(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】ラビリンスシール、ラビリンスシール構造、および流体機械
(51)【国際特許分類】
F16J 15/447 20060101AFI20230911BHJP
F04D 29/08 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
F16J15/447
F04D29/08 E
(21)【出願番号】P 2020087594
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】森中 俊輔
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-049346(JP,A)
【文献】特開2019-183849(JP,A)
【文献】特開2019-035347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/40-15/453
F04D 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材に対向する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に形成され、前記第1部材と前記第2部材とが対向する方向に直交する方向である流れ方向の高圧側から低圧側に流体が流れるように構成される隙間と、
を備える流体機械に設けられるラビリンスシールであって、
前記第1部材と前記第2部材とが対向する方向を対向方向とし、
対向方向において前記第2部材から前記第1部材に向かう側を対向方向第1側とし、
対向方向において前記第1部材から前記第2部材に向かう側を対向方向第2側とし、
前記第2部材の対向方向第1側部分に形成される第2部材段差部と、
前記第2部材の対向方向第1側部分を構成し、前記第2部材段差部よりも高圧側に配置される第2部材高圧側段部と、
前記第2部材の対向方向第1側部分を構成し、前記第2部材段差部よりも低圧側に配置され、前記第2部材高圧側段部よりも対向方向第2側に配置される第2部材低圧側段部と、
前記第1部材から前記第2部材高圧側段部に向かって延びるように配置され、前記第2部材段差部よりも高圧側に配置される高圧側フィンと、
前記第1部材から前記第2部材低圧側段部に向かって延びるように配置され、前記第2部材段差部よりも低圧側に配置される低圧側フィンと、
前記第2部材高圧側段部から対向方向第1側に延びるように配置され、前記高圧側フィンよりも低圧側に配置される突起と、
前記第1部材の対向方向第2側部分に形成され、前記高圧側フィンの低圧側の面よりも低圧側に配置され、前記低圧側フィンの高圧側の面よりも高圧側に配置される第1部材段差部と、
前記第1部材の対向方向第2側部分を構成し、前記第1部材段差部よりも高圧側に配置される第1部材高圧側段部と、
前記第1部材の対向方向第2側部分を構成し、前記第1部材段差部よりも低圧側に配置され、前記第1部材高圧側段部よりも対向方向第2側に配置される第1部材低圧側段部と、
を備
え、
前記第1部材段差部は、前記突起よりも低圧側に配置される、
ラビリンスシール。
【請求項2】
第1部材と、
前記第1部材に対向する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に形成され、前記第1部材と前記第2部材とが対向する方向に直交する方向である流れ方向の高圧側から低圧側に流体が流れるように構成される隙間と、
を備える流体機械に設けられるラビリンスシールであって、
前記第1部材と前記第2部材とが対向する方向を対向方向とし、
対向方向において前記第2部材から前記第1部材に向かう側を対向方向第1側とし、
対向方向において前記第1部材から前記第2部材に向かう側を対向方向第2側とし、
前記第2部材の対向方向第1側部分に形成される第2部材段差部と、
前記第2部材の対向方向第1側部分を構成し、前記第2部材段差部よりも高圧側に配置される第2部材高圧側段部と、
前記第2部材の対向方向第1側部分を構成し、前記第2部材段差部よりも低圧側に配置され、前記第2部材高圧側段部よりも対向方向第2側に配置される第2部材低圧側段部と、
前記第1部材から前記第2部材高圧側段部に向かって延びるように配置され、前記第2部材段差部よりも高圧側に配置される高圧側フィンと、
前記第1部材から前記第2部材低圧側段部に向かって延びるように配置され、前記第2部材段差部よりも低圧側に配置される低圧側フィンと、
前記第2部材高圧側段部から対向方向第1側に延びるように配置され、前記高圧側フィンよりも低圧側に配置される突起と、
前記第1部材の対向方向第2側部分に形成され、前記高圧側フィンの低圧側の面よりも低圧側に配置され、前記低圧側フィンの高圧側の面よりも高圧側に配置される第1部材段差部と、
前記第1部材の対向方向第2側部分を構成し、前記第1部材段差部よりも高圧側に配置される第1部材高圧側段部と、
前記第1部材の対向方向第2側部分を構成し、前記第1部材段差部よりも低圧側に配置され、前記第1部材高圧側段部よりも対向方向第2側に配置される第1部材低圧側段部と、
を備
え、
前記第1部材段差部と前記低圧側フィンとの流れ方向における距離をLa、前記突起と前記低圧側フィンとの流れ方向における距離をLbとしたとき、
La≧Lb/2である、
ラビリンスシール。
【請求項3】
第1部材と、
前記第1部材に対向する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に形成され、前記第1部材と前記第2部材とが対向する方向に直交する方向である流れ方向の高圧側から低圧側に流体が流れるように構成される隙間と、
を備える流体機械に設けられるラビリンスシールであって、
前記第1部材と前記第2部材とが対向する方向を対向方向とし、
対向方向において前記第2部材から前記第1部材に向かう側を対向方向第1側とし、
対向方向において前記第1部材から前記第2部材に向かう側を対向方向第2側とし、
前記第2部材の対向方向第1側部分に形成される第2部材段差部と、
前記第2部材の対向方向第1側部分を構成し、前記第2部材段差部よりも高圧側に配置される第2部材高圧側段部と、
前記第2部材の対向方向第1側部分を構成し、前記第2部材段差部よりも低圧側に配置され、前記第2部材高圧側段部よりも対向方向第2側に配置される第2部材低圧側段部と、
前記第1部材から前記第2部材高圧側段部に向かって延びるように配置され、前記第2部材段差部よりも高圧側に配置される高圧側フィンと、
前記第1部材から前記第2部材低圧側段部に向かって延びるように配置され、前記第2部材段差部よりも低圧側に配置される低圧側フィンと、
前記第2部材高圧側段部から対向方向第1側に延びるように配置され、前記高圧側フィンよりも低圧側に配置される突起と、
前記第1部材の対向方向第2側部分に形成され、前記高圧側フィンの低圧側の面よりも低圧側に配置され、前記低圧側フィンの高圧側の面よりも高圧側に配置される第1部材段差部と、
前記第1部材の対向方向第2側部分を構成し、前記第1部材段差部よりも高圧側に配置され
、前記高圧側フィンの低圧側の面よりも低圧側に配置される第1部材高圧側段部と、
前記第1部材の対向方向第2側部分を構成し、前記第1部材段差部よりも低圧側に配置され、前記第1部材高圧側段部よりも対向方向第2側に配置される第1部材低圧側段部と、
を備える、
ラビリンスシール。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のラビリンスシールが、流れ方向に連続して配置される、ラビリンスシール構造。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のラビリンスシールの、前記第1部材、前記高圧側フィン、および前記低圧側フィンは、構成材料を積層させて形成された積層構造を備える、
流体機械。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載のラビリンスシールの、前記第2部材、および前記突起は、構成材料を積層させて形成された積層構造を備える、
流体機械。
【請求項7】
請求項4に記載のラビリンスシール構造の、前記第1部材、前記高圧側フィン、および前記低圧側フィンは、構成材料を積層させて形成された積層構造を備える、
流体機械。
【請求項8】
請求項4に記載のラビリンスシール構造の、前記第2部材、および前記突起は、構成材料を積層させて形成された積層構造を備える、
流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラビリンスシール、ラビリンスシール構造、および流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、従来のラビリンスシールが記載されている。同文献に記載のラビリンスシールは、第1部材から第2部材に向かって延びる高圧側フィンおよび低圧側フィンと、第2部材に形成される段差部と、第2部材から第1部材側に突出する突起と、を備えている。そして、第1部材と第2部材との隙間を流れる流体が、高圧側フィンと低圧側フィンとの間の空間で渦を形成することで、流体の漏れ量を抑制することが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、流体の漏れ量をさらに抑制することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、流体の漏れ量を抑制することができる、ラビリンスシール、ラビリンスシール構造、および流体機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ラビリンスシールは、流体機械に設けられる。前記流体機械は、第1部材と、第2部材と、隙間と、を備える。前記第2部材は、前記第1部材に対向する。前記隙間は、前記第1部材と前記第2部材との間に形成され、前記第1部材と前記第2部材とが対向する方向に直交する方向である流れ方向の高圧側から低圧側に流体が流れるように構成される。前記第1部材と前記第2部材とが対向する方向を対向方向とする。対向方向において前記第2部材から前記第1部材に向かう側を対向方向第1側とする。対向方向において前記第1部材から前記第2部材に向かう側を対向方向第2側とする。ラビリンスシールは、第2部材段差部と、第2部材高圧側段部と、第2部材低圧側段部と、高圧側フィンと、低圧側フィンと、突起と、第1部材段差部と、第1部材高圧側段部と、第1部材低圧側段部と、を備える。前記第2部材段差部は、前記第2部材の対向方向第1側部分に形成される。前記第2部材高圧側段部は、前記第2部材の対向方向第1側部分を構成し、前記第2部材段差部よりも高圧側に配置される。前記第2部材低圧側段部は、前記第2部材の対向方向第1側部分を構成し、前記第2部材段差部よりも低圧側に配置され、前記第2部材高圧側段部よりも対向方向第2側に配置される。前記高圧側フィンは、前記第1部材から前記第2部材高圧側段部に向かって延びるように配置され、前記第2部材段差部よりも高圧側に配置される。前記低圧側フィンは、前記第1部材から前記第2部材低圧側段部に向かって延びるように配置され、前記第2部材段差部よりも低圧側に配置される。前記突起は、前記第2部材高圧側段部から対向方向第1側に延びるように配置され、前記高圧側フィンよりも低圧側に配置される。前記第1部材段差部は、前記第1部材の対向方向第2側部分に形成され、前記高圧側フィンの低圧側の面よりも低圧側に配置され、前記低圧側フィンの高圧側の面よりも高圧側に配置される。前記第1部材高圧側段部は、前記第1部材の対向方向第2側部分を構成し、前記第1部材段差部よりも高圧側に配置される。前記第1部材低圧側段部は、前記第1部材の対向方向第2側部分を構成し、前記第1部材段差部よりも低圧側に配置され、前記第1部材高圧側段部よりも対向方向第2側に配置される。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、ラビリンスシールでの流体の漏れ量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態のラビリンスシール40を有する流体機械1の一部を、直交方向Zから見た断面図である。
【
図2】第2実施形態のラビリンスシール240を示す
図1相当図である。
【
図3】第3実施形態のラビリンスシール340を示す
図1相当図である。
【
図4】第4実施形態のラビリンスシール440を示す
図1相当図である。
【
図5】第5実施形態のラビリンスシール540を示す
図1相当図である。
【
図6】第6実施形態のラビリンスシール構造630を有する流体機械1の一部を、直交方向Zから見た断面図である。
【
図7】第7実施形態のラビリンスシール構造730のラビリンスシール740を示す
図1相当図である。
【
図8】
図7に示すラビリンスシール740(例2)、および第1部材段差部780を備えない例1のそれぞれの流体の漏れ量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1を参照して第1実施形態のラビリンスシール40を備える流体機械1について説明する。
【0010】
流体機械1は、第1部材10に対して第2部材20が移動する機械である。流体機械1は、例えば、流体を圧縮または膨張させる機械である。流体機械1は、例えば圧縮機であり、例えばターボ圧縮機であり、例えばギヤ内蔵ターボ圧縮機などである。流体機械1は、例えば膨張機でもよく、例えば膨張タービンなどでもよい。例えば、流体機械1は、第1部材10に対して第2部材20が回転する回転機械(流体回転機械)である。流体機械1が流体回転機械である場合、流体機械1は、軸流式でも遠心式でもよい。流体機械1は、第1部材10と、第2部材20と、隙間25と、ラビリンスシール40と、を備える。
【0011】
第1部材10は、静止体(ステータ)または可動体(ロータ)である。第2部材20は、第1部材10に対向する。第1部材10が静止体の場合、第2部材20は、可動体である。第1部材10が可動体の場合、第2部材20は、静止体である。静止体は、例えばケーシングである。静止体は、例えば、ケーシング内に配置され、ケーシングに固定される部材でもよい。可動体は、例えば、静止体に対して回転軸(図示なし)回りに回転する回転体である。回転体は、例えば回転軸部分でもよく、例えばインペラでもよく、例えばシュラウド付きインペラでもよい。
【0012】
隙間25は、第1部材10と第2部材20との間に形成される。隙間25は、第1部材10のY2側(対向方向第2側)(方向の詳細は後述)部分と、第2部材20のY1側(対向方向第1側)部分と、の間に形成される。流れ方向Xの高圧側X1から、流れ方向Xの低圧側X2に、流体が隙間25を流れるように、隙間25が構成される。なお、流体は、流れ方向X以外の方向に流れてもよい(詳細は後述)。隙間25を流れる流体は、例えば気体であり、例えば空気などである。
【0013】
(方向)
第1部材10と第2部材20とが対向する方向を、対向方向Yとする。対向方向Yにおいて、第2部材20から第1部材10に向かう側を、Y1側(対向方向第1側)とする。対向方向Yにおいて、第1部材10から第2部材20に向かう側を、Y2側(対向方向第2側)とする。対向方向Yに直交する方向を、流れ方向Xとする。流れ方向Xにおける一方側を、高圧側X1とする。流れ方向Xにおける高圧側X1とは反対側を、低圧側X2とする。流体機械1が回転機械の場合、静止体に対する回転体の回転軸の方向は、どの方向でもよく、例えば流れ方向Xでもよく、例えば対向方向Yでもよく、例えば流れ方向Xおよび対向方向Yに対して傾斜する方向でもよい。流れ方向Xおよび対向方向Yのそれぞれに直交する方向を直交方向Zとする。
【0014】
ラビリンスシール40は、隙間25での流体の漏れ流れの量(以下、漏れ量ともいう)を抑制する。さらに詳しくは、ラビリンスシール40は、後述する渦V1および渦V2を発生させ、流体の圧力損失を発生させることで、流体の漏れ量を抑制する。ラビリンスシール40の構造によって、渦V1および渦V2の形状や状態が変わり、漏れ量抑制の効果の大きさが変わる。流体機械1が回転機械の場合、ラビリンスシール40は、例えば軸封部品などである。ラビリンスシール40は、漏れ量を抑制することで、例えば流体機械1内での流体の循環を抑制してもよい。ラビリンスシール40は、第1部材10と第2部材20とを接触させることなく(非接触で)、流体の漏れ量を抑制する装置(非接触シール)である。ラビリンスシール40は、第2部材段差部50と、第2部材高圧側段部51と、第2部材低圧側段部52と、高圧側フィン61と、低圧側フィン62と、突起70と、第1部材段差部80と、第1部材高圧側段部81と、第1部材低圧側段部82と、を備える。
【0015】
第2部材段差部50は、第2部材20のY1側部分(例えば表面)に形成される。第2部材段差部50は、低圧側X2に向かってY2側にずれる構造(いわば降段構造)を有する。第2部材段差部50は、第2部材20のうち第2部材段差部50より高圧側X1の部分(第2部材高圧側段部51)よりも、第2部材20のうち第2部材段差部50より低圧側X2の部分(第2部材低圧側段部52)の方が、Y2側に配置されるように構成される。第2部材段差部50は、第2部材高圧側段部51の低圧側X2端部からY2側に延びるように配置される。第2部材段差部50は、第2部材低圧側段部52の高圧側X1端部からY1側に延びるように配置される。流体機械1が回転機械の場合、第2部材段差部50は、静止体に対する回転体の回転軸を中心とした環状(リング状)である。上記のような環状である点は、高圧側フィン61、低圧側フィン62、突起70、および第1部材段差部80のそれぞれについても同様である。第2部材段差部50は、例えば対向方向Yに延び、例えば対向方向Yと一致する方向に延び、例えば対向方向Yに対して傾斜してもよい(
図7の第2部材段差部750を参照)。直交方向Zから見たとき、第2部材段差部50は、例えば直線状でもよく、例えば曲線状でもよく(図示なし)、例えば直線と曲線とを組み合わせた形状でもよい。
【0016】
第2部材高圧側段部51は、第2部材20のY1側部分(例えば表面)を構成する。第2部材高圧側段部51は、第2部材段差部50よりも高圧側X1に配置される。第2部材高圧側段部51は、流れ方向Xに延び、例えば流れ方向Xと一致する方向に延びるように配置される。直交方向Zから見たとき、第2部材高圧側段部51は、例えば直線状であり、例えば略直線状などでもよい。
【0017】
第2部材低圧側段部52は、第2部材20のY1側部分(例えば表面)を構成する。第2部材低圧側段部52は、第2部材段差部50よりも低圧側X2に配置される。第2部材低圧側段部52は、第2部材高圧側段部51よりもY2側に配置される。第2部材低圧側段部52の形状は、例えば第2部材高圧側段部51の形状と同様であり、例えば第2部材高圧側段部51の形状と相違してもよい。例えば、流体機械1が回転機械であり、静止体に対する回転体の回転軸が流れ方向Xと一致する場合は、第2部材高圧側段部51および第2部材低圧側段部52のそれぞれは、回転軸を中心とする円筒状である。この場合であって、Y1側が径方向外側(Y2側が径方向内側)である場合は、第2部材低圧側段部52は、第2部材高圧側段部51に対して小径である。
【0018】
高圧側フィン61は、隙間25を仕切るフィンである(低圧側フィン62も同様)。高圧側フィン61は、隙間25を完全には仕切らず、流体の流路を狭めるように配置される(低圧側フィン62も同様)。高圧側フィン61は、第1部材10のY2側部分(例えば表面)から第2部材高圧側段部51に向かって(Y2側に)延びるように配置される。高圧側フィン61は、第2部材段差部50よりも高圧側X1に配置される。高圧側フィン61は、例えば第2部材20と一体的に設けられ、例えば第2部材20と別体でもよい(低圧側フィン62も同様)。高圧側フィン61は、高圧側フィン側面61bと、高圧側フィン先端部61tと、を備える。
【0019】
高圧側フィン側面61bは、高圧側フィン61を構成する面(表面)であって、低圧側X2を向いた面である。高圧側フィン側面61bは、例えば対向方向Yと一致する方向に延びてもよく、対向方向Yに対して傾斜してもよい(
図7の高圧側フィン側面761bを参照)(低圧側フィン62および突起70のそれぞれの側面についても同様)。直交方向Zから見たとき、高圧側フィン側面61bは、例えば直線状でもよく、例えば曲線状でもよく(図示なし)、例えば直線と曲線とを組み合わせた形状でもよい(低圧側フィン62および突起70のそれぞれの側面についても同様)。
【0020】
高圧側フィン先端部61tは、高圧側フィン61の先端部であり、高圧側フィン61のY2側の端部である。高圧側フィン先端部61tは、例えば第1部材10と第2部材高圧側段部51との対向方向Yにおける中央よりもY2側に配置され、例えば第2部材高圧側段部51の近傍に配置される。
【0021】
低圧側フィン62は、第1部材10のY2側部分(例えば表面)から第2部材低圧側段部52に向かって(Y2側に)延びるように配置される。低圧側フィン62は、第2部材段差部50よりも低圧側X2に配置される。低圧側フィン62は、低圧側フィン側面62aと、低圧側フィン先端部62tと、を備える。
【0022】
低圧側フィン側面62aは、低圧側フィン62を構成する面(表面)であって、高圧側X1を向いた面である。
【0023】
低圧側フィン先端部62tは、低圧側フィン62の先端部であり、低圧側フィン62のY2側の端部である。低圧側フィン先端部62tは、例えば第1部材10と第2部材低圧側段部52との対向方向Yにおける中央よりもY2側に配置され、例えば第2部材低圧側段部52の近傍に配置される。例えば、低圧側フィン先端部62tは、突起先端部70t(後述)よりもY2側に配置される。例えば、低圧側フィン先端部62tは、第2部材高圧側段部51よりもY2側に配置される。
【0024】
突起70は、第2部材高圧側段部51からY1側に延びる(突出する)ように配置される。突起70は、第2部材段差部50よりも高圧側X1に配置される。突起70は、高圧側フィン61よりも低圧側X2に配置される。突起70は、突起高圧側側面70aと、突起低圧側側面70bと、突起先端部70tと、を備える。
【0025】
突起高圧側側面70aは、突起70を構成する面(表面)であって、高圧側X1を向いた面である。突起高圧側側面70aは、高圧側フィン側面61bよりも低圧側X2に配置され、高圧側フィン側面61bとの間に流れ方向Xの間隔をあけて配置される。
【0026】
突起低圧側側面70bは、突起70を構成する面(表面)であって、低圧側X2を向いた面である。突起低圧側側面70bの流れ方向X位置(流れ方向Xにおける位置)は、例えば第2部材段差部50の流れ方向X位置よりも高圧側X1の位置であり、例えば第2部材段差部50の流れ方向X位置と同じ位置でもよい。突起70の流れ方向Xにおける幅(厚さ)、すなわち突起高圧側側面70aから突起低圧側側面70bまでの流れ方向Xにおける距離は、例えば高圧側フィン61の厚さと同じでもよく、異なってもよい。突起70の厚さは、例えば低圧側フィン62の厚さと同じでもよく、異なってもよい。なお、高圧側フィン61の厚さは、低圧側フィン62の厚さと同じでもよく、異なってもよい。突起70の厚さは、基部から先端部までにわたって一定でもよく、一定でなくてもよい。例えば、突起70の全体または一部は、先端側(Y1側)ほど厚さが薄くなってもよい(高圧側フィン61の厚さ、および低圧側フィン62の厚さ(
図5参照)についても同様)。
【0027】
突起先端部70tは、突起70のY1側の端部(先端部)である。突起先端部70tは、例えば第1部材10と第2部材高圧側段部51との対向方向Yにおける中央よりもY2側に配置される。突起先端部70tの対向方向Y位置(対向方向Yにおける位置)は、例えば高圧側フィン先端部61tよりもY1側の位置でもよく、例えば高圧側フィン先端部61tの対向方向Y位置と同じ位置でもよい(図示なし)。突起先端部70tの対向方向Y位置は、高圧側フィン先端部61tの対向方向Y位置よりもY2側でもよい(図示なし)。
【0028】
第1部材段差部80は、第1部材10のY2側部分(例えば表面)に形成される。第1部材段差部80は、低圧側X2に向かってY2側にずれる構造を有する。第1部材段差部80は、第1部材10のうち第1部材段差部80より高圧側X1の部分(第1部材高圧側段部81)よりも、第1部材10のうち第1部材段差部80より低圧側X2の部分(第1部材低圧側段部82)の方が、Y2側に配置されるように構成される。第1部材段差部80は、第1部材高圧側段部81の低圧側X2端部からY2側に延びるように配置される。第1部材段差部80は、第1部材低圧側段部82の高圧側X1端部からY1側に延びるように配置される。第1部材段差部80は、例えば対向方向Yに延びるように配置され、例えば対向方向Yと一致する方向に延びるように配置され、例えば対向方向Yに対して傾斜してもよい(
図2、および
図3参照)。直交方向Zから見たとき、第1部材段差部80は、例えば直線状でもよく、例えば曲線状でもよく、例えば直線と曲線とを組み合わせた形状でもよい(
図3の第1部材段差部380を参照)。
【0029】
第1部材高圧側段部81は、第1部材10のY2側部分(例えば表面)を構成する。第1部材高圧側段部81は、第1部材段差部80よりも高圧側X1に配置される。第1部材高圧側段部81は、流れ方向Xに延びるように配置され、例えば流れ方向Xと一致する方向に延びるように配置される。直交方向Zから見たとき、第1部材高圧側段部81は、例えば直線状であり、例えば略直線状などでもよい。
【0030】
第1部材低圧側段部82は、第1部材10のY2側部分(例えば表面)を構成する。第1部材低圧側段部82は、第1部材段差部80よりも低圧側X2に配置される。第1部材低圧側段部82は、第1部材高圧側段部81よりもY2側に配置される。第1部材低圧側段部82の形状は、例えば第1部材高圧側段部81の形状と同様であり、例えば第1部材高圧側段部81の形状と異なってもよい。例えば、流体機械1が回転機械であり、静止体に対する回転体の回転軸が流れ方向Xと一致する場合は、第1部材高圧側段部81および第1部材低圧側段部82のそれぞれは、回転軸を中心とする円筒状である。この場合であって、Y1側が径方向外側(Y2側が径方向内側)である場合は、第1部材低圧側段部82は、第1部材高圧側段部81に対して小径である。
【0031】
(積層構造)
第1部材10、高圧側フィン61、および低圧側フィン62は、構成材料を積層させて形成された積層構造を備える。第2部材20、および突起70は、構成材料を積層させて形成された積層構造を備える。第1部材10、高圧側フィン61、および低圧側フィン62の組と、第2部材20、および突起70の組と、の2つの組のうち、一方の組のみが積層構造を備えてもよい。上記「構成材料」は、例えば金属材料である。積層構造の積層の方向は、どの方向でもよく、例えば流れ方向Xでもよく、例えば対向方向Yでもよく、流れ方向Xおよび対向方向Yに対して傾いた方向でもよい。この積層構造は、例えば3次元積層造形技術を利用して(3次元プリンタにより)形成されたものである。この積層構造は、どのような方式の3次元積層造形により形成されたものでもよい。例えば、この積層構造は、レーザ光で金属粉末を溶融させて金属を目的の形状に形成するレーザ溶融法(SLM:Selective laser melting)により形成されたものでもよい。この積層構造は、レーザ光で金属粉末を焼結させて金属を目的の形状に形成するレーザ焼結法により形成されたものでもよい。上記の金属粉末は、アトマイズ法(例えば水アトマイズ法など)により得られたものでもよく、アトマイズ法以外の方法(機械的に粉砕して粉末を得る方法など)により得られたものでもよい。この積層構造は、電子ビームで金属粉末を溶融や焼結させて形成されたものでもよい。この積層構造は、液体金属を基に形成されたものでもよい。
【0032】
(流体の流れ)
隙間25を流れる流体の流れの概要は、次の通りである。直交方向Zから見て略円形の渦V1および略円形の渦V2が、高圧側フィン61と低圧側フィン62との間の領域で発生する。渦V1は、高圧側フィン61よりも低圧側X2かつ第1部材段差部80よりも高圧側X1の領域で発生する。渦V2は、第2部材段差部50よりも低圧側X2かつ低圧側フィン62よりも高圧側X1の領域で発生する。
【0033】
(流体のエネルギー損失)
渦V1および渦V2により、流体間摩擦が生じ、流体のエネルギー損失が生じる。上記「流体間摩擦」には、速度が異なる流体どうしの摩擦だけでなく、流速がゼロの流体とみなせる物と流体との摩擦も含まれる。上記「流速がゼロの流体とみなせる物」には、第2部材段差部50、第2部材高圧側段部51、第2部材低圧側段部52、高圧側フィン61、低圧側フィン62、第1部材段差部80、第1部材高圧側段部81、および第1部材低圧側段部82が含まれる。
【0034】
(流れf70など)
隙間25を流れる流体は、例えば次のように流れる。高圧側フィン61よりも高圧側X1の流体は、高圧側フィン先端部61tと第2部材高圧側段部51との間を通り、第2部材高圧側段部51に沿うように低圧側X2に流れる。第2部材高圧側段部51に沿うように流れる流体は、突起70の近傍で、低圧側X2に流れながら、Y1側に向きを変える。この流れは、突起70の近傍から低圧側X2およびY1側に向かって流れる流れf70を形成する。流れf70は、渦V1と渦V2とに分岐する。
【0035】
(渦V1)
渦V1を形成する流体は、次のように流れる。突起70の近傍から低圧側X2およびY1側に向かって流れる流れf70は、第1部材段差部80の近傍に向かってY1側に向きを変え、第1部材段差部80に沿うようにY1側に流れる。この流体は、第1部材高圧側段部81に向かって高圧側X1に向きを変え、第1部材高圧側段部81に沿うように高圧側X1に流れる。この流体は、高圧側フィン61に向かってY2側に向きを変え、高圧側フィン61の高圧側フィン側面61bに沿うようにY2側に流れる。この流体は、第2部材高圧側段部51の近傍の、低圧側X2に向かう流れに向かって、低圧側X2に向きを変え、突起先端部70tの近傍を通り、流れf70に合流する。
【0036】
(渦V2)
渦V2を形成する流体は、次のように流れる。突起70の近傍から低圧側X2およびY1側に向かって流れる流れf70は、第1部材低圧側段部82に向かって低圧側X2に向きを変え、第1部材低圧側段部82に沿って低圧側X2に流れる。この流体は、低圧側フィン62に向かってY2側に向きを変え、低圧側フィン62の低圧側フィン側面62aに沿ってY2側に流れる。この流体の一部は、第2部材低圧側段部52に向かって高圧側X1に向きを変え、第2部材低圧側段部52に沿って高圧側X1に流れる。この流体は、第2部材段差部50に向かってY1側に向きを変え、第2部材段差部50に沿ってY1側に流れる。第2部材段差部50と突起70との流れ方向Xにおける距離によっては、この流体は、突起低圧側側面70bに沿ってY1側に流れてもよい(
図7参照)。
【0037】
(漏れ流れf62)
渦V2から、漏れ流れf62が、次のように分岐する。低圧側フィン側面62aに沿ってY2側に流れる流体の一部は、第2部材低圧側段部52に向かって低圧側X2に向きを変え、漏れ流れf62となる。漏れ流れf62は、低圧側フィン先端部62tと第2部材低圧側段部52との間を通り、低圧側フィン62よりも低圧側X2に流れる(ラビリンスシール40から漏れる)。
【0038】
(第2部材段差部50および突起70による作用)
高圧側フィン先端部61tと第2部材高圧側段部51との間の領域と、低圧側フィン先端部62tと第2部材低圧側段部52との間の領域とが、流れ方向Xに直線的に並ぶ場合(いわば直通型の場合)は、流体が流れ方向Xに直線的に吹き抜けるおそれがある。一方、本実施形態のラビリンスシール40では、第2部材段差部50が設けられる。そのため、高圧側フィン先端部61tと第2部材高圧側段部51との間の領域と、低圧側フィン先端部62tと第2部材低圧側段部52との間の領域とが、対向方向Yにずれている。さらに、ラビリンスシール40では、これらの領域の中間部(流れ方向Xにおける中間部)に突起70が設けられている。よって、流体が流れ方向Xに吹き抜ける場合に比べ、流体の流路が複雑になり、流体のエネルギー損失が大きくなるので、ラビリンスシール40での漏れ量が減少する。
【0039】
(渦V1の流速)
第1部材段差部80がない場合(すなわち第1部材高圧側段部81と第1部材低圧側段部82とが流れ方向Xに連続している場合(
図7の面890を参照))と、第1部材段差部80がある場合とを比較する。第1部材段差部80がある場合は、突起70の近傍から低圧側X2およびY1側に向かって流れる流れf70が、第1部材段差部80の近傍に向かってY1側に向きを変え、第1部材高圧側段部81に向かって高圧側X1に向きを変えやすい。その結果、第1部材段差部80がない場合に比べ、第1部材段差部80がある場合は、直交方向Zから見た渦V1の形状が、円形により近い形状になり、流れ方向Xに扁平な形状になることが抑制される。よって、渦V1の流速が大きくなり、渦V1による流体間摩擦が大きくなり、流体のエネルギー損失が大きくなるので、ラビリンスシール40での流体の漏れ量が減少する。
【0040】
(渦V2の流速)
上記のように、第1部材段差部80がある場合は、第1部材段差部80がない場合に比べ、渦V1の流速が大きくなる。その結果、突起70の近傍から低圧側X2およびY1側に流れる流れf70の、Y1側への流速が大きくなり、低圧側X2への流速が小さくなる。よって、突起70の近傍の流体が低圧側X2に略まっすぐに流れること(例えば特許文献1の
図1を参照)が抑制される。よって、流れf70が、よりY1側に向かって流れやすく、第1部材低圧側段部82に近づきやすい。すると、直交方向Zから見た渦V2の形状が円形により近い形状になり、流れ方向Xに扁平な形状になることが抑制され、渦V2の面積が大きくなる。よって、渦V2の流速が大きくなる。また、流れf70の流速が大きくなるので、流れf70から分岐する渦V2の流速が大きくなる。渦V2の流速が大きくなるので、渦V2による流体間摩擦が大きくなり、流体のエネルギー損失が大きくなるので、ラビリンスシール40での流体の漏れ量が減少する。
【0041】
(第1部材段差部80の位置の詳細)
渦V1および渦V2での流体のエネルギー損失ができるだけ大きくなるように、第1部材段差部80の位置が設定されることが好ましい。突起70の近傍から低圧側X2およびY1側に向かって流れる流れf70が、第1部材段差部80に向かって流れ、第1部材段差部80に再付着するように、第1部材段差部80の位置が設定されることが好ましい。
【0042】
第1部材段差部80の位置が高圧側X1すぎると、第1部材段差部80が高圧側フィン61に近づきすぎることになり、渦V1が小さくなり、渦V1の流速を大きくする効果が限定される。そこで、第1部材段差部80は、突起70よりも低圧側X2に配置されること(この条件を[条件A1]とする)が好ましい。さらに詳しくは、第1部材段差部80は、突起70のうち最も低圧側X2の部分(
図1では突起低圧側側面70b)よりも低圧側X2に配置されることが好ましい。第1部材段差部80の少なくとも一部が対向方向Yに対して傾斜する場合(
図2、
図3参照)は、第1部材段差部80の流れ方向Xにおける中央の位置を、上記[条件A1]における第1部材段差部80の位置とする。
【0043】
第1部材段差部80の位置が低圧側X2すぎると、第1部材段差部80が低圧側フィン62に近づきすぎることになり、渦V1が流れ方向Xに扁平になり、渦V1の流速を大きくする効果が限定される。そこで、第1部材段差部80は、La≧Lb/2を満たすこと(この条件を[条件A2]とする)が好ましい。ここで、Laは、第1部材段差部80と低圧側フィン62との流れ方向Xにおける距離である。さらに詳しくは、Laは、第1部材段差部80と、低圧側フィン62のうち最も高圧側X1の位置と、の流れ方向X方向における距離である。第1部材段差部80の少なくとも一部が対向方向Yに対して傾斜する場合(
図2、
図3参照)は、第1部材段差部80の流れ方向Xにおける中央の位置を、上記[条件A2]のLaの定義における第1部材段差部80の位置とする。Lbは、突起70と低圧側フィン62との流れ方向Xにおける距離(さらに詳しくは最短距離)である。ここでは、低圧側フィン62のうち最も高圧側X1の位置を低圧側フィン62の位置とする。
【0044】
なお、第1部材段差部80の位置に関する条件は、上記[条件A1]および[条件A2]以外にも、様々に設定されてもよい。例えば、第1部材段差部80は、突起70の最も高圧側X1の部分(
図1では突起高圧側側面70a)よりも低圧側X2に配置されてもよい。第1部材段差部80は、突起先端部70tに関する位置(例えば突起先端部70tの最も高圧側X1の位置、流れ方向Xにおける中央位置、および最も低圧側X2の位置、のいずれか)よりも低圧側X2に配置されてもよい。第1部材段差部80は、第2部材段差部50に関する位置(例えば第2部材段差部50の最も高圧側X1の位置、流れ方向Xにおける中央位置、および最も低圧側X2の位置、のいずれか)よりも低圧側X2に配置されてもよい。第1部材段差部80の少なくとも一部が対向方向Yに対する傾斜する場合、上記[条件A1]では、第1部材段差部80の流れ方向Xにおける中央の位置を第1部材段差部80の位置とした。一方、第1部材段差部80の最も高圧側X1または最も低圧側X2の位置を、第1部材段差部80の位置としてもよい(条件A2についても同様)。上記[条件A2]では、La≧Lb/2が満たされたが、例えば、La≧Lb×2/3が満たされてもよく、La≧Lb/3が満たされてもよい。上記[条件A2]では、低圧側フィン62のうち最も高圧側X1の位置を低圧側フィン62の位置とした。一方、低圧側フィン側面62aに関する位置(例えば最も低圧側X2の位置、または流れ方向Xにおける中央位置)を、低圧側フィン62の位置としてもよい。
【0045】
(効果)
図1に示すラビリンスシール40による効果は次の通りである。
【0046】
(第1の発明の効果)
ラビリンスシール40は、流体機械1に設けられる。流体機械1は、第1部材10と、第2部材20と、隙間25と、を備える。第2部材20は、第1部材10に対向する。隙間25は、第1部材10と第2部材20との間に形成され、流れ方向Xの高圧側X1から低圧側X2に流体が流れるように構成される。流れ方向Xは、第1部材10と第2部材20とが対向する方向に直交する方向である。第1部材10と第2部材20とが対向する方向を対向方向Yとする。対向方向Yにおいて第2部材20から第1部材10に向かう側をY1側(対向方向第1側)とする。対向方向Yにおいて第1部材10から第2部材20に向かう側をY2側(対向方向第2側)とする。ラビリンスシール40は、第2部材段差部50と、第2部材高圧側段部51と、第2部材低圧側段部52と、高圧側フィン61と、低圧側フィン62と、突起70と、第1部材段差部80と、第1部材高圧側段部81と、第1部材低圧側段部82と、を備える。
【0047】
[構成1-1]第2部材段差部50は、第2部材20のY1側部分に形成される。第2部材高圧側段部51は、第2部材20のY1側部分を構成し、第2部材段差部50よりも高圧側X1に配置される。第2部材低圧側段部52は、第2部材20のY1側部分を構成し、第2部材段差部50よりも低圧側X2に配置され、第2部材高圧側段部51よりもY2側に配置される。高圧側フィン61は、第1部材10から第2部材高圧側段部51に向かって延びるように配置され、第2部材段差部50よりも高圧側X1に配置される。低圧側フィン62は、第1部材10から第2部材低圧側段部52に向かって延びるように配置され、第2部材段差部50よりも低圧側X2に配置される。突起70は、第2部材高圧側段部51からY1側に延びるように配置され、高圧側フィン61よりも低圧側X2に配置される。
【0048】
[構成1-2]第1部材段差部80は、第1部材10のY2側部分に形成される。第1部材段差部80は、高圧側フィン61の低圧側X2の面(高圧側フィン側面61b)よりも低圧側X2に配置され、低圧側フィン62の高圧側X1の面(低圧側フィン側面62a)よりも高圧側X1に配置される。第1部材高圧側段部81は、第1部材10のY2側部分を構成し、第1部材段差部80よりも高圧側X1に配置される。第1部材低圧側段部82は、第1部材10のY2側部分を構成し、第1部材段差部80よりも低圧側X2に配置され、第1部材高圧側段部81よりもY2側に配置される。
【0049】
上記[構成1-1]では、高圧側フィン61と第2部材高圧側段部51との間を通った流体が、突起70に向かってY1側に向きを変え、突起70の近傍から低圧側X2およびY1側に向かって流れる流れf70を形成しやすい。この流れf70により、高圧側フィン61と低圧側フィン62との間の隙間25内の空間に、渦V1が形成されやすい。また、上記[構成1-1]では、隙間25内の空間であって、第2部材段差部50よりも低圧側X2、低圧側フィン62よりも高圧側X1の空間に、渦V2が形成されやすい。
【0050】
ここで、ラビリンスシール40では、上記[構成1-2]の第1部材段差部80が設けられる。よって、流れf70の一部の流体が、第1部材段差部80に沿うようにY1側に流れ、第1部材高圧側段部81に向かって高圧側X1に向きを変えるような流れを形成しやすく、このような流れを含む渦V1を形成しやすい。したがって、第1部材段差部80が設けられない場合に比べ、対向方向Yから見た渦V1の形状が、流れ方向Xに扁平になることを抑制することができる。その結果、渦V1の流速を向上させることができ、渦V1による流体間摩擦を向上させることができ、流体のエネルギー損失を向上させることができ、ラビリンスシール40での流体の漏れ量を抑制することができる。
【0051】
また、対向方向Yから見た渦V1の形状が、流れ方向Xに扁平になることを抑制できる結果、突起70の近傍の流体が低圧側X2に略まっすぐに流れること(例えば特許文献1の
図1を参照)が抑制される。よって、流れf70の一部の流体が、Y1側に流れやすく、第1部材低圧側段部82に近づきやすくなり、このような流れを含む渦V2を形成しやすい。したがって、第1部材段差部80が設けられない場合に比べ、渦V2の対向方向Yにおける幅を大きくでき、対向方向Yから見た渦V2の形状が流れ方向Xに扁平になることを抑制することができる。その結果、渦V2の流速を向上させることができ、渦V2による流体間摩擦を向上させることができ、流体のエネルギー損失を向上させることができ、ラビリンスシール40での流体の漏れ量を抑制することができる。
【0052】
(第2の発明の効果)
[構成2]第1部材段差部80は、突起70よりも低圧側X2に配置される。
【0053】
上記[構成2]により、第1部材段差部80が突起70よりも高圧側X1に配置される場合に比べ、突起70の近傍から低圧側X2およびY1側に向かって流れる流れf70が、第1部材段差部80と高圧側フィン61との間の空間に流入しやすい。よって、第1部材段差部80に沿うようにY1側に流れ、第1部材高圧側段部81に向かって高圧側X1に向きを変えるような流れの流速を向上さえることができる。よって、渦V1の流速をより向上させることができる。渦V1の流速を向上させることができる結果、流れf70から分岐する渦V2の流速も向上させることができる。
【0054】
(第3の発明の効果)
[構成3]第1部材段差部80と低圧側フィン62との流れ方向Xにおける距離をLaとする。突起70と低圧側フィン62との流れ方向Xにおける距離をLbとする。このとき、La≧Lb/2である。
【0055】
上記[構成3]により、La<Lb/2の場合に比べ、対向方向Yから見た渦V1の形状が流れ方向Xに扁平になることを、より抑制することができる。その結果、渦V1の流速をより向上させることができる。渦V1の流速を向上させることができる結果、流れf70から分岐する渦V2の流速も向上させることができる。
【0056】
(第5の発明の効果)
[構成5]ラビリンスシール40の、第1部材10、高圧側フィン61、および低圧側フィン62は、構成材料を積層させて形成された積層構造を備える。
【0057】
上記[構成5]の「構成材料を積層させて形成された積層構造」は、複雑な形状でも容易に製造可能な構造である。よって、第1部材10、高圧側フィン61、および低圧側フィン62を容易に製造することができる。その結果、流体機械1の製造コストを抑制することができる。
【0058】
(第6の発明の効果)
[構成6]ラビリンスシール40の、第2部材20、および突起70は、構成材料を積層させて形成された積層構造を備える。
【0059】
上記[構成6]の「構成材料を積層させて形成された積層構造」は、複雑な形状でも容易に製造可能な構造である。よって、第2部材20、および突起70を容易に製造することができる。その結果、流体機械1の製造コストを抑制することができる。
【0060】
(第2実施形態)
図2を参照して、第2実施形態のラビリンスシール240について、第1実施形態との相違点を説明する。なお、第2実施形態のラビリンスシール240のうち、第1実施形態との共通点については、説明を省略する。共通点の説明を省略する点については、後述する他の実施形態の説明も同様である。相違点は、第1部材段差部280の形状である。
【0061】
第1部材段差部280は、Y2側ほど低圧側X2に配置されるように、対向方向Yに対して傾斜する。
図2に示す例では、第1部材段差部280の全体は、対向方向Yに対して傾斜する。第1部材段差部280の一部のみが、対向方向Yに対して傾斜してもよい(
図3に示す第1部材段差部380を参照)。
【0062】
(流体の流れ)
第1実施形態(
図1参照)での流体の流れに対する、本実施形態での流体の流れの相違点を説明する。流れf70は、第1部材段差部280に向かって流れ、第1部材段差部280に沿って、Y1側および高圧側X1に向きを変え、第1部材高圧側段部81に向かって高圧側X1に向きを変える。このとき、第1部材段差部280が、Y1側ほど高圧側X1に配置されるように対向方向Yに対して傾斜するので、第1部材段差部280に沿うように流れる流体が高圧側X1に向きを変えやすい。よって、渦V1の流速をより増やすことができ、渦V1による流体間摩擦を増やすことができ、流体のエネルギー損失を増やすことができる。よって、ラビリンスシール240での流体の漏れ量をより抑制することができる。
【0063】
(第3実施形態)
図3を参照して、第3実施形態のラビリンスシール340について、第1実施形態との相違点を説明する。相違点は、第1部材段差部380の形状である。
【0064】
第1部材段差部380のY1側端部およびY2側端部(角の部分)は、曲面状であり、直交方向Zから見て弧状である。上記「弧状」は、円弧状でもよく、略円弧状でもよく、楕円弧状でもよく、略楕円弧状でもよい(他の「弧状」についても同様)。第1部材段差部380は、第1曲面部380aと、平面部380bと、第2曲面部380cと、を備える。
【0065】
第1曲面部380aは、第1部材高圧側段部81に連続するように配置される。第1曲面部380aは、直交方向Zから見たとき、低圧側X2およびY1側に(
図3における右上に)凸の弧状である。第1曲面部380aは、第1部材高圧側段部81と平面部380bとを連続的に(滑らかに)つなぐような形状を有する。
【0066】
平面部380bは、対向方向Yと一致する方向に延びる。
【0067】
第2曲面部380cは、第1部材低圧側段部82に連続するように配置される。第2曲面部380cは、直交方向Zから見たとき、高圧側X1およびY2側に(
図3における左下に)凸の弧状である。第2曲面部380cは、第1部材高圧側段部81と平面部380bとを連続的に(滑らかに)つなぐような形状を有する。
【0068】
なお、第1部材段差部380が弧状の部分を有する場合に、平面部380bが設けられなくてもよい。例えば、第1曲面部380aと第2曲面部380cとが連続してもよい。また、第1部材段差部380は、第1曲面部380aおよび第2曲面部380cのうち一方のみを備えてもよい。例えば、平面部380bのY2側端部が、第1部材低圧側段部82に直接つながれてもよい。例えば、第1曲面部380aのY2側端部が、第1部材低圧側段部82に直接つながれてもよい。また、第1部材段差部380の全体が、直交方向Zから見て弧状でもよい。
【0069】
(流体の流れ)
第1実施形態(
図1参照)での流体の流れに対する、本実施形態での流体の流れの相違点を説明する。ここでは、第1部材段差部380が第1曲面部380aを備える場合について説明する。流れf70は、突起70の近傍から第1部材段差部380に向かって流れる。この流体は、第1曲面部380aに沿うように流れ、Y1側および高圧側X1に向きを変え、第1部材高圧側段部81に向かって高圧側X1に向きを変える。このとき、第1曲面部380aに沿うように流れる流体が、第1曲面部380aに沿いながら滑らかに向きを変えることができ、高圧側X1に向きを変えやすい。さらに、第1部材段差部380が、直交方向Zから見て直線状の場合(
図2参照)に比べ、第1曲面部380aは、渦V1の流れに沿うような形状である。よって、渦V1の流速をより大きくすることができ、渦V1による流体間摩擦を増やすことができ、流体のエネルギー損失を増やすことができる。よって、ラビリンスシール340での流体の漏れ量をより抑制することができる。
【0070】
(第4実施形態)
図4を参照して、第4実施形態のラビリンスシール440について、第1実施形態との相違点を説明する。相違点は、低圧側フィン462の形状である。
【0071】
低圧側フィン462では、低圧側フィン先端部62tは、低圧側フィン462のY1側の端部(基部、根本部分)よりも高圧側X1に配置される。低圧側フィン462の低圧側フィン側面462aのY2側端部は、低圧側フィン側面462aのY1側端部よりも、高圧側X1に配置される。例えば、低圧側フィン側面462aは、Y2側ほど高圧側X1に配置されるように、対向方向Yに対して傾斜する。低圧側フィン側面462aの全体が対向方向Yに対して傾斜してもよく、低圧側フィン側面462aの一部のみが対向方向Yに対して傾斜してもよい。
【0072】
(流体の流れ)
第1実施形態(
図1参照)での流体の流れに対する、本実施形態での流体の流れの相違点は次の通りである。渦V2は、低圧側フィン側面462aに沿うようにY2側に流れる。ここで、低圧側フィン462の低圧側フィン先端部62tは、低圧側フィン462のY1側端部よりも高圧側X1に配置される。よって、低圧側フィン側面462aに沿うように流れる流体は、第2部材低圧側段部52に向かって、高圧側X1に向きを変えやすい。よって、渦V2から漏れ流れf62に分岐する流量を減らすことができ、ラビリンスシール440での流体の漏れ量を抑制することができる。
【0073】
また、低圧側フィン側面462aは、Y2側ほど高圧側X1に配置されるように、対向方向Yに対して傾斜する。よって、低圧側フィン側面462aに沿うように流れる流体は、Y2側および高圧側X1に、対向方向Yに対して傾斜して流れやすい。よって、この流体は、第2部材低圧側段部52に向かって、高圧側X1に向きを変えやすい。よって、渦V2から漏れ流れf62に分岐する流量を減らすことができ、ラビリンスシール440での流体の漏れ量を抑制することができる。
【0074】
(第5実施形態)
図5を参照して、第5実施形態のラビリンスシール540について、第4実施形態との相違点を説明する。相違点は、低圧側フィン562の形状である。
【0075】
低圧側フィン562は、直交方向Zから見たとき、低圧側X2およびY2側に(
図5における右下に)凸の弧状である。低圧側フィン562の低圧側フィン側面562aは、直交方向Zから見たとき、低圧側X2およびY2側に(
図5における右下に)凸の弧状である。直交方向Zから見たとき、低圧側フィン側面562aの、一部が弧状でもよく、全体が弧状でもよい。
【0076】
(流体の流れ)
第4実施形態(
図4参照)での流体の流れに対する、本実施形態での流体の流れの相違点は次の通りである。渦V2は、低圧側フィン側面562aに沿うようにY2側に流れる。直交方向Zから見たとき、
図4に示すように低圧側フィン側面462aが直線状の場合に比べ、
図5に示す低圧側フィン側面562aは、渦V2の流れに沿うような形状である。よって、渦V2の流速を大きくすることができる。よって、渦V2による流体間摩擦を増やすことができ、流体のエネルギー損失を増やすことができ、ラビリンスシール540での流体の漏れ量をより抑制することができる。
【0077】
(第6実施形態)
図6を参照して、第6実施形態のラビリンスシール構造630について、第1実施形態との相違点を説明する。ラビリンスシール構造630は、流れ方向に連続して配置されるラビリンスシール640を備える。
【0078】
複数のラビリンスシール640のそれぞれは、第1~第5実施形態、および後述する第7実施形態の、いずれかのラビリンスシールである。
図6に示す例では、4つのラビリンスシール640のそれぞれは、
図1に示すラビリンスシール40と同様の構造を有する。
【0079】
図6に示すように、流れ方向Xに隣り合うラビリンスシール640のうち、高圧側X1に配置されるものをラビリンスシール640-1、低圧側X2に配置されるものをラビリンスシール640-2とする。高圧側X1のラビリンスシール640-1の低圧側フィン62は、低圧側X2のラビリンスシール640-2の高圧側フィン61と兼用される。複数のラビリンスシール640のそれぞれが第2部材段差部50および第1部材段差部80を備えるので、第2部材20のY1側部分および第1部材10のY2側部分のそれぞれは、階段状である。
【0080】
(第4の発明の効果)
[構成4]ラビリンスシール構造630は、ラビリンスシール640が、流れ方向Xに連続して配置されるものである。
【0081】
上記[構成4]により、ラビリンスシール640が1つのみ設けられる場合に比べ、ラビリンスシール構造630での流体の流路を長くできる。よって、流体のエネルギー損失をより増やすことができる。よって、ラビリンスシール構造630での流体の漏れ量をより抑制することができる。
【0082】
(第7の発明の効果)
[構成7]上記[構成6]のラビリンスシール構造630の、第1部材10、高圧側フィン61、および低圧側フィン62は、構成材料を積層させて形成された積層構造を備える。
【0083】
上記[構成6]では、ラビリンスシール640が、流れ方向Xに連続して配置されるので、ラビリンスシール構造630は、複雑な構造になる。一方、上記[構成7]の「構成材料を積層させて形成された積層構造」は、複雑な形状でも容易に製造可能な構造である。よって、第1部材10、複数の高圧側フィン61、および複数の低圧側フィン62のそれぞれを容易に製造することができる。その結果、流体機械1の製造コストを抑制することができる。
【0084】
(第8の発明の効果)
[構成8]上記[構成6]のラビリンスシール構造630の、第2部材20、および突起70は、構成材料を積層させて形成された積層構造を備える。
【0085】
上記[構成6]では、ラビリンスシール640が、流れ方向Xに連続して配置されるので、ラビリンスシール構造630は、複雑な構造になる。一方、上記[構成6]の「構成材料を積層させて形成された積層構造」は、複雑な形状でも容易に製造可能な構造である。よって、第2部材20、および複数の突起70のそれぞれを容易に製造することができる。その結果、流体機械1の製造コストを抑制することができる。
【0086】
(第7実施形態)
図7を参照して、第7実施形態のラビリンスシール構造730について、第6実施形態のラビリンスシール構造630などとの相違点を説明する。
図6に示すラビリンスシール構造630と同様に、
図7に示すラビリンスシール構造730は、複数のラビリンスシール740を備える。
図7では、複数のラビリンスシール740のうち1つのラビリンスシール740を示した。ラビリンスシール740は、第2部材段差部750と、高圧側フィン側面761bと、突起770と、第1部材段差部780と、を備える。
【0087】
第2部材段差部750は、対向方向Yに対して傾斜する。さらに詳しくは、第2部材段差部750は、Y1側ほど高圧側X1に配置されるように、対向方向Yに対して傾斜する。第2部材段差部750は、突起770の突起低圧側側面70bに連続するように配置される。
【0088】
高圧側フィン側面761bは、対向方向Yに対して傾斜する。さらに詳しくは、高圧側フィン側面761bは、Y2側ほど高圧側X1に配置されるように、対向方向Yに対して傾斜する。
【0089】
突起770は、対向方向Yに対して傾斜する。さらに詳しくは、突起770の突起高圧側側面70aは、Y1側ほど高圧側X1に配置されるように、対向方向Yに対して傾斜する(突起770の突起低圧側側面70bも同様)。
【0090】
第1部材段差部780は、
図3に示す第1部材段差部380と同様の第1曲面部380aおよび平面部380bを備える。
【0091】
ラビリンスシール740の低圧側フィン62は、
図5に示す低圧側フィン562と同様の、直交方向Zから見て弧状の低圧側フィン側面562aを備える。
【0092】
(比較)
図7に示す第1部材段差部780が設けられないシール(例1)と、第1部材段差部780が設けられるラビリンスシール740(例2)と、のそれぞれについて、数値解析により漏れ量を算出し、比較した。例2のラビリンスシール740は、
図7に示す形状のものである。また、例1のシールの第1部材10のY2側の面890、および低圧側フィン側面862aを、
図7において二点鎖線で示す。算出結果のグラフを
図8に示す。このグラフでは、例1の漏れ量を1とした。例1に対して、例2のラビリンスシール740では、約15%の漏れ量低減性能があるという知見を得た。
【0093】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、互いに異なる実施形態の構成要素どうしが組み合わされてもよい。例えば、各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、互いに異なる構造のラビリンスシール40などが流れ方向Xに連続して配置されてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 流体機械
10 第1部材
20 第2部材
25 隙間
40、240、340、440、540、640、740 ラビリンスシール
50、750 第2部材段差部
51 第2部材高圧側段部
52 第2部材低圧側段部
61 高圧側フィン
62 低圧側フィン
70、770 突起
80、280、380、780 第1部材段差部
81 第1部材高圧側段部
82 第1部材低圧側段部
630、730 ラビリンスシール構造
X 流れ方向
X1 高圧側
X2 低圧側
Y 対向方向
Y1 対向方向第1側
Y2 対向方向第2側