(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】発音容器
(51)【国際特許分類】
B65D 51/24 20060101AFI20230911BHJP
B65D 41/34 20060101ALI20230911BHJP
A61J 7/04 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
B65D51/24 200
B65D41/34
A61J7/04 B
(21)【出願番号】P 2020527532
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2019025085
(87)【国際公開番号】W WO2020004365
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2018119712
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592056687
【氏名又は名称】株式会社マイクロ・テクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【氏名又は名称】川喜田 徹
(72)【発明者】
【氏名】堀田 泰治
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】染川 剛
(72)【発明者】
【氏名】樫野 弘明
(72)【発明者】
【氏名】葛生 仁
(72)【発明者】
【氏名】田中 肇
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-144524(JP,A)
【文献】特表2009-538169(JP,A)
【文献】特表2005-530988(JP,A)
【文献】特開2003-241775(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0000067(KR,A)
【文献】特開2015-129010(JP,A)
【文献】特表2018-502674(JP,A)
【文献】特開平2-164367(JP,A)
【文献】特表2014-510677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/24
B65D 41/34
A61J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器と、
前記開口部を閉じるためのキャップであって、発音機能を有するキャップと、
を備え、
前記キャップは、
前記キャップが閉じられたことを検知して第1信号を出力する第1センサと、
前記キャップが開けられたことを検知して第2信号を出力する第2センサと、
前記第1センサおよび前記第2センサに接続された電子回路と、
前記電子回路に接続された発音部材と、
を備え、
前記電子回路は、
前記第1センサから前記第1信号が出力されたとき、前記発音部材に第1音声を発声させ、
前記第2センサから前記第2信号が出力されたとき、前記発音部材に前記第1音声とは異なる第2音声を発声させる、
発音容器。
【請求項2】
前記容器は、
前記開口部を規定する先端部と、
前記先端部の外周に設けられた容器ネジ部と、
を備え、
前記キャップは、
前記先端部の周囲に取り付けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体に接続され、前記容器ネジ部に螺合する蓋体ネジ部を内側に有する蓋体と、
前記蓋体を覆うカバーと、
を備え、
前記電子回路および前記発音部材は、前記カバーと前記蓋体との間に配置され、
前記第1センサは、前記カバーに取り付けられた第1スイッチであり、
前記第2センサは、前記カバーに取り付けられた第2スイッチであり、
前記第1スイッチは、前記蓋体によって前記開口部が閉状態になったことを検知して前記第1信号を出力し、
前記第2スイッチは、前記開口部が開放され、前記蓋体が所定の位置に達したことを検知して前記第2信号を出力する、
請求項1に記載の発音容器。
【請求項3】
前記キャップ本体は、使用時に前記容器から離れない態様で前記容器の前記先端部の周囲に取り付けられ、
前記第2スイッチは、前記カバーの下端部のうち、前記キャップ本体と前記蓋体との接続部の近傍に位置し、前記蓋体が開けられたときに前記キャップ本体に接触することによってオンになる、
請求項2に記載の発音容器。
【請求項4】
前記第1スイッチは、前記カバーの下端部のうち、前記第2スイッチの反対側の部位に位置し、前記キャップと前記容器との締め付けが完了したときに前記第1スイッチが前記キャップ本体に接触することによってオンになる、請求項3に記載の発音容器。
【請求項5】
前記カバーは、前記蓋体から分離しない態様で前記蓋体に取り付けられている、請求項2から4のいずれかに記載の発音容器。
【請求項6】
前記カバーの上面は、前記発音部材の動作時に振動し、前記発音部材から発せられた音声の音量を増加させる振動板として機能する、請求項2から5のいずれかに記載の発音容器。
【請求項7】
前記カバーと前記蓋体との間の空間は、前記発音部材から発せられた音声を共鳴させ、前記音声の音量を増加させる、請求項2から6のいずれかに記載の発音容器。
【請求項8】
前記カバーの上面は、複数の孔を有する、請求項2から7のいずれかに記載の発音容器。
【請求項9】
前記容器は、内服薬用の容器であり、
前記第1音声は、次回の服薬タイミングを通知する音声、および前記キャップが正常に閉まったことを通知する音声の少なくとも一方を含む、
請求項1から8のいずれかに記載の発音容器。
【請求項10】
前記容器は、内服薬用の容器であり、
前記第2音声は、前記内服薬の名称および服薬量の少なくとも一方を示す音声を含む、請求項1から9のいずれかに記載の発音容器。
【請求項11】
前記電子回路は、
前記第1音声を示す第1音声データ、および前記第2音声を示す第2音声データを記録するメモリと、
外部機器との間で無線通信を行う通信回路と、
を含み、
前記電子回路は、前記通信回路を介して前記外部機器から前記第1音声データおよび/または前記第2音声データを変更すべき旨の指令を受けたとき、前記メモリ内の前記第1音声データおよび/または前記第2音声データを変更する、
請求項1から10のいずれかに記載の発音容器。
【請求項12】
前記電子回路は、タイマー回路を含み、前記第2信号が出力されてから所定の時間が経過しても前記第1信号が出力されない場合、前記発音部材に、前記第1音声および前記第2音声とは異なる第3音声を発声させる、請求項1から11のいずれかに記載の発音容器。
【請求項13】
前記第3音声は、前記キャップを正常に締めることを促す音声を含む、請求項12に記載の発音容器。
【請求項14】
前記キャップは、前記容器に対して回転されることにより、前記開口部を閉じるために前記蓋体が前記容器の前記先端部に係合する閉位置と、前記開口部を開くために前記蓋体が前記容器の前記先端部との係合を解除する開位置とに回転位置を変更可能に構成され、
前記キャップ本体は、前記容器と係合すべく前記容器ネジ部と螺合する本体ネジ部を備え、
前記容器の前記先端部は、前記キャップを前記容器に装着するときに、前記キャップを回転させることによって前記キャップ本体の前記本体ネジ部を前記容器ネジ部に螺合させた後、前記キャップをさらに回転させることによって前記容器ネジ部に対する前記本体ネジ部の螺合を解除して空転させ、前記キャップをさらに回転させることによって前記蓋体ネジ部の前記容器ネジ部との螺合が完了したときに、前記キャップが前記閉位置に位置するように構成され、
前記容器の前記先端部は、さらに、前記キャップを前記容器に装着する際、前記容器ネジ部に対する螺合が解除され且つ前記容器ネジ部に対して空転させている前記本体ネジ部を摺接させることによって前記キャップを前記閉位置へと案内する第1案内部を有する、請求項2から4のいずれかに記載の発音容器。
【請求項15】
前記キャップ本体および前記蓋体は、前記キャップが閉位置に位置する際に、互いに嵌合する嵌合部を備え、
前記容器は、前記キャップが閉位置から開位置に回転位置を変更する際に各嵌合部の嵌合が解除されるべく、前記キャップ本体と前記蓋体とが離反するように、前記キャップを案内する第2案内部を備える、請求項14に記載の発音容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発音機能を有するキャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、開口部を有する容器と、容器の開口部を閉じるべく容器に装着されるキャップとを備えるキャップ付き容器を開示している。このキャップ付き容器におけるキャップは、容器と係合するキャップ本体と、容器と係合し且つ容器の開口部を開閉できるようにキャップ本体に接続される蓋体とを備える。キャップは、容器に対して回転されることにより、開口部を閉じるべく蓋体が容器と係合する閉位置と、開口部を開くべく蓋体が容器との係合を解除する開位置とに位置変更可能に構成されている。このキャップ付き容器は、キャップを容器に一旦装着すると、キャップ本体における突出部が、容器の係止部によって係止される。このため、キャップ本体を容器から容易に取り外すことができなくなる。このキャップ付き容器は、例えば医薬品用の容器として使用され得る。
【0003】
一方、特許文献2は、錠剤容器に取り付けられ、錠剤または薬剤が服用されなければならないときに、服用者に注意を促す装置を開示している。この装置は、タイマー電子回路、アラーム手段、およびLCDユニットなどを備える。アラーム手段およびLCDユニットによって服用者に注意を促すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-129010号公報
【文献】特開2010-508926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
容器に取り付けられ、使用者に注意を喚起する従来の装置の機能は、単に所定の時刻にアラームを鳴らしたり、液晶表示部に情報を表示したりする機能に留まっていた。また、従来の装置を、特許文献1に開示されているようなキャップ付き容器に取り付けることは困難であった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決し得る新規な発音容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る発音容器は、開口部を有する容器と、前記開口部を閉じるためのキャップであって、発音機能を有するキャップと、を備える。前記キャップは、前記キャップが閉じられたことを検知して第1信号を出力する第1センサと、前記キャップが開けられたことを検知して第2信号を出力する第2センサと、前記第1センサおよび前記第2センサに接続された電子回路と、前記電子回路に接続された発音部材と、を備える。前記電子回路は、前記第1センサから前記第1信号が出力されたとき、前記発音部材に第1音声を発声させ、前記第2センサから前記第2信号が出力されたとき、前記発音部材に前記第1音声とは異なる第2音声を発声させる。
【0008】
本開示における包括的または具体的な態様は、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または記録媒体によって実現され得る。あるいは、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、および記録媒体の任意の組み合わせによって実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、キャップ付き容器の開閉時のそれぞれのタイミングで、適切なアナウンスを行うことが可能である。このため、従来の発音機能付きの容器と比較して、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、キャップが閉じられた状態における発音容器の正面図である。
【
図1B】
図1Bは、
図1Aに示す発音容器を、容器の中心軸のまわりに90度回転させた状態を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、
図1Bに示す発音容器を、中心軸のまわりにさらに90度回転させた状態を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、キャップが開けられた状態における発音容器の正面図である。
【
図2B】
図2Bは、
図2Aに示す発音容器を、中心軸のまわりに90度回転させた状態を示す図である。
【
図2C】
図2Cは、
図1Bに示す発音容器を、中心軸のまわりにさらに90度回転させた状態を示す図である。
【
図3】
図3は、キャップが閉じた状態における発音容器の上面図である。
【
図6】
図6は、キャップが開いた状態における発音容器の上面図である。
【
図9】
図9は、第1スイッチ、第2スイッチ、電子回路、発音部材、およびバッテリの電気的な接続関係を模式的に示すブロック図である。
【
図11A】
図11Aは、さらに他の実施形態における電子回路の構成を示す図である。
【
図12】
図12は、キャップが容器の開口部を閉塞した状態を示すキャップ付き容器の側面図である。
【
図13】
図13は、キャップによる開口部の閉塞が解除された状態を示すキャップ付き容器の側面図である。
【
図14】
図14は、蓋体が容器の開口部から離反された状態を示すキャップ付き容器の側面図である。
【
図15】
図15は、キャップが容器の開口部を閉塞した状態を示すキャップ付き容器の部分断面図である。
【
図16】
図16は、キャップによる開口部の閉塞が解除された状態を示すキャップ付き容器の部分断面図である。
【
図17】
図17は、キャップ本体に蓋体が嵌合した状態を示すキャップの縦断面図である。
【
図18】
図18は、蓋体がキャップ本体から離れた状態を示すキャップの底面図である。
【
図23】
図23は、
図21における容器の位置を軸線周りに90度ずらした状態における容器の側面図である。
【
図24】
図24は、
図23における容器の位置を軸線周りに90度ずらした状態における容器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。本明細書においては、同一のまたは類似する構成要素には、同一の参照符号を付している。
【0012】
図1Aから
図2Cは、本発明の例示的な実施形態による発音容器の外観を示す図である。
図1Aは、キャップが閉じられた状態における発音容器の正面図である。
図1Bは、
図1Aに示す発音容器を、容器の中心軸のまわりに90度回転させた状態を示す図である。
図1Cは、
図1Bに示す発音容器を、中心軸のまわりにさらに90度回転させた状態を示す図である。
図2Aは、キャップが開けられた状態における発音容器の正面図である。
図2Bは、
図2Aに示す発音容器を、中心軸のまわりに90度回転させた状態を示す図である。
図2Cは、
図1Bに示す発音容器を、中心軸のまわりにさらに90度回転させた状態を示す図である。
【0013】
これらの図に示されるように、本実施形態の発音容器は、容器2と、キャップ3とを備える。キャップ3は、後述するように、発音機能を有する。以下の説明において、キャップ3を「発音キャップ3」と称することがある。容器2は、
図2Aに示すように、開口部211aを有する。キャップ3は、第1スイッチ31と、第2スイッチ32(
図1Bおよび
図1C参照)とを備える。第1スイッチ31は、キャップ3が閉じられたことを検知して第1信号を出力する第1センサとして機能する。第2スイッチ32は、キャップ3が開けられたことを検知して第2信号を出力する第2センサとして機能する。
【0014】
これらの図には示されていないが、発音容器は、さらに、第1スイッチ31(第1センサ)および第2スイッチ32(第2センサ)に接続された電子回路と、当該電子回路に接続された発音部材とを備える。発音部材は、例えば圧電スピーカなどの、電気信号を音波に変換するデバイスであり得る。発音容器はまた、第1センサ、第2センサ、電子回路、および発音部材に電力を供給するバッテリ(二次電池)も備える。電子回路、発音部材、およびバッテリは、キャップ3の内部に収容されている。電子回路は、第1スイッチ31および第2スイッチ32から出力された信号を受けて、発音部材に、予め設定された音声を発声させる。電子回路は、第1スイッチ31から第1信号が出力されたとき、発音部材に第1音声を発声させる。また、第2スイッチ32から第2信号が出力されたとき、発音部材に第1音声とは異なる第2音声を発声させる。このような動作により、キャップ3の開閉時のそれぞれで異なる音声を発音部材から発することができる。この動作の詳細については後述する。
【0015】
図3から
図8Bを参照しながら、本実施形態における発音容器の構造をより詳細に説明する。
【0016】
図3は、発音キャップ3が閉じた状態における発音容器の上面図である。
図4Aは、
図3に示す発音容器のA-A線断面図である。
図4Bは、
図3に示す発音容器のB-B線断面図である。
図5Aは、
図4Bにおける円5Aで囲まれる部分を拡大して示す図である。
図5Bは、
図4Bにおける円5Bで囲まれる部分を拡大して示す図である。
図6は、キャップ3が開いた状態における発音容器の上面図である。
図7Aは、
図6に示す発音容器のA-A線断面図である。
図7Bは、
図6に示す発音容器のB-B線断面図である。
図8Aは、
図7Bにおける円8Aで囲まれる部分を拡大して示す図である。
図8Bは、
図7Bにおける円8Bで囲まれる部分を拡大して示す図である。
【0017】
図7Aおよび
図7Bに示されるように、本実施形態における容器2は、開口部211aを規定する先端部21と、先端部21の外周に設けられた容器ネジ部212とを備える。容器2の先端部21は、キャップ3が装着される部位であり、「装着部」とも称する。容器2の先端部21は、概略的に円筒形状を有する。キャップ3は、容器2の先端部21の周囲に取り付けられたキャップ本体11と、キャップ本体11に接続された蓋体12と、蓋体12を覆うカバー34とを備える。キャップ本体11、蓋体12、およびカバー34は、例えばプラスチックなどの硬質の材料によって形成され得る。蓋体12は、容器ネジ部212に螺合する蓋体ネジ部123を内部に有する。蓋体12が容器2の先端部21を覆った状態でキャップ3を回転することにより、蓋体12と容器2の先端部21とが締め付けられる。これにより、容器2の密閉状態が保たれる。
【0018】
本実施形態におけるキャップ本体11は、概略的に円環形状を有する。キャップ本体11は、使用時に容器2から離れない態様で容器2の先端部21の周囲に取り付けられている。このため、キャップ3を空けた状態において、キャップ3を引っ張ったとしても、蓋体12およびカバー34が容器2から容易に分離することはない。
【0019】
図4Bおよび
図7Bに示すように、電子回路35、発音部材36、およびバッテリ37は、カバー34と蓋体12との間の空間に配置されている。電子回路35、発音部材36、バッテリ37、およびスイッチ31、32は、配線38を介して互いに接続されている。第1スイッチ31および第2スイッチ32は、カバー34の下端部に取り付けられている。第2スイッチ32は、キャップ本体11と蓋体12との接続部13(
図8B参照)の近傍に位置している。第1スイッチ31は、カバー34の下端部のうち、第2スイッチ32の反対側の部位に位置している。第1スイッチ31および第2スイッチ32の各々は、例えばマイクロスイッチなどの押ボタン式のスイッチである。各スイッチは、一定以上の力で押されたときにオンになる。
【0020】
第1スイッチ31は、蓋体12が容器2の先端部21を覆った状態で回転されることによって蓋体12と容器2との締め付けが完了したときにオンになる(
図4Bおよび
図5A参照)。このとき、第1スイッチ31は、キャップ本体11に接触する。より具体的には、第1スイッチ31は、キャップ本体11における外側に突出した突起部116に接触して押されることによってオンになる。このように、第1スイッチ31は、蓋体12によって開口部211aが閉状態になったときにオンになる位置に配置される。ここで「閉状態」とは、蓋体12と容器2との締め付けが完全に行われた状態を指す。第1スイッチ31は、蓋体12と容器2との締め付けが不完全な状態、および蓋体12が持ち上げられて開口部211aが露出している状態(
図8A参照)では、オフになる。第1スイッチ31は、オンの状態になると、第1信号を出力する。
【0021】
一方、第2スイッチ32は、蓋体12が開けられたときにキャップ本体11に接触して押されることによってオンになる。本実施形態においては、キャップ3をある角度以上に持ち上げて手を離すと、
図7Bに示す状態で維持される。この状態において、第2スイッチ32がオンになる(
図8B参照)。このように、第2スイッチ32は、開口部211aが開放され、蓋体12が所定の位置に達したとき、オンになる。第2スイッチ32は、オンの状態になると、第2信号を出力する。
【0022】
図9は、第1スイッチ31、第2スイッチ32、電子回路35、発音部材36、およびバッテリ37の電気的な接続関係を模式的に示すブロック図である。図示されるように、電子回路35は、制御回路352と、タイマー回路351と、音声データを記録するメモリ353と、デジタル/アナログ(D/A)変換器354と、発音部材36を駆動するための増幅器355と、電源回路356とを含む。制御回路352は、第1スイッチ31、第2スイッチ32、タイマー回路351、メモリ353、D/A変換器354、および増幅器355に電気的に接続されている。
【0023】
制御回路352は、第1スイッチ31から出力される第1信号と、第2スイッチ32から出力される第2信号と、タイマー回路351から出力される時間情報とに基づいて、再生すべき音声の内容および発音のタイミングを決定する。メモリ353は、再生される音声データ、および制御回路352によって実行されるプログラムなどの各種のデータを格納する。制御回路352は、メモリ353に予め記録された音声データから、再生すべき音声データを決定し、発音部材36に当該音声データに基づく音声を発声させる。より具体的には、制御回路352の制御に従い、D/A変換器354が、決定された音声データをアナログ信号に変換する。増幅器355は、当該アナログ信号を増幅して発音部材36を駆動する。これにより、発音部材36から音声が発せられる。
【0024】
通常の使用態様では、発音容器のキャップ3は締められていることが多い。容器2の内部に変質し易い物質(例えば医薬品)が収容される場合、変質を防ぐために、内容物を取り出すための短い時間を除き、キャップ3を締めることが好ましいからである。したがって、第1スイッチ31に関しては、オフである期間よりもオンである期間の方が長いと考えられる。逆に、第2スイッチ32に関しては、オンである期間よりもオフである期間の方が長いと考えられる。一般に、制御回路352の端子に電圧が印加された状態が長いほど、バッテリ37の消耗が大きくなる。そこで、第1スイッチ31は、オンのタイミングでは制御回路352に通電せず、オフのタイミングにおいて制御回路352に通電するように構成され得る。逆に、第2スイッチ32は、オフのタイミングでは制御回路352に通電せず、オンのタイミングにおいて制御回路352に通電するように構成され得る。制御回路352は、第1スイッチ31から供給される電流または電圧の低下を検知することにより、閉状態になったことを示す上記の第1信号を検知することができる。制御回路352はまた、第2スイッチ32から供給される電流または電圧の増加を検知することにより、開状態になったことを示す上記の第2信号を検知することができる。
【0025】
このように、本実施形態における第1スイッチ31は、蓋体12によって開口部211aが閉状態になったことを検知して第1信号を電子回路35に出力する。一方、第2スイッチ32は、開口部211aが開放され、蓋体12が所定の位置に達したことを検知して第2信号を電子回路35に出力する。電子回路35は、第1信号を受けると、発音部材36に、第1音声を発声させる。電子回路35はまた、第2信号を受けると、発音部材36に、第2音声を発声させる。
【0026】
発音部材36は、例えば圧電スピーカであり得る。キャップ3のカバー34の上面341は、例えばドーム形状を有する。
図2Cに示すように、カバー34の上面341は、音波を通過させ易くするための複数の孔33を有していてもよい。また、カバー34の上面341は、振動板として機能してもよい。その場合、カバー34の上面341は、発音部材36の動作時に振動し、発音部材36から発せられた音声の音量を増加させる。また、カバー34と蓋体12との間の空間が、発音部材36から発せられた音声を共鳴させ、音声の音量を増加させる構造を有していてもよい。
【0027】
圧電スピーカは薄型で消費電力も小さく、発音ボトルの目的に適した特徴を持っている。しかし、それ単体では音量が小さく、再生音域も狭い。このため、聞き取りやすい音声を発声させることは難しい。一般的には、圧電スピーカ本体よりも面積の大きい振動板を取り付けたり、共鳴箱に共鳴させたりする方法により、良好な音質を得ることが行われている。しかし、そのような構成では、振動板または共鳴箱などの追加部品が必要となり、コストの上昇または組み立て工程の煩雑化などを招くおそれがある。そこで、キャップ3のカバー34と一体的に成形された振動板に圧電スピーカを取り付けた構造を採用してもよい。そのような構造により、圧電スピーカを単体で用いる場合よりも良好な音質を得ることができる。
【0028】
図10Aは、カバー34の上面341が振動板として機能する実施形態を模式的に示す断面図である。
図10Bは、この実施形態におけるキャップ3の上面図である。この実施形態では、振動板として機能するカバー34の上面341が、振動板サポート342を介してカバー34の外周部に固定されている。振動板サポート342は、平面視において円形状を有し、柔軟性をもつ材料で構成されている。発音部材36は、例えば圧電セラミックスによる薄板であり、金属板39を介してカバー34の上面341の裏面に配置されている。発音部材36と金属板39とによって圧電スピーカが構成されている。このような構造により、カバー34の上面341は、カバー34の外周部とは独立して振動することができる。カバー34の上面341(振動板)および振動板サポート342は、カバー34と一体に成形され得る。これにより、部品点数の増加によるコストの上昇、および製造工程の増加を抑えることができる。
【0029】
次に、発音部材36から発声される音声の例を説明する。以下の説明では、発音容器が錠剤などの内服薬用の容器であるものとする。
【0030】
前述のように、第1スイッチ31は、発音容器のキャップ3が開いた状態からキャップ3が閉じた状態になったことを検出すると、第1信号を出力する。電子回路35は、第1信号を受けると、第1音声を発音部材36から発声させる。この第1音声は、例えば、次回の服薬タイミングを通知する音声、およびキャップ3が正常に締まったことを通知する音声の少なくとも一方を含み得る。次回の服薬タイミングを通知する音声は、例えば、「次回の服薬は8時間後です。」または「次回の服薬は明日の午前7時です。」といった音声であり得る。キャップ3が正常に締まったことを通知する音声は、例えば「キャップが正常に締まりました。」といった音声であり得る。キャップ3が締められたときにこのような音声が再生されることにより、服用者の安心感を向上させることができる。
【0031】
一方、第2スイッチ32は、発音容器のキャップ3が閉じた状態からキャップ3が開いた状態になったことを検出すると、第2信号を出力する。電子回路35は、この第2信号を受けると、第2音声を発音部材36から発声させる。この第2音声は、例えば、容器内の内服薬の名称および服薬量の少なくとも一方を示す音声を含み得る。例えば、「この薬は○○です。」といった音声、または「○錠服用してください。」といった音声が第2音声として再生され得る。キャップ3が開けられたときにこのような音声が再生されることにより、使用者は、服用すべき薬の種類または量を誤ることなく、安心して服用することができる。
【0032】
図9に示すように、本実施形態における電子回路35は、計時機能を有するタイマー回路351を含む。電子回路35は、第2信号が出力されてから所定の時間が経過しても第1信号が出力されない場合、発音部材36に、第1音声および第2音声とは異なる第3音声を発生させてもよい。この場合、キャップ3が開けられてから所定の時間が経過してもキャップ3が正常に締められていないと考えられる。そこで、電子回路35は、第3音声として、例えばキャップを正常に締めることを促す音声を発音部材36に発生させてもよい。例えば「キャップを確実に締めてください。」といった音声が第3音声として再生され得る。このような音声が再生されることにより、キャップ3の締め忘れを防止することができる。上記の所定の時間は、医薬品の種類に応じて適切な時間、例えば数十秒から数分程度の時間に設定され得る。
【0033】
第1音声を示す第1音声データ、第2音声を示す第2音声データ、および第3音声を示す第3音声データは、予めメモリ353に記録されている。これらの音声データを、事後的に更新できるようにしてもよい。例えば、発音キャップ3が録音機能を有していてもよい。そのような発音キャップ3は、録音のための操作部およびマイクを備え得る。ユーザが自己の音声を録音して上記の各音声データを更新できるようにすることにより、ユーザの嗜好に合った音声アナウンスを実現できる。例えば、子供のいたずらを防止するために家族の声で注意喚起のためのアナウンスをすることもできる。
【0034】
本実施形態における発音容器は、ネットワークに接続して外部の機器と通信できるようにしてもよい。
図11Aは、そのような通信を実行する電子回路35の構成を示す図である。この例における電子回路35は、外部機器との間で無線通信を行う通信回路357を含む。外部機器は、例えばスマートフォン、タブレットコンピュータ、クラウド上のサーバコンピュータなどの情報機器であり得る。電子回路35は、通信回路357を介して外部機器から上記の第1から第3音声データの少なくとも1つを変更すべき旨の指令を受けることができる。そのような指令を受けたとき、電子回路35は、メモリ353上の音声データを更新する。このような形態によれば、発音部材36から発声させる音声を事後的に変更することができる。
【0035】
発音容器は、上記の各例とは異なる機能を備えていてもよい。例えば、カバー34がマイクを備えている場合、電子回路35は、声紋認証の機能を備えていてもよい。声紋認証を行う場合、電子回路35は、第2スイッチ32を介して容器が開封されたことを検出すると、例えば、服用しようとしている人が容器内の薬剤が処方された本人か否かを問い合せる音声を発音部材36から発声させる。その音声に対して返答があった場合、電子回路35は、その声の周波数を解析することにより、本人の声に合致するかを判断する。本人の声に合致する場合には、薬剤の名称または分量を示す音声をアナウンスし、合致しない場合には、注意喚起を行う音声をアナウンスしてもよい。
【0036】
上記の他にも、例えば、前回キャップ3が閉じられてから予め設定された時間が経過しても第2信号が出力されない場合、電子回路35は、服用を促す音声を発音部材36から発生させてもよい。一例として、8時間ごとに服用すべき薬剤においては、第1の時間は8時間に設定され得る。このような音声を発した後もキャップ3が開かれない場合、同様の音声を、例えば一定時間毎に繰り返し発してもよい。このような機能を備えることにより、薬剤を服用し忘れることを防止し易くなる。
【0037】
本実施形態の発音容器における蓋体12およびカバー34は、互いに取り外しができない態様で互いに嵌合されている。蓋体12およびカバー34は、製造工程においては独立した部材であるが、流通時には、破壊しない限り取り外しができないように構成されている。このため、本実施形態の発音容器は、医薬品の偽造を防止する目的にも有用である。発音機能を有するカバー34が蓋体12に取り付けられていること、およびカバー34の発音部材36から、薬品メーカによって設定された音声が発せられることが、その医薬品が正規品であることの証明となり得る。
【0038】
次に、発音容器の他の構成例を説明する。
【0039】
発音キャップ3は、誤ってスイッチが作動することを防止する構造または機能を備えていてもよい。
図7Bに示す構成では、カバー34の先端の第1スイッチ31が、キャップ3の下端から突出している。このため、使用者がキャップ3を触ったときに、誤って第1スイッチ31を押してしまう可能性がある。このような誤操作に伴う誤作動を防止するために、以下の(1)または(2)の構成を適用してもよい。
【0040】
(1)構造による誤作動の防止
第1スイッチ31の先端部がキャップ3の下端から突出しない構造にする。すなわち、キャップ3の軸方向において、第1スイッチ31の先端が、キャップ3の下端と同じ位置、またはより奥に位置するように構成する。このような構造を採用することにより、キャップ3を開封した状態では第1スイッチ31を押すことができないため、誤作動を防止できる。この場合、例えば
図11Bに示すように、キャップ本体11に突起117が設けられる。キャップ3を閉じたとき、突起117によって第1スイッチ31が押されることで、閉状態を検知できる。
【0041】
(2)電子回路による誤作動の防止
電子回路35は、第2スイッチ32によってキャップ3の開封が検出されている間は、第1スイッチ31から出力される信号を無視するように構成されていてもよい。これにより、キャップ3が開封されている状態で、不用意に第1スイッチ31が操作されても、誤作動を防止することができる。電子回路35はまた、第2スイッチ32が押されている状態においては第1スイッチ31からの信号を無視するように構成され得る。そのような構成により、第2スイッチ32が押されている状態において、第1スイッチ31が不用意に押された場合でも、誤作動を防止できる。
【0042】
以上のような誤作動を防止するための機構は、第1スイッチ31に限らず第2スイッチ32について適用してもよい。例えば、第2スイッチ32の先端部がキャップ3の下端から突出しない構造を採用し、かつキャップ本体11に、第2スイッチ32を押すための突起を設けてもよい。あるいは、第1スイッチ31が押されている状態では第2スイッチ32からの信号を無視するように電子回路35が構成されていてもよい。
【0043】
以上の実施形態において、第1センサおよび第2センサは、いずれも機械式のスイッチによって実現されている。しかし、本発明はこのような構成に限定されない。第1センサおよび第2センサは、例えば光、音、明るさ、温度その他の物理的変化を検知してキャップ3の開状態または閉状態を検知するように構成されていてもよい。
【0044】
以上の実施形態の発音容器からカバー34を取り外したキャップ付き容器は、例えば特許文献1に開示されたキャップ付き容器と同様の構造を備え得る。以下、発音容器からカバー34を取り外したキャップ付き容器の具体例を説明する。
【0045】
図12は、キャップが容器の開口部を閉塞した状態を示すキャップ付き容器の側面図である。
図13は、キャップによる開口部の閉塞が解除された状態を示すキャップ付き容器の側面図である。
図14は、蓋体が容器の開口部から離反された状態を示すキャップ付き容器の側面図である。
【0046】
キャップ付き容器は、
図12から
図14に示すように、開口部211aを有する容器2と、容器2の開口部211aを閉じるべく容器2に装着されるキャップ1とを備える。キャップ付き容器は、キャップ1が容器2に対して回転されることにより、開口部211aを開放できない閉位置(
図12)と、開口部211aを開放できる開位置(
図13および
図14)とに、キャップ1の回転位置を変更できるように構成されている。
【0047】
キャップ1において、開放されている側、即ち、
図12から
図14における下方側(下端部)を軸線方向および螺旋方向の「先端側」という。
図12から
図14における上方側(上端部)を軸線方向および螺旋方向の「基端側」という。容器2において、開口部211a側、即ち、
図12から
図14における上方側(上端部)を軸線方向および螺旋方向の「先端側」という。
図12から
図14における下方側(下端部)を軸線方向および螺旋方向の「基端側(基端部)」という。
【0048】
図15は、キャップが容器の開口部を閉塞した状態を示すキャップ付き容器の部分断面図である。
図16は、キャップによる開口部の閉塞が解除された状態を示すキャップ付き容器の部分断面図である。
図17は、キャップ本体に蓋体が嵌合した状態を示すキャップの縦断面図である。
図18は、蓋体がキャップ本体から離れた状態を示すキャップの底面図である。
図19は、
図18におけるVIII-VIII線断面図である。
【0049】
キャップ1は、
図12から
図19に示すように、容器2と係合するキャップ本体11と、容器2と係合し、容器2の開口部211aを閉塞するための蓋体12とを備えている。キャップ1は、蓋体12が容器2の開口部211aを開閉できるように、キャップ本体11と蓋体12とを接続する接続部13も備えている。
【0050】
キャップ1は、容器2に対して回転されることにより、開口部211aを閉じるべく蓋体12が容器2と係合する閉位置(
図12の位置)と、開口部211aを開くべく蓋体12が容器2との係合を解除する開位置(
図13および
図14の位置)とに位置変更可能に構成されている。キャップ1は、本実施形態において、硬質樹脂(例えば、プラスチック)で形成されている。
【0051】
キャップ本体11は、円筒状に形成される基体部111と、蓋体12と嵌合する嵌合部(以下、「本体嵌合部」ともいう)112とを備えている。キャップ本体11は、容器2と係合すべく、容器2と螺合する雌ネジ形状のネジ部(以下、「本体ネジ部」ともいう)113を、基体部111の内周部に備えている。
【0052】
なお、キャップ本体11(およびその各構成)において、「軸線方向」は、キャップ1、キャップ本体11、基体部111および本体ネジ部113の軸線方向をいい、「径方向」は、キャップ1、キャップ本体11、基体部111および本体ネジ部113の径方向をいい、「周方向」は、キャップ1、キャップ本体11、基体部111および本体ネジ部113の周方向をいい、「螺旋方向」は、本体ネジ部113の螺旋方向(ネジ山が延設される方向)をいう。
【0053】
基体部111は、軸線方向の先端側(下方側)にスリット111aを備えており、これにより、軸線方向の先端側(下方側)が内周壁111bと外周壁111cとの二重構造で形成されている。基体部111は、内周壁111bが径方向に弾性変形可能に構成されている。
【0054】
本体嵌合部112は、基体部111における軸線方向の基端部(上端部)から該軸線方向(上方向)に向けて凸状となるように突出して形成されている。本体嵌合部112は、径方向で接続部13と対面する位置に配置されている。即ち、本体嵌合部112は、接続部13に対して、円筒状の基体部111における180度反対の位置に配置されている。本体嵌合部112は、キャップ1が閉位置に位置する際に、蓋体12と嵌合する。
【0055】
本体ネジ部113は、径方向内方に突出する一対の突出部(以下、「本体突出部」ともいう)113a,113bを有する。一対の本体突出部113a,113bは、径方向で互いに対面するように、即ち、円筒状の基体部111における180度反対の位置にそれぞれ配置されている。
【0056】
より具体的には、一対の本体突出部113a,113bのうち、一方の本体突出部(以下、「第1本体突出部」ともいう)113aは、径方向において接続部13と対面する位置で、基体部111の内周面に形成されている。
【0057】
他方の本体突出部(以下、「第2本体突出部」ともいう)113bは、径方向において、第1本体突出部113aと対向するように、基体部111の内周面に形成されている。換言すれば、第2本体突出部113bは、基体部111の外周面に形成される接続部13の位置に対応して、基体部111の内周面から径方向内方に突出して形成されている。
【0058】
第1本体突出部113aは、二重構造である基体部111の軸線方向の先端側(下方側)に形成されている。第2本体突出部113bは、基体部111の軸線方向の基端側(上方側)に形成されている。第1本体突出部113aおよび第2本体突出部113bは、キャップ1が容器2に取り付けられる際に、容器2と摺接するように構成される。
【0059】
蓋体12は、円筒状に形成される蓋本体部121と、本体嵌合部112と嵌合する嵌合部(以下、「蓋体嵌合部」ともいう)122と、容器2と係合すべく、容器2と螺合する雌ネジ形状のネジ部(以下、「蓋体ネジ部」ともいう)123とを備える。蓋体12は、蓋本体部121の基端部(上端部)を閉塞し且つ容器2の開口部211aを覆う蓋部124と、蓋部124の内側に配置され、容器2の開口部211aを封止する弾性部(パッキン)125とを備える。
【0060】
蓋体12において、「軸線方向」は、キャップ1、蓋体12、蓋本体部121および蓋体ネジ部123の軸線方向をいう。「径方向」は、キャップ1、蓋体12、蓋本体部121および蓋体ネジ部123の径方向をいう。「周方向」は、キャップ1、蓋体12、蓋本体部121および蓋体ネジ部123の周方向をいう。「螺旋方向」は、蓋体ネジ部123の螺旋方向(ネジ山が延設される方向)をいう。
【0061】
蓋体嵌合部122は、凸状の本体嵌合部112と嵌合すべく、蓋本体部121における軸線方向の下端部に凹状となるように形成されている。蓋体嵌合部122は、径方向において接続部13と対面する位置に配置されている。即ち、蓋体嵌合部122は、接続部13に対して、円筒状の蓋本体部121における180度反対の位置に配置されている。蓋体嵌合部122は、キャップ1が閉位置に位置する際に、本体嵌合部112と嵌合する。
【0062】
蓋体ネジ部123は、本体ネジ部113と同じリードとなるように形成されている。
【0063】
接続部13は、本実施形態においては、ヒンジ機構である。なお、接続部13は、ヒンジ機構に限られず、例えば、可撓性または弾性を有する紐状体でもよい。接続部13は、キャップ本体11と蓋体12とを接続し、蓋体12がキャップ本体11に対して変位(接離)できる構成であればよい。
【0064】
次に、容器2の構成を説明する。
図20は、容器の平面図である。
図21は、容器の側面図である。
図22は、
図21に示すXI-XI線における部分断面図である。
図23は、
図21における容器の位置を軸線周りに90度ずらした状態における容器の側面図である。
図24は、
図23における容器の位置を軸線周りに90度ずらした状態における容器の側面図である。
図25は、
図24に示すXIV-XIV線における部分断面図である。
【0065】
容器2は、
図14から
図16および
図20から
図25に示すように、キャップ1を装着する装着部21と、装着部21よりも大径に形成され、内容物を収容可能な容器本体22とを備える。装着部21の軸線方向における基端部(下端部)と、容器本体22の軸線方向における上端部221とが連結して構成されている。容器2は、本実施形態において、硬質樹脂(例えば、プラスチック)で形成されている。
【0066】
装着部21は、円筒状に形成され且つ上端部に開口部211aを配置している装着部本体211と、装着部本体211の外周部に配置され、複数条の雄ネジ部を有するネジ部(以下、「容器ネジ部」ともいう)212とを備えている。装着部21は、第1案内部213と、第2案内部214と、係止部(以下、「容器係止部」ともいう)216とを備える。第1案内部213は、キャップ1を装着部21に装着する際に、キャップ1を装着位置まで案内する。第2案内部214は、キャップ本体11と蓋体12とを離反させることで、本体嵌合部112と蓋体嵌合部122との嵌合を解除させるべく、キャップ1を案内する。容器係止部216は、キャップ1が開位置から緩め方向に回転されて容器2から離脱されることを防止すべく、第1本体突出部113aを係止する。
【0067】
容器2(およびその各構成)において、「軸線方向」は、容器2、装着部21、装着部本体211および容器ネジ部212の軸線方向をいう。「径方向」は、容器2、装着部21、装着部本体211および容器ネジ部212の径方向をいう。「周方向」は、容器2、装着部21、装着部本体211および容器ネジ部212の周方向をいう。「螺旋方向」は、容器ネジ部212の螺旋方向(ネジ山が延設される方向)をいう。
【0068】
容器ネジ部212は、本体ネジ部113と螺合すると共に、蓋体ネジ部123と螺合する。
図12に示すように、キャップ1が閉位置に位置する際には、蓋体ネジ部123が容器ネジ部212と螺合している。このため、開口部211aを開放できない状態となる。
図13および
図14に示すように、キャップ1が開位置に位置する際には、蓋体ネジ部123が容器ネジ部212との螺合を解除している。このため、開口部211aを開放できる状態となる。
【0069】
本実施形態において、容器ネジ部212は、4条の雄ネジ部212aから212dを含む。以下、4条の雄ネジ部212aから212dのそれぞれを、第1容器ネジ部212a、第2容器ネジ部212b、第3容器ネジ部212c、および第4容器ネジ部212dという。第1容器ネジ部212aから第4容器ネジ部212dのうちの1つは、第1案内部213と一体に形成されていることが望ましい。本実施形態では、第2容器ネジ部212bが第1案内部213と一体に形成されている。
【0070】
各容器ネジ部212aから212dは、円筒状の装着部本体211の外周面において、位相が90度ずれた状態で形成されている。各容器ネジ部212aから212dには、その上端部からキャップ1が螺合可能である。したがって、本実施形態では、4条の容器ネジ部212aから212dの上端部に対応して、装着部本体211の4カ所の位置でキャップ1を螺合させることができる。
【0071】
第1案内部213は、キャップ1を容器2に装着する際に、キャップ1を装着位置である閉位置に案内する。具体的には、第1案内部213は、キャップ本体11における第1本体突出部113aを案内することによって、キャップ1を閉位置まで案内する。
【0072】
第1案内部213は、装着部本体211の外面の一部211bと、装着部本体211から突出する環状突起部2131と、第2容器ネジ部212bと環状突起部2131とを連結する連結部2132とを含む。
【0073】
図21、
図23および
図24に示すように、環状突起部2131は、軸線方向において、容器ネジ部212から離れた位置に形成されている。これにより、環状突起部2131と容器ネジ部212との間には、円筒状の装着部本体211の外面が露出した状態となっている。
【0074】
この装着部本体211の円筒形状における外面部分211bには、容器ネジ部212が形成されていない。このため、キャップ1の本体ネジ部113における第1本体突出部113aおよび第2本体突出部113bは、容器ネジ部212に螺合した後、外面部分211bに到達したときに、螺合が解除されて空転可能になる。
【0075】
環状突起部2131は、容器ネジ部212のような螺旋状ではなく、装着部本体211の円周方向に対して平行となるように形成されている。
【0076】
環状突起部2131は、
図21、
図23および
図24に示すように、先端側(上方側)の面(以下、「第1案内面」ともいう)2131aと、基端側(下方側)の面(以下、「第2案内面」ともいう)2131bとにより、第1本体突出部113aと第2本体突出部113bを案内する。
【0077】
図23、
図24に示すように、環状突起部2131は、中途部が分断されており、第1本体突出部113aを環状突起部2131よりも先端側(上方側)の部分から基端側(下方側)の部分へと移動させることができる。環状突起部2131の周方向における端部には、第1案内面2131aによって案内される第1本体突出部113aを環状突起部2131よりも基端側に案内するための案内面(以下、「第3案内面」という)2131cが形成されている。この第3案内面2131cは、
図21、
図23に示すように、螺旋方向の先端側から基端側へ向かうにつれて、軸線方向における先端側(上方側)から基端側(下方側)に向かって傾斜する傾斜面である。
【0078】
連結部2132は、第2容器ネジ部212bの一方の面(上面)と、環状突起部2131の第1案内面2131aとが連続的に繋がるように、第2容器ネジ部212bと第1案内面2131aとを連結する連結面2132aを有する。この連結面2132aは、
図21に示すように、螺旋方向の先端側から基端側に向かうにつれて、軸線方向の基端側(下方側)に傾斜する傾斜面である。
【0079】
第2案内部214は、キャップ1が閉位置から開位置に位置変更する際に、本体嵌合部112と蓋体嵌合部122との嵌合が解除されるべく、キャップ本体11と蓋体12とが離反するように、キャップ1を案内する。第2案内部214は、第1案内部213とともに、キャップ本体11における第2本体突出部113bを案内することによって、キャップ1を開位置まで案内する。
【0080】
第2案内部214は、第1案内部213に対して、円筒状の基体部111における180度反対の位置に配置されている。第2案内部214は、
図24に示すように、軸線方向において、第1案内部213における環状突起部2131と容器ネジ部212との間に形成されている。
【0081】
第2案内部214は、第2本体突出部113bを先端側(上方側)に押し上げる押上部214aと、押上部214aによって押し上げられた第2本体突出部113bを支持する支持部214bと、支持部214bによって支持される第2本体突出部113bの位置を規制する位置規制部214cとを備える。
【0082】
押上部214aは、
図24に示すように、第1案内部213の第1案内面2131aよりも先端側(上方側)に位置している。押上部214aは、第1案内部213の第1案内面2131aと支持部214bとを連結する湾曲面として構成される。本実施形態において、この押上部214aは、所定の曲率半径を有する円弧状の湾曲面であるが、これに限定されるものではない。
【0083】
支持部214bは、第1案内部213の第1案内面2131aとほぼ平行な平坦面として構成される。支持部214bは、第2本体突出部113bの先端側の面である下面に当接することにより、第2本体突出部113bを支持する。
【0084】
位置規制部214cは、螺旋方向において、支持部214bよりも先端側に位置している。位置規制部214cは、第2本体突出部113bが支持部214bに支持されている状態において、第2本体突出部113bが螺旋方向の先端側に移動しないように、第2本体突出部113bに当接する当接部として構成される。
【0085】
容器係止部216は、軸線方向において、第1案内部213の環状突起部2131よりも基端側(下方側)に配置されている。容器係止部216は、キャップ1が開位置から緩め方向に回転される場合、螺旋方向の基端側(下方側)の面216aで、螺旋方向にて第1本体突出部113aを係止する。なお、容器係止部216の当該面(以下、「容器係止面」ともいう)216aは、径方向に沿う平面状で且つ軸線方向に沿う平面状に形成されている。
【0086】
図21、
図22に示すように、容器係止部216の近傍位置に、装着部本体211の外面から径方向外方に突出する突起部217が形成されている。この突起部217は、キャップ1が閉位置から開位置へ、または、開位置から閉位置へと移動する際に、キャップ本体11における本体ネジ部113の第1本体突出部113aに接触しながらこれを通過させるためのものである。第1本体突出部113aが突起部217を通過する際にこの突起部217に接触すると、基体部111の内周壁111bが弾性変形する。この状態で、第1本体突出部113aが突起部217を通過すると、内周壁111bの弾性変形が解除され、内周壁111bは元の形状に復元する。
【0087】
キャップ付き容器の使用者は、第1本体突出部113aが突起部217に接触したときに、その抵抗を感じることができ、この弾性変形とその解除の際に生じる音を聞くことができる。これにより、使用者は、キャップ1の閉位置への移動が完了したことを、いわゆるクリック感として感じることができる。
【0088】
同様に、
図24、
図25に示すように、第2案内部214の近傍位置にも、クリック感を演出するための突起部218が形成されている。
【0089】
本実施形態に係るキャップ付き容器の構成については以上の通りである。次に、キャップ1を容器2に装着する方法、およびキャップ付き容器の使用方法について説明する。
【0090】
キャップ1を容器2に装着するには、まず、キャップ1が容器2から離脱されている状態から、キャップ1を容器2の装着部本体211に被せた後、キャップ1を容器2に対して締め方向(右回り)に回転させる。これにより、容器ネジ部212と本体ネジ部113とがそれぞれの先端側から螺合し始める。具体的には、キャップ1における第1本体突出部113aが容器ネジ部212に螺合し、次に第2本体突出部113bが容器ネジ部212に螺合する。このとき、本体嵌合部112と蓋体嵌合部122とは、嵌合した状態となっている。
【0091】
第1本体突出部113aと第2本体突出部113bとが容器ネジ部212に螺合した状態で、さらにキャップ1を締め方向に回転させると、第1本体突出部113aによる容器ネジ部212との螺合が解除される。
【0092】
より具体的には、第1本体突出部113aが第1容器ネジ部212a、第3容器ネジ部212c、および第4容器ネジ部212dに螺合していた場合には、その螺合が解除されたときに、容器ネジ部212と第1案内部213との間の領域で空転する。また、第1本体突出部113aが第2容器ネジ部212bに螺合していた場合には、その螺合が解除され、第1本体突出部113aは、第1案内部213の連結部2132に移行する。
【0093】
さらにキャップ1を回転させると、第1本体突出部113aは、空転しながら、第1案内部213の環状突起部2131に形成される第1案内面2131aに摺接する。第1本体突出部113aは、第1案内面2131aに接触した状態で回転方向に移動する。このとき、第2本体突出部113bは、容器ネジ部212に螺合したままである。
【0094】
キャップ1の回転が進むと、第1案内面2131aに案内される第1本体突出部113aは、移動の途中で、第2案内部214を乗り越えて通過し、第2案内部214の近傍に位置する突起部218も乗り越えて通過する。さらに、第1本体突出部113aは、第3案内面2131cに移行する。第1本体突出部113aは第3案内面2131cに案内されて、環状突起部2131よりも基端側(下方側)の領域へと向かう。さらに、容器ネジ部212に対する第2本体突出部113bの螺合が解除される。
【0095】
キャップ1の回転がさらに進むと、第1本体突出部113aは、容器係止部216を乗り越えて通過し、さらに、容器係止部216の近傍に位置する突起部217を乗り越えて通過する。さらに、第1本体突出部113aは、環状突起部2131の第2案内面2131bに摺接して案内される。
【0096】
また、このとき、第2本体突出部113bは、第1案内部213の第1案内面2131aに接触して案内されている。第2本体突出部113bは、第1案内面2131aに案内されながら、第2案内部214を乗り越えて通過し、第2案内部214の近傍に位置する突起部218も乗り越えて通過する。さらに、キャップ1の蓋体ネジ部123が容器ネジ部212に螺合する。
【0097】
キャップ1をさらに回転させ、容器ネジ部212に対する蓋体ネジ部123の螺合が完了したとき、キャップ1の閉位置への移動が完了する(
図12の状態)。すなわち、キャップ1の容器2に対する装着が完了する。キャップ1が閉位置にあるとき、蓋体ネジ部123が容器ネジ部212に螺合していることによって、蓋体12は開かないように容器2に固定される。このとき、
図15に示すように、第1本体突出部113aと第2本体突出部113bとによって、第1案内部213の環状突起部2131を挟持した状態になっている。
【0098】
次に、キャップ付き容器の使用方法(キャップ1の開閉方法)について説明する。
【0099】
まず、閉位置から開位置へと移動させるために、キャップ1を容器2に対して緩め方向(左方向)に回転させる。そうすると、キャップ本体11の基体部111に形成される本体ネジ部113の第1本体突出部113aは、第1案内部213の第2案内面2131bに接触して案内される。また、本体ネジ部113における第2本体突出部113bは、第1案内部213の第1案内面2131aに接触して案内される。
【0100】
その後、第1本体突出部113aは、容器係止部216の近傍位置にある突起部217に接触する。第2本体突出部113bは、第2案内部214の近傍位置にある突起部218に接触する。
【0101】
この状態でさらにキャップ1を緩め方向に回転させると、第1本体突出部113aは、突起部217を乗り越えて通過する。第2本体突出部113bは、突起部218を乗り越えて通過する。
【0102】
その後、第2本体突出部113bは、第2案内部214における押上部214aに接触する。キャップ1の回転により、第2本体突出部113bは、湾曲形状の押上部214aに案内されて支持部214bへと押し上げられる。このように、第2本体突出部113bが押上部214aによって押し上げられることによって、キャップ本体11において接続部13が形成されている部分が第1案内部213から離れるように押し上げられる(
図13、
図14参照)。このとき、第2本体突出部113bは、蓋体12における軸線方向の先端側の面、すなわち、下面が支持部214bによって支持されることになる。これによって、キャップ1の開位置への移動が完了する。
【0103】
キャップ1が開位置に移動したとき、蓋体ネジ部123の容器ネジ部212への螺合が解除される。また、キャップ1が開位置にあるとき、第1本体突出部113aは、第1案内部213の第2案内面2131bに接触したままの状態である。すなわち、キャップ1を閉位置から開位置へと移動させたときに、第1本体突出部113aは、常に第2案内面2131bに接触しており、容器2における軸線方向の先端側(上方側)に移動しないように規制される。同様に、この第1本体突出部113aと同じ位置に形成される、キャップ本体11の本体嵌合部112に関しても、軸線方向の先端側(上方側)に移動しないように規制される。
【0104】
一方、第2本体突出部113bは、第2案内部214における押上部214aによって容器2における軸線方向の先端側(上方側)に移動するため、この第2本体突出部113bと同じ位置にある接続部13も軸線方向の先端側(上方)に移動する。また、キャップ1が緩め方向に回転させられることで、蓋体ネジ部123と容器ネジ部212との螺合関係により、蓋体12には、キャップ本体11から離れるように、軸線方向の力(下方から上方への力)が作用する。
【0105】
このような状態において、キャップ1が開位置に移動したとき、すなわち、第2本体突出部113bが第2案内部214に位置したとき、蓋体ネジ部123と容器ネジ部212との螺合が解除されるとともに、キャップ本体11における本体嵌合部112と蓋体12における蓋体嵌合部122との嵌合が解除され、蓋体12がキャップ本体11から離反可能になる(
図13参照)。
【0106】
なお、この状態において、キャップ本体11における第1本体突出部113aは、キャップ1の緩め方向にこれ以上移動しないように、容器係止部216の容器係止面216aによって係止される。
【0107】
蓋体12を閉じて容器2の開口部211aを閉塞するには、まず、蓋体12の蓋体嵌合部122を容器本体22の本体嵌合部112に嵌合させる。次に、キャップ1を締め方向(右方向)に回転させて、開位置から閉位置へと移動させる。
【0108】
以上説明した本実施形態におけるキャップ付き容器によれば、キャップ1が閉位置から開位置に位置変更する際に、キャップ本体11を案内する第2案内部214を備えている。これにより、キャップ1が閉位置から開位置に位置変更すると、第2案内部214がキャップ本体11を案内するため、キャップ本体11と蓋体12とが離反する。したがって、キャップ1が開位置に位置すると、蓋体嵌合部122と本体嵌合部112の嵌合が解除されるため、容器2の開口部211aを容易に開けることができる。
【0109】
キャップ付き容器は、キャップ1を容器2に装着する際、容器ネジ部212に対する第1本体突出部113aの螺合が解除されたときに、第1本体突出部113aを空転させながら、この第1本体突出部113aに摺接することによりキャップ1を閉位置へと案内する第1案内部213を有する。したがって、容器本体22に複数の容器ネジ部212aから212dが形成されて、複数箇所でキャップ1を容器2に係合させることができる構造であっても、キャップ本体11の第1本体突出部113aの容器ネジ部212への螺合を解除して空転させる状態を形成することによって、キャップ1を容器2に装着する場合に、1カ所の閉位置にキャップ1を確実に案内できるようになる。このような構成により、キャップ付き容器の構造を簡素化できるようになる。したがって、容器2の気密性を高く維持するとともに、キャップ1を機械(例えばキャッパー装置)によって容器2に装着することが可能になる。
【0110】
さらに、キャップ1を容器2に一旦装着すると、キャップ本体11における第1本体突出部113aが、容器係止部216の容器係止面216aによって係止されることにより、キャップ本体11を容器2から容易に取り外すことができなくなる。したがって、キャップ1を容器2に対して確実かつ強固に装着できる。
【0111】
キャップ付き容器は、キャップ1を閉位置から開位置へと移動させたときに、キャップ1が下方に移動しないように、第2本体突出部113bの下面に当接して支持する支持部214bを有する。したがって、キャップ1を開位置に移動させたときに、キャップ1が下方に移動しないように固定でき、位置決めが可能となったことにより、確実にキャップ本体11における接続部13側の部分が持ち上がり、これによって、蓋体12の開閉を確実に行うことができるようになる。
【0112】
キャップ付き容器は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。また、キャップ付き容器は、上記の作用効果に限定されるものでもない。キャップ付き容器の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、発音容器は、上記実施形態のキャップ付き容器を利用するものに限定されず、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 キャップ
2 容器
11 キャップ本体
12 蓋体
112 本体嵌合部
113 本体ネジ部
113a 第1本体突出部
113b 第2本体突出部
116 突起部
122 蓋体嵌合部
123 蓋体ネジ部
21 容器の先端部(装着部)
211a 開口部
212 容器ネジ部
213 第1案内部
214 第2案内部
214b 支持部
3 発音キャップ
31 第1スイッチ(第1センサ)
32 第2スイッチ(第2センサ)
33 孔
34 カバー
341 カバーの上面
342 振動板サポート
35 電子回路
36 発音部材
37 バッテリ
38 配線
39 金属板