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特許7346155電池容量推定装置、電池容量推定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】電池容量推定装置、電池容量推定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230911BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
H02J7/00 M
H01M10/48 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019151431
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021035126
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名 東北電力株式会社 刊行物名 2019年度 研究開発報告会 予稿集 配布日 令和1年5月7日 発行者名 東北電力株式会社 刊行物名 発表会資料 集会名 東北電力株式会社 2019年度 研究開発報告会 開催日 令和1年5月21日 開催場所 東北電力株式会社本店 発行者名 一般社団法人 日本電気協会新聞部 刊行物名 電気新聞 発行日 令和1年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木内 麻紗子
(72)【発明者】
【氏名】水谷 麻美
(72)【発明者】
【氏名】三ッ本 憲史
(72)【発明者】
【氏名】山岸 則之
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 寿之
(72)【発明者】
【氏名】若杉 健一
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/051442(WO,A1)
【文献】特開2013-228244(JP,A)
【文献】特開2018-085879(JP,A)
【文献】特開2016-039671(JP,A)
【文献】国際公開第2012/120620(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 -10/48
G01R 31/36 -31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電及び蓄電を制御可能な蓄電池システムから直流交流変換装置を介して入力及び出力された、交流電力又は交流電力量を取得する電力取得部と、
前記蓄電池システムのSoC(State Of Charge)を取得する充電率取得部と、
前記電力取得部により取得された前記交流電力又は交流電力量と、前記充電率取得部により取得された前記SoCと、に基づいて、前記蓄電池システムの電池容量を推定する推定部と、
前記電力取得部が取得した、交流電力又は交流電力量に基づいて、前記蓄電池システムにおける電力の変化が所定の閾値以下か否かを判定する判定部と、
前記電力取得部が取得した前記交流電力又は交流電力量と、前記直流交流変換装置の直流と交流との間を変換する変換効率情報と、に基づいて、前記直流交流変換装置により変換される前に前記蓄電池システムから出力された直流電力又は直流電力量と、前記直流交流変換装置により変換された後の前記蓄電池システムに入力される、直流電力又は直流電力量と、を演算する演算部と、を備え
前記変換効率情報は、放電時の変換効率を定めた放電側変換効率テーブルと、充電時の変換効率を定めた放電側変換効率テーブルと、を含み、放電時の変換効率と充電時の変換効率とは充放電の極性に応じて異なり、
前記推定部は、前記判定部によって電力の変化が所定の閾値以下と判定された複数のタイミングにおいて、前記電力取得部により取得された前記交流電力又は交流電力量と、前記充電率取得部により取得された前記SoCと、に基づいて、前記電池容量を推定し、
前記推定部は、前記演算部により演算された前記直流電力又は直流電力量と、前記充電率取得部により取得された前記SoCと、に基づいて、前記蓄電池システムの電池容量を推定する、
電池容量推定装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記複数のタイミングのうち最も新しいタイミングの交流電力量と他のタイミングの交流電力量と間の変化量と、当該最も新しいタイミングの前記SoCと他のタイミングのSoC、又は当該最も新しいタイミングのSoCと他のタイミングのSoCと間の変化量と、に基づいて、前記蓄電池システムの電池容量を推定する、
請求項に記載の電池容量推定装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記電力取得部が取得した前記交流電力又は交流電力量に、太陽光電池から出力された電力又は電力量が含まれる場合、前記太陽光電池が発電を行わない時間帯に、前記電力取得部により取得された前記電力又は電力量と、前記充電率取得部により取得された前記SoCと、に基づいて、前記蓄電池システムの電池容量を推定する、
請求項1または2に記載の電池容量推定装置。
【請求項4】
電池容量推定装置で実行される電池容量推定方法であって、
充電及び蓄電を制御可能な蓄電池システムから直流交流変換装置を介して入力及び出力された、交流電力又は交流電力量を取得する電力取得ステップと、
前記蓄電池システムのSoC(State Of Charge)を取得する充電率取得ステップと、
前記電力取得ステップにより取得された前記交流電力又は交流電力量と、前記充電率取得ステップにより取得された前記SoCと、に基づいて、前記蓄電池システムの電池容量を推定する推定ステップと、
前記電力取得ステップで取得した、交流電力又は交流電力量に基づいて、前記蓄電池システムにおける電力の変化が所定の閾値以下か否かを判定する判定ステップと、
前記電力取得ステップで取得した前記交流電力又は交流電力量と、前記直流交流変換装置の直流と交流との間を変換する変換効率情報と、に基づいて、前記直流交流変換装置により変換される前に前記蓄電池システムから出力された直流電力又は直流電力量と、前記直流交流変換装置により変換された後の前記蓄電池システムに入力される、直流電力又は直流電力量と、を演算する演算ステップと、を含み、
前記変換効率情報は、放電時の変換効率を定めた放電側変換効率テーブルと、充電時の変換効率を定めた放電側変換効率テーブルと、を含み、放電時の変換効率と充電時の変換効率とは充放電の極性に応じて異なり、
前記推定ステップは、前記判定ステップによって電力の変化が所定の閾値以下と判定された複数のタイミングにおいて、前記電力取得ステップにより取得された前記交流電力又は交流電力量と、前記充電率取得ステップにより取得された前記SoCと、に基づいて、前記電池容量を推定し、
前記推定ステップは、前記演算ステップにより演算された前記直流電力又は直流電力量と、前記充電率取得ステップにより取得された前記SoCと、に基づいて、前記蓄電池システムの電池容量を推定する、
電池容量推定方法。
【請求項5】
充電及び蓄電を制御可能な蓄電池システムから直流交流変換装置を介して入力及び出力された、交流電力又は交流電力量を取得する電力取得ステップと、
前記蓄電池システムのSoC(State Of Charge)を取得する充電率取得ステップと、
前記電力取得ステップにより取得された前記交流電力又は交流電力量と、前記充電率取得ステップにより取得された前記SoCと、に基づいて、前記蓄電池システムの電池容量を推定する推定ステップと、
前記電力取得ステップで取得した、交流電力又は交流電力量に基づいて、前記蓄電池システムにおける電力の変化が所定の閾値以下か否かを判定する判定ステップと、
前記電力取得ステップで取得した前記交流電力又は交流電力量と、前記直流交流変換装置の直流と交流との間を変換する変換効率情報と、に基づいて、前記直流交流変換装置により変換される前に前記蓄電池システムから出力された直流電力又は直流電力量と、前記直流交流変換装置により変換された後の前記蓄電池システムに入力される、直流電力又は直流電力量と、を演算する演算ステップと、を含み、
前記変換効率情報は、放電時の変換効率を定めた放電側変換効率テーブルと、充電時の変換効率を定めた放電側変換効率テーブルと、を含み、放電時の変換効率と充電時の変換効率とは充放電の極性に応じて異なり、
前記推定ステップは、前記判定ステップによって電力の変化が所定の閾値以下と判定された複数のタイミングにおいて、前記電力取得ステップにより取得された前記交流電力又は交流電力量と、前記充電率取得ステップにより取得された前記SoCと、に基づいて、前記電池容量を推定し、
前記推定ステップは、前記演算ステップにより演算された前記直流電力又は直流電力量と、前記充電率取得ステップにより取得された前記SoCと、に基づいて、前記蓄電池システムの電池容量を推定すること、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池容量推定装置、電池容量推定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池を用いた蓄電池システムの利用拡大が進んでいる。蓄電池システムは、例えば、電気自動車などの移動体、再生可能エネルギーの変動抑制、最近の電力需要のピークシフトやデマンドレスポンス、又は電力自由化における発電事業者の電力バッファとして用いられている。
【0003】
このような蓄電池システムは、導入開始からの経過年数や、運用方法によって、当該システムを構成する二次電池が劣化する。
【0004】
二次電池の劣化には、内部抵抗の上昇の発生する内部抵抗劣化と、電池に出し入れ可能な容量(実効容量)が減少する容量劣化と、が存在する。特に実効容量の減少する容量劣化は、蓄電池システム運用に影響するため、適切に把握することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5419832号公報
【文献】特許第5461668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術においては、蓄電システムから直接入出力される直流電流側の情報に基づいて、実効容量を推定する技術である。
【0007】
電力制御を行いたいユーザは、直流交流変換器を介した後の交流電流側の電力に関する情報を、スマートメータ等を用いて取得する傾向にある。
【0008】
換言すると、蓄電池システムは、通常交流系統に接続されて使用されるためバーチャルパワープラント(VPP)や、蓄電池システムを群管理し電力調整力市場に運用する電力事業者では、直流交流変換器を介する前の、蓄電池システムに関する情報は得られないため、実効容量の推定を実施することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の電池容量推定装置は、電力取得部と、充電率取得部と、推定部と、判定部と、演算部と、を備える。電力取得部は、充電及び蓄電を制御可能な蓄電池システムから直流交流変換装置を介して入力及び出力された、交流電力又は交流電力量を取得する。充電率取得部は、蓄電池システムのSoC(State Of Charge)を取得する。推定部は、電力取得部により取得された交流電力又は交流電力量と、充電率取得部により取得されたSoCと、に基づいて、蓄電池システムの電池容量を推定する。判定部は、電力取得部が取得した、交流電力又は交流電力量に基づいて、蓄電池システムにおける電力の変化が所定の閾値以下か否かを判定する。演算部は、電力取得部が取得した交流電力又は交流電力量と、直流交流変換装置の直流と交流との間を変換する変換効率情報と、に基づいて、直流交流変換装置により変換される前に蓄電池システムから出力された直流電力又は直流電力量と、直流交流変換装置により変換された後の蓄電池システムに入力される、直流電力又は直流電力量と、を演算する。変換効率情報は、放電時の変換効率を定めた放電側変換効率テーブルと、充電時の変換効率を定めた放電側変換効率テーブルと、を含み、放電時の変換効率と充電時の変換効率とは充放電の極性に応じて異なる。推定部は、判定部によって電力の変化が所定の閾値以下と判定された複数のタイミングにおいて、前記電力取得部により取得された前記交流電力又は交流電力量と、充電率取得部により取得された前記SoCと、に基づいて、電池容量を推定する。推定部は、演算部により演算された直流電力又は直流電力量と、充電率取得部により取得されたSoCと、に基づいて、蓄電池システムの電池容量を推定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一例として、蓄電池システムから直接入出力されている直流電力又は直流電力量を取得せずとも、蓄電池システムの電池容量を適切に推定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1の実施形態にかかる電力制御システムの構成を例示した図である。
図2図2は、第1の実施形態のスマートメータ、及び電池システム制御装置の構成を例示した図である。
図3図3は、時間の経過とともに変化するSoCと、交流電力を示した図である。
図4図4は、静定区間ごとの電力積算量の変化量と、SoCの変化量と、を2次元座標上に示した図である。
図5図5は、第2の実施形態のスマートメータ、及び電池システム制御装置の構成を例示した図である。
図6図6は、第2の実施形態の効率演算部が備える効率変換テーブルを例示した図である。
図7図7は、第2の実施形態の電池システム制御装置の積算値記憶部に取得した情報を記憶させるまでの処理を示したフローチャートである。
図8図8は、第2の実施形態の効率演算部における直流電力を算出するまでの処理手順を示したフローチャートである。
図9図9は、第2の実施形態の容量推定部における電池容量を推定するまで処理手順を示したフローチャートである。
図10図10は、第3の実施形態のスマートメータ及び電池システム制御装置1000の構成を例示した図である。
図11図11は、第3の実施形態の変形例のスマートメータ及び電池システム制御装置1100の構成を例示した図である。
図12図12は、第4の実施形態のスマートメータ及び電池システム制御装置の構成を例示した図である。
図13図13は、変形例1にかかる電力制御システムの構成を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に制限されるものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態にかかる電力制御システムの構成を例示した図である。図1に示されるように、電力制御システム10は、電力系統1に変圧器2を介して接続されている。本実施形態にかかる電力制御システムは、電池容量推定装置、電池容量推定方法、及びプログラムを適用した一例として示したものである。
【0014】
電力制御システム10は、電池容量推定装置を適用した電池システム制御装置100と、スマートメータ101と、太陽光電池用直流交流変換器112と、太陽光電池110_1~110_nと、補助装置111と、蓄電池システム150と、を備えている。蓄電池システム150は、直流交流変換器102と、電池情報検出演算部103と、電池セル150_1、150_2、150_3、~150_nで構成されている。電池情報検出演算部103は、蓄電池システム150の電池セル150_1、150_2、150_3、~150_nの各々から、蓄電池システム150に関する情報(例えば、SoC)を検出する。電池情報検出演算部103が検出した蓄電池システム150に関する情報は、電池システム制御装置100に送信してもよいし、スマートメータ101に送信してもよい。
【0015】
図1に示されるように、電池セル150_1~150_nから放電された直流電流は、直流交流変換器102を介して、交流電流に変換される。また、電力系統1から変圧器2を介して入力された電流や、太陽光電池110_1~110nで発電され太陽光電池用直流交流変換器112を介して交流に変換された電流は、直流交流変換器102を介して直流電流に変換された後、電池セル150_1~150_nに充電される。
【0016】
そして、スマートメータ101は、メータ内の(図示しない)電流検出装置と(図示しない)電圧検出装置によって蓄電池システム150に充放電される電流、電力、または電力量を検出可能とする。また、スマートメータ101は、蓄電池システム150に充放電される電流、電力、または電力量を、直流交流変換器102を介しても検出可能とする。
【0017】
電池システム制御装置100は、電池情報検出演算部103、またはスマートメータ101から、蓄電池システム150に関する情報を取得し、蓄電池システム150の制御を行う。
【0018】
図2は、第1の実施形態のスマートメータ101、及び電池システム制御装置100の構成を例示した図である。図2に示されるように、スマートメータ101は、SoC推定部251と、電力検出部252と、通信部253と、を備えている。
【0019】
SoC推定部251は、蓄電池システム150(電池セル150_1~150_n)のSoC(State Of Charge)を推定する。推定手法は、従来から提案されている手法を問わず、どのような手法を用いてもよい。例えば、SoC推定部251は、蓄電池システム150における電流値、電圧値、及び温度に基づいて、電池セル150_1~150_nの開回路電圧と等価回路モデルから算出されるセル推定電圧を基準としたSoC(State Of Charge)を推定してもよいし、蓄電池システム150から、SoCに関する情報を取得してもよい。SoCの推定では、例えば、カルマンフィルタやテーブル参照等の推定手法を適用してもよい。
【0020】
電力検出部252は、スマートメータ101内の(図示しない)電流検出装置と(図示しない)電圧検出装置によって、蓄電池システム150の交流側で入出力される交流電力を検出する。
【0021】
通信部253は、電池システム制御装置100との間で情報の送受信を制御する。例えば、通信部253は、電池システム制御装置100に対して、蓄電池システム150のSoC、及び、検出した交流電力を表す情報を送信する。
【0022】
電池システム制御装置100は、CPUとROMとRAMとHDDとを備えた情報処理装置である。電池システム制御装置100は、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで、通信部201と、SoC取得部202と、電力取得部203と、電力積算部204と、静定判定部205と、容量推定部206と、容量劣化算出部208と、を実現する。また、電池システム制御装置100は、HDD内に、積算値記憶部207を備える。
【0023】
通信部201は、他の通信可能な装置(例えば、スマートメータ101)との間で情報の送受信を制御する。例えば、通信部201は、スマートメータ101から、蓄電池システム150のSoC、及び、検出した交流電力を表す情報を受信する。
【0024】
SoC取得部202は、通信部201から、蓄電池システム150のSoC(State Of Charge:充電率)を取得する。
【0025】
電力取得部203は、通信部201から、蓄電池システム150から直流交流変換器102を介して入力及び出力された、交流側の交流電力を取得する。本実施形態では、直流交流変換器102を基準に蓄電池システム150が設けられた側を直流側と称し、直流交流変換器102を基準に蓄電池システム150が設けられていない側を交流側と称する。
【0026】
静定判定部205は、電力取得部203が取得した交流電力に基づいて、電力の静定区間と変動区間とを判定する。
【0027】
本実施形態の静定区間とは、スマートメータ101が検出した電力の入出力の変動幅の絶対値が、所定の閾値ΔX以内となる区間をいう。一方、変動区間とは、スマートメータ101が過去(例えば前回)に検出された交流電力と、スマートメータ101が今回検出した交流電力と、の変化量の絶対値が、所定の閾値ΔXより大きくなる区間をいう。なお、所定の閾値ΔXは、実施の態様に応じて適切な値が設定されるものとして、説明を省略する。
【0028】
図3は、時間の経過とともに変化するSoCと、交流電力を示した図である。図3に示される例では、時刻t4、t3、t2、t1、t0のタイミングで静定区間と判定される。
【0029】
つまり、時刻t4では時刻t14から電力の変動が所定の閾値ΔX以内、時刻t3では時刻t13から電力の変動が所定の閾値ΔX以内、時刻t2では時刻t12から電力の変動が所定の閾値ΔX以内、時刻t1では時刻t11から電力の変動が所定の閾値ΔX以内、時刻t0では時刻t10から電力の変動が所定の閾値ΔX以内となるため静定区間と判定される。
【0030】
本実施形態では容量推定開始時tsに電池容量の推定を開始する。そして、容量推定開始時tsと時刻teとの間の静定区間に基づいて電池容量を推定する。なお、容量推定開始時tsと時刻teとの間を所定時間Yとする。
【0031】
静定区間では電力が変動しない。このため、静定区間において、SoC取得部202が取得するSoCも一定の値となる。したがって、SoC取得部202が取得するSoCの精度を向上させることができる。
【0032】
電力積算部204は、電力取得部203が取得した、スマートメータ101で検出された交流電力の積算を実施し、電力積算値を算出する。例えば、本実施形態の電力積算部204は、電力の計測を開始してから、容量推定開始時tsまでの間に、図3で示したような、交流電力P4~P0を積算していくことで、電力積算値を算出する。
【0033】
容量推定部206は、静定区間ごとに電力取得部203により取得された交流電力と、静定区間ごとにSoC取得部202により取得されたSoCと、に基づいて、蓄電池システム150の電池容量を推定する。
【0034】
具体的には、容量推定部206は、静定判定部205で変動区間から静定区間に移行したと判定されたタイミング(tk)毎に、当該タイミング(tk)まで電力積算部204によって積算された電力積算値ΣP(tk)と、電力取得部203により取得されたSoC(tk)とを取得し、積算値記憶部207に、タイミング(tk)まで積算された電力積算値ΣP(tk)と、タイミング(tk)で取得されたSoC(tk)とを対応付けて記憶する。
【0035】
本実施形態の容量推定部206は、容量推定開始時(例えば現在)から所定時間Y内に、積算値記憶部207に記憶された、電力積算値ΣP(tk)と、SoC(tk)と、による比較を行う。本実施形態においては、所定時間Y内には、静定区間と判定された時刻t0~t4が含まれている。なお、所定時間Yは、どのような時間でもよいが、少なくとも電池容量の低下が発生する期間よりも短い期間とする。
【0036】
具体的には、容量推定部206は、所定時間Y内に含まれる静定区間(k=0~4)ごとに、当該静定区間の電力積算値ΣP(tk)と、容量推定開始時(現在)に近い静定区間の時刻t0におけるΔΣP(t0)に基づいて、静定区間間で生じた電力積算量の変化量(ΔΣP(tk)=ΣP(tk)-ΣP(t0))を算出する。
【0037】
図4は、静定区間ごとの電力積算量の変化量ΔΣP(tk)とSoC(tk)と、を2次元座標上に示した図である。図4に示される例では、容量推定開始時(例えば、現在)に近い静定区間の時刻t0におけるΔΣP(t0)と、SoC(t0)を基準として、所定時間内において、静定区間と判定された時刻t1~t4の各々における電力積算量の変化量ΔΣP(tk)と、SoC(tk)と、をプロットしている。そして、容量推定部206は、これらプロットされた座標を比較する。
【0038】
SoC(tk)は、定格容量に対する充電状態を表す値であり、SoC=Σ入出力容量/定格容量と考えることができる。また、電力積算量の変化量は、所定時間Yにおける入出力容量と仮定する。したがって、容量推定部206は、静定区間ごとに算出された電力積算容量の変化量を、静定区間ごとに取得されたSoCの変化量で除算した値から、定格容量に相当する値、換言すれば、蓄電池システム150の電池容量を推定できる。
【0039】
換言すれば、定格容量に相当する値とは、図4に示される、電力積算量の変化量(ΣP(tk)-ΣP(t0))と、SoCの変化量(SoC(tk)-SoC(t0))による近似曲線の傾きに相当する。したがって、近似曲線の傾きを導出することで、蓄電池システム150の電池容量を推定できる。なお、本実施形態は、電力積算量の変化量(ΣP(tk)-ΣP(t0))と、SoCの変化量(SoC(tk)-SoC(t0))と、に基づいて、電池容量を推定する手法に制限するものではない。例えば、電力積算量の変化量(ΣP(tk)-ΣP(t0))、及びSoC(tk)且つSoC(t0)に基づいて電池容量を推定してもよい。具体的な算出手法は、周知の手法を問わず、どのような手法を用いてもよい。
【0040】
また、図4に示されるような近似曲線401の傾きが緩くなると、蓄電池システム150が劣化していくことを示している。
【0041】
このように、本実施形態の容量推定部206は、容量推定開始時から所定時間Yの間に取得されたSoC及び交流電力に基づいて、蓄電池システム150の電池容量を推定する。
【0042】
容量劣化算出部208は、推定された電池容量を、蓄電池システム150の定格容量(又は、任意に設定可能な容量値)と比較して、蓄電池システム150の容量劣化率を推定する。
【0043】
容量推定部206が推定した電池容量、及び容量劣化算出部208が推定した容量劣化率のうちいずれか一つ以上は、通信部201によって、蓄電池システム運用者の条処理端末に通知される。これによって、蓄電池システム運用者は、電池容量の低下または容量劣化を認識できる。
【0044】
さらに、蓄電池システム運用者は、当該通知から、蓄電池システム150への充放電指令値の配分を電池容量の減少に合わせて適正に維持するように制御することが可能となる。さらに、蓄電池システム運用者は、通知された電池容量及び容量劣化率のうちいずれか一つ以上に基づいて、蓄電池システム150の維持、及び交換の判断が可能となる。このように、本実施形態においては、蓄電池システム運用者が、蓄電池システム150の状態を認識できるので、適切な制御が可能となる。
【0045】
(第1の実施形態の変形例1)
図1に示されるように、スマートメータ101に、太陽光電池用直流交流変換器112を介した太陽光電池(PV)110_1~110_n、及び補助装置111のうちいずれか一つ以上が接続されている場合に、太陽光電池(PV)110_1~110_n及び補助装置111のうちいずれか一つ以上で発電または消費された電力がスマートメータ101で検出される可能性がある。このような場合に、スマートメータ101で検出された電力、または電力量が蓄電池システム150に充放電された電力と異なる値となる。
【0046】
そこで、本変形例では、太陽光電池110_1~110_nで発電された電力の影響を除外して、電池容量の推定するために、太陽光電池110_1~110_nで発電されない時間帯に、電池容量を推定する例とする。
【0047】
本変形例の容量推定部206は、時刻情報に基づいて容量推定開始時を設定することとした。具体的には、計測対象となる時間帯が、太陽光電池(PV)110_1~110_nの発電が生じない時間帯、換言すれば夕方又は夜になるように、容量推定開始時を設定する。
【0048】
例えば、容量推定部206は、容量推定開始時を深夜の所定時刻(例えば0時)に設定し、所定時間Y(例えば6時間)前の時刻が、太陽光電池110_1~110_nで発電されない夕方の所定時刻(例えば18時)になるように設定する。
【0049】
これによって、太陽光発電などの外乱を除いた値を適用した容量推定が可能となり、推定精度が向上可能となる。また、推定時間制限を設けることでメータを各装置別に取り付ける必要がなくなり、コスト低減が可能となる。
【0050】
(第1の実施形態の変形例2)
上述した実施形態では、容量推定部206における電池容量の推定を、容量推定開始時(現在)に近い静定区間と判定されたタイミングで検出された電力積算量を基準として、所定時間Yまでの静定区間の各タイミングにおける電力積算量から、電力積算量の変化量を算出して、電力容量の推定を行っている。しかしながら、上述した実施形態は、電力積算量の変化量の算出手法を、当該手法に制限するものではなく、例えば、静定区間と判定されたタイミングの電力積算量と、それ以前に静定区間と判定された複数のタイミングの各々の電力積算量と、の間の電力積算量の変化量を算出し、当該電力積算量の変化量に基づいて、電池容量を推定してもよい。
【0051】
本変形例では、静定区間毎のタイミングの電力積算量と、所定時間Y内で当該タイミングより前の静定区間の各々のタイミングの電力積算量と、を用いる例とする。
【0052】
つまり、容量推定部206は、静定区間毎のタイミング(t0)について、タイミング(t0)より前の静定区間との間で生じた電力積算量の変化量(ΔΣP(tk0)=ΣP(tk0)-ΣP(t0))を算出する(k0=1~4)。
【0053】
そして、容量推定部206は、静定区間毎のタイミング(t1)について、タイミング(t1)より前の静定区間との間で生じた電力積算量の変化量(ΔΣP(tk1)=ΣP(tk1)-ΣP(t1))を算出する(k1=2~4)。
【0054】
さらに、容量推定部206は、静定区間毎のタイミング(t2)について、タイミング(t2)より前の静定区間との間で生じた電力積算量の変化量(ΔΣP(tk2)=ΣP(tk2)-ΣP(t2))を算出する(k2=3~4)。
【0055】
さらに、容量推定部206は、静定区間毎のタイミング(t3)について、タイミング(t3)より前の静定区間との間で生じた電力積算量の変化量(ΔΣP(tk3)=ΣP(tk3)-ΣP(t3))を算出する(k3=4)。
【0056】
そして、容量推定部206は、算出された静定区間毎のタイミングにおける電力積算量の変化量と、対応する区間で生じるSoCの変化量と、に基づいて、電池容量を推定する。本変形例では、より多くの区間の電力積算値の変化量とSoCの変化量とに基づいて、電池容量を推定することで、電池容量の推定精度を向上させることができる。
【0057】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、直流交流変換器102による変換効率について考慮しなかった。しかしながら、交流側で検出された電力に従って、蓄電池システム150の電池容量を推定する場合、直流交流変換器102の変換効率を考慮する方が好ましい。そこで第2の実施形態では、直流交流変換器102の変換効率を考慮した場合について説明する。
【0058】
図5は、第2の実施形態のスマートメータ101、及び電池システム制御装置500の構成を例示した図である。なお、第1の実施形態と同様の構成は、同一の符号を割り当て、説明を省略する。
【0059】
電池システム制御装置500は、第1の実施形態の電池システム制御装置100と比べて、効率演算部501が追加された例とする。
【0060】
効率演算部501は、通信部201から入力された交流電力を示す情報に対して、直流交流変換器102の変換効率に基づいて、直流交流変換器102を介して直流側の直流電力を示す情報を演算する。効率演算部501は、変換効率に基づいて演算を行うために、効率変換テーブルを備えている。
【0061】
図6は、第2の実施形態の効率演算部501が備える効率変換テーブルを例示した図である。図6に示されるように、効率演算部501は、電力と変換効率値とを対応付けた効率変換テーブルを備えている。
【0062】
ところで、蓄電池システム150では、充電時において、直流交流変換器102の変換効率を考慮すると、交流側の電力積算量と比べて、直流側の電池セル150_1~150_nに充電される容量は少なくなる。
【0063】
一方、放電時において、直流交流変換器102の変換効率を考慮すると、直流側の電池セル150_1~150_nから放電された電力量と比べて、交流側の電力積算量が少なくなる。
【0064】
このように入出力電力の極性に応じて演算手法が異なる。そこで、効率演算部501は、放電側効率変換テーブルと、充電側効率変換テーブルと、を備え、極性に応じて算出手法を異ならせている。これによって、効率演算部501は、充電か放電か、及び電力に応じて、適切な電力変換が可能となる。
【0065】
図7は、第2の実施形態の電池システム制御装置500の積算値記憶部207に取得した情報を記憶させるまでの処理を示したフローチャートである。
【0066】
まず、電池システム制御装置500の通信部201は、スマートメータ101から、SoCや電力に関する情報を受信する(S601)。
【0067】
次に、SoC取得部202が、S601で受信した情報から、SoCを取得する(S602)。
【0068】
そして、電力取得部203が、受信した情報から、スマートメータ101が検出した交流電力を取得する(S603)。
【0069】
そして、効率演算部501は、取得した交流電力から、変換効率に基づいて、直流電力を取得する(S604)。なお、具体的な処理手順については後述する。
【0070】
次に、電力積算部204が、効率演算部501で演算された後の直流電力を積算し、直流電力積算量を算出する(S605)。
【0071】
そして、静定判定部205は、効率演算部501で演算された後の直流電力の変化(変化量の絶対値)が、所定の閾値ΔX以内か否かを判定する(S606)。変化量の絶対値が、所定の閾値ΔX以内ではない、換言すれば所定の閾値ΔXより大きい場合(S606:No)、再びS601から処理を行う。
【0072】
一方、静定判定部205は、効率演算部501で演算された後の直流電力の変化(変化量の絶対値)が、所定の閾値ΔX以内の場合(S606:Yes)、容量推定部1002が、直流電力積算量と、SoCとを対応付けて、積算値記憶部207に記憶する(S607)。
【0073】
次に、S604の処理を具体的に説明する。図8は、本実施形態の効率演算部501に
おける直流電力を算出するまでの処理手順を示したフローチャートである。
【0074】
まず、効率演算部501は、電力取得部203が取得した交流電力の極性に基づいて、蓄電池システム150が充電されているか否かを判定する(S701)。
【0075】
効率演算部501は、蓄電池システム150が充電されていると判定した場合(S701:Yes)、充電側効率変換テーブルを読み出す(S702)。
【0076】
そして、効率演算部501は、読み出した充電側効率変換テーブルに基づいて、交流側の電力から、直流交流変換器102で変換された後の直流電力を算出する(S703)。本実施形態の効率演算部501は、充電側効率変換テーブルにおいて、交流電力と対応付けられた変換効率値(なお、当該変換効率値は1より小さい正数とする)を読み出し、交流電力に当該値を乗算することで、直流電力を算出する。
【0077】
一方、効率演算部501は、蓄電池システム150が充電されていない、換言すれば放電されていると判定した場合(S701:No)、放電側効率変換テーブルを読み出す(S704)。本実施形態の効率演算部501は、放電側効率変換テーブルにおいて、交流電力と対応付けられた変換効率値(なお、当該変換効率値は1より小さい正数とする)を読み出し、交流電力を当該値で除算することで、直流電力を算出する。
【0078】
そして、効率演算部501は、読み出した放電側効率変換テーブルに基づいて、交流側の電力から、直流交流変換器102で変換される前の直流電力を算出する(S705)。
【0079】
本実施形態では、上述した処理手順に従って算出された直流電力に基づいて、積算等がなされる。
【0080】
次に、電池容量を推定するまでの処理について説明する。図9は、容量推定部1002における電池容量を推定するまで処理手順を示したフローチャートである。図9に示される処理は、予め定められた容量推定開始時から行われる。
【0081】
まず、容量推定部1002は、容量推定開始時から所定時間Y以内に、積算値記憶部207に記憶された、積算された直流電力積算量と、SoCと、を読み出す(S901)。
【0082】
そして、容量推定部1002は、容量推定開始時から所定時間Y以内に、容量推定開始時(現在)に近い静定区間の電力積算量を基準として、静定区間毎に、電力積算量の変化量とSoCの変化量とを算出する(S902)。
【0083】
そして、容量推定部1002は、静定区間毎の、電力積算量の変化量及びSoCの変化量に基づいて、電池容量を推定する(S903)。
【0084】
本実施形態では、上述した処理手順によって電池容量が推定される。その後、容量劣化算出部208による容量劣化率の推定が行われる。
【0085】
本実施形態においては、直流交流変換器102の変換効率を考慮している。このため、直流交流変換器102の変換効率を考慮しない場合に生じる変動区間における充放電動作が均等でない場合の電力蓄積値(ΔΣP)に生じる偏りを抑制する。これによって、図4で示したような、2次元座標上の、静定区間ごとの電力積算量の変化量ΔΣP(tk)と、SoC(tk)と、で示されるプロットのばらつきを抑制できる。したがって、図4で示した場合に、近似曲線の傾きから算出される電池容量の誤差を低減できる。
【0086】
なお、本実施形態は、効率変換テーブルを用いて電力変換を行う例について説明したが、効率変換テーブルを用いる手法に制限するものではなく、定数(例えば0.95)等を用いて変換を行ってもよい。または、交流電力の極性ごとに設けた効率変換テーブルに同じテ-ブル値を適用してもよい。
【0087】
本実施形態においては、変換効率を考慮して蓄電池システム150から入出力される直流電力を算出することとした。つまり、本実施形態では、交流電力で蓄電池システム150の電池容量を算出する際に、直流交流変換器102による変換効率を考慮していることで、電池容量の推定精度を向上させることができる。
【0088】
(第3の実施形態)
上述した実施形態では、スマートメータ101で電力を検出する例について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、スマートメータ101で電力を検出する例に制限するものではなく、電力量を検出してもよい。そこで、第3の実施形態では電力量を検出する例について説明する。
【0089】
図10は、第3の実施形態のスマートメータ1050、及び電池システム制御装置1000の構成を例示した図である。なお、上述した実施形態と同様の構成は、同一の符号を割り当て、説明を省略する。
【0090】
図10に示されるように、スマートメータ1050は、電力検出部252の代わりに、電力量計1051が設けられている。これにより、通信部253は、蓄電池システム150のSoC、及び、検出した交流電力量を表す情報を送信する。
【0091】
電池システム制御装置1000は、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで、通信部201と、SoC取得部202と、電力量取得部1003と、静定判定部1001と、容量推定部1002と、容量劣化算出部208と、を実現する。また、電池システム制御装置1000は、HDD内に、積算値記憶部207を備える。
【0092】
電力量取得部1003は、通信部201から、サンプリング周期T毎に、蓄電池システム150から直流交流変換器102を介して入力及び出力された、交流側の交流電力量を取得する。本実施形態においては、サンプリング周期ごとに入力される交流電力量のうち、1サンプリング前に入力された交流電流量を、前回入力された交流電力量とも称する。
【0093】
そして、静定判定部1001は、入力された交流電力量と前回の交流電力量との差分の絶対値が、所定の閾値ΔX*T(サンプリング周期)以内となる場合に静定区間と判定し、入力された交流電力量と前回の交流電力量との差分の絶対値が、所定の閾値ΔX*T(時間)より大きい場合に変動区間と判定する。
【0094】
そして、容量推定部1002は、静定区間と判定された場合に、当該タイミングにおける電力量計1051の電力積算量を、SoCと対応付けて、積算値記憶部207に記憶する。
【0095】
そして、容量推定開始時に、容量推定部1002は、静定区間ごとに、容量推定開始時に近い静定区間の電力積算量から、当該静定区間の電力積算量を除算し、電力積算量の変化量を算出する。以降の処理については、上述した実施形態と同様の手法で電池容量を算出可能として説明を省略する。
【0096】
なお、スマートメータ1050において、充電の電力積算量と、放電の電力積算量と、がそれぞれ別の電力量計で測定されている場合、電力量取得部1003は、充電側の電力量の計測値から放電側の電力量の計測値を減算して、静定区間と判定されたタイミングにおける電力積算量を算出する。
【0097】
本実施形態においては、電力量計1051を用いることで、電力検出用の装置が不要となるとともに、電力積算処理が不要となる。このため、電池システム制御装置1000における、電池容量の推定処理時間の短縮、及び負荷軽減を実現できる。
【0098】
(第3の実施形態の変形例)
第3の実施形態では、電力量を取得した場合に、電力量に基づいて静定区間か否かを判定する例について説明した。しかしながら、電力量を取得した場合であっても、電力量に基づいて静定区間か否かを判定する手法に制限するものではない。
【0099】
図11は、第3の実施形態の変形例のスマートメータ1050、及び電池システム制御装置1100の構成を例示した図である。なお、上述した実施形態と同様の構成は、同一の符号を割り当て、説明を省略する。
【0100】
電池システム制御装置1100は、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで、通信部201と、SoC取得部202と、電力量取得部1003と、電力換算部1101と、静定判定部205と、容量推定部1002と、容量劣化算出部208を実現する。また、電池システム制御装置1000は、HDD内に、積算値記憶部207を備える。
【0101】
本変形例においては、電力換算部1101が、電力量取得部1003が取得した電力量を、電力に換算した値を算出する。電力に換算した値は、電力量と、サンプリング周期Tに基づいて算出される。
【0102】
静定判定部205は、第一の実施形態と同様に、電力に換算した値の絶対値が、所定の閾値ΔX以内か否かに応じて静定区間か否かを判定する。以降の処理は、第3の実施形態と同様として説明を省略する。
【0103】
(第4の実施形態)
第3の実施形態においては、電力変換の効率を考慮しない例について説明した。そこで第4の実施形態では、電力量を適用した場合において、電力変換の効率を考慮した場合について説明する。
【0104】
図12は、第4の実施形態のスマートメータ1050、及び電池システム制御装置1200の構成を例示した図である。なお、上述した実施形態と同様の構成は、同一の符号を割り当て、説明を省略する。
【0105】
電池システム制御装置1200は、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで、通信部201と、SoC取得部202と、電力量取得部1003と、静定判定部1001と、電力換算部1101と、効率演算部1201と、容量推定部1002と、容量劣化算出部208と、を実現する。また、電池システム制御装置1000は、HDD内に、積算値記憶部207を備える。
【0106】
効率演算部1201は、充電時は、交流電力量に、充電に対応する変換効率値を乗算することで、充電時の直流電力を算出できる。
【0107】
一方、効率演算部1201は、放電時は、交流電力量に、放電時に対応する変換効率値で除算することで、放電時の直流電力積算量を算出できる。
【0108】
そして、容量推定部1002が、直流電力積算量と、SoCと、を対応付けて、積算値記憶部207に記憶する。
【0109】
なお、本実施形態では、電力量計では瞬時に出力される電力を取得できないため、予め定められた変換効率値を用いる場合について説明した。しかしながら、本実施形態はこのような手法に制限するものではない。例えば、効率演算部1201は、電力換算部1101により交流電力量から換算された、電力に換算された値と、第2の実施形態で示した、放電用の効率変換テーブル及び充電用の効率変換テーブルのうちいずれか一つ以上と、を用いて、直流電力積算量を算出してもよい。
【0110】
また、本実施形態の静定判定部1001は、電力量に基づいて静定区間か否かを判定する例について説明するが、電力換算部1101により、電力に換算した値の絶対値に基づいて、静定区間か否かを判定してもよい。
【0111】
(第5の実施形態)
上述した実施形態及び変形例では、蓄電池システム150の電池容量及び容量劣化率を電池システム制御装置で算出する例について説明した。しかしながら、電池システム制御装置がすべての処理を行うことに制限するものではなく、複数の装置を組み合わせて実現してもよい。
【0112】
図13は、本実施形態にかかる電力制御システムの構成を例示した図である。図13に示される例では、電池システム制御装置1300が上位制御装置1351と接続されている。さらに、電池システム制御装置1300が、公衆ネットワーク1350を介して、遠隔制御装置1352と接続されている。なお、電池容量及び容量劣化率の算出手法は、上述した実施形態及び変形例で用いた手法でよいため、説明を省略する。
【0113】
例えば、電池システム制御装置1300が蓄電池システム150毎に設けられた装置であって、上位制御装置1351が複数の蓄電池システム150を管理する装置とし、遠隔制御装置1352は所定の地域に設けられた全ての蓄電池システム150全体を管理して情報を収集する装置とする。
【0114】
このような場合に、電池システム制御装置1300において電池容量及び容量劣化率を算出することに制限するものではなく、例えば、電池システム制御装置1300が電力又は電力量とSoCに関する情報を上位制御装置1351又は遠隔制御装置1352に送信し、上位制御装置1351又は遠隔制御装置1352が、電池容量及び容量劣化率を算出してもよい。
【0115】
(第6の実施形態)
第5の実施形態では、上位制御装置1351又は遠隔制御装置1352が、電池容量及び容量劣化率を算出する例について説明した。しかしながら、電池容量の算出と、容量劣化率の算出と、を異なる装置が行ってもよい。
【0116】
例えば、電池システム制御装置1300が電力容量の算出を行い、算出された電力容量等を上位制御装置1351又は遠隔制御装置1352に送信する。そして、上位制御装置1351又は遠隔制御装置1352に設けられた容量劣化算出部208が、電池システム制御装置1300からの情報に基づいて、容量劣化率の算出を行ってもよい。
【0117】
また、電池システム制御装置1300は、電池システム制御装置1300から送信された情報を蓄積するデータ蓄積装置や、電池システム制御装置1300が算出した電池容量を分析する測定データ分析装置に、電池容量の推定結果を送信してもよい。
【0118】
第6の実施形態では、電池システム制御装置1300は、電池容量の推定結果を、上位制御装置1351、遠隔制御装置1352に送信することで、各蓄電池システム150の充放電量の適切な管理・制御が可能となる。
【0119】
なお、上述した実施形態及び変形例では、静定区間で取得したSoCに基づいて電池容量を算出する手法について説明した。しかしながら、電池容量を算出するためのSoCを取得するタイミングを、静定区間に制限するものではなく、SoCを適切に取得できれば、変動期間であってもよい。
【0120】
上述した実施形態及び変形例では、蓄電池システム150から直接入出力されている直流電力又は直流電力量を取得せずに、直流交流変換器102を介した交流電力又は交流電力量から、蓄電池システム150の電池容量を推定する例について説明した。これによって、蓄電池システム150の電力を検出する装置を新たに設けることなく、電池容量を推定できるため、蓄電池システム150の適切な制御を実現できる。また、電力事業者等で取得が容易な交流電力、又は交流電力量に基づいて蓄電池システム150の容量及び容量劣化のうちいずれか一つ以上を行うことで、蓄電池システム150から直接電力を検出するための装置等を備える必要がないため、コストを削減することができる。
【0121】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0122】
10…電力制御システム、100、500、1000、1100、1200、1300…電池システム制御装置、101、1050…スマートメータ、102…直流交流変換器、110_1~110_n…太陽光電池、111…補助装置、150…蓄電池システム、150_1~150_n…電池セル、201…通信部、202…SoC取得部、203…電力取得部、204…電力積算部、205、1001…静定判定部、206、1002…容量推定部、207…積算値記憶部、208…容量劣化算出部、251…SoC推定部、252…電力検出部、253…通信部、501、1201…効率演算部、1003…電力量取得部、1051…電力量計、1101…電力換算部、1351…上位制御装置、1352…遠隔制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13