(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20230911BHJP
B01D 61/12 20060101ALI20230911BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20230911BHJP
【FI】
A61M1/16 161
B01D61/12
C02F1/44 A
C02F1/44 H
C02F1/44 D
(21)【出願番号】P 2019118876
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593061891
【氏名又は名称】日本ウォーターシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】望月 洋明
(72)【発明者】
【氏名】津山 義生
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-176033(JP,A)
【文献】特開2014-184380(JP,A)
【文献】特開平11-104639(JP,A)
【文献】特開平10-180254(JP,A)
【文献】特開2012-139684(JP,A)
【文献】特開2002-066535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
B01D 61/12
C02F 1/44
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水をRO水とRO排水とに分離するROモジュールと、
前記RO水を貯留するRO水タンクと、
前記原水を前記ROモジュールへ供給するROポンプと、
前記ROポンプを制御する制御装置と、
を備え、
前記RO水タンクは、当該RO水タンク内に貯留される前記RO水の水位に関
して、
所定の高水位より上か下かを検出する高水位センサと、
所定の中水位より上か下かを検出する中水位センサと、
所定の低水位より上か下かを検出する低水位センサと、
を有しており、
前記制御装置は、
(a)前記水位が前記高水位より上から下に変わった場合には、当該時点から前記水位が前記中水位より下になる時点までの水位低下に要した時間を計測するようになっており、前記水位が前記中水位より下になった時点以後は前記水位低下の速度に対応する速度で当該水位低下を補うように前記ROポンプを駆動するようになっており、
(b)前記水位が前記低水位より上から下に変わった場合には、前記ROポンプを最高速度にまで増速するようになっている
ことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記制御装置は、更に、
(c)前記水位が前記低水位より下から上に変わった場合には、当該時点から前記水位が前記中水位より上になる時点までの水位上昇に要した時間を計測するようになっており、前記水位が前記中水位より上になった時点以後は前記水位上昇の速度に対応する速度で当該水位上昇を相殺するように前記ROポンプを減速するようになっており、及び、
(d)前記水位が前記高水位より下から上に変わった場合には、前記ROポンプを最小速
度にまで減速するようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記RO水タンクは、更に、
所定の過大水位より上か下かを検出する過大水位センサ
を有しており、
前記制御装置は、更に、
(e)前記水位が前記過大水位より下から上に変わった場合には、前記ROポンプを停止させるようになっている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の水処理装置。
【請求項4】
原水をRO水とRO排水とに分離するROモジュールと、
前記RO水を貯留するRO水タンクと、
前記原水を前記ROモジュールへ供給するROポンプと、
を備えた水処理装置を制御する
制御装置の作動方法であって、
前記RO水タンクは、当該RO水タンク内に貯留される前記RO水の水位に関
して、所定の高水位と、所定の中水位と、所定の低水位と、が規定されており、
当該方法は、
(a)前記水位が前記高水位より上から下に変わった場合には、当該時点から前記水位が前記中水位より下になる時点までの水位低下に要した時間を計測するようになっており、前記水位が前記中水位より下になった時点以後は前記水位低下の速度に対応する速度で当該水位低下を補うように前記ROポンプを駆動する工程と、
(b)前記水位が前記低水位より上から下に変わった場合には、前記ROポンプを最高速度にまで増速するようになっている工程と、
を備えたことを特徴とする
制御装置の作動方法。
【請求項5】
当該方法は、
(c)前記水位が前記低水位より下から上に変わった場合には、当該時点から前記水位が前記中水位より上になる時点までの水位上昇に要した時間を計測するようになっており、前記水位が前記中水位より上になった時点以後は前記水位上昇の速度に対応する速度で当該水位上昇を相殺するように前記ROポンプを減速するようになっている工程と、
(d)前記水位が前記高水位より下から上に変わった場合には、前記ROポンプを最小速度にまで減速するようになっている工程と、
を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の
制御装置の作動方法。
【請求項6】
前記RO水タンクは、当該RO水タンク内に貯留される前記RO水の水位に関して、更に、所定の過大水位が規定されており、
当該方法は、
(e)前記水位が前記過大水位より下から上に変わった場合には、前記ROポンプを停止させる工程
を更に備えたことを特徴とする請求項4または5に記載の
制御装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析治療に用いられる人工透析用水等を製造するための水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の人工透析用水製造装置について、
図3を用いて説明する。
図3に示すように、人工透析用水は、典型的には水道水や井戸水である原水から製造される。
【0003】
原水は、まず、原水タンク51に貯留される。原水タンク51の内部には、加温用ヒータ51hが設けられていて、原水の温度を25℃にまで加温する。原水の温度が25℃よりも低いままでは、後続の装置内において、原水中のシリカ成分等が析出して不具合を発生させるおそれがあるからである。
【0004】
25℃に加温された原水は、次に、原水ポンプ52によって前処理ユニット53に送られる。前処理ユニット53は、プレフィルタ53aと、軟水装置53bと、カーボンフィルタ53cと、を当該順序で有している。プレフィルタ53aは、主として原水中の不純物(ゴミ)を濾過し、軟水装置53bは、主として原水中のカルシウムイオン(Ca2+ )及びマグネシウムイオン(Mg2+ )を除去し、カーボンフィルタ53cは、主として原水中の残留塩素(総塩素:遊離塩素+結合塩素)を除去する。
【0005】
前処理ユニット53での前処理が終わった原水は、ROユニット54(逆浸透膜処理装置)に送られる。ROユニット54は、ROポンプ54pを用いて、前処理が終わった原水をROモジュール54mに供給する。ROモジュール54mは、原水に含まれる無機イオン全般を除去する。ROモジュール54mでの処理を終えたRO水(原水の50~90%程度)は、RO水供給ユニット55に送られ、ROモジュール54mでの処理によって生成されたRO排水は、一部(「循環水」とも呼ばれる)がROポンプ54pを介してROモジュール54mに再投入され、他の一部(原水の10~50%程度、「濃縮水」とも呼ばれる)が排水処理される。
【0006】
RO水供給ユニット55は、RO水が貯留されるRO水タンク55tを有している。RO水タンク55tの内部には、UV照射装置55uが設けられていて、RO水にUV照射処理を行なえるようになっている。また、RO水タンク55tには、当該RO水タンク55t内のRO水の水位変化に依存して流入する外部空気中の浮遊菌やゴミを除去するために、エアーフィルタ55fが設けられている。
【0007】
RO水タンク55tに貯留されたRO水は、送水ポンプ56を介して、UF57(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)に送られる。UF57は、RO水から生物学的不純物を除去する。UF57によって生物学的不純物を除去されたRO水は、透析用水として、透析治療用の各種の医療機器に送られる。通常、それらの医療機器において、透析用水は36℃前後にまで加温されて、各種の透析治療に利用される。そして、透析用水は、医療機器循環後、UF58(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)に戻ってきて、更にRO水タンク55tに戻される。
【0008】
図3に示す以上のような人工透析用水製造装置は、すでに実用化されていて、透析治療のための人工透析用水を安定的に製造している。
【0009】
その他、特許文献1は、人工透析用水中の細菌由来のDNA断片を簡単な設備、操作で効率よく除去できる方法及び浄化装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本件出願人は、
図3に示す人工透析用水製造装置を製造する製造メーカーである。そして、本件発明者は、
図3の人工透析用水製造装置を更に改良することについて、鋭意検討を重ねてきた。
【0012】
従来のRO水タンク55tは、
図4に示すように、当該RO水タンク55t内に貯留されるRO水の水位に関して、
(1)RO水タンク55tの満水を警告するための満水センサS51と、
(2)所定の過大水位より上か下かを検出する過大水位センサS52と、
(3)所定の高水位より上か下かを検出する高水位センサS53と、
(4)所定の中水位より上か下かを検出する中水位センサS54と、
(5)所定の低水位より上か下かを検出する低水位センサS55と、
(6)所定の過小水位より上か下かを検出し、警告するための過小水位センサS56と、
(7)前記RO水タンクの渇水を検出するための渇水センサS57と、
を有している。
【0013】
例えば、RO水タンク55tの総容積は、291L(リットル)であり、
満水センサS51は、270Lの位置に設けられ、
過大水位センサS52は、249Lの位置を過大水位として設けられ、
高水位センサS53は、228Lの位置を高水位として設けられ、
中水位センサS54は、183Lの位置を中水位として設けられ、
低水位センサS55は、144Lの位置を低水位として設けられ、
過小水位センサS56は、69Lの位置を過小水位として設けられ、
渇水センサS57は、21Lの位置に設けられている。
【0014】
そして、ROポンプ54pを制御する制御装置が設けられ、当該制御装置は、透析用水が供給されて利用される透析装置の稼働状態に応じて、ROポンプ54pを以下の2パターンで制御している。
【0015】
<第1パターン:透析装置停止中>
透析装置が稼働していない状態では、制御装置は、
(pa)前記水位が前記高水位より上から下に変わっても、まだROポンプ54pは駆動せず、前記水位が前記中水位より下になった後、ROポンプ54pを低速(例えば32L/min)で駆動するようになっており、
(pb)前記水位が前記低水位より上から下に変わった場合には、ROポンプ54pを高速(例えば40L/min)に増速するようになっており、
(pc)前記水位が前記低水位より下から上に変わっても、ROポンプ54pの高速での駆動が継続され、前記水位が前記中水位より上になった後、ROポンプ54pを低速に減速するようになっており、及び、
(pd)前記水位が前記高水位より下から上に変わっても、ROポンプ54pの低速での駆動が継続され、前記水位が前記過大水位より上になった後、ROポンプ54pの駆動を停止する。
【0016】
説明を補足すれば、透析装置が稼働していない状態でRO水タンク55tの水位が低下するのは、透析装置が洗浄プロセスを実施している場合であると考えられる。従って、水位の低下時には、迅速な給水を実施するべく、ROポンプ54pを高速で駆動するようになっている。
【0017】
<第2パターン:透析装置稼働中>
透析装置が稼働している状態では、制御装置は、
(qa)前記水位が前記高水位より上から下に変わっても、まだROポンプ54pは駆動せず、前記水位が前記中水位より下になった後、ROポンプ54pを低速(例えば32L/min)で駆動するようになっており、
(qb)前記水位が前記低水位より上から下に変わった場合には、ROポンプ54pを中速(例えば35L/min)に増速するようになっており、
(qc)前記水位が前記低水位より下から上に変わっても、ROポンプ54pの中速での駆動が継続され、前記水位が前記中水位より上になった後、ROポンプ54pを低速に減速するようになっており、及び、
(qd)前記水位が前記高水位より下から上に変わっても、ROポンプ54pの低速での駆動が継続され、前記水位が前記過大水位より上になった後、ROポンプ54pの駆動を停止する。
【0018】
説明を補足すれば、透析装置が稼働している状態でRO水タンク55tの水位が低下するのは、透析装置が透析プロセスを実施している場合であると考えられる。従って、水位の低下時でも、さほど高速での給水を実施する必要はないため、ROポンプ54pを中速で駆動するようになっている。
【0019】
以上のような2パターンの制御によって、第1パターンのみで制御する場合と比較して、ROポンプ54pは駆動時間をより長く維持することができる。この結果、ROモジュール54mへの原水の供給が停止してROモジュール54mが「滞留」状態となる時間をより短くすることができ、水質の悪化を抑制することができる。
【0020】
しかしながら、以上のような2パターンの制御を実現するには、透析装置の稼働状況を把握して、それに対応する信号を制御装置に入力する必要があった。そのためのハードウェアの構築や当該ハードウェアのメンテナンスは、水処理装置のユーザにとっては、面倒ないし煩雑であるという問題があった。
【0021】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、透析装置の稼働/停止の信号入力を必要とすることなく、ROモジュールへの原水の供給をなるべく停止させない制御を実現できる人工透析用水製造装置を提供することである。また、本発明によって製造されるRO水は、人工透析用水に限定されず、器具洗浄用水、検査用水、手洗い用水、調剤用水、等としても利用できる。すなわち、本発明は、広くは、用水利用装置の稼働/停止の信号を入力する必要なしで、ROモジュールへの原水の供給をなるべく停止させない制御を実現できる水処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、原水をRO水とRO排水とに分離するROモジュールと、前記RO水を貯留するRO水タンクと、前記原水を前記ROモジュールへ供給するROポンプと、前記ROポンプを制御する制御装置と、を備え、前記RO水タンクは、当該RO水タンク内に貯留される前記RO水の水位に関して、所定の過大水位より上か下かを検出する過大水位センサと、所定の高水位より上か下かを検出する高水位センサと、所定の中水位より上か下かを検出する中水位センサと、所定の低水位より上か下かを検出する低水位センサと、を有しており、前記制御装置は、
(a)前記水位が前記高水位より上から下に変わった場合には、当該時点から前記水位が前記中水位より下になる時点までの水位低下に要した時間を計測するようになっており、前記水位が前記中水位より下になった時点以後は前記水位低下の速度に対応する速度で当該水位低下を補うように前記ROポンプを駆動するようになっており、
(b)前記水位が前記低水位より上から下に変わった場合には、前記ROポンプを最高速度にまで増速するようになっている
ことを特徴とする水処理装置である。
【0023】
本発明によれば、
(a)前記水位が前記高水位より上から下に変わった場合には、当該時点から前記水位が前記中水位より下になる時点までの水位低下に要した時間を計測するようになっており、前記水位が前記中水位より下になった時点以後は前記水位低下の速度に対応する速度で当該水位低下を補うように前記ROポンプを駆動するようになっている
ことにより、水位が中水位より下になった時点以後、水位が当該中水位に可及的に維持されるような制御が実施されることになる(それまでの水位低下時と同じRO水利用条件が続けば水位は中水位に可及的に維持される(実際にはRO水利用条件は変動し得る))。これにより、水位がその後に低水位を下回るか高水位を上回るまでの時間を稼ぐことができ、すなわち、ROポンプの駆動時間をより長く維持することができる。
【0024】
また、前記制御装置は、更に、
(c)前記水位が前記低水位より下から上に変わった場合には、当該時点から前記水位が前記中水位より上になる時点までの水位上昇に要した時間を計測するようになっており、前記水位が前記中水位より上になった時点以後は前記水位上昇の速度に対応する速度で当該水位上昇を相殺するように前記ROポンプを減速するようになっており、及び、
(d)前記水位が前記高水位より下から上に変わった場合には、前記ROポンプを最小速度にまで減速するようになっている
ことが好ましい。
【0025】
この場合、
(c)前記水位が前記低水位より下から上に変わった場合には、当該時点から前記水位が前記中水位より上になる時点までの水位上昇に要した時間を計測するようになっており、前記水位が前記中水位より上になった時点以後は前記水位上昇の速度に対応する速度で当該水位上昇を相殺するように前記ROポンプを減速するようになっている
ことにより、水位が中水位より上になった時点以後、水位が当該中水位に可及的に維持されるような制御が実施されることになる(それまでの水位上昇時と同じRO水利用条件が続けば水位は中水位に可及的に維持される(実際にはRO水利用条件は変動し得る))。これにより、水位がその後に低水位を下回るか高水位を上回るまでの時間を稼ぐことができ、すなわち、ROポンプの駆動時間をより長く維持することができる。
【0026】
また、前記制御装置は、更に、
(e)前記水位が前記過大水位より下から上に変わった場合には、前記ROポンプを停止させるようになっている
ことが好ましい。
【0027】
あるいは、本発明は、原水をRO水とRO排水とに分離するROモジュールと、前記RO水を貯留するRO水タンクと、前記原水を前記ROモジュールへ供給するROポンプと、を備えた水処理装置を制御する方法であって、前記RO水タンクは、当該RO水タンク内に貯留される前記RO水の水位に関して、所定の過大水位と、所定の高水位と、所定の中水位と、所定の低水位と、が規定されており、
当該方法は、
(a)前記水位が前記高水位より上から下に変わった場合には、当該時点から前記水位が前記中水位より下になる時点までの水位低下に要した時間を計測するようになっており、前記水位が前記中水位より下になった時点以後は前記水位低下の速度に対応する速度で当該水位低下を補うように前記ROポンプを駆動する工程と、
(b)前記水位が前記低水位より上から下に変わった場合には、前記ROポンプを最高速度にまで増速するようになっている工程と、
を備えたことを特徴とする方法である。
【0028】
この場合、当該方法は、
(c)前記水位が前記低水位より下から上に変わった場合には、当該時点から前記水位が前記中水位より上になる時点までの水位上昇に要した時間を計測するようになっており、前記水位が前記中水位より上になった時点以後は前記水位上昇の速度に対応する速度で当該水位上昇を相殺するように前記ROポンプを減速するようになっている工程と、
(d)前記水位が前記高水位より下から上に変わった場合には、前記ROポンプを最小速度にまで減速するようになっている工程と、
を更に備えることが好ましい。
【0029】
また、この場合、当該方法は、
(e)前記水位が前記過大水位より下から上に変わった場合には、前記ROポンプを停止させる工程
を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、
(a)前記水位が前記高水位より上から下に変わった場合には、当該時点から前記水位が前記中水位より下になる時点までの水位低下に要した時間を計測するようになっており、前記水位が前記中水位より下になった時点以後は前記水位低下の速度に対応する速度で当該水位低下を補うように前記ROポンプを駆動するようになっている
ことにより、水位が中水位より下になった時点以後、水位が当該中水位に可及的に維持されるような制御が実施されることになる。これにより、水位がその後に低水位を下回るか高水位を上回るまでの時間を稼ぐことができ、すなわち、ROポンプの駆動時間をより長く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態に係る水処理装置の概略説明図である。
【
図2】
図1の水処理装置のRO水タンクの概略図である。
【
図3】従来の人工透析用水製造装置の概略説明図である。
【
図4】
図3の水処理装置のRO水タンクの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係る水処理装置の概略説明図である。
図1に示すように、本実施形態の水処理装置10は、原水が貯留されると共に当該原水を加温する加温ヒータ11hが設けられた原水タンク11と、原水タンク11内の調温された原水を前処理する前処理ユニット13と、前処理ユニット13によって前処理された原水に対して逆浸透膜(ROM)を用いて当該原水をRO水とRO排水とに分離するROモジュール14mと、を備えている。
【0034】
本実施形態では、原水として水道水が用いられるようになっている。水道水である原水は、原水タンク11において貯留されるようになっている。原水タンク11には原水タンク温度センサ21が設けられている。
【0035】
25℃~33℃に調温された原水は、原水ポンプ12によって前処理ユニット13に送られるようになっている。前処理ユニット13は、プレフィルタ13aと、軟水装置13bと、カーボンフィルタ13cと、を当該順序で有している。プレフィルタ13aは、主として原水中の不純物(ゴミ)を濾過するようになっており、軟水装置13bは、主として原水中のカルシウムイオン(Ca2+ )及びマグネシウムイオン(Mg2+ )を除去するようになっており、カーボンフィルタ13cは、主として原水中の残留塩素(総塩素:遊離塩素+結合塩素)を除去するようになっている。
【0036】
前処理ユニット13での前処理が終わった原水は、ROユニット14(逆浸透膜処理装置)に送られるようになっている。ROユニット14は、ROポンプ14pを用いて、前処理が終わった原水をROモジュール14mに供給するようになっている。ROモジュール14mは、原水に含まれる無機イオン全般を除去するようになっている。ROモジュール14mでの処理を終えたRO水(原水の50~90%程度)は、RO水供給ユニット15に送られるようになっており、ROモジュール14mでの処理によって生成されたRO排水は、一部(「循環水」とも呼ばれる)がROポンプ14pを介してROモジュール14mに再投入されるようになっており、他の一部(原水の10~50%程度、「濃縮水」とも呼ばれる)が排水処理されるようになっている。
【0037】
RO水供給ユニット15は、RO水が貯留されるRO水タンク15tを有している。RO水タンク15tの内部には、UV照射装置15uが設けられていて、RO水にUV照射処理を行なえるようになっている。また、RO水タンク15tには、当該RO水タンク15t内のRO水の水位変化に依存して流入する外部空気中の浮遊菌やゴミを除去するために、エアーフィルタ15fが設けられている。
【0038】
RO水タンク15t内に貯留されたRO水は、送水ポンプ16を介して、UF17(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)に送られるようになっている。UF17は、RO水から生物学的不純物を除去するようになっている。UF17によって生物学的不純物を除去されたRO水は、透析用水として、透析治療用の各種の医療機器(不図示)に送られるようになっている。通常、それらの医療機器において、透析用水は各種の透析治療に利用される。そして、透析用水は、医療機器循環後、UF18(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)に戻ってきて、更にRO水タンク15tに戻されるようになっている。
【0039】
RO水タンク15tは、
図2に示すように、当該RO水タンク15t内に貯留されるRO水の水位に関して、
(1)RO水タンク15tの満水を警告するための満水センサS1と、
(2)所定の過大水位より上か下かを検出する過大水位センサS2と、
(3)所定の高水位より上か下かを検出する高水位センサS3と、
(4)所定の中水位より上か下かを検出する中水位センサS4と、
(5)所定の低水位より上か下かを検出する低水位センサS5と、
(6)所定の過小水位より上か下かを検出し、警告するための過小水位センサS6と、
(7)前記RO水タンクの渇水を検出するための渇水センサS7と、
を有している。
【0040】
例えば、RO水タンク15tの総容積は、291L(リットル)であり、
満水センサS1は、270Lの位置に設けられ、
過大水位センサS2は、249Lの位置を過大水位として設けられ、
高水位センサS3は、228Lの位置を高水位として設けられ、
中水位センサS4は、183Lの位置を中水位として設けられ、
低水位センサS5は、144Lの位置を低水位として設けられ、
過小水位センサS6は、69Lの位置を過小水位として設けられ、
渇水センサS7は、21Lの位置に設けられている。
【0041】
(制御工程a)
そして、ROポンプ14pを制御する制御装置14cが設けられている。当該制御装置14cは、
(a)RO水タンク15tの水位が高水位より上から下に変わった場合には、当該時点から水位が中水位より下になる時点までの水位低下に要した時間を計測するようになっており、水位が中水位より下になった時点以後、前記水位低下の速度に対応する速度で当該水位低下を補うようにROポンプ14pを駆動するようになっている。
【0042】
(具体例a-1)
ROポンプ14pの駆動制御範囲が32L/min~40L/minである場合について説明する。
【0043】
過大水位センサS2が設けられた過大水位(当該水位ではROポンプ14pは停止している)から、32.5L/minの速度でRO水が使用される(45床の透析治療に相当する)と、水位が中水位より下になる時点までに要する時間は、45L÷32.5L/min=1.38minである。
【0044】
本実施形態の水処理装置10は、高水位より上から下に水位が変わった時点から中水位より下になる時点までの水位低下に要した時間(45L÷32.5L/min)を計測して、当該時間に基づいて当該水位低下の速度を演算する(32.5L/min)。
【0045】
演算された水位低下の速度(32.5L/min)が、ROポンプ14pの駆動制御範囲内であるため、水位が中水位より下になった時点以後(1.38min経過時点以後)、当該水位低下の速度(32.5L/min)で、当該水位低下を補うようにROポンプ14pが駆動される。
【0046】
このような制御により、32.5L/minの速度でRO水が使用されている間、水位は概ね中水位を維持することができる。
【0047】
従来技術においては、35L/minでROポンプ54pが駆動されるため、35-32.5=2.5L/minの速度で水位が上昇していく。水位が過大水位に到達すると、ROポンプ54pが停止され、フラッシング処理が実施されてしまう。フラッシング処理は、1回の処理で、70Lの水を消費する。本実施形態の水処理装置10によれば、このようなフラッシング処理の回数を低減することができ、顕著な節水効果を得ることができる。
【0048】
(別の具体例a-2)
過大水位センサS2が設けられた過大水位(当該水位ではROポンプ14pは停止している)から、22.5L/minの速度でRO水が使用される(25床の透析治療に相当する)と、水位が中水位より下になる時点までに要する時間は、45L÷22.5L/min=2minである。
【0049】
本実施形態の水処理装置10は、高水位より上から下に水位が変わった時点から中水位より下になる時点までの水位低下に要した時間(45L÷22.5L/min)を計測して、当該時間に基づいて当該水位低下の速度を演算する(22.5L/min)。
【0050】
演算された水位低下の速度(22.5L/min)が、ROポンプ14pの駆動制御範囲外であるため、水位が中水位より下になった時点以後(2min経過時点以後)、当該水位低下の速度に最も近い駆動速度(32L/min)で、当該水位低下を補うようにROポンプ14pが駆動される。
【0051】
このような制御により、32-22.5=9.5L/minの速度で水位が上昇していく(後述の制御工程dを経ても状況は変わらない)。水位が過大水位に到達すると、ROポンプ14pが停止され、フラッシング処理が実施される。しかしながら、従来技術においては、35L/minでROポンプ54pが駆動されるため、35-22.5=12.5L/minの速度で水位が上昇していくから、これと比較すれば、本実施形態の水処理装置10はフラッシング処理の回数を低減することができ、顕著な節水効果を達成することができる。
【0052】
(制御工程b)
また、当該制御装置14cは、
(b)RO水タンク15tの水位が低水位より上から下に変わった場合には、ROポンプ14pを最高速度にまで増速するようになっている。
【0053】
(具体例b)
前述と同様に、ROポンプ14pの駆動制御範囲が32L/min~40L/minである場合について説明する。
【0054】
具体例a-1の制御により、水位が概ね中水位を維持している状態で、RO水の使用量が37.5L/minの速度にまで増大される(75床の透析治療に相当する)と、37.5-32.5=5L/minの速度で水位が低下していく。水位が低水位より下になる時点までに要する時間は、39L÷5L/min=7.8minである。
【0055】
水位が低水位より下になった時点以後(7.8min経過時点以後)、最高速度(40L/min)で、当該水位低下を補うようにROポンプ14pが駆動される。その後、40-37.5=2.5L/minの速度で水位が上昇していく。
【0056】
(制御工程c)
また、当該制御装置14cは、
(c)RO水タンク15tの水位が低水位より下から上に変わった場合には、当該時点から前記水位が前記中水位より上になる時点までの水位上昇に要した時間を計測するようになっており、水位が中水位より上になった時点以後、前記水位上昇の速度に対応する速度で当該水位上昇を相殺するようにROポンプ14pを減速するようになっている。
【0057】
(具体例c)
前述と同様に、ROポンプ14pの駆動制御範囲が32L/min~40L/minである場合について説明する。
【0058】
具体例bの制御により、2.5L/minの速度で水位が上昇していく際、本実施形態の水処理装置10は、低水位より下から上に水位が変わった時点から中水位より上になる時点までの水位上昇に要した時間(39L÷2.5L/min=15.6min)を計測して、当該時間に基づいて当該水位上昇の速度を演算する(2.5L/min)。
【0059】
ポンプの最高駆動速度(40L/min)と演算された水位上昇の速度(2.5L/min)との差(37.5L/min)が、ROポンプ14pの駆動制御範囲内であるため、水位が中水位より上になった時点以後(15.6min経過時点以後)、当該差の速度(37.5L/min)まで、それまでの水位上昇を補うようにROポンプ14pが減速される。
【0060】
このような制御により、その後37.5L/minの速度でRO水が使用されている間、水位は概ね中水位を維持することができる。
【0061】
(制御工程d)
また、当該制御装置14cは、
(d)RO水タンク15tの水位が高水位より下から上に変わった場合には、ROポンプ14pを最小速度にまで減速するようになっている。
【0062】
(具体例d)
前述と同様に、ROポンプ14pの駆動制御範囲が32L/min~40L/minである場合について説明する。
【0063】
具体例cの制御により、水位が概ね中水位を維持している状態で、RO水の使用量が15L/minの速度にまで低減される(30床の透析治療に相当する)と、37.5-15=22.5L/minの速度で水位が上昇していく。水位が高水位より下から上になる時点までに要する時間は、45L÷22.5L/min=2minである。
【0064】
水位が高水位より上になった時点以後(2min経過時点以後)、最小速度(32L/min)にまで、ROポンプ14pが減速される。その後、32-15=17L/minの速度で水位が更に上昇していく(従来技術では、35-15=20L/minの速度で水位が上昇する)。
【0065】
(制御工程e)
また、当該制御装置14cは、
(e)RO水タンク15tの水位が過大水位より下から上に変わった場合には、ROポンプ14pを停止させるようになっている。
【0066】
(具体例e)
前述と同様に、ROポンプ14pの駆動制御範囲が32L/min~40L/minである場合について説明する。
【0067】
具体例dの制御により、17L/minの速度で水位が上昇していくと、高水位から過大水位までの水位上昇に要する時間は、21L÷17L/min=1.24min(従来技術では20L÷20L/min=1min)であり、当該1.24min経過時点で、ROポンプ14pは停止され、フラッシング処理が実施される。
【0068】
その後は、具体例a-2と略同様である。すなわち、過大水位センサS2が設けられた過大水位(当該水位ではROポンプ14pは停止している)から、15L/minの速度でRO水が使用されていくので、水位が中水位より下になる時点までに要する時間は、45L÷15L/min=3minである。
【0069】
本実施形態の水処理装置10は、高水位より上から下に水位が変わった時点から中水位より下になる時点までの水位低下に要した時間(45L÷15L/min)を計測して、当該時間に基づいて当該水位低下の速度を演算する(15L/min)。
【0070】
演算された水位低下の速度(15L/min)が、ROポンプ14pの駆動制御範囲外であるため、水位が中水位より下になった時点以後(3min経過時点以後)、当該水位低下の速度に最も近い駆動速度(32L/min)で、当該水位低下を補うようにROポンプ14pが駆動される。
【0071】
このような制御により、32-15=17L/minの速度で水位が上昇していく(前述の制御工程dを経ても状況は変わらない)。水位が過大水位に到達すると、ROポンプ14pが停止され、フラッシング処理が実施される。しかしながら、従来技術においては、35L/minでROポンプ54pが駆動されるため、35-15=20L/minの速度で水位が上昇していくから、これと比較すれば、本実施形態の水処理装置10はフラッシング処理の回数を低減することができ、顕著な節水効果を達成することができる。
【0072】
(具体例f)
一般に、透析治療の前後において、透析装置の洗浄プロセスが実施される。本実施形態の水処理装置10は、透析装置からの信号入力を必要とすることなく、当該洗浄プロセスに対応することができる。
【0073】
過大水位センサS2が設けられた過大水位(当該水位ではROポンプ14pは停止している)から、洗浄プロセスのために、37.5L/minの速度でRO水が使用される場合、水位が中水位より下になる時点までに要する時間は、45L÷37.5L/min=1.2minである。
【0074】
本実施形態の水処理装置10は、高水位より上から下に水位が変わった時点から中水位より下になる時点までの水位低下に要した時間(45L÷37.5L/min)を計測して、当該時間に基づいて当該水位低下の速度を演算する(37.5L/min)。
【0075】
演算された水位低下の速度(37.5L/min)が、ROポンプ14pの駆動制御範囲内であるため、水位が中水位より下になった時点以後(1.2min経過時点以後)、当該水位低下の速度(37.5L/min)で、当該水位低下を補うようにROポンプ14pが駆動される。
【0076】
このような制御により、37.5L/minの速度でRO水が使用されている間、水位は概ね中水位を維持することができる。
【0077】
従来技術においては、35L/min(中速)でのROポンプ54pの駆動と、40L/min(高速)でのROポンプ54pの駆動とを、透析装置の稼働状況に対応する信号入力によって切り替えていた。本発明においては、このような信号入力を必要とすることなく、洗浄プロセスに対応することができる。
【0078】
その他、満水センサS1は、RO水タンク15tの満水を警告するために利用され、渇水センサS7は、RO水タンク15tの渇水を検知し、送水ポンプ16を停止して保護するために利用され得る。
【0079】
次に、以上のような本実施形態の水処理装置10の作用について説明する。
【0080】
原水が、まず、原水タンク11に貯留される。原水タンク11の内部には、加温ヒータ11hが設けられていて、原水の温度を25℃にまで加温する。
【0081】
25℃に加温された原水が、原水ポンプ12によって前処理ユニット13に送られる。前処理ユニット13において、プレフィルタ13aが、主として原水中の不純物(ゴミ)を濾過して除去し、軟水装置13bが、主として原水中のカルシウムイオン(Ca2+ )及びマグネシウムイオン(Mg2+ )を除去し、カーボンフィルタ13cが、主として原水中の残留塩素(総塩素:遊離塩素+結合塩素)を除去する。
【0082】
前処理ユニット13での前処理が終わった原水は、ROユニット14(逆浸透膜処理装置)に送られる。ROユニット14は、ROポンプ14pを用いて、前処理が終わった原水をROモジュール14mに供給する。ROモジュール14mは、原水に含まれる無機イオン全般を除去する処理を実施し、ROモジュール14mでの処理を終えたRO水(原水の50~90%程度)は、RO水供給ユニット15に送られる。
【0083】
一方、ROモジュール14mでの処理によって生成されたRO排水は、一部(「循環水」とも呼ばれる)がROポンプ14pを介してROモジュール14mに再投入され、他の一部(原水の10~50%程度、「濃縮水」とも呼ばれる)が排水処理される。
【0084】
RO水供給ユニット15では、RO水タンク15tにRO水が貯留される。必要に応じて、UV照射装置15uによってUV照射処理が行なわれる。
【0085】
その後、RO水タンク15tに貯留されたRO水は、送水ポンプ16を介して、UF17(ウルトラフィルタ)に送られる。UF17は、RO水から生物学的不純物を除去する。UF17によって生物学的不純物を除去されたRO水は、例えば透析用水として、透析治療用の各種の医療機器(不図示)に送られる。当該透析用水は、医療機器循環後、UF18(ウルトラフィルタ)に戻ってきて、更にRO水タンク15tに戻される。
【0086】
そして、ROポンプ14pを制御する制御装置14cは、
(a)RO水タンク15tの水位が高水位より上から下に変わった場合には、当該時点から水位が中水位より下になる時点までの水位低下に要した時間を計測するようになっており、水位が中水位より下になった時点以後、前記水位低下の速度に対応する速度で当該水位低下を補うようにROポンプ14pを駆動する。
【0087】
これにより、水位が中水位より下になった時点以後、水位が当該中水位に可及的に維持されるような制御が実施される。これにより、水位がその後に低水位を下回るか高水位を上回るまでの時間を稼ぐことができ、すなわち、ROポンプ14pの駆動時間をより長く維持することができる。これにより、フラッシング処理の回数を低減することができ、顕著な節水効果を得ることができる。
【0088】
また、ROポンプ14pを制御する制御装置14cは、
(b)RO水タンク15tの水位が低水位より上から下に変わった場合には、ROポンプ14pを最高速度にまで増速する。
【0089】
これにより、RO水タンク15tが渇水状態になることを効果的に防止することができる。
【0090】
また、ROポンプ14pを制御する制御装置14cは、
(c)RO水タンク15tの水位が低水位より下から上に変わった場合には、当該時点から前記水位が前記中水位より上になる時点までの水位上昇に要した時間を計測するようになっており、水位が中水位より上になった時点以後、前記水位上昇の速度に対応する速度で当該水位上昇を相殺するようにROポンプ14pを減速する。
【0091】
これにより、水位が中水位より上になった時点以後、水位が当該中水位に可及的に維持されるような制御が実施される。よって、水位がその後に低水位を下回るか高水位を上回るまでの時間を稼ぐことができ、すなわち、ROポンプの駆動時間をより長く維持することができる。
【0092】
また、ROポンプ14pを制御する制御装置14cは、
(d)RO水タンク15tの水位が高水位より下から上に変わった場合には、ROポンプ14pを最小速度にまで減速する。
【0093】
これにより、RO水タンク15tが満水状態になることを効果的に抑制することができる。
【0094】
更に、ROポンプ14pを制御する制御装置14cは、
(e)RO水タンク15tの水位が過大水位より下から上に変わった場合には、ROポンプ14pを停止させるようになっている。
【0095】
これにより、RO水タンク15tが満水状態になることを効果的に防止することができる。
【0096】
更に、ROポンプ14pを制御する制御装置14cは、透析装置の稼働状況を示す信号入力を必要とすることなく、透析装置の洗浄プロセスに対応することができる。これにより、そのような信号を制御装置14cに入力するためのハードウェアを構築したり、当該ハードウェアをメンテナンスする等の面倒から解放される。
【符号の説明】
【0097】
10 水処理装置
11 原水タンク
11h 加温ヒータ
12 原水ポンプ
13 前処理ユニット
13a プレフィルタ
13b 軟水装置
13c カーボンフィルタ
14 ROユニット
14c 制御装置
14m ROモジュール
14p ROポンプ
15 RO水供給ユニット
15f エアーフィルタ
15t RO水タンク
15u UV照射装置
16 送水ポンプ
21 原水タンク温度センサ
S1 満水センサ
S2 過大水位センサ
S3 高水位センサ
S4 中水位センサ
S5 低水位センサ
S6 過小水位センサ
S7 渇水センサ
51 原水タンク
51h 加温用ヒータ
52 原水ポンプ
53 前処理ユニット
53a プレフィルタ
53b 軟水装置
53c カーボンフィルタ
54 ROユニット
54m ROモジュール
54p ROポンプ
55 RO水供給ユニット
55f エアーフィルタ
55t RO水タンク
55u UV照射装置
56 送水ポンプ
S51 満水センサ
S52 過大水位センサ
S53 高水位センサ
S54 中水位センサ
S55 低水位センサ
S56 過小水位センサ
S57 渇水センサ