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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】食品包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/10 20060101AFI20230908BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
B65D65/10 A
B65D85/50 140
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022126172
(22)【出願日】2022-08-08
(62)【分割の表示】P 2018183025の分割
【原出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2022145799
(43)【公開日】2022-10-04
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特許第3377969(JP,B2)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0102898(KR,A)
【文献】特開2018-058631(JP,A)
【文献】特開平09-000185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00-65/46
B65D 85/50
A23L 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の一端から他端にかけて一対の開封用条体を有して幅方向に分離可能な長方形状ないし略長方形状の外シートと、シート状食品を挟んで前記外シートに重ね合わせられ、前記外シートと同方向に分離可能な内シートとを備え、前記シート状食品を囲むように前記外シートと前記内シートとが接合され、前記一端側の両側端部のそれぞれに、前記開封用条体のそれぞれに対応して鋸歯状の易破断部を備える食品用包装材を用い、食品を挟んで前記長手方向に二つ折りにすること及び両側の余分なシート片を中心側に折ることによって、食品が三角形状ないし略三角形状に包装された食品包装体において、
前記易破断部の各谷部の幅方向外方の斜辺と、前記易破断部と交わる部分における前記開封用条体の接線との交差角は、10度以上25度以下であり、
前記易破断部の各谷部の幅方向内方の斜辺と前記接線との交差角は、前記易破断部の各谷部の角度から前記易破断部の各谷部の幅方向外方の斜辺と前記接線との交差角を引いた角度であって、前記易破断部の各谷部の幅方向外方の斜辺と前記接線との交差角よりも大きく、65度以上である
食品包装体。
【請求項2】
前記一対の開封用条体は、前記長手方向の前記一端から前記他端にかけて波形でかつ互いに交差するように配置される
請求項1に記載の食品包装体。
【請求項3】
前記一対の開封用条体は、所定幅を有して前記長手方向に沿って平行に配置される
請求項1に記載の食品包装体。
【請求項4】
前記一端側の両角部のそれぞれに、切欠部を備え、
前記易破断部は、前記切欠部と隣接して設けられる
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の食品包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用包装材により包装された食品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
正面形状が三角形状(主として正三角形状)あるいはこれに類似する形状で、所定の厚みを有する立体形状に仕上げられた三角おにぎり等の米飯加工食品等の食品を包装するための食品用包装材は、幅方向の中央部に長手方向に沿ってカットテープが設けられる矩形状の外シートと、カットテープに沿って内端部同士が重ね合わせられ、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられる一対の内シートとを備え、シート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合される形態が一般的である。
【0003】
かかる食品用包装材は、食品を挟んで長手方向に二つ折りにし、両側の余分なシート片を中心側に折って三角形状ないし略三角形状にし、折った部分をポイントシールしたり、ラベルを貼付する工程を経て、食品を包装するものである。
【0004】
開封に際しては、食品包装体の頂部に設けられた摘み部を摘んでカットテープを縦回りに引き回し、外シートを長手方向に開裂した後、分断された一対の包装体片をそれぞれ側方へ引っ張ることにより、食品をシート状食品と一体化させた状態で取り出し、食品を食する。
【0005】
ここで、外シートの開裂手段として、一対のカットテープを用いることにより、カットテープによる開裂開口を幅広に形成して、外シートとシート状食品との接触面積を少なくし、分断された一対の包装体片を円滑に食品から引き抜き、取り除くことができるようにした食品用包装材が知られている(特許文献1及び2)。
【0006】
また、食品包装体の背面の上半分は、食品用包装材の両側の余分なシート片が折り重ねられていることもあって、肉厚になっていることに対し、当該箇所における開封性を得るために、一端側の両端側部に鋸歯状の易破断部を設けた食品用包装材も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許3398355号公報
【文献】特許3377969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、食品包装体の背面の上半分は、シートが幾重にも重なって相当に肉厚である。しかも、当該箇所にはラベルも貼着されるため、さらに厚みが増す。また、折り重ねられた両側のシート片の縁部(食品用包装材の一端側の両端側部)と交わる一対のカットテープの部分は、ある程度離間しているため、カットテープを引っ張ってシート片の縁部を破断しようとする際に、大きな抵抗がかかる。したがって、易破断部を設けているといえども、カットテープがシート片の縁部を破断できず、開封が困難となることが起こり得る。
【0009】
また、易破断部を介してシート片の縁部を破断できたとしても、カットテープには大きな引っ張り力がかかっており、この力が外方に作用した場合、破断ラインがカットテープから脱線して左右に膨らんでいくといういわゆる開封ずれが生じ、適切でない開封状態となってしまうことが起こり得る。
【0010】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、外シートの開裂手段として一対の開封用条体を用いて幅広開封(ワイド開封)を実現する上で、背面の上半分のシートが重なって厚みのある部分を好適に開封することができる食品包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は、鋭意研究を重ねた結果、易破断部の形状を好適なものにすれば、上記課題を解決することを突き止めた。それは以下のとおりである。
【0012】
本発明に係る食品包装体は、
長手方向の一端から他端にかけて一対の開封用条体を有して幅方向に分離可能な長方形状ないし略長方形状の外シートと、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられ、外シートと同方向に分離可能な内シートとを備え、シート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合され、一端側の両側端部のそれぞれに、開封用条体のそれぞれに対応して鋸歯状の易破断部を備える食品用包装材を用い、食品を挟んで長手方向に二つ折りにすること及び両側の余分なシート片を中心側に折ることによって、食品が三角形状ないし略三角形状に包装された食品包装体において、
易破断部の各谷部の幅方向外方の斜辺と、易破断部と交わる部分における開封用条体の接線との交差角は、10度以上25度以下であり、
易破断部の各谷部の幅方向内方の斜辺と接線との交差角は、易破断部の各谷部の角度から易破断部の各谷部の幅方向外方の斜辺と接線との交差角を引いた角度であって、易破断部の各谷部の幅方向外方の斜辺と接線との交差角よりも大きく、65度以上である。
【0013】
ここで、本発明に係る食品包装体の一態様として、
一対の開封用条体は、長手方向の一端から他端にかけて波形でかつ互いに交差するように配置される
構成を採用することができる。
【0015】
また、本発明に係る食品包装体の別の態様として、
一対の開封用条体は、所定幅を有して長手方向に沿って平行に配置される
構成を採用することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る食品包装体の他の態様として、
一端側の両角部のそれぞれに、切欠部を備え、
易破断部は、切欠部と隣接して設けられる
構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の如く、本発明に係る食品包装体によれば、外シートの開裂手段として一対の開封用条体を用いて幅広開封(ワイド開封)を実現する上で、背面の上半分のシートが重なって厚みのある部分を好適に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の第一の実施形態に係る食品用包装材の分解斜視図である。
図2図2は、同食品用包装材の正面図である。
図3図3は、同食品用包装材の背面図である。
図4図4は、同食品用包装材の製造過程において複数の食品用包装材が個別に分離される前の繋がった状態の原反の一部の正面図である。
図5図5(a)は、個別に分離された食品用包装材の一端側の正面図であり、図5(b)は、その角部を切り落として切欠部及び易破断部を形成した状態の正面図である。
図6図6(a)ないし(c)は、同食品用包装材を用いて食品を包装する過程の説明図である。
図7図7(a)ないし(c)は、図6の続きの説明図である。
図8図8(a)は、同食品用包装材により包装された食品包装体を斜め前方から見た斜視図であり、図8(b)は、同食品包装体を斜め後方から見た斜視図である。
図9図9(a)は、同食品包装体の正面図であり、図9(b)は、同食品包装体の背面図である。
図10図10(a)ないし(c)は、同食品包装体を開封する過程の説明図である。
図11図11(a)ないし(d)は、同食品包装体の背面の易破断部あたりの拡大図であって、それぞれ易破断部の凸部の角度形状が異なるものを示す。
図12図12は、本発明の第二の実施形態に係る食品用包装材の正面図である。
図13図13(a)ないし(c)は、同食品用包装材により包装された食品包装体の背面の易破断部あたりの拡大図であって、それぞれ易破断部の凸部の角度形状が異なるものを示す。
図14図14(a)は、本発明の別の実施形態に係る食品用包装材の一端側の正面図であり、図14(b)は、本発明のさらに別の実施形態に係る食品用包装材の一端側の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第一の実施形態>
以下、本発明の第一の実施形態として、三角おにぎりの包装に用いられる食品用包装材及びこの食品用包装材により包装された食品包装体について、図1ないし図11を参酌して説明する。
【0020】
図1ないし図3に示す如く、本実施形態に係る食品用包装材1は、互いに直交する方向の一方が他方よりも長い形状を有する一対のシート(外シート2、内シート3)が、三角おにぎりに巻く海苔等のシート状食品4を挟んで重ね合わせられ、シート状食品4を囲むようにして、長手方向の一端10a側及び他端10b側の端部接合部11,11と両側部の側部接合部12,12により四方が封止された本体10を備える。なお、以下では、上記一方(図2及び図3では、上下方向)を「長手方向」といい、上記他方(図2及び図3では、左右方向)を「幅方向」という。
【0021】
外シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱溶着性を有するプラスチックシートからなり、長手方向に二つ折りにした状態で食品を包み込める大きさの矩形状ないし略矩形状(長方形状ないし略長方形状)を有する。
【0022】
内シート3も、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱溶着性を有するプラスチックシートからなり、長手方向に二つ折りにした状態で食品を包み込める大きさの矩形状ないし略矩形状(長方形状ないし略長方形状)を有する。また、内シート3は、長手方向に沿って内端部同士が重ね合わせられた一対の内シート3,3からなり、内端部同士が重ね合わせられた状態の大きさが外シート2と同じ大きさである。本実施形態においては、内シート3,3の内端部同士の重ね合わせ部30は、内シート3の幅方向の中央部に設けられる。
【0023】
端部接合部11は、内シート3,3の内端部同士の重ね合わせ部30を除き、外シート2及び内シート3の一端10a及び他端10bに沿って外シート2及び内シート3をヒートシールすることにより形成される。側部接合部12は、外シート2及び内シート3の側縁に沿って外シート2及び内シート3をヒートシールすることにより形成される。なお、本実施形態においては、側部接合部12には、幅方向に通気可能なように連通部12aが長手方向に適宜間隔で設けられ、側部接合部12は、連通部12aによって複数に分割された形態となる。
【0024】
このようにして構成された本体10の内部がシート状食品4の収容部となるが、外シート2の一端10aには、幅方向に所定間隔を有して離間する一対の切込線20,20が形成される。切込線20は、全切線、半切線(ハーフカット)、ミシン目等によって形成され、切込線20の形成によって開封起点としての摘み部21が形成される。そして、摘み部21から外シート2の他端10bにかけて、帯状又は線状の開封用条体5が設けられる。開封用条体5は、例えば、外シート2の内面に貼着されるカットテープや糸等である。これにより、摘み部21を引き下ろすことにより、開封用条体5が所定の幅で外シート2を破断し、外シート2が幅方向(左右)に分離(分割)可能となる。本実施形態においては、開封用条体5は、外シート2の幅方向の中央部に設けられ、内シート3,3の内端部の重ね合わせ部30と重なる。
【0025】
また、開封用条体5は、一対設けられ、外シート2の一端10aから他端10bにかけて、二つの波が形成されるよう、長手方向(本実施形態においては、外シート2の幅方向の中心線)に対して蛇行した形で、外シート2に全長に亘って貼着される。そして、一対の開封用条体5,5が長手方向(本実施形態においては、外シート2の幅方向の中心線)に対して線対称に設けられることで、外シート2の一端10aから他端10bにかけて、二箇所で交差して第一交点及び第二交点が設けられるとともに、一端10aと第一交点との間に、第一幅広部が形成され、第一交点と第二交点との間に、第二幅広部が形成される。本実施形態においては、開封用条体5,5は、外シート2の一端10aから他端10bにかけて、小さい波と大きい波の二つの波が形成されるように外シート2に貼着され、これにより、第一幅広部よりも第二幅広部の方が、幅が広く、長手方向における長さが長くなっている。
【0026】
なお、図4に示す如く、この種の食品用包装材1は、量産性の観点から、外シート2及び内シート3の長尺原反を包装材製造装置に供給し、搬送しながら、搬送過程で種々の工程(開封用条体5,5の貼着工程、内シート3,3の重ね合わせ工程、外シート2及び内シート3,3の重ね合わせ工程、接合部11,12の形成工程等)が加えられて、連続的に製造される。そこで、開封用条体5,5も、外シート2の長尺原反に応じて長尺なものが用いられ、外シート2の長尺原反の搬送に伴い、外シート2の幅方向の中心線を中心として、左右交互に蛇行しつつ波形に貼着される。より詳しくは、開封用条体5,5は、互いに交差しながら小さい波と大きい波を1ピッチとして繰り返すようにして、外シート2の長尺原反の幅方向の中心線に沿って貼着される。そして、切断予定線CLに沿って食品用包装材1,1間を幅方向に切断することで、複数の食品用包装材1,…が個別に分離され、これに伴い、開封用条体5,5も切断予定線に沿って切断される。
【0027】
したがって、図1ないし図3に戻り、開封用条体5,5の一端の間隔及び接線と、他端の間隔及び接線とは、一致し、食品用包装材1の一端10aと他端10bとを一致させると、開封用条体5,5の一端と他端とは連続した状態となる。
【0028】
食品用包装材1(本体10)の四隅の角部には、切欠部13が形成される。切欠部13は、食品用包装材1を用いて食品を包装する際の、両側の余分なシート片の一部を切欠部13により無くすことにより、両側の余分なシート片を中心側に折って三角形状ないし略三角形状にするにあたり、シート片の重なりを少なくするためのものである。
【0029】
図5に示す如く、切欠部13は、食品用包装材1の一端10a又は他端10bから長手方向に沿って所定長さ延びる第一の外形線13aと、第一の外形線13aの終端を始端として食品用包装材1の側縁に延びる第二の外形線13bとで構成される。本実施形態においては、第一の外形線13aは、長手方向と平行な直線であり、第二の外形線13bは、食品用包装材1の側縁に対して鋭角(例えば30ないし60度)に交わる直線の斜線である。
【0030】
切欠部13と食品用包装材1の側縁とが交わる部分(第二の外形線13bの終端)から食品用包装材1の側縁の所定範囲にかけては、食品用包装材1の側縁に沿って鋸歯状の易破断部14が形成される。すなわち、食品用包装材1の一端10a側の両側端部には、切欠部13と隣接して易破断部14が形成される。易破断部14は、各開封用条体5に対応して設けられ、易破断部14から幅方向に食品用包装材1を破断しやすくするためのものである。
【0031】
易破断部14は、同一形状の三角形状の凸部が横並びとなることで同一形状の山及び谷が連続する鋸歯状に形成される。また、易破断部14は、各凸部の先端(三角形の頂点)を通る線が食品用包装材1の側縁よりも幅方向内方にオフセットするように形成される。そこで、切欠部13及び易破断部14は、上述した食品用包装材1の分離工程後、あるいは分離工程と同時に、図5(a)に示すハッチング領域を打ち抜くことで、同時に形成される。もちろん、切欠部13と易破断部14とを別々に形成するようにしてもよい。
【0032】
本実施形態に係る食品用包装材1は、以上の構成からなり、次に、この食品用包装材1を用いた食品の包装方法について説明する。
【0033】
まず、図6(a)に示す如く、食品用包装材1の内シート3の上に三角おにぎり6を載せる。このとき、三角おにぎり6が内フィルム3,3の重ね合わせ部30の上に左右均等に載り、かつ、三角おにぎり6の一つの角部が食品用包装材1の一端10a側の摘み部21に向くように三角おにぎり6を配置する。
【0034】
次に、同図(b)に示す如く、食品用包装材1を、一端10a側とこれに対向する他端10b側を合わせるように長手方向に二つ折りにし、折った側の部分は、三角おにぎり6の側面(三角形状の斜面)にも沿うように折る。これにより、食品用包装材1の長手方向の一端10a側半分が三角おにぎり6の正面を覆い、他端10b側半分が三角おにぎり6の背面を覆うとともに、食品用包装材1の両側(左右)のシート片16,16が食品用包装材1の一端10aと他端10bの位置がずれた状態となって余る。
【0035】
そこで、同図(c)に示す如く、両側のいずれか一方の余分なシート片16を折って、食品用包装材1の、三角おにぎり6の背面を覆っている部分の上に重ね、その上に、図7(a)に示す如く、他方の余分なシート片16を折って、食品用包装材1の、三角おにぎり6の背面を覆っている部分の上に重ねて、三角形状ないし略三角形状にする。
【0036】
このとき、食品用包装材1の両側端部の易破断部14,14のそれぞれ最も一端10a側の端部同士、より詳しくは、それぞれ最も一端10a側に位置する三角形状の凸部14a,14a同士が重なるように、食品用包装材1の両側のシート片16,16を折る。なお、食品用包装材1で包装すると、両側端部の易破断部14,14のそれぞれ最も一端10a側の端部同士が自然に重なるようになるのが、三角おにぎり6の標準的な厚み(奥行方向の幅)である。
【0037】
そして、同図(b)に示す如く、両側の余分なシート片16,16の、切欠部13によって互いに重なっていないそれぞれの部分を、食品用包装材1の、三角おにぎり6の背面を覆っている部分にポイントシール等により接合し(接合部18)、食品用包装材1を、三角おにぎり6を包み込んだ状態に固定する。そして、同図(c)に示す如く、その上に、ラベル8を貼付する。なお、接合部の形状は図示のような円形状に限らず、長円形状、楕円形状、多角形状、線状等の種々の形状とすることができ、接合部の数も、二箇所に限らず、三箇所以上としたり、幅方向に長い大きな接合部を一箇所施すようにしてもよい。
【0038】
これにより、食品包装体は一応完成する。しかし、略三角形状のそれぞれ角部には、複数枚のシート(本実施形態においては、外シート2のシートが四枚、内シート3のシートが四枚、合計八枚のシート)が重なって扁平状となった耳片17が形成され、各耳片17は、耳片17の突出方向の軸回りに余分なシート片が折り畳まれただけである。折り畳まれているので、基本的には開口は生じていないが、折り畳みが不十分であったり、折り畳まれたシートの弾発力により、開口が生じる可能性は否定できない。そして、これにより、食品包装体の内外が連通した状態となり、ここから異物等が混入する余地が残る。そこで、さらなる工程として、耳片17に封止部17aが形成される。
【0039】
最後に、図8(a)及び図9(a)に示す如く、食品包装体の正面に、ラベル7を貼付する。このラベル7は、商品名、おにぎりの中味(具材)、価格、商品のイメージ画像等を表示する印刷がラベル基材の表面に施され、食品包装体が店頭に陳列される際に正面側となる部分に貼着される商品表示ラベルである。これに対し、食品包装体の背面に貼付されるラベル8は、商品名、原材料名、消費期限、製造者等の商品情報を表示する印刷がラベル基材の表面に施された品質表示ラベルである。
【0040】
なお、ラベル7の上縁(すなわち、ラベル7の縁部のうち、開封用条体5,5による開封起点側に位置する縁部、本実施形態においては、ラベル7は、矩形状ないし略矩形状なので、上辺)及びラベル8の下縁(すなわち、ラベル8の縁部のうち、開封用条体5,5による開封起点側に位置する縁部、本実施形態においては、ラベル8は、矩形状ないし略矩形状なので、下辺)には、開封方向(長手方向)と交差する幅方向に所定間隔を有して並列する複数の切込線からなる易破断部70,80が形成される。これは、ラベル7及び8が開封用条体5,5の一部の上に貼着され、開封用条体5,5による開封の抵抗となるところ、開封用条体5,5がラベル7及び8を破断できるようにしてできるだけ開封の抵抗を少なくするためのものである。
【0041】
三角おにぎり6を食する際には、図10(a)及び(b)に示す如く、摘み部21を摘んで開封用条体5,5を縦回りに引き回し、外シート2を長手方向に開裂する。この際、開封用条体5,5は、互いに間隔を有する二本のカットテープからなるので、幅広の開裂開口を形成することができる。これにより、外シート2を分断後、外シート2とシート状食品4との接触面積が少なくなる。そして、同図(c)に示す如く、分断された一対の包装体片をそれぞれ側方へ引っ張ることにより、三角おにぎり6をシート状食品4と一体化させた状態で取り出すことができる。
【0042】
ここで、本実施形態の特徴について説明する。
【0043】
本発明者は、易破断部14の谷部の角度を開封用条体5の外方と内方とでどのように振り分ければ、易破断部14が効果的に作用するかを検証した。その結果、本発明者は、易破断部14の各谷部の幅方向外方の斜辺(側縁)と、易破断部14と交わる部分における開封用条体5の接線Tとの交差角θ1を小さくし(45度以下、あるいは35度以下、あるいは30度以下)、他方の斜辺、すなわち、易破断部14の各谷部の幅方向内方の斜辺(側縁)と、易破断部14と交わる部分における開封用条体5の接線Tとの交差角θ2を交差角θ1よりも大きくすると、易破断部14が効果的に作用することがわかった。その上で、本発明者は、図11に示す如く、易破断部14の各谷部の幅方向外方の斜辺(側縁)と、易破断部14と交わる部分における開封用条体5の接線Tとの交差角θ1は、10度以上、あるいは15度以上であって、25度以下、あるいは20度以下の範囲となるように、設定する(以下、「構成1」という。)のが好ましく、また、他方の斜辺、すなわち、易破断部14の各谷部の幅方向内方の斜辺(側縁)と、易破断部14と交わる部分における開封用条体5の接線Tとの交差角θ2は、65度以上、あるいは70度以上であって、80度以下、あるいは75度以下の範囲となるように、設定する(以下、「構成2」という。)のが好ましいことを知得するに至った。
【0044】
構成1、すなわち、易破断部14の幅方向外方の斜辺と開封用条体5の接線Tとの交差角θ1を小さくすることで、開封用条体5の引っ張り力が作用する方向と易破断部14の幅方向外方の斜辺との角度差が小さくなるため、易破断部14の谷底からのシート片の破断が円滑に行われ、また、構成2の角度よりも構成1の角度を小さくすることで、開封用条体5の引っ張り力は、外方に作用しにくく、内方に作用する傾向となるため、破断ラインが開封用条体5から外れて外方に膨らんでいく開封ずれは起こりにくい。
【0045】
かかる構成の食品包装体により、外シート2の開裂手段として一対の開封用条体5,5を用いて幅広開封(ワイド開封)を実現する上で、背面の上半分のシートが重なって厚みのある部分を好適に開封することができるようになる。
【0046】
<第二の実施形態>
次に、本発明の第二の実施形態において、図12及び図13を参酌して説明する。なお、第一の実施形態との違いは、一対の開封用条体5,5の形態と易破断部14,14の形態のみであり、その他の構成は同じなので、同じ構成についての説明は省略する。
【0047】
一対の開封用条体5,5は、図12に示す如く、所定幅を有して長手方向に沿って平行に配置される。その間隔は、第一の実施形態における一対の開封用条体5,5の最大幅と同程度とされる。
【0048】
また、易破断部14の形態としては、易破断部14の各谷部の幅方向外方の斜辺(側縁)と、易破断部14と交わる部分における開封用条体5の接線Tとの交差角θ1を小さくし(45度以下、あるいは35度以下、あるいは30度以下)、他方の斜辺、すなわち、易破断部14の各谷部の幅方向内方の斜辺(側縁)を、易破断部14と交わる部分における開封用条体5の接線Tと平行ないし略平行とする。その上で、図13に示す如く、易破断部14の各谷部の幅方向外方の斜辺(側縁)と、易破断部14と交わる部分における開封用条体5の接線Tとの交差角θ1は、25度以上であって、35度以下の範囲となるように、設定する(以下、「構成3」という。)のが好ましく、また、他方の斜辺、すなわち、易破断部の各谷部の幅方向内方の斜辺(側縁)は、易破断部14と交わる部分における開封用条体5の接線Tと平行ないし略平行とする(以下、「構成4」という。)のが好ましい。なお、交差角θ1は、小さくなり過ぎると、易破断部14の鋸歯のピッチが小さくなって凸部の数が増えて、易破断部14の機能が損なわれかねないので、一定の角度以上は必要である。この点は、第一の実施形態の交差角θ1も同様である。
【0049】
かかる構成によっても、第一の実施形態と同様、構成3により、開封用条体5の引っ張り力が作用する方向と易破断部14の幅方向外方の斜辺との角度差が小さくなるため、易破断部14の谷底からのシート片の破断が円滑に行われ、また、構成3及び構成4により、開封用条体5の引っ張り力は、外方に作用しにくく、内方に作用する傾向となるため、破断ラインが開封用条体5から外れて外方に膨らんでいく開封ずれは起こりにくくなり、よって、外シート2の開裂手段として一対の開封用条体5,5を用いて幅広開封(ワイド開封)を実現する上で、背面の上半分のシートが重なって厚みのある部分を好適に開封することができるようになる。
【0050】
なお、本発明に係る食品用包装材及び食品包装体は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、上記第一の実施形態においては、図11において、交差角θ1と交差角θ2の組み合わせとして、四つの形態を挙げた。しかし、交差角θ1と交差角θ2は、それぞれの角度範囲において独立して任意の値に設定することができる。
【0052】
また、上記第一の実施形態においては、易破断部14の谷の角度(すなわち、交差角θ1と交差角θ2の和)は90度に設定した。しかし、易破断部14の谷の角度は適宜の値に設定することができる。
【0053】
また、上記第一の実施形態の易破断部14の形態は、上記第二の実施形態の開封用条体5,5の形態との組み合わせで用いることができるし、逆に、上記第二の実施形態の易破断部14の形態は、上記第一の実施形態の開封用条体5,5の形態との組み合わせで用いることができる。
【0054】
また、上記実施形態においては、易破断部14は、各凸部の先端を通る線が食品用包装材1の側縁よりも幅方向内方にオフセットするように形成された。これは、易破断部14を打ち抜き加工して形成する際に、抜きクズがばらばらにならないようにするためである。しかし、易破断部14の形態は種々のものを採用することができる。例えば、図14に示す如く、易破断部14は、各凸部の先端を通る線が食品用包装材1の側縁と一致した、幅方向内方にオフセットされないものであってもよい。
【0055】
また、上記実施形態においては、内シート3は、内端部同士が重ね合わせられた一対のシートからなるものであった。しかし、内シートは、一枚のシートからなり、ミシン目やハーフカット等を設けることによって、幅方向に分離可能なものや、一対のシートを内端部同士を重ね合わせることなく配置するとともに、両内端部を覆うように帯状のシートを設けたものや、内シート3の一方のシートの内端部に帯状シートを設けて二股状に形成し、この二股部に他方のシートの内端部を挿入して内シート3の内外の気密性を高めたものや、さらには他方のシートの内端部にも帯状シートを設けて二股状に形成し、一方のシートの二股部と他方のシートの二股部の合計4枚のシートが交互に重なり合うようにして内シート3の内外の気密性をさらに高めたもの等、種々の形態のものを採用することができる。
【0056】
また、上記実施形態においては、食品は三角おにぎり(米飯加工食品)であり、シート状食品は海苔であった。しかし、食品は、食品用包装材で包装できる形であれば、三角以外の形状のおにぎり、寿司、サンドイッチ等であってもよく、食品の種類及び形状は限定されない。シート状食品も、食品用包装材の平面状の収容部に収容できる形であれば、シート状の昆布、畳鰯等であってもよく、シート状食品の種類及び形状は限定されない。
【符号の説明】
【0057】
1…食品用包装材、10…本体、10a…一端、10b…他端、11…端部接合部、12…側部接合部、12a…連通部、13…切欠部、13a…第一の外形線、13b…第二の外形線、14…易破断部、14a…最も一端10a側に位置する凸部、16…余分なシート片、17…耳片、17a…封止部、18…接合部、2…外シート、20…切込線、21…摘み部、3…内シート、30…重ね合わせ部、4…シート状食品、5…開封用条体、6…三角おにぎり、7…ラベル、70…易破断部、8…ラベル、80…易破断部、CL…切断予定線、T…易破断部14と交わる部分の開封用条体5の接線、θ1…易破断部14の各谷部の幅方向外方の斜辺と、易破断部14と交わる部分における開封用条体5の接線Tとの交差角、θ2…易破断部14の各谷部の幅方向内方の斜辺と開封用条体5の接線Tとの交差角
図1
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図14