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  • 特許-シート切断装置およびシート切断方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】シート切断装置およびシート切断方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/12 20060101AFI20230911BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20230911BHJP
   B26D 3/10 20060101ALN20230911BHJP
【FI】
B26D7/12
H01L21/68 N
B26D3/10 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019161094
(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公開番号】P2021037593
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 祐太
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-142791(JP,A)
【文献】特開2005-125459(JP,A)
【文献】特開平03-277499(JP,A)
【文献】実開平01-064395(JP,U)
【文献】特開昭50-035776(JP,A)
【文献】特開2019-018321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/12
H01L 21/683
B26D 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に貼付された接着シート基材を切断する切断刃を有する切断手段と、
前記切断刃を研磨可能な研磨手段とを備え、
前記切断手段は、前記切断刃を前記被着体の外縁に沿って移動させることによって、前記接着シート基材を前記切断刃で切断しながら、当該切断刃を前記研磨手段で研磨することを特徴とするシート切断装置。
【請求項2】
前記接着シート基材を支持するシート支持手段を備え、
前記研磨手段は、前記シート支持手段に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート切断装置。
【請求項3】
被着体に貼付された接着シート基材を切断刃で切断する切断工程と、
前記切断刃を研磨する研磨工程とを実施し、
前記切断工程では、前記切断刃を前記被着体の外縁に沿って移動させることによって、前記接着シート基材を前記切断刃で切断しながら、前記研磨工程を実施することを特徴とするシート切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート切断装置およびシート切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被着体に貼付された接着シート基材を切断する切断刃を有するシート切断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-242948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシート切断装置10(シート切断装置)は、シートS(接着シート基材)を切断する回数が増えるとカッター刃13(切断刃)の切断能力(切れ味)が低下し、その度に切断刃を交換する必要があるため、単位時間当たりの処理能力が低下するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、単位時間当たりの処理能力が低下することを防止することができるシート切断装置およびシート切断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接着シート基材を切断刃で切断しながら、当該切断刃を研磨手段で研磨するため、切断刃の切断能力が低下することを防止して当該切断刃の交換頻度を抑制し、単位時間当たりの処理能力が低下することを防止することができる。
また、シート支持手段に研磨手段を設ければ、研磨手段を支持するための他の部材を設ける必要がないため、装置の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)は、本発明の一実施形態に係るシート切断装置の説明図。(B)、(C)は、シート切断装置の動作説明図。(D)、(E)は、本発明の変形例に係るシート切断装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1(A)の手前方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な図1(A)中手前方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
図1において、シート切断装置EAは、接着シート基材ABを切断する切断刃12を有する切断手段10と、切断刃12を研磨可能な研磨手段20と、被着体WKおよび接着シート基材ABを支持するシート支持手段30とを備えている。なお、接着シート基材ABは、被着体WKの外縁からはみ出す大きさとされている。
【0011】
切断手段10は、駆動機器としての多関節ロボット11と、多関節ロボット11の作業アーム11Aに支持された切断刃12とを備え、接着シート基材ABを切断刃12で切断しながら、当該切断刃12を研磨手段20で研磨する構成となっている。
多関節ロボット11は、その作業範囲内において切断刃12を何れの位置、何れの角度にでも変位可能な所謂6軸ロボットである。
【0012】
研磨手段20は、シート支持手段30に設けられ、その上面が支持面21Aとされた研磨部材21を備えている。本実施形態の場合、研磨手段20は、板状の砥石で構成され、被着体WKと略同じ外縁形状とされている。
【0013】
シート支持手段30は、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって研磨部材21を介して吸着保持が可能な内側テーブル31と、内側テーブル31の外縁に沿って形成された環状の凹溝32と、接着シート基材ABを支持する支持面33Aを有する外側テーブル33とを備えている。
【0014】
以上のシート切断装置EAの動作を説明する。
先ず、図1(A)中実線で示す初期位置に各部材が配置されたシート切断装置EAに対し、当該シート切断装置EAの使用者(以下、単に「使用者」という)、または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段が、被着体WKを支持面21A上に載置すると、シート支持手段30が図示しない減圧手段を駆動し、支持面21Aでの被着体WKの吸着保持を開始する。次いで、図示しない貼付手段が、図1(A)中二点鎖線で示すように、支持面33Aおよび被着体WKの被着面WK1に接着シート基材ABを貼付する。
【0015】
その後、切断手段10が多関節ロボット11を駆動し、図1(A)中二点鎖線および図1(B)に示すように、切断刃12の第1切断部12Aで接着シート基材ABを切断するように、当該切断刃12を接着シート基材ABに突き刺す。次に、切断手段10が多関節ロボット11を駆動し、切断刃12を被着体WKの外縁に沿って1周させた後、当該切断刃12を初期位置に復帰させる。これにより、接着シート基材ABが、被着体WKに貼付された接着シートと、支持面33Aに貼付された不要シートとに分断される。そして、シート支持手段30が図示しない減圧手段の駆動を停止し、支持面21Aでの被着体WKの吸着保持を解除すると、使用者または図示しない搬送手段が、接着シートが貼付された被着体WKを次工程に搬送した後、使用者または図示しない剥離手段が支持面33Aから不要シートを剥離する。
【0016】
以上の通常切断動作を1回または複数回行うと、切断手段10は、接着シート基材ABを切断刃12で切断しながら、当該切断刃12を研磨部材21で研磨する研磨切断動作を行う。即ち、通常切断動作と同様にして支持面33Aおよび被着面WK1の上面に接着シート基材ABが貼付されると、切断手段10が多関節ロボット11を駆動し、図1(C)に示すように、切断刃12の第2切断部12Bで接着シート基材ABを切断するように、当該切断刃12を接着シート基材ABに突き刺す。この際、切断手段10は、図1(C)に示すように、切断刃12の第1切断部12Aの刃先12Cを研磨部材21の側壁21Bに押し当てる。次いで、切断手段10が多関節ロボット11を駆動し、切断刃12を被着体WKの外縁に沿って1周させた後、当該切断刃12を初期位置に復帰させる。これにより、接着シート基材ABが、被着体WKに貼付された接着シートと、支持面33Aに貼付された不要シートとに分断されるとともに、第1切断部12Aの刃先12Cが研磨部材21の側壁21Bによって研磨される。その後、通常切断動作と同様にして接着シートが貼付された被着体WKが次工程に搬送され、支持面33Aから不要シートが剥離される。なお、この研磨切断動作は、1回または複数回行われ、以降上記同様の通常切断動作と研磨切断動作とが繰り返し行われる。
【0017】
以上のような実施形態によれば、接着シート基材ABを切断刃12で切断しながら、当該切断刃12を研磨手段20で研磨するため、切断刃12の切断能力が低下することを防止して当該切断刃12の交換頻度を抑制し、単位時間当たりの処理能力が低下することを防止することができる。
【0018】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれる。
【0019】
例えば、切断手段10は、切断刃12を被着体WKの外縁に沿って移動させながら、当該切断刃12を上下に移動させることで、切断刃12を研磨部材21の側壁21Bで研磨する研磨切断動作を行ってもよく、この場合、切断刃12を被着体WKの外縁に沿って1周させる間に当該切断刃12の上下移動を1回または複数回行ってもよいし、上昇および下降の何れか一方のみを行ってもよい。
切断手段10は、図1(D)の実線で示す切断刃12の方向で当該切断刃12を反時計回りに移動させて研磨切断動作を行った後、図1(D)の二点鎖線で示す切断刃12の方向で当該切断刃12を時計周りに移動させて切断刃12を研磨してもよいし、通常切断動作と研磨切断動作とを任意の順番、タイミングで実施してもよいし、片刃の切断刃を採用してもよい。
前記実施形態では、切断手段10は、切断刃12を第1切断部12Aと第2切断部12Bとの2部に区分けして当該切断刃12を研磨したが、3部以上に区分けして当該切断刃12を研磨してもよい。
【0020】
研磨手段20は、内側テーブル31に設けられた研磨手段20に代えてまたは併用して、図1(E)に示すように、外側テーブル33に設けられていてもよいし、環状の凹溝32の内側テーブル31側の側壁に設けられていてもよいし、環状の凹溝32の外側テーブル33側の側壁に設けられていてもよいし、内側テーブル31の上面や支持面33Aに形成された溝や凹部内に設けられていてもよいし、外側テーブル33の外周面に設けられていてもよいし、シート支持手段30から独立した別体の構成とされてもよいし、接着シート基材ABを切断する際の切断刃12の傾きに合わせて傾斜した傾斜面で、当該切断刃12を研磨する構成でもよく、接着シート基材ABを切断刃12で切断しながら、当該切断刃12を研磨することができればどのような配置、構成となっていてもよい。
研磨手段20は、やすり、サンドペーパ等、切断刃12を研磨することができるものであれば何でもよく、その材質は、石材、金属材、樹脂材、皮革材等、何でもよいし、砥石等に代えてまたは併用して、薬液および水等の液体や、研磨剤および砂等の固体粒子を切断刃12に吹き付ける吹付手段や、これらの液体や固体粒子を切断刃12に塗布する塗布手段を備えていてもよい。
【0021】
シート支持手段30は、被着体WKを昇降させる駆動機器を備えていてもよいし、被着体WKを支持しなくてもよいし、シート切断装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0022】
シート切断装置EAは、接着シート基材ABの切断軌跡や切断面、切断刃12の刃先12Cや刃面等の撮像画像から切断刃12の切断能力が低下したことを検知するカメラや撮影機等の検知手段を備え、検知手段の検知結果に基づいて、研磨切断動作を実施してもよいし、研磨手段20を清掃する粘着部材や吸引手段等の清掃手段を備えていてもよいし、切断刃12を研磨手段20に付勢するばね等の付勢手段を備えていてもよく、多関節ロボット11を付勢手段として機能させてもよい。
シート切断装置EAは、接着シート基材ABを繰り出す繰出装置、接着シート基材ABを被着体WKに貼付する貼付装置等、何ら限定されるものではなく、それら装置における接着シート基材ABを切断する装置として採用することができる。
貼付手段は、接着シート基材ABが帯状の剥離シートに仮着された原反を採用し、剥離板等の剥離手段で剥離シートから接着シート基材ABを剥離して支持面33Aおよび被着面WK1に貼付してもよいし、接着シート基材ABを支持面33Aに貼付しなくてもよいし、被着体WKに貼付しなくてもよいし、シート切断装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
接着シート基材ABは、帯状のものであってもよい。
【0023】
接着シート基材AB、接着シートおよび被着体WKの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シート基材ABおよび接着シートは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着シート基材ABが採用された場合は、当該接着シート基材ABを加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプ等の加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような接着シート基材ABは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材シートと接着剤層との間に中間層を有するもの、基材シートの上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材シートを接着剤層から剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、被着体WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂板等、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シート基材ABを機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意の形状の任意のシート、フィルム、テープ等を前述のような任意の被着体WKに貼付することができる。
【0024】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、研磨手段は、切断刃を研磨可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(他の手段および工程についての説明は省略する)。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
前記実施形態において、剥離板や剥離ローラ等の剥離手段や剥離部材といった被剥離物を剥離するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、板状部材、丸棒、ローラ等の部材を採用してもよいし、剥離するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材(被保持部材)を支持(保持)するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0025】
EA…シート切断装置
10…切断手段
12…切断刃
20…研磨手段
30…シート支持手段
図1