IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京電力株式会社の特許一覧 ▶ 大成建設株式会社の特許一覧 ▶ 成和リニューアルワークス株式会社の特許一覧 ▶ 東京機材工業株式会社の特許一覧

特許7345749地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法
<>
  • 特許-地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法 図1
  • 特許-地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法 図2
  • 特許-地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法 図3
  • 特許-地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法 図4
  • 特許-地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法 図5
  • 特許-地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法 図6
  • 特許-地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法 図7
  • 特許-地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法 図8
  • 特許-地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/04 20060101AFI20230911BHJP
   E02D 5/18 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
B08B1/04
E02D5/18 102
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019013464
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020121255
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000194756
【氏名又は名称】成和リニューアルワークス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596074029
【氏名又は名称】東京機材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 誠
(72)【発明者】
【氏名】湯本 隆行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓
(72)【発明者】
【氏名】町田 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 涼子
(72)【発明者】
【氏名】大沢 秀男
(72)【発明者】
【氏名】本間 和人
(72)【発明者】
【氏名】紅林 良亮
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 公男
(72)【発明者】
【氏名】細越澤 保
(72)【発明者】
【氏名】工藤 幸司
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-021064(JP,A)
【文献】実公昭62-027269(JP,Y2)
【文献】特開平09-165743(JP,A)
【文献】特開平10-211022(JP,A)
【文献】特開2011-094290(JP,A)
【文献】特開2002-085308(JP,A)
【文献】特開2001-038317(JP,A)
【文献】特開平08-150379(JP,A)
【文献】実公昭48-033019(JP,Y1)
【文献】特開平03-178626(JP,A)
【文献】特開平03-262826(JP,A)
【文献】特開昭53-058157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00-13/00
E02D 5/00- 5/80
A46B13/00-13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設地下構造物の外面に近接あるいは面する掘削溝内において前記外面に沿って移動させながら前記外面を清掃する地中清掃装置であって、
前記外面に対して垂直な軸を中心に回転する回転ドラムと、
前記回転ドラムの前記外面側の端面に設けられた複数の清掃ブラシと、
前記外面と反対側の側面に取り付けられて前記掘削溝の溝壁に当接するスペーサーと、を備えていることを特徴とする、地中清掃装置。
【請求項2】
前記回転ドラムの直径方向に沿って当該回転ドラムに取り付けられた取付部材を備え、
複数の前記清掃ブラシが、前記取付部材に並設されていることを特徴とする、請求項1に記載の地中清掃装置。
【請求項3】
複数の前記清掃ブラシが、2列配置されており、
一方の列の前記清掃ブラシと、他方の列の前記清掃ブラシとが、前記回転ドラムの直径方向でずれた位置に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の地中清掃装置。
【請求項4】
前記回転ドラムの周面に突設されたブラケットに清掃ブラシが取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の地中清掃装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の地中清掃装置を利用して既設地下構造物の外面を清掃する既設地下構造物の清掃方法であって、
前記スペーサーにより反力を確保して前記清掃ブラシを前記外面に押し付けた状態で前記回転ドラムを回転させるとともに、前記回転ドラムを前記外面に沿って移動させることを特徴とする、既設地下構造物の清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既設地下構造物に連続して新設地下構造物を構築する場合には、接合部での一体性を確保するために、既設地下構造物の外面を清掃して土砂等の付着物を除去しておく必要がある。例えば、間隔をあけて形成した壁本体部同士の間の地面を掘削するとともに壁本体部の端部を切削して継手溝を形成し、この継手溝にコンクリートを打設して連続地中壁を構築する場合には、壁本体部の端面を洗浄して付着物を除去する必要がある。
そのため、特許文献1では、掘削機により継手溝の掘削が終了した後、洗浄用の回転ブラシを備えた洗浄装置を継手溝内に吊下ろすことで、回転ブラシにより壁本体部の端面を洗浄する方法が開示されている。
また、特許文献2には、排泥ポンプと、排泥ポンプにより吸い上げた液体を噴射する吐出口とを備える洗浄装置を吊下ろし、壁本体部の端面に向けて液体を噴射することで洗浄する方法が開示されている。
特許文献1および特許文献2に記載の洗浄方法は、連続地中壁の壁本体部同士の接合部(打ち継ぎ部)における技術であるため、既設地下構造物の外面(外壁面)の清掃に適用するものでは無かった。また、特許文献1および特許文献2に記載の洗浄装置は、連続地中壁の壁厚程度の幅しか有しておらず、これを既設地下構造物の外面(外壁面)の清掃に使用すると、作業に時間がかかってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-21064号公報
【文献】特開2013-68013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、既設地下構造物の外面の付着物を地中で簡易かつ効率的に取り除くことを可能とした地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する本発明は、既設地下構造物の外面に近接あるいは面する掘削溝内において前記外面に沿って移動させながら前記外面を清掃するための地中清掃装置であって、前記外面に対して垂直な軸を中心に回転する回転ドラムと、前記回転ドラムの前記外面側の端面に設けられた複数の清掃ブラシと、前記外面と反対側の側面に取り付けられて前記掘削溝の溝壁に当接するスペーサーとを備えている。
また、本発明の既設地下構造物の清掃方法は、前記スペーサーにより反力を確保して前記清掃ブラシを前記外面に押し付けた状態で前記回転ドラムを回転させるとともに、前記回転ドラムを前記外面に沿って移動させることで既設地下構造物の外面を清掃するというものである。
かかる地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法によれば、回転ドラムに取り付けられた清掃ブラシを既設地下構造物の外面に押し当てた状態で回転ドラムを回転させることで、既設地下構造物の外面の付着物(土砂等)を欠き落とすことができる。
【0006】
複数の前記清掃ブラシは、前記回転ドラムの直径方向に沿って当該回転ドラムに取り付けられた取付部材に並設してもよい。このようにすれば、複数の清掃ブラシが取付部材を介して取り付けられているため、回転ドラムに対してする清掃ブラシの脱着が容易となる。そのため、清掃ブラシに破損が生じた場合や清掃ブラシの仕様(太さや材質等)を変更する場合に、清掃ブラシの交換作業を容易に行うことができる。
また、複数の前記清掃ブラシを2列配置する場合には、一方の列の前記清掃ブラシと他方の列の前記清掃ブラシとが前記回転ドラムの直径方向でずれた位置に配置するとよい。このようにすれば、千鳥状に配置された清掃ブラシが回転することで、全面的に清掃することができる。
さらに、前記回転ドラムの周面に複数のブラケットが突設されている場合には、ブラケットの少なくとも一つに清掃ブラシを取り付けるとよい。このようにすることで、回転ドラムの周縁に沿って清掃ブラシが回転するため、より広い面積に対して清掃することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の地中清掃装置および既設地下構造物の清掃方法によれば、回転ドラムに取り付けられた清掃ブラシによって既設地下構造物の外面の付着物(土砂等)を欠き落とすことができるため、既設地下構造物の外面の付着物を簡易かつ効率的に取り除くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る地下構造物と地盤改良体を示す断面図である。
図2】本実施形態の地盤改良体の施工方法の掘削工程を示す断面図である。
図3】掘削機を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図4】(a)及び(b)は他の形態にかかる掘削工程を示す断面図である。
図5】本実施形態の地盤改良体の施工方法の清掃工程を示す断面図である。
図6】地中清掃装置を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図7】清掃ブラシを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図8】本実施形態の地盤改良体の施工方法の打設工程を示す断面図である。
図9】(a)および(b)は他の形態に係る清掃ブラシを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態では、図1に示すように、既設の地下構造物1の外面に沿って地盤改良体2を形成する場合について説明する。地下構造物1は、基礎が非液状化層G3に接した状態で、地下水位WL以深の液状化層G2内に形成されている。地下構造物1は、液状化層G2が液状化した際に、地下構造物1と非液状化層G3との間に地下水が入り込み(回り込み)、浮き上がるおそれがある。地下構造物1の周囲に、非液状化層G3に下端を貫入させた地盤改良体(地中壁)2を形成すると、液状化した場合であっても、地下構造物1と非液状化層G3との間に地下水が入り込まなくなるので、地下構造物1の浮上がりを防止できる。
本実施形態の地盤改良体2は、地表から掘削機を利用して掘削した掘削溝内に流動化処理土21を打設することにより形成する。地下構造物1の下側に地下水が入り込むことを防止するためには、地盤改良体2を地下構造物1に密着させた状態で造成する必要がある。なお、地盤改良体2は流動化処理土21により形成する場合に限定されるものではなく、例えば原地盤や泥水等に固化材等を混合することにより形成してもよい。
【0010】
本実施形態の地盤改良体の施工方法は、掘削工程と、清掃工程と、打設工程とを備えている。
掘削工程では、図2に示すように、掘削機3により地表GLから鉛直方向に向けて地盤を掘削することにより地下構造物1の外面に近接あるいは面する掘削溝4を形成する。掘削溝4は、地下構造物1の外面と平行となるように形成する。掘削機3は、図3(a)および(b)に示すように、下端部に二つの回転ドラム31,31が並設されたいわゆる水平多軸掘削機である。回転ドラム31は、地下構造物1の外面に対して垂直な水平軸32を中心に回転する。一対の回転ドラム31,31は、逆方向に回転する。なお、回転ドラム31の回転方向は限定されるものではない。各回転ドラム31の周面には、複数のカッタビット33,33,…が設けられており、回転ドラム31が回転することでカッタビット33により地山の切削が行われる。複数のカッタビット33は、回転ドラム31の周面に突設された複数のブラケットに取り付けられている。
【0011】
掘削機3は、図2に示すように、掘削ロッド51を介してベースマシン5により支持された状態で、地下構造物1の外面に沿って地山を切削する。なお、掘削機3の支持方法は限定されるものではなく、例えば、図4(a)に示すように、吊ワイヤー53を介してクレーン(揚重機)52により吊持してもよい。地山の掘削に伴い、掘削溝4内には孔壁面の崩落を防止するための安定液を供給する。安定液の材質は限定されるものではないが、例えば、ベントナイト溶液を使用する。
初期掘削時には、地下構造物1に掘削機3が接触することがないように、地下構造物1から所定の間隔(例えば、10cm程度)をあけて掘削を開始する。所定の深さまで初期掘削を行ったら、掘削機3の地下構造物1と反対側の側面にスペーサー(あんこ)と取り付けた状態で、初期掘削時よりも地下構造物1に掘削機3を近づけた位置で地山を切削する(二次掘削)。このとき、初期掘削により形成された掘削溝4の地下構造物1と反対側の溝壁にスペーサーを当接された状態で切削を行う。
なお、二次掘削は、図4(b)に示すように、初期掘削により形成された掘削溝4にガイド材41を配設した状態で行ってもよい。ガイド材41は、例えばH形鋼により構成されていて、掘削溝4内において鉛直に立設される。なお、ガイド材41を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、溝形鋼やL形鋼であってもよい。
このように、掘削機3を利用した地山の掘削作業を繰り返すことにより、地下構造物1に近接した掘削溝4を形成する。
【0012】
清掃工程では、地下構造物1の掘削溝4側の外面を清掃する。本実施形態では、図5に示すように、掘削工程において使用した掘削機3を利用して、地下構造物1の外面の付着物G4を撤去(清掃)する。すなわち、本実施形態では、掘削機3を地下構造物1の外面を清掃する地中清掃装置30として使用する。なお、地中清掃装置30は、掘削機3とは別の装置でもよい。
清掃工程では、図6に示すように、まず、回転ドラム31の地下構造物1側の端面に複数の清掃ブラシ6,6,…を設置する。複数の清掃ブラシ6,6,…は、取付部材61を介して回転ドラム31に取り付ける。回転ドラム31には、外面に凹部が形成されており、図6(a)に示すように、断面コ字状を呈している。取付部材61は、回転ドラム31の凹部に配置する。回転ドラム31に取付部材61を固定した状態では、清掃ブラシ6の先端が回転ドラム31の端面から突出する。取付部材61は、回転ドラム31の直径に沿って回転ドラム31に取り付けられている。複数の清掃ブラシ6,6,…は、取付部材61に並設されている。本実施形態では、二つの取付部材61,61を回転ドラム31に固定することで、清掃ブラシ6,6,…が、2列配置されている。一方の取付部材61に並設された清掃ブラシ6と、他方の取付部材61の並設された清掃ブラシ6は、回転ドラム31の直径方向でずれた位置に配置されている。そのため、清掃ブラシ6は、図6(b)に示すように、正面視で千鳥状に配置されている。また、本実施形態では、回転ドラム31の周面に突設された複数のブラケットのうち、地下構造物1側に配設されたブラケットの一部にも清掃ブラシ6が取り付けられている。本実施形態では、取付部材61の延長線上に配置されたブラケットに清掃ブラシ6を取り付ける。
【0013】
取付部材61は、図7(a)~(c)に示すように、ブラシ取付部62と、固定部63とを備えている。ブラシ取付部62は、L型鋼により構成されている。固定部63は、帯状の鋼板により構成されている。ブラシ取付部62の一方の片には、清掃ブラシ6の基部が固定されている。ブラシ取付部62の他方の片は、固定部63の板面に重ねられた状態で、固定部63に溶接されている。ブラシ取付部62と固定部63との固定方法は限定されるものではなく、例えば、ボルト等により固定してもよい。本実施形態では、固定部63同士を重ねた状態で、一対の取付部材61を回転ドラム31に固定する。なお、取付部材61の構成は限定されるものではない。例えば、取付部材61は必ずしもブラシ取付部62と固定部63とを有している必要はなく、1つの鋼材により構成されていてもよい。
清掃ブラシ6には、ワイヤーブラシを使用する。ワイヤーブラシは、ワイヤーロープを所定の長さに切断した後、一方の端部(基端部)を管材等に固定することにより形成すればよい。本実施形態では、清掃ブラシ6の長さが160mmと260mm、清掃ブラシ6の径が21mmまたは26mmの4種類を使用する。なお、ワイヤーブラシの長さ及び径は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。なお、清掃ブラシ6は、ワイヤーブラシに限定されるものではなく、例えば、ナイロンブラシを使用してもよい。また、ワイヤーブラシを構成する材料は、例えば、鉄、ステンレス、真鍮等を使用すればよい。また、清掃ブラシ6の形成方法は限定されるものではない。
【0014】
回転ドラム31に清掃ブラシ6を設置したら、図5に示すように、掘削機3(地中清掃装置30)を掘削溝4内に挿入し、地下構造物1の外面の清掃を行う。地下構造物1の外面の清掃(地下構造物1の外面に付着した付着物G4の撤去)は、清掃ブラシ6を地下構造物1の外面に押し付けた状態で回転ドラム31を回転させるとともに、掘削機3(回転ドラム31)を地下構造物1の外面に沿って移動させることにより行う。このとき、掘削機3は、地下構造物1と反対側の側面に取り付けたスペーサーを介して、掘削溝4の溝壁から反力を取る。なお、ガイド材41を使用して掘削溝4を形成した場合には、掘削時に使用したガイド材41から反力を取ればよい。
地下構造物1の外面の清掃は、地下構造物1の外面に対する超音波測定により清掃状況を確認しながら行う。清掃状況に応じて、適宜清掃ブラシ6の長さや径を変更する。例えば、付着物G4の量が多い場合には、清掃ブラシ6として、径が大きいものを使用する。また、地下構造物1と掘削機3(地中清掃装置30)との離隔が大きい場合には、清掃ブラシ6として長尺のものを使用する。
【0015】
打設工程では、図8に示すように掘削溝4内に流動化処理土21を注入する。流動化処理土21は、トレミー管22を利用して、掘削溝4の底面から流し込む。流動化処理土21を底面から流し込むことで、掘削溝4内の安定液が、掘削溝4上端から流出して流動化処理土21に置き換えられる。流動化処理土21の上昇に伴い、トレミー管22も上昇させる。本実施形態では、図1に示すように、地盤改良体2の上端が地下構造物1の上端と同じ高さとなるように、流動化処理土21を打設する。なお、地盤改良体2の高さは限定されるものではなく、例えば、掘削溝4の全高にわたって流動化処理土21を打設してもよい。
流動化処理土21が硬化することで、地下構造物1に密着した地盤改良体2が形成される。
【0016】
本実施形態の地中清掃装置30およびこれを利用した既設地下構造物の清掃方法によれば、回転ドラム31に取り付けられた清掃ブラシ6により地下構造物1の外面の付着物G4(土砂等)を欠き落とすことができる。清掃ブラシ6は、所定の強度と柔軟性を有しているため、地下構造物1の外面に押し当てた状態で回転ドラム31を回転させても地下構造物1の外面を傷つけることなく、付着物G4を欠き落とすことができる。
また、複数の清掃ブラシ6は、取付部材61を介して回転ドラム31に取り付けられているため、回転ドラム31からの脱着が容易である。そのため、掘削工程で使用した掘削機3を地中清掃装置30として利用することができ、その結果、設備費の低減化を図ることができる。また、清掃ブラシ6に破損が生じた場合や清掃ブラシ6の仕様(清掃ブラシ6の太さや材質等)を変更する場合に、清掃ブラシ6の交換作業を容易に行うことができる。
また、清掃ブラシ6を千鳥状に複数列(2列)配置しているため、回転ドラム31の回転により地下構造物1を面的に清掃することができる。そのため、地下構造物1の外面を効率的に清掃することができる。
また、回転ドラム31の周面にも清掃ブラシ6を取り付けているため、回転ドラム31の周縁に沿って清掃ブラシ6が回転することで、より広い面積に対して清掃することができ、その結果、作業の効率化を図ることができる。
【0017】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
前記実施形態では、清掃ブラシ6を取付部材61を介して回転ドラム31に固定する場合について、説明したが、清掃ブラシ6は、直接回転ドラム31に固定してもよい。
前記実施形態では、二つの取付部材61を利用して、清掃ブラシ6を2列配置する場合について説明したが、必ずしも複数の取付部材61を使用する必要はない。例えば、図9(a)に示すように、溝形鋼等からなる1つの取付部材61に清掃ブラシ6を複数段固定してもよい。また、図9(b)に示すように、一対のブラシ取付部62,62と、固定部63とからなる取付部材61を利用して、清掃ブラシ6を2列配置してもよい。
清掃ブラシ6の列数は限定されるものではなく、例えば1列であってもよいし、3列以上であってもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 地下構造物(既設地下構造物)
2 地盤改良体
3 掘削機
30 地中清掃装置
31 回転ドラム
4 掘削溝
6 清掃ブラシ
61 取付部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9