(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】化粧品組成物を調製するためのデバイス、および関連するプロセス
(51)【国際特許分類】
A45D 40/16 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
A45D40/16 Z
(21)【出願番号】P 2020565306
(86)(22)【出願日】2019-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2019063306
(87)【国際公開番号】W WO2019224294
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-04-25
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】エリク・ドゥー
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/171621(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1409201(KR,B1)
【文献】特表2016-514071(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0001488(US,A1)
【文献】特開2017-013252(JP,A)
【文献】特表2016-522060(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0143416(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 24/00~97/00
A45D 8/00~ 8/40
B65B 1/00~ 3/36
A61K 8/00~ 8/99
A61Q 1/00~90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品組成物(12)を調製するためのデバイス(10)であって、
少なくとも1つのカプセル(16)を受ける筐体(30)を画定する構造(28)であって、前記カプセルまたは前記カプセルのうちの少なくとも1つ(16)が、前記化粧品組成物(12)の少なくとも1つの成分を含有する、構造(28)と、
前記筐体(30)の一端(34)において開口する出口ノズル(32)と、
1つ以上の前
記カプセル(16)を穿孔して各カプセル(16)の内容物を前記出口ノズル(32)に搬送するのに好適な、前記筐体(30)内の前記構造(28)に対して平行移動可能なピストン(36)と、
前記出口ノズル(32)に流体連通される、容器(14)を形成するように意図されたプレフォーム(54)とを含み、
前記プレフォーム(54)が、前記容器(14)を形成するために、前記筐体(30)に面して配列され、各カプセル(16)の前記内容物の前記搬送によって変形されるように意図された、前記プレフォーム(54)の厚さの半分よりも浅い凹面を有する内表面(72)を有することを特徴とする、デバイス(10)。
【請求項2】
前記内表面(72)が実質的に平面で中実である、請求項1に記載のデバイス(10)。
【請求項3】
前記ピストン(36)が、前記筐体(30)の縦軸(X-X’)に沿って平行移動可能であり、前記内表面(72)が、前記縦軸(X-X’)に垂直に延びる、請求項1または2に記載のデバイス(10)。
【請求項4】
前記出口ノズル(32)に対して外側に配列された、前記容器(14)を形成するためのモールド(68)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項5】
1つ以上の前
記カプセル(16)、および随意に前記プレフォーム(54)および/またはモールド(68)を加熱するための手段(80)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項6】
前記プレフォーム(54)が、前記内表面(72)と実質的に平行に延びる、実質的に平面の外表面(74)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項7】
前記プレフォーム(54)が、側面のねじ山(76)を有する実質的に円筒形の側面を有し、前記出口ノズル(32)が、前記プレフォーム(54)の前記側面のねじ山(76)と係合するのに好適なねじ付き内表面(52)を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項8】
前記内表面(72)が、前記
出口ノズル(32)をしっかりとシールする、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項9】
化粧品組成物(12)を調製するためのプロセスであって、
請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス(10)と、前記筐体(30)内に配列された、前記化粧品組成物の少なくとも1つの成分を含有する少なくとも1つのカプセル(16)とを提供すること、
前記ピストン(36)を前記筐体(30)内で前記
一端(34)の方に移動させ、各カプセルを穿孔して、各カプセル(16)の前記内容物を前記プレフォーム(54)の前記内表面(72)に対して前記
一端(34)の方に搬送すること、
各カプセル(16)の前記内容物を前記出口ノズル(32)を介して前記プレフォーム(54)に対して押し出し、前記化粧品組成物(12)を取得すること、および
同時に、前記プレフォーム(54)を変形させて前記化粧品組成物(12)の容器(14)を形成することのステップを含む、プロセス。
【請求項10】
前記デバイス(10)が、前記出口ノズル(32)に対して外側に配列された、前記容器(14)を形成するためのモールド(68)を含み、前記プレフォーム(54)の前記変形が前記モールド内で発生し、前記容器(14)の外表面(74)が前記モールド(68)の内壁を押圧して形成される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ピスト
ン(36)
を移動させるステップの前に、前記プレフォーム(54)、および随意に前記モールド(68)を加熱するステップを含む、請求
項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記ピスト
ン(36)
を移動させて押し出すステップの間に、前記ピストン(36)、各カプセル(16)の側壁(18)、前記出口ノズル(32)、および前記プレフォーム(54)が係合して、外部から流体的に分離された循環チャネルを形成する、請求項9から11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記カプセルまたは前記カプセルのうちの1つ(16)が、準備するステップの間に前記プレフォーム(54)と直接接触して配列される、請求項9から12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記ピストン(36)が各カプセル(16)を通って上方に移動し、前記プレフォーム(54)が
1つ以上の前
記カプセル(16)の上部に配列され、前記容器(14)が前記カプセル(16)の上部に形成されて前記化粧品組成物(12)を受ける、請求項9から13のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
- 少なくとも1つのカプセルを受ける筐体を画定する構造であって、そのカプセルまたはカプセルのうちの少なくとも1つは、化粧品組成物の少なくとも1つの成分を含有する、構造と、
- 筐体の一端において開口する出口ノズルと、
- そのまたは各カプセルを穿孔して各カプセルの内容物を出口ノズルに搬送するのに好適な、筐体内の構造に対して平行移動可能なピストンと、
- 出口ノズルに流体連通される、容器を形成するように意図されたプレフォームと
を含む、化粧品組成物を調製するためのデバイスに関する。
【0002】
本発明は、そのような化粧品組成物を調製するためのプロセスにも関する。
【背景技術】
【0003】
デバイスによって調製される化粧品組成物は、特に、化粧用のボディ表面ケア、カラーリング、またはメーキャップ製品を含む。
【0004】
より一般的に、化粧品組成物は、化粧製品に関する、2009年11月30日付けの欧州議会および理事会のEC規則第1223/2009において規定されている化粧製品のうちの1つまたは複数を含む。
【0005】
化粧品組成物は、一般に、事前に調製され、店舗流通に好適な特別あつらえの個別のコンテナにパッケージングされて市販されている。
【0006】
このタイプのパッケージングは、化粧品組成物の満足できる貯蔵寿命と容易な取り扱いとを可能にする。さらに、このタイプのパッケージングは、パッケージングの内容物が請求した組成物と一致すること、およびパッケージングの内容物が適用可能な規格に準拠することの保証を消費者に提供する。
【0007】
しかしながら、このタイプの製品は、すべての顧客にとって理想的であるとは限らない。実際、このタイプの製品は、所定のオプションを超えて化粧品組成物の量または詳細な内容物をカスタマイズすることはできない。さらに、このタイプの製品は、たとえば、大型店およびスーパーストアで一般的なセクションレイアウトを常に使用するとは限らない小売店に対する小規模流通には好適ではない。
【0008】
カプセルから抽出される化粧製品でコンテナを充填するためのデバイスは、従来技術、たとえばFR3007014の文書において知られている。しかしながら、これらのデバイスは、組成物をカスタマイズすることはできない。さらに、これらのデバイスは、パッケージングされた組成物が外部の汚染物質に曝されていないこと、または所望の組成物には含まれない追加の化合物を受け入れていないことを保証しない。これらの状況は、製品品質の低下のリスク、またはさらには健康リスクをもたらす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、調剤される組成物のタイプおよび品質を保証するオプションを保持しながら、より高度のカスタマイズを可能にしかつ小売店により好適な化粧品を調製して調剤する手段が必要である。
【0011】
したがって、本発明の1つの目的は、カスタマイズ方式で現場で調製された化粧品を調剤し、かつすべての既存の品質およびトレーサビリティ要件に適合するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これを達成するために、本発明は、上記のタイプのデバイスに関し、プレフォームは、容器を形成するために、筐体に面して配列され、各カプセルの内容物の搬送によって変形されるように意図された、プレフォームの厚さの半分よりも浅い凹面を有する内表面を有する。
【0013】
そのようなデバイスは、組成物が調製中に外部から汚染されるのを保護して組成物の完全性および適合を保証しながら、化粧品組成物および容器を効果的に準備することを可能にする。
【0014】
特定の実施形態によれば、本発明によるデバイスは、単独でまたは任意の技術的に可能な組合せで採用される以下の特性のうちの1つまたはいくつかを有する。
- 内表面は、実質的に平面で中実である。
【0015】
この代替実施形態は、特に保存のために、プレフォームに関する体積を最小化することを可能にする。
- ピストンは、筐体の縦軸に沿って平行移動可能であり、内表面は、縦軸に垂直に延びる。
【0016】
この代替実施形態は、プレフォームを対称にかつ一様に変形することを可能にする。
【0017】
- 上記で規定されたデバイスは、出口ノズルに対して外側に配列された、容器を形成するためのモールドを含む。
【0018】
- 上記で規定されたデバイスは、そのまたは各カプセル、および随意にプレフォームおよび/またはモールドを加熱するための手段を含む。
【0019】
これらの代替実施形態は、容器のための特定の形状を取得することを可能にする。
【0020】
- プレフォームは、内表面と実質的に平行に延びる、実質的に平面の外表面を有する。
【0021】
この代替実施形態は、プレフォームに関連する体積を低減することを可能にする。
【0022】
- プレフォームは、側面のねじ山を有する実質的に円筒形の側面を有し、出口ノズルは、プレフォームの側面のねじ山と係合するのに好適なねじ付き内表面を有する。
【0023】
この代替実施形態は、プレフォームを出口ノズル上に簡単かつ迅速に配置することを可能にする。
【0024】
- 内表面は、調剤ノズルをしっかりとシールする。
【0025】
この代替実施形態は、外気が筐体に入るのを防止して化粧品組成物の汚染を防止することを可能にする。
【0026】
本発明はまた、以下の、
- 上記で規定されたデバイスと、筐体内に配列された、化粧品組成物の少なくとも1つの成分を含有する少なくとも1つのカプセルとを提供すること、
-ピストンを筐体内で端部の方に移動させ、各カプセルを穿孔して、各カプセルの内容物をプレフォームの内表面に対して端部の方に搬送すること、
- 各カプセルの内容物を出口ノズルを介してプレフォームに対して押し出し、化粧品組成物を取得すること、および
- 同時に、プレフォーム(54)を変形させて化粧品組成物の容器を形成すること
のステップを含む、化粧品組成物を調製するためのプロセスに関する。
【0027】
特定の実施形態によれば、本発明によるプロセスは、単独でまたは任意の技術的に可能な組合せで採用される以下の特性のうちの1つまたはいくつかを有する。
- デバイスは、出口ノズルに対して外側に配列された、容器を形成するためのモールドを含み、プレフォームの変形はモールド内で発生し、容器の外表面はモールドの内壁を押圧して形成される。
- 上記で説明したプロセスは、ピストンを移動させるステップの前に、プレフォーム、および随意にモールドを加熱するステップを含む。
- ピストンを移動させて押し出すステップの間に、ピストン、各カプセルの側壁、出口ノズル、およびプレフォームが係合して、外部から流体的に分離された循環チャネルを形成する。
- そのカプセルまたはカプセルのうちの1つは、準備するステップの間にプレフォームと直接接触して配列される。
- ピストンは各カプセルを通って上方に移動し、プレフォームはそのまたは各カプセルの上部に配列され、容器はカプセルの上部に形成されて化粧品組成物を受ける。
【0028】
本発明のさらなる特徴および利点が、添付の図面を参照しながら単なる例として以下の説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】化粧品組成物を調製するためのプロセスの連続するステップの間の本発明によるデバイスの縦断面図である。
【
図2】化粧品組成物を調製するためのプロセスの連続するステップの間の本発明によるデバイスの縦断面図である。
【
図3】化粧品組成物を調製するためのプロセスの連続するステップの間の本発明によるデバイスの縦断面図である。
【
図4】化粧品組成物を調製するためのプロセスの連続するステップの間の本発明によるデバイスの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
化粧品組成物12を調製するためのデバイス10を、
図1~
図4に表す。デバイス10は、少なくとも1つのカプセル16、および有利には複数のカプセル16内に含有された化粧品組成物12の複数の成分を容器14の方に搬送して混合することによって、化粧品組成物12を調製するのに好適である。
【0031】
化粧品組成物12は、特に、化粧用のボディ表面メーキャップ、ケア、および/またはカラーリング製品を含む。組成物12は、複数の所定の成分から所定の正確な割合で調製される。
【0032】
化粧品組成物の成分は、たとえば、本来は水性のまたは有機の、多様な粘度の1つまたは複数の液体を含む。成分は、たとえば、粉末、粒子および/または繊維などの1つまたは複数の固体も含む。最後に、成分は、たとえば、ジェル、乳液、クリーム、フォーム、その他を含む。
【0033】
図に示す第1の実施形態によれば、デバイス10は、複数のカプセル16を受ける。カプセル16を、
図5および
図6に表す。各カプセル16は、化粧品組成物12の成分のうちの少なくとも1つを含有する。
【0034】
各カプセル16は、実質的に円筒形の内部導管20と2つの対向する端部において内部導管20を閉じる2つのシール22とを画定する、実質的に円筒形の側壁18を含む。
【0035】
「円筒形の(cylindrical)」という用語は、側壁18および内部導管20がそれぞれ、筒の部分の形状の外表面を有することを意味し、筒は、母線に対する直交面に内接する閉じた準線曲線を母線が通過することによって形成される幾何学形状であるものと理解される。
【0036】
第1の代替実施形態によれば、準線曲線は円であり、側壁18はしたがって、円形の横断面の円筒部の形状である。
【0037】
さらなる代替実施形態によれば、準線曲線は正方形、長方形、楕円、ひし形、または他の形状である。
【0038】
上記の定義は、以後同じ方法で、任意の円筒形の物体に適用される。
【0039】
側壁18および内部導管20は、それぞれの準線曲線のイソ重心(isobarycenter)を通過する中心軸をそれぞれ有する。側壁18および内部導管20の中心軸は、特に一致する。
【0040】
側壁18は、その周辺上に実質的に一定の厚さと、カプセル16ごとに可変の長さとを有する中実の円筒形スリーブの形状である。側壁18は、たとえば、プラスチック材料、特に、たとえばメチルポリメタクリル酸などの近赤外放射に対して透明の材料で作られる。代替的に、側壁はガラスで作られる。
【0041】
複数のカプセル16は、特に、
図5に表される少なくとも1つの第1のカプセル16と、
図6に表される少なくとも1つの第2のカプセル16とを含む。
【0042】
各第1のカプセル16の側壁18は、同じ第1の外径d1と同じ第1の内径d'1とを有する。各第2のカプセル16の側壁18は、第1の外径d1より大きい同じ第2の外径d2と、第1の内径d'1より大きい同じ第2の内径d'2とを有する。
【0043】
図示の例では、側壁18および内部導管20は、円形断面を有する円筒形である。筒の断面が円でない場合、内径d'1、d'2および外径d1、d2は、たとえば、正方形断面の辺または楕円断面の主軸など、カプセル16の横方向の寸法と見なされるべきである。
【0044】
各第1のカプセル16は、側壁18から横方向に突出するフィン24と、第2の外径d2に等しい直径の円に内接するフィン24の端部26とをさらに含む。フィン24は、たとえば、側壁18との一体成型である。
【0045】
各第1のカプセル16は、有利なことに、少なくとも3つのフィン24を含み、それらは、カプセル16がデバイス10の中に配置されるとき、カプセル16の効果的なセンタリングを確実にするのを助ける。
【0046】
シール22は薄い円盤形状を有し、側壁18の外径d1、d2に実質的に等しい直径を有する。シール22は、たとえばヒートシールによって側壁18の横断面に取り付けられる。
【0047】
シール22は、それが破壊しきい値を超えて引き伸ばされるときに破れるのに十分に壊れやすい、伸縮自在の材料で作られる。シール22は、たとえば特に、ブタジエンアクリロニトリル共重合体(ニトリルゴムと呼ばれる)に基づく、またはポリクロロプレンに基づく、またはラテックスに基づくゴムで作られる。
【0048】
シール22を形成する材料は、有利なことに、特に、熱分解によって、または破砕および改鋳によって再生利用可能である。
【0049】
代替的に、シール22は、化粧品組成物内に存在しても不快感を生じない壊れやすい材料で、たとえば砂糖、ジェラチン、ワックス、その他などから作られる。
【0050】
内部導管20は、化粧品組成物12の成分のうちの少なくとも1つを含む、カプセル16の内容物を受ける。
【0051】
各カプセル16は、内部導管20の両端間で測定され、カプセル16の内径と無関係の特定の長さを有する。その長さは、内部導管20に対して求められる容積に従って決定され、容積は化粧品組成物12の内容物の性質に依存する。
【0052】
有利なことに、各カプセル16の側壁18は、ひとたびカプセルがデバイス10内に配置されても、カプセル16の内容物を素早く識別するのに好適な1つまたは複数の特定のカラーを有する。
【0053】
代替的に(図示せず)、デバイス10は、化粧品組成物のすべての成分を含有する単一のカプセル16を受ける。
【0054】
デバイス10は、縦軸X-X'に沿って延びる、カプセル16を受けるための筐体30を画定する構造28を含む。デバイス10はまた、筐体30の第1の端部34において開口する出口ノズル32と、筐体30の第2の端部38において取り付けられるピストン36とを含む。
【0055】
デバイス10は、特に垂直方向に配置され、すなわち縦軸X-X'は重力と平行に延び、出口ノズル32は上向きに配向され、すなわち開口は重力の方向と反対方向である。
【0056】
構造28は、たとえば、筐体30を画定する実質的に円筒形のケーシング40を含み、出口ノズル32はケーシング40を通して配置され、ピストン36はケーシング40を通して摺動自在に取り付けられる。
【0057】
有利なことに、ケーシング40は、カプセル16にアクセスするための開口を有する。代替的に、ケーシング40は、近赤外線に対して透明の材料で作られる。
【0058】
代替的に(図示せず)、構造28は、縦軸X-X'と実質的に平行に延びる複数の金属棒を含み、金属棒の間に筐体30を画定する開放構造である。格子は、筐体30の端部を形成する2つの端板で組み立てられ、板のうちの一方は出口ノズル32を含み、他方の板はピストン36を支える。格子は、第1のカプセル16のフィン24の端部26に対する、かつ第2のカプセル16の側壁18に対する横方向の支持としての役割を果たすように配列される。
【0059】
有利なことに、各格子は、筐体30に面して延びる溝を含み、溝は、第1のカプセル16が縦軸X-X'回りに回転するのを防止するように、第1のカプセル16のフィン24の端部26を受けるのに好適である。
【0060】
構造28の一部は、筐体30内にカプセル16を配置することを可能にするように移動可能および/または取り外し可能である。
【0061】
筐体30は、カプセル16の第2の外径d2に実質的に等しい直径を有する実質的に円筒形の内部容積である。筐体は、筐体30の内表面を半径方向に押圧することで着脱可能にカプセル16を受けるのに好適である。
【0062】
上記で与えられた「円筒形の」、「軸」および「直径」という用語の定義は、筐体30およびピストン36にも適用される。特に、カプセル16、筐体30およびピストン36の断面は同様である。
【0063】
筐体30内で受けられるカプセル16は、縦軸X-X'に沿って同軸に整列される。同軸という用語は、カプセル16の各々が、縦軸X-X'上で整列されたカプセル16の内部導管20の軸によって配列されることを意味する。
【0064】
カプセル16は互いに接触して配列され、第2のカプセル16は第1の端部34に置かれた出口ノズル32により近く配列され、第1のカプセル16は第2の端部38に置かれたピストン36により近く配列される。
【0065】
第1のカプセル16の側壁18は、縦軸X-X'と平行方向に沿って互いに接触しており、それによって、第1の内径d'1に等しい直径を有する第1の循環導管42を形成する。
【0066】
同様に、第2のカプセル16の側壁18は、縦軸X-X'と平行方向に沿って互いに押圧しており、それによって、第2の内径d'2に等しい直径を有する第2の循環導管44を形成する。
【0067】
有利なことに、デバイス10は、第2の端部38に最も近いカプセル16を押圧するため、および筐体30の第1の端部34を押圧するカプセル16を締結するために好適な、筐体30内で摺動自在に取り付けられたブロック46も含む。ブロック46は、ピストン36の通路およびカプセル16の内部導管20へのアクセスを可能にする中央開口48を含む。
【0068】
ブロック46は、カプセル16を互いに接触させて保持するために、カプセル16のスタックの一端に置かれたカプセル16を押圧する。
【0069】
出口ノズル32は、一方の側で構造28の外側にかつ他方の側で筐体30の中に開く、構造28内の開口50、ならびにプレフォーム54の締結手段52を含む。
【0070】
開口50は、特に、縦軸X-X'を中心とする円形開口である。
【0071】
締結手段52は、たとえば、プレフォーム54のねじ山と係合するのに好適な、開口50の内表面上に延びるねじ山を含む。
【0072】
代替的に、締結手段52は、クリップ、バイオネット、ピン、または他のシステムを含む。
【0073】
ピストン36は、第1の端部34に向かって筐体30内で縦軸にX-X'に沿って、構造28に対して平行移動可能に構造28上に取り付けられる。
【0074】
ピストン36はまた、カプセル16を通して移動可能であり、カプセル16の各々のシール22をそれらの破壊しきい値まで連続的に引き伸ばして、カプセル16の内容物を出口ノズル32の方に搬送するのに好適である。
【0075】
ピストン36は、縦軸X-X'に沿って延びるロッド56、ならびにロッド56によって動く状態に設定されるのに好適な、筐体30内に配列された少なくとも1つのピストンヘッドを含む。
【0076】
ピストン36は、特に、異なる外径を有する、カプセル16のうちの異なる内径の数と同数のヘッドを含む。ヘッドは、縦軸X-X'に沿って互いに少し離れて、筐体30の第1の端部34に向かって直径の昇順に従って筐体30の中に配列される。
【0077】
各ヘッド58、60は、出口ノズル32から最も遠い、ヘッドの外径に実質的に等しい内径を有するカプセル16から上流に配列される。
【0078】
図1~
図4に示す例では、ピストン36は、カプセル16の第1の内径d'
1および第2の内径d'
2に実質的に等しい2つの異なる外径をそれぞれ有する、第1のヘッド58と第2のヘッド60とを含む。
【0079】
第1のヘッド58は、出口ノズル32から最も遠い第1のカプセル16に接触して配列され、第2のヘッド60は、出口ノズル32から最も遠い第2のカプセル16に接触して配列される。
【0080】
各ヘッド58、60は、筐体30を通してピストン36が移動する間に、ロッド56上で逐次組み合わされるように配列される。
【0081】
図に示す例では、第1のヘッド58は、第1のカプセル16を通してピストン36を進める前にロッド56上に組み合わされるように配列され、第2のヘッド60は、第2のカプセル16を通してピストン36を進める前にロッド56上に組み合わされるように配列される。
【0082】
各ヘッドは、最小の外径を有するヘッド58を除いて、縦軸X-X'に沿ってヘッドの2つの対向面上に開く貫通導管62を画定する。
【0083】
有利なことに、各導管62は、先行するヘッドを補完として、特にスナップロック方式で受け入れるのに好適である。受け入れられたヘッドは、導管62を緊密にシールして、カプセル16の内容物が導管62を通って流れるのを防止するのに好適である。
【0084】
図に示す例では、第2のヘッド60は、第1のヘッド58の外径と実質的に等しい内径を有する導管62を画定する。
【0085】
導管62は、導管62の入口回りに導管62の内側に延びるリブ64を有する。リブ64は、
図3および
図4に示すように、導管62内に受け入れられた第1のヘッド58をスナップロックによって締結するために、入口の高さレベルにおいて導管62の直径を減じる。
【0086】
有利なことに、ピストン36のヘッドのうちの少なくとも1つは、出口ノズル32に接続される容器14のキャップ66を形成するのに好適である。特に、ピストン36のすべてのヘッドは、
図4に示すように、キャップ66を形成するために係合するのに好適である。
【0087】
キャップ66は、化粧品組成物12が容器14に流入した後、容器14の入口を横断して配列される。ピストンヘッド36は、化粧品組成物12を調剤するために容器14が出口ノズル32から取り外されるとき、ロッド56から分離することができる。
【0088】
キャップ66は、特に、容器14内に含有される化粧品組成物12を最初に使用する前で、容器14を出口ノズル32から取り外した後を穿孔されるのに好適である。
【0089】
有利なことに、キャップ66は、特にキャップ66を穿孔する間に、化粧品組成物12を調剤するための部材を受けるのに好適である。調剤部材は、たとえば、ポンプ、調剤ビード、メーキャップブラシもしくは塗布ブラシ、ノズル、キャップ、蝶番付きの蓋、または他の部材である。
【0090】
代替的に、キャップ66は、調剤キャップ66の反対側に開かれるように意図された、容器14の後キャップである。たとえば、この場合、たとえば口紅など、「スティック」の形で提示される化粧品組成物12に対応する。
【0091】
図1~
図4に示すように、デバイス10は、出口ノズル32によって受けられるプレフォーム54、ならびに容器14を形成するためのモールド68を含む。
【0092】
プレフォーム54は、加熱されて不可逆的に変形され、化粧品組成物12を受ける容器14を形成するのに好適なプラスチック材料で作られた部分71、ならびに部分71を取り囲む保持リング73を含む。
【0093】
部分71は、カプセル16の内容物が出口ノズル32を通って流れることによって変形されるのに特に好適である。
【0094】
部分71は、特に、周囲温度において固く、軟化温度超では、内容物がカプセル16から流れる間に自由に変形されるように軟化するのに好適である。
【0095】
代替的に、部分71は、周囲温度において、特に弾性的に、すなわち内容物をカプセル16から搬送する間に実質的に反転可能に変形されるのに好適である。部分71は、たとえばゴムで作られる。
【0096】
プレフォーム54は、筐体30に面する部分71の内表面72と、外部および/またはモールド68に面する外表面74とを有する。内表面72は、プレフォーム54が変形する間にカプセル16の内容物と接触していること、および変形を生じる圧力を受けることを意図されている。外表面74は、プレフォーム54が変形した後にモールド68と接触することを意図されている。
【0097】
内表面72および外表面74は非中空であり、すなわち内表面72および外表面74はフラットであるか、またはわずかに凹である。「わずかに凹」という用語は、凹面の最大深さが、縦軸X-X'に沿って測定される、部分71の横方向厚さの半分未満、有利には横方向厚さの1/4以下であることを意味する。
【0098】
したがって、部分71は、2つの平面で区切られた円筒に完全に内接し、内表面72および外表面74それぞれの外側縁に内接される形状を有する。
【0099】
図1~
図4に示す望ましい実施形態では、内表面72は、実質的に平面で中実の非凹面であり、外表面74は、特に実質的に平面の非凸面である。次いで、プレフォーム54は実質的に円筒形であり、たとえば、側面上にねじ山76を有し、出口ノズル32の開口50を通してその締結を可能にする。
【0100】
望ましくは、プレフォーム54はフラットである。プレフォーム54は、その直径より小さく、望ましくはその直径の0.5倍より小さい、その縦軸X-X'に沿って測定される高さを有する。
【0101】
プレフォーム54の内表面72は、出口ノズル32の開口50を特にしっかりとシールする。
【0102】
有利なことに、プレフォーム54は、縦軸X-X'に垂直に、すなわち縦軸X-X'に垂直に延びる内表面72と並んで配列される。これは、プレフォーム54の一様で対称な変形を取得することを可能にする。
【0103】
保持リング73は、プレフォーム54を出口ノズル32に締結するために、側面のねじ山76を有する。保持リング73は、部分71が加熱されて変形されたときに劣化しないように、部分71よりも耐熱性の強い材料から成る。
【0104】
保持リング73がプレフォーム54のねじ山に係合されるとき、カプセル16が筐体30内で縦軸X-X'に沿って平行移動するのを保持リング73が阻止するように、保持リング73は、カプセル16の外径d2より小さい内径を有する。
【0105】
有利なことに、プレフォーム54とカプセル16のうちの1つとは、筐体30内に空気がないことを確実にするために、接触して配列される。
【0106】
モールド68は、プレフォーム54を形成して容器14を取得するための、たとえば良好な熱伝導特性を示す金属で作られた表面である。
【0107】
たとえば、モールド68は、プレフォーム54が形成されたとき、化粧品組成物12を含有する容器14を除去して、別の使用のために所定の位置に戻されることを可能にするように配列される。
【0108】
代替的に、モールド68は使い捨てであり、化粧品組成物12を含有する容器14の一部である。
【0109】
有利なことに、デバイス10は、同じく、筐体30の近傍に配列された、カプセル16を加熱するためのデバイス80と、加熱デバイス80および筐体30の外側に配列された保護ケーシング(図示せず)とを含む。加熱デバイス80は、カプセル16の内容物を望ましい温度に至らせるために、筐体30内に挿入されたカプセル16の各々を個別に加熱するのに好適である。
【0110】
有利なことに、加熱デバイス80は、モールド68および/またはプレフォーム54を加熱するためにも好適である。
【0111】
加熱デバイス80は、特に、赤外線の各々を個別に調整された電力でカプセル16のうちの1つに放射するように配列された、複数の赤外放射源82を含む。
【0112】
放射源82は、ケーシング40のカプセル16へのアクセス開口を通して、または場合に応じて構造28の格子の間に放射するように配列される。
【0113】
光線は、たとえば、800nmと3μmとの間の近赤外領域内の周波数を有する。
【0114】
光線は、カプセルの側壁18を通過するのに好適であり、側壁18は、近赤外線に対して透明な、カプセル16の内容物を個別に直接加熱するための材料で作られる。
【0115】
各放射源82によって放射される電力は、放射源82がそれに向けて放射するカプセル16の内容物を所定の望ましい温度に至らせるように決定される。
【0116】
有利なことに、デバイス10は、筐体30にはめ込まれたカプセル16のチェックシステム90をさらに含む。チェックシステム90は、筐体30にはめ込まれたカプセル16が、化粧品組成物12の調製に寄与するのに好適であるかどうか、すなわち、カプセル16が調製されるべき化粧品組成物12の処方に対応するかどうか、および/またはカプセル16の各々が化粧品組成物12を調製するために使用するのに好適であるかどうかを決定するのに好適である。
【0117】
たとえば、チェックシステム90は、赤外、可視および/または近紫外領域を含むスペクトルに属する周波数を使用して、分光分析によって各カプセル16の内容物を分析することを意図された、縦軸X-X'に平行に整列され、カプセル16に面して配列された複数の分光分析セル92を含む。
【0118】
たとえば、各セル92は、カプセル16に向けて光線を放射するのに好適な少なくとも1つのダイオード93と、カプセル16と相互作用した光線を収集して周波数帯域内のスペクトルを測定するのに好適な少なくとも1つの光センサ95とを含む。
【0119】
チェックシステム90は、特にプロセッサおよびメモリを含む処理モジュール97をさらに含む。
【0120】
処理モジュール97は、各セル92を制御し、センサ95の測定結果を分析してカプセル16のシグネチャを再構成するのに好適である。
【0121】
各ダイオード93は、ダイオード93の特定の帯域内に含まれる周波数を有する光線を放射するのに好適である。たとえば、各セル92は、赤色ダイオード93、緑色ダイオード93、青色ダイオード93、および紫外領域内で放射する2つのダイオード93を含む。
【0122】
赤、緑および青のダイオード93は、600nmと700nmとの間、500nmと550nmとの間および470nmと490nmとの間の帯域内にそれぞれ含まれる周波数を有する光線を放射するのに好適である。
【0123】
紫外領域内で放射するダイオード93は、紫外スペクトル、すなわちたとえば100nmと400nmとの間に含まれる周波数を有する光線を放射するのに好適である。有利なことに、2つのUVダイオードは、周波数が紫外スペクトルの2つの別々の帯域内にある光線を放射する。
【0124】
各センサ95は、周波数帯域内のスペクトル、すなわちその周波数に従って収集された光線の強度のプロフィールを測定するのに好適である。
【0125】
たとえば、各セル92は、フォトトランジスタなどの可視スペクトル内の測定センサ95と、紫外スペクトル内の測定センサ95とを含む。
【0126】
したがって、セル92は、処理モジュール97の制御のもとで、セル92に面するカプセル16のシグネチャを測定するのに好適である。
【0127】
カプセル16のシグネチャは、センサ95によって収集された光線の周波数スペクトルであり、カプセル16によって、すなわち側壁18によっておよび内容物によって吸収されて伝送される光線の周波数に依存する。
【0128】
各カプセル16のシグネチャは、所定のそれぞれの強度および周波数を有する光線をダイオード93によってカプセル16に向けて放射すること、カプセル16によって収集された光線のスペクトルをセンサ95によって測定してカプセル16のシグネチャを処理モジュール97によって再構成することによって測定される。
【0129】
各カプセル16のシグネチャは、カプセル16の内容物および側壁18の特性であり、メモリ内に記憶され、デバイス10を用いて使用するのに好適な種々のカプセル16のシグネチャテンプレートを含有するデータベースからカプセル16を識別することを可能にする。
【0130】
処理モジュール97は、筐体30内に配置されたカプセル16の性質および内容物を決定するために、各カプセル16のシグネチャとデータベース内に記憶されたテンプレートとを比較するのに好適である。処理モジュール97は、筐体30内のカプセル16とデータベース内に記憶された化粧品組成物の処方と比較して、一致するかどうかを決定するためにも好適である。最後に、処理モジュール97は、一致する場合に化粧品組成物12の調製を可能にし、一致しない場合にその調製を阻止するのに好適である。
【0131】
たとえば、処理モジュール97は、筐体30内に配置されたカプセル16とメモリ内に記憶された処方との間の一致を見きわめた場合にのみ、ピストン36の移動を可能にするように、ピストン36のアクチュエータ94に接続される。特に、処理モジュール97は、カプセル16が化粧品組成物12の形成に寄与するのに好適であると決定される場合のみに、外部エネルギー源とアクチュエータ94との間の電気的接触を可能にするのに好適である。
【0132】
有利なことに、チェックシステム90は、筐体30内に配列されたカプセル16の長さを決定するためにも好適である。実際、複数の隣接するセル92が同一のシグネチャを測定する場合、処理モジュール97は、同じカプセルが当該のセル92に面して延びていると決定し、したがって可能な寸法の間でカプセル16の長さを決定することができる。
【0133】
有利なことに、チェックシステム90は、筐体30内に配列されたカプセル16のうちの1つが使用に不適当であるかどうかを決定するのにさらに好適である。
【0134】
たとえば、チェックシステム90は、カプセル16の側壁18上に以前に配置されたマーカーの存在を測定し、カプセル16の各々がマーカーを有する場合にのみ、ピストン36の活性化を可能にするのに好適である。
【0135】
たとえば、マーカーは、側壁18上に配置され、ダイオードおよびセンサの周波数帯域内で特徴的なシグネチャを有する物質である。マーカーは、一定の時間後にまたは一定温度を超えると劣化し、もはや同じ特徴的なシグネチャを有しない。たとえば、マーカーは、ビタミンCまたはアヴォベンゾンである。
【0136】
この代替実施形態は、カプセル16の有効性をチェックして、それを充填して再使用することを防止することを可能にする。なぜならば、マーカーは、カプセル16を最初に使用した後に劣化するからである。
【0137】
図示していない代替実施形態によれば、チェックシステム90は、カプセル16を横断する赤外線のスペクトルを測定するために、筐体30の対向面上に配列された少なくとも1つの赤外ダイオード93と赤外センサ95とを含む。
【0138】
図示していない代替実施形態によれば、チェックシステム90は、セル92に代わって、処理モジュール97によって実行される画像分析によってカプセル16の各々の内容物の性質を決定するために、カプセル16の外観および特に側壁18の外観を分析することを意図されたデジタルカメラを含む。
【0139】
図示していない代替実施形態によれば、第1のカプセル16はフィン24を含まない。この場合、デバイス10は、筐体30の直径を減じるために少なくとも1つの個別の着脱可能な挿入物を含む。たとえば、挿入物は、実質的に円筒形のスリーブの形状であり、第2の外径d2に実質的に等しい外径を有する。挿入物は、第1の外径d1に実質的に等しい内径を有する第1のカプセル16を受けるために、実質的に円筒形の副筐体を画定する。
【0140】
副筐体は、第1のヘッド58および第1のカプセル16の内容物が出口ノズル32の方に進む(circulation)のを可能にするために、挿入物の対向する両端を開放する。
【0141】
代替的に、挿入物は、互いに実質的に平行な複数の格子から成り、そのそれぞれの端部によって2つの端部構造で組み立てられ、それらの間に副筐体を画定する。
【0142】
有利なことに、挿入物は、副筐体内で端から端までに配置された複数の第1のカプセル16を受けるのに十分な長さを有する。
【0143】
有利なことに、挿入物は、カプセル16の配置を容易にするために、たとえば蝶番によって接続された2つの部分を含む。
【0144】
調製デバイス10を使用して化粧品組成物12を調製するためのプロセスについて次に説明する。
【0145】
予備段階の間に、各々が組成物12の成分を含有するカプセル16のセットが、求められる組成物12の性質に従って選択される。
【0146】
第1段階の間に、カプセル16は、筐体30内に配列される。カプセル16は、出口ノズル32に向かって直径の昇順に従って縦軸X-X'に沿って同軸に整列されて配列される。
【0147】
カプセル16の異なる直径に対応するピストンヘッドは、同じく、筐体30内に挿入され、同じ内径を有するカプセル16のグループの間に配列される。
【0148】
たとえば、カプセル16のセットは、上記で説明したように、第1のカプセル16と第2のカプセル16とを含む。第1の内径d'1に等しい外径を有する第1のヘッド58は、ピストン36の進行方向に対して第1のカプセル16から上流に配置される。第2の内径d'2に等しい外径を有する第2のヘッド60は、ピストン36の進行方向に対して第2のカプセル16の前に配置される。
【0149】
次いで、ブロック46は、第1のカプセル16が接触して、複数のカプセル16が互いにかつ出口ノズル32に対して押圧して配置されるまで、縦軸X-X'に沿って筐体30内を移動される。
【0150】
次いで、第1のカプセル16の側壁18が第1の循環導管を形成し、次いで、第2のカプセル16の側壁が第2の循環導管を形成する。
【0151】
次いで、プロセスは、出口ノズル32に接続されたプレフォーム54を配置するステップを含む。プレフォーム54は、出口ノズル32を通って流れるカプセル16の内容物を受けるために、出口ノズル32の開口50に緊密に流体連通される。
【0152】
プレフォーム54は、締結手段52によって出口ノズル32に締結される。
【0153】
プレフォーム54は、特に、デバイス10の外部からの空気を筐体内に導くことなく配置される。
【0154】
第1の端部34に最も近いカプセル16は、特に、プレフォーム54と接触して配列される。
【0155】
プロセスは、プレフォーム54の変形を可能にするために、プレフォーム54および随意にモールド68を加熱するステップを含む。たとえば、プレフォーム54は、部分71の軟化温度まで加熱される。
【0156】
次いで、プロセスは、カプセル16を加熱するためのデバイスの手段によって各カプセル16を個別に加熱し、その間に各カプセル16の内容物が所定の温度まで加熱され、たとえば、内容物を液化して内容物の流動および混和を容易にするステップを随意に含む。
【0157】
有利なことに、プロセスは、化粧品組成物12の調製に関与するカプセル16の特性を決定するステップを含む。チェックデバイス90は、カプセル16の各々のシグネチャを測定し、カプセル16の各々の性質および内容物、ならびにカプセル16の側壁18上の劣化していないマーカーの存在を決定する。
【0158】
筐体30内に配列されたカプセル16が、メモリ内に保存された化粧品組成物12の有効な処方と一致する場合、および劣化していないマーカーがカプセル16上に存在する場合、チェックデバイス90は、ピストン36の移動を可能にする。そうでない場合、チェックデバイス90はエラーをシグナリングする。
【0159】
次いで、プロセスは、筐体30およびカプセル16を通して出口ノズル32に向かって、縦軸X-X'に沿ってピストン36を移動させるステップを含む。
【0160】
ピストン36を移動させるステップは、その間にロッド56が移動して第1のヘッド58と接触する第1のサブステップと、続いて、各第1のカプセル16を通してピストン36を移動させること、各カプセル16のシール22をその破壊しきい値まで引き伸ばすこと、および第1のカプセル16の内容物を第1の端部34に向けて搬送することの連続するサブステップとを含む。第1のカプセル16の内容物は、特に、第2のヘッド60によって画定される導管62を通って流れ、導管62の中で混合される。
【0161】
シール22は、ピストン36回りに連続的に引き伸ばされて、第1の循環導管の壁を裏打ちする。各シール22は、破壊しきい値に到達すると破れ、それによって、内容物がカプセル16から流れることが可能になる。シール22は、第1の循環導管内にデブリを形成することなくきれいに破れ、ピストン36から上流に後退する。
【0162】
次いで、ピストン36を移動させるステップは、ピストン36を移動させて第2のヘッド60と接触させ、ピストン36を第2のヘッド60に押圧し、第2のヘッド60を第1のヘッド58の上に特にスナップロックによって組み合わせるサブステップを含む。
【0163】
次いで、ピストン36を移動させるステップは、各第2のカプセル16を通してピストン36を移動させて第2のカプセル16の各シール22を引き伸ばし、カプセル16の内容物を第1の端部34に向けて搬送するサブステップを含む。
【0164】
次いで、プロセスは、出口ノズル32の開口50を通してカプセル16の内容物をプレフォーム54に対して押し出すステップを含む。
【0165】
有利なことに、ピストン36を移動させてカプセル16の内容物を押し出す間に、ピストン36、カプセル16の側壁18、出口ノズル32、およびプレフォーム54は係合して、外部から流体的に分離された循環チャネルを形成する。カプセル16の側壁18とヘッド58、60とは緊密に接触しており、化粧品組成物12を汚染する可能性がある、外気のデバイス10への侵入を防止することを可能にする。
【0166】
プロセスは、容器14を形成するためにプレフォーム54を変形させるステップを含む。カプセル16の内容物は、プレフォーム54の内表面72に対して流れ、プレフォーム54を変形させる圧力を内表面に働かせる。プレフォーム54は反転不能に変形され、化粧品組成物12を特にモールド68の中に受ける容器14になる。
【0167】
最後に、プロセスは、容器14のキャップを形成するために、ピストン36のヘッドのうちの少なくとも1つを容器14の中に係合させるステップを含む。キャップは、特に、容器14の開口の中でスナップロックされる。
【0168】
たとえば、第1のヘッド58および第2のヘッド60は、互いに組み合わされて容器14のキャップを形成する。
【0169】
プロセスは、容器14を出口ノズル32から取り外して、穿孔されたカプセル16を筐体30から除去するステップを含む。
【0170】
随意に、プロセスは、キャップを穿孔して、化粧品組成物12を調剤するための部材をキャップの上に配置するステップをさらに含む。
【0171】
有利なことに、プロセスは、上記で説明したように、新しいプレフォーム54を配置し、ならびに新しい複数のカプセル16を筐体30内に着脱可能に導入するステップを含み、各カプセル16は、新しい化粧品組成物12の少なくとも1つの成分を含有する。
【0172】
デバイス10は、組成物12が調製中に外部から汚染されるのを保護して組成物12の完全性および適合性を保証しながら、化粧品組成物12および容器14を効果的に準備することを可能にする。
【0173】
プレフォーム54のフラットな形状は、特に保存のために、その体積を最小化することを可能にする。
【0174】
さらに、カプセル16と接触して配列されるフラットなプレフォーム54は、外気が筐体30に入るのを防止するのを可能にして化粧品組成物12の汚染を防止する。
【0175】
カプセル16をチェックするためのシステム90は、カプセル16の内容物が、化粧品組成物12を形成するのに実際に好適であること、および筐体内に配列されたカプセル16が、有効な化粧品組成物12の処方に実際に一致することを確実にすることを可能にする。
【0176】
変形形態(図示せず)では、カプセル16のうちの少なくともいくつかの側壁18は、その円筒形の外面に、リブおよび/または溝のようなレリーフを提示している。これらのレリーフは、側壁18の鋳造および/または機械加工を介して取得され、カプセル16およびその内容物をオペレータがより容易に識別することを可能にする。
【0177】
変形形態(図示せず)では、シール22は側壁18と一体であり、ピストン36が筐体30を通って移動することによって変形して破れるのに十分に薄い。
【0178】
(実施例)
第1の例では、調製される化粧品組成物12はシャンプーである。
【0179】
筐体30内に挿入されるカプセル16は、出口ノズル32に最も遠いものから最も近いものの順番に、
- たとえばポリソルベートなどの第1の界面活性剤を含有する、外径が1.2cmに等しく長さが1cmに等しい第1のカプセルと、
- たとえばラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどの第2の界面活性剤を含有する、外径が1.2cmに等しく長さが3cmに等しい2つの第1のカプセルと、
- 重合体、たとえばポリクオタニウム-7という名前で知られているアクリルアミドおよび第4級アンモニウム塩の共重合体を含有する、外径が1.2cmに等しく長さが3cmに等しい2つの第1のカプセルと、
- コカミドプロピルベタインなどの第3の界面活性剤を含有する、外径が1.2cmに等しく長さが3cmに等しい4つの第1のカプセルと、
- たとえばコカミドモノエタノールアミンなどの第4の界面活性剤を含有する、外径が1.2cmに等しく長さが1cmに等しい第1のカプセルと、
- たとえば水などの溶剤を含有する、外径が3.6cmに等しく長さが3cmに等しい第2のカプセルと
を含む。
【0180】
カプセル16は、示された順番にピストン36によって横切られ、それらの内容物は、出口ノズル32に取り付けられた、化粧品組成物12を調製する容器14に搬送される。
【0181】
第2の例では、調製される化粧品組成物12はリップクリームである。
【0182】
筐体30内に挿入されるカプセル16は、出口ノズル32に最も遠いものから最も近いものの順番に、
- たとえばカプリリル・グリコールという名前で知られている1,2-オクタンジオールなどの第1の溶媒を含有する、外径が1.2cmに等しく長さが1cmに等しい第1のカプセルと、
- たとえばワセリンなどの第1の脂肪性物質を含有する、外径が1.2cmに等しく長さが3cmに等しい第1のカプセルと、
- 第2の溶媒、たとえばグリセリンを含有する、外径が1.2cmに等しく長さが3cmに等しい第1のカプセルと、
- イソステアリルアルコールなどの第1の界面活性剤を含有する、外径が1.2cmに等しく長さが1cmに等しい4つの第1のカプセルと、
- たとえばトリカプリル/トリカプリン酸グリセリルなどの第2の脂肪性物質を含有する、外径が1.2cmに等しく長さが1cmに等しい5つの第1のカプセルと、
- 第2の界面活性剤、たとえばステアリン酸ナトリウムを含有する、外径が1.2cmに等しく長さが3cmに等しい2つの第1のカプセルと、
- 第1の溶媒、たとえばトリプロピレングリコールを含有する、外径が1.2cmに等しく長さが3cmに等しい3つの第1のカプセルと、
- シリコーン油を含有する、外径が3.6cmに等しく長さが1cmに等しい第2のカプセルと、
- たとえば水などの第2の溶媒を含有する、外径が3.6cmに等しく長さが3cmに等しい第2のカプセルと
を含む。
【0183】
カプセル16は、示された順番にピストン36によって横切られ、それらの内容物は、出口ノズル32に取り付けられた、化粧品組成物12を調製する容器14に搬送される。
【符号の説明】
【0184】
10 デバイス
12 化粧品組成物
14 容器
16 カプセル
18 側壁
20 内部導管
22 シール
24 フィン
26 フィンの端部
28 構造
30 筐体
32 出口ノズル
34 第1の端部
36 ピストン
38 第2の端部
40 ケーシング
42 第1の循環導管
44 第2の循環導管
46 ブロック
48 中央開口
50 開口
52 締結手段
54 プレフォーム
56 ロッド
58 第1のヘッド
60 第2のヘッド
62 貫通導管
64 リブ
66 キャップ
68 モールド
71 部分
72 内表面
73 保持リング
74 外表面
76 側面のねじ山
80 加熱デバイス
82 放射源
90 チェックシステム
92 セル
93 ダイオード
94 アクチュエータ
95 光センサ
97 処理モジュール