IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日鐵住金溶接工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図1
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図2
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図3
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図4
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図5
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図6
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図7
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図8
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図9
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図10
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図11
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図12
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図13
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図14
  • 特許-自動溶接方法及び自動溶接装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】自動溶接方法及び自動溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/095 20060101AFI20230911BHJP
   B23K 9/12 20060101ALI20230911BHJP
   B23K 37/02 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
B23K9/095 501H
B23K9/12 350F
B23K9/12 331A
B23K37/02 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019133646
(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2021016881
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】302040135
【氏名又は名称】日鉄溶接工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩良
(72)【発明者】
【氏名】田中 良一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 慎司
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-099368(JP,A)
【文献】特開平09-010939(JP,A)
【文献】特開平04-344872(JP,A)
【文献】特開2016-010810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00-37/08
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御盤のコンピュータを用いて開先の形状に基づいて各溶接パスの溶接条件を自動生成し、前記生成した溶接条件で自動的に前記各溶接パスの溶接を行う自動溶接方法であって、
前記制御盤のコンピュータは、前記溶接の前に、
前記溶接条件から、前記開先の断面における前記溶接パスの層毎に溶接高さを算出し、
前記層毎に算出された溶接高さをそれぞれ積算し、
前記溶接高さの積算値が、溶接板厚に対して設定された基準高さ以上となったとき、前記開先の断面を埋めるに必要な溶接パスの層数と決定し、
最上層の前記溶接パスの頂上部分の位置が基準余盛高さの位置となるように、前記溶接パスの溶接速度を基準溶接速度から修正して決定し、
前記制御盤のコンピュータは、前記溶接の開始後に前記溶接条件を調整することなく、
前記決定した溶接速度で、前記溶接パスの自動溶接を行うこと
を特徴とする自動溶接方法。
【請求項2】
開先の形状に基づいて各溶接パスの溶接条件を自動生成し、前記生成した溶接条件で自動的に前記各溶接パスの溶接を行う自動溶接方法であって、
開先線上の開先1点目の断面積と開先2点目の断面積とを算出し、
前記開先1点目の断面積と前記開先2点目の断面積とに基づいて、前記開先線の途中の開先中間点の断面積を算出し、
前記開先中間点の断面積から、前記開先中間点の断面を埋めるに必要な中間総溶着量を算出し、
前記溶接条件及び前記中間総溶着量から、前記開先中間点の断面における前記溶接パスの層毎に溶接高さを算出し、
前記層毎に算出された溶接高さをそれぞれ積算し、
前記溶接高さの積算値が、溶接板厚に対して設定された基準高さ以上となったとき、前記開先中間点の断面を埋めるに必要な溶接パスの層数と決定し、
前記開先1点目における最上層の前記溶接パスの頂上部分の位置が基準余盛高さの位置となるように、前記開先1点目における前記溶接パスの溶接速度を基準溶接速度から修正し、
前記開先2点目における最上層の前記溶接パスの頂上部分の位置が前記基準余盛高さの位置となるように、前記開先2点目における前記溶接パスの溶接速度を前記基準溶接速度から修正し、
前記開先線に沿って、前記開先1点目から前記開先2点目までの区間を各領域に区分し、
前記修正された溶接速度を含む前記開先1点目における溶接速度と、前記修正された溶接速度を含む前記開先2点目における溶接速度とを用いて、前記各領域の溶接速度を直線補間により決定し、
前記決定した溶接速度で、前記開先2点目から前記開先1点目までの前記各領域の前記溶接パスの自動溶接を行うこと
を特徴とする自動溶接方法。
【請求項3】
少なくとも最下層の前記溶接パスは、前記基準溶接速度で自動溶接すること
を特徴とする請求項に記載の自動溶接方法。
【請求項4】
前記決定した溶接速度に従い前記各領域のオシレート条件を設定して溶接中に溶接トーチをオシレートすること
を特徴とする請求項2又は3に記載の自動溶接方法。
【請求項5】
開先の形状に基づいて各溶接パスの溶接条件を自動生成し、前記生成した溶接条件で自動的に前記各溶接パスの溶接を行う自動溶接装置であって、
Y方向に延びる開先に平行に配置されるガイドレールと、
前記ガイドレールに沿ってY方向に移動する電動のY走行台車と、
前記Y走行台車上にあって、溶接トーチをX方向に駆動する電動のX駆動機構と、
前記Y走行台車上にあって、前記溶接トーチをZ方向に駆動する電動のZ駆動機構と、
前記溶接の前に、前記溶接条件から、前記開先の断面における前記溶接パスの層毎に溶接高さを算出し、前記層毎に算出された溶接高さをそれぞれ積算し、前記溶接高さの積算値が、溶接板厚に対して設定された基準高さ以上となったとき、前記開先の断面を埋めるに必要な溶接パスの層数と決定し、最上層の前記溶接パスの頂上部分の位置が基準余盛高さの位置となるように、前記溶接パスの溶接速度を基準溶接速度から修正して決定し、前記溶接の開始後に前記溶接条件を調整することなく、前記Y走行台車、X駆動機構及びZ駆動機構の駆動を制御して、前記決定した溶接速度で、前記溶接トーチにより前記溶接パスの自動溶接を行う制御手段と、
を備えたこと
を特徴とする自動溶接装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
開先線上の開先1点目の断面積と開先2点目の断面積とを算出し、
前記開先1点目の断面積と前記開先2点目の断面積とに基づいて、前記開先線の途中の開先中間点の断面積を算出し、
前記開先中間点の断面積から、前記開先中間点の断面を埋めるに必要な中間総溶着量を算出し、
前記溶接条件及び前記中間総溶着量から、前記開先中間点の断面における前記溶接パスの層毎に溶接高さを算出し、
前記層毎に算出された溶接高さをそれぞれ積算し、
前記溶接高さの積算値が、溶接板厚に対して設定された基準高さ以上となったとき、前記開先中間点の断面を埋めるに必要な溶接パスの層数と決定し、
前記開先1点目における最上層の前記溶接パスの頂上部分の位置が基準余盛高さの位置となるように、前記開先1点目における前記溶接パスの溶接速度を基準溶接速度から修正し、
前記開先2点目における最上層の前記溶接パスの頂上部分の位置が前記基準余盛高さの位置となるように、前記開先2点目における前記溶接パスの溶接速度を前記基準溶接速度から修正し、
前記開先線に沿って、前記開先1点目から前記開先2点目までの区間を各領域に区分し、
前記修正された溶接速度を含む前記開先1点目における溶接速度と、前記修正された溶接速度を含む前記開先2点目における溶接速度とを用いて、前記各領域の溶接速度を直線補間により決定し、
前記Y走行台車、前記X駆動機構及び前記Z駆動機構の駆動を制御して、前記決定した溶接速度で、前記溶接トーチにより前記開先2点目から前記開先1点目までの前記各領域の前記溶接パスの自動溶接を行うこと
を特徴とする請求項5に記載の自動溶接装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
少なくとも最下層の前記溶接パスを、前記基準溶接速度で自動溶接すること
を特徴とする請求項に記載の自動溶接装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記決定した溶接速度に従い前記各領域のオシレート条件を設定して溶接中に溶接トーチをオシレートすること
を特徴とする請求項6又は7に記載の自動溶接装置。
【請求項9】
前記溶接トーチを、前記X方向に延びる軸回りに首振り回動駆動する電動のT軸駆動機構を、さらに備え、
前記制御手段は、
前記T軸駆動機構の駆動を制御して、前記溶接トーチを、開先先端に指向する傾斜姿勢並びに開先終端に指向する傾斜姿勢に設定すること
を特徴とする請求項に記載の自動溶接装置。
【請求項10】
前記溶接トーチを、前記X方向に延びる軸回りに首振り回動駆動する電動のT軸駆動機構を、さらに備え、
前記制御手段は、
前記T軸駆動機構の駆動を制御して、前記溶接トーチを、開先先端である前記開先1点目に指向する傾斜姿勢並びに開先終端である前記開先2点目に指向する傾斜姿勢に設定すること
を特徴とする請求項6~8のいずれか1つに記載の自動溶接装置。
【請求項11】
前記制御手段は、全自動計測が指示されると、
前記T軸駆動機構の駆動を制御して、前記溶接トーチを、前記開先1点目に指向する傾斜姿勢にして前記Y走行台車のY往方向走行を開始して前記開先1点目を検出し、そこの開先の形状を計測し、
次に、前記T軸駆動機構の駆動を制御して、前記溶接トーチを、前記開先2点目に指向する傾斜姿勢にして前記Y走行台車のY復方向走行を開始して前記開先2点目を検出し、そこの開先の形状を計測すること
を特徴とする請求項10に記載の自動溶接装置。
【請求項12】
前記制御手段は、
前記開先1点目と前記開先2点目との間の前記Y複方向走行の走行距離を計測し、前記走行距離を溶接する溶接長に定めること
を特徴とする請求項11に記載の自動溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開先の自動溶接に関し、特に、作業者の操作が簡易な自動溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接対象材の溶接線、例えばT継手、レ型平継手の開先の溶接では、Y方向に延びる溶接線に沿って溶接トーチがY方向に走行する。通常、このY走行中に溶接トーチは開先の幅方向であるX方向に往復動し(ウィービング又はオシレート)、このような溶接の数パスで開先の断面が埋められる。溶接施工の省力化、品質向上のためにセンサ及びコンピュータを用いて、予めコンピュータに登録された溶接条件に基づいて、開先を自動検出し溶接トーチを自動駆動する溶接ロボットが開発され使用されている。
【0003】
例えば特許文献1には、予め、開先始端から終端までの溶接対象区間を複数領域に区分して各領域宛てに溶接条件を算出してメモリに記憶し、その後開先溶接を開始して、開先溶接の進行に伴って順次にメモリ上の各領域宛ての溶接条件を読み出してそれに従って開先溶接条件を変更する自動溶接装置が記載されている。該自動溶接装置の溶接制御装置(制御盤)は、作業者が溶接長(溶接線の長さ)、並びに、開先始端と終端の各開先底面幅、各開先角度及び各開先高さ(板厚t)を入力すると、余盛高さが所定の範囲内に収まるように、板厚tから溶接層の数(所要パス数)と各パスの溶接層の厚さを決定し、分割した各領域毎に、開先横断面を算出してこれを該所要パス数で埋める各パスの溶接断面積を算出し、所定算出式に基づいて各パスの溶接断面積をもたらす各パスの溶接速度を算出する。算出した各領域各パス毎に溶接速度はメモリに記憶される。記憶されたデータは、溶接トーチによる溶接が領域区分点を通過する毎に取り出され、モータ速度(溶接速度)の指令値となる。
【0004】
特許文献2に記載の溶接制御装置(制御盤)は、今回の溶接対象材の形状(開先角度、開先深さ、ギャップ等)と溶接機のスペックに対応して、過去の溶接の実績である同様な溶接材の溶接条件をデータベースから自動読み出しして、今回の溶接対象材の溶接条件(溶接速度、溶接電流/電圧、溶接ワイヤ送給速度)及びウィービング条件(振幅、ピッチ、周波数)を自動的に算出する。
【0005】
特許文献3には、非接触式形状計測センサを備えて溶接ワーク(溶接対象材)の溶接長手方向の予め設定された間隔ごとに開先形状を計測し、データベースから読み出した溶接条件を、計測値に対応する補正を加えて開先溶接に用いる自動溶接装置が記載されている。
【0006】
開先始端及び終端に溶融プールを堰止めるセラミックタブ、スチールタブ等のフェイス板がある場合には、溶接トーチを開先の長手方向に倒して溶接ワイヤ先端を溶接母材とフェイス板との接合隅に対向させて開先端部の溶接残しを無くすことが行われるが、特許文献4には、このトーチの傾倒を電動駆動で行うトーチ角度変動機構、が記載されている。この機構によって溶接トーチは、開先の長手方向Yと直交する方向Xに延びる軸(T軸)回りに首振り回動駆動される。このトーチ角度変動機構を自動溶接装置に備えることにより、フェイス板が付いた開先始端に自動的に又は手動で溶接トーチの溶接点を定めて、開先溶接を開始し、開先終端の直前でもトーチを傾けて開先終端まで自動的に溶接することができる。すなわち、自動溶接でも、開先始端及び終端の溶接残しを無くすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特公平08-15665号公報
【文献】特開2015-229169号公報
【文献】特開平09-155543号公報
【文献】特公昭51-12011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の自動溶接では、板厚tから所要パス数と各パスの溶接層の厚さを決定し、開先始端から終端までを仮想分割した各領域宛てに、領域始端の開先形状(開先底面幅、開先角度、板厚)から開先断面積を算出し、これを該所要パス数で埋める各パスの溶接断面積を算出し、所定算出式に基づいて各パスの溶接断面積をもたらす各パスの溶接速度を算出する。所要パス数の決定方法は特許文献1に記載がない。決定したパス数がエラーであると各パスの溶接断面積もエラーとなり従って各パスの溶接速度もエラーとなる。所要パス数は整数でなければならず、所要パス数の算定が煩わしい。特に、参照すべき実績データが少ない新規溶接対象材の場合は、所要パス数の算定に試行錯誤の労力が多くなる。特許文献2に記載の溶接条件導出は、既にデータベースが構築された過去の溶接対象材と類似性が高い今回の溶接対象材については、該データベースを用いて容易に溶接条件を算定することができるが、類似性が低い場合、算定は複雑で過大な労力を費やすことになる。特許文献3に記載の自動溶接では、開先形状計測センサを用いて開先形状を計測し開先形状に基づいて溶接層(パス)数を算出し、算出値を四捨五入によって整数値として各パスの溶接条件を計算する(図14)。四捨五入によってパス数を整数にするので、各パスの計算された溶接条件には、算出したパス数の端数分による計算誤差を含むが、各パス毎に開先形状計測センサを用いて開先形状を計測し開先形状に基づいて先に計算した溶接条件を補正するので、全パスの溶接を終了したときには、算出したパス数に含まれる端数に相応する溶接誤差は実質的に消滅すると考えられる。しかしながら、各パス毎に各仮想分割領域の開先形状を計測することならびに計測した開先形状に基づく各領域の溶接条件の補正は煩雑で計測エラーを生じやすく溶接条件設定エラーを生じやすい。溶接状態の監視及び調整を行う作業者の労務が過大になりやすい。
【0009】
概略で表現すると従来は、整数の溶接パス数を定めて開先断面を埋める各パスの溶着量を決定して各パス溶着量に基づいて各パスの溶接条件(溶接電流、電圧、溶接速度)を決定するので、溶接条件のパラメータが多く各パス各パラメータの算定が複雑で煩雑である。
【0010】
本発明は、作業者が簡易に使用できる自動溶接方法及び自動溶接装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様に係る自動溶接方法は、制御盤のコンピュータを用いて開先の形状に基づいて各溶接パスの溶接条件を自動生成し、前記生成した溶接条件で自動的に前記各溶接パスの溶接を行う自動溶接方法であって、前記制御盤のコンピュータは、前記溶接の前に、前記溶接条件から、前記開先の断面における前記溶接パスの層毎に溶接高さを算出し、前記層毎に算出された溶接高さをそれぞれ積算し、前記溶接高さの積算値が、溶接板厚に対して設定された基準高さ以上となったとき、前記開先の断面を埋めるに必要な溶接パスの層数と決定し、最上層の前記溶接パスの頂上部分の位置が基準余盛高さの位置となるように、前記溶接パスの溶接速度を基準溶接速度から修正して決定し、前記制御盤のコンピュータは、前記溶接の開始後に前記溶接条件を調整することなく、前記決定した溶接速度で、前記溶接パスの自動溶接を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明の第2態様に係る自動溶接方法は、開先の形状に基づいて各溶接パスの溶接条件を自動生成し、前記生成した溶接条件で自動的に前記各溶接パスの溶接を行う自動溶接方法であって、開先線上の開先1点目の断面積と開先2点目の断面積とを算出し、前記開先1点目の断面積と前記開先2点目の断面積とに基づいて、前記開先線の途中の開先中間点の断面積を算出し、前記開先中間点の断面積から、前記開先中間点の断面を埋めるに必要な中間総溶着量を算出し、前記溶接条件及び前記中間総溶着量から、前記開先中間点の断面における前記溶接パスの層毎に溶接高さを算出し、前記層毎に算出された溶接高さをそれぞれ積算し、前記溶接高さの積算値が、溶接板厚に対して設定された基準高さ以上となったとき、前記開先中間点の断面を埋めるに必要な溶接パスの層数と決定し、前記開先1点目における最上層の前記溶接パスの頂上部分の位置が基準余盛高さの位置となるように、前記開先1点目における前記溶接パスの溶接速度を基準溶接速度から修正し、前記開先2点目における最上層の前記溶接パスの頂上部分の位置が前記基準余盛高さの位置となるように、前記開先2点目における前記溶接パスの溶接速度を前記基準溶接速度から修正し、前記開先線に沿って、前記開先1点目から前記開先2点目までの区間を各領域に区分し、前記修正された溶接速度を含む前記開先1点目における溶接速度と、前記修正された溶接速度を含む前記開先2点目における溶接速度とを用いて、前記各領域の溶接速度を直線補間により決定し、前記決定した溶接速度で、前記開先2点目から前記開先1点目までの前記各領域の前記溶接パスの自動溶接を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3態様に係る自動溶接方法は、第2態様において、少なくとも最下層の前記溶接パスは、前記基準溶接速度で自動溶接することを特徴とする。
【0014】
本発明の第4態様に係る自動溶接方法は、第2態様又は第3態様において、前記決定した溶接速度に従い前記各領域のオシレート条件を設定して溶接中に溶接トーチをオシレートすることを特徴とする。
【0015】
本発明の第5態様に係る自動溶接装置は、開先の形状に基づいて各溶接パスの溶接条件を自動生成し、前記生成した溶接条件で自動的に前記各溶接パスの溶接を行う自動溶接装置であって、Y方向に延びる開先に平行に配置されるガイドレールと、前記ガイドレールに沿ってY方向に移動する電動のY走行台車と、前記Y走行台車上にあって、溶接トーチをX方向に駆動する電動のX駆動機構と、前記Y走行台車上にあって、前記溶接トーチをZ方向に駆動する電動のZ駆動機構と、前記溶接の前に、前溶接条件から、前記開先の断面における前記溶接パスの層毎に溶接高さを算出し、前記層毎に算出された溶接高さをそれぞれ積算し、前記溶接高さの積算値が、溶接板厚に対して設定された基準高さ以上となったとき、前記開先の断面を埋めるに必要な溶接パスの層数と決定し、最上層の前記溶接パスの頂上部分の位置が基準余盛高さの位置となるように、前記溶接パスの溶接速度を基準溶接速度から修正して決定し、前記溶接の開始後に前記溶接条件を調整することなく、前記Y走行台車、X駆動機構及びZ駆動機構の駆動を制御して、前記決定した溶接速度で、前記溶接トーチにより前記溶接パスの自動溶接を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の第6態様に係る自動溶接装置は、第5態様において、前記制御手段は、開先線上の開先1点目の断面積と開先2点目の断面積とを算出し、前記開先1点目の断面積と前記開先2点目の断面積とに基づいて、前記開先線の途中の開先中間点の断面積を算出し、前記開先中間点の断面積から、前記開先中間点の断面を埋めるに必要な中間総溶着量を算出し、前記溶接条件及び前記中間総溶着量から、前記開先中間点の断面における前記溶接パスの層毎に溶接高さを算出し、前記層毎に算出された溶接高さをそれぞれ積算し、前記溶接高さの積算値が、溶接板厚に対して設定された基準高さ以上となったとき、前記開先中間点の断面を埋めるに必要な溶接パスの層数と決定し、前記開先1点目における最上層の前記溶接パスの頂上部分の位置が基準余盛高さの位置となるように、前記開先1点目における前記溶接パスの溶接速度を基準溶接速度から修正し、前記開先2点目における最上層の前記溶接パスの頂上部分の位置が前記基準余盛高さの位置となるように、前記開先2点目における前記溶接パスの溶接速度を前記基準溶接速度から修正し、前記開先線に沿って、前記開先1点目から前記開先2点目までの区間を各領域に区分し、前記修正された溶接速度を含む前記開先1点目における溶接速度と、前記修正された溶接速度を含む前記開先2点目における溶接速度とを用いて、前記各領域の溶接速度を直線補間により決定し、前記Y走行台車、前記X駆動機構及び前記Z駆動機構の駆動を制御して、前記決定した溶接速度で、前記溶接トーチにより前記開先2点目から前記開先1点目までの前記各領域の前記溶接パスの自動溶接を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明の第7態様に係る自動溶接装置は、第6態様において、前記制御手段は、少なくとも最下層の前記溶接パスは、前記基準溶接速度で自動溶接することを特徴とする。
【0018】
本発明の第8態様に係る自動溶接装置は、第6態様又は第7態様おいて、前記制御手段は、前記決定した溶接速度に従い前記各領域のオシレート条件を設定して溶接中に溶接トーチをオシレートすることを特徴とする。
【0019】
本発明の第9態様に係る自動溶接装置は、第5態様おいて、前記溶接トーチを、前記X方向に延びる軸回りに首振り回動駆動する電動のT軸駆動機構を、さらに備え、前記制御手段は、前記T軸駆動機構の駆動を制御して、前記溶接トーチを、開先先端に指向する傾斜姿勢並びに開先終端に指向する傾斜姿勢に設定することを特徴とする。
【0020】
本発明の第10態様に係る自動溶接装置は、第6態様~第8態様のいずれか1つにおいて、前記溶接トーチを、前記X方向に延びる軸回りに首振り回動駆動する電動のT軸駆動機構を、さらに備え、前記制御手段は、前記T軸駆動機構の駆動を制御して、前記溶接トーチを、開先先端である前記開先1点目に指向する傾斜姿勢並びに開先終端である前記開先2点目に指向する傾斜姿勢に設定することを特徴とする。
【0021】
本発明の第11態様に係る自動溶接装置は、第10態様において、前記制御手段は、全自動計測が指示されると、前記T軸駆動機構の駆動を制御して、前記溶接トーチを、前記開先1点目に指向する傾斜姿勢にして前記Y走行台車のY往方向走行を開始して前記開先1点目を検出し、そこの開先の形状を計測し、次に、前記T軸駆動機構の駆動を制御して、前記溶接トーチを、前記開先2点目に指向する傾斜姿勢にして前記Y走行台車のY復方向走行を開始して前記開先2点目を検出し、そこの開先の形状を計測することを特徴とする。
【0022】
本発明の第12態様に係る自動溶接装置は、第11態様において、前記制御手段は、前記開先1点目と前記開先2点目との間の前記Y複方向走行の走行距離を計測し、前記走行距離を溶接する溶接長に定めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の各態様では、溶接条件から、開先の断面における溶接パスの層毎に溶接高さを算出し、層毎に算出された溶接高さをそれぞれ積算し、溶接高さの積算値が、溶接板厚に対して設定された基準高さ以上となったとき、開先の断面を埋めるに必要な溶接パスの層数と決定する。そして、最上層の溶接パスの頂上部分の位置が基準余盛高さの位置となるように、溶接パスの溶接速度を基準溶接速度から修正して決定し、決定した溶接速度で、溶接パスの自動溶接を行う。このため、設定された溶接電流、設定された溶接電圧等を調節することなく、各溶接パスの溶接条件が自動的に決定される。従って、作業者が溶接条件を設定することなく自動溶接を開始することが可能となり、作業者が簡易に使用できる自動溶接方法及び自動溶接装置を提供できる。
【0024】
また、特に、本発明の第3態様及び第7態様では、少なくとも最下層の溶接パスを、基準溶接速度で自動溶接する。これにより、最下層の溶接パスを基準溶接速度で自動溶接をしない場合と比較して、より正常な溶け込み深さを得やすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る自動溶接装置を用いる溶接システムの一例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す溶接ロボット本体を上から見下ろした平面図である。
図3図3は、図1に示す溶接ロボット本体を前方から見た正面図である。
図4図4は、図1に示す溶接ロボット本体の右側から見た右側面図である。
図5図5は、図1に示す溶接ロボット本体に装備したY走行台車、Z駆動機構及びX駆動機構の概要を示すX-Z断面図である。
図6図6は、図2に示すトーチ姿勢調整機構を上から見下ろした拡大平面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る自動溶接装置を用いる溶接システムが実行する機能の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る自動溶接装置が実行する「全自動計測溶接」の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る自動溶接装置が実行する「条件生成」の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、溶接対象材の一例を示す斜視図である。
図11図11は、溶接対象材の一例を示す断面図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、溶接速度を修正して溶接した溶接対象材の一例を示す断面図である。
図13図13は、溶接対象材の別の例を示す断面図である。
図14図14は、本発明の一実施形態に係る自動溶接装置が実行する「自動計測溶接」の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、本発明の一実施形態に係る自動溶接装置が実行する「手動計測溶接」の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。各図において、共通する部分については、共通する参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0027】
(溶接システム)
図1は、本発明の一実施形態に係る自動溶接装置を用いる溶接システムの一例を示す斜視図である。図2は、図1に示す溶接ロボット本体を上から見下ろした平面図である。図3は、図1に示す溶接ロボット本体を前方から見た正面図である。図4は、図1に示す溶接ロボット本体の右側から見た右側面図である。図5は、図1に示す溶接ロボット本体に装備したY走行台車、Z駆動機構及びX駆動機構の概要を示すX-Z断面図である。図6は、図2に示すトーチ姿勢調整機構を上から見下ろした拡大平面図である。図1図6のそれぞれにおいて、Y方向が溶接線の延びる方向、X方向が溶接線に直交する水平方向、Zが上下(垂直)方向、そしてTは、開先が延びるY方向に溶接トーチが首振りする回動方向である。
【0028】
本発明の一実施例である溶接システムの概要を示す図1を参照すると、溶接ロボット本体10は、溶接対象材の開先4と平行に配置されたガイドレール9に装着されている。
【0029】
<ガイドレール9>
ガイドレール9は、4個の吸着具7で支持されて溶接対象材5上に固定されている。図2を参照すると、ガイドレール9の一辺にラック8があり、図5に示されるように、ラック8に、Y走行台車20の台車基台21で回動自在に支持されたピニオン23が、噛みあっている。
【0030】
<Y走行台車20>
台車基台21の底面下に4個の倣いローラ22があり、それらの中の1対はガイドレール9の、ラック8がある辺を受け入れ、該1対の倣いローラのY方向中間点に、該ラック8と噛みあうピニオン23がある。他の1対の倣いローラは、ガイドレール9の、ラック8がある辺と対向する辺を受け入れている。ピニオン23が回転すると台車基台21がY方向に移動する。
【0031】
<台車基台21>
台車基台21には、4角筒形の内側ケース11の下端が固定されている。内側ケース11にはそれを内部に受け入れる逆さ箱型の外側ケース12が被さっており、外側ケース12は内側ケース11に対してZ方向に昇降できる。台車基台21上に、出力軸にピニオン23が結合した減速機構25が搭載されており、減速機構25の入力軸を電気モータ24が回転駆動する。電気モータ24はステッピングモータであり、図1に示す制御盤内のコンピュータは電気モータ24を駆動するモータドライバに駆動指令パルスを与えてモータの動作を制御し回転量(Y移動量)を把握してY位置を把握する。
【0032】
<Z駆動機構30>
台車基台21には、Z駆動機構30のねじ棒31の下端が固定されている。ねじ棒31の上端は、U形の回転支持具32の底辺部に固定されている。回転支持具32は内側ケース11に固定されている。ねじ棒31にナット33が螺合しており、このナット33を支持ベアリング34が回転自在に支持しており、これによりナット33はねじ棒31を中心に回転できる。ナット33と一体の歯車35に駆動歯車36が噛み合っており、駆動歯車36は電気モータ37で回転駆動される。この回転駆動によってナット33が回転して上昇又は降下する。支持ベアリング34及び電気モータ37は外側ケース12に装着されているので、電気モータ37が正転又は逆転するとナット33が正転又は逆転して上昇又は降下し、これによって外側ケース12が上昇又は降下する。電気モータ37もステッピングモータであり、図1に示す制御盤内のコンピュータが電気モータ37を駆動するモータドライバに駆動指令パルスを与えてモータの動作を制御し回転量(Z移動量)を把握してZ位置を把握する。
【0033】
<X駆動機構40>
外側ケース12には、軸受42及び電気モータ48が装着されている。軸受42でX方向に延びるねじ棒41が回転自在に支持され、ねじ棒41の一端に被駆動歯車45があり、ねじ棒41にはナット43が螺合している。ナット43にはX駆動バー44aが固着されており、X駆動バー44aにトーチ駆動バー44bが連結されている。被駆動歯車45には中間歯車46が噛合い、中間歯車46に駆動歯車47が噛合っている。駆動歯車47は電気モータ48の出力軸に固着されている。電気モータ48が正転又は逆転すると、駆動歯車47、中間歯車46及び被駆動歯車45を介してねじ棒41が正転又は逆転し、これによりナット43が、X方向でトーチ駆動バー44bを外側ケース12から外方に突き出す方向又は外側ケース12内に引き込む方向に移動する。電気モータ48もステッピングモータであり、図1に示す制御盤内のコンピュータがモータ48を駆動するモータドライバに駆動指令パルスを与えてモータの動作を制御し回転量(X移動量)を把握してX位置を把握する。
【0034】
<トーチ姿勢調整機構50>
図4に示すように、トーチ駆動バー44bの先端に、垂直アーム51の上端が固着されており、垂直アーム51の下部に、垂直アーム51を挟むように(図6)、水平アーム52、53が固着されている。昇降ガイドアーム55を貫通する傾動ロックねじ56が水平アーム53にねじ込まれており、傾動ロックねじ56を時計方向に回すことにより、昇降ガイドアーム55が水平アーム53に圧接して昇降ガイドアーム55を水平アーム53に固定する。傾動ロックねじ56を反時計回りに回すことにより、昇降ガイドアーム55が水平アーム53に対して回動可能となり、水平アーム53に対する昇降ガイドアーム55の昇降方向の傾斜角度が調整可能となる。昇降ガイドアーム54も同様に、水平アーム52に対して傾斜角度を調整することができる。手操作(手動)による傾斜角度調整により、調整された溶接トーチ70を、図4上に2点鎖線で示す、前方傾斜姿勢70wf及び後方傾斜姿勢70wrならびにそれらの間の任意の傾斜に設定することができる。
【0035】
図6に示すように、昇降ガイドアーム54、55の先端部には、昇降板57が昇降スライド可能に装着されており、昇降板57の昇降を拘止する昇降ロックねじ58、59が昇降ガイドアーム54、55に装着されている。作業者は、昇降ロックねじ58、59を緩めて昇降板57の高さ(Z位置)を調整することができる。この調整も作業者の手操作(手動)によるものである。
【0036】
<T軸駆動機構60>
昇降板57には、T軸駆動機構60のモータケース61及び軸受ケース62が装着されている。T軸駆動機構60は、特許文献4に記載のトーチ角度変動機構による溶接トーチの首振り回動と同様に、溶接トーチを電動で首振り回動させるものである。軸受ケース62内軸受で回動可能に支持されたT軸63は、モータケース61内の減速機構付き電気モータの出力軸に結合している。T軸63にはトーチホルダ64が結合しており、このトーチホルダ64で溶接トーチ70が保持されている。モータケース61内電気モータの正転で溶接トーチ70を図3上に2点鎖線で示す右傾斜姿勢70Trに、逆転で左傾斜姿勢70Tlに定めることができる。この電気モータもステッピングモータであり、図1に示す制御盤内のコンピュータが該モータを駆動するモータドライバに駆動指令パルスを与えてモータの動作を制御し回転量(T軸回転量)を把握して首振り回動の傾斜を把握する、
【0037】
<制御盤>
図1に示す制御盤には、コンピュータ(制御部、演算器、記憶部等を含む)、ディスプレイ、入力キー、操作スイッチ、表示灯等がある。無線ペンダントにもコンピュータ、ディスプレイ、入力キー、操作スイッチ、表示灯等がある。また、制御盤及び無線ペンダントは、両者のコンピュータ間の通信を行う各無線通信装置を内蔵している。制御盤内のコンピュータは、制御盤及び無線ペンダントに対する作業者の入力操作に応答して、溶接条件の設定、開先端検出、開先形状検出、溶接条件の算出、補正、溶接データの蓄積、編集などの電子的処理、ならびに、溶接ロボット本体10、ワイヤ送給装置、溶接電源及び電磁開閉器の自動制御を行う。
【0038】
<無線ペンダント>
無線ペンダントは、溶接開始前の作業者の、溶接トーチの位置及び姿勢の設定又は調整を容易にし、溶接開始後は溶接ロボット本体10の動作を見ながらの各種調整もしくは修正を容易にするために、作業者が携帯する入出力端末であるとともに、上記電子的処理及び自動制御の一部を負担する。溶接開始前に無線ペンダントの入力キーは、トーチのT軸回動調整、X方向位置調整、Y方向調整及びZ方向位置調整に自動的に割り付けられているが、溶接の開始後は電流・電圧調整、切換え、オシレート幅調整、狙い一X方向調整、Z方向調整及びY方向走行速度調整(溶接速度調整)に割り付けが自動的に変更される。
【0039】
(溶接方法)
<メイン制御フロー>
図7は、本発明の一実施形態に係る自動溶接装置を用いる溶接システムが実行する機能の一例を示すフローチャートである。図7には、制御盤及び無線ペンダント(の各コンピュータ)の協同処理によるメイン制御機能と制御の流れを示す。
【0040】
図7に示すように、制御盤の電源スイッチがONになると、制御盤は、溶接システムのメニュー画面を表示する(ステップs1)。以下ではカッコ内ではステップNo.のみを表記する。無線ペンダントも電源ONであれば、同様なメニュー画面を表示する。そして、作業者がメニュー画面上の機能を指定すると、該機能を実行する。
【0041】
<全自動計測溶接作業>
図8は、本発明の一実施形態に係る自動溶接装置が実行する「全自動計測溶接」の一例を示すフローチャートである。図10は、溶接対象材の一例を示す斜視図である。図11及び図12はそれぞれ、溶接対象材の一例を示す断面図である。
【0042】
全自動計測溶接を行おうとするとき、作業者は、図7に示すメニュー画面(s1)上の「3.溶接パターンの設定」を指定し、これに制御盤が応答して継手の形態指定(s2)-「教示モードの設定」(s3)-「タブ種類選択」(s4)に進み、この過程での作業者の選択結果を保存する。そして作業者がメニュー画面(s1)上の「1.溶接作業」を指示すると、制御盤は溶接トーチ70の溶接ワイヤ先端のX、Y、Z位置を定める「原点調整」(s5~s7)を経て、教示モード「1.全自動計測」をディスプレイに表示して、「溶接作業」(s9)に進み、図8に示す「全自動計測溶接」に進む。
【0043】
「全自動計測溶接」で制御盤内のコンピュータは、溶接ロボット本体10のY往方向走行と走行距離計測を開始して、開先線上の開先1点目(図10中の参照符号“Cs1”:開先の右端。溶接ロボット本体10から見て右側)を検出し、開先1点目の開先の形状を計測し、そしてY復方向走行と走行距離計測を開始して開先2点目(図10中の参照符号“Cs2”:開先の左端。溶接ロボット本体10から見て左側)を検出し、開先2点目の開先の形状を計測する(s21~s26)。開先1点目は、制御盤はT軸駆動機構60の駆動を制御して溶接トーチ70を、開先の右端に指向する傾斜姿勢に定めてY走行台車20をY往方向走行駆動して、溶接ワイヤの先端の、開先の右端(溶接終了側)にある右側フェイス板(図示せず)に対する接触を検知することにより検知される。開先2点目は、制御盤はT軸駆動機構60の駆動を制御して溶接トーチ70を、開先の左端に指向する傾斜姿勢に定めてY走行台車20をY復方向走行駆動して、溶接ワイヤの先端の、開先の左端(溶接開始側)にある左側フェイス板(図示せず)に対する接触を検知することにより検知される。この時の開先1点目から開先2点目までのY走行台車20の走行距離を“溶接長”とする。ここで、計測した開先の形状と同様な近似開先データが、例えば制御盤内の記憶部に保存されている場合、この近似開先データの、溶接速度を含む溶接条件をそのまま溶接条件として利用し(s27)、必要ならば補正を加えて溶接条件に設定する(s28)。近似開先データがない場合には、計測した開先1点目及び開先2点目それぞれの開先の形状に基づいて、「条件生成」(s29)で溶接速度を含む溶接条件を算出し、これを新たな開先データの溶接条件として、例えば制御盤内の記憶部に保存する。なお、溶接条件の中の溶接電流及び溶接電圧は、先にメニュー画面(s1)を用いて作業者によって設定される。また、本明細書では、近似開先データの溶接条件に含まれた溶接速度又は新たな開先データの溶接条件に含まれた溶接速度を、基準溶接速度という。基準溶接速度は、開先の形状、例えば開先角度、ギャップ(ルートギャップ)、溶接板厚等の開先の形状に基づいて決定される指定条件の1つである。
【0044】
<条件生成>
図9は、本発明の一実施形態に係る自動溶接装置が実行する「条件生成」の一例を示すフローチャートである。「条件生成」は、図7には“条件生成(s13)”として示され、図8には“条件生成(s29)”として示されている。
【0045】
図9中のステップs41に示すように、制御盤内の演算器、例えばコンピュータは、計測した開先1点目の開先の形状又は近似開先データから開先1点目の断面積を算出し、これと同様に、計測した開先2点目の開先の形状又は近似開先データから開先2点目の断面積を算出する。次に、開先1点目の断面積と開先2点目の断面積とに基づいて、開先線の途中の開先中間点の断面積を算出する。開先中間点の断面積は、例えば、開先1点目の断面積と開先2点目の断面積との平均値である。この平均値を算出して、開先1点目と開先2点目との間の開先中間点(図10中の参照符号“Csm”)の断面積とみなす。次に、開先中間点の断面積から、開先中間点の断面を埋めるに必要な中間総溶着量を算出する。なお、開先中間点は、開先1点目から開先2点目までの距離の1/2の位置にあるとは限らない。
【0046】
開先の形状を計測する動作としては、例えば、開先の各端部に溶融金属の流出を防ぐ各フェイス板がある場合の全自動計測溶接では、制御盤内のコンピュータは、溶接トーチ70を左傾斜姿勢70Tlに定め、Y走行台車20を往方向走行駆動して溶接ワイヤの先端の右側フェイス板(図示せず)への接触を自動検出し、開先の右端(溶接ロボット本体10から見て右側)の位置を求める。次に、溶接ワイヤの先端を開先の断面に沿う所定軌跡で振って開先の右端の形状(開先1点目の開先の形状)を計測する。次に、溶接トーチ70を右傾斜姿勢70Trに定め、Y走行台車20を復方向走行駆動して溶接ワイヤの先端の左側フェイス板(図示せず)への接触を自動検出し、開先の左端(溶接ロボット本体10から見て左側)の位置を求める。次に、溶接ワイヤの先端を開先の断面に沿う所定軌跡で振って開先の左端の形状(開先2点目の開先の形状)を計測する。
【0047】
次に、図9中のステップs42に示すように、既に設定されている溶接条件(溶接電流、溶接電圧、溶接速度等)及び中間総溶着量から、開先中間点の断面における溶接パスの層毎に溶接高さを算出する。図11に、溶接パスの一例を示す。図11には、溶接パスWpの数が10本で、溶接パスWpの層の数が6層(参照符号“A~F”)の、“6層10パス”の例が示されている。溶接パスWpの層A~Fの溶接高さは、それぞれ、“Ta”~“Tf”である。なお、参照符号80は、当て金である。次に、例えば、図11に示されるような各溶接パスWpの層A~Fの溶接高さTa~Tfをそれぞれ積算する。なお、ステップs42における溶接高さは、例えば溶接条件に含まれた基準溶接速度に基づいて算出される。
【0048】
次に、図9中のステップs43に示すように、開先中間点の断面を埋めるに必要な溶接パスWpの層数を決定する。本一実施形態では、溶接高さTa~Tfの積算値が、溶接板厚Twに対して設定された基準高さHref以上となったとき、開先中間点の断面を埋めるに必要な溶接パスWpの層数と決定する。図11に示す一例では、溶接パスWpの層数は“6”である。従って、この一例では、溶接パスWpの層数は“6”と決定される。
【0049】
基準高さHrefの値の一例は“基準余盛高さHwr-1mm”である。基準余盛高さHwrの値の一例は“溶接板厚Tw+2.5mm”である。基準高さHref及び基準余盛高さHwrそれぞれの値は、上記一例に限られるものではない。例えば、溶接金属の種類や、溶接後における溶接対象材5、6に要求される強度等に応じて、様々に変更できる。
【0050】
次に、図9中のステップs44に示すように、開先1点目の断面を埋めるに必要な溶接パスWpの層数を、上記決定した溶接パスの層数と決定とする。次に、開先1点目における最上層の溶接パスWpの頂上部分Wptの位置が基準余盛高さHwrの位置となるように、溶接パスWpの溶接速度を溶接条件に含まれた基準溶接速度から修正する。
【0051】
図12(a)及び図12(b)は、溶接速度を修正して溶接した溶接対象材の一例を示す断面図である。図12(a)は、積算値に基づく頂上部分Wptの位置が基準余盛高さHwrを超えた場合を示す。図12(b)は、積算値に基づく頂上部分Wptの位置が基準余盛高さHwr未満の場合を示す。
【0052】
図12(a)に示すように、積算値に基づく頂上部分Wptの位置が基準余盛高さHwrを超えた場合(Href<Hwr<Wpt)、例えば溶接パスWpの溶接速度を溶接条件に含まれた基準溶接速度よりも速くなるように修正する。これにより、頂上部分Wptの位置が下がり、頂上部分Wptの位置を基準余盛高さHwrとなるように補正できる。
【0053】
また、図12(b)に示すように、積算値に基づく頂上部分Wptの位置が基準余盛高さHwr未満の場合(Href≦Wpt<Hwr)、例えば溶接パスWpの溶接速度を溶接条件に含まれた基準溶接速度よりも遅くなるように修正する。これにより、頂上部分Wptの位置が上がり、頂上部分Wptの位置を基準余盛高さHwrとなるように補正できる。
【0054】
なお、積算値に基づく頂上部分Wptの位置が基準余盛高さHwrと等しくなる場合(Href≦Wpt=Hwr)もあり得る。この場合には、溶接パスWpの溶接速度を基準溶接速度から修正せず、全ての溶接パスWpの自動溶接を基準溶接速度で行えばよい。
【0055】
また、溶接速度を修正するに際し、最下層の溶接パスWp(図11に示す一例では、番号1により示される溶接パス)については、溶接速度を修正せず、指定条件の1つである基準溶接速度で自動溶接することもできる。特に、最下層の溶接パスWpでは、ルート部(左右の溶接対象材5、6及び当て金80)への溶接金属の溶け込みが重要視される。このため、最下層の溶接パスWpの溶接条件が指定条件から変動すると、正常な溶け込み深さが得られ難くなる可能性がある。このため、少なくとも最下層の溶接パスWpの溶接条件は、指定条件から変動させないようにする。
【0056】
このように、少なくとも最下層の溶接パスWpは、基準溶接速度で自動溶接することで、例えば最下層の溶接パスWpを基準溶接速度から修正した溶接速度で自動溶接する場合と比較して、正常な溶け込み深さを得やすくなる。
【0057】
少なくとも最下層の溶接パスWpの溶接条件を指定条件から変動させない場合には、溶接速度の修正は、例えば、第2層以降の溶接パスWp(図11に示す一例では、番号2~10により示される溶接パス)のいずれか1つ又は全てで行えばよい。
【0058】
なお、溶接速度の修正を、第2層以降の溶接パスWpの層のうちの複数層で行うようにすると、例えば最上層の溶接パスWp(図11に示す一例では、番号8~10により示される溶接パス)の層についてのみ溶接速度を修正する場合と比較して、1層当たりの溶接速度の変動を小さくできる。溶接速度の変動が大きい場合、溶接部に悪影響を生じさせる可能性がある。つまり、溶接速度は、速すぎても、遅すぎても良くないのである。従って、溶接速度の修正を、第2層以降の溶接パスの層のうちの複数層で行うことで、溶接速度の変動を小さくでき、より溶接部に悪影響が生じにくい条件で自動溶接を行うことができる。本一実施形態では、例えば最下層の番号1により示される溶接パスWpは、その溶接速度を基準溶接速度から修正せず、第2層以降の番号2~10により示される溶接パスWpのそれぞれにおいて、それらの溶接速度を基準溶接速度から修正している。
【0059】
なお、溶接パスWp形態は、図11図12(a)及び図12(b)に示した例に限られることはない。図13に、溶接パスWpの別の例を示す。図13には、溶接パスWpの数が5本で、溶接パスWpの層の数が5層(参照符号“A~E”)の、“5層5パス”の例が示されている。別の例に示すように、溶接パスWpの数と、溶接パスWpの層の数とが同じであってもよい。
【0060】
次に、図9中のステップs45に示すように、開先1点目と同様に、開先2点目の断面を埋めるに必要な溶接パスの層数を、上記決定した溶接パスの層数と決定とする。次に、開先1点目と同様に、開先2点目における最上層の溶接パスWpの頂上部分Wptの位置が基準余盛高さHwrの位置となるように、溶接パスWpの溶接速度を溶接条件に含まれた基準溶接速度から修正する。
【0061】
次に、図9中のステップs46に示すように、開先線に沿って、開先1点目から開先2点目までの区間を各領域に区分する。図10に、開先1点目(Cs1)から開先2点目(Cs2)までの区間を、各領域Sa~Seに区分した例を示す。次に、修正された溶接速度を含む開先1点目における溶接速度と、修正された溶接速度を含む開先2点目における溶接速度とを用いて、各領域の溶接速度を直線補間により決定する。例えば、開先1点目の溶接速度を、最初の領域Saの溶接速度と決定し、開先2点目の溶接速度を、最後の領域Seの溶接速度と決定する。次に、2番目の領域Sbの始点から、最後の領域Seの始点までの溶接速度を、直線補間により決定する。
【0062】
次に、図9中のステップs47に示すように、決定した溶接速度に従い各領域Sa~Seのオシレート条件を設定、例えば算出する。これにより、溶接中において、溶接トーチ70がオシレートされる。
【0063】
このように一実施形態に係る自動溶接装置によれば、決定した溶接速度で、開先1点目から開先2点目までの各領域Sa~Seを算出された溶接パスの数で自動溶接が実行される。
【0064】
図8を再度参照する。全自動計測溶接では制御盤は、無線ペンダントに溶接開始か溶接条件再生成かの指示を促す入力催告画面を表示する(s30)。溶接開始が指示されると、開先2点目(開先の左端)から開先1点目(開先の右端)に向かう溶接を開始する(s31、s33)。開先1点目に到達するとY走行を反転して開先2点目に向かう溶接を行い、開先2点目に到達すると反転して開先1点目に向かう溶接を行う。このような自動溶接を、先に決定した溶接パスWpの数、本一実施形態では、番号1により示される溶接パスWpから、番号10により示される溶接パスWpまで実行する。
【0065】
<自動計測溶接作業>
図14は、本発明の一実施形態に係る自動溶接装置が実行する「自動計測溶接」の一例を示すフローチャートである。
【0066】
作業者が図7に示す「教示モードの設定」(s3)で「2.自動計測」を指定した場合は、制御盤内のコンピュータは、図14に示す自動計測溶接を実行する。この自動計測溶接では、作業者が無線ペンダントを操作して操作盤にワーク長(溶接長)を入力する(s22)。次に、開先1点目(開先の右端)に溶接トーチ70の溶接ワイヤの先端を位置決めして(s38)、開先の形状の計測を指示する。この指示に応答して制御盤は、開先1点目の開先の形状を計測する(s24)。次に、作業者は開先2点目(開先の左端)に溶接トーチ70の溶接ワイヤの先端を位置決めして(s39)、開先の形状の計測を指示する。この指示に応答して制御盤は、開先2点目の開先の形状を計測する(s26)。これを終えた後の制御盤の動作は、前述の全自動計測溶接の場合(図8)と同様である。
【0067】
<手動計測溶接作業>
図15は、本発明の一実施形態に係る自動溶接装置が実行する「手動計測溶接」の一例を示すフローチャートである。
【0068】
作業者が図7に示す「教示モードの設定」(s3)で「3.手動計測」を指定した場合は、制御盤内のコンピュータは、図15に示す手動計測溶接を実行する。この手動計測溶接では、作業者が無線ペンダントを操作して開先1点目(開先の右端)に溶接トーチ70の溶接ワイヤの先端を位置決めし、作業者が開先1点目の溶接板厚及び開先の形状を入力する(s52)。次に、作業者は開先2点目(開先の左端)に溶接トーチ70の溶接ワイヤの先端を位置決めし、作業者が開先2点目の溶接板厚及び開先の形状を入力する(s54)。これを終えた後の制御盤の動作は、前述の全自動計測溶接の場合(図8)と同様である。
【0069】
このような本発明の一実施形態によれば、溶接条件から、開先4の断面における溶接パスWpの層A~F毎に溶接高さTa~Tfを算出し、層A~F毎に算出された溶接高さTa~Tfをそれぞれ積算し、溶接高さTa~Tfの積算値が、溶接板厚Twに対して設定された基準高さHref以上となったとき、開先4の断面を埋めるに必要な溶接パスWpの層数と決定する。そして、最上層の溶接パスWp(番号8~10により示される溶接パス)の頂上部分Wptの位置が基準余盛高さHwrの位置となるように、溶接パスWpの溶接速度を基準溶接速度から修正して決定し、決定した溶接速度で、溶接パスWpの自動溶接を行う。このため、設定された溶接電流、設定された溶接電圧等を調節することなく、各溶接パスWpの溶接条件を自動的に決定できる。従って、作業者が溶接条件を設定することなく自動溶接を開始することが可能となり、作業者が簡易に使用できる自動溶接方法及び自動溶接装置を提供できる。
【0070】
また、本発明の一実施形態によれば、少なくとも最下層の溶接パスWp(番号1により示される溶接パス)は、基準溶接速度で自動溶接することもできる。これにより、最下層の溶接パスWpを基準溶接速度で自動溶接をしない場合と比較して、より正常な溶け込み深さを得やすくなる、という利点をさらに得ることができる。
【0071】
また、本発明の一実施形態によれば、溶接速度の修正は、第2層以降の溶接パスWpの層のうちの複数層で行うこともできる。これにより、例えば第2層以降の溶接パスWpの層のうちの1つについてのみ溶接速度を修正する場合と比較して、より溶接部に悪影響が生じにくい条件で自動溶接を行える、という利点をさらに得ることができる。
【0072】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、一実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、本発明は、一実施形態のほか、様々な新規な形態で実施することができる。また、本発明の実施形態は、上述した一実施形態が唯一でもない。従って、一実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、本発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
4 :開先
5、6 :溶接対象材
7 :吸着具
8 :ラック
9 :ガイドレール
10 :溶接ロボット本体
11 :内側ケース
12 :外側ケース
20 :Y走行台車
21 :台車基台
22 :倣いローラ
23 :ピニオン
24 :電気モータ
25 :減速機構
30 :Z駆動機構
31 :ねじ棒
32 :U形回転支持具
33 :ナット
34 :支持ベアリング
35、36:歯車
37 :電気モータ
40 :X駆動機構
41 :ねじ棒
42 :軸受け
43 :ナット
44a :X駆動バー
44b :トーチ駆動バー
45 :被駆動歯車
46 :中間歯車
47 :駆動歯車
48 :電気モータ
50 :トーチ姿勢調整機構
51 :垂直アーム
52、53:水平アーム
54、55:昇降ガイドアーム
56 :傾動ロックねじ
57 :昇降板
58、59:昇降ロックねじ
60 :T軸駆動機構
61 :モータケース
62 :軸受けケース
63 :T軸
64 :トーチホルダ
70 :トーチ
70wf:前方傾斜姿勢
70wr:後方傾斜姿勢
70Tr:右傾斜姿勢
70Tl:左傾斜姿勢
80 :当て金
Cs1 :開先1点目
Cs2 :開先2点目
Csm :開先中間点
Wp :溶接パス
Wpt :頂上部分
A~F :溶接パスの層
Ta~Tf:溶接パスの層の溶接高さ
Tw :溶接板厚
Href :基準高さ
Hwr :基準余盛高さ
Sa~Se:領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15