(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】光導波路ユニット、アレイ及び平板レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 30/56 20200101AFI20230908BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
G02B30/56
G02B5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021549535
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(86)【国際出願番号】 CN2019087108
(87)【国際公開番号】W WO2020227993
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】521009979
【氏名又は名称】安徽省東超科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI EASPEED TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Level 1, Building A3, Chuanggu Technology Park, No. 900 Wangjiang West Road, High-Tech District, Hefei, Anhui 230088, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】範 超
(72)【発明者】
【氏名】韓 東成
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-224110(JP,A)
【文献】特開2016-180785(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0045972(US,A1)
【文献】特開2017-053922(JP,A)
【文献】国際公開第2018/105445(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107807417(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/56
G02B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの全反射層組と少なくとも2つのサブ導波路とを含み、
前記各全反射層組は、複数種類の全反射層を含み、各種類の前記全反射層は、少なくとも1つの単一全反射層を含み、
各隣接する2つのサブ導波路の間に1つの前記全反射層組が配置され、
前記全反射層組における各種類の全反射層の各全反射層の分布は、次の式:
を満たし、
ここで、comb(x)は、くし型関数を表し、
前記全反射層組と前記サブ導波路の積み重ね方向において、光導波路ユニットの片側面が基準面となり、
kは、前記全反射層の種類の総数であり、
iは、前記全反射層の種類の番号であり、整数であり、
xは、第i種類の全反射層のある単一全反射層から前記基準面までの距離であり、
numは、第i種類の全反射層の該単一全反射層の層番号であり、
T
iは、第i種類の全反射層の位置周期を表し、前記位置周期は、光導波路ユニットにおいて、隣接する前記第i種類の全反射層が現れる最短距離であり、
m
i
は第i種類の全反射層の全反射層総数であり、
δ(x)は、インパルス関数である、ことを特徴とする光導波路ユニット。
【請求項2】
前記全反射層組と前記サブ導波路の積み重ね方向において、前記光導波路ユニットの総高さHは、0.1mm<H<5mmを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路ユニット。
【請求項3】
前記サブ導波路の数は2つであり、前記2つのサブ導波路の間に配置された前記全反射層組は、複数種類の全反射層を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路ユニット。
【請求項4】
前記サブ導波路の数は4つであり、前記全反射層組の数は3つであり、
第1種類の全反射層と、
2つの第2種類の全反射層と、を含み、前記第2種類の全反射層の屈折率は、前記第1種類の全反射層の屈折率とは異なり、前記全反射層と前記サブ導波路の積み重ね方向において、2つの前記第2種類の全反射層は、前記第1種類の全反射層の両側にそれぞれ位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路ユニット。
【請求項5】
前記積み重ね方向において、前記4つのサブ導波路の高さは順にGH1、GH2、GH3、GH4であり、GH1=GH4=GH2+GH3、GH2=GH3、GH1+GH2=GH3+GH4である、ことを特徴とする請求項4に記載の光導波路ユニット。
【請求項6】
前記サブ導波路の数は3つであり、前記全反射層組の数は2つであり、前記2つの全反射層組の屈折率は同じ又は異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路ユニット。
【請求項7】
前記位置周期T
iは、次の式:
で計算して得られ、
ここで、Wは、光導波路ユニットの断面の幅であり、前記断面で前記幅の方向が前記積み重ね方向に垂直であり、
θiは、光導波路ユニットの表面に入射する第i種類の全反射層に対応する入射角であり、
nは、前記サブ導波路の屈折率である、ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路ユニット。
【請求項8】
前記各種類の全反射層の各層の厚さは、0.04mm<t<0.2T
iである、ことを特徴とする請求項1又は7に記載の光導波路ユニット。
【請求項9】
各種類の前記全反射層の屈折率n
eiは、次の式:
で計算され、
ここで、パラメータθiは、観測視角範囲内で選択された予め設定された角度であり、nは、前記サブ導波路の光学屈折率であり、n>1.4である、ことを特徴とする請求項3~8のいずれか一項に記載の光導波路ユニット。
【請求項10】
前記全反射層組と前記サブ導波路の積み重ね方向において、前記光導波路ユニットの2つの側面にいずれも反射層が配置される、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の光導波路ユニット。
【請求項11】
光導波路アレイであって、複数の請求項1~10のいずれか一項に記載の光導波路ユニットを含み、各前記光導波路ユニットの断面は矩形を呈し、複数の前記光導波路ユニットは並べて接合され、
前記光導波路アレイの外側輪郭は矩形を呈し、前記光導波路ユニットの延在方向は、前記光導波路アレイの外側輪郭の少なくとも2つの辺のそれぞれと30~60度の角をなす、ことを特徴とする光導波路アレイ。
【請求項12】
前記光導波路ユニットの延在方向は、前記光導波路アレイの外側輪郭の少なくとも2つの辺のそれぞれと45度の角をなす、ことを特徴とする請求項11に記載の光導波路アレイ。
【請求項13】
前記複数の前記光導波路ユニットは、接着剤層によって互いに接合され、前記接着剤層の厚さは0.001mmよりも厚い、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の光導波路アレイ。
【請求項14】
平板レンズであって、2つの透明基板と、2つの請求項11~13のいずれか一項に記載の光導波路アレイとを含み、
各前記透明基板は2つの光学面を有し、
前記2つの光導波路アレイは、接着剤によって前記2つの透明基板の間に配置され、前記2つの光導波路アレイの光導波路の延在方向は直交して配置される、ことを特徴とする平板レンズ。
【請求項15】
前記光導波路アレイから離れた前記各透明基板の光学面には増透膜が設けられる、ことを特徴とする請求項14に記載の平板レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学表示の分野に関し、特に、光導波路ユニット、前記光導波路ユニットを含む光導波路アレイ、及び前記光導波路アレイを含む平板レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
空中結像表示技術の発展に伴い、結像特性の要件は増え続けている。一方では、歪みが小さいという要件を満たしながら、観察された画像の鮮明さを確保するために、より高い解像度が必要である。他方では、3次元立体表示の特性が必要となるとともに、裸眼の3次元ホログラフィック表示の要件も必要である。
【0003】
既存の結像技術は、主にレンズによる結像を採用している。視野と口径の制限によって、レンズによる結像の方式には、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪み、色収差などの光学収差がある。そのため、レンズによる結像の方式は、大視野、大口径の結像表示の分野において大きく制限されている。また、既存の裸眼3次元表示技術のほとんどは、実際の3次元表示技術ではなく、左眼と右眼の間の視差の調整に基づいて3次元感覚を実現するものである。
【0004】
ある角度θの入射光が関連技術の同等の光導波路ユニットに入射するときに損失領域が存在する原理図は、
図1に示される。b0’は、損失領域のサイズである。同時に、関連技術の同等の光導波路ユニットは、様々な角度で入射する光に対して比較的敏感である。角度の変化に伴い、光に対する光導波路の損失領域が大きくなり、それにより、光エネルギーの損失が深刻になる。同時に、損失した光の一部が画像表面を覆ってゴーストライトを形成して、表示効果に影響を与える。また、異なる角度で入射する光によって形成される損失領域のサイズが異なるため、関連技術の平板レンズを通過した光を集束することで形成された各視角の光の強度が不均一であり、実際の表示効果に影響を与える
【発明の概要】
【0005】
本開示は、従来技術における技術的問題の少なくとも1つを解決することを目的としている。そのため、本開示は光導波路ユニットを提案する。
【0006】
本開示はまた、前記光導波路ユニットを含む光導波路アレイを開示する。
【0007】
本開示は、前記光導波路アレイを含む平板レンズをさらに開示する。
【0008】
本開示の第1態様の実施例に係る光導波路ユニットは、少なくとも1つの全反射層組と少なくとも2つのサブ導波路を含み、前記各全反射層組は、少なくとも1種類の全反射層を含み、各種類の前記全反射層は、少なくとも1つの単一の全反射層を含み、各隣接する2つのサブ導波路の間に1つの前記全反射層組が設けられる。
【0009】
本開示の実施例に係る光導波路ユニットは、サブ導波路の間に全反射層又は全反射層組を配置し、各種類の全反射層を異なる入射角及び光学屈折率に対応させることで、対応する特定の入射角での光導波路ユニット全体の集光効率を向上させ、視角全体の光強度の均一性を向上させることができる。
【0010】
本開示の幾つかの実施例によれば、前記全反射層組と前記サブ導波路の積み重ね方向において、前記光導波路ユニットの総高さHは、0.1mm<H<5mmを満たす。
【0011】
本開示の幾つかの実施例によれば、前記サブ導波路の数は2つであり、前記2つのサブ導波路の間に配置された前記全反射層組は、1種類の全反射層を含む。
【0012】
本開示の幾つかの実施例によれば、前記サブ導波路の数は4つであり、前記全反射層組の数は3つであり、中央に位置する第1種類の全反射層と、2つの第2種類の全反射層が含まれる。前記第2種類の全反射層の屈折率は、前記第1種類の全反射層の屈折率とは異なる。前記全反射層と前記サブ導波路の積み重ね方向において、2つの前記第2種類の全反射層は、前記第1種類の全反射層の両側にそれぞれ位置する。
【0013】
本開示の幾つかの実施例によれば、前記積み重ね方向において、前記4つのサブ導波路の高さは順にGH1、GH2、GH3、GH4であり、GH1=GH4=GH2+GH3、GH2=GH3、GH1+GH2=GH3+GH4である。
【0014】
本開示の幾つかの実施例によれば、前記サブ導波路の数は3つであり、前記全反射層組の数は2つである。前記2つの全反射層組の屈折率は同じ又は異なる。
【0015】
本開示の幾つかの実施例によれば、前記全反射層組の各種類の全反射層の各全反射層の分布は、次の式:
を満たし、
ここで、comb(x)は、くし型関数を表し、
前記全反射層組と前記サブ導波路ユニットの積み重ね方向において、前記光導波路ユニットの片側面が基準面となり、
kは、前記全反射層の種類の総数であり、
iは、前記全反射層の種類の番号であり、整数であり、
xは、第i種類の全反射層のある単一の全反射層から前記基準面までの距離であり、
numは、第i種類の全反射層の該単一の全反射層の層番号であり、
Tiは、第i種類の全反射層の位置周期を表し、前記位置周期は、前記光導波路ユニットにおいて、隣接する前記第i種類の全反射層が現れる最短距離であり、
δ(x)は、インパルス関数である。
【0016】
本開示の幾つかの実施例によれば、前記位置周期Tiは、次の式:
で算出され、
ここで、Wは、光導波路ユニットの断面の幅であり、前記断面で前記幅の方向が前記積み重ね方向に垂直であり、
θiは、光導波路ユニットの表面に入射する第i種類の全反射層に対応する入射角であり、
nは、前記サブ導波路の屈折率である。
【0017】
本開示の幾つかの実施例によれば、前記各種類の全反射層の各層の厚さは0.04mm<t<0.2Tiである。
【0018】
本開示の幾つかの実施例によれば、各種類の前記全反射層の屈折率の範囲neiは、次の式:
で計算され、
ここで、パラメータθiは、観測視野角範囲内で選択された予め設定された角度であり、nは、前記サブ導波路の光学屈折率であり、n>1.4である。
【0019】
本開示の幾つかの実施例によれば、前記全反射層組と前記サブ導波路の積み重ね方向において、前記光導波路ユニットの2つの側面にいずれも反射層が設けられる。
【0020】
本開示の実施例に係る光導波路ユニットは、光エネルギーの損失を大幅に低減し、各視角でのエネルギー均一性を向上させることができる。
【0021】
本開示の第2態様の実施例に係る光導波路アレイは、複数の本開示の第1態様の実施例に係る光導波路ユニットを含み、各前記光導波路ユニットの断面は矩形を呈し、複数の前記光導波路ユニットは並べて接合され、前記光導波路アレイの外側輪郭は矩形を呈し、前記光導波路ユニットの延在方向は、前記光導波路アレイの外側輪郭の少なくとも2つの辺のそれぞれと30~60度の角をなす。
【0022】
本開示の幾つかの実施例によれば、前記光導波路ユニットの延在方向は、前記光導波路アレイの外側輪郭の少なくとも2つの辺のそれぞれと45度の角をなす。
【0023】
本開示の幾つかの実施例によれば、前記複数の前記光導波路ユニットは、接着剤層によって互いに接合され、前記接着剤層の厚さは0.001mmよりも厚い。
【0024】
本開示の第3態様の実施例に係る平板レンズは、2つの透明基板と、2つの本開示の第2態様の実施例に係る光導波路アレイとを含み、各前記透明基板は2つの光学面を有し、前記2つの光導波路アレイは、接着剤によって前記2つの透明基板の間に配置され、前記2つの光導波路アレイの光導波路の延在方向は直交して配置される。
【0025】
本開示の幾つかの実施例によれば、前記光導波路アレイから離れた前記各透明基板の光学面には増透膜が設けられる。
【0026】
本開示の実施例に係る平面レンズは、単一列と複数行の、矩形の断面を有する光導波路を使用してアレイ構造を形成し、2次元又は3次元の光源を空気中で直接実像に成形して実際のホログラフィック画像を実現することができ、結像効果が良好であると同時に、裸眼での3次元立体表示の特性を実現することができる。
【0027】
本開示の追加の態様及び利点は、部分的に以下の説明で与えられ、部分的に以下の説明から明らかになるか、又は本開示の実施により知られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面と併せた実施例の説明から、明らかになり、理解しやすくなる。
【
図1】従来技術の同等の光導波路ユニットは、あるθ角度で光が入射するときに損失領域がある原理図である。
【
図2a】2つの光導波路アレイが直交して配置される、本開示の実施例に係る光導波路アレイの模式図である。
【
図3a】接着剤層によって適合される、
図2bに示される2つのサブ導波路の模式図である。
【
図3b】
図3aの任意のサブ導波路の断面図であり、Wは幅であり、Hは高さである。
【
図4】本開示の実施例に係る2つの光導波路ユニットが直交して配置された場合の、重なり合う領域における変調光の原理図である。
【
図5】本開示の実施例に係る2つの光導波路アレイが直交している場合の結像の原理図である。
【
図6】本開示の実施例に係る光導波路ユニットは、角度θで光が入射するときに損失領域がある原理図である。
【
図7】本開示の実施例に係る光導波路ユニットに全反射層とサブ導波路が配置された後の、該全反射層の臨界角よりも大きい光及び全反射層の臨界角よりも小さい光に対する全反射層の反射及び透過の原理図である。
【
図8】本開示の実施例に係る光導波路ユニット、及び
図1に示される同等の光導波路ユニットの各視角でのエネルギー均一性及び迷光の比較図である
【
図9】本開示の一実施例に係る光導波路ユニットの内部構造の模式図である。
【
図10】
図9に示される光導波路ユニットの断面図である。
【
図11】本開示の実施例に係る平面レンズの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の実施例を詳細に説明する。添付の図面を参照しながら説明される実施例は例示的なものである。以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0030】
以下、
図1~
図5の説明を参照しながら、本開示の実施例に係る光導波路アレイを説明する。
【0031】
図1に示すように、光導波路アレイ1000a、1000bは、複数の光導波路ユニット100を含み、各光導波路ユニット100の断面は矩形を呈し、複数の光導波路ユニット100は並べて接合される。光導波路アレイの外側輪郭は矩形を呈し、光導波路ユニット100の延在方向は、光導波路アレイの外側輪郭の少なくとも2つの辺のそれぞれと30~60度の角をなす。オプションで、光導波路ユニット100の延在方向は、光導波路アレイの外側輪郭の少なくとも2つの辺のそれぞれと45度の角をなす。当然のことながら、本開示はこれに限定されるものではなく、大画面に表示する際に複数の光導波路アレイをスプライスすることで大きなサイズの要件を実現することができる。光導波路アレイの全体的な形状は、使用の場面に応じて設定される。
【0032】
図1に示される例では、光導波路アレイ1000a、1000bの外側輪郭はいずれも矩形である。
図2aに示すように、矩形の2つの対角の間で延在する光導波路ユニットの長さが最も長い。2つの対角での光導波路ユニット100は三角形であり、最も短い長さを有する。中央の光導波路ユニットは、台形又は平行四辺形の構造であり、個々の光導波路の長さは等しくない。幾つかの更なるオプションの例では、矩形の2つの対角の間で延在する光導波路ユニットは基準として使用され、その両側に位置する光導波路ユニットは対称的に配置することができる。
【0033】
同等の負の屈折率の平面レンズを形成するように、2つの光導波路アレイ1000a、1000bの光導波路の延在方向は直交して配置される。光導波路アレイ1000aの各光導波路の延在方向も、光導波路アレイ1000bの各光導波路の延在方向に直交する。
【0034】
図4は、2つの光導波路ユニットが直交して配置されている場合の、重なり合う領域における変調光の原理図を示す。a、bは、2つの光導波路ユニットを表し、A、Bは奇数次の反射光ビームを表し、Cは透射迷光を表し、Dは結像光ビームであり、Oは物体側の光源点を表し、Oxは画像側の結像点を表す。
図5に示すように、2つの光導波路ユニットが直交して配置されると、物体面と画像面の光ビームは、同等の負の屈折率の平板レンズに対して鏡面対称となり、負の屈折率の現象が発生し、平板レンズによる結像が実現される。
【0035】
本開示の幾つかの実施例では、
図3aに示すように、複数の光導波路ユニット100は、接着剤層4によって互いに接合され、接着剤層4の厚さは0.001mmよりも厚い。接着剤層4は、例えば、感光性接着剤又は感熱性接着剤である。
【0036】
以下、
図1~
図10を参照しながら本開示の実施例に係る光導波路ユニットを説明する。
【0037】
本開示の一実施例に係る光導波路ユニット100は、少なくとも1つの全反射層組1と少なくとも2つのサブ導波路2を含み、各隣接する2つのサブ導波路2の間に1つの全反射層組1が設けられる。各全反射層組1は、少なくとも1種類の全反射層11を含み、各種類の全反射層は1つの入射角に対応し、且つ、光学屈折率が異なる。各種類の全反射層11は、少なくとも1つの単一の全反射層を含み、各種類の単一の全反射層の光学屈折率は同じである。
【0038】
本開示の実施例に係る光導波路ユニット100は、サブ導波路2の間に全反射層11又は全反射層組1を配置し、各種類の全反射層を異なる入射角及び光学屈折率に対応させることで、対応する特定の入射角での光導波路ユニット11全体の集光効率を向上させ、視角全体の光強度の均一性を向上させることができる。
【0039】
オプションで、本開示の実施例に係る光導波路ユニット100に使用される全反射層の材料は、光学接着剤、光学プラスチック、光学ガラスなどを含む。
【0040】
以下、本開示の実施例に係る光導波路ユニット100の具体的な原理を説明する。
【0041】
図4を参照されたい。物体側の光源点Oからの入射光は、同等の光導波路ユニットの内部で反射されてから、図に示すように4つのビームに分けられて、1つのビームが結像に関与し、3つのビームが、それぞれA、B及びCである干渉迷光を形成する。迷光により形成されたゴースト像が結像に与える影響を低減するために、2組の光導波路アレイの方向は、45°に沿って互いに直交して配置される。
【0042】
上記のように、各光導波路ユニットは迷光を発生しやすく、迷光は、元の物体光の一部であるが、結像に関与しないため、損失光となる。
図1に示すように、光ビームが特定の入射角で関連技術の光導波路アレイに入射するとき、サイズb0’の損失領域がある。物体側の光源は発散角の大きな光源であるため、この入射角度は、光源の異なる光の射出に伴って連続的に変化する。角度が小さいほど、損失領域が大きくなり、光損失がより深刻になり、光導波路アレイで構成された平板レンズの光エネルギーの利用率が大幅に低下する。また、異なる入射角度は、異なるエネルギー損失をもたらし、各視角のエネルギーの不均一を引き起こし、観察者が異なる視角で物体を観察する効果に影響を与える。
【0043】
光エネルギーを十分に利用して、各入射角度のエネルギー均一性を向上させるために、
図6に示すように、本開示の実施例に係る光導波路ユニット内に複数のサブ導波路2、及びサブ導波路2の間の全反射層組1又は全反射層11を配置することによって、損失領域b0内にある光エネルギーを全反射層及びサブ導波路によって微分して収集することができ、それにより、角度θで入射する入射光の損失領域b0を小さくすることができる。
図7に示すように、全反射層11の作用は以下のとおりである。臨界角よりも大きい角で光導波路ユニットの表面に入射する光を全反射し、臨界角よりも小さい角で光導波路ユニットの表面に入射する光を透過させることによって、臨界角の近くの光をそれぞれ正確に変調するという目的を実現することができる。従って、本願では、複数の臨界角の近くの光に対する正確な変調を実現するために、単一の光導波路ユニット100内に複数種類の全反射層11を配置し、単一の光導波路ユニット100を複数のサブ導波路1に分割する必要がある。
【0044】
図8に示すように、左側のものは、関連技術における通常の光導波路ユニットであり、右側のものは、本開示の実施例に係る光導波路ユニットである。図は、様々な視角での両方のエネルギー均一性及び迷光の比較を示す。本開示の実施例に係る光導波路ユニット100は、光エネルギーの損失を大幅に低減し、各視角でのエネルギー均一性を向上させることができることがわかる。
【0045】
図3b及び
図9に示すように、全反射層組1とサブ導波路2の積み重ね方向において、光導波路ユニット100の総高さHは、0.1mm<H<5mmを満たす。また、光導波路ユニット100の断面の幅はWであり、断面で幅wの方向は、積み重ね方向、即ち、上記の高さHの方向に垂直である。Wも0.1mm<W<5mmを満たす。
【0046】
本開示の幾つかの実施例によれば、
図7の簡単な例では、サブ導波路2の数は2つであり、それぞれサブ導波路21、22である。2つのサブ導波路2の間に配置された全反射層組1は、1種類の全反射層11を含む。その結果、1つの臨界角の近くの光を正確に変調することができる。
【0047】
本開示の他の幾つかの実施例では、
図9に示すように、4つのサブ導波路221、222、223、224があり、全反射層組1の数は3つであり、中央に位置する第1種類の全反射層1121及び2つの第2種類の全反射層1122が含まれる。第2種類の全反射層1122の屈折率は、第1種類の全反射層1121の屈折率とは異なる。全反射層11とサブ導波路2の積み重ね方向において、2つの第2種類の全反射層1122はそれぞれ、第1種類の全反射層11の両側に位置する。
図10に示されるオプションの例では、積み重ね方向において、4つのサブ導波路2の高さは順にGH1、GH2、GH3、GH4であり、GH1=GH4=GH2+GH3、GH2=GH3、GH1+GH2=GH3+GH4である。このようにして、選択された入射角に対応する物体側の光のほとんどを収集することができ、結像光ビームのエネルギーの利用率及び光ビームの均一性を改善することができる。
【0048】
本開示の他の幾つかの実施例では、サブ導波路2の数は3つであり、全反射層組1の数は2つであり、2つの全反射層組1の屈折率は同じ又は異なる(図示せず)。
【0049】
当然のことながら、本開示は、上記の幾つかの実施例に限定されない。本開示の幾つかの実施例によれば、全反射層組1の各種類の全反射層11の各全反射層11の分布は、次の式を満たす:
ここで、comb(x)は、くし型関数を表し、
全反射層組1とサブ導波路2ユニットの積み重ね方向において、光導波路ユニット100の片側面が基準面となり、
kは、全反射層11の種類の総数であり、
iは、全反射層11の種類の番号であり、整数であり、
xは、第i種類の全反射層11のある単一の全反射層11から基準面までの距離であり、
numは、第i種類の全反射層11の該単一の全反射層11の層番号であり、
Tiは、第i種類の全反射層11の位置周期を表し、位置周期は、光導波路ユニット100において、隣接する第i種類の全反射層11が現れる最短距離であり、
δ(x)は、インパルス関数である。
【0050】
更なる実施例では、位置周期Tiはまた、次の式で計算することができる:
ここで、Wは、光導波路ユニット100の断面の幅であり、断面で幅の方向が積み重ね方向に垂直であり、θiは、光導波路ユニット100の表面に入射する、第i種類の全反射層11に対応する入射角であり、nは、サブ導波路2の屈折率である。
【0051】
例えば、
図9と
図10に示される例では、4つのサブ導波路221、222、223、224、及び2種類の全反射層11がある。全反射層11は、中央に位置する第1種類の全反射層1121、及び2つの第2種類の全反射層1122を含む。ここで、GH1=GH4=T2=GH2+GH3、GH2=GH3、GH1+GH2=T1=GH3+GH4である。T1は、選択された入射角がθ1である場合、上記の式で計算された第1種類の全反射層の周期である。T2は、選択された入射角がθ2である場合、上記の式で計算された第2種類の全反射層の周期である。
図10に示すように、T1は、第1種類の全反射層11が現れる最短距離であり、T2は、第2種類の全反射層11が現れる最短距離である。
【0052】
当然のことながら、本開示はこれに限定されない。他の幾つかの実施例では、全反射層11の組の数、種類の数、及び層の数が異なる場合、上記の式2を使用して、対応する種類の全反射層の位置周期を計算し、次に、各種類の全反射層11の各全反射層11の分布状況を式1に従って計算することで、光導波路ユニット100全体の内部構造をより正確に設計する。より好ましくは、光導波路ユニットの断面の高さHは、位置周数Tiの整数倍である。
【0053】
幾つかのオプションの例では、各種類の全反射層の各層の厚さは0.04mm<t<0.2Tiである。
【0054】
本開示の幾つかの実施例では、各種類の全反射層11の屈折率範囲neiは、次に式で計算される:
ここで、パラメータθiは、観測視角範囲内で選択された予め設定された角度であり、nは、サブ導波路2の光学屈折率であり、n>1.4である。本開示の実施例に係る光導波路ユニットでは、各種類の全反射層は1つのθi、n
eiに対応する。このθi角は、観測視角範囲内で選択された角度であり、それに対応する角度での集光効率を向上させ、視角全体での光強度均一性を向上させるためのものである。
【0055】
なお、損失領域での収集効果を向上させるために、関係者は、集光要件を満たすように、実行中に光導波路ユニット10の全反射層の数及びサブ導波路の数を適切に増減することができる。複数の入射角に対して損失領域の光を同時に収集する必要がある場合、複数種類の全反射層が必要となる。本開示の実施例は、全反射層の種類の数及び層の数にいかなる制限も課さない。
【0056】
本開示の更なる実施例では、
図9と
図10に示すように、全反射層組1とサブ導波路2の積み重ね方向において、光導波路ユニット100の2つの側面にいずれも反射層3が配置される。オプションで、ここでの反射層3は、アルミニウムフィルムを採用し、これにより、光損失をある程度までさらに低減することができる。
【0057】
以下、
図11を参照しながら、本開示の第3態様の実施例に係る平板レンズを説明する。平板レンズは、2つの透明基板2000と、2つの上記の実施例に係る光導波路アレイ1000a、1000bとを含む。
【0058】
各透明基板2000は2つの光学面を有する。光学面は、光導波路アレイ1000a、1000bを保護するために使用される。2つの光導波路アレイは、接着剤によって2つの透明基板2000の間に配置され、2つの光導波路アレイの光導波路の延在方向は直交して配置され、即ち、光導波路ユニットの延在方向は互いに垂直である。それにより、光ビームは一点に集束し、物体面と画像面は、同等の負の屈折率の平板レンズに対して対称であることが保証され、負の屈折率の現象が生じ、平板レンズによる結像が実現される。
【0059】
オプションで、光導波路アレイと透明基板2000は、感光性接着剤又は感熱性接着剤によって互いに接着される。
【0060】
本開示の幾つかの実施例では、
図11に示すように、光導波路アレイから離れた各透明基板200の光学面には、結像效果をさらに改善するために、増透膜210が配置される。
【0061】
本開示の実施例に係る平面レンズは、単一列と複数行の、矩形の断面を有する光導波路を使用してアレイ構造を形成し、2次元又は3次元の光源を空気中で直接実像に成形して実際のホログラフィック画像を実現することができ、結像効果が良好であると同時に、裸眼での3次元立体表示の特性を実現することができる。
【0062】
本開示の説明では「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語で示される方位又は位置関係は、図面で示される方位又は位置関係に基づいて、本開示の説明を容易にし、説明を簡単にするためのものに過ぎず、言及された装置又は部品が必ず特定の方位を有し特定の方位で構造及び操作されることを指示又は示唆するものではないため、本開示を制限するものではないと理解されるべきある。
【0063】
本明細書の説明において、「一実施例」、「幾つかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」、又は「幾つかの例」などの用語を参照する説明は、該実施例又は例と併せて説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すとは限らない。
【0064】
本開示の実施例が示され説明されているが、当業者は、本開示の原理及び趣旨から逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、修正、置換、及び変形を行うことができることを理解できる。本開示の範囲は、特許請求の範囲及びその同等物によって限定される。
【符号の説明】
【0065】
光導波路アレイ1000a、1000b
光導波路ユニット100;全反射層組1;全反射層11;
サブ導波路2;反射層3;接着剤層4;
第1実施例:サブ導波路211、212;全反射層111;
第2実施例:
サブ導波路221、222、223、224;第1種類の全反射層1121;第2種類の全反射層1122
透明基板2000;増透膜2100。