(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】エアバッグモジュール
(51)【国際特許分類】
B60R 21/20 20110101AFI20230908BHJP
B60R 21/206 20110101ALI20230908BHJP
【FI】
B60R21/20
B60R21/206
(21)【出願番号】P 2021551232
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2020036570
(87)【国際公開番号】W WO2021065778
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2019181279
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】村上 翔
(72)【発明者】
【氏名】土生 優
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0047507(US,A1)
【文献】特開2010-208458(JP,A)
【文献】特開平11-235964(JP,A)
【文献】特開2009-029167(JP,A)
【文献】特開2004-034965(JP,A)
【文献】実開平05-072606(JP,U)
【文献】特開昭63-141851(JP,A)
【文献】特開平11-240403(JP,A)
【文献】独国実用新案第202019103552(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/20
B60R 21/206
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まれたまたは巻回されたエアバッグクッションと、該エアバッグクッションに内蔵されたインフレータと、該エアバッグクッションを収納する箱型のハウジングとを備えるエアバッグモジュールにおいて、
前記ハウジングは、断面視が四角形状であって、
前記四角形状のうち少なくとも1つの側壁を成す第1部材と、
前記四角形状のうち、残りの2以上の側壁を成す第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを連結しそれらを互いに対して回動可能にする回動軸とを含み、
前記エアバッグクッションが膨張展開する際に前記第1部材または前記第2部材の一方が他方に対して前記回動軸の周りで回動して前記箱型のハウジングの上側の開口が広がることを特徴とするエアバッグモジュール。
【請求項2】
前記第1部材は、3つの側壁を成し、
前記第2部材は、残りの1つの側壁およびその両側に連続する2つの側壁を含む3つの側壁を成し前記第1部材に重なっていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項3】
前記第1部材は、2つの側壁を成す断面L字状であり、
前記第2部材は、残りの2つの側壁を成す断面L字状であることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項4】
前記第1部材は、3つの側壁を有し、
前記第2部材は、残りの1つの側壁を含む連続した2つの側壁を成す断面L字状であることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項5】
前記ハウジングは、
前記第1部材または前記第2部材の一方に固定されたピンと、
前記第1部材または前記第2部材の他方に固定され前記ピンが摺動可能なスロットが設けられたブラケットとを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のエアバッグモジュール。
【請求項6】
折り畳まれたまたは巻回されたエアバッグクッションと、該エアバッグクッションに内蔵されたインフレータと、該エアバッグクッションを収納する箱型のハウジングとを備えるエアバッグモジュールにおいて、
前記ハウジングは、
断面視が四角形状であって、
前記四角形状のうち少なくとも1つの側壁を成す第1部材と、
前記四角形状のうち、残りの2以上の側壁を成す第2部材と、
前記第1部材および前記第2部材を連結する連結部材を含み、
前記連結部材は、前記第1部材または第2部材から離れるように屈曲した部位を有し、前記エアバッグクッションが膨張展開する際に該連結部材の屈曲した部位が伸びることにより前記第1部材または前記第2部材の一方が他方から離間して前記箱型のハウジングの上側の開口が広がることを特徴とするエアバッグモジュール。
【請求項7】
前記第1部材は、3つの側壁を成し、
前記第2部材は、残りの1つの側壁およびその両側に連続する2つの側壁を含む3つの側壁を成し前記第1部材に重なっていることを特徴とする請求項6に記載のエアバッグモジュール。
【請求項8】
前記第1部材は、2つの側壁を成す断面L字状であり、
前記第2部材は、残りの2つの側壁を成す断面L字状であることを特徴とする請求項6に記載のエアバッグモジュール。
【請求項9】
前記第1部材は、3つの側壁を有し、
前記第2部材は、残りの1つの側壁を含む連続した2つの側壁を成す断面L字状であることを特徴とする請求項6に記載のエアバッグモジュール。
【請求項10】
前記連結部材の屈曲した部位は、前記前記第1部材または第2部材から離れる方向に凸のハット形状であることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載のエアバッグモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグクッションを収納する箱型のハウジングとを備えるエアバッグモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の車両にはエアバッグ装置がほぼ標準装備されている。エアバッグ装置は、車両衝突などの緊急時に作動する安全装置であって、ガス圧で膨張展開するエアバッグクッションを利用して乗員を受け止めて保護する。膨張展開前のエアバッグクッションは、折り畳みや巻回などによって小さくまとめられた収納形態となって車両の各所に設置されている。
【0003】
例えば特許文献1には、ステアリングコラムを覆うコラムカバーの下面側に折り畳まれて収納されるエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターとを備えた膝保護用エアバッグ装置が開示されている。特許文献1の膝保護用エアバッグ装置では、インフレーターから吐出された膨張用ガスが流入したエアバッグが、コラムカバー下面側の収納部位から突出して、コラムカバーの下面側を覆うように展開膨張する。
これにより、運転者の両膝を保護可能であるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
緊急時には、エアバッグを迅速に膨張展開させる必要がある。しかしながら、ハウジングが開きづらいと、エアバッグの膨張展開に支障が生じたり、エアバッグを所望のタイミングで膨張展開させたりすることが難しくなる。このため、ハウジングをより開きやすくする技術の開発が求められていた。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、エアバッグの膨張展開時にハウジングを開きやすくすることが可能なエアバッグモジュールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかるエアバッグモジュールの代表的な構成は、折り畳まれたまたは巻回されたエアバッグクッションと、エアバッグクッションに内蔵されたインフレータと、エアバッグクッションを収納する箱型のハウジングとを備えるエアバッグモジュールにおいて、ハウジングは、断面視が四角形状であって、四角形状のうち少なくとも1つの側壁を成す第1部材と、四角形状のうち、残りの2以上の側壁を成す第2部材と、第1部材と第2部材とを連結しそれらを互いに対して回動可能にする回動軸とを含み、エアバッグクッションが膨張展開する際に第1部材または第2部材の一方が他方に対して回動軸の周りで回動して箱型のハウジングの上側の開口が広がることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、第1部材が第2部材に対して回動することにより、ハウジングの上側の開口が広がる。すなわち、エアバッグクッションの膨張展開時にハウジングの開口が開きやすくなっている。このようにハウジングが開きやすいことにより、エアバッグクッションの展開速度を速めることができる。これにより、展開挙動が安定し、より早く乗員を拘束できる。このため、乗員傷害値を低下することが可能となる。またハウジングが開きやすいことで、エアバッグクッションの展開時の内圧低下によるクッション耐性の向上を図ることができる。これにより、クッション基布量の低下やハウジングの板厚低減が見込めるため、コストの削減を図ることが可能となる。
【0009】
上記第1部材は、3つの側壁を成し、第2部材は、残りの1つの側壁およびその両側に連続する2つの側壁を含む3つの側壁を成し第1部材に重なっているとよい。
【0010】
上記第1部材は、2つの側壁を成す断面L字状であり、第2部材は、残りの2つの側壁を成す断面L字状であるとよい。
【0011】
上記第1部材は、3つの側壁を有し、第2部材は、残りの1つの側壁を含む連続した2つの側壁を成す断面L字状であるとよい。
【0012】
これらのような構成によっても、上記と同様の効果を得ることが可能である。
【0013】
上記ハウジングは、第1部材または第2部材の一方に固定されたピンと、第1部材または第2部材の他方に固定されピンが摺動可能なスロットが設けられたブラケットとを含むとよい。かかる構成によれば、第1部材または第2部材の一方の他方に対する回動を案内することができるため、安定した動作が可能となる。またスロットの長さを変化させることで、エアバッグクッションの膨張展開時の打ち上げ角度(打ち上げ方向)や、エアバッグクッションの出量を制御することができる。
【0014】
本発明にかかるエアバッグモジュールの他の構成は、折り畳まれたまたは巻回されたエアバッグクッションと、エアバッグクッションに内蔵されたインフレータと、エアバッグクッションを収納する箱型のハウジングとを備えるエアバッグモジュールにおいて、ハウジングは、四角形状のうち少なくとも1つの側壁を成す第1部材と、四角形状のうち、残りの2以上の側壁を成す第2部材と、第1部材および第2部材を連結する連結部材を含み、連結部材は、第1部材または第2部材から離れるように屈曲した部位を有し、エアバッグクッションが膨張展開する際に連結部材の屈曲した部位が伸びることにより第1部材または第2部材の一方が他方から離間して箱型のハウジングの上側の開口が広がることを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、連結部材の屈曲した部位が伸びることにより、ハウジングの上側の開口が広がる。すなわち、エアバッグクッションの膨張展開時にハウジングの開口が開きやすくなっている。したがって、かかる構成によっても上述した効果を得ることが可能である。
【0016】
上記第1部材は、3つの側壁を成し、第2部材は、残りの1つの側壁およびその両側に連続する2つの側壁を含む3つの側壁を成し第1部材に重なっているとよい。
【0017】
上記第1部材は、2つの側壁を成す断面L字状であり、第2部材は、残りの2つの側壁を成す断面L字状であるとよい。
【0018】
上記第1部材は、3つの側壁を有し、第2部材は、残りの1つの側壁を含む連続した2つの側壁を成す断面L字状であるとよい。
【0019】
これらのような構成によっても、上記と同様の効果を得ることが可能である。
【0020】
上記連結部材の屈曲した部位は、第1部材または第2部材から離れる方向に凸のハット形状であるとよい。これにより、屈曲した部位において十分な変形量を確保することができ、上述した効果を高めることができる。また連結部材の屈曲した部位の長さを変化させることにより、エアバッグクッションの膨張展開時の打ち上げ角度(打ち上げ方向)や、エアバッグクッションの出量を制御することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、エアバッグの膨張展開時にハウジングを開きやすくすることが可能なエアバッグモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかるエアバッグモジュールの斜視図である。
【
図2】
図1(a)の脚部を直線A-Aで切断した模式的な断面図である。
【
図3】
図1のハウジングの、エアバッグクッションの膨張展開時の挙動を示す図である。
【
図4】
図1のハウジングのバリエーションを示す図である。
【
図5】本発明の第2実施形態にかかるエアバッグモジュールの斜視図である。
【
図6】本発明の第3実施形態にかかるエアバッグモジュールの斜視図である。
【
図7】
図6(a)の連結部材近傍の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかるエアバッグモジュール100の斜視図である。
図1(a)は、エアバッグモジュール100のハウジング120の全体斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)のハウジング120を異なる方向から観察した斜視図である。
図2は、
図1(a)の脚部を直線A-Aで切断した模式的な断面図である。理解を容易にするために、
図2では、
図1(a)に示されていないエアバッグクッション102およびインフレータ104を破線で示している。
【0025】
なお、本実施形態のエアバッグモジュール100は、乗員の膝部を保護する膝用エアバッグ装置として用いられることを想定している。ただし、これに限定するものではなく、本実施形態のエアバッグモジュール100は、二輪車用エアバッグとして用いることも可能である。また本実施形態のエアバッグモジュール100は、乗員の頭部や胸部を保護するエアバッグとして用いてもよい。
【0026】
図2に例示するように、第1実施形態のエアバッグモジュール100は、エアバッグクッション102、インフレータ104および箱型のハウジング120を備える。インフレータ104は、エアバッグクッション102に内蔵されている。エアバッグクッション102は、折り畳まれたまたは巻回された状態でハウジング120に収納されている。
【0027】
図1(a)および(b)に例示するように、ハウジング120は、四角形状であり、第1部材130および第2部材140を有する。第1部材130は、3つの側壁130a・130b・130cから成っている。第2部材140は、第1部材130と向かい合うように3つの側壁140a・140b・140cを成し、第1部材130の内側に重なっている。
【0028】
図2に例示するように、第1部材130および第2部材140それぞれの底壁132・底壁142からは脚部134・144が延びている。ハウジング120は、この脚部134・144においてボルト152およびナット154によってフレーム106に固定される。本実施形態のエアバッグモジュール100では、このボルト152が、第1部材130と第2部材140とを連結する。したがって、第1部材130と第2部材140とが相対的に回動する際の回動軸152aは、ボルト152の中心軸である。
【0029】
また
図1に例示するように、第1実施形態では、ハウジング110には、第1部材130と第2部材140の回動を案内する部材としてピン162およびブラケット164が設けられている。ピン162は、第1部材130に固定されている。ブラケット164は、円弧状であり、第2部材140に固定されている。ブラケット164には、ピン162が挿通されて摺動可能な円弧状のスロット164aが形成されている。
【0030】
図3は、
図1のハウジングの、エアバッグクッション102の膨張展開時の挙動を説明する図である。エアバッグクッション102が膨張展開する前は、
図3(a)に例示するように、ピン162は、フレーム106のスロット164aの始点P1に位置する。そして、エアバッグクッション102が膨張展開すると、その圧力によって第1部材130が押し出される。これにより、ピン162がブラケット164のスロット164a内を移動し、第1部材130が第2部材140に対して回動軸152a(ボルト152の中心軸)の周りで回動する。そして、
図3(b)に例示するように、ピン162は、スロット164aの終点P2まで移動し、箱型のハウジング120の上側の開口121が広がる。
【0031】
上記構成によれば、第1部材130が第2部材140に対して回動することにより、ハウジング120の上側の開口が広がる。すなわち、エアバッグクッション102の膨張展開時にハウジング120の開口が開きやすくなっている。このようにハウジング120が開きやすいことにより、エアバッグクッションの展開速度を速めることができる。これにより、展開挙動が安定し、より早く乗員を拘束できる。このため、乗員傷害値を低下することが可能となる。またハウジング120が開きやすいことで、エアバッグクッション102の展開時の内圧低下によるクッション耐性の向上を図ることができる。これにより、クッション基布量の低下やハウジング120の板厚低減が見込めるため、コストの削減を図ることが可能となる。
【0032】
また上記構成のように、ハウジング120に、ピン162およびブラケット164を設けることにより、第1部材130の第2部材140に対する回動を案内することができる。したがって、安定した動作が可能となり、所望の挙動を確実に得ることが可能となる。
【0033】
更に本実施形態では、
図2に例示するように、ハウジング120は、回動軸152aを提供するボルト152に接続されるベアリング166を含む。これにより、第1部材130が第2部材140に対して回動する際のボルト152の摩擦を低減することができる。したがって、第1部材130や第2部材140がよりスムーズに回動するため、上述した効果を高めることが可能となる。
【0034】
図4は、
図1のハウジングのバリエーションを示す図である。上述した実施形態のハウジング120は、
図4(a)に例示するように、3つの側壁130a・130b・130cからなる第1部材130と、3つの側壁140a・140b・140cからなる第2部材140を組み合わせて形成されている。
【0035】
図4(b)に例示するハウジング120aは、2つの側壁182a・182bを成す断面L字状の第1部材182と、残りの2つの側壁184a・側壁184bを成す断面L字状の第2部材184を組み合わせて形成されている。
図4(c)に例示するハウジング120bは、3つの側壁130a・130b・130cを成す第1部材130と、残りの1つの側壁を含む連続した2つの側壁186a・186bを成す断面L字状の第2部材186を組み合わせて形成されている。
図4(d)に例示するハウジング120cは、3つの側壁130a・130b・130cを成す第1部材130と、残りの1つの側壁を成す第2部材188とを組み合わせて形成されている。
【0036】
このように、第1部材および第2部材は、断面がコの字状の部材である必要はない。エアバッグクッション102を囲む4つの側壁を形成できれば、L字状等の他の形状の部材を用いても上記と同様の効果を得ることが可能である。
【0037】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態にかかるエアバッグモジュール200の斜視図であり、エアバッグモジュール200のハウジング210の全体斜視図である。なお、
図5では、エアバッグクッション102およびインフレータ104(
図2参照)を図示省略している。また回動軸152aを提供するボルト152(
図1)も図示省略している。
【0038】
図5(a)に例示するエアバッグモジュール200のハウジング210は、3つの側壁130a・130b・130cを有する第1部材130と、残りの1つの側壁を成す第2部材240によって形成されている。ハウジング210には回動を案内する部材であるピン262と、L字状のブラケット264が設けられている。ピン262は第1部材130に固定されている。ブラケット264は、ピン262が摺動するスロット264aを有し、第2部材240に固定されている。スロット264aは、
図3に例示した第1実施形態のスロット164aと異なり、直線的になっている。
【0039】
上記構成によれば、エアバッグクッション102が膨張展開すると、その圧力によって第2部材240が押される。これにより、ピン262がブラケット264のスロット264a内を摺動し、第2部材240が第2部材240の底辺240aを回動軸として第1部材130に対して回動する。そして、
図5(b)に例示するように、箱型のハウジング210の上側の開口210aが広がる。したがって、第2実施形態のエアバッグモジュール200によっても、第1実施形態のエアバッグモジュール100と同様の効果を得ることが可能となる。
【0040】
なお、直線的なスロット264aの中をピン262は円弧状の軌道で摺動することになるため、スロット264aは、ピン262と干渉しないよう、十分な幅を持たせておくことが望ましい。
【0041】
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態にかかるエアバッグモジュール300の斜視図である。
図6(a)は、エアバッグモジュール300のハウジング310の全体斜視図であり、
図6(b)は、
図6(a)のハウジング310を異なる方向から観察した斜視図である。
図7は、
図6(a)の連結部材350近傍の拡大斜視図である。
【0042】
図6(a)および(b)に例示するように、第3実施形態のエアバッグモジュール300のハウジング310は、第1部材330および第2部材340を含む。第1部材330は、3つの側壁330a・330b・330cを有する。第2部材340は、3つの側壁340a・側壁340b・側壁340cを有し、第1部材330の内側に配置されている。これらの第1部材330および第2部材340は、連結部材350によって連結されている。
【0043】
図6(b)および
図7に例示するように、本実施形態では、連結部材350は、第1連結部材360および第2連結部材370を含む。第1連結部材360は、接合部362、連結部364および屈曲部366を有する。接合部362は、第1部材330に接合される部位であり、連結部364は、第2連結部材370と連結される部位である。接合部362と連結部364との間には、屈曲した部位である屈曲部366が形成されている。
【0044】
第2連結部材370は、接合部372、連結部374および屈曲部376を有する。接合部372は、第2部材340に接合される部位であり、連結部374は、第1連結部材360と連結される部位である。接合部372と連結部374との間には、第1部材または第2部材から離れるように屈曲した部位である屈曲部376が形成されている。
【0045】
第1連結部材360の連結部364と第2連結部材370の連結部374とは、
図7に示すボルト352および
図6(b)に示すナット354によって固定される。これにより、第1連結部材360および第2連結部材370を介して第1部材330と第2部材340とが連結される。
【0046】
上記構成によれば、エアバッグクッション102が膨張展開すると、その圧力によって、連結部材350の屈曲した部位である屈曲部366・376が、
図7に示す矢印D2・D3方向に伸びる。これにより、第1部材330が、
図6(a)に示す矢印D1方向に向かって第2部材340から離間して箱型のハウジング310の上側の開口310a(
図6(b)参照)が広がる。したがって、第3実施形態のエアバッグモジュール300によっても、第1実施形態のエアバッグモジュール100と同様の効果を得ることが可能となる。
【0047】
特に本実施形態では、屈曲した部位である屈曲部366・376を、ハウジング310から離れる方向に凸のハット形状としている。これにより、屈曲部366・376において十分な変形量を確保することができ、上述した効果を高めることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、2つの連結部材(第1連結部材360および第2連結部材370)を用いる構成を例示したが、これに限定するものではない。例えば、第1連結部材360の連結部364を第2部材340に接合すれば、第2連結部材370を必要とすることなく上述した効果を得ることが可能である。
【0049】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
【0050】
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、ニーエアバッグやモーターサイクル用(バイク用)エアバッグ等のエアバッグモジュールに利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
100…エアバッグモジュール、102…エアバッグクッション、104…インフレータ、106…フレーム、120…ハウジング、120a…ハウジング、120b…ハウジング、120c…ハウジング、121…開口、130…第1部材、130a…側壁、130b…側壁、130c…側壁、132…底壁、134…脚部、140…第2部材、140a…側壁、140b…側壁、140c…側壁、142…底壁、144…脚部、152…ボルト、152a…回動軸、154…ナット、162…ピン、164…ブラケット、164a…スロット、166…ベアリング、182…第1部材、182a…側壁、182b…側壁、184…第2部材、184a…側壁、184b…側壁、186…第2部材、186a…側壁、186b…側壁、188…第2部材、200…エアバッグモジュール、210…ハウジング、210a…開口、240…第2部材、240a…底辺、262…ピン、264…ブラケット、300…エアバッグモジュール、310…ハウジング、310a…開口、330…第1部材、330a…側壁、330b…側壁、330c…側壁、340…第2部材、340a…側壁、340b…側壁、340c…側壁、350…連結部材、352…ボルト、354…ナット、360…第1連結部材、362…接合部、364…連結部、366…屈曲部、370…第2連結部材、372…接合部、374…連結部、376…屈曲部