(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】駐車支援装置及び駐車支援装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20230911BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W40/02
(21)【出願番号】P 2019138541
(22)【出願日】2019-07-29
【審査請求日】2022-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海野 良祐
(72)【発明者】
【氏名】桑原 利尚
(72)【発明者】
【氏名】緒方 健人
(72)【発明者】
【氏名】金子 修造
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-220745(JP,A)
【文献】特開2006-193011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B60R 25/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車支援装置であって、
前記駐車支援装置を搭載した車両が駐車可能な駐車領域を検出する駐車領域検出部と、
前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車方向を特定する駐車方向特定部と、
前記車両の周囲に存在する障害物を検出する障害物検出部と、
前記駐車領域と、前記駐車領域に隣接する領域とを含む領域を、前記障害物の方位を検出する検出範囲に設定する検出範囲設定部と、
前記検出範囲を、前記駐車方向特定部が特定した前記駐車方向に対応づけられた方向に分割して複数の分割範囲を生成する分割部と、
前記障害物検出部により検出された前記障害物の方位であって、前記駐車方向に延伸する前記障害物の側面の方位を前記分割範囲ごとに算出し、前記分割範囲の各々で算出された前記障害物の方位の平均値を算出する方位算出部と、
前記方位算出部が算出した前記方位の平均値に基づいて前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車位置を設定する駐車位置設定部と、を備え、
前記検出範囲は、前記駐車領域を含む第1検出範囲と、前記第1検出範囲に隣接する第2検出範囲及び第3検出範囲と
、を含み、
前記分割部は、第1検出範囲、第2検出範囲及び第3検出範囲の各々を複数に分割して前記分割範囲を生成し、
前記方位算出部は、前記第1検出範囲、前記第2検出範囲及び前記第3検出範囲の検出範囲ごとに前記障害物の方位の平均値を算出し、
前記第1検出範囲を分割した前記分割範囲で前記障害物の方位が算出された場合、前記第1検出範囲における前記障害物の方位の平均値を出力する、ことを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記方位算出部は、前記第1検出範囲を分割した前記分割範囲で前記障害物の方位が算出されなかった場合、前記第2検出範囲を分割した前記分割範囲で算出された前記障害物の方位の平均値と、前記第3検出範囲を分割した前記分割範囲で算出された前記障害物の方位の平均値と、をそれぞれ算出し、
算出した前記第2検出範囲における前記障害物の方位の平均値と、前記第3検出範囲における前記障害物の方位の平均値と
、の平均値を出力する、ことを特徴とする請求項
1記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記車両を駐車させる仮駐車枠を前記駐車領域に設定する仮駐車枠設定部を備え、
前記方位算出部は、前記仮駐車枠設定部が設定した前記仮駐車枠の方位を求め、
前記分割範囲ごとに算出した前記障害物の方位のうち、前記仮駐車枠の方位と
の差が、予め設定されたしきい値以上である方位を除外して、前記第1検出範囲、前記第2検出範囲及び前記第3検出範囲の検出範囲ごとに前記障害物の方位を算出する、ことを特徴とする請求項
1又は2記載の駐車支援装置。
【請求項4】
駐車支援装置であって、
前記駐車支援装置を搭載した車両が駐車可能な駐車領域を検出する駐車領域検出部と、
前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車方向を特定する駐車方向特定部と、
前記車両の周囲に存在する障害物を検出する障害物検出部と、
前記駐車領域と、前記駐車領域に隣接する領域とを含む領域を、前記障害物の方位を検出する検出範囲に設定する検出範囲設定部と、
前記検出範囲を、前記駐車方向特定部が特定した前記駐車方向に対応づけられた方向に分割して複数の分割範囲を生成する分割部と、
前記障害物検出部により検出された前記障害物の方位であって、前記駐車方向に延伸する前記障害物の側面の方位を前記分割範囲ごとに算出し、前記分割範囲の各々で算出された前記障害物の方位の平均値を算出する方位算出部と、
前記方位算出部が算出した前記方位の平均値に基づいて前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車位置を設定する駐車位置設定部と、を備え、
前記分割部は、
前記駐車方向特定部が特定した前記駐車方向が、前記車両の前後軸方向に平行な方向である場合、前記駐車方向に対応づけられた方向として、前記前後軸方向に直交する方向に前記検出範囲を分割し、
前記駐車方向特定部が特定した前記駐車方向が、前記車両の幅方向に平行な方向である場合、前記駐車方向に対応づけられた方向として、前記幅方向に直交する方向に前記検出範囲を分割する、ことを特徴とする駐車支援装置。
【請求項5】
駐車支援装置の制御方法であって、
前記駐車支援装置を搭載した車両が駐車可能な駐車領域を検出する駐車領域検出ステップと、
前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車方向を特定する駐車方向特定ステップと、
前記車両の周囲に存在する障害物を検出する障害物検出ステップと、
前記駐車領域と、前記駐車領域に隣接する領域とを含む領域を、前記障害物の方位を検出する検出範囲に設定する検出範囲設定ステップと、
前記検出範囲を、前記駐車方向特定ステップにより特定した前記駐車方向に対応づけられた方向に分割して複数の分割範囲を生成する分割ステップと、
前記障害物検出ステップにより検出された障害物の方位であって、前記駐車方向に延伸する前記障害物の側面の方位を前記分割範囲ごとに算出し、前記分割範囲の各々で算出された前記障害物の方位の平均値を算出する方位算出ステップと、
前記方位算出ステップにより算出された前記方位の平均値に基づいて前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車位置を設定する駐車位置設定ステップと、を有し、
前記検出範囲は、前記駐車領域を含む第1検出範囲と、前記第1検出範囲に隣接する第2検出範囲及び第3検出範囲と
、を含み、
前記分割ステップは、第1検出範囲、第2検出範囲及び第3検出範囲の各々を複数に分割して前記分割範囲を生成し、
前記方位算出ステップは、前記第1検出範囲、前記第2検出範囲及び前記第3検出範囲の検出範囲ごとに前記障害物の方位の平均値を算出し、
前記第1検出範囲を分割した前記分割範囲で前記障害物の方位が算出された場合、前記第1検出範囲における前記障害物の方位の平均値を出力する、ことを特徴とする駐車支援装置の制御方法。
【請求項6】
前記方位算出ステップは、前記第1検出範囲を分割した前記分割範囲で前記障害物の方位が算出されなかった場合、前記第2検出範囲を分割した前記分割範囲で算出された前記障害物の方位の平均値と、前記第3検出範囲を分割した前記分割範囲で算出された前記障害物の方位の平均値と、をそれぞれ算出し、
算出した前記第2検出範囲における前記障害物の方位の平均値と、前記第3検出範囲における前記障害物の方位の平均値と
、の平均値を出力する、ことを特徴とする請求項
5記載の駐車支援装置の制御方法。
【請求項7】
前記車両を駐車させる仮駐車枠を前記駐車領域に設定する仮駐車枠設定ステップを
有し、
前記方位算出ステップは、前記仮駐車枠設定ステップにより設定された前記仮駐車枠の方位を求め、
前記分割範囲ごとに算出した前記障害物の方位のうち、前記仮駐車枠の方位と
の差が、予め設定されたしきい値以上である方位を除外して、前記第1検出範囲、前記第2検出範囲及び前記第3検出範囲の検出範囲ごとに前記障害物の方位を算出する、ことを特徴とする請求項
5又は6記載の駐車支援装置の制御方法。
【請求項8】
駐車支援装置の制御方法であって、
前記駐車支援装置を搭載した車両が駐車可能な駐車領域を検出する駐車領域検出ステップと、
前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車方向を特定する駐車方向特定ステップと、
前記車両の周囲に存在する障害物を検出する障害物検出ステップと、
前記駐車領域と、前記駐車領域に隣接する領域とを含む領域を、前記障害物の方位を検出する検出範囲に設定する検出範囲設定ステップと、
前記検出範囲を、前記駐車方向特定ステップにより特定した前記駐車方向に対応づけられた方向に分割して複数の分割範囲を生成する分割ステップと、
前記障害物検出ステップにより検出された障害物の方位であって、前記駐車方向に延伸する前記障害物の側面の方位を前記分割範囲ごとに算出し、前記分割範囲の各々で算出された前記障害物の方位の平均値を算出する方位算出ステップと、
前記方位算出ステップにより算出された前記方位の平均値に基づいて前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車位置を設定する駐車位置設定ステップと、を有し、
前記分割ステップは、
前記駐車方向特定ステップにより特定された前記駐車方向が、前記車両の前後軸方向に平行な方向である場合、前記駐車方向に対応づけられた方向として、前記前後軸方向に直交する方向に前記検出範囲を分割し、
前記駐車方向特定ステップにより特定された前記駐車方向が、前記車両の幅方向に平行な方向である場合、前記駐車方向に対応づけられた方向として、前記幅方向に直交する方向に前記検出範囲を分割する、ことを特徴とする駐車支援装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援装置及び駐車支援装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の駐車位置への駐車を支援する駐車支援装置の研究や開発が盛んに行われている。このような駐車支援装置においては、駐車位置に駐車させるときの車両の方向を自動的に決定するものが知られている。例えば、特許文献1の駐車支援装置では、目標駐車位置を決定する手段と、目標駐車位置周辺に存在する障害物を検出する手段と、障害物の検出情報に基づいて、目標駐車位置の両側に存在する各障害物の向きを推定する手段とを備え、推定した双方の障害物の向きに基づいて、目標駐車位置における車両の向きである目標駐車方向を決定し、目標駐車方向が実現されるように目標駐車位置までの車両走行を支援する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、駐車領域の周囲に他の車両や縁石等の障害物が存在する場合、これらの障害物に対応した好適な方位で車両を停車させたいという要望がある。特許文献1に開示の駐車支援装置は、障害物の向きを推定する手段を備えているが、障害物の向きの推定精度が低いと、障害物の向きに応じた好適な方位で車両を駐車させることができない場合がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、駐車領域の周囲に存在する障害物に応じた好適な方位で車両を駐車させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は駐車支援装置であって、前記駐車支援装置を搭載した車両が駐車可能な駐車領域を検出する駐車領域検出部と、前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車方向を特定する駐車方向特定部と、前記車両の周囲に存在する障害物を検出する障害物検出部と、前記駐車領域と、前記駐車領域に隣接する領域とを含む領域を、前記障害物の方位を検出する検出範囲に設定する検出範囲設定部と、前記検出範囲を、前記駐車方向特定部が特定した前記駐車方向に対応づけられた方向に分割して複数の分割範囲を生成する分割部と、前記障害物検出部により検出された前記障害物の方位であって、前記駐車方向に延伸する前記障害物の側面の方位を前記分割範囲ごとに算出し、前記分割範囲の各々で算出された前記障害物の方位の平均値を算出する方位算出部と、前記方位算出部が算出した前記方位の平均値に基づいて前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車位置を設定する駐車位置設定部と、を備え、前記検出範囲は、前記駐車領域を含む第1検出範囲と、前記第1検出範囲に隣接する第2検出範囲及び第3検出範囲と、を含み、前記分割部は、第1検出範囲、第2検出範囲及び第3検出範囲の各々を複数に分割して前記分割範囲を生成し、前記方位算出部は、前記第1検出範囲、前記第2検出範囲及び前記第3検出範囲の検出範囲ごとに前記障害物の方位の平均値を算出し、前記第1検出範囲を分割した前記分割範囲で前記障害物の方位が算出された場合、前記第1検出範囲における前記障害物の方位の平均値を出力することを特徴とする。
【0007】
上記駐車支援装置において、前記方位算出部は、前記第1検出範囲を分割した前記分割範囲で前記障害物の方位が算出されなかった場合、前記第2検出範囲を分割した前記分割範囲で算出された前記障害物の方位の平均値と、前記第3検出範囲を分割した前記分割範囲で算出された前記障害物の方位の平均値と、をそれぞれ算出し、算出した前記第2検出範囲における前記障害物の方位の平均値と、前記第3検出範囲における前記障害物の方位の平均値と、の平均値を出力することを特徴とする。
【0008】
上記駐車支援装置において、前記車両を駐車させる仮駐車枠を前記駐車領域に設定する仮駐車枠設定部を備え、前記方位算出部は、前記仮駐車枠設定部が設定した前記仮駐車枠の方位を求め、前記分割範囲ごとに算出した前記障害物の方位のうち、前記仮駐車枠の方位との差が、予め設定されたしきい値以上である方位を除外して、前記第1検出範囲、前記第2検出範囲及び前記第3検出範囲の検出範囲ごとに前記障害物の方位を算出することを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は駐車支援装置であって、前記駐車支援装置を搭載した車両が駐車可能な駐車領域を検出する駐車領域検出部と、前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車方向を特定する駐車方向特定部と、前記車両の周囲に存在する障害物を検出する障害物検出部と、前記駐車領域と、前記駐車領域に隣接する領域とを含む領域を、前記障害物の方位を検出する検出範囲に設定する検出範囲設定部と、前記検出範囲を、前記駐車方向特定部が特定した前記駐車方向に対応づけられた方向に分割して複数の分割範囲を生成する分割部と、前記障害物検出部により検出された前記障害物の方位であって、前記駐車方向に延伸する前記障害物の側面の方位を前記分割範囲ごとに算出し、前記分割範囲の各々で算出された前記障害物の方位の平均値を算出する方位算出部と、前記方位算出部が算出した前記方位の平均値に基づいて前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車位置を設定する駐車位置設定部と、を備え、前記分割部は、前記駐車方向特定部が特定した前記駐車方向が、前記車両の前後軸方向に平行な方向である場合、前記駐車方向に対応づけられた方向として、前記前後軸方向に直交する方向に前記検出範囲を分割し、前記駐車方向特定部が特定した前記駐車方向が、前記車両の幅方向に平行な方向である場合、前記駐車方向に対応づけられた方向として、前記幅方向に直交する方向に前記検出範囲を分割することを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は駐車支援装置の制御方法であって、前記駐車支援装置を搭載した車両が駐車可能な駐車領域を検出する駐車領域検出ステップと、前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車方向を特定する駐車方向特定ステップと、前記車両の周囲に存在する障害物を検出する障害物検出ステップと、前記駐車領域と、前記駐車領域に隣接する領域とを含む領域を、前記障害物の方位を検出する検出範囲に設定する検出範囲設定ステップと、前記検出範囲を、前記駐車方向特定ステップにより特定した前記駐車方向に対応づけられた方向に分割して複数の分割範囲を生成する分割ステップと、前記障害物検出ステップにより検出された障害物の方位であって、前記駐車方向に延伸する前記障害物の側面の方位を前記分割範囲ごとに算出し、前記分割範囲の各々で算出された前記障害物の方位の平均値を算出する方位算出ステップと、前記方位算出ステップにより算出された前記方位の平均値に基づいて前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車位置を設定する駐車位置設定ステップと、を有し、前記検出範囲は、前記駐車領域を含む第1検出範囲と、前記第1検出範囲に隣接する第2検出範囲及び第3検出範囲と、を含み、前記分割ステップは、第1検出範囲、第2検出範囲及び第3検出範囲の各々を複数に分割して前記分割範囲を生成し、前記方位算出ステップは、前記第1検出範囲、前記第2検出範囲及び前記第3検出範囲の検出範囲ごとに前記障害物の方位の平均値を算出し、前記第1検出範囲を分割した前記分割範囲で前記障害物の方位が算出された場合、前記第1検出範囲における前記障害物の方位の平均値を出力することを特徴とする。
【0011】
上記駐車支援装置の制御方法において、前記方位算出ステップは、前記第1検出範囲を分割した前記分割範囲で前記障害物の方位が算出されなかった場合、前記第2検出範囲を分割した前記分割範囲で算出された前記障害物の方位の平均値と、前記第3検出範囲を分割した前記分割範囲で算出された前記障害物の方位の平均値と、をそれぞれ算出し、算出した前記第2検出範囲における前記障害物の方位の平均値と、前記第3検出範囲における前記障害物の方位の平均値と、の平均値を出力することを特徴とする。
【0012】
上記駐車支援装置の制御方法において、前記車両を駐車させる仮駐車枠を前記駐車領域に設定する仮駐車枠設定ステップを有し、前記方位算出ステップは、前記仮駐車枠設定ステップにより設定された前記仮駐車枠の方位を求め、前記分割範囲ごとに算出した前記障害物の方位のうち、前記仮駐車枠の方位との差が、予め設定されたしきい値以上である方位を除外して、前記第1検出範囲、前記第2検出範囲及び前記第3検出範囲の検出範囲ごとに前記障害物の方位を算出することを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は駐車支援装置の制御方法であって、前記駐車支援装置を搭載した車両が駐車可能な駐車領域を検出する駐車領域検出ステップと、前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車方向を特定する駐車方向特定ステップと、前記車両の周囲に存在する障害物を検出する障害物検出ステップと、前記駐車領域と、前記駐車領域に隣接する領域とを含む領域を、前記障害物の方位を検出する検出範囲に設定する検出範囲設定ステップと、前記検出範囲を、前記駐車方向特定ステップにより特定した前記駐車方向に対応づけられた方向に分割して複数の分割範囲を生成する分割ステップと、前記障害物検出ステップにより検出された障害物の方位であって、前記駐車方向に延伸する前記障害物の側面の方位を前記分割範囲ごとに算出し、前記分割範囲の各々で算出された前記障害物の方位の平均値を算出する方位算出ステップと、前記方位算出ステップにより算出された前記方位の平均値に基づいて前記駐車領域に前記車両を駐車させる場合の駐車位置を設定する駐車位置設定ステップと、を有し、前記分割ステップは、前記駐車方向特定ステップにより特定された前記駐車方向が、前記車両の前後軸方向に平行な方向である場合、前記駐車方向に対応づけられた方向として、前記前後軸方向に直交する方向に前記検出範囲を分割し、前記駐車方向特定ステップにより特定された前記駐車方向が、前記車両の幅方向に平行な方向である場合、前記駐車方向に対応づけられた方向として、前記幅方向に直交する方向に前記検出範囲を分割することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、駐車領域の周囲に存在する障害物に応じた好適な方位で車両を駐車させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】センサ部及び撮像部の搭載位置を示す図である。
【
図6】自車両を縦列駐車の駐車領域に駐車させた状態を示す図である。
【
図7】自車両を並列駐車の駐車領域に駐車させた状態を示す図である。
【
図10】検出範囲が設定されたマップの一例を示す図である。
【
図11】検出範囲を複数の分割範囲に分割した状態を示す図である。
【
図13】並列駐車の場合の検出範囲を示す図である。
【
図14】駐車支援装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明を適用した実施形態について説明する。
図1は、車載装置1の構成を示すブロック図である。
車載装置1は、車両に搭載される装置であり、車載装置1を搭載した車両の走行を制御する。以下、車載装置1を搭載した車両を自車両5と表記し、自車両5以外の車両を他車両7と表記して
自車両5と区別する。
【0019】
自車両5は、運転者の運転操作による走行が可能な車両であり、また、運転者が運転操作を行うことなく、コンピュータ制御による自動運転によって走行が可能な車両である。自車両5は、例えば、エンジン駆動の四輪車両や、モーター駆動式の電動車両、モーター及びエンジンを搭載したハイブリット車両等の車両であり、四輪車両以外の車両であってもよい。
【0020】
車載装置1は、センサ部10、撮像部30、ナビゲーション装置50、記憶部70、車両制御ユニット90及び駐車支援装置100を備える。これらの各部は、例えば、CAN(Controller Area Network)150等の通信バスによって相互にデータ通信可能に接続される。
【0021】
図2は、自車両5におけるセンサ部10及び撮像部30の搭載位置を示す図である。
センサ部10は、複数の超音波ソナーを備える。超音波ソナーを以下、簡単にソナーと表記する。本実施形態のセンサ部10は、ソナー15a~15fの6つのソナーを備える。
【0022】
ソナー15aは、自車両5のフロントバンパーや、フロントグリルに取り付けられ、ソナー15bは、自車両5のリアバンパーやリアガーニッシュに取り付けられる。また、ソナー15cは、自車両5の左側方の前方に取り付けられ、ソナー15dは、自車両5の左側方の後方に取り付けられる。また、ソナー15eは、自車両5の右側方の前方に取り付けられ、ソナー15fは、自車両5の右側方の後方に取り付けられる。
【0023】
ソナー15a~15fは、自車両5の周囲の所定の角度範囲に向けて超音波をそれぞれ射出する。ソナー15a~15fは、超音波を射出してから、障害物で反射した超音波の反射波を受信するまでの時間差により障害物との距離を検出する。また、ソナー15a~15fは、反射波の受信方向により障害物が存在する方向を検出する。ソナー15a~15fは、検出した障害物の距離及び方位を示す情報(以下、検出情報という)を駐車支援装置100に出力する。駐車支援装置100は、入力された検出情報をメモリ110に一時的に記憶させる。
【0024】
撮像部30は、フロントカメラ31、左サイドカメラ33、右サイドカメラ35及びリアカメラ37を備える。フロントカメラ31、左サイドカメラ33、右サイドカメラ35及びリアカメラ37は、それぞれCCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)等のイメージセンサと、イメージセンサの受光状態から撮像画像を生成するデータ処理回路とを備える。フロントカメラ31、左サイドカメラ33、右サイドカメラ35及びリアカメラ37は、これらの4台のカメラにより自車両5を中心に360°の範囲を撮像可能となるように画角が調整されている。フロントカメラ31、左サイドカメラ33、右サイドカメラ35及びリアカメラ37は、各々の撮像範囲を所定のフレームレートで撮像して撮像画像を生成する。撮像部30は、生成した撮像画像を駐車支援装置100に出力する。駐車支援装置100は、入力された撮像画像をメモリ110に一時的に記憶させる。
【0025】
フロントカメラ31は、例えば、フロントグリル等の先端部や、車室内のバックミラー裏面等に取り付けられ、所定のフレームレートで路面を含む自車両5の前方を撮像する。自車両5の前方とは、運転者席に着座した運転者から見てフロントグラスに向かう方向をいう。
【0026】
右サイドカメラ35は、例えば、右ドラミラーに取り付けられ、所定のフレームレートで、路面を含む自車両5の右側面を撮像する。左サイドカメラ33は、例えば、左ドアミラーに取り付けられ、所定のフレームレートで路面を含む自車両5の左側面を撮像する。
【0027】
リアカメラ37は、例えば、リアゲートの開放レバーや、リアスポイラー等に取り付けられ、所定のフレームレートで路面を含む自車両5の後方を撮像する。自車両5の後方とは、自車両5の前方とは逆方向であって、運転者席に着座した運転者から見てリアガラスに向かう方向である。
【0028】
撮像部30が備えるカメラの台数や配置は一例であり、任意に変更可能である。すなわち、自車両5を中心に360°の範囲を撮像可能であれば、自車両5に設けられるカメラの台数は、更に多くてもよく、また、少なくてもよい。
【0029】
ナビゲーション装置50は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される測位信号を受信し、受信した測位信号に基づいて自車両5の絶対位置である緯度及び経度を算出する。また、ナビゲーション装置50は、不図示の操作部を備え、この操作部により目的地の入力を受け付けると、現在位置と目的地とを結ぶ最適な誘導経路を探索する。また、ナビゲーション装置50は、ディスプレイを含む表示部55を備え、探索した誘導経路や、乗員への案内表示を表示部55に表示させる。
【0030】
記憶部70は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置により構成される。記憶部70は、ナビゲーション装置50が誘導経路を探索するときや、探索した誘導経路を含む経路案内を表示させるときに使用される地図データ75を記憶する。
【0031】
車両制御ユニット90は、自車両5の走行を制御する。車両制御ユニット90は、エンジンやステアリング、ブレーキ及びトランスミッション等の駆動機構を制御し、駐車支援装置100が算出した経路に沿って自車両5を走行させる。このとき、車両制御ユニット90は、センサ部10の検出情報や、撮像部30の撮像画像に基づいて障害物を検出し、検出した障害物との衝突を回避しながら自車両5を目標位置である駐車位置に移動させる。
【0032】
駐車支援装置100は、センサ部10の検出情報や、撮像部30の撮像画像に基づき、自車両5を駐車可能な駐車領域300(
図4参照)を検出する。駐車支援装置100は、検出した駐車領域300内に自車両5の駐車位置を設定し、設定した駐車位置に至る駐車経路を算出する。
【0033】
次に、駐車支援装置100について説明する。
駐車支援装置100は、メモリ110と、プロセッサ130とを備えたコンピュータ装置であるECU(Electronic Control Unit)によって構成される。
【0034】
メモリ110は、不揮発性記憶装置と、揮発性記憶装置とを備える。メモリ110は、不揮発性記憶装置だけにより構成してもよい。不揮発性記憶装置は、例えば、ROM(read only memory)やフラッシュメモリによって構成され、揮発性記憶装置は、例えば、RAM(Random access memory)によって構成される。
不揮発性記憶装置は、制御プログラム115を記憶する。また、揮発性記憶装置は、センサ部10の検出情報や、撮像部30が生成した撮像画像等を記憶する。
【0035】
プロセッサ130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)により構成される演算処理装置である。プロセッサ130は、制御プログラム115を実行して車載装置1の各部を制御する。プロセッサ130は、単一のプロセッサにより構成してもよいし、複数のプロセッサにより構成することも可能である。また、プロセッサ130は、メモリ110の一部又は全部や、その他の回路と統合されたSoC(System on Chip)により構成してもよい。また、プロセッサ130は、プログラムを実行するCPUと、所定の演算処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)との組み合せにより構成してもよい。さらに、プロセッサ130の機能の全てをハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。
【0036】
駐車支援装置100は、機能ブロックとして、画像処理部131、障害物検出部132、駐車領域検出部133、駐車方向特定部134、仮駐車枠設定部135、検出範囲設定部136、分割部137、方位算出部138、駐車位置設定部139及び駐車経路算出部140を備える。これらの機能ブロックは、プロセッサ130が制御プログラム115に記述された命令セットを実行してデータの演算や制御を行うことにより実現される機能をブロックにより示したものである。
【0037】
画像処理部131は、メモリ110から撮像画像を読み出す。撮像画像は、フロントカメラ31、左サイドカメラ33、右サイドカメラ35及びリアカメラ37によって撮像された撮像画像である。画像処理部131は、読み出した撮像画像に設定された座標系での座標を、周知の変換式により世界座標系の座標に変換し、世界座標系の座標における画素値を算出する。世界座標系は、例えば、自車両5の中心、例えば、前輪車軸中心や車両の重心等を原点とし、自車両5の前後方向をY軸、左右方向をX軸とする座標系である。世界座標系の座標における画素値に変換された画像を、以下では「変換画像」という。
【0038】
障害物検出部132は、センサ部10の検出情報や、撮像部30の撮像画像に基づいて自車両5の周囲に存在する障害物を検出する。障害物検出部132が検出する障害物には、他車両7の他、自車両5が走行する道路等に存在する縁石やガードレール、塀、柵等の固定障害物が含まれる。
【0039】
図3は、マップ200の一例を示す図である。
障害物検出部132は、センサ部10の検出情報や、変換画像を解析して、自車両5の周囲に存在する障害物の距離や方位を示すデータをマップ200に記録する。マップ200は、例えば、メモリ110が備える揮発性記憶装置の記憶領域に生成される。マップ200には、自車両5の中心、例えば、前輪車軸中心や車の重心等を原点とし、自車両5の前後方向をY軸、左右方向をX軸とする座標系が設定される。すなわち、マップ200の座標系は、世界座標系に対応する。
【0040】
障害物検出部132は、センサ部10の検出情報により障害物が検出された場合、検出された障害物の方位や距離に基づいてマップ200にデータを記録する。また、障害物検出部132は、変換画像により障害物が検出された場合も、検出された障害物の方位や距離に基づいてマップ200にデータを記録する。詳細には、障害物検出部132は、検出された障害物の方位や距離に対応するマップ200の位置に、障害物が存在することを示すデータを記録する。
図3に示すマップ200には、検出された障害物の方位や距離に対応するマップ200の位置に、データ210が記録された状態を示す。
【0041】
駐車領域検出部133は、駐車領域300を検出する。駐車領域300とは、自車両5を駐車可能な広さを有し、自車両5を駐車させたときに他車両7の走行の妨げにならず、駐停車禁止路側帯、歩行者専用路側帯、駐停車禁止場所、停車禁止場所等の駐車や停車が禁止された場所ではない領域である。
【0042】
駐車領域検出部133は、ナビゲーション装置50から地図データ75を取得する。この地図データ75は、ナビゲーション装置50が測位信号に基づいて算出した自車両5の現在位置の緯度及び経度を含む所定範囲の地図である。また、駐車領域検出部133は、障害物検出部132が検出したマップ200を取得する。
【0043】
駐車領域検出部133は、まず、取得したマップ200に基づき、他車両7等の障害物が存在せず、他車両7の走行の妨げとならず、予め設定された設定サイズ以上の広さを有する領域を検出する。駐車領域検出部133は、領域を検出すると、地図データ75を参照して、検出した領域が、駐停車禁止路側帯、歩行者専用路側帯、駐停車禁止場所、停車禁止場所等の駐車や停車が禁止された場所であるか否かを判定する。駐車領域検出部133は、検出した領域が、駐車や停車が禁止された場所である場合、領域の検出を再度、行う。また、駐車領域検出部133は、検出した領域が駐車や停車が禁止された場所ではない場合、検出した領域を駐車領域300として特定する。駐車領域検出部133は、検出した駐車領域300を
図3に示すマップ200上に設定する。
【0044】
駐車方向特定部134は、駐車領域300に自車両5を駐車させる場合の駐車方向を特定する。例えば、駐車方向特定部134は、駐車種別を判定して駐車方向を判定する。駐車種別には、縦列駐車と並列駐車とが含まれる。縦列駐車は、他車両7と自車両5とが自車両5の前後軸8の方向(
図6参照)に沿って配列するように、自車両5を駐車させる態様である。また、並列駐車は、駐車領域300に自車両5を駐車させた場合に、他車両7と自車両5とが自車両5の幅方向9(
図7参照)に沿って配列されるように、自車両5を駐車させる態様である。
【0045】
図4は、駐車領域300への駐車形態が縦列駐車である場合を示し、
図5は、駐車領域300への駐車形態が並列駐車である場合を示す。
図4及び
図5に破線で囲んで示した領域が駐車領域300である。また、
図4において、他車両7の左側には縁石420が設けられ、他車両7は縁石420に沿って駐車している。また、自車両5は、通路410を徐行又は一時停止している状態にある。
図4には、駐車領域300の長手方向の両側に他車両7が駐車した状態を示すが、他車両7は、駐車領域300の長手方向の一方の側にだけ駐車していてもよい。また、
図5には、駐車領域300の短手方向の両側に他車両7が駐車した状態を示すが、他車両7は、駐車領域300の短手方向の一方の側にだけ駐車していてもよい。
【0046】
駐車方向特定部134は、自車両5が通路410を通行しているときに、左サイドカメラ33又は右サイドカメラ35の撮像画像から、駐車領域300に隣接する隣接領域に駐車する他車両7の側面を検出した場合、駐車領域300の駐車種別を縦列駐車と判定する。また、駐車方向特定部134は、自車両5が通路410を通行しているときに、左サイドカメラ33又は右サイドカメラ35の撮像画像から、駐車領域300に隣接する隣接領域に駐車する他車両7の前面又は後面を検出した場合、駐車領域300の駐車種別を並列駐車と判定する。
【0047】
また、駐車方向特定部134は、駐車領域300の両側に他車両7が駐車している場合、両側に駐車している他車両7間の距離を、予め設定された基準値と比較して、駐車形態が縦列駐車であるのか、並列駐車であるのかを判定してもよい。縦列駐車の場合、他車両7間の距離が基準値より大きくなり、並列駐車の場合、他車両7間の距離が基準値よりも小さくなる。
【0048】
図6は、
図4に示す駐車領域300に自車両5を移動させた状態を示す図である。
駐車方向特定部134は、自車両5と他車両7とが
図4に示す位置関係にあり、駐車種別が縦列駐車であると判定すると、駐車方向を、自車両5の前後軸8の方向に平行な方向と判定する。駐車方向とは、駐車領域300に駐車させた場合に、自車両5の前後軸8が向く方向を、
図4に示す現在位置での自車両5の前後軸8の方向又は幅方向9により特定したものである。縦列駐車の場合、駐車領域300に自車両5を駐車させると、
図6に示すように、移動前の自車両5の前後軸8の方向と、駐車領域300に移動後の自車両5の前後軸8の方向とは略平行な方向となる。なお、
図6には、移動前の自車両5を破線で示し、移動後の自車両5を
図6に実線で示す。この場合、駐車方向特定部134は、駐車方向を、自車両5の前後軸8に平行な方向と判定する。
【0049】
図7は、
図5に示す自車両5を駐車領域300に駐車させた状態を示す図である。
また、駐車方向特定部134は、自車両5と他車両7とが
図5に示す位置関係にあり、駐車種別が並列駐車であると判定すると、駐車方向を、自車両5の幅方向9に平行な方向と判定する。並列駐車の場合、駐車領域300に自車両5を駐車させると、
図7に示すように、移動前の自車両5の幅方向9と、駐車領域300に移動後の自車両5の前後軸8の方向とは略平行な方向となる。なお、
図7には移動前の自車両5を破線で示し、移動後の自車両5を実線で示す。この場合、駐車方向特定部134は、駐車方向を、自車両5の幅方向9に平行な方向と判定する。
【0050】
図8は、駐車領域300を上から見た状態を示す図である。特に、
図8は、仮駐車枠310を設定した状態を示す図である。
仮駐車枠設定部135は、マップ200上に設定した駐車領域300内に仮駐車枠310を設定する。仮駐車枠310は、駐車領域300に自車両5を駐車させる場合の仮の駐車位置を示す。例えば、
図8に示すように、駐車領域300の長手方向(自車両5の前後軸8の方向)の両側に、他車両7A、7Bが駐車している場合、仮駐車枠設定部135は、駐車領域300の長手方向における仮駐車枠310の位置を、他車両7Aと他車両7Bとの中間の位置に設定する。また、駐車領域300の長手方向の片側に、他車両7が駐車している場合、仮駐車枠設定部135は、他車両7との距離が予め設定された距離となるように駐車領域300の長手方向における仮駐車枠310の位置を設定する。
【0051】
また、仮駐車枠設定部135は、駐車領域300の短手方向(幅方向9)における仮駐車枠310の位置を、自車両5と他車両7A、7Bとの距離に基づいて設定する。
例えば、仮駐車枠設定部135は、他車両7A及び7Bの側面を検出し、検出した側面の自車両5の前後軸8との距離に基づいて仮駐車枠310の幅方向における位置を設定する。例えば、仮駐車枠設定部135は、他車両7Aの前輪と後輪との間を他車両7Aの側面Sとし、この側面S上の選択した複数の点と、自車両5の前後軸8との距離をそれぞれ求める。また、仮駐車枠設定部135は、他車両7Bの前輪と後輪との間を他車両7Bの側面Tとし、この側面T上の選択した複数の点と、自車両5の前後軸8との距離をそれぞれ求める。仮駐車枠設定部135は、求めた側面S及びTの複数の点の前後軸8との距離の平均値を算出し、算出した平均値を自車両5の幅方向における仮駐車枠310の位置に設定する。
【0052】
図9及び
図10は、検出範囲350を示す図である。
検出範囲設定部136は、自車両5の現在位置に基づき、マップ200に検出範囲350を設定する。検出範囲350は、他車両7や、縁石やガードレール、塀、柵等の障害物を検出する範囲である。
図9では説明の便宜のため、自車両5や他車両7に重ねて検出範囲350を示すが、実際には、検出範囲設定部136は、マップ200に検出範囲350を設定する。
図10は、マップ200に検出範囲350が設定された状態を示す。
図10には、検出範囲350を実線で示すが、検出範囲350を示すデータをマップ200に記録する必要はなく、検出範囲350に対応するマップ200の座標等をメモリ110に記録しておけばよい。なお、
図10には、自車両5と検出範囲350との位置関係を明確にするため、自車両5の位置を破線で示す。
【0053】
検出範囲350の長手方向は、自車両5の前後軸8に平行な方向に設定される。検出範囲350は、第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380の3つの範囲を含む。第1検出範囲360は、駐車領域300を含む範囲に設定される。第1検出範囲360は、例えば、縁石やガードレール、塀、柵等の障害物を検出するため、自車両5の幅方向9におけるサイズが、駐車領域300よりも広く設定される。
【0054】
第2検出範囲370及び第3検出範囲380は、第1検出範囲360に隣接する範囲である。第2検出範囲370は、自車両5の前後軸8の方向の前方で第1検出範囲360に接する領域である。また、第3検出範囲380は、自車両5の前後軸8の方向の後方で第1検出範囲360に接する領域である。
自車両5の前後軸8の方向における第2検出範囲370及び第3検出範囲380の長さは、例えば、車両の全長を検出可能なサイズに基づいて設定される。また、例えば、撮像部30の撮像画像により、他車両7がバスやトラックであることが検出された場合、バスやトラックに対応して第2検出範囲370や第3検出範囲380の長手方向の長さを変更してもよい。
【0055】
図11は、検出範囲350を複数の分割範囲に分割した状態を示す図である。
分割部137は、検出範囲設定部136が設定した検出範囲350を分割して複数の分割範囲を生成する。分割部137は、駐車方向特定部134が駐車方向を自車両5の前後軸8の方向に平行な方向と判定した場合、検出範囲350の分割方向を、自車両5の前後軸8の方向に直交する方向と判定する。「自車両5の前後軸8の方向に直交する方向」は、駐車方向が自車両5の前後軸8の方向に平行な方向であると判定された場合に対応づけられた方向である。また、分割部137は、駐車方向特定部134が駐車方向を自車両5の幅方向9に平行な方向と判定した場合、検出範囲350の分割方向を、自車両5の幅方向9に直交する方向と判定する。「自車両5の幅方向9に直交する方向」は、駐車方向が自車両5の幅方向9に平行な方向であると判定された場合に対応づけられた方向である。
【0056】
図11には、第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380の各々を、自車両5の前後軸8の方向に直交する方向に8等分した状態を示す。
第1検出範囲360は、分割範囲361、分割範囲362、分割範囲363、分割範囲364、分割範囲365、分割範囲366、分割範囲367及び分割範囲368の8つの領域に分割される。
第2検出範囲370は、分割範囲371、分割範囲372、分割範囲373、分割範囲374、分割範囲375、分割範囲376、分割範囲377及び分割範囲378の8つの領域に分割される。
第3検出範囲380は、分割範囲381、分割範囲382、分割範囲383、分割範囲384、分割範囲385、分割範囲386、分割範囲387及び分割範囲388の8つの領域に分割される。
【0057】
なお、
図11には、第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380の各々を8等分した状態を示したが、分割数は8つに限定されるものではなく、任意である。また、第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380の分割数がそれぞれ異なっていてもよい。
【0058】
方位算出部138は、分割範囲361~368、371~378、381~388の各々における障害物の方位を検出する。
例えば、第1検出範囲360の分割範囲361を例にして説明すると、方位算出部138は、分割範囲361に対応するマップ200の領域を参照して、障害物が検出されたことを示すデータ210が記録されたマップ200の画素を特定する。方位算出部138は、分割範囲361において、データ210が記録された画素が少なくとも2以上検出された場合、最小二乗法に基づき、モデル関数とデータ210が記録された画素の座標値との二乗誤差が最小になるように、モデル関数の係数を算出して分割範囲361における障害物の方位を検出する。マップ200には、自車両5に面した障害物の側面との距離が記録されている。このため、データ210が記録された画素が少なくとも2以上検出された場合、最小二乗法に基づいて障害物の方位を検出することで、自車両5に面した障害物の側面の方位が特定される。
【0059】
方位算出部138は、他の分割範囲362~368についても同様に処理する。また、方位算出部138は、第2検出範囲370や第3検出範囲380の分割範囲371~378、381~388についても同様に処理を行い、各分割範囲371~378、381~388における障害物の方位を検出する。なお、分割範囲に対応するマップ200の領域に、障害物が検出されたことを示すデータ210が1つだけ検出された場合、又はデータ210が記録されていない場合、方位算出部138は、この分割範囲には障害物がないと判定する。
【0060】
次に、方位算出部138は、仮駐車枠310の方位を算出する。方位算出部138は、マップ200上に設定した仮駐車枠310の長手方向を、仮駐車枠310の方位として算出する。
【0061】
次に、方位算出部138は、第1検出範囲360の分割範囲である分割範囲361~368の各々で算出した障害物の方位と、仮駐車枠310の方位とを比較する。
方位算出部138は、分割範囲361~368の障害物の方位のうち、仮駐車枠310の方位との差がしきい値よりも小さい方位を、メモリ110に記憶させ、仮駐車枠310の方位との差がしきい値以上の方位を、メモリ110に記憶させずに消去する。他車両7の前端部や後端部は、例えば、バンパー等の曲線によって構成される場合がある。この曲線部分を障害物の方位として検出し、検出した方位を用いて他車両7の方位を算出した場合、他車両7の方位に誤差が含まれ、好ましい方位とはならない場合がある。このため、方位算出部138は、仮駐車枠310の方位との差が予め設定されたしきい値以上ある分割範囲361~368での方位を、平均値の算出対象から除外する。
【0062】
また、方位算出部138は、第2検出範囲370の分割範囲である分割範囲371~378の各々で算出した障害物の方位についても、仮駐車枠310の方位との比較を行う。方位算出部138は、分割範囲371~378における障害物の方位のうち、仮駐車枠310の方位との差がしきい値よりも小さい方位を、メモリ110に記憶させ、仮駐車枠310の方位との差がしきい値以上の方位を、メモリ110に記憶させずに消去する。
同様に、方位算出部138は、第3検出範囲380の分割範囲である分割範囲381~388の各々で算出した障害物の方位についても、仮駐車枠310の方位との比較を行う。方位算出部138は、分割範囲381~388における障害物の方位のうち、仮駐車枠310の方位との差がしきい値よりも小さい方位を、メモリ110に記憶させ、仮駐車枠310の方位との差がしきい値以上の方位を、メモリ110に記憶させずに消去する。
【0063】
図12は、検出範囲350を示す図である。
図12には、他車両7A及び7Bが道路の路肩に沿って駐車した状態を示す。道路は大きく屈曲しており、第2検出範囲370で検出される他車両7Aの側面の方位と、第3検出範囲380で検出される他車両7Bの側面の方位との方向が大きく異なる。このような場合に、第2検出範囲370において検出した障害物の方位と、第3検出範囲380において検出した障害物の方位との平均値を、仮駐車枠310の方位に設定した場合、駐車領域300に駐車させた自車両5の方位が好ましい方位にならない場合がある。そこで、本実施形態では、第2検出範囲370の分割範囲である分割範囲371~378における障害物の方位のうち、仮駐車枠310の方位との差がしきい値以上の方位を、メモリ110に記憶させずに消去する。同様に、第3検出範囲380の分割範囲である分割範囲381~388における障害物の方位のうち、仮駐車枠310の方位との差がしきい値以上の方位を、メモリ110に記憶させずに消去する。
【0064】
次に、方位算出部138は、分割範囲361~368における障害物の方位をメモリ110から取得する。分割範囲361~368のうち、メモリ110に記憶させずに消去した方位については、方位算出部138が取得することはない。方位算出部138は、分割範囲361~368における障害物の方位を取得すると、取得した障害物の方位の平均値を求める。求めた障害物の方位は、第1検出範囲360における障害物の方位としてメモリ110に記憶される。
【0065】
同様に、方位算出部138は、分割範囲371~378における障害物の方位をメモリ110から取得する。分割範囲371~378のうち、メモリ110に記憶させずに消去した方位については、方位算出部138が取得することはない。方位算出部138は、分割範囲371~378に対応する障害物の方位を取得すると、取得した障害物の方位の平均値を求める。求めた障害物の方位は、第2検出範囲370における障害物の方位としてメモリ110に記憶される。
同様に、方位算出部138は、分割範囲381~388における障害物の方位をメモリ110から取得する。分割範囲381~388のうち、メモリ110に記憶させずに消去した方位については、方位算出部138が取得することはない。方位算出部138は、分割範囲381~388に対応する障害物の方位を取得すると、取得した障害物の方位の平均値を求める。求めた障害物の方位は、第3検出範囲380における障害物の方位としてメモリ110に記憶される。
【0066】
駐車位置設定部139は、第1検出範囲360における障害物の方位が方位算出部138により算出されたか否かを判定する。駐車位置設定部139は、第1検出範囲360における障害物の方位が算出された場合、算出した第1検出範囲360における障害物の方位と、仮駐車枠310とに基づいて駐車位置を設定する。例えば、駐車位置設定部139は、駐車位置の方位を、第1検出範囲360における障害物の方位とし、駐車位置の縦及び横方向のサイズを、仮駐車枠310のサイズに対応したサイズに設定する。
【0067】
第1検出範囲360は、駐車領域300を含む領域であるため、第1検出範囲360において他車両7が障害物として検出されることはない。第1検出範囲360では、縁石やガードレール、塀等が障害物として検出される。このため、駐車位置の方位を、縁石やガードレールの方位に一致させることで、縁石やガードレールに沿って自車両5を駐車させることができ、駐車時の自車両5の方位を好適な方位に設定することができる。
【0068】
また、駐車位置設定部139は、第1検出範囲360における障害物の方位が算出されなかった場合、第2検出範囲370における障害物の方位と、第3検出範囲380における障害物の方位との平均値と、仮駐車枠310とに基づいて駐車位置を設定する。これにより、自車両5の前後軸8の方向の前方及び後方の少なくも一方に他車両7が駐車している場合、駐車位置における自車両5の方位を、障害物である他車両7の方位に合わせることができる。
【0069】
図13は、駐車種別が並列駐車である場合の第1検出範囲360、第2検出範囲370、及び第3検出範囲380を示す図であって、これらの範囲を複数の分割範囲に分割した状態を示す図である。
駐車方向特定部134は、自車両5の駐車種別が並列駐車である場合、駐車方向を、自車両5の幅方向9に平行な方向と判定する。分割部137は、自車両5の駐車方向が幅方向9に平行な方向である場合、この駐車方向に対応づけられた方向として、幅方向9に直交する方向に第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380を分割する。そして、方位算出部138は、第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380を分割した分割範囲361~368、371~378、381~388の各々において検出される障害物の方位を算出する。その後、方位算出部138は、分割範囲361~368における障害物の方位の平均値を、第1検出範囲360における障害物の方位として算出する。同様に、方位算出部138は、分割範囲371~378における障害物の方位の平均値を、第2検出範囲370における障害物の方位として算出し、分割範囲381~388における障害物の方位の平均値を、第3検出範囲380における障害物の方位として算出する。
【0070】
駐車経路算出部140は、自車両5の現在位置から、駐車位置設定部139により設定された駐車位置に至る駐車経路を算出する。駐車経路は、駐車位置に移動するために必要な切り返し位置を含む。駐車経路は線として定義され、また、自車両5の車幅を考慮した帯状の領域として定義される。
【0071】
図14は、本実施形態の駐車支援装置100の動作を示すフローチャートである。
図14に示すフローチャートを参照しながら本実施形態の動作を説明する。
まず、駐車支援装置100は、センサ部10の検出情報や、撮像部30の撮像画像をメモリ110から取得する(ステップS1)。
駐車支援装置100は、取得したセンサ部10の検出情報や、変換画像を解析して自車両5の周囲に存在する障害物を検出する。駐車支援装置100は、検出した障害物の距離や方位に対応するマップ200の位置に、障害物が存在することを示すデータ210を記録してマップ200を生成する(ステップS2)。ステップS2は、本発明の「障害物検出ステップ」に相当する。
【0072】
次に、駐車支援装置100は、駐車領域300を検出する(ステップS3)。ステップS3は、本発明の「駐車領域検出ステップ」に相当する。
まず、駐車支援装置100は、自車両5の現在位置を含む地図データ75をナビゲーション装置50から取得する。駐車支援装置100は、マップ200を参照して、自車両5を駐車可能な広さを有し、自車両5を駐車させたときに他車両7の走行の妨げにならない領域を検出する。駐車支援装置100は、検出した領域が、駐停車禁止路側帯、歩行者専用路側帯、駐停車禁止場所、停車禁止場所等の駐車や停車が禁止された場所であるか否かを、地図データ75を参照して判定する。駐車支援装置100は、検出した領域が駐車や停車が禁止されていない場合、この検出した領域を駐車領域と判定する。
【0073】
次に、駐車支援装置100は、駐車領域300の駐車種別を判定して駐車方向を特定する(ステップS4)。ステップS4は、本発明の「駐車方向特定ステップ」に相当する。
例えば、駐車支援装置100は、左サイドカメラ33や、右サイドカメラ35の撮像画像から他車両7の側面が検出された場合、駐車領域300の駐車種別を縦列駐車と判定する。また、駐車支援装置100は、左サイドカメラ33や、右サイドカメラ35の撮像画像から他車両7の前面又は後面が検出された場合、駐車領域300の駐車種別を並列駐車と判定する。駐車支援装置100は、駐車種別を縦列駐車と判定した場合、駐車方向を、自車両5の前後軸8の方向に平行な方向と特定する。また、駐車方向特定部134は、駐車種別が並列駐車である場合、駐車方向を、自車両5の幅方向9に平行な方向と特定する。
【0074】
次に、駐車支援装置100は、仮駐車枠310をマップ200上に設定する(ステップS5)。ステップS5は、本発明の「仮駐車枠設定ステップ」に相当する。
例えば、
図8に示すように駐車領域300の長手方向の両端部に、他車両7A、7Bが駐車している場合、仮駐車枠設定部135は、自車両5の前後軸8の方向における仮駐車枠310の位置を、他車両7A及び他車両7Bから等距離の位置に設定する。
【0075】
また、駐車支援装置100は、自車両5の幅方向9における仮駐車枠310の位置を、自車両5と他車両7A、7Bとの距離に基づいて設定する。例えば、仮駐車枠設定部135は、他車両7A及び7Bの側面を検出し、検出した側面と、自車両5の前後軸8との距離に基づいて仮駐車枠310の幅方向における位置を設定する。
【0076】
次に、駐車支援装置100は、仮駐車枠310の方位を特定する(ステップS6)。駐車支援装置100は、マップ200上に設定した仮駐車枠310の長手方向を、仮駐車枠310の方位として算出する。
【0077】
次に、駐車支援装置100は、自車両5の現在位置を基準にして第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380をマップ200に設定する(ステップS7)。ステップS7は、本発明の「検出範囲設定ステップ」に相当する。
【0078】
次に、駐車支援装置100は、第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380の各々を、複数の分割範囲361~368、371~378及び381~388に分割する(ステップS8)。ステップS8は、本発明の「分割ステップ」に相当する。ここで、駐車支援装置100は、ステップS4で特定した駐車方向が、自車両5の前後軸8の方向に平行な方向である場合、前後軸8の方向に直交する方向に第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380を分割する。また、駐車支援装置100は、ステップS4で特定した駐車方向が、自車両5の幅方向9に平行な方向である場合、幅方向に直交する方向に第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380を分割する。
【0079】
次に、駐車支援装置100は、分割範囲の1つを選択する(ステップS9)。駐車支援装置100は、選択した分割範囲に対応するマップの領域を参照して、分割範囲内の少なくとも2点で障害物が検出されたか否かを判定する(ステップS10)。駐車支援装置100は、分割範囲内の少なくとも2点で障害物が検出されなかった場合(ステップS10/NO)、ステップS14の判定に移行し、すべての分割範囲を選択したか否かを判定する。
【0080】
また、駐車支援装置100は、分割範囲内の少なくもと2点で障害物を検出した場合(ステップS10/YES)、分割範囲内での障害物の方位を算出する(ステップS11)。ステップS11は、本発明の「方位算出ステップ」に相当する。具体的には、駐車支援装置100は、最小二乗法に基づき、モデル関数とデータ210が記録された画素の座標値との二乗誤差が最小になるように、モデル関数の係数を算出して分割範囲における障害物の方位を検出する。
【0081】
次に、駐車支援装置100は、算出した分割範囲での障害物の方位と、仮駐車枠310の方位との差がしきい値以上であるか否かを判定する(ステップS12)。駐車支援装置100は、分割範囲での障害物の方位と、仮駐車枠310の方位との差がしきい値以上である場合(ステップS12/YES)、算出した方位を破棄してステップS14の判定に移行する。
また、駐車支援装置100は、分割範囲での障害物の方位と、仮駐車枠310の方位との差がしきい値よりも小さい場合(ステップS12/NO)、分割範囲での障害物の方位をメモリ110に記憶させる(ステップS13)。
【0082】
次に、駐車支援装置100は、すべての分割範囲を選択したか否かを判定する(ステップS14)。駐車支援装置100は、すべての分割範囲を選択していない場合(ステップS14/NO)、ステップS9の処理に戻り、分割範囲の1つを選択する。また、駐車支援装置100は、すべての分割範囲を選択した場合(ステップS14/YES)、第1検出範囲360を分割した分割範囲361~368で障害物の方位が算出されたか否かを判定する(ステップS15)。
【0083】
駐車支援装置100は、第1検出範囲360を分割した分割範囲361~368での障害物の方位が検出された場合(ステップS15/YES)、第1検出範囲360に含まれる分割範囲361~368の方位の平均値を算出する(ステップS16)。そして、駐車支援装置100は、仮駐車枠310と、算出した第1検出範囲360における方位の平均値とに基づいて駐車位置を設定する。すなわち、駐車支援装置100は、駐車位置の方位を、第1検出範囲360における方位の平均値とし(ステップS18)、駐車位置の縦及び横方向のサイズを、仮駐車枠310のサイズに対応したサイズに設定する。そして、駐車支援装置100は、設定した駐車位置に至る駐車経路を算出し(ステップS19)、算出した駐車経路の情報を車両制御ユニット90に出力する。ステップS18は、本発明の「駐車位置設定ステップ」に相当する。
【0084】
また、駐車支援装置100は、第1検出範囲360に含まれる分割範囲361~368で障害物の方位が検出されなった場合(ステップS15/NO)、第2検出範囲370に含まれる分割範囲371~378における障害物の方位の平均値を第2検出範囲370における障害物の方位として算出する。同様に、駐車支援装置100は、第3検出範囲380に含まれる分割範囲381~388における障害物の方位の平均値を第3検出範囲380における障害物の方位として算出する。そして、駐車支援装置100は、検出した第2検出範囲370における障害物の方位と、第3検出範囲380における障害物の方位との平均値を算出する(ステップS17)。駐車支援装置100は、仮駐車枠310と、算出した第2検出範囲370及び第3検出範囲380における方位の平均値とに基づいて駐車位置を設定する。すなわち、駐車支援装置100は、駐車位置の方位を、第2検出範囲370及び第3検出範囲380における方位の平均値とし(ステップS18)、駐車位置の縦及び横方向のサイズを、仮駐車枠310のサイズに対応したサイズに設定する。そして、駐車支援装置100は、設定した駐車位置に至る駐車経路を算出し(ステップS19)、算出した駐車経路の情報を車両制御ユニット90に出力する。ステップS18は、本発明の「駐車位置設定ステップ」に相当する。
【0085】
以上説明したように本実施形態の駐車支援装置100は、駐車領域検出部133、駐車方向特定部134、障害物検出部132、検出範囲設定部136、分割部137、方位算出部138及び駐車位置設定部139を備える。
駐車領域検出部133は、駐車支援装置100を搭載した自車両5が駐車可能な駐車領域300を検出する。
駐車方向特定部134は、駐車領域300に自車両5を駐車させる場合の駐車方向を特定する。
障害物検出部132は、自車両5の周囲に存在する障害物を検出する。
検出範囲設定部136は、駐車領域300と、駐車領域300に隣接する領域とを含む領域を、障害物の方位を検出する検出範囲350に設定する。
分割部137は、検出範囲350を、駐車方向特定部134が特定した駐車方向に対応づけられた方向に分割して複数の分割範囲361~368、371~378、381~388を生成する。
方位算出部138は、障害物検出部132により検出された障害物の方位であって、駐車方向に延伸する障害物の側面の方位を分割範囲361~368、371~378、381~388ごとに算出する。方位算出部138は、分割範囲361~368、371~378、381~388の各々で算出された障害物の方位の平均値を算出する。
駐車位置設定部139は、障害物の方位の平均値に基づいて駐車領域300に自車両5を駐車させる場合の駐車位置を設定する。
従って、本実施形態によれば、駐車位置の方位を、分割範囲361~368、371~378、381~388の各々で算出した障害物の方位の平均値に設定することができる。例えば、障害物として他車両7を検出した場合、自車両5を駐車させるときの方位を、分割範囲ごとの他車両7の側面の方位の平均値に設定することができる。このため、他車両7の方位に合わせて自車両5を駐車させることができる。
【0086】
また、検出範囲350は、駐車領域300を含む第1検出範囲360と、第1検出範囲360に隣接する第2検出範囲370及び第3検出範囲380とを含む。
分割部137は、第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380の各々を複数に分割して分割範囲361~368、371~378、381~388を生成する。
方位算出部138は、第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380の検出範囲ごとに障害物の方位の平均値を算出する。また、方位算出部138は、第1検出範囲360を分割した分割範囲361~368で障害物の方位が算出された場合、算出された分割範囲361~368における障害物の方位の平均値を方位として出力する。
従って、駐車領域を含む第1検出範囲360で障害物が検出された場合に、駐車位置における自車両5の方位を、第1検出範囲360で検出された障害物の方位に合わせることができる。駐車領域300を含む第1検出範囲360で検出される障害物は、ガードレールや縁石、柵等であるため、これらの障害物の延伸方向に沿って自車両5を駐車させることができる。
【0087】
方位算出部138は、第1検出範囲360を分割した分割範囲361~368で障害物の方位が算出されなかった場合、第2検出範囲370を分割した分割範囲371~378で算出された障害物の方位の平均値と、第3検出範囲380を分割した分割範囲381~388で算出された障害物の方位の平均値と、をそれぞれ算出する。
方位算出部138は、算出した第2検出範囲370における障害物の方位の平均値と、第3検出範囲380における障害物の方位の平均値との平均値を方位として出力する。
従って、駐車領域を含む第1検出範囲360で障害物が検出されなかった場合に、駐車位置における自車両5の方位を、第2検出範囲370及び第3検出範囲380において検出された障害物の方位の平均値に設定することができる。このため、駐車位置における自車両5の方位を、駐車領域300に隣接する領域に駐車した他車両7の方位に合わせることができる。
【0088】
また、駐車支援装置100は、自車両5を駐車させる仮駐車枠310を駐車領域300内に設定する仮駐車枠設定部135を備える。方位算出部138は、仮駐車枠設定部135が設定した仮駐車枠310の方位を求める。また、方位算出部138は、分割範囲361~368、371~378、381~388ごとに算出した障害物の方位のうち、仮駐車枠310の方位との差が、予め設定されたしきい値以上である方位を除外して、第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380の検出範囲ごとに障害物の方位を算出する。
従って、分割範囲361~368、371~378、381~388ごとに算出した障害物の方位のうち、仮駐車枠310の方位との差が、予め設定されたしきい値以上である方位を除外することができる。このため、第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380における障害物の方位の検出精度を高めることができる。
【0089】
分割部137は、駐車方向特定部134が特定した駐車方向が、自車両5の前後軸8の方向に平行な方向である場合、駐車方向に対応づけられた方向として、前後軸8の方向に直交する方向に検出範囲を分割する。
また、分割部137は、駐車方向特定部134が特定した駐車方向が、車両の幅方向9に平行な方向である場合、駐車方向に対応づけられた方向として、幅方向9に直交する方向に第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380を分割する。
従って、駐車領域300において自車両5を駐車方向に駐車させる場合に、障害物の方位を検出可能な最適な方向に、第1検出範囲360、第2検出範囲370及び第3検出範囲380を分割することができる。
【0090】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び、応用が可能である。
例えば、
図1には、センサ部10が備えるセンサとしてソナー15a~15fを例示したが、センサはソナーに限定されない。センサは、例えば、ミリ波レーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)であってもよい。
【0091】
また、
図1は、本願発明を理解容易にするために、駐車支援装置100の構成を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、駐車支援装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0092】
また、本発明の駐車支援装置の制御方法を、コンピュータを用いて実現する場合、このコンピュータに実行させるプログラムを記録媒体、又はこのプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。記録媒体には、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、上記記録媒体は、駐車支援装置100が備えるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。
【0093】
また、例えば、
図14に示すフローチャートの処理単位は、駐車支援装置100の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。駐車支援装置100の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割してもよい。また、駐車支援装置100の処理は、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 車載装置
5 自車両
7 他車両
7A 他車両
7B 他車両
8 前後軸
9 幅方向
10 センサ部
15a~15f ソナー
30 撮像部
31 フロントカメラ
33 左サイドカメラ
35 右サイドカメラ
37 リアカメラ
50 ナビゲーション装置
70 記憶部
75 地図データ
90 車両制御ユニット
100 駐車支援装置
110 メモリ
115 制御プログラム
130 プロセッサ
131 画像処理部
132 障害物検出部
133 駐車領域検出部
134 駐車方向特定部
135 仮駐車枠設定部
136 検出範囲設定部
137 分割部
138 方位算出部
139 駐車位置設定部
140 駐車経路算出部
200 マップ
210 データ
300 駐車領域
310 仮駐車枠
350 検出範囲
360 第1検出範囲
361~368 分割範囲
370 第2検出範囲
371~378 分割範囲
380 第3検出範囲
381~388 分割範囲