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特許7345716検眼システム、検眼プログラム、及び検眼装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】検眼システム、検眼プログラム、及び検眼装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/00 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
A61B3/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018226278
(22)【出願日】2018-12-03
(65)【公開番号】P2020089409
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】樋口 幸弘
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-509406(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107224266(CN,A)
【文献】特開2016-067795(JP,A)
【文献】特開平10-216087(JP,A)
【文献】特開2017-136131(JP,A)
【文献】特開2004-166979(JP,A)
【文献】国際公開第2013/015221(WO,A1)
【文献】特開2002-010978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の被検眼を検査するための検眼システムであって、
前記被検眼を検査する検眼装置と、
前記検眼装置の筐体または当該検眼装置の付近に設けられ、前記検眼装置を操作する第1操作部と、
前記検眼装置から離れた場所に設けられ、前記検眼装置を操作する第2操作部と、
前記第1操作部から入力される第1操作信号に、前記検眼装置における第1動作を割り当てる第1設定手段と、
前記第2操作部から入力される第2操作信号に、前記検眼装置における第2動作を割り当てる第2設定手段と、
前記第1設定手段によって割り当てられる前記第1動作と前記第2設定手段によって割り当てられる前記第2動作を変更可能な設定変更手段であって、前記第1動作と前記第2動作で異なる動作を割り当て可能な設定変更手段と、
を備え
前記設定変更手段は、前記第1操作部に割り当てられる前記第1動作と、前記第2操作部に割り当てられる前記第2動作と、を検者が予め選択可能であり、検者によって選択された前記第1動作と前記第2動作に割り当てが変更されることを特徴とする検眼システム。
【請求項2】
請求項の検眼システムにおいて、
前記検眼装置は、
前記被検眼の眼底を撮影する眼底撮影手段を備え、
前記第1設定手段と前記第2設定手段との少なくともいずれかは、操作信号に、前記眼底撮影手段による撮影を開始させるための動作を割り当てることを特徴とする検眼システム。
【請求項3】
請求項1の検眼システムにおいて、
前記検眼装置は、
前記第1設定手段と前記第2設定手段との少なくともいずれかは、操作信号に、アライメント動作、顎台調節動作のいずれかを割り当てることを特徴とする検眼システム
【請求項4】
被検者の被検眼を検査するための検眼システムにおいて実行される検眼プログラムであって、
前記検眼システムにおけるプロセッサによって実行されることで、
第1操作部から入力される第1操作信号に、検眼装置における第1動作を割り当てる第1設定ステップと、
第2操作部から入力される第2操作信号に、前記検眼装置における第2動作を割り当てる第2設定ステップと、
前記第1設定ステップによって割り当てられる前記第1動作と前記第2設定ステップによって割り当てられる前記第2動作を変更可能な設定変更ステップであって、前記第1動作と前記第2動作で異なる動作を割り当て可能な設定変更ステップと、
を前記検眼システムにおいて実行させ
前記設定変更ステップは、前記第1操作部に割り当てられる前記第1動作と、前記第2操作部に割り当てられる前記第2動作と、を検者が予め選択可能であり、検者によって選択された前記第1動作と前記第2動作に割り当てが変更されることを特徴とする検眼プログラム。
【請求項5】
被検者の被検眼を検査する検眼装置であって、
前記検眼装置の筐体または当該検眼装置の付近に設けられ、前記検眼装置を操作する第1操作部と、
前記第1操作部から入力される第1操作信号に、前記検眼装置における第1動作を割り当てる第1設定手段と、
前記検眼装置から離れた場所に設けられ、前記検眼装置を操作する第2操作部から入力される第2操作信号に、前記検眼装置における第2動作を割り当てる第2設定手段と、
前記第1設定手段によって割り当てられる前記第1動作と前記第2設定手段によって割り当てられる前記第2動作を変更可能な設定変更手段であって、前記第1動作と前記第2動作で異なる動作を割り当て可能な設定変更手段と、
を備え
前記設定変更手段は、前記第1操作部に割り当てられる前記第1動作と、前記第2操作部に割り当てられる前記第2動作と、を検者が予め選択可能であり、検者によって選択された前記第1動作と前記第2動作に割り当てが変更されることを特徴とする検眼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検者の被検眼を検眼するための検眼システム、検眼プログラム、及び検眼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼を検眼する検眼装置として、被検眼の光学特性を自覚的に測定する自覚式検眼装置(特許文献1)、被検眼の光学特性を他覚的に測定する他覚式検眼装置(特許文献2)、被検眼の眼底断層画像を撮影する眼科撮影装置(特許文献3)、等が用いられる。検者は、検眼装置を直接操作することで、被検眼を検眼している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-176893号公報
【文献】特開平10-33479号公報
【文献】特開2010-110392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被検者は検眼のために遠方の施設へ足を運ぶことが困難な場合があり、検眼を簡単に実施できる仕組みが望まれている。また、検者は、複数の装置を用いた検眼を明室や暗室等の様々な場所で行う場合があり、多くの被検者を効率よく検査できる仕組みが望まれている。このため、発明者は、検者が遠隔操作で検眼を実施する仕組みについて検討した。遠隔操作を実施する場合には、例えば、被検者を補助する補助者の有無、等によって操作手順が変更されるので、様々な操作手順に応じた適切な設定が求められる。
【0005】
本開示は、上記従来技術に鑑み、検者と検眼装置が離れていても、検眼を容易に実施できる検眼システム、検眼プログラム、及び検眼装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は、以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1)本開示の第1態様に係る検眼システムは、被検者の被検眼を検査するための検眼システムであって、前記被検眼を検査する検眼装置と、前記検眼装置の筐体または当該検眼装置の付近に設けられ、前記検眼装置を操作する第1操作部と、前記検眼装置から離れた場所に設けられ、前記検眼装置を操作する第2操作部と、前記第1操作部から入力される第1操作信号に、前記検眼装置における第1動作を割り当てる第1設定手段と、前記第2操作部から入力される第2操作信号に、前記検眼装置における第2動作を割り当てる第2設定手段と、前記第1設定手段によって割り当てられる前記第1動作と前記第2設定手段によって割り当てられる前記第2動作を変更可能な設定変更手段であって、前記第1動作と前記第2動作で異なる動作を割り当て可能な設定変更手段と、を備え、前記設定変更手段は、前記第1操作部に割り当てられる前記第1動作と、前記第2操作部に割り当てられる前記第2動作と、を検者が予め選択可能であり、検者によって選択された前記第1動作と前記第2動作に割り当てが変更されることを特徴とする。
(2)本開示の第2態様に係る検眼プログラムは、被検者の被検眼を検査するための検眼システムにおいて実行される検眼プログラムであって、前記検眼システムにおけるプロセッサによって実行されることで、第1操作部から入力される第1操作信号に、検眼装置における第1動作を割り当てる第1設定ステップと、第2操作部から入力される第2操作信号に、前記検眼装置における第2動作を割り当てる第2設定ステップと、前記第1設定ステップによって割り当てられる前記第1動作と前記第2設定ステップによって割り当てられる前記第2動作を変更可能な設定変更ステップであって、前記第1動作と前記第2動作で異なる動作を割り当て可能な設定変更ステップと、を前記検眼システムにおいて実行させ、前記設定変更ステップは、前記第1操作部に割り当てられる前記第1動作と、前記第2操作部に割り当てられる前記第2動作と、を検者が予め選択可能であり、検者によって選択された前記第1動作と前記第2動作に割り当てが変更されることを特徴とする。
(3)本開示の第3態様に係る検眼装置は、被検者の被検眼を検査する検眼装置であって、前記検眼装置の筐体または当該検眼装置の付近に設けられ、前記検眼装置を操作する第1操作部と、前記第1操作部から入力される第1操作信号に、前記検眼装置における第1動作を割り当てる第1設定手段と、前記検眼装置から離れた場所に設けられ、前記検眼装置を操作する第2操作部から入力される第2操作信号に、前記検眼装置における第2動作を割り当てる第2設定手段と、前記第1設定手段によって割り当てられる前記第1動作と前記第2設定手段によって割り当てられる前記第2動作を変更可能な設定変更手段であって、前記第1動作と前記第2動作で異なる動作を割り当て可能な設定変更手段と、を備え、前記設定変更手段は、前記第1操作部に割り当てられる前記第1動作と、前記第2操作部に割り当てられる前記第2動作と、を検者が予め選択可能であり、検者によって選択された前記第1動作と前記第2動作に割り当てが変更されることを特徴とする。

【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】検眼システムの概略図である。
図2】検眼システムの使用例である。
図3】OCT装置におけるモニタの画面の一例である。
図4】遠隔操作部におけるモニタの画面の一例である。
図5】動作設定画面の一例である。
図6】遠隔操作部におけるモニタの画面の一例である。
図7】被検者に提示される操作者情報の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<概要>
本開示における実施形態の概要について説明する。以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用されうる。
【0010】
本実施形態に係る検眼システム(例えば、検眼システム1)は、被検者の被検眼を検査するための検眼システムである。一例として、検眼システムを用いて被検眼が測定されてもよい。また、一例として、検眼システムを用いて被検眼が撮影されてもよい。
【0011】
このような検眼システムは、被検眼の光学特性を測定するための検眼システムでもよい。例えば、被検眼の光学特性として、被検眼の眼屈折力(例えば、球面度数、円柱度数、乱視軸角度、等)、眼軸長、角膜形状、等が自覚的に測定されてもよい。また、例えば、被検眼の光学特性として、被検眼の眼屈折力、コントラスト感度、両眼視機能(例えば、斜位量、立体視機能、等)、等が他覚的に測定されてもよい。また、このような検眼システムは、被検者の視認による応答を得て、被検眼の視野を測定するための検眼システムでもよい。
【0012】
また、このような検眼システムは、被検眼の前眼部や眼底を撮影するための検眼システムでもよい。例えば、被検眼の前眼部を撮影することで、被検眼の前眼部画像データ、角膜形状、等が取得されてもよい。また、被検眼の眼底を撮影することで、被検眼の眼底正面画像データ、断層画像データ、等が取得されてもよい。
【0013】
<検査室の撮影と検眼装置を用いた検査>
本実施形態において、検眼システムは、検眼装置(例えば、OCT装置100)を備える。検眼装置は、被検眼を検査する。検眼装置の一例としては、被検眼の光学特性を自覚的に測定する自覚式検眼装置、被検眼の光学特性を他覚的に測定する他覚式検眼装置、被検眼の視野を測定する視野計、被検眼の眼底断層画像を撮影する眼科撮影装置、等が挙げられる。
【0014】
本実施形態において、検眼装置は、通信手段を備えてもよい。検眼装置は、通信手段によって、検眼システムにおける他の手段(例えば、撮影手段、遠隔操作手段、等)と通信を行う。通信手段は、有線通信及び無線通信の少なくともいずれかの構成を用いて、他の手段との通信を行ってもよい。例えば、有線通信の場合は、光ファイバー、有線LAN、等が用いられてもよい。例えば、無線通信の場合は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、等が用いられてもよい。通信手段は、受信手段と、送信手段と、を有してもよい。受信手段と送信手段は兼用されてもよいし、別々に設けられてもよい。
【0015】
本実施形態における検眼システムは、検眼装置が、通信手段を介して、他の手段と直接的に通信を行う構成としてもよい。また、本実施形態における検眼システムは、共有サーバ(例えば、共有サーバ400)を備え、検眼装置が、通信手段から共有サーバを経由して、他の手段と間接的に通信を行う構成としてもよい。つまり、検眼装置と他の手段が共有サーバを介して接続されていてもよい。
【0016】
<検出手段>
本実施形態において、検眼装置は、検出手段(例えば、検出器105)を備える。検出手段は、検眼装置と被検者との接触を検出してもよい。
【0017】
検出手段としては、検眼装置と被検者との接触を検出することが可能な撮影手段(例えば、撮像素子を備えるカメラ、等)が利用されてもよい。この場合、検眼装置と被検者との接触は、撮影手段により撮影された画像を解析することで判別されてもよい。
【0018】
また、検出手段としては、検眼装置と被検者との接触を検出することが可能なセンサ(例えば、光センサ、圧力センサ、荷重センサ、等の少なくともいずれか)が利用されてもよい。検出手段は、検眼装置と被検者とが接触したときに発せられる検知信号に基づいて、検眼装置と被検者が接触していると検出してもよい。一例として、検出手段が荷重センサである場合、荷重センサは、外部からの荷重を検知すると、その荷重を電気抵抗値に変換して出力してもよい。検眼装置と被検者との接触は、電位抵抗値の出力の有無(言い換えると、検知信号の出力の有無)に基づいて検出されてもよい。例えば、検出手段は、電位抵抗値が出力された状態のときに、検眼装置と被検者が接触していると検出してもよい。
【0019】
なお、検眼装置が被検者の額を当接するための額当てを有する場合、検出手段は額当てに設けられ、被検者の額が額当てに当接されたか否かを検出してもよい。検出手段は、額当てから荷重が検知された状態のときに、被検者の額が額当てに当接したと検出してもよい。また、例えば、検眼装置が被検者の顎を載置するための顎台を有する場合、検出手段は顎台に設けられ、被検者の顎が顎台に載置されたか否かを検出してもよい。検出手段は、顎台から荷重が検知された状態のときに、被検者の顎が顎台に当接したと検出してもよい。もちろん、検眼装置が額当てと顎台の双方を有する場合には、検出手段が額当てと顎台の少なくともいずれかに設けられてもよい。
【0020】
なお、本実施形態において、検出手段は、必ずしも検眼装置と被検者との接触を検出する構成でなくてもよい。検出手段は、検眼装置と被検者との位置関係を検出する構成としてもよい。一例として、検出手段は、距離センサであってもよい。また、一例として、検出手段は、撮影手段であってもよい。この場合、撮影手段が検眼装置と被検者を撮影し、検眼装置と被検者が所定の距離であるか否かを検出するようにしてもよい。また、この場合、撮影手段が被検者の顔を撮影することで、被検者の顔を検出するようにしてもよい。
【0021】
<判定手段>
本実施形態において、検眼装置は、判定手段(例えば、制御部107)を備える。判定手段は、被検眼の検査が可能な状態であるか否かを判定する。例えば、被検眼の検査が可能な状態とは、被検眼の検査を開始することが可能な状態である。一例としては、額当てを用いて被検者の顔を検眼装置に固定した状態でもよい。また、一例としては、顎台を用いて被検者の顔を固定した状態でもよい。また、一例としては、検眼装置と被検者とが所定の位置関係になった状態でもよい。
【0022】
判定手段は、検出手段の検出結果に基づいて、被検眼の検査が可能な状態であるか否かを判定してもよい。例えば、判定手段は、検出手段が検眼装置と被検者の接触を検出したときに、被検眼の検査を開始することが可能な状態であると判定してもよい。より詳細には、判定手段は、検出手段から検知信号が発せられたときに、被検眼の検査を開始することが可能であると判定してもよい。また、例えば、判定手段は、検出手段が検眼装置と被検者の接触を検出していないときに、被検眼の検査を開始することが不可能な状態であると判定してもよい。より詳細には、検出手段から検知信号が発せられていないときに、被検眼の検査を開始することが不可能であると判定してもよい。
【0023】
<出力手段>
本実施形態において、検眼装置は、第1出力手段(例えば、制御部303)を備える。第1出力手段は、判定手段の判定結果に基づく判定情報を出力する。これによって、検者は、被検者の検査が可能な状態になったかどうかを容易に把握することができる。
【0024】
第1出力手段は、判定情報として、判定結果を検者に知らせるための報知情報を出力してもよい。この場合、報知情報は、判定結果を示す情報(つまり、被検眼の検査を開始することが可能あるいは不可能であることを示す情報)、検者を次の動作へ誘導するための情報、等であってもよい。
【0025】
第1出力手段は、このような報知情報を、遠隔操作手段に出力してもよい。例えば、第1出力手段は、報知情報を、遠隔操作手段が備える表示手段にメッセージとして出力してもよい。また、例えば、第1出力手段は、報知情報を、遠隔操作手段において音声ガイドを発生することにより出力してもよい。また、例えば、第1出力手段は、報知情報を、遠隔操作手段においてランプを点灯または点滅させることにより出力してもよい。
【0026】
もちろん、第1出力手段は、報知情報を、遠隔操作手段とは異なる手段に出力してもよい。例えば、第1出力手段は、報知情報をプリンタ等に出力して印刷させてもよいし、報知情報をメモリやサーバ等へ出力して記憶させてもよい。
【0027】
本実施形態において、検眼装置は、第2出力手段(例えば、制御部107、制御部303)を備える。第2出力手段は、判定手段の判定結果に基づいて、検眼装置または遠隔操作手段の少なくともいずれかに、次の動作を指示するための指示信号を出力する。これによって、検者は、被検眼の検査を効率よく進めることができる。
【0028】
第2出力手段は、検眼装置に指示信号を出力してもよい。この場合、指示信号は、検眼装置にアライメントを開始させるための指示信号、検眼装置に検査を開始させるための指示信号、等であってもよい。また、第2出力手段は、遠隔操作手段に指示信号を出力してもよい。この場合、指示信号は、遠隔操作手段が備える表示手段に、検眼装置の設定を行うための画面を表示させる指示信号、等であってもよい。
【0029】
なお、本実施形態において、検眼装置は、第1出力手段と第2出力手段を兼用する構成でもよいし、別々に備える構成でもよい。また、本実施形態において、検眼装置は、第1出力手段による判定情報の出力と、第2出力手段による指示信号の出力と、のいずれか一方を行う構成としてもよいし、双方を行う構成としてもよい。
【0030】
本実施形態において、検眼装置は、アライメント手段を備えていてもよい。アライメント手段は、被検眼と検眼装置との位置合わせを行う。アライメント手段は、被検眼の前眼部にアライメント指標を投影し、アライメント指標像を用いて、被検眼と検眼装置との位置合わせを行う構成を備えていてもよい。
【0031】
本実施形態において、検眼装置は、眼底撮影手段を備えていてもよい。眼底撮影手段は、被検眼の眼底を撮影する。例えば、眼底撮影手段は、眼科用光干渉断層計、走査型レーザ検眼鏡、眼底カメラ、等の少なくともいずれかの構成を備えていてもよい。もちろん、眼底撮影手段は、これらの構成とは異なる構成を備えていてもよい。
【0032】
<撮影手段>
本実施形態において、検眼システムは、撮影手段(例えば、撮影部200)を備える。撮影手段は、被検者及び検眼装置を含む検査室を撮影する。例えば、検査室は、被検眼を検査するための明室であってもよい。一例としては、被検眼の光学特性を測定するための明室であってもよい。また、例えば、検査室は、被検眼を検査するための暗室であってもよい。一例として、被検眼の前眼部や眼底を撮影するための暗室であってもよい。
【0033】
撮影手段は、検査室を動画として撮影してもよい。つまり、撮影手段は、検査室をリアルタイムに撮影してもよい。また、撮影手段は、検査室を静止画として撮影してもよい。この場合、撮影手段は、一定時間毎(例えば、5秒間隔毎)にキャプチャしてもよい。
【0034】
撮影手段は、被検者及び検眼装置を含む撮影部屋を、明視下で撮影可能としてもよい。また、撮影手段は、被検者及び検眼装置を含む撮影部屋を、暗視下で撮影可能としてもよい。この場合、撮影手段には暗視カメラが用いられてもよい。暗視カメラの一例としては、光に対する感度を増幅させる高感度カメラ、物体が放射する赤外線を検出する赤外線カメラ、等が挙げられる。
【0035】
ここで、例えば、眼科分野では、検査室の照明機器等、周囲の光の変化による検査精度への影響を軽減させるため、被検眼を検査する際に暗室を作ることが多い。本実施形態のように、暗視下での撮影を可能とすることで、暗室でも被検者の様子を観察できるとともに、被検眼を精度よく検査することができる。
【0036】
撮影手段は、検査室と、検査室に置かれた検眼装置と、の位置関係(言い換えると、検査室と検眼装置とのレイアウト)を把握できるように、検査室を撮影してもよい。例えば、この場合、撮影手段は、検眼装置とは異なる位置に配置されることで、被検者と検眼装置とを俯瞰する構成としてもよい。一例として、撮影手段は、検査室に配置されてもよい。
【0037】
撮影手段は、被検者及び検眼装置を含む検査室を撮影することができれば、検査室のいずれの位置に配置されてもよい。例えば、撮影手段は、検査室の上方に配置されてもよい。これによって、撮影手段は検査室の全体を撮影しやすくなるとともに、検者は撮影手段により撮影された撮影画像を用いて検査室の様子を把握しやすくなる。
【0038】
撮影手段は、検査室の上方における中央部に配置されてもよい。この場合、撮影手段としては、全方位カメラ(360度カメラ)等が利用されてもよい。また、撮影手段は、検査室の上方における角部に配置されてもよい。この場合、撮影手段としては、指向性のあるカメラ、首振り機能をもつカメラ、等が利用されてもよい。撮影手段が検査室の上方かつ角部に配置されることで、簡易的なカメラを使用しても、検査室の全体が撮影されやすくなる。
【0039】
<遠隔操作手段>
本実施形態において、検眼システムは、遠隔操作手段(例えば、遠隔操作部300)を備える。遠隔操作手段は、検眼装置を操作するための操作画面及び撮影手段により撮影された撮影画像を表示する表示手段(例えば、モニタ301)を有してもよい。また、遠隔操作手段は、表示手段の表示を制御して、表示手段に操作画面及び撮影画像を表示させる表示制御手段(例えば、制御部303)を有してもよい。すなわち、遠隔操作手段は、表示手段と表示制御手段を有し、表示手段に表示された撮影画像を観察することで、被検者を検査位置まで誘導可能としてもよい。検眼システムがこのような構成であることにより、検者と被検者が同一の空間に居なくても、検者は被検者を観察しながら適切な指示を出し、被検眼の検査を効率よく進めることができる。
【0040】
検眼装置を操作するための操作画面とは、検眼装置を用いて被検眼を検査するために用いられる画面であってもよい。一例として、操作画面は、検眼装置における各種の設定を行うための設定画面でもよい。検眼装置がOCT装置である場合は、設定画面として、OCTデータを取得するための測定光の走査位置や走査パターン等を設定する画面が表示されてもよい。また、一例として、操作画面は、検眼装置を用いた検査の結果を示す結果画面でもよい。検眼装置がOCT装置である場合は、結果画面として、OCTデータから生成された断層画像が表示されてもよい。また、一例として、操作画面は、被検眼を撮像した被検眼画像でもよい。検眼装置がOCT装置である場合は、被検眼画像として、OCT装置が備える前眼部撮影光学系により撮影された前眼部画像が表示されてもよい。
【0041】
撮影手段により撮影された撮影画像とは、被検者を検眼装置まで誘導するために撮影された画像であってもよい。例えば、検査室の全体が撮影された画像であって、検眼装置及び被検者を観察することが可能な画像でもよい。また、例えば、検査室の少なくとも一部が撮影された画像であって、検眼装置及び被検者を観察することが可能な画像でもよい。
【0042】
被検者が誘導される検査位置は、検眼装置の位置であってもよい。また、被検者が誘導される検査位置は、検眼装置から離れた位置であってもよい。一例として、被検者が誘導される検査位置は、検眼装置とともに使用される椅子の位置、等でもよい。
【0043】
<表示制御手段>
本実施形態において、遠隔操作手段が有する表示制御手段は、表示手段の表示を制御して、表示手段に操作画面を表示させる。また、本実施形態において、遠隔操作手段が有する表示制御手段は、表示手段の表示を制御して、表示手段に撮影手段が撮影した撮影画像を表示させる。例えば、表示制御手段は、検者により手動で入力される操作信号、検眼装置の動作に基づいて自動で発せられる操作信号、等の少なくともいずれかに基づいて、表示手段の表示を制御してもよい。
【0044】
表示制御手段は、操作画面と撮影画像とを、表示手段の同一画面上に表示させるように、表示手段の表示を制御してもよい。この場合、表示制御手段は、操作画面と撮影画像とを、表示手段の画面上に同じタイミングで表示してもよい。また、この場合、表示制御手段は、操作画面と撮影画像とを、表示手段の画面上に異なるタイミングで表示してもよい。例えば、表示制御手段は、操作画面と撮影画像とのいずれか一方を先に表示手段に表示させ、他方を後で表示手段に表示させる構成としてもよい。
【0045】
例えば、操作画面と撮影画像とが同一画面上に表示されることで、検者は、被検者と同一の空間に居なくても、被検者の一連の動作(例えば、被検者が検査室に入室してから検眼装置を用いて被検眼の検査が可能な状態となるまでの動作、等)や、被検者の様子(例えば、被検眼を検査している間の様子、等)を、検眼装置を操作しながら観察することができ、被検眼の検査を効率よく行うことができる。
【0046】
本実施形態において、遠隔操作手段は、信号取得手段(例えば、制御部303)を備えてもよい。例えば、信号取得手段は、操作画面と撮影画像とを切り換えるための切換信号を取得する。切換信号は、検者の操作により手動で発せられてもよい。また、切換信号は、予め設定されたタイミングにおいて自動で発せられてもよい。一例として、切換信号は、判定手段が被検眼の検査が可能な状態であることを判定したタイミングで発せられてもよい。より詳細には、被検者の額が額当てに当接したタイミング、被検者の顎が顎台に載置されたタイミング、等で発せられてもよい。
【0047】
遠隔操作手段がこのような信号取得手段を備えた構成である場合、表示制御手段は、切換信号に基づいて、操作画面と撮影画像とを、表示手段の画面上に切り換えて表示させるように、表示手段の表示を制御してもよい。例えば、表示制御手段は、操作画面と撮影画像とのいずれかが表示手段の画面上に表示されるように、切換信号に基づいて、表示手段の表示を制御してもよい。また、例えば、表示制御手段は、操作画面と撮影画像の双方が表示手段の同一画面上に表示された状態から、操作画面と撮影画像のいずれか一方を削除するように、切換信号に基づいて、表示手段の表示を制御してもよい。また、例えば、表示制御手段は、操作画面と撮影画像のいずれか一方が表示手段の画面上に表示された状態から、他方を追加して操作画面と撮影画像の双方が表示手段の同一画面上に表示されるように、切換信号に基づいて、表示手段の表示を制御してもよい。
【0048】
例えば、操作画面と撮影画像とを画面上で切り換えて表示させることで、検者は、操作画面と撮影画像が手動または自動で切り換わる画面を観察しながら、容易に、被検者に指示を出したり、被検眼を検査したりできる。
【0049】
<検眼装置を操作する操作部への動作の割り当て>
本実施形態において、検眼システムは、第1操作部(例えば、操作部101、モニタ106)を備える。第1操作部は、検眼装置の筐体または検眼装置の付近に設けられ、検眼装置を操作する。例えば、本実施形態では、第1操作部が、検眼装置の筐体に設けられてもよい。第1操作部としては、マウス、ジョイスティック、キーボード、タブレット端末、コントローラ、等のユーザーインターフェイスが用いられてもよい。
【0050】
また、本実施形態において、検眼システムは、第2操作部(例えば、操作部302)を備える。第2操作部は、検眼装置から離れた場所に設けられ、検眼装置を操作する。例えば、本実施形態では、第2操作部が、遠隔操作手段に設けられてもよい。第2操作部としては、マウス、ジョイスティック、キーボード、タブレット端末、コントローラ、等のユーザーインターフェイスが用いられてもよい。
【0051】
<設定手段>
本実施形態において、検眼システムは、第1設定手段(例えば、制御部107)を備える。第1設定手段は、第1操作部から入力される第1操作信号に、検眼装置における第1動作を割り当てる。第1設定手段は、第1操作部に1つの動作を割り当てる構成としてもよいし、複数の動作を割り当てる構成としてもよい。
【0052】
また、本実施形態において、検眼システムは、第2設定手段(例えば、制御部107)を備える。第2設定手段は、第2操作部から入力される第2操作信号に、検眼装置における第2動作を割り当てる。第2設定手段は、第2操作部に1つの動作を割り当てる構成としてもよいし、複数の動作を割り当てる構成としてもよい。
【0053】
すなわち、本実施形態においては、第1設定手段及び第2設定手段によって、第1操作部及び第2操作部に対する動作を適宜割り当てることが可能である。言い換えると、第1設定手段及び第2設定手段によって、第1操作部及び第2操作部に対する動作を適宜設定することができる。
【0054】
第1動作及び第2動作は、検眼装置を用いて被検眼を検査する際に行われる動作の少なくともいずれかである。一例として、検眼装置と被検眼との位置合わせを行うアライメント動作、被検眼を撮影する撮影動作、被検眼を検査する検査条件を設定する設定動作、被検眼の検査を開始する検査開始動作、顎台の高さを調節する調節動作、額当ての位置を調節する調節動作、等の少なくともいずれかが挙げられる。もちろん、第1動作及び第2動作は、これら以外の動作でもよい。例えば、検眼装置と被検眼との位置合わせから検眼装置を用いた被検眼の検査に関わる動作あってもよい。
【0055】
第1設定手段と第2設定手段は、第1操作部と第2操作部のそれぞれに対して、検眼装置における少なくとも一部の同一の動作を割り当てるように設定してもよい。この場合、第1動作と第2動作はすべて同一であってもよい。一例として、第1操作部にアライメント動作と調節動作を割り当てるとともに、第2操作部にもアライメント動作と調節動作を割り当ててもよい。また、この場合、第1動作と第2動作は一部が重複してもよい。一例として、第1操作部にアライメント動作と撮影動作を割り当て、第2操作部にアライメント動作と調節動作を割り当ててもよい。
【0056】
また、第1設定手段と第2設定手段は、第1操作部と第2操作部のそれぞれに対して、検眼装置における異なる動作を割り当てるように設定してもよい。すなわち、第1動作と第2動作が異なっていてもよい。一例として、第1操作部に検査開始動作を割り当て、第2操作部にアライメント動作を割り当ててもよい。
【0057】
なお、上記では、第1設定手段と第2設定手段が、第1操作部と第2操作部のそれぞれに対して所定の動作を割り当てるように設定する場合を例示したがこれに限定されない。第1設定手段と第2設定手段は、第1操作部と第2操作部のそれぞれに対して、所定の動作を細分化した動作を割り当てるように設定してもよい。一例として、第1設定手段が、第1操作部に対して、アライメント動作のうちの左右方向及び上下方向の移動動作を割り当てるように設定し、第2設定手段が、第2操作部に対して、アライメント動作のうちの前後方向の移動動作を割り当てるように設定してもよい。
【0058】
例えば、本実施形態における検眼システムでは、検者が検眼装置を離れた場所から操作するため、アライメント動作においては前後方向の距離感がわかりづらい。第1操作部と第2操作部にアライメント動作の移動方向毎の動作を割り当てられることで、被検者と検眼装置が接触する可能性を軽減させることができる。
【0059】
例えば、第1設定手段及び第2設定手段による第1動作及び第2動作の割り当ては、予め設定されていてもよい。操作者情報(後述)を取得することで、自動的に設定が変更されてもよい。もちろん、検者が任意に設定を変更できるようにしてもよい。
【0060】
例えば、このように、第1操作部及び第2操作部を用いて検眼装置の動作を制御可能な構成とすることで、検眼装置を操作する操作者(すなわち、検者、被検者、補助者、等)の居場所や技量、被検眼を検査する際の動作の内容、等に応じた適切な動作を割り当てることができる。検者は、検眼装置が配置された空間に居なくても、被検眼を容易に検査することができる。
【0061】
なお、本実施形態において、検眼装置が前述の眼底撮影手段を備える場合、第1設定手段と第2設定手段との少なくともいずれかは、第1操作部と第2操作部から入力される操作信号に、眼底撮影手段による撮影を開始させるための動作(言い換えると、撮影開始動作)を割り当てるようにしてもよい。一例として、本実施形態では、検者が操作する操作部に撮影開始動作が割り当てられ、被検者が操作する操作部には撮影開始動作が割り当てられないように設定されてもよい。このため、被検者により撮影開始の操作信号が発せられても、検眼装置の誤動作が抑制される。
【0062】
また、本実施形態において、検眼装置が前述のアライメント手段を備える場合、第1設定手段と第2設定手段との少なくともいずれかは、第1操作部と第2操作部から入力される操作信号に、アライメント手段による位置合わせを行うための動作(言い換えると、アライメント動作)を割り当てるようにしてもよい。一例として、本実施形態では、検者が操作する操作部にアライメント動作を割り当てず、被検者が操作する操作部にアライメント動作が割り当てられるように設定されてもよい。被検眼と装置との距離感が把握できる被検者がアライメント動作を行うことで、安全にアライメントを行うことができる。
【0063】
<動作制御手段>
本実施形態において、検眼システムは、動作制御手段(例えば、制御部107)を備える。動作制御手段は、第1操作信号と第2操作信号とのいずれか一方の操作信号による検眼装置の動作が実行されている際には、他方の操作信号による検眼装置の動作の実行を禁止する。
【0064】
例えば、動作制御手段は、第1操作信号と第2操作信号とのいずれか一方の操作信号による検眼装置の動作が実行されている際に、他方の操作信号の入力を禁止することで、検眼装置の動作の実行を禁止する構成としてもよい。また、例えば、動作制御手段は、第1操作信号と第2操作信号とのいずれか一方の操作信号による検眼装置の動作が実行されている際に、他方の操作信号の送信または受信を禁止することで、検眼装置の動作の実行を禁止する構成としてもよい。また、例えば、動作制御手段は、また、例えば、動作制御手段は、第1操作信号と第2操作信号とのいずれか一方の操作信号による検眼装置の動作が実行されている際に、他方の操作信号の実行を禁止することで、検眼装置の動作の実行を禁止する構成としてもよい。
【0065】
なお、本実施形態においては、第1設定手段及び第2設定手段によって、第1操作部と第2操作部のいずれかに対して所定の動作を割り当てないことで、検眼装置の動作の実行を禁止する構成としてもよい。
【0066】
このような動作制御手段によって、一方の操作信号に基づく制御動作が実行されている途中で、他方の操作信号に基づく制御動作に切り換わることが抑制され、被検眼の検査を効率よく安全に行うことができる。
【0067】
なお、検眼装置の動作を実行できる状態であるか、あるいは、検眼装置の動作が禁止された状態であるか、は検眼装置を操作する操作者に報知されてもよい。例えば、表示手段への表示、音声ガイド、等の少なくともいずれかにより報知されてもよい。
【0068】
<操作者情報取得手段>
本実施形態において、検眼システムは、情報取得手段(例えば、制御部303)を備える。情報取得手段は、検眼装置を操作する操作者の情報である操作者情報を取得する。操作者情報は、操作者(例えば、検者、補助者、等)に関わる情報であればよい。一例としては、操作者の顔、名前、所属、略歴、等が挙げられる。なお、操作者の顔は、操作者を撮影した画像(動画または静止画)として取得されてもよい。例えば、検眼システムには、操作者を撮影するための撮影手段が設けられていてもよい。
【0069】
情報取得手段は、操作者により入力された操作者情報を取得してもよい。また、情報取得手段は、操作者情報が記憶されたサーバから、該当する操作者情報を呼び出すことで、操作者情報を取得してもよい。この場合、操作者情報は、ユーザーIDの入力、一次元コード(例えば、バーコード)や二次元コード(例えば、QRコード(登録商標))の読み取り、等により取得されてもよい。
【0070】
例えば、情報取得手段が取得した操作者情報は、表示制御手段(例えば、制御部107)により制御され、表示手段の画面上に表示されてもよい。表示手段は、検眼装置の筐体または検眼装置の付近に設けられた表示手段でもよく、被検者が観察するモニタ等に操作者情報が表示されてもよい。これによって、検者と被検者が同一の空間に居なくても、被検者は検者の情報を知り、安心して検査を受けることができる。
【0071】
なお、本開示は、本実施形態に記載した検眼システムに限定されない。例えば、上記の実施形態の機能を行う端末制御ソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種の記憶媒体等を介して検眼システムあるいは検眼装置に供給し、検眼システムあるいは検眼装置の制御部(例えば、CPU)が、プログラムを読み出して実行することも可能である。
【0072】
<実施例>
本実施形態に係る検眼システムの一実施例を図面に基づいて説明する。
【0073】
図1は、検眼システム1の概略図である。検眼システム1は、被検者の被検眼を検査するための検眼システムである。検眼システム1は、検眼装置100、撮影部200、遠隔操作部300、等を備える。検眼装置100、撮影部200、及び遠隔操作部300は、図示なき通信部を備え、有線あるいは無線のネットワークを介して、互いに接続される。
【0074】
なお、本実施例における検眼システム1では、検眼装置100、撮影部200、及び遠隔操作部300が共有サーバ400を経由して接続される構成としてもよい。この場合、共有サーバは、制御部401と記憶部(メモリ)402を備えてもよい。
【0075】
メモリ402は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体でもよい。例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ、等を使用することができる。メモリ402には、OCT装置100における被検眼Eの検査に関する各種の情報、取得した前眼部画像、取得したOCTデータ、等が記憶されてもよい。また、メモリ402には、撮影部200における撮影画像、音声、等が記憶されてもよい。
【0076】
図2は、検眼システム1の使用例である。例えば、検眼システム1が備える検眼装置100と撮影部200は、被検者Pが居る検査室10に設置されてもよい。また、例えば、検眼システム1が備える遠隔操作部300は、検者Dが居る操作部屋20に設置されてもよい。
【0077】
<検眼装置>
検眼装置100は、被検者Pの被検眼Eを検査するために用いる。本実施例では、検眼装置100として、眼科撮影装置を例示する。眼科撮影装置は、いわゆる眼科用光干渉断層計の構成を備えたOCT装置であってもよい。以下では、検眼装置100をOCT装置100と称して説明する。
【0078】
OCT装置100は、被検眼Eに照射された測定光と参照光による干渉信号を検出するOCT光学系を有し、干渉信号を処理することで、被検眼EのOCTデータを取得する。OCT装置100は、操作部(ジョイスティック)101、移動台102、測定部103、顔支持ユニット104、モニタ106、制御部107、等を備える。
【0079】
操作部101は、被検眼Eに対して、測定部103を上下方向(Y方向)、左右方向(X方向)、及び前後方向(Z方向)へ相対的に移動させる。操作部101を操作することで、移動台102に設けられた図示なきX移動機構とZ移動機構が駆動し、移動台102の上部に配置された測定部103が、左右方向及び前後方向に移動される。また、操作部101を操作することで、測定部103に設けられた図示なきY移動機構が駆動し、測定部103が、上下方向に移動される。
【0080】
測定部103の内部には、図示なき前眼部撮影光学系、図示なきOCT光学系、等が収納される。前眼部撮影光学系は、被検眼Eの前眼部を撮影する。前眼部撮影光学系は、前眼部を照明する光源、前眼部を撮影する撮像素子、等を備えた構成であってもよい。もちろん、前眼部撮影光学系は、これらとは異なる構成を備えてもよい。OCT光学系は、低コヒーレント光を発する光源、光源から出射した光を測定光及び参照光に分割する光分割器、被検眼Eへ測定光を導く測定光学系、被検眼Eの眼底上で測定光を横断方向に走査させる走査部、参照光を生成する参照光学系、測定光と参照光の合成による干渉信号を検出する検出器、等を備えた構成であってもよい。もちろん、OCT光学系は、これらとは異なる構成を備えてもよい。
【0081】
顔支持ユニット104は、被検者Pの顔を支持する。顔支持ユニット104は、額当て104aと、顎台104bと、を有する。額当て104aには、被検者Pの額が当接される。顎台104bには、被検者Pの顎が載置される。顎台104bには、検出器105が設けられる。検出器105は、被検者Pの顎が顎台104bに載置されたか否かを検出する。検出器105は、光センサ、圧力センサ、荷重センサ、等の少なくともいずれかにより構成されてもよい。例えば、本実施例では、検出器105として荷重センサが用いられ、荷重センサによって、被検者Pの顎が顎台104bに載置されたことによる荷重が検出される。検出器105の検出結果は、制御部107に出力される。
【0082】
図3は、OCT装置100におけるモニタ106の画面の一例である。モニタ106には、検眼装置100を操作するための操作画面500が表示される。操作画面500は、OCT光学系によりOCTデータを得るための設定画面(例えば、測定光の走査位置、走査パターン、深さ方向の領域、等を設定する設定画面)、OCTデータから生成される断層画像、前眼部撮影光学系により撮影される前眼部画像、等の少なくともいずれかであってもよい。例えば、図3では、操作画面500として、前眼部画像501が表示されている。本実施例において、操作画面500は、OCT装置100のモニタ106に表示されるとともに、遠隔操作部300のモニタ301にも表示される。
【0083】
なお、モニタ106はタッチパネルであってもよく、モニタ106が操作部を兼ねてもよい。この場合、被検者P(あるいは、後述する補助者)の操作に対応する操作信号が、モニタ106から入力され、制御部107へ出力される。
【0084】
制御部107は、一般的なCPU(Central Processing Unit)、RAM、ROM、等を備える。CPUは、検眼装置100の制御を司る。RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。ROMには、検眼装置100の動作を制御するためのプログラム、等が記憶される。制御部107には、操作部101、図示なき移動機構(X移動機構、Y移動機構、Z移動機構)の駆動部、検出器105、モニタ106、OCT光学系が備える光源や検出器、前眼部撮影光学系が備える光源や撮像素子、等が電気的に接続される。
【0085】
<撮影部>
撮影部200は、検査室10を撮影するために用いる。撮影部200は、検査室10を動画として撮影してもよいし、一定時間ごとの静止画として撮影してもよい。撮影部200は、被検者P及び検眼装置100を含む検査室10を撮影することが可能であれば、検査室10のいずれの位置に配置されてもよい。すなわち、撮影部200は、被検者P及び検眼装置100を少なくとも含む画角で検査室10に配置されてもよい。本実施例では、検査室10の角部かつ上方に撮影部200が配置される。
【0086】
撮影部200は、検出器201、制御部202、等を備える。検出器201は、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、等の撮像素子でもよい。
【0087】
制御部202は、一般的なCPU、RAM、ROM、等を備え、撮影部200を制御して、撮影部200により撮影される撮影画像をズームしたり、撮影部200を図示なき回転機構によりパン及びチルトさせたり、撮影画像と音声を一時的に記憶したりしてもよい。制御部202には、検出器201が電気的に接続される。
【0088】
なお、本実施例において、撮影部200としては、暗視下においても利用可能な暗視カメラ(例えば、高感度カメラ、赤外線カメラ、等)が用いられてもよい。これにより、検査室10を暗視下で撮影することが可能となる。
【0089】
また、本実施例において、撮影部200は、図示なきマイク及びスピーカを備えていてもよい。例えば、撮影部200のマイクが拾った被検者Pの音声が、遠隔操作部300の図示なきスピーカから発せられ、検者Dに伝達されてもよい。また、例えば、遠隔操作部300の図示なきマイクが拾った検者Dの音声が、撮影部200の図示なきスピーカから発せられ、被検者Pに伝達されてもよい。
【0090】
<遠隔操作部>
遠隔操作部300は、被検者Pを検眼装置100まで誘導して、検眼装置100による被検眼Eの検査を可能な状態(言い換えると、被検眼Eの検査を開始することが可能な状態)とするために用いる。例えば、本実施例では、被検者Pが顎を顎台104bに載置することで、検眼装置100による被検眼Eの検査が可能な状態となる。遠隔操作部300は、モニタ301、操作部(マウス)302、制御部303、等を備える。
【0091】
図4は、遠隔操作部300におけるモニタ301の画面の一例である。モニタ301には、検眼装置100を操作するための操作画面500が表示される。例えば、図4では、操作画面500として、前述の前眼部画像501と、OCTデータから生成された断層画像502と、が表示されている。また、モニタ301には、撮影部200により撮影された撮影画像600が表示される。撮影画像600には、被検者P、OCT装置100、等が映る。
【0092】
なお、本実施例では、1つのモニタ301を用いる例を挙げるが、複数のモニタを用いてもよい。一例として、2つのモニタを第1モニタ及び第2モニタとして用い、第1モニタに操作画面500または撮影画像600のいずれか一方を表示し、第2モニタに他方を表示してもよい。つまり、複数のモニタを用いることで、モニタ301の画面を拡張してもよい。
【0093】
また、モニタ301はタッチパネルであってもよく、モニタ301が操作部302を兼ねてもよい。この場合、検者Dの操作に対応する操作信号が、モニタ301から入力され、制御部303へ出力される。
【0094】
操作部302からは、検者Dの操作に対応する操作信号が入力される。操作部302から入力された操作信号は、制御部303へと出力される。さらに、この操作信号は、制御部303から、共有サーバ400を介して、OCT装置100の制御部107に出力される。
【0095】
制御部303は、一般的なCPU、RAM、ROM、等を備え、遠隔操作部300を制御して、モニタ301の表示を制御する。制御部303には、モニタ301及び操作部302等が電気的に接続される。
【0096】
本実施例において、制御部303は、モニタ301を制御して、モニタ301の画面上に操作画面500と撮影画像600を同時に表示させる。なお、操作画面500と撮影画像600を同時に表示させるとは、操作画面500と撮影画像600を必ずしも同じタイミングで表示させることに限定されない。操作画面500と撮影画像600との双方がモニタ301の画面上に表示された状態となればよく、操作画面500と撮影画像600が異なるタイミングで表示されてもよい。
【0097】
一例として、制御部303は、操作画面500を表示させるための操作信号(第1操作信号)と、撮影画像600を表示させるための操作信号(第2操作信号)と、のそれぞれに基づいて、モニタ301の画面上に、操作画面500と撮影画像600を表示してもよい。例えば、これらの操作信号に基づいて、操作画面500と撮影画像600のいずれか一方が先にモニタ301の画面上に表示され、他方が後からモニタ301の画面上に表示されてもよい。すなわち、操作画面500と撮影画像600が異なるタイミングで表示されてもよい。なお、第1操作信号と第2操作信号は兼用されてもよく、第1操作信号(第2操作信号)の出力に基づいて、操作画面500と撮影画像600が同じタイミングで表示されてもよい。
【0098】
<動作の割り当て>
検眼システム1は、OCT装置100が各種の動作を実行するための操作信号の入力を、OCT装置100が備える操作部101と、遠隔操作部300が備える操作部302と、のそれぞれに割り当てることができる。例えば、OCT装置100の動作は、OCT装置100と被検眼Eとの位置合わせ、OCTデータを取得するための設定、検査の開始、顎台104bの高さ調整、等を行うための動作でもよい(詳細は後述する)。
【0099】
OCT装置100における動作の割り当ては、OCT装置100の動作毎に予め設定されていてもよい。検者Dにより任意に設定可能であってもよい。OCT装置100を操作する操作者(例えば、検者D)の操作者情報に応じて、自動的に設定が変更されてもよい。
【0100】
<操作者情報の表示>
検眼システム1は、OCT装置100を操作する操作者(例えば、検者D)の操作者情報を取得し、被検者Pに操作者情報を提示することができる。例えば、操作者情報は、ユーザーIDの入力、一次元コード(例えば、バーコード)や二次元コード(例えば、QRコード(登録商標))の読み取り、等により取得されてもよい。
【0101】
<動作>
上記の構成を備える検眼システムを用いて、操作部屋20に居る検者Dが、検査室10に入室した被検者PをOCT装置100まで誘導し、OCT装置100を用いて被検眼Eの検査を行う動作を説明する。
【0102】
<OCT装置の電源投入>
まず、検者Dは、OCT装置100の電源を投入する。例えば、検者Dは、操作部302を操作して、モニタ301に表示されたOCT装置100の電源を投入するための図示なき電源スイッチを選択する。遠隔操作部300の制御部303は、電源スイッチから入力された操作信号を、共有サーバ400を経由して、OCT装置100の制御部107へ送信する。OCT装置100の制御部107は、受信した操作信号に応じて、OCT装置100を起動させる。OCT装置100が起動すると、OCT装置100が起動したことを示す完了信号が発せられる。
【0103】
<遠隔操作部への操作画面の表示>
OCT装置100の制御部107は、完了信号に応じて、遠隔操作部300の制御部303に、OCT装置100を操作するための操作画面500を送信する。制御部303は、受信した操作画面500を、モニタ301に表示させる。
【0104】
<OCT装置の動作の割り当て>
検者Dは、OCT装置100が各種の動作を実行するための操作信号の入力を、検者Dが操作する操作部302と、被検者Pが操作する操作部101と、のそれぞれに予め割り当てる。検者Dは、モニタ301に表示された操作画面500を操作して、OCT装置100の動作の割り当てを設定するための動作設定画面503を呼び出す。
【0105】
図5は、動作設定画面503の一例である。動作設定画面503には、OCT装置100における動作の一覧503a、検者Dが操作する操作部302(図5では第1操作部と表示)に割り当てる動作を選択するためのボックス503b、被検者Pが操作する操作部101(図5では第2操作部と表示)に割り当てる動作を選択するためのボックス503c、等が表示される。
【0106】
検者Dは、OCT装置100の各種の動作に対して、操作部302から操作信号を入力するか、操作部101から操作信号を入力するか、操作部302及び操作部101から操作信号を入力するか、を変更する。すなわち、OCT装置100に対して、各種の動作の実行を、検者Dが指示するか、被検者Pが指示するか、検者D及び被検者Pが指示するか、を選択する。
【0107】
例えば、OCT装置100と被検眼Eとの位置合わせ(アライメント)を行うためのアライメント動作を例に挙げて、その割り当てについて説明する。
【0108】
本実施例では、操作部屋20に検者Dが、検査室10に被検者Pが居るため、検者Dは、モニタ301に表示される操作画面500(例えば、前眼部画像501)と撮影画像500を観察することで、被検者Pの被検眼Eを間接的に確認する。OCT装置100と被検眼Eのアライメントでは、被検眼Eに対して測定部103を上下方向、左右方向、及び前後方向に移動させる必要がある。しかし、検者Dは、モニタ301越しに被検眼Eをみているため、被検眼Eと測定部103との位置関係を把握することが難しい。特に、被検眼Eと測定部103との前後方向の位置関係(言い換えると、被検眼Eと測定部103との距離感)を把握することが難しい。
【0109】
そこで、検者Dは、アライメント動作を実行するための操作信号の入力を、被検者Pが操作する操作部101に割り当てることで、被検者Pがアライメント動作の実行を指示できるように設定してもよい。検者Dは、動作設定画面503において、操作部101(第2操作部)に割り当てる動作を選択するボックス503cのうち、アライメント動作に対応するボックスB1bを選択する。
【0110】
遠隔操作部300の制御部303は、ボックスB1bが選択されたことにより発せられる選択信号を、共有サーバ400を経由して、OCT装置100の制御部107へ送信する。OCT装置100の制御部107は、受信した選択信号に応じて、操作部101にアライメント動作を実行するための操作信号の入力を許可する。
【0111】
例えば、このようにして、OCT装置100と被検眼Eとのアライメントを行うためのアライメント動作が、操作部101にのみ割り当てられてもよい。すなわち、アライメント動作の実行を、被検者Pのみが指示できるように設定されてもよい。
【0112】
なお、本実施例において、検者Dは、操作部302(第1操作部)に割り当てる動作を選択するボックス503bのうち、アライメント動作に対応するボックスB1aを選択していない。この場合には、ボックスB1aが選択されたことによる選択信号が発せられないので、遠隔操作部300の制御部303は、操作部302によるアライメント動作を実行するための操作信号の入力を禁止する。
【0113】
もちろん、検者Dは、アライメント動作に限定されず、OCT装置100によりOCTデータを得るための設定を行う動作(設定動作)、OCT装置100を用いた検査を開始するための動作(検査開始動作)、被検眼を撮影するための動作(撮影動作)、顎台104bの高さを調節するための動作(顎台調節動作)、等を、操作部302及び操作部101の少なくともいずれかに割り当てるように、それぞれを設定してもよい。
【0114】
例えば、本実施例では、設定動作と検査開始動作が、操作部302にのみ割り当てられる。すなわち、設定動作と検査開始動作の実行を、検者Dのみが指示できるように設定される。また、例えば、本実施例では、顎台調節動作が、操作部302と操作部101に割り当てられる。すなわち、顎台調節動作の実行を、検者Dと被検者Pが指示できるように設定される。
【0115】
<撮影部の電源投入>
検者Dは、OCT装置100の動作の割り当てを終えると、撮影部200の電源を投入する。例えば、検者Dは、操作部302を操作して、モニタ301に表示された撮影部200の電源を投入するための図示なき電源スイッチを選択する。遠隔操作部300の制御部303は、電源スイッチから入力された操作信号を、共有サーバ400を経由して、撮影部200の制御部202へ送信する。撮影部200の制御部202は、受信した操作信号に応じて、撮影部200を起動させる。撮影部200が起動すると、撮影部200が起動したことを示す完了信号が発せられる。
【0116】
<遠隔操作部への撮影画像の表示>
撮影部200の制御部202は、完了信号に応じて、検査室10の撮影を開始する。撮影部200の制御部202は、遠隔操作部300の制御部303に検出器201により逐次撮影される撮影画像600を送信する。制御部303は、受信した撮影画像600を、モニタ301に表示させる。
【0117】
例えば、検者Dが観察するモニタ301には、このようにして、OCT装置100の操作画面500と、撮影部200が撮影した検査室10の撮影画像600と、が同時に表示される。すなわち、モニタ301には、操作画面500と撮影画像600が、同一の画面上に表示される。
【0118】
<被検者の誘導>
検者Dは、モニタ301に表示された撮影画像500を観察し、被検者Pが検査室10に入室したことを確認すると、被検者PにOCT装置100の前へ座るように指示を出す。また、検者Dは、被検者PがOCT装置100の前へ座ったことを確認すると、被検者PにOCT装置100の顎台104bに顎を載せるように指示を出す。
【0119】
OCT装置100の顎台104bには、検出器105が設けられている。検出器105は、外部からの荷重を検知した際に、被検者Pの顎が顎台104bに載置されたと検出する。また、検出器105は、この荷重を電気信号に変換して、制御部107へ出力する。
【0120】
制御部107は、電気信号が入力されると、被検者Pの顎が顎台104bに載置され、被検眼Eの検査が可能な状態になったと判定する。また、制御部107は、被検眼Eの検査が可能な状態になったことを示す判定結果を、共有サーバ400を経由して、遠隔操作部300の制御部303へ送信する。遠隔操作部300の制御部303は、検出器105の検出結果に基づいて、モニタ301にメッセージM1(図6参照)を表示してもよい。例えば、本実施例では、被検眼Eの検査が可能な状態であることが検出されると、検者Dが次の動作を開始できることを報知するようなメッセージが表示される。
【0121】
検者Dは、被検者PをOCT装置100まで誘導し、被検眼の検査が可能な状態となったことを確認すると、モニタ301に表示された図示なき電源スイッチを選択して、検査室10の電気を消灯する。本実施例において、撮影部200は暗視カメラであるため、検査室10の電気が消灯されても、撮影画像600が暗視下にて撮影され、モニタ301で検査室10や被検者Pの様子を観察することができる。
【0122】
<被検眼のアライメント>
検者Dは、モニタ301に表示された撮影画像600を観察し、被検者Pに測定部103が備える図示なきモニタを注視するように指示を出す。例えば、図示なきモニタには、検者Dが被検者Pに出す指示の内容がメッセージとして表示されてもよい。また、例えば、図示なきモニタには、被検眼を固視させるための固視標が表示されてもよい。例えば、このようなメッセージが一定時間表示された後、自動的に固視標へ切り換わるようにしてもよい。もちろん、メッセージと固視標が同時に表示されてもよい。
【0123】
また、検者Dは、モニタ301に表示された撮影画像600を観察し、被検者Pにアライメントを開始するように指示を出す。例えば、検者Dは、被検者Pに、OCT装置100の操作部101に設けられた図示なきアライメント開始スイッチを操作するように指示を出してもよい。被検者Pがアライメント開始スイッチを操作すると、制御部107は、アライメント開始スイッチからの開始信号に応じて、前眼部撮影光学系を制御し、被検眼Eの前眼部画像501を撮影するとともに、被検眼Eの角膜にアライメント指標像K1を投影する。また、制御部107は、アライメント指標像K1を利用して、測定部103の測定光軸に対する被検眼Eの角膜頂点位置(略角膜頂点位置)の位置ずれを検出し、自動アライメントを行う。
【0124】
図6は、モニタ301の画面の一例である。OCT装置100の制御部107は、遠隔操作部300の制御部303へ共有サーバ400を経由して前眼部画像501を送信し、制御部303は前眼部画像501をモニタ301に表示させる。すなわち、モニタ301には、OCT装置100の操作画面500として、被検眼Eの前眼部画像501が表示される。検者Dは、モニタ301に表示された前眼部画像501を観察することで、OCT装置100と被検眼Eとのアライメント状態を確認することができる。
【0125】
なお、本実施例において、OCT装置100におけるアライメント動作は、検者Dが操作する操作部302には割り当てられていない。このため、検者Dが操作部302を操作しても、アライメント動作を実行するための操作信号が入力されないようになっている。なお、このとき、検者Dが観察するモニタ301には、操作部302からの操作ができない状態になっていることを示すメッセーが表示されてもよい。
【0126】
もちろん、被検者Pが操作する操作部101に加えて、検者Dが操作する操作部302にもアライメント動作を割り当て、被検者Pによるアライメントが上手くいかなかったとき等に、検者Dがアライメントを実行できるようにしてもよい。
【0127】
<顎台の調節>
上記の自動アライメントにおいて、被検眼Eが測定部103の上下方向における移動限界よりも高い位置あるいは低い位置にずれているとき等には、測定部103の移動が途中で停止し、アライメントが上手くいかない場合がある。このため、検者Dは、前眼部画像501を観察し、必要に応じて顎台104bの高さを調節する。
【0128】
検者Dは、被検者Pに、操作部101に設けられた図示なき顎台調節スイッチを操作して、顎台104bの高さを調節するように指示を出してもよい。例えば、図6では、被検眼Eが測定部103に対して高い状態にあるので、顎台104bを下げるように指示を出してよい。被検者Pが顎台調節スイッチを操作すると、制御部107は、顎台調節スイッチからの調節信号に応じて、顎台104bを下方向に移動させる。また、検者Dは、モニタ301に表示された前眼部画像501を観察し、前眼部画像501に映る被検眼Eの位置が下がったことを確認すると、被検者Pに、自動アライメントを再度行うように指示を出してもよい。
【0129】
もちろん、検者Dは、遠隔操作部300の操作部302を操作して、モニタ301に表示された図示なき顎台調節スイッチを選択することで、顎台104bの高さを調節してもよい。遠隔操作部300の制御部303は、顎台調節スイッチから入力された操作信号を、共有サーバ400を経由して、OCT装置100の制御部107へ送信する。OCT装置100の制御部107は、受信した操作信号に応じて、顎台104bを上下方向に移動させる。
【0130】
<検査条件の設定>
検者Dは、OCT装置100と被検眼Eのアライメントが完了すると、被検眼Eの検査を開始するための条件を設定する。検者Dは、モニタ301に表示された操作画面500を操作して、OCT装置100の検査条件を設定するための設定画面を呼び出す。また、検者Dは、設定画面を操作して、測定光の走査位置、測定光の走査パターン(例えば、ラインスキャン、ラスタースキャン、サークルスキャン、ラジアルスキャン、等)、等の条件を設定する。
【0131】
遠隔操作部300の制御部303は、それぞれの条件を選択したことにより発せられる選択信号を、共有サーバ400を経由して、OCT装置100の制御部107へ送信する。OCT装置100の制御部107は、受信した選択信号に応じて、OCT装置100の検査条件を設定する。
【0132】
なお、本実施例では、検者Dによる操作部302の操作で発せられる操作信号(第1操作信号)と、被検者Pによる操作部101の操作で発せられる操作信号(第2操作信号)と、のいずれか一方の操作信号によりOCT装置100の動作が実行されている際には、他方の操作信号によるOCT装置100の動作の実行が禁止されている。このため、検者Dが設定動作を実行している際には、被検者Pによるアライメント動作や顎台調節動作の実行が禁止される。例えば、検者Dが操作部302を操作している際には、被検者Pが操作部101を操作しても、操作部101による操作信号の入力が無効化されるようになっていてもよい。例えば、操作部101による操作信号の入力が無効化された状態であることは、図示なきスピーカから音声として報知されてもよい。
【0133】
<検査の開始>
検者Dは、OCT装置100の検査条件を設定すると、被検眼Eの検査を開始する。例えば、検者Dは、操作部302を操作して、モニタ301に表示されたOCT装置100の検査を開始するための図示なき検査開始スイッチを選択する。遠隔操作部300の制御部303は、検査開始スイッチから入力された開始信号を、共有サーバ400を経由して、OCT装置100の制御部107へ送信する。OCT装置100の制御部107は、受信した開始信号に応じて、OCT装置100による検査を開始する。なお、制御部107は、受信した開始信号に応じて、測定部103の図示なきモニタに、撮影が開始されることを表すメッセージを表示するようにしてもよい。
【0134】
例えば、OCT装置100の制御部107は、開始信号に応じて、検者Dが所望する被検眼Eの眼底部位を高感度・高解像度で観察するための最適化制御(例えば、光路長の調整、フォーカスの調整、偏光状態の調整、等)と、OCTデータの取得と、を実行する。OCT装置100の制御部107は、取得したOCTデータから被検眼Eの断層画像を生成し、共有サーバ400を経由して、この断層画像を遠隔操作部300の制御部303へ送信してもよい。なお、このとき、制御部107は、断層画像の解像度を下げた状態や、断層画像を圧縮した状態で、制御部303へ送信してもよい。制御部303は、断層画像502を受信すると、断層画像502をモニタ301に表示させてもよい。すなわち、モニタ301には、OCT装置100の操作画面500として、被検眼Eの断層画像502が表示されてもよい。検者Dは、モニタ301に表示された断層画像502を観察することで、被検者Pから離れていても、被検眼Eの検査を容易に行うことができる。
【0135】
なお、例えば、OCT装置100による撮影が終了した際には、測定部103の図示なきモニタが、固視標から撮影が終了したことを示すメッセージに切り換えられてもよい。
【0136】
<検者情報の表示>
なお、本実施例における検眼システム1は、OCT装置100を操作する操作者情報(例えば、検者Dに係る情報、等)を、被検者Pに提示するようにしてもよい。例えば、操作者情報は、操作者の名前、所属、等の少なくともいずれかの情報であってもよく、検者Dが個々にもつユーザーIDに対応付けられて、共有サーバ400のメモリ402に記憶されていてもよい。
【0137】
図7は、被検者Pに提示される操作者情報700の一例である。例えば、検者Dは、遠隔操作部300を用いる際に、ユーザーIDを入力する。遠隔操作部300の制御部303は、ユーザーIDを共有サーバ400の制御部401に送信する。制御部401は、ユーザーIDを受信すると、ユーザーIDに対応する操作者情報をメモリ402から呼び出し、操作者情報をOCT装置100の制御部107に送信する。制御部107は、操作者情報をモニタに表示させることで、被検者Pに操作者情報を提示してもよい。なお、操作者情報700は、OCT装置100とは別に設けられたモニタに表示されてもよいし、OCT装置100の測定部103内に設けられたモニタに表示されてもよい。
【0138】
以上説明したように、例えば、本実施例における検眼システムは、被検者の被検眼検査する検眼装置と、被検者及び検眼装置を含む検査室を撮影する撮影手段と、検眼装置を操作するための操作画面及び撮影手段により撮影された撮影画像を表示する表示手段と、表示手段の表示を制御して、表示手段に操作画面及び撮影画像を表示させる表示制御手段と、を有し、表示手段に表示された撮影画像を観察することで、被検者を検査位置まで誘導可能とする遠隔操作手段と、を備える。検眼システムがこのような構成であることにより、検者と被検者が同一の空間に居なくても、検者は被検者を観察しながら適切な指示を出し、被検眼の検査を効率よく進めることができる。
【0139】
また、例えば、本実施例における検眼システムは、検眼装置を操作するための操作画面と、撮影手段により撮影された撮影画像と、を表示手段の同一画面上に表示させる。これによって、検者は、被検者と同一の空間に居なくても、被検者の一連の動作(例えば、被検者が検査室に入室してから検眼装置を用いて被検眼の検査が可能な状態となるまでの動作、等)や、被検者の様子(例えば、被検眼を検査している間の様子、等)を、検眼装置を操作しながら観察することができる。このため、被検眼の検査を効率よく行うことができる。
【0140】
また、例えば、本実施例における検眼システムにおいて、撮影手段は、検査室を暗視下で撮影する暗視カメラを有し、検査室を暗視下で撮影可能とする。眼科分野では、検査室の照明機器等、周囲の光の変化による検査精度への影響を軽減させるため、被検眼を検査する際に暗室を作ることが多い。暗視下での撮影を可能とすることで、暗室でも被検者の様子を観察できるとともに、被検眼を精度よく検査することができる。
【0141】
また、例えば、本実施例における検眼システムにおいて、検眼装置は、被検眼の検査が可能な状態であるか否かを判定する判定手段と、判定手段の判定結果に基づく判定情報を出力する第1出力手段と、を備える。例えば、判定情報が出力されることで、検者は、被検者の検査が可能な状態になったかどうかを、容易に把握することができる。
【0142】
また、例えば、本実施例における検眼システムにおいて、検眼装置は、被検眼の検査が可能な状態であるか否かを判定する判定手段と、判定手段の判定結果に基づいて、検眼装置または遠隔操作手段の少なくともいずれかに、次の動作を指示するための指示信号を出力する第2出力手段と、を備える。これにより、検者は、被検眼の検査を効率よく進めることができる。
【0143】
また、例えば、本実施例において、検査室には、検査室の上方に撮影手段が配置されている。これによって、撮影手段は検査室の全体を撮影しやすくなるとともに、検者は撮影手段により撮影された撮影画像を用いて検査室の様子を把握しやすくなる。なお、このとき、検査室の上方かつ角部に撮影手段が配置されることで、簡易なカメラを使用しても、検査室の全体を撮影しやすくなる。
【0144】
また、例えば、本実施例における検眼システムは、被検眼を検査する検眼装置と、検眼装置の筐体または検眼装置の付近に設けられ、検眼装置を操作する第1操作部と、検眼装置から離れた場所に設けられ、検眼装置を操作する第2操作部と、第1操作部から入力される第1操作信号に、検眼装置における第1動作を割り当てる第1設定手段と、第2操作部から入力される第2操作信号に、検眼装置における第2動作を割り当てる第2設定手段と、を備える。これによって、検眼装置を操作する操作者(すなわち、検者、被検者、補助者、等)の居場所や技量、被検眼を検査する際の動作の内容、等に応じた適切な動作を割り当てることができる。検者は、検眼装置が配置された空間に居なくても、被検眼を容易に検査することができる。
【0145】
また、例えば、本実施例における検眼装置は、被検眼の眼底を撮影する眼底撮影手段を備え、第1設定手段と第2設定手段との少なくともいずれかは、操作信号に、眼底撮影手段による撮影を開始させるための動作を割り当てる。例えば、本実施例では、検者が操作する操作部に撮影開始動作が割り当てられ、被検者が操作する操作部には撮影開始動作が割り当てられない。このため、被検者により撮影開始の操作信号が発せられても、検眼装置の誤動作が抑制される。
【0146】
また、例えば、本実施例における検眼装置は、被検眼と検眼装置との位置合わせを行うアライメント手段を備え、第1設定手段と第2設定手段との少なくともいずれかは、操作信号に、アライメント手段による位置合わせを行うための動作を割り当てる。例えば、本実施例では、検者が操作する操作部にアライメント動作は割り当てられず、被検者が操作する操作部にアライメント動作が割り当てられる。被検眼と装置との距離感が把握できる被検者がアライメント動作を行うことで、安全にアライメントを行うことができる。
【0147】
また、例えば、本実施例における検眼システムは、検眼装置を操作する操作者情報を取得する取得手段と、操作者情報を表示可能な表示手段と、表示手段に操作者情報を表示させる表示制御手段と、を備える。これによって、検者と被検者が同一の空間に居なくても、被検者は検者の情報を知り、安心して検査を受けることができる。
【0148】
<変容例>
なお、本実施例では、検者Dの音声により被検者Pを誘導する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、OCT装置100、OCT装置100までの通路、椅子、等にランプを設け、ランプを点灯もしくは点滅させることにより、被検者Pを誘導してもよい。検者Dは、遠隔操作部300のモニタ301に表示される撮影画像600をみながら、被検者PがOCT装置100へ向かうかを確認し、適切な指示を出してもよい。
【0149】
なお、本実施例では、撮影部200及び遠隔操作部300が図示なきマイクとスピーカを備える構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。本実施例では、検者D及び被検者Pの音声を互いに伝達することが可能であればよい。一例として、マイク及びスピーカが、OCT装置100、撮影部200、遠隔操作部300、とは別途設けられる構成としてもよい。また、一例として、マイク及びスピーカが、OCT装置100に設けられてもよい。
【0150】
なお、本実施例では、遠隔操作部300のモニタ301に、検査室10を撮影した撮影画像600と、OCT装置100を操作するための操作画面500と、を同時に表示する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、撮影画像600と操作画面500は、モニタ301の画面上に切り換えて表示されてもよい。この場合、OCT装置100の制御部107は、撮影画像600と操作画面500を切り換えるための切換信号に基づいて、撮影画像600と操作画面500を切り換えるようにしてもよい。例えば、切換信号は、検者Dが撮影画像600と操作画面500を切り換えるための切換スイッチを操作することにより発せられてもよい。また、例えば、切換信号は、OCT装置100や撮影部200の起動、アライメントの完了、検出器105による電気信号の出力、等により発せられてもよい。
【0151】
例えば、このように、本実施例における検眼システムは、検眼装置を操作するための操作画面と、撮影手段により撮影された撮影画像と、を切り換えるための切換信号を取得する信号取得手段を備え、表示制御手段は、切換信号に基づいて、検眼装置を操作するための操作画面と、撮影手段により撮影された撮影画像と、を表示手段の画面上に切り換えて表示させる。検者は、操作画面と撮影画像が手動または自動で切り換わる画面を観察しながら、容易に、被検者に指示を出したり、被検眼を検査したりできる。
【0152】
なお、本実施例では、遠隔操作部300が、モニタ301と操作部302を有する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、遠隔操作部300は、モニタ301を有するが、操作部302を有しない構成としてもよい。この場合、OCT装置100は、被検眼Eに対するアライメントの開始から検査の終了までを全自動(フルオート)で制御するための構成を備えていてもよい。検者Dは、モニタ301に表示された撮影画像600を観察しながら被検者PをOCT装置100まで誘導し、OCT装置100は、被検者Pの検査が可能な状態となったことを判定して、全自動制御を行ってもよい。
【0153】
なお、本実施例では、操作部屋20に検者Dが、検査室10に被検者Pが居り、検者Dが撮影画像600を観察しながら被検者Pに指示を出す場合を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、操作部屋20に検者Dが、検査室10に被検者Pと被検者Pを補助する補助者が居り、検者Dが撮影画像600を観察しながら補助者に指示を出してもよい。この場合、検者Dは、被検者Pの誘導、検査室10の電気の消灯と点灯、被検眼のアライメントの開始、顎台の調節、等を補助者に指示してもよい。また、この場合、検者Dは、OCT装置100における各種の動作の割り当てを変更してもよい。例えば、補助者が操作する操作部としては、OCT装置100に設けられた操作部101を用いてもよいし、モニタ106を用いてもよい。
【0154】
なお、本実施例では、検者Dが操作する操作部302と、被検者Pが操作する操作部101と、に対して、アライメント動作におけるすべての動作を割り当てる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。操作部302と操作部101に対して、アライメント動作における少なくとも一部の動作を割り当てる構成でもよい。より詳細には、測定部103を上下方向に移動させる上下動作、測定部103を左右方向に移動させる左右動作、測定部103を前後方向に移動させる前後動作、をそれぞれに割り当てる構成でもよい。もちろん、操作部302と操作部101に対して割り当てられる動作が重複してもよい。
【0155】
一例として、検者Dが操作する操作部302に、アライメント動作における上下動作と左右動作を割り当て、被検者P(または補助者)が操作する操作部101に、アライメント動作における前後動作を割り当ててもよい。また、一例として、検者Dが操作する操作部302に、アライメント動作における上下動作と左右動作を割り当て、被検者P(または補助者)が操作する操作部101に、アライメント動作におけるすべての動作(すなわち、上下動作、左右動作、及び前後動作)を割り当ててもよい。
【0156】
なお、本実施例では、OCT装置100における各種の動作を、操作部101及び操作部302に割り当てないことで、各種の動作を実行するための操作信号の入力を禁止する設定を行う構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、操作部101及び操作部302に、OCT装置100における各種の動作の実行を禁止するための禁止設定を行う構成としてもよい。
【0157】
操作部101に対してこのような禁止設定が行われた場合、一例として、操作部101からの操作信号が制御部107へ送信されないように、操作信号の入力が禁止されてもよい。また、一例として、操作部101からの操作信号を制御部107が受信しないように、操作部101と制御部107との間の通信経路において、操作信号が無効化されてもよい。また、一例として、操作部101からの操作信号を制御部107が受信しても、操作信号に基づく動作を行わないように制御されてもよい。
【0158】
操作部302に対してこのような禁止設定が行われた場合、一例として、操作部302からの操作信号が制御部303へ送信されないように、操作信号の入力が禁止されてもよい。また、一例として、操作部302からの操作信号を制御部107が受信しないように、操作部302と共有サーバ400との間の通信経路、あるいは、共有サーバ400と操作部101との間の通信経路、のいずれかにおいて操作信号が無効化されてもよい。また、一例として、操作部302からの操作信号を制御部107が受信しても、操作信号に基づく動作を行わないように制御されてもよい。
【0159】
例えば、このように、本実施例における検眼システムは、第1操作信号と第2操作信号とのいずれか一方の操作信号による検眼装置の動作が実行されている際には、他方の操作信号による検眼装置の動作の実行を禁止する動作制御手段を備える。これによって、一方の操作信号に基づく制御動作が実行されている途中で、他方の操作信号に基づく制御動作に切り換わることが抑制され、被検眼の検査を効率よく安全に行うことができる。
【0160】
なお、本実施例では、検者Dが操作する操作部302と、被検者Pが操作する操作部101と、に対して、一方の操作部を用いている間は、他方の操作部による動作の実行を禁止する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。一例として、被検眼Eを検査する際に行う動作によっては、操作部302による動作の実行が優先されるようにしてもよい。つまり、操作部101により所定の動作が実行されているときであっても、操作部302を操作することで、操作部101による動作の実行が禁止され、操作部302に所定の動作の実行が許可されるような構成としてもよい。もちろん、被検眼Eを検査する際に行う動作によっては、操作部101による動作の実行が優先されるようにしてもよい。
【0161】
なお、本実施例では、撮影部200を検査室10に設ける構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、撮影部200をOCT装置100に設ける構成としてもよい。一例として、撮影部200がOCT装置100の上部に積層配置されてもよい。また、一例として、撮影部200がOCT装置100の側部に並列配置されてもよい。このような場合には、撮影部200によって、被検者を含む検査室10が撮影されてもよい。
【符号の説明】
【0162】
1 検眼システム
10 検査室
100 検眼装置
200 撮影部
300 遠隔操作部
400 共有サーバ
500 操作画面
600 撮影画像
700 操作者情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7