(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】コマ式発電機
(51)【国際特許分類】
H02K 7/08 20060101AFI20230911BHJP
F03G 3/00 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
H02K7/08 Z
F03G3/00 D
F03G3/00 E
(21)【出願番号】P 2022143346
(22)【出願日】2022-09-08
【審査請求日】2023-01-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513131660
【氏名又は名称】遠藤 豊道
(74)【代理人】
【識別番号】100097629
【氏名又は名称】竹村 壽
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 豊道
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-087190(JP,A)
【文献】特表2011-527174(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0143302(US,A1)
【文献】特開2006-042425(JP,A)
【文献】特開2006-340445(JP,A)
【文献】特開2002-367316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/00- 9/10
H02K 7/08
F03G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線を巻いて形成したコイルと、当該コイルの中に近接配置された円筒形磁石と、当該コイルの中心に固定された回転軸と、当該回転軸を回転駆動するモーターと、当該モーターに駆動力を付与する電源とを具備し、前記コイルと前記磁石の電磁誘導作用により電気的エネルギーを得る
コマ式発電機において、
前記コイル、前記円筒形磁石及び前記回転軸の一部は、容器に収納され、前記回転軸の下端は、前記容器の底部に設けた支点に載置され、前記回転軸は、前記容器内の前記支点と前記モーターにより支持され、前記回転軸を支える前記支点と前記円筒形磁石の下端部から前記回転軸が露出する部分とは接触し、前記円筒形磁石の下端部の形状が円錐形若しくは角錐形であり、そのため前記回転軸が露出する部分と前記支点との接触抵抗が小さく、前記円筒形磁石の回転が円滑に行われることを特徴とするコマ式発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率的な発電が行われる構造の磁石を有する発電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発電機には、ガスや蒸気のタービンで駆動される高速の発電機、水車で駆動される低速の発電機、各種のエンジンを原動機に持つ同期発電機、風車で駆動される低速の発電機等が知られており、さらに、特許文献1(特開2007-82386号公報)には遠心力を利用した発電機が記載されている。この発電機は、遠心力によって生じる重力と回転円盤との相互作用によって生じるトルクをエネルギー源として発電を行う発電機に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の発電機における一般的な構造は、導線を巻いて形成したコイルと、当該コイルの中に近接配置された磁石と、当該コイルの中心に固定された回転軸と、当該回転軸を回転駆動するモーターと、当該モーターに駆動力を付与する電源とを具備し、前記コイルと前記磁石の電磁誘導作用により電気的エネルギーを得るものである。前記磁石に取り付けられた前記回転軸は、前記モーターに接続され、このモーターによって、前記コイル間において回転された磁石とコイルの電磁誘導作用により生じた電流は、コイルに接続された導線により、例えば、蓄電池に流れてこれに蓄えられる。従来、このような発電機は、磁石の回転が効率的に行われるようにすることが重要である。
本発明は、このような事情によりなされたもので、磁石が効率的に回転する発電機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコマ式発電機は、導線を巻いて形成したコイルと、当該コイルの中に近接配置された円筒形磁石と、当該コイルの中心に固定された回転軸と、当該回転軸を回転駆動するモーターと、当該モーターに駆動力を付与する電源とを具備し、前記コイルと前記磁石の電磁誘導作用により電気的エネルギーを得るコマ式発電機において、前記コイル、前記円筒形磁石及び前記回転軸の一部は、容器に収納され、前記回転軸の下端は、前記容器の底部に設けた支点に載置され、前記回転軸は、前記容器内の前記支点と前記モーターにより支持され、前記回転軸を支える前記支点と前記円筒形磁石の下端部から前記回転軸が露出する部分とは接触し、前記円筒形磁石の下端部の形状が円錐形若しくは角錐形であり、そのため前記回転軸が露出する部分と前記支点との接触抵抗が小さく、前記円筒形磁石の回転が円滑に行われることを特徴とする。そして、前記磁石は、使用時に円筒を地上に対して垂直に置いて用いられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明のコマ式発電機は、回転軸がモーターの駆動力によって回転し、磁石下端部の円錐形若しくは角錐形の頂点と回転軸を支持する支点の接触抵抗が小さくなるので、回転効率が高く、したがって、発電効率が上がる。
磁石を真空容器に入れて回転させればさらに回転抵抗が下がり、発電効率が上がる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施例を参照して発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1及び
図2を参照して実施例1を説明する。
本実施例のコマ式発電機は、導線を巻いて形成したコイル1-1、1-2と、このコイルの間に近接配置された円筒形磁石2と、このコイルの中心に固定された回転軸3と、回転軸3を回転駆動するモーター4と、モーター4に駆動力を付与する電源5とを具備している。
この発電機は、用いる磁石2が円筒形であるが、下端部10は円錐形である。
この磁石2に取り付けられた回転軸3は、上端部が前記モーターに接続され、磁石2の下端部10には、前記円錐形の頂点から露出しているか下端部10の内部に埋設されている。
コイル1‐1、1‐2と磁石2の電磁誘導作用により生じた電気は、コイル1‐1、1-2から導出した導線8、9を介して蓄電池6に貯められる。コイル1‐1、1‐2、磁石2及び回転軸3の一部は、容器7に収納され、回転軸3の下端は、容器7の底部に設けた支点に載置される。
【0010】
次に、発電機の動作について説明する。
(1) 電源5のスイッチを入れてモーター4を駆動させる。モーター4の回転駆動により容器7内の支点とモーター4とにより支持された回転軸3は回転する。この回転により磁石2は回転し、近接するコイル1‐1、1‐2との電磁誘導作用により電気が発生する。
(2) モーター回転が所定の最高速度に達した時点で電源5のスイッチを切り、磁石2の回転運動を遠心力と惰性(慣性)のみにより行う。
(3) 所定時間その状態で発電を続け、回転が停止する前に電源5のスイッチを入れてこれをオン状態にする。
(4) (1)-(3)の動作を繰り返す。
【0011】
回転軸を支える容器7の底部にある支点と、磁石2の下端部10(部分的に回転軸が露出する場合も含む)の頂点とは、下端部の形状が円錐形若しくは角錐形であるので、両者の接触抵抗は小さく、磁石の回転が円滑に行われ、発電効率が良くなる。また、容器内部は真空状態にすることにより、空気抵抗を受けない環境にすることができる。また、支点には摩擦熱が発生するが、これは水で冷却することができる。例えば、容器に形成された支点の下に当該容器に接して水を入れた容器を置くことも可能である。摩擦熱を吸収した水は、
図1に付加したように、タービン発電機11を接続して電気を発生させてこれを蓄電池6に付加することもできる。また、容器7の底面に支点を囲むように複数の磁石をおき、これら磁石の反動を利用して磁石2の回転のバランスと支点における摩擦の低減を図ることが可能である。電源5と蓄電池6とを一体化させることも可能である。
前記磁石2の下端部10をおもりにして回転軸3の回転を円滑にすることも可能である。また、磁石2そのものをおもりにすることも可能である(この場合、発電機能は、回転軸とモーターの間に設ける)。
【符号の説明】
【0012】
1‐1、1‐2・・・コイル
2・・・磁石
3・・・回転軸
4・・・モーター
5・・・電源
6・・・蓄電池
7・・・容器
8、9・・・導線
10・・・コイル下端部(おもり)
11・・・タービン発電機
【要約】
【課題】 効率的に回転する発電機を構成する磁石の新構造を提供する。
【解決手段】 発電機はコイル1-1と、コイル1-2の間に近接配置された円筒形磁石2と、前記コイルの中心に固定された回転軸3と、回転軸3を回転駆動するモーター4と、モーター4に駆動力を付与する電源5とを有する。磁石2は円筒形であるが下端部10は円錐形又は角錐形である。この磁石2に取り付けられた回転軸3は上端部が前記モーターに接続され、磁石2の下端部10は、前記円錐形の頂点から露出している。電磁誘導作用により生じた電気は蓄電池6に貯められる。前記コイル、磁石2及び回転軸3の一部は容器7に収納され、回転軸3は容器7内の支点に載置される。
【選択図】
図2