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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】噴出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20230911BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20230911BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B05B11/00 101G
B05B11/00 101A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020113617
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022012075
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】石塚 徹也
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-40374(JP,A)
【文献】特開平11-35069(JP,A)
【文献】特開2008-247448(JP,A)
【文献】米国特許第6053363(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部を有する容器と、
前記容器の前記口部に配置されたポンプと、
前記ポンプに取り付けられた噴出ヘッドと、
前記容器を当該容器の口部から挿入可能な挿入口と、前記噴出ヘッドを露出させる露出口とが形成されているカバーと、を備え、
前記カバーは、前記ポンプを押さえる押さえ部と、前記容器の前記口部の外面に係止可能な爪が設けられた弾性片を有しており、前記爪の係止及び係止解除によって前記容器及び前記ポンプに対して着脱可能であり、
前記噴出ヘッドは、前記ポンプに取り付けられた状態で、前記弾性片よりも外側の、当該弾性片と隣接する位置に配置されることによって当該弾性片の変形を抑制可能な変形抑制部を有しており、
前記変形抑制部と前記弾性片との接触は、前記噴出ヘッドの取り外しによって、または、前記噴出ヘッドの回転によって、解除される、噴出容器。
【請求項2】
前記カバーは、前記変形抑制部よりも外側の、当該変形抑制部と隣接する位置に配置される壁を有している、請求項1に記載された噴出容器。
【請求項3】
前記容器は、前記口部の外面に、前記爪を係止可能な突起部を有している、請求項1又は2に記載された噴出容器。
【請求項4】
前記変形抑制部と前記弾性片との接触が前記噴出ヘッドの回転によって解除される噴出容器において、前記噴出ヘッドの側面は、平面視において、円弧形状である、請求項1~3のいずれか1項に記載された噴出容器。
【請求項5】
前記容器及び前記カバーは、偏平な形状である、請求項1~4のいずれか1項に記載された噴出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の噴出容器には、容器及び噴出ヘッドを被覆するカバーを備えた液体噴出容器がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭62-146779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の噴出容器は、前記カバーを前記容器に枢着させている。すなわち、上記従来の噴出容器は、使い切りを想定し、容器を着脱させることを想定するものではなかった。
【0005】
本発明は、噴出ヘッドを操作片として用いることにより、容器を着脱させることができる、新規の噴出容器を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る噴出容器は、口部を有する容器と、前記容器の前記口部に配置されたポンプと、前記ポンプに取り付けられた噴出ヘッドと、前記容器を当該容器の口部から挿入可能な挿入口と、前記噴出ヘッドを露出させる露出口とが形成されているカバーと、を備え、前記カバーは、前記ポンプを押さえる押さえ部と、前記容器の前記口部の外面に係止可能な爪が設けられた弾性片を有しており、前記爪の係止及び係止解除によって前記容器及び前記ポンプに対して着脱可能であり、前記噴出ヘッドは、前記ポンプに取り付けられた状態で、前記弾性片よりも外側の、当該弾性片と隣接する位置に配置されることによって当該弾性片の変形を抑制可能な変形抑制部を有しており、前記変形抑制部と前記弾性片との接触は、前記噴出ヘッドの取り外しによって、または、前記噴出ヘッドの回転によって、解除される。
【0007】
本発明に係る噴出容器において、前記カバーは、前記変形抑制部よりも外側の、当該変形抑制部と隣接する位置に配置される壁を有していることが好ましい。
【0008】
本発明に係る噴出容器において、前記容器は、前記口部の外面に、前記爪を係止可能な突起部を有していることが好ましい。
【0009】
本発明に係る噴出容器は、前記変形抑制部と前記弾性片との接触が前記噴出ヘッドの回転によって解除される噴出容器において、前記噴出ヘッドの側面は、平面視において、円弧形状である。
【0010】
本発明に係る噴出容器において、前記容器及び前記カバーは偏平な形状であるものとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、噴出ヘッドを操作片として用いることにより、容器を着脱させることができる、新規の噴出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施形態に係る、噴出容器の正面図である。
図2図1の噴出容器の平面図である。
図3図1の噴出容器の側面図である。
図4図1のA-A断面図である。
図5図3のB-B断面図である。
図6図1の噴出容器から噴出ヘッドを取り外した状態を、図5のB-B断面相当で示す分解図である。
図7図6のカバー付き容器から、カバーをさらに取り外した状態を図5のB-B断面相当で示す分解図である。
図8図7のポンプ付容器をポンプ及び容器に分解した状態を、一部、図5のB-B断面相当で示す分解図である。
図9】本発明の噴出容器に付け替えるための、付け替え容器の一例を示す正面図である。
図10】本発明の第二実施形態に係る、噴出容器の正面図である。
図11図10の噴出容器の平面図である。
図12図10の噴出容器の側面図である。
図13図10のA-A断面図である。
図14図12のB-B断面図である。
図15図10の噴出容器において、噴出ヘッドを回転させた状態を、図12のB-B断面相当で示す断面図である。
図16A図11の平面図であって、噴出ヘッドのみを透視図として示す平面図である。
図16B図16Aの噴出ヘッドを回転させた状態を示す図である。
図17A図16Aの状態を、図14のC-C断面相当で示す断面図である。
図17B図16Bの状態を、図15のD-D断面相当で示す断面図である。
図18図10の噴出容器から噴出ヘッドを取り外したのち、カバーをさらに取り外した状態を図12のB-B断面相当で示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態に係る、噴出容器1について説明をする。
【0014】
図1は、本発明の第一実施形態に係る、噴出容器1Aの正面図である。本実施形態では、正面側を前側とし、背面側を後側としている。図中、符号Oは、噴出容器1Aの中心軸線(以下、単に、「中心軸線O」ともいう。)である。また、図2は、噴出容器1Aの平面図である。図2において、噴出容器1Aは、上側から示されている。本実施形態では、後述の噴出ヘッド4が配置されている側を上側とし、後述の容器2が配置されている側を下側としている。図3は、噴出容器1Aの側面図である。図3は、図1の右側面である。本実施形態では、噴出容器1Aの左右側面は対称な形状である。図4は、図1のA-A断面図である。本実施形態では、A-A断面は、中心軸線Oを含む断面であって、噴出容器1Aの前後方向に延びている。図5は、図3のB-B断面図である。本実施形態では、B-B断面は、中心軸線Oを含む断面であって、噴出容器1Aの左右方向に延びている。なお、A-A断面及びB-B断面は互いに直交する断面である。
【0015】
図5を参照すれば、噴出容器1Aは、口部2aを有する容器2を備えている。
【0016】
本実施形態では、容器2は、口部2aと容器本体2bとを有している。図4を参照すれば、本実施形態では、容器2は、容器本体2bの前後方向の厚さが左右方向の幅よりも狭い偏平な容器である。図5を参照すれば、容器2は、左右両側に、2つの側壁2w3を有している。図4を参照すれば、容器2は、前後側に、前壁2w1及び後壁2w2を有している。実施形態において、容器2は、前壁2w1及び後壁2w2の厚さが2つの側壁2w3の幅よりも狭い、偏平な容器である。
【0017】
また、噴出容器1Aは、容器2の口部2aに配置されたポンプ3を備えている。
【0018】
図4を参照すれば、本実施形態では、ポンプ3は、容器2に充填された液体Lを吸引するためのチューブ3aと、チューブ3aが下端に接続されたシリンダ3bと、シリンダ3bの上端に取り付けられたポンプカバー3cと、を有している。
【0019】
また、ポンプ3は、吸入弁3dを有している。吸入弁3dは、シリンダ3b内に配置されている。本実施形態では、吸入弁3dは、ボール弁である。ただし、吸入弁3dは、既存の逆止弁を採用することができ、ボール弁に限定されない。
【0020】
また、ポンプ3は、第1リターンスプリング3eと、ピストン3fと、を有している。第1リターンスプリング3e及びピストン3fは、シリンダ3b内に配置されている。ピストン3fは、シリンダ3bに対して摺動可能に配置されている。また、ピストン3fは、第1リターンスプリング3eを介してシリンダ3bに対して弾性支持されている。
【0021】
また、ポンプ3は、プランジャ3gと、第2リターンスプリング3hと、ステム3iと、を有している。プランジャ3g、第2リターンスプリング3h及びステム3iは、シリンダ3b内に配置されている。プランジャ3gは、ピストン3fを貫通している。第2リターンスプリング3hは、ピストン3fとステム3iとの間に配置されている。第2リターンスプリング3hは、ピストン3fを介してプランジャ3gを下側に押圧する。これにより、プランジャ3gの下端部は、ピストン3fに形成された貫通穴を開閉可能な排出弁として機能する。また、第2リターンスプリング3hは、ステム3iを上側に押圧する。ステム3iの下端部は、ポンプカバー3cによって抜け止めされている。ステム3iの上端部は、ポンプカバー3cを貫通し、当該ポンプカバー3cから上側に突出している。ポンプ3は、第1リターンスプリング3eの付勢力と合せて、ステム3iの上端部を操作することによって動作させることができる。これにより、ポンプ3は、ステム3iを介したピストン2の押込み及び当該押込みの解除を繰り返すことによって、チューブ3aを通して容器2の液体Lをシリンダ3b内に吸引し、当該シリンダ3bからステム3iを通して圧送することができる。
【0022】
また、噴出容器1Aは、ポンプ3に取り付けられた噴出ヘッド4を備えている。
【0023】
本実施形態では、噴出ヘッド4は、ステム3iの上端部に取り付けられている。噴出ヘッド4の頂壁4w4は、使用者の指によって押圧することができる。これにより、噴出ヘッド4に対する下側への押し下げ及びその解除を繰り返せば、ポンプ3を駆動させることができる。また、噴出ヘッド4は、容器2内の液体Lを噴出させるための噴出口4aを有している。本実施形態では、噴出ヘッド4は、前壁4w1と後壁4w2とを有している。噴出口4aは、前壁4w1に設けられている。噴出口4aは、容器2内の液体Lを外界に噴出させることができる。本実施形態では、噴出ヘッド4は、噴出口4aが形成された噴霧チップ4cを有している。これにより、本実施形態では、噴出口4aを通して、容器2内の液体Lを噴霧させることができる。ただし、噴出ヘッド4は、噴霧チップ4cを省略することができる。この場合、噴出口4aを通して、容器2内の液体Lをそのまま吐出させることができる。
【0024】
また、噴出容器1Aは、カバー5を備えている。カバー5は、容器2を当該容器2の口部2aから挿入可能な挿入口A1と、噴出ヘッド4を露出させる露出口A2とが形成されている。
【0025】
図4を参照すれば、カバー5は、容器2を挿入口A1から挿入する、スロットインタイプのカバーである。容器2は、カバー5の下部に形成された挿入口A1を通して、カバー5の内部に挿入されている。図4に示すように、本実施形態では、容器2及びポンプ3は、カバー5の内部に挿入された状態で、カバー5の前壁5w1及び後壁5W2によって覆われている。また、噴出ヘッド4は、カバー5の上部に形成された露出口A2を通して、カバー5から露出している。本実施形態では、カバー5は、仕切壁5w5を有している。仕切壁5w5は、カバー5の内部を上下に仕切る壁である。本実施形態では、露出口A2は、仕切壁5w5に形成された貫通穴である。
【0026】
また、本実施形態では、露出口A2は、カバー5の上側部分に形成された開放空間R5に通じている。図5を参照すれば、本実施形態において、カバー5は、さらに2つの内側側壁5w6を有している。2つの内側側壁5w6は、それぞれ、仕切壁5w5の左右両端に連なるとともに上側に向かって延びている。本実施形態では、開放空間R5は、仕切壁5w5と、2つの内側側壁5w6と、によって形成されている。本実施形態では、開放空間R5は、カバー5の上側部分を前後方向に切り欠いて形成された空間である。
【0027】
また、図5を参照すれば、容器2、ポンプ3及び噴出ヘッド4は、カバー5の外側側壁5w3によって覆われている。外側側壁5w3の上端と内側側壁5w6の上端とは、頂壁5w4によって閉じられている。さらに、本実施形態では、カバー5には、挿入口A1に連なるスリットS5が形成されている。本実施形態では、カバー5は、2つのスリットS5を有している。2つのスリットS5はそれぞれ、左右両側の外側側壁5w3に形成されている。本実施形態では、容器2は、摘み部2dを有している。本実施形態では、摘み部2dは、容器本体2bの左右両側の下端部に形成されている。図5に示すように、本実施形態では、スリットS5は、容器2がカバー5の内部に挿入された状態で、容器2に形成された摘み部2dを収容する。
【0028】
さらに、カバー5は、ポンプ3を押さえる押さえ部5aと、容器2の口部2aの外面2fに係止可能な爪5cが設けられた弾性片5dを有している。カバー5は、爪5cの係止及び係止解除によって容器2及びポンプ3に対して着脱可能である。ここで、「係止」とは、容器2の口部2aの外面2fに引っ掛けることを意味する。
【0029】
図5を参照すれば、弾性片5dの上端部5d1は、仕切壁5w5に固定されている。また、弾性片5dは、仕切壁5w5から中心軸線Oに沿って下側に延びている。これによって、弾性片5dは、上端部5d1を起点に変形及び復元が可能である。本実施形態では、爪5cは、弾性片5dの下端部5d2に設けられた内向きの爪である。爪5cは、口部2aの外面2fに形成された凹凸部に係止させることができる。本実施形態では、容器2は、口部2aの外面2fに突起部2cを有している。本実施形態では、爪5cは、突起部2cの下端に係止することができる。
【0030】
また、本実施形態では、ポンプ3が容器2とともにカバー5に挿入されたとき、カバー5に設けられた押さえ部5aがポンプカバー3cの上端を押さえる。これによって、カバー5は、押さえ部5a及び爪5cによって、容器2とともにポンプ3を強固に固定する。なお、押さえ部5aは、仕切壁5w5と別体に設けることができる。また、押さえ部5aは、仕切壁5w5で構成することができる。
【0031】
噴出ヘッド4は、ポンプ3に取り付けられた状態で、弾性片5dよりも外側の、当該弾性片5dと隣接する位置に配置されることによって当該弾性片5dの変形を抑制可能な変形抑制部4bを有している。
【0032】
本実施形態では、変形抑制部4bは、噴出ヘッド4から中心軸線Oに沿って下側に延びている。本実施形態では、変形抑制部4bは、噴出ヘッド4の側壁4w3よりも内側に配置されている。本実施形態では、噴出ヘッド4は、2つの側壁4w3を有している。2つの側壁4w3の上端は、前壁4w1及び後壁4w2(例えば、図4参照。)の上端とともに頂壁4w4に固定されている。本実施形態では、噴出ヘッド4は、2つの変形抑制部4bを有し、2つの変形抑制部4bはそれぞれ、頂壁4w4に固定されている。
【0033】
また、本実施形態では、カバー5は、噴出ヘッド4の変形抑制部4bを貫通させる開口A5を有している。本実施形態では、カバー5は、2つの開口A5を有している。本実施形態では、2つの開口A5は、中心軸線Oを挟んで対向する左右両側の2箇所の位置に設けられている。本実施形態では、開口A5は、カバー5の仕切壁5w5を上下方向に貫通している。本実施形態では、開口A5は、弾性片5dよりも外側の、当該弾性片5dと隣接する位置に形成されている。本実施形態では、弾性片5dの外面5f1は、開口A5の一部を形作っている。
【0034】
噴出ヘッド4をポンプ3に取り付けるとき、噴出ヘッド4に設けられた変形抑制部4bは、カバー5に形成された開口A5を通って、弾性片5dよりも外側の、当該弾性片5dと隣接する位置に配置される。これによって、変形抑制部4bは、弾性片5dが外向きに変形するときに、当該弾性片5dの外面5f1と接触することによって、当該弾性片5dの変形を防止する。本実施形態では、カバー5の弾性片5dに設けられた爪5cが容器2の口部2aに設けられた突起部2cに係止された状態で、噴出ヘッド4をポンプ3に取り付けると、噴出ヘッド4の変形抑制部4bは、弾性片5dの外面5f1に隣接する位置に配置される。これによって、弾性片5dが外向きに変形しようすると、当該弾性片5dは、噴出ヘッド4の変形抑制部4bと接触する。したがって、本実施形態では、噴出ヘッド4がポンプ3に取り付けられた状態では、カバー5及び容器2は、一方が他方から分離できないように、互いにロックされた状態に維持される。
【0035】
さらに、本実施形態では、カバー5は、変形抑制部4bよりも外側の、当該変形抑制部4bと隣接する位置に配置される壁5eを有している。
【0036】
本実施形態では、壁5eは、カバー5から中心軸線Oに沿って下側に延びている。本実施形態では、壁5eは、開口A5よりも外側に配置されている。本実施形態では、壁5eの内面5f2は、開口A5の一部を形作っている。
【0037】
噴出ヘッド4をポンプ3に取り付けるとき、噴出ヘッド4に設けられた変形抑制部4bは、カバー5に形成された開口A5を通って、壁5eよりも内側の、当該壁5eと隣接する位置に配置される。これによって、変形抑制部4bが弾性片5dとともに外向きに変形するときに、変形抑制部4bは、壁5eの内面5f2と接触することによって、当該変形抑制部4bの変形を防止する。本実施形態では、カバー5の弾性片5dに設けられた爪5cが容器2の口部2aに設けられた突起部2cに係止された状態で、噴出ヘッド4をポンプ3に取り付けると、噴出ヘッド4の変形抑制部4bは、壁5eの内面5f2に隣接する位置に配置される。これによって、弾性片5dが変形抑制部4bとともに外向きに変形しようすると、噴出ヘッド4に設けられた変形抑制部4bは、カバー5に設けられた壁5eの内面5f2と接触する。したがって、本実施形態では、噴出ヘッド4がポンプ3に取り付けられた状態では、カバー5及び容器2は、互いにより強固にロックされた状態に維持される。
【0038】
噴出容器1Aにおいて、変形抑制部4bと弾性片5dとの接触は、噴出ヘッド4の取り外しによって、解除される。
【0039】
本実施形態では、噴出ヘッド4とカバー5とは、変形抑制部4bと弾性片5dとの接触は、噴出ヘッド4のポンプ3に対する取り外しによって、解除されるように構成されている。本実施形態では、カバー5に形成された開口A5の位置は、噴出ヘッド4をポンプ3に取り付けたとき、噴出ヘッド4の変形抑制部4bがカバー5に設けた弾性片5dに隣接した位置になるように構成されている。また、本実施形態では、噴出ヘッド4の変形抑制部4bは、表面に凹凸の無い平滑な面によって形成されている。これによって、噴出ヘッド4をポンプ3に取り付けるときには、変形抑制部4bは、容易に開口A5を通して挿入することができ、また、噴出ヘッド4をポンプ3から取り外すときには、変形抑制部4bは、容易に開口A5を通して引き抜くことができる。
【0040】
次に、図6図8を参照して、詰め替え用品としての、噴出容器1Aの機能について、説明する。
【0041】
容器2に液体Lを充填するときは、まず、図6に示すように、噴出ヘッド4をポンプ3から取り外す。本実施形態では、一方の手でカバー5を持ったまま、他方の手で噴出ヘッド4を上側に引っ張る。噴出ヘッド4は、図6の矢印に示すように、ポンプ3から引き上げるだけで、当該ポンプ3から取り外すことができる。
【0042】
次いで、図7に示すように、カバー5を取り外す。本実施形態では、一方の手で容器2の摘み部2dを摘まんだまま、他方の手でカバー5を上側に引っ張る。噴出ヘッド4を取り外すと、カバー5に設けられた弾性片5dは、左右外側に向かって自由に変形させることができる。このため、カバー5に設けられた弾性片5dの爪5cと、容器2の口部2aに設けられた突起部2cとの係止状態は容易に解除することができる。カバー5は、図7の矢印に示すように、容器2から引き上げるだけで、容器2から取り外すことができる。
【0043】
本実施形態では、最後に、図8に示すように、ポンプ3を取り外す。本実施形態では、一方の手で容器2を持ったまま、他方の手でポンプ3を上側に引っ張る。本実施形態では、ポンプ3は、容器2の口部2aの上端に載せ置かれた状態で嵌合配置されている。このため、ポンプ3は、容器2から引き上げるだけで、図8に示すように、容器2から取り外すことができる。容器2は、容器2と異なる他の、詰め替え用容器(例えば、パウチ容器、注入ボトル)などを用いて、液体Lを充填することができる、詰め替え容器として使用することができる。この場合、容器2は、噴出容器1Aとして流通させることができる。この場合、噴出容器1Aのレフィルは、前記詰め替え用容器に充填された液体Lを、容器2の口部2aを通して容器本体2b内に再充填することによって行うことができる。
【0044】
また、容器2は、予め液体Lが充填されている付け替え容器として使用することができる。この場合、容器2は、口部2aがキャップによって封止された状態の付け替え容器として流通させることができる。なお、図9は、噴出容器1Aに付け替えるための付け替え容器20としての、ポンプ3及び容器2の一例を示す。付け替え容器20は、容器2の口部2aにポンプ3を取り付けている。なお、符号21は、容器2の口部2aに対して着脱可能なキャップである。この例では、容器2及びポンプ3は、キャップ21によって一体に組付けられている。この場合、噴出容器1Aのレフィルは、付け替え容器20からキャップ21を取り外した後、カバー5、噴出ヘッド4の順で取り付けを行うことによって、液体Lを再充填することができる。
【0045】
次いで、本発明の第二実施形態に係る、噴出容器1Bについて説明をする。なお、以下の説明において、噴出容器1Aと実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
【0046】
図10は、本発明の第二実施形態に係る、噴出容器1Bの正面図である。図11は、噴出容器1Bの平面図である。図12は、噴出容器1Bの側面図である。図13は、図10のA-A断面図である。図14は、図12のB-B断面図である。
【0047】
本実施形態では、変形抑制部4bと弾性片5dの外面5f1との接触は、噴出ヘッド4の回転によって、解除される。図15は、噴出容器1Bにおいて、噴出ヘッド4を回転させた状態を、図12のB-B断面相当で示す断面図である。本実施形態では、噴出ヘッド4を中心軸線Oの周りに回転させると、図15に示すように、噴出ヘッド4に設けられた変形抑制部4bは、カバー5に設けられた弾性片5dからずれた位置に移動する。これによって、カバー5に設けられた弾性片5dは、左右外側に向かって自由に変形させることができる。
【0048】
本実施形態では、噴出ヘッド4とカバー5とは、変形抑制部4bと弾性片5dとの接触は、噴出ヘッド4のポンプ3に対する当該ポンプ3の軸線周りの回転によって、解除されるように構成されている。本実施形態では、噴出ヘッド4の変形抑制部4bは、噴出容器1Aと同様、表面に凹凸の無い平滑な面によって形成されている。これによって、噴出ヘッド4をポンプ3に取り付けるときには、変形抑制部4bは、容易に開口A5を通して挿入することができ、また、噴出ヘッド4をポンプ3から取り外すときには、変形抑制部4bは、容易に開口A5を通して引き抜くことができる。
【0049】
また、本実施形態では、カバー5に形成された開口A5の位置は、噴出容器1Aと同様、噴出ヘッド4をポンプ3に取り付けたとき、噴出ヘッド4の変形抑制部4bがカバー5に設けた弾性片5dに隣接した位置になるように構成されている。
【0050】
図16Aは、図11の平面図であって、噴出ヘッド4のみを透視図として示す平面図である。また、図16Bは、図16Aの噴出ヘッド4を回転させた状態を示す図である。図17Aは、図16Aの状態を、図14のC-C断面相当で示す断面図である。図17Bは、図16Bの状態を、図15のD-D断面相当で示す断面図である。
【0051】
図17Aを参照すれば、カバー5に形成された開口A5は、中心軸線Oの周りに延びている。また、本実施形態では、開口A5の中心軸線Oの周りの幅W5(以下、「開口A5の周方向幅W5」ともいう。)は、図17Aに示すように、変形抑制部4bの中心軸線Oの周りの幅W4(以下、「変形抑制部4bの周方向幅W4」ともいう。)よりも広く設定されている。これによって、噴出ヘッド4を回転させると、図17Bに示すように、変形抑制部4bは、カバー5に設けられた弾性片5dからずれた位置に移動する。これによって、カバー5に設けられた弾性片5dは、左右外側に向かって自由に変形させることができる。
【0052】
本実施形態では、仕切壁5w5には、噴出ヘッド4に設けられた変形抑制部4bの移動を制限するためのストッパ突起5pが設けられている。本実施形態では、ストッパ突起5pは、カバー5の押さえ部5aの外面に設けられている。本実施形態では、弾性片5dの上端部は、押さえ部5aの外面に設けられている。言い換えれば、ストッパ突起5pは、弾性片5dの外面に設けることもできる。本実施形態では、カバー5は、2つの弾性片5dのそれぞれに、2組のストッパ突起5pを有している。2組のストッパ突起5pは、それぞれ、噴出ヘッド4に設けられた1つの変形抑制部4bが、対応する1つの弾性片5dの爪5cと隣接する位置で位置決めされるように設けられている。本実施形態では、ストッパ突起5pは、弾性片5dの外面を、当該弾性片5dの上端から下端まで延びている。ただし、本発明によれば。ストッパ突起5pは、爪5cが設けられた弾性片5dの下端部に設けられていればよい。
【0053】
次に、付け替え用品としての、噴出容器1Bの機能について、説明する。
【0054】
まず、容器2に液体を充填するときは、まず、図16Aに示す状態から、噴出ヘッド4をポンプ3に対して中心軸線Oの周りに回転させる。本実施形態では、一方の手でカバー5を持ったまま、他方の手で、図16Bの矢印に示すように、噴出ヘッド4を回転させる。これによって、噴出ヘッド4に設けられた変形抑制部4bは、カバー5に設けられたストッパ突起5pを乗り越えることで、図17Aに示す位置から、図17Bに示す位置に移動する。これによって、図17Bに示すように、噴出ヘッド4に設けられた変形抑制部4bは、カバー5に設けられた弾性片5dからずれた位置に移動する。したがって、カバー5に設けられた弾性片5dは、左右外側に向かって自由に変形させることができる。
【0055】
次いで、噴出容器1Aと同様、噴出ヘッド4をポンプ3から取り外す。本実施形態では、噴出容器1Aと同様、一方の手でカバー5を持ったまま、他方の手で噴出ヘッド4を上側に引っ張る。噴出ヘッド4は、噴出容器1Aと同様、ポンプ3から引き上げるだけで、当該ポンプ3から取り外すことができる。
【0056】
次いで、図18に示すように、カバー5を取り外す。本実施形態では、噴出容器1Aと同様、一方の手で容器2の摘み部2dを摘まんだまま、他方の手でカバー5を上側に引っ張る。噴出ヘッド4を取り外すと、カバー5に設けられた弾性片5dは、左右外側に向かって自由に変形させることができる。このため、カバー5に設けられた弾性片5dの爪5cと、容器2の口部2aに設けられた突起部2cとの係止状態は、噴出容器1Aと同様、容易に解除することができる。カバー5は、噴出容器1Aと同様、図18の矢印に示すように、容器2から引き上げるだけで、容器2から取り外すことができる。
【0057】
例えば、図9の付け替え容器20を使用して、噴出容器1Bのレフィルを行おうとする場合、本実施形態では、付け替え容器20からキャップ21を取り外し、容器2に対してカバー5を取り付けたのち、ポンプ3に噴出ヘッド4を取り付ける。この場合、噴出ヘッド4は、図16Aのように、平面視において、前壁4w1(噴出口4a)が正面を向くように、取り付けることができる。これによって、噴出容器1Bの付け替えが完了する。また、この場合、噴出ヘッド4は、図16Bのように、平面視において、前壁4w1(噴出口4a)が正面に対して斜めを向くように、取り付けることができる。ただし、図16Bのように取り付ける場合には、噴出ヘッド4を図16Aの位置まで回転させ、前壁4w1(噴出口4a)が正面を向くようにする。これによって、噴出容器1Bの付け替えが完了する。
【0058】
なお、本実施形態では、噴出容器1Aで説明したのと同様、最後に、図8に示すように、ポンプ3を取り外すこともできる。この場合、容器2は、噴出容器1Aと同様、例えば、前記詰め替え用容器を用いて、容器2の中に液体を充填することができる、
【0059】
上述のとおり、本発明によれば、変形抑制部4bと弾性片5dとの接触は、噴出ヘッド4の取り外しによって、または、噴出ヘッド4の回転によって、解除される。したがって、本発明によれば、噴出ヘッド4を操作片として用いることにより、容器2を着脱させることができる、新規の噴出容器を提供することができる。
【0060】
また、上述の各実施形態において、カバー5は、変形抑制部4bよりも外側の、当該変形抑制部4bと隣接する位置に配置される壁5eを有している。この場合、カバー5及び容器2は、互いにより強固にロックされた状態に維持される。
【0061】
また、上述の各実施形態において、容器2は、口部2aの外面2fに、爪5cを係止可能な突起部2cを有している。この場合、カバー5及び容器2は、互いにより強固に係止することができる。
【0062】
また、図12を参照すれば、噴出容器1Bにおいて、噴出ヘッド4の側面は、平面視において、円弧形状である。本実施形態では、噴出ヘッド4の側壁4w3は、曲率半径rの円弧形状である。この場合、噴出ヘッド4をカバー5の内側側壁5w6に接触することなく、コンパクトに回転させることができる。
【0063】
また、噴出容器1A及び1Bは、いわゆる、カード型スプレーと呼ばれる噴出容器である。上述の各実施形態において、容器2及びカバー5は、偏平な形状である。上述の各実施形態において、容器2は、前壁2w1及び後壁2w2の厚さが2つの側壁2w3の幅よりも狭い。また、上述の各実施形態においてカバー5は、前壁5w1及び後壁5w2の厚さが2つの外側側壁5w3の幅よりも狭い。このように、本発明によれば、噴出ヘッド4を操作片として用いることにより、カード型スプレーにレフィル機能を持たせることができる。
【0064】
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。上述した本実施形態および例示的な構成に採用された様々な構成は、適宜、相互に置き換えることができ、又は、組み合わせることができる。
【0065】
例えば、図2を参照すれば、噴出容器1Aにおいて、噴出ヘッド4は、平面視において、左右方向の幅が広い矩形である。また、カバー5に形成された開放空間R5も左右方向の幅が広い矩形である。この場合、図2に示すように、噴出ヘッド4は、カバー5の内側側壁5w6を案内にして、噴出ヘッド4を容易に着脱させることができる。また、噴出容器1Aの場合、例えば、図1図6を参照すれば、カバー5の前壁5w1及び後壁5w2の少なくともいずれか一方を開放空間R5に延長させることができる。本実施形態では、例えば、図1図6に示すように、カバー5の前壁5w1及び後壁5w2の縁部e5は、噴出ヘッド4の前壁4w1及び後壁4w2の下端部を覆うように、開放空間R5の一部まで延長されている。
【符号の説明】
【0066】
1A,1B:噴出容器, 2:容器, 2a:容器の口部, 2c:突起部, 3:ポンプ, 4:噴出ヘッド, 4b:変形抑制部, 4w3:噴出ヘッドの側壁, 5:カバー, 5a:押さえ部, 5c爪, 5d:弾性片, 5e:壁, A1;挿入口, A2:露出口, O:噴出容器の中心軸線
図1
図2
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図16A
図16B
図17A
図17B
図18