(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】遊戯乗物装置
(51)【国際特許分類】
A63G 21/04 20060101AFI20230911BHJP
A63G 21/06 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
A63G21/04
A63G21/06
(21)【出願番号】P 2019110659
(22)【出願日】2019-06-13
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】515349227
【氏名又は名称】株式会社トーゴサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100110560
【氏名又は名称】松下 恵三
(74)【代理人】
【識別番号】100182604
【氏名又は名称】長谷川 二美
(72)【発明者】
【氏名】小島 俊男
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3203713(JP,U)
【文献】特表2002-541940(JP,A)
【文献】特開2002-011257(JP,A)
【文献】特開2001-300151(JP,A)
【文献】実開昭57-026283(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00-33/00
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接するスタート地点から出発し、隣接するゴール地点に帰着する少なくとも2本以上の周回軌道と、
各周回軌道上を走行する走行車両と、
前記周回軌道上の所定位置に設けられ、前記走行車両の通過及び通過速度を検出する検出手段と、
前記周回軌道上且つ前記検出手段より進行方向側に設置されたブレーキ手段と、
前記検出手段から
検出された前記走行車両の通過信号及び前記通過速度に基づいて、各走行車両がゴール地点に到着する時間を揃えるために必要な各走行車両ごとの減速量を算出して各ブレーキ手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする遊戯乗物装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記走行車両が、前記検出手段が設置された箇所を通過したことを感知する通過時間測定部と、
前記走行車両の前記検出手段が設置された箇所を通過する際の
前記通過速度を測定する通過速度測定部と、
前記周回軌道の距離を記憶する軌道距離記憶部と、
前記走行車両の走行抵抗を記憶する走行抵抗記憶部と、
前記検出手段からの
前記通過信号及び前記通過速度に基いて各走行車両がゴール地点に到着する時間を揃えるために必要な各走行車両ごとの減速量を算出する最適速度算出部と、
前記最適速度算出部から
算出された前記減速量に基づいて各走行車両が減速する必要がある場合にブレーキ信号を出力する減速判定部と、
前記減速判定部からの
前記ブレーキ信号に基づいて
、前記ブレーキ手段を発動させるブレーキ制御部と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の遊戯乗物装置。
【請求項3】
前記走行車両は、前記周回軌道ごとに、座席形態または座席数が異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊戯乗物装置。
【請求項4】
前記制御手段は、予め入力された前記走行車両の走行抵抗の値と、前記検出手段からの
前記通過信号及び前記通過速度から、前記走行車両の速度を前記走行車両が所定時間に前記ゴール地点に到着するために必要な減速量を算出し、
前記ブレーキ制御部は、前記ブレーキ
手段に前記減速量を出力
させることを特徴とする請求項
2に記載の遊戯乗物装置。
【請求項5】
前記制御手段は、少なくとも2つ以上設置され、第一の制御手段は、前記走行車両の速度を前記走行車両が所定時間に前記ゴール地点に到着するために必要な減速量より少ない減速量を前記ブレーキ手段に出力
させ、第二の制御手段
は、前記必要な減速量を前記ブレーキ手段に出力
させることを特徴とする請求項1から請求項4いずれか1つに記載の遊戯乗物装置。
【請求項6】
前記ブレーキ手段は、前記周回軌道上且つ前記検出手段より高い位置に設けられたことを特徴とする請求項1から請求項5いずれか1つに記載の遊戯乗物装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊園地等に設置され、周回軌道を走行する単車両又は連結車両からなる遊戯乗物装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊園地等に設置されるジェットコースターは、アップダウンを設けた周回軌道を車両が走行することで加速と減速を与え、乗客にスリルとスピード感を与える娯楽遊具である。
利用客に、目新しい刺激、スリルを与えるべく、従来より、様々な周回軌道、様々な形態の車両が考案されてきた。特許文献1の軌道走行型乗物装置は、周回軌道上に、遮蔽領域を含む周回軌道を敷設し、車両内部が外界から遮蔽されるカプセル型車両を走行させ、車両に振動あるいは揺動を与え、車両内部に映像や音響による演出を行って、利用者に模擬体験を与える。特許文献2の遊戯用乗物装置は、搭乗者がヘッドマウントディスプレイを装着し、乗車しているライドの走行速度に合わせた映像演出を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-186号公報
【文献】特開2017-200536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら装置は、個々の車両に映像演出や音響演出の装置を施したり、利用者に個別に装着してもらうヘッドマウントディスプレイを準備する必要があり、多額の設備投資と人件費が必要である。
【0005】
そこで、本発明の遊戯乗物装置は、映像演出や音響演出を行わず、遊戯乗物装置が敷設される環境を最大限に生かして娯楽性の高い遊戯乗物装置を提供する。本発明の遊戯乗物装置は、バリエーションに富んだ複数のコースを備えており、各コースを、それぞれ違う形態の走行車両が走行する。利用者は、乗る間際まで、どの走行車両に乗って、どのコースを走行するかが予測できず、ワクワクした気持ちになる。また、この遊戯用乗物装置は、同時に出発した他の走行車両が、ゴール前で合流し、同時にゴール地点に到着する。利用者は、同時にスタートした他の走行車両と、ゴール前で再会するので興奮し、また、次回は別の走行車両で別のコースを走行したい気持ちになる。本発明の遊戯乗物装置は、娯楽性が高く、利用者のリピート率が高い。さらに、複数の走行車両が同時にスタートして同時にゴールするので、利用客の誘導作業が効率よく行える。誘導員の配置や人数を最小限にすることができ、人件費等コストも低く運用できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊戯乗物装置は、隣接するスタート地点から出発し、隣接するゴール地点に帰着する少なくとも2本以上の周回軌道と、各周回軌道上を走行する走行車両と、前記周回軌道上の所定位置に設けられ、前記走行車両の通過及び通過速度を検出する検出手段と、前記周回軌道上且つ前記検出手段より進行方向側に設置されたブレーキ手段と、前記検出手段からの信号に基づいて、各走行車両がゴール地点に到着する時間を揃えるために必要な各走行車両ごとの減速量を算出して各ブレーキ手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、スタート地点を同時に出発した複数の走行車両は、それぞれの周回軌道ごとに異なる軌道を走行し、検出手段、制御手段及びブレーキ装置の相互作用で走行時間を同タイムに調整し、同時にゴール地点に帰着する。利用者は、おのおのが乗車する走行車両が、それぞれの周回軌道に分かれたあと、ゴール地点で再度合流し同時に帰着して再会するので、利用客同士が驚くとともに、一体感を感じ、興奮を分かち合うことができる。また、複数の走行車両が同時にスタートし、同時にゴールするので、それぞれの走行車両に乗客を誘導し、それぞれの走行車両から降りてきた乗客を出口に誘導することが効率よく行える。
【0008】
また、本発明の遊戯乗物装置の前記制御手段は、前記制御手段は、前記走行車両が、前記検出手段が設置された箇所を通過したことを感知する通過時間測定部と、前記走行車両の前記検出手段が設置された箇所を通過する際の通過速度を測定する通過速度測定部と、前記周回軌道の距離を記憶する軌道距離記憶部と、前記走行車両の走行抵抗を記憶する走行抵抗記憶部と、前記検出手段からの情報に基いて各走行車両がゴール地点に到着する時間を揃えるために必要な各走行車両ごとの減速量を算出する最適速度算出部と、前記最適速度算出部からの情報に基づいて各走行車両が減速する必要がある場合にブレーキ信号を出力する減速判定部と、前記減速判定部からの信号に基づいて前記周回軌道上且つ前記検出手段より進行方向側に設置されたブレーキ手段を発動させるブレーキ制御部と、からなることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、走行車両が、前記検出手段が設置された箇所を通過した際の通過時間と通過速度を検出し、予め記憶された前記周回軌道の距離情報と、走行車両の走行抵抗情報とから、走行車両が所定時間に前記ゴール地点に到着するために必要な減速量を算出して前記走行車両が減速する必要があるか否かを判定し、減速必要ありと判断した場合はブレーキ制御部にブレーキ信号と減速量を出力してブレーキ装置を発動させる。異なる周回軌道を走行する4つの走行車両は、同じ時間にゴール地点に到着するよう、制御手段とブレーキ装置で速度を調整される。スタート地点を同時に出発した複数の走行車両は、同タイムで、同時にゴール地点に帰着する。利用者は、同時にスタートした別の走行車両がゴール地点で再度合流するので、興奮する。また、別の走行車両を見ると、座席形態や座席数が違うので、次は、別の座席形態の走行車両に乗りたい気持ちになり、利用客のリピート率を高めることができる。また、複数の走行車両が同時にスタートし、同時にゴールするので、それぞれの走行車両に乗客を誘導する係、それぞれの走行車両から降りてきた乗客を出口に誘導する係の仕事が効率よく行うことができ、多くの人数をさばくことができる。
【0010】
また、本発明の遊戯乗物装置の前記周回軌道ごとに、座席形態または座席数が異なることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、利用客は、どの走行車両に誘導されることになるのか、ワクワクした気持ちで待ち時間を過ごすことができ、娯楽性を高めた遊戯乗物装置を提供することができる。
【0012】
また、この発明の遊戯乗物装置の前記制御手段は、予め入力された前記走行車両の走行抵抗の値と、前記検出手段からの信号から、前記走行車両の速度を前記走行車両が所定時間に前記ゴール地点に到着するために必要な減速量を算出し、前記ブレーキ装置に前記減速量を出力することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、前記制御手段は、予め入力された前記走行車両それぞれの走行抵抗の値と、前記検出手段からの信号から、前記車両が所定時間にゴール地点に到達する速度に調整するために必要な減速量を正確に算出することができ、走行車両がスタート地点からゴール地点まで走行する時間を厳密に管理して、複数の車両を同時にゴール地点に到着させることができる。
【0014】
また、この発明の遊戯乗物装置の前記制御手段は、少なくとも2つ以上設置され、第一の制御手段は、前記走行車両の速度を前記走行車両が所定時間に前記ゴール地点に到着するために必要な減速量より少ない減速量を前記ブレーキ装置に出力し、第二の制御手段は、前記走行車両の速度を前記走行車両が所定時間に前記ゴール地点に到着するための減速量を前記ブレーキ装置に出力することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、2つの制御手段により、走行車両がスタート地点からゴール地点まで走行する時間を厳密に管理することができる。第一の制御手段は、予め入力された前記走行車両それぞれの走行抵抗の値と、前記検出手段からの信号から、前記車両が所定時間にゴール地点に到達する速度に調整するために必要な減速量を正確に算出してブレーキ装置を発動させるが、その際、必要な減速量より少ない減速量でブレーキ装置を発動させる。第二の制御手段は、前記検出手段からの信号から、前記車両が所定時間にゴール地点に到達する速度に調整するために必要な減速量でブレーキ装置を発動させる。自走式エンジンを搭載しない遊戯用乗物の走行車両の速度調整において、ブレーキ装置により減速はできるが、加速ができない。また、走行車両の速度は、その日の天候、乗車人数、周回軌道の状態その他様々な要素で誤差が生ずる。2つの制御手段で、走行車両の減速量を複数の制御手段で段階的に調節することにより、走行車両が必要以スタート地点からゴール地点まで走行する時間を厳密に管理することができ、複数の車両を、確実に、同時にゴール地点に到着させることができる。
【0016】
また、本発明の遊戯乗物装置の前記ブレーキ装置は、前記周回軌道上且つ前記検出手段より高い位置に設けられたことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、ブレーキ装置が周回軌道上の高い位置に設けられていることで、走行車両の速度が比較的遅くなっている場所でブレーキを発動することができるので、ブレーキを必要最小限の量で、効率的に効かせることができ、運用コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態1の遊戯乗物装置の周回軌道を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1のセンサー、制御装置、ブレーキを示す機能構成図である。
【
図3】本発明の実施の形態1のブレーキ制御の処理を説明するフローチャートである。
【
図4】(a)は、
図1に示した周回軌道の第二コース及び第三コースの高低差を示すグラフであり、(b)は第一コース及び第四コースの高低差を示すグラフである。
【
図5】本発明の実施の形態1の遊戯乗物装置100の走行車両の第一走行車両、第二走行車両、第三走行車両、第四走行車両を示す右側面図である。
【
図6】本発明の実施の形態1の遊戯乗物装置100の第一ブレーキと第二ブレーキを説明するための模式図であって、(a)は、ブレーキを発動する前のブレーキ6の正面図、(b)はブレーキを発動している状態のブレーキの正面図である。
【
図7】本発明の実施の形態1の遊戯乗物装置100の停止ブレーキとゴール前停止ブレーキを説明するための参考模式図であって、(a)は、ブレーキを発動する前のブレーキの正面図、(b)はブレーキを発動している状態のブレーキの正面図、(c)はブレーキを発動する前のブレーキの平面図、(d)は、ブレーキを発動している状態のブレーキの平面図である。
【
図8】
図1に示した周回軌道の第一コースを示す参考平面図である。
【
図9】
図8に示した周回軌道の第一コースの高低差を示すグラフである。
【
図10】第一コースを走行する第一走行車両の右側面図である。
【
図11】
図1に示した周回軌道の第二コースを示す参考平面図である。
【
図12】
図11に示した周回軌道の第二コースの高低差を示すグラフである。
【
図13】第二コースを走行する第二走行車両の右側面図である。
【
図14】
図1に示した周回軌道の第三コースを示す参考平面図である。
【
図15】
図14に示した周回軌道の第三コースの高低差を示すグラフである。
【
図16】第三コースを走行する第三走行車両の右側面図である。
【
図17】
図1に示した周回軌道2の第四コースを示す参考平面図である。
【
図18】
図17に示した周回軌道の第四コースの高低差を示すグラフである。
【
図19】第四コースを走行する第四走行車両の右側面図である。
【
図20】本発明の実施の形態2の遊戯乗物装置200の走行車両を示す右側面図である。
【
図21】本発明の実施の形態2にかかる遊戯乗物装置200であって、走行車両のスタート時の状態を示す参考平面図である。
【
図22】本発明の実施の形態2にかかる遊戯乗物装置200であって、走行車両がゴール前の状態を示す参考平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の遊戯乗物装置100の周回軌道2を示す平面図である。
図2は、本発明の実施の形態1のセンサー4、制御装置5、ブレーキ6を示す機能構成図である。
図3は、本発明の実施の形態1のブレーキ制御の処理を説明するフローチャートである。
図4(a)は、
図1に示した周回軌道2の第二コース22及び第三コース23の高低差を示すグラフであり、(b)は第一コース21及び第四コース24の高低差を示すグラフである。
【0020】
本発明の遊戯乗物装置100は、4つのコースを有する周回軌道2と、それぞれのコースを走行する4台の走行車両1を、主に有する。周回軌道2には、検出手段であるセンサー4とブレーキ手段であるブレーキ6が設けられている。センサー4とブレーキ6は、制御手段である制御装置5によって制御されている。
図1に示すように、周回軌道2の4つのコースは、乗降ステーション8をスタート及びゴール地点とする4つのコースで、それぞれ、第一コース21、第二コース22、第三コース23及び第四コース24となっている。4つの走行車両1である第一走行車両11、第二走行車両12、第三走行車両13及び第四走行車両14は、乗降ステーション8のスタート地点25を同時に出発し、第一走行車両11は第一コース21を、第二走行車両12は第二コース22を、第三走行車両13は第三コース23を、第四走行車両14は第四コース24を走行して、乗降ステーション8のゴール地点29に同時に帰着する。周回軌道2の4つのコースの走行距離は、全て略同じタイムで周回できるよう設計されている。
【0021】
本実施の形態1では、第一コース21と第二コース22は、乗降ステーション3より進行方向に向かって右側に、第三コース23と第四コース24は乗降ステーション3より進行方向に向かって左側に設けられたコースである。4つのコースは、同一の車種の4つの車両が同一の条件で走行した場合に、スタート地点25からゴール地点29までの所要時間が同じになるように、各コースの距離と高度がほぼ同じになるように設計されている。実際には、4つのコースを、4台の走行車両1で走行すると、当日の天候、温度や湿度、走行車両1の乗車人数、周回軌道2の状態により、走行車両1の速度は都度若干変動して周回タイムに誤差が生じるので、センサー4とブレーキ6を制御装置5で制御することにより、走行車両1の速度を調節して所要時間が同じになるようにする。本発明の実施の形態1の遊戯用乗物装置100は、周回軌道2上に設けられたセンサー4、制御装置5及びブレーキ6で、走行中の走行車両1を適時減速し、細かく速度調整して、4つのコースを同時に出発した4台の走行車両1が、4台同時にゴール地点29を帰着させる。
【0022】
本実施の形態1の遊戯用乗物装置100の速度調整にかかるブレーキ制御機構について
図2を用いて説明する。制御装置5は、走行車両1がセンサー4設置箇所を通過したことを検出する通過時間測定部51と、前記走行車両1がセンサー4の設置箇所を通過する際の通過速度を測定する通過速度測定部52と、周回軌道2の距離を記憶する軌道距離記憶部53と、走行車両1の走行抵抗を記憶する走行抵抗記憶部54と、センサー4からの信号に基いて、前記走行車両1が予め入力された所要時刻、すなわち、他の走行車両と同じ所要時間で前記ゴール地点に到着するための最適速度を算出する最適速度算出部57と、最適速度算出部57からの情報に基づいて前記走行車両1が減速する必要がある場合にブレーキ信号と減速量を出力する減速判定部56と、前記減速判定部56からのブレーキ信号と減速量に基づいて前記周回軌道2の前記センサー4より進行方向に設置されたブレーキ6を制御するブレーキ制御部55と、からなる。
【0023】
本発明の遊戯用乗物装置100の走行車両1は、センサー4、制御装置5、ブレーキ6によって速度を調整し、周回軌道2を走行する時間を管理可能である。センサー4は、走行車両1の通過と速度を検出して、制御装置5に情報を伝達する。センサー4から伝達された走行車両1の通過情報より、制御装置5の通過時間測定部51が通過時間を測定し、通過速度測定部52が速度を測定する。制御装置5の軌道距離記憶部53には、予め、周回軌道2の距離、センサー4設置の位置からゴール地点までの距離のデータが記憶されている。走行抵抗記憶部54には、走行車両1の各車両すなわち第一走行車両11、第二走行車両12、第三走行車両13及び第四走行車両14の走行抵抗の値が記憶されている。走行抵抗は、座席や車輪16の形態で異なるため、それぞれの走行抵抗ごとに、空気抵抗や転がり抵抗その他の走行抵抗に関するデータが記憶されている。
【0024】
最適速度算出部57は、軌道距離記憶部53に記憶されている当該センサー4の設置位置からゴール地点29までの距離と、走行抵抗記憶部54に記憶されている走行車両1の走行抵抗の値を勘案し、センサー4の設置個所を通過した走行車両1がゴール地点29に所定時間に到着するための最適速度を算出する。減速判定部56は、通過速度測定部52が測定した通過速度が、最適速度算出部57が算出した最適速度よりも早い場合は減速が必要と判定し、ブレーキ制御部55に必要な減速量をブレーキ制御部55に伝達する。ブレーキ制御部55は、ブレーキ6にブレーキ信号を出力して減速量を伝達し、アクチュエータ66を作動させてブレーキ6を発動する。所定時間は、4台の走行車両1すべて同じ時間を設定しておき、ブレーキ6で少しずつ減速することによって、4台の走行車両1を同時にゴール地点に到着させる。
【0025】
図3を示しながら、ブレーキ制御システムについて更に詳細に説明する。制御装置5は、センサー4との間で無線通信可能に構成されている。まず最初に、センサー4が、走行車両1の通過を感知する(ステップS1)。走行車両1の通過を感知すると、センサー4は、当該走行車両1の通過タイムを検出する(ステップS2)。さらに、走行車両1の通過速度を検出する(ステップS3)。センサー4は、走行車両1の通過時刻、通過速度のほか、ゴール地点までの距離や走行車両1の走行抵抗を加味し、走行車両1が所要時間にゴール地点29に到達するための最適速度を判定する(ステップS4)。センサー4が、ステップS3で検出した走行車両1の通過速度とステップS4で判定した走行車両1の最適速度を比較し、走行車両1の減速が必要か否かを判定する(ステップS5)。ステップS3で検出した走行車両1の通過速度が、ステップS4で判定した走行車両1の最適速度S4の最適速度よりも速い場合、センサー4は走行車両1の減速が必要と判断し、ゴール地点29までの距離やゴール地点29までに通過するセンサー4やブレーキ6の数を加味して必要な減速量及びブレーキ信号を、アクチュエーターに出力してブレーキ6を作動させる(ステップS6)。
【0026】
減速判定部56は、ブレーキ制御部55に、走行車両1が必要な減速量の情報を伝達し、ブレーキ6を発動させるが、減速判定部56が伝達する減速量は、当該減速判定部56が対応するブレーキ6がどの場所に設けられたものかによって、微調整を行う。すなわち、当該減速判定部56が対応するブレーキ6が、周回軌道2上、最初のセンサー4に対応したブレーキ6であって、当該ブレーキ6の後にも、センサー4が設置された箇所がある場所では、必要な減速量の値よりも若干小さい値の減速量をブレーキ制御部55に伝達する。
【0027】
走行車両1は、車両本体に自走式エンジンを搭載していないので、減速は容易だが加速が困難である。計算した減速量でブレーキ6を発動させると、当日の天候その他の要因で、ブレーキが効きすぎてしまうことがある。とくに、距離が長いほど、誤差が生じやすい。本発明の実施の形態1の遊戯用乗物装置100の制御装置5は、進行方向に次のセンサー4があり、再度の減速が可能である場合は、制御装置5は必要な減速量より小さめの値をブレーキ6に伝達する。反対に、進行方向にセンサー4が設置されておらず、再度の減速ができない場合には、制御装置5は、必要な減速量の値をそのままブレーキ制御部55に伝達する。
【0028】
本発明の実施の形態1の乗物遊戯装置100では、周回軌道2上に、第一の検出手段である第一センサーと第一ブレーキ、第二の検出手段である第二センサーと第二ブレーキと、センサー4とブレーキ6の組み合わせが2セット設けられているが、第三センサーと第三ブレーキ等、3つ以上設けられている場合は、減速判定部56がブレーキ制御部55に伝達する減速量は、対応するブレーキ6の後に、センサー4がいくつ設置されているかを加味して算出する。すなわち、後ろにセンサー4の設置個数が多いほど、必要な減速量の値は小さくてよい。走行車両1の速度を徐々に減速させ、ゴール地点29に、早すぎず遅すぎず、正確なタイムで帰着させる。
【0029】
本発明の実施の形態1の乗物遊戯装置100は、センサー4、制御装置5及びブレーキ6が複数セット設置され、減速量を細かく調整することで、自走式エンジンを搭載しない走行車両1を複数同時に走行させる場合でも、各走行車両1の走行時間を正確に管理し、同時にゴール地点29に帰着させることができる。
【0030】
ジェットコースターその他の遊戯用乗物は、一般的に、高い位置からの落下エネルギーで走行し、走行車両1には自走式エンジンを搭載しない。従って、周回軌道2上に設置したブレーキ6で減速することはできるが、加速することは困難である。走行車両1の速度は、走行当日の気温や湿度、風向きや、走行車両1の乗車人数、周回軌道2の状態により、多少の変動がある。本実施の形態1の遊戯用乗物装置100では、第一センサー41と第一制御装置51では、最適速度より少し早めの速度までの減速を行い、第二センサー42と第二制御装置52で、最適速度まで減速するブレーキ調整を行う。センサー4と制御装置5が複数セット設置されていることで、段階的な速度調整が可能であり、走行車両1がゴール地点29に到着する時間を正確に調整することができる。
【0031】
図4に示すように、周回軌道2は、乗降ステーション8にスタート地点25及びゴール地点29を有する4つのコースを有するが、4つのコースの走行距離は全て、略同じくらいの距離となっている。また、第一コース21と第四コース、第二コース22と第三コース23は、コースの距離と高度がほぼ同じである。周回軌道2の4つのコースは、同じ形態の走行車両1で同じ速度で走行した場合、スタートからゴールまでの所要時間が同じになるよう設計されている。当日の気温や周回軌道2の状態、走行車両1の乗車人数その他の要素によっては、スタート地点25からゴール地点29までの所要時間に差異が生ずるが、4つの周回軌道2にそれぞれ設けられたセンサー4、制御装置5及びブレーキ6によって、走行車両1の速度調整を細かく行い、4台の走行車両11、12、13及び14が、同時にゴール地点29の手前にある停止ブレーキ63設置個所に到着するように運用できる。
【0032】
図5は、本発明の実施の形態1の遊戯乗物装置100の走行車両1の第一走行車両11、第二走行車両12、第三走行車両13、第四走行車両14を示す右側面図である。
図6は、調速ブレーキである第一ブレーキ61と第二ブレーキ62を説明するための参考模式図である。
図7は、停止ブレーキ63とゴール前停止ブレーキ64を説明するための参考模式図である。
【0033】
図5に示すように、本発明の実施の形態1の遊戯用乗物装置100は、4つの走行車両1を備えるが、座席の形態が異なる少なくとも2種類以上の走行車両1を4台使用する。実施の形態1の遊戯乗物装置100では、走行車両1は、前向きに設置された座席11a、14aに着席する第一走行車両11及び第四走行車両14と、立った状態で乗る立位式客席12a、13aが設けられた第二走行車両12及び第三走行車両13を使用する。
【0034】
走行車両11、13は、座席11a、13aに座って乗る走行車両1であり、走行車両12、14は、立位式客席12a、14aに立った状態で乗る走行車両1である。走行車両11、13と、走行車両12、14は、それぞれ、走行抵抗が異なる。走行車両11、12、13、14が、周回軌道2を走行する際の所要時間は、周回軌道2の距離と高低差に、走行する走行車両1の走行抵抗を勘案して算出することができる。
【0035】
本発明の遊戯乗物装置100において、走行車両1の座席形態及び向きは、上記にあげた座席以外にも、横向き座席、仰臥位客席、腹臥位客席等、様々な形態の座席を採用することができる。また、座席又は客席の向きも、前向き、後ろ向き、横向き等、様々な向きの座席又は客席とすることができる。様々な形態又は向きの座席や客席の走行車両1を複数種類走行させることによって、利用者に、どの走行車両1に乗ることになるのかとワクワクした気持ちを生じさせるとともに、利用後に、次回は違う形態や向きの座席や客席を体験してみたいという気持ちを生じさせ、利用客のリピート率を上げることができる。
【0036】
図6(a)及び(b)は、本発明の実施の形態1の遊戯乗物装置100の周回軌道2に設置されるブレーキ6のうち、調速ブレーキである第一ブレーキ61と第二ブレーキ62を説明するための参考模式図である。周回軌道2に設置されるブレーキ6のうち、第一ブレーキ61と、第二ブレーキ62は、走行車両1の速度を減速するための調速ブレーキである。
図6(a)は、ブレーキ6を発動する前のブレーキ6の正面図、(b)はブレーキ6を発動している状態のブレーキ6の正面図である。
【0037】
周回軌道2の両側に設置されているブレーキパッド65は、通常の状態、すなわち、ブレーキ6に電源が入っていない状態では、
図6(a)のように、周回軌道2の両側にあり、中央部分は開いている。ブレーキパッド65がどの程度開くかは、センサー4と、制御装置5、ブレーキ6により制御される。すなわち、制御装置5は、前方のセンサー4が走行車両1の通過を感知すると、当該走行車両1の通過タイムと通過速度を測定し、予め入力されている行車両の走行抵抗及び周回軌道2データより、当該走行車両1が所定時間にゴール前の停止ブレーキ63に到達するために必要な速度を算出する。現在の時速よりも速度を落とす必要があると判定した場合は、制御装置5は、速度調整に必要な減速量を算出し、第一ブレーキ61又は第二ブレーキ62に出力する。
【0038】
本実施の形態1の遊戯用乗物装置100のブレーキ6は、オイルホース67を備えた油圧式のブレーキ6を使用しているが、油圧式以外に、空圧式、永久磁石式その他のブレーキ6としても良い。ブレーキパッドは、樹脂や金属その他の素材からなる。
【0039】
図6(c)に示すように、ブレーキ6のブレーキパッド65には面取部65aが設けられており、ブレーキ6に接近してきたブレーキボード17がスムーズに両側のブレーキパッド65の間を進入してこれるようになっている。また、ブレーキパッド65は、通電しない状態では、常時、開いた状態になっている。
図6(d)に示すよに、ブレーキパッド65の面取部65aの間に入ってきたブレーキボード17は、両側をブレーキパッド65に挟まれ、その摩擦によって、走行車両1が減速する。面取部65aは、ブレーキパッド65を面取りして形成するほか、薄いパッド素材をブレーキパッド65に隣接して取り付けることにより形成してもよい。
【0040】
周回軌道2途中のブレーキ6である第一ブレーキ61と第二ブレーキ62は、通電しない状態では、間隙が空いているので、走行車両1の走行を邪魔しない。したがって、走行車両1の走行中に、停電等が発生し電気が止まっても、走行車両1が周回軌道2の途中で止まってしまうようなことがなく、乗降ステーション3まで帰着させることができる。
【0041】
図7(a)及び(b)は、本発明の実施の形態1の遊戯乗物装置100の周回軌道2に設置されるブレーキ6のうち、停止ブレーキである停止ブレーキ63とゴール前停止ブレーキ63を説明するための参考模式図である。
図7(a)は、ブレーキ6を発動する前のブレーキ6の正面図、(b)はブレーキ6を発動している状態のブレーキ6の正面図、(c)はブレーキ6を発動する前のブレーキ6の平面図、(d)は、ブレーキ6を発動している状態のブレーキ6の平面図である。
【0042】
本発明の実施の形態1の遊戯乗物装置100の停止ブレーキ63とゴール前停止ブレーキ64は、電源が入っていない状態では、
図7(a)のように、周回軌道2の両側に設置されたブレーキパッド65が中央近傍にあり、中央部分が閉じている。制御装置5からの出力を受けてブレーキが発動すると、
図7(b)のように、ブレーキパッド65が両側に少しずつ開き、走行車両1の下部に設けられたブレーキボード17に触れ、その摩擦により、走行車両1の速度を減速させ停止させる。停止ブレーキ63及びゴール前停止ブレーキ64は、制御装置5からの出力を受けると、両側のブレーキパッド65が、走行車両1のブレーキボード17を挟持可能な程度に開く。走行車両1が到着すると、ブレーキパッド17がブレーキボード17を挟持するように挟み、走行車両1を完全に停止させる。
【0043】
図7(c)に示すように、ブレーキ6のブレーキパッド65には面取部65aが設けられており、ブレーキ6に接近してきたブレーキボード17がスムーズに両側のブレーキパッド65の間を進入してこれるようになっている。
【0044】
周回軌道2の最後の地点に設置されている停止ブレーキ63とゴール前停止ブレーキ64は、通電しない状態では、ブレーキパッド65同士が密着し閉じている。停電等で電気の供給が断たれても、走行車両1が勝手に軌道に走り出すことがない。走行車両1を乗降ステーション3に安全に停め置くことができる。
【0045】
周回軌道2は、4つのコースを有する。第一コース21、第二コース22、第三コース23及び第四コース24について、それぞれのコースについて、説明する。
【0046】
図8は、
図1に示した周回軌道2の4つのコースのうち、第一コース21のみを示した参考平面図である。
図9は、
図8に示した周回軌道2の第一コース21の高低差を示すグラフである。
図8及び
図9に示すように、第一コース21は、乗降ステーション8のスタート地点25をスタートして、最初の昇りを巻き上げられ、第一頂上部26に達する。第一頂上部26には停止ブレーキが設けられており、4台の走行車両1は、それぞれ、第一頂上部26で停止する。そのあと、4台の走行車両1は、同時に、第一頂上部26から一気に下りを落下し、底部27を通過して、ループ開始部28からループ状になった軌道を走行し、第一センサー41が設置された箇所を通過し、第一ブレーキ61が設置された場所を経て、外側を大きく回るコースを巡ったあと、第二センサー42が設置された箇所を通過して第二ブレーキ62を経て、必要な減速を行ったのち、停止ブレーキ63で停止する。停止ブレーキ63が設置された箇所からゴール前停止ブレーキ64が設置された箇所にかけて、周回軌道2には、マイナス3度程度の下り傾斜が設けられており、停止ブレーキ63で停止した走行車両1は、下り傾斜を惰性で走行し、ゴール前停止ブレーキ64に到着して完全に停止する。
【0047】
ゴール前停止ブレーキ64には、トラバーサ7が設置されている。トラバーサ7は、4台の走行車両1を載せた状態で、横方向すなわち進行方向に対し直角方向に移動して、走行車両1を元のコースとは別のコースに下ろす作業を繰り返す。トラバーサ7は、走行車両1を効率よく移動させるため、一度移動するごとに、複数台ずつ走行車両1を別のコースに下ろす。走行車両1は、トラバーサ7によって、走行していたコースとは違うコースに運搬され、乗降ステーション8で利用客を降車させたたあと、新しい客を乗せ、スタート地点25から出発する。
【0048】
図10は、第一コース21を走行する第一走行車両11の右側面図である。第一走行車両11は、前向きに設置された座席に着席して乗車する形態の走行車両1である。着席して乗車するので、安定的な姿勢で走行を楽しむことができ、移り変わる周囲の景色を楽しむことができる走行車両1である。
【0049】
図11は、
図1に示した周回軌道2の4つのコースのうち、第二コース22のみを示した参考平面図である。
図12は、
図11に示した周回軌道2の第二コース22の高低差を示すグラフである。
図11及び
図12に示すように、第二コース22は、乗降ステーション8のスタート地点25をスタートして、最初の昇りを巻き上げられ、第一頂上部26に達する。第一頂上部26には停止ブレーキが設けられており、4台の走行車両1は、それぞれ、第一頂上部26から、同時に、一気に下りを落下して底部27を通過する。第一センサー41が設置された箇所を通過して、第一ブレーキ61で必要な速度調整をしたのち、ループ開始部28からループ状になった軌道を走行し、第二センサー42が設置された箇所を通過し、第二ブレーキ62で速度調整したのち、停止ブレーキ63で停止する。
【0050】
停止ブレーキ63が設置された箇所からゴール前停止ブレーキ64が設置された箇所にかけて、周回軌道2には、マイナス3度程度の下り傾斜が設けられており、停止ブレーキ63で停止した走行車両1は、下り傾斜を惰性で走行し、ゴール前停止ブレーキ64に到着して完全に停止する。ゴール前停止ブレーキ64の地点には、トラバーサ7が設置されており、走行車両1は、トラバーサ7によって、走行していたコースとは違うコースに運搬され、乗降ステーション8で利用客を下ろしたあと、新しい客を乗せ、新たなコースへと出発する。
【0051】
図13は、第二コース22を走行する第二走行車両12の右側面図である。第二走行車両12は、前向きに設置された立位式客席に乗車する形態の走行車両1である。立った姿勢で乗車するので、目線が高い位置にあり、空中を飛び回っているようなスリルのある走行を楽しむことができる走行車両1である。
【0052】
図14は、
図1に示した周回軌道2の4つのコースのうち、第三コース23のみを示した参考平面図である。
図15は、
図14に示した周回軌道2の第三コース23の高低差を示すグラフである。
図14及び
図15に示すように、第三コース23は、乗降ステーション8のスタート地点25をスタートして、最初の昇りを巻き上げられ、最初の昇りを巻き上げられ、第一頂上部26に達する。第一頂上部26には停止ブレーキが設けられており、4台の走行車両1は、それぞれ、第一頂上部26から、同時に、一気に下りを落下して底部27を通過する。第一センサー41が設置された箇所を通過して、第一ブレーキ61で必要な速度調整をしたのち、ループ開始部28からループ状になった軌道を走行し、第二センサー42が設置された箇所を通過し、第二ブレーキ62で速度調整したのち、停止ブレーキ63で停止する。
【0053】
停止ブレーキ63が設置された箇所からゴール前停止ブレーキ64が設置された箇所にかけて、周回軌道2には、マイナス3度程度の下り傾斜が設けられており、停止ブレーキ63で停止した走行車両1は、下り傾斜を惰性で走行し、ゴール前停止ブレーキ64に到着して完全に停止する。ゴール前停止ブレーキ64設置個所には、トラバーサ7が設置されており、走行車両1は、トラバーサ7によって、走行していたコースとは違うコースに運搬され、乗降ステーション8で利用客を下ろしたあと、新しい客を乗せ、新たなコースへと出発する。
【0054】
図16は、第三コース23を走行する第三走行車両13の右側面図である。第三走行車両13は、前向きに設置された座席に着席して乗車する形態の走行車両1である。着席して乗車するので、安定的な姿勢で走行を楽しむことができ、移り変わる周囲の景色を楽しむことができる走行車両1である。
【0055】
図17は、
図1に示した周回軌道2の4つのコースのうち、第四コース24のみを示した参考平面図である。
図18は、
図17に示した周回軌道2の第四コース24の高低差を示すグラフである。
図17及び
図18に示すように、第四コース24は、乗降ステーション8のスタート地点25をスタートして、最初の昇りを巻き上げられ、第一頂上部26に達する。第一頂上部26には停止ブレーキが設けられており、4台の走行車両1は、それぞれ、第一頂上部26から、同時に、一気に下りを落下して底部27を通過する。第一センサー41が設置された箇所を通過して、第一ブレーキ61で必要な速度調整をしたのち、ループ開始部28からループ状になった軌道を走行し、第二センサー42が設置された箇所を通過し、第二ブレーキ62で速度調整したのち、停止ブレーキ63で停止する。
【0056】
停止ブレーキ63が設置された箇所からゴール前停止ブレーキ64が設置された箇所にかけて、周回軌道2には、マイナス3度程度の下り傾斜が設けられており、停止ブレーキ63で停止した走行車両1は、下り傾斜を惰性で走行し、ゴール前停止ブレーキ64に到着して完全に停止する。ゴール前停止ブレーキ64設置個所には、トラバーサ7が設置されており、走行車両1は、トラバーサ7によって、走行していたコースとは違うコースに運搬され、乗降ステーション8で利用客を下ろしたあと、新しい客を乗せ、新たなコースへと出発する。
【0057】
図19は、第四コース24を走行する第四走行車両14の右側面図である。第四走行車両14は、前向きに設置された立位式客席に乗車する形態の走行車両1である。立った姿勢で乗車するので、目線が高い位置にあり、空中を飛び回っているようなスリルのある走行を楽しむことができる走行車両1である。
【0058】
第一走行車両11、第二走行車両12、第三走行車両13及び第四走行車両14は、それぞれ、第一コース21、第二コース22、第三コース23及び第四コース24を、最初の昇り傾斜を巻き上げ装置によって巻き上げられ、第一頂上部26までは、同時に到達する。第一走行車両11、第二走行車両12、第三走行車両13及び第四走行車両14が、同時に第一頂上部26を通過できるよう、第一頂上部26には、それぞれセンサー4とブレーキ6が設けられ、4つの走行車両1が同時に、第一頂上部26に通過するよう制御される。
【0059】
第一頂上部26を通過した4つの走行車両1は、そこから、それぞれの方向に分かれて、それぞれの周回軌道2を走行する。4つのコースに、それぞれ設置されたセンサー4、制御装置5、ブレーキ6により、4つの走行車両1は、ほぼ同時に停止ブレーキ63設置個所に到着し、ゴール地点29に帰着する。
【0060】
通過速度と通過時間を検出するセンサー4と、最適速度を算出して必要な減速量を出力する制御装置5、制御装置5からの信号によりブレーキを発動するブレーキ6が周回軌道2の随所に設置されていることで、走行車両1の速度を細かく調整することが可能であり、4つの走行車両1を同時に乗降ステーション8に帰着させることができる。走行車両1は、4台それぞれ、座席形態や座席数が違うので、利用客は、ゴール地点29で他の走行車両1が自分が載っている座席と異なる形態であることを目撃し、次は、別の座席形態の走行車両1に乗りたい気持ちになる。遊戯乗物装置100は、利用客のリピート率を高めることができる乗物装置である。また、複数の走行車両1が同時にスタートし、同時にゴールするので、それぞれの走行車両1に乗客を誘導する係、それぞれの走行車両1から降りてきた乗客を出口に誘導する係の仕事が効率よく行うことができ、多くの人数をさばくことができるので効率的な運用ができる利点もある。
【0061】
(実施の形態2)
図20は本発明の実施の形態2の遊戯乗物装置200の走行車両1を示す右側面図である。
図21は本発明の実施の形態2にかかる遊戯乗物装置200であって、走行車両1のスタート時の状態を示す参考平面図である。
図22は本発明の実施の形態2にかかる遊戯乗物装置200であって、走行車両1がゴール前の状態を示す参考平面図である。
【0062】
実施の形態2の遊戯乗物装置200の走行車両1は、前向き座席が設けられた第一走行車両11が4台と、第一コース21、第二コース22、第三コース23及び第四コース24の4つのコースからなる周回軌道2とを主に有する。
【0063】
実施の形態2では、走行車両1は、
図20に示すように、4台とも、同じ形態かつ同じ数の座席が設けられた走行車両1である。4台の走行車両11は、
図21に示すように、同時に乗降ステーション6をスタートし、第一頂上部26まで4列並んで巻き上げられたあと、4方向に分かれて周回軌道2を走行し、同時に乗降ステーション6に帰着する遊戯乗物装置200である。
【0064】
周回軌道2の第一コース21、第二コース22、第三コース23及び第四コース24には、それぞれ、起伏が設けられており、4台の第一走行車両11は、それぞれ、第一コース21、第二コース22、第三コース23及び第四コース24上を走行する。最初の昇り傾斜を巻き上げ装置によって巻き上げられた4台の第一走行車両11は、第一頂上部26に、4台同時に到達する。第一頂上部26には停止ブレーキが設置されていて4台の走行車両1は一旦そこで停まり、そのあと、同時に、一気に第一頂上部26から下り傾斜を落下する。
【0065】
第一頂上部26を通過した4つの走行車両1は、それぞれの周回軌道2上を走行するが、軌道の途中に設置されたセンサー4を通過する際に、制御装置5に情報が送られ、制御装置5は、通過時間と軌道上の走行車両1の走行抵抗を計算して、ゴール地点に所定時間に到達するために必要なブレーキ量をブレーキ6に伝達する。ブレーキ6は、制御装置5から伝達されたブレーキ量を発動させて走行車両1の走行速度を制御する。
図22に示すように、4台の走行車両1は、制御装置5、ブレーキ6が連動して作用することで、条項ステーション6に、同時に到着する。
【0066】
遊戯乗物装置200は、敷設される環境を最大限に生かし、バリエーションに富んだ周回軌道2を備えている。4方向にコースが別れることで、利用客は、それぞれ、違った景観を楽しむことになる。利用客は、乗車直前まで、どの周回軌道2になるか、どの走行車両1に乗るかの予測ができず、ワクワクする。利用後は、自分が走行したコース以外のコースを体験してみたいという気持ちになり、何度もリピートして遊戯乗物装置200を利用したくなる。遊戯乗物装置200は、利用客に、スリルと興奮を与え、何度もリピートしたくなる集客効果の高い遊戯乗物装置である。
【符号の説明】
【0067】
100,200 遊戯乗物装置
1 走行車両
15 連結具
16 車輪
2 周回軌道
3 乗降ステーション
4 センサー
5 制御装置
6 ブレーキ
67 オイルホース
7 トラバーサ
8 乗降ステーション
H 人