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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】電気的接続装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
G01R1/073 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018242808
(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公開番号】P2020106296
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】首藤 晃寛
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-096578(JP,U)
【文献】特開2017-096646(JP,A)
【文献】特開2004-047376(JP,A)
【文献】特開2010-151732(JP,A)
【文献】特開2014-173914(JP,A)
【文献】特開2007-248237(JP,A)
【文献】特開2007-198835(JP,A)
【文献】特開2007-178164(JP,A)
【文献】特開2018-116066(JP,A)
【文献】特開2014-102103(JP,A)
【文献】実開平07-018274(JP,U)
【文献】特開2012-159422(JP,A)
【文献】特表2016-524169(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0196086(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0139017(US,A1)
【文献】特許第3592710(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2002/0132514(US,A1)
【文献】国際公開第2018/147024(WO,A1)
【文献】特開2010-237133(JP,A)
【文献】特開2010-281583(JP,A)
【文献】中国実用新案第201716340(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0325394(US,A1)
【文献】特開2007-225287(JP,A)
【文献】特開2010-197402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 1/067
G01R 1/073
G01R 31/26
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の測定に使用される電気的接続装置であって、
管形状のバレル、前記バレルの一方の端部に基端部が挿入されたボトム側プランジャー、及び前記バレルの他方の端部に基端部が挿入されたトップ側プランジャーを有し、前記ボトム側プランジャーと前記トップ側プランジャーが前記バレルの内部で電気的に接続され、且つ、前記ボトム側プランジャー及び前記トップ側プランジャーが前記バレルと電気的に絶縁された絶縁プローブと、
導電性材料からなる導電領域の側面と絶縁性材料からなる絶縁領域の側面が対向して接合されて前記導電領域と前記絶縁領域が平面視で隣接し、かつ前記導電領域の上面と前記絶縁領域の上面が同一平面レベルであるように配置され、前記導電領域の下面と前記絶縁領域の下面が同一平面レベルであるように配置された複合ガイドプレートを有し、前記バレルが前記導電領域を貫通した状態で前記絶縁プローブを保持するプローブヘッドと
を備え、
前記導電領域においては、前記複合ガイドプレートの前記バレルが貫通する膜厚方向の全体が導電性材料であり、前記絶縁領域においては、前記複合ガイドプレートの前記膜厚方向の全体が絶縁性材料であり、
前記被検査体の測定において、前記絶縁プローブの前記バレルが前記導電領域を介して接地電位に接続されることを特徴とする電気的接続装置。
【請求項2】
接地電位に接続された前記導電領域に形成されたガイド穴の内壁面と、前記ガイド穴を貫通する前記絶縁プローブの前記バレルの外側面とが接触することにより、前記絶縁プローブの前記バレルが接地電位に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電気的接続装置。
【請求項3】
前記ガイド穴の形状が直線状であり、
前記絶縁プローブを前記被検査体と当接させたときに前記絶縁プローブが撓むことにより、前記導電領域の前記ガイド穴の内壁面と前記絶縁プローブの前記バレルの外側面とを接触させることを特徴とする請求項2に記載の電気的接続装置。
【請求項4】
前記ボトム側プランジャー及び前記トップ側プランジャーの前記バレルと対向する部分に絶縁材がコーティングされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気的接続装置。
【請求項5】
前記ボトム側プランジャーの基端部と前記トップ側プランジャーの基端部とが、互いに対向する側面で接触しながら前記バレルの内部で摺動することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気的接続装置。
【請求項6】
前記絶縁プローブが、一方の端部に前記ボトム側プランジャーの基端部が挿入され、他方の端部に前記トップ側プランジャーの基端部が挿入されて前記バレルの内部に配置された管形状の導電性の中間プランジャーを備え、
前記中間プランジャーを介して前記トップ側プランジャーと前記ボトム側プランジャーが電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気的接続装置。
【請求項7】
前記プローブヘッドをプリント基板に固定する導電性の固定ピンを更に備え、
前記プリント基板の接地電極に接続された前記固定ピンが前記導電領域を貫通し、前記固定ピン及び前記導電領域を介して前記絶縁プローブの前記バレルが接地電位に接続されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電気的接続装置。
【請求項8】
前記被検査体に当接される一方の端部から他方の端部まで連続して導電性を有する導電プローブを更に備え、
前記被検査体の測定において前記被検査体の接地電極に当接する前記導電プローブが前記導電領域を貫通し、前記導電プローブ及び前記導電領域を介して前記絶縁プローブの前記バレルが接地電位に接続されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電気的接続装置。
【請求項9】
前記プローブヘッドが、前記複合ガイドプレートと全体が絶縁性材料からなる絶縁ガイドプレートを含む複数のガイドプレートを前記絶縁プローブの軸方向に沿って配置した構成であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電気的接続装置。
【請求項10】
前記プローブヘッドの構成が、
ボトム側に配置されたボトムガイドプレートが前記絶縁ガイドプレートであり、
トップ側に配置されたトップガイドプレートが前記複合ガイドプレートであり、
前記ボトムガイドプレートと前記トップガイドプレートとの間に配置された複数のミドルガイドプレートのうち前記ボトムガイドプレートに最近接のミドルガイドプレートが前記複合ガイドプレートである
ことを特徴とする請求項9に記載の電気的接続装置。
【請求項11】
前記絶縁プローブが高周波信号の伝搬に使用されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電気的接続装置。
【請求項12】
前記バレルが、前記絶縁プローブの軸方向に伸縮自在に構成されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電気的接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の特性の測定に使用される電気的接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路などの特性をウェハから分離しない状態で測定するために、プローブを有する電気的接続装置が用いられている。電気的接続装置を用いた検査では、プローブの一方の端部を被検査体の測定用パッドに接触させ、プローブの他方の端部を配線基板に配置された端子(以下において「ランド」という。)に接触させる。ランドは、テスタなどの測定装置と電気的に接続される。プローブを介して被検査体に電流を流すことなどにより、被検査体の電気的特性の検査が行われる。
【0003】
プローブを用いた検査では、被検査体やランドとプローブとの電気的な接続を確保する必要がある。このため、被検査体の測定用パッドとプローブとの安定した接触抵抗を得るために測定用パッドの材料に応じたプローブ荷重と、測定用パッドの高さのバラつきに影響されない十分なストローク量とを同時に実現するプローブ設計が必要である。例えば、プローブを強く被検査体に押し付けるためにオーバードライブ(OD)をかけたり、プローブを弾性変形させることによってプローブとランドにプリロードをかけたりしている。また、側面にスリット状の切り込みを形成して弾性変形するバネ部をプローブに設ける構造が採用されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-281583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被検査体やランドとプローブとの電気的な接続を確保するために、バネ部を長くするなどしてプローブの全長が長くなる場合がある。しかし、プローブの全長が長くなると、被検査体の高周波特性を高精度に測定することが難しい。
【0006】
上記問題点に鑑み、本発明は、被検査体とプローブとの安定した電気的な接続を確保し、且つ、被検査体の高周波特性を高精度に測定できる電気的接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、バレルと電気的に絶縁されたトップ側プランジャー及びボトム側プランジャーがバレルの内部で電気的に接続された絶縁プローブと、導電領域の側面と絶縁領域の側面が対向して平面視で隣接し、導電領域の上面と絶縁領域の上面が同一平面レベルであるように配置され、導電領域の下面と絶縁領域の下面が同一平面レベルであるように配置された複合ガイドプレートを有し、導電領域においては複合ガイドプレートの膜厚方向の全体が導電性材料であり、絶縁領域においては複合ガイドプレートの膜厚方向の全体が絶縁性材料であり、絶縁プローブのバレルが導電領域を介して接地電位に接続された電気的接続装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被検査体とプローブとの安定した電気的な接続を確保し、且つ、被検査体の高周波特性を高精度に測定できる電気的接続装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電気的接続装置の構成を示す模式図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る電気的接続装置の絶縁プローブの構成を示す模式図である。
図3図2に示した絶縁プローブの電気的な構成を示す模式図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る電気的接続装置の導電プローブの構成を示す模式図である。
図5図4に示した導電プローブの電気的な構成を示す模式図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る電気的接続装置の複合ガイドプレートの構成を示す模式図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る電気的接続装置の複合ガイドプレートの他の構成を示す模式図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る電気的接続装置のプローブヘッドの構成を示す模式図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る電気的接続装置のプローブヘッドが絶縁プローブと導電プローブを保持する例を示す模式図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係る電気的接続装置の複合ガイドプレートの導電領域を接地電位にする構成の例を示す模式図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係る電気的接続装置の絶縁プローブの他の構成を示す模式図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る電気的接続装置の複合ガイドプレートの導電領域を接地電位にする構成の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の長さや厚みの比率などは現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0011】
本発明の第1の実施形態に係る電気的接続装置は、図1に示すように、棒形状の絶縁プローブ10と導電プローブ20、絶縁プローブ10及び導電プローブ20を保持するプローブヘッド30を備える。以下において、絶縁プローブ10と導電プローブ20を総称して「プローブ」という。図1に示す電気的接続装置は、被検査体4の電気的特性の測定に使用される垂直動作式プローブカードであり、被検査体4の測定時にプローブの一方の端部が被検査体4の測定用パッド(図示せず)と接触する。図1では、プローブが被検査体4に接触していない状態を示している。一方、プローブの他方の端部は、プリント基板5に配置されたランド51と接触している。ランド51はテスタなどの測定装置(図示せず)と電気的に接続されており、電気的接続装置は被検査体4の電気的特性を判断する際に使用される。
【0012】
絶縁プローブ10は、管形状のバレル13、ボトム側プランジャー11、及びトップ側プランジャー12を有する。図2に矢印で示したように、バレル13の一方の端部にボトム側プランジャー11の基端部が挿入され、バレル13の他方の端部にトップ側プランジャー12の基端部が挿入されている。ボトム側プランジャー11及びトップ側プランジャー12とバレル13とは、例えばカシメや接着剤によって接合される。
【0013】
バレル13には、側面を貫通する螺旋状の切り込みが形成されている。この切り込みの形成された領域がバネ部となって、絶縁プローブ10は軸方向に伸縮自在である。被検査体4の測定においては、絶縁プローブ10の先端部がランド51に固定され、被検査体4に当接した絶縁プローブ10の先端部が軸方向に移動するように絶縁プローブ10が伸縮する。
【0014】
ボトム側プランジャー11とトップ側プランジャー12は、バレル13の内部で電気的に接続されている。例えば、図2に示すように、ボトム側プランジャー11の基端部とトップ側プランジャー12の基端部を半円形の切り欠き形状とする。ボトム側プランジャー11の基端部とトップ側プランジャー12の基端部は、切り欠き形状の平坦面で接触しながらバレル13の内部で摺動する。即ち、互いに対向する基端部の側面が、ボトム側プランジャー11とトップ側プランジャー12の間の電流経路である。一方、ボトム側プランジャー11及びトップ側プランジャー12のバレル13と対向する部分に絶縁材15をコーティングして、ボトム側プランジャー11及びトップ側プランジャー12がバレル13と電気的に絶縁される。例えば、被検査体4の測定用パッドと接触する部分、ランド51と接触する部分、及び基端部の切り欠いた平坦面を除いたボトム側プランジャー11とトップ側プランジャー12の表面を、絶縁材15によりコーティングする。
【0015】
図3に、絶縁プローブ10の電気的な構成を示す。図3において、抵抗R111はボトム側プランジャー11の先端部の電気抵抗であり、抵抗R112はボトム側プランジャー11の基端部の電気抵抗である。抵抗R121はトップ側プランジャー12の先端部の電気抵抗であり、抵抗R122はトップ側プランジャー12の基端部の電気抵抗である。抵抗R130はバレル13のバネ部以外の電気抵抗であり、抵抗R131はバレル13のトップ側のバネ部の電気抵抗、抵抗R132はボトム側のバネ部の抵抗である。
【0016】
ボトム側プランジャー11及びトップ側プランジャー12には、例えばAgPdCu材などが使用される。バレル13には、Ni材などが使用される。
【0017】
図1に示した電気的接続装置の導電プローブ20は、例えば図4に示すように、バレル23の一方の端部にボトム側プランジャー21の基端部が挿入され、バレル23の他方の端部にトップ側プランジャー22の基端部が挿入された構成である。ボトム側プランジャー21の先端部が被検査体4の測定用パッドに当接し、トップ側プランジャー22の先端部がランド51に接続する。ボトム側プランジャー21及びトップ側プランジャー22はバレル23と電気的に接続している。これにより、導電プローブ20は、被検査体4に当接される一方の端部からランド51に接続する他方の端部まで連続して導電性を有する。ボトム側プランジャー21及びトップ側プランジャー22とバレル23とは、例えばカシメや接着剤、或いはスポット溶接によって接合される。バレル23には螺旋状の切り込みによりバネ部が形成され、導電プローブ20は軸方向に伸縮自在である。
【0018】
図5に、導電プローブ20の電気的な構成を示す。抵抗R211はボトム側プランジャー21の先端部の電気抵抗であり、抵抗R212はボトム側プランジャー21の基端部の電気抵抗である。抵抗R221はトップ側プランジャー22の先端部の電気抵抗であり、抵抗R222はトップ側プランジャー22の基端部の電気抵抗である。抵抗R230はバレル23のバネ部以外の電気抵抗であり、抵抗R231はバレル23のボトム側のバネ部の電気抵抗、抵抗R232はトップ側のバネ部の抵抗である。
【0019】
プローブヘッド30は、絶縁プローブ10及び導電プローブ20の軸方向に沿って配置された複数のガイドプレートを有し、絶縁プローブ10及び導電プローブ20をガイドプレートに形成したガイド穴を貫通した状態で保持する。図1に示したプローブヘッド30は、被検査体4に近いボトム側に配置されたボトムガイドプレート31、プリント基板5に近いトップ側に配置されたトップガイドプレート32、ボトムガイドプレート31とトップガイドプレート32の間に配置されたミドルガイドプレート33をガイドプレートとして有する。絶縁プローブ10のボトム側プランジャー11及び導電プローブ20のボトム側プランジャー21が、ボトムガイドプレート31を貫通する。絶縁プローブ10のトップ側プランジャー12及び導電プローブ20のトップ側プランジャー22が、トップガイドプレート32を貫通する。そして、絶縁プローブ10のバレル13及び導電プローブ20のバレル23が、ミドルガイドプレート33を貫通する。図1に示した例では、プローブヘッド30のミドルガイドプレート33が、第1ミドルガイドプレート331、第2ミドルガイドプレート332及び第3ミドルガイドプレート333により構成されている。
【0020】
プローブヘッド30は、図6に示す構成の複合ガイドプレート30Aをガイドプレートの少なくとも一枚として有する。複合ガイドプレート30Aは、導電性材料からなる導電領域301と絶縁性材料からなる絶縁領域302が平面視で隣接して配置された構成である。導電性材料としては、例えば銅やステンレスなどの金属材が使用される。絶縁性材料としては、セラミック材などが使用される。例えば電鋳や延伸加工により導電領域301を製造し、ガイド穴300をエッチングやレーザー加工などにより形成する。
【0021】
複合ガイドプレート30Aでは、例えば図6に示すように、導電領域301の全体に導電性材料を用いてもよい。或いは、図7に示すように、膜厚方向の一部のみを導電性材料として導電領域301を構成してもよい。
【0022】
絶縁プローブ10のバレル13が導電領域301を貫通した状態で、絶縁プローブ10がプローブヘッド30に保持される。即ち、絶縁プローブ10のバレル13は、導電領域301に形成されたガイド穴300を貫通する。平面視における導電領域301の形状は任意であり、複合ガイドプレート30Aを絶縁プローブ10が貫通する領域に導電領域301が配置される。一方、導電プローブ20は、絶縁領域302に形成されたガイド穴300をバレル23が貫通した状態で、プローブヘッド30に保持される。
【0023】
なお、複合ガイドプレート30Aと全体が絶縁性材料からなる絶縁ガイドプレート30Bを含む複数のガイドプレートをプローブの軸方向に沿って配置して、プローブヘッド30を構成することができる。即ち、プローブヘッド30を構成する複数のガイドプレートのうちの一部のガイドプレートを複合ガイドプレート30Aとし、他のガイドプレートを絶縁ガイドプレート30Bとしてもよい。図8に示したプローブヘッド30の構成は、複合ガイドプレート30Aと絶縁ガイドプレート30Bを交互に配置した例である。ただし、ガイドプレートのいずれを複合ガイドプレート30Aにするかは任意である。プローブヘッド30を構成する複数のガイドプレートの少なくとも1枚を複合ガイドプレート30Aにすればよい。絶縁ガイドプレート30Bには、例えばセラミック材などが使用される。
【0024】
図9に、複合ガイドプレート30Aと絶縁ガイドプレート30Bを混在させたプローブヘッド30が、絶縁プローブ10と導電プローブ20を保持する例を示した。トップガイドプレート32と、ミドルガイドプレート33のうちボトムガイドプレート31に最近接の第1ミドルガイドプレート331に複合ガイドプレート30Aが使用されている。一方、ボトムガイドプレート31、第2ミドルガイドプレート332及び第3ミドルガイドプレート333に絶縁ガイドプレート30Bが使用されている。ただし、ミドルガイドプレート33をすべて複合ガイドプレート30Aにしてもよい。
【0025】
被検査体4の測定において、絶縁プローブ10は、被検査体4の高周波信号が伝搬される測定用パッドに接続される。そして、導電領域301は接地電位に設定され、絶縁プローブ10のバレル13が導電領域301を介して接地電位に接続される。高周波信号が伝搬するボトム側プランジャー11及びトップ側プランジャー12の周囲に接地電位のバレル13が配置された構成であるため、例えばプローブの全長が長い場合にも、絶縁プローブ10は高周波信号を安定して伝搬させることができる。したがって、絶縁プローブ10を高周波信号の伝搬に使用することにより、図1に示した電気的接続装置は高周波信号を含む測定に好適に使用される。絶縁プローブ10を伝搬する高周波信号の周波数は、例えば10GHz~15GHz程度である。一方、導電プローブ20は、高周波信号以外の電気信号の伝搬や、被検査体4の接地電極や電源電極などを所定の電位に設定するために使用される。
【0026】
例えば、接地電位に接続された導電領域301に形成されたガイド穴300の内壁面と、絶縁プローブ10のバレル13の外側面とが接触することにより、絶縁プローブ10のバレル13が接地電位に接続される。このため、絶縁プローブ10を被検査体4と当接させたときに絶縁プローブ10を撓ませることにより、導電領域301のガイド穴300の内壁面と絶縁プローブ10のバレル13の外側面を接触させる。例えば、被検査体4と当接させてオーバードライブをかけたときに絶縁プローブ10の撓み量が大きい部分に複合ガイドプレート30Aを配置する。
【0027】
導電領域301を接地電位に設定するには種々の方法が可能である。例えば、図10に示すように、プローブヘッド30をプリント基板5に固定するために使用される導電領域301を貫通する固定ピン40Aと絶縁領域302を貫通する固定ピン40Bのうち、固定ピン40Aを利用する。即ち、導電性の固定ピン40Aがプリント基板5の接地電極に接触するように、固定ピン40Aによってプローブヘッド30をプリント基板5に固定する。固定ピン40Aが導電領域301を貫通することにより、固定ピン40Aを介して導電領域301が接地電位に接続される。固定ピン40Aと導電領域301を確実に電気的に接続するために、例えば固定ピン40Aをネジにする。なお、図10に示した組立ネジ50は、プローブヘッド30を構成する複数のガイドプレートの組み立てに使用される。
【0028】
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る電気的接続装置では、バレル13を接地電位に接続した絶縁プローブ10によって高周波信号を安定して伝搬させることができる。この絶縁プローブ10の構成によれば、プローブの全長を長くしても高周波特性が低下することを抑制できる。このため、図1に示した電気的接続装置によれば、被検査体4とプローブとの安定した接続を確保し、且つ被検査体4の高周波特性を高精度に測定できる。
【0029】
<変形例>
第1の実施形態の変形例に係る電気的接続装置の絶縁プローブ10は、図11に示すように、一方の端部にボトム側プランジャー11の基端部が挿入され、他方の端部にトップ側プランジャー12の基端部が挿入された管形状の中間プランジャー14を備える。中間プランジャー14は導電性の材料からなり、バレル13の内部に配置される。
【0030】
中間プランジャー14を介して、ボトム側プランジャー11とトップ側プランジャー12が電気的に接続される。つまり、中間プランジャー14は、ボトム側プランジャー11とトップ側プランジャー12との間の電流経路である。中間プランジャー14には、ボトム側プランジャー11やトップ側プランジャー12と同様の材料が使用される。中間プランジャー14は、延伸加工や電鋳などにより製造される。
【0031】
中間プランジャー14のバレル13と対向する部分には、絶縁材がコーティングされている。これにより、ボトム側プランジャー11及びトップ側プランジャー12は、バレル13と電気的に絶縁される。
【0032】
例えば、一方の端部にボトム側プランジャー11を固定した中間プランジャー14の他方の端部にトップ側プランジャー12の基端部を挿入して、中間プランジャー14とトップ側プランジャー12を接触させる。このとき、中間プランジャー14の内部でトップ側プランジャー12の基端部が摺動するように構成し、被検査体4と当接した絶縁プローブ10が軸方向に伸縮できるようにしておく。若しくは、一方の端部にトップ側プランジャー12を固定した中間プランジャー14の他方の端部にボトム側プランジャー11の基端部を挿入して、中間プランジャー14とボトム側プランジャー11を接触させるようにしてもよい。或いは、バネ部を設けるなどして中間プランジャー14を軸方向に伸縮自在に形成してもよい。ボトム側プランジャー11やトップ側プランジャー12と中間プランジャー14との固定には、スポット溶接やカシメ固定などを用いることができる。
【0033】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る電気的接続装置は、図12に示すように、複合ガイドプレート30Aの導電領域301に形成されたガイド穴300を貫通し、被検査体4の接地電極Pgに当接される導電プローブ20Gを更に備える。図12では、被検査体4の測定用パッドについて、接地電極Pgのみを黒丸で示し、他は白丸で示している。導電プローブ20Gは、一方の端部から他方の端部まで連続して導電性を有する導電プローブ20と同様の構成である。導電プローブ20Gは、ランド51を介して接地電位に設定される。例えば、被検査体4の接地電極を接地電位に設定するために用意されたプリント基板5の接地電位領域に、導電プローブ20Gが接続される。または、テスタなどの測定装置の設定によって、導電プローブ20Gが接続するランド51を接地電位にしてもよい。
【0034】
つまり、図12に示した電気的接続装置は、被検査体4の接地電極Pgを接地電位にするためのプローブを利用して絶縁プローブ10のバレル13を接地電位にすることが、第1の実施形態と異なる点である。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。
【0035】
図12に示した電気的接続装置では、被検査体4の接地電極Pgに当接する導電プローブ20Gが導電領域301に接触する。例えば、被検査体4の測定において導電プローブ20Gが撓むことにより、導電プローブ20Gの外側面が複合ガイドプレート30Aの導電領域301のガイド穴300の内壁面と接触する。これにより、導電プローブ20G及び導電領域301を介して、絶縁プローブ10のバレル13が接地電位に接続される。その結果、絶縁プローブ10を高周波信号が安定して伝搬する。
【0036】
以上に説明したように、第2の実施形態に係る電気的接続装置では、導電プローブ20Gを介して絶縁プローブ10のバレル13が接地電位に接続される。その結果、被検査体4とプローブとの安定した接続を確保し、且つ被検査体4の高周波特性を高精度に測定できる。他は、第1の実施形態と実質的に同様であり、重複した説明を省略する。
【0037】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0038】
例えば、プリント基板5の接地電極と複合ガイドプレート30Aの導電領域301を、配線などにより直接に接続してもよい。
【0039】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。
【符号の説明】
【0040】
10…絶縁プローブ
11…ボトム側プランジャー
12…トップ側プランジャー
13…バレル
14…中間プランジャー
20…導電プローブ
30…プローブヘッド
30A…複合ガイドプレート
30B…絶縁ガイドプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12