(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20230908BHJP
B61L 25/04 20060101ALI20230908BHJP
G01M 17/08 20060101ALI20230908BHJP
B60T 17/22 20060101ALI20230908BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20230908BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20230908BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230908BHJP
【FI】
B60L3/00 N
B61L25/04
G01M17/08
B60T17/22
G16Y40/20
G16Y20/20
G16Y10/40
(21)【出願番号】P 2022512913
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2020014603
(87)【国際公開番号】W WO2021199173
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504158881
【氏名又は名称】東京地下鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】西岡 勲
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 賢司
(72)【発明者】
【氏名】後藤 亮介
(72)【発明者】
【氏名】新井 修
(72)【発明者】
【氏名】白石 達也
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-22306(JP,A)
【文献】特開2003-118577(JP,A)
【文献】特開2017-118617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
B61L 25/04
G01M 17/08
B60T 17/22
G16Y 40/20
G16Y 20/20
G16Y 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられている空気ばねの圧力を示す空気ばね圧を検出する空気ばね圧検出部と、
前記車両の回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、
ブレーキ指令が入力されている状態における前記車両の停車時において、前記車両の乗客の乗降が完了し、前記車両の乗客乗降用のドアが閉まったことを示すドア閉情報を受信したか否かを判断する判断部と、
前記判断部によって前記ドア閉情報を受信したと判断された場合に、異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、前記ブレーキシリンダ圧検出部によって検出される前記ブレーキシリンダ圧の値を示すブレーキシリンダ圧測定値を取得する診断部と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記判断部は、前記ドア閉情報を受信したと判断した場合に、前記ドア閉情報を受信してから予め定められた第1時間を経過したか否かを判断し、
前記診断部は、前記判断部によって前記第1時間を経過したと判断された場合に、前記ブレーキシリンダ圧測定値を取得することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
車両に設けられている空気ばねの圧力を示す空気ばね圧を検出する空気ばね圧検出部と、
前記車両の回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、
ブレーキ指令が入力されている状態における前記車両の停車時において、前記空気ばね圧検出部によって検出される前記空気ばね圧が一定時間、継続して予め定められた変動幅の範囲内にあるか否かを判断する判断部と、
前記判断部によって前記空気ばね圧が前記一定時間、継続して前記変動幅の範囲内にあると判断された場合に、異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、前記ブレーキシリンダ圧検出部によって検出される前記ブレーキシリンダ圧の値を示すブレーキシリンダ圧測定値を取得する診断部と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項4】
車両に設けられている空気ばねの圧力を示す空気ばね圧を検出する空気ばね圧検出部と、
前記車両の回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、
前記車両が停車している状態の出庫点検時において、ブレーキユルメの状態からブレーキ指令が入力され、予め定められた第2時間を経過したか否かを判断する判断部と、
前記判断部によって前記第2時間を経過したと判断された場合に、異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、前記ブレーキシリンダ圧検出部によって検出される前記ブレーキシリンダ圧の値を示すブレーキシリンダ圧測定値を取得する診断部と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項5】
前記診断部は、前記判断部によって前記ドア閉情報を受信したと判断、前記ドア閉情報を受信してから予め定められた第1時間を経過したと判断、前記空気ばね圧が前記一定時間、継続して前記変動幅の範囲内にあると判断、又は、前記出庫点検時において、前記ブレーキユルメの状態から前記ブレーキ指令が入力され、前記第2時間を経過したと判断のうちのいずれかの判断をされてから前記ブレーキ指令が解除されるまでの間、又は、前記ブレーキ指令が解除され、前記車両の速度が予め定められた速度以上になるまでの間、前記ブレーキシリンダ圧測定値を取得することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記診断部は、前記判断部によって前記ドア閉情報を受信したと判断、前記ドア閉情報を受信してから予め定められた第1時間を経過したと判断、前記空気ばね圧が前記一定時間、継続して前記変動幅の範囲内にあると判断、又は、前記出庫点検時において、前記ブレーキユルメの状態から前記ブレーキ指令が入力され、前記第2時間を経過したと判断のうちのいずれかの判断をされてから予め定められたブレーキシリンダ圧取得許可時間を経過するまでの間、前記ブレーキシリンダ圧測定値を取得することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記判断部によって前記ドア閉情報を受信したと判断、前記ドア閉情報を受信してから予め定められた第1時間を経過したと判断、前記空気ばね圧が前記一定時間、継続して前記変動幅の範囲内にあると判断、又は、前記出庫点検時において、前記ブレーキユルメの状態から前記ブレーキ指令が入力され、前記第2時間を経過したと判断のうちのいずれかの判断をされた際の前記空気ばね圧検出部によって検出される前記空気ばね圧を空気ばね圧基準値として設定し、前記空気ばね圧基準値を用いて、前記ブレーキシリンダの圧力の演算値を示すブレーキシリンダ圧演算値を算出するブレーキシリンダ圧演算部を備え、
前記診断部は、前記ブレーキシリンダ圧演算部によって算出された前記ブレーキシリンダ圧演算値をブレーキシリンダ圧基準値として設定し、前記ブレーキシリンダ圧測定値が前記ブレーキシリンダ圧基準値より高く設定される第1上限値以上である第1上限側異常予兆領域、又は、前記ブレーキシリンダ圧基準値より低く設定される第1下限値以下である第1下限側異常予兆領域内にある場合は、異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項8】
前記診断部は、前記判断部によって前記ドア閉情報を受信したと判断、前記ドア閉情報を受信してから予め定められた第1時間を経過したと判断、前記空気ばね圧が前記一定時間、継続して前記変動幅の範囲内にあると判断、又は、前記出庫点検時において、前記ブレーキユルメの状態から前記ブレーキ指令が入力され、前記第2時間を経過したと判断のうちのいずれかの判断をされた場合に、前記ブレーキシリンダ圧測定値の統計値を示すブレーキシリンダ圧測定統計値を算出し、前記ブレーキシリンダ圧測定統計値が前記第1上限側異常予兆領域又は前記第1下限側異常予兆領域内にある場合は、前記異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項7に記載の監視システム。
【請求項9】
前記診断部は、前記ブレーキシリンダ圧測定値又は前記ブレーキシリンダ圧測定統計値が前記第1上限値より高く設定される第2上限値以上である第1上限側異常領域、又は、前記第1下限値より低く設定される第2下限値以下である第1下限側異常領域内にある場合は、異常があると判定することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の監視システム。
【請求項10】
前記診断部は、予め定められた第1の期間内において、前記判断部によって前記ドア閉情報を受信したと判断、前記ドア閉情報を受信してから予め定められた第1時間を経過したと判断、前記空気ばね圧が前記一定時間、継続して前記変動幅の範囲内にあると判断、又は、前記出庫点検時において、前記ブレーキユルメの状態から前記ブレーキ指令が入力され、前記第2時間を経過したと判断のうちのいずれかの判断をされる毎に、前記空気ばね圧基準値、前記ブレーキシリンダ圧基準値、及び、前記ブレーキシリンダ圧測定値を取得し、前記空気ばね圧基準値、前記ブレーキシリンダ圧基準値、及び、前記ブレーキシリンダ圧測定値又は前記ブレーキシリンダ圧測定統計値を用いて、前記第1の期間内における前記ブレーキシリンダ圧測定値又は前記ブレーキシリンダ圧測定統計値の傾向を求めることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項11】
前記診断部は、前記第1の期間内における前記ブレーキシリンダ圧測定値又は前記ブレーキシリンダ圧測定統計値が前記第1上限側異常予兆領域又は前記第1下限側異常予兆領域内に予め定められた回数以上、又は、予め定められた割合以上含まれている場合は、前記異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項10に記載の監視システム。
【請求項12】
前記診断部は、前記判断部によって前記ドア閉情報を受信したと判断、前記ドア閉情報を受信してから予め定められた第1時間を経過したと判断、前記空気ばね圧が前記一定時間、継続して前記変動幅の範囲内にあると判断、又は、前記出庫点検時において、前記ブレーキユルメの状態から前記ブレーキ指令が入力され、前記第2時間を経過したと判断のうちのいずれかの判断をされる毎に、前記ブレーキシリンダ圧測定値又は前記ブレーキシリンダ圧測定統計値と、前記ブレーキシリンダ圧基準値との差分を示すブレーキシリンダ圧差を算出し、前記ブレーキシリンダ圧差の経時的な傾向を求めることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項13】
前記診断部は、予め定められた第2の期間毎の前記ブレーキシリンダ圧差の統計値を示すブレーキシリンダ圧差統計値を算出し、
前記ブレーキシリンダ圧差統計値が前記ブレーキシリンダ圧測定値又は前記ブレーキシリンダ圧測定統計値と、前記ブレーキシリンダ圧基準値との差分が零である状態を示すブレーキシリンダ圧差基準値より高く設定される第3上限値以上である第2上限側異常予兆領域、又は、前記ブレーキシリンダ圧差基準値より低く設定される第3下限値以下である第2下限側異常予兆領域内にある場合は、異常の予兆があると判定することを特徴とする請求項12に記載の監視システム。
【請求項14】
前記診断部は、前記ブレーキシリンダ圧差統計値が前記第3上限値より高く設定される第4上限値以上である第2上限側異常領域、又は、前記第3下限値より低く設定される第4下限値以下である第2下限側異常領域内にある場合は、異常があると判定することを特徴とする請求項13に記載の監視システム。
【請求項15】
前記判断部によって前記ドア閉情報を受信したと判断、前記ドア閉情報を受信してから予め定められた第1時間を経過したと判断、前記空気ばね圧が前記一定時間、継続して前記変動幅の範囲内にあると判断、又は、前記出庫点検時において、前記ブレーキユルメの状態から前記ブレーキ指令が入力され、前記第2時間を経過したと判断のうちのいずれかの判断をされた際の前記空気ばね圧基準値、前記ブレーキシリンダ圧演算値、及び、前記ブレーキシリンダ圧測定値を蓄積するデータ蓄積部を備えることを特徴とする請求項7から請求項14のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項16】
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記データ蓄積部は、前記空気ばね圧基準値、前記ブレーキシリンダ圧演算値、及び、前記ブレーキシリンダ圧測定値に、前記判断部によって前記ドア閉情報を受信したと判断、前記ドア閉情報を受信してから予め定められた第1時間を経過したと判断、前記空気ばね圧が前記一定時間、継続して前記変動幅の範囲内にあると判断、又は、前記出庫点検時において、前記ブレーキユルメの状態から前記ブレーキ指令が入力され、前記第2時間を経過したと判断のうちのいずれかの判断をされた際に前記位置情報取得部によって取得された前記車両の位置情報を紐付けて蓄積することを特徴とする請求項15に記載の監視システム。
【請求項17】
前記ブレーキ機器の周辺の温度情報を検出する温度検出部を備え、
前記データ蓄積部は、前記空気ばね圧基準値、前記ブレーキシリンダ圧演算値、及び、前記ブレーキシリンダ圧測定値に、前記判断部によって前記ドア閉情報を受信したと判断、前記ドア閉情報を受信してから予め定められた第1時間を経過したと判断、前記空気ばね圧が前記一定時間、継続して前記変動幅の範囲内にあると判断、又は、前記出庫点検時において、前記ブレーキユルメの状態から前記ブレーキ指令が入力され、前記第2時間を経過したと判断のうちのいずれかの判断をされた際に前記温度検出部によって検出された前記温度情報を紐付けて蓄積することを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の監視システム。
【請求項18】
前記診断部は、前記第2の期間内における予め定められた条件に一致する場合の前記空気ばね圧基準値、前記ブレーキシリンダ圧基準値、及び、前記ブレーキシリンダ圧測定値を取得する請求項13又は請求項14に記載の監視システム。
【請求項19】
前記ブレーキシリンダ圧検出部は、前記ブレーキシリンダ圧として、常用ブレーキ指令に基づいて前記ブレーキシリンダに作用する圧力である常用ブレーキシリンダ圧、又は、非常ブレーキ指令に基づいて前記ブレーキシリンダに作用する圧力である非常用ブレーキシリンダ圧を検出することを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項20】
ブレーキ指令圧として中継弁へ供給される圧縮空気の圧力を示すAC圧を検出するAC圧検出部を備え、
前記診断部は、前記判断部によって前記ドア閉情報を受信したと判断、前記ドア閉情報を受信してから予め定められた第1時間を経過したと判断、又は、前記空気ばね圧が前記一定時間、継続して前記変動幅の範囲内にあると判断のうちのいずれかの判断をされた場合に、前記AC圧検出部によって検出された前記AC圧の値を示すAC圧測定値を取得し、
前記ブレーキシリンダ圧測定値、前記AC圧測定値、及び、前記ブレーキシリンダ圧と前記AC圧の相関関係を示す関係式を用いて、異常又は異常の予兆の診断を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鉄道車両用ブレーキ装置の状態を監視する監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄道車両の運行にあたり、鉄道車両に搭載される機器の動作状態等を監視して、各機器に故障や異常が発生した場合に、運転士や地上側に故障や異常が発生したことを示す情報を提供する鉄道車両情報の管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の鉄道車両情報の管理システムには、例えば、車両に搭載されるモニタ装置がブレーキのBC圧(ブレーキシリンダ圧)等の空気圧に関する情報を収集し、記録することが開示されている。また、近年は、鉄道車両に搭載される機器の情報をセンサから取得して、取得した情報を活用して、機器の状態監視や異常の診断等を行うことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の鉄道車両情報の管理システムでは、ブレーキのBC圧を収集しているが、BC圧の値は様々な運転条件によって変動するため、安定していない。そのため、例えば、特許文献1の鉄道車両情報の管理システムによって収集したBC圧を用いて、異常又は異常の予兆の診断等を行うことは困難である。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、異常又は異常の予兆の診断を行うために用いることができる安定したブレーキシリンダ圧測定値を取得することができる監視システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る監視システムは、車両に設けられている空気ばねの圧力を示す空気ばね圧を検出する空気ばね圧検出部と、車両の回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、ブレーキ指令が入力されている状態における車両の停車時において、車両の乗客の乗降が完了し、車両の乗客乗降用のドアが閉まったことを示すドア閉情報を受信したか否かを判断する判断部と、判断部によってドア閉情報を受信したと判断された場合に、異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、ブレーキシリンダ圧検出部によって検出されるブレーキシリンダ圧の値を示すブレーキシリンダ圧測定値を取得する診断部と、を備えている。
【0007】
また、本開示に係る監視システムは、車両に設けられている空気ばねの圧力を示す空気ばね圧を検出する空気ばね圧検出部と、車両の回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、ブレーキ指令が入力されている状態における車両の停車時において、空気ばね圧検出部によって検出される空気ばね圧が一定時間、継続して予め定められた変動幅の範囲内にあるか否かを判断する判断部と、判断部によって空気ばね圧が一定時間、継続して変動幅の範囲内にあると判断された場合に、異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、ブレーキシリンダ圧検出部によって検出されるブレーキシリンダ圧の値を示すブレーキシリンダ圧測定値を取得する診断部と、を備えている。
【0008】
また、本開示に係る監視システムは、車両に設けられている空気ばねの圧力を示す空気ばね圧を検出する空気ばね圧検出部と、車両の回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、車両が停車している状態の出庫点検時において、ブレーキユルメの状態からブレーキ指令が入力され、予め定められた第2時間を経過したか否かを判断する判断部と、判断部によって第2時間を経過したと判断された場合に、異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、ブレーキシリンダ圧検出部によって検出されるブレーキシリンダ圧の値を示すブレーキシリンダ圧測定値を取得する診断部と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る監視システムによれば、車両に設けられている空気ばねの圧力を示す空気ばね圧を検出する空気ばね圧検出部と、車両の回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、ブレーキ指令が入力されている状態における車両の停車時において、車両の乗客の乗降が完了し、車両の乗客乗降用のドアが閉まったことを示すドア閉情報を受信したか否かを判断する判断部と、判断部によってドア閉情報を受信したと判断された場合に、異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、ブレーキシリンダ圧検出部によって検出されるブレーキシリンダ圧の値を示すブレーキシリンダ圧測定値を取得する診断部と、を備えているので、異常又は異常の予兆の診断に用いるための安定したブレーキシリンダ圧測定値を取得することができる。
【0010】
また、本開示に係る監視システムは、車両に設けられている空気ばねの圧力を示す空気ばね圧を検出する空気ばね圧検出部と、車両の回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、ブレーキ指令が入力されている状態における車両の停車時において、空気ばね圧検出部によって検出される空気ばね圧が一定時間、継続して予め定められた変動幅の範囲内にあるか否かを判断する判断部と、判断部によって空気ばね圧が一定時間、継続して変動幅の範囲内にあると判断された場合に、異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、ブレーキシリンダ圧検出部によって検出されるブレーキシリンダ圧の値を示すブレーキシリンダ圧測定値を取得する診断部と、を備えているので、異常又は異常の予兆の診断に用いるための安定したブレーキシリンダ圧測定値を取得することができる。
【0011】
また、本開示に係る監視システムは、車両に設けられている空気ばねの圧力を示す空気ばね圧を検出する空気ばね圧検出部と、車両の回転体に摩擦材を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器が有するブレーキシリンダの圧力を示すブレーキシリンダ圧を検出するブレーキシリンダ圧検出部と、車両が停車している状態の出庫点検時において、ブレーキユルメの状態からブレーキ指令が入力され、予め定められた第2時間を経過したか否かを判断する判断部と、判断部によって第2時間を経過したと判断された場合に、異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、ブレーキシリンダ圧検出部によって検出されるブレーキシリンダ圧の値を示すブレーキシリンダ圧測定値を取得する診断部と、を備えているので、異常又は異常の予兆の診断に用いるための安定したブレーキシリンダ圧測定値を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る監視システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本開示の実施の形態1に係るブレーキ制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る監視システムにおいて、ブレーキシリンダ圧測定値を取得するタイミングの一例を示す図である。
【
図4】本開示の実施の形態1に係る監視システムによるブレーキシリンダ圧測定値を取得する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の実施の形態1に係る監視システムによる異常の予兆及び異常の診断の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】第1の期間内におけるブレーキシリンダ圧統計値の一例を示す図である。
【
図7】本開示の実施の形態2に係る監視システムによる異常の予兆及び異常の診断の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】経時的に表わされたブレーキシリンダ圧差統計値の一例を示す図である。
【
図9】本開示の実施の形態3に係る監視システムによる異常の予兆及び異常の診断の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】本開示の実施の形態1に係る監視システムにおいて、ブレーキシリンダ圧測定値を取得するタイミングの他の一例を示す図である。
【
図11】第1の期間内におけるブレーキシリンダ圧測定値とAC圧測定値の傾向の一例を示す図である。
【
図12】第1の期間内におけるブレーキシリンダ圧測定値とAC圧測定値の傾向の他の一例を示す図である。
【
図13】異常及び異常の予兆の診断に用いるブレーキシリンダ圧測定値に基づくAC圧の上限値及び下限値の一例を示す図である。
【
図14】異常及び異常の予兆の診断に用いるAC圧測定値に基づくブレーキシリンダ圧の上限値及び下限値の一例を示す図である。
【
図15】本開示の実施の形態4に係る監視システムによる異常の予兆及び異常の診断の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図16】本開示の実施の形態1~4に係る監視システムが備える各装置を実現するハードウエア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に係る監視システムの実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係る監視システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態1に係る監視システム1は、例えば、列車を構成する車両2に搭載されるブレーキ機器を制御するブレーキ制御装置3、ブレーキ制御装置3等の車両2に搭載される複数の機器の状態を示す状態情報を収集する端末装置4、端末装置4から出力される複数の機器の状態情報を取得する中央装置5、中央装置5から出力される状態情報等をネットワーク6を介して無線通信により地上側へ送信する車上無線装置7、及び、車上無線装置7を介して車両2から状態情報等を取得する地上装置8等を備えている。また、先頭の車両2aには、運転員が行うブレーキ操作に応じたブレーキ指令を生成する主幹制御器(マスターコントローラ)等の制御操作装置(不図示)、及び、モニタ表示器(不図示)等を備える運転台9が搭載されている。尚、
図1では、先頭の車両2aと車両に隣接する後続の車両2bの2台の車両2のみを図示しているが、列車を構成する車両2の数は特に限定されるものではない。
【0015】
中央装置5は、各車両2に搭載される複数の機器の状態を示す状態情報を収集する端末装置4から出力される複数の機器の状態情報を取得する。車両2に搭載される機器としては、詳しくは図示しないが、例えば、ブレーキ制御装置3の他、推進制御装置、補助電源装置、空調装置、照明装置、ドア、車輪、及び、モータ等がある。尚、車両2に応じて搭載される機器の種類は異なることもある。複数の機器は、それぞれが搭載されている車両2に設けられている端末装置4に車両内伝送路(支線伝送路)10を介して接続されている。複数の機器のそれぞれの状態情報は、それぞれの機器に設けられたそれぞれの状態情報を検出する各種センサ等を介して端末装置4によって収集される。車両内伝送路10は、車両2内に配設される伝送路であり、例えば、LAN回線等を用いて構成される。また、複数の機器には、それぞれ自装置を一意に識別するための機器識別情報が付与されている。また、複数の機器が搭載される各車両2にも、それぞれ自車両を一意に識別するための車両識別情報が付与されている。また、車両識別情報に車両2の号車番号を示す号車番号情報又は車両2が先頭車両、中間車両、後尾車両のいずれであるかを示す車両種別情報が付加されていても良い。
【0016】
端末装置4は、各車両2に設置されており、互いに車両間伝送路(基幹伝送路)11を介して接続されている。車両間伝送路11は、車両2間にわたって配設される伝送路であり、例えば、LAN回線等を用いて構成される。端末装置4は、中央装置5から出力される制御指令等を含む制御情報を車両2内のそれぞれの機器に対して送信する。また、端末装置4は、中央装置5からの指令により、収集したそれぞれの機器の状態情報を中央装置5に送信する。
【0017】
中央装置5は、例えば、先頭の車両2a及び最後尾の車両2(不図示)に搭載されている。中央装置5は、端末装置4と接続されており、端末装置4から出力されるそれぞれの機器の状態情報を取得して管理する。そして、中央装置5は、自身が管理するそれぞれの機器の状態情報を車上無線装置7を介して地上装置8へ送信する。
【0018】
中央装置5では、複数の機器の状態情報の管理の他に、例えば、停車駅情報及び発着駅時刻等を示す列車運行情報、列車を識別する列車識別情報、列車の位置を示す列車位置情報、列車の速度を示す列車速度情報、列車の連結車両台数を示す車両台数情報、列車の進行方向を示す進行方向情報、列車を構成する各車両2の車両長を示す車両長情報、及び、主幹制御器の段数を示すノッチ情報等の列車内にて送受される列車情報を管理している。また、中央装置5は、状態情報として、各車両2に設けられる乗客乗降用のドアの開閉情報を示すドア開閉情報を管理している。また、中央装置5は、列車が位置している周辺の気温、湿度、降水量、及び、風速等を示す環境情報も合わせて管理するようにしても良い。また、中央装置5は、運転台9と接続されており、運転台9が備える制御操作装置等から入力された制御情報を各車両2に設置されている端末装置4を介してそれぞれの機器へ送信し、制御を行う。また、運転台9が備えるモニタ表示器は、例えば、列車の速度、ドアの開閉状態、及び、ブレーキシリンダ圧等の情報を表示する。
【0019】
図2は、本開示の実施の形態1に係るブレーキ制御装置の構成の一例を示すブロック図である。ブレーキ制御装置3は、
図2に示すように、制御部12、ブレーキ制御弁13、中継弁14、空気ばね圧検出部(以下、「AS圧センサ」という)15、AC圧検出部(以下、「AC圧センサ」という)16、及び、ブレーキシリンダ圧検出部(以下、「BC圧センサ」)17等を備えている。また、
図2に示すように、車両2には、ブレーキ制御装置3の他に、ブレーキ機器18、車輪19、空気ばね20、圧縮空気タンク21、速度センサ22、及び、温度検出部(温度センサ)23等が設けられている。ブレーキ制御装置3は、例えば、運転台9の主幹制御器から出力されるブレーキ指令が入力され、ブレーキ指令に基づいて、ブレーキ機器18の動作を制御する。ブレーキ指令は、運転員等によって操作される主幹制御器からブレーキ制御装置3に入力されるものであり、例えば、7段階に設定された常用ブレーキ指令(ブレーキノッチ信号)、及び、緊急停止等に用いられる非常ブレーキ指令を含むものである。
【0020】
ブレーキ機器18は、各車輪19にそれぞれ作用する機械ブレーキであり、各車輪19の車軸にそれぞれ設けられる。ブレーキ機器18は、ブレーキシリンダ24と、ブレーキシリンダ24の内部の空気の圧力に応じて作動する摩擦材である制輪子25とを有する。ブレーキ機器18では、圧縮空気タンク21から圧縮された空気がブレーキ制御装置3を介してブレーキシリンダ24に供給されることにより、ブレーキシリンダ24内の圧力が上昇すると、制輪子25が、車両2の走行時に回転する回転体である車輪19に押し付けられることにより、機械ブレーキ力が発生する。機械ブレーキ力は、制輪子25を車輪19に押しつける力である押付力と、制輪子25と車輪19との接触面の摩擦係数の積で表される。尚、ブレーキ機器18は、ディスクブレーキであっても良い。ブレーキ機器18がディスクブレーキの場合には、回転体であるブレーキディスクが車軸等に固定されており、BC圧に応じて、摩擦材であるブレーキパッドでブレーキディスクを挟み込むことにより、機械ブレーキ力が発生する。
【0021】
ブレーキ制御弁13は、詳しくは図示しないが、例えば、圧縮空気を中継弁14に供給する電磁弁である供給弁(AMV:Apply Magnet Valve)と、中継弁14からの圧縮空気を排出する電磁弁である排気弁(RMV:Release Magnet Valve)とから構成される。また、ブレーキ制御弁13は、圧縮空気タンク21からの圧縮空気と制御部12からの電磁弁開閉信号とに基づき、供給弁と排気弁を開閉することで、中継弁14に供給する圧縮空気の流量を制御する。
【0022】
中継弁14は、圧縮空気タンク21の圧縮空気を利用して、ブレーキ制御弁13からの圧縮空気の圧力に比例し、且つ、流量を増幅した圧縮空気をブレーキシリンダ24に供給する。
【0023】
AS圧センサ15は、車両2に設けられている空気ばね20の圧力を示すAS圧を検出するセンサである。AS圧センサ15には、車両2の重量を表す信号である空気ばね20の圧力であるAS圧が入力される。AS圧力センサは、このAS圧を検出して、その測定値を制御部12へ出力する。空気ばね20では、車両2にかかる荷重に応じて、AS圧センサ15へ出力されるAS圧が変更される。そのため、制御部12では、AS圧に基づいて車両2にかかる荷重を計測することができる。
【0024】
AC圧センサ16は、ブレーキ指令圧としてブレーキ制御弁13から中継弁14へ供給される圧縮空気の圧力であるAC圧を検出し、その測定値を制御部12へ出力する。
【0025】
BC圧センサ17は、中継弁14からブレーキシリンダ24へ供給される圧縮空気の圧力であるBC圧を検出し、その測定値をブレーキシリンダ圧測定値(以下、「BC圧測定値」という)として制御部12へ出力する。
【0026】
速度センサ22は、車輪19の回転速度に基づいて、車両2の速度を示す速度信号を生成して、制御部12へ出力するセンサである。なお、
図2では省略しているが、速度センサ22は車両2の前後の台車に設置されており、車両2では、各車輪19から速度を検出することが可能である。
【0027】
温度センサ23は、ブレーキ機器18の周辺に設けられており、ブレーキ機器18の周辺の温度情報を検出するセンサである。温度センサ23は、ブレーキ機器18の周辺の温度情報を検出して、制御部12へ出力する。
【0028】
制御部12は、車両2において、車輪19に制輪子25を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるようにブレーキ機器18を制御する。制御部12では、ブレーキ指令とAS圧とに基づいて、車両2に必要なブレーキ力を算出する。必要なブレーキ力は、車両2の荷重とブレーキ指令に含まれる減速度との積で求まる。そして、制御部12は、計算されたブレーキ力に基づいてブレーキシリンダ24内の目標圧力値を計算する。制御部12は、例えば、判断部26と、ブレーキシリンダ圧演算部(以下、「BC圧演算部」という)27と、位置情報取得部28と、環境情報取得部29とを備えている。
【0029】
図3は、本開示の実施の形態1に係る監視システムにおいて、ブレーキシリンダ圧測定値を取得するタイミングの一例を示す図である。判断部26は、
図3に示すように、ブレーキ指令が入力されている状態における車両2(列車100)の停車時において、AS圧センサ15によって検出されるAS圧が安定している状態か否かを判断する。具体的には、例えば、判断部26は、速度センサ22から速度信号を取得することにより、車両2が停車している状態であるか否かを判断することができる。尚、判断部26は、中央装置5から列車速度情報を取得して、車両2が停車している状態であるか否かを判断するようにしても良い。また、判断部26は、中央装置5からドア開閉情報を取得する。判断部26は、車両2が停車している状態において、ドアが開いている状態を示すドア開情報から車両2に設けられる全てのドアが閉まったことを示すドア閉情報を取得した場合に、車両2が停車して乗客の乗降が完了し、車両2の乗客乗降用のドアが全て閉まった状態であると判断する。そして、判断部26は、車両2の乗客乗降用のドアが全て閉まった状態であると判断してから、予め定められている第1時間t1-1を経過した後にAS圧が安定している状態であると判断する。尚、判断部26は、車両2が停車して乗客の乗降が完了し、車両2の乗客乗降用のドアが全て閉まった状態であると判断した際にAS圧が安定している状態であると判断しても良い。AS圧が安定している状態とは、AS圧の変動がない、又は、AS圧の変動が予め定められた変動幅の範囲内に収まっている状態である。つまり、判断部26では、車両2が停車して乗客の乗降が完了し、車両2の乗客乗降用のドアが全て閉まった後は、乗客の乗降に伴うAS圧の変動が収まるため、AS圧が安定している状態になると判断する。また、判断部26は、車両2が停車している状態において、AS圧センサ15から入力されるAS圧が一定時間、継続して予め定められている変動幅の範囲内にある場合は、AS圧が安定している状態であると判断しても良い。この場合、判断部26は、ドア開閉情報を取得しなくてもAS圧が安定している状態であるか否かを判断することができる。
【0030】
BC圧演算部27は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された際のAS圧センサ15によって検出されるAS圧を空気ばね圧基準値(以下、「AS圧基準値」という)として設定する。そして、BC圧演算部27は、AS圧基準値を用いて、ブレーキシリンダ24の目標圧力を示すブレーキシリンダ圧演算値(以下、「BC圧演算値」)を算出する。
【0031】
位置情報取得部28は、例えば、中央装置5から列車の位置を示す列車位置情報を取得する。また、環境情報取得部29は、例えば、中央装置5から列車が位置している周辺の気温、湿度、降水量、及び、風速等を示す環境情報を取得する。
【0032】
また、制御部12では、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された場合は、BC圧に関連する異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、BC圧センサ17によって検出されるBC圧の測定値を示すブレーキシリンダ圧測定値(以下、「BC圧測定値」という)を取得する。制御部12は、例えば、
図3に示すように、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された第1時間t1-1からブレーキ指令が解除される時間t1-2までの間(BC圧測定値取得期間)のBC圧測定値を取得する。尚、制御部12がBC圧に関連する異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報であるBC圧測定値を取得している間、ブレーキ指令(ブレーキノッチ信号)は、変更されないものとする。また、制御部12は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断されてからブレーキ指令が解除され、車両2の速度が予め定められた速度(例えば、5km/h)以上になるまでの間のBC圧測定値を取得するようにしても良い。また、制御部12は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断されてから予め定められたブレーキシリンダ圧取得許可時間を経過するまでの間のBC圧測定値を取得するようにしても良い。そして、制御部12では、例えば、AS圧基準値、BC圧演算値、及び、BC圧測定値に、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された際の列車位置情報、環境情報、温度情報、日時情報、列車速度情報、ブレーキ指令情報、及び、ドア開閉情報等の情報を紐付けする。また、制御部12は、更にブレーキ機器18が搭載されている車両2の車両識別情報、ブレーキ機器18の機器識別情報、及び、ブレーキ制御装置3の機器識別情報も合わせて紐付けして、車上無線装置7を介して地上装置8へ送信する。
【0033】
地上装置8は、
図1に示すように、データ蓄積部30と、診断部31とを備えている。データ蓄積部30は、車両2から送信されてきたAS圧基準値、BC圧演算値、及び、BC圧測定値等を蓄積する。尚、データ蓄積部30は、列車を構成する車両2以外の他の列車を構成する車両2に搭載されるブレーキ制御装置3によって取得した情報も区別可能な状態で同様に蓄積する。診断部31は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された場合に、BC圧センサ17によって検出されるBC圧測定値を用いて、BC圧に関連する異常又は異常の予兆の診断を行うものである。診断部31は、例えば、データ蓄積部30からAS圧基準値、BC圧演算値、及び、BC圧測定値を取得する。診断部31は、取得したBC圧測定値の統計値を示すブレーキシリンダ圧測定統計値(以下、「BC圧測定統計値」という)を算出する。診断部31は、BC圧測定統計値として、例えば、BC圧測定値の平均値又は中央値を算出する。以下では、診断部31がBC圧測定統計値として、BC圧測定値の平均値を用いた場合を例に説明する。
【0034】
また、診断部31は、
図3に示すように、取得したBC圧演算値をブレーキシリンダ圧基準値(以下、「BC圧基準値」という)として設定する。尚、BC圧基準値は、診断部31がBC圧に関連する異常又は異常の予兆の診断する際の基準値となるものである。診断部31は、BC圧測定統計値がBC圧基準値より高く設定される第1上限値以上である第1上限側異常予兆領域、又は、BC圧基準値より低く設定される第1下限値以下である第1下限側異常予兆領域内にある場合は、異常の予兆があると判定する。そして、診断部31は、例えば、異常の予兆があると判定した場合は、注意を促すための注意信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された注意信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器に注意を促す情報を表示する。
【0035】
また、診断部31は、BC圧測定統計値が第1上限値より高く設定される第2上限値以上である第1上限側異常領域、又は、第1下限値より低く設定される第2下限値以下である第1下限側異常領域内にある場合は、BC圧に関連する異常があると判定する。そして、診断部31は、例えば、異常があると判定した場合は、異常を通知するための異常信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された異常信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器に異常を通知する情報を表示する。
【0036】
図4は、本開示の実施の形態1に係る監視システムによるBC圧測定値を取得する処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下、本開示の実施の形態1に係る監視システム1によるBC圧測定値を取得する処理の流れの一例について、
図4のフローチャートを用いながら説明する。
図4に示すように、ステップS101において、監視システム1の判断部26は、ブレーキ指令が入力されているか否かを判断する。
【0037】
ステップS101において、判断部26は、ブレーキ指令が入力されていると判断した場合(Yes)には、ステップS102において、車両2が停車しているか否かを判断する。ステップS101において、判断部26は、ブレーキ指令が入力されていないと判断した場合(Nо)には、再度、ブレーキ指令が入力されているか否かを判断する。すなわち、判断部26は、ブレーキ指令が入力されるまでS101の判断を繰り返す。
【0038】
ステップS102において、判断部26は、車両2が停車していると判断した場合(Yes)には、ステップS103において、車両2が停車して乗客の乗降が完了し、車両2の乗客乗降用のドアが閉まったことを示すドア閉情報を受信したか否かを判断する。ステップS102において、判断部26は、車両2が停車していないと判断した場合(Nо)には、再度、ステップS101に戻って、ブレーキ指令が入力されているか否かを判断する。
【0039】
ステップS103において、判断部26は、ドア閉情報を受信したと判断した場合(Yes)には、ステップS104において、ドア閉情報を受信した時点から予め定められた第1時間t1-1を経過したか否かを判断する。ステップS103において、判断部26は、ドア閉情報を受信していないと判断した場合(Nо)には、再度、ドア閉情報を受信したか否かを判断する。すなわち、判断部26は、ドア閉情報を受信するまでS103の判断を繰り返す。
【0040】
ステップS104において、判断部26は、第1時間t1-1を経過したと判断した場合(Yes)には、S105において、監視システム1のBC圧演算部27は、AS圧をAS圧基準値として設定する。つまり、BC圧演算部27は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された際のAS圧センサ15によって検出されるAS圧をAS圧基準値として設定する。また、ステップS104において、判断部26は、第1時間t1-1を経過していないと判断した場合(Nо)には、再度、第1時間t1-1を経過したか否かを判断する。すなわち、判断部26は、第1時間t1-1を経過するまでS104の判断を繰り返す。
【0041】
そして、ステップS106において、BC圧演算部27は、ステップS105で設定したAS圧基準値を用いて、ブレーキシリンダ24の目標圧力を示すBC圧演算値を算出する。また、S107において、制御部12では、BC圧に関連する異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、BC圧測定値を取得する。
【0042】
次に、ステップS108において、判断部26は、ブレーキ指令が解除されたか否かを判断する。ステップS108において、判断部26は、ブレーキ指令が解除されたと判断した場合(Yes)には、制御部12によるBC圧に関連する異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、BC圧測定値の取得を終了する。
【0043】
また、ステップS108において、判断部26は、ブレーキ指令が解除されていないと判断した場合(Nо)には、再度、ステップS107に戻って、制御部12は、BC圧測定値を取得する。すなわち、制御部12は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断されてからブレーキ指令が解除されるまでの間のBC圧測定値を取得する。そして、ステップS109において、制御部12は、BC圧測定値、AS圧基準値、及び、BC圧演算値を出力する。この際、制御部12は、BC圧測定値、AS圧基準値、及び、BC圧演算値にブレーキ機器18が搭載されている車両2の車両識別情報、ブレーキ機器18の機器識別情報、及び、ブレーキ制御装置3の機器識別情報等を紐付けて出力する。また、制御部12は、BC圧測定値、AS圧基準値、及び、BC圧演算値に、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された際の列車位置情報、環境情報、温度情報、日時情報、列車速度情報、ブレーキ指令情報、及び、ドア開閉情報等の情報を紐付けするようにしても良い。また、制御部12から出力されたBC圧測定値、AS圧基準値、及び、BC圧演算値等の状態情報は、例えば、端末装置4、中央装置5、及び、車上無線装置7を介して地上装置8へ送信される。
【0044】
図5は、本開示の実施の形態1に係る監視システムによる異常の予兆及び異常の診断の流れの一例を示すフローチャートである。以下、本開示の実施の形態1に係る異常の予兆及び異常の診断の流れの一例について、
図5のフローチャートを用いながら説明する。
図5に示すように、ステップS201において、監視システム1の診断部31は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された場合のBC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得したか否かを判断する。
【0045】
ステップS201において、診断部31は、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得したと判断した場合(Yes)には、ステップS202において、取得したBC圧測定値の統計値を示すBC圧測定統計値としてBC圧測定値の平均値を算出する。ステップS201において、診断部31は、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得していないと判断した場合(Nо)には、再度、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得したか否かを判断する。すなわち、診断部31は、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得するまでS201の判断を繰り返す。
【0046】
また、ステップS203において、診断部31は、ステップS201で取得したBC圧演算値をBC圧基準値として設定する。そして、ステップS204において、診断部31は、
図3に示すように、BC圧測定統計値がBC圧基準値より高く設定される第1上限値以上、又は、BC圧基準値より低く設定される第1下限値以下であるか否かを判断する。
【0047】
ステップS204において、診断部31は、BC圧測定統計値が第1上限値以上、又は、第1下限値以下であると判断した場合(Yes)には、ステップS205において、BC圧測定統計値が第1上限値より高く設定される第2上限値以上、又は、第1下限値より低く設定される第2下限値以下であるか否かを判断する。
【0048】
ステップS205において、診断部31は、BC圧測定統計値が第2上限値以上、又は、第2下限値以下であると判断した場合(Yes)には、ステップS206において、BC圧測定統計値が第1上限側異常領域、又は、第1下限側異常領域内にあると判定、つまり、BC圧に関連する異常が発生していると判定し、異常を通知するための異常信号を生成して、出力する。
【0049】
ステップS205において、診断部31は、BC圧測定統計値が第2上限値以上、又は、第2下限値以下ではないと判断した場合(Nо)には、ステップS207において、BC圧測定統計値が第1上限側異常予兆領域、又は、第1下限側異常予兆領域内にあると判定、つまり、BC圧に関連する異常の予兆があると判定し、注意を促すための注意信号を生成して、出力する。
【0050】
また、ステップS204において、診断部31は、BC圧測定統計値が第1上限値以上、又は、第1下限値以下ではないと判断した場合(Nо)には、ステップS208において、BC圧測定統計値は正常領域内にあると判定し、正常信号を生成して、出力する。尚、ステップS202において、診断部31は、BC圧測定統計値としてBC圧測定値の平均値ではなく、他の統計値を算出するようにしても良く、例えば、中央値を算出しても良い。また、診断部31は、ステップS202のBC圧測定統計値の算出を行わずに、S201で取得したBC圧測定値を代わりに用いて、ステップS204及びS205の処理を行うようにしても良い。
【0051】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、車両2に設けられている空気ばね20の圧力を示すAS圧を検出するAS圧センサ15と、車輪19に制輪子25を押しつけることにより機械ブレーキ力を発生させるブレーキ機器18が有するブレーキシリンダ24の圧力を示すBC圧を検出するBC圧センサ17と、ブレーキ指令が入力されている状態における車両2の停車時において、車両2の乗客の乗降が完了し、車両2の乗客乗降用のドアが閉まったことを示すドア閉情報を受信したか否かを判断する判断部26と、判断部26によってドア閉情報を受信したと判断された場合に、異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、BC圧センサ17によって検出されるBC圧の値を示すBC圧測定値を取得する診断部31と、を備えているので、異常又は異常の予兆の診断に用いるための安定したBC圧測定値を取得することができる。
【0052】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、判断部26は、車両2が停車して乗客の乗降が完了し、車両2の乗客乗降用のドアが閉まったことを示すドア閉情報に基づいて、AS圧が安定している状態か否かを判断するので、乗客の乗降に伴うAS圧の変動が収まった状態のBC圧測定値を効率的に取得することができる。
【0053】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、判断部26は、ドア閉情報を受信したと判断した場合に、ドア閉情報を受信してから予め定められた第1時間を経過した後にAS圧が安定している状態であると判断するので、より安定したBC圧測定値を効率的に取得することができる。
【0054】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、判断部26は、AS圧検出部によって検出されるAS圧が一定時間、継続して予め定められた変動幅の範囲内にある場合は、AS圧が安定している状態であると判断するので、ドア閉情報を取得しなくてもAS圧が安定している状態であるか否かを判断することができる。
【0055】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、診断部31は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断されてからブレーキ指令が解除されるまでの間、又は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断されてからブレーキ指令が解除され、車両2の速度が予め定められた速度以上になるまでの間、BC圧測定値を取得するので、車両2が駅へ停車している間の時間等を利用して効率的に安定したBC圧測定値を取得することができる。
【0056】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、診断部31は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断されてから予め定められたブレーキシリンダ圧取得許可時間を経過するまでの間、BC圧測定値を取得するので、BC圧測定値を必要以上に取得することを抑制することができる。
【0057】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された際のAS圧センサ15によって検出されるAS圧をAS圧基準値として設定し、AS圧基準値を用いて、ブレーキシリンダ24の圧力の演算値を示すBC圧演算値を算出するBC圧演算部27を備え、診断部31は、BC圧演算部27によって算出されたBC圧演算値をBC圧基準値として設定し、BC圧測定値がBC圧基準値より高く設定される第1上限値以上である第1上限側異常予兆領域、又は、BC圧基準値より低く設定される第1下限値以下である第1下限側異常予兆領域内にある場合は、異常の予兆があると判定するので、従来は正常と判定されていた異常が発生する前段階の状態を判定することができる。
【0058】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、診断部31は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された場合に、BC圧測定値の統計値を示すBC圧測定統計値を算出し、BC圧測定統計値が第1上限側異常予兆領域又は第1下限側異常予兆領域内にある場合は、異常の予兆があると判定するので、BC圧測定値のデータ量が多い場合でも、異常の予兆の判定における処理回数を軽減することができる。
【0059】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、BC圧測定統計値は、BC圧測定値の平均値又は中央値であるので、BC圧に関連する異常又は異常の予兆の診断を精度良く行うことができる。
【0060】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、診断部31は、BC圧測定値又はBC圧測定統計値が第1上限値より高く設定される第2上限値以上である第1上限側異常領域、又は、第1下限値より低く設定される第2下限値以下である第1下限側異常領域内にある場合は、異常があると判定するので、すぐに対応が必要となるBC圧に関連する異常を適切に判定することができる。
【0061】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、診断部31は、異常の予兆があると判定した場合は、注意を促すための注意信号を出力し、異常があると判定した場合は、異常を通知するための異常信号を出力するので、異常又は異常の予兆を運転員等に適切に知らせることができる。
【0062】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された際のAS圧基準値、BC圧演算値、及び、BC圧測定値を蓄積するデータ蓄積部30を備えるので、データ蓄積部30からAS圧基準値、BC圧演算値、及び、BC圧測定値を取得することにより、異常又は異常の予兆の診断を行うことができる。
【0063】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、車両2の位置情報を取得する位置情報取得部28を備え、データ蓄積部30は、AS圧基準値、BC圧演算値、及び、BC圧測定値に、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された際に位置情報取得部28によって取得された車両2の位置情報を紐付けて蓄積するので、データ蓄積部30に蓄積されているAS圧基準値、BC圧演算値、及び、BC圧測定値は、車両2がどの位置にいた時のものであるかを把握することができる。
【0064】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、ブレーキ機器18の周辺の温度情報を検出する温度検出部23を備え、データ蓄積部30は、AS圧基準値、BC圧演算値、及び、BC圧測定値に、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された際に温度検出部23によって検出された温度情報を紐付けて蓄積するので、データ蓄積部30に蓄積されているAS圧基準値、BC圧演算値、及び、BC圧測定値は、ブレーキ機器18の周辺の温度が何度あった時のものであるかを把握することができる。
【0065】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、車両2が位置している地域の気温、湿度、降水量、及び、風速の少なくとも1つを含む環境情報を取得する環境情報取得部29を備え、データ蓄積部30は、AS圧基準値、BC圧基準値、及び、BC圧測定値に、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された際に環境情報取得部29によって取得された環境情報を紐付けて蓄積するので、データ蓄積部30に蓄積されているAS圧基準値、BC圧演算値、及び、BC圧測定値は、車両2が位置している地域の環境がどのような状態であった時のものであるかを把握することができる。
【0066】
本開示の実施の形態1に係る監視システム1によれば、BC圧検出部は、BC圧として、常用ブレーキ指令に基づいて、ブレーキシリンダ24に作用する圧力である常用ブレーキシリンダ圧、又は、非常ブレーキ指令に基づいてブレーキシリンダ24に作用する圧力である非常用ブレーキシリンダ圧を検出するので、常用ブレーキ指令だけでなく、非常ブレーキ指令時のBC圧に関連する異常又は異常の予兆も診断することができる。
【0067】
尚、本実施の形態1に係る監視システム1では、
図2に示すように、BC圧演算部27をブレーキ制御装置3の制御部12に設けた例を示しているが、BC圧演算部27は、地上装置8に設けるようにしても良い。その場合には、ブレーキ制御装置3の制御部12は、例えば、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された際に、AS圧センサ15によって検出されたAS圧であるAS圧基準値を車上無線装置7を介して、地上装置8に送信し、地上装置8に設けたBC圧演算部27でBC圧演算値を算出するようにすれば良い。
【0068】
実施の形態2.
次に、本開示の実施の形態2に係る監視システム1について説明する。実施の形態2に係る監視システム1では、診断部31による異常又は異常の予兆の判定方法が実施の形態1に係る監視システムとは異なる。尚、実施の形態2に係る監視システム1の構成は、
図1に示す実施の形態1に係る監視システム1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。本実施の形態1に係る監視システム1では、診断部31は、
図3に示すように、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された第1時間t1-1からブレーキ指令が解除される時間t1-2までの間である1回のBC圧測定値取得期間のBC圧測定値を用いて、異常又は異常の予兆の診断を行った例を示している。しかしながら、実施の形態2に係る監視システム1の診断部31は、予め定められた第1の期間内において、複数回のBC圧測定値取得期間で取得するBC圧測定値を用いて、異常又は異常の予兆の診断を行う。また、実施の形態2に係る監視システム1の診断部31は、例えば、第1の期間内において、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断される毎に、AS圧基準値、BC圧基準値、及び、BC圧測定値を取得し、AS圧基準値、BC圧基準値、及び、BC圧測定値又はBC圧測定統計値を用いて、第1の期間内におけるBC圧測定値又はBC圧測定統計値の傾向を求めるようにしても良い。尚、第1の期間とは、例えば、1日単位又は1週間単位等の期間であるが、特に限定されるものではない。
【0069】
図6は、第1の期間内におけるBC圧測定統計値の一例を示す図である。
図6では、横軸にAS圧、縦軸にBC圧を示している。
図6中の複数の×印のプロットは、それぞれ1回のBC圧測定値取得期間におけるBC圧測定値の統計値(平均値)を示すBC圧測定統計値を示している。また、
図6には、実線でBC圧基準値、破線で第1上限値、第1下限値、第2上限値、第2下限値を図示している。BC圧基準値は、
図6に示すように、AS圧の増加に比例して増加する。
図6では、1つのBC圧測定統計値A1が第1下限異常領域内にあり、1つのBC圧測定統計値A2が第1下限異常予兆領域内ある例を示している。また、
図6では、多数のBC圧測定統計値がBC圧基準値よりも下限側に分布しており、このような場合には、診断部31は、例えば、BC圧測定統計値は下限傾向にあると判定することができる。
【0070】
また、実施の形態2に係る監視システム1の診断部31は、例えば、第1の期間内におけるBC圧測定値又はBC圧測定統計値が第1上限側異常予兆領域又は第1下限側異常予兆領域内に予め定められた回数以上、又は、予め定められた割合以上含まれている場合に、BC圧に関連する異常の予兆があると判定するようにしても良い。
図7は、本開示の実施の形態2に係る監視システムによる異常の予兆及び異常の診断の流れの一例を示すフローチャートである。以下、本開示の実施の形態2に係る異常の予兆及び異常の診断の流れの一例について、
図7のフローチャートを用いながら説明する。
図7に示すように、ステップS301において、実施の形態2に係る監視システム1の診断部31は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された場合のBC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得したか否かを判断する。
【0071】
ステップS301において、診断部31は、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得したと判断した場合(Yes)には、ステップS302において、取得したBC圧測定値の統計値を示すBC圧測定統計値としてBC圧測定値の平均値を算出する。ステップS301において、診断部31は、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得していないと判断した場合(Nо)には、再度、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得したか否かを判断する。すなわち、診断部31は、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得するまでS301の判断を繰り返す。
【0072】
また、ステップS303において、診断部31は、ステップS301で取得したBC圧演算値をBC圧基準値として設定する。そして、ステップS304において、診断部31は、BC圧測定統計値がBC圧基準値より高く設定される第1上限値以上、又は、BC圧基準値より低く設定される第1下限値以下であるか否かを判断する。
【0073】
ステップS304において、診断部31は、BC圧測定統計値が第1上限値以上、又は、第1下限値以下であると判断した場合(Yes)には、ステップS305において、BC圧測定統計値が第1上限値より高く設定される第2上限値以上、又は、第1下限値より低く設定される第2下限値以下であるか否かを判断する。
【0074】
ステップS305において、診断部31は、BC圧測定統計値が第2上限値以上、又は、第2下限値以下であると判断した場合(Yes)には、ステップS306において、BC圧測定統計値が第1上限側異常領域、又は、第1下限側異常領域内にあると判定、つまり、BC圧に関連する異常が発生していると判定し、異常を通知するための異常信号を生成して、出力する。
【0075】
ステップS305において、診断部31は、BC圧測定統計値が第2上限値以上、又は、第2下限値以下ではないと判断した場合(Nо)には、ステップS307において、第1上限値異常のBC圧測定統計値が予め定められた回数N以上、又は、第1下限値以下のBC圧測定統計値が予め定められた回数N以上あったか否かを判定する。
【0076】
ステップS307において、診断部31は、第1上限値異常のBC圧測定統計値が予め定められた回数N以上、又は、第1下限値以下のBC圧測定統計値が予め定められた回数N以上あったと判断した場合(Yes)には、ステップS308において、BC圧に関連する異常の予兆があると判定し、注意を促すための注意信号を生成して、出力する。
【0077】
ステップS307において、診断部31は、第1上限値異常のBC圧測定統計値が予め定められた回数N以上、又は、第1下限値以下のBC圧測定統計値が予め定められた回数N以上ないと判断した場合(Nо)には、ステップS309において、第1の期間を経過したか否かを判断する。
【0078】
ステップS309において、診断部31は、第1の期間を経過したと判断した場合(Yes)には、ステップS310において、正常であると判定し、正常信号を生成して、出力する。ステップS309において、診断部31は、第1の期間を経過していないと判断した場合(Nо)には、ステップS301に戻って、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得したか否かを判断する。
【0079】
また、ステップS304において、診断部31は、BC圧測定統計値が第1上限値以上、又は、第1下限値以下でないと判断した場合(Nо)には、ステップS309において、第1の期間を経過したか否かを判断する。そして、ステップS309において、診断部31は、第1の期間を経過したと判断した場合(Yes)には、ステップS310において、正常であると判定し、正常信号を生成して、出力する。また、ステップS309において、診断部31は、第1の期間を経過していないと判断した場合(Nо)には、ステップS301に戻って、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得したか否かを判断する。
【0080】
実施の形態3.
次に、本開示の実施の形態3に係る監視システム1について説明する。実施の形態3に係る監視システム1では、診断部31による異常又は異常の予兆の判定方法が実施の形態1、2に係る監視システムとは異なる。尚、実施の形態3に係る監視システム1の構成は、
図1に示す実施の形態1に係る監視システム1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。実施の形態3に係る監視システム1の診断部31は、例えば、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断される毎に、BC圧測定値又はBC圧測定統計値と、BC圧基準値との差分を示すブレーキシリンダ圧差(以下、「BC圧差」という)を算出し、BC圧差の経時的な傾向を求めるようにしても良い。また、実施の形態3に係る監視システム1の診断部31は、例えば、予め定められた第2の期間毎のBC圧差の統計値を示すブレーキシリンダ圧差統計値(以下、「BC圧差統計値」という)を算出して、BC圧差統計値の経時的な傾向を求める。尚、第2の期間とは、例えば、1日単位又は週間単位等の期間であるが、特に限定されるものではない。また、診断部31は、期間毎ではなく、BC圧差が予め定められた回数算出される毎にBC圧差統計値を算出するようにしても良い。また、BC圧差統計値としては、例えば、第2の期間内におけるBC圧差の平均値、中央値、最大値、及び、最小値等である。
【0081】
図8は、経時的に表わされたブレーキシリンダ圧差統計値の一例を示す図である。
図8では、横軸に日付、縦軸にBC圧差を示している。
図8では、一例として10日分のBC圧差統計値を示している。尚、
図8では第2の期間を1日単位とした例を示している。
図8では、横軸の日付は、1~10日目との表記にしているが、年月日の表記にするようにしても良い。また、
図8中の●印は第2の期間内におけるBC圧差の最大値、◇印は第2の期間内におけるBC圧差の平均値、■印は第2の期間内におけるBC圧差の最小値をそれぞれ示している。
図8では、BC圧差の最大値及び平均値は全て正常領域内に収まっており、3日目のBC圧差の最小値のみが第2下限側異常予兆領域内に入っている例を示している。実施の形態3に係る監視システム1の診断部31は、例えば、
図8に示すように、第2の期間毎のBC圧差統計値を算出して、傾向推定等を行うことにより経時的な傾向を求めるようにしても良い。また、診断部31は、複数のBC圧差統計値と共にデータ蓄積部30に蓄積されている環境情報、及び、温度情報等の情報を組み合わせて、機械学習を行うことにより、異常又は異常の予兆の診断を行うようにしても良い。
【0082】
また、実施の形態3に係る監視システム1の診断部31は、例えば、BC圧差統計値を用いて、BC圧に関連する異常又は異常の予兆を診断するようにしても良い。具体的には、診断部31は、例えば、
図8に示すように、第2の期間内におけるBC圧差の平均値が、BC圧測定値又はBC圧測定統計値とBC圧基準値との差分が零である状態を示すブレーキシリンダ圧差基準値(以下、「BC圧差基準値」)より高く設定される第3上限値以上である第2上限側異常予兆領域、又は、BC圧差基準値より低く設定される第3下限値以下である第2下限側異常予兆領域内にある場合は、異常の予兆があると判定する。また、診断部31は、BC圧差の平均値が第3上限値より高く設定される第4上限値以上である第2上限側異常領域、又は、第3下限値より低く設定される第4下限値以下である第2下限側異常領域内にある場合は、異常があると判定する。尚、第3上限値とBC圧差基準値との差は、
図6に示す第1上限値とBC圧基準値との差と同じであっても良いし、異なるように第3上限値を設定するようにしても良い。また、同様に第3下限値とBC圧差基準値との差は、
図6に示す第1下限値とBC圧基準値との差と同じ値であっても良いし、異なる値になるように第3下限値を設定するようにしても良い。また、第4上限値と第3上限値との差、すなわち、第2上限側異常予兆領域のBC圧の幅は、
図6に示す第2上限値と第1上限値との差、すなわち、第1上限側異常予兆領域のBC圧の幅と同じであっても良いし、異なるように第3上限値又は第4上限値を設定するようにしても良い。また、第4下限値と第3下限値との差、すなわち、第2下限側異常予兆領域のBC圧の幅は、
図6に示す第2下限値と第1下限値との差、すなわち、第1下限側異常予兆領域のBC圧の幅と同じであっても良いし、異なるように第3下限値又は第4下限値を設定するようにしても良い。また、診断部31は、BC圧差統計値として、第2の期間内におけるBC圧差の平均値の代わりに中央値を用いるようにしても良い。
【0083】
また、診断部31は、BC圧差統計値として、第2の期間内におけるBC圧差の最大値及び最小値を算出し、最大値が第2上限側異常予兆領域、又は、最小値が第2下限側異常予兆領域内にある場合は、異常の予兆があると判定するようにしても良い。また、診断部31は、最大値が第4上限値以上である第2上限側異常領域、又は、最小値が第4下限値以下である第2下限側異常領域内にある場合は、異常があると判定するようにしても良い。
【0084】
図9は、本開示の実施の形態3に係る監視システムによる異常の予兆及び異常の診断の流れの一例を示すフローチャートである。以下、本開示の実施の形態3に係る異常の予兆及び異常の診断の流れの一例について、
図9のフローチャートを用いながら説明する。
図9に示すように、ステップS401において、実施の形態3に係る監視システム1の診断部31は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された場合のBC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得したか否かを判断する。
【0085】
ステップS401において、診断部31は、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得したと判断した場合(Yes)には、ステップS402において、取得したBC圧測定値の統計値を示すBC圧測定統計値としてBC圧測定値の平均値を算出し、BC圧測定統計値とBC圧基準値との差分を示すBC圧差を算出する。ステップS401において、診断部31は、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得していないと判断した場合(Nо)には、再度、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得したか否かを判断する。すなわち、診断部31は、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得するまでS401の判断を繰り返す。
【0086】
また、ステップS403において、診断部31は、第2の期間を経過したか否かを判断する。ステップS403において、診断部31は、第2の期間を経過したと判断した場合(Yes)には、ステップS404において、第2の期間内におけるBC圧差の統計値(例えば、平均値)を示すBC圧差統計値を算出する。また、ステップS403において、診断部31は、第2の期間を経過していないと判断した場合(Nо)には、ステップS401に戻って、BC圧測定値、及び、BC圧演算値を取得したか否かを判断する。
【0087】
ステップS405において、診断部31は、ステップS404で算出したBC圧差統計値が第3上限値以上、又は、第3下限値以下であるか否かを判断する。ステップS405において、診断部31は、BC圧差統計値が第3上限値以上、又は、第3下限値以下であると判断した場合(Yes)には、ステップS406において、BC圧差統計値が第3上限値より高く設定される第4上限値以上、又は、第3下限値より低く設定される第4下限値以下であるか否かを判断する。
【0088】
ステップS406において、診断部31は、BC圧差統計値が第4上限値以上、又は、第4下限値以下であると判断した場合(Yes)には、ステップS407において、BC圧差統計値が第2上限側異常領域、又は、第2下限側異常領域内にあると判定、つまり、BC圧に関連する異常が発生していると判定し、異常を通知するための異常信号を生成して、出力する。
【0089】
ステップS406において、診断部31は、BC圧差統計値が第4上限値以上、又は、第4下限値以下ではないと判断した場合(Nо)には、ステップS408において、BC圧差統計値が第2上限側異常予兆領域、又は、第2下限側異常予兆領域内にあると判定、つまり、BC圧に関連する異常の予兆があると判定し、注意を促すための注意信号を生成して、出力する。
【0090】
また、ステップS405において、診断部31は、BC圧差統計値が第3上限値以上、又は、第3下限値以下ではないと判断した場合(Nо)には、ステップS409において、BC圧差統計値は正常領域内にあると判定し、正常信号を生成して、出力する。
【0091】
本実施の形態1~3に係る監視システム1では、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された場合に、BC圧に関連する異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、BC圧センサ17によって検出されるBC圧測定値を取得している。しかしながら、本開示の監視システム1は、判断部26がブレーキ指令が入力されている状態における車両2の停車時において、BC圧センサ17によって検出されるBC圧が安定している状態か否かを判断するようにしても良い。
【0092】
図10は、本開示の実施の形態1に係る監視システムにおいて、BC圧測定値を取得するタイミングの他の一例を示す図である。判断部26は、例えば、
図10に示すように、車両2が停車している状態の出庫点検時において、ブレーキユルメの状態からブレーキ指令が入力され、予め定められた第2時間t2-1を経過した後に、BC圧が安定している状態であると判断するようにしても良い。
図10では、監視システム1は、判断部26によってBC圧が安定している状態であると判断した場合に、BC圧に関連する異常又は異常の予兆の診断に用いるための情報として、BC圧センサ17によって検出されるBC圧測定値を取得する。そして、監視システム1は、判断部26によってBC圧が安定している状態であると判断されてから予め定められたブレーキシリンダ圧取得許可時間を経過するまでの期間(第3時間t2-2と第2時間t2-1との差)であるBC圧測定値取得期間のBC圧測定値を取得する。
【0093】
また、本実施の形態1に係る監視システム1では、診断部31は、第2の期間内において、判断部26によってAS圧が安定している状態である判断、又は、BC圧が安定している状態であると判断した場合に、毎回、AS圧基準値、BC圧演算値、及び、BC圧測定値を取得する必要はなく、例えば、第2の期間内における予め定められた条件に一致する場合のAS圧基準値、BC圧演算値、及び、BC圧測定値を取得するようにしても良い。ここで、予め定められた状態としては、例えば、出庫点検時において、判断部26によってBC圧が安定した状態であると判断されたこと、及び、AS圧基準値が予め定められたAS圧の領域内にあること等である。これにより、診断部31は、予め定められた条件でのBC圧測定値を効率的に取得することできる。
【0094】
また、本実施の形態1に係る監視システム1では、
図1に示すように、データ蓄積部30及び診断部31を地上装置8に設けた例を示しているが、データ蓄積部30及び診断部31は、地上装置8に設けられることに限定されるものではなく、例えば、車両2内に設けられるブレーキ制御装置3又は中央装置5等に設けるように構成しても良い。
【0095】
実施の形態4.
次に、本開示の実施の形態4に係る監視システム1について説明する。実施の形態4に係る監視システム1では、診断部31による異常又は異常の予兆の判定方法が実施の形態1~3に係る監視システムとは異なる。尚、実施の形態4に係る監視システム1の構成は、
図1に示す実施の形態1に係る監視システム1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。実施の形態4に係る監視システム1の診断部31は、例えば、判断部26によってドア閉情報を受信したと判断、ドア閉情報を受信してから予め定められた第1時間を経過したと判断、又は、AC圧が一定時間、継続して予め定められた変動幅の範囲内にあると判断のうちのいずれかの判断をされた場合、すなわち、AS圧が安定している状態であると判断された場合に、BC圧センサ17によって検出されたBC圧の値を示すBC圧測定値、及び、AC圧センサ16によって検出されたAC圧の値を示すAC圧測定値をブレーキ制御装置3から車上無線通信装置7を介して取得する。そして、実施の形態4に係る監視システム1の診断部31は、BC圧測定値、AC圧測定値、及び、BC圧とAC圧の相関関係を示す関係式を用いて、異常又は異常の予兆の診断を行う。
【0096】
図11は、第1の期間内におけるBC圧測定値とAC圧測定値の傾向の一例を示す図である。尚、第1の期間とは、例えば、1日単位又は1週間単位等の期間であるが、特に限定されるものではない。
図11では、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断される毎のBC圧測定値及びAC圧測定値を×印で示している。また、
図11では、正常時のBC圧とAC圧の相関関係を示す関係式を実線で示している。BC圧とAC圧の相関関係を示す関係式は、例えば、下記式(1)のように表すことができる。
AC圧=a1×BC圧+b1 ・・・(1)
但し、a1は比例係数であり、b1はヒステリシス補正値である。尚、比例係数a1及びヒステリシス補正値b1は、中継弁14に起因して規定されるものであり、使用する中継弁14に応じて適宜設定される。
【0097】
また、診断部31は、例えば、
図11に示すように、×印で示されているBC圧測定値及びAC圧測定値の相関関係を示す線形近似を行って、傾向を分析する。尚、BC圧測定値及びAC圧測定値の傾向の分析の仕方は、特に限定されるものではなく、種々の統計的手段を用いることができる。
図11では、AC圧測定値は、正常時の関係式よりも高い側にある傾向になっている。つまり、AC圧測定値に対してBC圧測定値は、正常時よりも低い値となっている。このような場合、診断部31は、例えば、中継弁14又はブレーキシリンダ24の配管が何らかの原因で、大気側に漏れている可能性があるという診断をすることができる。
【0098】
図12は、第1の期間内におけるBC圧測定値とAC圧測定値の傾向の他の一例を示す図である。
図12では、
図11と同様に判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断される毎のBC圧測定値及びAC圧測定値を×印で示している。また、
図12は、
図11と同様に正常時のBC圧とAC圧の相関関係を示す関係式を実線で示している。
【0099】
診断部31は、例えば、
図12に示すように、×印で示されているBC圧測定値及びAC圧測定値の相関関係を示す線形近似を行って、傾向を分析する。
図12では、AC圧測定値は、正常時の関係式よりも低い側にある傾向になっている。つまり、AC圧測定値に対してBC圧測定値は、正常時よりも高い値となっている。このような場合、診断部31は、例えば、中継弁14からSR圧がブレーキシリンダ24の配管へ漏れ込んでいる可能性があるという診断をすることができる。
【0100】
図13は、異常及び異常の予兆の診断に用いるBC圧測定値に基づくAC圧の上限値及び下限値の一例を示す図である。
図13では、正常時のBC圧とAC圧の相関関係を示す関係式を実線で示している。また、
図13では、異常及び異常の予兆の診断に用いるBC圧測定値に基づくAC圧の上限値及び下限値を設定するためのBC圧とAC圧の関係式を破線で示している。
【0101】
診断部31では、正常時の関係式を示す式(1)にBC圧測定値を代入して演算を行うことにより、AC圧理論値を求めることができる。診断部31による異常の予兆を判定するための基準となるAC圧の第5上限値は、正常時のAC圧理論値より高く設定される値である。また、診断部31による異常を判定するための基準となるAC圧の第6上限値は、第5上限値より高く設定される値である。
図13では、例えば、AC圧の第5上限値はAC圧=a2×BC圧+b2、AC圧の第6上限値はAC圧=a3×BC圧+b3として表わされ、BC圧測定値に応じて、AC圧の第5上限値及びAC圧の第6上限値が設定される。尚、それぞれの関係式は、a3≧a2≧a1、b3≧b2≧b1となるように設定される。但し、a2=a1とする場合は、b2>b1となるように設定される。また、b2=b1とする場合は、a2>a1となるように設定される。また、a3=a2とする場合は、b3>b2となるように設定される。また、b3=b2とする場合は、a3>a2となるように設定される。
【0102】
尚、AC圧の第5上限値を設定するための関係式において、a2>a1とする場合は、正常時の関係式よりも傾きが大きくなるので、BC圧測定値が大きくなるにつれて、AC圧の第5上限値とAC圧理論値との差も大きくなる。また、AC圧の第6上限値を設定するための関係式において、a3>a2とする場合は、AC圧の第5上限値を設定するための関係式よりも傾きが大きくなるので、BC圧測定値が大きくなるにつれて、AC圧の第6上限値とAC圧の第5上限値との差も大きくなる。また、AC圧の第5上限値を設定するための関係式において、a2=a1とする場合は、正常時の関係式と傾きは同じになるので、BC圧測定値の大きさに関係なく、常にAC圧の第5上限値とAC圧理論値との差は一定(b2-b1)となる。また、AC圧の第6上限値を設定するための関係式において、a3=a2とする場合は、AC圧の第5上限値を設定するための関係式と傾きは同じになるので、BC圧測定値の大きさに関係なく、常にAC圧の第6上限値とAC圧の第5上限値との差は一定(b3-b2)となる。
【0103】
また、
図13に示すように、診断部31による異常の予兆を判定するための基準となるAC圧の第5下限値は、正常時のAC圧理論値より低く設定される値である。また、診断部31による異常を判定するための基準となるAC圧の第6下限値は、第5下限値より低く設定される値である。
図13では、例えば、AC圧の第5下限値はAC圧=a4×BC圧+b4、AC圧の第6下限値はAC圧=a5×BC圧+b5として表わされ、BC圧測定値に応じて、AC圧の第5下限値及びAC圧の第6下限値が設定される。尚、それぞれの関係式は、a5≦a4≦a1、b5≦b4≦b1となるように設定される。但し、a4=a1とする場合は、b4<b1となるように設定される。また、b4=b1とする場合は、a4<a1となるように設定される。また、a5=a4とする場合は、b5<b4となるように設定される。また、b5=b4とする場合は、a5<a4となるように設定される。
【0104】
尚、AC圧の第5下限値を設定するための関係式において、a4<a1とする場合は、正常時の関係式よりも傾きが小さくなるので、BC圧測定値が大きくなるにつれて、AC圧の第5下限値とAC圧理論値との差の絶対値は大きくなる。また、AC圧の第6下限値を設定するための関係式において、a5<a4とする場合は、AC圧の第5下限値を設定するための関係式よりも傾きが小さくなるので、BC圧測定値が大きくなるにつれて、AC圧の第6下限値とAC圧の第5下限値との差の絶対値も大きくなる。また、AC圧の第5下限値を設定するための関係式において、a4=a1とする場合は、正常時の関係式と傾きは同じになるので、BC圧測定値の大きさに関係なく、常にAC圧の第5下限値とAC圧理論値との差は一定(b4-b1)となる。また、AC圧の第6下限値を設定するための関係式において、a5=a4とする場合は、AC圧の第5下限値を設定するための関係式と傾きは同じになるので、BC圧測定値の大きさに関係なく、常にAC圧の第6上限値とAC圧の第5上限値との差は一定(b5-b4)となる。
【0105】
診断部31は、例えば、
図13に示すように、AC圧測定値がBC圧測定値に基づいて設定される第5上限値未満、且つ、第5下限値より高い正常領域内にある場合は、正常であると判定する。また、診断部31は、AC圧測定値が第5上限値以上、且つ、第6上限値未満である第3上限側異常予兆領域内、又は、第5下限値以下、且つ、第6下限値より高い第3下限側異常予兆領域にある場合は、異常の予兆があると判定する。そして、診断部31は、例えば、異常の予兆があると判定した場合は、注意を促すための注意信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された注意信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器に注意を促す情報を表示する。
【0106】
また、診断部31は、AC圧測定値が第6上限値以上である第3上限側異常領域内、又は第6下限値以下である第3下限側異常領域内にある場合は、異常があると判定する。そして、診断部31は、例えば、異常があると判定した場合は、異常を通知するための異常信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された異常信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器に異常を通知する情報を表示する。尚、
図13では、診断部31は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された際に取得した1回分のBC圧測定値及びAC圧測定値を用いて、異常の予兆の診断を行った例を示している。しかしながら、診断部31は、例えば、第1の期間内において、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断される毎に、複数回のBC圧測定値及びAC圧測定値を取得して、異常の予兆の診断を行うようにしても良い。具体的には、診断部31は、例えば、第1の期間内におけるAC圧測定値が第5上限側異常予兆領域又は第5下限側異常予兆領域内に予め定められた回数以上、又は、予め定められた割合以上含まれている場合は、異常の予兆があると判定するようにしても良い。
【0107】
図14は、異常及び異常の予兆の診断に用いるAC圧測定値に基づくBC圧の上限値及び下限値の一例を示す図である。
図14では、正常時のBC圧とAC圧の相関関係を示す関係式を実線で示している。また、
図14では、異常及び異常の予兆の診断に用いるAC圧測定値に基づくBC圧の上限値及び下限値を設定するためのBC圧とAC圧の関係式を破線で示している。
図13では、BC圧とAC圧の相関関係を示す関係式として、BC圧測定値に基づいて、AC圧理論値を算出する式(1)を示していたが、例えば、下記式(2)のようにAC圧測定値に基づいて、BC圧理論値を算出する式として表すこともできる。
BC圧=c1×AC圧+d1 ・・・(2)
但し、c1は比例係数であり、d1はヒステリシス補正値である。尚、比例係数c1及びヒステリシス補正値d1は、中継弁14に起因して規定されるものであり、使用する中継弁14に応じて適宜設定される。
【0108】
診断部31では、正常時の関係式を示す式(2)にAC圧測定値を代入して演算を行うことにより、BC圧理論値を求めることができる。診断部31による異常の予兆を判定するための基準となるBC圧の第7上限値は、正常時のBC圧理論値より高く設定される値である。また、診断部31による異常を判定するための基準となるBC圧の第8上限値は、第6上限値より高く設定される値である。
図14では、例えば、BC圧の第7上限値はBC圧=c2×AC圧+d2、BC圧の第8上限値はBC圧=c3×AC圧+d3として表わされ、AC圧測定値に応じて、BC圧の第7上限値及びBC圧の第8上限値が設定される。尚、それぞれの関係式は、c3≧c2≧c1、d3≧d2≧d1となるように設定される。但し、c2=c1とする場合は、d2>d1となるように設定される。また、d2=d1とする場合は、c2>c1となるように設定される。また、c3=c2とする場合は、d3>d2となるように設定される。また、d3=d2とする場合は、c3>c2となるように設定される。
【0109】
尚、BC圧の第7上限値を設定するための関係式において、c2>c1とする場合は、正常時の関係式よりも傾きが大きくなるので、AC圧測定値が大きくなるにつれて、BC圧の第7上限値とBC圧理論値との差も大きくなる。また、BC圧の第8上限値を設定するための関係式において、c3>c2とする場合は、BC圧の第7上限値を設定するための関係式よりも傾きが大きくなるので、AC圧測定値が大きくなるにつれて、BC圧の第8上限値とBC圧の第7上限値との差も大きくなる。また、BC圧の第7上限値を設定するための関係式において、c2=c1とする場合は、正常時の関係式と傾きは同じになるので、AC圧測定値の大きさに関係なく、常にBC圧の第7上限値とBC圧理論値との差は一定(d2-d1)となる。また、BC圧の第8上限値を設定するための関係式において、d3=d2とする場合は、BC圧の第7上限値を設定するための関係式と傾きは同じになるので、AC圧測定値の大きさに関係なく、常にBC圧の第8上限値とBC圧の第7上限値との差は一定(d3-d2)となる。
【0110】
また、
図14に示すように、診断部31による異常の予兆を判定するための基準となるBC圧の第7下限値は、正常時のBC圧理論値より低く設定される値である。また、診断部31による異常を判定するための基準となるBC圧の第8下限値は、第7下限値より低く設定される値である。
図14では、例えば、BC圧の第7下限値はBC圧=c4×AC圧+d4、BC圧の第8下限値はBC圧=c5×AC圧+d5として表わされ、AC圧測定値に応じて、BC圧の第7下限値及びBC圧の第8下限値が設定される。尚、それぞれの関係式は、c5≦c4≦c1、d5≦d4≦d1となるように設定される。但し、c4=c1とする場合は、d4<d1となるように設定される。また、d4=d1とする場合は、c4<c1となるように設定される。また、c5=c4とする場合は、d5<d4となるように設定される。また、d5=d4とする場合は、c5<c4となるように設定される。
【0111】
尚、BC圧の第7下限値を設定するための関係式において、c4<c1とする場合は、正常時の関係式よりも傾きが小さくなるので、AC圧測定値が大きくなるにつれて、BC圧の第7下限値とBC圧理論値との差の絶対値は大きくなる。また、BC圧の第8下限値を設定するための関係式において、c5<c4とする場合は、BC圧の第7下限値を設定するための関係式よりも傾きが小さくなるので、AC圧測定値が大きくなるにつれて、BC圧の第8下限値とBC圧の第7下限値との差の絶対値も大きくなる。また、BC圧の第7下限値を設定するための関係式において、c4=c1とする場合は、正常時の関係式と傾きは同じになるので、AC圧測定値の大きさに関係なく、常にBC圧の第7下限値とBC圧理論値との差は一定(d4-d1)となる。また、BC圧の第8下限値を設定するための関係式において、c5=c4とする場合は、BC圧の第7下限値を設定するための関係式と傾きは同じになるので、AC圧測定値の大きさに関係なく、常にBC圧の第8上限値とBC圧の第7上限値との差は一定(d5-d4)となる。
【0112】
診断部31は、例えば、
図14に示すように、BC圧測定値がAC圧測定値に基づいて設定される第7上限値未満、且つ、第7下限値より高い正常領域内にある場合は、正常であると判定する。また、診断部31は、BC圧測定値が第7上限値以上、且つ、第8上限値未満である第4上限側異常予兆領域内、又は、第7下限値以下、且つ、第8下限値より高い第4下限側異常予兆領域にある場合は、異常の予兆があると判定する。そして、診断部31は、例えば、異常の予兆があると判定した場合は、注意を促すための注意信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された注意信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器に注意を促す情報を表示する。
【0113】
また、診断部31は、BC圧測定値が第8上限値以上である第4上限側異常領域内、又は第8下限値以下である第4下限側異常領域内にある場合は、異常があると判定する。そして、診断部31は、例えば、異常があると判定した場合は、異常を通知するための異常信号を生成して、出力する。地上装置8は、例えば、診断部31から出力された異常信号をネットワーク6を介して車両2へと送信することにより、車両2の運転台9のモニタ表示器に異常を通知する情報を表示する。
【0114】
図15は、本開示の実施の形態4に係る監視システムによる異常の予兆及び異常の診断の流れの一例を示すフローチャートである。以下、本開示の実施の形態4に係る異常の予兆及び異常の診断の流れの一例について、
図15のフローチャートを用いながら説明する。
図15に示すように、ステップS501において、監視システム1の診断部31は、判断部26によってAS圧が安定している状態であると判断された場合のBC圧測定値、及び、AC圧測定値を取得したか否かを判断する。
【0115】
ステップS501において、診断部31は、BC圧測定値、及び、AC圧測定値を取得したと判断した場合(Yes)には、ステップS502において、取得したBC圧測定値に基づいて、AC圧の第5上限値、第5下限値、第6上限値、及び、第6下限値を算出する。ステップS501において、診断部31は、BC圧測定値、及び、AC圧測定値を取得していないと判断した場合(Nо)には、再度、BC圧測定値、及び、AC圧測定値を取得したか否かを判断する。すなわち、診断部31は、BC圧測定値、及び、AC圧測定値を取得するまでS501の判断を繰り返す。
【0116】
そして、ステップS503において、診断部31は、
図13に示すように、AC圧測定値がAC圧理論値より高く設定される第5上限値以上、又は、AC圧理論値より低く設定される第5下限値以下であるか否かを判断する。ステップS503において、診断部31は、AC圧測定値が第5上限値以上、又は、第5下限値以下であると判断した場合(Yes)には、ステップS504において、AC圧測定値が第5上限値より高く設定される第6上限値以上、又は、第5下限値より低く設定される第6下限値以下であるか否かを判断する。
【0117】
ステップS504において、診断部31は、AC圧測定値が第6上限値以上、又は、第6下限値以下であると判断した場合(Yes)には、ステップS505において、AC圧測定値が第3上限側異常領域、又は、第3下限側異常領域内にあると判定、つまり、BC圧に関連する異常が発生していると判定し、異常を通知するための異常信号を生成して、出力する。より具体的には、診断部31は、例えば、AC圧測定値が第3上限側異常領域にある場合は、中継弁14又はブレーキシリンダ24の配管が何らかの原因で、大気側に漏れている可能性があるという診断結果を出力する。また、診断部31は、AC圧測定値が第3下限側異常領域にある場合は、中継弁14からSR圧がブレーキシリンダ24の配管へ漏れ込んでいる可能性があるという診断結果を出力する。
【0118】
ステップS504において、診断部31は、AC圧測定値が第6上限値以上、又は、第6下限値以下ではないと判断した場合(Nо)には、ステップS506において、AC圧測定値が第3上限側異常予兆領域、又は、第3下限側異常予兆領域内にあると判定、つまり、BC圧に関連する異常の予兆があると判定し、注意を促すための注意信号を生成して、出力する。
【0119】
また、ステップS503において、診断部31は、AC圧測定値が第5上限値以上、又は、第5下限値以下ではないと判断した場合(Nо)には、ステップS507において、AC圧測定値は正常領域内にあると判定し、正常信号を生成して、出力する。
【0120】
尚、
図15では、
図13に示すように、BC圧測定値に基づいて、AC圧の第5上限値、第5下限値、第6上限値、及び、第6下限値を算出し、AC圧測定値と比較することにより異常の予兆及び異常の診断を行う場合のフローチャートの一例を示しているが、
図14に示すように、AC圧測定値に基づいて、BC圧の第7上限値、第7下限値、第8上限値、及び、第8下限値を算出し、BC圧測定値と比較することにより異常の予兆及び異常の診断を行うことも可能である。その場合には、診断部31は、例えば、
図15に示すフローチャートのステップS502において、ステップS501にて取得したAC圧測定値に基づいて、BC圧の第7上限値、第7下限値、第8上限値、及び、第8下限値を算出するようにすれば良い。また、診断部31は、ステップS503において、BC圧測定値がBC圧理論値より高く設定される第7上限値以上、又は、BC圧理論値より低く設定される第7下限値以下であるか否かを判断するようにすれば良い。また、診断部31は、ステップS504においては、BC圧測定値が第7上限値より高く設定される第8上限値以上、又は、第7下限値より低く設定される第8下限値以下であるか否かを判断するようにすれば良い。
【0121】
本発明の実施の形態1~4に係る監視システム1が備える各装置は、例えば、プロセッサとメモリを備え、各装置の動作はソフトウエアによって実現することができる。
図16は、本発明の実施の形態1~4に係る監視システム1が備える各装置を実現するハードウエア構成の一例を示す図である。
図16に示すように、本発明の実施の形態1~4に係る監視システム1が備える各装置は、プロセッサ101およびメモリ102を備えており、プロセッサ101およびメモリ102は、システムバスにより接続されている。プロセッサ101は、入力されたデータを用いてソフトウエアによる演算及び制御を行い、メモリ102は入力されたデータまたはプロセッサ101が演算および制御を行うために必要なデータやプログラムの記憶を行う。尚、プロセッサ101およびメモリ102は、それぞれ複数設けられていても良い。
【0122】
尚、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、本開示の思想の範囲を逸脱しない範囲において、各実施の形態を適宜変更、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0123】
1 監視システム、2 車両、3 ブレーキ制御装置、15 空気ばね圧検出部、16 AC圧センサ、17 ブレーキシリンダ圧検出部、18 ブレーキ機器、19 回転体(車輪)、20 空気ばね、23 温度検出部、24 ブレーキシリンダ 25 摩擦材(制輪子)、26 判断部、27 ブレーキシリンダ圧演算部、28 位置情報取得部、29 環境情報取得部、30 データ蓄積部、31 診断部