(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】点群処理装置、点群処理方法及び点群処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 17/00 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
G06T17/00
(21)【出願番号】P 2019148119
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500233049
【氏名又は名称】株式会社富士テクニカルリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 英聡
(72)【発明者】
【氏名】猿田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】名取 孝
【審査官】粕谷 満成
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-109839(JP,A)
【文献】特開2018-005579(JP,A)
【文献】特許第6177483(JP,B1)
【文献】Gunho Sohn, Yoonseok Jwa, Heungsik Brian Kim,AUTOMATIC POWERLINE SCENE CLASSIFICATION AND RECONSTRUCTION USING AIRBORNE LIDAR DATA,ISPRS Annals of the Photogrammetry, Remote Sensing and Spatial Information Sciences,Volume I-3,International Society for Photogrammetry and Remote Sensing,2012年08月25日,PP.167-172,https://isprs-annals.copernicus.org/articles/I-3/167/2012/isprsannals-I-3-167-2012.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
点群処理装置であって、
点群を空間分割することで単位点群を決定し、前記単位点群のクラスタリングを行うことで単位点群クラスタを決定する点群分類部と、
形状モデル及び前記単位点群クラスタに基づくモデルベースマッチングを行うことで前記単位点群クラスタの前記形状モデルを決定し、前記形状モデルに基づき形状候補タグを決定する形状分類部と、を有し、
前記形状候補タグは、少なくとも複数種の細線状構造物を含む対象物を示す
点群処理装置。
【請求項2】
前記点群分類部は、
一次クラスタリング及び二次クラスタリングを含む前記クラスタリングを行い、
前記一次クラスタリングは、前記単位点群及び形状モデルのモデルベースマッチングによる前記単位点群のクラスタ候補タグの決定を含み、
前記二次クラスタリングは、前記クラスタ候補タグが一致し隣接する前記単位点群を含む前記単位点群クラスタの決定を含む
請求項1に記載の点群処理装置。
【請求項3】
前記形状分類部は、前記形状モデルに基づくベストフィッティングを行うことで前記単位点群クラスタを補正し、補正された前記単位点群クラスタに基づき前記形状モデルを生成する
請求項1又は2に記載の点群処理装置。
【請求項4】
前記形状分類部は、複数の前記単位点群クラスタの前記形状モデルの組み合わせ及び相対位置に基づき前記単位点群クラスタの前記形状候補タグを更新する
請求項1から3の何れかに記載の点群処理装置。
【請求項5】
点群処理装置であって、前記単位点群クラスタの前記形状モデルの寸法を計測する形状評価部を、さらに有する
請求項1から4の何れかに記載の点群処理装置。
【請求項6】
前記対象物は、トロリ線及び吊架線を含む
請求項1から5の何れかに記載の点群処理装置。
【請求項7】
点群処理方法であって、
点群を空間分割することで単位点群を決定し、前記単位点群のクラスタリングを行うことで単位点群クラスタを決定する点群分類ステップと、
形状モデル及び前記単位点群クラスタに基づくモデルベースマッチングを行うことで前記単位点群クラスタの形状候補タグ及び前記形状モデルを決定する形状分類ステップと、
をコンピュータのプロセッサに実行させ、
前記形状候補タグは、少なくとも複数種の細線状構造物を含む対象物を示す
点群処理方法。
【請求項8】
点群処理プログラムであって、
コンピュータを、
点群を空間分割することで単位点群を決定し、前記単位点群のクラスタリングを行うことで単位点群クラスタを決定する点群分類部と、
形状モデル及び前記単位点群クラスタに基づくモデルベースマッチングを行うことで前記単位点群クラスタの形状候補タグ及び前記形状モデルを決定する形状分類部と、
として機能させ、
前記形状候補タグは、少なくとも複数種の細線状構造物を含む対象物を示す
点群処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点群処理装置、点群処理方法及び点群処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
土木や建築の分野において、BIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling/Management)が盛んに導入されている。鉄道分野においても、点群処理の活用により、鉄道車両に電力を供給するための電線等のモニタリングコストを削減する試みがなされている。
【0003】
図9及び
図10に示すように、鉄道車両周辺の細線状構造物は電力を供給するトロリ線のみならず、吊架線やトロリ線を支持するハンガ等が含まれる。
【0004】
特許文献1によれば、対象物を三次元計測して得られた点の集合である点群のうち、鉄道車両が走行する軌道を構成するレールから得られた基準に基づいて高さ及び偏位が計測されたトロリ線上の各点に対して、各点を表示する際の位置の基準となる表示基準点を設定する表示基準点設定部を備えるようなトロリ線表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来技術によれば、鉄道車両周辺の構造物に対して高さ及び偏位が規定されているトロリ線のみを特定するような点群処理は実現されているが、トロリ線及び当該トロリ線と隣接し異なる細線状構造物等を特定するような点群処理を実現するまでには至っていない。鉄道車両周辺の構造物を特定するような点群処理は、人手作業を減らすことができるような寸法計測を実現する上で必要となる。このような問題点の少なくとも一部を解決できるような点群処理が求められている。
【0007】
本発明は、新規な点群処理を実現することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、点群処理装置であって、点群を空間分割することで単位点群を決定し、前記単位点群のクラスタリングを行うことで単位点群クラスタを決定する点群分類部と、形状モデル及び前記単位点群クラスタに基づくモデルベースマッチングを行うことで前記単位点群クラスタの形状候補タグ及び前記形状モデルを決定する形状分類部と、を有し、前記形状候補タグは、少なくとも複数種の細線状構造物を含む対象物を示すことを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記点群分類部は、一次クラスタリング及び二次クラスタリングを含む前記クラスタリングを行い、前記一次クラスタリングは、前記単位点群及び形状モデルのモデルベースマッチングによる前記単位点群のクラスタ候補タグの決定を含み、前記二次クラスタリングは、前記クラスタ候補タグが一致し隣接する前記単位点群を含む前記単位点群クラスタの決定を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記形状分類部は、前記形状モデルに基づくベストフィッティングを行うことで前記単位点群クラスタを補正し、補正された前記単位点群クラスタに基づき前記形状モデルを生成することを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記形状分類部は、複数の前記単位点群クラスタの前記形状モデルの組み合わせ及び相対位置に基づき前記単位点群クラスタの前記形状候補タグを更新することを特徴とする。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記単位点群クラスタの前記形状モデルが示すオブジェクトの寸法を計測する形状評価部を、さらに有することを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記対象物は、トロリ線及び吊架線を含むことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、点群処理方法であって、点群を空間分割することで単位点群を決定し、前記単位点群のクラスタリングを行うことで単位点群クラスタを決定する点群分類ステップと、形状モデル及び前記単位点群クラスタに基づくモデルベースマッチングを行うことで前記単位点群クラスタの形状候補タグ及び前記形状モデルを決定する形状分類ステップと、をコンピュータのプロセッサに実行させ、前記形状候補タグは、少なくとも複数種の細線状構造物を含む対象物を示すことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明は、点群処理プログラムであって、コンピュータを、点群を空間分割することで単位点群を決定し、前記単位点群のクラスタリングを行うことで単位点群クラスタを決定する点群分類部と、形状モデル及び前記単位点群クラスタに基づくモデルベースマッチングを行うことで前記単位点群クラスタの形状候補タグ及び前記形状モデルを決定する形状分類部と、として機能させ、前記形状候補タグは、少なくとも複数種の細線状構造物を含む対象物を示すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このような構成とすることで、本発明は、新規な点群処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の一実施形態(以下、「一実施形態」と称す。)を詳細に説明するための図面についての説明は、以下の通りである。
【
図1】一実施形態に係るハードウェア構成を例示している。
【
図2】一実施形態に係る機能ブロックを例示している。
【
図4】一実施形態に係る単位点群クラスタを例示している。
【
図5】一実施形態に係る単位点群クラスタ及び形状モデルを例示している。
【
図6】一実施形態に係る全体の処理フローチャートを例示している。
【
図7】一実施形態に係る点群分類ステップのフローチャートを例示している。
【
図8】一実施形態に係る形状分類ステップのフローチャートを例示している。
【
図9】一実施形態に係る対象物の一部を例示している。
【
図10】一実施形態に係る対象物の一部を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書は、一実施形態に係る点群処理装置、点群処理方法及び点群処理プログラムについて、図面を交えて、説明する。
【0019】
本発明は、以下の一実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用し得る。
本発明は、例として、装置上で扱われる各種情報の少なくとも一部に基づくメッセージング処理等を適宜、行ってよい。
【0020】
本明細書は、点群処理装置、点群処理方法及び点群処理プログラムの構成や作用効果等について説明する。装置等と同様の構成の方法、プログラム、記録媒体等も、同様の作用効果を奏することができる。具体的には、名称が一部重複する各部・各ステップは同様の作用効果を奏する。当該記録媒体を用いれば、既知のコンピュータ装置にプログラムをインストールすることができる。当該記録媒体は、フラッシュメモリ等の非一過性の記録媒体であってよい。
【0021】
《点群処理装置》
図1に示すように、点群処理装置は、演算装置101と、主記憶装置102と、補助記憶装置103と、入力装置104と、表示装置105と、通信装置106と、これらの装置を相互接続させるバスインタフェースと、を有する。
点群処理装置は、ワークステーション等の既知のコンピュータ装置の態様をとる。
【0022】
演算装置101は、命令セットを実行可能な既知のプロセッサを有する。
主記憶装置102は、RAM(Random Access Memory)等の既知の揮発性メモリを有する。
補助記憶装置103は、不揮発性メモリを含む既知の記録媒体を有し、OSやプログラム等を有する。
入力装置104は、ポインティングデバイス等の既知の入力デバイスを有する。
表示装置105は、液晶ディスプレイ等の既知の表示デバイスを有する。
通信装置106は、既知の通信プロトコルに基づく既知の通信デバイスを有する。
【0023】
図2に示すように、点群処理装置は、記憶部10、点群分類部20及び形状分類部30を少なくとも有する。また、点群処理装置は、形状評価部40を含んでよい。
【0024】
点群処理装置は、点群処理装置上で扱われる各種データの入力を行うための入力部と、当該各種データの表示を行うための表示部と、を有する。当該入力/表示は、API(Application Programming Interface)及び通信装置106を介して行われてもよい。
【0025】
〈記憶部10〉
記憶部10は、点群処理装置において扱われる各種情報の少なくとも一部を有するデータベースとして機能する。なお、点群処理装置において扱われる各種情報のそれぞれは、異なるデータベース上で管理されてよい。
記憶部10は、補助記憶装置103を用いてその機能が実現されてもよいし、通信装置106を介して相互接続される外部データベースによりその機能が実現されてもよい。
【0026】
記憶部10は、形状モデル14及び形状候補タグ15を少なくとも有する。形状モデル14は、ソリッドモデル、サーフェスモデル及びワイヤーフレームモデル等の既知のモデルデータ構造の態様をとり得る。また、形状モデル14は、円柱や円など、種々の形状を呈する。また、形状モデル14は、JIS等で規格されている鋼材、鋼管、レール等の特徴的な形状を呈してもよい。記憶部10は、処理の対象となる点群11、当該点群11に基づき決定された単位点群12及び単位点群クラスタ13を適宜、格納し得る。
【0027】
点群11は、既知の座標系に基づく三次元座標を有する点の集合であって、対象物に係る三次元計測の結果を示す。当該対象物は、電線、架線、電話線、電車線、通信線、空中線、接触線及び架空線、架空地線、架空電線等を含む複数種の細線状構造物と、線路、架線柱等を含む複数種の柱状構造物と、を少なくとも含む。当該対象物は、トロリ線、吊架線、枕木、碍子、ビーム、ハンガ等を含み、鉄道車両周辺に位置する既知の構造物を含んでよい。
【0028】
点群11は、1以上のイメージセンサ、デプスセンサ、レーザスキャナ、レーザレンジファインダ、超音波センサ、赤外線センサ及びGNSS(Global Navigation Satellite System)モジュールの少なくとも一部を含む既知の三次元計測デバイスにより三次元計測された複数の点を含む。そのため、点群11は、例として、計測点群であり、レーザ計測点群や画像計測点群等である。当該計測デバイスは、MMS(Mobile Mapping System)がその一例として想定される。当該点のそれぞれは、三次元座標のみならず色情報と対応してよい。
【0029】
単位点群12は、空間分割された点群11の一部である。
点群11の空間分割は、例として、単位空間が格子状となるよう行われてよい。当該空間分割は、ユニフォームグリッドに基づき行われてよいし、OctreeやkD-tree等の既知の木構造に基づき行われてもよい。
【0030】
図3に示すように、点群11は、例として、単位点群12A、12B、12C、12D及び12Eを含む。
【0031】
単位点群クラスタ13は、1以上の単位点群12を含む。当該1以上の単位点群12のそれぞれは同一のクラスタ候補タグ131と対応する。
【0032】
クラスタ候補タグ131は、好ましくは、円柱、矩形等のプリミティブ形状を示すが、前述の対象物に含まれる各種構造物を示す構成としてもよい。また、クラスタ候補タグ131は、プリミティブ形状又は対象物を複数示す構成としてもよい。例えば、クラスタ候補タグ131は、例として、円柱及び細線状構造部の2種を示してよい。
【0033】
図4に示すように、単位点群クラスタ13は、例として、
図3中の単位点群12A、12B、12C、12D及び12Eを含む。
【0034】
形状モデル14は、モデル化された構造物の形状を示し、ワイヤーフレーム、サーフェスモデル、ソリッドモデル等の既知のモデルの態様をとる。また、形状モデル14は、構造物の三次元形状を示す三次元形状モデル143と、構造物の二次元形状を示す二次元形状モデル142と、を含む。
【0035】
図5に示すように、形状モデル14の一部は単位点群クラスタ13と対応付けられる。
【0036】
形状候補タグ15は、形状モデル14とともに単位点群クラスタ13と対応付けられる。また、形状候補タグ15は、前述の対象物に含まれる各種構造物を示す。また、形状候補タグ15は、対象物を示す情報を複数示す構成としてもよい。例えば、形状候補タグ15は、例として、細線状構造部及びトロリ線の2種を示してよい。
【0037】
〈点群分類部20〉
点群分類部20は、点群11を空間分割することで単位点群12を決定し、単位点群12をクラスタリングすることで単位点群クラスタ13を決定する。
また、点群分類部20は、一次クラスタリング及び二次クラスタリングを含む、点群11のクラスタリングを行う。
【0038】
点群分類部20は、一次クラスタリングにおいて、単位点群12及び形状モデル14のモデルベースマッチングを行い、単位点群12のクラスタ候補タグ131を決定する。このとき、モデルベースマッチングは、単位点群12及び形状モデル14の特徴抽出と、単位点群12及び形状モデル14の特徴マッチングと、を含む。形状モデル14は、リファレンス形状として予め記憶部10に格納される。リファレンス形状は、プリミティブ形状を含む粗視化モデルであってよい。
【0039】
点群分類部20は、既知の手法に基づき特徴抽出や法線推定等を行う。また、点群分類部20は、近傍探索や主成分分析等の既知の手法に基づき、特徴量、特徴点、特徴線、特徴ベクトル、法線ベクトル等の既知の三次元特徴に基づき、単位点群12及び形状モデル14の特徴マッチングを行う。点群分類部20は、マッチングスコアが任意に設定される閾値を超過する場合、形状モデル14と対応するクラスタ候補タグ131を単位点群12のクラスタ候補タグ131として決定する。
【0040】
点群分類部20は、モデルベースマッチングの前処理として、既知の統計分析に基づく点群11のノイズ除去を行ってよい。また、点群分類部20は、当該前処理として、RANSAC(Random Sample Consensus)等の既知のロバスト推定アルゴリズムにより適宜、点群11のノイズを除去してよい。また、点群分類部20は、当該前位処理として、点群11の再標本化を行ってよい。
【0041】
点群分類部20は、二次クラスタリングにおいて、クラスタ候補タグ131が一致又は部分一致し隣接する単位点群12を、1の単位点群クラスタ13として決定する。このとき、二次クラスタリングは、空間分割された単位点群12全てに対して行われる。
【0042】
〈形状分類部30〉
形状分類部30は、単位点群クラスタ13及び形状モデル14(リファレンス形状)に基づくモデルベースマッチングを行い、単位点群クラスタ13の形状モデル14及び形状候補タグ15を決定する。
モデルベースマッチングは、単位点群クラスタ13及び形状モデル14の特徴抽出と、単位点群クラスタ13及び形状モデル14の特徴マッチングと、を含む。
形状分類部30は、好ましくは、モデルベースマッチングにより決定された三次元形状モデル143(リファレンス形状)に基づくベストフィッティングを行うことで補正された単位点群クラスタ13に基づき、三次元形状モデル143を生成する。このとき、三次元形状モデル143は既知の手法に基づき生成される。なお、形状分類部30は、モデルベースマッチング及びベストフィッティングを行う前の単位点群クラスタ13に基づき、三次元形状モデル143を生成してもよい。
形状分類部30は、生成された/決定された形状モデル141に基づき、形状候補タグ15を決定してよい。このとき、形状分類部30は、ルールベースで形状候補タグ15を決定してよいし、既知の推論処理を行うことで形状候補タグ15を決定してよい。
【0043】
形状分類部30は、単位点群クラスタ13が断面等の二次元形状を示す場合、単位点群クラスタ13における点群分布に基づき三次元形状に補正し三次元形状モデル143を決定する。具体的には、形状分類部30は、単位点群クラスタ13の法線ベクトル等に基づき単位点群クラスタ13が示す二次元形状を延伸し三次元形状を生成する。
【0044】
形状分類部30は、複数の単位点群クラスタ13それぞれの三次元形状モデル143の組み合わせ及び相対位置に基づき単位点群クラスタ13の形状候補タグ15を更新する。
【0045】
形状分類部30は、例えば、隣接する複数の三次元形状モデル143のそれぞれが、細線状構造物及びハンガであり、当該細線状構造物がハンガより上方に位置する場合、形状分類部30は、形状候補タグ15を吊架線として更新する。
一方、隣接する三次元形状モデル143のそれぞれが、細線状構造物及びハンガのそれぞれであり、当該細線状構造物が当該ハンガより下方に位置する場合、形状分類部30は、形状候補タグ15をトロリ線として更新する。
【0046】
形状分類部30は、例えば、隣接する複数の三次元形状モデル143のそれぞれが、柱状構造物及びビームであり、複数の柱状構造物が互いに並行である場合、形状分類部30は、当該柱状構造物の形状候補タグ15を装柱として更新する。
【0047】
形状候補タグ15は、鉄道車両周辺の既知の構造に基づき適宜、更新され得る。
【0048】
形状分類部30は、モデルベースマッチングを経て決定された形状モデル14(リファレンス形状)に基づき形状候補タグ15の更新を行ってもよいし、ベストフィッティングを経て生成された形状モデル14に基づき形状候補タグ15の更新を行ってもよい。
【0049】
〈形状評価部40〉
形状評価部40は、形状分類部30により決定された形状モデル14及び形状候補タグ15が決定された単位点群クラスタ13の三次元形状モデル143に係る寸法を計測する。当該寸法は、既知のユーザインタフェースを介した操作に基づき、計測されてよい。
【0050】
《点群処理方法》
図6に示すように、点群処理方法は、以下のステップを含む。なお、点群処理方法における各ステップの順列は、本明細書中で特段の指定が無い限り又はその機能の実現に支障が無い限り、制限はない。記憶ステップS10は、入力された点群11を記憶部10に格納する。点群分類ステップS20は、記憶ステップS10が格納した点群11に係る空間分割を行い、単位点群12を決定し、単位点群12を記憶部10に格納する。点群分類ステップS30は、点群分類ステップS20が決定した単位点群12のクラスタリングを行い、単位点群クラスタ13を決定し、単位点群クラスタ13を記憶部10に格納する。形状分類ステップS40は、点群分類ステップS30が決定した単位点群クラスタ13毎に形状モデル14及び形状候補タグ15を対応付けて決定する。形状評価ステップS50は、形状分類ステップS40が決定した単位点群クラスタ13と対応する形状モデル14の寸法を計測し、計測結果を記憶部10に格納する。
【0051】
〈点群分類ステップS30〉
図7に示すように、点群分類ステップS30は、一次クラスタリングである点群分類ステップS31と、二次クラスタリングである点群分類ステップS32と、を含む。
【0052】
点群分類ステップS31は以下のステップを含む。
点群分類ステップS31は、記憶部10上の単位点群12を呼び出す(点群分類ステップS311)。点群分類ステップS31は、単位点群12及び形状モデル14のモデルベースマッチングを行い、単位点群12及び形状モデル14のマッチングスコアを決定する(点群分類ステップS312)。当該マッチングスコアが閾値を超過する場合(点群分類ステップS313、Yes(Y))、点群分類ステップS31は、当該単位点群12と対応するクラスタ候補タグ131を決定する(点群分類ステップS314)。未処理の単位点群12が存在する場合(点群分類ステップS315、Yes(Y))、処理は点群分類ステップS311に移行する。当該マッチングスコアが閾値を超過しない場合(点群分類ステップS313、No(N))、処理は点群分類ステップS315に移行する。未処理の単位点群12が存在しない場合(点群分類ステップS315、No(N))、処理は点群分類ステップS32に移行する。
【0053】
点群分類ステップS32は以下のステップを含む。
点群分類ステップS32は、記憶部10上の単位点群12を呼び出す(点群分類ステップS321)。隣接する単位点群12のそれぞれのクラスタ候補タグ131が一致する場合(点群分類ステップS322、Yes(Y))、点群分類ステップS32は、隣接する単位点群12を当該クラスタ候補タグ131と対応する単位点群クラスタ13として決定/更新する(点群分類ステップS323)。未処理の単位点群12が存在する場合(点群分類ステップS324、Yes(Y))、処理は点群分類ステップS321に移行する。隣接する単位点群12のクラスタ候補タグ131が一致しない場合(点群分類ステップS322、No(N))、処理は点群分類ステップS324に移行する。未処理の単位点群12が存在しない場合(点群分類ステップS324、No(N))、処理は終了する。
【0054】
〈形状分類ステップS40〉
形状分類ステップS40は、以下のステップを含む。
形状分類ステップS40は、記憶部10上の単位点群クラスタ13を呼び出す(形状分類ステップS41)。単位点群クラスタ13が三次元形状を示す場合(形状分類ステップS42、三次元形状)、形状分類ステップS40は、三次元形状モデル143に基づき単位点群クラスタ13のモデルベースマッチング及びベストフィッティングを行い、単位点群クラスタ13を補正し、補正された単位点群クラスタ13に基づき三次元形状モデル143を生成し(形状分類ステップS431)、処理は形状分類ステップS44に移行する。単位点群クラスタ13が二次元形状を示す場合(形状分類ステップS42、二次元形状)、形状分類ステップS40は、二次元形状モデル142に基づき単位点群クラスタ13のモデルベースマッチング及びベストフィッティングを行い、単位点群クラスタ13を補正し、補正された単位点群クラスタ13に基づき二次元形状モデル142を生成する(形状分類ステップS432)。形状分類ステップS40は、単位点群クラスタ13の点群分布に基づき、二次元形状モデル142を補正し三次元形状モデル143を生成し(形状分類ステップS433)、処理は形状分類ステップS44に移行する。形状分類ステップS40は、単位点群クラスタ13毎に形状候補タグ15を決定する(形状分類ステップS44)。形状分類ステップS40は、記憶部10上の単位点群クラスタ13及び形状モデル14を呼び出す(形状分類ステップS45)。形状分類ステップS40は、複数の三次元形状モデル143の組み合わせ及び相対位置に基づき単位点群クラスタ13と対応する形状候補タグ15を更新する(形状分類ステップS46)。
【0055】
本明細書中の説明における「隣接」は、その単位点群クラスタ等と対応する分割された空間が隣接するか否かによって判定されてもよいし、単位点群クラスタ等に含まれる点同士の相対距離によって判定されてもよい。
【0056】
本発明によれば、トロリ線及びトロリ線と隣接し異なる細線状構造物等を特定することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 :記憶部
11 :点群
12 :単位点群
13 :単位点群クラスタ
14 :形状モデル
15 :形状候補タグ
20 :点群分類部
30 :形状分類部
40 :形状評価部
101 :演算装置
102 :主記憶装置
103 :補助記憶装置
104 :入力装置
105 :表示装置
106 :通信装置
131 :クラスタ候補タグ
142 :二次元形状モデル
143 :三次元形状モデル