(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
B65D47/08 130
(21)【出願番号】P 2019066347
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100191145
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-011131(JP,A)
【文献】特開2015-209275(JP,A)
【文献】特開2015-067360(JP,A)
【文献】特開平10-338253(JP,A)
【文献】特開2013-071762(JP,A)
【文献】特開2015-127224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体の開口部を閉塞する上蓋とからなるキャップであって、
キャップ本体は、容器の口部に装着される装着部と、装着部から内方に延設される基壁と、基壁から立設される注出筒と、注出筒に連設される中栓とを備え、
中栓は、弱化部を介して注出筒下部内周と連結し、下部から外方に突設したシール突部を有する底壁と、底壁に立設され、第1係合部を有する係合壁とを備え、
上蓋は、頂壁と、頂壁の周縁部に垂設される側周壁と、頂壁の下面から垂設される係合筒と、係合筒の外側に垂設され、注出筒内周に当接するシール筒とを備え、
係合筒の外周側あるいはシール筒の内周側に第2係合部を形成し、
閉蓋状態で中栓が押し上げられて、弱化部が破断され、離脱した中栓の第1係合部と上蓋の第2係合部が係合され、
シール筒外周が注出筒内周に当接する第1シール部を形成するとともに、シール突部が注出筒内周に当接あるいは近接する第2シール部を形成することを特徴とするキャップ。
【請求項2】
第1係合部は、係合壁の上部内周側に設けられ、
第2係合部は、係合筒の下部外周側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
中栓は、中央部に上方に突設するボス部を備え、
ボス部は、閉蓋状態で上蓋に係合する際に、係合筒の内周に当接することを特徴とする請求項1または2に記載のキャップ。
【請求項4】
中栓は、底壁の下面に凹部を形成し、
凹部は、内方に広がる傾斜を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のキャップ。
【請求項5】
注出筒の下部に
、係合した中栓より下方になるように段部が突設されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のキャップ。
【請求項6】
上蓋は、ヒンジを介してキャップ本体に連設されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のキャップ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に装着されるキャップに関し、上蓋に移行する中栓を有し、シール性が改善されたキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器の口部に装着されるキャップ本体と、ヒンジを介してキャップ本体に連設される上蓋とを備えるヒンジキャップにおいて、容器の密閉性を確保するために、キャップ本体の開口予定部にプルリングなどを形成した除去部を有する隔壁を設けていた。
しかし、除去部を開口するために、上蓋を開けた後、プルリングなどを引っ張って除去部を除去する抜栓作業が必要となり、面倒であるとともに力の弱い利用者にとっては抜栓に苦労するという問題があった。
【0003】
そこで、プルリングによって引っ張って除去する除去部をなくするために、破断可能な弱化部を介してキャップ本体に一体成形され、注出用ノズル内面と密着可能な外径を有する環状側壁を有し、上蓋に設けられた突出部と係合する中栓を用いたヒンジキャップとすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、注出用ノズル内面と密着する環状側壁を有する中栓で密封するものであるため、消費者が内容液を使用する前に、容器を落下させた際の衝撃で、容器内の内容液が上蓋の内面に付着したり、液が漏れてしまうなど、密閉性において十分でないという問題があった。
また、中栓と注出用ノズル内面との密着を強固にした場合には、開蓋する際に上蓋を強く引き上げなければならなくなり、上蓋と中栓との係合が外れてしまうというリスクを有している。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、シール性が改善され、上蓋と中栓とが強固に係合しても開蓋が容易な中栓を有するキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、キャップとして、容器の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体の開口部を閉塞する上蓋とからなるキャップであって、キャップ本体は、容器の口部に装着される装着部と、装着部から内方に延設される基壁と、基壁から立設される注出筒と、注出筒に連設される中栓とを備え、中栓は、弱化部を介して注出筒下部内周と連結し、下部から外方に突設したシール突部を有する底壁と、底壁に立設され、第1係合部を有する係合壁とを備え、上蓋は、頂壁と、頂壁の周縁部に垂設される側周壁と、頂壁の下面から垂設される係合筒と、係合筒の外側に垂設され、注出筒内周に当接するシール筒とを備え、係合筒の外周側あるいはシール筒の内周側に第2係合部を形成し、閉蓋状態で中栓が押し上げられて、弱化部が破断され、離脱した中栓の第1係合部と上蓋の第2係合部が係合され、シール筒外周が注出筒内周に当接する第1シール部を形成するとともに、シール突部が注出筒内周に当接あるいは近接する第2シール部を形成することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
キャップの具体的実施形態として、第1係合部は、係合壁の上部内周側に設けられ、第2係合部は、係合筒の下部外周側に設けられていることを特徴とする構成、中栓は、中央部に上方に突設するボス部を備え、ボス部は、閉蓋状態で上蓋に係合する際に、係合筒の内周に当接することを特徴とする構成、また、中栓は、底壁の下面に凹部を形成し、凹部は、内方に広がる傾斜を有することを特徴とする構成を採用する。
【0009】
さらなるキャップの具体的実施形態として、注出筒の下部に、係合した中栓より下方になるように段部が突設されていることを特徴とする構成、また、上蓋は、ヒンジを介してキャップ本体に連設されていることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のキャップは、中栓はシール筒と係合筒とで挟み込むように係合され、上蓋から垂設されたシール筒と注出筒による第1シール部を形成するとともに、中栓の底壁の下部に突設して設けられたシール突部により注出筒内面に当接あるいは近接する第2シール部を形成するため、閉蓋中の落下等で内容液による衝撃が生じても第2シール部によって抑制でき、二重のシールにより密閉性を改善することができる。
また、上蓋のシール筒による第1シール部と相違し、第2シール部は上蓋とは別体の中栓によるものであるため、開蓋の際に、第1シール部の引きはがしのあとに遅れて第2シール部の引きはがしが始まるため、開蓋が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施例のキャップを、中栓が係合した閉蓋状態で容器に装着した状態を示す図であり、(a)は側面断面図で、(b)は(a)の要部拡大図である。
【
図2】本発明の第1実施例のキャップの製造直後の開蓋状態を示す図で、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
【
図3】本発明の第1実施例のキャップを、中栓が係合していない閉蓋状態を示す図で、(a)は側面断面図で、(b)は底面図である。
【
図4】本発明の第1実施例のキャップにおいて、中栓と上蓋との係合の変形例を示す図で、(a)は側面断面図で、(b)は(a)の要部拡大図である。
【
図5】本発明の第2実施例のキャップを、中栓が係合していない閉蓋状態を示す図で、(a)は側面断面図で、(b)は(a)の要部拡大図である。
【
図6】本発明の第2実施例のキャップを、中栓が係合した閉蓋状態を示す図で、(a)は側面断面図で、(b)は(a)の要部拡大図である。
【
図7】本発明のキャップの中栓について、種々の形状のシール突部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のキャップをヒンジキャップとして具体化した実施例を示した図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1において、Aは容器、Bは容器Aに装着されるキャップ本体、Cはヒンジ、DはヒンジCを介してキャップ本体Bに開閉可能に取り付けられた上蓋である。
容器Aは、上部に口部1を有し、口部1の外周面には、嵌合突条2が設けられている。
【0014】
キャップ本体Bは、
図1~
図6に示すように、容器Aの口部1に装着される装着部3と、装着部3の内縁上端から内方に延設される基壁4と、基壁4に立設される注出筒5とを備えている。
また、注出筒5内には、開口予定部として、弱化部6を介して離脱可能に中栓Eが連設されている。
【0015】
注出筒5は、本実施例では、中心からヒンジCと反対側寄りに設けられ、内容液を注ぎ易くするために、ヒンジCと反対側(注出側)は、ヒンジC側よりも高く形成され、上部がラッパ状に広がり、リップ部5aが形成されている。
【0016】
装着部3は、周縁に係止突条8が設けられ上蓋Dと係合する環状の蓋係合部9と、蓋係合部9の内周側から垂設される内筒10と、蓋係合部9の外周側から垂設される外周壁部11とから構成されている。
外周壁部11は、内周下部には容器Aと係合するための係合突部12が設けられている。
【0017】
外周壁部11のヒンジCの左右いずれかの近傍には、
図2に示すように、外周面に平面視で略V字状の外周切り込み部13が下端部に薄肉底壁を残して上方から切り込まれている。
係合突部12の外周切り込み部13に対応する位置には、図示しないが内周切り込み部が縦方向に刻設され、縦方向引き裂きラインが形成される。
【0018】
外周切り込み部13のヒンジC側では、端面13aの内周側の上部の薄肉部を隔てた位置を起点として円周方向に延びるように、スリット溝15が上方から凹設され、本実施例では、端面13aを起点として、約345°にわたって延びている。
また、縦方向引き裂きラインに隣接するスリット溝15の起点を引き裂き開始点として、スリット溝15の底面16の内周側には、外周壁部11と蓋係合部9間を連結する薄肉連結部17が設けられ、周方向引き裂きラインが円弧状に延びるように形成され、終点の破断不能な連結部まで引き裂き可能となっている。
【0019】
中栓Eは、
図2および
図3に示すように、弱化部6を介して注出筒5の下部内周と連結する底壁20と、底壁20から立設する係合壁21と、中栓Eの中央部において上方に突設するボス部22とからなっている。
係合壁21は、後述する上蓋Dから垂設されるシール筒33の内側に入り込むように立設され、また、係合壁21の内周上部には、後述する上蓋Dから垂設される係合筒32の第2係合部34に、中栓Eが離脱した際に係合する第1係合部23が設けられている。
また、底壁20の下面中央部には凹部24が設けられ、凹部24は、成形の際に弱化部6の破断を防止するために、本実施例では、凹部24は内方に向かって広がる傾斜構造を有している。
本実施例では、成形の際の弱化部6の破断防止のために、凹部24に傾斜を設けるものであるが、凹部24に係合部を設けるものであってもよい。
底壁20の外縁部下端には、外方に突設されるシール突部25が設けられ、中栓Eが離脱して、上蓋Dに移行した際には、
図1に示すように、注出筒5内周と第2シール部bを形成する。
シール突部25は、本実施例では注出筒5内周に当接あるいは近接するように、外面部25aにおいて曲面状の形状を有する突部を形成している。
なお、本実施例では、シール突部25は、底壁20の外縁部下端に設けられているが、底壁20の下部から外方に突設されていればよく、位置は限定されない。
また、シール突部25は、弱化部6を設けた中栓Eの外面部よりも外方へ突出していることが望ましい。
【0020】
上蓋Dは、
図2および
図3に示すように、ヒンジCを介してキャップ本体Bの外周壁部11の外周上端に、回動自在に取着されており、頂壁30と、頂壁30の周縁部から垂設された側周壁31とを備えている。
頂壁30は、下面から係合筒32と、係合筒32の外側にシール筒33とが垂設されている。
シール筒33は、閉蓋したときに、外周がキャップ本体Bの注出筒5の内周に当接して密閉できるように設けられている。
また、係合筒32とシール筒33とは、キャップ本体Bの注出筒5と同様にヒンジCと反対側寄りに設けられている。
【0021】
本実施例では、係合筒32の外周下部に第2係合部34が設けられ、
図3(a)の閉蓋状態から、
図1に示すように、中栓Eが押し上げられて弱化部6が破断され、中栓Eが離脱した後、係合壁21の内周上部の第1係合部23と係合して、中栓Eが上蓋Dに移行するようになっている。
なお、本実施例では、
図1に示すように、第1係合部23を係合壁21の内周側上部に設けて、係合筒32に係合するものであるが、変形例の
図4に示すように、第1係合部123を係合壁21の外周側上部に設けて、シール筒133の内周側下部に設けた第2係合部134に係合しても構わない。
その場合、係合壁21は、シール筒133の内側に入り込むために、底壁20から本実施例より内側に立設されている。
【0022】
図1に示すように、中栓Eが押し上げられて上蓋Dに移行した状態において、シール筒33は、外周で注出筒5内周と密着し、強固な第1シール部aを形成し、また、中栓Eのシール突部25は、注出筒5内周に当接あるいは近接して、比較的弱い第2シール部bを形成する。
なお、シール突部25が注出筒5の内周に近接する場合であっても、落下等で内容液による衝撃が生じた際に、シール突部25を押し上げて注出筒5の内周に当接するため、当接と同様の役割を果たすことができる。
【0023】
側周壁31の下端部は、内周側に、キャップ本体Bの蓋係合部9の内周側と係合する係止凸部37が垂設され、中央に、蓋係合部9の係止突条8と係合して閉蓋状態を維持する係合凹部38が周設されている。
側周壁31のヒンジCと反対側の外周には、周方向に円弧状の把手部39が延設され、把手部39の中央部下面には指掛け部40が設けられている。
【0024】
なお、本実施例のヒンジキャップは、使用前の不正開封を防止するために、図示していないが、キャップ本体Bと上蓋Dとの間にシュリンクラベルや封緘部材等が設けられている。
【0025】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、金型を用いた射出成形によって一体成形で製造される。
なお、中栓Eの底壁20の下面の凹部24に、内方に傾斜が設けられているので、成形の際に、中栓Eの第1係合部23がアンダーカットになっていても、中栓Eが上方に引っ張られるのを防いで、弱化部6の破断を防止することができる。
【0026】
一体成形で製造された本実施例のヒンジキャップは、
図2に示すように、開蓋した状態で得られ、上蓋DをヒンジCを介して回動して、上蓋Dのシール筒33がキャップ本体Bの注出筒5に当接するとともに、キャップ本体Bの蓋係合部9と、上蓋Dの係合凹部38とが嵌合して、
図3の閉蓋状態となる。
ヒンジキャップが閉蓋状態にされた後、押圧治具などによって、キャップ本体Bの下方から中栓Eの底壁20を押し上げ、それによって弱化部6が破断され、中栓Eが離脱して注出筒5内を上方に移動し、係合壁21が上蓋Dのシール筒33の内側に入り込み、係合壁21の第1係合部23が上蓋Dの係合筒32の第2係合部34を容易に乗り越えて係合するとともに、中栓Eのボス部22は係合筒32内に入り込んで当接し、中栓Eの上蓋Dへの移行が完了する。
【0027】
その際、中栓Eの係合壁21外周がシール筒33の内周に当接するため、シール筒33の外周は、注出筒5の内周に強固に当接して第1シール部aを形成するとともに、中栓Eのシール突部25は、注出筒5の内周に当接または近接して第2シール部bを形成する。
次に、中栓Eが上蓋Dに移行したヒンジキャップは、内容液が充填された容器Aに打栓して装着される。
【0028】
本実施例のヒンジキャップは、強固にシールされる第1シール部aと、比較的弱くシールされる第2シール部bとが形成され、二重にシールされているので、落下等で内容液による衝撃が生じても第2シール部bで衝撃が抑制されるとともに、第2シール部bに内容液が侵入しても、第1シール部aとの間に空間を有するため、内容液がとどめられ、第1シール部aから内容液が漏れるのを防止し、シール性が改善される。
なお、落下等の衝撃により、上蓋Dに側方から押圧力が加えられても、第2シール部bは、中栓Eが上蓋Dとは別体で構成されており、中栓Eの係合壁21と上蓋Dの係合筒32とが上下方向に可動可能に係合しているので、第2シール部bのシール性に影響を及ぼすことがない。
また、本実施例では、第1シール部aに比べ、第2シール部bは比較的弱くシールされているが、第2シール部bを第1シール部aと同等以上としてもよく、弱化部6が破断され上蓋Dに移行した中栓Eは、上蓋Dとは別体となることから、第2シール部bのシール性の強度を高めることが可能となる。
【0029】
本実施例のヒンジキャップを使用する際には、上蓋Dの指掛け部40に手指を掛け、把手部39を持ち上げると、中栓Eがセットされた上蓋Dが持ち上げられて開蓋状態となり、容器A内の内容液の注出が可能となる。
その際、第2シール部bの中栓Eのシール突部25が注出筒5の内側に当接していても、上蓋Dのシール筒33による第1シール部aの引きはがしのあとに、少し遅れて中栓Eによる少し弱い第2シール部bの引きはがしとなるため、開蓋しづらくなることはなく、容易に開蓋することができる。
また、第1シール部aが上蓋Dのシール筒33により強く密着されている場合に、上蓋Dを強く引っ張り上げても、中栓Eは、比較的弱い第2シール部bだけであるので、中栓Eと上蓋Dとの係合が外れてしまうことはない。
【0030】
内容液の使用後に、上蓋Dをキャップ本体Bに再び閉蓋することで、上蓋Dのシール筒33と注出筒5とで第1シール部aが形成され、同時に中栓Eのシール突部25による第2シール部bが形成され、ヒンジキャップ内を再度密封することができ、繰り返し上蓋Dを開閉して使用することができる。
【0031】
本実施例のヒンジキャップは、容器A内の内容液を全部使用した後、容器Aから分別して廃棄することができる。
その際には、ヒンジキャップを開蓋し、上蓋Dを指で把持して外方に引っ張ると、外周壁部11のヒンジCとの連設部位が引っ張られて変形し、縦方向引き裂きラインが破断され、さらに上蓋Dを引っ張ると、周方向引き裂きラインを形成する薄肉連結部17が破断を始める。薄肉連結部17の破断が進行すると、上蓋Dがキャップ本体Bから離れていく。
スリット溝15の終端部で薄肉連結部17の切断が完了し、さらに上蓋Dを引っ張ると、キャップ本体Bと容器Aとの嵌合が外され、ヒンジキャップと容器Aとを分別廃棄することができる。
【実施例2】
【0032】
次に、注出筒5の構成と、シール突部25の形状を変更した第2実施例について説明する。
以下、第1実施例と同一部分には同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
【0033】
図5および
図6に示すように、本実施例では、キャップ本体Bの注出筒5の下部に段部7が内方に突設されている。
段部7は、本実施例では円弧にわたって設けられているが、間欠的に設けるものであってもよい。
また、中栓Eのシール突部125は、本実施例では、注出筒5の内周に当接あるいは近接するように、外面部125aにおいて下り勾配に傾斜した形状の突部を形成している。
【0034】
次に、本実施例の実施形態と作用効果について説明する。
本実施例では、注出筒5の下部に段部7が設けられているので、中栓Eの落下を防止することができる。
また、
図5の中栓Eが係合していない閉蓋状態から、第1実施例と同様に、押圧治具で中栓Eを押し込むことで、
図6の中栓Eが係合した状態の閉蓋状態とすることができ、シール筒33による注出筒5との強固な第1シール部aに加え、シール突部125が注出筒5の内周に当接あるいは近接し、比較的弱い第2シール部bを形成する。
その他の構成と作用効果は、第1実施例と同じである。
【0035】
なお、第1実施例のシール突部25の形状および第2実施例のシール突部125の形状の他に、シール突部が注出筒に当接あるいは近接するものであれば、
図7に示すように、シール突部25の形状は、外面部25aにおいて(a)外側下方への傾斜板状、(b)外側に折れ曲がったくの字状、(c)曲面板状、(d)三角形状を有する突部など、種々に変更可能である。
【0036】
また、上記実施例では、キャップの具体例として、ヒンジキャップについて説明したが、キャップ本体と上蓋とを備えるネジキャップであっても構わない。
さらに、キャップ本体と容器の口部との嵌合は、打栓に限らず、ネジ嵌合等でも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のキャップは、上蓋のシール筒による注出筒への第1シール部と中栓のシール突部による注出筒への第2シール部とによる二重のシールによって、密閉性が改善することができる。
また、第1シール部は、シール筒により強固にシールされ、第2シール部は、中栓により比較的弱くシールされているため、中栓と上蓋とが外れることなく容易に開蓋することができる。
本発明のキャップは密閉性に優れているので、気密性の必要な内容液を収納する容器用のキャップとして広い範囲に応用できる。
【符号の説明】
【0038】
A 容器
B キャップ本体
C ヒンジ
D 上蓋
E 中栓
a 第1シール部
b 第2シール部
1 口部
2 嵌合突条
3 装着部
4 基壁
5 注出筒
5a リップ部
6 弱化部
7 段部
8 係止突条
9 蓋係合部
10 内筒
11 外周壁部
12 係合突部
13 外周切り込み部
13a 端面
15 スリット溝
16 底面
17 薄肉連結部
20 底壁
21 係合壁
22 ボス部
23、123 第1係合部
24 凹部
25、125 シール突部
25a、125a 外面部
30 頂壁
31 側周壁
32 係合筒
33、133 シール筒
34、134 第2係合部
37 係止凸部
38 係合凹部
39 把手部
40 指掛け部