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特許7345761変形センサユニット及びこれを含むスキンセンサモジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】変形センサユニット及びこれを含むスキンセンサモジュール
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
A61B5/00 M
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020525988
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 KR2018013506
(87)【国際公開番号】W WO2019093773
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】15/808,416
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】10-2017-0155057
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン, ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン, ハン-ウル
(72)【発明者】
【氏名】キム, ウンジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジファン
(72)【発明者】
【氏名】イ, キュサン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ヘクァン
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-196211(JP,A)
【文献】特開2017-169647(JP,A)
【文献】特開2005-249785(JP,A)
【文献】特開2007-319343(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0128688(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0051156(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔、第1電極及び第2電極を有する基板であって、前記第1電極は基板の一方の面に貫通孔の一方側に形成され、前記第2電極は基板の一方の面に貫通孔の他方側に形成された基板;
前記第1電極から引き出されて前記貫通孔の内部を延在する圧電素子;及び
前記第2電極から引き出されて前記貫通孔の内部を延在し前記圧電素子の一部又は全部と重なるように形成されている圧電抵抗を含むことを特徴とする変形センサユニット。
【請求項2】
前記圧電素子は、圧電半導体であることを特徴とする請求項1に記載の変形センサユニット。
【請求項3】
前記圧電抵抗は、ナノクラック-制御基盤の金属圧電抵抗素子であることを特徴とする請求項1に記載の変形センサユニット。
【請求項4】
前記圧電素子と前記圧電抵抗との間の接触面に、非晶質酸化物半導体からなる界面層が更に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の変形センサユニット。
【請求項5】
前記基板には、50~150μmの複数の通気孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の変形センサユニット。
【請求項6】
前記複数の通気孔間の間隔は、50~150μmであることを特徴とする請求項5に記載の変形センサユニット。
【請求項7】
前記複数の通気孔は、まとめて1つの前記貫通孔を構成することを特徴とする請求項5に記載の変形センサユニット。
【請求項8】
前記基板は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む物質からなることを特徴とする請求項1に記載の変形センサユニット。
【請求項9】
前記基板の一方の面に対向する他方の面には、皮膚への密着のための複数のマイクロ吸い込みカップがパターニングされることを特徴とする請求項1に記載の変形センサユニット。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の複数の変形センサユニットを含むスキンセンサモジュールであって、
それぞれの第1電極は、基板の一方の面の上のそれぞれの貫通孔の一方側に形成され、
それぞれの第2電極は、基板の一方の面の上のそれぞれの貫通孔の他方側に形成され、
それぞれの圧電素子は、それぞれの第1電極から引き出されて前記貫通孔の内部を延在し、
それぞれの圧電抵抗は、それぞれの第2電極から引き出されて前記貫通孔の内部を延在し前記圧電素子の一部又は全部と重なるように形成されていることを特徴とするスキンセンサモジュール。
【請求項11】
前記変形センサユニットの前記基板には、50~150μmの複数の通気孔が形成されており、
前記複数の通気孔は、前記複数の貫通孔を構成し、
前記複数の通気孔の一部は、まとめて1つの貫通孔を構成することを特徴とする請求項10に記載のスキンセンサモジュール。
【請求項12】
前記複数の変形センサユニットは、前記基板上に放射アレイ構造、直線状アレイ構造、曲線状アレイ構造、交差状アレイ構造、円形アレイ構造、矩形状アレイ構造、及び多角形アレイ構造のうちの一つ以上のアレイ構造で配置されることを特徴とする請求項10に記載のスキンセンサモジュール。
【請求項13】
変形センサユニットの製造方法であって、
犠牲層上に基板の貫通孔の一方側から内側に延在する圧電抵抗を含む基板層を積層するステップ;
圧電素子層を転写構造物に付着して基板層上に転写させるステップ;
前記転写構造物を分離させるステップ;及び
前記圧電素子層において前記圧電抵抗の全部又は一部を覆いながら前記貫通孔の他方側に延在して圧電素子に対応する領域を除いた領域と、前記犠牲層を除去し、前記基板の一方の面において前記貫通孔の一方側と他方側に前記圧電素子及び前記圧電抵抗をそれぞれ覆うように第1電極と第2電極を形成するステップを含むことを特徴とする変形センサユニットの製造方法。
【請求項14】
マイクロ柱が形成されたモールド上に予め設定された厚さの弾性重合体を成形するステップ;及び
成形された前記弾性重合体を分離させて基板を形成するステップを更に含むことを特徴とする請求項13に記載の変形センサユニットの製造方法。
【請求項15】
前記圧電素子層を転写構造物に付着して基板層上に転写させるステップは、
エピタキシャルグラフェン上に圧電素子層を搭載するステップ;
前記圧電素子層上にストレッサー層を搭載するステップ;
前記ストレッサー層上にテープ層を搭載するステップ;及び
前記テープ層、ストレッサー層、及び圧電素子層を分離させて前記基板層上に転写させるステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の変形センサユニットの製造方法。
【請求項16】
スキンセンサモジュールの製造方法であって、
犠牲層上に基板の複数の貫通孔のそれぞれに一方側から内側に延在する圧電抵抗を含む基板層を積層するステップ;
圧電素子層を転写構造物に付着して基板層上に転写させるステップ;
前記転写構造物を分離させるステップ;及び
前記圧電素子層においてそれぞれの圧電抵抗の全部又は一部を覆いながら前記貫通孔の他方側に延在して圧電素子に対応する領域を除いた領域と、前記犠牲層を除去し、基板の一方の面において前記複数の貫通孔の一方側と他方側に前記圧電素子及び前記圧電抵抗をそれぞれ覆うように第1電極と第2電極を形成するステップを含むことを特徴とするスキンセンサモジュールの製造方法。
【請求項17】
複数のマイクロ柱が形成されたモールド上に予め設定された厚さの弾性重合体を成形するステップ;及び
成形された前記弾性重合体を分離させて基板を形成するステップを更に含むことを特徴とする請求項16に記載のスキンセンサモジュールの製造方法。
【請求項18】
前記圧電素子層を転写構造物に付着して基板層上に転写させるステップは、
エピタキシャルグラフェン上に圧電素子層を搭載するステップ;
前記圧電素子層上にストレッサー層を搭載するステップ;
前記ストレッサー層上にテープ層を搭載するステップ;及び
前記テープ層、ストレッサー層、及び圧電素子層を分離させて前記基板層上に転写させるステップを含むことを特徴とする請求項16に記載のスキンセンサモジュールの製造方法。
【請求項19】
請求項10~12のいずれか一項に記載のスキンセンサモジュールを含むスキン変形感知装置であって、
前記基板は、テストしたい刺激が加えられるテストポイントが形成されることを特徴とするスキン変形感知装置。
【請求項20】
前記テストポイントは、テストしたい物質が注入される注入開口又は予め設定された大きさ又は周期の振動が加えられる圧入ポイントであることを特徴とする請求項19に記載のスキン変形感知装置。
【請求項21】
前記複数の貫通孔は、前記テストポイントを中心に放射アレイ構造で配置されることを特徴とする請求項19に記載のスキン変形感知装置。
【請求項22】
前記スキンセンサモジュールに連結されて被験者の腕又は脚をくるむように形成された固定バンドを更に含むことを特徴とする請求項19に記載のスキン変形感知装置。
【請求項23】
前記スキンセンサモジュールは、皮膚特性算出部に連結され、
前記スキンセンサモジュールは、前記テストポイントに加えられる圧力による波動特性を測定し、
前記皮膚特性算出部で測定された波動特性による皮膚物性に基づいて皮膚弾性度を算出することを特徴とする請求項19に記載のスキン変形感知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用して生理学的な皮膚の動きをリアルタイムでモニタリングできる変形センサユニット及びこれを含むスキンセンサモジュールに係り、自立型の変形感知構造物を用いてインターフェース設計が可能な変形センサユニット及びこれを含むスキンセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
洗顔後又は乾燥した大気環境で皮膚がつっぱる感じをしばしば経験することがある。この場合、皮膚が乾燥していると評価しており、これを定量的に測定するための様々な試みがなされたことがある。
【0003】
皮膚つっぱりの測定のために皮膚の弾性係数を測定する試みがなされたことがあり、皮膚の弾性係数は種々の技術によって測定された。従来は、圧力基盤の吸い込み、ねじり、牽引力、ナノ押込(nano-Indentation)、弾性超音波(ultrasound elastography)などの技術を用いて皮膚の弾性係数を測定していたが、弾性係数だけでは皮膚の機械的変形である変形挙動に関する情報が得られなかった。
【0004】
そして、皮膚の油分又は水分を測定して皮膚乾燥度を測定しようとする試みがあった。皮膚の水分を測定するために、皮膚の表面に所定の機器を接触させてインピーダンス又はキャパシタンスといった電気的特性を測定する方法を用いていた。皮膚の油分を測定するために、半透明の脂質吸収テープを用いたり、光学的反射原理を用いる方法を用いたりしていた。
【0005】
また、表皮水分蒸発量を測定して皮膚乾燥度を測定しようとする試みがあった。湿度センサ及び温度センサを活用して1cm直径のシリンダ域で発生する水分の蒸発量を測定する方法を試みたことがある。
【0006】
そして、皮膚の形態又は機械的物性を測定して皮膚乾燥度を測定しようとする試みもあった。弾力を測定するために、皮膚への吸着後、経時的な皮膚復元力を測定した。光学的分析によって、数十μmの解像度で、可視光線によって肌のキメ、毛穴、しわ、角質などを測定し、紫外線によって皮脂、毛穴、トラブル、にきびなどを測定し、偏光を用いて色素沈着、シミ、細かいできものなどを測定した。
【0007】
生体外(ex-situ)方式に基づく皮膚分析法では、湿度や温度、細塵などのような皮膚への様々な環境因子に影響を受けるという不具合や、皮膚つっぱりがどの位の速度にどの程度変化するかについての測定が困難であったため、その原因を正確に究明し難いという問題があった。
【0008】
皮膚又は乾状状態を測定するためにウエラブル感知装置を使用することもあった。ウエラブルセンサは動作感知基盤のコントローラであって、筋肉の動きや特許文献1のように心拍数、痙攣の有無などを測定又は診断した。そして、部位毎の最大変形率を測定するようにセンサの構造を調節した。
【0009】
特許文献1のようなウエラブルセンサ装置の場合、広い範囲(cm面積)で発生する機械的変形率だけが測定可能であって、機械的耐久性(最大変化率)に焦点が合わせられていて、極めて細かい変化(strain<1%)の感知は困難であった。また、周囲環境と皮膚との接触を遮断して測定するものであるため、筋肉の動きや心拍数の測定を主な目的とし、且つ、当該装置が皮膚を覆うため、外部環境への露出による皮膚変化の観察又は測定が困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国登録特許第10-1746492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述した問題点を解決するためのものであって、皮膚の変形を測定できる変形センサユニット及びこれを含むスキンセンサモジュールを提供することを目的とする。
【0012】
また、着用型構造であって、センサユニット又はセンサモジュールを着用した状態で測定が可能であり、且つ、着用が皮膚状態に影響を及ぼすことなく、皮膚の生理学的な挙動による皮膚の変形を測定できる変形センサユニット及びこれを含むスキンセンサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施例に係る変形センサユニットは、貫通孔が形成され、基板の一方の面に貫通孔の一方側と他方側に形成された第1電極と第2電極を含む基板;前記第1電極から引き出されて前記貫通孔の内部を延在する圧電素子;及び前記第2電極から引き出されて前記貫通孔の内部を延在し前記圧電素子の一部又は全部と重なるように形成される圧電抵抗を含む。
【0014】
前記圧電素子は、圧電半導体であってよい。
【0015】
前記圧電抵抗は、ナノクラック-制御基盤の金属圧電抵抗素子であってよい。
【0016】
前記圧電素子と前記圧電抵抗との間の接触面に、非晶質酸化物半導体からなる界面層が更に形成されてよい。
【0017】
前記基板には、50~150μmの複数の通気孔が形成されてよい。
【0018】
前記複数の通気孔間の間隔は、50~150μmであってよい。
【0019】
前記複数の通気孔は、前記貫通孔を構成してよい。
【0020】
前記基板は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む物質からなるものであってよい。
【0021】
前記基板の一方の面に対向する他方の面には、皮膚への密着のための複数のマイクロ吸い込みカップがパターニングされていてよい。
【0022】
本発明の他の実施例に係るスキンセンサモジュールは、複数の貫通孔が形成され、基板の一方の面にそれぞれの貫通孔の一方側と他方側に形成された第1電極と第2電極を含む基板;それぞれの第1電極から引き出されて前記貫通孔の内部を延在する圧電素子;それぞれの第2電極から引き出されて前記貫通孔の内部を延在し前記圧電素子の一部又は全部と重なるように形成される圧電抵抗を含む。
【0023】
前記圧電素子は、圧電半導体であってよい。
【0024】
前記圧電抵抗は、ナノクラック-制御基盤の金属圧電抵抗素子であってよい。
【0025】
前記圧電素子と前記圧電抵抗との間の接触面に、非晶質酸化物半導体からなる界面層が更に形成されてよい。
【0026】
前記基板には、50~150μmの複数の通気孔が形成されてよい。
【0027】
前記複数の通気孔間の間隔は、50~150μmであってよい。
【0028】
前記複数の通気孔の全部又は一部は、前記複数の貫通孔を構成してよい。
【0029】
前記基板は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む物質からなるものであってよい。
【0030】
前記基板の一方の面に対向する他方の面には、皮膚への密着のための複数のマイクロ吸い込みカップがパターニングされていてよい。
【0031】
変形センサユニットは、前記基板上に形成される一つの貫通孔を中心に配置される前記第1電極と、前記第2電極、及び前記圧電素子と圧電抵抗とからなる変形感知構造物と、を含み、前記基板上には、複数の変形センサユニットが形成され、前記複数の変形センサユニットは、前記基板上に放射アレイ構造、直線状アレイ構造、曲線状アレイ構造、交差状アレイ構造、円形アレイ構造、矩形状アレイ構造、及び多角形アレイ構造のうちの一つ以上のアレイ構造で配置されてよい。
【0032】
本発明の他の実施例に係る変形センサユニットの製造方法は、犠牲層上に基板の貫通孔の一方側から内側に延在する圧電抵抗を含む基板層を積層するステップ;圧電素子層を転写構造物に付着して基板層上に転写させるステップ;前記転写構造物を分離させるステップ;及び前記圧電素子層において前記圧電抵抗の全部又は一部を覆いながら前記貫通孔の他方側に延在して圧電素子に対応する領域を除いた領域と、前記犠牲層を除去し、前記基板の一方の面において前記貫通孔の一方側と他方側に前記圧電素子及び前記圧電抵抗をそれぞれ覆うように第1電極と第2電極を形成するステップを含む。
【0033】
マイクロ柱が形成されたモールド上に予め設定された厚さの弾性重合体を成形するステップ;及び成形された前記弾性重合体を分離させて基板を形成するステップを更に含んでよい。
【0034】
前記圧電素子層を転写構造物に付着して基板層上に転写させるステップは、エピタキシャルグラフェン上に圧電素子層を搭載するステップ;前記圧電素子層上にストレッサー層を搭載するステップ;前記ストレッサー層上にテープ層を搭載するステップ;及び前記テープ層、ストレッサー層、及び圧電素子層を分離させて前記基板層上に転写させるステップを含んでよい。
【0035】
本発明の他の実施例に係るスキンセンサモジュールの製造方法は、犠牲層上に基板の複数の貫通孔のそれぞれに一方側から内側に延在する圧電抵抗を含む基板層を積層するステップ;圧電素子層を転写構造物に付着して基板層上に転写させるステップ;前記転写構造物を分離させるステップ;及び前記圧電素子層においてそれぞれの圧電抵抗の全部又は一部を覆いながら前記貫通孔の他方側に延在して圧電素子に対応する領域を除いた領域と、前記犠牲層を除去と、前記基板の一方の面において前記複数の貫通孔の一方側と他方側に前記圧電素子及び前記圧電抵抗をそれぞれ覆うように第1電極と第2電極を形成するステップを含む。
【0036】
複数のマイクロ柱が形成されたモールド上に予め設定された厚さの弾性重合体を成形するステップ;及び成形された前記弾性重合体を分離させて基板を形成するステップを更に含んでよい。
【0037】
前記圧電素子層を転写構造物に付着して基板層上に転写させるステップは、エピタキシャルグラフェン上に圧電素子層を搭載するステップ;前記圧電素子層上にストレッサー層を搭載するステップ;前記ストレッサー層上にテープ層を搭載するステップ;及び前記テープ層、ストレッサー層、及び圧電素子層を分離させて前記基板層上に転写させるステップを含んでよい。
【0038】
本発明の他の実施例に係るスキン変形感知装置は、複数の貫通孔とテストしたい刺激が加えられるテストポイントが形成され、基板の一方の面にそれぞれの貫通孔の一方側と他方側に形成された第1電極と第2電極を含む基板;それぞれの第1電極から引き出されて前記貫通孔の内部を延在する圧電素子;それぞれの第2電極から引き出されて前記貫通孔の内部を延在し前記圧電素子の一部又は全部と重なるように形成される圧電抵抗を含むことを特徴とするスキンセンサモジュールを含む。
【0039】
前記テストポイントは、テストしたい物質が注入される注入開口又は予め設定された大きさ又は周期の振動が加えられる圧入ポイントであってよい。
【0040】
前記複数の貫通孔は、前記テストポイントを中心に放射アレイ構造で配置されてよい。
【0041】
前記スキンセンサモジュールに連結されて被験者の腕又は脚をくるむように形成された固定バンドを更に含んでよい。
【0042】
前記スキンセンサモジュールは、皮膚特性算出部に更に連結されてよく、前記スキンセンサモジュールは、テストポイントに加えられる圧力による波動特性を測定し、前記皮膚特性算出部で測定された波動特性によって導出される皮膚物性に基づいて皮膚弾性度を算出する。
【発明の効果】
【0043】
本発明の一実施例によれば、皮膚の変形を測定できる変形センサユニット及びこれを含むスキンセンサモジュールを提供することができる。
【0044】
また、着用型構造として、センサユニット又はセンサモジュールを着用した状態で測定が可能であり、着用が皮膚状態に影響を及ぼすことなく、皮膚の生理学的な挙動による皮膚の変形を測定できる変形センサユニット及びこれを含むスキンセンサモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、本発明の一実施例に係る被験者に着用されたスキンセンサモジュールを概略的に示す図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る変形センサユニットを概略的に示す図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る変形センサユニットの断面図である。
図4図4は、本発明の一実施例に係る変形センサユニットの回路図である。
図5a図5aは、本発明の一実施例に係る変形センサユニットにおいて界面層の有無による電位の変化を示すグラフである。
図5b図5bは、本発明の一実施例に係る変形センサユニットにおいて界面層の有無による電位の変化を示すグラフである。
図6図6は、界面層による電気的特性の変化を示すグラフである。
図7図7は、本発明の一実施例に係るフレキシブル接着基板の製造過程を概略的に示す図である。
図8a図8aは、本発明の一実施例に係るスキンセンサモジュールの製造過程を概略的に示す図である。
図8b図8bは、本発明の一実施例に係るスキンセンサモジュールの製造過程を概略的に示す図である。
図8c図8cは、本発明の一実施例に係るスキンセンサモジュールの製造過程を概略的に示す図である。
図8d図8dは、本発明の一実施例に係るスキンセンサモジュールの製造過程を概略的に示す図である。
図9a図9aは、本発明の一実施例に係る変形センサユニットで皮膚変化量を測定する過程を概略的に示す図である。
図9b図9bは、本発明の一実施例に係る変形センサユニットで皮膚変化量を測定する過程を概略的に示す図である。
図9c図9cは、本発明の一実施例に係る変形センサユニットで皮膚変化量を測定する過程を概略的に示す図である。
図10図10は、本発明の一実施例に係る変形センサモジュールで測定された経時的な皮膚変化量を示すグラフである。
図11図11は、本発明の他の実施例に係るスキンセンサモジュールを概略的に示す図である。
図12図12は、図11のスキンセンサモジュールの断面図である。
図13図13は、本発明の一実施例に係るスキン変形感知装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本実施例は多様な変換を加えることができ且つ種々の実施例を有し得るところ、特定の実施例を図面に例示して詳細に説明することにする。なお、これは特定の実施形態に対して範囲を限定するためのことではなく、開示された思想や技術範囲に含まれるすべての変換、均等物乃至代替物を含むことと理解すべきである。実施例を説明するに際して、関連する公知技術についての具体的な説明が要旨を曖昧にし得ると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0047】
実施例において「モジュール」或いは「部」は、少なくとも一つの機能や動作を遂行し、ハードウェア又はソフトウェアで具現され又はハードウェアとソフトウェアとの結合で具現され得る。また、複数の「モジュール」或いは複数の「部」は、特定のハードウェアで具現される必要がある「モジュール」或いは「部」を除いては、少なくとも一つのモジュールに一体化されて少なくとも一つのプロセッサ(図示せず)で具現され得る。
【0048】
以下、実施例を添付した図面を参照して詳しく説明することにし、添付の図面を参照して説明するに際して、同一又は対応する構成要素には同じ図面符号を付し、それについて重複する説明は省略することにする。
【0049】
図1は、本発明の一実施例に係る被験者Tに着用されたスキンセンサモジュールを概略的に示す図である。
【0050】
本発明の一実施例に係るスキンセンサモジュールは、皮膚に付着されて皮膚の機械的変化を測定するように構成されてよい。一実施例に係るスキンセンサモジュールSは、複数の通気性(air permeable)貫通孔Hが形成された基板20と、前記基板に形成された複数の変形センサユニット10を含む。
【0051】
前記基板20は、皮膚に密着して接着できるように形成され、前記変形センサユニット10は、前記通気性貫通孔H上に自立(free standing)型で形成された変化感知構造物から構成される。貫通孔H上に自立型で付着されて、皮膚に付着された貫通孔Hの大きさの変化に応じて変化感知構造物上に加えられる圧力の変化を感知して皮膚変化を感知するように構成されてよい。
【0052】
図2は、本発明の一実施例に係る変形センサユニット10を概略的に示す図であり、図3は、本発明の一実施例に係る変形センサユニット10の断面図である。
【0053】
図2及び図3を参照すると、本発明の一実施例に係る変形センサユニット10は、貫通孔Hが形成され、基板の一方の面に貫通孔Hの一方側と他方側に形成された第1電極15と第2電極17を含む基板20、前記第1電極15から引き出されて前記貫通孔Hの内部を延在する圧電素子11、及び前記第2電極17から引き出されて前記貫通孔Hの内部を延在し前記圧電素子11の一部又は全部と重なるように形成される圧電抵抗13を含む。
【0054】
一実施例によれば、前記変化感知構造物は、圧電素子11と圧電抵抗13とから構成されてよい。変化感知構造物は、貫通孔Hの両側に亘って延在するように形成され、その長さ変化に応じて前記変化感知構造物上での圧力が変化するように形成されてよい。それにより、変化感知構造物は、圧電素子と圧電抵抗を介して圧力変化を感知して皮膚変化を測定するように形成されてよい。
【0055】
前記圧電素子11は、機械的な圧力によって電気的信号を発生させ得る素子であって、一実施例によれば、圧電半導体であってよい。
【0056】
前記圧電抵抗13は、ナノメートルスケールの皮膚の変形に応じて抵抗が変化する素子であって、一実施例によれば、ナノメートルスケールのクラックの断接によってクラックが形成された金属の抵抗が変化するように形成され、皮膚の変形をナノメートルスケールで測定できるナノクラック-制御基盤の金属圧電抵抗素子であってよい。
【0057】
一例として、前記圧電抵抗13は、ポリイミド上に形成された銀(Ag)薄膜が形成されて金属粒子(grains)が形成され、クラックの断接による抵抗変化を誘導できる圧電抵抗素子であってよい。
【0058】
一実施例によれば、前記圧電素子11と圧電抵抗13との接触面上に界面層19を更に含んでよい。一例として、前記界面層19は、低欠陥(low-defective)の非晶質酸化物半導体(Amorphous oxide semiconductor layer)であってよく、転写印刷した圧電素子11の下に配置されてよい。
【0059】
図3の一部拡大図を参照すると、圧電抵抗13と圧電素子11との間の接触面に形成された界面層19は、一例として、Ga化学量論-制御式非晶質酸化界面層から構成され、室温蒸着工程下でも低欠陥ショットキーバリアを形成でき、変形センサの感度を改善できる。
【0060】
非晶質構造によって、1次元的及び2次元的欠陥は存在せず、一定のコンタクトが形成できる。さらには、Gaは酸素欠乏のような0次元的欠陥を抑制し、理想的なショットキー熱イオン伝導(thermionic conduction)を誘導する。結果的に、電気抵抗は圧電ポテンシャルの増加に対して変化するようになり、すなわち、センサの敏感度が増加する。
【0061】
図4は、本発明の一実施例に係る変形センサユニットの回路図である。
【0062】
図4を参照すると、一実施例に係る変形センサユニットは、圧電半導体形態の圧電素子11と可変抵抗形態の圧電抵抗13とが接続され、それらの間に可変ショットキーダイオード(Variable Schottky diode)12が形成される構造を有してよい。
【0063】
図5a及び図5bは、本発明の一実施例に係る変形センサユニットにおいて界面層の有無によるエネルギーバンドダイヤグラムを示すグラフである。
【0064】
図5aは、圧電素子11と圧電抵抗13とが接続された実施例の変形センサユニットのエネルギーバンドダイヤグラムに関するものであり、図5bは、界面層19を更に含む実施例のエネルギーバンドダイヤグラムに関するものである。
【0065】
図5aを参照すると、F及びFの力が加えられて引張力が印加された場合、バリアの高さが高くなり、圧電抵抗13の抵抗が大きくなる。
【0066】
そして、F及びFの力が加えられて圧力が印加された場合、バリアの高さが低くなり、圧電抵抗13の抵抗が小さくなる。
【0067】
すなわち、変形センサユニットが付着された皮膚につっぱりが生じたり(F、F)、たるみが生じたりした場合(F、F)、フェルミエネルギー準位(Fermi energy level)に対するショットキーバリアの調整がなされて皮膚のつっぱりやたるみを感知するように形成されてよい。
【0068】
それにより、変形センサユニットの敏感度は、圧電素子11と圧電抵抗13の一連の相互接続を通じて非常に強化できる。結局、ナノメートルスケールの皮膚変化を感知できる変形センサユニットを提供できる。
【0069】
図5bを参照すると、非晶質酸化物界面層19の追加によって界面での1次元的及び2次元的欠陥を除去し、ショットキーバリアの高さに係わらず発生するトンネリング(Tunneling)伝導を抑制し理想的なショットキー熱イオン伝導を形成することが分かる。
【0070】
図6は、非晶質酸化物界面層による電気的特性の変化を示すグラフである。非晶質酸化物の化学量論(stoichiometry)を調節することによってショットキー熱イオン伝導変数値が変り、最適の化学量論を設定して理想的なショットキー熱イオン伝導特性を作り出せることが分かる。
【0071】
本発明の他の実施例に係るスキンセンサモジュールは、複数の変形センサユニットから構成され、予め設定された範囲内の皮膚領域での皮膚の物理的変化を感知するように形成されてよい。
【0072】
一実施例に係るスキンセンサモジュールは、複数の貫通孔が形成され、基板の一方の面にそれぞれの貫通孔の一方側と他方側に形成された第1電極と第2電極を含む基板、それぞれの第1電極から引き出されて前記貫通孔の内部を延在する圧電素子、それぞれの第2電極から引き出されて前記貫通孔の内部を延在し前記圧電素子の一部又は全部と重なるように形成される圧電抵抗を含む。
【0073】
言い換えれば、スキンセンサモジュールにおいて変形センサユニットは、前記基板上に形成される一つの貫通孔を中心に配置される前記第1電極、前記第2電極、及び前記圧電素子と圧電抵抗とから構成される変形感知構造物を含む一つの単位体であって、一箇所の皮膚変形を感知するように構成されてよい。
【0074】
前記基板上に形成される複数の変形センサユニットは、前記基板上に放射アレイ構造、直線状アレイ構造、曲線状アレイ構造、交差状アレイ構造、円形アレイ構造、矩形状アレイ構造、及び多角形アレイ構造のうちの一つ以上のアレイ構造で配置されてよい。
【0075】
本明細書において変形センサユニットに係る内容はスキンセンサモジュールにも適用できることは勿論である。逆の場合でも同様である。重複する内容の記載は省略することにする。
【0076】
以下では、変形センサユニット及びこれを含むスキンセンサモジュールの製造方法についてより具体的に述べることにする。
【0077】
以下の説明は、複数の変形センサユニットを含むスキンセンサモジュールに関する製造方法を基準にしているが、必ずしもこれに制限されるものではなく、一つの変形センサユニットの製造方法にも適用できることは言うまでもない。
【0078】
図7は、本発明の一実施例に係るフレキシブル接着基板の製造過程を概略的に示す図である。
【0079】
一般的な皮膚の毛穴の大きさは約100μm程度であり、隣接している毛穴との間隔は約100μmである。全体的に2~4百万個が存在し、約11.4個/cmの密度で皮膚に分布している。皮膚の蒸散作用(transpiration)によって皮膚から放出される水蒸気の径は約2~5μmとなり、主な成分は水(HO)が99%で、Na、Cl、K、Nなどの成分が含まれる。そして、毎日約700mlが放出される。
【0080】
本発明の一実施例に係るフレキシブル接着基板20には、約100μm(50μm~150μm)の径dを有し、間の間隔dが約100μm(50μm~150μm)である複数の通気孔Pが配置されてよい。径dと間隔dが50μm未満である場合、フレキシブル接着基板が皮膚に密着して皮膚からの水分などの放出を妨害することがあり、また150μmを超える場合、所望の程度の耐久性を確保し難い。
【0081】
複数の通気孔がフレキシブル接着基板に形成されているため、フレキシブル接着基板のブリーザビリティ(breathability)を確保できる。すなわち、フレキシブル接着基板によって皮膚の蒸散作用に及ぼす影響を最小化して、実際に外部環境への露出によって発生する皮膚乾燥を精度よく測定できる。
【0082】
一実施例によれば、前記通気孔Pが円形形状を有すると図示しているが、必ずしもこれに制限されるものではなく、四角形又は多角形などの多様な形状を有してもよいことは言うまでもない。
【0083】
一実施例によれば、前記通気孔Pは、変形センサユニットの貫通孔Hとして用いられてもよい。別途の貫通孔Hを設けることなく、前記通気孔P上に変形感知構造物を配置し皮膚変化を感知するように形成されてよい。しかし、必ずしもこれに制限されるものではなく、通気孔Pと貫通孔Hとを別に設けて用いることもできることは言うまでもない。
【0084】
図7のフロー図中の一番目の図を参照すると、まず、複数のマイクロ柱が形成されたモールド31を用意する。前記モールド31に形成されたマイクロ柱は貫通孔Hに対応するサイズと形状を有するように形成される。
【0085】
図7の二番目の図を参照すると、前記モールド31上に基板20を構成する物質を形成してよい。一例として、予め設定された厚さの弾性重合体を前記モールド31上に成形してよい。前記弾性重合体は、一実施例によれば、皮膚に対する影響を最小化し且つ皮膚へ密着できるポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane)(PDMS)を含む材料であって前記基板20を構成してよい。
【0086】
次いで、図7の三番目の図を参照すると、モールド31から前記基板20を分離させ、複数の通気孔Pが形成された基板20を形成してよい。
【0087】
図7の四番目の図を参照すると、本発明の他の実施例に係る前記基板20は、四角形の複数の通気孔Pを含み、通気孔Pは、変形センサユニットのための貫通孔Hを構成するように形成されてよい。それにより、それぞれの貫通孔Hに変形センサユニットが搭載され、スキンセンサモジュールを形成することができる。
【0088】
そして、前記基板20の下面には複数のマイクロ吸い込みカップ21がパターニングされてよい。その結果、皮膚により密着して皮膚変形を測定できるスキンセンサモジュールを提供することができる。
【0089】
図8a、図8b、図8c、図8dは、本発明の一実施例に係るスキンセンサモジュールの製造過程を概略的に示す図である。図8a、図8b、図8c、図8dを参照して、前記のように形成された基板20上に変形センサユニットを搭載する製造過程を説明することにする。
【0090】
図8aを参照すると、犠牲層101上に基板20を積層し、前記基板の貫通孔Hの一方側から内側に延在する圧電抵抗13を積層して基板層120を形成する。必ずしもこれに制限されるものではなく、犠牲層101上に基板の一方側から内側に延在する圧電抵抗13を含む基板層120を積層してもよい。
【0091】
図8bを参照すると、圧電素子110を転写構造物に付着して基板層120上に転写させてよい。
【0092】
一実施例によれば、圧電素子層110をエピタキシャルグラフェン(epitaxial graphene)(一例としてSiC層)上に搭載し、次いで、圧電素子層110上にストレッサー層130(一例としてNi層)を形成し、その上にテープ層140を形成してよい。それにより、圧電素子層110を転写させるためにその上にストレッサー層130とテープ層140の転写構造物を形成することができる。
【0093】
すなわち、高性能且つ単結晶圧電半導体(AlN、GaN)のような圧電素子110を、グラフェンベースの転写印刷(Graphene-Based Layer Transfer printing)(GBLT)を用いて約90℃で基板層120上に転写することができる。
【0094】
本発明の一実施例によれば、電位(dislocation)、結晶粒界面(Grain Boundary)のような欠陥の減少と好適な結晶配向の変調によって圧電変形センサの感知性能が改善することができる。
【0095】
図8cを参照すると、転写構造物であるストレッサー層130とテープ層140を引き剥がすことで、圧電素子層110、圧電抵抗13が形成された基板層120及び犠牲層110が順に積層された積層体が残るようになる。
【0096】
そして、エッチングのような過程を通じて犠牲層101と圧電素子層110から圧電素子11に対応しない残りの部分を除去することができる。そして、印刷などの過程を通じて第1電極15と第2電極17を印刷し、図8dに示すように、複数の変形センサユニットが形成されたスキンセンサモジュールを形成することができる。
【0097】
図9a、図9b、図9cは、本発明の一実施例に係る変形センサユニットで皮膚変化量を測定する過程を概略的に示す図である。
【0098】
図9a~9cを参照すると、本発明の一実施例に係る変形センサユニット10は、皮膚Ts、Td上に着脱自在に付着することができる。前記皮膚は、角質層Tsと真皮層Tdを含む。変形センサユニット10は、角質層Tsの表面に密着して、貫通孔Hの変化を測定するように形成されてよい。
【0099】
本発明の一実施例に係る前記基板20はマイクロサイズの孔を含んでいることから、皮膚の生理学的活動に影響を及ぼさず且つ皮膚乾燥を妨害しないため、皮膚のブリーザビリティを提供することができる。
【0100】
変化感知構造物(圧電素子11及び圧電抵抗13)は、基板のブリーザビリティを提供するホールに自立型でぶら下げられているため、機械的応力によって誘導される皮膚変形によって効果的に曲げられるように形成されてよい。
【0101】
特に角質層の、皮膚の機械的変化は、薄膜メカニズムに基づいて分析されてよい。皮膚は、約20μmまでは角質層で、約2mmまでは表皮層と真皮層で構成される。それにより、真皮層を器材で見ると、角質層は真皮層に対して約1/100の割合で薄膜構造を有するようになる。それにより、皮膚乾燥が発生すると、相対的に薄膜形態である角質層の体積収縮が誘導される。
【0102】
そして、乾燥が発生すると、初期は角質層の水分が減少して収縮するが、真皮層は相対的に乾燥し難いため真皮層が角質層を引っ張ることで引張応力が発生するようになる。しかし、持続的に乾燥が発生すると角質層の弾性係数が増加していき、角質層Tsにクラックに発生して保護機能の損失をもたらすようになる。そして、クラックが発生すると、引張応力が減少してたるむようになる。
【0103】
したがって、角質層の機械的挙動に対する持続的なモニタリングは、皮膚健康を確認するうえで非常に重要な役割を果たし得る。
【0104】
本明細書において皮膚変化率を、予め設定された区域の皮膚の最初長さLとt時間後の長さLに対し、次の[式1]のように定義することができる。
【0105】
【数1】
【0106】
すなわち、変化感知構造物(圧電素子11及び圧電抵抗13)の長さ変化を算出することで皮膚変化率を定量的な数値で提供することができる。
【0107】
図9aの開始段階を参照すると、何らの圧力が加えられない状態における変化感知構造物(圧電素子11及び圧電抵抗13)はdの長さを有する。
【0108】
図9bの初期段階を参照すると、時間が経て水分を含む物質が皮膚から放出されて角質層が先に乾燥していくと、角質層に引張応力F、Fが発生するようになる。この場合、変化感知構造物(圧電素子11及び圧電抵抗13)はdの長さを有し、dはdに比べて長い長さを有するようになる。そして、このとき、被験者の皮膚つっぱりが発生したと判断することができる。
【0109】
図9cの後期段階を参照すると、持続的に乾燥が発生していくと、角質層にクラックCが発生して変化感知構造物(圧電素子11及び圧電抵抗13)上に加えられる引張応力は減少するようになり、このとき、dの長さを有する。dはdに比べて短い長さを有するようになる。
【0110】
前記のような方式で、変化感知構造物(圧電素子11及び圧電抵抗13)上に加えられる圧力又は変化感知構造物の長さに基づいて皮膚変化量を測定することができる。
【0111】
図10は、本発明の一実施例に係る変形センサモジュールで測定された経時的な皮膚変形率を示すグラフである。
【0112】
図9aの開始段階は図10のグラフ中の露出開始時間に該当し、図9bの初期段階では、角質層の乾燥によって引張応力が増加していき、持続的に皮膚変形が増加するようになる。
【0113】
次いで、図9cの後期段階では、角質層へのクラックの形成によって引張応力が減少することで前記変形が初期状態と同一又は類似の状態に戻るようになる。
【0114】
図11は、本発明の他の実施例に係るスキンセンサモジュールを概略的に示す図である。
【0115】
皮膚経由薬物及び化粧品伝達の拡散力学は、蛍光光学顕微鏡(fluorescence photomicroscopes)を使用して皮膚断面のイメージを調査したり、漸進的テープストリッピング(tape stripping)を用いたり、皮膚透過装置(diffusion cells)を用いたりして生体外(in-vitro)テストを用いた。これらの方法はいずれも皮膚に損傷をもたらすことがあり、テスト過程に非常に手間がかかり且つ結果の不連続性によって薬物又は化粧品の拡散を導出することが極めて難しい。
【0116】
図11を参照すると、本発明の一実施例に係るスキン変形感知装置はスキンセンサモジュールを含み、前記スキンセンサモジュールは、基板220と、前記基板220上に形成されたテストしたい刺激が加えられるテストポイントと、該テストポイントに対応して配置された複数の変形センサユニット210とから構成される。
【0117】
前記テストポイントは、拡散テストのためにテストしたい物質が注入される注入開口230又は圧入テストのために予め設定された大きさの振動が皮膚に加えられる圧入ポイントであってよい。そして、前記複数の変形センサユニット210は、前記テストポイントを中心に放射状アレイ構造で配置されてよい。
【0118】
具体的に、一実施例によれば、前記スキンセンサモジュールは、基板220と、前記基板220上に形成された注入開口230と、これを中心に放射状に配置された、すなわち、放射アレイ構造で配置された、複数の変形センサユニット210とから構成される。
【0119】
変形センサユニット210は、360度の放射状のアレイで配置され、前記スキン変形感知装置は、注入開口230にテストしたい物質(例えば、薬物又は化粧品)を注入して拡散度などを測定するのに用いられてよい。
【0120】
また他の実施例によれば、前記スキンセンサモジュールは、基板220と、前記基板220上に形成された圧入ポイント(indentation point)(図示せず)と、これを中心に放射状に配置された、すなわち360度の放射アレイ構造で配置された複数の変形センサユニット210とから構成されてよい。
【0121】
前記圧入ポイントを中心に予め設定された大きさ又は周期の振動を皮膚上に誘発してよい。そして、圧入ポイントを中心に配置された複数の変形センサユニット210でこのような振動が皮膚に伝達される速度及び/又は波形を分析して被験者の表皮及び/又は真皮層の弾性、粘弾性、又はこれらの両方の特徴を測定することができる。
【0122】
前記圧入ポイントは、図11において注入開口230に対応する位置に配置されてよく、開口形態又は圧入基準点を示すマーク形態で配置されて一定の大きさの振動圧力が加えられる基準点を表示することができる。必ずしもこれに制限されるものではなく圧入基準点を表示するための多様な形態を有してよい。
【0123】
本発明の一実施例によれば、スキンセンサモジュールを用いて、簡単、且つ非外科的な、生体内(in-vivo)方式で薬物又は化粧品の拡散度を測定することができる。放射状で配置された変形センサユニット210を用いての皮膚変形測定を通じて注入開口230を中心に側方向拡散と拡散長さを測定することができる。また、拡散の温度依存性測定を通じて拡散のアレニウス活性化エネルギーの導出が可能である。
【0124】
図12は、図11のスキンセンサモジュールの断面図である。図12を参照すると、本発明の一実施例に係るスキンセンサモジュールを用いて拡散長さと拡散速度を下記のように測定することができる。
【0125】
具体的に、スキンセンサモジュールを皮膚に装着する。次いで、注入開口230にテストしたい薬物又は化粧品を注入する。
【0126】
複数の変形センサユニットは、注入開口230からそれぞれR箇所、R箇所、R箇所、R箇所に配置されてよい。そして、各センサの変化感知構造物の長さd、d、d及びdの算出を通じて拡散長さと拡散速度を測定することができる。
【0127】
注入開口230に薬物又は化粧品が注入された後から、各箇所の変形センサユニットで変化を感知した時間と当該箇所の位置を測定する。次いで、開口から変形が感知された箇所の位置と時間に基づいて、拡散距離及び拡散速度を算出することができる。
【0128】
図12を参照すると、注入開口230から中心に配置されるR箇所の長さであるdの変化率が最も大きくて、順にR及びR箇所での長さであるd及びdの長さ変化率は次第に小さくなり、R箇所以降の変形センサユニットでは化粧料による変形が感知されないこともある。この場合、略R箇所まで化粧料が拡散したと決定することができる。
【0129】
薬物又は化粧品の皮膚拡散の場合、深さ方向への拡散速度及びその効果を測定することは皮膚を損傷させない限り難しい。したがって、皮膚を損傷させることなく拡散速度とその効果を測定するために側方方向(左・右方向)への拡散速度と効果を測定して拡散速度及び効果を算出することができる。
【0130】
図13は、一実施例に係るスキン変形感知装置を示す図である。
【0131】
本発明の一実施例に係るスキン変形感知装置は、スキンセンサモジュール220とこれに固定された固定バンド240を具備して提供されてよく、そのため、被験者の腕Tに装着されて皮膚拡散を測定するのに用いられてよい。すなわち、皮膚を損傷させることなく生体内(in-vivo)テストが可能である。そして、リアルタイムで皮膚変化をモニタリングして皮膚変化を観察することができる皮膚センサモジュールを提供することができる。
【0132】
本発明によれば、基板上にマイクロサイズの孔を形成して高いブリーザビリティ又は通気性を有する変形センサユニットを提供することができる。その結果、(例えば、乾燥のような)皮膚の生理学的活動に影響を及ぼすことなく皮膚に対する機械的変形をリアルタイムで測定することができる変形センサユニット又はこれを含むスキンセンサモジュールを提供することができる。
【0133】
本発明に係る変形センサユニットの変化感知構造物は、自立型構造物であって基板の孔上にぶら下がっているように形成されてよく、皮膚変形を誘導する機械的な応力によって効率的に曲げられて皮膚変形を測定することができる。
【0134】
また、圧電半導体は、低い欠陥密度を有する単結晶で構成されるため、優れた感度性能を示すことができる。そして、ショットキー接触における界面欠陥密度もまた非晶質酸化界面層によって減少され得る。
【0135】
スキンセンサモジュールで皮膚経由薬物及び化粧品の拡散特性を注入開口からの皮膚変形を測定して算出することで、拡散特性に対する非外科的、生体内、リアルタイムテストを行うことができる。
【0136】
また、本発明の多様な実施例に係る変形センサユニット、これを含むスキンセンサモジュール、及びスキン変形感知装置は、皮膚つっぱりを測定するのに用いることができるだけでなく、皮膚の弾力を測定するのに活用することができる。
【0137】
一実施例によれば、スキンセンサモジュール220は、皮膚特性算出部に更に接続され、多様な皮膚特性を算出するのに用いることができる。皮膚に物理的圧力をかけて皮膚変形させるとき、性別、年齢、及び皮膚状態に応じて皮膚弾性度が異なることから皮膚変形程度に差異が出る。すなわち、センサのアレイ中央部に圧力をかけたとき、皮膚特性に応じて異なって発生する(波長、波動形状、周期、電波速度などのような)波動特性の差異に応じて皮膚が変形する程度を測定して、皮膚の物性を導出することができる。そしてから、皮膚物性に基づいて皮膚弾性度の差異を測定することができる。
【0138】
一例として、前記スキンセンサモジュールでテストポイントに加えられる圧力による波動特性を測定し、前記皮膚特性算出部で測定された波長特性によって導出される皮膚物性に基づいて皮膚弾性度を算出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明によれば、皮膚の変形を測定できる変形センサユニット及びこれを含むスキンセンサモジュールを提供することができる。
また、前記変形センサ及びこれを含むスキンセンサモジュールは着用型構造であって、センサユニット又はセンサモジュールを着用した状態で測定が可能であり、着用が皮膚状態に影響を及ぼすことなく、皮膚の生理学的な挙動による皮膚の変形を測定でき、皮膚関連産業への活用度が限りないと見込まれる。
【符号の説明】
【0140】
10:変形センサユニット
11:圧電素子
13:圧電抵抗
15:第1電極
17:第2電極
19:界面層
20:基板
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図9c
図10
図11
図12
図13