(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンの調製方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/194 20170101AFI20230908BHJP
C10M 125/02 20060101ALI20230908BHJP
C10M 137/10 20060101ALI20230908BHJP
C10M 135/18 20060101ALI20230908BHJP
C10M 135/04 20060101ALI20230908BHJP
C10M 145/02 20060101ALI20230908BHJP
C10M 125/24 20060101ALI20230908BHJP
C10M 131/04 20060101ALI20230908BHJP
C10M 125/18 20060101ALI20230908BHJP
C10M 125/10 20060101ALI20230908BHJP
C10M 125/20 20060101ALI20230908BHJP
C10M 177/00 20060101ALI20230908BHJP
C10M 169/06 20060101ALI20230908BHJP
C10N 10/02 20060101ALN20230908BHJP
C10N 50/10 20060101ALN20230908BHJP
C10N 10/04 20060101ALN20230908BHJP
C10N 10/12 20060101ALN20230908BHJP
C10N 10/10 20060101ALN20230908BHJP
C10N 70/00 20060101ALN20230908BHJP
C10N 30/06 20060101ALN20230908BHJP
C10N 40/02 20060101ALN20230908BHJP
【FI】
C01B32/194
C10M125/02
C10M137/10 A
C10M135/18
C10M137/10 Z
C10M135/04
C10M145/02
C10M125/24
C10M131/04
C10M125/18
C10M125/10
C10M125/20
C10M177/00
C10M169/06
C10N10:02
C10N50:10
C10N10:04
C10N10:12
C10N10:10
C10N70:00
C10N30:06
C10N40:02
(21)【出願番号】P 2021572698
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(86)【国際出願番号】 CN2020076674
(87)【国際公開番号】W WO2020173447
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】201910139410.7
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521375335
【氏名又は名称】クワンシー・リウゴン・マシナリー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン,ボー
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ジンチヨン
(72)【発明者】
【氏名】リャン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,リー
(72)【発明者】
【氏名】リン,ミンジー
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,グオチン
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109810748(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104560264(CN,A)
【文献】特開平04-279698(JP,A)
【文献】特表2012-519218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0342955(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108587755(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104560289(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106221863(CN,A)
【文献】特開2016-069482(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0210282(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00-32/991
C10M 101/00-177/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンの調製方法であって、
(1)炭素含有量が95%より大きい炭素源と濃硫酸(質量分率が95%~98%)とを接触させるステップと、
(2)ステップ(1)で得られた混合物に
過酸化ナトリウムと硝酸ナトリウムを加え、温度は0~10℃であるステップと、
(3)ステップ(2)で得られた固体部分を液相と分離するステップと、
(4)ステップ(3)で得られた乾燥した固体部分を不活性ガス雰囲気中で
300℃に加熱し、恒温にして、ヒドロキシ化グラフェンを取得するステップと、
(5)ステップ(4)で得られたヒドロキシ化グラフェンを、2-ヒドロキシフェニル[3-(トリメトキシシリル)プロポキシ]フェニルケトンと反応させて変性ヒドロキシ化グラフェンを取得するステップと、
(6)ステップ(5)で得られた変性ヒドロキシ化グラフェンを、
1,4-ジクロロメトキシブタンと反応させて、変性ヒドロキシ化グラフェンをクロロメチル化して、クロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを取得するステップと、
(7)ステップ(6)で得られたクロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを、
トリエチルアミンと反応させて、第四級アンモニウム化反応を行うステップと、
を含
むことを特徴とするヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンを調製する調製方法。
【請求項2】
前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンは、第四級アンモニウム塩を含有するヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンであることを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンは、芳香環を含有するヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンであることを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
前記芳香環を含有するヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンは、フェノール変性グラフェンであることを特徴とする請求項
3に記載の調製方法。
【請求項5】
リチウムグリースの調製方法であって、
(1)基油と、ゲル化剤とを混合し、80~105℃に加熱して昇温し、混合物を取得するステップと、
(2)鹸化剤と水との重量部比が1:4~1:6にして、鹸化剤と水とを均一に混合して水溶液を取得するステップと、
(3)上記水溶液をステップ(1)における混合物に加え、80~95℃の温度で鹸化反応を0.2~1.5時間行い、反応後に190~220℃に昇温するステップと、
(4)100~120℃に冷却し、耐摩耗剤、防錆剤、抗酸化剤、潤滑剤を加えるステップと、
(5)ステップ(3)で取得された生成物をステンレスコップに入れ、室温に冷却し、研磨し、リチウムグリースを取得するステップと、
を含み、
ステップ(4)において、耐摩耗剤、防錆剤、抗酸化剤及び潤滑剤を加える同時に、請求項1に記載の調製方法で得られたヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンを加えることを特徴とする調製方法。
【請求項6】
前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジチオジアルキルカルバミン酸モリブデン、ジチオジアルキルカルバミン酸鉛、トリフェニルチオリン酸エステル、有機モリブデン錯体、硫化オレフィン、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、チオリン酸モリブデン、塩素化パラフィン、ジブチルジチオカルバミン酸アンチモン、二硫化タングステン、二硫化セレン、フッ化黒鉛、炭酸カルシウム、酸化亜鉛から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載のリチウムグリースの調製方法。
【請求項7】
前記リチウムグリースの調製方法の調製原料は、基油75~88部、耐摩耗剤0.5~2.5部、防錆剤0.1~1.5部、抗酸化剤0.1~1.5部、潤滑剤5~25部、ゲル化剤5~15部、鹸化剤0.6~2.0部及びヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン0.001~1.5部を含むことを特徴とする請求項5に記載のリチウムグリースの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油に関し、より具体的には、リチウムグリース及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤は、工業的生産において極めて重要な役割を果たしており、摩擦を低減して不必要なエネルギー損失を低減し、且つ機械を保護してその使用寿命を延長することができる。リチウムグリースは、良好な機械的安定性、良好なコロイド安定性、優れた撥水性を有する主流のグリースである。本開示は、リチウムフリースを提供することを目的とする。
【0003】
グラフェンは、炭素原子からなる単層シート状構造の新たな材料であり、現在世界で最も薄いが最も硬いナノ材料であり、その熱伝導率が5300W/m・Kに達し、カーボンナノチューブ及びダイヤモンドよりも高く、その抵抗率が銅または銀よりも低く、現在世界で電気抵抗率が最も小さい材料である。グラフェン材料は、グラフェンにより積層して形成され且つ層数が10層以下のカーボンナノ材料であり、電子、航空宇宙、海洋工学装置、国防科学技術などの分野において巨大な応用潜在力を有する。多くのグラフェン材料の摩擦学性能の研究は、グラフェン材料が優れた潤滑及び耐摩耗の性能を有することを示すので、グラフェン材料は潜在的な高性能潤滑材料となっている。グラフェン材料がリチウムグリースに適用されることに対する肝心な問題は以下の通りです。一は、グラフェン材料と、グリースにおける基油、添加剤との間の複合効果を解決する問題であり;二は、グリースが使用中に絶えず酸化崩壊して、これにより生成された過酸化物及び酸化縮合物によるグラフェン材料に対する抵抗効果を解決する問題であり;三は、最も肝心な問題として、グラフェン材料が潤滑グリース中に均一に分散する問題、並びに従来の分散剤と基油及び添加剤との相溶性問題である。
【0004】
よって、従来のリチウムグリースの摩擦低減性能、極圧耐摩耗性能、抗酸化性能を強化するために、レシピ及びプロセス方法の改善により、グラフェンを含むグリースを探索して開発することは、非常に必要である。
【発明の概要】
【0005】
上記の技術的問題を解決するために、本発明の一態様は、リチウムグリースであって、重量部で計算すると、前記リチウムグリースの調製原料は、基油75~88部、耐摩耗剤0.5~2.5部、防錆剤0.1~1.5部、抗酸化剤0.1~1.5部、潤滑剤5~25部、ゲル化剤5~15部、及び鹸化剤0.6~2.0部を含むリチウムグリースが提供された。
【0006】
本出願の発明人は、前記耐摩耗剤とグラフェン材料との組み合わせは相乗的に耐摩耗効果を向上させ、繊維構造がより緻密化にも寄与することを発見した。グリースはより高い滴点を有し、より優れた抗酸化性能及び耐候性を有する、ことをもたらす。よって、本発明は、またグラフェンを含むグリースに関するものである。
【0007】
好適な技術態様として、重量部で計算すると、前記リチウムグリースの調製原料は、グラフェン材料0.001~1.5部をさらに含む。
【0008】
有利には、前記リチウムグリースにおけるグラフェン材料と耐摩耗剤との組み合わせは相乗的に上述した耐摩耗効果を向上させる。
【0009】
好適な技術態様として、重量部で計算すると、前記リチウムグリースの調製原料は、変性グラフェン0.001~1.5部をさらに含む。
【0010】
好適な技術態様として、前記変性グラフェンは、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンである。
【0011】
好適な技術態様として、前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンは、第四級アンモニウム塩を含有するヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンである。
【0012】
好適な技術態様として、前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンは、芳香環を含有するヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンである。
【0013】
好適な技術態様として、前記芳香環を含有するヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンは、フェノール変性グラフェンである。
【0014】
好適な技術態様として、前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジチオジアルキルカルバミン酸モリブデン、ジチオジアルキルカルバミン酸鉛、トリフェニルチオリン酸エステル、有機モリブデン錯体、硫化オレフィン、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、チオリン酸モリブデン、塩素化パラフィン、ジブチルジチオカルバミン酸アンチモン、二硫化タングステン、二硫化セレン、フッ化黒鉛、炭酸カルシウム、酸化亜鉛から選択される少なくとも1種である。
【0015】
本発明の他の態様は、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンを調製する方法であって、
(1)好ましくは、炭素含有量が95%より大きい炭素源と濃硫酸(質量分率が95%~98%)とを接触させるステップと、
(2)ステップ(1)で得られた混合物に金属過酸化物、好ましくは、アルカリ金属過酸化物X2O2(XがLi、Na、KまたはRbである)、又はアルカリ土類金属過酸化物YO2(YがCa、Ba、Mg又はSrである)を加え、温度は0~10℃であるステップと、
(3)ステップ(2)で得られた固体部分を液相と分離するステップと、
(4)ステップ(3)で得られた乾燥した固体部分を不活性ガス雰囲気中で280~350℃に加熱し、好ましくは、約300℃の恒温にしって、ヒドロキシ化グラフェンを取得するステップと、
(5)ステップ(4)で得られたヒドロキシ化グラフェンを、2-ヒドロキシフェニル[3-(トリメトキシシリル)プロポキシ]フェニルケトンと反応させて変性ヒドロキシ化グラフェンを取得するステップと、
(6)ステップ(5)で得られた変性ヒドロキシ化グラフェンを、クロロアルキルエーテルと反応させて、変性ヒドロキシ化グラフェンをクロロメチル化して、クロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを取得するステップと、
(7)ステップ(6)で得られたクロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを、N(C1-4アルキル)3と反応させて、第四級アンモニウム化反応を行うステップと、
を含むことを特徴とするヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンを調製する方法がさらに提供された。
【0016】
ステップ(2)の反応を止めるために、一定時間経過後に混合物に水を加える(化学クエンチング)。水をゆっくりと加え、好ましくは一定の期間内に段階的に加える。
【0017】
好ましくは、炭素源の質量に対する、ステップ(2)で反応された混合物に加えられた水の重量比は、約150:1から約70:1までの範囲にある。
【0018】
鹸化反応を行うために、炭素源と、濃硫酸と、金属過酸化物とを含む混合物を80~95℃の温度で0.2~1.5時間鹸化反応させる。
【0019】
好ましくは、ステップ(1)に記載の炭素含有量が95%より大きい炭素源は、カーボンブラック、結晶性炭素、非晶質炭素、又はそれらの組み合わせである。結晶性炭素の好ましい実例としては、粒度が400メッシュより大きい結晶性鱗片状黒鉛(黒鉛の小さな鱗片)である。
【0020】
好ましくは、炭素源と濃硫酸との重量比は、1:50から1:90までの範囲にあり、より好ましくは、1:60から1:80までの範囲にある。
【0021】
好ましくは、炭素源の重量に基づいて、炭素源と金属過酸化物との重量比は4:1から1:1までの範囲にあり、より好ましくは、2:1から1:1までの範囲にある。
【0022】
当業者は、ステップ(2)における混合物を少なくとも1時間撹拌し、好ましくは少なくとも2時間撹拌することは有利であることを知っている。
【0023】
ステップ(2)で取得された固体部分は、遠心分離、沈降又は濾過などの様々な方法により液相から分離することができる。例えば、ステップ(2)における固体部分を含む混合物は、7200rpmで0.5時間以上遠心分離して固液分離を実現することができる。
【0024】
得られた分離生成物は、水で洗浄して過剰な硫酸及び金属過酸化物、並びに副生成物を除去することができる。
【0025】
好ましくは、その後、分離された固体部分を、室温より低い(25℃より低い)の低温で含水量が1%よりも小さいまで乾燥し、好ましくは0~10℃の温度で乾燥する。これにより得られた乾燥した固体部分を、例えば、400メッシュの篩にかけて酸化グラフェンの粉末である篩下物を取得する。
【0026】
ステップ(4)における不活性ガス雰囲気は、不活性ガス、好ましくはヘリウム、窒素、アルゴン、又はキセノン、又はそれらの混合ガスを、空気が恒温室の全空間から排出されるまで、恒温室に導入することにより提供することができる。より好ましくは、不活性ガスは、ヘリウム、窒素、又はその混合物である。
【0027】
有利には、まず、恒温室を280~350℃に加熱し、好ましくは約300℃の恒温に加熱し、その後、ステップ(2)で得られた酸化グラフェンを恒温室に導入して熱処理を行って、ヒドロキシ化グラフェンを取得する。
【0028】
好ましくは、ステップ(5)におけるヒドロキシ化グラフェンの変性は、極性溶媒で行うことができる。ここで、前記極性溶媒は、水及び低級アルコール(特にC1からC4までのアルコール)から選ばれるものであり、好ましくは、メタノール、エタノール、及びプロパノール(n-プロパノール及びi-プロパノール)、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノールである。例えば、前記極性溶媒は、エタノール、水、又はそれらの混合物である。
【0029】
これにより取得された変性ヒドロキシ化グラフェンは、例えば、遠心分離、沈降、又は濾過などの様々な方法により反応混合物から分離することができる。好ましくは、前記取得された変性ヒドロキシ化グラフェンは吸引濾過で反応混合物から分離して、水で洗浄される。有利には、高質な変性ヒドロキシ化グラフェンを生成するために、加工を行って揮発性溶媒の残留物及び副産物を除去する。
【0030】
好ましくは、前記分離された変性ヒドロキシ化グラフェンは、真空又は不活性ガスの雰囲気で干燥する。
【0031】
クロロメチル化剤であるクロロアルキルエーテルは、ジクロロメチルメチルエーテル、クロロメチルエーテル、ビス(クロロメチル)エーテル、1、4-ジクロロメトキシブタン、1、4-ジクロロメチルブチルエーテルまたはt-ブチルクロロメチルエーテルであってよい。好ましくは、前記クロロアルキルエーテルは1、4-ジクロロメトキシブタンである。
【0032】
ステップ(6)で得られたクロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンは、N(C1-4アルキル)3、好ましくは、トリエチルアミンと反応器で第四級アンモニウム化反応を行うことができる。前記第四級アンモニウム化反応の好ましい溶媒は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2-ジクロロエタンなどのハロゲン有機溶媒であり、好ましくは、前記ハロゲン有機溶媒はクロロホルムである。
【0033】
前記第四級アンモニウム化反応は、50℃~70℃の恒温で行うことができる。
【0034】
反応が終わった後、これにより取得された第四級アンモニウム化されたアミノ基含有生成物は、有機溶媒で揮発性溶媒の残留物及び副生成物を除去することができる。有機溶媒の実例は、例えば、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1-プロパノール、2-プロパノール(iPrOH)、1-ブタノール、2-ブラノール及びt-ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)などのエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン及び1、4-ジオキサンを含む。好ましい態様により、得られた第四級アンモニウム化されたアミノ基含有生成物は、1、4-ジオキサン、エタノール又はそれらの混合物で洗浄される。
【0035】
当業者は、得られた第四級アンモニウム化されたアミノ基含有生成物は、真空乾燥してヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンを取得することができることを知っている。
【0036】
例えば、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンを調製する方法は、
鱗片状黒鉛粉を濃硫酸に加え、さらに過酸化ナトリウムと硝酸ナトリウムとをそれぞれ加えて均一に撹拌した後、水を加えて撹拌し、遠心分離し、水洗いし、低温で乾燥し、篩にかけ、篩下物が酸化グラフェン粉末であり、ヘリウムと窒素との混合ガスを恒温カプセル内に導入し、空間全体から空気が排出された後、300℃に昇温し、温度が一定になった後、酸化グラフェン粉末をカプセル内に導入し、熱処理してヒドロキシ化グラフェンを取得するステップS01と、
エタノール溶媒にS01におけるヒドロキシ化グラフェンと、2-ヒドロキシフェニル[3-(トリメトキシシリル)プロポキシ]フェニルケトンとを加え、且つ水を加え、24h反応させ、吸引濾過し、洗浄し、真空乾燥し、変性ヒドロキシ化グラフェンを取得するステップS02と、
S02において調製された変性ヒドロキシ化グラフェンと、1、4-ビス(クロロメトキシ)ブタンとを反応させて、取得された変性ヒドロキシ化グラフェンに対してクロロメチル化を行い、クロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを取得するステップS03と、
反応器に1~2gのクロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを加え、30mLの溶媒クロロホルムと、5mLのトリエチルアミンとをさらに加え、第四級アンモニウム化反応を行い、反応が終わった後、順に1、4-ジオキサン、エタノールで生成物を洗浄し、真空乾燥してヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンを取得するステップS04と、を含む。
【0037】
他の局面で、本発明は、前記リチウムグリースを調製する方法であって、
(1)基油と、ゲル化剤とを混合し、80~105℃に加熱して昇温し、混合物を取得するステップと、
(2)鹸化剤と水との重量部比が1:4~1:6にして、鹸化剤と水とを均一に混合して水溶液を取得するステップと、
(3)上記水溶液をステップ(1)における混合物に加え、80~95℃の温度で鹸化反応を0.2~1.5時間行い、反応後に190~220℃に昇温するステップと、
(4)100~120℃に冷却し、耐摩耗剤、防錆剤、抗酸化剤、潤滑剤を加えるステップと、
(5)ステップ(3)で取得された生成物をステンレスコップに入れ、室温に冷却し、研磨し、リチウムグリースを取得するステップと、を含む、
前記リチウムグリースを調製する方法がさらに提供された。
【0038】
好ましくは、ステップ(1)においては、一部の基油だけとゲル剤とを混合し、残りの基油は、ステップ(3)における鹸化反応後に混合物を190~220℃に昇温した際に混合物に加えられる。ここで、その一部の基油と残りの基油との重量比は、1:1~5:1の範囲内にある。好ましくは、その一部の基油と残りの基油との重量比は3:1である。
【0039】
好ましくは、ステップ(1)においては、基油とゲル剤とを約100℃に加熱する。
【0040】
好ましくは、ステップ(2)に上述した鹸化剤と水との重量比は約1:5である。
【0041】
リチウムグリースを取得する研磨は、好ましくは、3本ロールミルで行われる。
【0042】
ステップ(3)において、グラフェン材料(本明細書で定義された通りのもの)を加え、その同時に耐摩耗剤、防錆剤、抗酸化剤及び潤滑剤を加えて、グラフェンを含むグリースを取得することができる。ここで、好ましくは、グラフェン材料をまず、耐摩耗剤又は少量の基油に分散させて、基油に加える。撹拌又は研磨によりグラフェン材料を耐摩耗剤又は少量の基油に分散させ、かつ均質液の形で加えることを規定できる。分散は、30分間以上の超音波処理(例えば、超音波の周波数が30kHz)により実現することができる。
【0043】
グラフェン材料は、2次元(2D)のグラフェン材料、3次元(3D)のグラフェン材料、及びグラフェン材料により個別に生成された誘導体であってよく、例えば、本明細書で定義された変性グラフェンであり、好ましくはヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンである。
【0044】
例えば、そのリチウムグリースを調製する方法は、
(1)一部の基油と、ゲル化剤とを混合し、80~105℃に加熱し、混合物を取得するステップと、
(2)鹸化剤と水との重量部比が1:4から1:6までの範囲(1:(4~6)を表す)にして、鹸化剤と水とを均一に混合して水溶液を取得するステップと、
(3)上記水溶液をステップ(1)における混合物に加え、80~95℃の温度で鹸化反応を0.2~1.5時間行い、反応後に190~220℃に加熱し、残りの基油を加え、100~120℃に冷却し、耐摩耗剤、防錆剤、抗酸化剤、潤滑剤を加えるステップと、
(4)ステップ(3)で取得された生成物をステンレスコップに入れ、室温に冷却し、3本ロールミルを用いて研磨し、リチウムグリースを取得するステップと、を含む。
ここで、前記一部の基油と残りの基油との重量部比が1:1から5:1までの範囲((1~5):1を表す)にある。
【0045】
従来技術に比べて、本発明の有益効果は、本発明のリチウムグリースが、例えば良好なコロイド安定性、極める良い機械安定性、長寿命などの伝統的なリチウムグリースの長所を有するとともに、リチウムグリースの耐摩耗性能を大きく向上させることである。より重要なことには、本発明は、優良な抗酸化性能を有するとともに、鹸化反応時間を顕著に短くし、鹸化反応温度を低減し、基礎リチウムグリースの不変性(invariability)、安定性(stability)及び耐摩耗性能を大幅に向上させることができ、そのため高温、高速、高負荷、水が多いことなどの過酷な作業条件に適することを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下の好適な実施形態の詳述及び含まれる実施例を参照して、本発明の内容をより容易に理解することができる。本明細書で使用されるすべての技術及び科学の用語は、限定されていない限り、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を持つ。矛盾があるとき、本明細書における定義に準じる。
【0047】
以下の詳しい説明のために、本発明は、明確な反対の規定がない限り、様々な代替の変化及びステップ順序を採用することができることを理解すべきである。また、任意の操作例において、或いは他の方式で指摘された場合を除き、明細書及び請求項で使用される成分の量のようなものを表すすべての数字は、あらゆる場合において、「約」という用語に修飾されるように理解されるべきである。そのため、反対に指摘されていない限り、以下の明細書及び添付の請求項に記載される数値パラメータは、本発明が達成しようとする所望の性能に応じて変化する近似値である。少なくとも均等論の適用を請求項の範囲に限定すると意図することではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効数字の桁数に基づき、普通の四捨五入技術を適用することにより解釈されるべきである。
【0048】
本発明の広い範囲を説明する数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例で挙げられる数値は、できるだけ正確に報告される。しかし、任意の数値は、それぞれの試験測定で発見された標準偏差により必然的に生成された何らかの誤差を固有に含む。
【0049】
本明細書において1つの数値範囲が開示されたとき、上記範囲は、連続とされ、その範囲における最小値及び最大値と、そのような最小値と最大値との間の各値とを含む。さらに、範囲が整数であるとき、その範囲における最小値と最大値との間の各整数を含む。また、複数の範囲が提供されて特徴または特性を説明するとき、それらの範囲を合併することができる。言い換えると、本明細書において開示されるすべての範囲は、特別に指摘されていない限り、その中に入っている任意及び全部のサブ範囲が含まれるように理解されるべきである。例えば、「1乃至10」の指定範囲は、最小値1と最大値10との間の任意及び全部のサブ範囲が含まれるように見られるべきである。「1乃至10」の範囲における例示的なサブ範囲は、「1乃至6.1」、「3.5乃至7.8」、「5.5乃至10」などを含むが、それらに限定されない。
【0050】
本発明の一態様は、リチウムグリースであって、調製原料が、基油75~88部、耐摩耗剤0.5~2.5部、防錆剤0.1~1.5部、抗酸化剤0.1~1.5部、潤滑剤5~25部、ゲル化剤5~15部、鹸化剤0.6~2.0部を含むリチウムグリースが提供された。
【0051】
好適な技術態様として、重量部で計算すると、前記リチウムグリースの調製原料は、グラフェン材料0.001~1.5部をさらに含む。
【0052】
好適な技術態様として、重量部で計算すると、前記リチウムグリースの調製原料は、変性グラフェン0.001~1.5部をさらに含む。
グラフェン材料
【0053】
本明細書で用いられるようなグラフェン材料の典型的な例は、2次元(2D)のグラフェン材料、3次元(3D)のグラフェン材料、及びグラフェン材料により個別に又は緊密に積層された10層以下の誘導体である。グラフェン材料は、単層グラフェン、二層グラフェン及び多層グラフェンを含む。グラフェン材料の巨視的な形態は、薄膜、粉末、ペースト及び3次元(3D)構造である。3Dのグラフェン材料は、層状多孔の構造を有する(全炭素)フレームワークである。
【0054】
一般的には、グラフェン材料は、剥離、水熱自己組織化、酸化グラフェンの水熱還元、化学気相成長、ナノチューブスライス、二酸化炭素還元、スピンコーティング、超音速スプレー、有機ポリマー薄膜のレーザ処理、マイクロ波補助酸化、及びイオン注入などの方法により取得される。
【0055】
本明細書で用いられる変性グラフェンの典型的な例はヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン、第四級アンモニウム塩を含有するヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン、芳香環を含有するヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン、スルホンはグラフェン(例えば、長鎖炭素変性スルホンはグラフェン)である。特に、ここで明確に言及された変性グラフェン材料は優れた耐摩耗性能を表現する。
【0056】
本願では、好適なグラフェン材料の調製方法は以下のとおりである(各パラメータの定義は本明細書の記載を参照)。
【0057】
(1)炭素含有量が95%より大きい炭素源と濃硫酸(質量分率が95%~98%)とを接触させ、
(2)ステップ(1)で得られた混合物に金属過酸化物、好ましくは、アルカリ金属過酸化物X2O2(XがLi、Na、KまたはRbである)、又はアルカリ土類金属過酸化物YO2(YがCa、Ba、Mg又はSrである)を加え、温度は0~10℃であり、
(3)ステップ(2)で得られた混合物に水を加え、温度を80~95℃に制御し、
(4)ステップ(3)で得られた固体部分を液相と分離し、
(5)分離された固体部分のpH値を6.0よりも大きいまで調節し、好ましくは、6.5よりも大きいまで調節し、
(6)分散された酸化グラフェンの水溶液を提供し、
(7)ヒドラジン水和物(質量パーセント濃度が85%以上)を加え、ここで、酸化グラフェンの官能基が効果的に除去される。
【0058】
好ましくは、ステップ(1)に記載の炭素含有量が95%より大きい炭素源は、カーボンブラック、結晶性炭素、非晶質炭素、又はそれらの組み合わせである。結晶性炭素は、好適な実例としては、粒度が400メッシュより大きい結晶性鱗片状黒鉛(黒鉛の小さな鱗片)である。
【0059】
ステップ(5)により分離された固体部分のpH値を調節することは、水で分離された固体部分を洗浄することで取得することができる。当業者は、pH値を決定する様々な方法によく知られている。
【0060】
必要に応じて、ステップ(5)で得られた生成物を乾燥させる。
【0061】
好ましくは、ステップ(6)における分散された酸化グラフェンの水溶液は、30分間以上の超音波処理(例えば、超音波の周波数が30kHz)による実現することができる。
【0062】
例えば、前記グラフェン材料の調製方法には、以下のステップが含まれる。
【0063】
ステップS01 1kgの鱗片状黒鉛粉(粒度が400メッシュより大きく、炭素量が95%より大きい)を70kgの濃硫酸(質量分率が95%~98%)に加え、さらに0~10℃で0.5kgの過酸化ナトリウムと0.5kgの硝酸ナトリウムとをそれぞれ加えて、それらの添加量は、1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量とし、2h撹拌し;1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量として100kgの水をゆっくりと加えて温度を80~95℃に制御して、1h撹拌し;7200rpmで0.5h以上遠心分離して固液分離を実現し;50℃から60℃の温水で水洗いし、洗浄後の水のpHが6.5より大きければよく;含水率が1%より小さいまで0~10℃の低温で乾燥し、その後、400メッシュの篩にかけ、酸化グラフェンである篩下物を取得する。
【0064】
上記調製された0.1gの酸化グラフェンを100mLの水に加えて30min超音波分散(超音波の周波数が30kHz)し、その後、5mLのヒドラジン水和物(質量パーセント濃度が85%)を加え、100℃のオイルバスで24h反応させ、最後に取得された黒いフロックを水洗いして、吸引濾過して、乾燥した後の粉末がグラフェン材料である。
【0065】
しかしながら、当業者は、グラフェンを生成する他の方法があることを知っている。
【0066】
本発明の発明人は、3Dのグラフェン材料と耐摩耗剤との組み合わせは、相乗的に耐摩耗効果を向上させることができるだけでなく、より緻密な繊維構造を形成することに寄与することを発見した。より高い滴点、より優れた抗酸化性能及び耐候性になることをもたらす。
【0067】
本願では、グラフェン材料、好ましくは3次元(3D)のグラフェン材料を調製する、他の好ましい方法は、以下のとおりである。
【0068】
(1)ポリマーを増感し、ここで、増感処理は、
ポリマーをアルカリ溶液、好ましくは、アルカリ金属水酸化物XOH(XがLi、Na、KまたはRbである)、又はアルカリ土類金属水酸化物Y(OH)2(YはCa、Ba、Mg又はSrである)を含む水溶液に分散させ、ここで、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物のモル濃度は、2.5Mから10Mまでであり、より好ましい範囲は、5Mから7.5Mまでであること、
ポリマーを酸性溶液、好ましくは、ハロゲン化水素HX(XがF、Cl、Br又はIである)を含む水溶液に分散させ、ここで、酸性溶液におけるハロゲン化水素のモル濃度は、2.5Mから10Mまでであり、より好ましい範囲は、5Mから7.5Mまでであること、
アルカリ化処理及び酸化処理されて得られたポリマーを金属イオン塩水溶液に分散させ、ここで、金属イオン塩水溶液の濃度は、0.02mol/Lから2mol/Lまでであることと、
アルカリ化処理及び酸化処理されて得られた原料ポリマーに対して孔形成処理を行うことを含み、
(2)ステップ(1)で得られた増感された原料を乾燥させ、
(3)ステップ(2)で得られた乾燥した原料に対して高温熱分解処理を行い、
(4)溶媒において、ステップ(3)で高温熱分解処理された試料に対して崩壊処理を行い、
(5)ステップ(4)における崩壊された試料に対して金属回収処理を行う。
【0069】
好ましくは、ステップ(1)に記載のポリマーは、イオン交換樹脂、フェノール樹脂、又はエポキシ樹脂の1種又は1種以上の混合物であり、そして、イオン交換樹脂、フェノール樹脂などは、具体的に水素タイプである。また、遊離アミンタイプのモデルである。
【0070】
イオン交換樹脂又はイオン交換ポリマーは、イオン交換の媒体に充てる。それらは、不溶性マトリックス(又は支持構造)により構成され、通常は、有機ポリマー基材からなる小さな(0.25~0.5ミリの半径)マイクロビーズの形である。それらのビーズは、通常多孔であり、それらの上面及び内部において大きな表面積が提供される。イオン交換樹脂には、複数のタイプがある。多くの商業用樹脂は、ポリスチレンスルホン酸塩により生成される。
【0071】
多くの典型的なイオン交換樹脂は、架橋に基づくポリスチレンである。重合後に実際のイオン交換サイトを導入する。また、ポリスチレンの場合には、架橋はスチレンと少量のジビニルベンゼンとの共重合によって導入されることである。イオン交換樹脂の典型的な実例は、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム又はポリAMPS、ポリAPTAC)、ポリエチレンアミンから選ばれるものである。
【0072】
好ましくは、ステップ(1)に記載の金属イオン交換では、金属イオン塩溶液とアルカリ化処理及び酸化処理されたポリマーとを混合し、金属イオン塩溶液は、金属イオンである。塩を水に溶き、好ましくは脱イオン水に溶き、濃度が0.02~2mol/Lの金属イオン塩溶液を調製する。
【0073】
好ましくは、上記金属イオン塩は、鉄塩、コバルト塩、又はニッケル塩の1つ又は複数である。
【0074】
好ましくは、前記鉄塩は、塩化鉄、塩化第一鉄、硫酸鉄、硫酸第一鉄、硝酸鉄、硝酸第一鉄、酢酸鉄、酢酸第一鉄、第一鉄シアン化カリウム、鉄シアン化カリウム、又は第一鉄シアン化ナトリウム、又は鉄シアン化ナトリウムの1つ又は複数の混合物である。
【0075】
好ましくは、上記コバルト塩は、塩化コバルト、塩化コバルト、硫酸コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト、酢酸コバルト、ヘキサニトロコバルト酸ナトリウム又はヘキサニトロアミドである。1つ又は複数のコバルト酸カリウムの混合物である。
【0076】
好ましくは、上記ニッケル塩は、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、又は酢酸ニッケルの1つ又は複数の混合物である。
【0077】
好ましくは、前記金属イオン塩及びポリマーは、0.002~0.4molの金属イオン塩:1gのポリマーという比率で使用される。
【0078】
好ましくは、前記金属イオン塩及びポリマーは、0.02~0.02molの金属イオン塩:1gのポリマーという比率で使用される。
【0079】
好ましくは、前記ステップ(1)における孔形成処理は、アルカリ化処理、酸化処理、及び孔形成剤溶液を用いた金属イオン交換後の前記ポリマーの孔形成処理であり、前記孔形成剤は孔形成剤である。溶媒に溶けて飽和の孔形成剤溶液に形成される。
【0080】
好ましくは、孔形成剤は、アルカリ金属水酸化物XOH(XがLi、Na、KまたはRbである)、又はアルカリ土類金属水酸化物Y(OH)2(YがCa、Ba、Mg又はSrである)、又は、アルカリ金属酸化物X2O(XがLi、Na、KまたはRbである)、又はアルカリ土類金属酸化物YO(YがCa、Ba、Mg又はSrである)である。好ましくは、前記水酸化物は、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムであり、かつ前記酸化物は、酸化カリウム又は酸化ナトリウムである。
【0081】
好ましくは、ステップ(2)に上述した乾燥温度は、100℃よりも低い。ステップ(2)で得られた生成物を含水量が2%よりも小さいまで乾燥させる。
【0082】
好ましくは、ステップ(3)に記載の熱分解処理は、900℃よりも低い熱分解温度で5~8時間行われる処理である。
【0083】
好ましくは、ステップ(4)に記載の崩壊剤は、水及びアルコールの1つ又は混合物である。前記アルコールの実例には、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1-プロパノール、2-プロパノール(iPrOH)、1-ブタノール、2-ブラノール及びt-ブタノールが含まれる。
【0084】
従来技術と比べて、本発明は以下の有益効果がある。
【0085】
本発明の3次元のグラフェン粉末の生産プロセスは、下記のメリットを有する。
【0086】
(1)3次元構造のグラフェン粉末材料の全調製過程では、研磨及び粉砕は必要がなく、伝統的な触媒分解法によるグラフェン調製過程における煩わしい調製プルセスを最適化し、生産プロセスを簡素化し、生産コストを低減した。
(2)黒鉛化炭素材料は、水、アルコール又は両者の混合物で自由に分解することができ、後続の研磨を必要とせずに、構造が均一で、固まらない3次元構造のグラフェン粉末材料を取得することができ;本発明の方法により調製された3次元構造のグラフェン粉末は、高比表面積、高導電性、低コスト、簡単な調製プロセス、プロセスの大幅な短縮、規模化及び工業化生産の容易さなどのメリットを有する。
変性グラフェン
【0087】
本願では、好適な技術態様として、前記変性グラフェンは、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンであり、前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンは、第四級アンモニウム塩を含有するヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンである。好適な技術態様として、前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンは、芳香環を含有するヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンである。好適な技術態様として、前記芳香環を含有するヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンは、フェノール変性グラフェンである。
【0088】
前記変性グラフェンの調製方法は、以下のとおりである。
【0089】
ステップS01 1kgの鱗片状黒鉛粉(粒度が400メッシュより大きく、炭素量が95%より大きい)を70kgの濃硫酸(質量分率が95%~98%)に加え、さらに0~10℃で0.5kgの過酸化ナトリウムと0.5kgの硝酸ナトリウムとをそれぞれ加えて、それらの添加量は、1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量とし、2h撹拌し;1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量として100kgの水をゆっくりと加えて温度を80~95℃に制御して、1h撹拌し;7200rpmで0.5h以上遠心分離して固液分離を実現し;50℃から60℃の温水で水洗いし、洗浄後の水のpHが6.5より大きければよく;含水率が1%より小さいまで0~10℃の低温で乾燥し、その後、400メッシュの篩にかけ、篩下物が酸化グラフェン粉末である。ヘリウム及び窒素により体積比1:1で構成された混合ガスを恒温カプセル内に30min導入し、空間全体から空気が排出された後、300℃に昇温し、温度が一定になった後、酸化グラフェン粉末をカプセル内に導入し、50min熱処理を行って、ヒドロキシ化グラフェンを取得し、
ステップS02 エタノール溶媒に30gのヒドロキシ化グラフェンと、10gの2-ヒドロキシフェニル[3-(トリメトキシシリル)プロポキシ]フェニルケトン(CAS番号:94279-22-8)とを加え、少量の水を加え、50℃で24h反応させ、吸引濾過し、洗浄し、真空乾燥し、変性ヒドロキシ化グラフェンを得って、
ステップS03 S02において調製された変性ヒドロキシ化グラフェンと、1、4-ビス(クロロメトキシ)ブタンとを反応させて、取得された変性ヒドロキシ化グラフェンに対してクロロメチル化を行い、クロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを取得し、
ステップS04 反応器に1gのクロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを加え、30mLの溶媒クロロホルムと、5mLのトリエチルアミンとをさらに加え、恒温(60℃)で第四級アンモニウム化反応を行う。反応が終わった後、順に1、4-ジオキサン、エタノールで生成物を洗浄して且つ真空乾燥して、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンを取得する。
【0090】
発明人は、本願におけるヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンは、グラフェンの凝集を効果的に防止することができるだけでなく、グリースの抗酸化性能及び耐摩耗性能を顕著に向上させたことを発見した。その上に、発明人は、本願におけるヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンは、リチウムグリースの鹸化反応時間を短くし、かつ鹸化反応温度を低減することができ、同時に基礎リチウムグリースの不変性、安定性及び耐摩耗性能を大幅に向上させることができることを意外に発見した。発明人は、そのあり得る原因として、本願で調製されたヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンは、そのうちの第四級アンモニウム塩が大きい立体障害を提供し、グラフェン材料の凝集を防止し、耐摩耗性能を向上させることであり、一方、第四級アンモニウム塩が相間移動触媒として、第四級アンモニウム塩の正電子が水酸化物マイナスイオンを携帯して有機相に入り込み続け、鹸化反応の温度及び時間を大幅に低減することができ、同時に第四級アンモニウム塩がアルカリ性を提供し、遊離アルカリの存在を減らすことができ、基礎リチウムグリースの不変性、安定性及び耐摩耗性を大幅に向上させることができ、しかも、フェノールがラジカル捕捉剤とすることができ、その同時に、第四級アンモニウム塩の大きい立体障害が、ラジカルの次の移動を緩め、グリースに対するラジカルの酸化作用を低減し、酸性物質の生成を大幅に減らし、グリースの抗酸化作用及び保存時間を向上させることができることである、と推測している。
基油
【0091】
基油は、通常、例えば、自動車用潤滑油、工業用潤滑油、グリースなどの生産用潤滑剤に用いられる。これらは加工油、鉱油、金属加工油としても用いられることができます。
アメリカ石油学会(API)の基油分類を下表に示す。現在、API第三類と第四類の基油は高品質の潤滑油に使用されている。
【0092】
【0093】
第Iのグループの基油は工業油の中で最もよく使われるタイプであるが、ますます多くの第IIのグループの基油が使用されている。第IIのグループの基油は依然として自動車エンジン油の配合成分によく用いられる。第IIIのグループの油は非常に高い粘度指数(VHVI)を有する基油であり、現代の方法で原油から、水素化分解を行い、次にワックス状直鎖アルカン異性化により分岐鎖アルカンを得る。第IIIのグループの油には鉱油系スラックワックス(SW)からなる基油も含まれる。Fischer-Tropsch(FT)で合成して得られたワックス(GTLワックス)で製造された未取得の未来の製品、例えば対応する異性化技術を用いて石炭又は天然ガスから得られた製品は、将来的に該グループに属する可能性もある。第IVのグループ油は合成ポリαオレフィン(PAO)である。第Vグループの基油には、グループI、II、III、またはIVに含まれないすべての基油を含む。したがって、ナフテン系基油、各種合成エステル、ポリアルキレングリコール(PAG)、リン酸エステル等はいずれもそれに属する。第Vグループに属するエステル基油は脂肪酸とアルコールとから製造される。前記脂肪酸は天然または合成された一価または二価のカルボン酸である。製造しようとするエステルに応じて、前記アルコールは多価アルコールまたはモノヒドロキシアルコールである。エステル基油は通常モノエステル、ジエステル、ポリオールエステルまたはジポリエステルである。Atiel(Association Technique del’lndustrie Europeenne des Lubrifiants、またはヨーロッパ潤滑油工業技術協会)も類似の分類を使用しており、前記分類はさらに第VIのグループ:ポリエンドオレフィン(PIO)を含む。公式分類に加えて、グループ11+も該分野でよく使われており、該グループは飽和硫黄フリー基油を含み、その粘度指数は110を超えるが、120未満である。これらの分類において、飽和炭化水素化合物はパラフィンとナフテン化合物が含むが、芳香族炭化水素は含まれない。
耐摩耗剤
【0094】
本願では、前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジチオジアルキルカルバミン酸モリブデン、ジチオジアルキルカルバミン酸鉛、トリフェニルチオリン酸エステル、有機モリブデン錯体、硫化オレフィン、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、チオリン酸モリブデン、塩素化パラフィン、ジブチルジチオカルバミン酸アンチモン、二硫化タングステン、二硫化セレン、フッ化黒鉛、炭酸カルシウム、酸化亜鉛から選択される少なくとも1種であり、好適な技術態様として、本願では、前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛である。
【0095】
発明人は、本願における耐摩耗剤がジアルキルジチオリン酸亜鉛であるとき、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンリチウムグリースの耐摩耗性能を顕著に向上させることができることを発見した。その上で、発明人は、本願において、ジアルキルジチオリン酸亜鉛とヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンとがコンパウンド(compound)を行うとき、グラフェンリチウムグリースの抗酸化性能を共同に向上させることができることを意外に発見した。発明人は、そのあり得る原因は、本発明におけるヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンが、水素供与体として、過酸化物に対するジアルキルジチオリン酸亜鉛の分解作用を促進し、グリースの抗酸化性能をさらに向上させることができることであると推測している。
抗酸化剤
【0096】
本願では、前記抗酸化剤は、アルキルジフェニルアミン、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ジイソオクチルジフェニルアミンから選択される少なくとも1種であり、好適な技術態様として、本願では、前記抗酸化剤は、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールと、アルキルジフェニルアミンとの組成物であり、対応する重量部比が2:(1~5)であり、好ましくは2:3である。
潤滑剤
【0097】
本願では、前記潤滑剤は、オレイン酸メチル、窒化ホウ素、ポリテトラフルオロエチレンから選択される1種であり、好適な技術態様として、前記潤滑剤は、オレイン酸メチルである。
防錆剤
【0098】
本願では、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩、オクチル酸カルシウム、オクチル酸亜鉛から選択される少なくとも1種であり、好適な技術態様として、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩である。
【0099】
本願では、前記ゲル化剤は、特別に限定されず、好ましくは12-ヒドロキシステアリン酸である。前記鹸化剤は、特別に限定されず、好ましくは水酸化リチウム一水和物である。
【0100】
本発明では基油に特に制限はなく、広東中海南聯化学工業有限公司恵州支社から購入するものが好ましく、型番は500SNである。
【0101】
以下では、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本発明をさらに説明することだけに用いられ、本発明の保護範囲の限定として理解できず、当業者が本発明の上記の内容に基づいて行った非本質的な改善及び調整は、依然として本発明の保護範囲に属することを指摘しておく必要がある。
【0102】
また、特に断りがない限り、使用されるすべての原料は市販である。例えば、基油は、広東中海南聯化工恵州部公司から購入してもよく、型番が500SNであり、12-ヒドロキシステアリン酸(CAS NO. 106-14-9)は、広州振威化工から購入してもよく、ジアルキルジチオリン酸は、深セン市鴻泰石油添加剤有限公司から購入してもよく、型番がT202であり、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(CAS NO. 128-37-0)、及びアルキルジフェニルアミン(CAS NO. 26603-23-6)は、深セン市鴻泰石油添加剤有限公司から購入してもよく、型番がそれぞれT501及びL57であり、オレイン酸メチル(CAS NO. 112-62-9)は、蘇州豊倍生物科技有限公司から購入してもよく、型番が1070であり、石油スルホン酸のカルシウム塩(CAS NO. 26264-06-2)は、深セン市鴻泰石油添加剤有限公司から購入してもよく、型番がT106であり、水酸化リチウム一水和物は、深セン市鴻泰石油添加剤有限公司から購入してもよく、CAS番号:1310-66-3である。
【0103】
塩素化パラフィンは深セン市宏泰石油添加剤有限公司から購入され、CAS番号:63449-39-8である。
【0104】
以下、本発明を以下の実施例により詳細に説明し、これらの実施例はいくつかの実施例を説明する。
【0105】
図面は、例示的な試験結果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【
図1】
図1は、本発明の実施例12で製造された三次元繊維状構造グラフェン材料の走査型電子顕微鏡写真(SEM図)である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例13で製造された三次元繊維状構造グラフェン材料の走査型電子顕微鏡写真(SEM図)である。
【実施例】
【0107】
実施例1
実施例1では、リチウムグリースであって、前記リチウムグリースの調製原料は、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン0.5部、基油80部、耐摩耗剤1.5部、防錆剤1.2部、抗酸化剤0.8部、潤滑剤18部、ゲル化剤10部、鹸化剤1.4部を含むリチウムグリースが提供された。
【0108】
前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンの調製方法は、以下のとおりである。
【0109】
ステップS01 1kgの鱗片状黒鉛粉(粒度が400メッシュより大きく、炭素量が95%より大きい)を70kgの濃硫酸(質量分率が95%~98%)に加え、さらに0~10℃で0.5kgの過酸化ナトリウムと0.5kgの硝酸ナトリウムとをそれぞれ加えて、それらの添加量は、1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量とし、2h撹拌し;1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量として100kgの水をゆっくりと加えて温度を80~95℃に制御して、1h撹拌し;7200rpmで0.5h以上遠心分離して固液分離を実現し;50℃から60℃の温水で水洗いし、洗浄後の水のpHが6.5より大きければよく;含水率が1%より小さいまで0~10℃の低温で乾燥し、その後、400メッシュの篩にかけ、篩下物が酸化グラフェン粉末である。ヘリウム及び窒素により体積比1:1で構成された混合ガスを恒温カプセル内に30min導入し、空間全体から空気が排出された後、300℃に昇温し、温度が一定になった後、酸化グラフェン粉末をカプセル内に導入し、50min熱処理を行って、ヒドロキシ化グラフェンを取得し、
ステップS02 エタノール溶媒に30gのヒドロキシ化グラフェンと、10gの2-ヒドロキシフェニル[3-(トリメトキシシリル)プロポキシ]フェニルケトン(CAS番号:94279-22-8)とを加え、少量の水を加え、50℃で24h反応させて吸引濾過し、洗浄し、真空乾燥し、変性ヒドロキシ化グラフェンを得って、
ステップS03 S02において調製された変性ヒドロキシ化グラフェンと、1、4-ビス(クロロメトキシ)ブタンとを反応させて、取得された変性ヒドロキシ化グラフェンに対してクロロメチル化を行い、クロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを取得し、
ステップS04 反応器に1gのクロロメチル化変性ヒドロキシ化グラフェンを加え、30mLの溶媒クロロホルムと、5mLのトリエチルアミンとをさらに加え、恒温(60℃)で第四級アンモニウム化反応を行う。反応が終わった後、順に1、4-ジオキサン、エタノールで生成物を洗浄し、真空乾燥してヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンを取得する。
【0110】
前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、前記抗酸化剤は、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールと、アルキルジフェニルアミンとの組成物であり、対応する重量部比が2:3であり、前記潤滑剤は、オレイン酸メチルであり、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩であり、前記ゲル化剤は、12-ヒドロキシステアリン酸であり、前記鹸化剤は、水酸化リチウム一水和物である。
【0111】
他の局面で、本実施例は、前記リチウムグリースを調製する方法であって、
(1)一部の基油と、ゲル化剤とを混合し、加熱し、100℃に昇温して混合物を取得するステップと、
(2)鹸化剤と水との重量部比が1:5にして、鹸化剤と水とを均一に混合して水溶液を取得するステップと、
(3)上記水溶液をステップ(1)における混合物に加え、80℃の温度で0.2時間鹸化反応を行い、反応後に200℃に昇温し、残りの基油を加えて100℃に冷却し、耐摩耗剤、防錆剤、抗酸化剤、潤滑剤、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンを加えるステップと、
(4)ステップ(3)で取得された生成物をステンレスコップに入れ、室温に冷却した後、3本ロールミルを用いて研磨し、リチウムグリースを取得するステップと、を含み、
ここで、前記一部の基油と残りの基油との重量部比が3:1である、
前記リチウムグリースを調製する方法がさらに提供された。
実施例2
【0112】
実施例2では、リチウムグリースであって、前記リチウムグリースの調製原料は、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン0.001部、基油75部、耐摩耗剤0.5部、防錆剤0.1部、抗酸化剤0.1部、潤滑剤5部、ゲル化剤5部、鹸化剤0.6部を含むリチウムグリースが提供された。
【0113】
前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、前記抗酸化剤は、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールと、アルキルジフェニルアミンとの組成物であり、対応する重量部比が2:3であり、前記潤滑剤は、オレイン酸メチルであり、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩であり、前記ゲル化剤は、12-ヒドロキシステアリン酸であり、前記鹸化剤は、水酸化リチウム一水和物である。
【0114】
前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンの調製方法は、実施例1と同様である。
【0115】
本実施例の他の局面は、実施例1と同様の前記リチウムグリースを調製する方法がさらに提供される。
実施例3
【0116】
実施例3では、リチウムグリースであって、前記リチウムグリースの調製原料は、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン0.3部、基油78部、耐摩耗剤1.0部、防錆剤0.8部、抗酸化剤0.5部、潤滑剤17部、ゲル化剤8部、鹸化剤1.2部を含むリチウムグリースが提供された。
【0117】
前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、前記抗酸化剤は、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールと、アルキルジフェニルアミンとの組成物であり、対応する重量部比が2:3であり、前記潤滑剤は、オレイン酸メチルであり、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩であり、前記ゲル化剤は、12-ヒドロキシステアリン酸であり、前記鹸化剤は、水酸化リチウム一水和物である。
【0118】
前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンの調製方法は、実施例1と同様である。
【0119】
他の局面で、本実施例は、実施例1と同様の前記リチウムグリースを調製する方法がさらに提供される。
実施例4
【0120】
実施例4では、リチウムグリースであって、前記リチウムグリースの調製原料は、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン1.0部、基油83部、耐摩耗剤2.0部、防錆剤1.4部、抗酸化剤1.2部、潤滑剤22部、ゲル化剤13部、鹸化剤1.8部を含むリチウムグリースが提供された。
【0121】
前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、前記抗酸化剤は、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールと、アルキルジフェニルアミンとの組成物であり、対応する重量部比が2:3であり、前記潤滑剤は、オレイン酸メチルであり、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩であり、前記ゲル化剤は、12-ヒドロキシステアリン酸であり、前記鹸化剤は、水酸化リチウム一水和物である。
【0122】
前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンの調製方法は、実施例1と同様である。
【0123】
他の局面で、本実施例は、実施例1と同様の前記リチウムグリースを調製する方法がさらに提供される。
実施例5
【0124】
実施例5では、リチウムグリースであって、前記リチウムグリースの調製原料は、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン1.5部、基油88部、耐摩耗剤2.5部、防錆剤1.5部、抗酸化剤1.5部、潤滑剤25部、ゲル化剤15部、鹸化剤2.0部を含むリチウムグリースが提供された。
【0125】
前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、前記抗酸化剤は、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールと、アルキルジフェニルアミンとの組成物であり、対応する重量部比が2:3であり、前記潤滑剤は、オレイン酸メチルであり、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩であり、前記ゲル化剤は、12-ヒドロキシステアリン酸であり、前記鹸化剤は、水酸化リチウム一水和物である。
【0126】
前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンの調製方法は、実施例1と同様である。
【0127】
他の局面で、本実施例は、実施例1と同様の前記リチウムグリースを調製する方法がさらに提供される。
実施例6
【0128】
実施例6では、リチウムグリースであって、前記リチウムグリースの調製原料は、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン0.5部、基油80部、耐摩耗剤1.5部、防錆剤1.2部、抗酸化剤0.8部、潤滑剤18部、ゲル化剤10部、鹸化剤1.4部を含むリチウムグリースが提供された。
【0129】
前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンの調製方法は、以下のとおりである。
【0130】
ステップS01 1kgの鱗片状黒鉛粉(粒度が400メッシュより大きく、炭素量が95%より大きい)を70kgの濃硫酸(質量分率が95%~98%)に加え、さらに0~10℃で0.5kgの過酸化ナトリウムと0.5kgの硝酸ナトリウムとをそれぞれ加えて、それらの添加量は、1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量とし、2h撹拌し;1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量として100kgの水をゆっくりと加えて温度を80~95℃に制御して、1h撹拌し;7200rpmで0.5h以上遠心分離して固液分離を実現し;50℃から60℃の温水で水洗いし、洗浄後の水のpHが6.5より大きければよく;含水量が1%より小さいまで0~10℃の低温で乾燥し、その後、400メッシュの篩にかけ、篩下物が酸化グラフェン粉末である。ヘリウム及び窒素により体積比1:1で構成された混合ガスを恒温カプセル内に30min導入し、空間全体から空気が排出された後、300℃に昇温し、温度が一定になった後、酸化グラフェン粉末をカプセル内に導入し、50min熱処理を行ってであり、ヒドロキシ化グラフェンを取得し、
ステップS02 エタノール溶媒に30gのヒドロキシ化グラフェンと、10gの2-ヒドロキシフェニル[3-(トリメトキシシリル)プロポキシ]フェニルケトン(CAS番号:94279-22-8)とを加え、少量の水を加え、50℃で24h反応させて吸引濾過し、洗浄し、真空乾燥し、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンを取得する。
【0131】
前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、前記抗酸化剤は、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールと、アルキルジフェニルアミンとの組成物であり、対応する重量部比が2:3であり、前記潤滑剤は、オレイン酸メチルであり、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩であり、前記ゲル化剤は、12-ヒドロキシステアリン酸であり、前記鹸化剤は、水酸化リチウム一水和物である。
【0132】
他の局面で、本実施例は、実施例1と同様の前記リチウムグリースを調製する方法がさらに提供される。
実施例7
【0133】
実施例7では、リチウムグリースであって、前記リチウムグリースの調製原料は、変性グラフェン0.5部、基油80部、耐摩耗剤1.5部、防錆剤1.2部、抗酸化剤0.8部、潤滑剤18部、ゲル化剤10部、鹸化剤1.4部を含むリチウムグリースが提供された。
【0134】
前記変性グラフェンの調製方法は、以下のとおりである。
【0135】
ステップS01 1kgの鱗片状黒鉛粉(粒度が400メッシュより大きく、炭素量が95%より大きい)を70kgの濃硫酸(質量分率が95%~98%)に加え、さらに0~10℃で0.5kgの過酸化ナトリウムと0.5kgの硝酸ナトリウムとをそれぞれ加えて、それらの添加量は、1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量とし、2h撹拌し;1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量として100kgの水をゆっくりと加えて温度を80~95℃に制御して、1h撹拌し;7200rpmで0.5h以上遠心分離して固液分離を実現し;50℃から60℃の温水で水洗いし、洗浄後の水のpHが6.5より大きければよく;含水率が1%より小さいまで0~10℃の低温で乾燥し、その後、400メッシュの篩にかけ、篩下物が酸化グラフェン粉末である。ヘリウム及び窒素により体積比1:1で構成された混合ガスを恒温カプセル内に30min導入し、空間全体から空気が排出された後、300℃に昇温し、温度が一定になった後、酸化グラフェン粉末をカプセル内に導入し、50min熱処理を行って、ヒドロキシ化グラフェンを取得し、
ステップS02 エタノール溶媒に30gのヒドロキシ化グラフェンと、10gの7-(2-ヒドロキシエチル)-3、3-ジメトキシ-10-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-オキサ-7、10-ジアザ-3-シラドドデカン-12-オール(CAS番号:214362-07-9)とを加え、少量の水を加え、50℃で24h反応させて吸引濾過し、洗浄し、真空乾燥し、変性ヒドロキシ化グラフェンを得って、
ステップS03 S02において調製された変性ヒドロキシ化グラフェンと、1、4-ビス(クロロメトキシ)ブタンとを反応させて、取得された変性ヒドロキシ化グラフェンに対してクロロメチル化を行い、クロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを取得し、
ステップS04 反応器に1gのクロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを加え、30mLの溶媒クロロホルムと、5mLのトリエチルアミンとをさらに加え、恒温(60℃)で第四級アンモニウム化反応を行い、反応が終わった後、順に1、4-ジオキサン、エタノールで生成物を洗浄し、真空乾燥して変性グラフェンを取得する。
【0136】
前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、前記抗酸化剤は、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールと、アルキルジフェニルアミンとの組成物であり、対応する重量部比が2:3であり、前記潤滑剤は、オレイン酸メチルであり、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩であり、前記ゲル化剤は、12-ヒドロキシステアリン酸であり、前記鹸化剤は、水酸化リチウム一水和物である。
【0137】
本実施例の他の局面は、前記リチウムグリースを調製する方法であって、
(1)一部の基油と、ゲル化剤とを混合し、加熱し、100℃に昇温して混合物を取得するステップと、
(2)鹸化剤と水との重量部比が1:5にして、鹸化剤と水とを均一に混合して水溶液を取得するステップと、
(3)上記水溶液をステップ(1)における混合物に加え、80℃の温度で鹸化反応を0.2時間行い、反応後に200℃に昇温し、残りの基油を加えて100℃に冷却し、耐摩耗剤、防錆剤、抗酸化剤、潤滑剤、変性グラフェンを加えるステップと、
(4)ステップ(3)で取得された生成物をステンレスコップに入れ、室温に冷却した後、3本ロールミルを用いて研磨し、リチウムグリースを取得するステップと、を含み
ここで、前記一部の基油と残りの基油との重量部比が3:1である、
前記リチウムグリースを調製する方法がさらに提供された。
実施例8
【0138】
実施例8では、リチウムグリースであって、前記リチウムグリースの調製原料は、グラフェン材料0.5部、基油80部、耐摩耗剤1.5部、防錆剤1.2部、抗酸化剤0.8部、潤滑剤18部、ゲル化剤10部、鹸化剤1.4部を含むリチウムグリースが提供された。
【0139】
前記グラフェン材料の調製方法は、以下のとおりである。
【0140】
ステップS01 1kgの鱗片状黒鉛粉(粒度が400メッシュより大きく、炭素量が95%より大きい)を70kgの濃硫酸(質量分率が95%~98%)に加え、さらに0~10℃で0.5kgの過酸化ナトリウムと0.5kgの硝酸ナトリウムとをそれぞれ加えて、それらの添加量は、1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量とし、2h撹拌し;1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量として100kgの水をゆっくりと加えて温度を80~95℃に制御して、1h撹拌し;7200rpmで0.5h以上遠心分離して固液分離を実現し;50℃から60℃の温水で水洗いし、洗浄後の水のpHが6.5より大きければよく;含水率が1%より小さいまで0~10℃の低温で乾燥し、その後、400メッシュの篩にかけ、篩下物が酸化グラフェンである。
【0141】
0.1gの上記調製された酸化グラフェンを100mLの水に加えて30min超音波分散(超音波の周波数が30kHz)した後、5mLのヒドラジン水和物(質量パーセント濃度が85%)を加え、100℃のオイルバスで24h反応させ、最後に取得された黒いフロックを水洗いして、吸引濾過して、乾燥した後の粉末がグラフェン材料である。
【0142】
前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、前記抗酸化剤は、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールと、アルキルジフェニルアミンとの組成物であり、対応する重量部比が2:3であり、前記潤滑剤は、オレイン酸メチルであり、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩であり、前記ゲル化剤は、12-ヒドロキシステアリン酸であり、前記鹸化剤は、水酸化リチウム一水和物である。
【0143】
他の局面で、本実施例は、前記リチウムグリースを調製する方法であって
(1)一部の基油と、ゲル化剤とを混合し、加熱し、100℃に昇温して混合物を取得するステップと、
(2)鹸化剤と水との重量部比が1:5にして、鹸化剤と水とを均一に混合して水溶液を取得するステップと、
(3)上記水溶液をステップ(1)における混合物に加え、80℃の温度で鹸化反応を0.2時間行い、反応後に200℃に昇温し、残りの基油を加えて100℃に冷却し、耐摩耗剤、防錆剤、抗酸化剤、潤滑剤、グラフェン材料を加えるステップと、
(4)ステップ(3)で取得された生成物をステンレスコップに入れ、室温に冷却した後、3本ロールミルを用いて研磨し、リチウムグリースを取得するステップと、を含み、
ここで、前記一部の基油と残りの基油との重量部比が3:1である、
前記リチウムグリースを調製する方法がさらに提供された。
実施例9
【0144】
実施例9では、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンリチウムグリースであって、前記リチウムグリースの調製原料は、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン0.5部、基油80部、耐摩耗剤1.5部、防錆剤1.2部、抗酸化剤0.8部、潤滑剤18部、ゲル化剤10部、鹸化剤1.4部を含むヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンリチウムグリースが提供された。
【0145】
前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンの調製方法は、以下のとおりである。
【0146】
ステップS01 1kgの鱗片状黒鉛粉(粒度が400メッシュより大きく、炭素量が95%より大きい)を70kgの濃硫酸(質量分率が95%~98%)に加え、さらに0~10℃で0.5kgの過酸化ナトリウムと0.5kgの硝酸ナトリウムとをそれぞれ加えて、それらの添加量は、1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量とし、2h撹拌し;1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量として100kgの水をゆっくりと加えて温度を80~95℃に制御して、1h撹拌し;7200rpmで0.5h以上遠心分離して固液分離を実現し;50℃から60℃の温水で水洗いし、洗浄後の水のpHが6.5より大きければよく;含水量が1%より小さいまで0~10℃の低温で乾燥し、その後、400メッシュの篩にかけ、篩下物が酸化グラフェン粉末である。ヘリウム及び窒素により体積比1:1で構成された混合ガスを恒温カプセル内に30min導入し、空間全体から空気が排出された後、300℃に昇温し、温度が一定になった後、酸化グラフェン粉末をカプセル内に導入し、50min熱処理を行って、ヒドロキシ化グラフェンを取得し、
ステップS02 エタノール溶媒に30gのヒドロキシ化グラフェンと、10gの2-ヒドロキシフェニル[3-(トリメトキシシリル)プロポキシ]フェニルケトン(CAS番号:94279-22-8)とを加え、少量の水を加え、50℃で24h反応させて吸引濾過し、洗浄し、真空乾燥し、変性ヒドロキシ化グラフェンを得って、
ステップS03 S02において調製された変性ヒドロキシ化グラフェンと、1、4-ビス(クロロメトキシ)ブタンとを反応させて、取得された変性ヒドロキシ化グラフェンに対してクロロメチル化を行い、クロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを取得し、
ステップS04 反応器に1gのクロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを加え、30mLの溶媒クロロホルムと、5mLのトリエチルアミンとをさらに加え、恒温(60℃)で第四級アンモニウム化反応を行い、反応が終わった後、順に1、4-ジオキサン、エタノールで生成物を洗浄し、真空乾燥してヒドロキシ化合物変性グラフェンを取得する。
【0147】
前記耐摩耗剤は、トリフェニルチオリン酸エステルであり、前記抗酸化剤は、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールと、アルキルジフェニルアミンとの組成物であり、対応する重量部比が2:3であり、前記潤滑剤は、オレイン酸メチルであり、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩であり、前記ゲル化剤は、12-ヒドロキシステアリン酸であり、前記鹸化剤は、水酸化リチウム一水和物である。
【0148】
他の局面で、本実施例は、実施例1と同様の前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンリチウムグリースを調製する方法がさらに提供される。
実施例10
【0149】
実施例10では、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンリチウムグリースであって、前記リチウムグリースの調製原料は、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン0.5部、基油80部、耐摩耗剤1.5部、防錆剤1.2部、抗酸化剤0.8部、潤滑剤18部、ゲル化剤10部、鹸化剤1.4部を含むヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンリチウムグリースが提供された。
【0150】
前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンの調製方法は、以下のとおりである。
【0151】
ステップS01 1kgの鱗片状黒鉛粉(粒度が400メッシュより大きく、炭素量が95%より大きい)を70kgの濃硫酸(質量分率が95%~98%)に加え、さらに0~10℃で0.5kgの過酸化ナトリウムと0.5kgの硝酸ナトリウムとをそれぞれ加えて、それらの添加量は、1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量とし、2h撹拌し;1kgの鱗片状黒鉛粉を基準量として100kgの水をゆっくりと加えて温度を80~95℃に制御して、1h撹拌し;7200rpmで0.5h以上遠心分離して固液分離を実現し;50℃から60℃の温水で水洗いし、洗浄後の水のpHが6.5より大きければよく;含水量が1%より小さいまで0~10℃の低温で乾燥し、その後、400メッシュの篩にかけ、篩下物が酸化グラフェン粉末である。ヘリウム及び窒素により体積比1:1で構成された混合ガスを恒温カプセル内に30min導入し、空間全体から空気が排出された後、300℃に昇温し、温度が一定になった後、酸化グラフェン粉末をカプセル内に導入し、50min熱処理を行って、ヒドロキシ化グラフェンを取得し、
ステップS02 エタノール溶媒に30gのヒドロキシ化グラフェンと、10gの2-ヒドロキシフェニル[3-(トリメトキシシリル)プロポキシ]フェニルケトン(CAS番号:94279-22-8)とを加え、少量の水を加え、50℃で24h反応させて吸引濾過し、洗浄し、真空乾燥し、変性ヒドロキシ化グラフェンを得って、
ステップS03 S02において調製された変性ヒドロキシ化グラフェンと、1、4-ビス(クロロメトキシ)ブタンとを反応させて、取得された変性ヒドロキシ化グラフェンに対してクロロメチル化を行い、クロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを取得し、
ステップS04 反応器に1gのクロロメチル化された変性ヒドロキシ化グラフェンを加え、30mLの溶媒クロロホルムと、5mLのトリエチルアミンをさらに加え、恒温(60℃)で第四級アンモニウム化反応を行い、反応が終わった後、順に1、4-ジオキサン、エタノールで生成物を洗浄し、真空乾燥してヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンを取得する。
【0152】
前記耐摩耗剤は、トリフェニルチオリン酸エステルであり、前記抗酸化剤は、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールと、アルキルジフェニルアミンとの組成物であり、対応する重量部比が2:3であり、前記潤滑剤は、ポリテトラフルオロエチレンであり、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩であり、前記ゲル化剤は、12-ヒドロキシステアリン酸であり、前記鹸化剤は、水酸化リチウム一水和物である。
【0153】
他の局面で、本実施例は、実施例1と同様の前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンリチウムグリースを調製する方法がさらに提供される。
実施例11
【0154】
実施例11では、リチウムグリースであって、前記リチウムグリースの調製原料は、グラフェン材料0.1部、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン0.4部、基油80部、耐摩耗剤1.5部、防錆剤1.2部、抗酸化剤0.8部、潤滑剤18部、ゲル化剤10部、鹸化剤1.4部を含むリチウムグリースが提供された。
【0155】
前記ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンの調製方法は、実施例1と同様であり、前記グラフェン材料の調製方法は、実施例8と同様である。
【0156】
前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、前記抗酸化剤は、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールと、アルキルジフェニルアミンとの組成物であり、対応する重量部比が2:3であり、前記潤滑剤は、オレイン酸メチルであり、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩であり、前記ゲル化剤は、12-ヒドロキシステアリン酸であり、前記鹸化剤は、水酸化リチウム一水和物である。
【0157】
他の局面で、本実施例は、前記リチウムグリースを調製する方法であって、
(1)一部の基油と、ゲル化剤とを混合し、加熱し、100℃に昇温して混合物を取得するステップと、
(2)鹸化剤と水との重量部比が1:5にして、鹸化剤と水とを均一に混合して水溶液を取得するステップと、
(3)上記水溶液をステップ(1)における混合物に加え、80℃の温度で鹸化反応を0.2時間行い、反応後に200℃に昇温し、残りの基油を加えて100℃に冷却し、耐摩耗剤、防錆剤、抗酸化剤、潤滑剤、グラフェン材料、ヒドロキシ基化合物含有変性グラフェンを加えるステップと、
(4)ステップ(3)で取得された生成物をステンレスコップに入れ、室温に冷却した後、3本ロールミルを用いて研磨し、リチウムグリースを取得するステップと、を含み、
ここで、前記一部の基油と残りの基油との重量部比が3:1である、
前記リチウムグリースを調製する方法がさらに提供された。
実施例12
【0158】
実施例12では、リチウムグリースであって、前記リチウムグリースの調製原料は、基油80部、耐摩耗剤1.5部、防錆剤1.2部、抗酸化剤0.8部、潤滑剤18部、ゲル化剤10部、鹸化剤1.4部を含むリチウムグリースが提供された。
【0159】
前記耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、前記抗酸化剤は、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールと、アルキルジフェニルアミンとの組成物であり、対応する重量部比が2:3であり、前記潤滑剤は、オレイン酸メチルであり、前記防錆剤は、石油スルホン酸のカルシウム塩であり、前記ゲル化剤は、12-ヒドロキシステアリン酸であり、前記鹸化剤は、水酸化リチウム一水和物である。
【0160】
他の局面で、本実施例は、前記リチウムグリースを調製する方法であって、
(1)一部の基油と、ゲル化剤とを混合し、加熱し、100℃に昇温して混合物を取得するステップと、
(2)鹸化剤と水との重量部比が1:5にして、鹸化剤と水とを均一に混合して水溶液を取得するステップと、
(3)上記水溶液をステップ(1)における混合物に加え、80℃の温度で鹸化反応を0.2時間行い、反応後に200℃に昇温し、残りの基油を加えて100℃に冷却し、耐摩耗剤、防錆剤、抗酸化剤、潤滑剤を加えるステップと、
(4)ステップ(3)で取得された生成物をステンレスコップに入れ、室温に冷却した後、3本ロールミルを用いて研磨し、リチウムグリースを取得するステップと、を含み、
ここで、前記一部の基油と残りの基油との重量部比が3:1である、
前記リチウムグリースを調製する方法がさらに提供された。
実施例13
【0161】
実施例13では、リチウムグリースであって、前記リチウムグリースの調製原料は、グラフェン材料0.5部、基油80部、耐摩耗剤2.5部、防錆剤1.2部、抗酸化剤0.8部、潤滑剤18部、ゲル化剤10部、鹸化剤1.4部を含むリチウムグリースが提供された。
【0162】
前記グラフェン材料の調製方法は、以下のとおりである。
【0163】
10gのヒドロキシ基化合物含有変性グラフェン水素型10g(PKS-1)100mlのイオン交換樹脂を、水酸化カリウム溶液(濃度5M)に10時間浸漬し、洗浄し、100mlの洗浄された樹脂を塩酸溶液(濃度5M)に10時間浸漬し、洗浄し、得られたものを予備にする;0.08μMの酢酸ニッケルを脱イオン水に溶解して、濃度が0.02
mol/Lのニッケル金属イオン塩溶液に10gのバックアップ水素型(PKS-1)イオン交換樹脂を加え、混合物を磁気撹拌して、イオン交換樹脂は金属ニッケルを吸着し、次に脱イオン水で金属ニッケルが吸着した後のイオン交換樹脂を洗浄し、洗浄した後に10gの樹脂を得て、10gの水酸化カリウム水溶液を孔形成剤に添加し、撹拌して乾燥させ、粉砕し、増感する。
【0164】
ステップ(1)-増感処理後の原料温度を98℃に保持して含水量が2%より小さいまで継続し、
【0165】
乾燥後の材料にステップ(2)の高温分解処理を行い、すなわち乾燥後の生成物を管状炉に入れてステップ(2)を行い、窒素ガスの流速が60ml/minの保護ガスで、5℃/minの昇温速度で室温から100℃まで昇温し、次に450℃から2℃/minまで昇温し、さらに5℃/minで850℃まで昇温し、850℃で2h保温して、
【0166】
ステップ(3)で熱分解された材料を過剰の水に添加して崩壊して、
【0167】
ステップ(4)の後に得られた材料を3mol/Lの塩酸で2h崩壊させ、濾液のpHが中性になるまで脱イオン水で濾液を洗浄し、濾過(金属を回収する)し、濾過残渣を80℃で乾燥させ、多段孔構造のグラフェン粉末の三次元構造を得る。
【0168】
前記摩耗防止剤はジアルキルジチオリン酸亜鉛と塩素化パラフィンが2:3の対応する重量比で構成される;酸化防止剤は2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールとアルキルジフェニルアミンの対応する重量比が2:3の組成物である;潤滑剤はオレイン酸メチルである;防錆剤は石油スルホン酸カルシウムである;増粘剤はドデシステアリン酸である;石鹸剤は水酸化リチウム一水和物である。
性能評価
【0169】
1. 安定性試験
実施例1、実施例6~8におけるグラフェンまたはグラフェン材料に対して、安定性試験を行う。試験方法は、1mgのグラフェンまたはグラフェン材料を1000mLの実施例1において使用された基油に加え、均一に分散して分散液を取得する。分散液を6000rpmで0.5h遠心分離した後、肉眼でグラフェンの析出または沈降が発生したかどうかを観察することであり、結果を表1に示す。
【0170】
2. 12分間鹸化して層化の有無
12分間反応を行った後、実施例1~12におけるリチウムグリースの調製過程における鹸化反応を肉眼で観察し、結果は表1を参照する。
【0171】
3. 耐摩耗極圧性能、抗酸化性能の試験
実施例1~12において調製されたリチウムグリースに対して、耐摩耗極圧性能、抗酸化性能の試験を行う。摩擦係数は、SH/T 0847により測定され、酸化安定性は、SH/T 0325方法により測定され、結果は表1に示すとおりである。
【0172】
4. 耐高温性能、コロイド性能の試験
実施例1~11において調製されたリチウムグリースに対して、滴点、水洗損失量の試験を行う。ここで、滴点は、GB/T 4929により測定され、水洗損失量は、SH/T 0109方法により測定され、結果は表1に示すとおりである。
【0173】
【0174】
本発明のリチウムグリースは、滴点が向上し、水洗損失量が低減し、抗酸化性能が向上し、それにより、本発明は、グリースのコロイド性能及び抗酸化性能を向上させたとともに、優れた耐高温性能を有していることが分かる。
【0175】
前述した実施例は、例示的なものだけであり、本発明における前記方法のいくつかの特徴を説明するためのものである。添付の特許請求の範囲は、構想可能なできるだけ広い範囲を要求することを意図し、本明細書に展示された実施例は、すべての可能な実施例の組み合わせに基づいて選択された実施形態の説明にすぎない。したがって、出願人は、添付の特許請求の範囲は、本発明の特徴を説明した例示的な選択により限定されないことを意図している。請求項において使用されるいくつかの数値範囲は、それにおけるサブ範囲も含み、それらの範囲における変化も、可能な場合には、添付の請求項によりカバーされるように解釈されるべきである。