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特許7346153情報処理装置、車載システム、及び情報提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、車載システム、及び情報提供方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 99/00 20090101AFI20230911BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20230911BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
B60R99/00 351
B60R99/00 322
H04N7/18 J
G08G1/16 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019150247
(22)【出願日】2019-08-20
(65)【公開番号】P2021030773
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】及川 卓
(72)【発明者】
【氏名】市川 貴史
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-067220(JP,A)
【文献】特開2003-104055(JP,A)
【文献】特開2014-058258(JP,A)
【文献】国際公開第2012/124085(WO,A1)
【文献】特開2013-152554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 99/00
H04N 7/18
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される情報処理装置であって、
前記車両の周辺にある障害物を検出する検出部と、
前記車両のドアのうち、前記障害物によって開閉に支障があるドアがあるか否かを判断する判断部と、
前記障害物によって開閉に支障があるドアがある場合、当該ドアに対応する表示装置に、前記障害物に関する情報を表示させる表示制御部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記障害物を回避可能な位置に前記車両を移動させるための移動方向と移動距離とを示す文字列を、前記表示装置に表示させる、
報処理装置。
【請求項2】
前記障害物に関する情報は、当該ドアの近くに前記障害物があることを示す情報を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記障害物に関する情報は、前記障害物の位置を示す情報を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
記障害物に関する情報は、当該ドアを開けるべきでないことを示す文字列を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示装置は、当該ドアに設けられた線状の光源を含み、
前記表示制御部は、前記光源の前記障害物に対応する位置を所定の色で発光させる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、
前記光源の前記障害物に対応する位置を前記所定の色で発光させるとともに、他の位置を他の色に発光させ、
前記線状の光源が全て前記所定の色で発光する場合、前記文字列を前記表示装置に表示させる、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示装置は、当該ドアに配置された複数の発光素子を含み、
前記表示制御部は、前記複数の発光素子のうち、前記障害物の位置に対応する発光素子を所定の色で発光させる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記車両が前記障害物を回避可能な位置に到達するまでの進捗情報を、前記表示装置に表示させる、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
車両の周辺にある障害物を検出する検出部と、
前記車両のドアのうち、前記障害物によって開閉に支障があるドアがあるか否かを判断する判断部と、
前記障害物によって開閉に支障があるドアがある場合、当該ドアに対応する表示装置に、前記障害物に関する情報を表示させる表示制御部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記障害物を回避可能な位置に前記車両を移動させるための移動方向と移動距離とを示す文字列を、前記表示装置に表示させる、
載システム。
【請求項10】
車両に搭載される情報処理装置が、
前記車両の周辺にある障害物を検出する処理と、
前記車両のドアのうち、前記障害物によって開閉に支障があるドアがあるか否かを判断する処理と、
前記障害物によって開閉に支障があるドアがある場合、当該ドアに対応する表示装置に、前記障害物に関する情報を表示させる表示制御処理と、
を実行し、
前記表示制御処理は、前記障害物を回避可能な位置に前記車両を移動させるための移動方向と移動距離とを示す文字列を、前記表示装置に表示させる、
報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、車載システム、及び情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両を駐車したときに、ドアの近くに、車両内の乗員から視認困難な障害物(例えば、縁石、消火栓、ポール等)がある場合、ドアを障害物に接触させてしまう恐れがある。
【0003】
このような障害物を車両内から認識できるようにする技術として、車両にとって障害となる立体物を明示可能なトップビュー画像を表示するトップビュー表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-49943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このようなトップビュー画像は、例えば、車両を運転する運転者以外の他の乗員は見ていないことが多く、車両を降車する乗員に、ドアの開閉に支障がある障害物の情報を適切に提供できない場合がある。
【0006】
本発明の一実施形態は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、自動車等の車両を降車する乗員に、ドアの開閉に支障がある障害物の情報を適切に提供できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、車両に搭載される情報処理装置であって、前記車両の周辺にある障害物を検出する検出部と、前記車両のドアのうち、前記障害物によって開閉に支障があるドアがあるか否かを判断する判断部と、前記障害物によって開閉に支障があるドアがある場合、当該ドアに対応する表示装置に、前記障害物に関する情報を表示させる表示制御部と、を有し、前記表示制御部は、前記障害物を回避可能な位置に前記車両を移動させるための移動方向と移動距離とを示す文字列を、前記表示装置に表示させる。

【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、自動車等の車両を降車する乗員に、ドアの開閉に支障がある障害物の情報を適切に提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る車載システムのシステム構成の例を示す図である。
図2】一実施形態に係る表示装置の一例のイメージを示す図である。
図3】一実施形態に係る表示装置の別の一例のイメージを示す図である。
図4】一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の例を示す図である。
図5】一実施形態に係る情報処理装置の機能構成の例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る情報処理装置の処理の例を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態に係る表示制御処理の例を示すフローチャートである。
図8】第2の実施形態に係る表示制御処理について説明するための図(1)である。
図9】第2の実施形態に係る表示制御処理について説明するための図(2)である。
図10】第2の実施形態に係る移動情報の表示処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0011】
<システム構成>
図1は、一実施形態に係る車載システムのシステム構成の例を示す図である。車載システム1は、例えば、自動車等の車両10に搭載される、情報処理装置100、複数のカメラ101a、101b、・・・、及び複数の表示装置102a、102b、・・・等を含む。なお、以下の説明において、複数のカメラ101a、101b、・・・のうち、任意のカメラを示す場合、「カメラ101」を用いる。また、複数の表示装置102a、102b、・・・のうち、任意の表示装置を示す場合、「表示装置102」を用いる。
【0012】
情報処理装置100は、車両10を降車する乗員に、ドアの開閉に支障がある障害物(例えば、縁石、消火栓、ポール、ガードレール等)の情報を提供するコンピュータである。情報処理装置100は、例えば、車両10に予め搭載された車載ECU(Electronic Control Unit)であっても良いし、例えば、カーナビゲーション装置等の車載用の情報処理装置等であっても良い。
【0013】
カメラ101は、車両10の周辺の画像(映像)を撮影するカメラである。例えば、複数のカメラ101a、101b、・・・には、車両10の前方を撮影するカメラ、右側方を撮影するカメラ、左側方を撮影するカメラ、及び後方を撮影するカメラ等が含まれ得る。
【0014】
表示装置102は、車両10の各ドアに対応して設けられ、情報処理装置100から出力される表示情報を出力する表示デバイス、表示素子、表示モジュール等である。
【0015】
図2は、一実施形態に係る表示装置の一例のイメージを示す図である。この図は、車両10の右側の前席に対応する表示装置102の一例を示している。
【0016】
表示装置102には、例えば、ドア200に埋め込まれた(又は装着された)文字を表示可能な表示デバイス201が含まれ得る。この表示デバイス201は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等によって実現される。ただし、これに限られず、表示デバイス201は、文字を表示可能なデバイスであれば良い。
【0017】
また、表示装置102には、例えば、ドア200の上部に設けられた線状の光源(以下、ラインライティングと呼ぶ)202が含まれ得る。このラインライティング202は、例えば、2色以上で発光可能なLED(Light Emitting Diode)等の複数の発光素子を、線状に並べて構成される。或いは、表示装置102には、ラインライティング202に代えて、ドア200に並べて配置された複数の発光素子が含まれていても良い。
【0018】
図3は、一実施形態に係る表示装置の別の一例を示す図である。この図は、車両10の右側の前席に対応する表示装置102の別の一例を示している。図3に示すように、文字可能な表示デバイス201は、ドア200に限られず、ドア200の近傍に設けられていても良い。また、表示デバイス201は、車両10のピラー302等に設けられていても良いし、サイドガラスに埋め込まれた透明有機ELディスプレイ等によって実現されるものであっても良い。さらに、表示デバイス201は、ドア200、又はドア200の近傍に文字を投影可能なプロジェクタ等であっても良い。
【0019】
上記の構成において、情報処理装置100は、複数のカメラ101a、101b、・・・で撮影された画像(映像)を解析して、車両10の周辺にある障害物を検出する。
【0020】
また、情報処理装置100は、検出された障害物により開閉に支障があるドアがある場合、当該ドアに対応する表示装置102に障害物に関する情報を表示させる。この障害物に関する情報には、例えば、当該ドアの近くに障害物があることを示す情報が含まれる。例えば、情報処理装置100は、障害物204により、ドア200の開閉に支障がある場合、図2に示すように、ドア200の上部に設けられたラインライティング202を所定の色(例えば、赤色)に発光させる。
【0021】
好ましくは、障害物に関する情報には、例えば、障害物の位置を示す情報が含まれる。例えば、情報処理装置100は、図2に示すように、ドア200の近くに障害物204がある場合、ラインライティング202の障害物204に対応する位置203を所定の色(例えば、赤色)に発光させ、それ以外の場所を他の色(例えば、青色)に発光させる。なお、ラインライティング202に代えて、複数の発光素子がドア200に設けられている場合、情報処理装置100は、複数の発光素子のうち、障害物204に対応する位置にある発光素子を、所定の色に発光させる。これにより、車両10の乗員は、ドア200の開閉の障害となる障害物の位置を容易に把握できるようになる。
【0022】
好ましくは、障害物に関する情報には、例えば、図2に示すように、ドア200に対応する表示デバイス201に表示される、ドア200を開けるべきでないことを示す文字列(例えば、「Don't OPEN」等)が含まれる。これにより、初めて車両10に搭乗した乗員でも、ドア200を開けてはいけないことを容易に把握できるようになる。
【0023】
なお、情報処理装置100は、例えば、車両10の各ドアを所定の角度まで開いたときに、接触する可能性がある障害物がある場合等に、ドアの開閉に支障があると判断しても良い。或いは、情報処理装置100は、ドアから所定の距離以内に、所定の高さ以上の物体がある場合等に、ドアの開閉に支障があると判断しても良い。
【0024】
このように、本実施形態に係る車載システム1によれば、自動車等の車両10を降車する乗員に、ドアの開閉に支障がある障害物の情報を適切に提供できるようになる。
【0025】
なお、図1に示す車載システム1のシステム構成の一例である。例えば、車載システム1は、カメラ101に代えて(又は加えて)、1つ以上のミリ波レーダー装置を備え、情報処理装置100は、ミリ波レーダー装置等を用いて、車両10の周辺にある障害物を検出しても良い。
【0026】
また、情報処理装置100は、文字列に代えて(又は加えて)、ドア200を開けるべきでないことを示す表示要素(例えば、アイコン、記号、絵文字等)を、表示デバイス201に表示しても良い。
【0027】
さらに、情報処理装置100は、表示デバイス201に表示する文字列に代えて(又は加えて)、車両10が備えるスピーカから、ドア200を開けるべきではないことを示す音声メッセージや警告音等を出力しても良い。
【0028】
<ハードウェア構成>
(情報処理装置のハードウェア構成)
図4は、一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の例を示す図である。情報処理装置100は、一般的なコンピュータの構成を含み、例えば、CPU(Central Processing Unit)401、メモリ402、ストレージデバイス403、通信I/F(Interface)404、外部入力I/F405、外部出力I/F406、及びバス409等を有している。
【0029】
また、情報処理装置100が、例えば、カーナビゲーション装置等の端末装置である場合、情報処理装置100は、入力装置407、及び表示装置408等を有する。さらに、この場合、情報処理装置100は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信装置、ジャイロセンサ、加速度センサ、無線通信装置等を備えていても良い。
【0030】
CPU401は、例えば、ストレージデバイス403、メモリ402等に記憶したプログラムを実行することにより、情報処理装置100の各機能を実行する演算装置である。メモリ402には、例えば、CPU401のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリであるRAM(Random Access Memory)や、情報処理装置100の起動用のプログラム等を記憶する不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)等が含まれる。
【0031】
ストレージデバイス403は、例えば、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、及び各種のデータを記憶する不揮発性の大容量の記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等によって実現される。
【0032】
通信I/F404は、外部装置と通信するためのインタフェースである。例えば、通信I/F404は、情報処理装置100を車載ネットワークに接続し、車両10に搭載される他のECUや、情報処理装置等との通信を行う。
【0033】
外部入力I/F405は、情報処理装置100に、カメラ101、ミリ波レーダー装置等の外部装置からの入力信号を入力するためのインタフェースである。外部出力I/F406は、情報処理装置100が、表示装置102に表示画面、表示パターン等の表示情報を出力するためのインタフェースである。なお、表示装置102がコンピュータの構成を有している場合、情報処理装置100は、通信I/F404を用いて、車載ネットワークを介して、表示情報を表示装置102に送信しても良い。
【0034】
入力装置407は、例えば、タッチパネルや操作ボタン等の入力デバイスである。表示装置408は、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等の表示デバイスである。バス409は、上記の各構成要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝送する。
【0035】
<機能構成>
(情報処理装置の機能構成)
図5は、一実施形態に係る情報処理装置の機能構成の例を示す図である。情報処理装置100は、例えば、図4のCPU401で所定のプログラムを実行することにより、周辺情報取得部501、検出部502、判断部503、表示制御部504、及び移動情報生成部505等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0036】
周辺情報取得部501は、車両10の周辺の障害物を検出するための情報を取得する。例えば、周辺情報取得部501は、車両10の周辺の画像(映像)を撮影する複数のカメラ101a、101b、・・・が撮影した画像データを、外部入力I/F405を用いて取得し、ストレージデバイス403、又はメモリ402等の記憶部に記憶する。
【0037】
また、別の一例として、周辺情報取得部501は、複数のカメラ101a、101b、・・・から出力される画像データに代えて(又は加えて)、1つ以上のミリ波レーダー装置から出力される検出信号等を、外部入力I/F405から取得するものであっても良い。
【0038】
検出部502は、周辺情報取得部501が取得した情報を用いて、車両10の周辺にある障害物を検出する。例えば、検出部502は、周辺情報取得部501が取得した、複数のカメラ101a、101b、・・・が撮影した画像データを解析して、車両10の周辺にある障害物を検出する。或いは、検出部502は、周辺情報取得部501が取得した、1つ以上のミリ波レーダー装置から出力される検出信号を解析して、車両10の周辺にある障害物を検出しても良い。
【0039】
好適な一例として、検出部502は、特許文献1に開示された技術を適用して、複数のカメラ101a、101b、・・・が撮影した画像データに基づいて、車両10の周辺にある障害物の高さ情報を含むトップビュー画像を作成しても良い。これにより、情報処理装置100は、車両10の周辺にある障害物の車両10に対する位置と、障害物の高さとを容易に把握することができるようになる。
【0040】
判断部503は、車両10のドアのうち、検出部502によって検出された障害物により開閉に支障があるドアがあるか否かを判断する。例えば、判断部503は、前述した、障害物の高さ情報を含むトップビュー画像を用いて、車両10の各ドアを所定の角度まで開いたときに、接触する可能性がある障害物がある場合、ドアの開閉に支障があると判断しても良い。或いは、判断部503は、車両10のドアから所定の距離以内に、所定の高さ(例えば、ドアの下端の高さ)以上の物体がある場合、ドアの開閉に支障があると判断しても良い。
【0041】
表示制御部504は、判断部503によって、障害物により開閉に支障があるドアがあると判断された場合、当該ドアに対応する表示装置102に、障害物に関する情報を表示させる。例えば、検出された障害物により、右側の前席に対応するドア200の開閉に支障があると判断された場合、表示制御部504は、図2に示すように、ドア200に対応する表示装置102に、障害物に関する情報を表示させる。
【0042】
図2の例では、表示制御部504は、ドア200の上部に設けられたラインライティング202の障害物204に対応する位置を所定の色(例えば、赤色)に発光させることにより、障害物204があること、及び障害物204の位置を示している。なお、ラインライティング202は、ドア200に対応する表示装置102の一例であり、ラインライティング202の赤色の発光は、障害物204に関する情報の一例である。
【0043】
また、図2の例では、表示制御部504は、ドア200に対応する表示デバイス201に、ドア200を開けるべきではないことを示す文字列の一例である「Don't OPEN」を表示させている。なお、表示デバイス201は、ドア200に対応する表示装置102の一例であり、文字列「Don't OPEN」は、障害物204に関する情報の一例である。
【0044】
移動情報生成部505は、判断部503によって、障害物により開閉に支障があるドアがあると判断された場合、当該障害物を回避可能な位置に車両10を誘導する移動情報を生成する。なお、移動情報生成部505については、後述する第2の実施形態で詳しく説明する。
【0045】
[第1の実施形態]
<処理の流れ>
続いて、第1の実施形態に係る情報提供方法の処理の流れについて説明する。
【0046】
(情報処理装置の処理)
図6は、第1の実施形態に係る情報処理装置の処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、車両10が停車したとき、又は車両10の速度が予め定められた速度以下(又は未満)になったとき等に、情報処理装置100が実行する処理の例を示している。
【0047】
ステップS601において、情報処理装置100の周辺情報取得部501は、例えば、複数のカメラ101a、101b、・・・が撮影した車両10の周辺の画像(画像データ)を取得する。
【0048】
ステップS602において、情報処理装置100の検出部502は、周辺情報取得部501が取得した画像データを解析して、車両10の周辺にある障害物を検出する。例えば、検出部502は、前述したように、特許文献1に開示された技術を適用して、車両10の周辺にある障害物の高さ情報を含むトップビュー画像を作成する。ただし、検出部502が、車両10の周辺にある障害物を検出する方法は、これに限られない。
【0049】
ステップS603において、情報処理装置100の判断部503は、車両10のドアのうち、検出部502によって検出された障害物により開閉に支障があるドアがあるか否かを判断する。例えば、判断部503は、前述したように、障害物の高さ情報を含むトップビュー画像を用いて、車両10の各ドアを所定の角度まで開いたときに、接触する可能性がある障害物がある場合、ドアの開閉に支障があると判断する。或いは、判断部503は、車両10のドアから所定の距離以内に、所定の高さ(例えば、ドアの下端の高さ)以上の物体がある場合、ドアの開閉に支障があると判断しても良い。
【0050】
検出された障害物により開閉に支障があるドアがない場合、情報処理装置100は、図6の処理を終了する。一方、検出された障害物により開閉に支障があるドアがある場合、情報処理装置100は、処理をステップS604に移行させる。
【0051】
ステップS604に移行すると、情報処理装置100の表示制御部504は、障害物により開閉に支障があるドアがあると判断されたドアに対応する表示装置102に、障害物に関する情報を表示させる。例えば、検出された障害物により、右側の前席に対応するドア200の開閉に支障があると判断された場合、表示制御部504は、図2に示すように、ドア200に対応する表示装置102に、障害物に関する情報を表示させる。
【0052】
(表示制御処理)
図7は、第1の実施形態に係る表示制御処理の例を示すフローチャートである。この処理は、図6のステップ604において、情報処理装置100の表示制御部504が実行する表示制御処理の一例を示している。
【0053】
ステップS701において、表示制御部504は、開閉に支障があるドアがあると判断されたドアに対応する表示デバイスに、ドアを開けるべきではないことを示す文字列を表示させる。例えば、障害物により、右側の前席に対応するドア200の開閉に支障があると判断された場合、表示制御部504は、図2に示すように、ドア200に設けられた表示デバイス201に、「Don't OPEN」等の文字列を表示させる。或いは、表示制御部504は、図3に示すように、ドア200の近くに設けられた表示デバイス201に、「Don't OPEN」等のドアを開けるべきではないことを示す文字列を表示させても良い。
【0054】
これにより、車両10の乗員は、ここでドア200を開けてはいけないことを容易に把握することができるようになる。
【0055】
ステップS702において、表示制御部504は、開閉に支障があるドアがあると判断されたドアに設けられたラインライティングの障害物に対応する位置を所定の色で発光させる。例えば、図2に示すように、右側の前席に対応するドア200の外側に、消火栓のような障害物204がある場合、表示制御部504は、ラインライティング202の障害物204に対応する位置203を、所定の色(例えば、赤色)に発光させる。なお、ラインライティング202に代えて、複数の発光素子がドア200に設けられている場合、情報処理装置100は、複数の発光素子のうち、障害物204に対応する発光素子を、所定の色に発光させても良い。
【0056】
これにより、車両10の乗員は、ドア200の開閉の障害となる障害物204の位置を直感的に把握できるようになる。また、車両10の運転者は、例えば、縁石等のように、運転席から視認できない障害物がある場合でも、ラインライティング202における所定の色の発光位置により、障害物の位置を容易に判断することができるようになる。
【0057】
なお、ステップS702の処理は、ステップS701の処理の前に実行しても良いし、ステップS701の処理と並行して実行しても良い。
【0058】
以上、本実施形態によれば、自動車等の車両10を降車する乗員に、ドアの開閉に支障がある障害物の情報を適切に提供できるようになる。
【0059】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、ドア200に設けられたラインライティング202等の障害物に対応する位置を所定の色で発光させることにより、ドア200の開閉の障害となる障害物の位置を示していた。
【0060】
ただし、この方法だけでは、例えば、図8(A)に示すように、車両10のドアの近くに、縁石801等がある場合、図8(B)に示すように、ラインライティング202が、全て所定の色(例えば、赤色)に発光してしまう場合がある。このような場合、車両10運転する運転者は、車両10を、障害物(縁石801)を回避するために、車両10をどのように移動させれば良いかを判断することが困難になる。
【0061】
そこで、第2の実施形態では、このような場合に、情報処理装置100が、車両10の乗員(特に運転者)に、縁石801等の障害物を回避可能な位置に誘導する移動情報を提供する処理について説明する。
【0062】
<処理の概要>
情報処理装置100の移動情報生成部505は、判断部503によって、障害物により開閉に支障があるドアがあると判断された場合、当該障害物を回避可能な位置に車両10を誘導する移動情報を生成する。
【0063】
例えば図8(A)に示すように、車両10の右側に縁石801があり、前席右側のドア802、後席右側のドア803の開閉に支障があるものとする。また、情報処理装置100の検出部502から、例えば、図8(A)に示すようなトップビュー画像が得られたものとする。
【0064】
この場合、移動情報生成部505は、図8(A)に示すようなトップビュー画像を解析して、例えば、後席右側のドア803の後端から、縁石801の前端までの距離d1、及び前席右側のドア802の前端から、縁石801の後端までの距離d2を算出する。また、移動情報生成部505は、算出した距離d1、d2に基づいて、縁石801を回避可能な位置に車両10を移動させるための移動方向、及び移動距離を決定する。
【0065】
好ましくは、移動情報生成部505は、車両10の前方の障害物(例えば、他の車両等)、及び後方の障害物の有無等を加味して、車両を前進させるか、後進させるかを決定する。
【0066】
また、表示制御部504は、移動情報生成部505が生成した移動情報に基づいて、障害物(縁石801)を回避可能な位置に車両10を移動させるための移動情報を、開閉に支障があるドアに対応する表示装置102に表示させる。例えば、移動情報生成部505により、車両10を3m後進させる移動情報が生成された場合、表示制御部504は、図8(C)に示すように、ドア200に対応する表示デバイス201に、「3m後ろに進んでください」等の文字列を表示させる。なお、この文字列は、移動情報生成部505が生成しても良いし、移動情報生成部505が生成した移動情報に基づいて、表示制御部504が生成しても良い。
【0067】
好ましくは、移動情報生成部505は、所定の時間ごとに移動情報を更新し、表示制御部504は、所定時間ごとに更新される移動情報を順次に表示させる。これにより、例えば、図9(A)に示すように、車両10が後進しているとき、ドア200に設けられた表示デバイス201に、車両10に位置に応じて、更新された移動情報が表示される。例えば、車両10の前席右側の前端から、縁石801の後端までの距離d3が、1m程度になったとき、ドア200に設けられた表示デバイス201には、「あと1m後ろに進んでください」等の文字列が表示される。なお、この文字列は、車両10が障害物を回避可能な位置に到達するまでの進捗情報の一例である。
【0068】
同様に、車両10の前席右側の前端から、縁石801の後端までの距離d3が、0.5m程度になったときには、ドア200に設けられた表示デバイス201には、例えば、「あと0.5m後ろに進んでください」等の文字列が表示される。
【0069】
好ましくは、このとき、例えば、図6、7で説明した処理により、ドア200に設けられたラインライティング202における所定の色の発光位置も更新される。これにより、例えば、図9(C)に示すように、ラインライティング202でも、障害物(縁石801)の後端を把握できるようになる。
【0070】
<処理の流れ>
続いて、第2の実施形態に係る情報提供方法の処理の流れについて説明する。
【0071】
図10は、第2の実施形態に係る移動情報の表示処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、図6に示す処理によって、表示制御部504が、開閉に支障があるドアに対応する表示装置に、障害物に関する情報を表示した後等に実行される。
【0072】
ただし、これに限られず、この処理は、例えば、図8(B)に示すように、ラインライティング202が、全面的に所定の色に発光した場合等に実行されるもであっても良いし、車両10の乗員による開始操作、ボイスコマンド等に応じて実行されるもの等であっても良い。
【0073】
ステップS1001において、情報処理装置100の移動情報生成部505は、障害物を回避するための車両10の移動方向を決定する。例えば、移動情報生成部505は、図8(A)に示すようなトップビュー画像800を解析して、前進によって障害物(縁石801)を回避すべきか、後進によって障害物を回避すべきかを判断する。
【0074】
一例として、移動情報生成部505は、前進によって障害物を回避可能な距離d1と、後進によって障害物を回避可能な距離d2とを算出し、算出した距離d1、d2に基づいて移動方向を決定する。例えば、移動情報生成部505は、距離d1の方が、距離d2より短い場合、移動方向を「前進」に決定し、距離d2の方が、距離d1より短い場合、移動方向を「後進」に決定しても良い。
【0075】
別の一例として、一般的に、後進より前進の方が、移動の難易度が低いと考えられるため、距離d1と距離d2との差が閾値以下(又は閾値未満)である場合、移動方向を「前進」に決定するもの等であっても良い。さらに、移動情報生成部505は、車両10の前後にある他の障害物(例えば、他の車両等)との間の距離を加味して、車両10の移動方向を決定しても良い。
【0076】
ステップS1002において、移動情報生成部505は、障害物を回避するための移動距離を決定する。例えば、図8(A)に示すような状態で、移動方向が「後退」と決定された場合、移動情報生成部505は、距離d2に、予め設定されたマージンαを加算した「距離d2+α」を移動距離として決定しても良い。同様に、移動方向が「前進」と決定された場合、移動情報生成部505は、距離d1に、予め設定されたマージンαを加算した「移動距離d1+α」を移動距離として決定しても良い。
【0077】
ただし、これに限られず、移動情報生成部505は、例えば、距離(距離d1、d2)と移動距離との対応関係を予め記憶しておき、このような対応関係に基づいて、障害物を回避するための移動距離を決定しても良い。
【0078】
ステップS1003において、情報処理装置100の表示制御部504は、移動情報生成部505が生成した移動情報(移動方向、及び移動距離等)に基づいて、障害物を回避するための移動情報を表示する。例えば、移動情報生成部505によって生成された移動情報が、移動方向「後進」、移動距離「3m」を示す場合、表示制御部504は、図8(C)に示すように、ドア200に対応する表示デバイス201に「3m後ろに進んでください」等の文字列を表示させる。ただし、これに限られず、表示制御部504は、移動方向「後進」、移動距離「3m」を示す表示要素(例えば、矢印、メジャー、絵文字、アイコン等)を、ドア200に対応する表示デバイス201に表示させるもの等であっても良い。
【0079】
ステップS1004において、情報処理装置100は、所定の時間(例えば、1秒程度)待機し、ステップS1005において、障害物の位置を更新する。例えば、情報処理装置100は、図6のステップS601、S601の処理を再び実行することにより、障害物の位置を再び検出する。
【0080】
ステップS1006において、情報処理装置100の判断部503は、障害物によって、開閉に支障があるドアがあるか否かを判断する。障害物によって、開閉に支障があるドアがある場合、情報処理装置100は、ステップS1001以降の処理を再び実行する。一方、障害物によって、開閉に支障があるドアがない場合、情報処理装置100は、図10の処理を終了させる。
【0081】
上記の処理により、情報処理装置100は、障害物によって開閉に支障があるドアがある場合、当該ドアに対応する表示装置102に、障害物に関する情報を表示させるとともに、障害物を回避するための移動情報を表示させることができる。
【0082】
以上、本発明の各実施形態によれば、車載システム1は、自動車等の車両10を降車する乗員に、ドアの開閉に支障がある障害物の情報を適切に提供できるようになる。
【0083】
<補足>
図1に示した車載システム1のシステム構成、図3に示した情報処理装置100のシステム構成、及び図4に示した情報処理装置100の機能構成等は一例であり、車載システム1は、様々な構成を採用することができる。
【0084】
例えば、各ドアに対応する表示装置102は、図4に示すようなコンピュータの構成を有する車載ECU等であっても良い。この場合、表示装置102は、図5に示す情報処理装置100の機能構成の一部、又は全部を有していても良い。また、これに限られず、図5に示す情報処理装置100の各機能構成は、車載システム1、又は車両10が備えるいずれかの装置が有していれば良い。
【0085】
また、周辺情報取得部501は、特許文献1に示されるようなトップビュー画像を生成する他の車載装置から、例えば、図8(A)に示されるようなトップビュー画像800を取得しても良い。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、様々な変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 車載システム
10 車両
100 情報処理装置
101、101a、101b カメラ
102、102a、102b 表示装置
200 ドア
201 表示デバイス
202 ラインライティング(線状の光源の一例)
502 検出部
503 判断部
504 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10