0036】
支持及びX線保護の統合は、カテーテル室スタッフに対する機能性の改善された組み合わせを作成する。
【0037】
前記胸骨支持体の形状は、胸骨のみを圧迫し、その周りの軟組織及び筋肉を圧迫しないように胸骨の形状に基づく。したがって、時間に対するしびれた感覚が、避けられる又は少なくとも軽減される。
【0038】
一例によると、前記ベース支持構造は、少なくとも3つのスイベルプーリーを有する可動性椅子ベースとして提供される。
【0039】
本発明によると、医療研究室機器構成が、提供される。前記構成は、先行する例の1つによる人間工学的支持装置及びX線撮像システムを有する。前記X線撮像システムは、X線検出器と、患者支持台上に配置された患者の照射に対するX線源とを有する。前記人間工学的支持装置は、撮像生成目的に対するX線照射活動中に前記患者の近傍でユーザを支持するように構成される。
【0040】
本発明によると、患者のX線撮像に対する方法も、提供される。前記方法は、以下のステップ、すなわち、
a)患者を少なくとも部分的に患者支持台上に配置するステップと、
b)前記患者をX線放射線で照射するステップであって、結果として生じる放射線を検出してX線画像データを生成するステップと、
c)少なくとも照射ステップb)の間、以前の例の1つによる人間工学的支持装置でユーザを支持するステップと、
を有する。
【0041】
一態様によると、支持されながら立っている位置を可能にするスツール支持体が、提供される。可動性X線シールドは、鉛のようなX線吸収材料を有する、前掛けのような前記ユーザの個人のX線保護に対する安心を生じる追加のX線保護を提供する。前記可動性は、前記ユーザに対する増大された柔軟性を可能にし、必要である場合に適合可能な、したがって最適化されたX線遮蔽を提供する。
【0042】
前記人間工学的支持装置は、長い時間期間に対して立っていることを含みうる仕事をするために、例えばカテーテル室医師に対する、支持を提供し、立って、十分な(かつ必要な)保護が提供される前記X線シールドの後ろに配置される間に、より軽い鉛の前掛けが使用されることができるので、支持は、安心を生じる。したがって、増大された支持オプションが提供され、結果として保護を提供しながら増大された範囲の姿勢を生じる。例えば、医師の前傾姿勢は、一例として支持され、腰の主要な筋肉の緊張を低減する。
【0043】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施例を参照して説明され、明らかになる。
【0044】
本発明の典型的な実施例は、以下の図面を参照して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】複数のオプションを持つ人間工学的支持装置の一例の斜視図を示す。
【
図2】可動コンポーネントを持つ人間工学的支持体の一例を示す。
【
図3】可動X線シールドを持つ人間工学的支持体の一例を示す。
【
図4】可動X線シールドを持つ人間工学的支持体の一例を示す。
【
図5】人間工学的支持体の一例の上のユーザの姿勢の例を示す。
【
図6】人間工学的支持体の一例の上のユーザの姿勢の例を示す。
【
図8】概略的な前面図において胸骨支持面の一例を示す。
【
図9】人間工学的支持装置を持つ医学研究室機器構成の一例を示す。
【
図10】患者のX線撮像に対する方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、医療環境におけるユーザに対する人間工学的支持装置10を示す。支持装置10は、ベース支持構造12を有する。支持装置10は、ユーザの臀部領域を支持するように構成される着席支持面16を有する着席支持構成14をも有する。前記着席支持面は、単一ピースのサドルとして又は(図示されるように)、例えば2ピースサドル型シートとして提供されてもよい。支持装置10は、前記支持面により支持される間にユーザがさらされるX線放射線の少なくとも一部を遮蔽するように構成される少なくとも1つのX線シールド20を有するX線遮蔽構成18をも有する。支持構造12は、前記着席支持構成及び前記X線遮蔽構成に対する機械的支持を提供する。少なくとも1つのX線シールド20は、少なくとも部分的に前記着席支持面上で休息しているユーザに対する位置を調節可能であるように前記ベース支持構造に移動可能に取り付けられる。
【0047】
少なくとも1つのX線シールド20は、第1の位置P1(
図3)から第2の位置に、及びその逆に移動可能である。前記第1の位置において、ユーザは、シールド20により妨げられずに又は邪魔されずに、そこに着席するために支持面16に対する容易なアクセスを持つ。前記第2の位置において、支持面16上に着席した人は、X線放射線源から効果的に遮蔽される。したがって、このシールド位置において、入射放射線、特に治療される患者から発する散乱X線放射線は、消去又は少なくとも低減される。
【0048】
一例において、着席支持面16は、図示されるようにサドルとして提供される。例えば、前記サドルは、第1のサドル部分16a及び第2のサドル部分16bを持つ二部分サドル形成を有する。しかしながら、休息するのにそれぞれ着席する他のタイプの面も、他の例において提供される。
【0049】
図2に示されるように、オプションにおいて、少なくとも1つのX線シールド20は、回転矢印22で示されるように、前記着席支持構成の周りで回転可能である。好ましくは、少なくとも1つのX線シールド20は、少なくとも180°、好ましくは360°以上回転可能である。
【0050】
オプションとして、少なくとも1つのX線シールド20は、円弧形状である。
【0051】
一例において、前記X線シールドは、回転点の周りの同心円弧形状である。これは、カテーテル室環境における空間の最小使用を提供する。
【0052】
一例において、柔らかい布のようなシールドが、前記ユーザの脚、特に前記X線シールドに隣接している場合に前記ユーザの膝に対して形状を適合することができるように、カーテンのような、前記X線シールドが、提供される。
【0053】
一例において、前記X線遮蔽構成は、交換されることができる異なるサイズのX線シールドのセットを有し、これは、前記ユーザのサイズ及び形状に依存するスケールされたX線遮蔽を提供することを可能にする。例えば、シールドセグメントは、異なる幅及び/又は異なる長さで提供されてもよい。
【0054】
更なるオプションとして、少なくとも1つのX線シールド20は、上側支持体24から吊り下がる軟質材料で作成される。
【0055】
図2において、前記X線シールドは、破線で示されている。可動性は、(サドル向きを、例えば患者の治療中の前記ユーザの主要な向きの標示と見なす場合に)椅子の後ろ側に回された面を持つ前記腕支持構成を示すことにより示される。オプションにおいて、破線で示された前記X線シールドは、移動されることもできる。
【0056】
図3に示されるように、オプションにおいて、X線シールド20は、垂直旋回軸APの周りで旋回可能(旋回矢印26で示される)である。X線シールド20は、したがって、前記着席面に対する容易なアクセスのために横に移動されることができる。
【0057】
第1の位置P1は、
図3において実線で示され、第2の位置P2は、破線で示される。
【0058】
図4は、いわば前記ユーザの後ろの、したがって前記着席面に対する容易なアクセスのために横に移動された、X線シールド20の配置を示す。前記X線シールドは、したがって、第1の位置P1において示されている。第2の位置P2は、
図3において破線で示されている。
【0059】
もちろん、
図3及び4において、オプションとして、前記腕支持構成は、回転されてもよく、したがって移動されてもよい。
【0060】
他のオプションとして、ユーザの胸骨を支持するように構成される胸骨支持面32を有する胸骨支持構成30が、提供される。例えば、胸骨支持面32は、前記着席支持構成の周りで回転可能である。好ましくは、胸骨支持面32は、少なくとも180°、好ましくは360°以上回転可能である。
【0061】
オプションにおいて、着席支持面16及び胸骨支持面32は、各々、高さ調節可能であるように高さ調節を備える。オプションとして、前記胸骨支持面が前記着席支持面に高さ結合可能であるように、前記胸骨支持面の高さ調節が、前記着席支持面の高さ調節に結合されることが、提供される。
【0062】
前記胸骨支持面の回転は、水平に配置された円形移動経路に沿って提供される。
【0063】
一例において、前記回転に対して、前記胸骨支持構成は、前記着席支持体の下で前記ベース支持構造に回転可能に取り付けられるカンチレバーアーム34を有する。前記カンチレバーアームは、更なる横向きカンチレバーアーム38が接続される上向きに延在する支持体36とともに提供される。前記胸骨支持面は、この横向きカンチレバーアームにより運ばれる。前記胸骨支持面は、わずかに上向きに傾けられて突き出している。
【0064】
一例において、ユーザの前腕を支持するように構成される少なくとも1つの前腕支持面42を有する腕支持構成40が、提供される。オプションにおいて、前腕支持面42は、前記着席支持構成の周りで回転可能である。好ましくは、前記前腕支持面は、少なくとも180°、好ましくは360°以上回転可能である。
【0065】
前記前腕支持面は、特に、前記ユーザの肘に対する支持として提供される。前記胸骨支持対の小さな形状は、前記ユーザに腕を自由に移動させる能力を与える。
【0066】
更なるオプションにおいて、前記腕支持面及び前記X線シールドは、共通のカンチレバーアーム構造に取り付けられ、一緒に移動される。
【0067】
更なるオプションにおいて、前記腕支持面は、共通のカンチレバーアーム構造に取り付けられるように提供される。前記X線シールドは、前記共通のカンチレバーアーム構造の上側のレールのような部分に、例えばスライド及び/又は旋回する形で、移動可能に取り付けられる。したがって、腕支持面及びX線遮蔽の独立した調節が、可能である。
【0068】
一例において、前記着席支持面及び前記前腕支持面は、各々、高さ調節可能であるように高さ調節を備える。オプションとして、前記前腕支持面が前記着席支持面に高さ結合可能であるように、前記前腕支持面の高さ調節が、前記着席支持面の高さ調節に結合されることが、提供される。
【0069】
前記前腕支持面の回転が、水平に配置された円形移動経路に沿って提供される。
【0070】
一例(詳細には示されない)において、前記回転に対して、前記腕支持構成は、前記着席支持体の下で前記ベース支持構造に回転可能に取り付けられるカンチレバーアームを有する。前記カンチレバーアームは、更なる横向きカンチレバーアームが接続される上向きに延在する支持体とともに提供される。前記腕支持面は、この横向きカンチレバーアームにより提供される。
【0071】
他の例において、前記腕支持構成は、
図1に示されるように、前記胸骨支持体を運ぶ前記横向きカンチレバーアームにより形成される。
【0072】
一例において、前記着席支持面、並びに前記少なくとも1つのX線シールド、前記胸骨支持面及び前記前腕支持面のグループの少なくとも1つは、各々、回転可能に取り付けられる。オプションにおいて、前記着席支持面、並びに前記少なくとも1つのX線シールド、前記胸骨支持面及び前記前腕支持面のグループの少なくとも1つは、互いから独立して回転可能である。オプションにおいて、前記着席支持面、前記少なくとも1つのX線シールド、前記胸骨支持面及び前記前腕支持面のグループの少なくとも2つは、共通の中心回転軸の周りで回転可能である。
【0073】
他の例において、前記着席支持面、並びに前記少なくとも1つのX線シールド、前記胸骨支持面及び前記前腕支持面のグループの少なくとも1つは、一緒に回転する。オプションとして、回転移動が直接的に結合されることが、提供される。
【0074】
一例において、前記着席支持面、前記少なくとも1つのX線シールド、前記胸骨支持面及び前記前腕支持面は、前記ベース支持構造に同心に取り付けられる。
【0075】
一例において、前記着席支持面、並びに前記少なくとも1つのX線シールド、前記胸骨支持面及び前記前腕支持面のグループの少なくとも1つは、各々、高さ調節可能であるように高さ調節を備える。(
図6の矢印28)。オプションにおいて、前記着席支持面が前記少なくとも1つのX線シールド、前記胸骨支持面及び前記前腕支持面のグループの少なくとも1つと高さ結合可能であるように、前記着席支持面の高さ調節は、前記少なくとも1つのX線シールド、前記胸骨支持面及び前記前腕支持面のグループの少なくとも1つの高さ調節に結合される。
【0076】
したがって、スツールに取り付けられることができる胸骨支持体をユーザに対して提供することにより、医師は、腰に大きすぎる筋肉の緊張を生じずに前傾になることができる。追加の保護は、配置するのが容易であり、前記ユーザに沿って移動する統合された解決法として利用可能である。
【0077】
オプションにおいて、前記ベース支持構造は、少なくとも3つのスイベルプーリー52を有する可動性椅子ベース50として提供される。一例において、前記可動性椅子ベースは、少なくとも5つのプーリーを有する。前記プーリーは、荷重時ブレーキキャスタとして提供されてもよい。
【0078】
一例において、前記ベース支持構造は、可動性構造として提供される。
【0079】
他の例において、前記ベース支持構造は、床構造に対して固定して取り付け可能である。
【0080】
一例において、前記ベース支持構造は、前記着席支持面の第1の位置と前記着席支持面の第2の位置との間の範囲内で前記ユーザに対する着席支持体を提供するように高さ調節可能である。前記第1の位置は、下の位置であり、前記第2の位置は、上の位置である。前記下の位置は、前記ユーザの着座位置を可能にし、前記上の位置は、前記ユーザの立ち位置を可能にする。
【0081】
一例において、前記下の位置は、5%日本人女性ユーザ及び95%の米国人弾性ユーザに対する着座位置を可能にする。他の例において、前記上の位置は、5%の日本人女性ユーザ及び95%の米国人男性ユーザに対する立ち位置又は完全に立つのに近い位置を可能にする。
【0082】
図5は、より座っている位置のユーザ60(
図7)を示し、
図6は、より立っている位置のユーザ60を示すが、両方の位置において、前記着席支持面により支持されている。
【0083】
図5において、前記胸骨支持面は、後ろ側に移動され、
図5において左側に、したがって前記ユーザの後ろに移動されることが示されている。前記ユーザは、したがって、前記胸骨支持面に対して後傾になることができる。
【0084】
図6において、前記胸骨支持面は、前側に、
図6において右側に、したがって前記ユーザの前に移動されることが示される。前記ユーザは、したがって、前記胸骨支持体に対して前傾になることができる。
【0085】
両方の位置において、前記ユーザは、医療環境におけるユーザに対する人間工学的支持装置にアプローチする場合に
図7においてユーザに対して示される前掛け29を着用することができる。
【0086】
図8に示されるように、一例において、胸骨支持面32は、本質的に前記ユーザの胸骨専用である接触面を提供する縦長形状を持つ。
【0087】
一例において、胸骨支持面32は、本質的に前記ユーザの胸骨専用の接触面を提供する縦長形状を持つ。他の例において、前記胸骨支持面は、約3cmの幅及び約10cmの高さの形状を持つ。
【0088】
前記胸骨支持面は、交換可能であるように提供されることができる。例えば、異なるサイズ、及び/又は異なる幅/高さ比を持つ形状が、提供される。
【0089】
一例において、前記胸骨支持面は、下端32a及び上端32bを備え、下端と上端との間に中央部分32cを備える。一例において、前記下端の幅Wbは、前記上端の幅Wcより小さい。他の例において、前記中央部分の幅Wdは、前記下端の幅より小さく、前記上端の幅よりも小さい。一例において、前記上端と前記下端との間の側面部分は、くぼんだ形の形状である。
【0090】
一例において、前記中央部分は、前記上端と前記下端との間の距離の半分よりわずかに下に配置され、すなわち、前記中央部分から前記上端までの上側距離Dcは、前記上端から前記下端までの全体的な距離Daの半分より大きい。
【0091】
一例において、前記胸骨支持面は、前記ユーザの胸骨の輪郭と合うように柔軟であるように提供される。一例において、前記胸骨支持面は、前記胸骨支持面の異なる傾斜の向きを可能にするように中心水平軸の周りで旋回可能であるように取り付けられる。
【0092】
これらのフィーチャの他に、図面は、提供されうる他のオプションを示すことに注意されたい。特に、回転可能な前記X線シールドが、前記胸骨支持体なしで提供されてもよいことに注意する。
【0093】
図9は、医学研究室機器構成100の一例を概略的に示す。前記構成は、X線撮像システム102と、上に記載された人間工学的支持装置10の一例として提供される人間工学的支持装置108とを有する。X線撮像システム102は、X線検出器106と、患者支持台110、例えば患者台上に配置された患者の照射のための(前記人間工学的支持装置の後ろに隠れた)X線源104とを有する。前記人間工学的支持装置は、撮像生成目的のX線照射活動中に前記患者の近傍でユーザを支持するように構成される。
【0094】
人間工学的支持装置104は、前記患者台の前に移動される前記胸骨支持体とともに示され、前記X線遮蔽は、横に移動される。
【0095】
図10は、患者のX線撮像に対する方法200の一例を示す。前記方法は、以下のステップを有する。ステップa)とも称される第1のステップ202において、患者は、少なくとも部分的に患者支持台上に配置される。ステップb)とも称される第2のステップ206において、前記患者は、X線放射線で照射され、結果として生じる放射線を検出してX線画像データを生成する。ステップc)とも称される第3のステップ206において、ユーザは、照射ステップb)の間に上記の例の1つによる人間工学的支持装置で支持される。
【0096】
本発明の実施例が、異なる対象を参照して記載されることに注意されたい。特に、いくつかの実施例は、装置型請求項を参照して記載される。しかしながら、当業者は、上記及び以下の説明から、別段の通知がない限り、1つのタイプの対象に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる対象に関連する特徴の間の任意の組み合わせも本願で開示されると考えられることが分かるであろう。しかしながら、全てのフィーチャは、前記フィーチャの単純な合計以上の相乗効果を提供するように組み合わせられることができる。
【0097】
本発明が、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されたが、このような図示及び説明は、例示的又は典型的なものとみなされるべきであり、限定的なものではない。本発明は、開示された実施例に限定されない。開示された実施例に対する他の変形は、図面、開示、及び従属請求項の検討から、請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、達成されることができる。
【0098】
特許請求の範囲において、「有する」という語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載された複数のアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。