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  • 特許-測定装置および測定方法 図1
  • 特許-測定装置および測定方法 図2
  • 特許-測定装置および測定方法 図3
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  • 特許-測定装置および測定方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】測定装置および測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/07 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
G01N27/07
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019176131
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021056005
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川越 大樹
(72)【発明者】
【氏名】大野 喜智
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-528674(JP,A)
【文献】実開平05-040872(JP,U)
【文献】特開2016-179470(JP,A)
【文献】特開平05-018937(JP,A)
【文献】特開平11-337545(JP,A)
【文献】特開2005-062133(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1446240(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0026380(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 - G01N 27/10
G01N 27/14 - G01N 27/24
G01N 27/26 - G01N 27/404
G01N 27/414 - G01N 27/416
G01N 27/42 - G01N 27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品洗浄装置の洗浄槽に外付けで取り付けられ、前記洗浄槽に貯留される洗浄水の残留塩素濃度およびpHを測定するための測定装置であって、
筐体と、
前記筐体内に設けられ、一端に洗浄水の吸込み口を有し、他端に洗浄水の吐出口を有する吸込・吐出流路と、
前記吸込・吐出流路内に設けられ、前記吸込み口から取水した洗浄水を前記筐体内に取水するポンプと、
前記吸込・吐出流路内に設けられ、前記吸込み口から取水した洗浄水を貯留する測定セルと、
前記測定セルに貯留され、流量と速度が一定化された洗浄水中の残留塩素濃度を測定する残留塩素濃度測定手段と、
前記残留塩素濃度測定手段が貯留された測定セルと同一の測定セルに貯留され、流量と速度が一定化された洗浄水中のpHを測定するpH測定手段とを備え、
前記残留塩素濃度測定手段および前記pH測定手段は、前記測定セルに貯留された洗浄水に接触する電極であり、
前記残留塩素濃度測定手段は、電気伝導度を測定することで残留塩素濃度を測定し、
前記pH測定手段は、電気伝導度を測定することでpHを測定する、測定装置。
【請求項2】
前記残留塩素濃度測定手段および前記pH測定手段で測定したデータを出力する出力部をさらに備える、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記出力部で出力したデータが基準値を越えているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により基準値を越えていると判定された場合に報知する報知部とをさらに備える、請求項に記載の測定装置。
【請求項4】
食品洗浄装置の洗浄槽に貯留される洗浄水の残留塩素濃度およびpHを測定するための測定方法であって、
筐体内に設けられる吸込・吐出流路の一端の吸込み口から、洗浄槽の洗浄水を前記吸込・吐出流路内に設けられるポンプにより前記筐体内に取水する工程と、
前記吸込み口から取水した洗浄水を測定セルに貯留させる工程と、
前記測定セルに貯留され、流量と速度が一定化された洗浄水中の残留塩素濃度を残留塩素濃度測定手段で測定する工程と、
前記測定セルに貯留され、流量と速度が一定化された洗浄水中のpHをpH測定手段で測定する工程と、
前記測定セルに貯留された洗浄水を、前記吸込・吐出流路の他端の吐出口から吐出する工程とを備え、
前記残留塩素濃度測定手段および前記pH測定手段は、前記測定セルに貯留された洗浄水に接触する電極であり、
前記残留塩素濃度測定手段は、電気伝導度を測定することで残留塩素濃度を測定し、
前記pH測定手段は、電気伝導度を測定することでpHを測定する、測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄槽に外付けで取り付けられる測定装置および測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、食品を洗浄するために用いられる洗浄水の残留塩素濃度を測定する方法として、たとえば試験紙法、比色法などが知られている。これらの方法で得られた結果の記録、管理などは、手動で行われている。一方で、食品を洗浄するために用いられる洗浄水のpHは、一般的には測定されないものの、測定される場合は、たとえば指示薬法、水素電極法などで測定されることが知れられている。
【0003】
従来から、食品を洗浄するために用いられる洗浄水の残留塩素濃度およびpHを測定する装置が存在する。たとえば特開2010-181294号公報(特許文献1)には、次亜塩素酸水溶液中に2つの電極を浸漬させて、電極間の電流値で残留遊離塩素濃度を測定した後に、pH値を測定して電極間の電流測定値を補正する測定方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-181294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の測定装置では、残留塩素濃度を計測する陽極および陰極と、pH計とは別々の室に設けられており、構造が複雑であり、pHおよび残留塩素濃度を計測するには、時間がかかっていた。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、簡易な構成で、洗浄水の残留塩素濃度およびpHを短時間で測定することが可能な測定装置および測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面に従う測定装置は、洗浄槽に外付けで取り付けられ、筐体と、筐体内に設けられ、一端に洗浄水の吸込み口を有し、他端に洗浄水の吐出口を有する吸込・吐出流路と、吸込・吐出流路内に設けられ、吸込み口から取水した洗浄水を筐体内に取水するポンプと、吸込・吐出流路内に設けられ、吸込み口から取水した洗浄水を貯留する測定セルと、測定セルに貯留された洗浄水中の残留塩素濃度を測定する残留塩素濃度測定手段と、測定セルに貯留された洗浄水中のpHを測定するpH測定手段とを備える。
【0008】
好ましくは、残留塩素濃度測定手段およびpH測定手段は、測定セルに貯留された洗浄水に接触する電極である。
【0009】
好ましくは、残留塩素濃度測定手段は、電気伝導度を測定することで残留塩素濃度を測定し、pH測定手段は、電気伝導度を測定することでpHを測定する。
【0010】
好ましくは、残留塩素濃度測定手段およびpH測定手段で測定したデータを出力する出力部をさらに備える。
【0011】
好ましくは、出力部で出力したデータの異常を判別する異常判別部と、異常判別部により異常が判別された場合に、異常の発生を報知する報知部とをさらに備える。
【0012】
この発明のある局面に従う測定方法は、筐体内に設けられる吸込・吐出流路の一端の吸込み口から、洗浄槽の洗浄水を吸込・吐出流路内に設けられるポンプにより筐体内に取水する工程と、吸込み口から取水した洗浄水を測定セルに貯留させる工程と、測定セルに貯留された洗浄水中の残留塩素濃度を残留塩素濃度測定手段で測定する工程と、測定セルに貯留された洗浄水中のpHをpH測定手段で測定する工程と、測定セルに貯留された洗浄水を、吸込・吐出流路の他端の吐出口から吐出する工程とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な構成で、洗浄水の残留塩素濃度およびpHを短時間で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る測定装置を食品洗浄装置に取り付けた状態を示す図である。
図2】(a)は、本発明の実施の形態に係る測定装置の外観を示す斜視図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る測定装置の内部構成を模式的に示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る測定装置の測定セル、残留塩素濃度測定手段およびpH測定手段を模式的に示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係る測定装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図5】本発明の実施の形態に係る測定装置の基本動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態の測定装置1は、たとえば食品洗浄装置4の洗浄槽41に外付けで取り付けられる。測定装置1の説明に先立ち、測定装置1が取り付けられる、一般的な食品洗浄装置4について説明する。
【0017】
(食品洗浄装置について)
図1を参照して、食品洗浄装置4は、たとえば直方体形状の洗浄本体40と、洗浄本体40に設けられた洗浄槽41とを備えている。洗浄槽41は、たとえば、平面視矩形状の水槽であり、略矩形形状の底壁部42と、底壁部42の四辺それぞれに下端が連結された4つの側壁43~46とを有している。図示される例では、正面および背面の側壁43,45の横幅の方が、左右の側壁44,46の横幅よりも大きい。底壁部42には、洗浄槽41内の洗浄水を排水する排水口42aが設けられる。本実施の形態では、洗浄本体40の上面40aには蓋がなく、シンクのように洗浄槽41が露出している。
【0018】
洗浄槽41の側壁44にはまた、オーバーフロー水用の切欠き部47が設けられている。切欠き部47は、満水レベル付近が底辺となるように略U字状に形成されている。切欠き部47には、排水口47aが設けられている。
【0019】
洗浄本体40の上面40aには、洗浄槽41に水道水を上方から供給するための給水管48が設置されていてもよい。洗浄本体40の前面40bには開閉扉が設けられており、内部の点検等が可能となっている。洗浄本体40の背面(前面40bの裏面)側には、上面40aよりも上に立ち上がる立壁部49が設けられており、立壁部49の表面には、食品洗浄装置4の制御を行う操作表示部が設けられていてもよい。
【0020】
洗浄槽41内には、洗浄水を貯留することが可能である。そのため、洗浄槽41内に野菜などの食品を入れ、洗浄水を貯留させて水流を起こすことで、食品を洗浄することができる。洗浄水は、たとえば電解水、次亜塩素酸ナトリウム溶液など、食品を洗浄することができる、塩素を含有する水である。
【0021】
洗浄槽41には、外付けで測定装置1が取り付けられている。具体的には、測定装置1は、食品洗浄装置4の立壁部49上に載置されている。測定装置1は、洗浄槽41内に貯留した洗浄水の残留塩素濃度およびpHを同時に測定するものである。以下、測定装置1について、詳細に説明する。
【0022】
(測定装置について)
上述のように、本実施の形態の測定装置1は、洗浄槽41に外付けで取り付けられる。外付けとは、洗浄槽41とは別個の単体であり、洗浄槽41に後付けできることを意味する。図2図4を参照して、本実施の形態に係る測定装置1は、筐体10と、筐体10内に設けられる吸込・吐出流路15と、洗浄水を筐体10内に取水するポンプ16と、測定セル70と、残留塩素濃度測定手段20と、pH測定手段30とを備える。なお、図2(a)において、矢印A1で示す方向を上下方向、矢印A2で示す方向を左右方向という。
【0023】
筐体10は、図2(a)に示すように、たとえば立方体形状であり、その表面には、操作部50と、記録部64と、報知部65とが設けられている。具体的には、操作部50は、ユーザからの指示を受け付けるものであり、洗浄コースを選択するためのコース選択ボタン51、および、洗浄を開始または終了するためのスタート・ストップボタン52が含まれる。報知部65は、たとえばディスプレイであり、測定結果などが表示されてもよい。記録部64は、たとえば着脱可能なUSB(Universal Serial Bus)メモリである。ユーザは、記録部64から記録した測定データを取り出すことができる。また、記録部64は、残留塩素濃度およびpHの測定データを取り出すことができればよく、たとえばWiFiなどの無線通信、LANケーブルなどであってもよい。なお、図2(a)に現れる操作部50、記録部64および報知部65の図示は、一例である。
【0024】
筐体10の内部には、吸込・吐出流路15の一部、ポンプ16、測定セル70、残留塩素濃度測定手段20、およびpH測定手段30が設けられている。
【0025】
吸込・吐出流路15は、その一部が筐体10内に設けられ、他の部分が筐体10の外方に設けられる。筐体10の外方に設けられる吸込・吐出流路15は、一端に洗浄槽41の洗浄水を取水する吸込み口11を有し、他端に吐出口13を有する。また、吸込・吐出流路15内には、ポンプ16、測定セル70、残留塩素濃度測定手段20、およびpH測定手段30が設けられている。
【0026】
具体的には、吸込み口11は、筐体10から下方に延びる吸込み管12の端部に設けられている。吸込み管12は、たとえば管状であり、吸込み口11が右方向を向くように、例えば側面視L字状に折れ曲がっている。同様に、吐出口13は、筐体10から下方に延びる吐出管14の端部に設けられている。吐出管14は、たとえば管状であり、吐出口11が左方向を向くように、例えば側面視逆L字状に折れ曲がっている。吐出管14と吸込み管12とは、平行に上下方向に延びている。また、吐出口13と吸込み口11は、異なる方向を向いている。具体的には、吐出口13と吸込み口11は、背中合わせであってもよい。
【0027】
図2(b)に示すように、ポンプ16は、吸込み口11から取水した洗浄水を筐体10内に取水する。ポンプ16で取水した洗浄水は、測定セル70に導かれ、測定セル70内に設けられる残留塩素濃度測定手段20で残留塩素濃度が測定され、pH測定手段30でpHが測定される。さらに、測定が終わると、測定セル70内の洗浄水は、洗浄槽41内に戻される。このように、ポンプ16が駆動されることによって、洗浄槽41内の洗浄水が吸込・吐出流路15を介して循環する。つまり、ポンプ16は、洗浄槽41の洗浄水を取水して、洗浄槽41に吐出する循環ポンプである。
【0028】
ポンプ16で取水した洗浄水は、測定セル70に導かれる。測定セル70は、吸込・吐出流路15内に設けられ、吸込み口11から取水した洗浄水を貯留する。図3に示すように、測定セル70は、残留塩素濃度測定手段20およびpH測定手段30を収容する収容部71を有する。収容部71は、たとえば上方が開口した箱状である。収容部71の底面には、洗浄水が貯留される。残留塩素濃度測定手段20およびpH測定手段30で残留塩素濃度およびpHを測定する場合には、測定セル70内の洗浄水を安定化させた後に行う。安定化とは、測定セル70内の洗浄水の流量と速度を一定にすることであり、たとえば2~3分要する。
【0029】
残留塩素濃度測定手段20は、測定セル70に貯留された洗浄水に接触する電極である。残留塩素濃度測定手段20は、測定セル70の洗浄水の電気伝導度を測定することで残留塩素濃度を測定する。具体的には、電極を電気伝導度計に接続して残留塩素濃度を測定する。なお、食品を洗浄するために使用する洗浄水の残留塩素濃度は、洗浄水の種類によって基準値を設定することができる。洗浄水が微酸性電解水である場合は、一般的に残留塩素濃度の基準値は10~80mg/Lである。洗浄水が次亜塩素ナトリウム溶液である場合は、残留塩素濃度の基準値は100~200mg/Lである。
【0030】
pH測定手段30は、測定セル70に貯留された洗浄水に接触する電極である。pH測定手段30は、測定セル70の洗浄水の電気伝導度を測定することでpHを測定する。具体的には、残留塩素濃度を測定した電気伝導度計とは別の電気伝導度計に、pH測定用の電極を接続して、pHを測定する。なお、残留塩素濃度と同様に、食品を洗浄するために使用する洗浄水のpHは、洗浄水の種類によって基準値を設定することができる。洗浄水が微酸性電解水である場合は、一般的にpHの基準値は5.0~6.5である。洗浄水が次亜塩素酸ナトリウム溶液であり、次亜塩素酸ナトリウム溶液の残留塩素濃度が100~200mg/Lである場合は、pHの基準値は8.5~9.5である。
【0031】
残留塩素濃度測定手段20とpH測定手段30は、同じ測定セル70内に貯留された洗浄水を測定液にすることができるため、測定セル70内の洗浄水が安定化する時間を短縮することができる。これにより、洗浄水の残留塩素濃度とPHとを同時に測定することができるため、残留塩素濃度の測定時間とpHの測定時間を短縮することができる。さらに、同じ測定セル70で洗浄水の残留塩素濃度とpHを測定することができるため、測定用の洗浄水の量を少なくすることができる。
【0032】
また、測定装置1は、筐体10内に測定セル70、残留塩素濃度測定手段20およびpH測定手段30が設けられるという簡易な構成であり、洗浄槽41を有する設備に後付けで設置することができる。なお、本実施の形態では、測定装置1を食品洗浄装置4に取り付ける一例を示したが、既存の洗浄槽を有する設備に後付けで設置することが可能である。
【0033】
次に、図4を参照して、測定装置1の機能構成について説明する。図4は、測定装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0034】
測定装置1は、上述した残留塩素濃度測定手段20、pH測定手段30および操作部50に加え、それらに電気的に接続された制御装置60を備える。
【0035】
制御装置60は、各種演算処理を行う制御部61と、残留塩素濃度測定手段20およびpH測定手段30で測定したデータを出力する出力部63とを含む。制御部61は、残留塩素濃度およびpHの測定を実行する。制御部61は、たとえばCPU(Central Processing Unit)などにより実現される。制御部61は、残留塩素濃度測定手段20で測定した残留塩素濃度、および、pH測定手段30で測定したpHが設定した基準値を越えているか否かを判定する判定部62を有する。判定部62には、残留塩素濃度の基準値、および、pHの基準値が記憶されている。
【0036】
出力部63は、残留塩素濃度測定手段20で測定した残留塩素濃度、および、pH測定手段30で測定したpHのデータを記憶するための記録部64と、判定部62で異常を検知した場合に報知する報知部65とを有する。報知部65は、上述した、筐体10の表面に設けられるディスプレイだけでなく、残留塩素濃度およびpHが基準値の範囲内か、または範囲外かを知らせるためのブザーなども含む。
【0037】
本実施の形態の測定装置1は、食品洗浄装置4に外付けで取り付けられるものの、食品洗浄装置4と連動させることができる。以下、測定装置1と食品洗浄装置4とを連動させた測定方法について説明する。
【0038】
(測定方法について)
残留塩素濃度およびpHを測定する測定方法について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0039】
図5に示す測定方法のメインルーチンは、ユーザにより操作部50のスタート・ストップボタン52(図2(a))が押下された場合に開始される。ユーザによりスタート・ストップボタン52が押下されると、ポンプ16により洗浄槽41の洗浄水が吸込み口11から取水される(ステップS1)。
【0040】
取水された洗浄水は、筐体10内の測定セル70内に貯留される(ステップS2)。洗浄水が一定量測定セル70内に貯留した後、測定セル70内の洗浄水を安定化させる(ステップS3)。具体的には、測定セル70内の洗浄水の流量と速度が一定になるまで、たとえば2~3分待つ。
【0041】
測定セル70内の洗浄水が安定化したら、残留塩素濃度測定手段20で洗浄水中の残留塩素濃度を測定し、pH測定手段30で洗浄水中のpHを測定する(ステップS4)。このように、残留塩素濃度の測定とpHの測定を同時に行う。測定が終了したら、測定セル70の洗浄水を吐出口13から洗浄槽41内に吐出する(ステップS5)。なお、測定セル70の洗浄水を洗浄槽41内に吐出するのではなく、外部に排水してもよい。
【0042】
食品を洗浄する際の洗浄水は、残留塩素濃度およびpHが基準値の範囲内であることが求められている。そのため、残留塩素濃度測定手段20で測定した残留塩素濃度、および、pH測定手段30で測定したpHが、基準値の範囲内であるか否かを判定部62で判断する(ステップS5)。なお、残留塩素濃度の基準値、および、pHの基準値については、上述の通りである。
【0043】
判定部62が、基準値の範囲外であると判断した場合(ステップS6においてNO)、制御部61が食品洗浄装置4の制御を行う(ステップS7)。具体的には、食品洗浄装置4の洗浄水生成装置において、たとえば洗浄水の塩素濃度の調整、洗浄水の追加投入などを行うことで、洗浄水の残留塩素濃度およびpHを再調整する。その後、再度食品洗浄を行った上で、ステップS1に戻り、上記処理を繰り返す。
【0044】
判定部62が、基準値の範囲内であると判断した場合(ステップS6においてYES)、洗浄終了可能と判断する。判定部62により洗浄終了可能と判断されると、報知部65および記録部64が動作する。すなわち、報知部65は、たとえばブザー音を鳴らしたり、照明具などを点灯させたりなど、洗浄終了をユーザに報知する。記録部64は、たとえば計測日、残留塩素濃度の値、pHの値、判定結果などをUSB、WiFiなどにより出力することが可能となる。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態の測定方法では、残留塩素濃度およびpHを同時に測定することができるため、短時間で残留塩素濃度およびpHを測定することができる。さらに、あらかじめ残留塩素濃度およびpHの基準値が判定部62に記憶されているため、洗浄判断も自動で行うことが可能となる。
【0046】
なお、上記実施の形態では、測定装置1と食品洗浄装置4を連動させた場合を示したが、測定装置1と食品洗浄装置4が完全に独立したものであってもよい。その場合、図5のフローチャートのステップS1~S6が行われる。測定装置1で測定した残留塩素濃度とpHとが基準値の範囲外の場合は、手動で、洗浄水の塩素濃度の調整、洗浄水の追加投入などを行えばよい。
【0047】
また、上記実施の形態では、残留塩素濃度測定手段20およびpH測定手段30として電極を採用し、電気伝導計を用いた。しかし、残留塩素濃度測定手段20およびpH測定手段30は、測定セル70を用いて一般的に採用される種々の測定器であってもよい。
【0048】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0049】
1 測定装置、10 筐体、11 吸込み口、13 吐出口、15 吸込・吐出流路、16 ポンプ、20 残留塩素濃度測定手段、30 pH測定手段、41 洗浄槽、62 判定部、63 出力部、65 報知部、70 測定セル。
図1
図2
図3
図4
図5