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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/18 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
E02F9/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021197392
(22)【出願日】2021-12-03
(65)【公開番号】P2023083170
(43)【公開日】2023-06-15
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】持丸 裕洋
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-1940(JP,A)
【文献】特開2002-167807(JP,A)
【文献】特開2011-246926(JP,A)
【文献】特開2019-206807(JP,A)
【文献】特開平7-268908(JP,A)
【文献】特開2020-143436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/18
E02F 9/08-9/12
E02F 9/00
B66C 23/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
前記車両本体に着脱可能なカウンタウエイトと、
前記車両本体に前記カウンタウエイトが装着された状態において前記カウンタウエイトに形成された収納部に配置され、前記車両本体に前記カウンタウエイトを着脱する際に前記収納部の上方の開口を通して上下方向に伸縮する着脱装置と、
前記着脱装置の上側に取り付けられ、前記着脱装置の伸縮に伴って上下方向に移動し、最低位置で前記開口を塞ぐ上面カバーと、を備えた、
作業機械。
【請求項2】
前記着脱装置は、
前記車両本体に上下方向に沿って固定されたシリンダチューブと、前記シリンダチューブに対して上方に移動するシリンダロッドと、を含み、上下方向に伸縮するシリンダを有し、
前記上面カバーは、前記シリンダロッドの先端に取り付けられている、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記着脱装置は、
前記シリンダロッドの先端に回転可能に配置されたスプロケットと、
前記車両本体と前記カウンタウエイトに接続され前記スプロケットに巻き掛けられたチェーンと、を更に有する、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記着脱装置は、
前記スプロケットの上側を覆うように前記シリンダロッドの先端に配置されたスプロケットカバーを更に有し、
前記上面カバーは、前記スプロケットカバーの上側に配置されており、前記スプロケットカバーを介して前記シリンダロッドの先端に取り付けられている、
請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記着脱装置は、
前記上面カバーの下側に配置され、前記上面カバーを支持する棒状の支持部材と、
前記支持部材を前記シリンダロッドの先端に固定する固定部と、
前記支持部材の周囲に配置された弾性部材と、
前記弾性部材を下方から支持し、前記支持部材が通る貫通孔を有し、前記上面カバーに固定された弾性部材支持部と、を有し、
前記支持部材は、前記貫通孔を通る貫通部と、前記貫通部の上側に配置されたヘッド部と、を有し、
前記弾性部材は、前記ヘッド部と前記弾性部材支持部の間に配置されている、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項6】
前記着脱装置は、
前記シリンダロッドの先端に配置された軸部材と、
前記軸部材が通される前記スプロケットの貫通孔に圧入されたベアリングと、を更に有する、
請求項3に記載の作業機械。
【請求項7】
前記カウンタウエイトは、前記開口が形成された上面を有し、
前記上面カバーは、前記上面と接する面の端部に配置された弾性部材を有する、
請求項1に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械の一例である油圧ショベルには、カウンタウエイトが装着されている。大型の油圧ショベルでは、輸送規制にあわせるためにカウンタウエイトが車両本体に対して着脱可能に構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示す油圧ショベルには、カウンタウエイトを車両本体に着脱するために着脱装置が設けられている。カウンタウエイトを車両本体に装着した状態では、着脱装置は、カウンタウエイトの切り欠き形状部分である収納部に配置される。この切り欠き形状部分の開口から土砂等が入り込むことを防ぐために上面カバーが設けられている。上面カバーは、車両本体にヒンジによって開閉可能に取り付けられており、着脱装置の上下方向への伸縮によって自動で開閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-1940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、油圧ショベルの動作による振動によって上面カバーがヒンジを中心に振動するため、バタ付きが発生し、雨水・土砂等が入り込むおそれがある。
【0006】
本開示は、カウンタウエイトに形成された開口からの雨水・土砂等の侵入を抑制することが可能な作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様にかかる作業機械は、車両本体と、カウンタウエイトと、アクチュエータと、上面カバーと、を備える。カウンタウエイトは、車両本体に着脱可能である。アクチュエータは、車両本体にカウンタウエイトが装着された状態においてカウンタウエイトに形成された収納部に配置され、車両本体にカウンタウエイトを着脱する際に収納部の上方の開口を通して上下方向に伸縮する。上面カバーは、着脱装置の上側に取り付けられ、着脱装置の伸縮に伴って上下方向に移動し、最低位置で開口を塞ぐ。
【発明の効果】
【0008】
本開示の態様によれば、カウンタウエイトに形成された開口からの雨水・土砂等の侵入を抑制することが可能な作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態にかかる油圧ショベルを示す斜視図である。
図2】本開示の実施形態にかかる油圧ショベルにおいて旋回体のフレーム、カウンタウエイト、および着脱装置を前方から視た斜視図平面図である。
図3】本開示の実施形態にかかる油圧ショベルにおいてカウンタウエイトを旋回体のフレームから離間した状態を示す斜視図である。
図4】本開示の実施形態にかかる油圧ショベルにおいてカウンタウエイトを旋回体のフレームから離間した状態を示す斜視図である。
図5】(a)本開示の実施形態にかかる油圧ショベルの着脱装置および上面カバーを示す斜視図である、(b)スプロケットの変形例を示す斜視図である。
図6図2の状態からシリンダを伸長した状態を示す斜視図である。
図7】本開示の実施形態にかかる油圧ショベルにおける旋回体とカウンタウエイトへのチェーンの接続を説明するための斜視図である
図8A】本開示の実施形態にかかる油圧ショベルにおける車両本体側から視た着脱装置の上部分および上面カバーを示す図である。
図8B図8Aに示す着脱装置の上部分を左側方から視た図である。
図8C】本開示の実施形態にかかる油圧ショベルにおける車両本体側から視た脱着装置の上部分示す断面図である。
図8D】本開示の実施形態にかかる油圧ショベルにおける着脱装置の上部分および上面カバーを示す斜視図である。
図9】本開示の実施形態にかかる油圧ショベルにおいてカウンタウエイトが車両本体に取り付けられた状態を示す断面図である。
図10A図9に示す状態からシリンダを伸長した状態を示す断面図である。
図10B図10Aの状態の旋回体全体を示す斜視図である。
図11A図10Aに示す状態からシリンダを収縮してカウンタウエイトを下方に移動させた状態を示す断面図である。
図11B図10Aの状態の旋回体全体を示す斜視図である。
図12】(a)、(b)本開示の実施形態の油圧ショベルにおけるショルダーボルトに配置されているスプリングの機能を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示にかかる作業機械の一例としての油圧ショベルについて図面を参照しながら以下に説明する。
【0011】
<構成>
(油圧ショベル1の概要)
図1は、本実施の形態の油圧ショベル1の構成を示す模式図である。
【0012】
油圧ショベル1(作業機械の一例)は、車両本体2と、カウンタウエイト3と、着脱装置4(図2参照)と、上面カバー5と、を有する。車両本体2は、図1に示すように、走行体11と、旋回体12と、作業機13と、を有している。走行体11は、一対の走行装置11a、11bを有する。各走行装置11a、11bは、履帯11c、11dを有している。エンジンからの駆動力によって走行モータが回転して履帯11c、11dが駆動されることによって油圧ショベル1が走行する。
【0013】
旋回体12は、走行体11上に載置されている。旋回体12は、図示しない旋回装置によって上下方向に沿った軸を中心として走行体11に対して旋回可能に構成されている。旋回体12の前部左側位置には、オペレータが運転時に着座する運転席としてのキャブ14が設けられている。キャブ14の内部には、運転席、作業機13を操作するためのレバー、各種の表示装置等が配置されている。キャブ14の後方には、エンジンを収納するエンジンルーム15が配置されている。
【0014】
尚、本実施の形態において断りなき場合、前後左右はキャブ14内の運転席を基準として説明する。運転席が正面に正対する方向を前方向(矢印Xf参照)とし、前方向に対向する方向を後方向(矢印Xb参照)とする。運転席が正面に正対したときの側方方向の右側、左側をそれぞれ右方向(矢印Yr参照)、左方向(矢印Yl参照)とする。また、本明細書において「上下方向」は、特段記載のない限り、油圧ショベル1が傾斜せずに水平な状態での方向を示している。
【0015】
作業機13は、旋回体12の前部中央位置に取り付けられている。作業機13は、図1に示すように、ブーム21、アーム22、掘削バケット23を有する。ブーム21の基端部は、旋回体12に回動可能に連結されている。また、ブーム21の先端部はアーム22の基端部に回動可能に連結されている。アーム22の先端部は、掘削バケット23に回動可能に連結されている。掘削バケット23は、その開口が旋回体12の方向(後方)を向くことができるようにアーム22に取り付けられている。掘削バケット23が、このような向きに取り付けられた油圧ショベル1は、バックホウと呼ばれている。
【0016】
ブーム21、アーム22および掘削バケット23のそれぞれに対応するように油圧シリンダ24~26(ブームシリンダ24、アームシリンダ25およびバケットシリンダ26)が配置されている。これらの油圧シリンダ24~26が駆動されることによって作業機13が駆動される。これにより、掘削等の作業が行われる。
【0017】
カウンタウエイト3は、車両本体2の後側に装着されている。カウンタウエイト3は、車両本体2に対して着脱可能である。詳しくは後述するが、着脱装置4は、カウンタウエイト3を車両本体2に着脱する。
【0018】
(カウンタウエイト3)
図2は、旋回体12のフレーム12aとカウンタウエイト3と着脱装置4を前方から視た斜視図である。図3は、カウンタウエイト3を旋回体12のフレーム12aから離間した状態を左後方から視た斜視図である。図4は、フレーム12aからカウンタウエイト3を離間した状態を前上方から視た斜視図である。
【0019】
カウンタウエイト3は、旋回体12のフレーム12aのうち後部のフレーム部分12bに取り付けられる。フレーム部分12bは、前後方向に対して垂直な板状の部分である。
【0020】
カウンタウエイト3には、前後方向に貫通した貫通孔31が複数個形成されている。図3に示すように、本実施の形態では、6つの貫通孔31がカウンタウエイト3に形成されている。6つの貫通孔31は、上下方向に沿って並んだ3つの貫通孔31の組が左右方向に並んで2組設けられている。フレーム部分12bには、各々の貫通孔31に対応する位置にボルトの挿入孔12cが形成されている。後方から貫通孔31を通して挿入孔12cにボルトを挿入することによって、カウンタウエイト3はフレーム部分12bに固定されている。なお、図3では、挿入孔12cは、左側面側の3つのみ図示されており、右側面側の3つの挿入孔12cは、着脱装置4によって隠れているため図示されていない。
【0021】
図4に示すように、カウンタウエイト3には、上下方向に沿って凹部32(収納部の一例)が形成されている。凹部32によって、カウンタウエイト3に切り欠き形状部分が形成される。カウンタウエイト3を車両本体2に装着した状態では、図2に示すように、凹部32に、着脱装置4が配置される。凹部32は、カウンタウエイト3の上面33から下面まで形成されている。上面33には、図3および図4に示すように、凹部32による開口32aが形成されている。開口32aは、上面カバー5によって塞がれる。
【0022】
また、図4に示すように、カウンタウエイト3の前側の面のうち凹部32の最後部に対応する面部分32bには、上下方向に沿った板状のブラケット34が2つ配置されている。ブラケット34には、後述するチェーン44の端部44bが接続される。
【0023】
(着脱装置4)
着脱装置4は、図5(a)に示すように車両本体2の後側に配置されている。着脱装置4の上側に上面カバー5は配置されている。
【0024】
図5(a)は、着脱装置4を示す斜視図である。
【0025】
着脱装置4は、図2に示すように、シリンダ41と、軸部材42と、スプロケット43と、チェーン44と、支持台45と、スプロケットカバー46(固定部の一例)と、ショルダーボルト47(支持部材の一例)と、スプリング48((弾性部材の一例)図8C参照)と、を備える。
【0026】
シリンダ41は、図3に示すように、旋回体12の後部のフレーム部分12bに取り付けられている。フレーム部分12bは、前後方向に対して垂直な板状の部分である。フレーム部分12bの後面にシリンダ41が固定されている。シリンダ41は、上下方向に沿って配置されている。
【0027】
詳細には、シリンダ41は、図5(a)に示すように、シリンダチューブ41aと、シリンダロッド41bと、を有する。シリンダチューブ41aは、上下方向に沿って配置されている。シリンダチューブ41aは、フレーム部分12bの後面に固定されている。シリンダロッド41bの下端には、図示しないピストンが配置されている。ピストンは、シリンダチューブ41a内に移動可能に配置されている。シリンダロッド41bの上端は、シリンダチューブ41aから上方に突出している。ピストンによってシリンダチューブ41aの内部空間は、ボトム側の空間とロッド側の空間に分けられる。
【0028】
図6は、図2の状態からシリンダ41を伸長した状態を示す図である。図示しないポンプによってシリンダチューブ41aのボトム側の空間に作動油を供給し、ロッド側の空間から作動油を排出することによってシリンダロッド41bがシリンダチューブ41aに対して上方に移動する。これによって、図6に示すようにシリンダ41が伸長する。
【0029】
また、シリンダチューブ41aのボトム側の空間から作動油を排出し、ロッド側の空間に作動油を供給することによってシリンダロッド41bがシリンダチューブ41aに対して下方に移動する。これによって、図2に示すようにシリンダ41が収縮する。
【0030】
軸部材42は、シリンダロッド41bの先端41cに固定されている。軸部材42は、左右方向に沿って配置されている。軸部材42は、先端41cから左方向側に突出し、先端41cから右方向側に突出している。
【0031】
図5(a)に示すように、スプロケット43は、シリンダロッド41bの先端41cの左側と右側の双方に配置されている。スプロケット43は、軸部材42に回転可能に配置されている。なお、本実施の形態では、スプロケット43には左右方向に沿って貫通孔が形成されており、その貫通孔に軸部材42が挿入されている。スプロケット43が軸部材42に対して回転すると、軸部材42の外周面とスプロケット43の貫通孔の内周面が摺動するが、このような構成に限らなくてもよい。例えば、図5(b)に示すように、スプロケット43に形成されている貫通孔43aの内側にベアリング143が圧入されていてもよい。ベアリング143は、軸部材42とスプロケット43の間に配置される。
【0032】
チェーン44は、スプロケット43に巻き掛けられている。チェーン44は、旋回体12とカウンタウエイト3に接続されている。左右方向におけるシリンダロッド41bの先端41cの両側にスプロケット43が配置されているため、チェーン44もシリンダロッド41bの先端41cの左右両側に配置されている。
【0033】
図7は、旋回体12とカウンタウエイト3へのチェーン44の接続を説明するための斜視図である。図7では、チェーン44の両端を見やすくするためにシリンダ41を伸ばした状態を示す。また、チェーン44の紙面奥側の構造を示し、チェーン44は二点鎖線で示されている。
【0034】
左右の各々のチェーン44の一方の端部44aは、フレーム部分12bに接続されている。フレーム部分12bの後方側の面には、2つのブラケット12dが配置されている。各々のブラケット12dは後方に向かって突出した板状部分を有し、その板状部分は上下方向に沿って配置されている。各々のチェーン44の端部44aは、各々のブラケット12dの板状部分に左右方向に沿った軸を中心に回転可能に取り付けられている。
【0035】
各々のチェーン44の他方の端部44bは、カウンタウエイト3の前側の面に接続されている。各々のチェーン44の端部44bは、上述した面部分32bに配置された各々のブラケット34に左右方向に沿った軸を中心に回転可能に取り付けられている。
【0036】
図8Aは、車両本体2側から視た着脱装置4の上部分および上面カバー5を示す図である。図8Aは、シリンダ41が収縮して開口32aが上面カバー5によって塞がれている状態を示す。図8Bは、着脱装置4の上部分を左側方から視た図である。図8Cは、車両本体2側から視た着脱装置4の上部分を示す断面図である。図8Dは、着脱装置4の上部分および上面カバー5を示す斜視図である。
【0037】
支持台45は、図8Aに示すように、シリンダ41の先端41cに固定されている。支持台45は、先端41cの上側に配置されている。支持台45は、スプロケットカバー46を支持するために設けられている。
【0038】
スプロケットカバー46は、スプロケット43の上方を覆うように配置されている。スプロケットカバー46は、図8Aに示すように、支持台45の上側にボルト101によって固定されている。スプロケットカバー46は、図8Cに示すように、スプロケット43の上方を覆う上面部46aと、上面部46aの左右の端から下方に延びる縁部46bと、を有する。上面部46aとスプロケット43との間の隙間と、縁部46bとスプロケット43との間の隙間は、チェーン44が通過できないような大きさに形成されている。
【0039】
ショルダーボルト47は、スプロケットカバー46の上面部46aの上側に配置されている。ショルダーボルト47は、例えば4つ配置されている。各々のショルダーボルト47は、上下方向に沿って配置されている。図8Aおよび図8Bに示すように、4本のショルダーボルト47が配置されている。4本のショルダーボルト47は、左右方向に2つ並んだ組が前後方向に並んで2組配置されている。上面部46aには、ショルダーボルト47を固定する台座46cが配置されている。台座46cは、左右方向に並んで2つ配置されており、左側の台座46cには、左側の2つのショルダーボルト47が固定され、右側の台座46cには、右側の2つのショルダーボルト47が固定されている。
【0040】
ショルダーボルト47は、棒状部47a(貫通部の一例)とヘッド部47bとを有する。棒状部47aは、下端が台座46cに固定されている。ヘッド部47bは、棒状部47aの上端に配置されている。ヘッド部47bの外径は棒状部47aの外径よりも大きく形成されている。4つのショルダーボルト47のヘッド部47bの上側には、上面カバー5が載置されている。
【0041】
スプリング48は、図8Cに示すように、各々のショルダーボルト47の周囲に配置されている。スプリング48にはショルダーボルト47の棒状部47aが通っている。スプリング48は、上面カバー5のスプリング支持部53の平面部533(後述する)とヘッド部47bの間に配置されている。
【0042】
(上面カバー5)
上面カバー5は、上述したように着脱装置4の上側に配置されている。上面カバー5は、シリンダ41の伸縮とともに上下方向に移動する。
【0043】
上面カバー5は、シリンダ41が収縮した際に、図8Aに示すように、カウンタウエイト3の上面33に当接し、凹部32の開口32aを塞ぐことが出来る。
【0044】
上面カバー5は、図8Aに示すように、カバー本体51と、弾性部材52と、スプリング支持部53と、を有している。カバー本体51は、板形状である。カバー本体51は、カウンタウエイト3の上面33に形成されている開口32aよりも若干大きく形成されている。カバー本体51は矩形状である。カバー本体51の矩形状の2組の辺のうち一方の組の各々の辺は、左右方向に沿って配置されている。矩形状の2組の辺のうち他方の組の各々の辺は、前後方向に沿って配置されている。これら全ての辺は、下方に向かって折れ曲げられている。
【0045】
弾性部材52は、例えばゴムによって形成されている。弾性部材52は、図8Bおよび図8Cに示すように、カバー本体51の上面33と接する面51dの端部に配置されている。弾性部材52は、図8Dに示すカバー本体51の後側の辺51aと、左側の辺51bと、右側の辺51cの夫々に沿って配置されている。弾性部材52は、図8Bに示すように、取付部521と、緩衝部522と、を有する。取付部521は、カバー本体51の縁に取り付けられる部分である。カバー本体51の下方に向かって折り曲げられた端に、取付部521を下方から差し込むことによって、カバー本体51に弾性部材52が取り付けられる。緩衝部522は、円筒状である。上面カバー5によって開口32aが閉じられる際、緩衝部522がカウンタウエイト3の開口32aの周囲の上面33に当接する。緩衝部522の円筒形状が潰れることによって、上面カバー5とカウンタウエイト3の上面33が密着し、雨水・土砂等の侵入を防ぐことができる。また、上面カバー5のバタつきを抑制できる。着脱装置4の収縮によって、上面カバー5は最低位置で開口32aを塞ぐが、最低位置は弾性部材52の潰し代分による上下位置の変動を含む。
【0046】
スプリング支持部53は、図8Aに示すように、カバー本体51の下側に取り付けられている。スプリング支持部53は、板状の部材を折り曲げることによって形成することができる。スプリング支持部53は、U字形状を有する。スプリング支持部53は、左側面部531と、右側面部532と、平面部533と、を有する。
【0047】
図8Cに示すように、左側面部531は、左側の2つのショルダーボルト47よりも左側に配置されている。左側面部531は、カバー本体51から下方に向かって突出している。左側面部531は、板状である。左側面部531は前後方向に沿って配置されている。右側面部532は、右側の2つのショルダーボルト47よりも右側に配置されている。右側面部532は、カバー本体51から下方に向かって突出している。右側面部532は、板状である。右側面部532は前後方向に沿って配置されている。
【0048】
平面部533は、左側面部531の下端と右側面部532の下端を繋ぐように配置されている。平面部533は、板状である。図8Cに示すように、平面部533は、上下方向に対して垂直に配置されている。平面部533には、上下方向に沿った貫通孔53aが4つ形成されている。各々の貫通孔にショルダーボルト47が通されている。
【0049】
<動作>
次に、本実施の形態の油圧ショベル1におけるカウンタウエイト3の着脱動作について説明する。
【0050】
図9図10A図10B図11Aおよび図11Bは、車両本体2からのカウンタウエイト3の取り外し動作を説明するための図である。
【0051】
図9は、カウンタウエイト3が車両本体2に取り付けられており、カウンタウエイト3の上面33の開口32aが上面カバー5によって閉じられている状態を示す断面図である。図9に示す状態で、油圧ショベル1は駆動して作業等を行う。この状態では、チェーン44の余った部分は、フレーム部分12bの前側の面に配置されている収納ボックス49に収納されている。
【0052】
カウンタウエイト3を車両本体2から取り外す際には、図10Aに示すように、シリンダ41が伸長される。シリンダチューブ41aのボトム側の空間に作動油を供給し、ロッド側の空間から作動油を排出することによって、シリンダロッド41bがシリンダチューブ41aに対して上方に移動する。シリンダ41の伸長とともに、スプロケット43が回転しながらチェーン44が収納ボックス49から引き出される。図10Bは、シリンダ41が伸長した状態の車両本体2を示す斜視図である。
【0053】
この状態で、カウンタウエイト3に設けられている貫通孔31に挿入されているボルトが取り外されて、カウンタウエイト3のフレーム部分12bとの締結が解除される。
【0054】
次に、図11Aに示すように、シリンダ41を収縮させる。シリンダチューブ41aのロッド側の空間に作動油を供給し、ボトム側の空間から作動油を排出することによって、シリンダロッド41bがシリンダチューブ41aに対して下方に移動する。シリンダ41の収縮とともに、スプロケット43が回転しながら、チェーン44の端部44bに接続されているカウンタウエイト3が下方に移動する。図11Bは、カウンタウエイト3が下方に移動して地面に接した状態の車両本体2を示す斜視図である。
【0055】
次に、チェーン44の他方の端部44bとブラケット34の接続が解除される。これによって、カウンタウエイト3を車両本体2から取り外すことができる。
【0056】
なお、車両本体2にカウンタウエイト3を装着する際の動作は、概ね上記と逆の手順で行われる。
【0057】
図11Bに示すように、車両本体2の後側にカウンタウエイト3が配置される。そして、チェーン44の端部44bがカウンタウエイト3のブラケット34に接続される。
【0058】
次に、図10Aに示すように、シリンダ41が伸長されて、カウンタウエイト3が上方に引き上げられる。
【0059】
次に、後方から6つの貫通孔31の夫々を通して挿入孔12cにボルトを挿入し、カウンタウエイト3がフレーム部分12bに固定される。
【0060】
次に、図9に示すように、シリンダ41が収縮され、余ったチェーン44が自重によって収納ボックス49に収納され、上面カバー5がカウンタウエイト3の開口32aを塞ぐ。
【0061】
ここで、ショルダーボルト47に配置されているスプリング48の機能について説明する。図12(a)および図12(b)は、ショルダーボルト47に配置されているスプリング48の機能を説明するための模式図である。
【0062】
図12(a)は、着脱装置4の上部および上面カバー5を示す模式図である。この状態からシリンダ41が収縮することによって上面カバー5がカウンタウエイト3の上面33に当接する。このとき、製造誤差等によって、シリンダ41が収縮した際の上面カバー5の高さ位置が、カウンタウエイト3の上面33の高さ位置とずれていても、スプリング48の潰し代によって吸収することができる。図12(b)に示すように、上面カバー5がカウンタウエイト3の上面33に当接してからも、スプリング48の潰し代分、ショルダーボルト47はシリンダロッド41bとともに下方に移動することができる。この際、図12(b)に示すように、ヘッド部47bとカバー本体51の間に隙間が生じることが可能である。このため、製造誤差によって上面カバー5の位置と上面33の位置がずれていたとしても、上面カバー5を上面33に密着させることができる。
【0063】
<特徴等>
(1)
本実施の形態の油圧ショベル1(作業機械の一例)は、車両本体2と、カウンタウエイト3と、着脱装置4と、上面カバー5と、を備える。カウンタウエイト3は、車両本体2に着脱可能である。着脱装置4は、車両本体2にカウンタウエイト3が装着された状態においてカウンタウエイト3に形成された凹部32(収納部の一例)に配置され、車両本体2にカウンタウエイト3を着脱する際に凹部32の上方の開口32aを通して上下方向に伸縮する。上面カバー5は、着脱装置4に取り付けられ、着脱装置4の伸縮に伴って上下方向に移動し、最低位置で開口32aを塞ぐ。
【0064】
このように、上面カバー5を着脱装置4に取り付けることによって、上面カバー5によって開口32aが閉じられた状態において油圧ショベル1が動作した場合であっても着脱装置4の自重によって上面カバー5が振動し難くバタ付きが抑制される。
【0065】
このため、着脱装置4の動作のためにカウンタウエイト3に形成された開口32aから雨水・土砂が浸入することを抑制することができる。
【0066】
(2)
本実施の形態の油圧ショベル1では、着脱装置4は、シリンダ41を有する。シリンダ41は、上下方向に伸縮する。シリンダ41は、シリンダチューブ41aと、シリンダロッド41bとを含む。シリンダチューブ41aは、車両本体2に上下方向に沿って固定されている。シリンダロッド41bは、シリンダチューブ41aに対して上方に移動する。上面カバー5は、シリンダロッド41bの先端に取り付けられている。
【0067】
これにより、シリンダチューブ41aに対してシリンダロッド41bが下方に移動することによって、開口32aを上面カバー5で塞ぐことができる。また、シリンダ41を油圧で作動させた場合、シリンダ41が収縮した状態において下方に向かって作動油圧が生じているため、上面カバー5のバタつきをより抑制することができる。
【0068】
(3)
本実施の形態の油圧ショベル1では、着脱装置4は、スプロケット43と、チェーン44を更に有する。スプロケット43は、シリンダロッド41bの先端に回転可能に配置されている。チェーン44は、車両本体2とカウンタウエイト3に接続されスプロケット43に巻き掛けられている。
【0069】
これにより、シリンダ41の伸縮に伴ってチェーン44に接続されているカウンタウエイト3を上下方向に移動することができる。
【0070】
(4)
本実施の形態の油圧ショベル1では、着脱装置4は、スプロケットカバー46を更に有する。スプロケットカバー46は、スプロケット43の上側を覆うようにシリンダロッド41bの先端に配置されている。上面カバー5は、スプロケットカバー46の上側に配置されており、スプロケットカバー46を介してシリンダロッド41bの先端に取り付けられている。
【0071】
スプロケット43を覆うスプロケットカバー46を設けることによって、シリンダ41の伸縮によってチェーン44のスプロケット43からの脱落を防止することができる。
【0072】
(5)
本実施の形態の油圧ショベル1では、着脱装置4は、ショルダーボルト47(支持部材の一例)と、スプロケットカバー46(固定部の一例)と、スプリング48(弾性部材の一例)と、スプリング支持部53(弾性部材支持部の一例)と、を有する。ショルダーボルト47は、棒状であり、上面カバー5の下側に配置され、上面カバー5を支持する。スプロケットカバー46は、ショルダーボルト47をシリンダロッド41bの先端に固定する。スプリング48は、ショルダーボルト47の周囲に配置されている。スプリング支持部53は、スプリング48を下方から支持し、ショルダーボルト47が通る貫通孔53aを有し、上面カバー5に固定されている。ショルダーボルト47は、棒状部47a(貫通部の一例)と、ヘッド部47bと、を有する。棒状部47aは、貫通孔53aを通る。ヘッド部47bは、棒状部47aの上側に配置されている。スプリング48は、ヘッド部47bとスプリング支持部53の間に配置されている。
【0073】
これにより、スプリング48の潰し代を用いて、上面カバー5をカウンタウエイト3の上面33に密着させることができるため、雨水・土砂等の開口32aからの侵入をより確実に防止することができる。
【0074】
(6)
本実施の形態の油圧ショベル1では、着脱装置4は、軸部材42と、ベアリング143と、を更に有する。軸部材42は、シリンダロッド41bの先端に配置されている。ベアリング143は、軸部材42が通されるスプロケット43の貫通孔43aに圧入されている。
【0075】
これにより、スプロケット43の軸部材42に対する摺動抵抗を低減することができるため、スプロケット43がスムーズに回転可能となり、チェーン44の格納性を向上することができる。
(7)
本実施の形態の油圧ショベル1では、カウンタウエイト3は、開口33aが形成された上面33を有する。上面カバー5は、上面33と接する面51dの端部に配置された弾性部材52を有する。
これによって、上面カバー5とカウンタウエイト3の上面33が密着し、雨水・土砂等の侵入を防ぐことができる。また、上面カバー5のバタつきを抑制できる。
【0076】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0077】
(A)
上記実施の形態では、着脱装置4の伸縮機構としてシリンダ41が用いられており、シリンダ41として油圧シリンダを例に挙げて説明しているが、これに限らなくてもよく、電動シリンダが用いられていてもよい。また、シリンダにかぎらなくてもよく、スライドして伸縮するようなアクチュエータが用いられてもよい。
【0078】
(B)
上記実施の形態では、着脱装置4にスプロケット43およびチェーン44が用いられているが、これに限らなくてもよく、例えば滑車とワイヤー等が用いられてもよい。
【0079】
(C)
上記実施の形態では、スプロケットカバー46を介して上面カバー5がシリンダ41に取り付けられているが、スプロケットカバー46が設けられておらず、上面カバー5がシリンダ41に直接取り付けられていてもよい。
【0080】
(D)
上記実施の形態では、作業機械の一例として油圧ショベルを用いて説明したが、これに限らなくてもよく、ホイールローダ等のカウンタウエイトが設けられている作業機械に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本開示によれば、カウンタウエイトに形成された開口からの雨水・土砂等の侵入を抑制することが可能な作業機械を提供することができ、油圧ショベル等に有用である。
【符号の説明】
【0082】
1:油圧ショベル、 2:車両本体、 3:カウンタウエイト、 4:着脱装置、 5:上面カバー、 11:走行体、 11a:走行装置、 11b:走行装置、 11c:履帯、 11d:履帯、 12:旋回体、 12a:フレーム、 12b:フレーム部分、 12c:挿入孔、12d:ブラケット、 13:作業機、 14:キャブ、 15:エンジンルーム、 21:ブーム、 22:アーム、 23:掘削バケット、 24:ブームシリンダ、 25:アームシリンダ、 26:バケットシリンダ、 31:貫通孔、 32:凹部、 32a:開口、 32b:面部分、 33:上面、 34:ブラケット、 41:シリンダ、 41a:シリンダチューブ、 41b:シリンダロッド、 41c:先端部、 42:軸部材、 43:スプロケット、 43a:貫通孔、 44:チェーン、 44a:端部、 44b:端部、 45:支持台、 46:スプロケットカバー、 46a:上面部、 46b:縁部、 46c:台座、 47:ショルダーボルト、 47a:棒状部、 47b:ヘッド部、 48:スプリング、 49:収納ボックス、 51:カバー本体、 51a:辺、 51b:辺、 51c:辺、 52:弾性部材、 53:スプリング支持部、 101:ボルト、 143:ベアリング、 521:取付部、 522:緩衝部、 531:左側面部、 532:右側面部、 533:平面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12