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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019057462
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020156625
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】亀田 宗克
(72)【発明者】
【氏名】岡本 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 哲志
(72)【発明者】
【氏名】福原 啓貴
(72)【発明者】
【氏名】大島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 充慶
(72)【発明者】
【氏名】小林 航
(72)【発明者】
【氏名】村井 久哲
(72)【発明者】
【氏名】矢野 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 暢紘
【審査官】平井 隼人
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-164253(JP,A)
【文献】特開2015-171667(JP,A)
【文献】特開2018-166971(JP,A)
【文献】特開2011-019666(JP,A)
【文献】特開2004-254954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関する画像を表示装置に表示可能にする画像制御手段と、
前記画像を一時的に格納する第1格納領域及び第2格納領域と、を備え、
前記画像制御手段は、
前記第1格納領域に格納した2次元画像を前記表示装置に表示させる2次元画像制御と、
前記第1格納領域に格納した左目用3次元画像と右目用3次元画像との一方と、前記第2格納領域に格納した左目用3次元画像と右目用3次元画像との他方と、を合成処理し、合成した画像を3次元画像の表現として前記表示装置に表示させる3次元画像制御と、を実行可能であり、
前記合成処理は、第3格納領域に格納されているデータに基づき、前記第2格納領域に格納された画像と、前記データに基づく描画と、が所定の間隔で交互に並んだ状態にしてから、前記所定の間隔で並ぶ前記第2格納領域に格納された画像を前記第1格納領域に格納されている画像に合成する処理であり、
前記2次元画像制御と前記3次元画像制御とを同時に実行する場合に、前記2次元画像を前記第2格納領域にも格納する、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技に関する画像を表示装置に表示可能にする画像制御手段と、
前記画像を一時的に格納する第1格納領域及び第2格納領域と、
それぞれ一対の左目用3次元画像データと右目用3次元画像データとからなる複数の3次元画像データと、を備え、
前記画像制御手段は、
前記第1格納領域に格納した2次元画像を前記表示装置に表示させる2次元画像制御と、
前記第1格納領域に格納した左目用3次元画像と右目用3次元画像との一方と、前記第2格納領域に格納した左目用3次元画像と右目用3次元画像との他方と、を合成処理し、合成した画像を3次元画像の表現として前記表示装置に表示させる3次元画像制御と、を実行可能であり、
前記2次元画像制御と前記3次元画像制御とを同時に実行する場合に、前記2次元画像を前記第2格納領域にも格納し、
前記複数の3次元画像データは、3次元視差の量に応じた異なる優先度が設定され、
前記画像制御手段は、前記3次元画像制御を実行する場合に、前記合成処理が実行された前記3次元画像を、前記優先度に基づく3次元視差で前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機(パチンコ機)では、遊技者のハンドル操作により遊技盤内の遊技領域に向かって遊技球が発射され、遊技領域を流下した遊技球が始動口に入球したことを条件に特別図柄に係る抽選が実行される。そして、遊技機では、特別図柄表示器において、特別図柄が変動表示され、さらに、抽選によって決定された特別図柄が停止表示されることで遊技者に抽選結果が報知される。このとき、遊技機では、特別図柄表示器に大当たりであることを示す特定の特別図柄が停止表示されると、通常の遊技に比べて遊技者に有利な大役遊技が開始される。大役遊技が開始された場合、遊技機では、アタッカー装置が所定回数開閉し、大入賞口への遊技球の入球が可能になるため、遊技者が多くの賞球の払い出しを受けることが可能となる。
【0003】
上述した遊技機においては、遊技に関する演出として、2次元画像を用いた演出だけでなく、例えばパララックスバリア等により分割された右目視認領域と左目視認領域とに、右目用画像と左目用画像とを縦長に細分化したものを視差が生じるようにそれぞれ表示することで、3次元画像を用いた演出を実行する構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-115469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、遊技機においては、多様な演出の実現が求められており、3次元画像と同時に2次元画像を表示することも求められている。特許文献1に記載の遊技機のように、左目用画像と右目用画像とをそれぞれ交互に表示するように制御する構成である場合には、左目用画像と右目用画像との一方の画像の描画時に2次元画像を描画するように構成された場合、表示される2次元画像が正常でなくなってしまう虞がある。また、左目用画像と右目用画像との双方の画像の描画時に2次元画像を描画するために、左目用画像に対応する2次元画像と、右目用画像に対応する2次元画像と、の2種類の2次元画像を用意する必要が生じ、画像に係るデータの容量を圧迫する虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、画像に係るデータの容量を圧迫することなく2次元画像と3次元画像との双方を用いた演出を実現させることができる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技に関する画像を表示装置に表示可能にする画像制御手段と、
前記画像を一時的に格納する第1格納領域及び第2格納領域と、を備え、
前記画像制御手段は、
前記第1格納領域に格納した2次元画像を前記表示装置に表示させる2次元画像制御と、
前記第1格納領域に格納した左目用3次元画像と右目用3次元画像との一方と、前記第2格納領域に格納した左目用3次元画像と右目用3次元画像との他方と、を合成処理し、合成した画像を3次元画像の表現として前記表示装置に表示させる3次元画像制御と、を実行可能であり、
前記合成処理は、第3格納領域に格納されているデータに基づき、前記第2格納領域に格納された画像と、前記データに基づく描画と、が所定の間隔で交互に並んだ状態にしてから、前記所定の間隔で並ぶ前記第2格納領域に格納された画像を前記第1格納領域に格納されている画像に合成する処理であり、
前記2次元画像制御と前記3次元画像制御とを同時に実行する場合に、前記2次元画像を前記第2格納領域にも格納する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像に係るデータの容量を圧迫することなく2次元画像と3次元画像との双方を用いた演出を実現させることができる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の遊技機の扉が解放された状態における外観構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態の遊技機の正面図である。
図3】本発明の実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
図4】本発明の実施形態の遊技機における副制御部の機能ブロックを説明する図である。
図5】(A)は、本発明の実施形態の遊技機において2次元画像のみを演出表示装置に表示する場合に画像制御手段が実行する制御を説明する図、(B)は、3次元画像のみを演出表示装置に表示する場合に画像制御手段が実行する制御を説明する図、(C)は、2次元画像及び3次元画像を演出表示装置に表示する場合に画像制御手段が実行する制御を説明する図である。
図6】本発明の実施形態の遊技機において、画像制御手段が2次元画像と3次元画像とを演出表示装置に表示する場合において実行する制御を説明する図である。
図7】(A)は、本発明の実施形態の遊技機において2次元画像と3次元画像とを表示している状態から2次元画像のみの表示に切り替わる場合における画像制御手段が実行する制御を説明する図、(B)は、サブCPUが実行する2次元画像の描画のために用いられる2次元画像コマンドの構築と、3次元画像の描画のために用いられる3次元画像コマンドの構築と、に係る処理を示すフローチャート、(C)は、サブCPUが実行するスケーラ変更要求処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1.構成
図1は、本発明の実施形態に係る遊技価値(遊技球)を用いた遊技を行う遊技機であるパチンコ機1の斜視図である。図1に示すように、パチンコ機1は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠2と、外枠2にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠4と、中枠4にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠6と、を備えている。
【0012】
中枠4は、外枠2と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されている。パチンコ機1では、中枠4の囲繞空間に遊技盤30(図2参照)を保持している。また、前枠6には、ガラス製又は樹脂製の透過板10が保持されている。そして、パチンコ機1では、中枠4及び前枠6を外枠2に対して閉じると、遊技盤30においてベースとなり、パチンコ機1を正面視した場合における中枠4の前面に設置される遊技板31(図2参照)と透過板10とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、パチンコ機1の正面側から、透過板10を介して遊技盤30が視認可能となる。
【0013】
前枠6の下部には、パチンコ機1の正面側に突出する操作ハンドル12が設けられている。操作ハンドル12には、遊技者によって回転操作可能な発射操作レバー12aが設けられており、遊技者が発射操作レバー12aを回転させて発射操作を行うと、発射操作レバー12aの回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技価値としての遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤30の遊技板31の表面である遊技盤面31a(図2参照)に設けられたレール32,33(図2参照)間を上昇して遊技領域40(図2参照)に導かれることになる。
【0014】
図2は、本実施形態に係る遊技盤30の正面図である。図2に示すように、遊技領域40は、遊技盤面31aと透過板10(図1参照)との間隔に形成される空間であって、遊技球が流下又は転動可能な領域である。遊技盤30には、遊技盤面31aに多数の釘や風車が設けられており、遊技領域40に導かれた遊技球が釘や風車に衝突して、不規則な方向に流下、転動するようにしている。
【0015】
遊技領域40は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする第1遊技領域40L及び第2遊技領域40Rを備えている。第1遊技領域40Lは、パチンコ機1に正対した遊技者から見て遊技領域40の左側に位置し、第2遊技領域40Rは、パチンコ機1に正対した遊技者から見て遊技領域40の右側に位置している。パチンコ機1では、レール33が遊技領域40の左側の上部で途切れていることから、発射機構によって所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球が第1遊技領域40Lに進入し、所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球が第2遊技領域40Rに進入することになる。
【0016】
また、遊技領域40には、遊技球が入球可能な第1始動口51、第2始動口52、複数の第1一般入賞口58、第2一般入賞口59、が設けられており、詳細には、第1遊技領域40Lに進入した遊技球は、第1始動口51、複数の第1一般入賞口58に入球可能であり、第2遊技領域40Rに進入した遊技球は、第2始動口52、第2一般入賞口59に入球可能であるように構成されている。第1始動口51、第2始動口52、第1一般入賞口58、第2一般入賞口59のそれぞれに遊技球が入球すると、それぞれに設定された所定の賞球が遊技者に払い出される。なお、パチンコ機1において、賞球数は、1個以上であれば何個でもよく、また、第1始動口51、第2始動口52、第1一般入賞口58、第2一般入賞口59のそれぞれで払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。パチンコ機1では、第1始動口51に遊技球が入球して払い出す賞球数を、第2始動口52に遊技球が入球して払い出す賞球数よりも少なく設定することも可能である。
【0017】
本実施形態のパチンコ機1では、第1始動口51内に第1始動領域が設けられ、第2始動口52内に第2始動領域が設けられている。そして、パチンコ機1では、第1始動口51又は第2始動口52に遊技球が入球して第1始動領域又は第2始動領域に遊技球が進入すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1つの特別図柄を決定するための内部抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な特別遊技状態としての大当たり遊技の実行可否や、以後の遊技状態をどのような遊技状態にするかといった種々の特典(遊技利益)が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口51又は第2始動口52に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の特典を受ける権利獲得の抽選の機会を獲得することとなる。
【0018】
また、第2始動口52には、可動片52aが開閉可能に設けられており、可動片52aの状態に応じて、第2始動口52への遊技球の進入容易性が変化するように構成されている。具体的には、可動片52aが閉状態にあるときには、第2始動口52への遊技球の入球が不可能となり、可動片52aが開き、遊技球の直径よりも開いた状態にあるときには、第2始動口52への遊技球の入球が可能となっている。
【0019】
パチンコ機1では、第2遊技領域40Rに設けられたゲート53内の進入領域を遊技球が通過すると、普通図柄の抽選が行われ、抽選によって当たりに当選すると、可動片52aが所定時間、開状態に制御される。可動片52aが開状態に制御されることで、本実施形態のパチンコ機1では、可動片52aが遊技球を第2始動口52に導く受け皿として機能し、第2始動口52への遊技球の入球が容易となる。なお、パチンコ機1は、可動片52aが閉状態にあるときに、第2始動口52への遊技球の入球が不可能となるように構成されているが、第2始動口52が閉状態にある場合にも一定の頻度で遊技球が入球可能となるように構成されていてもよい。
【0020】
なお、第2遊技領域40Rの上部には、ワープ導入口56及びワープ排出口57が設けられており、第2遊技領域40Rに進入した遊技球のうち、右側を流下する遊技球はワープ導入口56から遊技盤30の背面側を通過してワープ排出口57に導かれ、再度、ゲート53の上部で第2遊技領域40Rに戻される。
【0021】
第2遊技領域40Rの下方側には、遊技球が入球可能な大入賞口65を有する大入賞口装置60が設けられている。大入賞口装置60には、開閉扉61が大入賞口65を開閉可能となるように設けられており、通常、開閉扉61が大入賞口65を閉鎖して、大入賞口65への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、パチンコ機1では、大当たり遊技が実行されると、開閉扉61が開放されて、大入賞口65への遊技球の入球が可能となる。なお、大入賞口装置60には、開閉扉61の開閉と連動して上下に回動する回動部材62が設けられており、開閉扉61が開放された際に回動部材62が上方に回動して、上方から流下してくる遊技球を受け止めて大入賞口65に導き易くなる入賞補助を行うように構成されている。
【0022】
そして、大入賞口65に遊技球が入球すると、大入賞口検出センサ67により遊技球の通過が検出され、所定の賞球が遊技者に払い出される。そして、大入賞口65から入球した遊技球は、下方側に配置された排出口69を通過して大入賞口装置60の背面側から外部に排出される。なお、大入賞口検出センサ67を通過した遊技球は、遊技球検出センサである大入賞口排出検出センサ68により通過が検出され、所定時間以内に大入賞口装置60の排出口69から遊技盤30の背面に適切に排出されたか否かが検出される。
【0023】
また、第2始動口52及び大入賞口65に入球しなかった遊技球は、大入賞口装置60をそのまま通過して、第2一般入賞口59の上方に導かれ、第2一般入賞口59に入賞するか、或いはそのまま下方に流下する。なお、第2一般入賞口59は、例えば賞球を1個に設定し、第1遊技領域40Lを狙って遊技球を発射すべき状態で入賞を検出した際に、第1遊技領域40Lを狙うべき旨(つまり左打ちの推奨)を報知するように構成しておくことが可能である。
【0024】
そして、遊技領域40の最下部には、第1一般入賞口58、第1始動口51、第2始動口52、大入賞口65、第2一般入賞口59、のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技領域40から遊技盤30の背面側に排出する排出口55が設けられている。
【0025】
また、図1及び図2に示すように、パチンコ機1には、遊技状態の変化や各入賞口への入球の有無、各種抽選結果等の遊技の進行に応じた演出を実行する演出装置として、液晶表示装置からなる画像を表示する表示装置(表示部)としての演出表示装置400、演出役物装置410、さまざまな点灯態様や発光色に制御されるランプからなる演出照明装置420、スピーカからなる楽曲出力装置430、遊技者の演出に関する操作を受け付ける演出操作装置450が設けられている。
【0026】
演出表示装置400は、遊技盤30の略中央部分において、パチンコ機1の正面側から視認可能な位置に画像を表示する画像表示装置としての画像表示部400aを備えており、パチンコ機1を正面視した場合において中枠4の背面側に設置されることで遊技板31よりも奥側に設けられている。つまり、本実施形態のパチンコ機1では、画像表示部400aよりも手前に遊技板31が位置している。
【0027】
演出表示装置400は、図2に示すように、画像表示部400aに左側、中央、右側にそれぞれ配置された演出図柄401L、401C,401Rが変動表示され、演出図柄401L、401C,401Rの停止表示態様によって大当たり抽選結果が遊技者に報知される変動演出が実行されることとなる。
【0028】
また、演出表示装置400の表面には、表面に微細な半円筒型が並んだシートであるレンチキュラーレンズ400bが配置されている。パチンコ機1では、レンチキュラーレンズ400bを介して演出表示装置400に表示される画像を遊技者に表示することで、演出表示装置400に3次元画像を表示する際に、3次元画像を構成する左目用3次元画像と右目用3次元画像とに視差が生じ、遊技者の左目に左目用3次元画像が視認され、遊技者の右目に右目用3次元画像が視認されるため、遊技者に3次元の画像を視認させることができるように構成されている。
【0029】
演出役物装置410は、演出表示装置400の画像表示部400aよりも前方に配置され、通常、画像表示部400aの表示を邪魔しないように縮退しているが、演出図柄401L、401C,401Rの変動表示中等に、画像表示部400aの前方に進出するように移動する等して、遊技者に大当たりの期待感を付与するものである。
【0030】
図1及び図2に示すように、演出照明装置420は、例えば光源としてのLEDやLEDから照射される光を拡散するレンズ等を有して構成され、演出役物装置410や遊技盤30等に設けられており、演出表示装置400に表示される画像等に合わせて、さまざまに点灯制御される。
【0031】
図1に示すように、楽曲出力装置430は、前枠6の上部位置や外枠2の最下部位置に設けられた、いわゆるスピーカであって、演出表示装置400に表示される画像等に合わせて、パチンコ機1の正面側に向けてさまざまな楽曲を出力する。なお、楽曲とは、楽音、噪音、音声、擬音等、音に関するすべての概念を含む。
【0032】
演出操作装置450は、遊技者の押下操作を受け付ける演出押下ボタン451と、遊技者の演出操作装置450全体を回動させる回動操作を受け付ける演出回動レバー452を有しており、パチンコ機1の幅方向略中央位置であって、かつ、透過板10よりも下方位置に設けられている。演出操作装置450は、演出表示装置400に表示される画像等に合わせて有効化され、操作有効期間内に遊技者の操作を受け付けると、当該操作に応じて、演出表示装置400や演出役物装置410を用いたさまざまな演出が実行される。
【0033】
また、演出操作装置450の後方には、パチンコ機1から払い出される賞球や、遊技球貸出装置から貸し出される遊技球が導かれる上皿22が設けられ、上皿22の下方に下皿24が設けられている。パチンコ機1では、上皿22が遊技球で一杯になると、上皿22に進入できない遊技球が下皿24に導かれることとなる。また、下皿24の底面には、下皿24から遊技球を排出するための球抜き孔(不図示)が形成されている。球抜き孔は、通常、開閉板(不図示)によって閉じられているが、球抜きボタン24aを押下操作することにより、上記開閉板がスライド移動する等して球抜き孔が開放され、球抜き孔から下皿24の下方に遊技球を排出することが可能となっている。
【0034】
そして、図2に示すように、遊技盤30には、遊技領域40の外方であって、かつ、遊技者が視認可能な位置に、遊技に係る種々の状況を表示するための装置として、第1特別図柄表示器71、第2特別図柄表示器72、第1特別図柄保留表示器73、第2特別図柄保留表示器74、普通図柄表示器75、普通図柄保留表示器76、及び右打ち報知表示器77(図3参照)を有する情報表示装置70が設けられている。
【0035】
図3は、本実施形態に係るパチンコ機1の各部を示すブロック図である。主制御基板で構成される主制御部100は、遊技の進行を制御し、メインCPU100aと、メインROM100bと、メインRAM100cと、を備えている。メインCPU100aは、各検出スイッチや払出・発射制御部300からの入力信号に基づいて、メインROM100bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の制御部に主制御部100で生成したコマンドを送信したりすることで、遊技の進行に係る制御処理を実行する。メインRAM100cは、メインCPU100aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0036】
主制御部100には、第1一般入賞口58に遊技球が入球したことを検出する第1一般入賞口検出スイッチ58sと、第2一般入賞口59に遊技球が入球したことを検出する第2一般入賞口検出スイッチ59sと、第1始動口51に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出スイッチ51sと、第2始動口52に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ52sと、ゲート53を遊技球が通過したことを検出するゲート検出スイッチ53sと、大入賞口65に遊技球が入球したことを検出する大入賞口検出センサ67(図2参照)に設けられた大入賞口検出スイッチ65sと、大入賞口65から遊技球が排出されたことを検出する大入賞口排出検出センサ68(図2参照)に設けられた大入賞口排出検出スイッチ68sとが接続されており、各検出スイッチから出力される検出信号が主制御部100に入力されるよう構成されている。
【0037】
また、主制御部100には、第2始動口52の可動片52aを作動する普通電動役物ソレノイド52soと、大入賞口65を開閉する開閉扉61を作動する大入賞口ソレノイド61soと、回動部材62を作動する大入賞口補助ソレノイド62soとが接続されており、主制御部100によって、第2始動口52及び大入賞口65の開閉制御、大入賞口65への入賞補助制御が実行されるよう構成されている。
【0038】
また、主制御部100には、第1特別図柄表示器71と、第2特別図柄表示器72と、第1特別図柄保留表示器73と、第2特別図柄保留表示器74と、普通図柄表示器75と、普通図柄保留表示器76と、右打ち報知表示器77と、が接続されており、主制御部100によって、これら各表示器の表示制御が実行される。
【0039】
本実施形態のパチンコ機1では、主に第1始動口51又は第2始動口52への遊技球の入球によって開始される特別遊技と、ゲート53を遊技球が通過することによって開始される普通遊技と、に遊技の種別が大別される。そして、主制御部100のメインROM100bには、特別遊技及び普通遊技を進行するための種々のプログラムや、各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
【0040】
メインCPU100aでは、例えば、発生させた乱数を用いて実行する特別図柄の当否に係る内部抽選、普通電動役物ソレノイド52soに信号を出力し可動片52aを作動させる制御、大入賞口ソレノイド61soに信号を出力し開閉扉61を作動させる制御、大入賞口補助ソレノイド62soに信号を出力し回動部材を作動させる制御、内部抽選における特別図柄の当選確率を変更する制御等、遊技の進行に係る制御を実行する。メインCPU100aは、各制御の結果や、各検出スイッチから入力された検出信号をコマンド(主制御コマンド)に変換し、払出・発射制御部300や副制御部200に送信する。なお、特別図柄の当選確率を変更する制御とは、大当たり遊技の終了後の遊技状態を、内部抽選における特別図柄の当選確率を、通常の確率とする通常状態と、通常の確率よりも上昇する確変状態と、のいずれかに決定する遊技状態決定制御のことを指している。
【0041】
払出・発射制御部300は、遊技球を発射させるための制御及び賞球を払い出すための制御を行う。払出・発射制御部300も、主制御部100と略同様に、図示を省略したCPU、ROM、RAMを備えており、主制御部100に対して双方向に通信可能に接続されている。払出・発射制御部300には、遊技情報出力端子板311が接続されており、主制御部100から出力される遊技進行上の種々の情報が、払出・発射制御部300及び遊技情報出力端子板311を介して、外部カウンタや遊技店のホールコンピュータ等に出力されることとなる。
【0042】
また、払出・発射制御部300には、貯留部に貯留された遊技球を賞球として遊技者に払い出すための払出モータ312が接続されている。払出・発射制御部300は、主制御部100から送信された払出個数指定コマンドに基づいて払出モータ312を制御して所定の賞球を遊技者に払い出すように制御する。このとき、パチンコ機1では、払い出された遊技球数が払出球計数スイッチ313sによって検出され、払い出すべき賞球が遊技者に払い出されたかが把握されるように構成されている。
【0043】
また、払出・発射制御部300には、下皿24の満タン状態を検出する皿満タン検出スイッチ314sが接続されている。皿満タン検出スイッチ314sは、遊技球を上皿22から下皿24に導く通路に設けられており、皿満タン検出スイッチ314sにおける遊技球の有無を遊技球検出信号として払出・発射制御部300に出力するように構成されている。即ち、払出・発射制御部300は、遊技球検出信号が所定時間連続して入力された場合に、下皿24が満タン状態であると判断し、遊技球検出信号の連続入力が途絶えた場合には、満タン状態が解除されたと判断する。なお、下皿24が満タン状態であると判断される場合、例えば副制御部200が演出表示装置400や楽曲出力装置430等を用いて遊技者に下皿24が満タン状態であることを報知する。
【0044】
また、払出・発射制御部300には、遊技球の発射制御を行う払出・発射制御回路301が設けられている。払出・発射制御部300には、操作ハンドル12に設けられ、当該操作ハンドル12に遊技者が触れたことを検出するタッチセンサ12sと、発射操作レバー12aの操作角度を検出する操作ボリューム12vと、が接続されている。そして、タッチセンサ12s及び操作ボリューム12vから信号が入力されると、払出・発射制御回路301において、遊技球発射装置に設けられた発射用ソレノイド12soを通電して遊技球を発射させる制御が実行される。
【0045】
副制御基板で構成され、遊技に関する演出を制御する演出制御部としての副制御部200は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御し、サブCPU200aと、サブROM200bと、サブRAM200cと、を備えている。なお、パチンコ機1においては、主制御部100に対して、不正防止の観点により、当該主制御部100から副制御部200への一方向にのみ通信可能に接続されている。
【0046】
サブCPU200aは、主制御部100から送信されたコマンド等に基づいて、サブROM200bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演出表示装置400に画像を表示させる制御である画像表示制御や、演出役物装置410を駆動させたり発光させたりする演出役物制御、演出照明装置420を点灯させる点灯制御、楽曲出力装置430から楽曲を出力させる楽曲出力制御等の演出に係る制御を実行する。サブRAM200cは、サブCPU200aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0047】
また、副制御部200には、演出操作装置450の演出押下ボタン451への遊技者の押下操作を検出する押下操作検出スイッチ451sと演出回動レバー452への遊技者の回動操作を検出する回動操作検出スイッチ452sとが接続されている。押下操作検出スイッチ451sは、遊技者による演出押下ボタン451の押下操作を検出すると、演出押下操作検出信号を副制御部200に出力し、また、回動操作検出スイッチ452sは、遊技者による演出回動レバー452の回動操作を検出すると、演出回動操作検出信号を副制御部200に出力する。そして、副制御部200は、これら演出押下操作検出信号や演出回動操作検出信号等の副制御部200に入力される信号や、遊技の進行等に基づき、演出表示装置400、演出役物装置410、演出照明装置420、楽曲出力装置430等を用いた演出を実行する。
【0048】
なお、パチンコ機1には、例えば100Vの電圧からなる商用電源の電力を入力し、電源として機能する不図示の電源ユニットが備えられており、電源ユニットは、商用電源の100Vの電圧を、例えば24V(或いは12Vでもよい)の電圧に降圧して各部に供給する第1降圧回路と、例えば5Vの電圧に降圧して各部に供給する第2降圧回路とを有している。なお、島設備に供給されている例えば24Vの電圧からなる電力をそのまま入力するものでもよく、その場合、第1降圧回路は不要である。
【0049】
第1降圧回路からの例えば24Vの電圧の電力は、主制御部100、副制御部200、普通電動役物ソレノイド52so、大入賞口ソレノイド61so、大入賞口補助ソレノイド62so、第1特別図柄表示器71、第2特別図柄表示器72、第1特別図柄保留表示器73、第2特別図柄保留表示器74、普通図柄表示器75、普通図柄保留表示器76、右打ち報知表示器77、払出モータ312、発射用ソレノイド12so、演出表示装置400、演出役物装置410、演出照明装置420、楽曲出力装置430等に送電され、それらの駆動電力や発光電力として用いられる。
【0050】
また、第2降圧回路からの例えば5Vの電圧の電力は、第1一般入賞口検出スイッチ58s、第2一般入賞口検出スイッチ59s、第1始動口検出スイッチ51s、第2始動口検出スイッチ52s、ゲート検出スイッチ53s、大入賞口検出スイッチ65s、大入賞口排出検出スイッチ68s、払出球計数スイッチ313s、皿満タン検出スイッチ314s、タッチセンサ12s、操作ボリューム12v、押下操作検出スイッチ451s、回動操作検出スイッチ452s等に送電され、それらのセンサやスイッチの駆動電力として用いられる。
【0051】
また、主制御部100においては、第1降圧回路からの例えば24Vの電圧の電力をさらに例えば5Vの電圧の電力に降圧し、この例えば5Vの電圧の電力は、メインCPU100a、メインROM100b、メインRAM100c、払出・発射制御回路301の駆動電力として用いられる。
【0052】
そして、副制御部200においても、第1降圧回路からの例えば24Vの電圧の電力をさらに例えば3.3V(或いは1.2Vでもよい)の電圧の電力に降圧し、この例えば3.3Vの電圧の電力は、サブCPU200a、サブROM200b、サブRAM200cの駆動電力として用いられる。
【0053】
次に、副制御部200の詳細について、図3図4を用いて説明する。図4は、副制御部200を構成する各機能部の詳細を説明するためのブロック図である。
【0054】
副制御部200は、サブCPU200aと、サブROM200bと、サブRAM200cと、の他に、演出表示装置400に表示する画像に係る制御を実行する画像IC200d、画像ROM200e及び画像RAM200fと、演出役物装置410を動作させる役物ドライバ200gと、演出照明装置420を点灯及び消灯させる照明ドライバ200hと、楽曲出力装置430から出力する楽曲に係る制御を実行する楽曲IC200i及び楽曲ROM200jと、を備えている。
【0055】
副制御部200においては、サブCPU200a、サブRAM200c、画像IC200d、画像ROM200e、画像RAM200f、楽曲IC200i、楽曲ROM200j等の一連の機能部が、SoC(System-on-a-Chip)として1個の集積回路に集積されている。ただし、SoCにいずれの機能部を集積するかは任意に設定することができる。また、サブCPU200a、サブRAM200c、画像IC200d、画像ROM200e、画像RAM200f、楽曲IC200i、楽曲ROM200j等の各機能部がそれぞれ異なる集積回路として集積され、電気的に接続されているとしてもよい。
【0056】
サブCPU200aは、副制御部200が実行する遊技に関する演出を実行するための各種制御処理を実行する。サブCPU200aは、例えば、主制御部100から送信されたコマンドを受信し、受信したコマンドにエラーが生じていないか等の判別を実行した後にサブRAM200cに設けられたコマンドバッファにコマンドを格納する制御処理や、コマンドバッファに格納したコマンドを読み出して解読し、解読したコマンドに基づく演出パターン(演出内容)を決定する制御処理等の、各種制御処理を所定の周期(例えば4ms)で実行する割込み処理を実行するように構成されている。
【0057】
また、サブCPU200aは、解読したコマンドから決定した演出パターンに基づき演算を実行し、演出コマンドを構築する。サブCPU200aは、例えば、画像、つまり演出表示装置400を用いた演出パターンを決定した場合、決定した演出パターンに基づいた画像データの決定や、画像データを配置する位置等の演算を実行して画像に関する演出コマンドである画像コマンドを構築する。そして、サブCPU200aは、構築した画像コマンドを画像IC200dに転送する。画像IC200dの詳細については、後述する。
【0058】
また、サブCPU200aは、演出パターンとして演出役物装置410を用いた演出パターンを決定した場合、決定した演出パターンに基づいた役物パターンを演算し、演算した役物パターンに従って、役物ドライバ200gに所定時間間隔で1(ON)又は0(OFF)のデータから構成される演出コマンドである役物コマンドを構築し、役物ドライバ200gに転送する。役物ドライバ200gは、サブCPU200aから転送される役物コマンドに従い、演出役物装置410を駆動するFET(Field Effect Transistor)をON又はOFFにする。
【0059】
また、サブCPU200aは、演出パターンとして演出照明装置420を用いた演出パターンに決定した場合、決定した演出パターンに基づいた照明パターンを演算し、演算した照明パターンに従って、照明ドライバ(LEDドライバ)200hに所定時間間隔で1(ON)又は0(OFF)のデータから構成される演出コマンドである照明コマンドを構築し、照明ドライバ200hに転送する。照明ドライバ200hは、サブCPU200aから送信される照明コマンドに従い、演出照明装置420を駆動するFETをON又はOFFにする。
【0060】
また、サブCPU200aは、演出パターンとして楽曲出力装置430を用いた演出パターンに決定した場合、決定した演出パターンに基づいた楽曲データを演算し、演出コマンドとして楽曲データを特定可能な楽曲コマンドを構築し、楽曲IC200iに対して転送する。楽曲IC200iは、楽曲コマンドによって特定される楽曲データを楽曲ROM200jから楽曲IC200iに読み出し、楽曲データを、順次、楽曲出力装置430に出力する。
【0061】
なお、楽曲IC200iは、複数の楽曲バッファ(バッファ)を有し、各楽曲バッファに異なる楽曲データを保持させることができる。そして、楽曲IC200iは、複数の楽曲バッファに保持された楽曲データを重畳し、重畳された楽曲データが楽曲出力装置430に出力される。
【0062】
画像IC200dは、VDP(Video Display Processor)とも呼ばれ、画像ROM200eに格納されたプログラムに基づき、画像RAM200fと協働して、画像制御手段210と、スケーラ215と、として機能する。画像制御手段210は、サブCPU200aから転送された画像コマンドによって特定される画像データを、演出に係る画像データを記憶する記憶手段としての画像ROM200eから読み出し、画像RAM(VRAM)200fの有する複数のレイヤーのうち対象となるレイヤーに画像データを描画する。
【0063】
画像制御手段210が実行する演出には、2次元画像を演出表示装置400に表示する演出と、3次元画像を演出表示装置400に表示する演出と、2次元画像及び3次元画像を演出表示装置400に表示する演出と、がある。演出表示装置400に表示される2次元画像には、例えば、静止画や動画、キャラクタの動作や背景画像の表示、演出図柄401L,401C,401Rの変動表示等が含まれる。また、演出表示装置400に表示される3次元画像には、例えば、裸眼の遊技者に立体的に表示するピラミッドのような立体感のあるオブジェクトが含まれる。そして、演出表示装置400に2次元画像及び3次元画像を表示する場合には、ピラミッドのような立体感のあるオブジェクトが裸眼の遊技者に立体的に表示され、かつ2次元画像の背景がオブジェクトの裏で表示される。
【0064】
画像ROM200eには、画像制御手段210によって描画される画像の元となる画像データが記憶されている。本実施形態において、画像ROM200eに記憶されている画像データは、演出表示装置400の画像表示部400aよりも縦横のサイズが小さいサイズとなっている。画像制御手段210は、画像を描画する場合において、画像データを演出表示装置400に表示するサイズに補正して描画する描画時補正制御と、画像データに基づき描画した画像を、スケーラ215によって演出表示装置400に表示するサイズに補正する表示時補正制御と、を実行可能に構成されている。
【0065】
このような構成により、パチンコ機1では、大画面の演出表示装置400を有しつつ、画像ROM200eに記憶される画像データの容量を抑えることができる。なお、描画時補正制御及び表示時補正制御は、ともに、圧縮された画像データを演出表示装置400の画像表示部400aの大きさに合わせたサイズにするように補正する制御であるものの、補正に係る制御処理の詳細が互いに異なる制御となっている。より詳しくは、後述する。
【0066】
画像RAM200fは、複数のレイヤーのそれぞれに異なる画像データを描画させることができる。画像制御手段210は、複数のレイヤーのうち下位のレイヤーに描画された画像から順に演出表示装置400に表示される画像が格納される格納領域としてのフレームバッファに格納することで、各レイヤーに描画された画像について、上位のレイヤーに描画された画像が優先して表示されるようにフレームバッファに重畳する。以下、各レイヤーに描画された画像をフレームバッファに重畳して格納することを、フレームバッファに描画とも記載する。
【0067】
本実施形態において、画像RAM200fには、フレームバッファとして、それぞれ描画された画像が演出表示装置400に表示される第1フレームバッファ221及び第2フレームバッファ222と、3次元画像を用いた演出が実行される場合に画像データに基づき画像が描画され、第1フレームバッファ221又は第2フレームバッファ222に描画された画像と合成される合成用バッファ223と、合成用バッファ223に描画された画像を第1フレームバッファ221又は第2フレームバッファ222に描画された画像に合成するために実行されるマスク処理において用いられるマスク用バッファ224と、が設けられている。
【0068】
また、画像ROM200eには、3次元画像を演出表示装置400に表示するための画像データとして、一対の左目用3次元画像と右目用3次元画像とからなる3次元画像データが、複数記憶されている。左目用3次元画像は、第1フレームバッファ221又は第2フレームバッファ222に描画され、右目用3次元画像は、合成用バッファ223に描画される。第1フレームバッファ221又は第2フレームバッファ222に描画された左目用3次元画像と、合成用バッファ223に描画された右目用3次元画像と、は、画像制御手段210による合成処理によって合成されることで、左目用3次元画像と、右目用3次元画像と、がそれぞれ細長い短冊状に変換され、かつ交互に並ぶ3次元画像として第1フレームバッファ221又は第2フレームバッファ222に描画される。なお、3次元画像の合成処理の詳細については、後述する。
【0069】
本実施形態において、画像制御手段210は、第1フレームバッファ221と、第2フレームバッファ222と、について、1フレーム(約33.3ms)ごとに演出表示装置400に表示するフレームバッファを切り替えることで、一方のフレームバッファに描画された画像を演出表示装置400に表示すると同時に、他方のフレームバッファに次フレームで表示する画像を描画していく。
【0070】
例えば、画像制御手段210は、第1フレームバッファ221に描画された画像を演出表示装置400に表示しているフレーム(1フレーム)において、次のフレーム(2フレーム)に演出表示装置400に表示する画像を第2フレームバッファ222に描画し、2フレームの開始時に演出表示装置400に表示するフレームバッファを切り替えることで、2フレーム目からは第2フレームバッファ222に描画された画像を演出表示装置400に表示する。2フレームにおいて、画像制御手段210は、2フレームの次のフレーム(3フレーム)に演出表示装置400に表示する画像を第1フレームバッファ221に描画し、3フレームの開始時に演出表示装置400に表示するフレームバッファを切り替えることで、3フレーム目からは第1フレームバッファ221に描画された画像を演出表示装置400に表示する。
【0071】
演出表示装置400に表示するフレームバッファと、画像を描画するフレームバッファと、を1フレームごとに切り替えることで、画像制御手段210は、表示中のフレームバッファに新たな画像を描画してしまい、表示内容に不備が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0072】
2.演出表示装置に表示する画像に係る制御の詳細
次に、図5図7を参照して、本実施形態に係るパチンコ機1において、画像制御手段210が実行可能な2次元画像の表示に係る制御(2次元画像制御)と、3次元画像の表示に係る制御(3次元画像表示制御)と、2次元画像及び3次元画像の表示に係る制御と、の詳細について説明する。なお、以下の説明においては、第1フレームバッファ221と第2フレームバッファ222と、のうち、所定のフレームにおいて第1フレームバッファ221に画像を描画し、所定のフレームの次フレームで第1フレームバッファ221に描画した画像を表示する場合を例に説明するが、所定のフレームの次フレームにおいては、第1フレームバッファ221に画像を描画する場合と略同様に第2フレームバッファ222に画像を描画する。また、図5に示す表示時補正制御及び描画時補正制御は、いずれも1フレーム内に画像制御手段210によって実行される制御である。
【0073】
<2次元画像の表示に係る制御>
図5(A)は、画像制御手段210が実行する2次元画像のみを演出表示装置400に表示する場合に実行する表示時補正制御について説明する図である。図5(A)に示すように、画像制御手段210は、まず、サブCPU200aから転送された2次元画像の描画に係る画像コマンドに基づき、2次元画像データを画像ROM200eから取得し、画像コマンドで指定されたレイヤーへの描画を実行し、指定されたレイヤーへの描画が終了した後に第1フレームバッファ221に各レイヤーに描画された画像を格納することで、2次元画像データに基づく画像の描画を実行する。2次元画像データに基づき描画された2次元画像が格納される第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)が、本実施形態における第1格納領域(格納領域)を構成する。
【0074】
2次元画像データに基づく画像の描画が終了した後、画像制御手段210は、スケーラ215を用いた補正処理(第1補正)を実行する。スケーラ215を用いた補正処理において、スケーラ215は、第1フレームバッファ221に描画された画像が、演出表示装置400の画像表示部400aよりも小さいサイズの画像であることから、第1フレームバッファ221に描画された画像のサイズと、画像表示部400aのサイズと、から拡大率を設定し、第1フレームバッファ221に描画された画像を画像表示部400aに表示するサイズに拡大する処理と、画像を拡大することによって第1フレームバッファ221に描画されている画像の画素間が開いてしまうことから、画像に彩色されていない隙間が生じてしまうことを防ぐために、画素間の色を適切な色に調整する処理と、を実行することで、第1フレームバッファ221に描画された画像を演出表示装置400に表示する画像に補正する。
【0075】
画像制御手段210がスケーラ215を用いた補正処理を実行することで、パチンコ機1では、演出表示装置400の画像表示部400aよりも小さいサイズの2次元画像データに基づき画像を描画した場合でも、画像表示部400aのサイズに適合する画像を表示できるとともに、画像の拡大による解像度の低下が生じてしまうことを防ぐことができ、画像ROM200eの容量を圧迫することなく高解像度で視覚的に美麗な画面表示を実現することができる。
【0076】
なお、画像制御手段210は、図5(A)に示すように、2次元画像のみを演出表示装置400に表示する場合、合成用バッファ223を用いることなく演出表示装置400に表示する画像の表示に係る制御を実行する。
【0077】
<3次元画像の表示に係る制御>
図5(B)は、画像制御手段210が実行する3次元画像のみを演出表示装置400に表示する場合に実行する描画時補正制御について説明する図である。図5(B)に示すように、画像制御手段210は、サブCPU200aから転送された左目用3次元画像の描画に係る画像コマンドに基づき、画像ROM200eから3次元画像データのうち左目用3次元画像データを取得し、画像コマンドで指定されたレイヤーへの描画を実行し、指定されたレイヤーへの描画が終了した後に第1フレームバッファ221に各レイヤーに描画された画像を格納することで、左目用3次元画像データに基づく画像の描画を実行する。左目用3次元画像データに基づく描画時において、画像制御手段210は、左目用3次元画像データのサイズが演出表示装置400の画像表示部400aのサイズよりも小さいサイズであることから、左目用3次元画像データを画像表示部400aのサイズに拡大する補正(第2補正)を実行してから描画することで、画像表示部400aのサイズに合った左目用3次元画像を表示する。
【0078】
画像制御手段210は、左目用3次元画像データの描画及び第1フレームバッファ221への左目用3次元画像の描画と並行して、サブCPU200aから転送された右目用3次元画像の描画に係る画像コマンドに基づき、画像ROM200eから3次元画像データのうち右目用3次元画像データを取得し、画像コマンドで指定されたレイヤーへの描画を実行し、指定されたレイヤーへの描画が終了した後に合成用バッファ223に各レイヤーに描画された画像を格納することで、右目用3次元画像データに基づく画像の描画を実行する。右目用3次元画像データに基づく描画時において、画像制御手段210は、右目用3次元画像データのサイズが演出表示装置400の画像表示部400aのサイズよりも小さいサイズであることから、右目用3次元画像データを画像表示部400aのサイズに拡大する補正(第2補正)を実行してから描画することで、画像表示部400aのサイズに合った右目用3次元画像を表示する。
【0079】
第1フレームバッファ221への左目用3次元画像の描画と、合成用バッファ223への右目用3次元画像の描画と、が終了した後に、画像制御手段210は、合成処理を実行し、合成用バッファ223に描画された右目用3次元画像を第1フレームバッファ221に描画された左目用3次元画像と合成することで、次フレームで3次元画像の表現として演出表示装置400に表示される画像(以下、3次元画像の表現として演出表示装置400に表示される画像を単に「3次元画像」とも記載)を第1フレームバッファ221に描画する。ここで、3次元画像は、左目用3次元画像と、右目用3次元画像と、がそれぞれ細長い短冊状に交互に並ぶ画像であり、1本の左目用3次元画像の幅と、1本の右目用3次元画像の幅と、が、レンチキュラーレンズ400bの表面に並んだ微細な半円筒の幅と対応している。
【0080】
本実施形態のスケーラ215は、仮に左目用3次元画像データ及び右目用3次元画像データを拡大せずに左目用3次元画像及び右目用3次元画像を描画し、描画した左目用3次元画像及び右目用3次元画像に合成処理を実行して第1フレームバッファ221に描画した3次元画像に対して、スケーラ215による補正処理を実行する構成にしてしまうと、スケーラ215によって補正した3次元画像における左目用3次元画像が並ぶ位置と右目用3次元画像が並ぶ位置とが、レンチキュラーレンズ400bの表面に並んだ微細な半円筒の位置からずれてしまい、描画した3次元画像の見栄えが崩れてしまう虞がある。このため、本実施形態の画像制御手段210は、3次元画像を演出表示装置400に表示する場合において、左目用3次元画像データに基づく描画と、右目用3次元画像データに基づく描画と、を実行する際に、左目用3次元画像データ及び右目用3次元画像データを拡大して描画することで、画素間の広がりを生じさせずに画像を拡大することができ、画像の拡大に伴い見栄えを崩してしまうことを防止し、かつ画像ROM200eの容量を圧迫することなく高解像度の画面表示を実現することができる。
【0081】
この、画像ROM200eから取得した画像データを拡大する補正を実行してから描画する制御が、本実施形態における描画時補正制御を構成する。また、左目用3次元画像に合成される右目用3次元画像が格納される合成用バッファ223が、本実施形態における第2格納領域(格納領域)を構成する。
【0082】
なお、画像制御手段210は、スケーラ215の性能として、左目用3次元画像データ及び右目用3次元画像データを拡大せずに左目用3次元画像及び右目用3次元画像を描画し、描画した左目用3次元画像及び右目用3次元画像に合成処理を実行して第1フレームバッファ221に描画した3次元画像に対して補正処理を実行した際に、スケーラ215によって補正した3次元画像における左目用3次元画像が並ぶ位置と右目用3次元画像が並ぶ位置とが、レンチキュラーレンズ400bの表面に並んだ微細な半円筒の位置からずれないように補正できる場合には、3次元画像についても表示時補正制御を実行するように構成されていてもよい。
【0083】
<2次元画像及び3次元画像の表示に係る制御>
図5(C)は、画像制御手段210が実行する2次元画像及び3次元画像を演出表示装置400に表示する場合に実行する描画時補正制御について説明する図である。本実施形態において、パチンコ機1は、抽選結果を報知するために1つ又は複数の演出図柄の変動の開始から該抽選結果に応じた演出図柄の停止態様とするまでの演出図柄変動期間を有する一連の演出において、2次元画像としての表現を演出表示装置400に実行している状態から3次元画像としての表現を演出表示装置400に開始する場合や、3次元画像としての表現に切り替える場合に、2次元画像と3次元画像ととしての表現が演出表示装置400に実行される。
【0084】
具体的には、パチンコ機1では、演出図柄の変動開始から当選信頼度を事前に示唆する途中の演出図柄の停止態様(例えば、リーチ等)となる場合や、後述する遊技者による3次元画像の表示、非表示の切り替えに係る操作が当選信頼度を事前に示唆する途中の演出図柄の停止態様となる前に実行された場合に、アニメーションを用いた2次元画像として表現される演出から、途中の演出図柄の停止態様に基づく所定の契機(例えば、信頼度の高さに対応する示唆又は予告画像の表示開始等)で該アニメーションを用いた2次元画像として表現される演出から3次元画像として表現される演出に切り換える場合に、2次元画像と3次元画像ととしての表現が演出表示装置400に実行される。
【0085】
なお、左目用3次元画像の第1フレームバッファ221への描画と、右目用3次元画像の合成用バッファ223への描画と、の左目用3次元画像及び右目用3次元画像における描画時補正制御は、図5(B)に示した描画時補正制御と略同様であることから、説明を省略する。
【0086】
図5(C)に示すように、画像制御手段210は、サブCPU200aから転送された第1フレームバッファ221に格納する2次元画像の描画に係る画像コマンドに基づき、画像ROM200eから2次元画像データを取得し、画像コマンドで指定されたレイヤーへの描画を実行し、指定されたレイヤーへの描画が終了した後に第1フレームバッファ221に各レイヤーに描画された画像を格納することで、2次元画像データに基づく画像の描画を実行する。第1フレームバッファ221に格納する2次元画像データに基づく描画時において、画像制御手段210は、2次元画像データのサイズが演出表示装置400の画像表示部400aのサイズよりも小さいサイズであることから、2次元画像データを画像表示部400aのサイズに拡大する補正を実行してから描画することで、画像表示部400aのサイズに合った2次元画像を表示する。つまり、画像制御手段210は、2次元画像も3次元画像と同様に、描画時補正制御を実行する。
【0087】
画像制御手段210は、2次元画像と3次元画像とを同時に演出表示装置400に表示することから、第1フレームバッファ221への2次元画像の描画と並行して、第1フレームバッファ221への2次元画像の描画に係る画像コマンドに基づき取得した2次元画像データを用いて、画像コマンドで指定されたレイヤーへの描画を実行し、指定されたレイヤーへの描画が終了した後に合成用バッファ223に各レイヤーに描画された画像を格納することで、2次元画像データに基づく画像の描画を実行する。画像制御手段210は、合成用バッファ223に描画する2次元画像についても、2次元画像データを画像表示部400aのサイズに拡大する補正を実行してから描画することで、画像表示部400aのサイズに合った2次元画像を表示する。
【0088】
画像制御手段210が2次元画像データと、左目用3次元画像データと、右目用3次元画像データと、を画像ROM200eから取得した状態と、取得した画像データを用いて描画時補正制御を実行して描画し、第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)と、合成用バッファ223と、に描画した状態を図6に示す。図6に示すように、画像制御手段210は、1つの2次元画像データを第1フレームバッファ221と合成用バッファ223とに描画時補正制御を実行して描画するように構成されている。
【0089】
なお、画像制御手段210は、3次元画像が単数であれば描画時補正制御で描画する都度合成処理を実行しても処理の負荷は大きくならないが、1フレーム内に演出表示装置400に表示する3次元画像が複数存在する場合、それぞれ描画時補正制御で描画した複数の左目用3次元画像を第1フレームバッファ221に描画し、それぞれ描画時補正制御で描画した複数の右目用3次元画像を合成用バッファ223に描画した後に、合成処理を実行するように構成されている。つまり、画像制御手段210は、合成処理について、1フレームごとに周期的に実行するように構成されているとともに、1回の合成処理を実行した後から次の合成処理を実行するまでの期間(1フレーム)において、複数の左目用3次元画像を第1フレームバッファ221に描画し、複数の右目用3次元画像を合成用バッファ223に描画する場合、複数の左目用3次元画像と複数の右目用3次元画像とのそれぞれの描画を終了した後に合成処理を実行するように構成されている。
【0090】
このように構成されることで、画像制御手段210は、1フレーム内に演出表示装置400に表示する3次元画像が複数存在する場合に、左目用3次元画像及び右目用3次元画像の描画の都度合成処理を実行してしまい、画像IC200dに過度な負荷が生じてしまうことを防ぐことができ、複数の3次元画像を用いた演出を低負荷な処理で実行することができる。なお、複数の3次元画像に合成処理する場合において、描画の都度合成処理を実行する場合と、1フレーム内に表示する複数の3次元画像を描画した後に合成処理を実行する場合と、で画像制御手段210に生じる負荷の程度は、画像制御手段210のVDPのスペックに応じて異なることから、いずれの描画の都度合成処理を実行する手法と、1フレーム内に表示する複数の3次元画像を描画した後に合成処理を実行する手法と、について、VDPのスペックに応じて適切な方を採用すればよい。
【0091】
ここで、左目用3次元画像データ及び右目用3次元画像データの圧縮率は、2次元画像データの圧縮率よりも低い圧縮率に設定されている。また、左目用3次元画像データと2次元画像データとに描画時補正制御を実行する場合、画像制御手段210は、左目用3次元画像データと2次元画像データとで異なる倍率で拡大する補正(3次元画像データの拡大率の方が2次元画像データの拡大率よりもわずかに低い)を行っている。このような構成にすることで、パチンコ機1は、左目用3次元画像データ及び右目用3次元画像データのデータ容量を軽減しつつ、2次元画像と3次元画像とを演出表示装置400に表示する場合において、2次元画像単独で表示する際に実行される表示時補正制御によって表示される2次元画像に近い拡大率で拡大した2次元画像及び3次元画像を表示することができる。
【0092】
<合成処理>
次に、図6を参照して2次元画像及び3次元画像を演出表示装置400に同時に表示する際に画像制御手段210が実行する合成処理の詳細について説明する。図6に示すように、画像制御手段210は、合成処理の実行時において、まず、合成用バッファ223に描画されている2次元画像と右目用3次元画像とに、マスク用バッファ224に格納されているデータであるマスク値に基づく描画を実行する。
【0093】
本実施形態において、マスク用バッファ224は、画像RAM200fの容量を圧迫してしまうことを防ぐために、縦横のサイズがそれぞれ256ピクセルの領域から構成されている。画像制御手段210は、合成用バッファ223に描画された画像を第1フレームバッファ221に合成した際に、影響与えてしまうことを防ぎたい画素のRGB値をマスク用バッファ224に記憶している。例えば、合成処理により完成する2次元画像及び3次元画像において、一番左側に表示される画像の画素のうち、R値=0、G値=255、B値=0の画素に影響を与えてしまうことを防ぎたい場合、画像制御手段210は、一番左側に表示される画素としてR値=0、G値=255、B値=0のRGB値(マスク値)をマスク用バッファ224に格納している。
【0094】
画像制御手段210は、マスク用バッファ224に格納されているマスク値に基づき、合成用バッファ223に描画されている2次元画像と右目用3次元画像とに描画を実行するマスク処理を実行することで、合成用バッファ223に描画された2次元画像と右目用3次元画像とを、レンチキュラーレンズ400bにより遊技者の右目に視認される位置に2次元画像と右目用3次元画像とが残った状態にする。図6に示すように、マスク処理が実行された2次元画像と右目用3次元画像とは、細長い短冊状に2次元画像及び右目用3次元画像と、マスク値に基づく描画と、が並んだ状態となる。ここで、細長い短冊状になった1本の2次元画像及び右目用3次元画像と、1本のマスク値に基づく描画と、の図中横方向の長さ(幅)は、1本の2次元画像及び右目用3次元画像と、1本のマスク値に基づく描画と、を足し合わせた際にレンチキュラーレンズ400bの1本の半円筒の幅と同サイズとなっている。
【0095】
マスク処理が終了した後、画像制御手段210は、合成用バッファ223に描画されている細長い短冊状で、かつマスク値に基づく描画により所定の間隔で並ぶ2次元画像及び右目用3次元画像を、第1フレームバッファ221に描画されている2次元画像及び左目用3次元画像に合成することで、左目用3次元画像と、右目用3次元画像と、がそれぞれ細長い短冊状に交互に並ぶ3次元画像と、2次元画像と、を第1フレームバッファ221に描画する。
【0096】
上述した通り、画像制御手段210は、第1フレームバッファ221と合成用バッファ223とに同一の2次元画像データに基づく2次元画像を描画していることから、合成用バッファ223においてマスク値に基づく描画により間隔が設けられた箇所に、第1フレームバッファ221に描画されていた2次元画像が合成された場合にも、演出表示装置400に表示される際に遊技者に違和感を与えない1枚の2次元画像が表示される。
【0097】
このような構成により、画像制御手段210は、合成用バッファ223に描画される右目用3次元画像に対応する2次元画像データを別途画像ROM200eに記憶させることなく、1つの2次元画像データによって2次元画像と3次元画像とを同時に表示させることができ、画像ROM200eの容量を圧迫することなく2次元画像と3次元画像との双方を用いた演出を実現させることができる。
【0098】
<3次元画像の表示、非表示の切り替えに係る制御>
本実施形態のパチンコ機1は、3次元画像を演出表示装置400に表示する演出の実行中か否かを問わず、遊技者の任意のタイミングにおける演出押下ボタン451と演出回動レバー452との操作により、3次元画像の表示と非表示とを切り替えることができるように構成されている。
【0099】
サブCPU200aは、押下操作検出スイッチ451sから出力された演出押下操作検出信号と、回動操作検出スイッチ452sから出力された演出回動操作検出信号と、に基づき、3次元画像の表示、非表示を切り替える演出コマンド(表示切替コマンド)を作成し、画像制御手段210に送信可能に構成されている。
【0100】
画像制御手段210は、表示切替コマンドを受信した場合に、左目用3次元画像と右目用3次元画像の合成処理を実行しないことで、第1フレームバッファ221又は第2フレームバッファ222に描画されている左目用3次元画像を2次元画像として演出表示装置400に表示するように構成されている。このとき、画像制御手段210は、合成処理の実行を中止しているものの、右目用3次元画像データに基づく右目用3次元画像の合成用バッファ223への描画については、継続して実行している。このため、画像制御手段210は、3次元画像を用いた演出の実行中に、遊技者の操作によって3次元画像の非表示から表示に切り替えられた場合にも、合成処理を再開することで速やかに3次元画像の表示を開始することができる。
【0101】
このような構成により、本実施形態のパチンコ機1は、3次元画像の表示、非表示を遊技者の任意のタイミングで切り替えることができ、遊技者の嗜好に応じた演出表示装置400による演出を実現することができる。この、演出の進行によらず画像制御手段210による3次元画像制御の実行の可否を切り替える押下操作検出スイッチ451s、回動操作検出スイッチ452s及びサブCPU200aが、本実施形態における切替手段を構成する。
【0102】
図7は、2次元画像と3次元画像とを演出表示装置400に同時に表示している状態で、3次元画像が表示から非表示に切り替わる際に実行される画像制御手段210による制御について説明する図である。図7(A)に示すように、画像制御手段210は、2次元画像と3次元画像とを演出表示装置400に表示する時点t0から時点t1までにおいて、第1フレームバッファ221に2次元画像と左目用3次元画像とを描画時補正制御で描画し、合成用バッファ223に2次元画像と右目用3次元画像とを描画時補正制御で描画した後に、合成用バッファ223に描画されている2次元画像と右目用3次元画像を第1フレームバッファ221に合成することで、第1フレームバッファ221に2次元画像と3次元画像を描画する。
【0103】
上述した通り、画像制御手段210は、演出表示装置400に表示する画像について、第1フレームバッファ221に描画されている画像と、第2フレームバッファ222に描画されている画像と、を1フレームごとに切り替えるように構成されており、合成用バッファ223に描画されている画像を第1フレームバッファ221に描画されている画像と合成するフレームでは、第2フレームバッファ222に描画されている画像を表示し、合成用バッファ223に描画されている画像を第2フレームバッファ222に描画されている画像と合成するフレームでは、第1フレームバッファ221に描画されている画像を表示している。
【0104】
時点t1において、画像制御手段210は、サブCPU200aから送信された表示切替コマンドに基づき、3次元画像の演出表示装置400への表示を中止する。画像制御手段210は、3次元画像の表示の中止に伴い、2次元画像データと左目用3次元画像データに基づく描画について、描画時補正制御から表示時補正制御に切り替えることで、2次元画像データに基づき描画した2次元画像と、左目用3次元画像に基づき描画した左目用3次元画像と、を第1フレームバッファ221に描画し、スケーラ215による補正処理を実行して演出表示装置400に表示するように切り替える。なお、画像制御手段210は、3次元画像の表示が中止された場合においても、合成用バッファ223に描画時補正制御によって描画した2次元画像と右目用3次元画像とを描画し続ける。
【0105】
図7(B)は、サブCPU200aが実行する2次元画像の描画のために用いられる2次元画像コマンドの構築と、3次元画像の描画のために用いられる3次元画像コマンドの構築と、に係る処理を示すフローチャートである。サブCPU200aは、まず、2次元画像のみの演出を実行するか否かを判定する(S1)。2次元画像のみの演出を実行すると判定した場合には(Yes)、サブCPU200aは、2次元画像のみの演出を実行するフレームの前フレーム(1フレーム前)において演出表示装置400に3次元画像を表示する演出を実行しているか否かを判定する(S2)。これらの処理において、サブCPU200aは、フレームの経過により2次元画像のみの演出を開始する際に、2次元画像のみの演出を開始する直前のフレームで3次元画像の表示が実行されていたか否かを判定し、スケーラ215の設定を変更する必要があるか否かを判定している。
【0106】
ステップS2の処理で、2次元画像のみの演出を実行するフレームの前フレームにおいて演出表示装置400に3次元画像を表示する演出を実行していると判定した場合には(Yes)、サブCPU200aは、スケーラ変更要求処理を実行する(S3)。この処理において、サブCPU200aは、スケーラ215の設定を変更するための処理と、画像制御手段210が描画時補正制御と表示時補正制御とを切り替えるために必要な処理と、を実行する。
【0107】
ステップS3の処理を実行した後又はステップS2の処理において、2次元画像のみの演出を実行するフレームの前フレームにおいて演出表示装置400に3次元画像を表示する演出を実行していないと判定した場合には(No)、サブCPU200aは、2次元画像コマンドを構築し(S4)、2次元画像コマンドの構築に係る処理を終了する。この処理において、サブCPU200aは、2次元画像コマンドを作成し、画像RAM200fに設けられたコマンドバッファに格納する。2次元画像コマンドには、画像ROM200eから取得する画像データに係る情報と、表示時補正制御の実行に係る情報と、が含まれる。
【0108】
ここで、コマンドバッファは、第1フレームバッファ221に対応する第1コマンドバッファと、第2フレームバッファ222に対応する第2コマンドバッファと、が設けられている。サブCPU200aは、2次元画像のみの演出を実行する際に表示される画像が描画されるフレームバッファが第1フレームバッファ221である場合には、第1コマンドバッファに2次元画像コマンドを格納し、2次元画像のみの演出を実行する際に表示される画像が描画されるフレームバッファが第2フレームバッファ222である場合には、第2コマンドバッファに2次元画像コマンドを格納する。
【0109】
ステップS1の処理において、2次元画像のみの演出を実行しない、つまり3次元画像を含む演出を実行すると判定した場合には(No)、サブCPU200aは、3次元画像を含む演出を実行するフレームの前フレームにおいて演出表示装置400に2次元画像のみを表示する演出を実行しているか否かを判定する(S5)。ステップS1、ステップS5の処理において、サブCPU200aは、フレームの経過により3次元画像を含む演出を開始する際に、3次元画像を含む演出を開始する直前のフレームで2次元画像のみの表示が実行されていたか否かを判定し、スケーラ215の設定を変更する必要があるか否かを判定している。
【0110】
ステップS5の処理で、3次元画像を含む演出を実行するフレームの前フレームにおいて演出表示装置400に2次元画像のみを表示する演出を実行していると判定した場合には(Yes)、サブCPU200aは、スケーラ変更要求処理を実行する(S6)。
【0111】
ステップS6の処理を実行した後又はステップS5の処理において、3次元画像を含む演出を実行するフレームの前フレームにおいて演出表示装置400に3次元画像を表示する演出を実行していたと判定した場合には(No)、サブCPU200aは、3次元画像コマンドを構築し(S7)、3次元画像コマンドの構築に係る処理を終了する。この処理において、サブCPU200aは、3次元画像コマンドを作成し、3次元画像を表示するフレームバッファに対応するコマンドバッファに格納する。3次元画像コマンドには、画像ROM200eから取得する画像データに係る情報と、描画時補正制御の実行に係る情報と、が含まれる。
【0112】
図7(C)は、図7(B)に示すステップS3、ステップS6の処理で実行されるスケーラ変更要求処理を示すフローチャートである。スケーラ変更要求処理において、サブCPU200aは、まず、スケーラ変更要求フラグをセットする(S11)。この処理において、サブCPU200aは、画像制御手段210が演出表示装置400に表示するフレームバッファを切り替える際に実行されるスケーラ215の設定を反映させる処理であるスケーラ変更処理において、スケーラ215の設定がサブCPU200aによって変更されたか否かを判定する際に参照されるフラグであるスケーラ変更要求フラグをOFF状態からON状態に切り替える。
【0113】
次に、サブCPU200aは、3次元画像を用いた演出から2次元画像のみを用いた演出に切り替えるか否かを判定する(S12)。この処理において、サブCPU200aは、今回のスケーラ変更要求処理が、画像制御手段210による表示時補正制御のために実行されるスケーラ変更要求処理と、画像制御手段210による描画時補正制御のために実行されるスケーラ変更要求処理と、のいずれであるかを判定している。
ステップS12の処理において、3次元画像を用いた演出から2次元画像のみを用いた演出に切り替えると判定した場合には(Yes)、サブCPU200aは、スケーラ215が表示する画像を拡大する際における拡大率をセットする(S13)。この処理において、サブCPU200aは、フレームバッファに格納される2次元画像のサイズと、画像表示部400aのサイズと、から、フレームバッファに格納された2次元画像を拡大する際の倍率である拡大率を設定する。
一方、ステップS12の処理において、2次元画像のみを用いた演出から3次元画像を用いた演出に切り替えると判定した場合には(No)、サブCPU200aは、スケーラ215が表示する画像を拡大しない拡大率をセットする(S14)。この処理において、サブCPU200aは、3次元画像にはスケーラ215による画像の拡大を実行しないことから、拡大率として、100%を設定することで、スケーラ215によってフレームバッファ内の画像が演出表示装置400に表示される際に拡大されないようにする。
【0114】
ステップS13、ステップS14の処理を実行した後、サブCPU200aは、スケーラ215の設定を更新するタイミングである更新タイミングをセットし(S15)、スケーラ変更要求処理を終了する。更新タイミングがセットされることで、画像制御手段210は、スケーラ変更要求フラグがON状態であり、かつスケーラ215の設定を更新する適切なタイミングで、スケーラ215の設定を更新することができる。
【0115】
このように、画像制御手段210は、2次元画像のみを演出表示装置400に表示する場合、スケーラ215の拡大率を2次元画像データに合わせてセットすることで表示時補正制御を実行するように構成され、3次元画像のみを演出表示装置400に表示する場合又は2次元画像及び3次元画像を演出表示装置400に表示する場合、スケーラ215の拡大率を100%にセットしスケーラ215による第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)に格納された画像の拡大が実行されないようにすることで描画時補正制御を実行するように構成されている。
【0116】
ここで、パチンコ機1においては、画像データを画像表示部400aのサイズに合わせて拡大しながら描画する描画時補正制御よりも、画像表示部400aよりも小さい画像データに基づき描画した画像をスケーラ215で拡大する方が、画像IC200dの負荷が小さくなる。
【0117】
このため、画像制御手段210は、2次元画像及び3次元画像を表示している状態から2次元画像のみを表示する状態に切り替わった場合に、速やかに描画時補正制御から表示時補正制御に切り替えることで、画像IC200dにおける画像の表示に係る制御で生じる負荷を低減することができる。
【0118】
また、画像制御手段210は、2次元画像及び3次元画像を表示する場合には、2次元画像についても表示時補正制御よりも画像の描画に係る負荷が表示時補正制御よりも大きい描画時補正制御を実行することで、スケーラ215による第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)に描画されている2次元画像の拡大に伴い、第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)に描画されている3次元画像も拡大されてしまい、3次元画像の見栄えを崩してしまうことを防ぐことができる。
【0119】
3.本実施形態のまとめ
以上のように、本実施形態の遊技機(1)は、
遊技に関する画像を表示装置(400)に表示可能にする画像制御手段(210)と、
前記画像を一時的に格納する第1格納領域(221,222)及び第2格納領域(223)と、を備え、
前記画像制御手段は、
前記第1格納領域に格納した2次元画像を前記表示装置に表示させる2次元画像制御と、
前記第1格納領域に格納した左目用3次元画像と右目用3次元画像との一方と、前記第2格納領域に格納した左目用3次元画像と右目用3次元画像との他方と、を合成処理し、合成した画像を3次元画像の表現として前記表示装置に表示させる3次元画像制御と、を実行可能であり、
前記2次元画像制御と前記3次元画像制御とを同時に実行する場合に、前記2次元画像を前記第2格納領域にも格納する。
【0120】
この構成により、本実施形態のパチンコ機1は、合成用バッファ223に描画される右目用3次元画像に対応する2次元画像データを別途画像ROM200eに記憶させることなく、1つの2次元画像データに基づき描画した2次元画像を第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)と合成用バッファ223とに描画することで、2次元画像と3次元画像とを同時に表示させることができ、画像に係るデータを記憶する画像ROM200eの容量を圧迫することなく2次元画像と3次元画像との双方を用いた演出を実現させることができる。
【0121】
また、本実施形態の遊技機(1)は、
遊技に関する画像データに基づき描画した画像を表示装置(400)に表示する際に、2次元画像と3次元画像との少なくともいずれかの表現として表示可能にする画像制御手段(210)と、
前記画像制御手段が画像データに基づき描画した画像を格納する格納領域(221,222,223)と、を備え、
前記画像制御手段は、
前記画像データに基づき描画した画像を前記格納領域に格納し、前記格納領域に格納した画像を前記表示装置に表示させる際に補正する表示時補正制御と、
前記格納領域に格納した画像を前記表示装置に表示させる場合において、前記格納領域に格納する画像を前記画像データに基づいて描画する際に補正する描画時補正制御と、を実行可能であり、
前記3次元画像の表現として前記表示装置に表示する場合に、前記描画時補正制御を実行する。
【0122】
この構成により、本実施形態のパチンコ機1は、3次元画像を表示する場合に描画時補正制御を実行することで、表示時補正制御で用いられるスケーラ215によって第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)に描画されている3次元画像も拡大されてしまい、3次元画像の見栄えを崩してしまうことを防ぐことができるとともに、データ容量を低減した左目用3次元画像データ及び右目用3次元画像データに描画時補正制御を実行して演出表示装置400に3次元画像としての表現で表示することができ、画像に係るデータを記憶する画像ROM200eの容量を圧迫することなく3次元画像を用いた演出を実現させることができる。
【0123】
また、本実施形態において、
前記画像制御手段は、
前記表示時補正制御を実行している状態から前記3次元画像の表現又は前記2次元画像と前記3次元画像との表現として前記表示装置への表示を開始する場合に、前記表示時補正制御から前記描画時補正制御に切り替え、
前記描画時補正制御を実行している状態から前記3次元画像の表現として前記表示装置への表示を終了する場合、前記描画時補正制御から前記表示時補正制御に切り替える。
【0124】
この構成により、本実施形態のパチンコ機1は、2次元画像及び3次元画像を表示する場合に、2次元画像についても表示時補正制御よりも画像の描画に係る負荷が大きい描画時補正制御を実行することで、表示時補正制御で用いられるスケーラ215による第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)に描画されている2次元画像の拡大に伴い、第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)に描画されている3次元画像も拡大されてしまい、3次元画像の見栄えを崩してしまうことを防ぐことができることで、2次元画像と3次元画像との双方を表示するために別途拡大済みのデータサイズの大きい2次元画像を用意する必要がないとともに、2次元画像及び3次元画像を表示している状態から2次元画像のみを表示する状態に切り替わった場合に、描画時補正制御から、描画時補正制御よりも画像IC200dに生じる負荷が小さい表示時補正制御に速やかに切り替えることで、画像IC200dにおける画像の表示に係る制御で生じる負荷を低減することができる。
【0125】
また、本実施形態の遊技機は、演出の進行によらず前記画像制御手段による前記3次元画像制御の実行の可否を切り替える切替手段(200a,451s,452s)をさらに備える。
【0126】
この構成により、本実施形態のパチンコ機1は、3次元画像の表示、非表示を遊技者の任意のタイミングで切り替えることができ、遊技者の嗜好に応じた演出表示装置400による演出を実現することができる。
【0127】
また、本実施形態において、
前記画像制御手段は、
前記3次元画像制御において、前記第1格納領域に格納した左目用3次元画像と右目用3次元画像との一方と、前記第2格納領域に格納した左目用3次元画像と右目用3次元画像との他方と、を合成する合成処理を周期的に実行し、
1回の前記合成処理を実行した後から次の前記合成処理を実行するまでの期間において、複数の左目用3次元画像と複数の右目用3次元画像との一方を前記第1格納領域に格納し、複数の左目用3次元画像と複数の右目用3次元画像との他方を前記第2格納領域に格納する場合、複数の左目用3次元画像と複数の右目用3次元画像とのそれぞれの格納を終了した後に合成処理を実行する。
【0128】
この構成により、本実施形態のパチンコ機1は、1フレーム内に演出表示装置400に表示する3次元画像が複数存在する場合に、左目用3次元画像及び右目用3次元画像の描画、描画の都度合成処理を実行してしまい、画像IC200dに過度な負荷が生じてしまうことを防ぐことができ、複数の3次元画像を用いた演出を低負荷な処理で実行することができる。
【0129】
4.変形例
なお、本実施形態において、パチンコ機1は、レンチキュラーレンズ400bを用いて裸眼の遊技者に3次元画像を表示するように構成されているが、これに限定されない。パチンコ機1は、例えば、演出表示装置400の表面に設けられ、細長い短冊状に分割されて合成された左目用3次元画像と右目用3次元画像とのそれぞれ1本ずつの間隔で穴又は溝を有する遮蔽板である視差バリアを用いて3次元画像を裸眼の遊技者に表示するように構成されていてもよい。また、パチンコ機1は、視差バリアを用いて3次元表示する場合、演出表示装置400内における液晶層の表面にモノクロの視差バリア層を設け、遊技者の操作に応じてモノクロの視差バリア層を透明化可能にすることで、3次元画像の表示及び非表示を切り替え可能に構成されていてもよい。
【0130】
また、本実施形態において、パチンコ機1は、3次元画像を表示する場合、第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)に描画されている左目用3次元画像と、合成用バッファ223に描画されている右目用3次元画像と、を合成することで3次元画像を生成しているが、これに限定されない。パチンコ機1は、例えば、画像制御手段210により描画された左目用3次元画像が描画される第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)と、画像制御手段210により描画された右目用3次元画像が描画される合成用バッファ223と、第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)に描画された左目用3次元画像が描画される第3格納領域としての第1キャプチャ用バッファと、合成用バッファ223に描画された右目用3次元画像が描画される第4格納領域としての第2キャプチャ用バッファと、を有し、第1キャプチャ用バッファに描画された左目用3次元画像と、第2キャプチャ用バッファに描画された右目用3次元画像と、を合成し、演出表示装置400に表示する第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)に描画することで、演出表示装置400に3次元画像を表示させる3次元画像制御を実行可能に構成されていてもよい。
【0131】
つまり、遊技機は、
遊技価値を用いた遊技に関する画像を制御する画像制御手段と、
それぞれ前記画像制御手段により描画された画像を一時的に格納する第1格納領域、第2格納領域、第3格納領域及び第4格納領域と、
前記第1格納領域に格納された画像を表示する表示装置と、を備え、
前記画像制御手段は、
左目用3次元画像と右目用3次元画像との一方を描画して前記第1格納領域に格納し、
左目用3次元画像と右目用3次元画像との他方を描画して前記第2格納領域に格納し、
前記第1格納領域に格納した左目用3次元画像と右目用3次元画像との一方を前記第3格納領域に格納し、
前記第2格納領域に格納した左目用3次元画像と右目用3次元画像との他方を前記第4格納領域に格納し、
前記第3格納領域に格納された左目用3次元画像と右目用3次元画像との一方と、前記第4格納領域に格納された左目用3次元画像と右目用3次元画像との他方と、を合成した3次元画像を前記第1格納領域に格納することで3次元画像を前記表示装置に表示させる3次元画像制御と、を実行可能である、ように構成されていてもよい。
【0132】
このように構成されることで、パチンコ機1は、第1キャプチャ用バッファに描画された左目用3次元画像と、第2キャプチャ用バッファに描画された右目用3次元画像と、を画像データと略同様に制御することができるため、第1キャプチャ用バッファに描画された左目用3次元画像と、第2キャプチャ用バッファに描画された右目用3次元画像と、に、例えば演出表示装置400において表示する座標を補正する等の制御を実行することができ、3次元画像を用いた多様な演出を実行することができる。
【0133】
なお、第1キャプチャ用バッファに描画された左目用3次元画像と、第2キャプチャ用バッファに描画された右目用3次元画像と、を画像データと略同様に制御し、3次元画像を演出表示装置400に表示する座標を補正する等の制御を実行可能に構成する場合、パチンコ機1は、画像ROM200eに記憶される3次元画像データに、座標データ等の各種情報を含ませるように構成される必要がある。
【0134】
また、このように構成された場合、パチンコ機1は、画像RAM200fに第1キャプチャ用バッファと第2キャプチャ用バッファを設ける必要があり、画像RAM200fの容量を圧迫する虞がある。このため、本実施形態のパチンコ機1のように、第1フレームバッファ221(第2フレームバッファ222)に描画された左目用3次元画像と、合成用バッファ223に描画された右目用3次元画像とを合成することで3次元画像を生成するように構成される方が、3次元画像の表示によって使用される画像RAM200fの容量を低減させることができる。
【0135】
また、本実施形態において、パチンコ機1は、画像ROM200eに一対の左目用3次元画像データと右目用3次元画像データとからなる3次元画像データを複数記憶させており、各3次元画像データの優先度がいずれも同一に設定されているが、これに限らず、複数の3次元画像データのそれぞれに異なる優先度が設定されていてもよい。
【0136】
つまり、遊技機は、
一対の左目用3次元画像データと右目用3次元画像データとからなる3次元画像データを複数備え、
前記複数の3次元画像データは、それぞれ異なる優先度が設定され、
前記画像制御手段は、前記3次元画像制御を実行する場合に、前記3次元画像データに設定された優先度に応じた3次元視差で前記表示装置に表示させる、ように構成されていてもよい。
【0137】
このように構成された場合、パチンコ機1は、3次元画像データに設定された優先度に応じた3次元視差で演出表示装置400に3次元画像を表示することで、優先度によって3次元画像の立体具合に変化が生じるため、優先度を用いた簡易な制御によって3次元画像を用いた多彩な演出を実現することができる。
【0138】
また、本実施形態において、パチンコ機1は、遊技者が演出押下ボタン451と演出回動レバー452とを操作した際に出力される演出押下操作検出信号と、演出回動操作検出信号と、に基づき、サブCPU200aが表示切替コマンドを作成するように構成されているが、これに限らず、例えば、3次元画像の表示、非表示を切り替えるための専用のデバイス(十字キー等)を設け、該デバイスへの操作を検出する操作検出スイッチからの操作検出信号がサブCPU200aに入力されることで、サブCPU200aが表示切替コマンドを作成するように構成されていてもよい。
【0139】
また、本実施形態においては、遊技価値を用いた遊技中の演出を例に説明したが、これに限らず、例えば所定の時間が経過した以降も遊技価値が投入されていない場合に表示されるデモ画面のような、遊技価値が投入されていない状態における演出においても、本発明は適用できる。
【0140】
また、本実施形態においては、遊技価値を用いた遊技を行う遊技機として、大当たり図柄を含む複数種類の図柄の中からいずれかを決定する図柄決定手段と、図柄が決定されてから所定の変動時間が経過すると、図柄表示部に図柄を表示させる図柄表示手段と、図柄表示部に大当たり図柄が表示されると、複数回のラウンド遊技で構成される大役遊技を実行する大役遊技実行手段と、大役遊技におけるラウンド遊技のうち予め設定された特定ラウンド遊技中に、大入賞口に入球した遊技球が特定領域に進入すると、所定の遊技利益を付与する遊技利益付与手段と、大役遊技中の演出を実行する演出実行手段と、を備えるいわゆる第一種遊技を可能なパチンコ機1を例示したが、これに限らず、例えば、小当たり遊技中に所定の領域に遊技球が侵入することで大役遊技を開始可能な第二種遊技を可能なパチンコ機であっても本発明は適用し得る。また、例えば、外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、遊技者による開始操作を検出するスタートスイッチと、複数のリールに対応して設けられ、各リールを停止させるための停止操作を検出するストップスイッチと、遊技の進行を制御する主制御部と、コマンドに基づき演出を制御する演出制御手段を有する副制御部を備え、主制御部が、複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、スタートスイッチによる開始操作の検出に基づいて、複数のリールを回転させ、ストップスイッチによる停止操作の検出及び内部抽選手段により決定された内部抽選の結果に基づいて、回転中のリールを停止させるリール停止制御を行うリール制御手段と、複数のリールが停止した状態で、役ごとに予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて、役が入賞したと判定する入賞判定手段と、を有するスロットマシンにも、本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0141】
1 パチンコ機(遊技機)
210 画像制御手段
221 第1フレームバッファ(第1格納領域)
222 第2フレームバッファ(第1格納領域)
223 合成用バッファ(第2格納領域)
400 演出表示装置(表示装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7