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特許7345549色相を確認するための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】色相を確認するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20230908BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
H04N1/60
G06T1/00 510
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021528478
(86)(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019068760
(87)【国際公開番号】W WO2020020660
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】18186158.4
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521035543
【氏名又は名称】ヒューバーグループ ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヒューベル,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】カルネリ,カルロ
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-501259(JP,A)
【文献】特表2008-503909(JP,A)
【文献】特開2006-030210(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0067056(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0012810(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46 - 1/62
G06T 1/00 - 1/40
3/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された塗布方法を使用した指定された基材上での塗布の後に指定された色相を有する色製品を生じる色処方を確認するための方法であって、前記方法が、
a)多数のデータセットが記憶されているデータベースを提供することであって、
i)前記データセットの少なくとも一部が、少なくとも、色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、および前記データセットに記憶されている前記塗布方法を使用した前記基材上での前記データセットに記憶されている前記色処方の前記塗布から生じる前記色製品の前記色相に関する情報を含み、前記色処方に関する前記情報が色処方識別コードを含み、前記色相に関する前記情報が色相識別コードを含み、
ii)前記データベースが、少なくとも1つの色相に対して、各々、少なくとも2つの異なるデータセットを含み、前記少なくとも2つの異なるデータセットの各々が、同じ色相識別コードと、異なる色処方に関する情報、基材に関する情報、および塗布プロセスに関する情報を含み、前記少なくとも2つの異なるデータセットのうちの少なくとも1つのデータセットの前記基材および/または前記塗布方法が、前記少なくとも2つの異なるデータセットのうちの別のデータセットの前記基材および/または塗布方法とは異なり、前記少なくとも2つの異なるデータセットの前記異なる色処方の各々に対して、各場合において、前記同じ色相を有する色製品が、前記少なくとも2つの異なるデータセットのそれぞれのデータセットに記憶されている前記塗布方法を使用した前記それぞれのデータセットに記憶されている前記基材への前記異なる色処方のそれぞれの色処方の前記塗布の後に取得され、
iii)前記データベースが、少なくとも1つの色処方に対して、各々、少なくとも2つの異なるデータセットを含み、前記少なくとも2つの異なるデータセットが、各々、同じ色処方識別コードと、同じ色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布プロセスに関する情報、および前記それぞれのデータセットに記憶されている前記塗布方法を使用した前記基材上での前記それぞれのデータセットに記憶されている前記色処方の前記塗布の後に前記色製品のために生じる色相に関する情報と、を有し、前記少なくとも2つの異なるデータセットのうちの少なくとも1つのデータセットの前記基材および/または前記塗布方法が、前記少なくとも2つの異なるデータセットのうちの別のデータセットの前記基材および/または塗布方法とは異なり、前記それぞれのデータセットに記憶された前記塗布方法を使用した前記基材上での前記それぞれの色処方の前記塗布の後に、色製品が生じ、前記少なくとも2つの異なるデータセットのうちの少なくとも1つのデータセットの前記色製品の前記色相が、前記少なくとも2つの異なるデータセットのうちの別のデータセットの前記色製品の前記色相とは異なる、提供することと、
b)前記データベースをa)使用するコンピュータプログラムの提供、ならびに前記コンピュータプログラムにおける目的の塗布方法の指定、目的の基材の指定、および前記指定された目的の塗布方法を使用した前記指定された目的の基材上での色処方の前記塗布の後に生じる、ユーザによって取得される前記色製品の所望の目的の色相の指定と、
c)このコンピュータプログラムを使用して前記データベースを検索し、前記データベースが、ステップb)で指定された前記目的の塗布方法を使用したステップb)で指定された前記目的の基材上への塗布の後に、ステップb)で指定された前記目的の色相に対応する色相、または多くとも指定された許容値内で前記目的の色相からずれる色相を有する色製品を生じる、関連する情報が前記データセットに含まれる色処方を有する少なくとも1つのデータセットを含むかどうかを確認することと、
d)ステップc)で少なくとも1つの好適なデータセットが見つかった場合、前記少なくとも1つのデータセットに記憶されている前記色処方に関する前記情報を表示することと、を含み、
i)1つまたは複数の他のデータセットの前記色相とは異なる色相に関する情報が記憶されている前記データセットの少なくとも90%に、前記1つまたは複数の他のデータセット内の異なる色相色調識別コードとは異なる色相色調識別コードが記憶されており、
ii)1つまたは複数の他のデータセットの色処方とは異なる色処方に関する情報が記憶されているデータセットの少なくとも90%に、1つまたは複数の他のデータセット内の異なる色処方識別コードとは異なる色処方識別コードが記憶されており、
iii)1つまたは複数の他のデータセットの前記色相とは同じ色相に関する情報が記憶されている前記データセットの少なくとも90%に、前記1つまたは複数の他のデータセット内の色相色調識別コードとは同じ色相識別コードが記憶されており、
iv)1つまたは複数の他のデータセットの色処方とは同じ色処方に関する情報が記憶されているデータセットの少なくとも90%に、1つまたは複数の他のデータセット内の色処方識別コードとは同じ色処方識別コードが記憶されていることを特徴とし、
前記データベースにおいて、2つの色相は、前記2つの色相が最大0.5のデルタE値だけ互いに異なる場合、データベース内で同じと評価され、2つの色相は、前記2つの色相が0.5超のデルタE値だけ互いに異なる場合、異なると評価され、2つの色処方は、2つの色処方が同じ着色成分を有し、個々の着色成分の量に関して着色成分ごとに最大0.5%だけ異なる場合、データベースで同じと評価され、2つの色処方は、前記2つの色処方が少なくとも1つの異なる着色成分を有する場合に、または前記2つの色処方が同じ着色成分を有し、前記個々の着色成分の前記量に関して着色成分あたり0.5%超だけ互いに異なる場合に、異なると評価され、
前記コンピュータプログラムは、ユーザが前記データベースに新しいデータセットを作成するときに、関連する情報が、作成対象の前記新しいデータセットに保存される前記色処方が少なくとも1つのデータセットをすでに含むかどうかを自動的にチェックし、これにより、含まない場合に、前記新しいデータセットが作成され、またこの新しいデータセットに新たに割り当てられた色処方識別コードに記憶され、含む場合に、前記少なくとも1つのデータセットが、同じ基材に関する情報、同じ塗布方法に関する情報、および前記塗布方法を使用した前記基材上での前記色処方の前記塗布の後に生じる同じ色相に関する情報を含むかどうかもチェックされ、含む場合に、前記ユーザは、対応するデータセットが前記データベースにすでに含まれるというメッセージを受信し、次いで作成対象の前記データセットが作成されず、含まない場合、同じ色処方識別コードが新たに作成される前記データセットに保存されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
2つの色相は、前記2つの色相が最大0.5のΔE00値および最大0.5のdH*だけ互いに異なる場合に、前記データベース内で同じであると評価され、2つの色相は、前記2つの色相が0.5超のΔE00値だけ互いと異なる場合に、異なると評価されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データベースが、少なくとも10%の色相に対して、各々、少なくとも2つの異なるデータセットを含み、前記2つの異なるデータセットの各々が、同じ色相識別コードと、互いに異なる色処方に関する情報、基材に関する情報、および塗布方法に関する情報と、を含み、前記少なくとも2つの異なるデータセットの各データセットの前記基材および/または塗布方法が、前記他の少なくとも2つの異なるデータセットの各々とは異なり、前記少なくとも2つの異なるデータセットの相互に異なる色処方の各々に対して、同じ色相を有する色製品が、前記それぞれのデータセットに記憶されている前記塗布方法を使用した前記それぞれのデータセットに記憶されている前記基材への前記それぞれの色処方の前記塗布の後に取得されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記データベースが、前記少なくとも1つの色相に対して、各々、少なくとも2個の異なるデータセットを含み、これらのデータセットの各々が、同じ色相識別コードと、相互に異なる色処方に関する情報、基材に関する情報、および塗布方法に関する情報と、を有し、前記少なくとも個の異なるデータセットの各データセットの前記基材および/または塗布プロセスが、前記少なくとも個の異なるデータセットの前記他のデータセットの各データセットの前記基材および/または塗布プロセスとは異なり、前記少なくとも個の異なるデータセットの相互に異なる色処方の各々に対して、各場合において、同じ色相を有する色製品が、前記それぞれのデータセットに記憶されている前記塗布方法を使用した前記それぞれのデータセットに記憶されている前記基材上での前記それぞれの色処方の前記塗布の後に取得されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
各データセットであって、前記それぞれのデータセットに記憶されている前記塗布方法を使用した前記それぞれのデータセットに記憶されている前記基材上での前記それぞれのデータセットに記憶されている前記色処方の前記塗布の後に、他の少なくとも1つのデータセットに対して取得された色相とは異なる色相を有する色製品が取得され、前記他の少なくとも1つのデータセットの全ての中の色相識別コードとは異なる色相識別コードが記憶されている、各データセットを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記データベースが、少なくとも10%の色処方に対して、各々、少なくとも2つの異なるデータセットを含み、これらのデータセットの各々が、同じ色処方識別コードと、同じ色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報と、前記それぞれのデータセットに記憶された前記塗布プロセスを使用した前記それぞれのデータセットに記憶された前記基材上での前記それぞれのデータセットに記憶された前記色処方の前記塗布の後に生じる色製品の色相とを有し、前記少なくとも2つの異なるデータセットの各データセットの前記基材および/または前記塗布方法が、前記他の少なくとも2つの異なるデータセットの各データセットの前記基材および/または塗布方法とは異なり、前記それぞれのデータセットに記憶されている前記塗布方法を使用した前記それぞれのデータセットに記憶されている前記基材への前記それぞれの色処方の前記塗布の後に、色製品が生じ、前記少なくとも2つの異なるデータセットの各データセットからの前記色製品の前記色相が、前記他の少なくとも2つの異なるデータセットの全てのデータセットの前記色製品の前記色相とは異なることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記データベースが、前記少なくとも1つの色処方に対して、少なくとも2個の異なるデータセットを含み、これらの各異なるデータセットが、同じ色処方識別コードと、同じ色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、および前記それぞれのデータセットに記憶されている前記色処方の前記それぞれのデータセットに記憶されている前記基材上での前記塗布の後に前記色製品のために生じる色相に関する情報を有し、前記少なくとも個の異なるデータセットの各データセットの前記基材および/または前記塗布方法が、他の少なくとも個の異なるデータセットの各データセットの前記基材とは異なり、色製品が、前記それぞれのデータセットに記憶されている前記塗布プロセスを使用した前記それぞれのデータセットに記憶されている前記基材での前記それぞれの色処方の前記塗布の後に生じ、前記少なくとも個の異なるデータセットの各データセットの前記色製品の前記色相が、前記他の少なくとも1つのデータセットの全ての中の前記色製品の前記色相とは異なることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
異なる色処方識別コードが前記データセットの全てに記憶されていることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
各々に同じ色処方識別コードが記憶されている前記少なくとも2つの異なるデータセットの少なくとも10%はまた、前記少なくとも2つの異なるデータセットが、少なくとも1つのさらなるパラメータに関する情報も含み、前記少なくとも1つのさらなるパラメータに関するこの情報が、前記色処方に特徴的であり、前記少なくとも2つの異なるデータセットの全てにおいて同一であり、前記少なくとも1つのさらなるパラメータが、光、温度、ガンマ線、化学物質、低温殺菌、滅菌、湿気、および前述の2つまたは複数の任意の組み合わせに対する前記色処方の耐性からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記コンピュータプログラムが、色相を計算することができる試験アルゴリズムを含み、コンピュータを使用して、ステップb)で指定された前記目的の塗布方法とは異なる試験紙プリンタを使用して試験紙基材上に印刷される前記計算された色相が、ステップb)で指定された前記目的の塗布方法を使用したステップb)で指定された前記目的の基材上でのステップc)で見つかった前記色処方の前記塗布の場合と同じ色相を生じることを特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記コンピュータプログラムは、前記指定された目的の塗布方法を使用した前記指定された目的の基材上での前記塗布の後に、指定された最大許容値内の前記目的の色製品の前記指定された色相を生じる色処方が計算されることを可能にする処方アルゴリズムを含み、前記コンピュータプログラムは、前記色処方を計算する前記処方アルゴリズムが、ステップc)で好適なデータセットが見つからなかった場合に実行されるように構成されており、前記ユーザの前記使用に基づく前記色処方を計算する前記処方アルゴリズムの前記実行の前に、前記ユーザの前記指定に基づいて前記コンピュータプログラムから前記処方アルゴリズムに前記色処方のための適切な成分が転送され、そこから成分前記処方アルゴリズムのみが前記色処方を計算することを特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙などの指定された基材上に平版印刷方法などの指定された塗布方法を使用して塗布した後に、指定された色相を使用して印刷紙などの色製品を生じる色処方を確認するためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなシステムおよび方法は、包装開発に含む様々な用途に使用される。例えば、食品包装などの包装を開発するとき、新しいカラフルな多色設計が作成され、その正確な製造には、異なる色を再現するために使用される色処方を使用して包装を印刷するときに、包装開発者によって指定された色が正確に実現できることが必要とされる。しかしながら、塗布方法を使用した色処方の塗布後に達成される色相、すなわち、印刷の場合には印刷インクを基材上に印刷した後に達成される色相は、多くの要因、特に基材の特定のタイプおよび使用される塗布方法に依存する。印刷インクを板紙にフレキソ印刷を使用して印刷すると、例えば、グラビア印刷方法を使用してコート紙に同じ印刷インクを印刷する場合と比較して著しく異なる色相を有する印刷製品が生じることがある。さらに、紙用の既知のグラビア印刷インクは、グラビア印刷方法を使用して所望の包装板に塗布されたときに、包装開発者が必要とする色相を製造するが、所望の色相にはつながらない。したがって、特定の基材に所望の色相および所望の印刷方法を与える印刷インクを見つける必要があるか、またはまだ入手できない場合は、それを開発する必要がある。
【0003】
指定された塗布方法を使用して目的の基材に塗布した後に生じる所望の色相に加えて、新しい包装などの新しい塗布に好適な色処方は、他の様々な基準を満たす必要がある。用途に応じて、色処方は、例えば、指定された光沢値を有し、必要な要件のほんの一部を挙げれば、多かれ少なかれ顕著な耐薬品性または多かれ少なかれ顕著な耐光性によって特徴付けられる必要がある。
【0004】
このような複雑な関係にもかかわらず、包装開発者および他のユーザが特定のシステムに好適な色処方を見つけることを容易にするために、データベースおよびコンピュータプログラムがすでに開発されており、これによりユーザは、目的の色相、基材、色処方が基材上に塗布される塗布方法、基材への色処方の塗布後に取得される色製品の必要な耐薬品性、および他のパラメータなどの所望の目的のパラメータを指定することができるようになっている。次に、コンピュータプログラムは、データベースから好適な色処方を検索し、データベースに記憶されている情報に従って、指定された塗布方法を使用して目的の基材に塗布した後、要求された目的の色相に最も近い色相を有する色製品を生じる色処方を表示する。この目的のために、データベースは多数のデータセットを含み、各データセットは、色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、およびデータセットに記憶された塗布方法を使用したデータセットに記憶された基材上でのデータセットに記憶された色処方の塗布の後に生じる色製品の色相に関する情報、ならびに場合によっては耐薬品性などのさらなるパラメータに関する情報を含む。少なくとも所望の目的の色相にほぼ近い結果を生じる色処方が見つからない場合、ユーザにはヒットしなかったことが示される。
【0005】
このような方法およびシステムは、例えば、PantoneLIVEの商品名で販売されている。
【0006】
米国特許第7,034,960(B2)号から、データベースを使用して色製品を現像する方法が知られており、この方法は、以下のステップを含む:i)現像情報をデータベースに記憶することであって、現像情報が複数の色製品の現像に関連する特性を含む、記憶することと、ii)少なくとも第1の色を含む第1の色情報を受け取ることと、iii)データベース内の第1の現像情報を識別することであって、第1の現像情報が少なくとも第1の色を含む、識別することと、iv)色製品の少なくとも1つの物理的特性を受け取ることと、v)第1の現像情報を使用して、少なくとも1つの物理的特性が第1の色と互換性があるかどうかを決定すること。少なくとも1つの物理的特性が最初の色と互換性がない場合、本方法は終了するか、または少なくとも1つの物理的特性が第1の色と互換性がないという警告がユーザに表示される。次に、ユーザは、色処方に対応するヒットがデータベースで見つかるまで、所望の設計または色製品に課せられた要件を変えることができる。しかしながら、後者は満足のいく解決策ではない。というのも、この場合、ユーザは、最初に、所望される色製品を生じる色処方を事前に受け取らないからである。
【0007】
既知の方法の欠点は、比較的冗長なデータベース、すなわち、同じまたは非常に類似した情報に対して多数の異なるデータセットを含んでいるデータベースを使用することである。既知のデータベースでは、情報の約90%がこのような冗長な情報である。例えば、ユーザが、別のデータセットにすでに記憶されている色処方とほぼ同一、完全に同一、または少なくとも非常に類似した色処方に関連する新しいデータセットを入力した場合、この新しいデータセットは、たとえこのデータセットに同じ基材および同じ塗布方法に関する情報が含まれている場合、したがって、すでに記憶されているデータセットと、色製品に対する同じまたはほぼ同じ色相の結果を生じる場合でも、引き続き記憶される。人間の目は、2つのほぼ同一の色相間のわずかな違いを認識できないため、同じ塗布方法を使用して同じ基材に最小限の異なる色処方のみを塗布した場合に生じる2つのほぼ同一の色相は、通常、人間の目には区別できないことに留意されたい。そして、データベースは、ほぼ同一または非常に類似した色処方に関する情報、基材および塗布方法に関する同一の情報、および基材への塗布方法を使用して色処方を塗布した後に生じ、かつ人間の目には区別できない色相に関するほぼ同一または非常に類似した情報を含む2つ以上のデータセットを含む。しかしながら、ほぼ同一または非常に類似した情報を含む多数のデータセットのこの存在は、1つ以上のプロジェクトのためにデータベースに記憶された多数の色処方を使用したい方法のユーザにとって不利である。これは、データベースの運営者など、ユーザまたはユーザから色処方の製造を委託された会社が、使用されるほぼ同一または非常に類似した色処方の各々について、その別個の製造指定、その別個の品質管理指定、および色処方の成分および製造された色処方のための記憶スペースを提供しなければならないからである。冗長なデータセットの別の欠点は、色処方、基材、塗布方法、および塗布方法を使用した基材上での色処方の塗布の後に生じる色相に関して、データセットが、例えば、異なるデータセットに含まれる情報の中でこれらのパラメータを確認するために異なる測定方法を使用すること、測定で取得される数値の丸め誤差、またはユーザによる入力誤差(複数可)に起因して、耐薬品性または温度耐性などの他のパラメータに関して同一またはほぼ同一であるということである。次に、色処方に関連する2つのほぼ同一または完全に同一のデータセットは、色処方の特性に関してデータセットに記憶された情報に関して互いに矛盾するか、または少なくとも互いに異なる。これら全ての理由から、内部に含まれるデータセットの数に基づく既知の方法は、色相、基材、色処方、および塗布方法からなるマトリックスからの多数の変形例の比較的少数の変形例をカバーする。既知の方法の別の欠点は、同一またはほぼ同一の色処方に関連するデータセット、または色製品に対して生じる同一またはほぼ同一の色相に関連するデータセットが、技術に熟練した人が異なる基材に塗布されたときに同じ色相を生じる複数のそのようなデータセットを表示することができるような方法で、互いにリンクされていないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに続いて、本発明は、指定された塗布方法を使用した指定された基材上での塗布の後に、指定された色相の色製品を生じる色処方を確認するためのシステムおよび方法を提供するという目的に基づいており、このことは、データベースに含まれるデータセットの可能な限り少ない数で、色相、基材、色処方、および塗布方法からなるマトリックスの可能な限り多くの変形例をカバーすることを可能にしている。言い換えれば、本発明の目標は、ユーザが、ユーザによって指定された目的の塗布方法、ユーザによって指定された目的の基材およびユーザによって指定された目的の色相に好適な色処方を表示する可能性が最も高い対応するシステムおよび方法を提供することであり、この色処方を使用して、ユーザは、指定された目的の塗布方法を使用した指定された目的の基材上での色処方の塗布の後に、ユーザは指定された目的の色相を有する色製品を取得し、このシステムおよび方法は、可能な限り少ない数の異なる色処方を含むデータベースを使用する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、本目的は、指定された塗布方法を使用した指定された基材上での塗布の後に、指定された色相を有する色製品を生じる色処方を確認するための方法によって達成され、本方法は以下を含む:
a)複数のデータセットが記憶されているデータベースを提供することであって、
i)データセットの少なくとも一部および好ましくは各々が、少なくとも、色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、およびデータセットに記憶されている塗布方法を使用した、データセットに記憶された基材上でのデータセットに記憶されている色処方の塗布の後に生じる色製品の色相に関する情報を含み、色処方に関する情報が、色処方識別コードを含み、色相に関する情報は色相識別コードを含み、
ii)データベースが、少なくとも1つの色相に対して、少なくとも2つの異なるデータセットを含み、少なくとも2つの異なるデータセットの各々が、同じ色相識別コードと、異なる色処方に関する情報、基材に関する情報、および塗布方法に関する情報と、を含み、少なくとも2つの異なるデータセットのうちの少なくとも1つのデータセットの基材および/または塗布方法が、少なくとも2つの異なるデータセットのうちの別のデータセットの基材および/または塗布方法とは異なり、少なくとも2つの異なるデータセットの異なる色処方の各々に対して、各場合において、同じ色相を有する色製品が、関連するデータセットに記憶されている塗布方法を使用した関連するデータセットに記憶されている基材への関連する色処方の塗布の後に取得され、
iii)データベースが、少なくとも1つの色処方に対して、各々、少なくとも2つの異なるデータセットを含み、少なくとも2つの異なるデータセットが、各々、同じ色処方識別コードと、同じ色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、および関連するデータセットに記憶されている基材への、関連するデータセットに記憶されている塗布方法を使用した、関連するデータセットに記憶されている色処方の塗布の後に色製品に対して生じる色相に関する情報とを有し、少なくとも2つの異なるデータセットのうちの少なくとも1つのデータセットの基材および/または塗布方法が、少なくとも2つの異なるデータセットのうちの別のデータセットの基材および/または塗布方法とは異なり、関連するデータセットに記憶された塗布方法を使用した関連する色処方の塗布の後に、色製品が生じ、少なくとも2つの異なるデータセットのうちの少なくとも1つのデータセットの色製品の色相が、少なくとも2つの別のデータセットのうちの別のデータセットの色製品の色相とは異なる、提供することと、
b)ユーザによる、目的の塗布方法の指定、目的の基材の指定、および指定された目的の塗布方法を使用した指定された目的の基材上での色処方の塗布の後に取得される色製品に対して生じる所望の目的の色相の指定と、
c)コンピュータプログラムを使用してデータベースを検索し、データベースが、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用したステップb)で指定された目的の基材上での塗布の後に、ステップb)で指定された目的の色相に対応する色相、または多くとも指定された許容値だけ目的の色相からずれる色相を有する色製品を生じる、関連する情報がデータセットに含まれる色処方を有する少なくとも1つのデータセットを含むかどうかを確認することと、
d)ステップc)で少なくとも1つの好適なデータセットが見つかった場合に、少なくとも1つのデータセットに記憶されている色処方に関する情報を表示することと、を含み、
i)1つ以上の他のデータセットの色相とは異なる色相に関する情報が記憶されているデータセットの少なくとも90%に、1つ以上の他のデータセット内の異なる色相識別コードとは異なる色相識別コードが記憶されており、
および/または
ii)1つ以上の他のデータセットの色処方とは異なる色処方に関する情報が記憶されているデータセットの少なくとも90%に、1つ以上の他のデータセット内の異なる色処方識別コードとは異なる色処方識別コードが記憶されている。
【0010】
本特許出願の文脈において、2つ以上の同一の色相は、2つ以上の色相が同じ光の下、好ましくはISO 3664に準拠した同じ標準光の下で見られた場合、または例えば測定条件M0、M1、M2、もしくはM3の下で測定された場合、人間の目には区別できないことを意味すると理解される。特に、2つ以上の同一の色相は、2つ以上の色相が、0.5以下のデルタE値(全体的な色距離を反映する)だけ、好ましくは、0.5以下のΔE00値だけ、および好ましくは最大0.5のdH*(色角距離を反映する)だけ、特に好ましくは最大0.2のdH*だけ、互いに異なることを意味すると理解される。パラメータΔEおよびdH*は、DIN EN ISO 11664-6:2014で定義されている。
【0011】
同様に、本特許出願の文脈における2つ以上の同一の色処方は、同一の着色成分を有し、個々の着色成分の量に関して着色成分あたり最大0.5%だけ互いからずれる色処方を意味すると理解される。したがって、本特許出願によれば、2つ以上の色処方は、それらが少なくとも1つの異なる着色成分を有する場合、またはそれらが同じ着色成分を有し、個々の着色成分の量に関して成分あたり0.5%超だけ互いに異なる場合、異なるとみなされる。この文脈において、成分は、色処方の個々の成分(すなわち、原材料)、または色処方に含まれる半製品、または色処方に含まれる完成品であると理解される。さらに、着色成分は、その添加が色処方の色相を変える成分を意味すると理解される。一方、色処方の色相を変えない成分は、色が中性であると呼ばれる。
【0012】
本発明に従って使用されるデータベースは、それぞれのデータセットに記憶されている塗布方法を使用したそれぞれのデータセットに記憶されている基材上でのデータセットに記憶されている同じ色処方の塗布の後に、各々が異なる色相を有する色製品が取得される、各々同じ色処方に関連する異なるデータセットを含み、これらのデータセットの各々は、同じ色処方識別コード、例えば、数字および/または文字からなるコードを含み、データベースが不必要に冗長なデータセット、すなわち、同じまたは非常に類似した情報のための多数の異なるデータセットを含むこと確実に防ぐことができる。ユーザが新しいデータセットを作成するとき、データベースは色処方識別コードを割り当てる必要がある。この文脈では、ユーザ、または好ましくはデータベースへのデータ入力を操作するコンピュータプログラムは、関連する情報が新たな作成対象のデータセットに情報が記憶される色処方に対して、少なくとも1つのデータセットがすでに含まれるか、または前述の許容値範囲内にない(すなわち、同じ着色成分を有し、かつ、個々の着色成分の量に関して成分あたり最大0.5%だけずれる)かどうかを自動的にチェックする。含まれない場合は新しいデータセットが作成され、新たに割り当てられた色処方識別コードがそのデータセットに記憶される。含まれる場合は少なくとも1つのデータセットが、同じ基材、同じ塗布方法、および塗布方法を使用した基材上での色処方の塗布の後に生じるほぼ同じ色相に関する情報を含むかどうかもチェックされる。含まれる場合、ユーザは、データベースが対応するデータセットをすでに含むというメッセージを受信し、実施形態によっては、作成対象のデータセットは作成されないか、またはユーザがデータセットをいずれにせよ作成されるべきであることを確認した場合にのみ作成される。含まれない場合、色処方のための少なくとも1つのデータセットがデータベース内で見つかったが、これが、同じ基材に関する情報、同じ塗布方法に関する情報および同じ色相に関する情報、同じ色処方識別コードを含まない、すなわち、色処方に関する同じ情報が作成対象の新しいデータセットに記憶されていない場合、すなわち、少なくとも1つのすでに記憶されているデータセット内の色処方と同じ色処方に関する情報が、色処方に直接関連付けられているパラメータとともに記憶される。例えば、色処方の耐紫外線性、耐熱性、または耐薬品性は、色処方自体にのみ依存する。したがって、同じ色処方識別コードを有する全てのデータセットの色処方に直接関連付けられるパラメータに対して、同じ情報が記憶される。これは、例えば、これらのパラメータのためのこれらのデータセットが、色処方に直接関連するパラメータに関するテーブル(このテーブルには、色処方に直接関連付けられているパラメータに関する全ての情報が記憶されている)にアクセスするという事実によって、単純に行うことができる。これは、データベースが、ほぼ同一または非常に類似した色処方に関する情報、基材および塗布方法に関する同一の情報、ならびに塗布方法を使用した基材上での色処方の塗布の後に生じ、かつ人間の目には区別できない、色相に関するほぼ同一または非常に類似した情報を含む2つ以上のデータセットを含まないことを確実にするだけではない。さらに、これにより、同じ色処方に関連するデータセットに、色処方の耐薬品性または耐熱性などの、色処方に直接関連付けられるパラメータに関する異なる情報を含むのを確実に防ぐことができる。これにより、高いデータ品質が保証されるだけでなく、データベースに記憶されている多数の色処方を1つ以上のプロジェクトで使用したい、本方法のユーザが、比較的少数の異なる色処方で管理できるようになる。これは、ユーザまたはユーザによって色処方の製造を依頼された企業が、色処方の成分、および本発明による1つの色処方に置き換えられたほぼ同一または非常に類似した色処方の各々に対して製造された色処方について、別個の製造指定、別個の品質管理指定、および保管空間を提供しなければならないことになるので、有利である。これら全ての理由から、内部に含まれるデータセットの数に基づいて、本発明による方法は、色相、基材、色処方、および塗布方法からなるマトリックスからの非常に多数の変形例をカバーする。
【0013】
本発明による方法の別の利点は、許容値範囲内にある同じ色相を有する色製品につながるデータセットに同じ色相識別コードを割り当てることと、許容値範囲内にある同じ色処方に関連するデータセットに同じ色処方識別コードを割り当てることとによって、同一またはほぼ同一の色処方に関連するデータセットがリンクされること、同一またはほぼ同一の色相を有する色製品を生じるデータセットがリンクされることの両方である。これには、使用される基材に関係なく、ユーザによって販売される全ての包装のユーザの製品の1つに対して、特殊な青色トーンなどの同じ色相を実現したいユーザが、この色相を生じる全てのデータセットを表示できるという利点がある。このような方法で、ユーザは金属上でこの特殊な青の色調を実現できる色処方を確認し、食品包装用厚紙でこの特別な青の色調を実現できる色処方を確認し、および/またはポリプロピレンフィルムでこの特殊な青の色調を実現することができる色処方を確認することができる。これは、許容値範囲内で同じ色相につながるデータセットに同じ色相識別コードを割り当てることを伴わずには不可能であり、というのも、ユーザはその場合、非常に特殊な実験値に対応する色相に関連するデータセットのみを、コンピュータプログラム内で検索することができるが、人間の目には目的の色相とは区別不能である色相を生じる全てのデータセットを検索することができないからである。同様に、ユーザは、許容値範囲内の同じ色処方に関連するデータセットに同じ色処方識別コードを割り当てて、許容値範囲内にある同じ色処方に関連する全てのデータセットを表示することによって、本発明による方法を使用することができ、したがって、ユーザの様々なプロジェクトのうち、特定の色処方を使用できる数をほとんど労力をかけずに決定することができる。このことは、製造バッチが最終的に使い果たされるまでの保管時間が不経済に長くなることなく、生産バッチでこの色処方を大量に製造することが価値があるかどうかについて、ユーザに意思決定のためのより良い根拠を与える。
【0014】
1つ以上の他のデータセットの色相とは異なる色相に関する情報が記憶されているデータセットの少なくとも90%に、1つ以上の他のデータセット内の色相識別コードとは異なる色相識別コードが記憶されており、および/または1つ以上の他のデータセットの色処方とは異なる色処方に関する情報が記憶されているデータセットの少なくとも90%に、1つ以上の他のデータセット内の色処方識別コードとは異なる色処方識別コードが記憶されており、データベースの不必要な冗長性が回避される。好ましくは、1つ以上の他のデータセットの色相とは異なる色相に関する情報が記憶されているデータセットの少なくとも90%に、1つ以上の他のデータセット内の色相識別コードとは異なる色相識別コードが記憶されており、また、1つ以上の他のデータセットの色処方とは異なる色処方に関する情報が記憶されているデータセットの少なくとも90%にあり、1つ以上の他のデータセット内の色処方識別コードとは異なる色処方識別コードが記憶される。
【0015】
本発明によれば、データセットの少なくともいくつかは、各々、少なくとも、色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、およびデータセットに記憶されている基材上でのデータセットに記憶されている塗布方法を使用したデータに記憶されている色処方の塗布の後に生じる色製品の色相に関する情報を含む。データセットの好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に特に好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは全ては、各々、少なくとも、色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、およびデータセットに記憶されている塗布方法を使用したデータセットに記憶されている基材上でのデータセットに記憶されている色処方の塗布の後に生じる色製品の色相に関する情報を含み、色処方に関する情報が、色処方識別コードを含み、色相に関する情報は色相識別コードを含む。
【0016】
本発明によれば、データベースは、少なくとも1つの色相に対して、少なくとも2つの異なるデータセットを含み、それにより、2つ以上の同一の色相は、2つ以上の色相は、同じ光の下で、好ましくはISO 3664に準拠した同じ標準光の下で見られた場合、または例えば測定条件M0、M1、M2、もしくはM3の下で測定された場合、人間の目には区別できず、特に0.5以下のデルタE値だけ互いからずれることを意味すると理解される。全ての一般的なデルタE値は、ΔE*ab、ΔE94、ΔE00、DIN99、DIN99、CMC、Lubbe、Lubbe補正、CIECAM02などのデルタE値として使用することができる。好ましくは、ΔE00を使用する。原理上は、ΔE00の偏差が1までの2つの異なる色相は、訓練された目でしか見ることができない非常に小さな色相偏差に対応している。0.5までのΔE00値の偏差は、通常は視認できないと考えられ、0.2までのΔE00値の偏差は、訓練された目でももはや視認できない。
【0017】
データベースは、好ましくは、少なくとも1つの色相に対して少なくとも2つの異なるデータセットを含み、それにより、2つ以上の同一の色相は、2つ以上の色の色相は、同じ光の下で、好ましくはISO 3664に準拠した同じ標準光の下で見られた場合、または例えば、測定条件M0、M1、M2、もしくはM3の下で測定された場合、0.5を以下のΔE00値だけ互いに異なり、特に好ましくは0.2以下のΔE00値だけ互いに異なることを意味すると理解される。対照的に、2つの色相は、それらが0.5超デルタE値だけ互いに異なり、および好ましくは0.5超のΔE00値だけずれる場合、互いに異なるものであると評価される。2つ以上の色相は、同じ光の下で見られた場合、好ましくは最大0.5のdH*、および特に好ましくは最大0.2のdH*だけ異なる。
【0018】
本発明の利点を特によく使用するために、本発明に従う概念のさらなる発展では、データベースが、色相の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全てに対して、少なくとも2つの異なるデータセットを含み、2つの異なるデータセットの各々が、同じ色相識別コードと、異なる色処方に関する情報、基材に関する情報、および塗布方法に関する情報とを含み、少なくとも2つの異なるデータセットの各データセットの基材および/または塗布方法が、他の少なくとも2つの異なるデータセットの各データセットの基材および/または塗布方法とは異なり、少なくとも2つの異なるデータセットの異なる色処方の各々に対して、同じ色相を有する色製品が、関連するデータセットに記憶されている塗布方法を使用した関連するデータセットに記憶されている基材上での関連する色処方の塗布の後に取得されることが提案される。
【0019】
上述の実施形態では、データベースが、少なくとも1つの色相に対して、異なるデータセットの少なくとも2個、好ましくは少なくとも6個、特に好ましくは少なくとも10個、および非常に特に好ましくは少なくとも20個を含み、これらのデータセットの各々が、同じ色相識別コードと、互いに異なる色処方に関する情報、基材に関する情報、および塗布方法に関する情報とを含み、少なくとも4個の異なるデータセットの各データセットの基材および/または塗布方法が、少なくとも4個の異なるデータセットの他のデータセットの各々の基材および/または塗布方法とは異なり、少なくとも4個の異なるデータセットの異なる色処方の各々に対して、同じ色相を有する色製品が、関連するデータセットに記憶されている塗布方法を使用した関連するデータセットに記憶されている基材上での関連する色処方の塗布の後に取得されることが特に好ましい。
【0020】
好ましくは、1つ以上の他のデータセット内の色相とは異なる色相に関する情報が記憶されているデータセットの少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、特に好ましくは少なくとも99%、および最も好ましくは全てに、1つ以上の他のデータセット内の色相識別コードとは異なる色相識別コードが記憶されていることが提供される。したがって、関連するデータセットに記憶されている基材上での関連するデータセットに記憶されている塗布方法を使用した、関連するデータセットに記憶されている色処方の塗布の後に、別のデータセットに対して取得された色相とは異なる色相を有する色製品が取得され、他の少なくとも1つのデータセットの全ての中の色相識別コードとは異なる色相識別コードが記憶されている各データセットが非常に好ましい。次いでこの文脈において、2つ以上の異なる色相は、同じ光の下で、好ましくは同じ標準光の下で見られた場合、例えば、ISO 3664に準拠した標準光の下で測定された場合、または例えば測定条件M0、M1、M2、もしくはM3下で見られた場合、0.5超のデルタE値でだけ、および好ましくは0.5超のΔE00値だけ互いからずれる色相を意味すると理解される。
【0021】
また、許容値範囲内にある、色相に関する情報が記憶されているデータセットの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、特に好ましくは少なくとも99%、および最も好ましくは全てに、1つ以上の他のデータセットの色相と同じであり、1つ以上の他のデータセット内の色相識別コードと同じ色相識別コードが記憶されることも好ましい。
データセットの各々に記憶されている色相識別コードは、特に数値および/もしくは文字コードまたはテキストであり得る。
【0022】
データセットに記憶されている色相に関する情報は、色相を特徴付けて他の色相と区別できるようにする任意のタイプの情報であってもよい。本発明の特に好ましい実施形態によれば、色相に関する情報は、関連するデータセットに記憶された塗布方法を使用して関連するデータセットに記憶されている基材上で関連するデータセットに記憶された色処方を塗布し、次いで生じた色製品の表面から180~4,000nmの波長範囲にわたるスペクトル曲線を分光光度計で記録することによって取得されたデータである。記録されたスペクトル曲線は、特に好ましくは、400~700nmの波長範囲にわたって記録されたスペクトル反射曲線である。スペクトル反射曲線は、全体的な反射、全反射、拡散反射、または指向性反射が測定されるように記録することができる。光スペクトルは、好ましくは、第1の角度で測定される色製品上へ放射され、反射は、第2の角度でセンサで測定される。例えば、光源は色製品上へ45°の角度で光スペクトルを放射することができ、センサは0°で反射を測定することができるが、両方の角度は垂直、すなわち色製品の表面に直角な平面に関連して意味しており、0°は垂直に対応する。あるいは、光源は色製品に0°の角度で光スペクトルを照射することができ、センサは45°で反射を測定することができ、または光源は色製品に拡散的に光スペクトルを照らすことができ、センサは0°、8°、または任意の他の角度で反射を測定することができる。本発明のこの実施形態におけるスペクトル曲線のデータは、測定された波長範囲のナノメートルごとの反射値、測定された波長範囲の5ナノメートルごとの反射値、測定された波長範囲の10ナノメートルごとの反射値、または他の間隔での反射値であってもよい。
【0023】
本発明の代替の実施形態によれば、色相に関する情報はまた、色相に対応する色空間内の値でもあり得る。この実施形態によれば、色相に関する情報は、好ましくは色相の実験値である。あるいは、LUV値、RGB値、LCh値、またはXYZ値など、他の色空間からの値を使用することもできる。
【0024】
データベース内のデータセットに記憶されている色相に関する情報に関する上記の記述は、本発明による方法のステップb)で入力される目的の色相に等しく適用される。したがって、ステップb)でユーザによって指定される目的の色相は、180~4,000nmの波長範囲にわたって、および好ましくは400~700nmの波長範囲にわたって記録されたスペクトル曲線のデータ、例えば特に、スペクトル反射曲線であり得るか、または色相の実験値などであり得る。
【0025】
本発明によれば、2つの色処方は、それらが同じ着色成分を有し、個々の着色成分の量に関して着色構成ごとに最大0.5%だけ互いに異なる場合、データベースにおいて同じであると評価される。一方、2つ以上の色処方は、それらが少なくとも1つの異なる着色成分を有する場合、またはそれらが同じ着色成分を有する場合、個々の着色成分の量に関して成分ごとに0.5%超だけ異なる場合、互いに異なると評価される。
【0026】
内部に含まれるデータセットの数に基づいて、色相、基材、色処方、および塗布方法からなるマトリックスからの特に多数の変形例を達成するために、データベースが、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全ての色処方に対して、各々、少なくとも2つの異なるデータセットを含み、これらのデータセットが、各々、同じ色処方識別コードと、同じ色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、および関連するデータセットに記憶された塗布方法を使用した関連するデータセットに記憶された基材上での関連するデータセットに記憶された色処方の塗布の後に色製品に対して色相に関する情報とを有し、少なくとも2つの異なるデータセットの各データセットの基材および/または塗布方法が、他の少なくとも2つの異なるデータセットの各データセットの基材および/または塗布方法とは異なり、関連するデータセットに記憶されている塗布方法を使用した関連するデータセットに記憶されている基材への関連する色処方の塗布の後に、色製品が生じ、少なくとも2つの異なるデータセットの各データセットの色製品の色相が、他の少なくとも2つの異なるデータセットの全てのデータセットの色製品の色相とは異なることが、本発明に従う概念のさらなる発展において提案されている。
【0027】
この実施形態では、データベースが、少なくとも1つの色処方に対して、異なるデータセットの少なくとも2個、好ましくは少なくとも6個、特に好ましくは少なくとも10個、および非常に特に好ましくは少なくとも20個を含み、これらの各異なるデータセットが、同じ色処方識別コードと、同じ色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、および関連するデータセットに記憶されている塗布方法を使用した関連するデータセットに記憶されている基材上での関連するデータセットに記憶されている色処方の塗布の後に色製品のために生じる色相に関する情報を有し、少なくとも4個の異なるデータセットの各データセットの基材および/または塗布方法が、他の少なくとも4個の異なるデータセットの各データセットの基材および/または塗布方法とは異なり、関連するデータセットに記憶されている塗布方法を使用した関連するデータセットに記憶されている基材上での関連する色処方の塗布の後に、色製品が生じ、少なくとも4個の異なるデータセットの各データセットの色製品の色相が、他の少なくとも4個の異なるデータセットの全ての色製品の色相とは異なることが特に好ましい。
【0028】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、高いデータ品質を達成するために、1つ以上の他のデータセットの色処方とは異なる色処方に関する情報が記憶されているデータセットの少なくとも90%、好ましくは少なくとも97%、特に好ましくは少なくとも99%、および最も好ましくは全てに、1つ以上の他のデータセット内の色処方識別コードとは異なる色処方識別コードが記憶されることが特に好ましい。
【0029】
また、許容値範囲内にある、色処方に関する情報が記憶されているデータセットの、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、特に好ましくは少なくとも99%、および最も好ましくは全てに、1つ以上の他のデータセットの色処方と同じであり、1つ以上の他のデータセット内の色処方識別コードと同じ色処方識別コードが記憶されることも好ましい。
【0030】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、1つまたはいくつかの他のデータセット内の色相とは異なる色相に関する情報が記憶されているデータセットの、少なくとも99%、および最も好ましくは全てにおいて、1つ以上の他のデータセット内の色相識別コードとは異なる色相識別コードが記憶され、また、1つ以上の他のデータセットの色処方とは異なる色処方に関する情報が記憶されているデータセットの、少なくとも99%、および最も好ましくは全てにおいて、1つ以上の他のデータセット内の色処方識別コードとは異なる色処方識別コードが記憶され、さらに、許容値範囲内にある、1つ以上の他のデータセット内の色相と同じである色相に関する情報が記憶されているデータセットの、99%、および最も好ましくは全てに、1つ以上の他のデータセット内の色相識別コードと同じ色相識別コードが記憶され、最後に、同じ色相識別コードが1つまたは複数の他のデータセットと同じように保存され、最後に、許容値範囲内にある、1つ以上の他のデータセットの色処方と同じ色処方に関する情報が記憶されているデータセットの、99%、および最も好ましくは全てに、1つ以上の他のデータセット内の色処方識別コードと同じ色処方識別コードが記憶されることが提供される。
【0031】
データセットの各々に記憶されている色処方識別コードは、特に数値および/もしくは文字コードまたはテキストであり得る。
【0032】
色処方に直接関連付けられるパラメータ、または同じ色処方もしくは少なくともほぼ同じ色処方に関連する、各データベース内のデータセットに同じ情報が記憶されていることを確実にする観点から、データベースにおける高いデータ品質を達成するために、同じ色処方識別コードが記憶されている少なくとも2つの異なるデータセットの、少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全てがまた、少なくとも1つのさらなるパラメータの情報も含み、少なくとも1つのさらなるパラメータに関するこの情報は色処方の特徴であり、少なくとも2つの異なるデータセットの全てにおいて同一であることが、本発明に従う概念の発展において提案されている。これは、例えば、これらのパラメータのためのこれらのデータセットが、色処方に直接関連するパラメータに関するテーブル(このテーブルには、色処方に直接関連付けられているパラメータに関する全ての情報が記憶されている)にアクセスするという事実によって、単純に行うことができる。これは、データベースが、ほぼ同一または非常に類似した色処方に関する情報、基材および塗布方法に関する同一の情報、ならびに塗布方法を使用した基材上での色処方の塗布の後に生じ、かつ人間の目には区別不能である、色相に関する同一またはほぼ同一の情報を含む、2つ以上のデータセットを含まないことを確実にするだけではない。さらに、これにより、同じ色処方に関連するデータセットが、色処方の耐薬品性または耐熱性などの色処方に直接関連付けられたパラメータの観点から(すなわち、色処方に特徴的なこれらパラメータに対して)異なる情報を含むことを確実に防ぐことができる。
【0033】
上述の実施形態の意味で色処方に直接関連付けられている好適なパラメータの例としては、光、温度、ガンマ線、化学物質、低温殺菌、滅菌、湿気に対する色処方の耐性、および前述の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0034】
データベースの高いデータ品質を維持するために、本発明のさらに特に好ましい実施形態によれば、データベースに新しいデータセットが作成されるとき、ユーザおよび好ましくはデータベースへのデータ入力を操作するコンピュータプログラムは、関連する情報が新しく作成されるデータセットに記憶されている色処方に対して、前述の許容値範囲内に含まれる少なくとも1つのデータセットがすでに存在するかどうかを自動的にチェックし、ここで、存在しない場合、新しいデータセットが作成され、かつ新しく割り当てられた色処方識別コードがその中に記憶され、また存在する場合、少なくとも1つのデータセットが、同じ基材に関する情報、同じ塗布方法に関する情報、および塗布方法を使用した基材上での色処方の塗布の後に生じる同じ色相に関する情報を含むかどうかもチェックされ、ここで、含む場合、ユーザは、対応するデータセットがすでにデータベースに含まれるというメッセージを受信し、次いで、作成対象のデータセットは作成されないか、またはユーザが、データセットがいずれにせよ作成されるべきであることを確認した場合にのみ作成され、また含まない場合、新しく作成されるデータセットに同じ色処方識別コードが記憶されることが提供される。
【0035】
本発明の文脈において、データセットに記憶された色処方に関する情報は、色処方を一意に特徴付ける全てのタイプの情報を意味すると理解される。例えば、この情報には、色処方に含まれる全ての個々の成分または原材料の詳細、およびそれらの量を含めることができる。ただし、1つ以上のブレンドおよび1つ以上の着色剤の混合物などの、半製品の混合物として色処方を指定することもできる。2つ以上の色の混合物など、完成品の混合物として色処方を指定することもできる。これらの場合、情報は、色処方に含まれる全ての個々の成分または原材料の指定およびそれらの量、色処方に含まれる全ての半製品の指定およびそれらの量、または色処方に含まれる全ての完成品の指定およびそれらの量を含む。また、色処方を、個々の成分もしくは原材料と半製品との混合物として、個々の成分もしくは原材料と完成品との混合物として、半製品と完成品との混合物として、または個々の成分もしくは原材料と半製品と完成品との混合物として指定することも可能である。最後に、商品名または文字および/もしくは数字の組み合わせで構成されるコードを使用して色処方を指定することもできる。
【0036】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる色処方の、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全てが、半製品、すなわち、好ましくは少なくとも1つの着色剤および少なくとも1つの非着色ブレンドから構成されることが提供される。色処方は、特に好ましくは2~15個、および特に好ましくは2~10個の半製品から構成される。例えば、色処方は2~4個の着色剤および非着色ブレンドから構成されることが好ましい。例えば、溶剤または溶剤混合物などのさらなる半製品または原材料、スリップ添加剤、ワックス添加剤、または消泡剤などの添加剤、接着促進剤、光開始剤、安定剤、乾燥剤、または硬化剤などを、これらの着色および非着色成分に加えることができる。この実施形態では、データセットに記憶された色処方に関する情報は、色処方に含まれる全ての半製品の指定およびそれらの量を含む。非着色ブレンドは、結合剤、溶剤、ワックス、添加剤、反応性シンナー、光開始剤、硬化剤、およびこれらの化合物の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの成分を含むことができる。少なくとも1つの着色剤は、好ましくは、固体、液体またはペースト形態の顔料配合物、または1つの顔料または2つ以上の顔料の混合物、または1つの染料または複数の染料の混合物が溶剤、結合剤、または溶剤と結合剤との混合物中に分散されている1つ以上の染料を含む配合物である。着色剤は、例えば、金属効果顔料、真珠光沢顔料、金属酸化物でコーティングされた雲母、干渉顔料、発光顔料、UV吸収顔料、IR吸収顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料、ピエゾ電子顔料、磁性顔料、および上記の顔料タイプの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から好ましくは選択される少なくとも1つの効果顔料を含むことができる。あるいは、またはこれに加えて、着色顔料、白色顔料、黒色顔料、または染料などの非効果顔料を使用することもできる。少なくとも1つの着色剤は、好ましくは、添加剤、反応性シンナー、光開始剤、硬化剤、および上記の化合物の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の化合物をさらに含む。例えば、少なくとも1つの着色剤は、添加剤として分散剤を含むことができる。
【0037】
本発明の代替の実施形態によれば、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる色処方の、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全てが、完成品、すなわち好ましくは2~15色、特に好ましくは2~10色からなる色処方からなることが提供される。これらは、着色剤として少なくとも1つの効果顔料を含むことができ、これは、好ましくは、金属効果顔料、真珠光沢顔料、金属酸化物でコーティングされた雲母、干渉顔料、発光顔料、UV吸収顔料、IR吸収顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料、ピエゾ電子顔料、磁性顔料、および上記の顔料タイプの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される。あるいは、またはこれに加えて、非効果顔料または染料を使用することもできる。
【0038】
本発明のさらなる代替の実施形態によれば、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる色処方のいくつかは、完成品、すなわち、好ましくは2~5色、および場合によってはブレンドなどの追加の色が中性の成分からなるのに対し、色処方の他の部分は、半製品、すなわち好ましくは2~10個の半製品からなることが提供される。
【0039】
本発明は、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる色処方のタイプに関して限定されない。関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる色処方の、好ましくは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全ては、印刷インク、色コーティング、粉体コーティング、レザーインク、および織物インクからなるグループから選択される。
【0040】
色相に関する情報および色処方に関する情報に加えて、対応するデータセットはまた、関連する情報がこれらのデータセットに含まれる基材上での塗布方法を使用した、関連する情報がこれらのデータセットに含まれる色処方の塗布を通じて色相が生じる塗布方法および基材に関する情報も含む。塗布方法に関する情報は、ウェブオフセット印刷などの塗布方法の指定、塗布方法を識別する数字および/もしくは文字コードまたはテキストなどの指定を含むが、基材に関する情報は、例えば、基材を識別する数字および/または文字コードまたはテキストの指定であるか、または180~4000nm、好ましくは400~700nmの波長範囲、特にスペクトル反射曲線などの波長範囲にわたって記録されたスペクトル曲線のデータであるか、または基材の実験値などである。
【0041】
本発明は、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる塗布方法の種類に関して制限されない。したがって、塗布方法は、色処方を基材に塗布することができる任意の塗布方法であり得る。例えば、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる塗布方法は、印刷方法、皮革染色プロセス、織物染色プロセス、塗装、圧延、吹き付け、浸漬、ローラコーティング、浸水、艶出し、粉体コーティング、エナメル加工、および上記の方法のうちの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される塗布方法であり得る。関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる塗布方法は、好ましくは、平版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、デジタル印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、パッド印刷、転写印刷、昇華印刷、コロタイプ印刷、皮革染色プロセス、織物染色プロセス、および上記の方法の2つ以上の任意の組み合わせから選択されるものである。平版印刷の例としては、枚葉オフセット印刷、ウェブオフセット印刷、石版印刷、リソグラフィー印刷が挙げられるが、デジタル印刷の例としては、ゼログラフィーおよびインクジェットが挙げられる。
【0042】
データベース内のデータセットにこの目的のために記憶された塗布方法に関する情報に関する上記の記述は、本発明による方法のステップb)で入力される目的の塗布方法に等しく適用される。したがって、ステップb)においてユーザが指定する目的の塗布方法は、塗布方法の指定、塗布方法を識別する数値および/もしくは数字コードまたはテキストなどの指定であってもよく、上で説明される同じ方法群から目的の塗布方法を選択することができる。
【0043】
本発明はまた、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる基材のタイプ、およびステップb)で入力される目的の基材に関して特に限定されない。したがって、基材および目的の基材は、塗布方法を使用して色処方を塗布することができる任意の基材であり得る。例えば、基材および目的の基材は、紙、厚紙、板紙、プラスチックフィルム、皮革、織物、金属、木材、ガラス、セラミック、スキン、金属化表面、コンクリート、プラスチック体、積層体、複合材料、および上記の基材のうちの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される基材であり得る。基材または目的の基材は、好ましくは、新聞用紙、非コート紙、コート紙、厚紙、板紙、段ボール、プラスチックフィルム(例えば、PEポリエチレン、OPPポリプロピレン、OPAポリアミド、PVCポリ塩化ビニル、PETポリエチレンテレフタレート、PLAポリラクチドフィルムからなる)、フェルト、不織布、プラスチックおよびアルミニウムフィルムからなる積層体、皮革、織物、および上記の2つ以上の基材の任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0044】
データセットに含まれる基材に関する情報には、特殊紙などの基材の指定、基材を識別する数値および/もしくは文字コードまたはテキストの指定、180~4000nm、好ましくは400~700nmの波長範囲にわたって記録されたスペクトル曲線のデータ、例えば特に、スペクトル反射曲線、基材の実験値などを含むことができる。代替として、またはこれに加えて、例えば、その名称または商品名もまた、入力することができ、または基材についてスペクトル曲線を測定するか、もしくは読み取ることができる。データベース内のデータセットに記憶されている各基材に関する情報は、好ましくは、関連する基材のスペクトル曲線を180~4000nm、好ましくは400~700nmの波長範囲にわたって分光光度計で記録することによって取得されたデータである。これは、特に好ましくは、180~4000nm、好ましくは400から700nmの波長範囲にわたって記録されたスペクトル反射曲線であり、この曲線に対して、全体的な反射、全反射、拡散反射、または指向性反射を測定することができる。測定は、例えば、入射角/センサ測定角度45°/0°、0°/45°、拡散照射/0°、拡散照射/8°、または他の角度で、それぞれ表面に対して行うことができる。本発明のこの実施形態では、スペクトル曲線のデータは、180~4000nm、好ましくは400~700nmの各ナノメートルの反射値、180~4000nm、好ましくは400~700nmの5ナノメートルごとの反射値、180~4000nm、好ましくは400~700nmの10ナノメートルごとの反射値、または他の距離での反射値であり得る。
【0045】
この目的のために基材に関する上記の記述およびデータベース内のデータセットに記憶された情報は、本発明による方法のステップb)で入力される目的の基材に等しく適用される。したがって、目的の基材は、特に上述の群から選択することができる。さらに、ステップb)において、目的の基材が、基材を識別する数値および/もしくは文字コードまたはテキスト、180~4000nm、好ましくは400~700nmの波長範囲にわたって記録されたスペクトル曲線のデータ、例えば特にスペクトル反射曲線、目的の基材の実験値、目的の基材の呼称または商品名を入力することが特に可能である。
【0046】
ステップb)での指定は、好ましくは、コンピュータプログラムに入力を行うユーザによって実行される。ユーザがステップb)でコンピュータプログラムに指定を入力できるようにするために、本発明に従う概念のさらなる発展では、コンピュータプログラムは、入力されるパラメータ、すなわち、目的の塗布方法、目的の基材、および目的の色相のクリック可能な事前選択を含むことが提案される。これに代わるものとして、データを転送することによって、例えば、対応するデータをデータキャリアまたはコンピュータに記憶されたファイルからコンピュータプログラムに転送することによって指定を行うこともできる。
【0047】
ステップb)で目的の塗布方法を指定できるようにするために、コンピュータプログラムは、ユーザがステップb)をクリックすることによって目的の塗布方法を指定することができる塗布方法のクリック可能な事前選択を含むことが好ましい。あるいは、コンピュータプログラムは、目的の塗布方法をテキストとして、または目的の塗布方法を識別する数値および/もしくはテキストコードとして入力することを可能にするようにプログラムすることができる。
【0048】
本発明に従う概念のさらなる発展では、コンピュータプログラムは、ユーザがステップb)における以下の方法の少なくとも1つ、および好ましくは全てにおいて、目的の基材を指定できるような方法で構成されることが提案される:
i)180~4000nm、および好ましくは400~700nmの分光光度計で記録されたスペクトル曲線、好ましくはスペクトル反射曲線、および特に好ましくは上記で説明したように測定された目的の基材のスペクトル反射曲線のデータを、例えばDVDまたはUSBスティックなどから直接(すなわち、介在されたデータキャリアを使用せずに)コンピュータプログラムに転送すること、
ii)コンピュータプログラムに記憶されている異なる基材の事前選択の集合から目的の基材をクリックすること、
iii)スペクトル曲線、好ましくはスペクトル反射曲線、および特に好ましくは上記で説明したように測定された目的の基材のスペクトル反射曲線の値をコンピュータプログラムに、例えば、180~4000nm、および好ましくは400~700nmの波長の反射値を、1nm間隔、5nm間隔、10nm間隔、または他の間隔で数字として入力することによって、コンピュータプログラムに入力すること、
iv)目的の基材の実験値または別の色空間の値、例えば、LUV値、RGB値、LCh値、またはXYZ値などをコンピュータプログラムに入力または転送すること。
【0049】
同様に、コンピュータプログラムは、ユーザがステップb)における以下の方法の少なくとも1つ、および好ましくは全てにおいて、目的の色相を指定できるような方法で構成されることが好ましい:
i)180~4000nm、および好ましくは400~700nmの分光光度計で記録されたスペクトル曲線、好ましくはスペクトル反射曲線、および特に好ましくは上記で説明したように測定された目的の色相のスペクトル反射曲線のデータを、例えばDVDまたはUSBスティックなどから直接(すなわち、介在されたデータキャリアを使用せずに)コンピュータプログラムに転送すること、
ii)コンピュータプログラムに記憶されている異なる色相の事前選択の集合から目的の色相をクリックすること、
iii)スペクトル曲線、好ましくはスペクトル反射曲線、および特に好ましくは上記で説明したように測定された目的の色相のスペクトル反射曲線の値をコンピュータプログラムに、例えば、180~4000nm、および好ましくは400~700nmの波長の反射値を、1nm間隔、5nm間隔、10nm間隔、または他の間隔で数字として入力することによって、コンピュータプログラムに入力するかまたは読み取ること、
iv)目的の色相の実験値または別の色空間の値、例えば、LUV値、RGB値、LCh値、またはXYZ値などをコンピュータプログラムに入力し、読み取り、または転送すること。
【0050】
本発明によれば、ステップc)において、データベースは、コンピュータプログラムを使用して検索され、データベースが、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用して、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用したステップb)で指定された目的の基材への塗布の後に、ステップb)で指定された目的の色相に対応するか、または多くとも指定された許容値内で目的の色相からずれる、色相を有する色製品において、関連する情報がデータセットに含まれる色処方が生じる、少なくとも1つのデータセットを含むかどうかを決定する。人間の目が2つのほぼ同一の色相のわずかな違いを認識できないという事実を考慮に入れるために、許容値が付与される。したがって、許容値を設定すると、指定された目的の色相からの許容できないずれを受け入れる必要を伴わずに、ステップc)でのヒットの確率が高まる。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、ステップc)の許容値は、コンピュータプログラム内で事前設定されている。
【0052】
あるいは、ユーザがステップc)の許容誤差をコンピュータプログラムに入力できることを提供することができる。この目的のために、コンピュータプログラムは、例えば数値を入力することによって、許容値を連続的に設定できるような方法で構成することができる。コンピュータプログラムを、例えば、ユーザがコンピュータプログラムによって指定された複数の許容値の1つをクリックして選択することによって、ユーザがコンピュータプログラム内で指定されたデフォルト設定に従って許容値を設定できるように設計することも可能である。また、コンピュータプログラムを、ユーザが、コンピュータプログラム内で指定されたデフォルト設定に従って許容値を設定するか、または例えば数値を入力することによって決定できるような方法で構成することによって、両実施形態を組み合わせることも可能である。
【0053】
本発明に従う概念のさらなる発展では、ステップc)において、最大許容誤差が最大2、好ましくは最大1、特に好ましくは最大0.5、および非常に特に好ましくは最大0.2のデルタE値に対応するように、この許容値がコンピュータプログラム内で事前設定されているか、またはユーザによって入力されているかに関係なく、最大許容値を設定することが提案される。全ての一般的なデルタE値は、ΔE*ab、ΔE94、ΔE00、DIN99、DIN99、CMC、Lubbe、Lubbe補正、CIECAM02などのデルタE値として使用することができる。好ましくは、ΔE00を使用する。
【0054】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ステップd)において、目的の色相を最もよく生じる色処方のみが表示されることが提供される。ステップc)において、関連する情報がデータセットに含まれる色処方を有する2つ以上のデータセットが見つかった場合、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用したステップb)で指定された目的の基材への塗布の後に、ステップb)で指定された目的の色相に対応するか、または多くとも指定された許容値で目的の色相からずれる色相を有する色製品を生じ、したがって、この好ましい実施形態によれば、目的の色相から最小でずれる(すなわち、ΔE00値が最小である)色相を有する色製品を生じるそのデータセットのみが表示される。
【0055】
上述したように、色処方は原則として全ての個々の原材料の量の処方として与えることができる。ただし、このような色処方は非常に複雑であるため、全ての原材料を最初に調達する必要があるため、特にロジスティック的に複雑な製造プロセスで色全体を製造する必要がある。したがって、色処方は、1つ以上のブレンドおよび1つ以上の着色剤の混合物などの半製品の混合物として、または複数の色の混合物などの完成品の混合物として、任意選択で追加のブレンドを使用して指定することが好ましい。このため、ステップd)において、色処方の組成は、i)半製品の混合物として、好ましくは2~15個の半製品の混合物として、および特に好ましくは2~5個の半製品の混合物として、もしくはii)完成品の混合物として、好ましくは2~15個の完成品の混合物として、および特に好ましくは2~5個の完成品の混合物として示され、またはiii)半製品と完成品との混合物として示され、またはiv)半製品と個々の成分の混合物として示され、またはv)完成品と個々の成分の混合物として示されている、またはvi)半製品と完成品と個々の成分との混合物をして示され、またはvii)個々の成分の混合物として示されることが好ましい。
【0056】
したがって、少なくとも1つのデータセットに記憶された色処方に関する情報の表示は、これらの実施形態では、量の指定と、色処方が構成される個々の半製品または完成品の指定とを含む。
【0057】
本発明は、多数のデータセットを有するデータベースの使用に特に好適である。本発明による方法に使用されるデータベースは、好ましくは、10超のデータセット、より好ましくは100超のデータセット、さらにより好ましくは1,000超のデータセット、特に好ましくは10,000超のデータセット、特に好ましくは100,000超のデータセット、非常に特に好ましくは500,000超のデータセット、および最も好ましくは100万データセット以上を含む。
【0058】
本発明による方法のステップc)で見つかったヒットを表示した後、ユーザは、見つかった色処方を製造するか、またはそれをサービスプロバイダに製造させることができる。特に、データベースに含まれる情報に従って、ステップc)で見つかった色処方が、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用した、ステップb)で指定された目的の基材への塗布の後に、ステップb)で指定された目的の色相から、指定された許容値内(例えばΔE00の値が0.5である)でずれた色相を有する色製品を生じる場合、ユーザは、最初に色処方を作成する必要を伴わずに、生じた色相を受け入れて、その色を製造するか、または製造させるかを決定する前にその色相を目視で見ることができれば有利である。可能な限り少ない労力でこれを可能にするために、本発明のさらに特に好ましい実施形態によれば、コンピュータプログラムは、色相をシミュレートまたは計算することができる試験アルゴリズムを含み、シミュレートまたは計算された色相が、コンピュータを使用して、試験基材上で、ステップb)で指定された目的の塗布方法とは異なる試験プリンタを介して印刷すると、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用して、ステップb)で指定された目的の基材上に、ステップc)で見つかった色処方の塗布と同じ色相が製造されることが提供される。この実施形態では、コンピュータプログラムは、好ましくは、ユーザが、例えば、コンピュータプログラムによって表示されるリスト内の対応する試験プリンタおよび試験基材をクリックすることによって、または試験プリンタおよび試験基材を指定する数字および/または数字コードなどを入力することによって、試験紙プリンタおよび試験基材を識別できるように構成される。試験プリンタは、好ましくは、慣習的かつ世界中で市販されている紙プリンタ、枚葉オフセット印刷機、スクリーン印刷機、またはグラビア印刷機である。試験プリンタは、特に好ましくは、慣習的かつ世界中で市販されている紙プリンタであり、特に好ましくは、少なくとも4色紙プリンタであり、および最も好ましくは少なくとも7色紙プリンタである。この文脈では、少なくとも4色紙プリンタは、少なくとも、4色紙プリンタ、5色紙プリンタ、6色紙プリンタ、またはさらに多くの色を含む紙プリンタを意味し、またこの文脈での少なくとも7色紙プリンタは、7色紙プリンタ、8色紙プリンタ、9色紙プリンタ、またはさらに多くの色を含む紙プリンタを意味する。この方法で、指定された色相を非常に正確に再現することができる。一般的な4色プリンタは、典型的には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色に基づいている。本発明によれば、好適な少なくとも7色プリンタは、好ましくは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、オレンジ、バイオレット、およびグリーンの色を含む。特に、試験紙プリンタは、慣習的で世界的に市販されているインクジェットプリンタまたはレーザープリンタであり、および最も好ましくは、少なくとも7色のインクジェットプリンタである。試験基材は、好ましくは世界中で市販されている市販のインクジェット印刷またはレーザ印刷紙である。この実施形態により、ユーザは、本発明による方法のステップd)で表示される色処方を目的の基材(ある状況下では調達するのに高価であり得)に目的の塗布方法(ある状況下では複雑であり得る)を使用して塗布する必要を伴わずに、本発明による方法のステップd)で表示された色処方が目的の塗布方法を使用して基材に塗布されたときに生じる色相を、簡単かつ安価に見て評価することができる。これは、試験アルゴリズムで計算された色相が、ステップd)で表示された色処方を目的の塗布方法を使用して目的の基材に塗布したときに生じる色相に対応しているためである。したがって、本発明のこの実施形態は、ユーザが、ステップd)で表示された色処方がユーザのニーズに対して正しいものであるかどうかを特に容易かつ迅速にチェックすることを可能にする。色処方が正しいものであれば、ユーザは好適な製造業者にその色処方を注文することができる。
【0059】
多くの場合、ユーザが目指す色製品は、色が提供される基材だけでなく、例えば、色処方が指定された塗布方法を使用して指定された基材に塗布された後、トップコートまたはプライマーが塗布された対応する色製品である。トップコートまたはプライマーは、マット塗料、効果塗料、触覚塗料、香り付き塗料などのように色が中性でない場合には、少なくとも色製品の色相をわずかに変化させる。トップコートまたはプライマーの色が中性であっても、トップコートまたはプライマーは色製品の光沢に影響を与える。この方法でこれらの効果を考慮に入れるために、データセットの少なくとも10%、および好ましくは少なくとも30%などのデータセットの少なくともいくつかは、トップコートまたはプライマーに関する指定も含むことが好ましく、関連するデータセットに記憶されている色相は、データセットに記憶されている色処方をデータセットに記憶されている塗布方法を使用してデータセットに保存されている基材上に印刷し、次いでデータセットに保存されているトップコートまたはプライマーを塗布することによって取得される色製品の1つである。これにより、トップコートまたはプライマーが使用された場合でも、本発明による方法は、指定された許容値で、トップコートまたはプライマーを含む色製品に所望の色相を生じる色処方を確認できるようになる。
【0060】
上記の理由から、本発明による方法に使用されるコンピュータプログラムは、ユーザが、ステップb)でトップコートまたはプライマー、およびトップコートまたはプライマーを塗布する量を指定し、データベースがステップc)で検索されて、データベースが、ステップb)で指定されたターゲット塗布方法を使用してステップb)で指定された目的の基材に塗布し、次いでステップb)で指定されたオーバーコートまたはプライマーを指定された量塗布するときに、記憶された色処方が、指定された最大許容値で指定された色相を生じる少なくとも1つのデータセットを含むかどうかを確認するように構成されていることが好ましい。
【0061】
この実施形態はまた、印刷インクにも特に好ましく、その場合、オーバーコートはオーバーコートワニスであり、塗布方法は印刷方法であり、基材は紙、厚紙、板金、またはプラスチックフィルムである。
【0062】
印刷インクに加えて、本発明による方法はまた、皮革および織物の染色プロセスに特に好適であり、その結果、塗布方法は、特に皮革染色プロセスまたは織物染色プロセスであり得、基材は、皮革または織物であり得る。
【0063】
本発明のさらに特に好ましい実施形態によれば、データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全ては、以下の特性のうちの少なくとも1つに関する情報も含む:
i)色製品の1つ以上のハーフトーン、
ii)色製品の光沢レベル、
iii)色製品の異なる視野角での異なる光沢レベル、
iv)色製品の触覚(すなわち触覚的に知覚可能な)特性、
v)色製品の耐擦傷性、
vi)色製品の引き裂き強度、
vii)色製品の引張強度、
viii)色製品の光に対する耐性、
ix)色製品の温度に対する耐性、
x)色製品のガンマ線に対する耐性、
xi)色製品の化学物質に対する耐性、
xii)色製品の低温殺菌に対する耐性、
xiii)色製品の滅菌に対する耐性、
xiv)色製品の湿気に対する耐性、
xv)色製品の層間剥離に対する耐性、
xvi)色処方に特定の成分が含まれていないこと
xvii)色製品の不透明度、
xviii)色製品の滑り特性。
【0064】
次に、色製品は、関連する情報が対応するデータセットに含まれる色処方を、関連する情報が対応するデータセットに含まれる塗布方法を使用して、関連する情報が対応するデータセットに含まれる基材に塗布することによって取得される製品である。
本発明のさらなる実施形態によれば、塗布方法は、データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全てがまた、以下の特徴のうちの少なくとも1つに関する情報も含む織物染色プロセスである:
i)帯電防止仕上げ、
ii)難燃性仕上げ、
iii)撥水性、
iv)撥油性、
v)親水化、
vi)固定、
vii)仕上げ、
viii)調整、
ix)ワックスによるコーティング、
x)フッ素樹脂によるコーティング、
xi)耐光性、
xii)耐洗濯性、
xiii)摩擦に対する堅牢性。
【0065】
本発明のさらなる実施形態によれば、塗布方法は、データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全てはまた、以下の特性のうちの少なくとも1つに関する情報も含む皮革染色プロセスである:
i)ポリウレタンドレッシング、
ii)アニリンドレッシング、
iii)ニトロセルロースドレッシング、
iv)含浸、
v)エンボス加工、
vi)オイルドレッシング、
vii)ワックスドレッシング、
viii)コーティング(油性コーティング)、
ix)コーティング(常温コーティング)、
x)耐光性、
xi)摩擦に対する堅牢性、
xii)汚れをはじくこと、
xiii)光沢。
【0066】
これらの最後の3つの実施形態は、本発明による方法で、所望の目的の塗布方法を使用して所望の目的の基材に塗布されたときに、所望の目的の色相を有する色製品をも生じる色処方を確認するだけでなく、特に、所望の耐薬品性などの所望の追加の特性を有し、かつ色製品などの所望の光沢につながる対応する色処方を確認することも可能にする。
【0067】
この実施形態を実装するために、本発明による方法に使用されるコンピュータプログラムは、ユーザが、印刷方法のための特性i)~xviii)、または織物および皮革のための特性i)~xiii)のうちの少なくとも1つを、ステップb)において追加で指定できるように構成されることも好ましい。
【0068】
この実施形態の利点をより大きく達成するために、本発明に従う概念のさらなる発展では、データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全てはまた、特性i)~xviii)の少なくとも3個、好ましくは少なくとも5個、特に好ましくは少なくとも10個、非常に特に好ましくは少なくとも15個、および最も好ましくは全てに関する情報も含み、好ましくはステップb)においてユーザがこれを指定できることが提案される。
【0069】
本発明に従う概念のさらなる発展では、データベースに含まれるデータセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に特に好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは全ては、3つの異なる角度、好ましくは20°、60°、85°で、ただし色製品の表面に対して少なくとも60°で、特定の光沢値を含み、ユーザは、色製品の3つの異なる角度で達成される目的の光沢値をステップb)で指定することができるということ提案される。この実施形態では、光沢値は、少なくとも光沢、セミマット、およびマットの間で等級付けされることが特に好ましい。例えば、マット塗料は、0~24の光沢値を有し、セミマット塗料は、25~50の光沢値に対応し、光沢塗料は、51を上回る光沢値に対応することができる。
【0070】
光沢値は、DIN67530/ISO 2813に従って測定され、塗料は、例えば6-μmのドクターブレードで塗布される。
【0071】
本発明のさらに非常に特に好ましい実施形態によれば、データベースに含まれるデータセットの、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に特に好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは全ては、少なくとも1つのハーフトーンに関する情報を含み、この情報は、関連する情報が対応するデータセットに記憶されている色処方が目的の塗布方法を使用してハーフトーンとして目的の基材上に塗布されたときに取得される、色製品が有する色相に関する少なくとも情報を含む。これにより、所望の色相がフルトーンおよび個々のグラデーション/ハーフトーンでどのように表示されるか、またはそれに応じてどのスペクトル曲線が生じるかについて記述を作成することができる。これは、ハーフトーンで、複数の異なる顔料の組み合わせから混合された視覚的およびスペクトル的に同一の色相を区別できるようにするために好ましい。フルトーンは視覚的にもスペクトル的にも同じように表示され得るが、異なる顔料の組み合わせが存在する場合、ハーフトーンで異なる色相/色/位置が取得される。
【0072】
この実施形態では、対応するデータセットが、少なくとも2つのハーフトーン、好ましくは少なくとも4つのハーフトーン、特に好ましくは少なくとも6つのハーフトーンに関する対応する情報を含むことが特に好ましく、ここで、少なくとも2つのハーフトーンの各々に関する情報は、関連する色製品が有する、関連する色相に関する情報を少なくとも含み、これは、色処方に関する情報が対応するデータセットに記憶されている色処方が、目的の塗布方法を使用して、目的の基材に、関連するハーフトーンとして塗布されたときに取得される。関連する情報が関連するデータセットに含まれるハーフトーンは、好ましくは少なくとも25%、特に好ましくは少なくとも50%、非常に特に好ましくは少なくとも75%、および最も好ましくは全体のハーフトーン範囲をカバーする。
【0073】
この実施形態を実装するために、本発明による方法で使用されるコンピュータプログラムはまた、ユーザがフルトーンおよび少なくとも1つのハーフトーンの両方の値をステップb)で指定(測定、読み込み)できるように構成されることも好ましい。
【0074】
特に、本発明による方法に使用されるデータベースが任意の他の特性i)~xviii)とともに、塗布方法、基材、および色相の全ての可能な組み合わせのためのデータセットをまだ含まない、データベースの構築の開始時において、ステップb)で入力された目的の塗布方法、目的の基材、および目的の色相の特別な組み合わせに対して、方法ステップc)で好適なデータセットが見つからないことは避けられない。この場合、ユーザの所望のプロジェクトを実行できる色処方をユーザに同様に提供するために、本発明に従う概念のさらなる発展では、コンピュータプログラムが、指定された目的の塗布方法を使用した指定された目的の基材上での塗布の後に、指定された最大許容値による目的の色製品の指定された色相を生じる色処方を計算することを可能にする処方アルゴリズムを含むことが提案される。
【0075】
コンピュータプログラムは、好ましくは、ステップc)で好適なデータセットが見つからなかった場合に色処方を計算する処方アルゴリズムが実行されるように構成される。
【0076】
さらに、色処方を計算する処方アルゴリズムが実行される前に、色処方に対する適切な成分が、ユーザの指定に基づいて、コンピュータプログラムから処方アルゴリズムに転送され、そこから処方アルゴリズムのみが色処方を計算することが好ましい。色処方の成分とは、それらの特性および色特性とともにデータベースに記憶される原材料、半製品、および/または完成品を意味すると理解される。この実施形態は、ユーザが所望の目的の色相を受け取るだけでなく、特に、特性i)~xviii)の1つ以上の、さらに指定された特性も満たす色処方を計算することを可能にする。例えば、ユーザが、例えば、酸に対して達成されるべき特定の耐薬品性をステップb)で指定する場合、コンピュータプログラムは、それらの成分、すなわち、原材料、半製品、および/または完成品をこの耐薬品性を有する処方アルゴリズムに転送するだけである。
【0077】
本発明の上記の実施形態では、コンピュータプログラムから処方アルゴリズムに転送される色処方の成分が、特に、ユーザによって指定されたi)~xvi)の基準の少なくとも1個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも5個、特に好ましくは少なくとも10個、非常に特に好ましくは少なくとも15個、および最も好ましくは全てを満たすことが好ましい。
【0078】
本発明のさらに非常に特に好ましい実施形態によれば、データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、非常に特に好ましくは少なくとも80%、および最も好ましくは全てはまた、例えば、ステップd)で示された色処方の第1の製造バッチの一部を白色コート紙にスプレッドコーティングし、スペクトル曲線、特に好ましくは180~4000nmの、好ましくは白色コート紙の表面の400~700nmのスペクトル反射曲線を分光光度計で記録することによって取得された第1の製造色製品の表面のスペクトル曲線に関する情報も含む。スプレッドコーティングに加えて、最初の製造バッチはまた、実験室校正、吹き付け塗装、またはドクターブレードストロークなどの任意の他の塗布方法を使用して、基材、好ましくは紙に塗布することもできる。この実施形態は、製造されるさらなる各製造バッチの品質管理を容易にする。各々のさらなる製造バッチに対して、次いで色処方のさらなる生産バッチの一部を同じコーティングされた紙にスプレッドコーティングして品質管理を行い、最初の製造バッチと同じ条件で、この方法で取得された色製品の表面からスペクトル曲線を記録することができる。この方法で取得されたスペクトル曲線は、データセットに記憶されているスペクトル曲線と比較するだけでよい。この比較から取得された偏差が指定された許容値範囲内にある場合、バッチを販売することができる。それ以外の場合は、スペクトル曲線を使用して製造された参照色製品の許容値範囲内の色相が取得されるまで、1つ以上の成分を追加してバッチを修正する必要がある。
【0079】
本発明に従う概念のさらなる発展では、この実施形態において、データセット少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも60%、非常に特に好ましくは少なくとも80%が提案される。および最も好ましくは全ては、例えば、ステップd)で示された色処方の第2の製造バッチの一部を白色コート紙にスプレッドコーティングし、180~4,000nm、好ましくは白色コート紙の表面の400~700nmのスペクトル曲線を分光光度計で記録することによって取得された第2の製造色製品の表面のスペクトル曲線も含む。スプレッドコーティングに加えて、第2の製造バッチはまた、例えば、実験室校正またはドクターブレードストロークなどの他の任意の塗布方法を使用して、基材、好ましくは紙に塗布することができる。
【0080】
さらに、本発明のこの実施形態では、データセットが、第2の製造色製品のスペクトル曲線に加えて、第1の製造バッチの予備サンプルで製造された色製品のスペクトル曲線を含むことが好ましく、この第1の製造バッチは、ステップd)で示された色処方の第1の製造バッチの予備サンプルの一部を白色コート紙上へスプレッドコーティングすることによって、およびステップd)で示されたスプレッドコーティングおよび色処方の第2の製造バッチの一部のスペクトル曲線の記録と同時に、白色コート紙の表面の180~4,000nm、好ましくは400~700nmのスペクトル曲線を分光光度計で記録することによって取得されたものである。両方のサンプルを同じ白色コート紙上へ同時にスプレッドコーティングして比較することにより、品質管理の精度をさらに高めることができる。
【0081】
本発明に従う概念のさらなる発展では、データセットの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に特に好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは全ては、少なくとも1つの参照色相、1つの参照塗布方法、および1つの参照基材に関する情報を含み、参照色相は、関連する情報がデータセットに含まれる色処方が参照と付方法を使用して参照基材に塗布されたときに取得され、参照塗布方法は、関連する情報がデータセットに含まれる塗布情報とは異なり、および/または参照基材は、関連する情報がデータセットに含まれる基材とは異なることが提案される。
【0082】
データセットのうちの少なくとも1つ、好ましくは多数のデータセット、特に好ましくは全てのデータセットはまた、少なくとも1つの参照色相に関する情報、1つの参照塗布方法に関する情報、および1つの参照基材に関する情報を含むので、色処方の製造されたバッチは、信頼性の高い品質管理を簡単に受けることができる。色処方の製造されたバッチの対応する量を参照塗布方法を使用して参照基材に塗布し、次いで、このような方法で製造された参照色製品の色相を、関連する情報がデータセットに含まれる参照色相と比較するだけでよい。この比較から取得された偏差が指定された許容値範囲内にある場合、バッチを販売することができる。それ以外の場合は、スペクトル曲線を使用して製造された参照色製品の許容値範囲内の色相が取得されるまで、1つ以上の成分を追加してバッチを修正する必要がある。本発明による方法の特定の利点は、品質管理が、製造された色処方を顧客によって指定された目的の塗布方法(通常は複雑なシステムを必要とする)で顧客によって指定された目的の基材(おそらく非常に特殊で商業的に入手困難な基材)に塗布することを色製造業者に要求せず、顧客は、例えば、世界中で入手可能で一般的な標準的な紙である参照基材を、参照塗布方法(好ましくは単純で複雑なシステムを必要としない)で使用するだけでよいということである。それ以外の場合、色製造業者は、各個々の色処方に対して顧客が指定した対応する目的の基材(顧客の場所では入手できない場合があり得るか、または見出すのが非常に困難であり得る)を調達する必要があり、顧客によって指定された特定の目的の塗布方法を使用しなければならないであろう。この場合、多数の異なる色処方を製造する色製造業者は、多数の異なる、おそらく取得が困難な目的の基材、およびウェブオフセット印刷機、グラビア印刷機などの多数の異なるアプリケーションシステムを備えた非常に大きな倉庫を必要とすることになる。一方、本発明によれば、データベースで利用可能な全ての色処方に対して同じ参照基材および参照塗布方法が記憶されていれば、参照基材および参照塗布方法で十分であり得る。例えば、色の一貫性(ペースト状、液体、粉末状)に起因して、複数の参照塗布方法が必要になる場合がある。本発明の文脈において、標準紙は、国内または国際標準で標準化された紙を意味すると理解される。好適な標準紙の例は、DIN ISO 2846-1:2017標準で指定されている。例えば、透明なフィルムに液体の色を塗る場合、スペクトル曲線を記録するための標準化された条件を確保するためにも、スペクトル曲線を記録する前に標準の紙を下に置くことができる。
【0083】
本発明は、データセットごとに含まれる参照色相の数に関して特に限定されない。したがって、データセットのいくつかは各々、参照色相および関連する参照塗布方法に関する情報を含むことができ、関連する参照基質および他のデータセットは各々、2つ以上の異なる参照色相ならびに関連する参照塗布方法および参照に関する情報を含むことができ、これらは各々、異なる塗布方法を使用して、および/または異なる基材上で同じ目的の色相を生じる。
【0084】
本発明に従う概念のさらなる発展では、少なくとも1つのデータセットの少なくとも1つの参照色相もまた、ステップd)で示されることが提案される。ユーザはこのデータセットを後で品質管理に使用するか、色処方を製造することを条件に保存するか、色処方を作成したサービスプロバイダに渡すことができる。少なくとも1つの参照色相は、参照色相を一意に特徴付ける任意の形式で指定することができる。例えば、少なくとも1つの参照色相は、実験値(または、LUV値、RGB値、LCh値、またはXYZ値などの別の色空間の値)として、180~4000nm、好ましくは400~700nmのスペクトル曲線(特に、スペクトル反射曲線)として、または180~4000nm、好ましくは400~700nmのスペクトル曲線(特に、スペクトル反射曲線)のデータとして示すことができる。
【0085】
本発明の別の目的は、指定された塗布方法を使用した指定された基材上での塗布の後に、指定された色相を有する色製品を生じる色処方を確認するためのデータベースであり、データベースに複数のデータセットが記憶されており、データセットの少なくとも1つ、および好ましくは各々が、少なくとも、色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、および塗布方法を使用した基材上での色処方の塗布の後に生じる色製品の色相に関する情報を含み、
i)データベースが、少なくとも1つの色相に対して、少なくとも2つの異なるデータセットを含み、少なくとも2つの異なるデータセットの各々が、同じ色相識別コードと、異なる色処方に関する情報、基材に関する情報、および塗布方法に関する情報と、を含み、少なくとも2つの異なるデータセットのうちの少なくとも1つのデータセットの基材および/または塗布方法が、少なくとも2つの異なるデータセットのうちの別のデータセットの基材および/または塗布方法とは異なり、少なくとも2つの異なるデータセットの異なる色処方の各々に対して、関連するデータセットに記憶されている塗布方法を使用した関連するデータセットに記憶されている基材上での関連する色処方の塗布の後に、同じ色相を有する色製品が取得され、
ii)データベースが、少なくとも1つの色処方に対して、少なくとも2つの異なるデータセットを含み、少なくとも2つの異なるデータセットが、各々、同じ色処方識別コードと、同じ色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、および関連するデータセットに記憶されている塗布方法を使用した関連するデータセットに記憶されている基材上での関連するデータセットに記憶されている色処方の塗布の後に色製品に対して生じる色相に関する情報とを有し、少なくとも2つの異なるデータセットのうちの少なくとも1つのデータセットの基材および/または塗布方法が、少なくとも2つの異なるデータセットのうちの別のデータセットの基材および/または塗布方法とは異なり、関連するデータセットに記憶された塗布方法を使用した関連する色処方の塗布の後に、色製品が生じ、少なくとも2つの異なるデータセットのうちの少なくとも1つのデータセットの色製品の前記色相が、少なくとも2つの別のデータセットのうちの別のデータセットの色製品の色相とは異なることを特徴とし、
iii)1つ以上の他のデータセットの色相とは異なる色相に関する情報が記憶されているデータセットの少なくとも90%に、1つ以上の他のデータセット内の異なる色相色調識別コードとは異なる色相識別コードが記憶されており、
および/または
iv)1つ以上の他のデータセットの色処方とは異なる色処方に関する情報が記憶されているデータセットの少なくとも90%に、1つ以上の他のデータセット内の異なる色処方識別コードとは異なる色処方識別コードが記憶されている。
【0086】
データベースは、好ましくは、10超のデータセット、より好ましくは100超のデータセット、さらにより好ましくは1,000超のデータセット、特に好ましくは10,000超のデータセット、特に好ましくは100,000超のデータセット、非常に特に好ましくは500,000超のデータセット、および最も好ましくは100万データセット以上を含む。
【0087】
本発明の別の目的は、指定された塗布方法を使用した指定された基材上での塗布の後に、指定された色相を有する色製品を生じる色処方を確認するためのシステムであり、特に、先行する実施形態のうちの少なくとも1つによる方法を実施するためのものであり、本システムは、
a)前述のデータベースと、
b)コンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムがユーザに、目的の塗布方法、目的の基材、および指定された目的の塗布方法を使用した指定された目的の基材上での色処方の塗布の後に生じる取得された色製品の所望の目的の色相を、コンピュータプログラム内へ入力することを可能にするような方法でプログラムされている、コンピュータプログラムと、を備え、
c)コンピュータプログラムはまた、データベースが、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用したステップb)で指定された目的の基材上での塗布の後に、ステップb)で指定された目的の色相に対応する色相、または多くとも指定された許容値だけ目的の色相からずれる色相を有する色製品を生じる、関連する情報がデータセットに含まれる色処方を有する少なくとも1つのデータセットを含むかどうかを確認するために、コンピュータプログラムが前記データベースを検索できるようにもプログラムされており、
d)コンピュータプログラムはまた、ステップc)で少なくとも1つの好適なデータセットが見つかった場合、コンピュータプログラムが少なくとも1つのデータセットに記憶されている色処方に関する情報をユーザに表示する方法でもプログラムされている。