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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】吸引器と吸引器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/57 20200101AFI20230908BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20230908BHJP
   A24F 40/70 20200101ALI20230908BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20230908BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/50
A24F40/70
A24F40/40
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022505852
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2021005000
(87)【国際公開番号】W WO2021181993
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2020043279
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸橋 啓司
(72)【発明者】
【氏名】藤木 貴司
(72)【発明者】
【氏名】藤田 創
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特許第6613008(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0360786(US,A1)
【文献】特表2019-524069(JP,A)
【文献】特開2019-000105(JP,A)
【文献】特表2016-517270(JP,A)
【文献】特表2018-505696(JP,A)
【文献】特表2013-524835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/10
A24F 40/40
A24F 40/50
A24F 40/70
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル源を加熱するためのヒータに電力を供給するための電圧を生成する電圧レギュレータと、
前記ヒータと前記電圧レギュレータに直列に接続された抵抗と、
前記ヒータへの電力の供給量を切り替えるトランジスタと、
前記ヒータに印加されるヒータ電圧を測定するために、前記ヒータの第1端に接続された非反転入力端子と、前記ヒータの第2端に接続された反転入力端子とを有するオペアンプと、
前記オペアンプの出力端子と前記トランジスタの制御端子との間に接続された駆動回路と、を備え、
前記駆動回路は、前記オペアンプの出力信号を閾値に近づけるために、
記出力信号が前記閾値よりも大きい場合に、前記出力信号が前記閾値よりも小さくなるまで前記制御端子にオフ信号を供給し続け、
前記出力信号が前記閾値よりも小さい場合に、前記出力信号が前記閾値よりも大きくなるまで前記制御端子にオン信号を供給し続ける、
吸引器。
【請求項2】
前記閾値をデジタル形式で格納するメモリをさらに備え、
前記駆動回路は、デジタル形式に変換された前記出力信号と、前記メモリに格納された前記閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記制御端子にオン信号を供給するかオフ信号を供給するかを判定する、
請求項1に記載の吸引器。
【請求項3】
エアロゾル源を加熱するためのヒータに電力を供給するための電圧を生成する電圧生成回路と、
前記ヒータと前記電圧生成回路との間に接続された抵抗と、
前記ヒータに印加されているヒータ電圧を監視し、監視中のヒータ電圧と閾値との大小関係に基づいて、前記ヒータ電圧が前記閾値に近づくように、前記電圧生成回路から前記ヒータに供給される電力を制御する制御回路と、
を備える吸引器。
【請求項4】
前記閾値をデジタル形式で格納するメモリをさらに備え、
前記制御回路は、前記メモリに格納された前記閾値をアナログ形式に変換し、アナログ形式の前記閾値と前記監視中のヒータ電圧とを比較することによって前記大小関係を判定する、
請求項3に記載の吸引器。
【請求項5】
前記閾値は、前記ヒータの温度が前記吸引器からエアロゾルを生成可能な範囲に含まれるように前記電圧生成回路から前記ヒータに電力が供給されている状態における前記ヒータ電圧の値に等しい、請求項4に記載の吸引器。
【請求項6】
前記エアロゾル源は、前記ヒータが前記吸引器に結合した状態で前記吸引器から取り外し可能であり、
前記閾値は、前記ヒータの温度が前記吸引器からエアロゾルを生成可能な範囲に含まれるように前記電圧生成回路から前記ヒータに電力が供給されている状態における、新品時の前記ヒータ電圧の値に等しい、
請求項4に記載の吸引器。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記監視中のヒータ電圧が前記閾値より小さい場合に、前記監視中のヒータ電圧が前記閾値に達するまで第1量の電力を前記ヒータに供給し続け、
前記監視中のヒータ電圧が前記閾値より大きい場合に、前記監視中のヒータ電圧が前記閾値に下がるまで、前記ヒータに供給される電力を前記第1量よりも低い第2量に維持する、
請求項3乃至6の何れか1項に記載の吸引器。
【請求項8】
前記制御回路は、前記監視中のヒータ電圧が、前記閾値よりも高い上限値を超えた場合に、前記ヒータへの電力の供給を停止する、請求項3乃至7の何れか1項に記載の吸引器。
【請求項9】
前記吸引器は、前記エアロゾル源を保持するエアロゾル基材を有するエアロゾル発生物品を挿抜可能な凹部を含み、
前記ヒータは、前記凹部に挿入された前記エアロゾル発生物品を加熱可能なように構成される、
請求項3乃至8の何れか1項に記載の吸引器。
【請求項10】
前記制御回路は、前記ヒータが前記エアロゾル発生物品を加熱している間に、吸引器の使用状況に基づいて前記閾値を別の値に切り替える、請求項9に記載の吸引器。
【請求項11】
前記使用状況は、吸引の回数と、吸引の長さと、吸引の量とのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の吸引器。
【請求項12】
前記制御回路は、前記ヒータの温度変化率を変化させるために、前記電圧生成回路が生成する前記電圧の値を別の値に切り替える、請求項3乃至11の何れか1項に記載の吸引器。
【請求項13】
前記制御回路は、前記ヒータの温度変化率を変化させるために、前記閾値を漸減または漸増する、請求項3乃至11の何れか1項に記載の吸引器。
【請求項14】
前記制御回路は、
前記ヒータと前記電圧生成回路との間に接続されたトランジスタを備え、
前記ヒータ電圧が前記閾値より小さい場合、前記トランジスタをオンにし、
前記ヒータ電圧が前記閾値より大きい場合、前記トランジスタをオフにする、
請求項3に記載の吸引器。
【請求項15】
前記抵抗は第1抵抗であり、
前記制御回路は、
前記電圧生成回路と前記ヒータの第1端との間に直列に接続された前記第1抵抗および第1トランジスタと、
前記電圧生成回路と前記ヒータの前記第1端との間に直列に接続された第2抵抗および第2トランジスタと、
前記閾値が供給される非反転入力端子と、前記ヒータの前記第1端に接続された反転入力端子とを有する第1コンパレータと、
前記ヒータの前記第1端に接続された非反転入力端子と、前記閾値が供給される反転入力端子とを有する第2コンパレータと、を含み、
前記第2抵抗の抵抗値は、前記第1抵抗の抵抗値よりも高く、
前記第1コンパレータの出力は、前記第1トランジスタの制御端子に供給され、
前記第2コンパレータの出力は、前記第2トランジスタの制御端子に供給される、請求項14に記載の吸引器。
【請求項16】
前記抵抗は第1抵抗であり、
前記制御回路は、
前記ヒータの第2端に直列に接続された前記第1抵抗および第1トランジスタと、
前記ヒータの前記第2端に直列に接続された第2抵抗および第2トランジスタと、
前記閾値が供給される非反転入力端子と、前記ヒータの第1端に接続された反転入力端子とを有する第1コンパレータと、
前記ヒータの前記第1端に接続された非反転入力端子と、前記閾値が供給される反転入力端子とを有する第2コンパレータと、を含み、
前記第2抵抗の抵抗値は、前記第1抵抗の抵抗値よりも高く、
前記第1コンパレータの出力は、前記第1トランジスタの制御端子に供給され、
前記第2コンパレータの出力は、前記第2トランジスタの制御端子に供給される、請求項14に記載の吸引器。
【請求項17】
前記制御回路は、デジタル形式でメモリに格納された前記閾値をアナログ形式に変換し、アナログ形式の前記閾値を前記第1コンパレータおよび前記第2コンパレータに供給するマイクロコントローラを含み、
前記メモリは、第1閾値と、前記第1閾値よりも小さい第2閾値とを格納し、
前記マイクロコントローラは、
前記閾値として前記第1閾値を前記第1コンパレータに供給し、
前記閾値として前記第2閾値を前記第2コンパレータに供給し、
前記制御回路は、第3トランジスタおよび第4トランジスタをさらに含み、
前記第1閾値は、前記第3トランジスタを通じて前記マイクロコントローラから前記第1コンパレータに供給され、
前記第2閾値は、前記第4トランジスタを通じて前記マイクロコントローラから前記第2コンパレータに供給され、
前記第1コンパレータの出力は、前記第3トランジスタの制御端子にさらに供給され、
前記第2コンパレータの出力は、前記第4トランジスタの制御端子にさらに供給される、請求項15または16に記載の吸引器。
【請求項18】
前記制御回路は、前記第1コンパレータの非反転入力端子へ入力される電圧または前記第1コンパレータの出力端子から出力される電圧を方形波にする方形波発生回路をさらに含む、請求項15乃至17の何れか1項に記載の吸引器。
【請求項19】
前記制御回路は、前記方形波発生回路をバイパスする経路に切り替え可能なパイパス回路をさらに含む、請求項18に記載の吸引器。
【請求項20】
エアロゾル源を加熱するためのヒータと、
前記ヒータに電力を供給するための電圧を生成する電圧生成回路と、
前記ヒータと前記電圧生成回路との間に接続された抵抗と、
閾値を格納するメモリと、
前記ヒータに印加されているヒータ電圧を監視し、監視中のヒータ電圧と前記閾値との大小関係に基づいて、前記ヒータ電圧が前記閾値に近づくように、前記電圧生成回路から前記ヒータに供給される電力を制御する制御回路と、
を備える吸引器の製造方法であって、
前記ヒータの温度が前記吸引器からエアロゾルを生成可能な範囲に含まれるように前記電圧生成回路から前記ヒータに電力が供給されている状態における、新品時の前記ヒータ電圧の値を決定する工程と、
前記決定された値を前記閾値として前記メモリに格納する工程と、
を有する、製造方法。
【請求項21】
エアロゾル源を加熱するためのヒータと、
前記ヒータに電力を供給するための電圧を生成する電圧生成回路と、
前記ヒータと前記電圧生成回路との間に接続された抵抗と、
閾値を格納するメモリと、
前記ヒータに印加されているヒータ電圧を監視し、監視中のヒータ電圧と前記閾値との大小関係に基づいて、前記電圧生成回路から前記ヒータに供給される電力を制御する制御回路と、
を備える吸引器であって、
前記閾値は、前記ヒータの温度が前記吸引器からエアロゾルを生成可能な範囲に含まれるように前記電圧生成回路から前記ヒータに電力が供給されている状態における前記ヒータ電圧の値に等しく、
前記閾値は、前記吸引器の各構成要素を有する他の吸引器の前記閾値と異なる、吸引器。
【請求項22】
エアロゾル源を加熱するためのヒータと、
前記ヒータに電力を供給するための電圧を生成する電圧生成回路と、
前記ヒータと前記電圧生成回路との間に接続された抵抗と、
閾値を格納するメモリと、
前記ヒータに印加されているヒータ電圧を監視し、監視中のヒータ電圧と前記閾値との大小関係に基づいて、前記ヒータ電圧が前記閾値に近づくように、前記電圧生成回路から前記ヒータに供給される電力を制御する制御回路と、
を備える吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引器と吸引器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子たばこ等の吸引器のヒータの温度を制御するために様々な方法が提案されている。特許文献1には、ヒータの実際の作動温度を所定の最高作動温度よりも低く保つために、ヒータに供給される電気エネルギーを調節する技術が記載されている。特許文献2には、香味原料の成形体を加熱するヒータの抵抗値の変化に基づいて、ヒータへの通電のオン・オフを制御する技術が記載されている。特許文献3には、温度プロファイルに従ってヒータの温度を変更する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5739800号公報
【文献】特開2000-041654号公報
【文献】特許第6125008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸引器から排出される気体の香喫味を意図したものにするために、ヒータの温度を意図したとおりに制御することが望ましい。本発明は、吸引器のヒータの温度を精度良く制御するために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑みて、第1構成によれば、
エアロゾル源を加熱するためのヒータに電力を供給するための電圧を生成する電圧レギュレータと、
前記ヒータと前記電圧レギュレータに直列に接続された抵抗と、
前記ヒータへの電力の供給量を切り替えるトランジスタと、
前記ヒータに印加されるヒータ電圧を測定するために、前記ヒータの第1端に接続された非反転入力端子と、前記ヒータの第2端に接続された反転入力端子とを有するオペアンプと、
前記オペアンプの出力端子と前記トランジスタの制御端子との間に接続された駆動回路と、を備え、
前記駆動回路は、前記オペアンプの出力信号を閾値に近づけるために、
記出力信号が前記閾値よりも大きい場合に、前記出力信号が前記閾値よりも小さくなるまで前記制御端子にオフ信号を供給し続け、
前記出力信号が前記閾値よりも小さい場合に、前記出力信号が前記閾値よりも大きくなるまで前記制御端子にオン信号を供給し続ける、
吸引器が提供される。
【0006】
第2構成によれば、
前記閾値をデジタル形式で格納するメモリをさらに備え、
前記駆動回路は、デジタル形式に変換された前記出力信号と、前記メモリに格納された前記閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記制御端子にオン信号を供給するかオフ信号を供給するかを判定する、
第1構成に記載の吸引器が提供される。
【0007】
第3構成によれば、
エアロゾル源を加熱するためのヒータに電力を供給するための電圧を生成する電圧生成回路と、
前記ヒータと前記電圧生成回路との間に接続された抵抗と、
前記ヒータに印加されているヒータ電圧を監視し、監視中のヒータ電圧と閾値との大小関係に基づいて、前記ヒータ電圧が前記閾値に近づくように、前記電圧生成回路から前記ヒータに供給される電力を制御する制御回路と、
を備える吸引器が提供される。
【0008】
第4構成によれば、
前記閾値をデジタル形式で格納するメモリをさらに備え、
前記制御回路は、前記メモリに格納された前記閾値をアナログ形式に変換し、アナログ形式の前記閾値と前記監視中のヒータ電圧とを比較することによって前記大小関係を判定する、
第3構成に記載の吸引器が提供される。
【0009】
第5構成によれば、
前記閾値は、前記ヒータの温度が前記吸引器からエアロゾルを生成可能な範囲に含まれるように前記電圧生成回路から前記ヒータに電力が供給されている状態における前記ヒータ電圧の値に等しい、第4構成に記載の吸引器が提供される。
【0010】
第6構成によれば、
前記エアロゾル源は、前記ヒータが前記吸引器に結合した状態で前記吸引器から取り外し可能であり、
前記閾値は、前記ヒータの温度が前記吸引器からエアロゾルを生成可能な範囲に含まれるように前記電圧生成回路から前記ヒータに電力が供給されている状態における、新品時の前記ヒータ電圧の値に等しい、
第4構成に記載の吸引器が提供される。
【0011】
第7構成によれば、
前記制御回路は、
前記監視中のヒータ電圧が前記閾値より小さい場合に、前記監視中のヒータ電圧が前記閾値に達するまで第1量の電力を前記ヒータに供給し続け、
前記監視中のヒータ電圧が前記閾値より大きい場合に、前記監視中のヒータ電圧が前記閾値に下がるまで、前記ヒータに供給される電力を前記第1量よりも低い第2量に維持する、
第3構成乃至第6構成の何れか1つに記載の吸引器が提供される。
【0012】
第8構成によれば、
前記制御回路は、前記監視中のヒータ電圧が、前記閾値よりも高い上限値を超えた場合に、前記ヒータへの電力の供給を停止する、第3構成乃至第7構成の何れか1つに記載の吸引器が提供される。
【0013】
第9構成によれば、
前記吸引器は、前記エアロゾル源を保持するエアロゾル基材を有するエアロゾル発生物品を挿抜可能な凹部を含み、
前記ヒータは、前記凹部に挿入された前記エアロゾル発生物品を加熱可能なように構成される、
第3構成乃至第8構成の何れか1つに記載の吸引器が提供される。
【0014】
第10構成によれば、
前記制御回路は、前記ヒータが前記エアロゾル発生物品を加熱している間に、吸引器の使用状況に基づいて前記閾値を別の値に切り替える、第9構成に記載の吸引器が提供される。
【0015】
第11構成によれば、
前記使用状況は、吸引の回数と、吸引の長さと、吸引の量とのうちの少なくとも1つを含む、第10構成に記載の吸引器が提供される。
【0016】
第12構成によれば、
前記制御回路は、前記ヒータの温度変化率を変化させるために、前記電圧生成回路が生成する前記電圧の値を別の値に切り替える、第3構成乃至第11構成の何れか1つに記載の吸引器が提供される。
【0017】
第13構成によれば、
前記制御回路は、前記ヒータの温度変化率を変化させるために、前記閾値を漸減または漸増する、第3構成乃至第11構成の何れか1つに記載の吸引器が提供される。
【0018】
第14構成によれば、
前記制御回路は、
前記ヒータと前記電圧生成回路との間に接続されたトランジスタを備え、
前記ヒータ電圧が前記閾値より小さい場合、前記トランジスタをオンにし、
前記ヒータ電圧が前記閾値より大きい場合、前記トランジスタをオフにする、
第3構成に記載の吸引器が提供される。
【0019】
第15構成によれば、
前記抵抗は第1抵抗であり、
前記制御回路は、
前記電圧生成回路と前記ヒータの第1端との間に直列に接続された前記第1抵抗および第1トランジスタと、
前記電圧生成回路と前記ヒータの前記第1端との間に直列に接続された第2抵抗および第2トランジスタと、
前記閾値が供給される非反転入力端子と、前記ヒータの前記第1端に接続された反転入力端子とを有する第1コンパレータと、
前記ヒータの前記第1端に接続された非反転入力端子と、前記閾値が供給される反転入力端子とを有する第2コンパレータと、を含み、
前記第2抵抗の抵抗値は、前記第1抵抗の抵抗値よりも高く、
前記第1コンパレータの出力は、前記第1トランジスタの制御端子に供給され、
前記第2コンパレータの出力は、前記第2トランジスタの制御端子に供給される、第14構成に記載の吸引器が提供される。
【0020】
第16構成によれば、
前記抵抗は第1抵抗であり、
前記制御回路は、
前記ヒータの第2端に直列に接続された前記第1抵抗および第1トランジスタと、
前記ヒータの前記第2端に直列に接続された第2抵抗および第2トランジスタと、
前記閾値が供給される非反転入力端子と、前記ヒータの第1端に接続された反転入力端子とを有する第1コンパレータと、
前記ヒータの前記第1端に接続された非反転入力端子と、前記閾値が供給される反転入力端子とを有する第2コンパレータと、を含み、
前記第2抵抗の抵抗値は、前記第1抵抗の抵抗値よりも高く、
前記第1コンパレータの出力は、前記第1トランジスタの制御端子に供給され、
前記第2コンパレータの出力は、前記第2トランジスタの制御端子に供給される、第14構成に記載の吸引器が提供される。
【0021】
第17構成によれば、
前記制御回路は、デジタル形式でメモリに格納された前記閾値をアナログ形式に変換し、アナログ形式の前記閾値を前記第1コンパレータおよび前記第2コンパレータに供給するマイクロコントローラを含み、
前記メモリは、第1閾値と、前記第1閾値よりも小さい第2閾値とを格納し、
前記マイクロコントローラは、
前記閾値として前記第1閾値を前記第1コンパレータに供給し、
前記閾値として前記第2閾値を前記第2コンパレータに供給し、
前記制御回路は、第3トランジスタおよび第4トランジスタをさらに含み、
前記第1閾値は、前記第3トランジスタを通じて前記マイクロコントローラから前記第1コンパレータに供給され、
前記第2閾値は、前記第4トランジスタを通じて前記マイクロコントローラから前記第2コンパレータに供給され、
前記第1コンパレータの出力は、前記第3トランジスタの制御端子にさらに供給され、
前記第2コンパレータの出力は、前記第4トランジスタの制御端子にさらに供給される、第15構成または第16構成に記載の吸引器が提供される。
【0022】
第18構成によれば、
前記制御回路は、前記第1コンパレータの非反転入力端子へ入力される電圧または前記第1コンパレータの出力端子から出力される電圧を方形波にする方形波発生回路をさらに含む、第15構成乃至第17構成の何れか1つに記載の吸引器が提供される。
【0023】
第19構成によれば、
前記制御回路は、前記方形波発生回路をバイパスする経路に切り替え可能なパイパス回路をさらに含む、第18構成に記載の吸引器が提供される。
【0024】
第20構成によれば、
エアロゾル源を加熱するためのヒータと、
前記ヒータに電力を供給するための電圧を生成する電圧生成回路と、
前記ヒータと前記電圧生成回路との間に接続された抵抗と、
閾値を格納するメモリと、
前記ヒータに印加されているヒータ電圧を監視し、監視中のヒータ電圧と前記閾値との大小関係に基づいて、前記ヒータ電圧が前記閾値に近づくように、前記電圧生成回路から前記ヒータに供給される電力を制御する制御回路と、
を備える吸引器の製造方法であって、
前記ヒータの温度が前記吸引器からエアロゾルを生成可能な範囲に含まれるように前記電圧生成回路から前記ヒータに電力が供給されている状態における、新品時の前記ヒータ電圧の値を決定する工程と、
前記決定された値を前記閾値として前記メモリに格納する工程と、
を有する、製造方法が提供される。
【0025】
第21構成によれば、
エアロゾル源を加熱するためのヒータと、
前記ヒータに電力を供給するための電圧を生成する電圧生成回路と、
前記ヒータと前記電圧生成回路との間に接続された抵抗と、
閾値を格納するメモリと、
前記ヒータに印加されているヒータ電圧を監視し、監視中のヒータ電圧と前記閾値との大小関係に基づいて、前記電圧生成回路から前記ヒータに供給される電力を制御する制御回路と、
を備える吸引器であって、
前記閾値は、前記ヒータの温度が前記吸引器からエアロゾルを生成可能な範囲に含まれるように前記電圧生成回路から前記ヒータに電力が供給されている状態における前記ヒータ電圧の値に等しく、
前記閾値は、前記吸引器の各構成要素を有する他の吸引器の前記閾値と異なる、吸引器が提供される。
【0026】
第22構成によれば、
エアロゾル源を加熱するためのヒータと、
前記ヒータに電力を供給するための電圧を生成する電圧生成回路と、
前記ヒータと前記電圧生成回路との間に接続された抵抗と、
閾値を格納するメモリと、
前記ヒータに印加されているヒータ電圧を監視し、監視中のヒータ電圧と前記閾値との大小関係に基づいて、前記ヒータ電圧が前記閾値に近づくように、前記電圧生成回路から前記ヒータに供給される電力を制御する制御回路と、
を備える吸引器が提供される。
【発明の効果】
【0027】
上記手段により、吸引器のヒータの温度を精度良く制御するために有利な技術が提供される。
【0028】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1A】本発明の実施形態の吸引器の構成例を説明する図。
図1B】本発明の実施形態の吸引器の構成例を説明する図。
図2】本発明の実施形態のヒータの温度プロファイル例を説明する図。
図3】本発明の実施形態の電気部品の構成例を説明する図。
図4A】本発明の実施形態の電気部品の動作例を説明する図。
図4B】本発明の実施形態の電気部品の動作例を説明する図。
図5】本発明の第1構成例の制御回路を説明する図。
図6】本発明の第1構成例の制御回路の動作を説明する図。
図7】本発明の第2構成例の制御回路を説明する図。
図8】本発明の第3構成例の制御回路を説明する図。
図9】本発明の第4構成例の制御回路を説明する図。
図10】本発明の第5構成例の制御回路を説明する図。
図11】本発明の第6構成例の制御回路を説明する図。
図12】本発明の目標値の漸増および漸減の例を説明する図。
図13】本発明の第7構成例の制御回路を説明する図。
図14】本発明の方形波発生回路の構成例を説明する図。
図15】本発明の第8構成例の制御回路を説明する図。
図16】本発明のヒータ電圧の目標値の決定方法例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0031】
図1Aには、一実施形態の吸引器100の構成が模式的に示されている。吸引器100は、ユーザによる吸引動作に応じて、エアロゾルを含む気体、または、エアロゾルおよび香味物質を含む気体を吸口部130を通してユーザに提供するように構成されうる。吸引器100は、コントローラ102と、霧化器104とを備えうる。吸引器100は、霧化器104を取り外し可能な状態で保持する保持部103を備えうる。コントローラ102は、吸引器用コントローラとして理解されてもよい。霧化器104は、エアロゾル源を霧化するように構成されうる。エアロゾル源は、例えば、グリセリンまたはプロピレングリコール等の多価アルコール等の液体でありうる。あるいは、エアロゾル源は、薬剤を含んでもよい。エアロゾル源は、液体であってもよいし、固体であってもよいし、液体および固体の混合物であってもよい。エアロゾル源に代えて、水等の蒸気源が用いられてもよい。
【0032】
吸引器100は、香味源131を含むカプセル106を更に備えてもよく、霧化器104は、カプセル106を取り外し可能な状態で保持するカプセルホルダ105を含みうる。香味源131は、例えば、たばこ材料を成形した成形体でありうる。あるいは、香味源131は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ、漢方、コーヒー豆等)によって構成されてもよい。香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。香味源131は、エアロゾル源に添加されてもよい。なお、カプセルホルダ105は、霧化器104ではなくコントローラ102に設けられていてもよい。
【0033】
コントローラ102は、電気部品110を含みうる。電気部品110は、ユーザインターフェース116を含みうる。あるいは、コントローラ102は、電気部品110およびユーザインターフェース116を含むものとして理解されてもよい。ユーザインターフェース116は、例えば、表示部DISP(例えば、LED等の発光素子、および/または、LCD等の画像表示器)、および/または、操作部OP(例えば、ボタンスイッチ等のスイッチ、および/または、タッチディスプレイ)を含みうる。
【0034】
コントローラ102の保持部103は、第1電気接点111および第2電気接点112を含みうる。保持部103によって霧化器104が保持された状態において、保持部103の第1電気接点111は、霧化器104の第3電気接点113に接し、また、保持部103の第2電気接点112は、霧化器104の第4電気接点114に接しうる。コントローラ102は、第1電気接点111および第2電気接点112を通して霧化器104に電力を供給しうる。
【0035】
霧化器104は、前述の第3電気接点113および第4電気接点114を含みうる。また、霧化器104は、エアロゾル源を加熱するヒータ127と、液体のエアロゾル源を保持する容器125と、容器125によって保持されたエアロゾル源をヒータ127による加熱領域に輸送する輸送部126とを含みうる。輸送部126は、ウィックとも呼ばれうる。ヒータ127の加熱領域の少なくとも一部は、霧化器104内に設けられた流路128に配置されうる。第1電気接点111、第3電気接点113、ヒータ127、第4電気接点114および第2電気接点112は、ヒータ127に電流を流すための電流経路を形成する。輸送部126は、例えば、繊維素材または多孔質素材で構成されうる。
【0036】
霧化器104は、前述のように、カプセル106を取り外し可能に保持するカプセルホルダ105を含むことができる。カプセルホルダ105は、一例において、カプセル106の一部をカプセルホルダ105内または霧化器104内に収容し、他の一部を露出させるようにカプセル106を保持しうる。ユーザは、吸口部130を口で銜えて、エアロゾルを含有する気体を吸引することができる。取り外し可能なカプセル106が吸口部130を備えることで、吸引器100を清潔に保つことができる。
【0037】
ユーザが吸口部130を銜えて吸引動作を行うと、矢印で例示されるように、霧化器104の流路128に空気が流入し、ヒータ127がエアロゾル源を加熱することによって発生するエアロゾルがその空気によって吸口部130に向けて輸送される。そして、香味源131が配置されている構成においては、そのエアロゾルに香味源131が発生する香味物質が添加されて吸口部130に輸送され、ユーザの口に吸い込まれる。
【0038】
図1Bには、別の実施形態の吸引器150の構成が模式的に示されている。以下では、吸引器150のうち吸引器100と同様の構成要素については同一の参照符号を付し、その説明を省略する。吸引器150は、ユーザによる吸引動作に応じて、エアロゾルを含む気体、または、エアロゾルおよび香味物質を含む気体を吸口部130を通してユーザに提供するように構成されうる。
【0039】
吸引器150は、コントローラ102と、エアロゾル発生物品151とを備えうる。吸引器150は、エアロゾル発生物品151を取り外し可能な状態で保持する保持部152を備えうる。コントローラ102は、吸引器用コントローラとして理解されてもよい。エアロゾル発生物品151は、エアロゾル源を保持するエアロゾル基材153と、フィルタ154とを含んでもよい。エアロゾル基材153には、エアロゾル源と、香味源とが混在しうる。一例として、香味源がエアロゾル基材153として機能してもよい。香味源は、例えば、たばこ材料を成形した成形体でありうる。あるいは、香味源は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ、漢方、コーヒー豆等)によって構成されてもよい。香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0040】
エアロゾル発生物品151は、棒状の形状を有しうる。ヒータ127は突起状(例えば、針状やブレード状)の形状を有している。保持部152は凹部を形成している。保持部152の凹部にエアロゾル発生物品151を挿入することによって、エアロゾル発生物品151のエアロゾル基材153にヒータ127が差し込まれる。これによって、ヒータ127がエアロゾル基材153内のエアロゾル源を加熱可能な状態となる。使用し終わったエアロゾル発生物品151は、ヒータ127が吸引器150に結合した状態で吸引器150から取り外し可能である。このように、エアロゾル発生物品151は、吸引器の凹部に挿抜可能である。
【0041】
ヒータ127はコントローラ102に結合しており、コントローラ102から電力が供給される。ユーザが吸口部130を銜えて吸引動作を行うと、矢印で例示されるように、エアロゾル基材153に空気が流入し、ヒータ127がエアロゾル源を加熱することによって発生するエアロゾルがその空気によって香味物質とともに吸口部130に向けて輸送される。
【0042】
エアロゾル発生物品151のヒータ127は、エアロゾル発生物品151を内側から加熱する。これにかえて、ヒータ127は、エアロゾル発生物品151を外側から加熱するような構造を有していてもよい。例えば、ヒータ127はリング状の形状を有し、このリング内にエアロゾル発生物品151が挿入されてもよい。さらに、ヒータ127は1つであってもよいし、複数に分離されていてもよい。ヒータ127が複数に分離される場合は、ヒータ127の一部がエアロゾル発生物品151を内部から加熱し、ヒータ127の残余がエアロゾル発生物品151を外側から加熱するようにしてもよい。
【0043】
図2には、ヒータ127の目標温度の温度プロファイルの例が示されている。例えば吸引器150において、エアロゾル発生物品151内部のエアロゾル源の分布は使用状況に応じて変化しうる。一部の実施形態で、コントローラ102は、この変化に応じて、適切な値となるようにヒータ127の温度を制御する。
【0044】
図2のグラフ200は、ヒータ127の温度プロファイルの一例を示す。グラフ200の横軸は吸引開始からの経過時間を示し、グラフ200の縦軸はヒータ127の温度を示す。時刻t0において、ヒータ127は室温であるとする。
【0045】
時刻t0で、コントローラ102は、ヒータ127の温度が目標温度TTarget1となるようにヒータ127を急速に加熱する。時刻t1からt2にかけて、コントローラ102は、ヒータ127の温度を目標温度TTarget1に維持する。エアロゾル源が十分に加熱されると、今度はエアロゾルの発生量が過剰になる恐れがある。そこで、コントローラ102は、時刻t2からt3にかけて、ヒータ127の温度が目標温度TTarget2となるようにヒータ127の温度を低下させる。目標温度TTarget2は、目標温度TTarget1よりも低い値である。時刻t3からt4にかけて、コントローラ102は、ヒータ127の温度を目標温度TTarget2に維持する。
【0046】
エアロゾルの生成開始からある程度時間が経過すると、ヒータ127の周囲のエアロゾル源の量が減少するため、ヒータ127から遠い位置にあるエアロゾル源を加熱することになる。そこで、コントローラ102は、時刻t4以降、ヒータ127の温度を上昇させる。時刻t4以降の温度上昇の変化率は、時刻t0からt1にかけての温度上昇の変化率よりも低い。
【0047】
このように、コントローラ102は、ヒータ127の目標温度を適宜切り替えてヒータ127の温度を制御する。ヒータ127の温度プロファイルはグラフ200に示すものに限られず、ヒータ127の構成やエアロゾル源の種類によって変わりうる。また、ヒータ127が複数に分離されている場合に、個別のヒータごとに温度プロファイルが設定されてもよい。
【0048】
図3には、電気部品110の構成例が示されている。電気部品110は、電源(例えば、バッテリー)301と、ヒータ127に供給するための電力を生成する電圧生成回路302と、ヒータ127に供給される電力を制御する制御回路303とを備えうる。ヒータ127の抵抗値RHTRは、ヒータ127の温度によって変化する。例えば、ヒータ127の抵抗値RHTRは、ヒータ127の温度と正の相関を有する。
【0049】
電圧生成回路302は、例えば、電源301から供給される電源電圧Vbatをヒータ駆動電圧Voutに変換する電圧変換器(電圧レギュレータ)321を含むことができる。さらに、電圧生成回路302は、電源電圧Vbatを制御回路303内のMCU(マイクロコントローラユニット)用の電圧Vmcuに変換するLDO(Low DropOut)等の電圧変換回路322を含んでもよい。
【0050】
制御回路303は、電気部品110の全体的な制御を行う。このような制御の一部として、制御回路303は、エアロゾル源を加熱中のヒータ127の温度が目標温度に近づくようにフィードバック制御を行う。具体的に、制御回路303の目標値算出部331は、ユーザが吸引器100の使用を開始する前に、ヒータ127の温度に相関を有する物理量の目標値を算出し、メモリに格納しておく。この物理量は、後述するように、ヒータ127に印加されている電圧(ヒータ電圧とも称される)であってもよい。この目標値は、エアロゾル源を加熱中のヒータ127の温度が目標温度となるように設定される。その後、制御回路303の供給電力制御部332は、ユーザが吸引器100を使用中に、この物理量を監視し、監視中の物理量が目標値に近づくように、電圧生成回路302からヒータ127に供給される電力を制御する。ヒータ127の目標温度の変化に伴い、ヒータ127の温度に相関を有する物理量の目標値も変わりうる。
【0051】
電気部品110は、電気部品110の所定箇所の温度を検出する温度センサ304と、ユーザのパフ動作を検出するパフセンサ(例えば、圧力センサ)305とをさらに含んでもよい。温度センサ304は、パフセンサ305または電源301に組み込まれていてもよい。
【0052】
図4A及び図4Bには、吸引器100の動作が示されている。この動作は、制御回路303によって制御される。制御回路303は、プログラムを格納したメモリと、該プログラムに従って動作するプロセッサとを含む。図4A及び図4Bの動作は、プロセッサがメモリ内のプログラムを実行することによって処理されてもよい。
【0053】
ステップS401で、制御回路303は、霧化要求を受けることを待ち、霧化要求を受けたら、ステップS402を実行する。霧化要求は、エアロゾル源からエアロゾルを発生させること、より詳しくは、エアロゾル源からエアロゾルを発生させるようにヒータ127を目標温度範囲内に制御することの要求である。霧化要求は、ユーザが吸口部130を通して吸引動作(パフ動作)を行ったことをパフセンサ305が検出し、その検出をパフセンサ305が制御回路303に通知する動作でありうる。あるいは、霧化要求は、ユーザが操作部OPを操作したことを操作部OPが制御回路303に通知する動作でありうる。
【0054】
ステップS402で、制御回路303は、電源電圧Vbatを不図示の電源管理回路から取得し、電源電圧Vbatが放電終止電圧Vend(例えば3.2V)を上回っているかどうかを判定する。電源電圧Vbatが放電終止電圧Vend以下ということは、電源301の放電可能残量が十分ではないことを意味する。そこで、電源電圧Vbatが放電終止電圧Vend以下である場合は、ステップS419において、制御回路303は、ユーザインターフェース116の表示部DISPを使って、電源301の充電を促す報知を行う。この報知は、表示部DISPがLEDを含む場合において、該LEDを赤色で点灯させることでありうる。電源電圧Vbatが放電終止電圧Vendを上回っている場合、ステップS403において、制御回路303は、ユーザインターフェース116の表示部DISPを使って、正常動作が可能であることを報知しうる。この報知は、表示部DISPがLEDを含む場合において、該LEDを青色で点灯させることでありうる。
【0055】
ステップS403に次いで、ステップS404で、制御回路303は、ヒータ127に対する給電制御を開始する。ヒータ127に対する給電制御は、ヒータ127を目標温度範囲内に制御する温度制御を含む。この温度制御の詳細は後述する。
【0056】
次いで、ステップS405で、制御回路303は、吸引時間Tを0にリセットし、その後、ステップS406で、制御回路303は、吸引時間TにΔtを加算する。Δtは、ステップS406の実行と次のステップS406の実行との時間間隔に相当する。
【0057】
次いで、ステップS407で、制御回路303は、霧化要求が終了しているかどうかを判定し、霧化要求が終了している場合は、ステップS409において、制御回路303は、ヒータ127に対する給電制御を停止する。一方、霧化要求が終了していない場合は、ステップS408において、制御回路303は、吸引時間T(例えば2.0~2.5sec)が上限時間に達したかどうかを判定し、吸引時間Tが上限時間に達していない場合は、ステップS406に戻る。
【0058】
ステップS409に次いで、ステップS410で、制御回路303は、青色で点灯させていたLEDを消灯させる。次いで、ステップS411で、制御回路303は、積算時間Tを更新する。より具体的には、ステップS411で、現時点での積算時間Tに吸引時間Tを加算する。積算時間Tは、カプセル106が吸引のために使用された積算時間、換言すると、カプセル106の香味源131を通してエアロゾルが吸引された積算時間でありうる。
【0059】
ステップS412で、制御回路303は、積算時間Tが吸引可能時間(例えば、120sec)を超えていないかどうかを判定する。積算時間Tが吸引可能時間を超えていない場合は、カプセル106が未だ香味物質を提供可能であることを意味し、この場合は、ステップS401に戻る。積算時間Tが吸引可能時間を超えている場合は、ステップS413において、制御回路303は、霧化要求の発生を待つ。そして、霧化要求が発生したら、ステップS414において、制御回路303は、霧化要求が所定時間にわたって継続するのを待ち、その後、ステップS416において、制御回路303は、ヒータ127に対する給電制御を禁止する。なお、ステップS414は省略されてもよい。
【0060】
次いで、ステップS416では、制御回路303は、ユーザインターフェース116の表示部DISPを使って、消耗品(吸引器100のカプセル106や吸引器150のエアロゾル発生物品151)の交換を促す報知を行う。この報知は、表示部DISPがLEDを含む場合において、該LEDを青色で点滅(点灯、消灯の繰り返し)させることでありうる。これを受けて、ユーザは、消耗品を交換しうる。一例において、1個の霧化器104と複数個(例えば、5個)のカプセル106とが1個のセットとして販売されうる。このような例では、1個のセットの1個の霧化器104および全てのカプセル106が消費された後、消費されたセットの霧化器104と最後のカプセル106が新しいセットの霧化器104およびカプセル106に交換されうる。
【0061】
ステップS417で、制御回路303は、消耗品(吸引器100のカプセル106や吸引器150のエアロゾル発生物品151)の交換が完了するのを待ち、ステップS418で、制御回路303は、ヒータ127に対する給電制御の禁止を解除し、ステップS401に戻る。
【0062】
続いて、図5を参照して、ヒータ127をフィードバック制御するための制御回路303の第1構成例について説明する。制御回路303は、MCU501と、スイッチSW1およびSW2と、シャント抵抗Rshunt1およびRshunt2と、オペアンプ502とを含みうる。MCU501は、メモリ511と、スイッチ駆動部512と、目標値算出部331と、比較部513と、ADC(アナログデジタル変換器)415とを含みうる。スイッチ駆動部512と、目標値算出部331と、比較部513とは、汎用プロセッサによって実現されてもよいし、専用回路によって実現されてもよいし、両者の組み合わせによって実現されてもよい。スイッチSW1およびSW2と、シャント抵抗Rshunt1およびRshunt2と、スイッチ駆動部512と、比較部513とによって、供給電力制御部332が構成される。
【0063】
スイッチSW1およびシャント抵抗Rshunt1は、電圧生成回路302からのヒータ駆動電圧Voutの供給ラインとヒータ127との間に直列に接続されている。シャント抵抗Rshunt1の抵抗値をその符号と同様にRshunt1と標記する。以下に説明する他の抵抗についても同様である。図5の例では、スイッチSW1とヒータ127との間にシャント抵抗Rshunt1が接続されている。これにかえて、シャント抵抗Rshunt1とヒータ127との間にスイッチSW1が接続されてもよい。
【0064】
スイッチSW1は、例えばトランジスタ、具体的にFET(電界効果トランジスタ)IGBT(絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)によって構成されてもよい。以下ではスイッチSW1などの様々なスイッチがFETによって構成される場合について説明するが、FETはIGBTや他のスイッチで構成されてもよい。スイッチSW1の制御端子(例えば、FETのゲート)に、スイッチ駆動部512から制御信号SWC1が供給される。スイッチSW1は、制御信号SWC1の値に応じて、オン・オフを切り替える。スイッチSW1をオン(すなわち、導通状態)にする制御信号をオン信号と呼び、スイッチSW1をオフ(すなわち、非導通状態)にする制御信号をオフ信号と呼ぶ。オン信号は例えばハイレベルであり、オフ信号は例えばローレベルである。以下に説明する他のスイッチの制御信号についても同様である。
【0065】
スイッチSW2およびシャント抵抗Rshunt2は、電圧生成回路302からのヒータ駆動電圧Voutの供給ラインとヒータ127との間に直列に接続されている。シャント抵抗Rshunt2の抵抗値は、シャント抵抗Rshunt1の抵抗値よりも十分に大きい。図5の例では、スイッチSW2とヒータ127との間にシャント抵抗Rshunt2が接続されている。これにかえて、シャント抵抗Rshunt2とヒータ127との間にスイッチSW2が接続されてもよい。スイッチSW2は、例えばトランジスタ、具体的にFETやIGBTによって構成されてもよい。スイッチSW2の制御端子(例えば、FETのゲート)には、スイッチ駆動部512から制御信号SWC2が供給される。スイッチSW2は、制御信号SWC2の値に応じて、オン・オフを切り替える。
【0066】
オペアンプ(差動増幅器)502は、非反転入力端子、反転入力端子および出力端子を有する。オペアンプ502の非反転入力端子は、ヒータ127の一端(具体的に、第3電気接点113)に接続されている。オペアンプ502の反転入力端子は、ヒータ127の別の一端(具体的に、第4電気接点114)に接続されている。オペアンプ502の出力端子は、ADC415の入力端子に接続されている。このように、オペアンプ502は、ヒータ127に印加されている電圧VHTRをADC415に供給する。図5の第1構成例で、制御回路303は、ヒータの温度に相関を有する物理量として、オペアンプ502の出力、すなわち電圧VHTRを監視する。制御回路303は、電圧VHTRが目標値に近づくように、ヒータ127に供給される電力を制御する。
【0067】
スイッチ駆動部512は、制御信号をスイッチSW1とスイッチSW2以外のスイッチ(トランジスタ)に供給してもよい。例えば、電圧変換器(電圧レギュレータ)321に内蔵されたスイッチ(トランジスタ)の制御端子、又は、ヒータ127と接地の間やヒータ駆動電圧Voutの供給ラインに設けられる不図示のスイッチ(トランジスタ)の制御端子に、スイッチ駆動部512から制御信号が供給されてもよい。
【0068】
図16を参照して、電圧VHTRの目標値VTargetの決定方法について説明する。後述するように、目標値VTargetは、監視中の電圧VHTRとの比較対象として使用される。そのため、目標値VTargetは、閾値と称されてもよい。制御回路303は、ヒータ127が加熱されていない状態、例えば、図4AのステップS404よりも前に、目標値VTargetを決定する動作を行ってもよい。目標値VTargetの決定は、ヒータ127が新品時の状態で実行されてもよい。ヒータ127が新品であるとは、例えばユーザがエアロゾルを吸引するためにヒータ127の使用を開始する前の状態であってもよい。ヒータ127が新品である期間に、吸引器100、150の製造時が含まれてもよい。さらに、制御回路303は、ヒータ127が新品時の状態ではない場合に、目標値VTargetを決定してもよい。
【0069】
ステップS1601で、目標値算出部331は、現時点のヒータ127の温度を測定し、この温度を基準温度TRefとする。基準温度TRefは、吸引器100内の任意箇所の温度(例えば、温度センサ304によって検出される温度)や、室温に基づいて決定されてもよい。
【0070】
ステップS1602で、目標値算出部331は、スイッチSW1をオフにし、スイッチSW2をオンにする。これによって、ヒータ駆動電圧Voutの供給ラインから、スイッチSW2、シャント抵抗Rshunt2およびヒータ127を経由して接地まで電流が流れる。目標値算出部331は、ヒータ127に印加されている電圧VHTRをデジタル形式でADC415から受け取る。目標値算出部331は、この電圧VHTRを以下の式(1)に当てはめることによって、基準抵抗値RRefを算出する。
【0071】
【数1】
【0072】
式(1)において、VoutおよびRShunt2は規定値である。これらの値は、製造時にメモリ511に書き込まれる。
【0073】
ステップS1603で、目標値算出部331は、式(2)に従って目標値VTargetを算出し、ステップS1604で目標値VTargetをデジタル形式でメモリ511に格納する。
【0074】
【数2】
【0075】
式(2)において、α、TTargetは規定値である。これらの値は、製造時にメモリ511に書き込まれる。αは、ヒータ127の温度係数[ppm/℃]である。αは、ヒータ127の材質やサイズによって定まる値である。
【0076】
Targetは、エアロゾル源を加熱中のヒータ127の目標温度である。目標温度TTargetは、例えば製造時に設定される。目標値VTargetは、ヒータ127の温度が目標温度TTargetである時点の電圧VHTRに相当する。言い換えると、目標値VTargetは、ヒータ127の温度が吸引器100、150からエアロゾルを生成可能な範囲に含まれるように電圧生成回路302からヒータ127に電力が供給されている状態におけるヒータ127の電圧VHTRの値に等しい。吸引器100において、目標温度TTargetは、210℃以上且つ230℃未満の範囲内、例えば220℃となるように設定される。電圧VHTRが目標値VTargetに近づくようにフィードバック制御を行うことによって、ヒータ127の温度も目標温度TTargetに近づくように変動する。
【0077】
制御回路303の回路特性は、制御回路303を構成する素子の製品公差などにより吸引器ごとに異なりうる。そのため、上述のように決定された目標値VTargetは、製品ごとに異なりうる。言い換えると、1つの吸引器の目標値VTargetは、この吸引器と同じ構成要素を有する他の吸引器の目標値VTargetと異なりうる。
【0078】
上述の例では、式(1)および(2)に分けて目標値VTargetを算出するように説明している。しかし、目標値算出部331は、これらの式を統合した式に従って目標値VTargetを算出してもよい。
【0079】
図2を用いて上述したように、ヒータ127の目標温度TTargetは、複数の値を有しうる。そのため、目標値算出部331は、複数の目標温度TTargetのそれぞれについて目標値VTargetを決定し、メモリ511に格納してもよい。
【0080】
続いて、図6を参照して、ヒータ127の温度のフィードバック制御について説明する。制御回路303は、このフィードバック制御を、ユーザによる吸引中(例えば、図4A及び図4BのステップS404~S409の間)に実行する。
【0081】
ステップS601で、比較部513は、メモリ511からデジタル形式の初期値の目標値VTargetを読み出す。その後、比較部513は、読み出したデジタル形式の目標値VTargetと、デジタル形式でADC415から受け取った電圧VHTRとを比較し、これらの比較結果をスイッチ駆動部512に供給し続ける。このように、比較部513は、ヒータ127に印加されている電圧VHTRを監視する。図2の例では、目標温度TTarget1に相当するヒータ電圧が目標値VTargetとして読み出される。
【0082】
ステップS602で、スイッチ駆動部512は、制御信号SWC1としてオフ信号を供給することによってスイッチSW1をオフにし、制御信号SWC2としてオン信号を供給することによってスイッチSW2をオンにする。その後、スイッチ駆動部512は、比較部513からの出力に基づいて、電圧VHTRが目標値VTargetよりも低いどうかを判定する。この条件を満たす場合(ステップS602で「YES」)に、スイッチ駆動部512は処理をステップS603に遷移し、それ以外の場合(ステップS602で「NO」)に、スイッチ駆動部512は処理をステップS604に遷移する。
【0083】
ステップS603で、スイッチ駆動部512は、制御信号SWC1としてオン信号を供給することによってスイッチSW1をオンにし、制御信号SWC2としてオフ信号を供給することによってスイッチSW2をオフにする。スイッチ駆動部512は、スイッチSW1にすでにオン信号を供給している場合にその状態を維持し、スイッチSW2にすでにオフ信号を供給している場合にその状態を維持する。この状態は、比較部513による比較結果が変化するまで維持される。これにより、ヒータ駆動電圧Voutの供給ラインから、スイッチSW1、シャント抵抗Rshunt1およびヒータ127を経由して接地まで電流が流れる。一方、スイッチSW2を経由する経路には電流が流れない。ヒータ127にシャント抵抗Rshunt1経由で電流が流れることによって、ヒータ127の加熱に必要な電力が供給され、ヒータ127の温度が上昇する。シャント抵抗Rshunt1は、ヒータ127の温度を上昇可能な電流を流す抵抗値を有する。
【0084】
ステップS604で、スイッチ駆動部512は、制御信号SWC1としてオフ信号を供給することによってスイッチSW1をオフにし、制御信号SWC2としてオン信号を供給することによってスイッチSW2をオンにする。スイッチ駆動部512は、スイッチSW2にすでにオン信号を供給している場合にその状態を維持し、スイッチSW1にすでにオフ信号を供給している場合にその状態を維持する。この状態は、比較部513による比較結果が変化するまで維持される。これにより、ヒータ駆動電圧Voutの供給ラインから、スイッチSW2、シャント抵抗Rshunt2およびヒータ127を経由して接地まで電流が流れる。一方、スイッチSW1を経由する経路には電流が流れない。シャント抵抗Rshunt2は十分に大きいため、ヒータ127の加熱に必要な電力が供給されず、ヒータ127の温度が下降する。すなわち、シャント抵抗Rshunt2は、ヒータ127の温度を下降可能な電流を流す抵抗値を有する。電流がシャント抵抗Rshunt2を流れる場合にヒータ127に供給される電力の量は、電流がシャント抵抗Rshunt1を流れる場合にヒータ127に供給される電力の量よりも低い。シャント抵抗Rshunt2の抵抗値が十分に大きい場合に、ヒータ127に供給される電力は実質的にゼロとなる。
【0085】
ステップS605で、スイッチ駆動部512は、目標値の切り替え条件を満たすかどうかを判定する。この条件を満たす場合(ステップS605で「YES」)に、スイッチ駆動部512は処理をステップS606に遷移し、それ以外の場合(ステップS605で「NO」)に、スイッチ駆動部512は処理をステップS602に遷移する。
【0086】
目標値の切り替え条件は、吸引器100、150の使用状況に基づいてもよい。この使用状況は、吸引の回数と、吸引の長さと、吸引の量とのうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、比較部513は、吸引開始からの経過時間をタイマーで測定し、吸引開始から所定の時間が経過したことに応じて目的値を切り替えてもよい。また、比較部513は、ユーザが吸引を行った回数をカウントするカウンタを含んでもよく、このカウンタの値が所定値に到達したことに応じて目的値を切り替えてもよい。さらに、吸引器100、150は、ユーザによる吸引の量を測定するセンサをさらに備え、比較部513は、このセンサによって検出された吸引の量が所定値に到達したことに応じて目的値を切り替えてもよい。なお、比較部513は、ヒータ127へ電力の供給を開始してからの経過時間をタイマーで測定し、ヒータ127へ電力の供給を開始してから所定の時間が経過したことに応じて目的値を切り替えてもよい。
【0087】
ステップS606で、比較部513は、メモリ511から切り替え後の初期値の目標値VTargetを読み出す。その後、比較部513は、読み出したデジタル形式の目標値VTargetと、デジタル形式でADC415から受け取った電圧VHTRとを比較し、これらの比較結果をスイッチ駆動部512に供給し続ける。図2の例では、目標温度TTarget2に相当するヒータ電圧が目標値VTargetとして読み出される。目標値VTargetが切り替えられた後は、新たな目標値VTargetに近づくようにヒータ電圧が制御される。
【0088】
ステップS607で、スイッチ駆動部512は、加熱処理を終了するかどうかを判定する。この条件を満たす場合(ステップS607で「YES」)に、スイッチ駆動部512は処理を終了し、それ以外の場合(ステップS607で「NO」)に、スイッチ駆動部512は処理をステップS602に遷移する。加熱処理を終了するための条件は、上述の図4BのステップS409に遷移するための条件である。
【0089】
以上のように、制御回路303は、電圧VHTRが目標値VTargetに近づくようにヒータ127に供給する電力を制御する。具体的に、制御回路303は、監視中の電圧VHTRと目標値VTargetとの比較結果に基づいて、電圧生成回路302からヒータ127への電力の供給量を切り替える。上述のように、目標値VTargetは、ヒータ127の温度が目標温度TTargetとなるように設定されているため、このフィードバック制御によって、エアロゾル源を加熱中のヒータ127の温度が所望の範囲に維持される。上述のステップS604およびS605において、等号が成立する場合にNOに分岐するが、これにかえてYESに分岐してもよい。また、制御回路303は、監視中の電圧VHTRを他の値に変換することなく、直接、目標値VTargetと比較し、フィードバック制御を行う。そのため、フィードバック制御における追従性が高まる。
【0090】
続いて、図7を参照して、ヒータ127をフィードバック制御するための制御回路303の第2構成例について説明する。第2構成例では、図5の第1構成例においてMCU501が実行していたフィードバック制御をアナログ回路によって実行する。以下、第1構成例との相違点について主に説明する。
【0091】
第2構成例の制御回路303は、第1構成例の制御回路303と比較して、コンパレータCMPおよび論理反転のためのインバータ702をさらに有する。また、第2構成例のMCU501は、スイッチ駆動部512および比較部513を含まず、DAC(デジタルアナログ変換器)701を含む。
【0092】
コンパレータCMPの反転入力端子は、ヒータ127のヒータ駆動電圧Voutの供給ライン側の端部(すなわち、第3電気接点113)に接続されている。したがって、コンパレータCMPの反転入力端子には、ヒータ127に印加されている電圧VHTRが供給される。コンパレータCMPの非反転入力端子には、MCU501(具体的に、DAC701)からアナログ形式の目標値VTargetが供給される。したがって、コンパレータCMPは、電圧VHTRと目標値VTargetとの比較結果を出力する。すなわち、コンパレータCMPは、ヒータ127の温度に相関を有する物理量として、電圧VHTRを監視する。
【0093】
コンパレータCMPからの出力信号は、分圧回路を経由してスイッチSW1の制御端子に供給される。また、コンパレータCMPからの出力信号は、インバータ702および分圧回路を経由してスイッチSW2の制御端子に供給される。なお、これら分圧回路の双方または一方は省略されてもよい。DAC701は、メモリ511からデジタル形式の目標値VTargetを読み出し、アナログ形式に変換してコンパレータCMPに供給する。
【0094】
第2構成例において、目標値VTargetの決定方法は第1構成例と同じであるため、説明を省略する。第2構成例におけるヒータ127の温度のフィードバック制御について説明する。制御回路303は、このフィードバック制御を、ユーザによる吸引中(例えば、図4A及び図4BのステップS404~S409の間)に実行する。このフィードバック制御中に、MCU501は、図6のステップS601、S605およびS606と同様の処理を行って、目標値VTargetを切り替えてもよい。
【0095】
ヒータ127への電力供給を開始するために、DAC701は、メモリ511から目標値VTargetを読み出し、アナログ形式に変換してコンパレータCMPに供給し続ける。吸引直後はヒータ127の温度が低く、それゆえ電圧VHTRも低いため、コンパレータCMPは、比較結果としてハイレベルを出力する。その結果、スイッチSW1の制御端子にハイレベルが供給され、スイッチSW1がオンになる。また、スイッチSW2の制御端子に、インバータ702によって論理反転されたローレベルが供給され、スイッチSW2がオフになる。これにより、第1構成例と同様にヒータ127に電流が流れ、ヒータ127の温度が上昇する。
【0096】
ヒータ127の温度が上昇し、電圧VHTRが目標値VTargetを上回ると、コンパレータCMPは、比較結果としてローレベルを出力する。その結果、スイッチSW1の制御端子にローレベルが供給され、スイッチSW1がオフになる。また、スイッチSW2の制御端子に、インバータ702によって論理反転されたハイレベルが供給され、スイッチSW2がオンになる。これにより、第1構成例と同様に電流が流れ、ヒータ127の温度が下降する。その後、電圧VHTRが目標値VTargetを下回ると、ヒータ127の温度が上昇するようにヒータ127に電力が供給される。
【0097】
以上のように、制御回路303は、電圧VHTRが目標値VTargetに近づくようにヒータ127に供給する電力を制御する。第2構成例では、MCU501に含まれないアナログ回路(具体的に、コンパレータCMP)によって電圧VHTRおよび目標値VTargetの大小比較を行っているため、MCU501の動作クロックに束縛されずに電力制御を行える。そのため、いっそう高速な制御が可能となる。また、MCU501が大小比較を行わないため、MCU501の処理負担が軽減する。
【0098】
続いて、図8を参照して、ヒータ127をフィードバック制御するための制御回路303の第3構成例について説明する。図7の第2構成例ではコンパレータを1系統有していたのに対して、第3構成例では、コンパレータを2系統有する。以下、第2構成例との相違点について主に説明する。
【0099】
第3構成例の制御回路303は、第2構成例の制御回路303と比較して、コンパレータCMPおよびインバータ702を含まず、コンパレータCMP1およびCMP2ならびにスイッチSW3およびSW4を含む。また、第3構成例のMCU501は、DAC701を含まず、DAC801および802を含む。
【0100】
コンパレータCMP1の反転入力端子は、ヒータ127のヒータ駆動電圧Voutの供給ライン側の端部(すなわち、第3電気接点113)に接続されている。したがって、コンパレータCMP1の反転入力端子には、ヒータ127に印加されている電圧VHTRが供給される。コンパレータCMP1の非反転入力端子には、アナログ形式の目標値VTargetが供給される。したがって、コンパレータCMP1は、電圧VHTRと目標値VTargetとの比較結果を出力する。コンパレータCMP1からの出力信号は、分圧回路を経由してスイッチSW1の制御端子に供給される。
【0101】
コンパレータCMP2の非反転入力端子は、ヒータ127のヒータ駆動電圧Voutの供給ライン側の端部(すなわち、第3電気接点113)に接続されている。したがって、コンパレータCMP2の非反転入力端子には、ヒータ127に印加されている電圧VHTRが供給される。コンパレータCMP2の反転入力端子には、アナログ形式の目標値VTargetが供給される。したがって、コンパレータCMP2は、電圧VHTRと目標値VTargetとの比較結果を出力する。コンパレータCMP2からの出力信号は、分圧回路を経由してスイッチSW2の制御端子に供給される。以上のように構成されたコンパレータCMP1とコンパレータCMP2とは、互いに異なるレベルの信号を出力する。
【0102】
DAC801は、メモリ511からデジタル形式の目標値VTarget1を読み出し、アナログ形式に変換し、スイッチSW3を介してコンパレータCMP1およびCMP2に供給する。DAC802は、メモリ511からデジタル形式の目標値VTarget2を読み出し、アナログ形式に変換し、スイッチSW4を介してコンパレータCMP1およびCMP2に供給する。コンパレータCMP1とコンパレータCMP2とが互いに異なるレベルの信号を出力するため、スイッチSW3およびSW4は、一方のみがオンになる。そのため、スイッチSW3がオン(すなわち、スイッチSW4がオフ)の場合に、目標値VTarget1が目標値VTargetとしてコンパレータCMP1およびCMP2に供給される。スイッチSW4がオン(すなわち、スイッチSW3がオフ)の場合に、目標値VTarget2が目標値VTargetとしてコンパレータCMP1およびCMP2に供給される。
【0103】
目標値VTarget1は、スイッチSW1がオン且つスイッチSW2がオフの場合の電圧VHTRの目標値である。目標値VTarget2は、スイッチSW1がオフ且つスイッチSW2がオンの場合の電圧VHTRの目標値である。目標値算出部331は、上述の式(1)ならびに以下の式(3)および(4)に従ってこれらの目標値を算出し、メモリ511に格納する。
【0104】
【数3】
【0105】
【数4】
【0106】
式(3)および式(4)において、α、Vout、RShunt1およびRShunt2は規定値であり、例えば製造時にメモリ511に書き込まれる。目標温度TTargetは、式(2)について上述したとおりである。RShunt1>RShunt2であるため、VTarget1<VTarget2となる。
【0107】
第1構成例と同様にして、目標値算出部331は、式(1)に従って基準抵抗値RRefを算出し、この値を式(3)および式(4)に当てはめることによって目標値VTarget1および目標値VTarget2を算出する。目標温度TTargetが複数ある場合に、複数の目標温度TTargetのそれぞれについて、目標値VTarget1および目標値VTarget2が算出される。
【0108】
第3構成例におけるヒータ127の温度のフィードバック制御について説明する。制御回路303は、このフィードバック制御を、ユーザによる吸引中(例えば、図4A及び図4BのステップS404~S409の間)に実行する。このフィードバック制御中に、MCU501は、図6のステップS601、S605およびS606と同様の処理を行って、目標値VTarget1および目標値VTarget2を切り替えてもよい。
【0109】
ヒータ127への電力供給を開始するために、DAC801は、メモリ511から目標値VTarget1を読み出し、アナログ形式に変換してスイッチSW3に供給し続ける。また、DAC802は、メモリ511から目標値VTarget2を読み出し、アナログ形式に変換してスイッチSW4に供給し続ける。この時点で、スイッチSW3がオンであり、スイッチSW4がオフであるとする。そのため、目標値VTargetとして目標値VTarget1がコンパレータCMP1およびCMP2に供給される。
【0110】
吸引直後はヒータ127の温度が低く、それゆえ電圧VHTRも低いため、コンパレータCMP1は比較結果としてハイレベルを出力し、コンパレータCMP2は比較結果としてローレベルを出力する。その結果、スイッチSW1の制御端子およびスイッチSW3の制御端子にハイレベルが供給され、スイッチSW1およびSW3がオンになる。また、スイッチSW2の制御端子およびスイッチSW4の制御端子にローレベルが供給され、スイッチSW2およびSW4がオフになる。これにより、第1構成例と同様にヒータ127に電流が流れ、ヒータ127の温度が上昇する。また、目標値VTargetとして目標値VTarget1がコンパレータCMP1およびCMP2に供給され続ける。
【0111】
ヒータ127の温度が上昇し、電圧VHTRが目標値VTargetを上回ると、コンパレータCMP1は、比較結果としてローレベルを出力し、コンパレータCMP2は、比較結果としてハイレベルを出力する。その結果、スイッチSW1の制御端子およびスイッチSW3の制御端子にローレベルが供給され、スイッチSW1およびSW3がオフになる。また、スイッチSW2の制御端子およびスイッチSW4の制御端子にハイレベルが供給され、スイッチSW2およびSW4がオンになる。これにより、第1構成例と同様にヒータ127に電流が流れ、ヒータ127の温度が下降する。また、目標値VTargetとして目標値VTarget2がコンパレータCMP1およびCMP2に供給されるようになる。その後、電圧VHTRが目標値VTargetを下回ると、ヒータ127の温度が上昇するようにヒータ127に電力が供給される。
【0112】
以上のように、制御回路303は、電圧VHTRが目標値VTargetに近づくようにヒータ127に供給する電力を制御する。第3構成例では、ヒータ127の温度が上昇中であるか下降中であるかに応じて目標値VTargetの値を切り替えるため、一層細やかなフィードバック制御が行える。
【0113】
続いて、図9を参照して、ヒータ127をフィードバック制御するための制御回路303の第4構成例について説明する。第4構成例は、第3構成例と比較して、遅延回路901および902をさらに有する。以下、第3構成例との相違点について主に説明する。
【0114】
遅延回路901は、コンパレータCMP1の出力端子とスイッチSW1の制御端子との間のノードに接続されている。遅延回路902は、コンパレータCMP2の出力端子とスイッチSW2の制御端子との間のノードに接続されている。遅延回路901および902によって、切り替えの速度を調整できる。これにより、ヒータ127の温度変化を滑らかにしたり、スイッチSW1とスイッチSW2の寿命を延長したりすることができる。
【0115】
続いて、図10を参照して、ヒータ127をフィードバック制御するための制御回路303の第5構成例について説明する。第5構成例は、第3構成例と比較して、コンデンサCP1およびCP2と、スイッチSW5およびSW6をさらに有する。以下、第3構成例との相違点について主に説明する。
【0116】
コンデンサCP1は、マイクロコントローラ501(具体的に、DAC801)とスイッチSW3との間のノードに接続されている。スイッチSW5は、コンデンサCP1に並列に接続されている。コンデンサCP1は、DAC801が出力したアナログ形式の目標値VTarget1を保持できる。そのため、MCU501は、DAC801が出力した目標値VTarget1をコンデンサCP1が保持した後、DAC801を停止できる。目標値VTarget1の値が更新された場合に、MCU501は、スイッチSW5をオンにすることによって、コンデンサCP1に保持された値をリセットし、その後、更新後の目標値VTarget1をコンデンサCP1に保持させる。
【0117】
コンデンサCP2は、マイクロコントローラ501(具体的に、DAC802)とスイッチSW4との間のノードに接続されている。スイッチSW6は、コンデンサCP2に並列に接続されている。コンデンサCP2は、DAC802が出力したアナログ形式の目標値VTarget2を保持できる。その他のコンデンサCP2の機能についてはコンデンサCP1の機能と同様である。第5構成例によれば、フィードバック制御におけるMCU501の関与を一層軽減でき、MCU501の負担が一層軽減する。
【0118】
続いて、図11を参照して、ヒータ127をフィードバック制御するための制御回路303の第6構成例について説明する。第6構成例は、第3構成例と比較して、コンパレータCMP3およびDAC1101をさらに有する。以下、第3構成例との相違点について主に説明する。
【0119】
コンパレータCMP3の反転入力端子は、ヒータ127のヒータ駆動電圧Voutの供給ライン側の端部(すなわち、第3電気接点113)に接続されている。したがって、コンパレータCMP3の反転入力端子には、ヒータ127に印加されている電圧VHTRが供給される。コンパレータCMP3の非反転入力端子には、アナログ形式の上限値VUpperが供給される。したがって、コンパレータCMP3は、電圧VHTRと上限値VUpperとの比較結果を出力する。コンパレータCMP3からの出力信号は、分圧回路を経由してスイッチSW2の制御端子に供給される。スイッチSW2の制御端子につながる分圧回路は、コンパレータCMP2の出力とコンパレータCMP3の出力との少なくとも一方がローレベルである場合にスイッチSW2の制御端子にローレベルが供給され、コンパレータCMP2の出力とコンパレータCMP3の出力との両方がハイレベルである場合にスイッチSW2の制御端子にハイレベルが供給されるように構成される。
【0120】
上限値VUpperは、ヒータ127の温度が230℃以上である場合の電圧VHTRと等しくなるように設定され、メモリ511に格納される。上限値VUpperは、上述のいずれの目標値VTargetよりも高い値となる。監視中の電圧VHTRが上限値VUpper未満である場合に、コンパレータCMP3の出力信号はハイレベルとなる。この場合に、第3構成例と同様にして、ヒータ127に電力が供給される。
【0121】
監視中の電圧VHTRが上限値VUpperに達すると、スイッチSW1の制御端子へローレベルが供給されるとともに、スイッチSW2の制御端子へもローレベルが供給される。そのため、電圧生成回路302からヒータ127への電力の供給が停止する。このように、第6構成例によれば、ヒータ127の過熱が抑制される。
【0122】
図2を用いて上述したように、吸引開始直後のヒータ127の温度上昇率と、吸引中の温度上昇率とは互いに異なっている。要求される温度プロファイルによっては、温度上昇率の場合だけでなく、温度降下率を異ならせる場合もある。そこで、ヒータ127の温度変化率を変更する方法を以下に説明する。
【0123】
図12のグラフ1200は、ヒータ127の温度変化の一例を示す。グラフ200の横軸は時間を示し、グラフ200の縦軸はヒータ127の温度を示す。時刻t0で目標温度がTGT1からTGT2に切り替わったとする。この場合に、ヒータ127の温度は、時刻t1に温度TGT2となる。一方、時刻t3から時刻t4にかけて、目標温度が5段階に漸増している。そのため、ヒータ127の温度がTGT1からTGT2まで切り替わる時間(t4-t3)は、目標温度を直接切り替えた場合の時間(t1-t0)よりも長くなる。そこで、制御回路303は、ヒータ127の温度上昇率を低減したい場合に、上述の目標値VTargetを漸増する(すなわち、複数段階に分けて増加する)。また、制御回路303は、ヒータ127の温度降下率を低減したい場合に、上述の目標値VTargetを漸減する(すなわち、複数段階に分けて減少する)。この方法は、上述の構成例に何れについても適用可能である。
【0124】
ヒータ127の温度変化率を変更する別の方法を以下に説明する。以下に説明する方法では、ヒータ127の温度の上昇させるためにヒータ127に供給する電力を切り替えることによって、ヒータ127の温度上昇率を変更する。
【0125】
図13を参照して、ヒータ127をフィードバック制御するための制御回路303の第7構成例について説明する。この構成例で、制御回路303は、ヒータ127の温度上昇率を変更可能である。第7構成例は、第3構成例と比較して、方形波発生回路1300をさらに含む。方形波発生回路1300は、入力された信号(例えば、電圧信号)を方形波にして出力する回路である。方形波発生回路1300は、コンパレータCMP1の非反転入力端子に接続されている。そのため、スイッチSW3から供給される目標値VTargetは、方形波発生回路1300を介してコンパレータCMP1の非反転入力端子に入力される。
【0126】
図14を参照して、方形波発生回路1300の具体的な回路構成を示す。方形波発生回路1300は、図14に示すような構成を有する。方形波発生回路1300に入力された目標値VTargetは、グラフ1400に示すような方形波として出力される。そのため、ヒータ電圧VHTRが目標値VTargetよりも低い場合であっても、スイッチSW1は、オンに維持されるわけではなく、オン・オフが周期的に切り替わる。これに応じて、ヒータ127に供給される電力量が低下するため、ヒータ127の温度上昇率が低減する。
【0127】
制御回路303は、方形波発生回路1300をバイパスする経路に切り替え可能なパイパス回路1401をさらに含んでもよい。パイパス回路1401は、例えばスイッチSW7で構成される。スイッチSW7がオンになると、コンパレータCMP1の非反転入力端子に目標値VTargetが供給され続ける。そのため、スイッチSW7がオフ(すなわち、方形波が供給される)場合と比較して、ヒータ127に供給される電力量が多くなり、ヒータ127の温度上昇率が増加する。このように、制御回路303は、スイッチSW7のオン・オフを切り替えることによって、ヒータ127の温度上昇率を変化させることが可能になる。
【0128】
方形波発生回路1300は、コンパレータCMP1の非反転入力端子に接続されるかわりに、コンパレータCMP1の出力端子(例えば、図13のノード1301の位置)に接続されてもよい。この場合であっても、図14で説明したのと同様にして、ヒータ127の温度上昇率を変化させることが可能になる。
【0129】
図15を参照して、ヒータ127をフィードバック制御するための制御回路303の第8構成例について説明する。この構成例で、制御回路303は、ヒータ127の温度上昇率を変更可能である。第8構成例は、第3構成例と比較して、スイッチSW8をさらに含む。また、電圧生成回路302は、Vout1およびVout2の2種類の定電圧を生成可能である。ここで、電圧Vout1が電圧Vout2よりも大きいとする。
【0130】
制御回路303は、ヒータ127の温度上昇率を高い方の値にしたい場合に、電圧Vout1からヒータ127に電力を供給する。制御回路303は、ヒータ127の温度上昇率を低い方の値にしたい場合に、電圧Vout2からヒータ127に電力を供給する。このようにして、制御回路303は、ヒータ127の温度上昇率を変化させることが可能になる。
【0131】
ヒータ127の温度変化率の変更はどのタイミングで行われてもよい。例えば、目標温度の変更と同時に行われてもよいし、目標温度に向かってヒータ127の温度が変化している途中に行われてもよい。
【0132】
本発明の第1構成例から第8構成例のいずれの制御回路においても、電圧生成回路302からのヒータ駆動電圧Voutの供給ラインとヒータ127との間に、スイッチSW1、スイッチSW2、シャント抵抗Rshunt1、シャント抵抗Rshunt2が設けられている。これに代えて、接地とヒータ127との間に、スイッチSW1、スイッチSW2、シャント抵抗Rshunt1、シャント抵抗Rshunt2を設けてもよい。
【0133】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【0134】
本願は、2020年3月12日提出の日本国特許出願特願2020-043279を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16