(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】美術品用梱包箱
(51)【国際特許分類】
B65D 25/10 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
B65D25/10
(21)【出願番号】P 2019158222
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】305062549
【氏名又は名称】ヤマト運輸株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593093788
【氏名又は名称】フジコーワ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100136744
【氏名又は名称】中村 佳正
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】的井 通浩
(72)【発明者】
【氏名】山田 直文
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭64-011592(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-2007417(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-0944810(KR,B1)
【文献】特開平09-040019(JP,A)
【文献】特開2003-200929(JP,A)
【文献】特開平08-282668(JP,A)
【文献】特開2006-215183(JP,A)
【文献】特開2007-062801(JP,A)
【文献】米国特許第05595301(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部底部に固定された複数の固定保持ブラケットと、前記複数の固定保持ブラケットに向かって可動自在に構成された複数の可動保持ブラケットとを備え、
前記複数の可動保持ブラケットは、前記本体部底部に固定された複数のレール上を可動自在に設置されており、前記複数のレールは長さが異なる
ものであって、
前記複数の固定保持ブラケットと、前記複数の可動保持ブラケットとは、前記本体部底部の対向する側面において、それぞれ複数の対をなしており、
前記複数の固定保持ブラケットは、隣接する側面にそれぞれ設置され、
前記複数のレールは、前記複数の可動保持ブラケットのうち、前記隣接する側面にわたって近接する固定保持ブラケットに対向する前記可動保持ブラケットが設置されるレール長さのほうが、前記近接する固定保持ブラケットとは異なる固定保持ブラケットに対向する前記可動保持ブラケットが設置されるレール長さよりも長い
ことを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
前記複数の固定保持ブラケット及び前記複数の可動保持ブラケットは、それぞれ保持ブラケット本体部と、レール機構を介して前記保持ブラケット本体部に対して垂直に可動する台座部とを備えることを特徴とする請求項
1に記載の梱包箱。
【請求項3】
前記複数の固定保持ブラケット及び前記複数の可動保持ブラケットは、それぞれ保持ブラケット本体部と、位置決めボルト機構を介して前記保持ブラケット本体部に対して垂直に可動する台座部とを備えることを特徴とする請求項
1に記載の梱包箱。
【請求項4】
前記レールのうち少なくとも1つは、ボルト機構で置き換えられたことを特徴とする請求項1
または2に記載の梱包箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く美術品を梱包するための箱に関し、より具体的には、額縁に収められた絵画等の美術品の輸送等を行うために使用される梱包箱の構造等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、額縁に収められた絵画を輸送のために梱包する際には、絵画1点ごとに木枠やべニヤ板等を使った搬送コンテナを製作し、緩衝材等とともに絵画をこれに収納して運搬し、運搬完了後にはこれらの搬送コンテナは廃棄されるなどしていた。一例として、木枠等を使った木製コンテナの製作には、1点10~20万円程度の高額なコストを要し、かかるコストの低減が望まれていた。また、木材等の資源保護の観点からも改善が望まれていた。
【0003】
こうした状況を踏まえ、ある程度の範囲で使い回しができる絵画輸送用箱が提案されている(特許文献1)。
【0004】
すなわち、特許文献1には、芸術作品を輸送するための輸送コンテナであって、平坦な長方形の壁セグメントと、前記壁セグメントに隣接する4つの壁セクションを含む囲みセクションを有し、前記囲みセクションは、射出成形によって得られた単一の構造要素であり、前記平坦な長方形の壁セグメント及び4つの壁セクションは、輸送される芸術作品のための空間を規定し、平坦な長方形の壁セクションを含むカバーセクションであって、射出成形により得られた単一の構造要素であるカバーセクションと、前記カバーセクションを前記囲みセクションにおける前記壁セクションに固定するための保持手段とを備え、前記平坦な長方形の壁部分の内側と、前記囲みセクションの4つの壁セクションと、前記カバーセクションの内部とに真空断熱パネルが配置され、前記真空断熱パネルは、気密エンベロープと、前記気密エンベロープ内に配置されたコア材料としてのエアロゲルの1つまたは複数の層とを含むことを特徴とする輸送コンテナが開示されている。
【0005】
また、絵画等の梱包が簡単で、軽量にして持ち運びを容易にし、又製品を収納しない時には、折りたたみが可能で保管にスペースをとらないようにした絵画用コンテナも提案されている(特許文献2)。
【0006】
すなわち、特許文献2には、平板状で中央の折り曲げ線にて形状、大きさがほぼ等しい二つの部分に折り曲げ可能なケース基板と、前記ケース基板の折り曲げ線に平行な2辺にて夫々折り曲げ可能に接続されている二つの蓋と、前記ケース基板に取り付けられている複数のバンドとより構成され、使用時に絵画等を前記ケース基板上においてバンドにて締めてから蓋を閉じ固定し、又不使用時はそのまま蓋をした後に前記ケース基板をその折り曲げ線により蓋とは反対の側に折り曲げて固定して保管するようにしたことを特徴とする絵画用コンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許公開第2008/0305083号
【文献】特開平7-206059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された輸送コンテナは、絵画作品を固定するためコーナーエレメント(コーナーブロック)を面ファスナー等で固定するため、絵画作品の保持力に改善の余地がある。また、収納できる絵画のサイズの融通性についても改善が望まれる。また、特許文献2に開示されたコンテナも、絵画作品の保持力及び収納できる絵画のサイズの融通性について改善の余地がある。
【0009】
つまり、幅広いサイズの異なる絵画作品等をしっかりと固定して安全に収納あるいは運搬できる美術品用梱包箱の提供が期待される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、本体部底部に固定された複数の固定保持ブラケットと、前記複数の固定保持ブラケットに向かって可動自在に構成された複数の可動保持ブラケットとを備え、前記複数の可動保持ブラケットは、前記本体部底部に固定された複数のレール上を可動自在に設置されており、前記複数のレールは長さが異なることを特徴とする。
【0011】
また、前記複数の固定保持ブラケットと、前記複数の可動保持ブラケットとは、前記本体部底部の対向する側面において、それぞれ複数の対をなしており、前記複数の固定保持ブラケットは、隣接する側面にそれぞれ設置され、前記複数のレールは、前記複数の可動保持ブラケットのうち、前記隣接する側面にわたって近接する固定保持ブラケットに対向する前記可動保持ブラケットが設置されるレール長さのほうが、前記近接する固定保持ブラケット以外の固定保持ブラケットに対向する前記可動保持ブラケットが設置されるレール長さよりも長いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、大小様々なサイズの絵画作品等の美術品を確実に固定し、安全に収納あるいは運搬できる美術品用梱包箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る梱包箱の平面図、正面図、背面図、及び側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る梱包箱本体部の平面図及び断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る梱包箱本体部の外観斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る梱包箱本体部に絵画を収納した様子を説明する説明図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係る梱包箱の構成を説明する説明図である。
【
図5B】本発明の他の実施形態に係る梱包箱の構成を説明する説明図である。
【
図5C】本発明の他の実施形態に係る梱包箱の構成を説明する説明図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係る梱包箱における保持ブラケットの構成を説明する説明図である。
【
図6B】本発明の他の実施形態に係る梱包箱における保持ブラケットの構成を説明する説明図である。
【
図7A】本発明の一実施形態に係る梱包箱におけるレール機構の構造を説明する説明図である。
【
図7B】本発明の一実施形態に係る梱包箱におけるレール機構の構造を説明する説明図である。
【
図7C】本発明の一実施形態に係る梱包箱におけるレール機構の部品の構造を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る美術品用梱包箱(以下、単に「梱包箱」ともいう。)の構造及びその実施例について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0015】
図1に、本発明の一実施形態に係る梱包箱の平面図、正面図、背面図、及び側面図を示す。
【0016】
図1において、(a)は梱包箱100の平面図、(b)は同正面図、(c)は同背面図、(d)は同右側面図、(e)は同左側面図を表している。梱包箱100は、絵画等を収容するための本体部101と、本体部101を覆う蓋部102とを有する。
図1(b)に示されるように、本体部101の正面には、係止部103(バックル、ロック機構等)およびハンドル部(取っ手)104が設けられている(
図1(c)~
図1(e)に示されるように、本体部101の背面、右側面、左側面にも同様の係止部及びハンドル部が設けられている)。本体部101の正面に設けられた係止部103、及び本体部101の背面、右側面、左側面に設けられた係止部により、本体部101に対して蓋部102が確実に係止されるようになっている。また、本体部101の正面のハンドル部104(及び本体部101の背面、右側面、左側面のハンドル部)は、美術品用梱包箱100を持ち運ぶ際の取っ手として使用される。
本発明の一実施形態にかかる梱包箱100の大きさは、これに限定されるものではないが、平面からみて、縦横がそれぞれ80~160cm程度(必ずしも正方形である必要はない)、高さは30~60cm程度である。
【0017】
図2に、本発明の一実施形態に係る梱包箱本体部の平面図(
図2(a))及び断面図(
図2(b))を示す。
【0018】
図2(a)において、本体部200の底面は略正方形となっている。底面の上辺部から中央にかけてはレール2011およびレール2012が互いに平行に設けられており、レール2011の方がレール2012よりも長い。また、底面の右辺部から中央にかけてはレール2013およびレール2014が互いに平行に設けられており、レール2014の方がレール2013よりも長い。そして、レール2011~2014は互いに異なる長さ有しており、一実施形態において、各レールの長さはレール2014>レール2011>レール2013>レール2012の関係となっている。
【0019】
レール2011~2014には、それぞれ可動保持ブラケット2021~2024が可動自在に設置されており、可動保持ブラケット2021~2024はレールに沿って所望の位置まで移動させた上でボルト203を締結することによってレールに固定できる。他方で、固定保持ブラケット2025、2026は、本体部200の下辺部に固定設置されており、固定保持ブラケット2027、2028は、本体部200の左辺部に固定設置されている。可動保持ブラケット2021~2024および固定保持ブラケット2025~2028にはそれぞれ緩衝材204が取り付けられており、可動保持ブラケット2021~2024および固定保持ブラケット2025~2028は緩衝材204を介して絵画等を傷つけないように保持する。
本体部200の底部には、短いレール2012を補強する目的で補強板205が設置固定されている(
図2においては、他のレールに対しても同様の補強板を確認することができる)。また、本体部200の側面部の内側には、断熱材206が設けられており、収容される絵画等を熱的な影響から守る。
【0020】
本発明の一実施形態の構成によれば、絵画作品のサイズに応じて、可動保持ブラケット2021~2024の位置を調整できるため、幅広いサイズの異なる絵画作品をしっかりと保持固定して安全に収容あるいは運搬することができる。例えば、サイズが大きい絵画を保持する場合、可動保持ブラケット2021~2024を本体部200の側面に近い位置に移動させた上で固定し、全ての可動保持ブラケット2021~2024および固定保持ブラケット2025~2028を用いて絵画を保持する。一方で、サイズが小さい絵画を保持する場合、可動保持ブラケット2021、2024を本体部200の中央へ向けて移動させた上で固定し、可動保持ブラケット2021、2024および固定ブラケット2026、2027を用いて絵画を保持する(
図5Aにも、小さな絵画509が可動保持ブラケット5021、5024および固定ブラケット5026、5027保持固定されている様子を確認することができる)。
【0021】
図2(b)に、
図2(a)におけるA-A断面の様子を示す。
図2(b)には、レール2011、2012上にそれぞれ設置された可動保持ブラケット2021、2022が表れている。また、可動保持ブラケット2023も、
図2(b)には表れていないレール(2013)上に設定されている。
なお、
図2(b)にその一部が表れているように、可動保持ブラケット2021、2022、及び他の全てのブラケットは、
図6A及び
図6Bを参照して後述するように、ブラケット本体部に備わる台座部を垂直方向に調整可能な調整機構を備える。
【0022】
図3に、本発明の一実施形態に係る梱包箱本体部の外観斜視図を示す。
図3における部材番号は、
図2におけるものと同一のものには、同一の番号を付している。
【0023】
上述のとおり、
図3における梱包箱200のレール2011~2014は互いに異なる長さ有しており、レール上の可動保持ブラケット2021~2024を移動させたときに可動保持ブラケットが互いに接触しないよう、各レールの長さは設定されている。
また、詳細は
図6A及び
図6Bを参照して後述するが、各保持ブラケット2021~2024、2025~2028は、高さ調整が可能な台座部を備えていることも確認できるであろう。
【0024】
図4に、本発明の一実施形態に係る梱包箱内部に絵画を収納した様子を説明する説明図を示す。
図4における部材番号は、
図2及び
図3におけるものと同一のものには、同一の番号を付している。
【0025】
図4において、梱包箱200に収納されている絵画209は、梱包箱200に対して比較的大きなサイズの絵画であるため、可動保持ブラケット2021~2024は本体部200の側面に近い位置に移動させた上で固定されたうえで、全ての可動保持ブラケット2021~2024および全ての固定保持ブラケット2025~2028を用いて絵画209が保持されている様子が確認できる。
【実施例2】
【0026】
図5Aに、本発明の一実施形態に係る梱包箱の構成を説明する説明図を示す。
【0027】
図5Aに示す実施形態は、
図2で説明した実施形態とほぼ同様の構成を有する。
図5Aに示された箱本体部において、収納されている絵画509は当該箱本体部に対して比較的小さなサイズの絵画であるため、可動保持ブラケット5021、5024は中央へ向けて移動させた上で固定され、可動保持ブラケット5021、5024および固定ブラケット5026、5027を用いて絵画509を保持している様子が確認できる。
【0028】
図5Bに、本発明の他の実施形態に係る梱包箱の構成を説明する説明図を示す。
【0029】
図5Bに示された箱本体部において、可動保持ブラケット5121、5122は、保持ブラケット連結部5131によって連結されており、可動保持ブラケット5123、5124は、保持ブラケット連結部5132によって連結されている。可動保持ブラケットが連結されることにより、さらに安定して絵画が保持できるようになる。一方で、各可動保持ブラケットが独立して移動することができないため、箱本体部に対して比較的小さなサイズの絵画を保持することはできない。
【0030】
ここで、
図5Bに示された箱本体部において留意すべき構造上の特徴は、可動保持ブラケット5121と固定保持ブラケット5126とは、互いに対向しておらず、可動保持ブラケット5122と固定保持ブラケット5125とは、互いに対向していない点である。同様に、可動保持ブラケット5123と固定保持ブラケット5128とは、互いに対向しておらず、可動保持ブラケット5124と固定保持ブラケット5127とは、互いに対向していない。これは、固定保持ブラケット5125~5128が、それぞれレールと同方向に対しては可動しないように固定されているが、箱本体部の底部に沿ってレールに対して直角方向には(つまり、箱本体の各側面に沿ってこれら側面と平行に)スライド可能であり、スライド可能な範囲における任意の位置で固定できるように構成されているためである。スライド機構および固定手段については、既知のものを採用することができる。このように、絵画の大小に合わせて、より保持力の高い構成をとることが可能になっている。
【0031】
なお、この固定保持ブラケットに対するスライド機構および固定手段は、その機構において矛盾が生じない範囲において、
図1~
図4、ならびに、
図5に示された箱本体部における固定保持ブラケットにも適用できる。
【0032】
図5Cに、本発明の他の実施形態に係る梱包箱の構成を説明する説明図を示す。
【0033】
図5Cに示された箱本体部において、全ての保持ブラケットが可動保持ブラケット5221~5228で構成されており、隣接する可動保持ブラケットは保持ブラケット連結部5231~5234によって連結されている。また、発明の理解の便宜上、一部の可動保持ブラケットにおいて、可動機構としてレール521ではなく、位置決めボルト524が採用されているが、この構成に制限されることはなく、全てのレールに対する保持ブラケットの固定手段として位置決めボルトを採用してもよい(一部のレールに対する保持ブラケットの固定手段を位置決めボルトとしてもよい。その組み合わせは任意である)。
【0034】
図5Cに示された箱本体部のように、互いに隣接する可動保持ブラケットを連結し、全ての保持ブラケットを可動保持ブラケットとすることにより、美術品用梱包箱の中心で絵画を保持するよう調整することが可能となり、運搬時の安定性が向上する。
【実施例3】
【0035】
図6Aに、本発明の一実施形態に係る梱包箱における保持ブラケットの構成を示す。
【0036】
図6Aにおいて、保持ブラケット600は、保持ブラケット本体部601と、台座部602とを有する。台座部602は、保持ブラケット本体部601に対して、次のとおり、高さ調整可能である。すわなち、台座部602は、位置決めボルト機構603によって保持ブラケット本体部601に固定されている。図示されるとおり、位置決めボルト機構603には保持ブラケット本体部601の垂直方向に対して複数のボルト受け孔が設けられており、これらの受け孔のいずれかの位置に台座部602を固定するためのボルト位置を決めることができる。具体的には、位置決めボルト機構603において、台座部602を固定する位置を変更することにより、台座部602の上下方向の位置(高さ)が絵画の厚みに対応した位置となるよう調整することができる。
【0037】
また、保持ブラケット本体部601の側面には緩衝材604が取り付けられており、台座部602の上面には緩衝材605が取り付けられている。実際に絵画を保持する際は、絵画の額縁の側面と緩衝材604が接するとともに、額縁の底面と緩衝材605が接するようにして、保持ブラケット600は絵画を保持する。
【0038】
図6Bに、本発明の他の実施形態に係る梱包箱における保持ブラケットの構成を示す。
【0039】
図6Bに示す実施形態において、台座部612は、位置決めレール機構613によって保持ブラケット本体部611に固定されている。レール機構613において、台座部612を固定する位置を変更することにより、台座部612の上下方向の位置が絵画の厚みに対応した位置となるよう調整することができる。
レール機構613に対する台座部612の位置変更や固定方法は、
図2等を参照して説明した梱包箱本体部の底部に設置されたレール機構と同様の構成を採用することができる。その詳細については、
図7A~
図7Cを参照して後述する。
【0040】
なお、
図6Aおよび
図6Bで説明した保持ブラケットの構成は、可動保持ブラケットおよび固定保持ブラケットに共通の構成である。
【実施例4】
【0041】
図7A~
図7Cに、本発明の一実施形態に係る梱包箱におけるレール機構の構造を説明する説明図を示す。
【0042】
図7Aにおいて、一実施形態にかかるレール機構700は、レール701と、位置決めボルト702と、保持部703と、レールランナー704(704は、
図7Aには表れていないが、
図7B及び
図7Cを参照)とで構成される。保持部703は、可動保持ブラケット2021等や台座部612に対応する。
【0043】
レール701のレール溝7011には、螺合溝7041を有するレールランナー704(
図7Cを参照)がレール溝7011に沿って可動自在に設置されている。レールランナー704がレール溝7011から離脱しないよう、レール溝7011の断面の上部およびレールランナー704の上部はともに台形状となっている。
【0044】
レールランナー704の上部が台形状になっている様子は、
図7Cにおいて確認できる。図示しないがレール溝7011の断面上部もレールランナーの上部台形形状を受けるように同様の台形形状をなしており、レール溝の開放端から挿入されたレールランナーは、レール溝途中では外に飛び出すことはない。
【0045】
また、
図7Aに示されるとおり、保持部703にはいくつかの位置決め孔が設けられており(同図には、すでに位置決めボルトが図示しないレールランナーの螺合溝と仮締め螺合されているものも複数確認できる)、位置決め孔7031へ挿入された位置決めボルト702は、レールランナー704の螺合溝7041と螺合する。
【0046】
一実施形態において、位置決めボルト702と螺合溝7041とを緩く螺合させているとき(仮締めの状態のとき)、レールランナー704は保持部703とともにレール溝7011に沿って容易に移動させることができ、保持部703をレール701に対して適切な位置へもってくることができる。保持部703をレール701に沿って所望の位置へ移動した後、位置決めボルト702と螺合溝7041とをきつく螺合させたとき(本締めの状態のとき)、両者の締結力により、台形状のレールランナー704と台形状の断面を有するレール溝7011との接触面に大きな力がかかることになるため、レールランナー704はレール溝7011に沿って容易には移動できなくなり、保持部703はレール701に対してしっかりと固定された状態となる。
【実施例5】
【0047】
(梱包箱のサイズ等に関するその他のバリエーション)
本発明の一実施形態にかかる梱包箱には、一例として6~20号までの大小様々な絵画を収容することができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、これまでに述べた技術思想のもと、上記の範囲とは異なる範囲、あるいは、上記の範囲外の大きさの絵画を収容できるように設計可能であることは言うまでもない。
なお、参考までに日本における絵画の号数表を下表に示す(単位はミリ)。
【表1】
本発明の一実施形態にかかる梱包箱は、上記サイズの絵画を任意の範囲で収容できるように、適宜構成することができる。
【0048】
[組み合わせ]
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された構成要件については、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0049】
[特徴の一例]
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された特徴の各々(例えば、貫通孔が上下に貫通するように設けられるか、或いは左右に貫通するように設けられるか等)は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために作用する代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一又は均等となる特徴の一例にすぎない。
【符号の説明】
【0050】
100 美術品用梱包箱
101、200 本体部
102 蓋部
103 係止部(バックル、ロック機構等)
104 ハンドル部(取っ手)
2011~2014、5011~5014、5111~5114、521、701 レール
2021~2024、5021~5024、5121~5124、5221~5228 可動保持ブラケット
2025~2028、5025~5028、5125~5128 固定保持ブラケット
203 ボルト
204 緩衝材
205 補強板
206 断熱材
209、509 絵画
5131、5132、5231~5234 保持ブラケット連結部
600、610 保持ブラケット
601、611 保持ブラケット本体部
602、612 台座部
603 位置決めボルト機構
613、700 レール機構
7011 レール溝
702 位置決めボルト
703 保持部
7031 位置決め孔
704 レールランナー
7041 螺合溝