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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/16 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
G01K1/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019174125
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021051005
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】門脇 昌作
(72)【発明者】
【氏名】梶 雄登
(72)【発明者】
【氏名】南川 達浩
(72)【発明者】
【氏名】熊埜御堂 令
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-242776(JP,A)
【文献】特開平1-125602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
F24F 11/00-11/89
G01N 27/00-27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状に形成された筐体と、
前記筐体の底部を内外に貫通する第一通気口と、
前記筐体の左右の側壁部を内外に貫通すると共に、前記筐体の内部で前記第一通気口と連通する第二通気口と、
前記筐体の内部に設けられた温度センサと、
前記筐体の内部に設けられ、前記第一通気口と前記温度センサとの間に通気路を形成する左右の通気路形成部材と、
を具備し、
前記左右の通気路形成部材の下端部と前記底部との間は、直接又は所定の部材を介して接続されている、
センサ装置。
【請求項2】
略箱状に形成された筐体と、
前記筐体の底部を内外に貫通する第一通気口と、
前記筐体の左右の側壁部を内外に貫通すると共に、前記筐体の内部で前記第一通気口と連通する第二通気口と、
前記筐体の内部に設けられた温度センサと、
前記筐体の内部に設けられ、前記第一通気口と前記温度センサとの間に通気路を形成する左右の通気路形成部材と、
を具備し、
前記左右の通気路形成部材は、前記左右の側壁部との間に所定の隙間を介して前記第二通気口と対向するように設けられ、
前記第二通気口の上端部は、前記左右の通気路形成部材の上端部よりも高い位置に形成される、
ンサ装置。
【請求項3】
略箱状に形成された筐体と、
前記筐体の底部を内外に貫通する第一通気口と、
前記筐体の左右の側壁部を内外に貫通すると共に、前記筐体の内部で前記第一通気口と連通する第二通気口と、
前記筐体の内部に設けられた温度センサと、
前記筐体の内部に設けられ、前記第一通気口と前記温度センサとの間に通気路を形成する左右の通気路形成部材と、
を具備し、
前記第二通気口は、複数のスリット状の孔の集合体により形成されると共に、全体として前記左右の側壁部の上部から下部に亘るように形成される、
ンサ装置。
【請求項4】
前記左右の通気路形成部材の上端部は、少なくとも前記温度センサの下端部よりも高い位置に形成される、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記底部の下面には、上方へ凹んだ凹部が形成され、
前記第一通気口は、前記凹部に形成される、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略箱状に形成される筐体を具備するセンサ装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、略箱状に形成される筐体を具備するセンサ装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のセンサ装置は、略箱状に形成される筐体と、筐体の内部に設けられた温湿度センサと、を具備する。筐体の左右の側壁には、それぞれ通気孔が形成される。このような構成により、左右一方の通気孔から左右他方の通気孔へと流れる空気(気流)により、筐体内の温湿度センサで、筐体外の温度を測定し易くしている。
【0004】
ここで、空気の流れは左右方向に限るものではなく、例えば温度の上昇等に応じて上方向へと流れる空気(上昇気流)が発生する場合がある。センサ装置において、上昇気流を筐体内に取り込むためには、左右の側壁だけでなく、底部にも通気孔を形成することが望ましい。
【0005】
しかし、底部の通気孔から筐体内に取り込まれた上昇気流は、筐体内で流れが不規則となり易く、例えば温湿度センサに触れることなく左右の通気孔から外部へ流出する場合も想定される。このような場合、筐体内の温湿度センサで、筐体外の温度を測定し難くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-156275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、温度センサにより筐体外の温度を測定し易くすることが可能なセンサ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、略箱状に形成された筐体と、前記筐体の底部を内外に貫通する第一通気口と、前記筐体の左右の側壁部を内外に貫通すると共に、前記筐体の内部で前記第一通気口と連通する第二通気口と、前記筐体の内部に設けられた温度センサと、前記筐体の内部に設けられ、前記第一通気口と前記温度センサとの間に通気路を形成する左右の通気路形成部材と、を具備し、前記左右の通気路形成部材の下端部と前記底部との間は、直接又は所定の部材を介して接続されているものである。
【0010】
請求項2においては、略箱状に形成された筐体と、前記筐体の底部を内外に貫通する第一通気口と、前記筐体の左右の側壁部を内外に貫通すると共に、前記筐体の内部で前記第一通気口と連通する第二通気口と、前記筐体の内部に設けられた温度センサと、前記筐体の内部に設けられ、前記第一通気口と前記温度センサとの間に通気路を形成する左右の通気路形成部材と、を具備し、前記左右の通気路形成部材は、前記左右の側壁部との間に所定の隙間を介して前記第二通気口と対向するように設けられ、前記第二通気口の上端部は、前記左右の通気路形成部材の上端部よりも高い位置に形成されるものである。
【0011】
請求項3においては、略箱状に形成された筐体と、前記筐体の底部を内外に貫通する第一通気口と、前記筐体の左右の側壁部を内外に貫通すると共に、前記筐体の内部で前記第一通気口と連通する第二通気口と、前記筐体の内部に設けられた温度センサと、前記筐体の内部に設けられ、前記第一通気口と前記温度センサとの間に通気路を形成する左右の通気路形成部材と、を具備し、前記第二通気口は、複数のスリット状の孔の集合体により形成されると共に、全体として前記左右の側壁部の上部から下部に亘るように形成されるものである。
【0012】
請求項4においては、前記左右の通気路形成部材の上端部は、少なくとも前記温度センサの下端部よりも高い位置に形成されるものである。
【0014】
請求項においては、前記底部の下面には、上方へ凹んだ凹部が形成され、前記第一通気口は、前記凹部に形成されるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、温度センサにより筐体外の温度を測定し易くすることができる。また、筐体内に入った空気を温度センサにより触れ易くすることができる。
【0018】
請求項2においては、温度センサにより筐体外の温度を測定し易くすることができる。また、筐体内の温度を筐体外の温度に馴染み易くすることができる。
【0019】
請求項3においては、温度センサにより筐体外の温度を測定し易くすることができる。また筐体内の温度を筐体外の温度に馴染み易くすることができる。
【0020】
請求項4においては、筐体内に入った空気を温度センサにより触れ易くすることができる。
【0022】
請求項においては、筐体外の空気を第一通気口へ流入させ易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】センサ装置を示す斜視図。
図2】センサユニットを示す分解斜視図。
図3】(a)筐体、基板及び通気路形成部材を示す正面図。(b)同じく、背面図。
図4】筐体を示す斜視図。
図5】(a)同じく、底面図。(b)A1-A1断面図。
図6】凹部を示す拡大背面断面図。
図7】筐体内に流入した空気の流れを示す背面断面図。
図8】凹部に到達する気流を示す側面断面図。
図9】本実施形態に係るセンサ装置の実験結果に関するグラフ。
図10】比較対象に係る筐体の背面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0026】
以下では、図1から図6までを用いて、本発明の一実施形態に係るセンサ装置1について説明する。
【0027】
センサ装置1は、建物の内部環境(具体的には温度)を測定可能なものである。センサ装置1は、筐体20内に導入した空気の温度を測定することで、室内の温度を測定することができる。図1に示すセンサ装置1は、建物の室内の壁体Aに設けられる。センサ装置1は、壁体Aに設置されるコンセント部Bの上方に配置される。センサ装置1は、センサユニット10及び電源ユニット70を具備する。
【0028】
センサユニット10は、温度を測定可能なセンサ(図3(b)に示す温度センサ51)を有するものである。センサユニット10は、壁体Aから露出するように設けられる。センサユニット10は、後述する電源ユニット70から電力が供給されることで、室内の温度を測定可能となっている。センサ装置1は、図2及び図3に示すように、筐体20、蓋体40、基板50及び通気路形成部材60を具備する。
【0029】
筐体20は、センサ装置1の外郭を成す部分である。筐体20は、複数の壁部を有し、後部が開口された略箱状に形成される。筐体20は、下部に配置された底部21と、左部に配置された左壁部22と、右部に配置された右壁部23と、前部に配置された前壁部24と、上部に配置された頂部25と、を有する。筐体20には、後述する基板50が収容される。図4及び図5に示すように、筐体20は、蓋体取付部31、基板取付部32、凹部33、第一通気口34及び第二通気口35を具備する。
【0030】
蓋体取付部31は、後述する蓋体40を取り付けるためのものである。蓋体取付部31は、筐体20の角部(左上端部、右上端部、左下端部及び右下端部)に形成される。蓋体取付部31は、背面視略扇状に形成される。蓋体取付部31には、内周面に雌ねじ部が形成された背面視略円状の穴部が形成される。
【0031】
基板取付部32は、後述する基板50を取り付けるためのものである。基板取付部32は、略円柱状に形成され、前壁部24から後方へ突出する。基板取付部32には、内周面に雌ねじ部が形成された背面視略円状の穴部が形成される。基板取付部32は、前壁部24の左端部及び右端部に上下に間隔をあけてそれぞれ2つ(合計4つ)形成される。
【0032】
図5及び図6に示す凹部33は、底部21において上方へ凹んだ部分である。凹部33は、長手方向を左右方向に向けた底面視略矩形状に形成される。凹部33は、底部21の下面に形成される。凹部33の左右方向幅は、基板50の左右方向幅よりも大きくなるように形成される(図7参照)。また、凹部33の上下方向幅は、後述する第一通気口34の上下方向幅よりも小さくなるように形成される。
【0033】
図4から図6に示す第一通気口34は、筐体20の内部と外部との間で通気を行うための孔である。第一通気口34は、底部21を上下に貫通するように形成される。第一通気口34は、左右に間隔をあけて形成される複数(本実施形態では13個)のスリットによって構成される。前記スリットは、長手方向を前後方向に向けた底面視略矩形状に形成される。第一通気口34は、凹部33に形成される。また、第一通気口34は、凹部33の左部から右部までに亘って形成される。こうして、第一通気口34は、複数のスリット(スリット状の孔)の集合体により形成されると共に、全体として底部21の左部から右部に亘るように形成される。
【0034】
図4及び図5に示す第二通気口35は、筐体20の内部と外部との間で通気を行うための孔である。第二通気口35は、左壁部22及び右壁部23を左右に貫通するように形成される。第二通気口35は、上下に間隔をあけて形成される複数(本実施形態では16個)のスリットによって構成される。前記スリットは、長手方向を前後方向に向けた側面視略矩形状に形成される。第二通気口35は、左壁部22及び右壁部23の上部から下部までに亘って形成される。こうして、第二通気口35は、複数のスリット(スリット状の孔)の集合体により形成されると共に、全体として左壁部22及び右壁部23の上部から下部に亘るように形成される。
【0035】
図1及び図2に示す蓋体40は、筐体20を閉塞するためのものである。蓋体40は、板面を前後に向けた略板状に形成される。蓋体40は、筐体20の上下方向幅及び左右方向幅と略同一の上下方向幅及び左右方向幅を有する。蓋体40は、板面を前後に貫通する貫通孔41を具備する。貫通孔41は、蓋体40の角部(左上端部、右上端部、左下端部及び右下端部)に形成される。
【0036】
このように構成される蓋体40は、筐体20に後方から当接され、貫通孔41に後方からねじ等の締結部材(不図示)が挿通される。蓋体40は、当該締結部材が蓋体取付部31に締結されることで筐体20に固定される。
【0037】
図2及び図3に示す基板50は、板面を前後に向けて配置される。基板50には、温度センサ51等が実装される。
【0038】
温度センサ51は、筐体20内において温度を測定するためのものである。温度センサ51は、自身に触れた空気の温度を測定することができる。温度センサ51は、例えば、金属の電気抵抗が温度の変化に応じて変化する特性を利用した測温抵抗体等によって構成される。温度センサ51は、基板50の後面の左上端部に設けられる。
【0039】
このように構成される基板50は、筐体20の基板取付部32(図5(b)参照)にねじ止めされることで筐体20に固定される。これにより、基板50は、筐体20に収容される。また、温度センサ51は、筐体20の上下中途部、かつ左右中途部に配置される。また、温度センサ51は、第一通気口34の上方、かつ、第二通気口35の左右内側方に配置される(図7参照)。
【0040】
通気路形成部材60は、第一通気口34と温度センサ51との間に通気路S3を形成するためのものである。図4及び図5に示すように、通気路形成部材60は、筐体20内に左右一対設けられ、互いに略同一形状となるように形成される。通気路形成部材60は、底部21の左端部及び右端部(蓋体取付部31)から上方へ延出するように形成される。通気路形成部材60は、板面を左右方向に向けた略板状に形成される。また、通気路形成部材60は、長手方向を上下方向に向けた背面視略矩形状に形成される。通気路形成部材60の上端部は、筐体20の上下中央部と略同程度の高さに位置する。当該通気路形成部材60は、筐体20と一体的に形成される。これにより、通気路形成部材60は、底部21及び前壁部24と接続され、底部21及び前壁部24に対して隙間なく設けられる。以下では、左側の通気路形成部材60を「左側形成部材60L」と称し、右側の通気路形成部材60を「右側形成部材60R」と称する。
【0041】
左側形成部材60Lは、凹部33及び第一通気口34よりも左側(左右外側方)に配置される。また、左側形成部材60Lは、左壁部22に対して右方(左右内側方)に隙間をあけて配置される。左側形成部材60Lは、左壁部22の第二通気口35の下部と対向するように配置される。
【0042】
右側形成部材60Rは、凹部33及び第一通気口34よりも右側に配置される。また、右側形成部材60Rは、右壁部23に対して左方に隙間をあけて配置される。右側形成部材60Rは、右壁部23の第二通気口35の下部と対向するように設けられる。
【0043】
このように構成される通気路形成部材60の上端部は、図3(b)に示すように、温度センサ51の下端部よりも高い位置、かつ基板50の上端部よりも低い位置に形成される。
【0044】
当該通気路形成部材60は、後端部が蓋体40と当接される(図8参照)。また、前述の如く、通気路形成部材60は、底部21及び前壁部24に対して隙間なく設けられる。これにより、通気路形成部材60は、筐体20内の下部の空間を、左側空間S1と右側空間S2と通気路S3とに区画している。
【0045】
図5(b)に示す左側空間S1は、左側形成部材60Lと左壁部22との間の空間である。右側空間S2は、右側形成部材60Rと右壁部23との間の空間である。左側空間S1及び右側空間S2は、第二通気口35の下部と連通する。左側空間S1及び右側空間S2は、上側が開放され、筐体20の上部の空間(通気路形成部材60よりも上方の空間)と連通する。
【0046】
通気路S3は、左側形成部材60Lと右側形成部材60Rとの間の空間である。通気路S3は、第一通気口34と連通される。また、通気路S3は、筐体20の上部の空間を介して第二通気口35と連通される。また、通気路S3は、筐体20の上部の空間を介して左側空間S1及び右側空間S2とも連通される。通気路S3内には、基板50が配置される(図3参照)。
【0047】
図1に示す電源ユニット70は、壁体Aに固定されると共に、センサユニット10が着脱可能に取り付けられるものである。電源ユニット70は、系統電源等の所定の電力供給源から供給された電力を、センサユニット10に対して供給可能とされている。
【0048】
このように構成されるセンサ装置1は、第一通気口34及び第二通気口35から筐体20内へ流入した空気が温度センサ51に触れることにより、当該空気の温度を温度センサ51で測定することができる。これにより、センサ装置1は室内の温度を測定することができる。また、センサユニット10は、所定の通信部によって、温度の測定結果を外部の機器に送信することができる。また、センサユニット10は、筐体20で基板50を覆うことにより、埃等が基板50や温度センサ51に付着するのを抑制し、不具合の発生を抑制することができる。
【0049】
次に、図7及び図8を用いて、筐体20の内部に流入する空気の流れについて説明する。なお、以下では、室内の温度が上昇した場合を例に挙げて説明する。
【0050】
室内の温度が上昇すると、上方へと流れる空気(上昇気流)が発生する。筐体20は、底部21に第一通気口34が形成されていることから、当該第一通気口34により、上昇気流を取り込む(内部に導入する)ことができる。
【0051】
こうして取り込まれた空気は、通気路S3によって上方へ案内される。当該空気は、通気路S3(通気路形成部材60)よりも高い位置まで上昇すると、左右外側方へ拡散する等して第二通気口35から筐体20の外部へ流出する(図7の上下中央部に示す矢印参照)。
【0052】
このように、本実施形態では、筐体20内に流入した空気を通気路S3によってある程度の高さまで上昇させてから、筐体20の外部に流出させるようにしている。このような構成によれば、筐体20内に流入した空気が通気路S3を通過するまでの間、左右に拡散するのを抑制し、当該空気を温度センサ51に到達させ易くすることができる。これによって、温度センサ51で室内の温度を測定し易くすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、第一通気口34が凹部33に形成されている。このような構成によれば、底部21(凹部33)に到達した空気が水平方向に流れるのを凹部33の側壁によって阻害することができる。これにより、室内の空気を第一通気口34へ流入させ易くすることができる。
【0054】
また、左右の通気路形成部材60を第二通気口35に対して隙間をあけて配置することで、左右の通気路形成部材60を互いに近接させて通気路S3の左右方向幅を狭くすることができる。これにより、通気路S3を通る空気を温度センサ51に触れ易くすることができる。
【0055】
また、第一通気口34及び第二通気口35は、筐体20の左壁部22、右壁部23及び底部21の長手方向に沿うように(すなわち、比較的広範囲に)形成されている。したがって、筐体20内の空気は、第一通気口34及び第二通気口35を介して、筐体20の外部に流出し易い。また、筐体20外の空気は、第一通気口34及び第二通気口35を介して、筐体20の内部に流入し易い。このように、第一通気口34及び第二通気口35の構成により、筐体20内の空気と筐体20外の空気とが入れ替わり易くなっている。これにより、例えば筐体20の内部に熱がこもった状態となり難く、筐体20内の温度を筐体20外の温度に馴染み易く(近づけ易く)することができる。また、本実施形態では、左右の通気路形成部材60を第二通気口35に対して隙間をあけて配置することで、第二通気口35の上部だけではなく、第二通気口35の下部でも、筐体20の内部と外部とを空気が流通可能に構成している。すなわち、第二通気口35は、通気路形成部材60の存在にもにもかかわらず、比較的広範囲に形成されている。これにより、第二通気口35を介した空気の流通を広い範囲で行うことができるため、筐体20内の温度を筐体20外の温度により馴染み易く(近づけ易く)することができる。
【0056】
以下では、図9及び図10を用いて、センサ装置1の実験結果を説明する。
【0057】
実験では、室内に設置されたエアコンで暖房運転を行って室内温度を上昇させ、本実施形態に係るセンサ装置1で室内の温度を測定した(図9に太線で示す「本実施形態」のグラフ参照)。
【0058】
また、実験では、本実施形態に係るセンサ装置1の比較対象として、図10に示す比較対象に係るセンサ装置により、室内の温度を測定した(図9に破線で示す「比較対象」のグラフ参照)。比較対象に係るセンサ装置は、筐体90に通気路形成部材60及び凹部33が設けられていない点で、本実施形態に係るセンサ装置1と相違している。
【0059】
また、図9に実線で示す「室内温度」のグラフは、実際の室内の温度である。図9から明らかなように、本実施形態に係るセンサ装置1の測定結果は、比較対象に係るセンサ装置1と比較して、室内の温度に近い温度となった。また、実験では、時間S2から時間S6において室内の温度が大きく上昇している。本実施形態に係るセンサ装置1は、比較対象に係るセンサ装置と比較して、このような室内の温度上昇に伴って速やかに温度(測定結果)が上昇した。
【0060】
以上の実験結果から、通気路形成部材60及び凹部33により、室内の空気を温度センサ51に到達させ易くすることができることが明らかとなった。
【0061】
以上の如く、本実施形態に係るセンサ装置1は、略箱状に形成された筐体20と、前記筐体20の底部21を内外に貫通する第一通気口34と、前記筐体20の左壁部22及び右壁部23(左右の側壁部)を内外に貫通すると共に、前記筐体20の内部で前記第一通気口34と連通する第二通気口35と、前記筐体20の内部に設けられた温度センサ51と、前記筐体20の内部に設けられ、前記第一通気口34と前記温度センサ51との間に通気路S3を形成する左右の通気路形成部材60と、を具備するものである。
【0062】
このように構成することにより、筐体20内に入った空気が温度センサ51に到達する前に拡散するのを抑制し、当該空気を温度センサ51に触れ易くすることができる。これによれば、温度センサ51により筐体20外の温度を測定し易くすることができる。
【0063】
また、前記左右の通気路形成部材60の下端部と前記底部21との間は、直接又は所定の部材を介して接続されているものである。
【0064】
このように構成することにより、左右の通気路形成部材60の下端部と底部21との間から通気路S3の左右外側方へと空気が拡散するのを防止することができる。これにより、筐体20内に入った空気が温度センサ51に到達する前に拡散するのを効果的に抑制することができる。これによって、筐体20内に入った空気を温度センサ51により触れ易くすることができる。
【0065】
また、前記左右の通気路形成部材60の上端部は、少なくとも前記温度センサ51の下端部よりも高い位置に形成されるものである。
【0066】
このように構成することにより、筐体20内に入った空気を温度センサ51の下端部よりも高い位置まで案内することができる。これによって、筐体20内に入った空気が温度センサ51に到達する前に拡散するのを効果的に抑制することができる。これによって、筐体20内に入った空気を温度センサ51により触れ易くすることができる。
【0067】
また、前記左右の通気路形成部材60は、前記左壁部22及び右壁部23との間に所定の隙間を介して前記第二通気口35と対向するように設けられるものである。
【0068】
このように構成することにより、筐体20内の温度を筐体20外の温度に馴染み易くすることができる。
【0069】
また、前記第二通気口35の上端部は、前記左右の通気路形成部材60の上端部よりも高い位置に形成されるものである。
【0070】
このように構成することにより、第二通気口35の上端部を比較的高い位置に形成することができる。ここで、上述の如く、第二通気口35は、通気路形成部材60と左右に対向するように設けられる。すなわち、第二通気口35の下端部は、比較的低い位置(少なくとも通気路形成部材60の上端部よりも下方)に形成される。こうして、第二通気口35を通気路形成部材60よりも低い位置から高い位置までに亘るように(上下に幅広く)形成することができる。これによれば、筐体20の内外へより空気が流通し易くなる。このため、筐体20内の温度を筐体20外の温度に馴染み易くすることができる。また、通気路S3を流れる空気を第二通気口35へと流入させ易くすることができ、ひいては、第一通気口34から筐体20内へ空気を取り込み易くすることができる。
【0071】
また、前記底部21の下面には、上方へ凹んだ凹部33が形成され、前記第一通気口34は、前記凹部33に形成されるものである。
【0072】
このように構成することにより、筐体20外の空気を第一通気口34へ流入させ易くすることができる。
【0073】
また、前記第二通気口35は、複数のスリット状の孔の集合体により形成されると共に、全体として前記左壁部22及び右壁部23の上部から下部に亘るように形成されるものである。
【0074】
このように構成することにより、左壁部22及び右壁部23の概ね全体に第二通気口35を形成することができる。こうして、筐体20内の温度を筐体20外の温度により馴染み易くすることができる。また、第二通気口35を形成する1つの孔をそれ程大きくする必要がないため、筐体20内に埃等が侵入するのを抑制することができる。
【0075】
なお、本実施形態に係る左壁部22及び右壁部23は、本発明に係る左右の側壁部の実施の一形態である。
【0076】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0077】
例えば、センサ装置1は、室内の温度を測定する用途に用いられたが、センサ装置1の用途はこれに限定されるものではなく、室外の温度を測定してもよい。
【0078】
また、センサ装置1には、温度センサ51のみが設けられるものとしたがこれに限定されるものではなく、温度センサ51と、温度センサ51とは異なるセンサ(例えば、気圧を測定可能な気圧センサや揺れを測定可能な加速度センサ等)と、が設けられていてもよい。これにより、センサ装置1によって複数の情報を取得可能となって利便性を向上させることができる。
【0079】
また、通気路形成部材60は、筐体20に一体的に形成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、筐体20と別体で形成されていてもよい。このような構成において、通気路形成部材60は、例えば、筐体20と蓋体40との間に別途板状部材を嵌め込んで固定されるものであってもよい。
【0080】
また、通気路形成部材60は、略板状に形成されるものとしたが、通気路形成部材60の形状はこれに限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。また、通気路形成部材60は、必ずしも互いに略同一形状に形成される必要はなく、互いに異なる形状となっていてもよい。
【0081】
また、通気路形成部材60の上端部は、温度センサ51の下端部よりも高い位置に形成されるものとしたがこれに限定されるものではなく、例えば、温度センサ51の下端部よりも低い位置に形成されていてもよい。なお、通気路形成部材60の上端部は、第一通気口34から流入した空気を温度センサ51に到達させるという観点から、ある程度高い位置に形成されるのが望ましい。具体的には、通気路形成部材60の上端部は、温度センサ51の下端部よりも高い位置が望ましく、基板50の上端部と同じか高い位置がさらに望ましい。
【0082】
また、第一通気口34は、複数のスリットによって構成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、1つのスリットによって構成されるものであってもよい。また、第二通気口35は、複数のスリットによって構成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、1つのスリットによって構成されるものであってもよい。また、第一通気口34及び第二通気口35は、必ずしもスリット(細長い孔)によって構成される必要はなく、他の孔部(例えば、略円状の孔等)によって構成されていてもよい。
【0083】
また、第二通気口35は、通気路形成部材60よりも高い位置から低い位置までに亘るように形成されるものとしたが、これに限定されるものではない。第二通気口35は、例えば、通気路形成部材60よりも低い位置にのみ形成されていてもよく、また、通気路形成部材60よりも高い位置にのみ形成されていてもよい。
【0084】
また、凹部33は、底面視略矩形状に形成されるものとしたが、凹部33の形状はこれに限定されるものではなく、任意の形状(例えば、底面視略楕円状等)とすることができる。
【0085】
また、筐体20(底部21)は、凹部33を具備するものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、凹部33を具備していなくてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 センサ装置
20 筐体
21 底部
22 左壁部(側壁部)
23 右壁部(側壁部)
34 第一通気口
35 第二通気口
51 温度センサ
60 通気路形成部材
S3 通気路
図1
図2
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図9
図10