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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】回転鏝
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/16 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
E04F21/16 L
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021141488
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2023034962
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】509205696
【氏名又は名称】株式会社上成テクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】木場 義幸
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0018052(US,A1)
【文献】特開2018-100524(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0119005(US,A1)
【文献】特開平03-081455(JP,A)
【文献】特開平11-217933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 21/16
E04F 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固化前のコンクリート床面に接触した状態でプロペラ状に回転する動力式の回転鏝を有する床面均し装置に装着して使用される回転鏝であって、
固化前のコンクリート床面に接触して回転可能な鏝板材と、前記鏝板材を前記床面均し装置の回転アームに取り付けるとき前記回転アームと前記鏝板材との間に介在する取付部材と、前記取付部材を前記鏝板材に着脱可能に固定する固定手段と、を備え、
前記固定手段が、前記鏝板材の底面側に頭部が係止された状態で前記鏝板材を貫通して前記取付部材に開設された貫通孔に挿入される下方ネジ部材と、前記取付部材の上面側から前記貫通孔に挿入され頭部が前記取付部材の上面側に係止された状態で前記下方ネジ部材に螺合する上方ネジ部材と、を備え、
前記取付部材の上面側から前記上方ネジ部材を回動させることにより、前記上方ネジ部材と前記下方ネジ部材とが螺合・分離可能であり、
前記取付部材の貫通孔の上面側に前記上方ネジ部材の頭部が埋設可能な上面凹部を備えた回転鏝。
【請求項2】
前記鏝板材の底面側に前記下方ネジ部材の頭部が埋設可能な底面凹部を備えた請求項1記載の回転鏝。
【請求項3】
前記下方ネジ部材がその先端側に雌ネジ部(または雄ネジ部)を有するものであり、前記上方ネジ部材がその先端側に前記下方ネジ部材の雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部(または雌ネジ部)を有するものである請求項1または請求項2に記載の回転鏝。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロウェルと呼ばれることがある床面均し装置、詳しくは、固化前のコンクリート床面に接触した状態でプロペラ状に回転する動力式の回転鏝を有する床面均し装置に使用される回転鏝に関する。
【背景技術】
【0002】
固化前のコンクリート床面を平滑に均す装置として、従来、特許文献1などに記載されたトロウェルが使用されている。図9に示すように、トロウェルに使用される従来の回転鏝100は、複数のボルト91を用いて、トロウェルの回転アーム90に着脱可能に装着される。図10図11に示すように、回転鏝100は、固化前のコンクリート床面に接触して回転可能な鏝板材101と、鏝板材101をトロウェルの回転アーム90に取り付けるとき回転アーム90と鏝板材101との間に介在する取付部材102と、を備え、取付部材102は複数のリベット103を用いて鏝板材101の上面101a側に固定されている。取付部材102の上面102aには、ボルト91(図9参照)が螺合可能な複数のナット孔104が、上面102a側から鏝板材101に向かって、開設されている。
【0003】
図12に示すように、リベット103の上方頭部103a及び下方頭部103bは円錐台形状をなしている。図9に示すように、鏝板材101を回転アーム90に装着するとき、取付部材102の上面102aに突起物が存在すると、回転アーム90と取付部材102の上面102aとの間に隙間が生じ、取り付けの邪魔になるので、リベット103の上方頭部103aは、取付部材102の上面102a側に設けられた上方凹部102cに埋設されている。
【0004】
一方、鏝板材101の底面101b側に突起物が存在すると、トロウェルによる床面均し作業中、回転鏝100の回転に伴う突起物の回転により、固化前のコンクリート床面に痕跡が残るので、リベット103の下方頭部103bは鏝板材101の底面101b側に設けられた下方凹部101cに埋設されている。
【0005】
従って、図10図12に示すように、複数のリベット103の上方頭部103aの上端面103d並びに下端面103eは、それぞれ取付部材102の上面102a側並びに鏝板材101の底面101b側に表れているが、ボルト・ナットなどと異なり、上方頭部103aや下方頭部103bは円形であり、それぞれの上端面103dや下端面103eは平滑面であるので、一般工具(例えば、レンチやドライバーなど)を上方頭部103aや下方頭部103bに係合させてリベット103を取り外すことができない。
【0006】
このため、床面均し作業により鏝板材101が摩耗したり、損傷したりして、鏝板材101を取り替える必要が生じた場合、図9に示すように、複数のボルト91を緩めて、回転鏝100全体(鏝板材101及び取付部材102)を回転アーム90から取り外し、新たな回転鏝100(鏝板材101及び取付部材102)が回転アーム90に取り付けられている。
【0007】
回転アーム90から取り外された使用後の回転鏝100は法定の手順に基づいて廃棄されたり、リサイクルされたりするが、使用後の取付部材102は、鏝板材101と異なり、殆ど摩耗、損傷していないので、回転鏝100の状態(鏝板材101と取付部材102とが一体化した状態)で廃棄した場合、廃棄物の重量増大の要因となるだけでなく、取付部材102の部分は金属材料の浪費となるなどの問題が生じている。
【0008】
このような問題を解決する手段として、回転鏝100を構成する鏝板材101と取付部材102とが一般工具を用いて分離可能な構造とすることが考えられる。例えば、図12中に示すリベット103の代わりに、図13に示すように、取付部材105に開設された雌ネジ穴106に向かって、鏝板材101の底面101b側から鏝板材101を貫通して皿ネジ107を挿入し、雌ネジ穴106に螺合させて締め付けるネジ式の固定構造が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2007-100426号公報
【文献】特開2018-100524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図13に示すネジ式の固定構造を採用した場合、固化前のコンクリート床面の均し作業を繰り返すうちに、図14に示すように、皿ネジ107の頭部107aの表面にセメント成分108が付着していき、そのまま固着してしまうので、レンチ穴107bに六角レンチを係合できなくなり、結果的に、一般工具を用いて鏝板材101と取付部材105を分離することができなくなる。このため、実際には図13に示すネジ式の固定構造は採用することができず、図12に示すリベット式の固定構造が採用され続けているのが実状である。
【0011】
一方、本発明に係る回転鏝に関連する従来技術として、特許文献2に記載された「床仕上げ機用鏝部材及び床仕上げ機」がある。この「床仕上げ機用鏝部材」は、床仕上げ機が有する鏝固定腕に対して固定可能な鏝部材であって、鏝固定腕に対し締結具により固定される金属角柱状の取付具と、この取付具に対して締結具により固定される鏝部とを有し、鏝部は、樹脂製の厚板によって形成され、取付具には、鏝固定腕に対して固定するための締結具が上面側から挿通され、鏝部を固定するための締結具が下面側から挿通されることを特徴とするものである。
【0012】
しかしながら、特許文献2中の[図2],[図3]に記載されているように、前記「床仕上げ機用鏝部材」において、取付具(21)に鏝部(25)を固定するための鏝部用締結具(29)は、鏝部(25)の底面である均し面(25a)側から挿通され、鏝部用締結具(29)の頭部(29a)は収納部(26a)に収納されているが、頭部(29a)の天面は、鏝部(25)の均し面(25a)と略面一状に表れている。
【0013】
このため、特許文献2に記載された「床仕上げ機」を用いて、固化前のコンクリート床面の仕上作業(均し作業)を行った場合、本願の[図13]に示すネジ式の固定構造と同様、鏝部用締結具(29)の頭部(29a)の天面にセメント成分が付着、固化してしまい、図14に示す状態と同じ状態となるので、一般工具を頭部(29a)に係合させることができなくなる。従って、一般工具を用いて鏝部用締結具(29)を緩め、鏝部用締結具(29)と鏝部(25)とを分離することは不可能である。
【0014】
そこで、本発明が解決する課題は、固化前のコンクリート床面から移行したセメント成分が鏝板材の底面に付着、固化していても、一般工具を用いて鏝板材と取付部材とを容易に分離可能な回転鏝を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る回転鏝は、固化前のコンクリート床面に接触した状態でプロペラ状に回転する動力式の回転鏝を有する床面均し装置に使用される回転鏝であって、
固化前のコンクリート床面に接触して回転可能な鏝板材と、前記鏝板材を前記床面均し装置の回転アームに取り付けるとき前記回転アームと前記鏝板材との間に介在する取付部材と、前記取付部材を前記鏝板材に着脱可能に固定する固定手段と、を備え、
前記固定手段が、前記鏝板材の底面側に頭部が係止された状態で前記鏝板材を貫通して前記取付部材に開設された貫通孔に挿入される下方ネジ部材と、前記取付部材の上面側から前記貫通孔に挿入され頭部が前記取付部材の上面側に係止された状態で前記下方ネジ部材に螺合する上方ネジ部材と、を備え、
前記取付部材の上面側から前記上方ネジ部材を回動させることにより、前記上方ネジ部材と前記下方ネジ部材とが螺合・分離可能であることを特徴とする。
【0016】
特に、前記取付部材の貫通孔の上面側に前記上方ネジ部材の頭部が埋設可能な上面凹部を備えたことを特徴とする。
【0018】
記回転鏝においては、前記鏝板材の底面側に前記下方ネジ部材の頭部が埋設可能な底面凹部を設けることができる。
【0020】
記回転鏝においては、前記下方ネジ部材はその先端側に雌ネジ部(または雄ネジ部)を有するものであり、前記上方ネジ部材はその先端側に前記下方ネジ部材の雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部(または雌ネジ部)を有するものを使用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、固化前のコンクリート床面から移行したセメント成分が鏝板材の底面に付着、固化していても、一般工具を用いて鏝板材と取付部材とを容易に分離可能な回転鏝を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態である回転鏝を示す一部省略平面図である。
図2図1に示す回転鏝の一部省略底面図である。
図3図1中の矢線A方向から見た回転鏝の一部切欠正面図である。
図4図1中のB-B線における一部省略分解断面図である。
図5図1に示す回転鏝を回転アームを装着する工程を示す図である。
図6】回転鏝を回転アームから取り外して分解する工程を示す図である。
図7】締結手段に関するその他の実施形態を示す部分断面図である。
図8】その他の実施形態である回転鏝を回転アームに装着した状態を示す一部切欠正面図である。
図9】従来の回転鏝を示す一部省略斜視図である。
図10図9に示す回転鏝の一部省略平面図である。
図11図10に示す回転鏝の一部省略底面図である。
図12図10中のC-C線における一部省略断面図である。
図13】その他の従来の回転鏝を示す一部省略断面図である。
図14図13中の矢線D方向から見た使用後の回転鏝の一部省略底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1図7に基づいて、本発明の実施形態である回転鏝10について説明する。図1図3に示す回転鏝10は、固化前のコンクリート床面に接触した状態でプロペラ状に回転する動力式の回転鏝を有する床面均し装置(トロウェル)に使用される回転鏝である。
【0024】
図1図4に示すように、回転鏝10は、固化前のコンクリート床面に接触して回転可能な平板状の鏝板材11と、鏝板材11を床面均し装置の回転アーム90(図5図9参照)に取り付けるとき回転アーム90と鏝板材11との間に介在する四角柱状の取付部材12と、取付部材12を鏝板材11に着脱可能に固定する固定手段18である上方ネジ部材13及び下方ネジ部材14と、を備えている。鏝板材11は、角部が円弧状をなす長方形であるが、この形状に限定するものではない。
【0025】
上方ネジ部材13は、六角レンチ20が係合可能な頭部13a及びボルト部13bを有し、六角穴付きボルトとも呼ばれる。下方ネジ部材14は、雌ネジ孔14bを有する円筒状のナット部14cと、ナット部14cの一方の端部に形成された円錐台形状の頭部14aとを有し、スクリュー座金、カットスクリューあるいはスクリューワッシャなどと呼ばれる。上方ネジ部材13のボルト部13bと、下方ネジ部材14のナット部14cとは互いに螺合・離脱可能である。
【0026】
図1図4に示すように、取付部材12の上面側には複数の雌ネジ穴15並びに貫通孔16が取付部材12の長手方向に沿って交互に開設されている。貫通孔16は上方ネジ部材13のボルト部13bが貫通可能であり、貫通孔16の取付部材12の上面12a側には、上方ネジ部材13の頭部13aが埋設可能な上面凹部16aが形成されている。複数の雌ネジ穴15の配置間隔は、回転アーム90に開設された二つの貫通孔92(図5参照)の配置間隔の1/2に設定されている。
【0027】
図2図4に示すように、鏝板材11の短辺方向11sの中央部分には、その長辺方向11tに沿って複数の貫通孔17が直列状に開設されている。複数の貫通孔17の配置間隔は、取付部材12に開設された複数の貫通孔16の配置間隔と同じである。複数の貫通孔17には、鏝板材11の底面11bから上面11aに向かって擂鉢状に縮径した底面凹部17aが形成されている。
【0028】
図3図4に示すように、取付部材12は、その底面12bを鏝板材11の上面11aに当接させた状態で、且つ、取付部材12の複数の貫通孔16の位置と鏝板材11の複数の貫通孔17の位置とがそれぞれ一致した状態で鏝板材11上に配置され、上方ネジ部材13は、取付部材12の上面12a側から貫通孔16に挿入され、下方ネジ部材14は鏝板材11の底面11b側から貫通孔17に挿入される。
【0029】
図3に示すように、この後、貫通孔16の内部において、上方ネジ部材13のボルト部13bと下方ネジ部材14のナット部14cとを螺合させ、上方ネジ部材13の頭部13aに六角レンチ20を係合させて上方ネジ部材13を締め付けると、取付部材12と鏝板材11とが一体的に連結される。これにより、上方ネジ部材13の頭部13aは取付部材12の上面12a側の貫通孔16の上面凹部16aに埋設され、下方ネジ部材14の頭部14aは鏝板材11の底面11b側の貫通孔17の底面凹部17aに埋設された状態となるので、取付部材12の上面12a並びに鏝板材11の底面11bは突起物が存在しない形状となる。
【0030】
ここで、図5に基づいて、床面均し装置(トロウェル)の回転アーム90に回転鏝10を装着する手順について説明する。図5(a)に示すように、床面均し装置(トロウェル)の回転アーム90の底面90bに回転鏝10の取付部材12の上面12aを当接させ、回転アーム90の上面90a側から複数の貫通孔92にそれぞれボルト91を挿入し、取付部材12の雌ネジ穴15に螺合させる。そして、一般工具であるレンチなど(図示せず)を用いてボルト91を締め付けると、図5(b)に示すように、回転鏝10が回転アーム90に固定される。
【0031】
この後、固化前のコンクリート床面上に床面均し装置(トロウェル)をセットし、回転アーム90とともに回転鏝10を回転させれば、従来の回転鏝と同様、固化前のコンクリート床面を平面状に均す作業を行うことができる。また、図2図3に示すように、鏝板材11の底面11bには下方ネジ部材14の頭部14aが突出しておらず、底面11bはその他の突起物も存在しない平面形状であるため、床面均し作業中、回転鏝10の回転に伴って、固化前のコンクリート床面に凹凸などの痕跡が生じることもない。
【0032】
次に、図6に基づいて、床面均し装置(トロウェル)の回転アーム90から回転鏝10を取り外し、取り外した回転鏝10を取付部材12と鏝板材11とに分解する手順について説明する。図6(a)に示すように、一般工具であるレンチなど(図示せず)を用いて、複数のボルト91を緩め、それぞれ取付部材12の雌ネジ穴15から離脱させると、回転アーム90から回転鏝10を取り外すことができる。
【0033】
次に、図3に示す手順とは逆の手順で、六角レンチ20を上方ネジ部材13の頭部13aに係合させて上方ネジ部材13を緩めると、図6(b)に示すように、上方ネジ部材13と下方ネジ部材14とが分離され、それぞれ取付部材12、鏝板材11から離脱可能となる。この分離・離脱作業を、複数の上方ネジ部材13及び下方ネジ部材14について行うと、図6(c)に示すように、回転鏝10は取付部材12と鏝板材11とに分解可能となる。
【0034】
また、コンクリート床面の均し作業を行うことにより、固化前のコンクリート床面から移行したセメント成分が、図2図3に示す鏝板材11の底面11bの底面凹部17aや下方ネジ部材14の頭部14aなどに付着、固化していても、取付部材12の上面側から上方ネジ部材13を緩めることにより、上方ネジ部材13と下方ネジ部材14とを分離することができる。
【0035】
従って、床面均し作業の繰り返しにより、鏝板材11が摩耗したり、損傷したりした場合、一般工具である六角レンチ20(図3参照)などを用いて回転鏝10を取付部材12と鏝板材11とに容易に分離することができ、使用済みの鏝板材11のみを廃棄し、取付部材12は再利用することができる。よって、廃棄物の重量増大を抑制し、金属材料の浪費を回避することができる。
【0036】
次に、図7に基づいて、取付部材12と鏝板材11との固定手段に関するその他の実施形態について説明する。図3に示す回転鏝10においては、上方ネジ部材13及び下方ネジ部材14によって固定手段18が形成されているが、固定手段18に限定するものではないので、図7に示すように、上方ネジ部材23及び下方ネジ部材24によって固定手段を形成することもできる。
【0037】
上方ネジ部材23は、雌ネジ穴23bを有する円筒状のナット部23cと、ナット部23cの一方の端部に形成された六角レンチ20が係合可能な六角穴(図示せず)を有する頭部23aとを備えた部材であり、六角穴付ナットと呼ばれることもある。上方ネジ部材23の頭部23aは取付部材12の上面12a側の上面凹部16aに埋設可能である。
【0038】
下方ネジ部材24は、上方ネジ部材23の雌ネジ穴23bに螺合可能なボルト部24bと、ボルト部23bの一方の端部に形成された円錐台形状の頭部24aとを備えている。下方ネジ部材24の頭部24aは、鏝板材11の底面凹部17aに埋設可能である。
【0039】
図7に示すように、取付部材12と鏝板材11とを重ね合わせ、取付部材12の上面12a側から貫通孔16に上方ネジ部材23のナット部23cを挿入し、鏝板材11の底面11b側から貫通孔17に下方ネジ部材24のボルト部24bを挿入して、上方ネジ部材23のナット部23cの雌ネジ穴23bに螺合させ、上方ネジ部材23の頭部23aに六角レンチ20を係合させて締め付けると、取付部材12と鏝板材11とが一体的に連結される。
【0040】
図7に示す固定手段は、図3に示す固定手段18と同様、下方ネジ部材24の頭部24aや底面凹部17a内にセメント成分が付着、固化していても、上方ネジ部材23の頭部23aに一般工具である六角レンチ20を係合させて緩め、上方ネジ部材23と下方ネジ部材24とを分離させることにより、回転鏝10を取付部材12と鏝板材11とに容易に分離することができ、使用済みの鏝板材11のみを廃棄し、取付部材12は再利用することができるので、廃棄物の重量増大を抑制し、金属材料の浪費を回避することができる。
【0041】
次に、図8に基づいて、その他の実施形態である回転鏝30について説明する。なお、図8に示す回転鏝30において、前述した回転鏝10と共通する部分については、図1図6中の符号と同符号を付して説明を省略する。
【0042】
図8に示す回転鏝30は、固化前のコンクリート床面に接触して回転可能な平板状の鏝板材31と、鏝板材31を床面均し装置の回転アーム90に取り付けるとき回転アーム90と鏝板材11との間に介在する四角柱状の取付部材32と、取付部材32を鏝板材31に着脱可能に固定する固定手段である第一上方ネジ部材38及び第一下方ネジ部材36と、を備えている。また、回転鏝30(鏝板材31及び取付部材32)を回転アーム90に着脱可能に装着するための装着手段である複数の第二下方ネジ部材37及び第二上方ネジ部材39を備えている。
【0043】
取付部材32には、回転アーム90に開設された複数の貫通孔92の配置間隔と同じ配置間隔で複数の貫通孔34が開設されている。貫通孔34の個数は限定しないが、貫通孔92の個数より大である必要がある。鏝板材31には、取付部材32の複数の貫通孔34と同じ配置間隔で、貫通孔34と同数の貫通孔33が開設されている。鏝板材31の貫通孔33の底面31b側にはそれぞれ擂鉢状の底面凹部33aが形成されている。
【0044】
第一下方ネジ部材36及び第二下方ネジ部材37は、円錐台形状の頭部36a,37aを有する皿ネジであり、第一上方ネジ部材38並びに第二上方ネジ部材39は、第一下方ネジ部材36、第二下方ネジ部材37のボルト部36b,37bに螺合可能なナットである。鏝板材31に開設された貫通孔33の底面31b側には擂鉢状の底面凹部33aが形成されている。第一下方ネジ部材36,第二下方ネジ部材37の頭部36a,37aは、それぞれ底面凹部33aに埋設可能である。第二下方ネジ部材37のボルト部37bの長さ(呼び長さ)は、第一下方ネジ部材36のボルト部36bの長さ(呼び長さ)より大であるが、第一下方ネジ部材36並びに第二下方ネジ部材37のその他の部分のサイズ、形状は互いに同じである。
【0045】
図8に示すように、取付部材32と鏝板材31とを重ね合わせ、鏝板材31の底面31bの左端部寄りにある貫通孔33に第一下方ネジ部材36のボルト部36bを挿入して、取付部材32の左端部寄りにある貫通孔34を貫通させ、取付部材32の上面32a側から突出するボルト部36bに第一上方ネジ部材38を螺合させ、一般工具であるレンチなどで締め付けると取付部材32と鏝板材31とが一体的に連結される。
【0046】
このとき、第一下方ネジ部材36の頭部36aは、鏝板材31に開設された貫通孔33の底面31b側に形成された擂鉢状の底面凹部33aに埋設されるので、鏝板材31の底面31bには第一下方ネジ部材36の頭部36aは突出しない。
【0047】
次に、取付部材32の上面32aを回転アーム90の底面90bに当接させ、取付部材32の複数の貫通孔34のうち、第一下方ネジ部材36及び第一上方ネジ部材38が螺着されていない複数の貫通孔34を回転アーム90の複数の貫通孔92と連通させる。次に、鏝板材31の底面31b側の貫通孔33の底面凹部33aから貫通孔34,92に向かって第二下方ネジ部材37のボルト部37bを挿入する。
【0048】
この後、回転アーム90の上面90aから突出するボルト部37bに第二上方ネジ部材39を螺合させて締め付けると、回転鏝30が回転アーム90に固定される。このとき、第二下方ネジ部材37の頭部37aは、鏝板材31に開設された貫通孔33の底面31b側に形成された擂鉢状の底面凹部33aに埋設されるので、鏝板材31の底面31bに第二下方ネジ部材37の頭部37aは突出しない。
【0049】
図8に示す回転鏝30において、鏝板材31の底面31bに表れている第一下方ネジ部材36、第二下方ネジ部材37の頭部36a,37aや底面凹部33aなどにセメント成分が付着、固化した状態になっていても、回転アーム90の上面90aに露出している第二上方ネジ部材39を一般工具であるレンチなどを用いて緩め、第二下方ネジ部材37から離脱させれば、回転鏝30を回転アーム90から取り外すことができる。
【0050】
また、回転アーム90から取り外した回転鏝30は、取付部材32の上面32aに露出する第一上方ネジ部材38を一般工具であるレンチを用いて緩め、第一下方ネジ部材36から離脱させれば、取付部材32と鏝板材31とを分離することができる。
【0051】
従って、床面均し作業の繰り返しにより、鏝板材31が摩耗したり、損傷したりした場合、一般工具を用いて回転鏝30を取付部材32と鏝板材31とに容易に分解することができ、使用済みの鏝板材31のみを廃棄し、取付部材32は再利用することができる。よって、廃棄物の重量増大を抑制し、金属材料の浪費を回避することができる。
【0052】
なお、図1図8に基づいて説明した回転鏝10,30は、本発明に係る回転鏝を例示するものであり、本発明に係る回転鏝は前述した回転鏝10,30に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る回転鏝は、床面均し機(トロウェル)を使用して、固化前のコンクリート床面の均し作業を行う土木建設業、土木建築業などの産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
10,30 回転鏝
11,31 鏝板材
11a,12a,90a 上面
11b,12b,31b,90b 底面
11s 短辺方向
11t 長辺方向
12,32 取付部材
13,23 上方ネジ部材
13a,14a,23a,24a,36a,37a 頭部
13b,24b,36b,37b ボルト部
14,24 下方ネジ部材
14b,15,23b 雌ネジ穴
14c,23c ナット部
16,17,33,34,92 貫通孔
16a 上面凹部
17a,33a 底面凹部
18 固定手段
20 六角レンチ
36 第一下方ネジ部材
37 第二下方ネジ部材
38 第一上方ネジ部材
39 第二上方ネジ部材
90 回転アーム
91 ボルト
90b 下面
108 セメント成分
図1
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