(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】給電システム、給電装置及び給電方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/30 20160101AFI20230908BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20230908BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20230908BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230908BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20230908BHJP
【FI】
H02J50/30
H02J50/90
H02J50/80
H02J7/00 301A
H02J50/40
(21)【出願番号】P 2021072525
(22)【出願日】2021-04-22
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】今井 弘道
(72)【発明者】
【氏名】林 英誉
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/026412(WO,A1)
【文献】特開2012-016170(JP,A)
【文献】特開2017-188995(JP,A)
【文献】特開2020-111182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器と、該複数の機器に対して無線給電を行う給電装置と、を含む給電システムであって、
前記複数の機器は、それぞれ、
前記給電装置から電力を受電する受電部と、
受電した電力を蓄える蓄電部と、
前記給電装置からの要求に応じて、識別情報を含む属性情報を送信する通信部と、を有し、
前記給電装置は、
前記複数の機器に対して無線給電を行う給電部と、
撮像範囲が異なる複数の画像を撮像する撮像部と、
前記複数の機器のうち、前記画像に含まれる機器を給電対象として画像認識により検出する検出部と、
前記複数の機器の位置情報を取得する位置検知部と、
前記複数の機器から前記属性情報を受信する通信部と、
受信した前記属性情報を前記位置情報と関連付けて登録する登録部と、
複数の給電対象を検索するために移動する経路を設定する経路設定部と、
前記経路に従って移動する可動部と、
を有し、
前記給電部は、登録済みの前記属性情報及び位置情報に基づいて給電を実行する、
ことを特徴とする給電システム。
【請求項2】
前記登録部は、新たに検出した機器の識別情報が、登録済みの識別情報のうちの1つと同一である場合は、登録済みの属性情報を新たに検出した機器の属性情報によって更新する、請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記登録部は、新たに検出した機器の識別情報が、登録済みの前記識別情報のいずれとも異なっている場合は、前記新たに検出した機器の属性情報を新規に登録する、請求項1又は2に記載の給電システム。
【請求項4】
新たに検出した機器の位置情報を、過去に検出した機器の登録済みの位置情報と比較する位置比較部をさらに有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項5】
前記属性情報は、受電レベル及び充電残量の少なくとも一方に関する情報をさらに含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項6】
前記撮像部は、撮像範囲を変更しながら前記画像を撮像する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項7】
前記撮像部は、前記給電装置に固定され、前記給電装置の周囲を撮像する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項8】
前記経路設定部は、前記給電装置が前記撮像範囲の外周を移動するように前記経路を設定する、請求項
1に記載の給電システム。
【請求項9】
前記経路設定部は、前記給電装置が前記撮像範囲内において網羅的に移動するように前記経路を設定する、請求項
1に記載の給電システム。
【請求項10】
前記経路設定部は、過去に検出した前記複数の給電対象の位置情報に基づいて、他の給電対象を検出するための経路を最適化する、請求項
1に記載の給電システム。
【請求項11】
前記経路設定部は、前記複数の機器の位置情報から得られる機器の分布に基づいて、他の機器の存在確率が高い領域に移動するように経路を設定する、請求項
1に記載の給電システム。
【請求項12】
前記経路設定部は、前記給電装置が移動する経路を予め設定する、請求項
1に記載の給電システム。
【請求項13】
複数の機器に対して無線給電を行う給電部と、
撮像範囲が異なる複数の画像を撮像する撮像部と、
前記複数の機器のうち、前記画像に含まれる機器を給電対象として画像認識により検出する検出部と、
前記複数の機器の位置情報を取得する位置検知部と、
前記複数の機器に対して識別情報を含む属性情報を要求する信号を送信し、前記複数の機器から前記属性情報を受信する通信部と、
受信した前記属性情報を前記位置情報と関連付けて登録する登録部と、
複数の給電対象を検索するために移動する経路を設定する経路設定部と、
前記経路に従って移動する可動部と、
を有し、
前記給電部は、登録済みの前記属性情報及び位置情報に基づいて給電を実行する、
ことを特徴とする給電装置。
【請求項14】
前記登録部は、新たに検出した機器の識別情報が、登録済みの識別情報のうちの1つと同一である場合は、登録済みの属性情報を新たに検出した機器の属性情報によって更新する、請求項
13に記載の給電装置。
【請求項15】
前記登録部は、新たに検出した機器の識別情報が、登録済みの前記識別情報のいずれとも異なっている場合は、前記新たに検出した機器の属性情報を新規に登録する、請求項
13又は
14に記載の給電装置。
【請求項16】
撮像範囲が異なる複数の画像を撮像し、
複数の機器のうち、前記画像に含まれる機器を給電対象として画像認識により検出し
、
前記複数の機器の位置情報を取得し、
前記複数の機器に対して識別情報を含む属性情報を要求する信号を送信し、前記複数の機器から前記属性情報を受信し、
受信した前記属性情報を前記位置情報と関連付けて登録し、
複数の給電対象を検索するために移動する経路を設定し、
前記経路に従って移動し、
指向性を有する光または電磁波を用いて登録済みの前記属性情報及び位置情報に基づいて前記複数の機器に対して無線給電を実行する、
ことを特徴とする給電方法。
【請求項17】
新たに検出した機器の識別情報が、登録済みの識別情報のうちの1つと同一である場合は、登録済みの属性情報を新たに検出した機器の属性情報によって更新する、請求項
16に記載の給電方法。
【請求項18】
前記新たに検出した機器の識別情報が、登録済みの前記識別情報のいずれとも異なっている場合は、前記新たに検出した機器の属性情報を新規に登録する、請求項
17に記載の給電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電システム、給電装置及び給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、無線波により電力を供給するコードレス電力搬送システムが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、電力搬送端末が回折性の良い無線波により電化機器にデフォルト電力を送信し、電化機器は自身の固有データと要求する電力強度データを回折性の良い無線波で電力搬送端末に応答する点が開示されている。特許文献1に記載のネットワークホストは、電化機器にIDを割り当て、電力搬送端末が電化機器に割り当てたIDデータと要求された電力強度の電力を直進性の良い無線波で送信する点を特徴としている。
【0003】
しかしながら、従来のコードレス電力搬送システムにおいては、給電装置が固定されていることを想定しており、デフォルト電源(電波)が届く範囲内の給電対象しか管理できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る給電システムは、複数の機器と、該複数の機器に対して無線給電を行う給電装置と、を含む給電システムであって、複数の機器は、それぞれ、給電装置から電力を受電する受電部と、受電した電力を蓄える蓄電部と、給電装置からの要求に応じて、識別情報を含む属性情報を送信する通信部と、を有し、給電装置は、複数の機器に対して無線給電を行う給電部と、撮像範囲が異なる複数の画像を撮像する撮像部と、複数の機器のうち、画像に含まれる機器を給電対象として画像認識により検出する検出部と、複数の機器の位置情報を取得する位置検知部と、複数の機器から属性情報を受信する通信部と、受信した属性情報を位置情報と関連付けて登録する登録部と、を有し、給電部は、登録済みの属性情報及び位置情報に基づいて給電を実行する、ことを特徴とする。
【0006】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、登録部は、新たに検出した機器の識別情報が、登録済みの識別情報のうちの1つと同一である場合は、登録済みの属性情報を新たに検出した機器の属性情報によって更新してよい。
【0007】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、登録部は、新たに検出した機器の識別情報が、登録済みの識別情報のいずれとも異なっている場合は、新たに検出した機器の属性情報を新規に登録してよい。
【0008】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、新たに検出した機器の位置情報を、過去に検出した機器の登録済みの位置情報と比較する位置比較部をさらに有してよい。
【0009】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、属性情報は、受電レベル及び充電残量の少なくとも一方に関する情報をさらに含んでよい。
【0010】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、撮像部は、撮像範囲を変更しながら画像を撮像してよい。
【0011】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、撮像部は、給電装置に固定され、給電装置の周囲を撮像してよい。
【0012】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、給電装置は、複数の給電対象を検索するために移動する経路を設定する経路設定部と、経路に従って移動する可動部と、をさらに有してよい。
【0013】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、経路設定部は、給電装置が撮像範囲の外周を移動するように経路を設定してよい。
【0014】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、経路設定部は、給電装置が撮像範囲内において網羅的に移動するように経路を設定してよい。
【0015】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、経路設定部は、過去に検出した複数の給電対象の位置情報に基づいて、他の給電対象を検出するための経路を最適化してよい。
【0016】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、経路設定部は、複数の機器の位置情報から得られる機器の分布に基づいて、他の機器の存在確率が高い領域に移動するように経路を設定してよい。
【0017】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、経路設定部は、給電装置が移動する経路を予め設定してよい。
【0018】
本開示の一実施形態に係る給電装置は、複数の機器に対して無線給電を行う給電部と、撮像範囲が異なる複数の画像を撮像する撮像部と、複数の機器のうち、画像に含まれる機器を給電対象として画像認識により検出する検出部と、複数の機器の位置情報を取得する位置検知部と、複数の機器に対して識別情報を含む属性情報を要求する信号を送信し、複数の機器から属性情報を受信する通信部と、受信した属性情報を位置情報と関連付けて登録する登録部と、を有し、給電部は、登録済みの属性情報及び位置情報に基づいて給電を実行する、ことを特徴とする。
【0019】
本開示の一実施形態に係る給電装置において、登録部は、新たに検出した機器の識別情報が、登録済みの識別情報のうちの1つと同一である場合は、登録済みの属性情報を新たに検出した機器の属性情報によって更新してよい。
【0020】
本開示の一実施形態に係る給電装置において、登録部は、新たに検出した機器の識別情報が、登録済みの識別情報のいずれとも異なっている場合は、新たに検出した機器の属性情報を新規に登録してよい。
【0021】
本開示の一実施形態に係る給電方法は、撮像範囲が異なる複数の画像を撮像し、複数の機器のうち、画像に含まれる機器を給電対象として画像認識により検出し、複数の機器の位置情報を取得し、複数の機器に対して識別情報を含む属性情報を要求する信号を送信し、複数の機器から属性情報を受信し、受信した属性情報を位置情報と関連付けて登録し、指向性を有する光または電磁波を用いて登録済みの属性情報及び位置情報に基づいて複数の機器に対して無線給電を実行する、ことを特徴とする。
【0022】
本開示の一実施形態に係る給電方法において、新たに検出した機器の識別情報が、登録済みの識別情報のうちの1つと同一である場合は、登録済みの属性情報を新たに検出した機器の属性情報によって更新してよい。
【0023】
本開示の一実施形態に係る給電方法において、新たに検出した機器の識別情報が、登録済みの識別情報のいずれとも異なっている場合は、新たに検出した機器の属性情報を新規に登録してよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の一実施形態に係る給電システムの概要を説明するための図であって、(a)は所定領域における給電装置と複数の機器の配置の例を示す平面図であり、(b)は給電装置が検出した複数の機器の位置を2次元座標上にマッピングした例を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る給電システムを構成する給電装置及び機器のブロック図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る給電システムのシーケンス図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る給電装置の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、給電装置が1つ目の機器を検出する手順を説明するための図であって、(a)は所定領域における給電装置と複数の機器の配置の例を示す平面図であり、(b)は給電装置が検出した1つ目の機器の位置を2次元座標上にマッピングした例を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、給電装置が2つ目の機器を検出する手順を説明するための図であって、(a)は所定領域における給電装置と複数の機器の配置の例を示す平面図であり、(b)は給電装置が検出した2つ目の機器の位置を2次元座標上にマッピングした例を示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、給電装置が3つ目の機器を検出する手順を説明するための図であって、(a)は所定領域における給電装置と複数の機器の配置の例を示す平面図であり、(b)は給電装置が検出した3つ目の機器の位置を2次元座標上にマッピングした例を示す図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、給電装置が4つ目の機器を検出する手順を説明するための図であって、(a)は所定領域における給電装置と複数の機器の配置の例を示す平面図であり、(b)は給電装置が検出した4つ目の機器の位置を2次元座標上にマッピングした例を示す図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、給電装置が検出した複数の機器の属性情報及び位置情報の例を示す表である。
【
図10】本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、新たに検出した機器の位置座標及び識別情報が登録済みの位置座標及び識別情報と異なっている場合において、検出した機器の位置を2次元座標上にマッピングした例を示す図である。
【
図11】本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、新たに検出した機器の位置座標が登録済みの位置座標と異なっており、識別情報が登録済みの識別情報のうちの1つと同一である場合において、検出した機器の位置を2次元座標上にマッピングした例を示す図である。
【
図12】(a)~(d)は、本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、給電装置が動的に移動しながら複数の機器を検出する場合の給電装置の移動経路の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明に係る給電システム、給電装置及び給電方法について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0026】
まず、本開示の一実施形態に係る給電システムの概要について説明する。
図1に本開示の一実施形態に係る給電システムの概要を説明するための図を示す。
図1(a)は所定領域300における給電装置10と複数の機器(201~205)の配置の例を示す平面図であり、
図1(b)は給電装置10が検出した複数の機器(201~205)の位置を2次元座標上にマッピングした例を示す。給電装置10は、撮像部2であるカメラを備えている。撮像部2は、光または電磁波により受電可能な、複数の機器(201~205)を撮像する。給電装置10は、撮像した画像に基づいて給電対象であると判定した機器(201~204)に対して無線で電力を供給する。無線給電の方式として、例えば、給電装置10から出射した光を空間伝搬させ、機器(201~204)の受電部で光を電気エネルギーに変換することにより給電する。無線による給電は、給電装置10が、複数の機器(201~204)のそれぞれに光や電波を送信することにより行われる。光や電波を用いた無線給電システムでは指向性が高く、光軸が合っているときに給電を行うことができる。そのため、給電装置10と給電を行う機器(給電対象)は1対1に対応している必要がある。さらに、給電装置10からの光または電磁波が届く範囲の機器に給電を行うことができる。
【0027】
ここで、
図1(a)に示すように機器(201~205)が複数存在している場合には、給電装置10は、それぞれの機器(201~205)が給電を実行すべき対象であるか否かを管理する必要がある。例えば、
図1(a)において、給電装置10のカメラ等の撮像部2の撮像範囲R1に機器201が含まれているため、機器201を検出し、給電対象であるか否かを管理することができる。しかしながら、他の機器(202、203、204)は、撮像範囲R1の範囲外であるため、撮像範囲R1の画像のみでは、給電装置10は管理することができない。
【0028】
そこで、本開示の一実施形態に係る給電システム100においては、給電装置10が、撮像範囲が異なる複数の画像を撮像することにより、複数の機器(201~205)の情報を管理するようにしている。具体的には、給電装置10の撮像部2が、撮像範囲を変えながら複数回に渡って、所定の領域300に配置された複数の機器(201~205)を撮像する。撮像部2は、給電装置10に固定され、給電装置10の周囲を撮像してよい。なお、所定領域300は、横軸方向の長さがLx、縦軸方向の長さがLyの長方形である場合を例にとって説明するが、このような例には限定されない。
【0029】
さらに、給電装置10は、センサ等の位置検知部4を備えており、
図1(b)に示すように、複数の機器(201~205)の位置をマッピングすることができる。例えば、機器201の位置P1を2次元座標上で(x1,y1)の位置にプロットすることができる。同様に、撮像範囲を変えて機器202の位置を位置検知部4が検出することにより、機器202の位置P2を2次元座標上で(x2,y2)の位置にプロットすることができる。他の機器203~205も同様にプロットすることができ、2次元座標上で複数の機器(201~205)の位置をマッピングすることができる。
【0030】
ここで、位置検知部4は、対象物の位置、対象物までの距離及び対象物に対する角度を検出するセンサを用いてよい。例えば、位置検知部4が検出した機器202までの距離をd、角度をθとし、位置検知部4の位置座標を(x0,y0)とすると、機器202の座標(x2,y2)は以下の式により算出することができる。
x2=x0+d×cosθ
y2=y0+d×sinθ
【0031】
また、給電装置10は、複数の機器(201~205)のそれぞれから、識別情報を含む属性情報を取得することにより、新たに検出された機器が、過去に検出した機器とは異なる機器であるのか、あるいは、過去に検出した機器が移動したものであるのかを判定することができる。例えば、給電装置10が複数の機器(201~204)を検出した後に、新たに別の機器205を検出したものとする。このとき、機器205の識別情報を取得し、検出済みの複数の機器(201~204)の識別情報のいずれとも異なっている場合は、機器205は新たに追加された機器であると判定することができる。一方、機器205の識別情報が検出済みの機器(201~204)の識別情報のうちの1つと同一である場合は、新たに機器が追加されたのではないと判定することができる。
【0032】
さらに、新たな機器205の識別情報が検出済みの機器の識別情報と同一の場合であって、新たな機器205の位置P5の座標(x5,y5)が、識別情報が同一である機器の座標と異なっている場合は、検出済みの機器が移動したものと判定することができ、座標が同一であれば移動していないものと判定することができる。
【0033】
このように、給電装置10が動的に撮像しながら給電対象の機器を検出し、機器の情報を管理することにより、給電対象を正確に管理することができる。
【0034】
図2に本開示の一実施形態に係る給電システム100を構成する給電装置10及び機器20のブロック図を示す。給電システム100は、機器20と、複数の機器20に対して個別に電力を供給する給電装置10と、を含む。なお、機器20は、一実施形態に係る給電システム100において複数含まれてよい。
【0035】
機器20は、受電部21と、蓄電部22と、通信部23と、を備える。機器20は、さらに、制御部24と、記憶部25と、を備えてよい。また、これらの構成要素は、バス26により接続されてよい。
【0036】
受電部21は、給電装置10から電力を受電する。受電部21は、例えば、レーザビーム等の光線により電力を受電してよい。受電部21は、レーザビーム等の光線を電力に変換するために光電変換素子を有してよい。
【0037】
蓄電部22は、受電した電力を蓄えることができる。蓄電部22は二次電池等の蓄電池であってよい。蓄電池として、例えば、リチウムイオン電池等を用いてよい。
【0038】
通信部23は、給電装置10と通信を行い、給電装置10からの要求に応じて、識別情報を含む属性情報を送信する。制御部24には、CPU等のマイクロコンピュータ(マイコン)を用いてよい。記憶部25は、機器20に関する識別情報や、機器20を制御するためのプログラムを格納してよい。
【0039】
給電装置10は、給電部1と、撮像部2と、検出部3と、位置検知部4と、通信部5と、登録部6と、を有する。また、給電装置10は、位置比較部7と、経路設定部8と、可動部9と、をさらに有してよい。検出部3、位置検知部4、位置比較部7、及び経路設定部8は、CPU、ROM及びRAMなどを含む給電装置10内のコンピュータにより、ソフトウエア(プログラム)として実現される。また、これらの構成要素は、バス11により接続されている。
【0040】
給電部1は、電磁波を用いて機器20に無線給電を行う。例えば、給電部1は、指向性を有する電磁波を用いて機器20に無線給電を行ってよい。具体的には、例えば、給電部1は、光を用いて機器20に無線給電を行ってよい。すなわち、例えば、電磁波は、赤外線から紫外線までの光または電磁波を含んでよい。給電部1は、例えば、電気エネルギーを光に変換するデバイスであり、レーザビームを出力するレーザ光源等の光源により構成されてよい。例えば、給電部1は、レーザビーム等を機器20の受電部21である太陽電池等の光電変換素子に照射することによって、無線で電力を供給してよい。ただし、このような例には限られず、給電部1は、機器20に対する給電が可能であれば他の電磁波やエネルギービームを用いて給電してよい。
【0041】
撮像部2は、撮像範囲が異なる複数の画像を撮像する。ここで、「撮像範囲が異なる」場合には、撮像位置が異なる場合と、画角が異なる場合の両方が含まれてよい。「撮像位置が異なる場合」には、所定の場所を撮像し、その後、撮像した所定の場所とは異なる他の場所を撮影する場合が含まれてよい。例えば、撮像部2が正面方向を撮像した後、右側方向、背面方向、左側方向を撮像することにより撮像部2の周囲の画像を撮像してよい。また、「画角が異なる場合」には、撮影する範囲が異なる場合、すなわち、ズームイン、あるいはズームアウトにより撮影する範囲を変更する場合が含まれてよい。例えば、ある特定の範囲についての詳細な画像を取得するためにズームインしてよく、より広い撮像範囲の画像を取得するためにズームアウトしてよい。また、撮像範囲は、撮像部2が撮像する機器20の数、大きさ、形状、または機器20までの相対的な距離に応じて任意に設定してよい。
【0042】
撮像部2は、撮像範囲を変えながら複数回に渡って、複数の機器20の画像を撮像してよい。ここで、撮像部2が撮像範囲を変える方法として、撮像位置を変えながら複数回撮像してよく、画角を変えながら複数回撮像してよい。あるいは、撮像部2は、撮像位置を変えて撮像することと、画角を変えて撮像することとを任意に組み合わせて撮像してよい。撮像部2の具体的な撮像手順については後述する。撮像部2には、カメラを用いてよい。
【0043】
検出部3は、複数の機器20のうち、画像に含まれる機器を給電対象として画像認識により検出する。画像認識を用いることにより、給電装置10は給電対象の機器の位置を正確に把握することができる。例えば、機器同士が重なり合っている場合であってもそれぞれの機器の位置を正確に把握できる。そのため、光無線給電やマイクロ波給電のように、ピンポイントで機器に給電する場合であっても、正確に給電を行うことができる。また、検出部3は、機器が給電対象であるか否かを判断するための指標として、撮像した機器20の画像を画像認識することによって得られるクラス確率を用いてよい。
【0044】
また、画像認識を行うことにより、撮像した画像に複数の機器の画像が含まれている場合であっても、それぞれの機器が給電対象の機器であるか否かを正確に把握することができる。
【0045】
さらに、画像認識により機器自体は信号を発信できない状態であっても機器の位置を正確に把握することができるため、スタンドアローンの状態にある機器に対しても給電を実行することができる。そのため、例えば、機器の蓄電池の充電残量がなくなった場合であっても機器に充電を行い、機器を再起動させることができる。
【0046】
位置検知部4は、複数の機器の位置情報を取得する。位置検知部4には、LiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサを用いてよい。LiDARを用いることにより、機器20の位置、給電装置10から機器20までの距離及び給電装置10に対する機器20の角度を正確に検知することができる。
【0047】
通信部5は、複数の機器20から識別情報を含む属性情報を受信する。属性情報は、受電レベル及び充電残量の少なくとも一方に関する情報を含んでよい。識別情報には、機器20の登録番号やシリアル番号等を含んでよい。受電レベルに関する情報には、機器20の受電部21が給電装置10から受電可能な電力の大きさを表す情報を含んでよい。充電残量に関する情報には、機器20の蓄電部22に蓄電されている電力の残量を表す情報を含んでよい。
【0048】
登録部6は、機器20から受信した属性情報を位置情報と関連付けて登録する。登録部6は、例えば、半導体メモリ等の記憶装置であってよい。登録部6は、給電装置10を動作させるためのプログラムを格納することができる。
【0049】
次に、本開示の一実施形態に係る給電システムについて、給電対象の特定から給電開始までの処理フローについて説明する。ここで、一実施形態において給電装置10は、任意の手法により機器20の認証を実行し、認証の結果に基づいて、給電対象とする機器20を特定してよい。以下では、公開鍵暗号方式により機器20の認証を実行する場合を例示するが、給電装置10が給電対象とする機器20を特定可能な手法であれば、認証方法は特に限定されない。一実施形態において、給電装置10及び機器20は、それぞれ固有の公開鍵及び秘密鍵を有してよい。
図3に本開示の一実施形態に係る給電システムのシーケンス図を示す。
【0050】
まず、ステップS101において、給電装置10が動的に機器を検出する。次に、ステップS102において、検出部3が、撮像した画像を用いて画像認識を行い、複数の機器20を給電対象として特定する。
【0051】
次に、ステップS103において、通信部5は、機器20に対してテスト照射を行う。給電装置10は、機器20に対してテスト照射により所定の情報の送信を要求してよい。すなわち、テスト照射とは、給電装置10が機器20に対して所定の情報の送信を要求することであってよい。通信部5は、テスト照射として、機器20に対して光を照射してよい。テスト照射される光(テスト照射光ともいう)には、ハッシュ化された任意の文字列が情報として含まれてよい。すなわち、例えば、給電装置10は、テスト照射により、機器20への所定の情報の送信要求とともに、ハッシュ化した任意の文字列を送信してよい。なお、所定の情報とは、例えば、給電対象の機器20の属性情報であってよい。また、テスト照射には、ミリ波等の電波が用いられてもよい。
【0052】
次に、ステップS104おいて、機器20は、給電装置10からの送信要求に基づいて、所定の情報を給電装置10に電波で送信してよい。例えば、機器20は、機器20の属性情報を給電装置10に送信してよい。機器20は、給電装置10から受信したハッシュ化された任意の文字列とともに、所定の情報を送信してよい。具体的には、例えば、機器20は、給電装置10からの送信要求に基づいて、ハッシュ化された任意の文字列及び機器20の属性情報を給電装置10に送信してよい。通信部5は、機器20から送信された属性情報を含む電波を受信することができる。
【0053】
ステップS105において、通信部5は、機器20の公開鍵で暗号化した任意の文字列を電波で機器20に送信する。なお、給電装置10及び機器20は、予め相手の公開鍵を取得していてよい。給電装置10及び機器20が公開鍵を取得する方法として、インターネットや管理サーバ等を経由して相手の公開鍵を取得する方法や、ユーザが直接、給電装置10または機器20に相手の公開鍵を埋めこむ方法等がある。ただし、これらの例には限られず、給電装置10及び機器20は、相手の公開鍵を任意の方法により取得してよい。
【0054】
次に、ステップS106において、機器20の通信部23は、文字列を受信し、制御部24が、受信した文字列を給電対象の機器20の秘密鍵で復号化する。
【0055】
次に、ステップS107において、制御部24が復号化した文字列を給電装置10の公開鍵で暗号化し、通信部23が暗号化した文字列を給電装置10に送信する。
【0056】
次に、ステップS108において、給電装置10の通信部5は暗号化された文字列を受信し、受信した文字列を復号化し、認証が完了する。すなわち、給電装置10は、機器20から受信した暗号化された文字列から復号化した文字列が、機器20に対して送信した文字列と一致する場合に、認証を完了してよい。この場合、給電装置10は、認証が完了した機器20を給電対象として特定してよい。また、通信障害等により通信が途絶えること等により、認証が完了しなかった場合には、給電装置10または機器20は、相手側に対して文字列の再送信等の再送信処理を実行してよい。
【0057】
次に、ステップS109において、取得した機器の属性情報と過去に取得した属性情報とを照会する。属性情報には識別情報が含まれている。そのため、取得した機器の識別情報と、過去に取得した識別情報とを比較することにより、属性情報を取得した機器が、過去に検出された機器とは異なる新たに検出された機器であるのか、あるいは過去に検出された機器であるのかを判定することができる。
【0058】
次に、ステップS110において、登録部6は、取得した属性情報に含まれる識別情報が、既に登録済みの識別情報である場合は、属性情報及び位置情報を更新し、登録されていない識別情報であれば新規登録する。
【0059】
機器が複数存在する場合は、ステップS101からS110までの工程を機器の数だけ繰り返し実行する。
【0060】
以上のようにして、給電装置10は機器20を給電対象として管理することができ、給電対象として特定した機器に対して給電を実行することができる。なお、上記の説明では、給電装置10と機器20とが電波により種々の情報を送受信する場合を例に説明したが、これに限られず、例えば、光によって種々の情報を互いに送受信してもよい。
【0061】
次に、本開示の一実施形態に係る給電装置10の動作手順について説明する。
図4に本開示の一実施形態に係る給電装置の動作手順を説明するためのフローチャートを示す。
【0062】
まず、ステップS201において、撮像部2は、撮像範囲が異なる複数の画像を撮像する。例えば、撮像部2は、撮像範囲を変えながら複数回に渡って、複数の機器の画像を動的に撮像してよい。
図5に本開示の一実施形態に係る給電システム100において、給電装置10が1つ目の機器201を検出する手順を説明するための図を示す。
図5(a)は所定領域300における給電装置10と複数の機器(201~204)の配置の例を示す平面図であり、
図5(b)は給電装置10が検出した1つ目の機器201の位置P1を2次元座標上にマッピングした例である。
図5(a)に示すように、撮像部2は、1つ目の撮像範囲R1について撮像を行い、機器201を撮像する。
【0063】
次に、ステップS202において、検出部3が、撮像部2が撮像した画像に基づいて、画像認識により機器201を給電対象として検出する。
【0064】
次に、ステップS203において、位置検知部4が、機器201の位置情報を取得する。位置検知部4は、機器201までの距離及び角度から位置座標を算出してよい。例えば、機器201の位置P1の座標が(x1,y1)である場合は、
図5(b)のようにマッピングすることができる。
【0065】
上記のステップS201~203までの工程を2つ目の機器202に対して実行する。
図6に本開示の一実施形態に係る給電システム100において、給電装置10が2つ目の機器202を検出する手順を説明するための図を示す。
図6(a)は所定領域300における給電装置10と複数の機器(201~204)の配置の例を示す平面図であり、
図6(b)は給電装置10が検出した2つ目の機器202の位置P2を2次元座標上にマッピングした例を示す図である。
【0066】
図6(a)に示すように、撮像部2は、2つ目の撮像範囲R2について撮像を行い、機器202を撮像する。
【0067】
次に、ステップS202において、検出部3が、撮像部2が撮像した画像に基づいて、画像認識により機器202を給電対象として検出する。
【0068】
次に、ステップS203において、位置検知部4が、機器202の位置情報を取得する。位置検知部4は、機器202までの距離及び角度から位置座標を算出してよい。例えば、機器202の位置P2の座標が(x2,y2)である場合は、
図6(b)のようにマッピングすることができる。
【0069】
上記のステップS201~203までの工程を機器203及び204に対して実行する。
図7は本開示の一実施形態に係る給電システム100において、給電装置10が3つ目の機器203を検出する手順を説明するための図である。
図7(a)は所定領域300における給電装置10と複数の機器(201~204)の配置の例を示す平面図であり、
図7(b)は給電装置10が検出した3つ目の機器203の位置P3を2次元座標上にマッピングした例を示す図である。また、
図8は本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、給電装置が4つ目の機器204を検出する手順を説明するための図である。
図8(a)は所定領域300における給電装置10と複数の機器(201~204)の配置の例を示す平面図であり、
図8(b)は給電装置10が検出した4つ目の機器204の位置P4を2次元座標上にマッピングした例を示す図である。
【0070】
このように、撮像部2が撮像範囲をR1、R2、R3、R4と変えながら、複数回に渡って複数の機器を撮像することによって、1回の撮像では全ての機器を撮像範囲に含めることができない場合であっても複数の機器を撮像することができる。
【0071】
次に、ステップS204において、通信部5が、複数の機器(201~204)に対して識別情報を含む属性情報を要求する信号を送信し、複数の機器(201~204)から属性情報を受信する。
【0072】
次に、ステップS205において、登録部6が、受信した属性情報を位置情報((x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)、(x4,y4))と関連付けて登録する。
図9に本開示の一実施形態に係る給電システム100において、給電装置10が検出した複数の機器(201~204)の属性情報及び位置情報の例を示す。属性情報は、識別情報、受電レベル、及び充電残量に関する情報を含んでよい。例えば、機器201の識別情報が「D001」、位置情報である位置座標が(x1,y1)、受電レベルが80、充電残量が30%である場合は、これらの情報を登録部6に登録する。以下、同様に他の機器(202~204)の識別情報、位置情報、受電レベル、及び充電残量に関する情報を登録部6に登録する。
【0073】
次に、ステップS206において、新たに検出した機器の識別情報は登録済みの識別情報と同一であるか否かを判断する。
図10に、本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、新たに検出した機器205の位置座標及び識別情報が登録済みの位置座標及び識別情報と異なっている場合において、検出した機器の位置P5の座標(x5,y5)を2次元座標上にマッピングした例を示す。また、
図9に示すように、新たに検出した機器205の識別情報が「D005」であったものとする。この場合、新たに検出した機器205の識別情報D005は、登録済みの機器(201~204)の識別情報(D001~D004)のいずれとも異なっている。
【0074】
従って、この場合はステップS206において「No」と判断され、ステップS208において、新たに検出した機器205の属性情報を新規に登録する。
【0075】
一方、上記の例とは異なり、新たに検出した機器の属性情報が、過去に検出した登録済みの属性情報の内の1つと同一である場合について説明する。
図11に本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、新たに検出した機器の位置座標が登録済みの位置座標と異なっており、識別情報が登録済みの識別情報のうちの1つと同一である場合において、検出した機器の位置を2次元座標上にマッピングした例を示す。新たに検出した機器206の属性情報が
図9に示すように「D001」であった場合、機器206として検出された機器は、機器201と同一であることが判定される。この場合は、ステップS207において、登録済みの属性情報を新たに検出した機器の属性情報によって更新する。具体的には、登録済みの機器201に関する情報を新たに検出した機器206の情報に更新する。
【0076】
次に、ステップS209において、登録した複数の機器に対して無線給電を実行する。
【0077】
以上のようにして、本開示の一実施形態に係る給電システムによれば、新たに検出された機器が新たに追加された機器であるのか、あるいは、過去に検出された機器と同一の機器であるのかを判断することができ、複数の機器に対して正確に給電を実行することができる。
【0078】
なお、新たに検出した機器の位置情報を、過去に検出した機器の登録済みの位置情報と比較する位置比較部7をさらに有してもよい。例えば、位置比較部7により、
図9に示すように新たな機器207が検出され、識別情報が「D002」であり、位置情報が(x2,y2)である場合は、機器202が移動せずに元の位置で検出されたことが分かる。この場合は受電レベル及び充電残量が変化している可能性があるため、属性情報を更新することが好ましい。
【0079】
以上の説明においては、給電装置10が移動せずに、撮像部2を360度回転させて複数の撮像範囲を撮像した例について説明したが、複数の機器を動的に撮像する方法はこのような例には限られない。給電装置10は、複数の給電対象を検索するために移動する経路を設定する経路設定部8と、経路に従って移動する可動部9と、をさらに有してよい。
図12(a)~(d)に、本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、給電装置が動的に移動しながら複数の機器を検出する場合の給電装置の移動経路の例を示す。
【0080】
例えば、
図12(a)に示すように、経路設定部8は、給電装置10が所定の領域300の外周を移動するように経路を設定してよい。給電装置10は、まず、左上のコーナーC1から左下のコーナーC2に向かって矢印A1のように移動しながら複数の機器(201~204)の撮像を開始する。その後、左下のコーナーC2から右下のコーナーC3に向かって矢印A2のように移動しながら複数の機器(201~204)を撮像する。以下、同様に、矢印A3、A4のように、コーナーC4を回ってC1に戻るようにして、所定の領域300の周囲を移動しながら撮像してよい。このような移動方法は、例えば、屋内で周辺に移動用レールの敷設が可能な場合に採用してよい。
【0081】
また、
図12(b)に示すように、経路設定部8は、給電装置10が撮像範囲内において網羅的に移動するように経路を設定してよい。例えば、左下のコーナーCから撮像を開始し、矢印B1、B2、B3、・・・、B6のように所定の領域300内においてジグザグに移動しながら複数の機器(201~204)を撮像してよい。このような移動方法は、例えば、装置の製造ラインのように、製造装置の間に通路が設けられており、通路を搬送車が移動するような場合に採用してよい。あるいは、複数の圃場を有する農場において、圃場と圃場の間の通路を給電装置10が移動する場合の経路としてよい。
【0082】
また、経路設定部8は、過去に検出した複数の給電対象の位置情報に基づいて、他の給電対象を検出するための経路を最適化してよい。例えば、過去に機器の情報を取得して、機器の位置情報を登録している場合において、予め機器の位置を把握しているため、どのような経路で給電装置10が移動すれば機器の情報を取得できるかを決定することができる。このように過去に取得した情報に基づいて、給電装置10の経路を最適化してよい。
【0083】
また、
図12(c)に示すように、経路D1、D2、D3と移動して複数の機器(201~204)を検出した結果、これらの機器の位置情報から得られる機器の分布に基づいて、他の機器の存在確率が高い領域に移動するようにしてよい。このように移動する経路を最適化することにより、給電に要する時間を短縮することができる。
【0084】
また、
図12(d)に示すように、予め給電装置10の経路を設定しておき、その経路に従って給電装置10が移動するようにしてよい。このようにすることで、給電装置10は経路を算出する時間を削減することができ、給電時間を短縮することができる。
【0085】
以上説明したように、本開示の一実施形態に係る給電システムによれば、機器の属性情報を位置情報と関連付けて登録しているため、給電対象の機器が移動した場合であっても給電を実行することができる。例えば、大規模農場において管理用のIoTデバイスを配置した場合において、畑の状態によっては給電対象のIoTデバイスは日常的に移動させる場合がある。そのような場合であっても給電装置が給電対象の位置をマッピングしているため容易に給電を行うことができる。
【0086】
また、上記の説明においては、複数の給電対象に対して給電装置を1台設ける例について説明したが、このような例には限られず、給電装置を複数設けてもよい。さらに、複数の給電装置は、複数の給電対象の機器に関する属性情報及び位置情報を共有して、給電対象の機器を分担して給電を行うようにしてもよい。例えば、
図1(a)に示した例では、給電装置10が機器201及び202に対して給電を実行し、他の給電装置が機器203及び204に対して給電を実行するようにしてもよい。
【0087】
さらに、上記の実施形態の説明においては、給電対象の機器は基本的には静止している場合を例にとって説明したが、このような例には限られず、機器は常時移動していてもよい。例えば、機器にIMU(慣性計測装置、Inertial Measurement Unit)/GNSS(全球測位衛星システム、Global Navigation Satellite System)のような位置情報を把握するためのシステムを搭載して、上記の給電システムと連携させることによって、給電対象の機器が移動する場合であっても管理することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 給電部
2 撮像部
3 検出部
4 位置検知部
5 通信部
6 登録部
7 位置比較部
8 経路設定部
9 可動部
10 給電装置
11 バス
20 機器
21 受電部
22 蓄電部
23 通信部
24 制御部
25 記憶部
26 バス
100 給電システム