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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】釣銭準備金作成装置および貨幣纏め機
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
G07D9/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020001434
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021111050
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】中川 烈恭
(72)【発明者】
【氏名】宗近 真
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-067513(JP,A)
【文献】特開2011-107938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定金種のバラ貨幣を受け入れる受入部と、
該受入部に受け入れたバラ貨幣を所定の纏め単位枚数分集積させる集積部と、
該集積部に集積されたバラ貨幣から一体の纏め貨幣を作成する纏め部と、
を有し、
出金指令を受けると前記纏め貨幣を機外に繰り出させる貨幣纏め機を金種別に備え、
金種別の前記貨幣纏め機から機外に繰り出された前記纏め貨幣を受け入れて搬送する搬送部を備える釣銭準備金作成装置であって、
金種別の前記貨幣纏め機は、
前記出金指令を受ける前段階で、
前記受入部のバラ貨幣を前記集積部で前記纏め単位枚数分集積させて該集積部内に貯留しておくことを特徴とする釣銭準備金作成装置。
【請求項2】
所定金種のバラ貨幣を受け入れる受入部と、
該受入部に受け入れたバラ貨幣を所定の纏め単位枚数分集積させる集積部と、
該集積部に集積されたバラ貨幣から一体の纏め貨幣を作成する纏め部と、
を有し、
出金指令を受けると前記纏め貨幣を機外に繰り出させる貨幣纏め機を金種別に備え、
金種別の前記貨幣纏め機から機外に繰り出された前記纏め貨幣を受け入れて搬送する搬送部を備える釣銭準備金作成装置であって、
金種別の前記貨幣纏め機は、
前記出金指令を受ける前段階で、
前記受入部のバラ貨幣を前記集積部で前記纏め単位枚数分集積させ前記纏め部で一体の纏め貨幣にして該纏め部内に貯留しておくことを特徴とする釣銭準備金作成装置。
【請求項3】
所定金種のバラ貨幣を受け入れる受入部と、
該受入部に受け入れたバラ貨幣を所定の纏め単位枚数分集積させる集積部と、
該集積部に集積されたバラ貨幣から一体の纏め貨幣を作成する纏め部と、
を有し、
出金指令を受けると前記纏め貨幣を機外に繰り出させる貨幣纏め機であって、
前記出金指令を受ける前段階で、
前記受入部のバラ貨幣を前記集積部で前記纏め単位枚数分集積させて該集積部内に貯留しておくことを特徴とする貨幣纏め機。
【請求項4】
所定金種のバラ貨幣を受け入れる受入部と、
該受入部に受け入れたバラ貨幣を所定の纏め単位枚数分集積させる集積部と、
該集積部に集積されたバラ貨幣から一体の纏め貨幣を作成する纏め部と、
を有し、
出金指令を受けると前記纏め貨幣を機外に繰り出させる貨幣纏め機であって、
前記出金指令を受ける前段階で、
前記受入部のバラ貨幣を前記集積部で前記纏め単位枚数分集積させ前記纏め部で一体の纏め貨幣にして該纏め部内に貯留しておくことを特徴とする貨幣纏め機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣銭準備金作成装置および貨幣纏め機に関する。
【背景技術】
【0002】
包装硬貨供給手段を放射状に配置することによって小型化を図った釣銭作成装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-67513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
釣銭準備金作成装置において、効率良く釣銭準備金を作成することが求められている。
【0005】
したがって、本発明は、効率良く釣銭準備金を作成することが可能な釣銭準備金作成装置および貨幣纏め機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の態様の釣銭準備金作成装置は、所定金種のバラ貨幣を受け入れる受入部と、該受入部に受け入れたバラ貨幣を所定の纏め単位枚数分集積させる集積部と、該集積部に集積されたバラ貨幣から一体の纏め貨幣を作成する纏め部と、を有し、出金指令を受けると前記纏め貨幣を機外に繰り出させる貨幣纏め機を金種別に備え、金種別の前記貨幣纏め機から機外に繰り出された前記纏め貨幣を受け入れて搬送する搬送部を備える釣銭準備金作成装置であって、金種別の前記貨幣纏め機は、前記出金指令を受ける前段階で、前記受入部のバラ貨幣を前記集積部で前記纏め単位枚数分集積させて該集積部内に貯留しておくことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る第2の態様の釣銭準備金作成装置は、所定金種のバラ貨幣を受け入れる受入部と、該受入部に受け入れたバラ貨幣を所定の纏め単位枚数分集積させる集積部と、該集積部に集積されたバラ貨幣から一体の纏め貨幣を作成する纏め部と、を有し、出金指令を受けると前記纏め貨幣を機外に繰り出させる貨幣纏め機を金種別に備え、金種別の前記貨幣纏め機から機外に繰り出された前記纏め貨幣を受け入れて搬送する搬送部を備える釣銭準備金作成装置であって、金種別の前記貨幣纏め機は、前記出金指令を受ける前段階で、前記受入部のバラ貨幣を前記集積部で前記纏め単位枚数分集積させ前記纏め部で一体の纏め貨幣にして該纏め部内に貯留しておくことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る第の態様の貨幣纏め機は、所定金種のバラ貨幣を受け入れる受入部と、該受入部に受け入れたバラ貨幣を所定の纏め単位枚数分集積させる集積部と、該集積部に集積されたバラ貨幣から一体の纏め貨幣を作成する纏め部と、を有し、出金指令を受けると前記纏め貨幣を機外に繰り出させる貨幣纏め機であって、前記出金指令を受ける前段階で、前記受入部のバラ貨幣を前記集積部で前記纏め単位枚数分集積させて該集積部内に貯留しておくことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る第の態様の貨幣纏め機は、所定金種のバラ貨幣を受け入れる受入部と、該受入部に受け入れたバラ貨幣を所定の纏め単位枚数分集積させる集積部と、該集積部に集積されたバラ貨幣から一体の纏め貨幣を作成する纏め部と、を有し、出金指令を受けると前記纏め貨幣を機外に繰り出させる貨幣纏め機であって、前記出金指令を受ける前段階で、前記受入部のバラ貨幣を前記集積部で前記纏め単位枚数分集積させ前記纏め部で一体の纏め貨幣にして該纏め部内に貯留しておくことを特徴とする
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、効率良く釣銭準備金を作成することが可能な釣銭準備金作成装置および貨幣纏め機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の釣銭準備金作成装置を示す平面図である。
図2】実施形態の釣銭準備金作成装置の硬貨包装機を概略的に示す構成図である。
図3】実施形態の釣銭準備金作成装置の昇降装置を概略的に示す斜視図である。
図4】実施形態の釣銭準備金作成装置の釣銭袋を概略的に示す斜視図である。
図5】実施形態の釣銭準備金作成装置の釣銭準備金作成リストを示す図表である。
図6】実施形態の釣銭準備金作成装置の硬貨包装機の変形例を概略的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態の釣銭準備金作成装置を図面を参照して以下に説明する。
【0017】
<全体構成>
実施形態の釣銭準備金作成装置11は、釣銭用に準備する現金を顧客の希望の金種の組み合わせおよび数量で揃えた釣銭準備金を作成するものである。図1に示すように、釣銭準備金作成装置11は、単一の所定金種のバラ硬貨(バラ貨幣)を受け入れて所定の包装単位枚数(纏め単位枚数)ずつ集積し一体化して包装硬貨B(纏め貨幣)、いわゆる棒金Bを作成するとともに作成した棒金Bを繰り出す金種別の硬貨包装機21(貨幣纏め機、纏め貨幣供給手段)と、これら金種別の硬貨包装機21のそれぞれから機外に繰り出された棒金Bを受け入れて一方向に搬送するベルトコンベアからなる搬送コンベア22(搬送部,搬送手段)と、搬送コンベア22で下流端まで搬送された棒金Bを受け取る受箱23と、受箱23を昇降可能に支持し電動で昇降させる昇降装置24(昇降手段)とを有している。受箱23の上昇駆動および下降駆動を行う昇降装置24は、棒金Bを受箱23ごと昇降させる。
【0018】
搬送コンベア22は水平に直線状に延びており、その下流終端には棒金放出シャッタ25が設けられている。実施形態の釣銭準備金作成装置11は、1円硬貨包装用、5円硬貨包装用、10円硬貨包装用、50円硬貨包装用、100円硬貨包装用、500円硬貨包装用の、合計6台の硬貨包装機21を有している。6台の硬貨包装機21は、そのうちの3台の硬貨包装機21が搬送コンベア22の搬送方向に沿って並べられて搬送コンベア22の一側に配置されており、残りの3台の硬貨包装機21が搬送コンベア22の搬送方向に沿って並べられて搬送コンベア22の他側に配置されている。
【0019】
6台の硬貨包装機21は、同様の構成であり、いずれも、所定金種のバラ硬貨を機外から受け入れる硬貨受入部31(受入部)を搬送コンベア22とは反対側に有している。硬貨包装機21は、図2に示すように、硬貨受入部31に受け入れたバラ硬貨を一枚ずつ分離して繰り出す硬貨繰出部32と、硬貨繰出部32で繰り出されたバラ硬貨を搬送する第1搬送機構33と、第1搬送機構33で搬送されてきたバラ硬貨を識別および計数する硬貨識別部34と、を有している。
【0020】
また、硬貨包装機21は、硬貨識別部34の識別結果から包装対象金種のバラ硬貨とそれ以外のバラ硬貨とを振り分けるリジェクト振分部36と、リジェクト振分部36で一方に振り分けられた包装対象の金種のバラ硬貨を搬送する第2搬送機構37と、リジェクト振分部36で他方に振り分けられた包装対象金種以外のバラ硬貨を搬送する第3搬送機構38と、第3搬送機構38で搬送されてきたバラ硬貨を機外に取り出し可能とする排除ボックス39と、を有している。
【0021】
また、硬貨包装機21は、硬貨受入部31に受け入れ第2搬送機構37で搬送されてきたバラ硬貨を所定の包装単位枚数分集積させる硬貨集積部41(集積部)と、硬貨集積部41で集積されたバラ硬貨を集積状態のまま搬送する第4搬送機構42と、硬貨集積部41に集積され第4搬送機構42で搬送されてきた集積状態のバラ硬貨から一体の棒金Bを作成する硬貨包装部43(纏め部)と、を有している。硬貨包装部43は、所定の包装単位枚数(例えば50枚)の集積されたバラ硬貨の外周側に包装用シートを巻き回し両端を加締めて一体とすることにより棒金Bを作成する。
【0022】
また、硬貨包装機21は、硬貨包装部43で作成された棒金Bを搬送する第5搬送機構44と、第5搬送機構44で搬送されてきた棒金Bを受け入れる硬貨振分部46(振分部)と、硬貨振分部46に受け入れた棒金Bを検査する包装検査部45と、を有している。硬貨振分部46は、硬貨包装部43からの棒金Bの行き先を、包装検査部45の検査結果に基づいて振り分ける。
【0023】
また、硬貨包装機21は、硬貨振分部46で一方に振り分けられた異常のある棒金Bおよび端数のバラ硬貨を搬送する第6搬送機構48と、第6搬送機構48で搬送されてきた棒金Bおよび端数のバラ硬貨を収納するクリアボックス49と、硬貨振分部46で他方に振り分けられた正常な棒金Bを搬送する第7搬送機構50と、第7搬送機構50で搬送されてきた正常な棒金Bを機外に放出する放出口51と、を有している。硬貨包装機21は、放出口51から棒金Bを搬送コンベア22上に放出する。
【0024】
ここで、硬貨包装機21には、複数本の棒金Bを纏めて貯留させる貯留部は設けられていない。また、硬貨包装機21は、硬貨繰出部32と硬貨集積部41とを結ぶ第1搬送機構33および第2搬送機構37と、硬貨集積部41と硬貨包装部43とを結ぶ第4搬送機構42と、硬貨包装部43と硬貨振分部46とを結ぶ第5搬送機構44とが、個別に動作可能となっている。このため、棒金Bを作成する前段階の準備として、硬貨集積部41に包装単位枚数の硬貨を集積状態のまま貯留させておくことが可能である。また、棒金Bを放出する前に、その準備として、硬貨包装部43に棒金Bを貯留させておくことが可能である。さらに、棒金Bを放出する前に、その準備として、硬貨振分部46に棒金Bを貯留させておくことが可能である。
【0025】
図1に示すように、昇降装置24は、搬送コンベア22で下流端まで搬送されて棒金放出シャッタ25が開かれることで搬送コンベア22から放出される棒金Bを受け取る上方開口の受箱23を支持している。昇降装置24は、この受箱23を上方開口の状態のまま、図3(a)に示す上段位置(第2位置)と、上段位置より下側の図3(b)に示す中段位置(第1位置)と、中段位置より下側の図3(c)に示す下段位置(第3位置)とに電動により昇降移動させる。受箱23には、図3(c)に示す下段位置にあるとき、棒金放出シャッタ25が開かれることで搬送コンベア22から放出される棒金Bが上部開口から内部に落下する。
【0026】
昇降装置24は、受箱23を図3(b)に示す中段位置に位置させるとき、この受箱23に、搬送コンベア22とは反対側から、オペレータのアクセスを許容するように構成されている。昇降装置24は、受箱23を図3(b)に示す中段位置から図3(a)に示す上段位置に移動させると、図3(a)に示すように受箱23内にその上部開口から入り込む位置固定のコア71(セット手段)を有している。コア71は2つのU字状部材72を有している。
【0027】
図1に示すように、釣銭準備金作成装置11は、昇降装置24の搬送コンベア22とは反対側に、オペレータaが着席する作業用椅子75が設けられている。昇降装置24は、作業用椅子75に着席した状態のオペレータaによって起動操作が入力される起動釦77を有している。起動釦77は、例えば足で操作されるフットスイッチであるが、手で操作されるものであっても良い。昇降装置24は、受箱23を図3(b)に示す中段位置に位置させる状態が待機状態となっており、この待機状態から起動釦77が押圧されると、中段位置に位置する受箱23を図3(a)に示す上段位置に位置させた後、図3(c)に示す下段位置まで下降させることになる。
【0028】
オペレータaは、作業用椅子75に座った状態で、図3(b)に示すように、待機状態にあって中段位置にある受箱23に、受箱23の上部開口よりも広い開口部80を有する合成樹脂製の透明の釣銭袋81を手作業で上から被せる。
【0029】
釣銭袋81は、図4に示すように、一端が開口部80となる筒状の袋本体部82と、袋本体部82の他端を直線状に接着して閉塞する接着部83と、接着部83の袋本体部82とは反対側に突出する余長部84とを有している。袋本体部82は、接着部83側の端部から接着部83とは反対側の端部までの長さが、余長部84の接着部83側の端部から接着部83とは反対側の端部までの長さよりも長くなっている。接着部83および余長部84は、袋本体部82の外側にある。袋本体部82には、袋本体部82の内外を貫通する脱気用の半円状の切れ目86が形成されている。ここで、脱気用に穴ではなく切れ目86を形成することで製造時にゴミを出さないようになっている。オペレータaは、釣銭袋81を、接着部83および余長部84が袋本体部82の外側にある状態のまま、袋本体部82の開口部80側を、図3(b)に示すように、受箱23の外側に上から被せる。
【0030】
その後、オペレータaは、作業用椅子75に座った状態のまま、昇降装置24の起動釦77を押圧操作する。すると、昇降装置24は、電動で受箱23を図3(a)に示す上段位置まで上昇させることになり、その途中で、受箱23と共に上昇する釣銭袋81が、上部にある図4に示す余長部84および接着部83において位置固定のコア71に当接し、コア71に押されてコア71と共に受箱23内に受箱23の上部開口から入り込む。その際に、接着部83および余長部84は、袋本体部82の内側に入り込む。これにより、釣銭袋81の袋本体部82の接着部83側すなわち底側が、裏返しの状態になる。その後、昇降装置24は、自動的に受箱23を電動で図3(c)に示す下段位置まで下降させる。この状態で、搬送コンベア22で搬送されてきた棒金Bが、釣銭袋81内に裏返しの底側部分に向け落下して受箱23の底部に載置されることになる。
【0031】
すなわち、昇降装置24は、図3(b)に示す中段位置にてオペレータaにより受箱23に釣銭袋81が被せられた状態で、図3(a)に示す上段位置に移動すると、釣銭袋81をコア71で受箱23内に押し込んで受箱23にセットする。このように、釣銭袋81の受箱23へのセットが完了する上段位置に位置したことを図示略の検出手段が検出すると、昇降装置24は、自動で受箱23を図3(c)に示す下段位置に下降させる。また、昇降装置24は、搬送コンベア22で搬送された棒金が全て、下段位置にある受箱23の釣銭袋81の中に落下して収納動作が完了したことを図示略の検出手段で検出すると、自動で受箱23を図3(b)に示す中段位置に上昇させる。
【0032】
図1に示すように、釣銭準備金作成装置11は、搬送コンベア22の包装硬貨搬送方向に見て作業用椅子75の右側に、中継制御器としてのターミナル91と、バラ紙幣(バラ貨幣)を出金するバラ紙幣出金機92と、小束紙幣(纏め貨幣)を出金する小束出金機93とを有している。バラ紙幣出金機92は、釣銭準備金としての千円券のバラ紙幣と五千円券のバラ紙幣とが予めセットされており、これらを出金指令に基づいて出金可能となっている。小束出金機93は、機外で作成された釣銭準備金としての千円券の小束紙幣と五千円券の小束紙幣とが予めセットされており、これらを出金指令に基づいて出金可能となっている。ここで、小束紙幣は、同一金種のバラ紙幣を所定の結束単位枚数(100枚)分集積させて施封帯で一体にしたものである。
【0033】
搬送コンベア22で搬送されてきた棒金Bが、受箱23にセットされた釣銭袋81内に収容されると、昇降装置24は電動で受箱23を中段位置に位置させることになる。すると、作業用椅子75に着席しているオペレータaは、受箱23にセットされた状態の釣銭袋81内に、バラ紙幣出金機92から繰り出されたバラ紙幣と小束出金機93から繰り出された小束紙幣とを手作業で投入する。
【0034】
釣銭準備金作成装置11は、搬送コンベア22の包装硬貨搬送方向に見て作業用椅子75の左側に、計量器101(計量手段)を有している。計量器101は、昇降装置24の近傍に設けられており、作業用椅子75に着席しているオペレータaは、昇降装置24の中段位置に位置する受箱23から、釣銭準備金としての貨幣を釣銭袋81ごと取り出して、計量器101に載置させる。すると、計量器101が計量を行う。
【0035】
釣銭準備金作成装置11は、計量器101の搬送コンベア22とは反対側にフリーローラコンベア105を有している。作業用椅子75に着席しているオペレータaは、計量器101で計量後の釣銭準備金貨幣を釣銭袋81にいれたまま上方開口のカゴ106に入れてフリーローラコンベア105上に載置させる。フリーローラコンベア105は傾斜しており、載置されたカゴ106をバラ紙幣出金機92および小束出金機93とは反対方向に搬送する。フリーローラコンベア105上に載置されたカゴ106は、フリーローラコンベア105に設けられたストッパ108またはストッパ108に当接して停止している他のカゴ106に当接して停止する。
【0036】
釣銭準備金作成装置11は、フリーローラコンベア105の計量器101とは反対側に、オペレータbが立って作業を行うためのスペース111を有している。また、釣銭準備金作成装置11は、このスペース111のフリーローラコンベア105とは反対側に作業台112を有しており、作業台112には、釣銭袋81を封止するための卓上シーラ121と、作成PC122と、ラベルを印刷するラベラ123とを有している。オペレータbは、カゴ106に入れられてフリーローラコンベア105で搬送されてきた釣銭準備金貨幣を釣銭袋81ごとカゴ106から取り出し、卓上シーラ121で釣銭袋81の開口部80を封止して釣銭準備金貨幣が釣銭袋81から出ないようにする。そして、オペレータbは、この釣銭準備金貨幣に対してラベラ123で印刷されたラベルをこの釣銭準備金貨幣を包んでいる釣銭袋81に貼り付ける。
【0037】
釣銭準備金作成装置11で作成する釣銭準備金としての現金のデータは、予め、図示略の管理PCで所定事項が管理者によってデータ入力されて、図5に示すような釣銭準備金作成リストとして作成されている。そして、この釣銭準備金作成リストが管理PCに接続された作成PC122にファイル転送される仕組みとなっている。そして、釣銭準備金作成装置11では、作成PC122からの出金命令に基づいて、この釣銭準備金作成リストのNo.1から順番に釣銭準備金を作成する仕組みとなっている。
【0038】
釣銭準備金作成リストのNo.1の情報を例にとると、このNo.1の情報は、釣銭準備金の配送先が顧客Aであり、釣銭準備金の明細が、五千円券の小束紙幣が1束と、千円券の小束紙幣が5束と、五千円券のバラ紙幣が10枚と、千円券のバラ紙幣が50枚と、500円硬貨の棒金が1本と、100円硬貨の棒金が3本と、50円硬貨の棒金が1本と、10円硬貨の棒金が3本と、5円硬貨の棒金が1本と、1円硬貨の棒金が3本と、であることと、釣銭準備金の総重量が1500gであることとを示している。
【0039】
そして、作成PC122は、この釣銭準備金作成リストのNo.1の情報に基づいて、釣銭準備金作成リストのNo.1の釣銭準備金を出金させるように6台の硬貨包装機21とバラ紙幣出金機92と小束出金機93とを制御する。6台の硬貨包装機21とバラ紙幣出金機92と小束出金機93とから出金された釣銭準備金が、最終的に一つの釣銭袋81に収納される。そして、これらの処理が、NO.1、NO.2、・・・の順番に実行されて、必要とする全ての釣銭準備金作成処理が完了する仕組みとなっている。
【0040】
このため、釣銭準備金作成装置11は、作成PC122に、500円~1円用の金種別の6台の硬貨包装機21と、硬貨包装機21から放出された棒金Bを下流側へ向けて搬送する搬送コンベア22と、搬送コンベア22の下流終端に設けられた棒金放出シャッタ25とが通信ラインで接続されていて、その各々が作成PC122によって制御されて動作する仕組みとなっている。
【0041】
同様に、作成PC122には、中継制御器としてのターミナル91が接続されており、またターミナル91には、バラ紙幣出金機92と小束出金機93とが接続されている。これらバラ紙幣出金機92と小束出金機93とは、各々がターミナル91を経由して作成PC122によって制御される仕組みとなっている。
【0042】
さらに、作成PC122には、計量器101が接続されており、該当する釣銭準備金の重量について、その釣銭準備金の金種および数の明細から計算によって予め求められた図5に示す理論上の重量と、計量器101が計量した実測の重量とを比較して、計量チェックの合否判定を行うようになっている。すなわち、作成PC122は、理論上の重量と実測の重量との差が許容範囲内にあれば合格と判定し、理論上の重量と実測の重量との差が許容範囲内になければ不合格と判定する。
【0043】
作成PC122には、ラベラ123が接続されており、ラベラ123は、計量チェックが合格となったことを条件に釣銭準備金のラベル(顧客名、釣銭準備金の明細内訳、釣銭準備金の総重量等を表示するラベル)を印字するようになっている。
【0044】
例えば、作成PC122は、釣銭準備金作成リストのNo.1の500円硬貨の棒金1本と、100円硬貨の棒金3本と、50円硬貨の棒金1本と、10円硬貨の棒金3本と、5円硬貨の棒金1本と、1円硬貨の棒金3本とを、6台の硬貨包装機21から繰り出させ、五千円券のバラ紙幣10枚と、千円券のバラ紙幣50枚とをバラ紙幣出金機92から繰り出させ、五千円券の小束紙幣1束と千円券の小束紙幣5束とを小束出金機93から繰り出させる。その後、これらを収納している状態の釣銭袋81が計量器101に載せられる。そして、このとき計量器101が計量した実測の重量と、No.1の釣銭準備金の理論上の重量との差が許容範囲内にあれば、作成PC122は、ラベラ123によってNo.1の釣銭準備金の情報を含むラベルを印字するようになっている。
【0045】
なお、作成PC122は、もし計量チェックが不合格の場合には、釣銭準備金作成装置11で作成された釣銭準備金の数量そのものが誤っている可能性があるのか、もしくは釣銭準備金作成装置11で作成された釣銭準備金が、全て釣銭袋81に収納されていない等の作業異常が発生している可能性があるのか等を判定できるようになっており、アラーム発生と共に判定結果を表示する。
【0046】
また、該当日に作成される釣銭準備金全体面で言うと、該当日の釣銭準備金作成リストの総額と一致する数量の現金が、釣銭準備金作成装置11に装填されて運用される形態となっている。その理由は、該当日の釣銭準備金を全て作成し終えた際に、もし仮に釣銭準備金作成装置11の中の現金に過不足が発生していれば、作業異常が発生している可能性があることから、これを検出するためである。
【0047】
<オペレータbの作業場所と作業内容>
オペレータbは、図1に示すように、作業台112の近傍のスペース111に立って、作成PC122を操作して、釣銭準備金作成装置11の起動を行って、釣銭準備金作成業務を開始する操作を行う。また、図5に示す釣銭準備金作成リストの順番に沿って作成された該当物件の釣銭準備金が計量器101で計量される。そして、計量チェックが合格となった釣銭準備金が入った釣銭袋81が順次カゴ106に入れられてフリーローラコンベア105で運ばれてくるが、オペレータbは、その釣銭袋81をカゴ106から順次取り出して、卓上シーラ121でシーリングを行って釣銭袋81の開口部80を閉じる密封処理を行い、その後、ラベラ123によってラベル印字された対応するラベルを作成PC122の表示画面を確認しながら、対応する釣銭袋81に貼付する処理を行うようになっている。
【0048】
<オペレータaの作業場所と作業内容>
オペレータaは、図1に示すように、搬送コンベア22の下流終端であって搬送コンベア22によって搬送されてくる棒金Bが収納される受箱23が置かれる場所の近傍であって、且つ、バラ紙幣出金機92および小束出金機93の近傍であって、且つ、計量器101およびフリーローラコンベア105の近傍の作業用椅子75に着席して、これらに係る各種作業を順番に行う。
【0049】
具体的には、釣銭準備金作成リストのNo.1のデータにしたがって釣銭準備金を作成する場合を例にとり説明すると、まず、作成PC122からの出金指示に基づいて、硬貨包装機21が動作することによって、バラ硬貨が50枚ずつ包装され棒金Bとなって、搬送コンベア22上に放出される。すなわち、釣銭作成リストのNo.1のデータに基づいて、500円棒金~1円棒金用の金種別の6台の硬貨包装機21が包装動作を行って、500円硬貨の棒金1本と、100円硬貨の棒金3本と、50円硬貨の棒金1本と、10円硬貨の棒金3本と、5円硬貨の棒金1本と、1円硬貨の棒金3本とを、搬送コンベア22上に放出する。すると、これらの棒金Bを搬送コンベア22が下流方向へ搬送することになり、搬送コンベア22は、これらの棒金Bを下流終端に設けられた閉状態の棒金放出シャッタ25の所で停止させる。
【0050】
続いて、作成PC122からの命令に基づいて、棒金放出シャッタ25を開くと、棒金放出シャッタ25の位置で停止していた全ての棒金Bが、図示略のシュートを落下して、受箱23の釣銭袋81の中に収納される。その後に棒金放出シャッタ25は閉じて元の待機位置へ戻る動作を行う。
【0051】
ここで、オペレータaは、棒金Bを所定の釣銭袋81に収納する前準備として、図3(b)に示すように、予め、昇降装置24に載置された受箱23を昇降装置24によって中段位置へ位置させておき、釣銭袋81をその開口部80が下を向くようにして受箱23に被せる。
【0052】
続いて、オペレータaは、起動釦77を操作することになり、これにより、昇降装置24が受箱23を図3(a)に示す上段位置へ上昇させると、昇降装置24の上部に設けられたコア71が受箱23の中に自動的に挿入され、その作用によって、釣銭袋81が受箱23の中に押し込まれてセットされるようになっている。
【0053】
そして、その際には、その前の図3(b)に示す中段位置にて開口部80が下を向くようにして受箱23に被せられた釣銭袋81が、図3(a)に示す上段位置では、受箱23の中に押し込まれてセットされるため、釣銭袋81が表裏返って、上方に開口するようにセットされる。
【0054】
このように釣銭袋81が表裏返ってセットされる理由は、後工程で、この釣銭袋81の中に釣銭準備金が収納された後、さらに開口部80側が卓上シーラ121でシーリングされて密封状態となって、釣銭準備金の作成が完了するが、その際に釣銭袋81そのものに元から存在する底部の接着部83が袋本体部82の外側に出ず、袋本体部82内に配置されて露出しないようにするのが目的となっている。
【0055】
すなわち、もし仮に、釣銭袋81を表裏返さずに釣銭袋81の接着部83が袋本体部82の外側に出る通常の姿勢のままで釣銭準備金を収納して釣銭準備金を作成しまうと、接着部83が袋本体部82の外側に出て露出してしまう。すると、接着部83にアクセスして接着部83に痕跡が残らないように切断して中の釣銭準備金を取り出して、その後に痕跡が残らないように接着部83を再接着するような不正行為が行われる虞がある。これに対し、釣銭袋81を表裏返すことにより、接着部83が釣銭準備金と同様に袋本体部82の内側にあって露出しないことになるため、このような不正行為を防止する効果がある。
【0056】
なお、釣銭袋81は、透明のビニール袋であり、中に収納された釣銭準備金を外から容易に確認できるようになっている。また、釣銭袋81として、図4に示すように脱気用の切れ目86を形成した専用のビニール袋を使用するようにしているが、市販の透明のビニール袋を使用してもよい。また、釣銭袋81として、半透明や黒色のビニール袋を使用しても良い。
【0057】
ここで、この釣銭袋81はあくまで、釣銭準備金の作成現場において釣銭準備金を収納する役目を果たす内袋的なものである。釣銭準備金は、その作成現場から顧客先へ搬出される際には、釣銭袋81ごと所定の頑丈な布製の現金収納袋または金属製の収納箱の中に格納され、施錠されて搬出されるようになっている。
【0058】
続いて、昇降装置24が受箱23を降下させて下段位置へ配置する。すると、オペレータaは、図示略の棒金放出シャッタ開釦を押下する。この棒金放出シャッタ開釦が有効の時、すなわち、硬貨包装機21から放出された棒金Bが搬送コンベア22の下流終端に設けられた棒金放出シャッタ25の所で停止して落下準備が整っている場合には、棒金放出シャッタ25が開いて、棒金Bが図示略のシュートを落下して、受箱23の中に収納されるようになっている。そして、その後に棒金放出シャッタ25が閉じ、昇降装置24が受箱23を元の中段位置へ戻す動作を行う。
【0059】
受箱23が昇降装置24によって上昇させられて中段位置へ位置すると、オペレータaは、受箱23から釣銭袋81ごと釣銭準備金を取り出して、当該釣銭袋81を次の工程へ受け渡す。また、オペレータaは、この中段位置にて次のNO.2の釣銭準備金を収納する釣銭袋81の準備作業として、開口部80が下を向くようにして釣銭袋81を受箱23に被せる。そして、以降は、以上を順番に繰り返し行うことになる。
【0060】
このようにして、オペレータaは、同じ場所に座ったままで、昇降装置24で受箱23を昇降させながら、複数の作業内容をこなせるようになるので、作業効率が向上する効果が発生する。
【0061】
ここで、釣銭準備金作成リストのNo.1のデータを例にとり説明すると、このデータには、棒金B以外に、五千円券の小束1束と、千円券の小束5束と、五千円券のバラ紙幣10枚と、千円券のバラ紙幣50枚とが含まれているので、作成PC122は、500円~1円用の金種別の6台の硬貨包装機21に対して出金指令を行うのと並行して、ターミナル91を経由して、バラ紙幣出金機92と小束出金機93とに対して、これらのデータの出金指令を行って、出金動作を行わせている。
【0062】
このため、オペレータaは、バラ紙幣出金機92と小束出金機93の各々の放出口に放出されて受け取り待ち状態の五千円券の小束1束と、千円券の小束5束と、五千円券のバラ紙幣10枚と、千円券のバラ紙幣50枚とを受けとって、纏めて、受箱23にセットされた状態の釣銭袋81の中に収納することになる。この操作は、受箱23が棒金Bの受け入れ後、昇降装置24によって中段位置にある時に行うようになっている。なお、この操作は、受箱23が下段位置にある時に行うようにしても良い。その後、オペレータaは、受箱23から釣銭袋81ごと釣銭準備金を取り出すことになる。
【0063】
オペレータaは、前述したように釣銭袋81ごと釣銭準備金を取り出すと、次の工程として、当該釣銭袋81を計量器101に載置させる。計量器101の計量が合格であると、オペレータaは、当該釣銭袋81をカゴ106に入れて、フリーローラコンベア105で搬送して、以降の工程を行うオペレータbに受け渡すようになっている。
【0064】
以上説明した作業がオペレータaの分担であるが、計量器101での計量の合否判断は作成PC122によって自動的に行われ、計量が合格の場合には、作成PC122は次の処理である釣銭準備金作成リストのNo.2に基づく制御動作を、以上に述べた釣銭準備金作成リストのNo.1に基づく制御動作と同様に行い、これを繰り返しながら釣銭準備金作成リストの全ての釣銭準備金の作成に係る制御動作を行う仕組みとなっている。
【0065】
<硬貨包装機の制御>
前述したように、500円~1円用の金種別の6台の硬貨包装機21は、基本的には、作成PC122からの釣銭準備金作成リストの内容を含む出金指令に基づいて、釣銭準備金作成リストのNo.1から順番に棒金Bを作成する仕組みとなっており、作成PC122からの出金指令を受信すると、硬貨包装機21が動作することによって、バラ硬貨が50枚ずつ包装され棒金Bとなって、搬送コンベア22上に放出される。
【0066】
本実施形態では、6台の硬貨包装機21について、棒金Bの搬送コンベア22上への放出時間を短縮できるようになっている。より詳しく説明すると、釣銭準備金作成リストを例にとると、釣銭準備金作成リストのNo.1、No.2、No.3、・・・の個別の釣銭準備金作成リストに基づいて作成される棒金Bの搬送コンベア22上への放出時間を短縮できるようになっている。このため、結果的に1日トータル分の釣銭準備金の作成に必要な総合計時間も短縮できるようになっている。
【0067】
硬貨包装機21は、概略を説明すると、作成PC122からの出金指令を受けると、この出金指令に基づいて棒金Bを作成して放出することになる。すなわち、作成PC122からの出金指令を受けると、硬貨受入部31に投入されたバラ硬貨が、回転板等を有する硬貨繰出部32によって1枚ずつ分離されて繰り出され、次に、硬貨識別部34で1枚ずつ金種識別されると共に計数が行われる。そして、所定の金種とは異なるバラ硬貨や硬貨以外の物は、排除ボックス39へ排除される。他方、正しく所定の金種と識別されたバラ硬貨は、硬貨集積部41に1枚ずつ集積されて所定の包装単位枚数(例えば50枚)集積される。
【0068】
次に、硬貨集積部41に集積された包装単位枚数の硬貨は、硬貨包装部43に搬送されて、所定の紙またはフィルムからなる包装シートによって包装されて棒金Bとなる。次に、硬貨包装部43で包装された棒金Bは、硬貨振分部46に搬送されて、この部位にて、包装検査部45によりスタイルチェックが行われる。スタイルチェックは、棒金Bが正しく包装されておらず包装めくれ等で、バラ硬貨が飛散していないか等をチェックする。スタイルチェックのチェック結果が不合格の棒金Bは、硬貨振分部46によってクリアボックス49の方へ振り分けられてクリアボックス49に収納される。スタイルチェックのチェック結果が合格の棒金Bは、硬貨振分部46によって放出口51の方へ振り分けられる。そして、放出口51の方へ振り分けられた棒金Bは、シュートを経由して搬送コンベア22に放出され、搬送コンベア22によって搬送される仕組みとなっている。
【0069】
これに対して、硬貨包装機21が行う、棒金Bの搬送コンベア22上への放出時間を短縮できる第1の制御内容について説明する。これは、硬貨包装機21が作成PC122からの釣銭準備金の作成の出金指令を受ける前に予め行う制御であり、釣銭準備金作成装置11の全体、もしくは釣銭準備金作成装置11の硬貨包装ラインにおいて、作業前の立ち上げでの電源オンイニシャル時等の準備期間が該当時となって、この該当時に行われる。
【0070】
一例として、この該当時に、500円~1円用の金種別の6台の硬貨包装機21が各々動作を行って、硬貨集積部41に所定枚数(例えば50枚)の硬貨を集積させる。そして、その先の工程の動作を行わず中断する。すなわち、金種別の硬貨包装機21は、第1の制御内容では、出金指令を受ける前段階で、硬貨受入部31のバラ硬貨を硬貨集積部41で包装単位枚数分集積させて機内に貯留しておく。具体的に、金種別の硬貨包装機21は、第1の制御内容では、出金指令を受ける前段階で、硬貨受入部31のバラ硬貨を硬貨集積部41で包装単位枚数分集積させて硬貨集積部41内に貯留しておく。
【0071】
第2の制御内容について説明する。第1の制御内容において、硬貨集積部41にバラ硬貨を貯留させるだけで止めず、その先の工程である硬貨包装部43に搬送し、包装シートによって包装し作成した棒金Bをそのまま硬貨包装部43に止めてその先の工程の動作を行わず中断する。これによって、棒金Bを硬貨包装部43に貯留させる。すなわち、金種別の硬貨包装機21は、第2の制御内容では、出金指令を受ける前段階で、硬貨受入部31のバラ硬貨を硬貨集積部41で包装単位枚数分集積させ硬貨包装部43で一体の棒金Bにして機内に貯留しておく。具体的に、金種別の硬貨包装機21は、第2の制御内容では、出金指令を受ける前段階で、硬貨受入部31のバラ硬貨を硬貨集積部41で包装単位枚数分集積させ硬貨包装部43で一体の棒金Bにして硬貨包装部43内に貯留しておく。
【0072】
第3の制御内容について説明する。第2の制御内容において、硬貨包装部43に棒金Bを貯留させるだけで止めず、その先の工程である硬貨振分部46に搬送して包装検査部45でスタイルチェックを行い、合格の棒金Bをそのまま硬貨振分部46に止めてその先の工程の動作を行わず中断する。これによって、棒金Bを硬貨振分部46に貯留させる。すなわち、金種別の硬貨包装機21は、第3の制御内容でも、出金指令を受ける前段階で、硬貨受入部31のバラ硬貨を硬貨集積部41で包装単位枚数分集積させ硬貨包装部43で一体の棒金Bにして機内に貯留しておく。具体的に、金種別の硬貨包装機21は、第3の制御内容では、出金指令を受ける前段階で、硬貨受入部31のバラ硬貨を硬貨集積部41で包装単位枚数分集積させ硬貨包装部43で一体の棒金Bにして硬貨振分部46内に貯留しておく。
【0073】
このようにして、第1~第3の制御内容のうち、少なくともいずれか選択された一つを行うことで、硬貨包装機21の機内に、少なくとも、1本の棒金Bおよび1本分の包装単位枚数のバラ硬貨の何れか一方を貯留しておく。
【0074】
ここで、硬貨繰出部32から硬貨集積部41への第1搬送機構33および第2搬送機構37と、硬貨集積部41から硬貨包装部43への第4搬送機構42と、硬貨包装部43から硬貨振分部46への第5搬送機構44とは、個別に動作可能となっている。このため、上記した第1~第3の制御内容を全て行うことで、1台の硬貨包装機21において、硬貨集積部41と硬貨包装部43と硬貨振分部46との計3カ所に、最大で2本分の棒金Bと1本分の包装単位枚数の集積状態のバラ硬貨とを貯留できるので、時短に関しての最大の効果が発揮できるようになる。第1~第3の制御内容のうちの少なくともいずか一つを行うようにすれば良い。
【0075】
なお、金種別の6台の硬貨包装機21は、作業前の立ち上げでの電源オンイニシャル時等の準備期間においてだけではなく、作成PC122からの釣銭準備金作成の出金指令後、次の出金指令を受ける前にも同様の制御を行う。つまりは、硬貨包装機21が今回出金指令を受けて所定本数の棒金Bを作成し放出する過程、または放出後において、次の出金指令を受ける前に、次の出金指令に備えて、上記した第1の制御、第2の制御および第3の制御の少なくともいずれか一つの選択された制御を行って、棒金Bおよび包装単位枚数の集積硬貨を機内に貯留する動作を行っておく。要は、次回出金指令を受ける際に備えて、機内に、棒金Bあるいは包装単位枚数の集積硬貨を貯留済みとしておく。このため、一の出金指令により硬貨包装機21から棒金Bを繰り出した後、次の出金指令により硬貨包装機21から棒金Bを繰り出す際には、少なくとも1本目の棒金Bの放出までの時間を短縮できることになる。なお、この場合も、上述と同様に、硬貨集積部41と硬貨包装部43と硬貨振分部46との計3カ所全てに、棒金Bあるいは包装単位枚数の集積硬貨を貯留しておくことが可能である。このため、第1~第3の制御内容を全て行えば、時短に関しての最大の効果が発揮できるようになる。
【0076】
なお、釣銭準備金作成の際に使用されるバラ硬貨は、その当日作成される棒金Bの数量と一致する数量分が準備されているので、当日最後の指令を受けた際には、余分に作成および貯留する棒金Bは存在しないはずである。このため、当日最後の指令を実行した後、余分なバラ硬貨が、硬貨受入部31を含めて、機内の何れにも存在しないことが残留検知センサによって判明すれば、正常に釣銭準備金作成が行われたことを確認することができる。
【0077】
以上に述べた実施形態によれば、金種別の硬貨包装機21は、出金指令を受ける前段階で、硬貨受入部31のバラ硬貨を硬貨集積部41で包装単位枚数分集積させて機内に貯留しておく、または、硬貨受入部31のバラ硬貨を硬貨集積部41で包装単位枚数分集積させ硬貨包装部43で一体の棒金Bにして機内に貯留しておく。このため、出金指令を受けてから、硬貨受入部31のバラ硬貨を硬貨集積部41で包装単位枚数分集積させ硬貨包装部43で一体の棒金Bにして放出するよりも時間を短縮することができる。したがって、効率良く釣銭準備金を作成することが可能となる。
【0078】
すなわち、金種別の硬貨包装機21は、作成PC122からの出金指令によって棒金Bを作成する前段階で、硬貨受入部31のバラ硬貨を計数して棒金Bを少なくとも1本、もしくは包装硬貨1本分のバラ硬貨を硬貨包装機21の機内に貯留しているため、少なくとも最初の1本目の棒金Bを放出するのに要する時間が短縮できる。したがって、作業効率が向上する。
【0079】
なお、出金指令の前段階とは、具体的には、例えば、釣銭準備金作成装置11の電源オンイニシャル動作中である。つまりイニシャル動作中に貯留動作を伴って行っておいて、イニシャル動作終了後に待機中とすれば良い。そして、待機中に釣銭作成の指令があった際には、硬貨包装機21の機内に貯留済みであるので、少なくとも1本目の棒金Bの放出までの時間を短縮できる。
【0080】
また、出金指令の前段階として、金種別の硬貨包装機21は、例えば、作成PC122からの出金指令後、つまりは、今回指令を受けて所定本数の棒金Bを作成・放出する過程、または放出後に、機内に棒金Bあるいは包装単位枚数の集積硬貨を貯留する動作を行っておく。よって、次回指令を受けた際には既に機内に棒金Bあるいは包装単位枚数の集積硬貨を貯留済みであるので、少なくとも1本目の棒金Bの放出までの時間を短縮できる。
【0081】
なお、釣銭作成の際に使用されるバラ硬貨は、その当日作成される棒金Bの数量と一致する数量分が準備されているので、当日最後の出金指令を受けた際には、余分に作成・貯留する棒金Bは存在しないはずであるが、そのことが硬貨包装機21の空計数動作によっても確認できる効果も発生する。すなわち、バラ硬貨が、硬貨受入部31を含めて、機内の何れにも存在しないことが残留検知センサによって判明すれば、当日分の釣銭準備金の作成が完了したと判断できる。
【0082】
また、金種別の硬貨包装機21は、出金指令を受ける前段階で、硬貨受入部31のバラ硬貨を硬貨集積部41で包装単位枚数分集積させて硬貨集積部41内に貯留しておく。したがって、効率良く釣銭準備金を作成することが可能となる。
【0083】
また、金種別の硬貨包装機21は、出金指令を受ける前段階で、硬貨受入部31に受け入れたバラ硬貨を硬貨集積部41で包装単位枚数分集積させ硬貨包装部43で一体の棒金Bにして、硬貨包装部43内または硬貨振分部46内に貯留しておく。したがって、効率良く釣銭準備金を作成することが可能となる。
【0084】
また、金種別の硬貨包装機21は、それぞれが計3カ所に、2本の棒金Bと、棒金1本分の集積硬貨とを貯留できる。よって、計3カ所に、2本の棒金Bと棒金1本分の集積硬貨とを貯留しておけば、最大の時短効果が発揮できる。
【0085】
以上に述べた実施形態によれば、搬送コンベア22で搬送される棒金Bを受け取る受箱23と、受箱23を支持し昇降させる昇降装置24とを備えているため、受箱23の上下方向の位置を変更することができる。したがって、効率良く釣銭準備金を作成することが可能となる。すなわち、オペレータaの作業効率を向上させることができる。特に、オペレータaは作業用椅子75に座ったまま同じ場所で、昇降装置24の昇降操作を行いながら、順番に複数の作業を効率よく操作可能となる。
【0086】
また、受箱23は、中段位置にあるとき、釣銭袋81を被せることが可能であり、受箱23に釣銭袋81が被せられた状態で、受箱23が中段位置よりも上側の上段位置に位置すると、コア71が釣銭袋81を受箱23内に押し込んでセットする。すなわち、棒金Bを釣銭袋81に袋詰めする際の工程に、昇降装置24で受箱23を昇降させる工程を含める。受箱23に中段位置で釣銭袋81を被せ、上段位置で受箱23に釣銭袋81を押し込んでセットし、下段位置で上流から移送されてくる棒金Bを釣銭袋81および受箱23に受け取り、中段位置で当該棒金Bを釣銭袋81ごと受箱23から取り出す、という操作を順番に繰り返す。したがって、効率良く釣銭準備金を作成することが可能となる。
【0087】
また、受箱23が中段位置から上段位置に移動する際に、位置固定のコア71が相対移動する受箱23内に入り込んで、受箱23に被せられた状態の釣銭袋81を受箱23内に押し込んでセットするため、コア71を移動させる場合と比べてコストを低減することができる。上段位置で、コア71が釣銭袋81の形を決めるようにして、自動的に受箱23の中に押し込むことができるので、作業効率が向上する。
【0088】
また、釣銭袋81は表裏返して、表面が袋本体部82内に向くようにセットされるので、釣銭袋81の接着部83も袋本体部82内に位置することになる。よって、釣銭準備金を釣銭袋81の中に収納した状態でシーリングした後に、接着部83にアクセスして接着部83に痕跡が残らないように切断して中の釣銭準備金を取り出して、その後に痕跡が残らないように接着部83を再接着するような不正行為を防止することも可能となる。
【0089】
また、受箱23は、中段位置よりも下側の下段位置に位置すると、搬送コンベア22で搬送される棒金Bを受け取るため、より低い位置で棒金Bを受け取ることができる。よって、搬送コンベア22の高さを低く抑えることができる。
【0090】
また、昇降装置24は、受箱23の上昇駆動および下降駆動の両方を行うことになり、昇降装置24の起動操作が入力される起動釦77を備えているため、起動釦77を押圧操作すれば、受箱23を上昇させたり、下降させたりすることができる。したがって、効率良く釣銭準備金を作成することが可能となる。
【0091】
また、昇降装置24の近傍には、釣銭準備金を計量する計量器101が設けられているため、釣銭準備金の重量をチェックすることで、作成ミスがないかを確認することができる。
【0092】
また、昇降装置24は、上段位置にて釣銭袋81を受箱23に押し込み、セットが完了すると、これを図示略の検出手段で検出する。すると、昇降装置24は自動で駆動されて受箱23を下段位置に下降させる。また、昇降装置24が受箱23を下段位置に位置させて、搬送コンベア22で搬送されてきた棒金が受箱23の中に全て落下して収納動作が完了すると、これを図示略の検出手段が検出する。すると、昇降装置24は自動で駆動されて受箱23を中段位置に上昇させる。これによって、オペレータaの作業負荷が軽くなり、作業効率が向上するようになる。
【0093】
ここで、棒金Bを作成して搬送する構成である硬貨包装機21のレイアウトは、図1に示すレイアウトに限定される訳ではなく、釣銭準備金作成装置11が設置される店舗内の配置レイアウトに応じて適宜変えることができる。例えば、6台の硬貨包装機21を全て搬送コンベア22の同側に一列に配置しても良いし、例えば、特開2001-67513号公報の装置のように、放射状に配置しても良い。また、硬貨包装機21は所定金種のバラ硬貨を所定枚数ずつ包装できるものであれば良く、基本は、500円~1円のバラ硬貨を包装する6台の金種別の硬貨包装機21が備えられていて、その各々がバラ硬貨を50枚ずつ包装する形態となるが、これらの中の少なくとも何れか1台の硬貨包装機21がバラ硬貨を20枚ずつ包装する形態であっても良いし、さらには、例えば7台目の硬貨包装機が加えて備えられていて、それが500円硬貨を20枚ずつ包装する硬貨包装機であっても良い。
【0094】
また、本実施形態では、棒金Bの作成ラインだけではなく、バラ紙幣出金機92および小束出金機93も備えた構成として説明したが、これに限定される訳ではなく、要は棒金Bの作成ラインさえ存在すれば足りて、バラ紙幣出金機92および小束出金機93はあくまでオプション的構成であって必ずしも存在しなくても良い。また、当該オプション的構成であるバラ紙幣出金機92および小束出金機93について言えば、オペレータaが受箱23の中の棒金Bを釣銭袋81に袋詰めする際に、バラ紙幣出金機92および小束出金機93から、バラ紙幣または小束紙幣の釣銭準備金の放出も伴っている。よって、これらの袋詰めを忘れないようにするために、さらにオプションとして昇降装置24の近傍に警報用のランプを設けて、バラ紙幣または小束紙幣の釣銭準備金の放出も伴っている場合には、警報用のランプを点灯させて注意を喚起するようにしても良い。
【0095】
なお、以上に述べた実施形態の釣銭準備金作成装置11を、以下の変形例1~4のように変更することも可能である。
【0096】
<変形例1>
昇降装置24は、昇降して受箱23の位置を上段位置、中段位置、下段位置の3段階に変える構成として説明したが、受箱23の位置が上段位置と下段位置の2段階に変える構成となるように簡略化しても良い。すなわち、上段位置において受箱23に釣銭袋81がセットされると共に、上段位置の上方にあるコア71が下がって受箱23の中に挿入されて、釣銭袋81が受箱23の中に押し込まれてセットされる。そして、昇降装置24が下降動作を行って、受箱23を下段位置に位置させると、搬送コンベア22で搬送されてくる棒金Bが受箱23に収納される。また、昇降装置24が上昇動作を行って再度受箱23が上段位置に戻った位置において、釣銭準備金が収納された釣銭袋81ごと受箱23から取り出す。これらの動作が繰り返しで行えるように構成しても良い。つまりは、上段位置では、上記実施形態での上段位置での操作と中段位置での操作とが兼用で行えるように、簡略化しても良い。また、上記のように、上段位置、中段位置および下段位置の3段階の昇降形態であっても、上段位置および下段位置の2段階の昇降形態であっても、上段位置の上方に備えていたコア71を昇降装置24の構成から外して、3段階の昇降形態では中段位置にて、また2段階の昇降形態では上段位置にて、受箱23にそのままオペレータが釣銭袋81をセットして手で押し込むようにしても良い。この場合、釣銭袋81を表裏返しもしないように簡略化してセットしても良い。
【0097】
<変形例2>
昇降装置24は、受箱23の上昇駆動および下降駆動の一方のみを電動で行うようにしても良い。昇降駆動に関して、少なくとも上昇および下降の何れか一方を電動で行うようにすれば、オペレータaの作業負荷が軽くなり、作業効率が向上するようになる。その場合、昇降装置24は、昇降の残りはオペレータaが人力により操作して昇降させる仕組みとなる。昇降装置24は、受箱23の上昇および下降の両方を人力により行うようにしても良い。
【0098】
<変形例3>
硬貨包装機21の機内に棒金Bを貯留する仕組みに限らず機外に貯留する仕組みとしても良い。例えば、図6に示すように、金種別の硬貨包装機21のそれぞれの放出口51から放出される棒金Bを案内するシュート131(一時貯留部)を設け、シュート131の先端部に開閉するシャッタ132(繰出部)を設ける。そして、シャッタ132が開いている状態では、シュート131内で落下する棒金Bはそのまま搬送コンベア22上へ放出させるようにし、また逆にシャッタ132が閉まっている状態では、シュート131内で落下する棒金Bはシャッタ132の上部に貯留されて搬送コンベア22上へ落下しないようにする。このように構成すれば、第4の制御内容として、出金指令を受ける前段階で、シャッタ132の上部に棒金Bを1本貯留させておくことが可能となって、棒金Bの放出までの時間を短縮できる。
【0099】
すなわち、金種別の硬貨包装機21に加えて、硬貨振分部46で一方に振り分けられた棒金Bを一時貯留するシュート131と、シュート131に一時貯留された棒金Bを繰り出すシャッタ132と、を金種別に備え、金種別の硬貨包装機21は、出金指令を受ける前段階で、硬貨受入部31のバラ硬貨を硬貨集積部41で包装単位枚数分集積させ硬貨包装部43で一体の棒金Bにして硬貨振分部46で対応するシュート131に繰り出し、繰り出された棒金Bをシュート131およびシャッタ132が一時貯留しておく。このように構成しても、効率良く釣銭準備金を作成することが可能となる。
【0100】
さらには、上述したように、シュート131の先端部に開閉するシャッタ132を設けて硬貨包装機21の機外に棒金Bを貯留する第4の制御内容と、硬貨包装機21の機内に貯留する第1~第3の制御内容とを併用するようにしても良い。これにより、一台の硬貨包装機21に最大で3本の棒金Bと棒金1本分の集積硬貨とを予め準備しておくことができる。第1~第4の制御内容のうちの少なくともいずか一つを行うようにすれば良い。
【0101】
<変形例4>
実施形態では、バラ貨幣としてのバラ硬貨を包装単位枚数集積させて包装して棒金Bを作成して放出する金種別の硬貨包装機21に、出金指令を受ける前の段階で、棒金Bまたは包装単位枚数の集積硬貨を貯留しておくようにしたが、これに限らない。バラ貨幣としてのバラ紙幣を結束単位枚数(例えば100枚)集積させ結束して小束紙幣を作成して放出する金種別の小束作成機に、出金指令を受ける前の段階で、小束紙幣または結束単位枚数の集積紙幣を貯留しておくようにしても良い。この場合、結束過程の状態にある所定枚数のバラ紙幣は紙幣集積部へ貯留することができ、結束し終えた小束紙幣は紙幣包装部や小束振分部に貯留することができる。そして、作成PC122からの出金指令に対応して、前述した硬貨包装機と同様の制御を行うことができるので、小束紙幣の放出時間も短縮できるようになって、作業効率が向上するようになる。この場合の小束作成機も、小束紙幣を複数纏めて貯留しておく貯留部のないものである。
【0102】
以上、棒金Bの放出に係る時間短縮制御について、釣銭準備金作成装置11での実施形態について説明したが、これに限らず、硬貨包装機21の単体のみに適用するようにしても良い。その場合、硬貨包装機21は、金種指定の釦が設けられる等して、指定金種の硬貨のみを包装する動作仕様であれば良く、また時短制御を行う制御部は、硬貨包装機21の内部に設けられれば良い。同様に、小束紙幣の放出に係る時間短縮制御について、小束作成機の単体のみに適用するようにしても良い。
【符号の説明】
【0103】
11 釣銭準備金作成装置
21 硬貨包装機(貨幣纏め機)
22 搬送コンベア(搬送手段)
31 硬貨受入部(受入部)
41 硬貨集積部(集積部)
43 硬貨包装部(纏め部)
46 硬貨振分部(振分部)
131 シュート(一時貯留部)
132 シャッタ(繰出部)
B 棒金(纏め貨幣)
図1
図2
図3
図4
図5
図6