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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】物品販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/00 20060101AFI20230911BHJP
   G07F 9/10 20060101ALI20230911BHJP
   G07F 11/28 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
G07F9/00 107C
G07F9/10 E
G07F11/28
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019156815
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021033927
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】722012006
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】品川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】池田 武人
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-159156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/00 - 11/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状のキャビネットの内部に、物品を収納する物品収納部と、前記キャビネットの前面に設けられた投入口から下方に傾斜しつつ後方に前記物品収納部の上端部まで延びる底板を有し前記投入口に投入された物品を前記底板の上面で転動させて前記物品収納部に導く投入路と、を有するコラムを備えた物品販売機であって、
前記キャビネット内の前記投入路の後方、または、前記物品収納部の上方に立設され、前記投入路の底板から物品の高さより上方での物品の通過を阻止する通過阻止部材を備え
前記通過阻止部材は、支持部材に支持され、当該支持部材とともに前記キャビネットと別体に構成され、
前記支持部材は、前記キャビネットに設けられている支持部に固定可能である
ことを特徴とする物品販売機。
【請求項2】
箱状のキャビネットの内部に、物品を収納する物品収納部と、前記キャビネットの前面に設けられた投入口から下方に傾斜しつつ後方に前記物品収納部の上端部まで延びる底板を有し前記投入口に投入された物品を前記底板の上面で転動させて前記物品収納部に導く投入路と、を有するコラムを備えた物品販売機であって、
前記キャビネット内の前記投入路の後方、または、前記物品収納部の上方に立設され、前記投入路の底板から物品の高さより上方での物品の通過を阻止する通過阻止部材を備え、
前記通過阻止部材は、支持部材に支持され、当該支持部材とともに前記キャビネットおよび前記コラムと別体に構成され、
前記支持部材は、前記コラムに設けられている支持部に固定可能であることを特徴とする物品販売機。
【請求項3】
前記通過阻止部材の下端部は、前記投入路の底板から物品の高さより高い位置に存することを特徴とする請求項1または2に記載の物品販売機。
【請求項4】
前記支持部材は、平板状に形成され、前記キャビネットの天板の内壁面に沿って前記支持部に支持されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の物品販売機。
【請求項5】
前記通過阻止部材は、平板状に形成され、前記支持部材の端部に回動可能に支持され、
前記端部を後方にして前記支持部材を前記天板に対して所定の前後左右位置に位置させた際に、前記通過阻止部材は自重によって回動して前記投入路の底板から物品の高さより上方での物品の通過を阻止する所定位置に位置することを特徴とする請求項に記載の物品販売機。
【請求項6】
前記支持部材に対する前記通過阻止部材の前記所定位置より後方への回動を規制する回動規制部を備えたこと特徴をとする請求項に記載の物品販売機。
【請求項7】
前記回動規制部は、前記通過阻止部材及び前記支持部材の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項に記載の物品販売機。
【請求項8】
前記回動規制部は、前記キャビネット及び前記コラムの少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項に記載の物品販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネット内のコラムに物品を投入して収納する物品販売機の物品投入機構に関する。
【背景技術】
【0002】
缶飲料等の円筒形の商品を販売する自動販売機(物品販売機)は、管理者等の作業者がキャビネットの前面に設けられた投入口から商品を投入し、キャビネット内のコラムに商品を収納する構造が多い。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された自動販売機では、投入口から後方のコラム(本発明の物品収納部に該当する)の上端部に向かって下方に傾斜した投入路を備えている。商品は自重によって投入路を後方に向かって転動して、コラムに収納される。また、複数の種類の商品を収納するために、複数のコラムがキャビネット内を前後方向に並んで配置されており、これに伴い、コラムの上部で投入路は上下方向に並んで配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-103455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようにコラムの上部に設けられた投入路は、例えば樋状に形成され、上下に重ねてキャビネットの上部に配置されているものが多い。
【0006】
また、投入路が後方に向かって下方に傾斜している構成では、投入口がキャビネットの内部の最上部に配置されているとしても、水平状に延びる天板と投入路の後部との間に空間(隙間)が形成される場合が多い。そして、作業者がこの投入路の投入口に商品を勢いよく投入した場合に、商品が投入路から上方に飛び出して、天板と投入路の後部との間の空間に入り込んでしまう可能性があり、作業者に気づかれずに長期間放置されてしまう虞がある。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであって、投入路に物品を投入した際にキャビネット内の上部の空間に物品が入り込んで放置されてしまうことを防止する構造の物品販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の物品販売機は、箱状のキャビネットの内部に、物品を収納する物品収納部と、前記キャビネットの前面に設けられた投入口から下方に傾斜しつつ後方に前記物品収納部の上端部まで延びる底板を有し前記投入口に投入された物品を前記底板の上面で転動させて前記物品収納部に導く投入路と、を有するコラムを備えた物品販売機であって、前記キャビネット内の前記投入路の後方、または、前記物品収納部の上方に立設され、前記投入路の底板から物品の高さより上方での物品の通過を阻止する通過阻止部材を備え、前記通過阻止部材は、支持部材に支持され、当該支持部材とともに前記キャビネットと別体に構成され、前記支持部材は、前記キャビネットに設けられている支持部に固定可能であることを特徴とする。
あるいは本発明の物品販売機は、箱状のキャビネットの内部に、物品を収納する物品収納部と、前記キャビネットの前面に設けられた投入口から下方に傾斜しつつ後方に前記物品収納部の上端部まで延びる底板を有し前記投入口に投入された物品を前記底板の上面で転動させて前記物品収納部に導く投入路と、を有するコラムを備えた物品販売機であって、前記キャビネット内の前記投入路の後方、または、前記物品収納部の上方に立設され、前記投入路の底板から物品の高さより上方での物品の通過を阻止する通過阻止部材を備え、前記通過阻止部材は、支持部材に支持され、当該支持部材とともに前記キャビネットおよび前記コラムと別体に構成され、前記支持部材は、前記コラムに設けられている支持部に固定可能であることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記通過阻止部材の下端部は、前記投入路の底板から物品の高さより高い位置に存するとよい。
【0012】
好ましくは、前記支持部材は、平板状に形成され、前記キャビネットの天板の内壁面に沿って前記支持部に支持されるとよい。
【0013】
好ましくは、前記通過阻止部材は、平板状に形成され、前記支持部材の端部に回動可能に支持され、前記端部を後方にして前記支持部材を前記天板に対して所定の前後左右位置に位置させた際に、前記通過阻止部材は自重によって回動して前記投入路の底板から物品の高さより上方での物品の通過を阻止する所定位置に位置するとよい。
【0014】
好ましくは、前記支持部材に対する前記通過阻止部材の前記所定位置より後方への回動を規制する回動規制部を備えるとよい。
【0015】
好ましくは、前記回動規制部は、前記通過阻止部材及び前記支持部材の少なくとも一方に設けられているとよい。
【0016】
好ましくは、前記回動規制部は、前記キャビネット及び前記コラムの少なくともいずれか一方に設けられているとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、キャビネット内の投入路の後方、または、物品収納部の上方に、投入路の底板から物品の高さより上方での物品の通過を阻止する通過阻止部材を備えているので、投入口に物品を投入した際に通過阻止部材の上方を超えて物品収納部の上方の空間に物品が入り込むことを防止することができる。
【0018】
これにより、キャビネット内の物品収納部の上方の空間に、商品が気付かれずに長期間放置されてしまうことを防止することができる。したがって、この物品収納部と天板との間の空間に入り込んで長期間放置された物品が、振動等によりこの空間から物品収納部に落下して収納されてしまうことを防止することができる。
【0019】
また、物品収納部と天板との間の空間に入り込んだ物品が、振動等によりこの空間から
落下した際に、当該物品の投入後に同一の投入路に投入された物品と、投入路の後方や物
品収納部の上方において重なって物品が詰まることを防止することができる。 また、通過阻止部材がキャビネットと別体に構成されており、キャビネットに後付けで取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態の自動販売機の上部の正面側から視た斜視図である。
図2】残缶防止板取り付け前の自動販売機の上部の縦断面図である。
図3】自動販売機の上部の縦断面形状を示す斜視図である。
図4】第1の実施形態の残缶防止板の取り付け後の自動販売機の上部の縦断面図である。
図5】第1の実施形態における残缶防止板及び取り付け支持板の形状を示す側面図である。
図6】残缶防止板及び取り付け支持板の取り付け部の詳細を示す縦断面図である。
図7】本発明の第2の実施形態の残缶防止板取り付け後の自動販売機の上部の縦断面図である。
図8】本発明の第3の実施形態の残缶防止板を有する自動販売機の上部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態の自動販売機(物品販売機)の上部の正面側から視た斜視図である。図2は、残缶防止板取り付け前の自動販売機の上部の縦断面図である。図3は、自動販売機の上部の縦断面形状を示す斜視図である。なお、図2は、図1のA-A部の断面図である。図3は、図2のB-B部の断面の斜視図である。
【0023】
図1~3に示すように、本発明を採用する一実施形態の自動販売機1は、矩形箱状に形成された断熱構造のキャビネット2の内部に、販売する商品(物品)を収納しておくコラム3を備えている。コラム3には、例えば缶飲料のように円筒状に形成された商品が収納される。
【0024】
コラム3は、キャビネット2の天板4と図示しない底板、及びキャビネット2の左右側板5の間の内部空間を仕切板19で区画した庫室(例えば本実施形態では3個)内に、前後方向に複数(例えば本実施形態では3本)並べて配置されている。また、前後方向に複数並んで配置された1列のコラム3が、更にキャビネット2内で左右方向に複数列(本実施形態では4列)並べて配置されている。
【0025】
コラム3は、左右方向に所定間隔をおいて配置された平板状の一対の左右側板6と、左右側板6の間を前後方向に所定間隔を置いて配置された縦板7を複数備え、箱型に形成されている。コラム3には、一対の左右側板6と、前後方向に隣り合う縦板7との間に、商品を上下方向に重ねて収納する商品通路14(物品収納部)が形成されている。商品通路14に左右方向に横倒しにした商品を上下方向に積み重ねて収納可能となるように、左右側板6の間隔及び縦板7の間隔が設定されている。
【0026】
なお、本実施形態では、図2に示すように、1つのコラム3に2つの商品通路14が夫々備えられている。また、図2では縦板7が上下方向に直線的に延びるように記載されているが、縦板7を前後方向に互い違いに半円弧状に屈曲させたり、縦板7に沿ってあるいは縦板7の代わりに半円弧状に屈曲したシュート板を上下方向に連ねて配置したりして、商品通路14が所謂サーペンタイン式に蛇行するように形成することが望ましい。
【0027】
更に、コラム3は、商品通路14の上方に、キャビネット2の前面側から各コラム3内に商品を投入するための投入路8を備えている。
【0028】
投入路8は、1つの商品通路14に対し1つ備えられ、上下方向に重ねて複数配置されている。投入路8の前端部には、キャビネット2の図示しない前扉を開口した際に商品を投入する投入口9が備えられている。
【0029】
投入路8は、隣り合う左右側板6、6の間を左右方向に延びる底板10によって形成されている。底板10は、キャビネット2の前面から、後方に向かって下方に傾斜して、縦板7の上端部まで延びている。
【0030】
投入口9から投入された商品は、図2中において〇の形状で記載されているように、投入路8の底板10の上面を転動して後方に移動し、商品通路14の上端部から商品通路14内に移動して、商品通路14内で上下に積み重なるようにして収納される。
【0031】
投入路8と商品通路14との接続部の上方には、投入路8を後方に向かって転動してきた商品を商品通路14に向かって下方に移動方向を変更させるガイド板11が備えられている。ガイド板11は、例えば縦断面が両端を広げたコの字状に形成され、隣り合う左右側板6、6の間を左右方向に延びるように配置されている。
【0032】
キャビネット2内には、商品通路14及び投入路8が複数設けられているので、複数の種類の商品が収納可能となっている。例えば、図2に示すように前後方向に2つの商品通路14が並んだコラム3が前後方向に3個並んで配置されている場合には、商品通路14が前後方向に1列に6個並んで配置されている。更に、図1に示すように、この1列のコラム3が左右方向に4列配置されているので、キャビネット2内に6×4=24種類の商品を収納可能となっている。コラム3の商品通路14に収納された商品は、商品通路14の下部から購入操作に基づいて1個ずつ搬出される。
【0033】
上下方向に並んで配置される投入路8のうち最上部の投入路8aは、前端部の投入口9aがキャビネット2の天板4に隣接して配置されている。一方、投入路8は後方に向かって下方に傾斜しているので、最上部の投入路8aの後部の上方において、水平に延びる天板4と投入路8aの後部のガイド板11との間のキャビネット2内に空間12(隙間)が形成されている。
【0034】
一方、天板4の前端部には補強部材としてのフレーム15が左右に延びている。また、天板4の内側には天板4の内壁面に沿って、コラム3の左右側板6の上端部に、例えば天地逆のU字状に形成されたフック部を着脱可能に支持するレール16が設けられている。レール16は、左右側板6の上端部に沿って前後方向に夫々延びるように配置されている。レール16の前端部はフレーム15に、後端部はキャビネット2の背面板に、夫々接続されている。レール16と天板4の下面に配置された断熱材17の間には、コラム3の列毎に、即ち最上部の投入路8a毎に、左右に一対、投入路8aの左右方向内側に向けて開口して前後方向に延びる支持部18が形成されている。支持部18は、フレーム15の後部から後方に延び、その上下幅、即ちレール16と断熱材17との間に存在する例えば数mmの隙間である。各列の一対の支持部18は、水平状態の板部材の端部が挿入可能なように同一の上下位置に設けられている。なお、支持部18については、キャビネット2に備えられたレール16と断熱材17との間に存在している隙間を利用するのではなく、レール16に溝部を設け、この溝を支持部18として使用してもよい。また、支持部18については、キャビネット2に設けるのではなく、コラム3の左右側板6を加工等して、コラム3内に設けてもよいし、仕切板19に設けてもよい。
【0035】
図4は、本発明の第1の実施形態の残缶防止板20(通過阻止部材)の取り付け後の自動販売機1の上部の縦断面図である。図5は、第1の実施形態における残缶防止板20及び取り付け支持板21(支持部材)の形状を示す斜視図である。図6は、残缶防止板20及び取り付け支持板21の取り付け部の詳細を示す縦断面図である。なお、図6において、残缶防止板20及び取り付け支持板21については斜線部で示している。
【0036】
図4~6に示すように、本実施形態における自動販売機1は、最後部の商品通路14aに商品を収納すべく、最上部の投入路8aの前端部の投入口9aから商品を投入した際に、キャビネット2の後部の空間12に商品が入り込むことを防止する残缶防止板20を備えている。
【0037】
残缶防止板20は、最後部に位置する商品通路14aの上方、即ち最上部に位置する投入路8aの後方において、コラム3の左右側板6の間に配置され、商品通路14aの左右幅より若干短い左右幅であり、かつ最後部の商品通路14aの上部に配置されたガイド板11aの前端部から天板4まで略上下方向に延びる矩形状の平板である。
【0038】
残缶防止板20の端部は、取り付け支持板21の端部がヒンジ22によって回動可能に支持されている。
【0039】
取り付け支持板21は、残缶防止板20に対して左右幅が若干大きく形成された矩形状の平板である。残缶防止板20と取り付け支持板21とは、互いに重なる状態から、残缶防止板20と取り付け支持板21とが少なくとも垂直になるまで略90度以上回動可能に支持されている。また、取り付け支持板21の左右端部21aは、左右方向中央部よりもわずかに上方に位置するように屈曲している。
【0040】
この残缶防止板20及び取り付け支持板21は、キャビネット2、コラム3及び仕切り板19とは別体に形成されている。
【0041】
図2に示すような残缶防止板20が備えられていない自動販売機1に対し、最上部の投入路8aの上方に、作業者が残缶防止板20を後付けで備えることが可能となっている。以下にその取り付け手順を説明する。
【0042】
まず、作業者が取り付け支持板21と残缶防止板20とを折り畳んだ状態にし、キャビネット2の前面側から最上部の投入口9aに、取り付け支持板21と残缶防止板20を、残缶防止板20を下側とし、ヒンジ22側を先端にして(後方に向けて)挿入する。
【0043】
次に、取り付け支持板21及び残缶防止板20をフレーム15より後方に挿入し、フレーム15の後方で取り付け支持板21の左右端部21aをわずかに上下方向に傾けながら、取り付け支持板21の左右端部21aを一方ずつ支持部18に差し込んで、取り付け支持板21を天板4の内面に配置されたレール16に支持させる。
【0044】
次に、フレーム15の後端部に接触するまで取り付け支持板21を前方にスライドさせて、取り付け支持板21の前後位置(本発明の所定の前後左右位置)を規定する。
【0045】
なお、取り付け支持板21の前後位置については、取り付け支持板21の前端部の位置を天板4の内面やレール16にマーク等を図示しておいて、当該マーク位置に取り付け支持板21をスライドさせるようにして規定してもよい。
【0046】
あるいは、取り付け支持板21が所定の前後位置に位置した際に、それ以上後方にスライド不能にするストッパを天板4の内面あるいはレール16等に設けておいてもよい。
【0047】
天板4の内側には補強部材24が設けられており、残缶防止板20は挿入している間、補強部材24により下方への回動が規制される。
【0048】
そして、取り付け支持板21及び残缶防止板20が所定の前後位置に位置することで、残缶防止板20のヒンジ22(回動機構)とは反対側の端部が自重によって下方に回動する。これにより、残缶防止板20が取り付け支持板21に対し略垂直となる。取り付け支持板21と残缶防止板20とを折り畳んだ状態で粘着テープ等によって仮止め固定し、所定の前後位置に位置した際に作業者が固定を外すことで、残缶防止板20を回動させてもよい。なお、このとき残缶防止板20の下端部が最後部の商品通路14aの上方に位置するガイド板11a付近に位置するように、残缶防止板20の上下長さが設定されている。したがって、残缶防止板20は、最後部の商品通路14aの上方、または、最上部に位置する投入路8aの後方において、投入路8aの底板から物品の高さより上方での物品の通過を阻止する所定位置に位置することになる。なお、商品通路14aの上方に残缶防止板20が配置される場合には、投入路8aの底板10aを後方に延長した仮想の位置から、物品の高さより上方での物品の通過を阻止するように、残缶防止板20の上下長さが設定されている。
【0049】
残缶防止板20の下端部は、底板10aから物品高さより高い位置にあるため、残缶防止板20の下方を商品が通過できる。
【0050】
なお、残缶防止板20が、上下2部品で構成され、取り付け支持板21に支持された上部部材の下端にヒンジ等で下部部材が、前後方向回動自在に接続されていてもよい。
【0051】
商品通路14aの上方には左右側板6の間を連結する補強部材23が備えられている。
【0052】
本実施形態では、残缶防止板20を備えることで補強部材23の上方を商品が通過することが阻止される。補強部材23は、残缶防止板20が鉛直方向よりも後方に回動することを規制するストッパ(本発明の回動規制部)になる。なお、回動規制部はキャビネット2の天板4やレール16、仕切板19等から延びて設けられた部材であってもよい。
【0053】
以上のような構成により、本実施形態の自動販売機1では、前扉を開けたキャビネット2の前面に開口する投入口9に、作業者が缶等の商品を投入することで、商品が投入路8の底板10上を後方に転動する。そして、投入路8から商品通路14に商品が落下して収納される。
【0054】
投入路8は、上下に複数並べて配置されている。また、最上部の投入路8aの前端部の投入口9aは、キャビネット2の天板4に隣接して配置されているが、投入路8aが後方に向かって下方に傾斜しているので、水平状に延びる天板4と最上部の投入路8aの後端部に設けられているガイド板11aとの間に空間12が形成されている。
【0055】
このような構成の自動販売機1において、作業者が最上部の投入口9aから投入路8aに勢いよく商品を投入した場合に、商品が最上部の投入路8aの底板10a上から上方に飛び出して、天板4と最後部の商品通路14aの上部のガイド板11aとの間の空間12に商品が入り込んでしまう虞がある。
【0056】
本実施形態では、上記のように、最後部の商品通路14aの上方、または、最上部の投入路8aの後方において、投入路8aの底板10aから商品の高さより上方での商品の通過を阻止するように、残缶防止板20が配置されるので、最上部の投入口9aから投入路8aに投入した商品が天板4と商品通路14aとの間の空間12に入り込むことを防止し、商品を最後部の商品通路14a内に誘導する。
【0057】
これにより、キャビネット2内の商品通路14aの上部の空間12に、商品が気付かれずに入り込んで長期間放置されてしまうことを防止することができる。したがって、このガイド板11aと天板4との間の空間12に長期間放置された商品が、振動等により商品通路14a内に落下して、誤って販売されてしまうことを防止することができる。
【0058】
また、ガイド板11aと天板4との間の空間12に入り込んだ商品が、振動等により空間12から落下した際に、当該商品の投入後に投入路8aに投入された商品と、投入路8aの後方や商品通路14aの上方において重なって商品が詰まることを防止することができる。
【0059】
残缶防止板20は取り付け支持板21に支持され、取り付け支持板21とともにキャビネット2と別体に構成されており、取り付け支持板21が後付けでキャビネット2に固定可能であるので、残缶防止板20のない自動販売機1に対して、取り付け支持板21を介して残缶防止板20をキャビネット2に取り付けることが可能となる。したがって、製造済や使用中の自動販売機1に後付けで残缶防止板20を設置することができる。なお、残缶防止板20及び取り付け支持板21については、キャビネット2内に着脱可能であってもよいし、一旦キャビネット2内に取り付けたら取り外しが不能であってもよい。少なくともキャビネット2内に後付けが可能であればよい。
【0060】
残缶防止板20及び取り付け支持板21は、平板をヒンジ22によって回動可能に支持した比較的簡単な構造であり、安価に用意することができる。
【0061】
また、取り付け支持板21がキャビネット2の天板4の内面に形成されている支持部18に挿入するようにして支持されるので、残缶防止板20及び取り付け支持板21を後付けで容易に設置することができる。
【0062】
残缶防止板20は、取り付け支持板21に回動可能に支持され、取り付け支持板21を天板4の所定の前後位置に位置させることで、残缶防止板20が自重によって回動して投入路8aの底板10aから商品の高さより上方での商品の通過を阻止する所定位置に位置するので、残缶防止板20を容易に適切な位置及び角度に設置することができる。
【0063】
また、残缶防止板20と取り付け支持板21とを回動可能に接続し、折りたたむことが可能に構成したので、残缶防止板20及び取り付け支持板21をキャビネット2内に設置する際に、投入口9aの上下幅が狭くても、投入口9aから挿入して天板4の下部に設置することができるとともに、残缶防止板20の上下長さを比較的大きくすることが可能となる。また、投入路8aの上部には、左右側板6の間を接続する棒状の補強部材24が設けられている場合が多いが、この補強部材24を回避しながら残缶防止板20及び取り付け支持板21を設置することができる。
【0064】
図7は、本発明の第2の実施形態の残缶防止板31(通過阻止部材)の取り付け後の自動販売機30(物品販売機)の上部の縦断面図である。
【0065】
第2の実施形態の自動販売機30は、第1の実施形態の自動販売機1に対して、残缶防止板31及び取り付け支持板32の構造が異なる。
【0066】
図7に示すように、第2の実施形態の取り付け支持板32及び残缶防止板31については、残缶防止板31が取り付け支持板32に対して90度以上に回動することを規制するストッパ33(回動規制部)が残缶防止板31に設けられている。ストッパ33は、例えば残缶防止板31のヒンジ22側の端部の一部を延長して90度に屈曲して形成されている。この取り付け支持板32及び残缶防止板31を第1の実施形態と同一の構造のキャビネット2に設置すると、残缶防止板31及び取り付け支持板32を所定の前後位置に位置させた後に、残缶防止板31が自重によって略鉛直方向に回動した際に、ストッパ33が天板4あるいは断熱材17に接触し、更に後方に回動することを規制する。したがって、第1の実施形態のように補強部材23をストッパにする必要がないので、補強部材23が適切な前後位置に配置されていなくても、残缶防止板31を適切な角度に規定することができる。なお、取り付け支持板32に、残缶防止板31が90度以上に開くことを規制するストッパを設けてもよい。
【0067】
図8は、本発明の第3の実施形態の残缶防止板41(通過阻止部材)を有する自動販売機40(物品販売機)の上部の縦断面図である。
【0068】
図8に示すように、第3の実施形態の自動販売機40は、残缶防止板41があらかじめキャビネット2内に備えられている。
【0069】
残缶防止板41は、例えばキャビネット2内の補強部材23に固定され、最後部の商品通路14aの上方のガイド板11aの前端と天板4との間で、略鉛直方向に延びるように配置されている。
【0070】
したがって、本実施形態では、第1あるいは第2の実施形態のように残缶防止板20、31が自動販売機1、30のキャビネット2と別体構造ではなく、あらかじめ自動販売機40のキャビネット2内に設けられるものである。本実施形態では残缶防止板41をキャビネット2等にあらかじめ固定した構造にすることで、残缶防止板41を後付けで容易に追加することはできないものの、取り付け支持板21、32が不要となるので、部品点数を少なくし、構造を簡素化することができる。
【0071】
なお、本発明は上記の実施形態に限定するものではない。例えば、残缶防止板20、31、41や取り付け支持板21、32の形状、取り付け方法、取り付け位置等の詳細については、自動販売機の構造に合わせて適宜変更してもよい。
【0072】
例えば、最後部の商品通路14a上のガイド板11aと天板4との間の距離が比較的大きい場合には、2枚の残缶防止板20を回動自在に連結して取り付け、これらを取り付け支持板21に回動自在に支持されるように配置してもよい。このようにすれば、キャビネット2内で残缶防止板20が回動するスペースが狭い場合でも十分な上下長さの残缶防止板20を設置することができる。残缶防止板20の上下長さについては、上記のように空間12に商品が入り込まなければよいので、若干隙間があってもよい。
【0073】
また、自動販売機以外でも、例えば円筒状の商品を貯蔵して販売する物品販売機等にも、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1、30、40 自動販売機(物品販売機)
2 キャビネット
3 コラム
4 天板
8、8a 投入路
9、9a 投入口
10、10a 底板
12 空間
14、14a 商品通路(物品収納部)
18 支持部
20、31、41 残缶防止板(通過阻止部材)
21、32 取り付け支持板(支持部材)
23 補強部材(回動規制部)
33 ストッパ(回動規制部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8