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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20230911BHJP
   B60R 16/037 20060101ALI20230911BHJP
   B60R 25/20 20130101ALI20230911BHJP
【FI】
E05B49/00 K
B60R16/037
B60R25/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022078135
(22)【出願日】2022-05-11
(62)【分割の表示】P 2021039155の分割
【原出願日】2015-05-15
(65)【公開番号】P2022126633
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2014102321
(32)【優先日】2014-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519458587
【氏名又は名称】CASE特許株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082500
【弁理士】
【氏名又は名称】足立 勉
(72)【発明者】
【氏名】福田 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】足立 勉
(72)【発明者】
【氏名】林 茂
(72)【発明者】
【氏名】前川 博司
(72)【発明者】
【氏名】毛利 大介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健純
(72)【発明者】
【氏名】竹中 謙史
(72)【発明者】
【氏名】川西 毅
(72)【発明者】
【氏名】野澤 豪生
(72)【発明者】
【氏名】横井 丈誠
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-334765(JP,A)
【文献】特開2013-049952(JP,A)
【文献】特開2013-108327(JP,A)
【文献】特表2013-535121(JP,A)
【文献】登録実用新案第3185121(JP,U)
【文献】特開2010-202043(JP,A)
【文献】特開2014-69598(JP,A)
【文献】国際公開第2015/155875(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
B60R 16/00-17/02
B60R 25/20-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子キー及び通信端末と無線通信可能に構成された車両であって、
前記通信端末は、前記車両に実行させる機能の指定を受け付け、指定された前記機能を示すコマンドを無線にて送信するように構成され、
前記通信端末から送信された前記コマンドを受信するように構成されたコマンド受信部と、
前記車両の位置、前記電子キーの位置、及び前記通信端末の位置を取得するように構成された位置取得部と、
前記コマンド受信部により前記コマンドが受信されるとともに、前記位置取得部により取得された前記車両の位置、前記電子キーの位置、及び前記通信端末の位置が所定の条件を充足する場合は、受信された前記コマンドが示す前記機能を実行するように構成された機能実行部と、
を備える、
車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両であって、
前記機能は、エアコンを起動させる機能、エアコンを停止させる機能、前記車両を微小速度で前方へ走行させる機能、前記車両を微小速度で後方へ走行させる機能、又は、前記車両のドアのロックを開閉する機能を含む、
車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両であって、
前記機能実行部は、前記通信端末と前記電子キーとの距離が所定値以上離れている場合は、特定の前記機能を制限する、
車両。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両であって、
前記通信端末からの認証要求に応じて、前記通信端末と前記車両との間の認証を行い、前記認証の結果を前記通信端末に送信する認証部をさらに備え、
前記通信端末は、前記認証の結果が失敗である場合は、前記指定を受け付けない、
車両。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本国際出願は、2014年5月16日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2014-102321号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2014-102321号の全内容を本国際出願に参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、車両を遠隔制御可能な車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ユーザが携帯した電子キーと車両との間の無線通信によりユーザがキーに触れることなくドアのロック・アンロックやエンジンの始動・停止を行うことが可能な電子キーシステムが広く普及している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-341768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子キーと車両との無線通信を直接又は間接的に利用することでより多様な機能を実現できると便利である。本発明の一側面においては、電子キーを用いた利便性の高い車両制御システムを提供できるようにすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面の車両制御システムは、車両と無線通信可能な電子キーと、電子キーと無線通信可能な通信端末とを備える。通信端末は、指定入力部と、指令送信部とを備える。指定入力部は、車両に対して特定の処理を実行させるための、その実行させる処理の内容を示す処理項目の指定入力を受け付ける。指令送信部は、指定入力部により入力された処理項目を示す処理指令を電子キーへ送信する。電子キーは、通信端末から処理指令を受信した場合に、その処理指令に対応した処理項目を示す処理コマンドを車両へ送信するコマンド送信部を備える。
【0007】
このような構成によれば、車両のユーザは、通信端末を操作することで、電子キーを中継させて車両を遠隔制御することができる。
なお、電子キーとは、少なくとも、車両と無線通信を行うことが可能であって、車両に対して無線通信による各種データを送信することが可能な、携帯型の無線通信機である。電子キーから車両へ各種データが送信される際、電子キーと車両の照合に必要な照合用のデータも送信される。車両は、電子キーから各種データを受信した場合、その中に含まれている照合用データを参照し、正規の電子キーからの照合用データであることを確認した場合に、その電子キーから受信された各種データを有効化して、その各種データに基づく各種処理を実行する。
【0008】
また、指定入力部とは、ユーザによる、処理項目(即ち車両に対して実行させたい処理の内容)の指定を受け付ける手段である。この指定入力部により、車両に実行させるべき処理項目が受け付けられる。また、指令送信部とは、処理項目を示す処理指令を電子キーへ無線送信する手段である。指定入力部により受け付けられた処理項目は、指令送信部によって電子キーへ無線送信される。これにより、電子キーは、通信端末においてユーザに
より指定された処理項目を認識することができる。
【0009】
また、上記構成において、通信端末は、所定の端末側固有情報が記憶された端末側記憶部を備え、指令送信部は、処理指令を電子キーへ送信する際、端末側記憶部に記憶されている端末側固有情報を送信するようにしてもよい。その場合、電子キーは、キー側記憶部と、固有情報判断部とを備えていてもよい。キー側記憶部は、所定のキー側固有情報が記憶されている。固有情報判断部は、通信端末から処理指令及び端末側固有情報を受信した場合に、その受信した端末側固有情報とキー側記憶部に記憶されているキー側固有情報とが特定の関係にあるか否か判断する。そして、コマンド送信部は、固有情報判断部により上記特定の関係にあると判断された場合に処理コマンドの送信を行うようにしてもよい。
【0010】
なお、通信端末に記憶されている端末側固有情報とは、電子キーが通信端末から処理指令を受信した場合にその処理指令を有効化してもよいか否か(即ち処理コマンドとして車両へ中継送信してもよいか否か)の判断(以下単に「認証」ともいう)を行うために用いられる情報である。
【0011】
一方、電子キーに記憶されているキー側固有情報とは、上記認証を行うための、上記端末側固有情報との比較用の情報である。端末側固有情報は、例えば上記の照合用データ(車両が電子キーの照合に用いるデータ)であってもよい。
【0012】
また、電子キーの固有情報判断部は、通信端末から処理指令を受信した場合に上記認証を行う手段である。即ち、固有情報判断部は、通信端末から処理指令を受信した場合に、その処理指令と共に受信された端末側固有情報と、電子キーに記憶されているキー側固有情報とを比較する。そして、両者が特定の関係にある(例えば両者が一致する)場合に、通信端末からの処理指令を有効化して、その処理離例に対応した処理コマンドを車両へ送信する。
【0013】
このような構成によれば、車両が不正に操作されるのを抑制することができ、システムのセキュリティ性能を向上させることができる。
また、上記構成において、通信端末は、動画を撮影可能な撮像部、及び音声を入力可能な音声入力部、のうち少なくとも一方を備えていてもよい。そして、指定入力部は、撮像部により撮影されたユーザのジェスチャー、及び音声入力部に入力されたユーザの音声、のうち少なくとも一方に基づいて処理項目の指定入力を受け付け可能であってもよい。
【0014】
このような構成によれば、車両のユーザは、通信端末から車両を制御する際に、所望の処理項目を多様な方法で指定することができる。即ち、ユーザにとって使い勝手の良いシステムを提供することが可能となる。
【0015】
なお、本発明は、前述した車両制御システムの他、当該車両制御システムが有する各種装置(通信端末、電子キー)、車両、それら各種装置を構成する各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム、車両制御方法など、種々の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A-1B】図1Aは車両制御システムの利用イメージを示す説明図であり、図1Bは車両の上面図である。
図2】スマートフォンの概略構成を示すブロック図である。
図3】操作メニュー画面の具体的内容を示す説明図である。
図4】電子キーの概略構成を示すブロック図である。
図5】充電ケーブルを用いた、スマートフォンから電子キーへの給電方法を説明するための説明図である。
図6】車両の概略構成を示すブロック図である。
図7】第1実施形態のスマートフォンが実行する車両操作アプリを示すフローチャートである。
図8図7における車両操作処理の詳細を示すフローチャートである。
図9】第1実施形態の電子キーが実行する電子キー制御処理を示すフローチャートである。
図10図9における中継処理の詳細を示すフローチャートである。
図11】第1実施形態の車両が実行する遠隔制御処理を示すフローチャートである。
図12図11の遠隔制御処理における機能制限確認処理の詳細を示すフローチャートである。
図13】タグ対応処理を示すフローチャートである。
図14】第2実施形態の電子キーの概略構成を示すブロック図である。
図15】第2実施形態の電子キーが実行する電子キー制御処理を示すフローチャートである。
図16】車両が実行する車両情報通知処理を示すフローチャートである。
図17】スマートフォンが実行する車両情報表示処理を示すフローチャートである。
図18】電子キーが実行するシステム情報送信処理を示すフローチャートである。
図19】スマートフォンが実行するシステム状態通知処理を示すフローチャートである。
図20】スマートフォンの他の構成例を示すブロック図である。
図21】車両の他の構成例を示すブロック図である。
図22】スマートフォンで実行される情報提供処理のフローチャートである。
図23】車両で実行されるスマホ情報報知処理のフローチャートである。
図24】車両で実行される周囲監視処理のフローチャートである。
図25】スマートフォンで実行される周囲情報報知処理のフローチャートである。
図26】スマートフォンで実行される車両位置報知処理のフローチャートである。
図27】車両で実行されるSNS連携処理のフローチャートである。
図28】スマートフォンで実行されるSNS処理のフローチャートである。
図29】スマートフォンで実行される体調管理処理のフローチャートである。
図30】車両で実行される体調情報対応処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0017】
1…車両、2,80…電子キー、3…スマートフォン、4…車室外送信機、5…車室内送信機、6…受信機、7,35,55…第1通信部、8,57…第2通信部、9,37…GPS受信部、10,31,51,81…制御部、11…エンジン部、12…ブレーキ部、13…ステアリング部、14…エアコン、15…ドア、16…ラゲージドア、17…ウィンドウ、18…ドアミラー、19…ワイパー、20…ヘッドライト、21…ウィンカー、25,32,52,82…メモリ、33,85…表示部、34…タッチパネル、34a…指紋検出部、36,56…BT通信部、39…USBレセプタクル、40,59…バッテリ、41,60…レギュレータ、42,61…非接触受給電部、43…カメラ、44…画像処理部、45,83…マイク、46,84…音声処理部、48…操作メニュー画面、53…送信部、54…受信部、58,86…操作入力部、62…電源入力ジャック、70…充電ケーブル、400…車室外検知エリア、500…車室内検知エリア。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の例示的な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
(1)車両制御システムの全体構成
本実施形態の車両制御システムは、図1Aに示すように、車両1と、電子キー2と、スマートフォン3とを有し、スマートフォン3から電子キー2を中継して車両1を制御することが可能なシステムである。
【0019】
電子キー2は、車両1のドアの解錠・施錠や、車両1の走行用駆動源(本実施形態ではエンジン)の始動を、機械式のキーを車両1に直接挿入することなく実現するために用いられる、無線通信機能を備えたキーである。後述するように、車両1からは定期的にリクエスト信号が送信されており、電子キー2がそのリクエスト信号を受信可能なエリア内に入ると、電子キー2にてリクエスト信号が受信される。電子キー2は、車両1からのリクエスト信号を受信すると、車両1へ応答信号及びユーザIDを送信する。車両1は、電子キー2から応答信号及びユーザIDを受信すると、車両1自身のユーザIDとの照合を行い、一致した場合は、ドアの解錠・施錠や走行用駆動源の始動などが可能な操作可能状態となる。操作可能状態中は、ユーザが例えばドアのハンドルのタッチセンサに触れるとドアが解錠(アンロック)される。また、ユーザが車室内の特定の始動ボタンを押下すると、エンジンが始動する。
【0020】
そのため、車両1のユーザは、電子キー2をポケットやカバンの中などに所持した状態で車両1に近付くことで、従来のように機械式キーを用いることなく、車両1を解錠・施錠したりエンジンを始動させたりすることができる。
【0021】
上述した機能は、電子キー2を用いて実現可能な基本的機能であり、既に一般的に知られて実用化もされている機能である。本実施形態では、上記の基本的な機能に加え、さらに、後述するように、スマートフォン3と車両1との通信を中継する中継機能を備えており、この中継機能により、スマートフォン3から車両1を遠隔操作可能な高度制御システムが実現される。
【0022】
図1Aには、電子キー2を上着のポケットに入れて携帯しているユーザ4が車両1の傍でスマートフォン3を操作している様子が図示されている。ユーザ4は、スマートフォン3を操作することで、車両1の各部を動作させたり、車両1を動かしたり、車両1から情報を取得したりすることができる。
【0023】
図1Bは、車両1を上から見下ろした図である。車両1は、前後左右合計4枚のドア15と、ラゲージドア16と、左右合計2つのドアミラー18と、ワイパー19と、車両前端の左右両側に設けられた2つのヘッドライト20と、四隅に設けられた4つのウィンカー21とを備える。各ドア15には、それぞれウィンドウ(窓)17が設けられている。
【0024】
また、車両1の車室内には、固定部22と、車室内カメラ24とが設けられている。固定部22は、車室内における後部天井に設けられている。固定部22は、スマートフォン3を含む、各種の通信端末を固定可能に構成されている。固定部22には、USBプラグ23が設けられている。
【0025】
車室内カメラ24は、車室内における前方天井に設けられている。車室内カメラ24は、車室内前方側から撮影車室内のほぼ全体を撮影可能に設けられている。
また、車両1には、車両1が電子キー2の存在を検知することが可能な検知エリアが形成される。具体的には、車両1の外部には車室外検知エリア400が形成され、車両1の室内には車室内検知エリア500が形成される。これら各検知エリア400,500は、それぞれ、後述する車室外送信機4及び車室内送信機5(何れも図1A図1Bでは図示略。図6参照。)により形成される。
【0026】
車室内検知エリア500は、車両1の室内に設けられた車室内送信機5から送信されるリクエスト信号を電子キー2が受信可能なエリアである。車室外検知エリア400は、車両1の外部において、車両1の側面に設けられた車室外送信機4から送信されるリクエスト信号を電子キー2が受信可能なエリアである。
【0027】
なお、図1Bに示した各エリア400,500の範囲はあくまでも一例である。車室外検知エリア及び車室内検知エリアの具体的範囲は、各送信機4,5の設置位置や設置数を調整したり、各送信機4,5として所望の電波放射特性を持つ送信機を適宜選定したりすることで、適宜設定することができる。
【0028】
(2)スマートフォン3の説明
スマートフォン3の具体的構成について、図2を用いて説明する。スマートフォン3は、携帯電話網を介した音声通話機能を含む複数種類の通信機能を備えた多機能携帯情報端末である。スマートフォン3は、無線通信機能として少なくとも、第1通信方式による無線通信(以下「第1通信」と略す)と、Bluetooth(ブルートゥース)(登録商標。以下同様。)による無線通信(以下「BT通信」と略す)と、の2種類の無線通信機能を備える。
【0029】
第1通信は、遠距離間での無線通信も可能な通信方式であり、本実施形態では例えば携帯電話回線網を用いた無線通信方式である。そのため、スマートフォン3が携帯電話の通信圏内に存在している限り、スマートフォン3のユーザは、第1通信にて音声通話やデータ通信が可能である。BT通信は、2.4GHz帯の電波を用いた周知の近距離無線通信方式である。
【0030】
スマートフォン3は、図2に示すように、制御部31と、メモリ32と、表示部33と、タッチパネル34と、第1通信部35と、BT通信部36と、GPS受信部37と、USBインタフェース(以下「USBI/F」と略す)38と、USBレセプタクル39と、バッテリ40と、レギュレータ41と、非接触受給電部42と、カメラ43と、画像処理部44と、マイク45と、音声処理部46と、タグリーダライタ47と、を備える。
【0031】
制御部31は、図示しないCPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータを含む。制御部31は、当該制御部31に接続されている各部を含む、スマートフォン3内の各種回路、機能ブロックを制御する。後述する車両操作アプリ32aを含む各種プログラムは制御部31のCPUにより実行される。
【0032】
メモリ32は、記憶内容を電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであり、本実施形態ではフラッシュメモリである。メモリ32には、各種のプログラムやデータが記憶されている。メモリ32に記憶されているプログラムやデータには、車両操作アプリ32a、車両操作メニューデータ32b、音声パターン32c、ジェスチャーパターン32d、ID情報32e、及び認証情報32fが含まれる。
【0033】
表示部33は、各種画像や情報を表示可能な表示デバイス(例えば液晶ディスプレイ)である。タッチパネル34は、指先や専用ペンなどの指示体で接触することにより入力操作を行うことが可能な周知の入力デバイスである。タッチパネル34は、表示部33における画像表示領域のほぼ全面に重畳して配置されている。さらに、タッチパネル34は、指紋検出部34aを備えている。指紋検出部34aは、タッチパネル34に人間の指が接触した場合にその接触した部分の指紋を検出する。指紋検出部34aにより検出された指紋のデータ(指紋データ)は制御部31に入力される。なお、指紋を検出する方法は他の方法であってもよい。また、図示は省略したが、スマートフォン3は、タッチパネル34の他にも、入力デバイスとして、ユーザにより押し操作されるスイッチを少なくとも1つ
備えている。
【0034】
第1通信部35は、第1通信の電波を送受信するための無線通信インタフェースである。BT通信部36は、BT通信を実現するための無線通信インタフェースである。GPS受信部37は、複数のGPS(Global Positioning System )衛星からの電波を受信してそれら受信電波に含まれる情報を制御部31へ出力する。制御部31は、GPS受信部37で受信された情報をもとにスマートフォン3の現在位置(例えば緯度、経度)を検出することができる。
【0035】
USBI/F38は、USB(Universal Serial Bus)規格のシリアル通信を行うためのインタフェースである。USBレセプタクル39は、USBプラグを挿入可能である。なお、USBに代えて他の規格のデータ通信インタフェースを備えていてもよいし、USBに加えて他の規格のデータ通信インタフェースを備えていてもよい。
【0036】
バッテリ40は、繰り返し充電可能な二次電池である。ただし、バッテリ40は、2次電池以外の他の蓄電手段(例えば一次電池、燃料電池など)であってもよい。後述する電子キー2のバッテリ59(図4参照)についても同様である。レギュレータ41は、バッテリ40の電圧を所定電圧値の定電圧に変換して制御部31やその他の回路等へ供給するための電源回路である。
【0037】
非接触受給電部42は、非接触給電方式にて外部へ電力を供給したり、外部から電力を受電したりすることができる。外部へ電力を供給する場合、非接触受給電部42は、バッテリ40の直流電力を例えば電磁誘導方式によって外部へ放出する。外部から電力を受電する場合、非接触受給電部42は、外部から受電した電力を直流に変換してバッテリ40及びレギュレータ41の少なくとも一方に出力する。非接触受給電部42の動作は制御部31により制御される。
【0038】
カメラ43は、静止画及び動画を撮影可能な撮像デバイスである。画像処理部44は、カメラ43にて撮影された静止画や動画を処理(例えば静止画や動画のデータを生成)してその処理結果を制御部31へ入力する。制御部31は、画像処理部44から入力されるデータに基づいて、カメラ43で撮影された静止画や動画の内容を認識できる。
【0039】
マイク45は、外部の音声を電気信号に変換する。音声処理部46は、マイク45にて集音されて電気信号に変換された音声信号をデジタルの音声データに処理して制御部31へ出力する。制御部31は、音声処理部46から入力される音声データに基づいて、マイク45で集音された音声の内容を認識できる。
【0040】
タグリーダライタ47は、スマートフォン3の外部のRFタグと非接触データ通信を行うための通信モジュールである。スマートフォン3を外部のRFタグにかざすことで、タグリーダライタ47がRFタグとデータ通信可能な状態となり、RFタグからデータを読み出したりRFタグへデータを書き込んだりすることができる。
【0041】
本実施形態では、後述するように、電子キー2にRFタグ63が内蔵されている。そのため、スマートフォン3を電子キー2にかざすことで、スマートフォン3のタグリーダライタ47は、電子キー2のRFタグ63とデータ通信を行うことができる。
【0042】
メモリ32に記憶されている車両操作アプリ32aは、スマートフォン3から電子キー2を中継して車両1を制御するためのアプリケーションソフトである。車両操作アプリ32aは、例えば車両1のメーカー又はディーラーから媒体又は電気通信回線を介して提供を受け、スマートフォン3にインストールすることができる。
【0043】
メモリ32に記憶されている車両操作メニューデータ32bは、車両操作アプリ32aの実行時に使用されるデータベースであり、車両操作アプリ32aと共に提供され、車両操作アプリ32aのインストール時にメモリ32に記憶される。但し、車両操作アプリ32aとは別にインストール或いは更新することも可能である。車両操作メニューデータ32bには、図3に示す操作メニュー画面48を表示部33に表示させるための各種データが含まれる。
【0044】
図3に示す操作メニュー画面48は、スマートフォン3から車両1を操作可能な操作内容の項目のアイコンがリストアップされた画面である。操作メニュー画面48に表示されるアイコンには、ヘッドライト20を一定時間点滅させる操作項目を示す「ライト点滅」アイコン、ウィンカー21を一定時間点滅させる操作項目を示す「ウィンカー点滅」アイコン、エアコンをオン(起動)させる操作項目を示す「エアコンオン」アイコン、エアコンをオフ(停止)させる操作項目を示す「エアコンオフ」アイコン、エンジンを始動させる操作項目を示す「エンジン始動」アイコン、エンジンを停止させる操作項目を示す「エンジン停止」アイコン、ドアミラー18を閉じる操作項目を示す「ドアミラー閉」アイコン、ドアミラー18を開く操作項目を示す「ドアミラー開」アイコン、ステアリングを左方向に一定角度回転させる(つまり操舵輪を左方向に一定量操舵させる)操作項目を示す「ステア左」アイコン、ステアリングを右方向に一定角度回転させる(つまり操舵輪を右方向に一定量操舵させる)操作項目を示す「ステア右」アイコン、ステアリングを中立状態に戻す操作項目を示す「ステア中立」アイコン、車両を微小速度(例えば時速3km)で微小距離(例えば30cm)前方へ走行させる操作項目を示す「微速前進」アイコン、車両を微小速度(例えば時速2km)で微小距離(例えば20cm)後方へ走行させる操作項目を示す「微速後進」アイコン、車両の累積走行距離を取得する操作項目を示す「走行距離」アイコン、電子キー2の機能を制御する操作項目を示す「電子キー制御」アイコン、車両の各ドア15のロックを開閉する操作項目を示す「ドアロック開閉」アイコン、車両のメンテナンス情報(例えばオイル残量やバッテリ残量など)を取得する操作項目を示す「メンテ情報」アイコン、車両のダイアグ情報を取得する操作項目を示す「ダイアグ情報」アイコン、車両の車室内温度を取得する操作項目を示す「車内温度」アイコン、車室内画像情報を取得する操作項目を示す「車室内画像情報」アイコンなどの、各種の操作項目に対応したアイコンがある。
【0045】
なお、表示部33に同時に表示させることが可能なアイコンの数は限られている。表示部33に表示されていないアイコンは、タッチパネル34に対して上下方向のスワイプ操作やフリック操作を行って表示内容を上下方向にスクロールさせることで、表示させることができる。
【0046】
操作メニュー画面48において、ユーザが例えばドアミラー閉のアイコンを選択(例えばタップ操作)すると、後述するように、その選択情報が電子キー2を介して車両1に伝達されて、車両1のドアミラー18が自動で閉動作する。
【0047】
また例えば、ユーザが「ドアロック開閉」アイコンを選択すると、図3に例示するように、どのドアのロックが操作対象なのか、またその操作対象のドアのロックを開くのかそれとも閉じるのかをユーザに選択させるための複数のアイコンが表示される。ユーザは、その複数のアイコンの中から所望の操作内容に応じたアイコンを選択すると、その選択情報が電子キー2を介して車両1に伝達されて、選択した操作内容に従ってドアロックが開閉される。よって、ユーザは、例えば、全てのドア15のロックを開閉したり、特定のドア15のロックのみ選択的に開閉したりすることができる。
【0048】
また例えば、ユーザが「電子キー制御」アイコンを選択すると、その選択情報(具体的
には後述する電子キー制御指令)が電子キー2へ送信される。電子キー2は、スマートフォン3から電子キー制御指令を受信すると、その電子キー制御指令に対応した指令対応処理(後述する図10のS124)を実行する。
【0049】
また例えば、ユーザが「車室内画像情報」アイコンを選択すると、その選択情報が電子キー2を介して車両1に伝達される。即ち、車室内画像の取得要求を示す操作コマンドが車両1へ送信される。車両1は、その操作コマンドを受信すると、車室内カメラ24を動作させ、車室内の静止画像又は動画像を取得する。そして、その取得した静止画像又は動画像を例えば第1通信にてスマートフォン3へ送信する。スマートフォン3は、車両1から車室内カメラ24の撮影データを受信すると、その撮影データを表示部33に表示させる。
【0050】
このように、本実施形態では、ユーザは、スマートフォン3にインストールされている車両操作アプリ32aを用いて、車両1に対し、車両操作メニューデータ32bとして設定されている複数の操作項目を選択的に実行させることができる。
【0051】
車両操作アプリ32aを用いてスマートフォン3から車両1を制御する際の、操作項目の指定は、図3に示した操作メニュー画面48に対する選択操作の他に、本実施形態では、音声又はジェスチャーによっても可能である。メモリ32には、各操作項目に対応した音声データが音声パターン32cとして記憶されている。そのため、ユーザがマイク45に向かって特定の操作項目を示す言葉(音声パターン32cとして記憶されている音声の何れか)を発すると、制御部31は、その操作項目の実行要求がなされたものと判断して、その操作項目を実行させるために必要な処理を実行する。例えば、ユーザが「ドアミラーを閉じて」と喋ると、制御部31は、ドアミラー18を閉じる操作が要求されたことを認識して、ドアミラー18を閉動作させる。つまりこの例では、図3に示した操作メニュー画面48においてドアミラー閉のアイコンをタップ操作した場合と同等の結果を得ることができる。
【0052】
また、メモリ32には、各操作項目に対応したジェスチャーがジェスチャーパターン32dとして記憶されている。そのため、ユーザがカメラ43に向かって特定の操作項目を示すジェスチャー(ジェスチャーパターン32dとして記憶されているジェスチャーの何れか)をすると、制御部31は、その操作項目の実行要求がなされたものと判断して、その操作項目を実行させるために必要な処理を実行する。
【0053】
メモリ32に記憶されているID情報32eには、スマートフォン3固有の端末IDが含まれる。また、ID情報32eには、スマートフォン3から車両1を遠隔操作するために必要な、車両1に固有のユーザIDが含まれる。このユーザIDは、電子キー2及び車両1にも記憶されている。車両1及び電子キー2へのユーザIDの記憶は、例えば車両1の出荷時に車両メーカー或いはディーラーによって行われる。スマートフォン3へのユーザIDの記憶は、例えば車両1のメーカー又はディーラーから所定の手続を経て通知され、それをユーザがスマートフォン3に入力することにより行われる。なお、スマートフォン3へのユーザIDの記憶は、他の種々の方法、タイミングで実現できるようにしてもよい。例えば、ユーザが電子キー2とスマートフォン3を車両1のディーラーに持参してディーラーにて記憶してもらうこともできる。
【0054】
メモリ32に記憶されている認証情報32fには、スマートフォン3のユーザが正規のユーザであるかどうかを認証するための認証用データが少なくとも1つ含まれる。具体的に、認証情報32fには、上記認証用データとして、正規ユーザの指紋データ(登録指紋データ)、正規ユーザの顔画像データ(登録顔データ)、及び正規ユーザの音声データ(登録音声データ)、のうち少なくとも1つが含まれる。これら各登録データは、ユーザが
任意に登録(記憶)させることができる。
【0055】
(3)電子キー2の説明
電子キー2の具体的構成について、図4を用いて説明する。電子キー2は、ユーザが容易に携帯可能な軽量小型の携帯型通信端末である。電子キー2は、無線通信機能として、スマートフォン3と同様、第1通信及びBT通信を備えている。また、電子キー2は、無線通信機能として、第2通信方式による無線通信(以下「第2通信」と略す)を備えている。第2通信は、第1通信と同様、遠距離間での無線通信も可能な通信方式である。第2通信は、例えば無線LANであってもよいし、その他の無線通信方式であってもよい。さらに、電子キー2は、従来の電子キーと同様、車両1からリクエスト信号を受信するとそれに対して応答信号及びユーザIDを返信する無線通信機能(以下「スマート通信」という)も備えている。
【0056】
電子キー2は、図4に示すように、制御部51と、メモリ52と、送信部53と、受信部54と、第1通信部55と、BT通信部56と、第2通信部57と、操作入力部58と、バッテリ59と、レギュレータ60と、非接触受給電部61と、電源入力ジャック62とを備える。
【0057】
制御部51は、図示しないCPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータを含む。制御部51は、当該制御部51に接続されている各部を含む、電子キー2内の各種回路、機能ブロックを制御する。
【0058】
メモリ52は、記憶内容を電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであり、本実施形態ではフラッシュメモリである。メモリ52には、各種のプログラムやデータが記憶されている。メモリ52に記憶されているデータには、ID情報52a、及びBTペアリング情報52bが含まれる。
【0059】
ID情報52aには、車両1に固有のユーザIDが含まれる。このユーザIDはスマートフォン3のメモリ32にID情報32eの1つとして記憶されているユーザIDと同じであり、既述の通り車両1にも記憶されている。BTペアリング情報52bには、電子キー2と他の通信機器との間でBT通信のペアリングを行った場合に生成される固有情報(例えばリンクキー)など、両者間をBT通信で接続するために必要な情報が含まれる。また、ペアリングが行われて固有情報が生成される場合、ペアリング相手の他の通信機器毎(つまりBT通信が可能な他のユーザ毎)に、生成した固有情報とペアリング相手のユーザ情報が対応付けて記憶される。従って、電子キー2は、他の通信機器とBT通信を開始する際に、通信相手の固有情報に基づく認証を行うことで、通信相手のユーザを特定することができる。
【0060】
受信部54は、車両1から所定周波数帯の電波にて送信されるリクエスト信号を受信、復調して制御部51へ出力する。制御部51は、受信部54からリクエスト信号が入力されると、応答用のデータを生成して送信部53へ出力する。応答用のデータには、所定の応答信号と、ID情報52aとしてメモリ52に記憶されているユーザIDとが含まれる。送信部53は、制御部51から入力された応答用のデータを所定周波数帯の電波に変調して車両1へ送信する。
【0061】
図1Bに例示したように、本実施形態では、リクエスト信号を受信可能な各検知エリア400,500が設定されている。そのため、電子キー2は、各検知エリア400,500の何れにも入っていない場合は、リクエスト信号が受信されない。一方、電子キー2が各検知エリア400,500の何れかに入ると、電子キー2にて車両1からのリクエスト信号が受信可能となる。車両1からのリクエスト信号は、後述するように、一定周期で繰
り返し送信される。そのため、電子キー2が各検知エリア400,500の何れかに入っている間は、電子キー2にて周期的にリクエスト信号が受信される。電子キー2は、リクエスト信号を受信する度に、そのリクエスト信号に対する応答信号を送信する。
【0062】
第1通信部55は、第1通信の電波を送受信するための無線通信インタフェースである。BT通信部56は、BT通信を実現するための無線通信インタフェースである。第2通信部57は、第2通信の電波を送受信するための無線通信インタフェースである。操作入力部58は、ユーザによる入力操作を受け付け可能な入力デバイスである。操作入力部58の具体的構成としては、例えば押しボタン式のスイッチが挙げられる。操作入力部58としてタッチパネルを備えていてもよい。
【0063】
バッテリ59は、本実施形態では、繰り返し充電可能な二次電池である。レギュレータ60は、バッテリ59の電圧を所定電圧値の定電圧に変換して制御部51やその他の回路等へ供給するための電源回路である。非接触受給電部61は、スマートフォン3の非接触受給電部42と同様の構成であり、非接触給電方式にて外部へ電力を供給したり外部から電力を受電したりすることが可能なモジュールである。非接触受給電部61の動作は制御部51により制御される。電源入力ジャック62は、外部の充電アダプタのプラグが挿抜されるジャックである。電源入力ジャック62を介して、外部から直流電力を入力してバッテリ59を充電したり、逆にバッテリ59の直流電力を外部に供給することができる。
【0064】
そのため、電子キー2のバッテリ59の残量が少なくなって電子キー2が正常に動作できなくなった場合、電源入力ジャック62から直流電力を取り込むか、又は非接触受給電部61によって外部から電力を受電することで、電子キー2を正常に動作させると共にバッテリ59を充電することが可能である。
【0065】
スマートフォン3を用いて電子キー2のバッテリ59を充電させたい場合は、例えば図5に示すように、充電ケーブル70を用いることで充電可能である。充電ケーブル70は、USBプラグ71と、USB側ケーブル72と、給電アダプタ73と、ピン側ケーブル74と、給電プラグ75とを備える。USBプラグ71をスマートフォン3のUSBレセプタクル39に接続し、給電プラグ75を電子キー2の電源入力ジャック62に挿入すると、スマートフォン3のバッテリ40の直流電力が給電アダプタ73を介して電子キー2に供給される。
【0066】
また、スマートフォン3及び電子キー2の双方とも、非接触受給電部を備えている。そのため、双方の非接触受給電部42,61を所定距離内で対向させると、一方から他方への電力供給が可能となる。
【0067】
そのため、電子キー2のバッテリ59が容量不足となっても、スマートフォン3等の他の機器から、非接触で、又はケーブルを用いて、電力を受電し、バッテリ59を充電させたり、レギュレータ60を動作させて当該電子キー2内の各部を正常に動作させたりすることができる。
【0068】
また、電子キー2には、RFタグ63が内蔵されている。RFタグ63には、ユーザIDが記憶されている。RFタグ63は、スマートフォン3がかざされてスマートフォン3のタグリーダライタ47とデータ通信を開始すると、スマートフォン3からユーザIDを取得する。そして、自身のユーザIDと比較し、一致した場合は、自身のユーザID、及びアプリ起動要求をスマートフォン3へ送信する。
【0069】
(4)車両1の説明
車両1の具体的構成について、図6を用いて説明する。本実施形態の車両1は、エンジ
ン(内燃機関)を走行用駆動源として有する車両である。車両1は、図6に示すように、制御部10を備える。制御部10は、図示しないCPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータを含む。制御部10は、当該制御部10に接続されている各部を含む、車両1内の各種回路、機能ブロックを制御する。
【0070】
制御部10により制御される各種回路や機能ブロックとして、本実施形態では、エンジン部11と、ブレーキ部12と、ステアリング部13と、エアコン14と、ドア15と、ラゲージドア16と、ウィンドウ17と、ドアミラー18と、ワイパー19と、ヘッドライト20と、ウィンカー21と、車室内カメラ24と、表示部26と、USBI/F27とを少なくとも有する。なお、ドア15、ウィンドウ17、ドアミラー18、ワイパー19、ヘッドライト20、及びウィンカー21は、実際には、図1Bに示した通り、複数設けられている。
【0071】
エンジン部11は、エンジン、及びそのエンジンを制御するエンジン制御ユニットを備える。制御部10は、エンジン部11内のエンジン制御ユニットを介して、エンジンの動作を制御することができる。ブレーキ部12は、車両1に設けられたブレーキ機構及びこれを制御するブレーキ制御ユニットを備える。ステアリング部13は、車両1の車輪を操舵する操舵機構及びこれを制御するステアリング制御ユニットを備える。本実施形態のステアリングシステムは、いわゆるステアバイワイヤ方式の電動ステアリングシステムである。つまり、ドライバーが操作するステアリングホイールと操舵軸とが機械的に直接接続されておらず、操舵軸は、ドライバーによるステアリングホイールの操作内容に従ってモータにより駆動される。そのため、制御部10は、ステアリング部13を制御することで、操舵輪を自在に動かすことができる。
【0072】
制御部10は、メモリ25に記憶されている各種プログラムやデータに基づいて、各種の機能を実行する。メモリ25は、記憶内容を電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであり、本実施形態ではフラッシュメモリである。メモリ25に記憶されているデータには、ID情報25a及び機能制限情報25bが含まれる。
【0073】
ID情報25aには、車両1に固有のユーザIDが含まれる。このユーザIDはスマートフォン3のメモリ32及び電子キー2のメモリ52に記憶されているユーザIDと同じである。機能制限情報25bは、車両1,スマートフォン3、及び電子キー2の三者の位置関係に応じて、車両1の機能を制限するための情報である。電子キー2が車両1の車室内検知エリア500、車室外検知エリア400、又は検知エリア外の何れに位置しているか、またスマートフォン3がどこに存在しているか(例えば車両1の内部かそれとも外部か)、などに応じて、車両1の機能を制限するか否か、制限するならば具体的にどの機能をどのように制限するか、などの情報が、機能制限情報25bとして記憶されている。この機能制限情報25bは、車両1の出荷時に予めデフォルトでいくつか記憶されているが、車両1のユーザがカスタマイズすることもできる。
【0074】
機能制限情報25bを適宜カスタマイズすることで、例えば、子供がスマートフォン3を持って車両1の室内にいるが親は電子キー2を持って車両1の外にいるような場合には特定の機能を制限させる、ということも可能となる。また例えば、電子キー2が車両1の検知エリア内に存在しているがスマートフォン3は車両1から遠距離の位置に存在している場合(つまりスマートフォン3と電子キー2が大きく離れている場合)には特定の機能を制限させる、ということも可能となる。
【0075】
車両1は、無線通信機能として、第1通信及び第2通信を備えている。第1通信部7は、第1通信の電波を送受信するための無線通信インタフェースであり、第2通信部8は、第2通信の電波を送受信するための無線通信インタフェースである。
【0076】
GPS受信部9は、複数のGPS衛星からの電波を受信してそれら受信電波に含まれる情報を制御部10へ出力する。制御部10は、GPS受信部9で受信された情報をもとに車両1の現在位置(例えば緯度、経度)を検出することができる。
【0077】
さらに、車両1は、電子キー2に対するリクエスト信号を周期的に送信して、そのリクエスト信号に対する電子キー2からの応答信号及びユーザIDを受信する無線通信(スマート通信)の機能も備えている。このスマート通信を実現するために設けられているのが、車室外送信機4、車室内送信機5、及び受信機6である。
【0078】
車室外送信機4及び車室内送信機5は、制御部10からの指令に基づき、リクエスト信号を周期的に送信する。車室外送信機4及び車室内送信機5は、実際には、それぞれ複数設けられている。即ち、複数の車室内送信機5によって、図1Bに示した車室内検知エリア500(何れかの車室内送信機5からのリクエスト信号を受信可能なエリア)が形成される。また、複数の車室外送信機4によって、図1Bに示した車室外検知エリア400(何れかの車室外送信機4からのリクエスト信号を受信可能なエリア)とが形成される。
【0079】
受信機6は、電子キー2から送信される各種信号を受信可能である。受信機6が電子キー2から受信する信号には、各送信機4,5から送信されたリクエスト信号に対する応答信号が含まれる。リクエスト信号には、そのリクエスト信号の送信元の送信機を示す識別情報が含まれ、電子キー2は、リクエスト信号を受信すると、それに対する応答信号を、そのリクエスト信号に含まれていた識別情報を付加して送信する。そのため、車両1の制御部10は、受信機6で応答信号が受信された場合、その応答信号に付加されている識別情報に基づいて、少なくとも、電子キー2が車両1の室内又は室外のどちらに存在しているのかを判別することができる。
【0080】
表示部26は、各種画像や情報を表示可能な表示デバイス(例えば液晶ディスプレイ)である。
USBI/F27は、USB規格のシリアル通信を行うためのインタフェースである。USBプラグ23は、USBレセプタクルを接続可能である。
【0081】
スマートフォン3を車両1の固定部22(図1B参照)に装着すると、スマートフォン3は、車両1の後方をカメラ43で撮影可能な状態に固定される。つまり、カメラ43のレンズが車両後方を向いた状態で固定される。また、スマートフォン3を車両1の固定部22に装着すると、スマートフォン3のUSBレセプタクル39と車両1のUSBプラグ23(図6参照)とが接続され、スマートフォン3と車両1との間でUSBによるデータ通信が可能な状態となる。
【0082】
車両1の制御部10は、スマートフォン3とUSBによるデータ通信が可能な状態にされている間、スマートフォン3から各種情報を取得することができる。制御部10がスマートフォン3から取得可能な情報の1つに、スマートフォン3のカメラ43で撮影された静止画像又は動画像がある。
【0083】
車両1の制御部10は、予め決められたタイミング(例えばギアがバックに設定されているとき)、或いはユーザ操作に応じて、スマートフォン3のカメラ43の撮影データをリアルタイムに取得して表示部26に表示させることができる。つまり、スマートフォン3を車両1の固定部22に固定することで、車両1のユーザは、必要に応じて、車両1の後方の画像を表示部26に表示させて、車両1の後方の状況を確認することができる。
【0084】
なお、車両1の制御部10がスマートフォン3から撮影データを取得するための通信イ
ンタフェースは、USBに限定されない。USB以外の他の通信インタフェースを用いて撮影データを取得可能であってもよい。例えば、第1通信などの無線通信によってスマートフォン3から撮影データを取得可能であってもよい。
【0085】
本実施形態の車両1は、電子キー2とのスマート通信によって、従来の電子キーシステムと同等の機能を発揮することができる。つまり、電子キー2を持ったユーザが車両1の各検知エリア400,500に入ってくることで、ユーザがキーに触れることなく、各ドア15のロック・アンロックやエンジンの始動・停止を行うことができる。ただしこの場合、各ドア15のアンロックは、ユーザがドアハンドルのタッチセンサに触れることで実現される。また、各ドア15のロックは、ユーザがドアハンドルのドアロックスイッチを押すことで実現される。また、エンジンの始動・停止は、ユーザが運転席近傍に設けられたプッシュスイッチを押し操作することで実現される。
【0086】
このような基本的な電子キーシステムの機能を備えているのに加え、本実施形態ではさらに、ユーザが車両1に直接触れることなく、スマートフォン3から電子キー2を中継して車両1を遠隔操作することが可能な、スマートフォン3による遠隔制御機能を備えている。
【0087】
以下、この遠隔制御機能を実現するためにスマートフォン3、電子キー2、及び車両1において実行される各種処理について、順次説明する。
(5)スマートフォン3における車両操作アプリの説明
まず、遠隔制御機能を実現するためにスマートフォン3にインストールされている車両操作アプリ32aの処理内容について、図7を用いて説明する。スマートフォン3の制御部31(詳しくは制御部31内のCPU)は、ユーザにより所定のアプリケーション起動処理が行われた場合に、メモリ32から車両操作アプリ32aのプログラムを読み込んで実行する。
【0088】
スマートフォン3の制御部31は、車両操作アプリ32aの実行を開始すると、S10で、アプリユーザ認証を行う。アプリユーザ認証とは、車両操作アプリ32aを実行させているユーザがその実行を許可されたユーザ(許可ユーザ)であるか否かを判断する処理である。アプリユーザ認証は、ユーザの指紋、音声、及び顔画像の少なくとも1つを用いて行われる。
【0089】
既述の通り、スマートフォン3のメモリ32には、認証情報32fとして、登録指紋データ、登録顔データ、及び登録音声データが記憶されている。そのため、例えばユーザに指紋を入力させてその入力された指紋が登録指紋データと一致するかどうか、また例えばユーザの顔画像をカメラ43で撮影してその顔画像が登録顔データと一致するかどうか、また例えばユーザに声を出させてその越えた登録音声データと一致するかどうかを判断することで、アプリユーザ認証を行うことができる。
【0090】
S12では、S10のアプリユーザ認証の結果に基づいて、車両操作アプリ32aを実行させているユーザが許可ユーザであるか否か判断する。車両操作アプリ32aを実行させているユーザが許可ユーザではない場合は(S12:NO)、S20で所定のユーザ認証エラー処理を実行して、車両操作アプリ32aの処理を終了する。
【0091】
車両操作アプリ32aを実行させているユーザが許可ユーザである場合は(S12:YES)、S14で、電子キー2へ第1通信にて認証要求信号を送信する。この認証要求信号には、スマートフォン3に記憶されているユーザIDが含まれる。この認証要求信号に対し、電子キー2では、後述するように、ユーザID認証が行われ、電子キー2に記憶されているユーザIDと一致するか否かが判断される。そして、一致した場合は電子キー2
から操作許可信号が送信され、一致しなかった場合は電子キー2から操作拒否信号が送信される。
【0092】
S16では、S14で送信した認証要求信号に対して電子キー2から操作許可信号及び操作拒否信号のうちどちらが受信されたか否か判断する。操作拒否信号が受信された場合は(S16:NO)、S20に進み、ユーザ認証エラー処理を行う。操作許可信号が受信された場合は(S16:YES)、S18に進み、車両操作処理を実行する。
【0093】
S18の車両操作処理の詳細は図8に示す通りである。図8に示すように、車両操作処理に進むと、S22で、ユーザによる車両操作方法の選択を受け付ける。本実施形態では、ユーザは、スマートフォン3に対し、3種類の指示方法の何れかを用いて、操作内容を指定することができる。3種類の指示方法のうち1つは、図3を用いて説明したように、表示部33に操作メニュー画面48を表示させてその中から所望の操作項目(操作内容)のアイコンをタップ操作して選択させる方法である。3種類の指示方法のうち他の2つは、既述の音声又はジェスチャーによる方法である。ユーザは、タップ操作、音声、及びジェスチャーのうちどの方法を用いて操作内容を指定するかを選択することができる。
【0094】
S24では、S22で受け付けられた車両操作方法の選択結果を判断し、タップ操作が選択された場合はS26に移行し、ジェスチャーが選択された場合はS32に移行し、音声が選択された場合はS40に移行する。
車両操作方法としてタップ操作が選択された場合に移行するS26では、表示部33に操作メニュー画面48(図3参照)を表示させる。S28では、操作メニュー画面48に表示された操作項目のリストの中から何れか1つの選択を受け付ける。S30では、S28で選択された操作項目に対応した操作指令を生成する。例えば、操作項目として「微速前進」が選択された場合は、車両1を微小距離前進させるための、微速前進に対応した操作指令を生成する。S30の後はS48に進む。
【0095】
車両操作方法としてジェスチャーが選択された場合に移行するS32では、カメラ43を起動させ、ユーザの動画像の撮影を開始する。S34では、カメラ43で撮影される動画像に基づき、ユーザが規定のジェスチャーパターンに対応したジェスチャーを示したかを判断する。この判断は、ユーザが示したジェスチャーがメモリ32にジェスチャーパターン32dとして記憶されている規定のジェスチャーの何れかと一致するか否かを判断することにより行う。そして、規定のジェスチャーパターンと一致するジェスチャーをユーザが示した場合にそのジェスチャーを認識する。
【0096】
S36では、S34で認識した規定のジェスチャーパターンに対応した操作内容を表示部33に表示する。これにより、ユーザは、自分が示したジェスチャーが正しく認識されたか否かを確認することができる。S38では、S34で認識した規定のジェスチャーパターンに対応した操作指令を生成する。例えば、ユーザが、「エアコンオン」を示すジェスチャー(ジェスチャーパターン32dとして記憶されているジェスチャー)を示してそれが正しく認識された場合は、車両1のエアコンを動作させるための、エアコンオンに対応した操作指令を生成する。S38の後はS48に進む。
【0097】
車両操作方法として音声が選択された場合に移行するS40では、マイク45による音声入力をスタンバイ状態に設定する。つまり、音声の入力及び認識を実行可能な状態とする。S42では、マイク45に入力されるユーザの音声に基づき、ユーザが規定の音声パターンに対応した言葉を喋ったかを判断する。この判断は、ユーザが喋った言葉がメモリ32に音声パターン32cとして記憶されている言葉の何れかと一致するか否かを判断することにより行う。そして、規定の音声パターンに対応した言葉をユーザが喋った場合にその音声パターンを認識する。
【0098】
S44では、S42で認識した規定の音声パターンに対応した操作内容を表示部33に表示する。これにより、ユーザは、自分が喋った言葉が正しく認識されたか否かを確認することができる。S46では、S42で認識した規定の音声パターンに対応した操作指令を生成する。例えば、ユーザが、「ドアミラー閉」を示す言葉(音声パターン32cとして記憶されている言葉)を喋ってそれが正しく認識された場合は、車両1のドアミラー18を閉動作させるための、ドアミラー閉に対応した操作指令を生成する。S46の後はS48に進む。
【0099】
S48では、S30,S38,又はS46で生成した操作指令と、ユーザIDと、端末IDと、スマートフォン3の位置情報とを、第1通信にて電子キー2へ送信する。スマートフォン3の位置情報とは、GPS受信部37で受信された情報に基づいて検出される位置情報(GPS情報)である。なお、GPS情報以外に、スマートフォン3の現在位置を示す情報を取得できる場合には、その情報を位置情報として送信してもよい。
【0100】
S50では、電子キー2から第1通信にてエラー通知を受信したか否か判断する。なお、スマートフォン3が電子キー2から受信する可能性のあるエラー通知には、後述するように、第1エラー通知(図10のS120参照)、第2エラー通知(同S136参照)、第3エラー通知(同S140参照)、及び第4エラー通知(同S144)がある。
【0101】
電子キー2からエラー通知を受信していない場合は(S50:NO)、S54に進む。電子キー2から何れかのエラー通知を受信した場合は(S50:YES)、S52で、表示部33に所定のエラー表示を行って、S58に進む。S52で表示させるエラー表示は、共通の表示内容であってもよいし、4種類のエラー通知毎に異なる表示内容であってもよい。
【0102】
S54では、電子キー2から中継完了信号を受信したか否か判断する。この中継完了信号は、後述する図10のS146で電子キー2から送信される信号である。電子キー2から中継完了信号を受信した場合は(S54:YES)、S58に進む。電子キー2から中継完了信号を受信しなかった場合は(S54:NO)、S56で、通信異常情報を表示部33に表示させる。
【0103】
S48の送信処理に対して電子キー2からエラー通知も中継完了信号も受信されないということは、スマートフォン3と電子キー2とが正常に通信できない状態になっていることが考えられる。そこで、S56の通信異常情報は、スマートフォン3と電子キー2とが正常に通信できない状態であることをユーザに報知するための情報である。
【0104】
なお、別の例として、例えばBT通信を利用して、スマートフォン3と電子キー2とが互いに近い距離に存在しているか否か(つまり互いにBT通信が可能か否か)判断し、一旦近い距離に存在していると判断した後、近い距離に存在しなくなった場合は、その旨(即ちスマートフォン3と電子キー2とが離された旨)をユーザに画像又は音声によって報知するようにしてもよい。
【0105】
S58では、ユーザによる、車両操作アプリ32aを終了させるための所定の終了操作がなされたか否か判断する。終了操作がなされていない場合は(S58:NO)、S22に戻る。終了操作がなされた場合は(S58:YES)、車両操作アプリ32aを終了する。
【0106】
(6)電子キー2における電子キー制御処理の説明
次に、遠隔制御機能を実現するために電子キー2にて実行される電子キー制御処理につ
いて、図9を用いて説明する。電子キー制御処理のプログラムは、電子キー2のメモリ52に記憶されている。電子キー2の制御部51は(詳しくは、図9に示す電子キー制御処理を所定の制御周期で繰り返し実行する。
【0107】
電子キー2の制御部51は、電子キー制御処理を開始すると、S102で、車両1からスマート通信にて送信されたリクエスト信号を受信したか否か判断する。車両1からのリクエスト信号を受信していない場合は(S102:NO)、S106に進む。車両1からのリクエスト信号を受信した場合は(S102:YES)、S104で、応答処理を実行して、S106に進む。S104の応答処理は、車両1へスマート通信にて(つまり送信部53から)応答信号及びユーザIDを送信する処理である。
【0108】
S106では、スマートフォン3から第1通信にて認証要求信号を受信したか否か判断する。認証要求信号を受信していない場合は(S106:NO)、S114に進む。認証要求信号を受信した場合は(S106:YES)、S108で、認証要求信号に含まれているユーザIDと電子キー2が記憶しているユーザIDとが一致するか否かの判断(つまりユーザID照合)を行う。
【0109】
ユーザID照合の結果、両ユーザIDが一致しないと判断した場合は(S108:NO)、S112に進む。S112では、スマートフォン3へ第1通信にて操作拒否信号を送信する。S112の処理後はS114に進む。ユーザID照合の結果、両ユーザIDが一致した場合は(S108:YES)、S110に進む。S110では、スマートフォン3へ第1通信にて操作許可信号を送信する。S110の処理後はS114に進む。
【0110】
S114では、スマートフォン3から第1通信にてデータを受信したか否か判断する。なお、ここでいうデータとは、図7のS48で送信される操作指令、ユーザID、端末ID、及びスマートフォン3の位置情報を意味する。スマートフォン3から第1通信にてデータを受信していない場合は(S114:NO)、電子キー制御処理を終了する。スマートフォン3から第1通信にてデータを受信した場合は(S114:YES)、S116の中継処理に進む。
【0111】
S116の中継処理の詳細は図10に示す通りである。図10に示すように、中継処理に進むと、S118で、スマートフォン3から受信したデータに含まれているユーザIDと、電子キー2が記憶しているユーザIDとが一致するか否かの判断(つまりユーザID照合)を行う。ユーザID照合の結果、両ユーザIDが一致しないと判断した場合は(S118:NO)、S120で、スマートフォン3へ第1通信にて第1エラー通知を送信して、電子キー制御処理を終了する。ユーザID照合の結果、両ユーザIDが一致すると判断した場合は(S118:YES)、S122に進む。
【0112】
S122では、受信したデータ中の操作指令が、電子キー制御指令であるか否か判断する。電子キー制御指令は、既述の通り、操作メニュー画面48(図3参照)において「電子キー制御」アイコンが選択された場合に送信される操作指令である。操作指令が電子キー制御指令ではない場合は(S122:NO)、S126に進む。操作指令が電子キー制御指令であった場合は(S122:YES)、S124で、指令対応処理を実行する。
【0113】
指令対応処理の具体的な内容は、適宜決めることができる。例えば、電子キー2の機能の一部(例えば車両1からのリクエスト信号に対する応答処理)を停止させたり、電子キー2の機能の全てを停止させたりすることができる。また例えば、電子キー2から電子キー2の動作状態を送信させることもできる。具体的には、電子キー2のバッテリ59の残量(以下「電池残量」ともいう)を送信させたり、電子キー2が車両1の検知エリア内に存在しているか否かの情報を送信させたりすることができる。
【0114】
S126では、スマートフォン3から受信したデータに含まれている操作指令に対応した操作コマンドを生成する。例えば、ドアミラー閉を示す操作指令を受信した場合には、ドアミラー閉を示す操作コマンドを生成する。
【0115】
S128では、電子キー2が車両1の検知エリア内に存在しているか否かを判断する。具体的には、受信部54にて車両1からのリクエスト信号が受信されるか否かに基づき、受信されていない場合は検知エリア外に存在していると判断し、受信されている場合は検知エリア内に存在していると判断する。
【0116】
電子キー2が車両1の検知エリア内に存在している場合は(S128:YES)、S130に進む。S130では、S126で生成した操作コマンドと、スマートフォン3からの受信データに含まれているユーザID、端末ID、及びスマートフォン3の位置情報を、車両1へスマート通信にて送信する。その送信後はS138に進む。
【0117】
電子キー2が車両1の検知エリア内に存在していない場合は(S128:NO)、S132で、スマートフォン3による車両1の遠隔操作が許可されているか否か判断する。遠隔操作が許可されているか否かは、電子キー2のメモリ52に記憶されている遠隔操作可否情報に基づいて判断する。遠隔操作を許可するか否かは、車両1のユーザが任意に決めることができる。例えば、遠隔操作を望まない(或いは利用しない)ユーザは、車両1の購入時にディーラーにて、遠隔操作を許可しない旨の遠隔操作可否情報を電子キー2に記憶してもらうことができる。ただし、電子キー2に記憶されている遠隔操作可否情報は、電子キー2に記憶されているユーザIDと同じユーザIDを持つスマートフォン3から任意に変更することができる。
【0118】
なお、遠隔操作可否情報は、必ずしも電子キー2が持つ必要はなく、スマートフォン3が持つようにして、スマートフォン3から送信してもらうようにしてもよい。また、スマートフォン3が遠隔操作可否情報を持っている場合に、その遠隔操作可否情報が遠隔操作を許可しない旨の情報であるならば、スマートフォン3は操作指令の送信を行わないようにしてもよい。
【0119】
S132で、遠隔操作が許可されていない場合は(S132:NO)、S136で、スマートフォン3へ第1通信にて第2エラー通知を送信して、電子キー制御処理を終了する。S132で、遠隔操作が許可されている場合は(S132:YES)、S134で、S126で生成した操作コマンドと、スマートフォン3からの受信データに含まれているユーザID、端末ID、及びスマートフォン3の位置情報を、車両1へ第2通信にて送信する。その送信後はS138に進む。
【0120】
S138では、車両1からID不一致通知を受信したか否か判断する。ID不一致通知は、S130又はS134で車両1に送信したユーザIDと車両1のユーザIDとが一致しなかった場合に車両1からスマート通信又は第2通信にて送信されてくる。
【0121】
S138で、車両1からID不一致通知を受信した場合は(S138:YES)、S140で、スマートフォン3へ第1通信にて第3エラー通知を送信して、電子キー制御処理を終了する。S138で、車両1からID不一致通知を受信していない場合は(S138:NO)、S142に進む。
【0122】
S142では、車両1から不許可通知を受信したか否か判断する。不許可通知は、S130又はS134で車両1に送信した操作コマンドに対応した操作項目の機能が車両1において実行できないと判断された場合に、車両1からスマート通信又は第2通信にて送信
されてくる。
【0123】
S142で、車両1から不許可通知を受信した場合は(S142:YES)、S144で、スマートフォン3へ第1通信にて第4エラー通知を送信して、電子キー制御処理を終了する。S142で、車両1から不許可知を受信していない場合は(S142:NO)、S146で、スマートフォン3へ第1通信にて中継完了信号を送信する。
【0124】
(7)車両1における遠隔制御処理の説明
次に、遠隔制御機能を実現するために車両1にて実行される遠隔制御処理について、図11を用いて説明する。遠隔制御処理のプログラムは、車両1のメモリ25に記憶されている。車両1の制御部10は(詳しくは制御部10内のCPUは)、起動後、メモリ25から図11に示す遠隔制御処理のプログラムを読み込み、一定の制御周期で繰り返し実行する。
【0125】
車両1の制御部10は、遠隔制御処理を開始すると、S152で、各送信機4,5からスマート通信にてリクエスト信号を送信する。既述の通り、このリクエスト信号の送信により各検知エリア400,500が形成される。S154では、電子キー2からデータを受信したか否か判断する。なお、ここでいうデータとは、図9のS130又はS134で送信される操作コマンド、ユーザID、端末ID、及びスマートフォン3の位置情報、又は、リクエスト信号に対してスマート通信にて送信される応答信号及びユーザIDを意味する。電子キー2からスマート通信又は第2通信にてデータを受信していない場合は(S154:NO)、遠隔制御処理を終了する。電子キー2からスマート通信又は第2通信にてデータを受信した場合は(S154:YES)、S156に進む。
【0126】
S156では、電子キー2から受信したデータに含まれているユーザIDと、車両1のメモリ25に記憶されているユーザIDとが一致するか否かの判断(ユーザID照合)を行う。ユーザID照合の結果、両ユーザIDが一致しないと判断した場合は(S156:NO)、S158で、電子キー2へID不一致通知を送信し、遠隔制御処理を終了する。S158では、S156で不一致と判断された電子キー2のユーザIDがスマート通信にて受信されたものである場合には、スマート通信にてID不一致通知を送信する。また、S158では、S156で不一致と判断された電子キー2のユーザIDが第2通信にて受信されたものである場合には、第2通信にてID不一致通知を送信する。
【0127】
S156にて、両ユーザIDが一致すると判断した場合は(S156:YES)、S160に進む。S160では、電子キー2から受信したデータ(情報)が、操作コマンドであるかそれともリクエスト信号に対する応答信号であるかを判断する。
【0128】
電子キー2から受信した情報に、リクエスト信号に対する応答信号が含まれている場合は、S162で、所定の電子キー対応処理を実行して、遠隔制御処理を終了する。S162の電子キー対応処理は、例えばユーザがドアハンドルのタッチセンサに触れた場合に各ドア15をアンロックするといった、従来の電子キーシステムで行われている基本的な処理である。
【0129】
S160で、電子キー2から受信した情報に操作コマンドが含まれている場合は、S164で、その受信した操作コマンドに基づいて、実行すべき操作項目を把握する。S166では、機能制限確認処理を実行する。S166の機能制限確認処理の詳細は図12に示す通りである。
【0130】
図12に示すように、機能制限確認処理に移行すると、S202で、電子キー2からのデータ(図11のS154で肯定判定された根拠となる受信データ)はスマート通信にて
受信されたものであるか否か判断する。スマート通信で受信されたものではない場合(つまり第2通信で受信された場合)は(S202:N0)、S206に進む。スマート通信で受信されていないということは、電子キー2が車両1の各検知エリア400,500の外部に存在しているということである。
【0131】
電子キー2からのデータがスマート通信にて受信されたものである場合は(S202:YES)、S204で、電子キー2の存在位置(車両1の室内かそれとも室外か)を確認する。この確認は、応答信号に付加されている既述の識別信号に基づいて行うことができる。
【0132】
S206では、スマートフォン3の位置情報を取得する。スマートフォン3の位置情報は、操作コマンドと共に電子キー2から受信されているため、その受信データの中から取得することができる。S208では、自車位置情報(車両1自身の位置情報)を取得する。具体的には、GPS受信部9で受信された情報をもとに検出する。
【0133】
S210では、スマートフォン3の端末IDを取得する。
S212では、S208で取得した自車位置情報に基づく自車位置、S206で取得した位置情報に基づくスマートフォン3の位置、S210で取得した端末ID、及びS202~S204の処理で判断された電子キー2の位置に基づいて、操作コマンドにより指定された操作項目(つまりスマートフォン3から要求された操作内容)の機能に対する制限の有無を判断する。つまり、車両1、スマートフォン3、及び電子キー2の三者の位置関係に対し、指定された操作項目の機能を実行可能かそれとも制限(禁止)されているかそれとも一部制限されているかを判断する。この判断は、メモリ25に記憶されている機能制限情報25bに基づいて行うことができる。S212の処理後は、S168(図11)に進む。
【0134】
なお、三者の位置関係に加えて、端末IDに基づいて、指定された操作項目の機能を実行可能かそれとも制限(禁止)されているかそれとも一部制限されているかを判断するようにしてもよい。例えば、ある機能について、あるユーザが所有するスマートフォン3から指定された場合のみ実行し、他のスマートフォン3から指定された場合には実行しないようにしてもよい。どの端末IDに対してどのような制限をかけるか(或いは制限なしとするか)についても、機能制限情報25bとして予めメモリ25に記憶させておいてもよい。
【0135】
S168では、S166の機能制限確認処理の結果に基づいて、指定された操作項目の機能の実行が許可されているか否か判断する。指定された操作項目の機能の実行が許可されている場合は(S168:YES)、S170で、その指定された操作項目の機能を実行する。なお、許可されてはいるもののその機能の一部が制限されている場合には、制限されている範囲内で機能を実行する。
【0136】
S170において、指定された操作項目が、車両1の情報の取得要求であった場合は、その要求された情報を第1通信にてスマートフォン3へ送信する。図3に示したように、本実施形態では、スマートフォン3から電子キー2経由で車両1に対して、車両1の走行距離やメンテ情報、ダイアグ情報、車内温度、車室内画像情報などの各種情報を要求することができる。車両1は、スマートフォン3からの要求に応じて、車両1の各種情報を第1通信にてスマートフォン3へ送信する。
【0137】
指定された操作項目の機能の実行が許可されていない場合、つまりその機能の実行が制限(禁止)されている場合は(S168:NO)、S172に進む。S172では、電子キー2へ不許可通知を送信し、遠隔制御処理を終了する。S172では、操作コマンドが
スマート通信にて受信されたものである場合にはスマート通信にて不許可通知を送信し、操作コマンドが第2通信にて受信されたものである場合には第2通信にて不許可通知を送信する。
【0138】
ここで、スマートフォン3における車両操作アプリ32aの起動方法について補足説明する。スマートフォン3の車両操作アプリ32aは、ユーザ自らスマートフォン3に対して所定の起動操作を行うことで起動させることができるほか、スマートフォン3を電子キー2にかざすことによっても起動させることができる。
【0139】
即ち、スマートフォン3には、車両操作アプリ32aの一部として、又は車両操作アプリ32aと連携して動作する別のプログラムとして、タグ対応プログラムが記憶されている。そして、スマートフォン3の制御部31は、タグ対応プログラムを所定周期で繰り返し実行する。
【0140】
タグ対応プログラムにより実行されるタグ対応処理を、図13に示す。スマートフォン3の制御部31は、図13のタグ対応処理を開始すると、S252で、電子キー2のRFタグ63を検知したか否か判断する。即ち、タグリーダライタ47によって電子キー2のRFタグ63からユーザID及びアプリ起動要求を受信したか否か判断する。既述の通り、タグリーダライタ47と電子キー2とのデータ通信が開始され、電子キー2においてユーザID照合が一致すると、電子キー2のRFタグ63から、電子キー2のユーザID及びアプリ起動要求が送信される。S252の処理におけるRFタグ63の検知とは、換言すれば、電子キー2のRFタグ63から送信されるユーザID及びアプリ起動要求の受信を意味する。
【0141】
電子キー2のRFタグ63を検知していない場合(S252:NO)、即ちタグリーダライタ47にてRFタグ63からのユーザID及びアプリ起動要求が受信されていない場合は、S256に進む。
【0142】
電子キー2のRFタグ63を検知した場合(S252:YES)、即ちタグリーダライタ47にてRFタグ63からのユーザID及びアプリ起動要求が受信された場合は、S254で、ユーザID照合を行う。具体的に、受信したユーザIDと、スマートフォン3自身に記憶されているユーザIDとが一致するか否かのユーザID照合を行う。
【0143】
S256では、S254のユーザID照合の結果を判断する。ユーザID照合の結果、ユーザIDが一致すると判断した場合は(S256:YES)、S258で、アプリ起動処理を実行する。具体的に、車両操作アプリ32aを実質的に起動させる。実質的に起動させる、とは、図7に示すS10からの処理を開始させる、という意味である。これにより、ユーザから見れば、結果として、スマートフォン3を電子キー2にかざしただけで車両操作アプリ32aが自動的に起動されたことになる。ユーザID照合の結果、ユーザIDが一致しないと判断した場合は(S256:NO)、タグ対応処理を終了する。
【0144】
(8)第1実施形態の効果
以上説明した本第1実施形態の車両制御システムによれば、次の効果が得られる。
(a)ユーザは、スマートフォン3を操作することで、電子キー2を中継させて車両1を制御することができる。
【0145】
(b)具体的には、図3を用いて説明したように、スマートフォン3から、車両1に対して各種の動作を行わせたり、車両1から各種の情報を取得したりすることができる。
(c)ユーザは、車両1に対する操作項目を、様々な方法でスマートフォン3に入力することができる。具体的には、表示部33に操作メニュー画面48を表示させてその中か
らタップ操作により操作項目を指定できる。また、カメラ43の前で所望の操作項目に対応したジェスチャーを示すことによっても、その所望の操作項目を指定できる。また、所望の操作項目に対応した言葉をマイク45に向かって喋ることによっても、その所望の操作項目を指定できる。
【0146】
そのため、ユーザは、スマートフォン3に対して喋りながら車両1を移動させたり車両1の各部を動作させたりすることができる。また、スマートフォン3のカメラ43に向かってジェスチャーを示しながら車両1を移動させたり車両1の各部を動作させたりすることもできる。
【0147】
(d)ユーザは、車両1に乗車することなく、車両1の各部の動作を確認することができる。例えば、ヘッドライト20が正常に点灯するかどうかを、車両1の外部から容易に確認することができる。また例えば、車両1から降車した後、車両1の位置を移動させたい場合、車両1に再び乗り込むことなく移動させることができる。例えば、車両1をもう少し(数十cm)バックさせたい場合、車両1の外部から車両1を見ながら、車両1を制御して後方へ移動(微速後進)させることができる。また例えば、車両1から離れた場所から、車両1の車内温度を取得して、車内温度が高くなっている場合にはウィンドウ17を開けたりエアコン14を動作させたりすることもできる。
【0148】
(e)スマートフォン3から車両1を遠隔制御する際、指紋、音声、又は顔画像に基づいてユーザの認証が行われ、許可されているユーザのみ、車両1を遠隔制御することができる(図7のS10~S12)。そのため、不正な遠隔制御が行われることを抑止することができる。
【0149】
(f)電子キー2は、スマートフォン3から操作指令を受信した場合に、その操作指令と共に受信されるユーザIDが電子キー2のユーザIDと一致しなかった場合は、車両1へ操作コマンドを送信せず、スマートフォン3へエラーを通知する。さらに、車両1においても、電子キー2から操作コマンドを受信した場合に、その操作コマンドと共に受信されるユーザIDと車両1のユーザIDとの照合を行う。つまり、スマートフォン3、電子キー2、及び車両1の三者のユーザIDが全て一致した場合に、スマートフォン3から車両1を遠隔操作することができる。そのため、スマートフォン3による遠隔制御のセキュリティ性を高めることができる。
【0150】
(g)車両1、電子キー2、及びスマートフォン3の三者の位置によって、スマートフォン3から要求された操作内容の機能が禁止又は制限される。三者の位置関係がどのような場合にどのようにするか(許可するか、制限するか、禁止するか)、また制限する場合に具体的に何を制限するか、などについては、操作項目毎に、予め任意に設定することができる。そのため、セキュリティ性能をより高めることができる。
【0151】
(h)電子キー2は、無線通信方式として、従来の電子キーシステムが備えるスマート通信だけでなく、第1通信、第2通信、BT通信などの各種の通信方式を具備している。そのため、電子キー2が車両1の各検知エリア400,500の外部に存在していても、第2通信によって車両1と通信を行うことができる。つまり、電子キー2及びスマートフォン3を持ったユーザが車両1の各検知エリア400,500の外にいても、その外から車両1を遠隔制御することができる。
【0152】
(j)電子キー2のバッテリ59が消耗した場合、スマートフォン3から非接触方式にて電力を受電して、バッテリ59を充電したり、電子キー2を動作させたりすることができる。また、電子キー2は電源入力ジャック62を備えており、この電源入力ジャック62から電力を受電することもできる(図5参照)。なお、本実施形態の電子キー2は、上
記のように、バッテリ59が消耗しても、各種の手段によって外部から電力供給を受けて動作させることができる。そのため、従来の一般的な電子キーが備えているメカニカルキーは、本実施形態の電子キー2は備えていない。ただしもちろん、電子キー2にメカニカルキーが内蔵されていてもよい。
【0153】
なお、スマートフォン3は、本発明の通信端末の一例に相当する。図3に例示した操作メニュー画面48において選択可能な処理、即ち車両1に対して電子キー2を中継して要求可能な処理は、本発明の特定の処理の一例に相当する。スマートフォン3のタッチパネル34、カメラ43、及びマイク45は本発明の指定入力部の一例に相当する。スマートフォン3の第1通信部35は本発明の指令送信部の一例に相当する。スマートフォン3のメモリ32は本発明の端末側記憶部の一例に相当し、そのメモリ32に記憶されているユーザIDは本発明の端末側固有情報の一例に相当する。スマートフォン3から電子キー2へ送信される操作指令は本発明の処理指令の一例に相当し、電子キー2から車両1へ送信される操作コマンドは本発明の処理コマンドの一例に相当する。図8において、S28,S34,S42の処理は本発明の指定入力部の処理の一例に相当し、S48の処理は本発明の指令送信部の処理の一例に相当する。
【0154】
また、電子キー2のメモリ52は本発明のキー側記憶部の一例に相当し、そのメモリ52に記憶されているユーザIDは本発明のキー側固有情報の一例に相当する。図10において、S118の処理は本発明の固有情報判断部の処理の一例に相当し、S130,S134の処理は本発明のコマンド送信部の処理の一例に相当する。
【0155】
なお、本実施形態では、本発明の指定入力部の一例として、タッチパネル34、カメラ43、及びマイク45を例示したが、これらはあくまでも一例である。車両1に実行させたい処理をユーザがスマートフォン3に対して指定することができる(ひいてはその入力された処理を示す操作指令をスマートフォン3が電子キー2へ送信できる)限り、具体的にどのような方法、どのような入力インタフェースを用いて指定できるようにするかについては適宜決めることができる。
【0156】
[第2実施形態]
第2実施形態の車両制御システムについて、図14及び図15を用いて説明する。本第2実施形態の車両制御システムは、電子キーから車両1(図6)を直接制御することができるシステムである。
【0157】
即ち、本第2実施形態では、車両1を遠隔制御するにあたり、電子キー以外の他の通信機器は不要である。一方、本第2実施形態では、電子キーから車両1を遠隔操作するために、電子キーの構成が第1実施形態の電子キー2とは異なる。
【0158】
図14を用いて、本第2実施形態の電子キー2の構成を説明する。図14に示すように、本第2実施形態の電子キー80は、制御部81と、メモリ82と、マイク83と、音声処理部84と、表示部85と、操作入力部86と、送信部53と、受信部54と、バッテリ59と、レギュレータ60と、非接触受給電部61と、電源入力ジャック62とを備える。このうち送信部53、受信部54、バッテリ59、レギュレータ60、非接触受給電部61、及び電源入力ジャック62については、第1実施形態の電子キー2と同じであるため、説明を省略する。
【0159】
マイク83及び音声処理部84は、第1実施形態ではスマートフォン3に搭載されていたものであり、本第2実施形態では電子キー80に搭載されている。マイク83は、外部の音声を電気信号に変換する。音声処理部84は、マイク83にて集音されて電気信号に変換された音声信号をデジタルの音声データに処理して制御部81へ出力する。制御部8
1は、音声処理部84から入力される音声データに基づいて、マイク83で集音された音声の内容を認識できる。
【0160】
表示部85は、各種画像や情報を表示可能な表示デバイス(例えば液晶ディスプレイ)である。操作入力部86は、ユーザによる入力操作を受け付け可能な入力デバイスである。操作入力部86の具体的構成としては、例えば押しボタン式のスイッチが挙げられる。操作入力部86としてタッチパネルを備えていてもよい。
【0161】
制御部81は、図示しないCPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータを含む。制御部81は、当該制御部81に接続されている各部を含む、電子キー80内の各種回路、機能ブロックを制御する。後述する電子キー制御処理(図15参照)は制御部81のCPUにより実行される。
【0162】
メモリ82は、記憶内容を電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであり、本実施形態ではフラッシュメモリである。メモリ82には、各種のプログラムやデータが記憶されている。メモリ82に記憶されているデータには、車両操作メニューデータ82a、音声パターン82b、及びID情報82cが含まれる。
【0163】
ID情報82cは、第1実施形態の電子キー2におけるID情報52aと同じである。車両操作メニューデータ82aは、第1実施形態のスマートフォン3における車両操作メニューデータ32bと同じである。そのため、本第2実施形態では、電子キー80の表示部85に、図3で説明した操作メニュー画面48と同じように操作項目毎のアイコンが表示され、その中からユーザが所望の操作項目を選択することができる。音声パターン82bは、第1実施形態のスマートフォン3における音声パターン32cと同じである。
【0164】
なお、本実施形態の電子キー80の表示部85は、第1実施形態のスマートフォン3の表示部33よりも表示領域の面積が小さい。そのため、表示部85に同時に表示可能なアイコンの数は、図3に示した操作メニュー画面48のアイコンの数よりも少ない。また、表示部85に表示させる情報(操作項目を選択させるための、操作項目毎の画像情報)は、必ずしもアイコンでなくてもよく、例えば操作項目を示すテキストであってもよい。ユーザが所望の操作項目を選択できる限り、どのような画像情報を表示部85に表示させるかについては適宜決めることができる。
【0165】
このように、本第2実施形態の電子キー80は、送信部53及び受信部54による車両1との無線通信(即ちスマート通信)は可能であるが、それ以外の他の無線通信機能は備えていない。そのため、本第2実施形態において、電子キー80から車両1を遠隔操作できるのは、電子キー80と車両1がスマート通信にてデータ通信を実行できる場合、即ち電子キー80が車両1の各検知エリア400,500内に存在している場合である。
【0166】
このように構成された電子キー80において、制御部81が実行する電子キー制御処理について、図15を用いて説明する。電子キー80の制御部81は、図15に示す電子キー制御処理を所定の制御周期で繰り返し実行する。
【0167】
電子キー80の制御部81は、電子キー制御処理を開始すると、S302で、車両1からリクエスト信号を受信したか否か判断する。リクエスト信号を受信していない場合は(S302:NO)、電子キー制御処理を終了する。
【0168】
車両1からリクエスト信号を受信した場合は(S302:YES)、S304で、表示部85に車両操作スタンバイ表示を行う。即ち、電子キー80から車両1を制御できる旨の表示を行う。S306では、ユーザによって音声入力要求操作がなされたか否か判断す
る。ユーザは、電子キー80から車両1を遠隔操作する際に、操作内容を操作入力部86を操作することによって指定(選択)するか、それとも音声にて指定するかを選択することができる。音声によって操作内容を指定したい場合には、操作入力部86を介して所定の音声入力要求操作を行うことで、音声による操作内容の指定を行うことができるようになる。
【0169】
S306で、音声入力要求操作がなされていない場合は(S306:NO)、S308に進む。S308では、表示部85に操作メニューリストを表示する。操作メニューリストは、操作項目を示す情報画像(例えばアイコン又はテキスト)がリストアップされたものである。
【0170】
S310では、S308でリストアップされた各操作項目の中から特定の操作項目の選択入力がなされたか否か判断する。操作項目の選択入力がなされていない場合は(S310:NO)、S306に戻る。操作項目の選択入力がなされた場合は(S310:YES)、S312に進む。S312では、選択された操作項目に対応した操作コマンドを生成して、S314に進む。
【0171】
S306で、音声入力要求操作がなされた場合は(S306:YES)、S316に進む。S316では、マイク83による音声入力をスタンバイ状態に設定する。つまり、音声の入力及び認識を実行可能な状態とする。S318では、マイク83から音声が入力されたか否か判断する。音声が入力されていない場合は(S318:NO)、S320で、S316で音声入力がスタンバイ状態に設定されてから一定時間経過したか否か判断する。一定時間経過していない場合はS318に戻り、一定時間経過した場合はS302に戻る。
【0172】
S318で、音声が入力された場合は(S318:YES)、S322で、マイク83に入力されたユーザの音声に基づき、ユーザが規定の音声パターンに対応した言葉を喋ったかを判断する。この判断は、ユーザが喋った言葉がメモリ82に音声パターン82bとして記憶されている言葉の何れかと一致するか否かを判断することにより行う。そして、規定の音声パターンに対応した言葉をユーザが喋った場合にその音声パターンを認識する。
【0173】
S324では、S322で認識した規定の音声パターンに対応した操作内容を表示部85に表示する。S326では、S322で認識した規定の音声パターンに対応した操作コマンドを生成する。S326の後はS314に進む。S314では、S312又はS326で生成した操作コマンドと、ユーザIDとを、スマート通信にて車両1へ送信する。
【0174】
一方、車両1では、本第2実施形態においても、図11に示した遠隔制御処理が実行される。そのため、電子キー80から送信された操作コマンド及びユーザIDが車両1で受信されると、車両1では、図11に示した遠隔制御処理に従って処理が実行され、操作コマンドにて指定された操作内容が実行される。ただし、第1実施形態と同様、ユーザID照合が一致しなかった場合には指定操作は実行されない。また、第1実施形態と同様、機能制限確認処理(図11のS166)にて指定操作が禁止又は制限されている場合には、その指定操作は実行されないか又は制限された範囲内で実行される。なお、本第2実施形態における機能制限確認処理では、電子キー80と車両1との二者間の位置関係に応じて、電子キー80から要求された操作内容の機能が禁止又は制限される。
【0175】
以上説明した本第2実施形態の車両制御システムによれば、次の効果が得られる。
(a)ユーザは、電子キー80を操作することで、電子キー80から車両1を遠隔制御することができる。これにより、ユーザは、車両1に乗車することなく、車両1の各部の
動作を確認することができる。
【0176】
(b)ユーザは、車両1に対する操作項目を、様々な方法で電子キー80に入力することができる。具体的には、表示部85に操作メニューリストを表示させてその中から操作項目を指定できる。また、所望の操作項目に対応した言葉をマイク83に向かって喋ることによっても、その所望の操作項目を指定できる。そのため、ユーザは、電子キー80に対して喋りながら車両1を移動させたり車両1の各部を動作させたりすることができる。なお、電子キー80にカメラを搭載して、第1実施形態と同様、ジェスチャーによって操作項目を指定できるようにしてもよい。
【0177】
[他の実施形態]
(1)第1実施形態では、スマートフォン3から電子キー2経由で車両1を操作可能な車両制御システムを示したが、スマートフォン3から電子キー2を中継することなく直接車両1を操作できるようにしてもよい。
【0178】
具体的には、図7に示したスマートフォン3の車両操作アプリ32aのフローチャートにおいて、S14では電子キー2に代えて車両1へ認証要求信号を送信し、S16では、車両1から操作許可信号を受信したか否か判断するようにしてもよい。そして、S16で車両1から操作許可信号を受信したと判断した場合は、スマートフォン3は、図15のS304以降の処理を実行するようにしてもよい。なおその場合、S314では、スマート通信ではなく例えば第1通信或いは他の通信方式にて操作コマンド及びユーザIDを車両1へ送信するようにしてもよい。
【0179】
そして、車両1においては、スマートフォン3から送信された操作コマンド及びユーザIDを受信した場合、まず、ユーザIDに基づくユーザ認証を行うようにしてもよい。そして、ユーザ認証の結果、正規ユーザからの操作コマンドであると判断した場合に、操作コマンドが示す操作項目を実行するようにしてもよい。また、ユーザ認証に失敗した場合は、スマートフォン3へ操作拒否信号を送信して、スマートフォン3からの遠隔操作を受け付けられない旨を知らせるようにしてもよい。
【0180】
スマートフォンから電子キーを中継することなく直接車両1を操作可能な構成例として、例えば、図14に示した第2実施形態の電子キー80の構成及び機能のうちの一部又は全てをスマートフォンに持たせる構成を採用してもよい。
【0181】
(2)第2実施形態において、電子キー80は、無線通信機能として従来の電子キーと同じスマート通信機能のみ備えた構成であったが、スマート通信以外の他の方式の無線通信を可能な構成としてもよい。例えば、スマート通信のほかに第1実施形態で説明した第1通信、第2通信、又はBT通信、或いはその他の通信方式の無線通信などのうち少なくとも1つの通信機能を備えていてもよい。
【0182】
そして、スマート通信以外の他の通信方式の無線通信機能を備えることで、電子キー80が車両1の検知エリア外に存在していても、電子キー80から車両1を遠隔操作できるようにしてもよい。
【0183】
(3)第2実施形態において、電子キー80から車両1を遠隔制御する際、第1実施形態のスマートフォン3と同様に、指紋、音声、又は顔画像に基づいてユーザの認証を行うようにしてもよい。
【0184】
(4)車両操作メニューデータ32bの内容、即ち車両1に対する遠隔制御可能な内容として、図3に示した複数の操作項目は、あくまでも一例である。遠隔制御可能な操作項
目の内容は、適宜決めることができる。
【0185】
(5)スマートフォン3、電子キー2、及び車両1のそれぞれにおいて実行可能な無線通信の方式は適宜決めることができる。また、スマートフォン3と電子キー2との二者間通信、電子キー2と車両1との二者間通信をそれぞれどの通信方式を用いて行うかについても、適宜決めることができる。
【0186】
(6)第1実施形態において、電子キー2とスマートフォン3とのBT通信におけるペアリング情報を用いて、スマートフォン3のユーザを車両1が認識できるようにしてもよい。即ち、電子キー2にてスマートフォン3から操作指令が受信された際、電子キー2がスマートフォン3との間でBT通信を試み、BT通信が可能な場合は、両者間のペアリング情報に基づいてスマートフォン3のユーザ情報を取得する。そして、電子キー2は、車両1へ操作コマンドを送信する際、取得したユーザ情報も付加して送信する。
【0187】
これにより、車両1は、どのユーザから遠隔操作の要求がなされたかを認識することができ、ユーザ毎に異なる制御を実行することが可能となる。例えば、ユーザに応じて機能制限をかけたり、逆にユーザに応じて機能を拡張したりすることができる。また、同じ機能であってもユーザ毎に細かい内容を異ならせることができる。
【0188】
(7)車両にカメラ又はマイクを搭載して、車両外部からユーザがその車載カメラに対してジェスチャーを示すか又は車載マイクに喋りかけることで、車両に対する操作を指示できるようにしてもよい。
【0189】
その際、まずユーザがスマートフォン3を操作して車両外部から車両を遠隔操作する旨を示す遠隔操作開始情報を車両1に対して直接又は電子キー2を中継して、車両1へ送信するようにし、車両1はその遠隔操作開始情報を受信した場合に、遠隔操作を受け付けるべく、車載カメラ又は車載マイクを起動させるようにしてもよい。或いは、スマートフォン3を介在させず電子キー2を操作することで電子キー2から車両1へ遠隔操作開始情報を送信するようにしてもよい。
【0190】
電子キー2は、車両1とスマート通信にて無線通信が可能な場合にのみ、遠隔操作開始情報を車両1へ送信するようにしてもよいし、車両1とスマート通信ができない場合には第2通信にて車両1へ遠隔操作開始情報を送信するようにしてもよい。
【0191】
車両1は、受け付け可能な操作項目に対応したジェスチャー及び音声を予めメモリに登録しておき、車載カメラ又は車載マイクにて入力されたジェスチャー又は音声がメモリに記憶されているものである場合に、そのジェスチャー又は音声に対応した処理を実行するようにしてもよい。
【0192】
このような構成により、車両1のユーザは、車両1の運転を終えて車両1から降りた後、例えば車両1をもう少し後ろに(或いは前に)動かしたいと思った場合、車両1に対して「微速後進」(或いは「微速前進」)を示すジェスチャーを示すか又は音声を発することで、車両1に再び乗り込むことなく車両1を動かすことができる。しかも、車外から遠隔操作できることで、車両1とその周囲との相対的位置関係を確認しながら車両1を適切に動かすことができる。
【0193】
さらに、電子キー2と車両1との相対的位置関係をリアルタイムに検出する機能を設け、車両1が電子キー2に追従して移動できるようにしてもよい。例えば、車両1の前方に電子キー2を持って行って、車両1を微速前進させる指令を出すと、車両1が自動的に電子キー2に向かって走行を始める。そして、電子キー2との距離が所定距離以内になると
自動で停止する。その後ユーザが電子キー2を車両1から離すと、車両1は再び電子キー2に向かって走行を始める。後進の場合も同様である。
【0194】
本構成の場合も、電子キー2と車両1との間で認証を行って、認証が成功した場合に、車両1を遠隔操作できるようにしてもよい。また、スマートフォン3、電子キー2、及び車両1の3者間で認証を行って、認証が成功した場合に、車両1を遠隔操作できるようにしてもよい。
【0195】
(8)ユーザが車両1に乗って運転している間、その運転中の各種情報を学習情報として収集して、ユーザが降車する際にその学習情報をユーザのスマートフォン3に転送するようにしてもよい。そして、ユーザが再び車両1に乗ったとき、或いは車両1以外の他の車両1に乗ったときに、スマートフォン3に記憶されている学習情報をその乗り込んだ車両に送信して、学習情報を反映させるようにしてもよい。
【0196】
学習情報としては、例えば、ユーザにより調整されたシートポジションやステアリングポジション、ルームミラーの角度、ドアミラーの角度、オーディオ装置の操作内容などが挙げられる。
【0197】
このような機能は、例えば、1つの車両を多数のユーザで共有するいわゆるカーシェアリングサービスなどに適用すると便利である。ユーザは、自分が運転していたときの各種情報を学習情報としてスマートフォン3に取り込んでおき、再び運転する際にその学習情報を車両に展開することで、自分の好みにあったセッティングを自動的且つ迅速に実現することができる。つまり、他のユーザに共有される車両でありながら、あたかも自分のみが使用している車両であるかのように車両を感じ、扱うことができる。
【0198】
(9)スマートフォン3と車両1が直接通信可能な場合、車両1から適宜、スマートフォン3へ情報を発信するようにしてもよい。例えば、電子キー2が車両1の検知エリア400,500から離れた場合に、車両1のドアが開いていたり、全ドアがロックされていなかったり、特定の電装品(例えばヘッドライト、室内灯など)が動作中であったり、異常な挙動が検知されたりした場合に、その旨をスマートフォン3に通知するようにしてもよい。また、例えば車両1が走行用駆動源としてモータを備えた車両であって、モータ駆動用のバッテリを外部から充電可能な場合、充電が完了したらその旨をスマートフォン3に通知するようにしてもよい。
【0199】
車両1からスマートフォン3への情報発信のより具体的な例を、図16及び図17を用いて説明する。図16及び図17に示す例は、車両1の位置情報をスマートフォン3へ通知したり、車両1において異常発生が検知された場合にその旨をスマートフォン3へ通知したりすることが可能な例である。
【0200】
車両1の制御部10は、図16の車両情報通知処理を所定周期で繰り返し実行する。また、スマートフォン3の制御部31は、図17の車両情報表示処理を所定周期で繰り返し実行する。
【0201】
まず、図16の車両情報通知処理について説明する。なお、前提として、上記各実施形態と同様、車両1の各送信機4,5からは、スマート通信にて周期的にリクエスト信号が送信される。
【0202】
車両1の制御部10は、図16の車両情報通知処理を開始すると、S404で、リクエスト信号に対する電子キー2からの応答信号を受信したか否か判断する。応答信号を受信していない場合は(S404:NO)、S416に進む。応答信号を受信した場合は(S
404:YES)、S406に進む。
【0203】
S406では、電子キー2の操作によって、或いはスマートフォン3から電子キー2経由での操作指令によって、ドアロックの開閉操作がなされたか否か判断する。ドアロックの開閉動作がなされていない場合は(S406:NO)、S404に戻る。ドアロックの開閉操作がなされた場合は(S406:YES)、S408に進む。
【0204】
S408では、S404と同様、リクエスト信号に対する電子キー2からの応答信号を受信したか否か判断する。応答信号を受信している間はこの判断を繰り返す。応答信号を受信しなくなった場合は(S408:NO)、S410に進む。
【0205】
S410では、ドアロックが全閉されているか否か、即ち全てのドア15のドアロックが閉じられているか否か判断する。ドアロックが全閉されていない場合は(S410:NO)、S416に進む。ドアロックが全閉されている場合は(S410:YES)、S412に進む。S410でドアロックが全閉されていると判断されたということは、即ち、一旦電子キー2が車両1の検知エリア内に入ってきて電子キー2経由でドアロックの開閉操作が行われ、その後、ドアロックが全閉された状態で電子キー2が車両1の検知エリアから離れたということである。そのような状況は、例えば、車両1のユーザが車両1を駐車場に駐車させて車両1から離れて行った場合に生じ得る。
【0206】
S412では、GPS受信部9で受信された情報をもとに車両位置情報(車両1の現在位置を示す情報)を取得する。S414では、S412で取得した車両位置情報を、スマートフォン3へ第1通信にて送信する。これにより、スマートフォン3のユーザは、例えば駐車場に車両1を駐車させて車両1から離れていっても、車両1がどこに駐車されているのかを、車両1から送信される車両位置情報に基づいて容易に知ることができる。
【0207】
S416では、車両1において異常が検知されたか否か判断する。車両1においては、各種の異常を検知する機能が備えられている。例えば、車両1には、加速度センサ或いは振動センサなどの、車両1に対する外部からの衝撃を検知可能なセンサが搭載されている。車両1の制御部10は、そのセンサからの検出信号に基づいて、車両1に対する外部からの衝撃の有無を検知し、衝撃を検知した場合は、車両1に対するいたずらや盗難などの不正行為がなされた可能性があると判断して、異常発生を検知する。また、車室内カメラ24を定期的に動作させてその撮影画像を解析し、例えば車室内の侵入者を検知したり、車両周辺の不審人物(例えば車室内をのぞき込んでいる人物)を検知したりした場合にも、異常が発生していると判断してもよい。その他、例えば車載バッテリの電圧低下やオイル漏れなどの車両1の機能上の異常を検知可能であってもよい。
【0208】
S416で、車両1の異常が検知されていない場合は(S416:NO)、車両情報通知処理を終了する。車両1の異常が検知された場合は(S416:YES)、S418に進む。S418では、車両1において異常が検知されたこと及びその検知された異常の内容を示す異常情報を、第1通信にてスマートフォン3へ送信する。
【0209】
次に、図17の車両情報表示処理について説明する。スマートフォン3の制御部31は、図17の車両情報表示処理を開始すると、S452で、第1通信にて車両1からデータを受信したか否か判断する。車両1からデータを受信していない場合は(S452:NO)、S464で、車両位置情報を表示させるための所定のユーザ操作がなされたか否か判断する。車両位置情報を表示させるための所定のユーザ操作がなされていない場合は(S464:NO)、車両情報表示処理を終了する。車両位置情報を表示させるための所定のユーザ操作がなされた場合は(S464:YES)、S466に進む。
【0210】
S466では、メモリ32に記憶されている車両位置情報を表示部26に表示させる。これにより、ユーザは、車両1の位置を確認することができる。
S452で、車両1からデータを受信した場合は(S452:YES)、S454で、車両位置情報を受信したか否か(即ち受信したデータに車両位置情報が含まれているか否か)判断する。車両位置情報を受信した場合は(S454:YES)、S456で、受信した車両位置情報をメモリ32に記憶する。
【0211】
車両1から受信したデータに車両位置情報が含まれていない場合は(S454:NO)、S458で、異常情報を受信したか否か(即ち受信したデータに異常情報が含まれているか否か)判断する。異常情報を受信した場合は(S458:YES)、S460で、受信した異常情報を表示部26に表示させる。これにより、ユーザは、車両1において異常が検知されたこと及びその異常の内容を知ることができる。
【0212】
車両1から受信したデータに異常情報が含まれていない場合は(S458:NO)、S462で、受信したデータに基づく所定の受信対応処理を行う。
(10)車両1からスマートフォン3へ提供可能な各種情報の種類は、図3を用いて説明した各情報に限定されない。図3を用いて説明した各情報のほか、例えば、車両1の総走行距離、バッテリ残量、燃料残量、エンジンオイルやその他の各種オイルを交換した日の情報、そのオイル交換時の車両1の総走行距離など、各種の情報を、車両情報としてスマートフォン3へ提供可能であってもよい。
【0213】
そして、その車両情報を、特定のタイミングで車両1から直接又は電子キー2経由でスマートフォン3へ提供可能であってもよい。電子キー2経由で車両情報を提供可能な場合は、車両情報だけでなく、電子キー2の情報(例えば電子キー2の電池残量)も合わせてスマートフォン3へ提供可能であってもよい。
【0214】
上述した、スマートフォン3への各種情報の提供機能のより具体的な例を、図18及び図9を用いて説明する。電子キー2の制御部51は、図18のシステム情報送信処理を所定周期で繰り返し実行する。また、スマートフォン3の制御部31は、図19のシステム状態通知処理を所定周期で繰り返し実行する。
【0215】
まず、図18のシステム情報送信処理について説明する。なお、車両1は、電子キー2からの車両情報要求に対して、当該車両1内における上述した車両情報を電子キー2へ送信可能に構成されている。
【0216】
電子キー2の制御部51は、図18のシステム情報送信処理を開始すると、S552で、車両1からリクエスト信号を受信したか否か判断する。リクエスト信号を受信した場合は(S552:YES)、S560で、情報通知フラグがセットされているか否か判断する。情報通知フラグは、リクエスト信号が継続して受信されている期間中に一度だけシステム情報(詳細は後述)をスマートフォン3へ送信するために用いられるフラグであり、S568でセットされ、S558でクリアされる。
【0217】
S560で、既に情報通知フラグがセットされている場合は(S560:YES)、システム情報送信処理を終了する。情報通知フラグがセットされていない場合は(S560:NO)、S562で、車両1に対して第1通信又は第2通信で車両情報を要求し、その要求に対する車両1からの車両情報を第1通信又は第2通信で取得する。
【0218】
S564では、電子キー2の電池残量を検出する。電子キー2は、バッテリ40の電圧やバッテリ40からの充放電履歴を定期的に監視し、それら監視結果に基づいて電池残量を検出可能に構成されている。
【0219】
S566では、S562で取得した車両情報、及びS564で検出した電池残量を含む情報を、車両1及び電子キー2の状態を示すシステム情報として、第1通信にてスマートフォン3へ送信する。そして、S568で情報通知フラグをセットして、システム情報送信処理を終了する。
【0220】
S552で、車両1からリクエスト信号を受信していない場合は(S552:NO)、S554で、情報通知フラグがクリアされているか否か判断する。情報通知フラグがクリアされている場合は(S554:YES)、システム情報送信処理を終了する。情報通知フラグがセットされている場合は(S554:NO)、S556に進む。
【0221】
S556では、車両1からリクエスト信号を一定期間以上継続して受信していない状態か否か判断する。リクエスト信号が受信されなくなってからまだ一定期間以上経過していない場合は(S556:NO)、システム情報送信処理を終了する。リクエスト信号が受信されなくなってから一定期間以上経過した場合は(S556:YES)、S558で、情報通知フラグをクリアして、システム情報送信処理を終了する。
【0222】
次に、図19のシステム状態通知処理について説明する。スマートフォン3の制御部31は、図19のシステム状態通知処理を開始すると、S502で、第1通信にて電子キー2からシステム情報を受信したか否か判断する。システム情報を受信していない場合は(S502:NO)、S512に進む。システム情報を受信した場合は(S502:YES)、S504で、その受信したシステム情報をメモリ32に記憶する。
【0223】
S506では、電子キー2からシステム情報が受信されたことをユーザに報知する。この報知は、例えば音声にて行ったり、表示部33に所定の受信報知情報を表示させたりすることによって行うことができる。スマートフォン3がいわゆるバイブレーション機能を備えている場合には、そのバイブレーション機能を利用して(即ちスマートフォン3本体に振動を発生させて)ユーザに報知するようにしてもよい。
【0224】
S508では、ユーザによる、システム情報を表示させるための所定の表示要求操作がなされたか否か判断する。表示要求操作がなされていない場合は(S508:NO)、S512に進む。表示要求操作がなされた場合は(S508:YES)、S510に進む。S510では、S504でメモリ32に記憶したシステム情報を表示部33に表示させる。これにより、ユーザは、最新のシステム情報を確認することができる。
【0225】
S512では、メモリ32に記憶されているシステム情報に基づいて、メンテナンスの要否を判定する。例えば、直近のオイル交換日から一定日数以上が経過していたり、直近のオイル交換時の総走行距離から一定距離以上走行していたり、燃料の残量が所定量以下であったり、電子キー2の電池残量が所定量以下であったりした場合は、メンテナンスが必要と判定する。
【0226】
S514では、S512の判定結果に基づき、メンテナンス必要項目があるか否か判断する。S512でメンテナンスが必要と判定されなかった場合は、メンテナンス必要項目がないと判断して(S514:NO)、システム状態通知処理を終了する。S512でメンテナンスが必要と判定された場合は、メンテナンス必要項目があると判断して(S514:YES)、S516に進む。
【0227】
S516では、メンテナンス情報を表示部33に表示させる。ここで表示させるメンテナンス情報は、メンテナンス必要項目に関する情報である。例えば、S512において、直近のオイル交換時の総走行距離から一定距離以上走行していると判断された場合、メン
テナンス必要項目はオイル交換となる。そのため、その場合は、メンテナンス情報として、オイル交換を行うべき旨の情報を表示部33に表示させる。その際、コイル交換を行うべき根拠(前回オイル交換時からの累積走行距離が一定距離を超えたこと)も併せて表示させるようにしてもよい。
【0228】
S518では、ユーザによる、メンテナンス方法のガイダンスの表示要求操作がなされたか否か判断する。ガイダンスの表示要求操作が成されていない場合は(S518:NO)、システム状態通知処理を終了する。ガイダンスの表示要求操作がなされた場合は(S518:YES)、S520で、ガイダンス処理を行う。ガイダンス処理は、メンテナンス必要項目について、具体的なメンテナンス方法をユーザに提供するための所定の処理である。
【0229】
なお、電子キー2からスマートフォン3へのシステム情報の送信タイミングは、図18に示したタイミングに限らず、適宜決めることができる。例えば、スマートフォン3から任意のタイミングで電子キー2に対してシステム情報を要求できるように構成し、電子キー2は、スマートフォン3からその要求を受けるとその都度最新のシステム情報を取得してスマートフォン3へ送信するようにしてもよい。そして、スマートフォン3においては、メモリ32に記憶されているシステム情報を任意のタイミングで表示部33に表示させることができるようにしてもよい。
【0230】
(11)上記第1実施形態のようにスマートフォン3から電子キー2経由で車両1を操作したり車両1から情報を取得したりできる機能と、上記第2実施形態のように電子キー2から直接車両1を操作したり車両1から情報を取得したりできる機能とを兼ね備えていても良い。
【0231】
その場合、スマートフォン3から操作等可能な機能と、電子キー2から直接操作等可能な機能とを、必ずしも完全に一致させなくてもよい。例えば、スマートフォン3から操作等可能な機能の種類を、電子キー2から直接操作等可能な機能の種類よりも少なくしてもよい。また例えば、特定の種類の機能(例えばドアロックを開けたり車両1を動かしたりするなどの、相対的に重要度が高い機能)についてはスマートフォン3からの操作を不可として電子キー2からのみ可能としてもよい。また例えば、電子キー2が車両1の検知エリア内に存在しているか否かをスマートフォン3が電子キー2から定期的に通知してもらい、その内容に応じて(即ち電子キー2と車両1との距離関係)に応じて、スマートフォン3から電子キー2経由で操作等可能な内容を変えても良い。
【0232】
(12)電子キー2と無線通信可能な通信端末として、上記実施形態で示したスマートフォン3はあくまでも一例である。スマートフォン3以外に、例えば、携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピュータなど、無線通信が可能なあらゆる種類の通信端末を用いることができる。
【0233】
(13)スマートフォンと車両とが直接データ通信可能な構成としてもよい。その場合、両者間のデータ通信を利用して様々なサービスをユーザに提供できるようにしてもよい。
【0234】
例えば、天気予報、道路交通情報、その他の各種情報をスマートフォンにて取得し、その取得した各情報の一部又は全てを、適宜、車両へ送信して車両の運転者に報知することが可能な、情報提供サービスを提供できるようにしてもよい。
【0235】
また例えば、車両において車両周囲の情報を取得し、その取得した情報を、適宜、スマートフォンへ送信することが可能な、車両周囲監視サービスを提供できるようにしてもよ
い。
【0236】
また例えば、スマートフォンにおいて、車両から当該車両の位置情報を取得し、その取得した位置情報に基づいてスマートフォンのユーザに車両の位置に関する情報を報知することが可能な、車両位置報知サービスを提供できるようにしてもよい。
【0237】
また例えば、車両において運転者の顔を撮影し、その撮影した顔画像の内容(即ち運転者の表情、延いては運転者が抱いている感情(喜怒哀楽など))に応じた情報を
スマートフォンのSNS(Social Networking Service )アプリに渡すことが可能な、SNS連携サービスを提供できるようにしてもよい。
【0238】
また例えば、運転者の体調を様々な角度から直接又は間接的に把握し、その把握した内容に応じて(即ち運転者の体調に応じて)その運転者による車両の運転を許可又は禁止することが可能な、運転可否判定サービスを提供できるようにしてもよい。
【0239】
以下、上述した各種サービスについて、より具体的に説明する。
(13-1)スマートフォンの構成
まず、上述した各種サービスを実現可能なスマートフォン110の構成について、図20を用いて説明する。図20に示すスマートフォン110は、図2に示した第1実施形態のスマートフォン3のハードウェア構成に加え、更に、モーションセンサ群50を備えている。また、制御部31には、RTC(リアルタイムクロック)31aが内蔵されている。制御部31は、RTC31aに基づいて現在時刻、日時などの情報を取得することができる。なお、このRTC31aは、図2に示した第1実施形態のスマートフォン3にも内蔵されている。
【0240】
モーションセンサ群50は、物体の動きや向きなどを検出可能な各種のセンサを少なくとも1つ含む。これら各種のセンサとしては、例えば、地磁気センサ、加速度センサ、ジャイロセンサなどがある。ここでは、モーションセンサ群50に、少なくとも、地磁気センサと加速度センサが含まれているものとして説明する。
【0241】
地磁気センサは、いわゆる電子コンパスとも呼ばれるセンサであり、方位を検知可能なセンサである。スマートフォン110の制御部31は、地磁気センサからの検出信号に基づいて、スマートフォン110を中心とする特定方向の方位を検出することができる。特定方向は適宜決めることができる。スマートフォン110は、略長方形状の薄板形状をなしている。よって、ここでは、一例として、スマートフォン110における、長方形状の板面に平行且つ長辺方向に平行であって、スマートフォン110の筐体内の特定位置を通る軸を特定軸として、特定位置から見た特定軸の一方の軸方向を、特定方向とする。
【0242】
加速度センサは、少なくとも3軸の加速度を検出可能である。スマートフォン110の制御部31は、加速度センサからの検出信号に基づいて、スマートフォン110の動き(3次元空間での動き)を検出可能である。また、制御部31は、加速度センサからの検出信号に基づいて、スマートフォン110の所持者の歩数を検出することができる。
【0243】
また、スマートフォン110のメモリ32には、第1実施形態での記憶内容(図2参照)に加え、更に、情報提供アプリ32g、周囲情報報知アプリ32h、車両位置報知アプリ32j、SNSアプリ32k、及び体調管理アプリ32m、の各アプリが記憶されている。なお、メモリ32には、周囲情報報知アプリが実行されることによって、前方映像データ32n及び盗難車両データ32pが記憶される。
【0244】
(13-2)車両の構成
次に、上述した各種サービスを実現可能な車両120の構成について、図21を用いて説明する。図21に示す車両120は、図6に示した第1実施形態の車両1のハードウェア構成に加え、更に、HUD(ヘッドアップディスプレイ)27と、前方カメラ28と、BT通信部30とを備えている。
【0245】
前方カメラ28は、車両120の前方を撮影可能なカメラである。前方カメラ28は、車両120において、前方を撮影可能な特定の位置(例えば車室内天井の前端)に取り付けられている。前方カメラ28は、予め設定した撮影条件が成立している場合に動作して撮影を行う。ここでは、少なくとも車両120が走行している間、常に動画の撮影を行っているものとする。前方カメラ28で撮影された動画のデータ(前方映像データ25h)は、メモリ25に記憶される。メモリ25に記憶される前方映像データ25hは、直近の数時間分の動画のデータである。なお、前方カメラ28による撮影が行われる期間やタイミング(即ち撮影条件)は適宜決めることができる。また、過去に撮影された動画のデータをいつまでメモリ25に記憶しておくか(即ち前方映像データ25hとして記憶しておくか)についても適宜決めることができる。
【0246】
また、車両120のメモリ25には、第1実施形態での記憶内容(図6参照)に加え、更に、スマホ情報報知プログラム25d、周囲監視プログラム25e、SNS連携プログラム25f、及び体調情報対応プログラム25g、の各プログラムが記憶されている。なお、メモリ25には、周囲監視プログラム25eが実行されることによって、前方映像データ25hが記憶される。
【0247】
(13-3)情報提供サービス
次に、上述した各種サービスのうち情報提供サービスについて、図22及び図23を用いて説明する。情報提供サービスは、基本的に、スマートフォン110において情報提供アプリ32gが実行されて車両120においてスマホ情報報知プログラム25dが実行されることによって実現される。情報提供サービスの利用形態としては、主に、スマートフォン110を所持しているユーザが車両120に乗車する形態(即ちスマートフォン110が車両120内に存在している形態)を想定している。
【0248】
スマートフォン110の制御部31は、起動後、メモリ32から情報提供アプリ32gを読み込み、その情報提供アプリ32gに従った処理である情報提供処理を所定周期で繰り返し実行する。情報提供処理は、各種サーバ(例えば各種ウェブサイト等)から各種の情報を取得し、必要に応じてその一部又は全てを車両へ送信する処理である。図22は、情報提供処理の一例である。
【0249】
スマートフォン110の制御部31は、図22の情報提供処理を開始すると、S602で、GPS受信部37による受信情報に基づいてスマートフォン110の現在位置を検出する。
【0250】
S604では、第1通信にて気象情報提供サイトへアクセスして、その気象情報提供サイトへスマートフォン110の現在位置を示す現在位置情報を送信することにより、現在位置周辺の気象情報を要求する。そして、その要求に対して気象情報提供サイトから送信される現在位置周辺の気象情報を取得する。
【0251】
S606では、第1通信にて交通情報提供サイトへアクセスして、その交通情報提供サイトへスマートフォン110の現在位置を示す現在位置情報を送信することにより、現在位置周辺の交通情報を要求する。そして、その要求に対して交通情報提供サイトから送信される現在位置周辺の交通情報を取得する。なお、取得可能な交通情報としては、例えば、現在位置周辺の事故情報や渋滞情報、通行規制情報などの各種の情報がある。
【0252】
S608では、第1通信にてアラート情報提供サイトへアクセスして、そのアラート情報提供サイトへ所定の検索条件を送信することにより、その検索条件に対応した各種情報を要求する。そして、その要求に対してアラート情報提供サイトから送信される各種情報を取得する。なお、検索条件は、スマートフォン110の現在位置、車両120の現在位置、現在時刻、運転者に関連する情報(例えば運転者の嗜好、スケジュールなど)、車両120に関連する情報(例えば車種)などの、各種条件が挙げられる。これら各種条件を少なくとも1つ、検索条件としてアラート情報提供サイトへ送信すると、その検索条件に対応した情報が検索されて、スマートフォン110へ送信される。検索条件に対応した情報としては、例えば、現在位置周辺の施設情報やイベント情報、これから一定時間以内に開催される各種イベント等の情報、運転者の興味をそそるような施設等の情報などの、各種情報が挙げられる。
【0253】
S610では、S604,S606,S608で取得した各情報中に、前回までに取得した情報から更新された情報があるか否か判断する。具体的に、メモリ32に記憶されている情報に基づき、S604,S606,S608で取得した各情報が、既に前回までの当該情報提供処理において取得されて記憶されているか否かを判断する。そして、今回取得した情報が既に記憶されているならば、情報提供処理を終了する。一方、今回取得した情報の中に、メモリ32に記憶されていない情報(即ち更新された情報)が含まれている場合は、S612で、その更新された情報をBT通信にて車両120へ送信する。
【0254】
一方、車両120の制御部10は、起動後、メモリ25からスマホ情報報知プログラム25dを読み込み、そのスマホ情報報知プログラム25dに従った処理であるスマホ情報報知処理を所定周期で繰り返し実行する。スマホ情報報知処理は、スマートフォン110から受信した各種情報を運転者に報知する処理である。図23は、スマホ情報報知処理の一例である。
【0255】
車両120の制御部10は、図23のスマホ情報報知処理を開始すると、S652で、スマートフォン110からBT通信にて更新情報(図22のS612で送信される情報)を受信したか否か判断する。更新情報を受信していない場合は、スマホ情報報知処理を終了する。更新情報を受信した場合は、S654で、その受信した更新情報を運転者に報知する。具体的には、例えば、不図示のスピーカから更新情報を音声出力してもよいし、表示部26に更新情報を表示させてもよいし、HUD27に更新情報を表示させてもよい。
【0256】
なお、図22の情報提供処理において、各サイトから取得した各種情報のうち更新された情報を車両へ送信することは必須ではなく、各サイトから取得した各種情報の一部又は全てを適宜車両へ送信してもよい。各種情報のうち一部を送信する場合、具体的にどのような情報を送信すべきかについては、適宜決めることができる。
【0257】
また、スマートフォン110と車両120とのデータ通信方式がBT通信であることはあくまでも一例であり、他の通信方式にてデータ通信を行ってもよい。
(13-4)車両周囲監視サービス
次に、上述した各種サービスのうち車両周囲監視サービスについて、図24及び図25を用いて説明する。車両周囲監視サービスは、基本的に、スマートフォン110において周囲情報報知アプリ32hが実行されて車両120において周囲監視プログラム25eが実行されることによって実現される。車両周囲監視サービスの利用形態も、上記の情報提供サービスと同様、主に、スマートフォン110を所持しているユーザが車両120に乗車している形態を想定している。
【0258】
車両120の制御部10は、起動後、メモリ25から周囲監視プログラム25eを読み
込み、その周囲監視プログラム25eに従った処理である周囲監視処理を所定周期で繰り返し実行する。周囲監視処理は、前方カメラ28で撮影された画像(静止画)から周囲車両のナンバーを認識した場合にそのナンバー情報をスマートフォン110へ送信する機能、スマートフォン110へ前方映像データ32nを送信する機能、及びスマートフォン110からの通知に基づいて盗難車両の存在を報知する機能、を実現するための処理である。図24は、周囲監視処理の一例である。
【0259】
車両120の制御部10は、図24の周囲監視処理を開始すると、S702で、前方カメラ28で撮影された画像(静止画)を取得する。S704では、S702で取得した静止画の中から周囲車両の画像の認識処理を行う。S706では、静止画の中から周囲画像のナンバーを認識したか否か判断する。ナンバーを認識していない場合はS710に進む。ナンバーを認識した場合は、S708で、スマートフォン110へBT通信にて、その認識したナンバーを示すナンバー情報を送信する。
【0260】
S710では、スマートフォン110へBT通信にて、前方映像データ32nを送信する。ここで送信する前方映像データ32nは、前回のS710の処理で送信した前方映像データ32nからの更新分、即ち前回のS710の処理後、今回のS710の処理実行時までに新たに記憶された分である。ただし、このように更新分のみ送信することは必須ではない。
【0261】
S712では、スマートフォン110からBT通信にて盗難車両発見情報を受信したか否か判断する。盗難車両発見情報を受信していない場合は、周囲監視処理を終了する。盗難車両発見情報を受信した場合は、S714で、盗難車両の存在を運転者に報知する。スマートフォン110から送信される盗難車両発見情報には、S708で送信したナンバー情報の中に盗難車両の可能性があるナンバーが含まれていること、及びそのナンバーが含まれている。そのため、S714では、少なくとも、盗難車両である可能性のある車両が自車前方を走行していること、及びそのナンバーが、運転者に報知される。具体的な報知方法は種々考えられ、例えば、図23のS654で説明したように、音声による報知でもよいし、表示部26或いはHUD27による報知でもよい。
【0262】
一方、スマートフォン110の制御部31は、起動後、メモリ32から周囲情報報知アプリ32hを読み込み、その周囲情報報知アプリ32hに従った処理である周囲情報報知処理を所定周期で繰り返し実行する。周囲情報報知処理は、車両から送信されたナンバー情報に基づいて盗難車両の有無を判断してその判断結果を車両へ送信する機能、及び車両から送信された前方映像データ32nを記憶する機能、を実現する為の処理である。図25は、周囲情報報知処理の一例である。
【0263】
スマートフォン110の制御部31は、図25の周囲情報報知処理を開始すると、S752で、第1通信にて、盗難車両に関する情報が蓄積されている特定のウェブサイトへアクセスして、盗難車両のナンバーのデータである盗難車両データ32pを取得し、メモリ32に記憶する。既に記憶されている場合は、その記憶されているデータを、新たに取得したデータに基づいて更新する。
【0264】
S754では、車両120からBT通信にてナンバー情報を受信したか否か判断する。ナンバー情報を受信していない場合はS760に進む。ナンバー情報を受信した場合は、S756で、盗難車両データ32pを参照して、受信したナンバー情報中に盗難車両に該当するナンバーが含まれているか否か判断する。盗難車両に該当するナンバーが含まれていない場合はS760に進む。盗難車両に該当するナンバーが含まれている場合は、S758で、車両120へBT通信にて、盗難車両発見情報を送信する。
【0265】
S760では、車両120からBT通信にて前方映像データを受信したか否か判断する。前方映像データを受信した場合は、S762で、メモリ32に記憶されている前方映像データ32nを、その受信した前方映像データに基づいて更新する。メモリ32に記憶されている前方映像データ32nは、所定の動画再生操作を行うことによって表示部33で再生させることができる。
【0266】
なお、スマートフォン110にて行われる盗難車両データの取得(S752)、及び盗難車両に該当するナンバーの有無判断(S756)は、車両120自身が行うようにしてもよい。その場合、車両120からスマートフォン110へ盗難車両発見情報を送信して、スマートフォン110にその情報を保存させたり、スマートフォン110にてその情報を報知させたりするようにしてもよい。
【0267】
(13-5)車両位置報知サービス
次に、上述した各種サービスのうち車両位置報知サービスについて、図26を用いて説明する。車両位置報知サービスは、基本的に、スマートフォン110において車両位置報知アプリ32jが実行されることによって実現される。車両位置報知サービスの利用形態としては、主に、スマートフォン110を所持しているユーザが車両120から離れている形態を想定している。
【0268】
スマートフォン110の制御部31は、起動後、メモリ32から車両位置報知アプリ32jを読み込み、その車両位置報知アプリ32jに従った処理である車両位置報知処理を所定周期で繰り返し実行する。車両位置報知処理は、車両120の現在位置やその現在位置に関連する各種情報などをスマートフォン110のユーザに報知する機能を実現するための処理である。図26は、車両位置報知処理の一例である。
【0269】
スマートフォン110の制御部31は、図26の車両位置報知処理を開始すると、S552で、車両120から第1通信にて車両120の位置情報(車両現在位置)を取得する。具体的には、第1通信にて車両120へ位置情報を要求すると、車両120において検知されている現在位置の情報が車両120から送信される。S552では、その車両120から送信された現在位置の情報を受信することにより車両現在位置を取得する処理である。
【0270】
S554では、GPS受信部37による受信情報に基づいてスマートフォン110の現在位置(スマホ現在位置)を検出する。S556では、S552で取得した車両現在位置、及びS554で取得したスマホ現在位置を含む所定範囲の地図画像を表示部33に表示させる。S558では、その地図画像中の車両現在位置に該当する位置に、車両120を示す車両マークを表示させ、スマホ現在位置に該当する位置に、スマートフォン110を示すスマホマークを表示させる。これにより、スマートフォン110のユーザは、自身の位置(即ちスマートフォン110の位置)を把握できるのに加え、車両120の位置も把握することができる。
【0271】
S560では、車両現在位置及びスマホ現在位置に基づいて、車両位置関連情報を算出し、表示部33に表示させる。車両位置関連情報とは、スマホ現在位置に対する車両120の相対的位置を直接又は間接的に示す情報である。車両位置関連情報としては、例えば、スマホ現在位置から車両現在位置までの直線距離、スマホ現在位置から車両現在位置までの所定のルートでの距離、スマホ現在位置から車両現在位置まで所定のルートに沿って徒歩で行く場合に要する歩数、スマホ現在位置から見た車両現在位置の方位、などが挙げられる。
【0272】
S562では、モーションセンサ群50からの検出信号に基づいて、スマートフォン1
10の向き(詳しくは既述の特定方向の方位)を検出する。S564では、S562で検出したスマートフォン110の向きが、車両120の方向(即ちスマホ現在位置から見た車両現在位置の方位)に略一致するか否か判断する。例えば、両者の方向(方位)の差が所定角度以内であれば略一致していると判断する。
【0273】
スマートフォン110の向きが車両120の方向と略一致している場合は、S566で、スマートフォン110のユーザに、スマートフォン110が車両120の方向を向いていることを報知する。この報知は、例えば音声で行ってもよいし、不図示の振動機構を作動させてスマートフォン110を機械的に振動させることにより行ってもよいし、表示部33に所定の情報を表示させることにより行ってもよい。
【0274】
この車両位置報知処理により、スマートフォン110のユーザは、車両120の位置に関する各種情報を取得することができる。特に、S546,S566の処理により、スマートフォン110のユーザは、スマートフォン110の向きをいろいろと変えてみながら車両120の方向を探しだすことができる。
【0275】
(13-6)SNS連携サービス
次に、上述した各種サービスのうちSNS連携サービスについて、図27及び図28を用いて説明する。SNS連携サービスは、基本的に、スマートフォン110においてSNSアプリ32kが実行されて車両120においてSNS連携プログラム25fが実行されることによって実現される。SNS連携サービスの利用形態としては、主に、スマートフォン110を所持しているユーザが車両120を運転している形態(換言すれば、運転者のスマートフォン110が車両120内に存在している形態)を想定している。
【0276】
車両120の制御部10は、起動後、メモリ25からSNS連携プログラム25fを読み込み、そのSNS連携プログラム25fに従った処理であるSNS連携処理を所定周期で繰り返し実行する。SNS連携処理は、運転者の顔の画像から運転者の気分を判定し、その判定結果をスマートフォン110へ送信する処理である。図27は、SNS連係処理の一例である。
【0277】
車両120の制御部10は、図27のSNS連携処理を開始すると、S802で、前方カメラ28の撮影画像(静止画)を取得する。S804では、車室内カメラ24の撮影画像(静止画)を取得する。
【0278】
S806では、S804で取得した静止画から、運転者の顔の画像を認識する処理を行う。S808では、S806で認識した運転者の顔の画像に基づき、運転者の気分(例えば喜怒哀楽の感情)を判定する。S810では、S808の判定結果(運転者の気分)を示す気分情報を、BT通信にてスマートフォン110へ送信する。
【0279】
一方、スマートフォン110の制御部31は、起動後、メモリ32からSNSアプリ32kを読み込み、そのSNSアプリ32kに従った処理であるSNS処理を所定周期で繰り返し実行する。SNSアプリ32kは、例えばLINE(登録商標)やTWITTER(登録商標)などのSNSを享受可能な既知のアプリと同等の機能を実現可能なアプリである。そして特に、SNSアプリ32kは、既知の類似アプリの機能に加えて、車両120から送信される気分情報に応じた各種の画像やメッセージを自動送信する機能も備えている。図28は、SNS処理の一例である。
【0280】
スマートフォン110の制御部31は、図28のSNS処理を開始すると、S852で、車両120から気分情報を受信したか否か判断する。気分情報を受信していない場合は、S854で、その他の規定処理を実行する。規定処理とは、例えば、外部端末或いはサ
ーバからのメッセージ受信や、外部端末或いはサーバへのメッセージ送信などの、既知のSNS用のアプリにおいて実行される各種処理と同等の処理である。
【0281】
S852で車両120から気分情報を受信した場合は、S856で、スマートフォン110のユーザ(即ち車両120の運転者)の気分を示す通知画像を決定する。通知画像は、運転者の気分が表れた内容であればどのような画像でもよい。例えば、運転者が怒りの感情を抱いている場合には、「腹が立つ!」というテキストを生成してそれを通知画像に決定してもよいし、予め記憶されている顔のイラスト画像の中から怒っている表情のイラスト画像を抽出してそれを通知画像に決定してもよい。また例えば、運転者が驚きや感動の感情を抱いている場合には、「すごいものを見たぞ!」というテキストを生成してそれを通知画像に決定してもよいし、予め記憶されている顔のイラスト画像の中から驚きの表情のイラスト画像を抽出してそれを通知画像に決定してもよい。
【0282】
S858では、特定の外部端末或いはサーバへ、第1通信にて、S856で決定した通知画像を送信する。これにより、例えば送信対象として登録されている他のユーザの端末に通知画像が送信され、他のユーザの端末においてその通知画像が表示される。他のユーザは、表示された通知画像を見て、運転者の現在の状況(気分など)を知ることができる。なお、通知画像を送信する際、車両120の周囲の画像(前方カメラ28の撮影画像)や運転者の画像(車室内カメラ24の撮影画像)を送信してもよい。
【0283】
なお、通知画像のデータを車両120に送信し、車両120においてその通知画像を所定の方法で表示させるようにしてもよい。例えば、レーザ光を窓ガラスに照射する装置を備え、その装置を作動させてレーザ光により窓ガラスに通知画像を表示させることで、車両120の外にいる人間が、車両120の運転者の気持ちを知ることができるようにしてもよい。その際、レーザ光の波長の光を一定期間蓄光可能な蓄光材料を窓ガラスに配置しておくことで、通知画像を一定期間外部から視認できるようにしてもよい。
【0284】
(13-7)運転可否判定サービス
次に、上述した各種サービスのうち運転可否判定サービスについて、図29及び図30を用いて説明する。運転可否判定サービスは、基本的に、スマートフォン110において体調管理アプリ32mが実行されて車両120において体調情報対応プログラム25gが実行されることによって実現される。運転可否判定サービスの利用形態としては、主に、スマートフォン110を所持しているユーザが車両120を運転している形態を想定している。
【0285】
スマートフォン110の制御部31は、起動後、メモリ32から体調管理アプリ32mを読み込み、その体調管理アプリ32mに従った処理である体調管理処理を所定周期で繰り返し実行する。体調管理処理は、スマートフォン110のユーザの体調に関連する情報を取得して車両120へ送信する処理である。図29は、体調管理処理の一例である。
【0286】
スマートフォン110の制御部31は、図29の体調管理処理を開始すると、S902で、車両120から体調関連情報の要求があったか否か判断する。体調関連情報とは、スマートフォン110のユーザの体調に直接又は間接的に関連する各種の情報であり、例えば、特定期間毎(例えば1日毎)の歩数や、脈拍、心拍数、体温などが挙げられる。
【0287】
S902で、体調関連情報が要求されていない場合は、体調管理処理を終了する。体調関連情報が要求されている場合は、S904で、体調関連情報を取得する。例えば歩数については、既述の通り、モーションセンサ群50からの検出信号に基づいて取得することができる。また例えば、脈拍や心拍数、対応などについては、スマートフォン110自体にこれらを検出可能なセンサを設けてそのセンサからの検出信号に基づいて取得してもよ
いし、これらを検出する機能を備えた他の端末(例えば腕時計タイプの情報処理端末)からデータ通信にて取得してもよい。
【0288】
S906では、S904で取得した体調関連情報を、BT通信にて車両120へ送信する。
一方、車両120の制御部10は、起動後、運転者による特定の始動操作が行われると、メモリ25から体調情報対応プログラム25gを読み込み、その体調情報対応プログラム25gに従った処理である体調情報対応処理を所定周期で繰り返し実行する。始動操作としては、例えばイグニションスイッチをオンする操作が挙げられる。また、電気自動車やハイブリッド自動車などにおいては、車両を走行可能な状態にスタンバイさせるためのいわゆる電源スイッチをオンする操作が挙げられる。
【0289】
体調情報対応処理は、スマートフォン110からスマートフォン110のユーザ(即ち運転者)の体調関連情報を取得し、その体調関連情報に応じてその運転者による車両120の運転を許可又は禁止する処理である。図30は、体調情報対応処理の一例である。
【0290】
車両120の制御部10は、図30の体調情報対応処理を開始すると、S952で、スマートフォン110へBT通信にて体調関連情報を要求する。そして、その要求に対してスマートフォン110からBT通信にて送信される体調関連情報を受信することによりその体調関連情報を取得する。
【0291】
S954では、S952で取得した体調関連情報(即ち運転者の体調に関連する情報)に基づいて、運転者による車両120の運転の可否を判定する。例えば、運転者の脈拍、心拍数が正常な範囲を外れている場合には、運転不可と判定する。また例えば、昨日一日間のトータルの歩数が所定の下限値以下の場合は、運動不足として、車両120以外の移動方法(例えば徒歩或いは自転車など)を推奨すべく、運転不可と判定する。逆に、脈拍及び心拍数が共に正常な範囲内にある場合や、昨日一日間のトータル歩数が下限値を超えている場合など、当該運転者に車両120を運転させることを躊躇すべき特段の事情がない場合は、運転可能と判定する。
【0292】
S956では、S954での判定結果に基づき、当該運転者による車両120の運転が可能か否か(運転可能と判定されたか否か)判断する。運転可能と判定された場合は、S958で、車両120の動作状態を走行スタンバイ状態に移行させる。走行スタンバイ状態では、運転者は車両120を走行させることができる。S956で運転可能と判断されなかった場合(即ちS954で運転不可と判定された場合)は、S960で、走行禁止処理を実行する。具体的には、運転者がアクセルペダルを踏んでもそれを無効とし、車両120を強制的に走行させないようにする。
【0293】
(14)駐車場に配備されている誘導員の腕や、交通誘導を行っている誘導員、警察官などの腕に、モーションセンサ内蔵の携帯型通信端末(例えば腕時計タイプの端末)を装着させ、腕の動き(即ち手振り)を検出して、その手振りがどのような意味(誘導員等によるどのような指示)を示しているのかを認識できるようにしてもよい。手振り認識は、腕に装着された携帯型通信端末が行ってもよいし、モーションセンサの検出信号を他の通信端末(例えば既述のスマートフォン)或いは車両に送信して、その送信先にて行ってもよい。認識可能な手振りとしては、例えば、停止指示、進入禁止指示、発進可能指示などが挙げられる。そして、その認識結果を、スマートフォンにてユーザに報知したり、車両において車両の運転者に報知するようにしてもよい。
【0294】
例えば、誘導員が腕に装着している携帯型通信端末からモーションセンサの検出信号をスマートフォンが受信し、スマートフォンにて手振り認識を行って、その認識結果をスマ
ートフォンにて報知、或いは車両に送信して車両にて報知するようにしてもよい。
【0295】
(15)本発明を適用可能な車両は、エンジンを走行用駆動源とする上記実施形態の車両1に限らず、ハイブリッド車、電気自動車、その他の各種の駆動方式の車両であってもよい。また、乗用車に限らず、商用車、トラック、バス、鉄道車両、その他あらゆる種類の車両に対して本発明を適用できる。
【0296】
(16)その他、本発明は、上記の実施形態に示された具体的手段や構造等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の形態を採り得る。例えば、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【0297】
[実施形態から把握される技術思想]
以上詳述した種々の実施形態から、少なくとも以下の技術思想が把握される。
(A)異なる2種類の無線通信方式にて車両と無線通信可能な電子キーと、
前記電子キーと無線通信可能な通信端末と、
を備え、
前記2種類の無線通信方式のうち一方の無線通信方式は、他方の無線通信方式よりも通信可能距離が短く、
前記通信端末は、
前記車両に対して特定の処理を実行させるための、その実行させる処理の内容を示す処理項目の指定入力を受け付ける指定入力部と、
前記指定入力部により入力された前記処理項目を示す処理指令を前記電子キーへ送信する指令送信部と、
を備え、
前記電子キーは、
前記通信端末から前記処理指令を受信した場合に、その処理指令に対応した前記処理項目を示す処理コマンドを生成する処理コマンド生成部と、
前記車両と前記一方の無線通信方式にて無線通信が可能か否か判断する通信方式判断部と、
前記通信方式判断部により前記一方の無線通信方式にて無線通信が可能と判断された場合は前記一方の無線通信方式にて前記処理コマンドを前記車両へ送信し、前記通信方式判断部により前記一方の無線通信方式での無線通信が可能ではない判断された場合は前記他方の無線通信方式にて前記処理コマンドを前記車両へ送信するコマンド送信部と、
を備えることを特徴とする車両制御システム。
【0298】
このような構成によれば、電子キーと車両との無線通信は、両者の相対的距離に応じた適切な方式にて行われる。そのため、電子キーと車両との無線通信を効率的に行うことができる。
【0299】
(B)上記(A)において、
前記電子キーは、
前記通信方式判断部により前記一方の無線通信方式での無線通信が可能ではないと判断された場合に、前記他方の無線通信方式による前記処理コマンドの送信が許可されているか否かを判断する許可判断部を備え、
前記コマンド送信部は、前記通信方式判断部により前記一方の無線通信方式での無線通信が可能ではないと判断された場合、前記許可判断部により前記他方の無線通信方式による前記処理コマンドの送信が許可されていると判断された場合に、前記処理コマンドを前記他方の無線通信方式にて前記車両へ送信する
ことを特徴とする車両制御システム。
【0300】
このような構成によれば、電子キーが車両と一方の無線通信方式で無線通信ができない場合(例えば電子キーが車両から大きく離れている場合)に、他方の無線通信方式にて車両へ処理コマンドを送信しても良いか否かを任意に決めることができる。他方の無線通信方式での送信を許可すれば、電子キーが車両から離れていても車両を遠隔制御できる。逆に、他方の無線通信方式での送信を不許可とすれば、電子キーが車両からみて一定の距離(一方の無線通信方式による無線通信が可能な距離)よりも離れている場合には車両を遠隔操作できないため、セキュリティ性能を高めることができる。
(C)車両と無線通信可能な電子キーと、
前記電子キーと無線通信可能な通信端末と、
を備え、
前記通信端末は、
表示部と、
前記車両に対して実行させることが可能な処理項目を示す画像である処理項目画像を前記表示部に表示させる表示制御部と、
前記表示制御部により前記表示部に表示された前記処理項目画像の中から少なくとも1つを指定するための指定入力を受け付ける指定入力部と、
前記指定入力部により指定された前記処理項目画像が示す前記処理項目に対応した処理指令を前記電子キーへ送信する指令送信部と、
を備え、
前記電子キーは、
前記通信端末から前記処理指令を受信した場合に、その処理指令に対応した前記処理項目を示す処理コマンドを前記車両へ送信するコマンド送信部を備える
ことを特徴とする車両制御システム。
【0301】
このような構成によれば、ユーザは、通信端末に表示されている処理項目画像の中から所望の処理項目画像(車両に実行させたい処理に対応した処理項目画像)を容易に探して指定することができる。なお、図3に例示した各アイコンが上記処理項目画像の一例に相当する。
(D)車両と無線通信可能な電子キーと、
前記電子キーと無線通信可能な通信端末と、
を備え、
前記通信端末は、
動画を撮影可能な撮像部、及び音声を入力可能な音声入力部、のうち少なくとも一方と、
前記撮像部により撮影されたユーザのジェスチャー、及び前記音声入力部に入力されたユーザの音声、のうち少なくとも一方を処理指定情報として受け付ける処理受付部と、
前記処理指定情報を前記電子キーへ送信する送信部と、
を備え、
前記電子キーは、
前記通信端末から前記処理指定情報を受信した場合に、前記車両に対して実行させることが可能な処理項目のうち、その受信した処理指定情報が示す前記処理項目に対応した処理コマンドを前記車両へ送信するコマンド送信部を備える
ことを特徴とする車両制御システム。
【0302】
このような構成によれば、通信端末は、ユーザのジェスチャー又は音声を示す処理指定情報を電子キーに送信する機能を備えていればよく、ユーザにより入力された処理指定情報が何を意味しているのかを認識する必要はない。ユーザにより入力された処理指定情報が何を意味しているのかを認識する処理は電子キーにて行われる。そのため、通信端末の処理負荷を低減することができる。
【0303】
なお、図8のS34~S38の処理、及びS42~S46の処理が、上記処理受付部の処理の一例に相当する。また、S34で認識したジェスチャーパターン又はこれに対応した操作内容、及びS42で認識した音声パターン又はこれに対応した操作内容が、上記処理指定情報の一例に相当する。
【0304】
(E)車両と、
前記車両と無線通信可能な電子キーと、
前記電子キーと無線通信可能な通信端末と、
を備え、
前記通信端末は、
動画を撮影可能な撮像部、及び音声を入力可能な音声入力部、のうち少なくとも一方と、
前記撮像部により撮影されたユーザのジェスチャー、及び前記音声入力部に入力されたユーザの音声、のうち少なくとも一方を処理指定情報として受け付ける処理受付部と、
前記処理指定情報を前記電子キーへ送信する端末側送信部と、
を備え、
前記電子キーは、前記通信端末から送信された前記処理指定情報を受信した場合にその受信した処理指定情報を中継して前記車両へ送信する中継送信部を備え、
前記車両は、
前記電子キーから前記処理指定情報を受信した場合に、前記処理指定情報が示す処理項目を実行する処理実行部を備える
ことを特徴とする車両制御システム。
【0305】
このような構成によれば、通信端末及び電子キーのいずれも、ユーザのジェスチャー又は音声を示す処理指定情報を送信する機能を備えていればよく、ユーザにより入力された処理指定情報が何を意味しているのかを認識する必要はない。ユーザにより入力された処理指定情報が何を意味しているのかを認識する処理は車両にて行われる。そのため、通信端末及び電子キーの処理負荷を低減することができる。
【0306】
(F)車両と無線通信可能な電子キーであって、
前記車両に対して特定の処理を実行させるための、その実行させる処理の内容を示す処理項目の指定入力を受け付ける指定入力部と、
前記指定入力部により入力された前記処理項目を示す処理コマンドを前記車両へ送信するコマンド送信部と、
を備えることを特徴とする電子キー。
図1A-1B】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30