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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/213 20210101AFI20230911BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20230911BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20230911BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20230911BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20230911BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20230911BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20230911BHJP
【FI】
H01M50/213
H01M50/291
H01M50/342 101
H01M50/35 201
H01M50/367
H01M50/503
H01M50/548 201
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019064968
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020166991
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】322003798
【氏名又は名称】パナソニックエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 真介
(72)【発明者】
【氏名】松田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】秀毛 武司
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/130259(WO,A1)
【文献】特開2012-049038(JP,A)
【文献】特開2009-211907(JP,A)
【文献】実開平07-026224(JP,U)
【文献】特開2014-197452(JP,A)
【文献】特開2003-331803(JP,A)
【文献】特開2014-135247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204 - 216
H01M 50/289 - 293
H01M 50/342 - 367
H01M 50/502 - 526
H01M 50/548
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延長された端面にそれぞれ正極と負極の電極端子を設けてなる複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを長手方向に互いに平行な姿勢とし、かつ各電池セルの両端に設けられた電極端子を同一面状に配置する姿勢で保持する電池ホルダと、
隣接する電池セルの電極端子同士を接続するリード板と、
前記電池ホルダの、前記リード板を設けた面を覆うセル被覆部と、
を備える電池パックであって、
前記電池ホルダは、前記セル被覆部と対向する面において、該セル被覆部に向かって当接するように突出する隙間閉塞壁を有し、
前記電池ホルダは、該電池ホルダで保持する電池セルが前記リード板と面する部位を開口させる開口部を有すると共に、該開口部に格子状の交差部を設けており、
前記交差部の上面を部分的に突出させて、前記隙間閉塞壁を形成しており、
前記複数の電池セルは、それぞれ正極側に安全弁を設けており、
前記複数の電池セルの一が、その正極側を他の電池セルと隣接している部位において、該電池セル同士の間に前記隙間閉塞壁を配置してなる電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載される電池パックであって、
前記隙間閉塞壁が、前記リード板で接続された隣接する電池セル同士の間に介在されてなる電池パック。
【請求項3】
請求項1又は2に記載される電池パックであって、
前記隙間閉塞壁が、前記リード板を介して前記セル被覆部に当接されてなる電池パック。
【請求項4】
請求項1又は2に記載される電池パックであって、
前記リード板が、スリットを形成しており、
前記隙間閉塞壁が、前記スリットに配置されるよう構成されてなる電池パック。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載される電池パックであって、
前記リード板が、外形を矩形状に形成されてなる電池パック。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載される電池パックであって、
前記複数の電池セルが、正極同士が隣接されている部位において、該電池セル同士の間に前記隙間閉塞壁を配置してなる電池パック。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載される電池パックであって、
前記電池ホルダは、
前記複数の電池セルの中間を保持する中間保持部と、
前記複数の電池セルの端部を保持する端部保持部と
を備えてなる電池パック。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載される電池パックであって、
前記複数の電池セルは、外形が円筒形である電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池セルを収納した電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源や省エネルギーの観点から、繰り返し使用できるニッケル水素、ニッケルカドミウムやリチウムイオンなどの二次電池への需要が高まっている。中でもリチウムイオン二次電池は、軽量でありながら、起電力が高く、高エネルギー密度であるという特徴を有している。このため、携帯電話やデジタルカメラ、ビデオカメラ、ノート型パソコンなどの様々な種類の携帯型電子機器や移動体通信機器の駆動用電源としての需要が拡大している。
【0003】
一方、小型化とともに高エネルギー密度化が進むに伴って、利用の仕方によっては高温に発熱するなどのおそれがある。このため、電池や電池パックにおける安全性がより重要となっている。
【0004】
例えば、上述のような電池は、過充電や過放電されたり、あるいは内部短絡や外部短絡されたりすると内部でガスが発生する場合がある。そして、このようにして発生したガスは、電池の内圧を上昇させる。このような状況が発生すると、内圧上昇で外装缶が破裂するなどの可能性があった。このような破裂を防止するため、これら電池においては、ガス抜きのための排気孔や安全弁などが設けられている。
【0005】
また、このような電池を筐体内に収納した電池パックにおいても、安全性の向上を図るために、このガスを筐体外部へと放出させる構造が提案されている。さらに、このようなガスが発生する状態で、例えば過熱した電池などの影響により、電池パック内において、発煙や発火などを引き起こすおそれもあった。
【0006】
電池から噴出される高温のガスや炎等の噴出体による電池パック外部への影響を抑制しながら、複数の電池の類焼を有効に防止する電池パックが提案されている(例えば特許文献1)。この電池パックは、図9に示すように、筒状で有底の外装缶11の開口部を封口板で閉塞してなる複数の電池セル1と、複数の電池セル1を互いに平行な姿勢とし、かつ各電池セル1の両端に設けられた電極端子を同一面に配置する姿勢で保持する電池ホルダ2と、複数の電池セル1を電池ホルダ2で保持してなる電池組立10を収納する外装ケース4とを備えている。電池ホルダ2は、複数の電池セル1の端部を外装缶11の外周面に沿って保持する保持部6と、保持部6で保持された複数の電池セル1の端面側を被覆する被覆部7とを備えており、電池セル1の異常時において、電池セル1の端面から噴出される噴出体のエネルギーで被覆部7を変質するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】再公表2017-130259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、隣接する電池セル間においては、例えば一方の電池セルから高温のガスが排出されると、この電池セルと電極面を同一平面状として隣接する他の電池セルの電極面にガスが晒されることとなって、加熱されて類焼する可能性があった。
【0009】
本発明の一は、電池セルから噴出される高温のガスや発火時の炎等の噴出体により、他の電池セルに悪影響を与える事態を抑制できる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態に係る電池パックは、長手方向に延長された端面にそれぞれ正極と負極の電極端子を設けてなる複数の電池セルと、前記複数の電池セルを長手方向に互いに平行な姿勢とし、かつ各電池セルの両端に設けられた電極端子を同一面状に配置する姿勢で保持する電池ホルダと、隣接する電池セルの電極端子同士を接続するリード板と、前記電池ホルダの、前記リード板を設けた面を覆うセル被覆部とを備える。前記電池ホルダは、前記セル被覆部と対向する面において、該セル被覆部に向かって当接するように突出する隙間閉塞壁を有し、前記電池ホルダは、該電池ホルダで保持する電池セルが前記リード板と面する部位を開口させる開口部を有すると共に、該開口部に格子状の交差部を設けており、前記交差部の上面を部分的に突出させて、前記隙間閉塞壁を形成しており、前記複数の電池セルは、それぞれ正極側に安全弁を設けており、前記複数の電池セルの一が、その正極側を他の電池セルと隣接している部位において、該電池セル同士の間に前記隙間閉塞壁を配置している。
【発明の効果】
【0011】
以上の電池パックによれば、隣接する電池セル同士の間に隙間閉塞壁を設けることで、一方の電池セルから高温のガスが排出される状態となっても、このガスが隣接する他方の電池セルの端面側に流れ込むことを隙間閉塞壁でもって阻止して、類焼を抑制して安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る電池パックを示す斜視図である。
図2図1の電池パックの分解斜視図である。
図3図2の電池パックの更なる分解斜視図である。
図4図1の電池パックのIV-IV線における垂直断面図である。
図5図4の電池パックの要部拡大図である。
図6】比較例に係る電池パックの要部拡大図である。
図7】実施形態2に係る電池パックの分解斜視図である。
図8図7の電池パックの要部拡大垂直断面図である。
図9】従来の電池パックを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のある態様の電池パックは、上述の構成に加えて、以下のように構成してもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る電池パックは、前記隙間閉塞壁が、前記リード板で接続された隣接する電池セル同士の間に介在されている。
【0015】
また、本発明の他の実施形態に係る電池パックは、前記隙間閉塞壁が、前記リード板を介して前記セル被覆部に当接されている。上記構成により、電池セル同士をリード板で電気的に接続しながら、隙間閉塞壁を配置することで一方の電池セルから高温のガスが排出される状態となっても、他方の電池セルに流れ込む事態を抑制できる。
【0016】
さらに、本発明の他の実施形態に係る電池パックは、前記リード板が、スリットを形成している。前記隙間閉塞壁は、前記スリットに配置されている。上記構成により、スリットの間に隙間閉塞壁を通すように配置することで、リード板を介在させずに隙間閉塞壁を直接セル被覆部に当接させることが可能となる。
【0017】
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る電池パックは、前記リード板が、外形を矩形状に形成されている。
【0018】
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る電池パックによれば、前記複数の電池セルは、それぞれ正極側に安全弁を設けている。前記複数の電池セルの一が、その正極側を他の電池セルと隣接している部位において、該電池セル同士の間に前記隙間閉塞壁を配置している。上記構成により、安全弁を設けた正極側に、他の電池セルとの間に隙間閉塞壁を設けることで、万一安全弁が開放されても、安全弁から排出された高温のガスが隣接する電池セルに流れ込む事態を隙間閉塞壁で抑制でき、安全性が高められる。
【0019】
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る電池パックによれば、前記複数の電池セルが、正極同士が隣接されている部位において、該電池セル同士の間に前記隙間閉塞壁を配置している。上記構成により、安全弁を設けた正極同士が隣接する電池セル同士の間に隙間閉塞壁を設けることで、万一いずれか一方の安全弁が開放されても、安全弁から排出された高温のガスが隣接する電池セルに流れ込んで封口板の接合箇所を加熱する事態を避けることができ、安全性が向上される。
【0020】
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る電池パックによれば、前記電池ホルダは、該電池ホルダで保持する電池セルが前記リード板と面する部位を開口させると共に、該開口部に格子状の区画壁を設けている。前記区画壁の上面を部分的に突出させて、前記隙間閉塞壁を形成している。上記構成により、区画壁で電池ホルダの開口部を補強すると共に、この区画壁の上面を部分的に突出させて隙間閉塞壁を形成することで、熱暴走時の安全対策のための構造にも利用して構成を簡素化できる利点が得られる。
【0021】
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る電池パックによれば、前記電池ホルダは、前記複数の電池セルの中間を保持する中間保持部と、前記複数の電池セルの端部を保持する端部保持部とを備えている。
【0022】
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る電池パックによれば、前記複数の電池セルは、外形が円筒形である。
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための電池パックを例示するものであって、本発明は電池パックを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一若しくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0024】
本発明の電池パックは、主として動力用の電源として使用される。この電池パックは、例えば、電動クリーナー、電動工具、電動アシスト自転車、電動バイク、電動車椅子、電動三輪車、電動カート等のモータで駆動される電動機器の電源として使用される。ただし、本発明は電池パックの用途を特定するものではなく、電動機器以外の電気機器、例えば無線機、照明装置等の屋内外で使用される種々の電気機器用の電源、移動手段の動力及び補助電源として使用することもできる。
[実施形態1]
【0025】
本発明の実施形態1に係る電池パックを、図1図5に示す。これらの図において、図1は実施形態1に係る電池パック100を示す斜視図、図2図1の電池パック100の分解斜視図、図3図2の電池パック100の更なる分解斜視図、図4図1の電池パック100のIV-IV線における垂直断面図、図5図4の電池パック100の要部拡大図を、それぞれ示している。これらの図に示す電池パック100は、複数の電池セル1と、電池ホルダ2と、リード板50と、セル被覆部7を備える。複数の電池セル1は、長手方向に延長された端面にそれぞれ正極と負極の電極端子13を設けている。電池ホルダ2は、複数の電池セル1を長手方向に互いに平行な姿勢とし、かつ各電池セル1の両端に設けられた電極端子13を同一面状に配置する姿勢で保持している。リード板50は、隣接する電池セル1の電極端子13同士を接続している。セル被覆部7は、電池ホルダ2の、リード板50を設けた面を被覆する。
(電池セル1)
【0026】
電池セル1は、筒状で有底の外装缶11に電極体を収納すると共に、電解液を充填して外装缶11の開口部を封口板3で閉塞している。電池セル1は、両端面である外装缶11の底面と、封口板3の中央部に設けた凸部電極とを正負の電極端子13としている。電池セル1は、充放電できるリチウムイオン二次電池である。ただ、電池セルは、リチウムイオン二次電池に限定されず、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の充放電できる電池であってもよい。さらに、本実施例の電池パックでは、外形を円筒状とする円筒形電池が使用されているが、これに限定されず、外形を矩形状とした角形電池や扁平形電池を使用することもできる。
(電池ホルダ2)
【0027】
図2図5に示す電池ホルダ2は、複数の電池セル1を互いに平行な姿勢とし、かつ各電池セル1の両端に設けられた電極端子13を同一面に配置する姿勢で定位置に保持する。図3に示す電池ホルダ2は、電池セル1の中間を保持する中間保持部8と、電池セル1の端部を外装缶11の外周面に沿って保持する端部保持部6を有する。中間保持部8は、電池セル1を挿入する挿入筒を複数形成している。ここでは中間保持部8の上下を、それぞれ端部保持部6で挟み込む構成としている。ただ、本発明はこの構成に限らず、例えば下方の端部保持部を中間保持部と一体化して、中間保持部の上面のみを端部保持部で覆う構成としてもよい。
【0028】
さらに、この端部保持部6に保持された電池セル1の端面側を、セル被覆部7で被覆している。特に図3の例では、これら端部保持部6とセル被覆部7とでホルダユニット2Aを構成し、複数の電池セル1の両端部を一対のホルダユニット2Aで保持している。また一対のホルダユニット2Aは、同じ構造のものを上下左右を反転させることで、複数の電池セル1を多直列多並列に接続できるようにしてもよい。
(端部保持部6)
【0029】
端部保持部6は、図2図5に示すように、複数の電池セル1の端部をそれぞれ保持する端面プレート部21を備えている。各端面プレート部21は、複数の電池セル1の両端に位置して、端面プレート部21同士が互いに平行な姿勢に配置されている。また端面プレート部21は、図3に示すように、電極端子13が表出される開口部22を開口している。この開口部22は、電池セル1の外周面に沿う形状であって、好ましくは電池セル1の外周面に接近又は接触して、電池セル1の外周面との間を隙間なく連結できる構造としている。この端面プレート部21は、内側面から開口部22に電池セル1の端部を挿入する状態で、反対側である外側面の開口部から電極端子13を表出させている。さらに、開口部22は、電極端子13を表出させる側の内形を部分的に外装缶11の外形よりも小さくして、電池セル1の通過を阻止するストッパ部24を形成している。これにより、開口部22に挿入される電池セル1の端部を端面プレート部21に貫通させることなく、開口部22の定位置に停止できるようにしている。
【0030】
さらに、図3に示す端部保持部6は、複数の電池セル1の端面が配置される外側面に、開口部22から表出する電極端子13に接続されるリード板50を配置する凹部23を形成している。図に示す端部保持部6は、端面プレート部21の外側面に複数の凹部23を形成すると共に、隣接する凹部23の境界部分には絶縁壁25を設けている。この絶縁壁25は、隣接して配置されるリード板50同士を絶縁すると共に、異常が発生した電池セル1の端面から噴出される噴出体が隣接する凹部23に伝わるのを遮断して、隣接する凹部23間での類焼を抑制できる。
【0031】
さらに端部保持部6は、凹部23内に開口される複数の開口部22の間に位置して、すなわち凹部23に配置されるリード板50で接続される電池セル1の間に位置して、凹部23の底面から突出する区画壁26を備えている。図3に示す端部保持部6は、端面プレート部21に形成された3つの凹部23のうち、4本の電池セル1の端面が配置される凹部23の中央部に、十字状に交差する交差部27を有する区画壁26を形成し、2本の電池セル1の端面が配置される凹部23の中央部には、直線状の区画壁26を形成している。区画壁26の高さは、凹部23の深さよりも低く形成している。これらの区画壁26は、異常が発生した電池セル1の端面から噴出される噴出体が隣接する電池セル1の端面に伝わるのを遮断して、隣接する電池セル1間における類焼を抑制できる。
【0032】
図2図3に示す端部保持部6は、1つの開口部22に2本または4本の電池セル1の端面を配置しているが、端部保持部6は、1つの開口部22に配置される電池セル1の本数を特定しない。端部保持部6は、保持する電池セル1の本数やその接続状態によって、1つの開口部22に配置される電池セル1の本数を種々に変更できる、例えば、1つの開口部に6本の電池セルの端面を配置することもできる。このような開口部においては、複数の交差部を備える区画壁を形成して開口部を6つの領域に区画することができる。
(セル被覆部7)
【0033】
セル被覆部7は、端部保持部6に保持された複数の電池セル1の端面側を被覆している。このセル被覆部7は、各電池セル1の端面と対向する被覆領域32を有している。図1図3に示すセル被覆部7は、端面プレート部21に積層して固定される閉塞プレート31を備えている。閉塞プレート31は、各電池セル1の端面と対向する被覆領域32を中央部に備えている。また閉塞プレート31は、被覆領域32の表面側に形成凹部35を設けており、閉塞プレート31の表面から一段下がった面を被覆領域32としている。この構造は、形成凹部35の深さを調整することで、被覆領域32の厚さを簡単に調整できる。この例では閉塞プレート31は、端面プレート部21の外形とほぼ等しい外形として、外周縁部を端面プレート部21に固定している。さらに閉塞プレート31は、外周縁部を貫通する複数の止ネジ39を介して端面プレート部21に固定している。この構造は、閉塞プレート31を端面プレート部21に強固に固定できるので、電池セル1の異常により瞬間的に電池セル1から多量のガスが噴射される際の風圧等により閉塞プレート31が端面プレート部21から剥がれるのを有効に防止できる。ただ、閉塞プレート31は、係止構造や接着等により、あるいはこれ等を組み合わせて端面プレート部21に固定することもできる。
【0034】
閉塞プレート31は、図3に示すように、端部保持部6との対向面に、凹部23に嵌合する嵌合凸部33を形成してもよい。嵌合凸部33は、端面プレート部21に形成された凹部23の内形とほぼ等しい外形を有しており、端面プレート部21を閉塞プレート31で閉塞する状態で、閉塞プレート31の嵌合凸部33を凹部23に嵌合させて、閉塞プレート31と端部保持部6とを隙間なく連結できるようにしている。この構造は、異常が発生した電池セル1の端面から噴出される噴出体が端部保持部6とセル被覆部7の境界から外部に漏れるのを抑制できる。
【0035】
さらに、図3に示す閉塞プレート31は、嵌合凸部33の表面であって、電池セル1の端面と対向する位置にリング状の凸条34を設けている。リング状の凸条34は円形状であって、端面プレート部21の開口部22に設けたストッパ部24の内形に沿う外形としている。この閉塞プレート31は、ストッパ部24の内面にリング状の凸条34を隙間なく連結させて、この部分から電池セル1の端面から噴出される噴出体が外部に漏れるのを抑制できる。
【0036】
以上の電池ホルダ2は、端面プレート部21の凹部23において、開口部22から表出する電池セル1の電極端子13にリード板50を接続すると共に、端面プレート部21の外側面に閉塞プレート31が積層されて固定される。この状態でリード板50は端面プレート部21と閉塞プレート31との間に挟着されて、電池ホルダ2に封止される。
【0037】
電池ホルダ2は、絶縁材料である熱可塑性樹脂等の樹脂によって成形されている。また電池ホルダ2は、絶縁材料である熱硬化性樹脂でも良く、好ましくは難燃性に優れた樹脂製とすることができる。このような樹脂として、例えば、PC(ポリカーボネート)やPP(ポリプロピレン)が使用できる。電池ホルダ2は、端部保持部6と中間保持部8を同じ樹脂で成形している。またセル被覆部7も同じ樹脂で形成してもよい。またセル被覆部7を電池ホルダ2の一部としてもよい。樹脂製の電池ホルダ2は、中間保持部8や端部保持部6、セル被覆部7をそれぞれ別部材として成形することも、これらの一部を一体成形することもできる。また中間保持部8を別部材として成形する場合、ウレタン系樹脂で成形しても良い。
【0038】
樹脂製のセル被覆部7は、電池セル1の端面と対向する被覆領域32の厚さを調整して、電池セル1から噴出される噴出体のエネルギーの消費状態を調整する。セル被覆部7は、被覆領域32を厚くすることで、炎による延焼が電池ホルダ2に及ぶのを有効に防止できる。また、セル被覆部7は、被覆領域32を薄くすることで、炎のエネルギーで変質しやすくして隣接する電池セル1への類焼を抑制できる。したがって、セル被覆部7は、これ等のことを考慮して最適な厚さに設計される。セル被覆部7は、例えば、使用される電池セル1の種類や容量、セル被覆部7に使用される樹脂の材質等により最適な厚さに設計される。セル被覆部7は、例えば、電池セル1として容量を4Ahとするリチウムイオン二次電池を使用し、セル被覆部7をポリカーボネートで成形する場合、被覆領域32の厚さを0.5~3.0mmとして効率よく噴出体のエネルギーを低減できる。
【0039】
ただ、電池ホルダは、端部保持部を樹脂製として、セル被覆部を金属製とすることもできる。金属製のセル被覆部は、所定の厚さの金属板とすることができる。このような金属板として、鉄、アルミニウム、銅等が使用できる。金属板からなるセル被覆部は、表面に絶縁塗料を塗布して絶縁することができる。金属板からなるセル被覆部も、電池セルから噴出される噴出体のエネルギーで溶融され、あるいは変形される厚さとする。
【0040】
以上の電池ホルダ2は、各ホルダユニット2Aの端部保持部6で電池セル1の端部を保持する状態、すなわち、対向する端面プレート部21に設けた開口部22に電池セル1の両端部を挿入する状態で一対のホルダユニット2Aを連結して、電池セル1を定位置に保持している。一対のホルダユニット2Aは、一方の端面プレート部21の端部に設けた第1ボス28に連結ネジ38を挿通すると共に、他方の端面プレート部21の端部に設けた第2ボス29に連結ネジ38をねじ込むことで連結して固定される。ただ、一対のホルダユニットは、係止構造で連結し、あるいは接着して連結し、あるいはこれ等を組み合わせて連結することもできる。
【0041】
以上の電池ホルダ2の端部保持部6は、電池セル1の端部を挿入して保持するために、端面プレート部21に複数の開口部22を開口して設けている。この電池ホルダ2は、一対のホルダユニット2Aで複数の電池セル1の両端部を保持して定位置に配置する。この電池ホルダ2は、各電池セル1の中間部分を被覆することなく表出させる状態で定位置に保持する。この電池ホルダ2は、簡単な構造として軽量にできる。
(リード板50)
【0042】
リード板50は、端部保持部6に形成された凹部23に配置されて、複数の電池セル1の電極端子13に接続される。リード板50は、電池セル1の電極端子13にスポット溶接やレーザ溶接等の方法で溶接して接続される。リード板50には、電気導電および熱伝導のよい材質が使用され、表面をニッケル等のメッキをした鉄板、ニッケル板、銅板、アルミニウム板等の金属板が好適に使用できる。電池ホルダ2は、各ホルダユニット2Aの端面プレート部21に、各々3枚のリード板50を配置して、電池セル1の電極端子13に接続している。
(連結部52)
【0043】
図2図3に示すリード板50は、多段多列に配置される複数の電池セル1を直列と並列に接続している。このリード板50は、複数の電池セル1を直列と並列に接続するために、電池セル1の電極端子13に接続される複数の接続部51と、複数の接続部51を連結してなる連結部52とを備えている。リード板50は、2段2列に配置された4本の電池セル1を2直列2並列に接続するリード板50Aと、互いに直列に接続される複数の電池セル1の両端に接続されて、2本の電池セル1を並列に接続するリード板50Bとを備えている。
【0044】
リード板50Aは、2段2列に配置された4本の電池セル1の電極端子13に対向して配置される4個の接続部51を備えており、これらの接続部51を隣接する接続部51の間に設けた4つの連結部52で連結している。また、リード板50Bは、2本の電池セル1の電極端子13に対向して配置される2個の接続部51を備えており、これらの接続部51を隣接する接続部51の間に設けた連結部52で連結している。さらに、リード板50Bは、出力用の出力リード部55を備えている。リード板50Bに設けた出力リード部55は、端部保持部6とセル被覆部7の間から外部に引き出されている。
(溝部53)
【0045】
さらに、リード板50は、凹部23に形成される区画壁26を案内するために、接続部51の間に設けた連結部52を溝状に折曲して溝部53を形成している。リード板50Bは、2つの接続部51の間に直線状の溝部53を形成しており、この溝部53に区画壁26を案内できるようにしている。リード板50Aは、4つの接続部51の間に4つの溝部53を形成しており、これらの溝部53を十字状に交差する方向に形成して、十字状に交差する区画壁26を案内できるようにしている。さらに、リード板50Aは、交差する区画壁26の交差部27と対向する位置に貫通孔54を開口している。このリード板50Aは、交差部27と対向する位置に貫通孔54を開口することで、複数の溝部53を十字状に交差する方向に簡単に形成できる。上記のリード板50は、接続部51の間に設けた溝部53を区画壁26に配置することで、リード板50の連結部52を区画壁26に沿って配置しながら、複数の接続部51を電池セル1の電極端子13に接近させて確実に電気接続できる。また、溝部53を区画壁26に案内することで、リード板50を定位置に位置決めできる特徴もある。
【0046】
図2図3に示すリード板50Aは2段2列に配置された4本の電池セル1の電極端子13を接続するが、リード板は、多直列多並列に配置する電池の本数を限定しない。リード板は、3段2列に配置された6本の電池セルを接続することも、4段2列に配置された8本の電池セルを接続することもできる。
(電池組立10)
【0047】
図1図5に示す電池ホルダ2は、複数の電池セル1を端部保持部6で定位置に保持し、端部保持部6に設けた凹部23に配置される複数の電池セル1の電極端子13をリード板50で接続し、さらに、端部保持部6の表面に閉塞プレート31を固定して、電池セル1の端面側をセル被覆部7で被覆して電池組立10としている。
【0048】
図2図5に示す電池組立10は、複数の電池セル1を平行な姿勢として、多段多列に並べて電池ホルダ2で定位置に配置している。本実施例の電池パック100は、10本の電池セル1を2段5列に並べており、これ等の電池セル1を5直列2並列に電気接続している。ただ、本発明は、収納する電池セル1の本数を特定せず、また、多段多列に配列する構造にも特定しない。
【0049】
なお図1図5に示す電池パック100は、従来のような電池ホルダと外装ケースの二重構造とせず、電池ホルダそのものを外装ケースに兼用している。これにより、一層の小型軽量化とコスト削減とが図られる。ただ本発明は、電池セルの意図しない延焼を回避することを目的とするものであり、上述した電池ホルダと外装ケースの一体構造に限らず、電池ホルダの外部に別途外装ケースを設ける二重構造としてもよいことはいうまでもない。
(排気穴)
【0050】
電池セル1は、凸部電極を設けた封口板3に排気穴を設けて、この排気穴に安全弁を設けている。この電池セル1は、過充電や内部短絡等により電池セルの内圧が仮に異常に上昇することがあっても、安全弁を開弁して内部のガスを排気穴から排気することで、安全性を高めている。このような安全弁は、一般に電池セルの正極側に設けている。
【0051】
一方で、いずれかの電池セルから万一、高圧のガスや炎等の噴出体が放出されることがあると、噴出体の高温によって他の電池セルに悪影響を与えることが懸念される。噴出体の放出時間は比較的短時間であり、また放出された噴出体は距離の二乗に反比例して圧力や温度は低減されるものの、図6の断面図に示すように隣接する電池セル1においては、比較的距離が短いことから、矢印で示すように噴出体が流入して、噴出体の高温や高圧に直接晒される懸念がある。特に円筒形の電池セルの場合は、外装缶11の開口部に絶縁性樹脂を介して封口板3をかしめて固定しているため、急激に加熱されるとかしめの接合部分である絶縁性樹脂に悪影響を与えることが懸念される。
(隙間閉塞壁26A)
【0052】
そこで本実施形態においては、何れか一の電池セルから噴出体が排出されることがあっても、隣接する電池セルへの影響を抑制するよう、隙間閉塞壁26Aを設けている。図4図5の断面図に示すように、電池ホルダ2は、セル被覆部7と対向する面において、セル被覆部7に向かって当接するように突出する隙間閉塞壁26Aを形成している。これにより、隣接する電池セル1同士の間に隙間閉塞壁26Aを設けることで、図5の拡大断面図に示すように、右側の電池セル1Aから高温の噴出体が排出される状態となっても、左側の電池セル1Bに噴出体が移動する事態を隙間閉塞壁26Aで阻むことができる。この隙間閉塞壁26Aは、リード板50で接続された隣接する電池セル1同士の間に介在させている。また隙間閉塞壁26Aは、区画壁26の上面から突出させている。このため区画壁26の上面は同一平面でなく、隙間閉塞壁26Aを設けた区画壁26の上面のみが高くなっている。なお隙間閉塞壁26Aは、セル被覆部7と完全に密着させることを要さず、噴出体を堰き止められる程度に保持されていれば足りる。すなわち、気密に閉塞されていることを要しない。
【0053】
また上述の通り電池セル1は、正極側に安全弁を設けている。よって、噴出体が放出されることがあるのは正極側となる。そこで、電池セルの正極側が他の電池セルと隣接している部位に、隙間閉塞壁26Aをこれら電池セル1同士の間に介在させるように配置している。このように、安全弁を設けた正極側に隙間閉塞壁26Aを設けることで、万一安全弁が開放されても、安全弁から排出された高温の噴出体が隣接する電池セルに流れ込む事態を隙間閉塞壁26Aで抑制でき、安全性が高められる。
【0054】
言い換えると、負極と隣接する電池セル同士の間には、隙間閉塞壁を設けない構成としてもよい。一般に負極側には安全弁がないため、ここから高圧の噴出体が漏れる事態が想定されないこと、及び一般に負極側では一体の金属板で外装缶が形成されており、封口板等の別部材をかしめることがないため、保護すべき接合部分が存在しないからである。図2に示す電池パック100では、正極同士が隣接する間にのみ、隙間閉塞壁26Aを設けている。このような構成とすることで、正極側から高圧ガス等の噴出体が排出されることがあっても、排出する側として捉えた場合に、隣接する電池セルの正極側に噴出体が流れ込むことを防ぎ、また排出を受ける側として捉えた場合に、噴出体に晒される事態を回避して、封口板3の接合部分を保護することができる利点が得られる。
【0055】
また上述の通り電池ホルダ2は、この電池ホルダ2で保持する電池セル1がリード板50と面する部位を開口させると共に、この開口部に格子状の区画壁26を設けている。この区画壁26の上面に隙間閉塞壁26Aを設けたことで、区画壁26で電池ホルダ2の開口部を補強すると共に、この区画壁26の上面を部分的に突出させて隙間閉塞壁26Aを形成したことで、熱暴走時の安全対策のための構造にも利用して構成を共通化、簡素化できる利点も得られる。
【0056】
以上の通り端部保持部6は、区画壁26の上面に、部分的に隙間閉塞壁26Aを突出させている。これに応じて、リード板50は、区画壁26の上面と合致するように連結部52を凸状に折曲している。すなわち、リード板50の連結部52は、区画壁26の上面形状と対応させて、隙間閉塞壁26Aを設けた部分では連結部52をより高く、それ以外の部分では低くなるように、折曲させている。
【0057】
ただ、この構成ではリード板の配置姿勢に方向性が生じる。例えば図2に示すように、正極が上向きの電池セルが2本、負極が上向きの電池セルが2本の、計4本の電池セルを隣接させた状態で、これら4本の電池セル1を接続するリード板50において生じる、4つの電池セル同士の間の内、一のみに隙間閉塞壁26Aが設けられている構成において、電池セル1にリード板50を接合する際の、リード板50の姿勢を考える。この場合、矩形状のリード板を4本の電池セル上に配置する姿勢として、回転方向に4つの姿勢があり得る。この内、一の姿勢のみが、隙間閉塞壁26Aと高い連結部52Aとを一致させた正しい姿勢となり、他の姿勢では正しくリード板を固定できなくなる。このため、電池パックの組立時にリード板が正しい姿勢となるように調整しなければならない。そこで図2の例では、リード板50の連結部52を、一方向(図において縦方向)においては高くした連結部52A、これと交差する方向(図において横方向)においては低くした連結部52Bとしている。いいかえると、4つの連結部52の内、2つの連結部52Aを高くし、かつこれらを一直線上に配置している。このリード板50であれば、2つの姿勢で電池セルと正しく接合できるため、組立時のミスを低減できる利点が得られる。またこの場合、負極同士の間に位置する区画壁26の上面が、リード板50の連結部52Aとの間に隙間が生じることとなるが、元々、区画壁26の上面とセル被覆部7との間に隙間が形成されている構成であり、また負極板同士が隣接する部位においては、熱暴走時に噴出体が排出される事態が想定されないため、問題とならない。
【0058】
以上のように、電池セル1同士をリード板50で電気的に接続しつつも、隙間閉塞壁26Aを配置することで、一方の電池セルから高温の噴出体が排出される状態となっても、他方の電池セルに流れ込む事態を抑制できる。
[実施形態2]
【0059】
以上の例では、隙間閉塞壁26Aが、リード板50を介してセル被覆部7に当接されるように構成した例を説明した。ただ本発明はこの構成に限らず、隙間閉塞壁をセル被覆部と直接当接させるように構成してもよい。このような例を実施形態2に係る電池パック200として、図7図8に示す。これらの図において、図7は実施形態2に係る電池パック200の分解斜視図、図8はこの電池パック200の要部拡大垂直断面図を、それぞれ示している。なお、これらの図に示す電池パック200において、上述した実施形態1と同様の部材については同じ符号を付して、詳細説明を適宜省略する。
(スリット56)
【0060】
図7に示すリード板50は、スリット56を形成している。そしてこのスリット56が隙間閉塞壁26Aに配置される姿勢として、リード板50を電池セル1に固定している。このように、スリット56の間に隙間閉塞壁26Aを通すように配置することで、図8の断面図に示すように、リード板50を介在させずに隙間閉塞壁26Aを直接セル被覆部7に当接させることが可能となる。図7に示すように、リード板50の接続部51は、スリット56を設けた部分では電気的に接続されないものの、隙間閉塞壁26Aを設けていない区画壁26の上面を連結部52で連結することで、4つの接続部51は電気的に接続されており、4本の電池セル1同士は同電位に維持される。
【0061】
以上のように、隣接する電池セル1同士の間に隙間閉塞壁26Aを設けたことで、万一一の電池セルから高温のガスが排出される状態となっても、隣接する他方の電池セルの端面側への流入を阻むことで類焼のリスクを低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る電池パックは、電池セルの異常時に電池セルの端面から噴出される噴出体による延焼や類焼を抑制して安全性を高めた電池パックとして、電動工具、電動アシスト自転車、電動バイク、電動三輪車、電動カート、クリーナー、電動ブロワーなどの電源として、さらには家庭や店舗などでの蓄電用として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0063】
100、200…電池パック
1、1A、1B…電池セル
2…電池ホルダ
2A…ホルダユニット
3…封口板
6…端部保持部
7…セル被覆部
8…中間保持部
10…電池組立
11…外装缶
13…電極端子
21…端面プレート部
22…挿入孔
23…凹部
24…ストッパ部
25…絶縁壁
26…区画壁
26A…隙間閉塞壁
27…交差部
28…第1ボス
29…第2ボス
31…閉塞プレート
32…被覆領域
33…嵌合凸部
34…凸条
35…形成凹部
38…連結ネジ
39…止ネジ
50、50A、50B…リード板
51…接続部
52…連結部;52A…高い連結部;52B…低い連結部
53…溝部
54…貫通孔
55…出力リード部
56…スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9