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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】運転支援装置および運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230911BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60T7/12 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019187794
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2021064111
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】工藤 健二
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-144799(JP,A)
【文献】特開平06-270752(JP,A)
【文献】特開2011-156057(JP,A)
【文献】特開2015-196403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
B60T 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキがオンとオフとの2つの状態をとり、ブレーキがオンの間、ブレーキがオンのときに車両を減速させる強さに関する設定である減速設定の値に従って減速する歩道走行自動車に搭乗する搭乗者の運転を支援する運転支援装置であって、
前記減速設定の値と、前記歩道走行自動車の現時点の走行速度とに基づいて、現時点以降ブレーキがオンであった場合に前記歩道走行自動車が停止する位置を示す車両停止位置を導出する導出部と、
前記導出部により導出された前記車両停止位置を前記搭乗者に提示する提示部とを備え、
前記車両停止位置は、現時点以降ブレーキがオンであり、かつ、現時点以降ステアリング角度が0°であった場合に前記歩道走行自動車が停止する位置を示し、
前記提示部は、
前記歩道走行自動車の前方に光を照射して、前記歩道走行自動車が走行する歩道にマークを形成可能な光照射装置を制御して、
前記導出部により導出された前記車両停止位置に前記マークを形成させると共に、前記車両停止位置に加え、前記車両停止位置に応じた、現時点以降ステアリング角度が所定の態様(ただし現時点以降ステアリング角度が0°である態様を除く)で変移した場合に車両が停止する位置に前記マークを形成させる
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記提示部は、
前記光照射装置を制御して、前記車両停止位置に加え、現時点で瞬間的にステアリング角度が所定の角度(ただし0°を除く)となった後に0°となり、その後、ステアリング角度が0°の状態でブレーキがオンの状態が継続した場合に前記歩道走行自動車が停止する位置に前記マークを形成させる
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
ブレーキがオンとオフとの2つの状態をとり、ブレーキがオンの間、ブレーキがオンのときに車両を減速させる強さに関する設定である減速設定の値に従って減速する歩道走行自動車に搭乗する搭乗者の運転を支援する運転支援装置であって、
前記減速設定の値と、前記歩道走行自動車の現時点の走行速度とに基づいて、現時点以降ブレーキがオンであった場合に前記歩道走行自動車が停止する位置を示す車両停止位置を導出する導出部と、
前記導出部により導出された前記車両停止位置を前記搭乗者に提示する提示部と、
前記歩道走行自動車の停止が必要な位置である停止必要位置に、前記歩道走行自動車が近づいたことを検出する近接検出部とを備え、
前記提示部は、前記近接検出部により前記停止必要位置に前記歩道走行自動車が近づいたことが検出された場合、前記近接検出部により前記停止必要位置に前記歩道走行自動車が近づいたことが検出される前と後とで前記車両停止位置の提示の方法を変更することによって、そのことを前記搭乗者に提示する
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項4】
前記近接検出部は、前記歩道走行自動車の現在位置と、前記停止必要位置の地図上の位置との位置関係に基づいて前記停止必要位置に前記歩道走行自動車が近づいたことを検出する
ことを特徴とする請求項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記近接検出部は、前記歩道走行自動車の前方を撮影するカメラが出力する画像データを分析することによって前記停止必要位置に前記歩道走行自動車が近づいたことを検出する
ことを特徴とする請求項に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記提示部は、前記歩道走行自動車の前方に光を照射して、前記歩道走行自動車が走行する歩道にマークを形成可能な光照射装置を制御して、前記導出部により導出された前記車両停止位置に前記マークを形成させる
ことを特徴とする請求項3から5の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記車両停止位置は、現時点以降ブレーキがオンであり、かつ、現時点以降ステアリング角度が0°であった場合に前記歩道走行自動車が停止する位置を示し、
前記提示部は、前記光照射装置を制御して、1つの位置を示す前記車両停止位置にピンポイントで前記マークを形成させる
ことを特徴とする請求項6に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記車両停止位置は、現時点以降ブレーキがオンであり、かつ、現時点以降ステアリング角度が0°であった場合に前記歩道走行自動車が停止する位置を示し、
前記提示部は、前記光照射装置を制御して、前記車両停止位置に加え、前記車両停止位置に応じた、現時点以降ステアリング角度が所定の態様で変移した場合に車両が停止する位置に前記マークを形成させる
ことを特徴とする請求項6に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記提示部は、前記搭乗者が視認可能な表示装置に前記導出部により導出された前記車両停止位置を示す情報を表示する
ことを特徴とする請求項3から5の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項10】
ブレーキがオンとオフとの2つの状態をとり、ブレーキがオンの間、ブレーキがオンのときに車両を減速させる強さに関する設定である減速設定の値に従って減速する歩道走行自動車に搭乗する搭乗者の運転を支援する運転支援装置による運転支援方法であって、
前記運転支援装置の導出部が、前記減速設定の値と、前記歩道走行自動車の現時点の走行速度とに基づいて、現時点以降ブレーキがオンであった場合に前記歩道走行自動車が停止する位置を示す車両停止位置を導出する第1ステップと、
前記運転支援装置の提示部が、前記導出部により導出された前記車両停止位置を前記搭乗者に提示する第2ステップとを含み、
前記車両停止位置は、現時点以降ブレーキがオンであり、かつ、現時点以降ステアリング角度が0°であった場合に前記歩道走行自動車が停止する位置を示し、
前記第2ステップにおいて前記提示部は、
前記歩道走行自動車の前方に光を照射して、前記歩道走行自動車が走行する歩道にマークを形成可能な光照射装置を制御して、
前記導出部により導出された前記車両停止位置に前記マークを形成させると共に、前記車両停止位置に加え、前記車両停止位置に応じた、現時点以降ステアリング角度が所定の態様(ただし現時点以降ステアリング角度が0°である態様を除く)で変移した場合に車両が停止する位置に前記マークを形成させる
ことを特徴とする運転支援方法。
【請求項11】
ブレーキがオンとオフとの2つの状態をとり、ブレーキがオンの間、ブレーキがオンのときに車両を減速させる強さに関する設定である減速設定の値に従って減速する歩道走行自動車に搭乗する搭乗者の運転を支援する運転支援装置による運転支援方法であって、
前記運転支援装置の導出部が、前記減速設定の値と、前記歩道走行自動車の現時点の走行速度とに基づいて、現時点以降ブレーキがオンであった場合に前記歩道走行自動車が停止する位置を示す車両停止位置を導出する第1ステップと、
前記運転支援装置の提示部が、前記導出部により導出された前記車両停止位置を前記搭乗者に提示する第2ステップとを含み、
前記第2ステップにおいて前記提示部は、
前記歩道走行自動車の停止が必要な位置である停止必要位置に前記歩道走行自動車が近づいたことを検出する近接検出部により、前記停止必要位置に前記歩道走行自動車が近づいたことが検出された場合、前記近接検出部により前記停止必要位置に前記歩道走行自動車が近づいたことが検出される前と後とで前記車両停止位置の提示の方法を変更することによって、そのことを前記搭乗者に提示する
ことを特徴とする運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置および運転支援方法に関し、特に、歩道走行自動車に搭乗する搭乗者の運転を支援する運転支援装置および運転支援方法に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電動車イスや、シニアカー、パーソナルモビリティといった歩道走行自動車が存在する。歩道走行自動車は、搭乗者が搭乗した状態で歩道を走行する自動車であり、多くの場合、高齢者等の歩行に困難性を有する者が搭乗し、搭乗者の移動を支援する。歩道走行自動車では、ブレーキレバーやブレーキペダルを搭乗者が操作してブレーキの利き具合を調整可能に構成されたタイプのものとは異なり、ブレーキにオンとオフとの2つの状態しかなく、ブレーキがオンの間、減速設定の値に従って減速するタイプ(以下「自動ブレーキタイプ」という)のものが広く普及している。減速設定とは、ブレーキがオンのときに車両を減速させる強さに関する設定である。例えば、自動ブレーキタイプの歩道走行自動車は、車両に設けられたジョイスティックやレバーに対して力が加わっている間、走行する一方、操作子に対して力が加わっていない状態となると、ブレーキがオンとなるように構成されている。自動ブレーキタイプの歩道走行自動車によれば、車両の走行中、簡単な操作で確実にブレーキをかけることができる。
【0003】
なお、特許文献1には、補助者が押して動かす車椅子において、進行方向1~3メートルの範囲の路上に光を照射し、補助者を誘導するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-28227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動ブレーキタイプの歩道走行自動車では、搭乗者が把持していたジョイスティックを解放する等の何らかのアクションをトリガとして、ブレーキがオンとなる。そして、従来、搭乗者は、ブレーキがオンとなった後、歩道走行支援自動車がどの辺りで停止するのかを経験に基づいて認識していた。このため、経験の浅い搭乗者が歩道走行自動車に搭乗した場合に、その搭乗者が停止を希望した位置と乖離した位置で歩道走行自動車が停止してしまうことがあった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、現時点以降ブレーキがオンであった場合に歩道走行自動車がどの辺りで停止するのかを搭乗者が認識できるようにし、経験の多寡にかかわらず搭乗者が所望の位置で歩道走行自動車を停止させることができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明では、減速設定の値と、歩道走行自動車の現時点の走行速度とに基づいて、現時点以降ブレーキがオンであった場合に歩道走行自動車が停止する位置を導出し、その位置を搭乗者に提示するようにしている。
【発明の効果】
【0008】
自動ブレーキタイプの歩道走行自動車では、現時点以降ブレーキがオンであった場合に車両が停止する位置に影響を与える要素は、減速設定の値および現時点の走行速度であり、これらを用いて当該車両が停止する位置を導出可能である。これを踏まえ、上記のように構成した本発明によれば、減速設定の値と、現時点の走行速度とにより車両の停止位置が導出された上で、導出された車両の停止位置が搭乗者に提示されるため、搭乗者は、提示された位置に基づいて、現時点以降ブレーキがオンであった場合に歩道走行自動車がどの辺りで停止するのかを認識できる。従って、経験の多寡にかかわらず、搭乗者は、所望の位置で歩道走行自動車を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】歩道走行自動車に搭載された装置を示すと共に、車両制御装置および本発明の第1実施形態に係る運転支援装置の機能構成例をブロック図によって示す図である。
図2】継続走行距離テーブルの内容を示す図である。
図3】歩道走行自動車の移動に応じてマークが路面に形成される様子を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る運転支援装置の動作例を示すフローチャートである。
図5】歩道走行自動車の照射ポイントと、マークとを俯瞰してみた様子を示す図である。
図6】歩道走行自動車に搭載された装置を示すと共に、車両制御装置および本発明の第2実施形態に係る運転支援装置の機能構成例をブロック図によって示す図である。
図7】歩道走行自動車に搭載された装置を示すと共に、車両制御装置および本発明の第3実施形態に係る運転支援装置の機能構成例をブロック図によって示す図である。
図8】走行領域を示す図である。
図9】道走行自動車に搭載された装置を示すと共に、車両制御装置および本発明の第4実施形態に係る運転支援装置の機能構成例をブロック図によって示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、歩道走行自動車1に搭載された装置を示すと共に、搭載された装置のうち車両制御装置2および運転支援装置3についてその機能構成例をブロック図として示している。
【0011】
本実施形態に係る歩道走行自動車1は、電動車イスや、シニアカー、パーソナルモビリティと呼ばれる、歩道を走行する自動車である。歩道走行自動車1は、基本的には高齢者等の歩行に困難性を有する者が搭乗し、搭乗者の移動を支援する。特に本実施形態に係る歩道走行自動車1は、ブレーキレバーやブレーキペダルを搭乗者が操作してブレーキの利き具合を調整可能に構成されたタイプのものとは異なり、ブレーキにオンとオフとの2つの状態しかなく、ブレーキがオンの間、減速設定(詳細は後述)の値に従って減速するタイプ(以下「自動ブレーキタイプ」という)のものである。
【0012】
図1で示すように、歩道走行自動車1には、本実施形態に係る運転支援装置3が搭載され、この運転支援装置3には光照射装置4および車両制御装置2が接続され、この車両制御装置2には操作ユニット5が接続されている。
【0013】
操作ユニット5には、車両制御のインタフェイスとしてジョイスティック6が設けられている。歩道走行自動車1の電源がオンされ走行可能な状態(以下「走行可能状態」という)のときにジョイスティック6が前に倒されると車両が前進し、後ろに倒されると車両が後退し、左右に倒されると車両が左右に旋回する。そして、ジョイスティック6に対して力が加えられていない状態となると、ブレーキがオンとなり車両が減速していって停止する。従って、例えば、搭乗車によりジョイスティック6が前に倒され歩道走行自動車1が前進しているときに、搭乗者がジョイスティック6を放し、ジョイスティック6に対して力が加えられていない状態となると、即時に自動でブレーキがかかり車両が減速していって停止する。
【0014】
光照射装置4は、歩道走行自動車1の前方(車体に対してまっすぐ前の向き)の路面にレーザを照射して、路面に光によるマークM(図3)を形成するレーザポインタである。特に本実施形態に係る光照射装置4は、ピッチ軸回りに照射方向を変更する機構を備え、歩道走行自動車1に対するマークMの相対的な位置、つまり、歩道走行自動車1とマークMとの離間距離を変更可能に構成されている。
【0015】
図1で示すように、車両制御装置2は、機能構成として、操作検出部10および駆動部11を備えている。また運転支援装置3は、機能構成として、導出部12および提示部13を備えている。上記各機能ブロック10~13は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック10~13は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリー等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0016】
また、車両制御装置2は、記憶手段として、車両制御装置側記憶部14を備えており、運転支援装置3は、記憶手段として、運転支援装置側記憶部15を備えている。車両制御装置側記憶部14および運転支援装置側記憶部15が記憶するデータについては後述する。
【0017】
車両制御装置2の操作検出部10は、操作ユニット5のジョイスティック6の状態を検出し、状態に応じた信号を駆動部11に出力する。
【0018】
車両制御装置2の駆動部11は、歩道走行自動車1の走行に関する各種機構(原動機や、ブレーキ、ステアリング等)を制御する各種ECU等に接続され、操作検出部10から入力する信号、および、車両制御装置側記憶部14に記憶された設定テーブル17に登録された各設定項目の設定値に基づいて各種ECUを制御し、歩道走行自動車1を駆動する。設定項目には、歩道走行自動車1の最高速度を設定値として有する設定項目や、発進時の加速度を設定値として有する設定項目のほか、減速設定がある。
【0019】
減速設定とは、ブレーキがオンのときに車両を減速させる強さに関する値を設定として有する設定項目であり、本実施形態では、設定値として、レベルL1、レベルL2、レベルL3およびレベルL4の4つを設定することが可能である。レベルL1からレベルL4に向かって、徐々にブレーキゲインが大きくなり、減速の強さが強くなる。減速設定の設定値は、事前に搭乗者その他の者により設定される。駆動部11は、ブレーキがオンの状態(以下「ブレーキオン状態」という)のときは、減速設定の設定値に従って、制動機構を制御して歩道走行自動車1を減速させる。
【0020】
また、駆動部11は、所定周期で歩道走行自動車1の走行速度を検出し、走行速度を示す走行速度情報を導出部12に出力する。
【0021】
運転支援装置3の導出部12は、減速設定の値と、歩道走行自動車1の現時点の走行速度とに基づいて、現時点以降ブレーキがオンであった場合に歩道走行自動車1が停止する位置を示す車両停止位置を導出する。以下、導出部12の処理について詳述する。
【0022】
ここで、上述したように減速設定の設定値としては、レベルL1~レベルL44つを設定することが可能であり、レベルL1からレベルL4に向かって減速の強さが強くなる。従って、ある時点の歩道走行自動車1の走行速度がある特定の値である場合において、その時点からブレーキオン状態が継続したとすると、その時点の歩道走行自動車1の位置から歩道走行自動車1が停止する位置までの距離は、レベルL1が最も長くなり、レベルL4が最も短くなる。
【0023】
また、減速設定の設定値がある特定の値であったとする。この場合、ある時点の歩道走行自動車1の走行速度が速ければ速いほど、その時点からブレーキオン状態が継続したときの、その時点の歩道走行自動車1の位置から歩道走行自動車1が停止する位置までの距離は長くなる。
【0024】
そして、ある時点以降ブレーキがオンであった場合に歩道走行自動車1が停止する位置に影響を与える要素は、減速設定の設定値およびその時点の走行速度であり、これらを用いて当該車両が停止する位置を導出することが可能である。これを踏まえ、走行速度情報がとり得る値ごとに、ある時点の走行速度と減速設定の設定値との組み合わせのそれぞれについて、その時点以降ブレーキオン状態が継続し、かつステアリング角度が「0°」であった場合に、その時点の歩道走行自動車1の位置から歩道走行自動車1が停止する位置までの距離(以下「継続走行距離」という)が、事前のテストやシミュレーションによって求められている。そして、運転支援装置側記憶部15に記憶された継続走行距離テーブル18には、走行速度情報がとり得る値ごとに、ある時点の走行速度と減速設定の設定値との組み合わせのそれぞれについて、継続走行距離が対応付けて登録されている。
【0025】
図2は、継続走行距離テーブル18の一部を単純化して示す図である。図2で例示する継続走行距離テーブル18では、走行速度(「2.0km/h」、「4.0km/h」および「6.0km/h」)ごとに、走行速度と減速設定の4つの設定値との組み合わせのそれぞれについて継続走行距離が対応付けて登録されている。例えば、走行速度:「2.0km/h」と減速設定:「レベルL1」との組み合わせについて継続走行距離:「1.0m」が登録されている。
【0026】
導出部12は、駆動部11から走行速度情報を入力する度に以下の処理を実行する。すなわち、導出部12は、設定テーブル17を参照し、現時点の減速設定の設定値を認識する。次いで、導出部12は、継続走行距離テーブル18を参照し、入力した走行速度情報が示す走行速度と現時点の減速設定の設定値との組み合わせに対応する継続走行距離を認識する。継続走行距離は、現時点の歩道走行自動車1の位置を起点として歩道走行自動車1が停止する位置と同義である。従って、導出部12が継続走行距離テーブル18に基づいて継続走行距離を認識する処理は、現時点以降ブレーキがオンであった場合に歩道走行自動車1が停止する位置を示す車両停止位置を導出する処理に相当する。
【0027】
導出部12は、継続走行距離を示す継続走行距離情報を提示部13に出力する。
【0028】
提示部13は、導出部12により導出された車両停止位置を搭乗者に提示する。以下、提示部13の処理について詳述する。
【0029】
ここで、歩道走行自動車1の前端部から所定の距離だけ離間した位置にマークMを形成するために、光照射装置4のレーザ照射機構によるレーザの照射角度をどのようにすればよいかが、事前のテストやシミュレーションによって求められている。そして、運転支援装置側記憶部15に記憶された照射角度テーブル19には、継続走行距離がとり得る値ごとに、距離と照射角度との組み合わせが登録されている。
【0030】
提示部13は、継続走行距離情報を入力する度に以下の処理を実行する。すなわち、提示部13は、照射角度テーブル19を参照し、入力した継続走行距離情報が示す距離(継続走行距離)と対応付けられた照射角度を認識する。次いで、提示部13は、認識した照射角度で光照射装置4のレーザ照射機構にレーザを照射させるための駆動信号を光照射装置4に出力する。駆動信号の入力に応じて光照射装置4のレーザ照射機構はレーザの照射角度を調整し、歩道走行自動車1から継続走行距離だけ離間した位置にピンポイントでマークMを形成する。
【0031】
導出部12および提示部13により以上の処理が行われる結果、所定周期で継続走行距離が導出されると共に、歩道走行自動車1から前方に継続走行距離だけ離間した位置、換言すれば、現時点以降ブレーキがオンであった場合に歩道走行自動車1が停止する位置にマークMが形成される。
【0032】
図3は、歩道走行自動車1の移動に応じてマークMが路面に形成される様子を示す図である。図3(A)で示すように、歩道走行自動車1がスタート位置で停止し、歩道走行自動車1の前方に搭乗者が歩道走行自動車1を停止させることを希望する停止希望位置があるとする。図3(A)で示すように歩道走行自動車1が停止している状態では、マークMは、歩道走行自動車1の前端部に対応する位置に形成される。ただし、歩道走行自動車1が停止しているときは、マークMを形成しない構成としてもよい。
【0033】
図3(A)の状態から、搭乗者によってジョイスティック6が前に倒され、歩道走行自動車1が前進すると、その走行速度および減速設定の設定値に応じて随時、導出部12により継続走行距離が導出され、提示部13による光照射装置4の制御により、継続走行距離だけ離間した位置にマークMが形成される。図3(B)では、歩道走行自動車1が設定された最高速度よりも小さい速度で走行しているときに、歩道走行自動車1から「a[m]」の位置にマークMが形成された様子を示している。搭乗者は地面に形成されたマークMを視認することによって、仮に現時点でジョイスティック6の把持を解放しブレーキをかけたときに歩道走行自動車1がどの位置で停止するのかを、歩道走行自動車1が走行中、随時認識できる。
【0034】
図3(C)は、図3(B)の状態から歩道走行自動車1が更に前進すると共に走行速度が設定された最高速度に達し、更にマークMが停止希望位置に位置した様子を示している。走行速度が最高速度に達したときの歩道走行自動車1とマークMとの離間距離は「b[m]」(b>a)であり、これは当該離間距離の最高値である。停止希望位置で歩道走行自動車1を停止させることを希望する搭乗者は、マークMが停止希望位置に位置したときにジョイスティック6の把持を解放しブレーキをかける。すると、歩道走行自動車1は徐々に減速していき、これに伴って歩道走行自動車1とマークMとの離間距離は徐々に短くなっていきマークMは停止希望位置に位置した状態が継続する。そして、歩道走行自動車1は、図3(D)で示すように停止希望位置で停止すると共に、この時点でマークMは、停止希望位置(=歩道走行自動車1の前端部に対応する位置)に形成された状態となる。
【0035】
このように本実施形態によれば、減速設定の値と、現時点の走行速度とにより歩道走行自動車1の停止位置が導出された上で、導出された歩道走行自動車1の停止位置が搭乗者に提示される。このため、搭乗者は、提示された位置に基づいて、現時点以降ブレーキがオンであった場合に歩道走行自動車1がどの辺りで停止するのかを認識できる。従って、経験の多寡にかかわらず、搭乗者は、所望の位置で歩道走行自動車1を停止させることができる。
【0036】
次に、運転支援装置3の動作についてフローチャートを用いて説明する。図4は、運転支援装置3の動作を示すフローチャートであり、特に導出部12が走行速度情報を入力した場合の処理を示している。
【0037】
導出部12は、駆動部11から走行距離情報を入力すると、設定テーブル17を参照し、現時点の減速設定の設定値を認識する(ステップSA1)。次いで、導出部12は、継続走行距離テーブル18を参照し、入力した走行距離情報が示す走行距離と現時点の減速設定の設定値との組み合わせに対応する継続走行距離を認識する(ステップSA2)。導出部12は、継続走行距離を示す継続走行距離情報を提示部13に出力する(ステップSA3)。
【0038】
提示部13は、継続走行距離情報を入力と、照射角度テーブル19を参照し、入力した継続走行距離情報が示す距離と対応付けられた照射角度を認識する(ステップSA4)。次いで、提示部13は、認識した照射角度で光照射装置4のレーザ照射機構にレーザを照射させるための駆動信号を光照射装置4に出力する(ステップSA5)。
【0039】
<第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の変形例について説明する。第1実施形態では、継続走行距離として表される車両停止位置は、現時点以降ブレーキがオンであり、かつ、現時点以降ステアリング角度が0°であった場合に歩道走行自動車1が停止する位置を示しており、提示部13は、光照射装置4を制御して、1つの位置を示す車両停止位置にピンポイントでマークMを形成させていた。図5(A)は、歩道走行自動車1の位置と、歩道走行自動車1の光照射装置4の照射ポイントSP(レーザ照射の起点)から照射されたレーザにより形成されるマークMの位置とを俯瞰して見た様子を示している。
【0040】
一方、本変形例では、図5(B)で示すように、光照射装置4は、マークMのほか、照射ポイントSPを中心として同心円状に4つの付随マークFMを路面に形成するように構成されている。より詳細には、光照射装置4は、照射ポイントSPを起点としてマークMへ向かう半直線に対して時計回りに30°程度回転した位置および60°程度回転した位置のそれぞれと、反時計回りに30°程度回転した位置および60°程度回転した位置のそれぞれとに付随マークFMを形成するよう構成されている。各付随マークFMを形成するためのレーザ照射機構は、マークMの照射角度の変動に連動して変動するよう構成されている。
【0041】
付随マークFMのそれぞれは、現時点で瞬間的にステアリング角度が対応する所定の角度となった後、すぐに「0°」となり、その後、ステアリング角度が「0°」の状態でブレーキオン状態が継続した場合の歩道走行自動車1が停止する位置を示している。
【0042】
本変形例に係る提示部13は、以上のように構成された光照射装置4を制御して、継続走行距離として表される車両停止位置に加え、当該車両停止位置に応じた、現時点以降ステアリング角度が上述した態様で変移した場合に車両が停止する位置に網羅的にマーク(マークMおよび付随マークFM)を形成させる。
【0043】
本変形例によれば、搭乗者は、仮に現時点でブレーキをかけると共にハンドルを操作してステアリング角度を変移させた場合に、大体どの位置で歩道走行自動車1が停止するのかを認識可能であり、車両が停止する位置についての搭乗者の認識を高めることができる。
【0044】
なお、本変形例では付随マークFMは4つであったが、付随マークFMの個数は例示した個数に限られず、更に多い個数でもよい。また、図5(C)で示すように光照射装置4が照射ポイントSPを中心とした同心円状に線状の線状マークSMを形成するよう構成され、提示部13が随時光照射装置4を制御して線状マークSMを路面に形成させる構成でもよい。
【0045】
<第2実施形態>
次に第2実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係る歩道走行自動車1Aに搭載された装置を示すと共に、搭載された装置のうち車両制御装置2および本実施形態に係る運転支援装置3Aについてその機能構成例をブロック図として示す図である。
【0046】
図1図6との比較で明らかな通り、本実施形態に係る運転支援装置3Aは、第1実施形態に係る提示部13に代えて提示部13Aを備える。また運転支援装置3Aには、光照射装置4に代えて表示装置21が接続されている。表示装置21は、同乗者が歩道走行自動車1Aに搭乗した状態で視認可能な表示パネルである。また、運転支援装置3Aは、運転支援装置側記憶部15に代えて運転支援装置側記憶部15Aを備えており、運転支援装置側記憶部15Aには照射角度テーブル19が記憶されていない。
【0047】
提示部13Aは、導出部12から継続走行距離情報を入力すると以下の処理を実行する。すなわち、提示部13Aは、表示装置21を制御して、継続走行距離情報を表示装置21に表示する。例えば、継続走行距離情報が示す距離(継続走行距離)が「1メートル」であった場合、提示部13Aは、表示装置21に文字列によって「1メートル」と表示する。
【0048】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様、搭乗者は、提示部13Aにより提示された情報に基づいて、現時点以降ブレーキがオンであった場合に歩道走行自動車1Aがどの辺りで停止するのかを認識できる。従って、経験の多寡にかかわらず、搭乗者は、所望の位置で歩道走行自動車1Aを停止させることができる。
【0049】
なお、本実施形態では、光照射装置4に代えて表示装置21が歩道走行自動車1Aに搭載された構成であったが、光照射装置4と共に表示装置21を搭載し、提示部13Aが光照射装置4によるマークMの形成と共に表示装置21への継続走行距離情報の表示を行うようにしてもよい。その際、光照射装置4を第1実施形態の第1変形例の構成としてもよい。
【0050】
<第3実施形態>
次に第3実施形態について説明する。図7は、本実施形態に係る歩道走行自動車1Bに搭載された装置を示すと共に、搭載された装置のうち車両制御装置2および本実施形態に係る運転支援装置3Bについてその機能構成例をブロック図として示す図である。
【0051】
図1図7との比較で明らかな通り、本実施形態に係る運転支援装置3Bは、第1実施形態に係る提示部13に代えて提示部13Bを備え、第1実施形態に係る運転支援装置側記憶部15に代えて運転支援装置側記憶部15Bを備えている。運転支援装置側記憶部15Bには停止必要位置テーブル23(内容については後述)が更に記憶されている。また運転支援装置3Bは、近接検出部24を更に備えている。また、運転支援装置3Bには光照射装置4に代えて光照射装置4Bが接続されている。
【0052】
近接検出部24は、歩道走行自動車1Bの停止が必要な位置である停止必要位置に歩道走行自動車1Bが近づいたことを検出する。以下、近接検出部24の処理について詳述する。
【0053】
近接検出部24は、図示しないGPSユニットから所定周期で歩道走行自動車1Bの現在位置を示す現在位置情報を入力する。近接検出部24は現在位置情報を入力する度に以下の処理を実行する。すなわち、近接検出部24は、入力した現在位置情報に基づいて走行領域を特定する。本実施形態において、走行領域とは、以下の領域である。すなわち、図8で示すように、歩道走行自動車1Bの現在位置GPを一端とし、歩道走行自動車1Bの前方に所定距離(例えば10メートル)だけ離間したポイントTPを他端とする線分SBが定義される。そして、この線分SBを歩道走行自動車1Bの現在位置GPを中心として所定角度だけ時計回りおよび反時計回りに回動した扇状の領域ORが走行領域である。走行領域は、現時点以降、歩道走行自動車1Bが走行する可能性のある領域という観点で定義されている。また、走行領域は地図上の領域として表される。地図に関する地図データ(不図示)は、運転支援装置3Bの記憶領域に記憶されるか、または、運転支援装置3Bと通信可能な外部装置の記憶領域に記憶されている。
【0054】
走行領域を特定した後、近接検出部24は、運転支援装置側記憶部15Bに記憶された停止必要位置テーブル23を参照する。停止必要位置テーブル23は、歩道走行自動車1Bの停止が必要な停止必要位置のそれぞれについて、地図上の位置を示す情報が登録されたデータである。停止必要位置は、例えば、交差点に進入する手前の位置であり、また例えば踏切に進入する手前の位置である(ただしこれらはあくまで一例であり、停止必要位置には他の位置も含まれる)。近接検出部24は、停止必要位置テーブル23を参照し、何れかの停止必要位置に、特定した走行領域に属するものが存在するか否かを判定する。なお、停止必要位置が走行領域に属している場合、歩道走行自動車1Bが停止必要位置に近づいた状態であるということができる。
【0055】
次いで、近接検出部24は、判定結果を示す判定結果情報を提示部13Bに出力する。判定結果情報は、走行領域に属する停止必要位置が存在すると判定された場合は、存在することを示す情報を値として有し、存在しないと判定された場合は、存在しないことを示す情報を値として有する。判定結果情報は、導出部12が出力する継続走行距離情報と同期して提示部13Bに入力される。
【0056】
提示部13Bは、近接検出部24により停止必要位置に歩道走行自動車1Bが近づいたことが検出された場合、そのことを搭乗者に提示する。提示部13Bは、近接検出部24により停止必要位置に歩道走行自動車1Bが近づいたことが検出される前と後とで車両停止位置の提示の方法を変更することによって、そのことを搭乗者に提示する。以下、提示部13Bの処理について詳述する。
【0057】
ここで、本実施形態に係る光照射装置4Bは、第1実施形態に係る光照射装置4の機能に加え、照射するレーザの色を青色と赤色との間で変更する機能を有している。レーザの色が変わるとマークMの色が変わる。
【0058】
提示部13Bは、導出部12からの継続走行距離情報と、近接検出部24からの判定結果情報とを同期して入力する。提示部13Bは、これらの情報を入力する度に以下の処理を実行する。すなわち、提示部13Bは、第1実施形態と同様、継続走行距離情報が示す走行距離に応じた駆動信号を光照射装置4Bに出力し、歩道走行自動車1Bから継続走行距離情報が示す距離だけ離間した位置にマークMを形成させる。
【0059】
更に提示部13Bは、近接検出部24から入力した判定結果情報の値が、何れかの停止必要位置に、特定した走行領域に属するものが存在しないことを示す値である場合は、レーザの色を青色とすること指示する駆動信号を光照射装置4Bに出力し、存在することを示す値である場合は、レーザの色を赤色とすることを指示する駆動信号を光照射装置4Bに出力する。光照射装置4Bは、駆動信号に応じてレーザの色を変化させる。
【0060】
以上の処理が行われる結果、走行領域内に1つも停止必要位置が属していない状態では、青色のマークMが路面に形成される。そして、その状態から走行領域内に停止必要位置が属した状態となると、赤色のマークMが路面に形成される。
【0061】
本実施形態によれば以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態では、歩道走行自動車1Bが走行している間、路面にマークMが形成されるという特徴があり、この特徴を好適に活用して、走行領域内に停止必要位置が属している場合、換言すれば、歩道走行自動車1Bが停止必要位置に近づいている場合には、そのことをマークMの色の変更によってユーザに認識させることができる。ユーザは、当該認識に基づいて、ブレーキをかける心理的な準備をでき、より一層マークMに注視することによって、余裕をもってブレーキをかけることができる。
【0062】
なお、本実施形態では、走行領域内に停止必要位置が属していない状態から、属している状態となった場合に、マークMの色を変更することによってそのことを搭乗者に提示する構成であったが、他の方法で提示する構成であってもよい。一例として、マークMを点滅させるようにしてもよく、また、レーザの強さを強くしてより強い反射光でマークMが形成されるようにしてもよい。また、アラーム音の出力など音声を利用して提示する構成でもよい。
【0063】
また、第2実施形態に本実施形態を応用可能である。この場合、例えば第2実施形態に係る提示部13Aは、走行領域内に停止必要位置が属していない状態から、属している状態となった場合に、表示装置21に表示された継続走行距離情報の態様を変更する。一例として、提示部13Aは、走行領域内に停止必要位置が属していない状態から、属している状態となった場合に、文字列として表される継続走行距離情報の色を変更する。
【0064】
<第4実施形態>
次に第4実施形態について第3実施形態と比較しつつ説明する。図9は、本実施形態に係る歩道走行自動車1Cに搭載された装置を示すと共に、搭載された装置のうち車両制御装置2および本実施形態に係る運転支援装置3Cについてその機能構成例をブロック図として示す図である。
【0065】
図7図9との比較で明らかな通り、本実施形態に係る運転支援装置3Cは、第3実施形態に係る近接検出部24に代えて近接検出部24Cを備えている。また、本実施形態に係る運転支援装置3Cは、第3実施形態に係る運転支援装置側記憶部15Bに代えて運転支援装置側記憶部15Cを備えており、この運転支援装置側記憶部15Cには第3実施形態と異なり停止必要位置テーブル23が記憶されていない。
【0066】
また、運転支援装置3Cにはカメラ25が接続されている。カメラ25は歩道走行自動車1の前方を所定周期で撮影して画像データを生成し、近接検出部24Cに出力する。
【0067】
近接検出部24Cは、歩道走行自動車1Cの前方を撮影するカメラ25が出力する画像データを分析することによって停止必要位置に歩道走行自動車1Cが近づいたことを検出する。以下、近接検出部24Cの処理について詳述する。
【0068】
近接検出部24Cは、カメラ25から撮影結果に基づく画像データを所定周期で入力する。近接検出部24Cは画像データを入力する度に以下の処理を実行する。すなわち、近接検出部24Cは、画像データを分析し、画像データに記録された風景に停止必要位置が含まれているか否かを判定する。なお、当該風景に停止必要位置が含まれている場合、歩道走行自動車1Cが停止必要位置に近づいた状態であるということができる。
【0069】
ここで、歩道走行自動車1Cの前方の限られた範囲(例えば、歩道走行自動車1Cを中心として、前方に3メートル程度の扇状の範囲)に建物その他の障害物の影となって見通せない場所ある場合、その場所から歩行者や自転車等が飛び出してくる可能性があるため、その場所に至る手前で歩道走行自動車1Cを一旦停止させる必要がある。これを踏まえ、例えば近接検出部24Cは、このような場所が画像データの風景に含まれている場合、当該風景に停止必要位置が含まれていると判定する。この場合に、例えば、近接検出部24Cは、画像データを分析して、歩道走行自動車1Cの前方の予め定められた範囲内に、鉛直方向に一定以上の大きさの障害物が存在するか否かを判定し、存在する場合に、停止必要位置が含まれていると判定する。
【0070】
また、歩道走行自動車1Cの前方に横断歩道がある場合、仮に歩道走行自動車1Cが横断歩道を渡るとしたら、横断歩道の手前で歩道走行自動車1Cを一旦停止させる必要がある。これを踏まえ、例えば近接検出部24Cは、横断歩道が画像データの風景に含まれている場合、当該風景に停止必要位置が含まれていると判定する。
【0071】
また、歩道走行自動車1Cの前方に踏切がある場合、仮に歩道走行自動車1Cが踏切を渡るとしたら、踏切の手前で歩道走行自動車1Cを一旦停止させる必要がある。これを踏まえ、例えば近接検出部24Cは、踏切が画像データの風景に含まれている場合、当該風景に停止必要位置が含まれていると判定する。
【0072】
以上、停止必要位置の具体例を説明したが、これらはあくまで一例であり、停止必要位置には他の位置が含まれる。近接検出部24Cは、パターンマッチングを応用した画像分析技術、その他の既存の画像分析技術を利用して画像データを分析し、画像データに記録された風景に停止必要位置が含まれているか否かを判定する。
【0073】
次いで、近接検出部24Cは、判定結果を示す判定結果情報を提示部13Bに出力する。判定結果情報は、風景に停止必要位置が含まれていると判定された場合は、含まれていることを示す情報を値(=第3実施形態において、走行領域に車両停止位置が属することを示す値)として有し、含まれていないと判定された場合は、含まれていないことを示す情報を値(=第3実施形態において、走行領域に車両停止位置が属さないことを示す値)として有する。
【0074】
以上の処理が行われる結果、画像データに記録された風景に停止必要位置が含まれていない状態では、青色のマークMが路面に形成される。そして、その状態から、当該風景に停止必要位置が含まれた状態、つまり歩道走行自動車1Cが停止必要位置に近づいた状態となると、赤色のマークMが路面に形成される。このことによる効果は第3実施形態と同様である。
【0075】
なお、近接検出部24Cが、カメラ25の画像データに基づいて歩道走行自動車1Cが停止必要位置に近づいたことを検出する機能と、第3実施形態で説明した方法で歩道走行自動車1Cの現在位置および停止必要位置テーブル23に基づいて歩道走行自動車1Cが停止必要位置に近づいたことを検出する機能との両方を備える構成でもよい。
【0076】
以上、第1~第4実施形態について説明したが、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0077】
例えば、第1実施形態において、継続走行距離テーブル18では、走行速度と減速設定の設定値との組み合わせのそれぞれについて継続走行距離が対応付けて登録されており、導出部12は、継続走行距離テーブル18において現時点の走行速度と現時点の減速設定の設定値との組み合わせに対応付けられた値を継続走行距離として導出していた。しかしながら、これは単純化されたものであり、導出部12が継続走行距離に影響を与える他の要素を更に加味して継続走行距離を導出する構成でもよい。すなわち、継続走行距離は、少なくとも走行速度と減速設定の設定値とを反映して導出されればよく、継続走行距離に影響を与える他の要素を更に加味して継続走行距離を導出するようにしてもよい。
【0078】
一例として、導出部12は、歩道走行自動車1が走行する路面の勾配を専用のセンサにより検出する。そして、導出部12は、継続走行距離テーブル18に登録された継続走行距離を取得した後、これに勾配に応じた係数を乗じて最終的な継続走行距離を算出する。以上のような構成でもよい。継続走行距離に影響を与える要素としては、勾配のほか、路面の状態や、天候、現時点の直前がブレーキオン状態であるか否か等がある。以上のことは他の実施形態についても同様である。
【0079】
また、第1実施形態において、導出部12が継続走行距離テーブル18に基づいて継続走行距離を導出するのではなく、走行速度と減速設定の設定値とを入力パラメータに含むモデルによって継続走行距離を導出する構成でもよい。以上のことは他の実施形態についても同様である。
【0080】
また、第1実施形態では、運転支援装置3が搭載された歩道走行自動車1は、ジョイスティック6を操作するタイプのものであったが、運転支援装置3が搭載される歩道走行自動車1は、このタイプのものに限られない。例えば、運転支援装置3は、レバーやハンドルを操作するタイプのものでもよい。
【符号の説明】
【0081】
1、1A、1B、1C 歩道走行自動車
3、3A、3B、3C 運転支援装置
4、4B 光照射装置
12 導出部
13、13A、13B 提示部
21 表示装置
24、24C 近接検出部
25 カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9