(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】開袋装置
(51)【国際特許分類】
B65B 43/26 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
B65B43/26 A
(21)【出願番号】P 2022073441
(22)【出願日】2022-04-27
【審査請求日】2023-07-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103932
【氏名又は名称】オリオン機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 広衛
(72)【発明者】
【氏名】恩田 浩光
(72)【発明者】
【氏名】本庄 隆秋
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-263125(JP,A)
【文献】特開2019-131260(JP,A)
【文献】特開2002-2620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B43/00-43/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体の開口端部を開口するための開袋装置であって、
互いに独立して位置制御可能な多数のスライダが基台に沿って移動自在に構成されるリニアコンベアと、
進行方向に沿って間隔を置いて配置される前後一対の前記スライダに設けられ、前記袋体の開口端部内に挿入される一対の支持部材と、
前記前後一対のスライダ間の距離を制御することで、前記一対の支持部材により前記袋体の開口端部を開口する制御装置と、
を備えることを特徴とする開袋装置。
【請求項2】
前記基台は、無端状に構成されることを特徴とする請求項1に記載の開袋装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を袋体で包装する前工程にて、袋体の開口端部を開口する開袋装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した開袋装置における従来技術として、特許文献1には、包装袋供給装置として、間欠的に90°回転する円盤型プレートと、該プレートの所定の4箇所に設けられた袋取付部材とから成り、袋取付部材がプレートの下方位置にあるときには、包装袋が開口させた状態で取り付けられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の包装袋供給装置では、包装袋を袋取付部材に取り付けて回転させ、包装袋を開口した状態で保持するために、包装袋の開口端部を保持するための機構が必要となり、また、包装袋を袋取付部材に供給する機構として、包装袋の内面に当接するバケットやバケット開閉機構、包装袋の開口端部を保持するためのエア等も必要となり、その構造が複雑であり、コストアップが懸念される。また、特許文献1に記載の包装袋供給装置では、複数の包装袋を同時に開口させて移動させることが困難であり、物品を包装袋に包装する際の生産性を向上させることが困難となる。
【0005】
そして、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、構造を簡素化すると共に、物品を袋体で包装するなどの生産性を向上させる開袋装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、袋体の開口端部を開口するための開袋装置であって、互いに独立して位置制御可能な多数のスライダが基台に沿って移動自在に構成されるリニアコンベアと、進行方向に沿って間隔を置いて配置される前後一対の前記スライダに設けられ、前記袋体の開口端部内に挿入される一対の支持部材と、前記前後一対のスライダ間の距離を制御することで、前記一対の支持部材により前記袋体の開口端部を開口する制御装置と、を備えることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、リニアコンベアを採用することで、制御装置により、まず、前後一対のスライダ間の距離を、一対の支持部材が袋体の開口端部内に容易に挿入できる程度に設定しておき、そして、一対の支持部材が袋体の開口端部内に挿入された後、前後一対のスライダ間の距離を拡げるように制御することで、袋体の開口端部が速やかに開口される。また、一対の支持部材により袋体の開口端部が開口された状態で、前後一対のスライダを基台に沿って移動させることで、当該袋体を次の工程に進めることができる。このように、請求項1の発明では、袋体の開口端部を開口する装置として、リニアコンベアを採用しているので、従来よりも、その構造を簡素化でき、設置スペースも縮小することができる。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記基台は、無端状に構成されることを特徴とするものである。
請求項2の発明では、前後一対のスライダに備えた一対の支持部材により開口された袋体を次の工程に進めた後、前後一対のスライダを基台に沿って一方向に移動させて循環させることで、時間的ロスがなく、また構造的に複雑にすることもなく、順次供給される袋体を、順次速やかに開口させて次の工程に進めることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る開袋装置では、構造を簡素化すると共に、物品を袋体で包装するなどの生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る開袋装置の全体像を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る開袋装置の要部を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る開袋装置1を
図1及び
図2に基づいて詳細に説明する。
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態に係る開袋装置1は、物品(図示略)を袋体2内に包装する前工程にて、袋体2の開口端部3を開口するものである。また、本実施形態に係る開袋装置1は、袋体2の開口端部3を開口した後、袋体2を次工程の位置まで搬送するものである。
【0011】
詳述すると、本実施形態に係る開袋装置1は、互いに独立して位置制御可能な多数のスライダ11が基台10に沿って移動自在に構成されるリニアコンベア4と、進行方向に沿って間隔を置いて配置される前後一対のスライダ11、11に設けられ、袋体2の開口端部3内に挿入される一対の支持部材5、5と、前後一対のスライダ11、11間の距離を制御することで、一対の支持部材5、5により袋体2の開口端部3を開口する制御装置6と、備えている。後で詳述するが、制御装置6は、特に、リニアコンベア4の各スライダ11、11の位置を、後述するリニアスケールを含む各種検出センサ(図示略)からの検出信号に基づき制御するものである。
【0012】
図1を参照して、リニアコンベア4は、リニアモータを駆動源として、基台10上に敷設されたレールに沿って多数のスライダ11、11をそれぞれ移動させるものである。なお、リニアモータとしては、いわゆる可動磁石型リニアモータが適用される。この可動磁石型リニアモータは、具体的には、電磁石(電機子)がリニアモータ固定子として基台10上に固定される一方、永久磁石がリニアモータ可動子として各スライダ11に固定され、電磁石を構成するコイルへの電流供給が制御されることで各スライダ11に推進力が与えられる。そして、各スライダ11に固定されるスケールと、基台10側に配置される複数のセンサと、を備えるリニアスケールが組み込まれる。このリニアスケールによる位置検出に基いて、前記コイルへの電流供給が制御されることで、特定位置への各スライダ11の移動が可能となっている。要するに、リニアコンベア4では、制御装置6により、多数のスライダ11、11を、独立して、各スライダ11の位置及び速度等を制御することができる。
【0013】
図1を参照して、リニアコンベア4の基台10は、側面視において、その外形が対向する一対の半円弧状部14、14と、一対の半円弧状部14、14に接続され、対向する一対の直線状部15、15とからなる長円形状を呈する無端状に構成される。なお、本実施形態では、基台10は、側面視において、その外形が長円形状を呈する無端状に構成されているが、基台10を、平面視において、その外形が長円形状を呈する無端状に構成しても良い。リニアコンベア4の上側の直線状部15であって、その搬送方向上流側(
図1の左側)側方に、袋体供給手段18が配置される。袋体供給手段18による物品Wの供給方向は、リニアコンベア4の直線状部15の長手方向と直交する方向(幅方向)と一致する。袋体供給手段18において、具体的な構成についてはその説明を省略するが、袋体2を吸着して、後述する一対の支持部材5、5に供給するものである。
【0014】
図2を参照して、スライダ11の上面には、脚部材20が立設される。脚部材20は、板材で構成される。脚部材20は、リニアコンベア4の直線状部15の幅方向からの矢視にてL字状に形成される。脚部材20は、リニアコンベア4の直線状部15の長手方向からの矢視にてL字状に形成される。脚部材20には、軽量化にために複数の開口部21が形成される。開口部21は、リニアコンベア4の直線状部15の長手方向に沿って貫通されている。脚部材20の上端には、支持部材5が固定される。支持部材5は、断面略半円弧状に形成され、リニアコンベア4の直線状部15の幅方向に沿って延びている。支持部材5の長手方向一端部が脚部材20の上端に固定される。そして、進行方向に沿って間隔を置いて配置される前後一対のスライダ11、11に対応して、一対の支持部材5、5がその開放側が互いに対向するようにそれぞれ固定される。当該前後一対のスライダ11、11に対応する一対の支持部材5、5が、袋体2の開口端部3内に挿入される。
【0015】
図1に示す制御装置6は、特に、リニアコンベア4の各スライダ11の位置、及び一対の支持部材5、5に対応する前後一対のスライダ11、11間の距離等を、前記リニアスケールを含む各種検出センサ(図示略)からの検出信号に基づき制御するものである。当該制御装置6による制御方法は、後述する本実施形態に係る開袋装置1の作用を説明する際に詳しく説明する。
【0016】
次に、本実施形態に係る開袋装置1の作用を説明する。なお、上述したように、以下で説明する、リニアコンベア4の各スライダ11、11の位置、及び一対の支持部材5、5に対応する前後一対のスライダ11、11間の距離は、制御装置6により制御されている。
まず、一対の支持部材5、5に対応する前後一対のスライダ11、11が複数セット、袋体供給手段18と対向する位置に待機される。本実施形態では、一対の支持部材5、5に対応する前後一対のスライダ11、11が5セット、袋体供給手段18と対向する位置に停止される。
【0017】
この停止位置では、複数セットの一対の支持部材5、5間の距離が所定の最小距離であり、袋体供給手段18により、複数の袋体2が、その開口端部3内に複数セットの一対の支持部材5、5が同時にスムーズに挿入されるように供給される。このとき、袋体供給手段18と対向する、複数セットの一対の支持部材5、5よりも搬送方向上流側には、次の、一対の支持部材5、5に対応する前後一対のスライダ11、11が同じ態様で複数セット待機される。なお、
図1では、一対の支持部材5、5に対応する前後一対のスライダ11、11が待機位置まで到達できていない状況である。
【0018】
次に、袋体供給手段18により、複数の袋体2の開口端部3内に、複数セットの一対の支持部材5、5が同時に挿入され、それが検知されると、複数セットの一対の支持部材5、5に対応する前後一対のスライダ11、11の間の距離が所定の最大距離となるように制御されることで、複数の袋体2の開口端部3が速やかに最大限開口される。続いて、この状態を維持しながら、複数セットの前後一対のスライダ11、11が、基台10の直線状部15に沿って移動する。続いて、複数セットの前後一対のスライダ11、11が、基台10の所定位置に到達すると、図示しない物品供給手段により、複数セットの一対の支持部材5、5により開口された開口端部3から物品が袋体2内に同時にそれぞれ搬入され、複数セットの一対の支持部材5、5から物品を含む袋体2が搬出される。
【0019】
続いて、空となった一対の支持部材5、5に対応する前後一対のスライダ11、11は、その間の距離を所定の最小距離として、基台10の一方の半円弧状部14(
図1の右側の半円弧状部14)、下側の直線状部15、他方の半円弧状部14(
図1の左側の半円弧状部14)を進む。そして、空となった一対の支持部材5、5に対応する前後一対のスライダ11、11は、順次、袋体供給手段18の位置よりも搬送方向上流側で待機される。
【0020】
以上説明したように、本実施形態に係る開袋装置1では、特に、独立して位置制御可能な多数のスライダ11が基台10に沿って移動自在に構成されるリニアコンベア4を採用して、制御装置6によって、前後一対のスライダ11、11間の距離を制御することで、一対の支持部材5、5により袋体2の開口端部3を速やかに開口することができる。このように、リニアコンベア4は多数のスライダ11、11を有し、前後一対のスライダ11、11に対応する一対の支持部材5、5を、複数セット備えることができるので、複数セットの一対の支持部材5、5により、複数の袋体2を同時に開口させることが可能になり、物品を袋体2に包装するなどの生産性を向上させることができる。
【0021】
また、本実施形態に係る開袋装置1では、リニアコンベア4を採用しているので、複数の袋体2の開口端部3を同時に開口させ、開口された複数の袋体2を速やかに移動させることも可能となり、物品を袋体2に包装するなどの生産性をさらに向上させることができる。このように、本実施形態に係る開袋装置1では、リニアコンベア4を採用しているので、従来よりも、その構造を簡素化でき、設置スペースも縮小することができると共に、物品を袋体2に包装するなどの生産性を向上させることができる。
【0022】
さらにまた、本実施形態に係る開袋装置1では、リニアコンベア4の基台10は、無端状に構成されているので、前後一対のスライダ11、11の支持部材5、5により開口された袋体2を次の工程に進めた後、前後一対のスライダ11、11を基台10に沿って一方向に移動させて循環させることで、時間的ロスがなく、また構造的に複雑にすることもなく、順次供給される袋体2の開口端部3を、順次速やかに開口させて次の工程に進めることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 開袋装置,2 袋体,3 開口端部,4 リニアコンベア,5 支持部材,6 制御装置,10 基台,11 スライダ
【要約】
【課題】構造を簡素化すると共に、物品を袋体で包装するなどの生産性を向上させる開袋装置を提供する。
【解決手段】開袋装置1は、互いに独立して位置制御可能な多数のスライダ11が基台10に沿って移動自在に構成されるリニアコンベア4と、進行方向に沿って間隔を置いて配置される前後一対のスライダ11、11に設けられ、袋体2の開口端部3内に挿入される一対の支持部材5、5と、前後一対のスライダ11、11間の距離を制御することで、一対の支持部材5、5により袋体2の開口端部3を開口する制御装置6と、備えている。これにより、構造を簡素化すると共に、物品を袋体2に包装するなどの生産性を向上させることができる。
【選択図】
図1