(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】泡吐出具及び泡吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20230911BHJP
B05B 1/02 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B05B1/02 101
(21)【出願番号】P 2020015439
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】石塚 徹也
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-230961(JP,A)
【文献】特開2017-036056(JP,A)
【文献】登録実用新案第3163646(JP,U)
【文献】特開2018-052601(JP,A)
【文献】米国特許第05431345(US,A)
【文献】特開2019-011118(JP,A)
【文献】特開2015-048121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B05B 1/00- 3/18
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを備えた押下げヘッドと、
容器本体の口部に装着される装着キャップと、
前記装着キャップに支持され、前記押下げヘッドの押下げ操作により作動して前記容器本体に収納された内容液を気液混合室で空気と混合させつつ前記ノズルに向けて圧送するポンプと、
前記ノズルと前記気液混合室との間に配置された上流側メッシュ部材と、
前記ノズルに配置された下流側メッシュ部材と、を備え、
前記内容液を前記ノズルから泡状に吐出させる泡吐出具であって、
前記ノズルの先端に、前記ノズルの内側に嵌合する筒状の保持具が取り付けられ、
前記下流側メッシュ部材が、前記保持具の下流側の端部に固定されて
おり、
前記保持具に、前記下流側メッシュ部材を前記保持具の内側から支持可能な支持板が設けられている、ことを特徴とする泡吐出具。
【請求項2】
前記支持板は、一端において前記保持具の上流側の端部に一体に連なり、他端において前記下流側メッシュ部材に対向している、請求項
1に記載の泡吐出具。
【請求項3】
ノズルを備えた押下げヘッドと、
容器本体の口部に装着される装着キャップと、
前記装着キャップに支持され、前記押下げヘッドの押下げ操作により作動して前記容器本体に収納された内容液を気液混合室で空気と混合させつつ前記ノズルに向けて圧送するポンプと、
前記ノズルと前記気液混合室との間に配置された上流側メッシュ部材と、
前記ノズルに配置された下流側メッシュ部材と、を備え、
前記内容液を前記ノズルから泡状に吐出させる泡吐出具であって、
前記ノズルの先端に、前記ノズルの内側に嵌合する筒状の保持具が取り付けられ、
前記下流側メッシュ部材が、前記保持具の下流側の端部に固定されており、
前記保持具が、
前記ノズルの内側に嵌合する筒状の本体部と、
前記本体部の下流側の端部に同軸に連結する連結位置と、前記本体部から離脱する離脱位置との間で回動自在の、筒状の連結部とを有し、
前記下流側メッシュ部材が、前記連結部に固定されていることを特徴とする泡吐出具。
【請求項4】
前記下流側メッシュ部材を外部に開放する開位置と、前記下流側メッシュ部材を外側から覆う閉位置との間で開閉自在の蓋体を備えている、請求項1~3の何れか1項に記載の泡吐出具。
【請求項5】
内容液を収納する前記容器本体と、
請求項1~
4の何れか1項に記載の前記泡吐出具と、を有することを特徴とする泡吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に収納された内容液を泡状に吐出させる泡吐出具及び泡吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドソープ、ボディソープ、シャンプー、洗顔料等の液体を内容液として収納する容器として、内容液を収納する容器本体と、容器本体の口部に装着された泡吐出具とを有し、泡吐出具のノズルから内容液を泡状として吐出するようにした泡吐出容器が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、ノズルを備えた押下げヘッドと、容器本体の口部に装着される装着キャップと、装着キャップに支持されて押下げヘッドの押下げ操作により作動して容器本体に収納された内容液を気液混合室で空気と混合させつつノズルに向けて圧送するポンプと、ノズルと気液混合室との間に配置された上流側メッシュ部材と、ノズルの内部に配置された下流側メッシュ部材と、を備えた泡吐出具を有し、押下げヘッドを押下げ操作してポンプを作動させることで、内容液を、空気と混合させつつ上流側メッシュ部材と下流側メッシュ部材とを通してノズルから泡状に吐出するようにした泡吐出容器が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された泡吐出具ないし泡吐出容器によれば、空気と混合された内容液を、互いに離れて配置された上流側メッシュ部材と下流側メッシュ部材との2つのメッシュ部材によって、より肌理の細かい泡状としてノズルから吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載された従来の泡吐出具ないし泡吐出容器では、ノズルの先端に、ノズルの内側に嵌合する筒状の保持具が取り付けるとともに、この保持具の上流側の端部に下流側メッシュを固定するようにしているので、泡状から液状に戻り易い内容液を収納する用途に用いた場合に、泡状の内容液を吐出した後、ノズルの先端の下流側メッシュ部材よりも下流側に残った泡状の内容物が液状に戻り、ノズルから外部に垂れ落ちる虞がある、という問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために開発されたものであり、その目的は、ノズルの先端から内容液が垂れ落ちるのを抑制することが可能な泡吐出具及び泡吐出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の泡吐出具は、ノズルを備えた押下げヘッドと、容器本体の口部に装着される装着キャップと、前記装着キャップに支持され、前記押下げヘッドの押下げ操作により作動して前記容器本体に収納された内容液を気液混合室で空気と混合させつつ前記ノズルに向けて圧送するポンプと、前記ノズルと前記気液混合室との間に配置された上流側メッシュ部材と、前記ノズルに配置された下流側メッシュ部材と、を備え、前記内容液を前記ノズルから泡状に吐出させる泡吐出具であって、前記ノズルの先端に、前記ノズルの内側に嵌合する筒状の保持具が取り付けられ、前記下流側メッシュ部材が、前記保持具の下流側の端部に固定されており、前記保持具に、前記下流側メッシュ部材を前記保持具の内側から支持可能な支持板が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の泡吐出具は、上記構成において、前記支持板は、一端において前記保持具の上流側の端部に一体に連なり、他端において前記下流側メッシュ部材に対向しているのが好ましい。
本発明の泡吐出具は、ノズルを備えた押下げヘッドと、容器本体の口部に装着される装着キャップと、前記装着キャップに支持され、前記押下げヘッドの押下げ操作により作動して前記容器本体に収納された内容液を気液混合室で空気と混合させつつ前記ノズルに向けて圧送するポンプと、前記ノズルと前記気液混合室との間に配置された上流側メッシュ部材と、前記ノズルに配置された下流側メッシュ部材と、を備え、前記内容液を前記ノズルから泡状に吐出させる泡吐出具であって、前記ノズルの先端に、前記ノズルの内側に嵌合する筒状の保持具が取り付けられ、前記下流側メッシュ部材が、前記保持具の下流側の端部に固定されており、前記保持具が、前記ノズルの内側に嵌合する筒状の本体部と、前記本体部の下流側の端部に同軸に連結する連結位置と、前記本体部から離脱する離脱位置との間で回動自在の、筒状の連結部とを有し、前記下流側メッシュ部材が、前記連結部に固定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の泡吐出具は、上記構成において、前記下流側メッシュ部材を外部に開放する開位置と、前記下流側メッシュ部材を外側から覆う閉位置との間で開閉自在の蓋体を備えているのが好ましい。
【0013】
本発明の泡吐出容器は、内容液を収納する前記容器本体と、前記泡吐出具と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ノズルの先端から内容液が垂れ落ちるのを抑制することが可能な泡吐出具及び泡吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態である泡吐出具を備えた泡吐出容器を、一部を切り欠いて示す側面図である。
【
図2】
図1に示すノズルの先端部分を拡大して示す拡大断面図である。
【
図3】
図2に示すノズルを矢視Aから見た図である。
【
図4】変形例の保持具が装着されたノズルの先端部分を拡大して示す拡大断面図である。
【
図5】
図4に示すノズルを矢視Bから見た図である。
【
図6】変形例の泡吐出具の、蓋体が開位置にある状態におけるノズルの先端部分を拡大して示す拡大断面図である。
【
図7】
図6に示す変形例の泡吐出具を矢視Cから見た図である。
【
図8】
図6に示す変形例の泡吐出具の、蓋体が閉位置にある状態におけるノズルの先端部分を拡大して示す拡大断面図である。
【
図9】他の変形例の保持具が装着されたノズルの、保持具の連結部が連結位置にある状態における先端部分を拡大して示す拡大断面図である。
【
図10】
図9に示す他の変形例の保持具が装着されたノズルの、保持具の連結部が離脱位置にある状態における先端部分を拡大して示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態に係る泡吐出具及び泡吐出容器について詳細に例示説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明の一実施の形態である泡吐出容器1は、容器本体10と泡吐出具20とを有している。
【0018】
容器本体10は、例えば合成樹脂製のブロー成形容器であり、円筒状の口部11と口部11に連なる胴部12とを備えたボトル形状となっている。容器本体10は、その内部に、例えばハンドソープ、ボディソープ、シャンプー、洗顔料等の、発泡性を有する液体を内容液として収納することができる。
【0019】
容器本体10は、口部11を備えるとともに内部に内容液を収納可能な構成であれば、その形状や材質、製造方法等は種々変更可能である。
【0020】
泡吐出具20は、容器本体10に装着して用いられるものであり、装着キャップ30、ポンプ40、押下げヘッド50を有している。
【0021】
例えば合成樹脂製とされる装着キャップ30は、周壁31と天壁32とを有する有頂筒状の形状を有し、例えばねじ結合や打栓等の取付け手段によって、容器本体10の口部11に装着されている。装着キャップ30が口部11に装着されることで、泡吐出具20は、容器本体10に取り付けられる。
【0022】
ポンプ40は、装着キャップ30の軸心に沿った円筒状に形成された空気供給部41と空気供給部41よりも小径の円筒状に形成されて空気供給部(空気用シリンダ)41に連なる液体供給部(液体用シリンダ)42とを備えている。空気供給部41と液体供給部42は装着キャップ30と同軸に縦向きの姿勢で配置されている。ポンプ40は、空気供給部41の上端側部分において装着キャップ30に支持されて容器本体10の内部に吊り下げ保持されている。
【0023】
液体供給部42は、例えばその下端に柔軟な合成樹脂製の吸引用パイプが接続されることで、容器本体10の底部分から内容液を吸引することができる。
【0024】
押下げヘッド50は、ヘッド部51と、ヘッド部51の側部に一体に連なるノズル52と、ヘッド部51の下方に延びる筒体部53とを備えている。
【0025】
ヘッド部51は、例えば略円形に形成される操作面51aを上面に有しており、操作面51aに下方に向けた押下げ力を加えることで、押下げヘッド50を押下げ操作することができる。
【0026】
ノズル52は、ヘッド部51から側方に向けて延びており、その内部は内容液の流路52aとなっている。本実施の形態においては、ノズル52は、軸線方向に垂直な断面が横長の略長方形状となる略角筒状となっている。
【0027】
筒体部53は、ヘッド部51の下面に一体に連なっている。筒体部53の内部は内容液の流路53aとなっており、この流路53aはノズル52の流路52aに連なっている。
【0028】
ポンプ40は押下げヘッド50に向けて上方に突出するステム43を備えており、押下げヘッド50は筒体部53においてステム43の上端に固定されている。筒体部53の内部の流路53aは、ステム43を介して液体供給部42の内部に連通している。
【0029】
操作面51aを下方(ポンプ40の側)に向けて押して、押下げヘッド50を装着キャップ30に対して
図1に示す初期位置から下方に向けて押下げ操作することで、押下げヘッド50とともにステム43を下方に移動させてポンプ40を作動(吐出動作)させることができる。ポンプ40が作動(吐出動作)すると、空気供給部41の内部の空気が空気流路41aを通ってステム43の内部に設けられた気液混合室44に供給されるとともに液体供給部42の内部の液体が液体流路42aを通って気液混合室44に供給され、気液混合室44において空気と内容液とが互いに混合されつつノズル52に向けて圧送される。ポンプ40により気液混合室44からノズル52に向けて圧送される内容液と空気との混合物は、流路53aと流路52aとを通ってノズル52に達し、ノズル52の開口端から外部に吐出される。
【0030】
なお、内容液が流れる流路53a、52a等において、ポンプ40の側を上流側、ノズル52の吐出端の側を下流側とする。
【0031】
押下げヘッド50の押下げ操作が解除されると、押下げヘッド50は図示しない復帰バネにより初期位置にまで上昇する。押下げヘッド50が初期位置まで上昇すると、ポンプ40の吸引動作が行われる。吸引動作においては、空気が所定量だけ吸引されて空気供給部41に充填されるとともに、容器本体10の内部に収納されている内容液が所定量だけ液体供給部42の内部に充填される。
【0032】
ノズル52と気液混合室44との間には、上流側メッシュ部材60が配置されている。本実施の形態では、筒体部53の流路53aに2つの上流側メッシュ部材60が配置されている。上流側メッシュ部材60は、例えば合成樹脂材料等により網状に形成された部材である。
【0033】
2つの上流側メッシュ部材60は、それぞれ円筒状の嵌合筒体61の一方の端部に、例えば接着、溶着等の手段によって固定されて当該端部の側の開口を覆っており、嵌合筒体61が筒体部53の内側に嵌合固定されることで流路53aに配置されている。本実施の形態では、2つの嵌合筒体61は、互いに上流側メッシュ部材60を逆側に向けた姿勢で配置されている。
【0034】
気液混合室44において空気と混合された内容液は、2つの上流側メッシュ部材60を通ってノズル52に向けて圧送される。したがって、気液混合室44において空気と混合された内容液は、上流側メッシュ部材60を通過する際に発泡して泡状化し、その状態でノズル52に向けて圧送される。
【0035】
なお、上流側メッシュ部材60としては、嵌合筒体61の端部に固定される構成に限らず、ノズル52と気液混合室44との間に配置されて気液混合室44において空気と混合された内容液を泡状化させることができれば、その固定ないし配置の構造は種々変更可能である。
【0036】
ノズル52の先端には、保持具70が取り付けられている。
図2、
図3に示すように、保持具70は、ノズル52の内面形状に対応した外形形状を有する筒状となっており、その内側は流路52aに連通している。
【0037】
保持具70はノズル52の内側に嵌合している。ノズル52の内面には段差面52bが設けられており、保持具70は、上流側となる一方の端部70aが段差面52bに当接することで、ノズル52に対する挿入位置が規定されている。なお、端部70aは平面である。
【0038】
保持具70の外周面には、端部70aに連なる環状の大径部70bが一体に設けられており、大径部70bがノズル52の内面に設けられた環状の突起52cにアンダーカット係合することで、保持具70はノズル52に対して抜け止めされている。
【0039】
ノズル52には下流側メッシュ部材80が配置されている。下流側メッシュ部材80は、例えば合成樹脂材料等により網状に形成された部材である。下流側メッシュ部材80は保持具70の下流側の端部70cに、例えば接着、溶着等の手段によって固定されており、保持具70の開口を覆っている。なお、下流側メッシュ部材80は、保持具70に一体に形成されたものとすることもできる。端部70cは平面である。
【0040】
下流側メッシュ部材80は保持具70の下流側の端部70cにのみ固定されており、保持具70の上流側の端部70aには設けられていない。
【0041】
保持具70の下流側の端部70cは、ノズル52の先端(吐出端)52dに隣接しており、下流側メッシュ部材80はノズル52の先端52dに配置されている。なお、保持具70の下流側の端部70cにフランジ部を一体に設け、当該フランジ部をノズル52の先端52dに当接させた構成とすることもできる。
【0042】
上流側メッシュ部材60を通って泡状化され、その状態でノズル52に向けて圧送された泡状の内容液は、下流側メッシュ部材80を通ることでさらに泡状化されて、ノズル52の先端52dから外部に吐出される。
【0043】
このように、本実施の形態の泡吐出容器1ないし泡吐出具20では、ノズル52と気液混合室44との間に上流側メッシュ部材60を配置するとともに、ノズル52に下流側メッシュ部材80を配置するようにしたので、気液混合室44において空気と混合された内容液を、互いに離れて配置された上流側メッシュ部材60と下流側メッシュ部材80とによって、より肌理の細かい良質な泡として、外部に吐出させることができる。
【0044】
また、本実施の形態の泡吐出容器1ないし泡吐出具20では、下流側メッシュ部材80を、保持具70の下流側の端部70cにのみ固定して設け、保持具70の上流側の端部70aには設けていないので、保持具70の上流側の端部70aにも下流側メッシュ部材80を設けた場合に比べて、上流側メッシュ部材60と下流側メッシュ部材80との間の流路長を長くして、気液混合室44において空気と混合された内容液を、さらに肌理の細かい良質な泡として、外部に吐出させることができる。
【0045】
さらに、本実施の形態の泡吐出容器1ないし泡吐出具20では、下流側メッシュ部材80を、保持具70の下流側の端部70cに固定するようにしたので、泡状の内容液を吐出した後、泡状の内容物が下流側メッシュ部材80よりも下流側においてノズル52の内部に残ることをなくすことができる。したがって、泡状の内容液を吐出した後、ノズル52の内部には、下流側メッシュ部材80よりも上流側において内容液が残ることになるので、ノズル52の内部に残った内容物が液状に戻ったとしても、当該内容液を、下流側メッシュ部材80により保持して、ノズル52の先端52dから外部に垂れ落ちることを抑制することができる。すなわち、内容液として、泡状から液状に戻り易いものを用いた場合であっても、泡状の内容液を吐出した後、ノズル52の先端52dから内容液が外部に垂れ落ちることを抑制することができる。
【0046】
図4は、変形例の保持具が装着されたノズルの先端部分を拡大して示す拡大断面図であり、
図5は、
図4に示すノズルを矢視Bから見た図である。なお、
図4、
図5においては、前述した部材には同一の符号を付してある。
【0047】
図4、
図5に変形例として示すように、保持具70は、下流側メッシュ部材80を、保持具70の内側から支持可能な支持板71を備えた構成とすることができる。図示する場合では、保持具70は、上下一対の支持板71を備えている。
【0048】
支持板71は、それぞれ流路52aの幅よりも幅が狭い細長い板状となっており、所定の弾性力で弾性変形可能となっている。一方の支持板71は、長手方向の一端において、保持具70の上流側の端部70aの上側部分の中心から一方側にずれた部分に一体に連なっている。他方の支持板71は、長手方向の一端において、保持具70の上流側の端部70aの下側部分の中心から他方側にずれた部分に一体に連なっている。
【0049】
保持具70の上流側の端部70aは、外側よりも内側の方が下流側に位置するように傾斜した傾斜面となっている。2つの支持板71は、それぞれ傾斜する端部70aに表面が当接するように、端部70aに対して下流側に向く姿勢に折り曲げられており、その根元部分の傾斜面が段差面52bに当接することで、当該姿勢に保持されている。
【0050】
このように、端部70aに対して下流側に向く姿勢とされた支持板71は、その先端部分において下流側メッシュ部材80の上流側を向く面に保持具70の内側から対向している。したがって、例えば、多数の泡吐出具20を搬送する際に、液体供給部42に接続された吸引用パイプが、ノズル52の先端52dにおいて外部に露出する下流側メッシュ部材80に触れるなどして、下流側メッシュ部材80にノズル52の内部に向けた荷重が加えられたとしても、当該荷重を支持板71により弾性的に支持して、下流側メッシュ部材80が破損することを抑制することができる。
【0051】
支持板71を備えた保持具70は、射出成形により、
図4において二点鎖線で示す形状で支持板71を一体に形成した後、支持板71を保持具70に対して折り曲げて形成したものとすることができる。これにより、支持板71を備えた保持具70を、安価に製造することができる。
【0052】
図6は、変形例の泡吐出具の、蓋体が開位置にある状態におけるノズルの先端部分を拡大して示す拡大断面図であり、
図7は、
図6に示す変形例の泡吐出具を矢視Cから見た図であり、
図8は、
図6に示す変形例の泡吐出具の、蓋体が閉位置にある状態におけるノズルの先端部分を拡大して示す拡大断面図である。なお、
図6~
図8においては、前述した部材には同一の符号を付してある。また、
図7においては、蓋体を省略して示す。
【0053】
図6~
図8に変形例として示すように、泡吐出具20は、下流側メッシュ部材80を外部に開放する開位置(
図6、
図7に示す位置)と、下流側メッシュ部材80を外側から覆う閉位置(
図8に示す位置)と、の間で開閉自在の蓋体90を備えた構成とすることもできる。
【0054】
図示する場合では、蓋体90はノズル52の先端52dの全体を覆うことが可能な大きさないし形状の板状となっており、板状ヒンジ91によりノズル52の先端52dの上側部分に一体に連なっている。蓋体90は、板状ヒンジ91が弾性変形することで、ノズル52に対して開位置と閉位置との間で回動自在である。
【0055】
ノズル52の上面には嵌合用突起92が一体に設けられ、蓋体90の外面には被嵌合用突起93が一体に設けられている。蓋体90が開位置となると、被嵌合用突起93が嵌合用突起92に嵌合保持され、これにより、蓋体90は開位置すなわち下流側メッシュ部材80を外部に開放する開状態に保持される。
【0056】
一方、蓋体90の内面には係止用突起94が一体に設けられ、ノズル52の下面には係止溝95が設けられている。蓋体90が閉位置となると、係止用突起94が係止溝95にアンダーカット係合し、これにより、蓋体90は閉位置すなわち下流側メッシュ部材80を外側から覆う閉状態に保持される。
【0057】
このように、泡吐出具20を、蓋体90を備えた構成とすることにより、不使用時や搬送時等において、蓋体90を閉じて下流側メッシュ部材80を蓋体90により外側から覆って保護することができる。したがって、下流側メッシュ部材80が破損することを、より確実に防止することができる。
【0058】
なお、上記変形例においては、蓋体90を、板状ヒンジ91を介してノズル52に一体に設けるようにしているが、板状ヒンジ91を介して保持具70に一体に設けるようにしてもよく、また、ノズル52ないし保持具70とは別体に形成され、これらに着脱自在に装着される構成としてもよい。
【0059】
図9は、他の変形例の保持具が装着されたノズルの、保持具の連結部が連結位置にある状態における先端部分を拡大して示す拡大断面図であり、
図10は、
図9に示す他の変形例の保持具が装着されたノズルの、保持具の連結部が離脱位置にある状態における先端部分を拡大して示す拡大断面図である。なお、
図9、
図10においては、前述した部材には同一の符号を付してある。
【0060】
図9、
図10に変形例として示すように、保持具70は、ノズル52の内側に嵌合する筒状の本体部72と、本体部72の下流側の端部に同軸に連結する連結位置と、本体部72から離脱する離脱位置との間で回動自在の、筒状の連結部73とを有し、下流側メッシュ部材80が連結部73に固定された構成とすることもできる。
【0061】
図示する場合では、本体部72は、ノズル52の内側に挿入されてアンダーカット係合により保持されており、その下流側の端部に設けられたフランジ部72aがノズル52の先端52dに当接することでノズル52に対して位置決めされている。本体部72の内側は流路52aに連通している。
【0062】
連結部73は、板状ヒンジ74により本体部72のフランジ部72aの上側部分に一体に連なっており、板状ヒンジ74が弾性変形することで、本体部72に対して連結位置と離脱位置との間で回動自在となっている。連結部73は、連結位置となると、本体部72の内側に嵌合して連結され、ノズル52の流路52aは、本体部72と連結部73の内側を介して外部に連通する。下流側メッシュ部材80は、連結部73の下流側の端部に固定されている。
【0063】
この変形例の構成では、連結部73を連結位置とした状態で、押下げヘッド50を押し下げ操作して内溶液を吐出させると、ノズル52の流路52aから本体部72と連結部73の内側を通って下流側メッシュ部材80にまで達した泡状の内容液は、下流側メッシュ部材80によりさらに泡状化されて外部に吐出される。一方、連結部73を離脱位置とした状態で、押下げヘッド50を押し下げ操作して内溶液を吐出させると、ノズル52の流路52aから本体部72と連結部73の内側を通った泡状の内容液は、下流側メッシュ部材80によりさらに泡状化されることなく、そのまま外部に吐出される。
【0064】
このように、この変形例の保持具70によれば、連結部73を連結位置と離脱位置とに切り替えることで、内容液の泡状化の程度を2段階に容易に切り替えることができる。
【0065】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0066】
1 泡吐出容器
10 容器本体
11 口部
20 泡吐出具
30 装着キャップ
31 周壁
32 天壁
40 ポンプ
41 空気供給部
41a 空気流路
42 液体供給部
42a 液体流路
43 ステム
44 気液混合室
50 押下げヘッド
51 ヘッド部
51a 操作面
52 ノズル
52a 流路
52b 段差面
52c 突起
52d 先端(吐出端)
53 筒体部
53a 流路
60 上流側メッシュ部材
61 嵌合筒体
70 保持具
70a 端部
70b 大径部
70c 端部
71 支持板
72 本体部
72a フランジ部
73 連結部
74 板状ヒンジ
80 下流側メッシュ部材
90 蓋体
91 板状ヒンジ
92 嵌合用突起
93 被嵌合用突起
94 係止用突起
95 係止溝